説明

自動車のアンダーカバー構造

【課題】車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーに水平可動式の開閉カバーを設け、タイダウン係合部、ジャッキ受け部について、未使用時には、開閉カバーを閉じて下面側をカバーし、使用時には、開閉カバーを開けて下方へ露出させることができる、自動車のアンダーカバー構造を提供する。
【解決手段】 開閉カバー38が、アンダーカバー31に設けられて、タイダウン係合部26とジャッキ受け部21の下面側をカバー可能に構成され、カバー開閉機構40が、開閉カバー38がタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向へ移動してタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバー38を開閉する為の機構に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のアンダーカバー構造に関し、特に、タイダウン係合部、ジャッキ受け部の下面側を開閉する開閉カバーを設けた構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車において、車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えたもの(例えば、特許文献1参照)が実用に供されており、このアンダーカバーにより、走行中の車体フロア下側の空気流が整流されて、操縦安定性が高められ、燃費が向上し、また、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びが防止される。
【0003】
更に、アンダーカバーによりサイドシルのインナパネルの下面をカバーするとともに、アンダーカバーとは別体のサイドカバーを備え、このサイドカバーにより、サイドシルのアウタパネルの下面をカバーして、サイドシルの下面の汚れや錆びを防止し、走行中の車体下側の空気流の整流性能の一層向上を期待できるものが実用に供されている。
【0004】
ところで、自動車には、車体フロア側の補強部材にタイダウン係合部が設けられ、自動車をトラックや船舶で輸送する際、このタイダウン係合部にタイダウンフックを引っ掛け、このタイダウンフック付きワイヤにより、自動車をトラックや船舶にタイダウン(固定)することができる。
【0005】
また、車体のサイドシル(サイドシルインナパネル)の下面部にジャッキ受け部が設けられ、タイヤ交換時等、このジャッキ受け部の下側にジャッキを配置し、そのジャッキのヘッド部を上昇させジャッキ受け部に当接させて、ジャッキ受け部にジャッキからジャッキアップ力を付与して、自動車をジャッキアップすることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平5−330457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、自動車において、アンダーカバーにより車体フロアの下面側をカバーする場合、自動車をタイダウン可能にするために、タイダウン係合部及びその周辺の補強部材の下面については、カバーできずにタイダウン係合部の未使用時にも下方へ露出状態になるため、路面からの水や泥等による汚れや錆びを防止できず、走行中の車体フロア下側の空気流の整流性能の一層の向上を望むことも難しい。
【0008】
また、アンダーカバーによりサイドシルインナパネルの下面をカバーする場合、自動車をジャッキアップ可能にするために、ジャッキ受け部及びその周辺のサイドシルインナパネルの下面については、カバーできずにジャッキ受け部の未使用時にも下方へ露出状態になるため、路面からの水や泥等による汚れや錆びを防止できず、走行中の車体下側の空気流の整流性能の一層の向上を望むことも難しい。
【0009】
尚、アンダーカバーを設けて、タイダウン係合部、ジャッキ受け部を下方へ露出可能にするために、アンダーカバーに開口を形成する必要があるが、特に、タイダウン係合部とジャッキ受け部を接近させて設けたものでは、アンダーカバーには、タイダウン係合部とジャッキ受け部の下側に大きな開口を形成する必要があり、こうした理由を含めて、アンダーカバーとサイドカバーとを別体に構成しているのが実情である。
【0010】
本発明の目的は、車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーに水平可動式の開閉カバーを設け、タイダウン係合部、ジャッキ受け部について、未使用時には、開閉カバーを閉じて下面側をカバーし、使用時には、開閉カバーを開けて下方へ露出させ、未使用時において、走行時の車体下側の空気流の整流性能を確実に高めるとともに、路面からの水や泥等によるタイダウン係合部、ジャッキ受け部及びその周辺の汚れや錆びを確実に防止できる、自動車のアンダーカバー構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の自動車のアンダーカバー構造は、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、前記アンダーカバーに設けられ、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部の下面側をカバー可能な開閉カバーと、前記開閉カバーがタイダウン係合部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してタイダウン係合部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構とを備えたことを特徴とする。
【0012】
タイダウン係合部の未使用時(通常時)には、開閉カバーを閉位置にして、この開閉カバーによりタイダウン係合部の下面側がカバーされ、タイダウン係合部の使用時(自動車のタイダウン時)には、開閉カバーを開位置にして、タイダウン係合部が下方へ露出され、通常時において、走行時の車体下側の空気流の整流性能が高められ、路面からの水や泥等によるタイダウン係合部及びその周辺の補強部材の下面の汚れや錆びが防止される。カバー開閉機構により、開閉カバーの閉位置と開位置とに亙っての移動が円滑に且つ確実に行われ、開閉カバーを少なくとも閉位置に保持可能に構成できる。
【0013】
請求項2の自動車のアンダーカバー構造は、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、前記アンダーカバーに設けられ、車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面側をカバー可能な開閉カバーと、前記開閉カバーがジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構とを備えたことを特徴とする。
【0014】
ジャッキ受け部の未使用時(通常時)には、開閉カバーを閉位置にして、この開閉カバーによりジャッキ受け部の下面側がカバーされ、ジャッキ受け部の使用時(自動車のジャッキアップ時)には、開閉カバーを開位置にして、ジャッキ受け部が下方へ露出され、通常時において、走行時の車体下側の空気流の整流性能が高められ、路面からの水や泥等によるジャッキ受け部及びその周辺のサイドシルの下面の汚れや錆びが防止される。カバー開閉機構により、開閉カバーの閉位置と開位置とに亙っての移動が円滑に且つ確実に行われ、開閉カバーを少なくとも閉位置に保持可能に構成できる。
【0015】
請求項3の自動車のアンダーカバー構造は、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、前記アンダーカバーに設けられ、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部とこのタイダウン係合部の近傍における車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部との下面側をカバー可能な開閉カバーと、前記開閉カバーがタイダウン係合部及びジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してタイダウン係合部及びジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項1、2の両作用が得られ、更に、1組のタイダウン係合部とジャッキ受け部に対して、1つの開閉カバー及びカバー開閉機構が共通に適用され、故に、タイダウン係合部とジャッキ受け部の各々に開閉カバー及びカバー開閉機構を設ける構造と比べると、部品点数が低減し、構造が簡単化する。
【0017】
ここで、請求項1〜3の発明の従属項として次の構成を採用可能である。
前記カバー開閉機構は、開閉カバーを車外から操作可能に開閉カバーに設けられた操作部を有する(請求項4)。前記カバー開閉機構は、開閉カバーを閉位置へ付勢する付勢手段を有する(請求項5)。
【0018】
前記アンダーカバーに、サイドシルの下部の外側面及び下面をカバーするサイドカバー部が一体形成される(請求項6)。前記開閉カバーの車幅方向外端部の少なくとも一部が車外から視認可能に外部に臨んでいる(請求項7)。前記サイドシルのインナパネルの後端部に、車体のホイールハウスを形成するパネル部材に下側に屈曲して接合される屈曲部が形成され、前記サイドカバー部は、前記屈曲部の下面側をカバーするように形成される(請求項8)。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、アンダーカバーにより、車体フロアの下面側をカバーすることで、走行中の車体フロア下側の空気流を整流でき、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びを防止できるが、更に、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部の下面側をカバー可能な開閉カバーをアンダーカバーに設け、この開閉カバーがタイダウン係合部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してタイダウン係合部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構を備えたので、タイダウン係合部の未使用時(通常時)には、開閉カバーを閉位置にして、この開閉カバーによりタイダウン係合部の下面側をカバーし、タイダウン係合部の使用時(自動車のタイダウン時)には、開閉カバーを開位置にして、タイダウン係合部を下方へ露出させることができ、通常時において、走行時の車体下側の空気流の整流性能を確実に高めて、操縦安定性と燃費の向上を図り、路面からの水や泥等によるタイダウン係合部及びその周辺の補強部材の下面の汚れや錆びを確実に防止できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、アンダーカバーにより、車体フロアの下面側をカバーすることで、走行中の車体フロア下側の空気流を整流でき、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びを防止できるが、更に、車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面側をカバー可能な開閉カバーをアンダーカバーに設け、この開閉カバーがジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構を備えたので、ジャッキ受け部の未使用時(通常時)には、開閉カバーを閉位置にして、この開閉カバーによりジャッキ受け部の下面側をカバーし、ジャッキ受け部の使用時(自動車のジャッキアップ時)には、開閉カバーを開位置にして、ジャッキ受け部を下方へ露出させることができ、通常時において、走行時の車体下側の空気流の整流性能を確実に高めて、操縦安定性と燃費の向上を図り、路面からの水や泥等によるジャッキ受け部及びその周辺のサイドシルの下面の汚れや錆びを確実に防止できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、アンダーカバーにより、車体フロアの下面側をカバーすることで、走行中の車体フロア下側の空気流を整流でき、路面からの水や泥等による車体フロアの下面の汚れや錆びを防止できるが、更に、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部とこのタイダウン係合部の近傍における車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部との下面側をカバー可能な開閉カバーをアンダーカバーに設け、この開閉カバーがタイダウン係合部及びジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してタイダウン係合部及びジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構を備えたので、請求項1、2の両効果を得ることができ、更に、1組のタイダウン係合部とジャッキ受け部に対して、1つの開閉カバー及びカバー開閉機構を共通に適用できるので、タイダウン係合部とジャッキ受け部の各々に開閉カバー及びカバー開閉機構を設ける構造と比べると、部品点数を低減し、構造を簡単化し、製造コストを低減することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、カバー開閉機構は、開閉カバーを車外から操作可能に開閉カバーに設けられた操作部を有するので、開閉カバーを操作部により車外から操作して、閉位置から開位置へ確実に移動させることができ、また、開位置から閉位置へ移動させることもできる。
【0023】
請求項5の発明によれば、カバー開閉機構は、開閉カバーを閉位置へ付勢する付勢手段を有するので、この付勢手段により、開閉カバーを閉位置に確実に保持できるとともに、開閉カバーを開位置から閉位置へ自動的に復帰させることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、アンダーカバーに、サイドシルの下部の外側面及び下面をカバーするサイドカバー部を一体形成したので、このサイドカバー部により、サイドシルの下面の路面からの水や泥等による汚れや錆びを防止でき、走行中の車体下側の空気流の整流性能の一層の向上を図り、また、自動車の側面下部における外観を意匠的に優れたものすることができ、更に、サイドカバー部をアンダーカバーに一体形成できるので、部品点数の低減、製造コストの低減、組み付け性の向上を図ることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、開閉カバーの車幅方向外端部の少なくとも一部が車外から視認可能に外部に臨んでいるので、開閉カバーの位置(閉位置、開位置)を車外から確実に視認でき、開閉カバーの少なくとも閉位置ら開位置への操作について、その操作必要性を容易に察知することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、サイドシルのインナパネルの後端部に、車体のホイールハウスを形成するパネル部材に下側に屈曲して接合される屈曲部を形成し、サイドカバー部を、屈曲部の下面側をカバーするように形成したので、従来、前記屈曲部では、路面からの水や泥等による汚れや錆びが生じ易いが、これを確実に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の自動車のアンダーカバー構造は、自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーに、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部と車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部の少なくとも一方の下面側をカバー可能な開閉カバーを設け、この開閉カバーが前記少なくとも一方をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動して前記少なくとも一方を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構を備えたものである。
【実施例1】
【0028】
図1、図2に示すように、自動車の車体1は、車体フロア2、左右1対のサイドシル3、左右1対の縦メンバ4、前後左右4つの補強部材5,6を備えている。
【0029】
サイドシル3は、車幅方向外側に凸のアウタパネル10と、車幅方向内側に凸のインナパネル11とを有し、これらパネル10,11の上端フランジ10a,11a同士と下端フランジ10b,11b同士が接合されて、閉断面が形成され、インナパネル11の内面に車体フロア2のフロアパネル2aの車幅方向外端部が接合されている。
【0030】
車体1には前後左右4つのホイールハウス15,16が形成され、サイドシル3の前後両端部が、その前後両側に位置するホイールハウス15,16を形成するパネル部材15a,16aに接合され、特に、サイドシル3のインナパネル11の後端部に下側に屈曲した屈曲部11cが形成され、この屈曲部11cがホイールハウス16のパネル部材16aの前下端部に接合されている。
【0031】
1対のサイドシル3の下面部には、前後左右4つのジャッキ受け部20,21が設けられ、各ジャッキ受け部20,21は、サイドシル3のインナパネル11の底壁部に通常底壁部レベルよりも下方突出状に形成されている。1対の縦メンバ4は断面逆ハット状に形成されて、フロアパネル2aの下面に接合されている。
【0032】
4つの補強部材5,6は、夫々、フロアパネル2aの下面部においてサイドシル3の下部フランジ部10b,11bと縦メンバ4との間に結合され、これら補強部材5,6に、補強部材5,6に形成されたフック穴25a,26aを夫々含む前後左右4つのタイダウン係合部25,26が設けられている。前後左右の各々において、ジャッキ受け部20,21とタイダウン係合部25,26が左右に並設されて組を作り、前後左右4組のジャッキ受け部20,21及びタイダウン係合部25,26が設けられている。
【0033】
車体1の後部には、後輪を支持する後輪支持構造28が、そのホイール支持部28aをホイールハウス16に臨ませた状態で設けられ、このホイール支持部28aと補強部材6とが、前後方向に延びて弾性を有する鉛直帯板状のトレーリングアーム29により連結されている。ここで、補強部材6は前後方向にやや長い略矩形形状に形成され、この補強部材6の後部にトレーリングアーム29の前端部が連結され、補強部材6の前部にタイダウン係合部26が設けられている。
【0034】
自動車のアンダーカバー構造30について説明する。
図1〜図4に示すように、自動車のアンダーカバー構造30は、車体フロア2の下面側をカバーする左右1対のアンダーカバー31と、4組のジャッキ受け部20,21及びタイダウン係合部25,26を夫々開閉可能な前後左右4つのカバー装置32,33を備えている。
【0035】
1対のアンダーカバー31は、車体フロア2の下側の車幅方向中央部分に所定の隙間を空けて配設され、複数箇所でサイドシル3や縦メンバ4等に結合されて取り付けられ、1対のアンダーカバー31間の隙間にエンジン排気管7が臨むように配設されている。尚、車体フロア2の後部にガソリンタンク8を左右非対称に配置する関係上、1対のアンダーカバー31の後部形状は多少異なっている。
【0036】
アンダーカバー31は、その大部分が略フラットな合成樹脂製のカバー本体35で構成されて、アンダーカバー31には、カバー本体35の車幅方向外端側にサイドカバー部36が一体形成されている。サイドカバー部36は、カバー底壁36aとカバー側壁36bとを有する断面L形に形成されて、サイドシル3の下部の外側面及び下面をカバーするとともにインナパネル11の後端部の屈曲部11cの下面側をカバーする。
【0037】
1対のアンダーカバー31には、4組のジャッキ受け部20,21及びタイダウン係合部25,26を夫々下方へ露出させる為の前後左右4つの開口31a,31bが形成されるとともに、カバー本体35(サイドカバー部36)と別体に形成されて4組のジャッキ受け部20,21及びタイダウン係合部25,26の下面側を夫々カバー可能な前後左右4つの合成樹脂製又は金属製(例えば、アルミ合金製又はステンレス製)の開閉カバー37,38が設けられている。
【0038】
カバー装置32,33について詳細に説明する。尚、4つのカバー装置32,33は基本的に同じ構造であるので、後左側のカバー装置33について説明する。尚、前側のカバー装置32と後側のカバー装置33とでは、開閉カバー37,38の閉位置と開位置との位置関係が前後逆になる。また、対応する開口31a,31bの形状も若干異なる。
【0039】
図1〜図4に示すように、カバー装置33は、アンダーカバー31に設けられ、車体フロア2側の補強部材6に設けられたタイダウン係合部26とこのタイダウン係合部26の近傍における車体1のサイドシル3の下面部に設けられたジャッキ受け部21との下面側をカバー可能な開閉カバー38と、開閉カバー38がタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21をカバーする閉位置(図3参照)とこの閉位置から前方へ移動してタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21を下方へ露出させた開位置(図4参照)とに亙って開閉カバー38を開閉する為のカバー開閉機構40とを備えている。
【0040】
ここで、タイダウン係合部26及びジャッキ受け部21を下方へ露出させる為の開口31bは、カバー本体35とサイドカバー部36のカバー底壁36aとに亙って、その後端から切欠いた状態に形成され、この開口31bにより、トレーリングアーム29がアンダーカバー31と相互干渉することなく配設される。
【0041】
開閉カバー38は、平面視矩形に形成されて、底壁38a、外側壁38b、前壁38c、前端フランジ38dを有する。底壁38aは、左右長が開口31bの左右長よりも長く、前後長がタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21の前後長よりも長く、車幅方向内端部分が前壁38cと前端フランジ38d及び開口31bよりも車幅方向内側に位置し、車幅方向外端がサイドカバー部36のカバー側壁36bに近接し、底壁38aはカバー本体35及びサイドカバー部36のカバー底壁36aの上面に摺動自在に当接している。
【0042】
外側壁38bは、上下長がサイドカバー部36のカバー側壁36bの上下長よりも短く、カバー側壁36bの内面に摺動自在に当接している。前壁38cは、上下長が外側壁38bの上下長と同じであり、車幅方向外端が外側壁38bの前端に繋がっている。前端フランジ38dは、前壁38cから前方へ少し突出して、カバー本体35及びサイドカバー部36のカバー底壁36aの上面に摺動自在に当接している。
【0043】
カバー開閉機構40は、開閉カバー38を閉位置と開位置とに亙って前後方向へスライド自在に案内するガイド機構41、開閉カバー38を閉位置から開位置と反対の後方へ移動するのを規制する閉位置ストッパー部42,43、開閉カバー38を開位置から閉位置と反対の前方へ移動するのを規制する開位置ストッパー部44,45、開閉カバー38を閉位置へ付勢する付勢手段に相当する板バネ46、開閉カバー38を車外から操作可能に開閉カバー38に設けられた操作部47を有する。
【0044】
ガイド機構41は、サイドカバー部36のカバー底壁36aの車幅方向外端部に形成された前後方向に長いスリット50、開口31bの車幅方向内側とその前側においてカバー本体35の上面部に一体的に設けられた略前後方向に長い案内部材49を有する。
【0045】
サイドカバー部36のカバー側壁36bには、開口31bと同じ前後方向位置に側面視矩形の側口36cが形成され、開閉カバー38が閉位置のとき、外側壁38bにより側口36cの全体を内側から閉塞可能に構成され、このとき、外側壁38bの外面のうち側口36cを通して外部へ露出する後部に、開閉カバー38の開位置側への操作方向を示す操作指標48(例えば、三角形の操作指標48)が設けられている。
【0046】
スリット50は側口36cと同じ前後方向位置に側口36cと連続的に形成されている。操作部47は開閉カバー38の外側壁38bの後部から下方へ延びる板片状に形成され、この操作部47がスリット50に前後方向へ移動自在に係合して、スリット50から下方へ適当量突出している。
【0047】
案内部材49は、カバー本体35から立ち上がるガイド内側壁49aと、ガイド内側壁49aの上端から車幅方向外方へ突出するガイド上壁49bを有し、カバー本体35とガイド上壁49bの間に開閉カバー38の底壁38aの車幅方向内端部分が前後方向へ移動自在に係合している。この案内部材49(ガイド内側壁49a、ガイド上壁49b)は、開閉カバー38のアンダーカバー31への組み付けを可能にするために、前後方向に対して前方程車幅方向内方へ移行する傾斜状に形成されている。
【0048】
閉位置ストッパー部42は案内部材49の後端部に一体形成され、閉位置ストッパー部43は、サイドカバー部36のカバー底壁36aのスリット50の後端部に形成され、開閉カバー38が閉位置のとき、開閉カバー38の底壁38aが閉位置ストッパー部42に係合することと、操作部47が閉位置ストッパー部43に係合することの少なくとも一方の状態となり、開閉カバー38の閉位置からの後方移動が規制される。
【0049】
ここで、開閉カバー38の底壁38aの車幅方向内端部は、案内部材49(ガイド内側壁49a)と同傾斜角の傾斜部に形成され、開閉カバー38が閉位置のとき、底壁38aの傾斜部がガイド内側壁49aに当接して、ガタツキなく安定した状態で保持される。
【0050】
開位置ストッパー部44は案内部材49の前端部に一体形成され、開位置ストッパー部45は、サイドカバー部36のカバー底壁36aのスリット50の前端部に形成され、開閉カバー38が開位置のとき、開閉カバー38の底壁38aが開位置ストッパー部44に係合することと、操作部47が開位置ストッパー部45に係合することの少なくとも一方の状態となり、開閉カバー38の開位置からの前方移動が規制される。
【0051】
板バネ46は、アンダーカバー31の上面側に配設され、一端部がサイドカバー部36に固定され、他端部が開閉カバー38の前壁38cに前側から当接して、開閉カバー38を後方へ付勢するとともに、開閉カバー38の前端フランジ38dの上側に位置して、開閉カバー38の上方への移動を規制している。
【0052】
ここで、開閉カバー38が開位置のとき、外側壁38bがサイドカバー部36のカバー側壁36bに当接した状態で、底壁38aの車幅方向内端部分は、案内部材49から係合解除した状態になる。即ち、開閉カバー38をアンダーカバー31に組み付ける場合には、開閉カバー38を開位置の上側位置から下降させ、操作部47をスリット50に係合させて、板バネ46を前壁38cに当接させて前端フランジ38dの上側に位置させてセットでき、その後、開閉カバー38を開位置に移動させない限り、底壁38aの車幅方向内端部分が案内部材49に係合した状態が維持されるため、また、開閉カバー38を開位置に移動させても、板バネ46により開閉カバー38の上方への移動が規制されるため、アンダーカバー31から開閉カバー38が外れることはない。
【0053】
以上説明した自動車のアンダーカバー構造30の作用、効果について説明する。
開閉カバー38の底壁38aの車幅方向内端部分が案内部材49に係合され、開閉カバー38の操作部47がスリット50に係合され、この開閉カバー38が板バネ46により閉位置に付勢されて、図3に示すように、通常時には、サイドカバー部36のカバー側壁36b、案内部材49、閉位置ストッパー部42,43により、開閉カバー38が閉位置に位置決めされた状態で保持され、この開閉カバー38により、タイダウン係合部26及びジャッキ受け部21の下面側が間隙を空けてカバーされる。
【0054】
タイダウン時又はジャッキアップ時には、サイドカバー部36から下方へ突出した操作部47を、操作指標48に従って前方へ移動操作することで、開閉カバー38を板バネ46による付勢力に抗して閉位置から前方へ移動させることができる。図4に示すように、開閉カバー38を開位置へ移動させると、タイダウン係合部26及びジャッキ受け部21が下方へ露出した状態になって、タイダウン又はジャッキアップが可能になる。
【0055】
タイダウンを行う場合には、開閉カバー38を開位置に操作保持した状態で、タイダウン係合部26にタイダウンフックを引っ掛け、このタイダウンフック付きワイヤにより、自動車をトラックや船舶にタイダウン(固定)することができ、ジャッキアップを行う場合には、開閉カバー38を開位置に操作保持した状態で、ジャッキ受け部21の下側に配置したジャッキのヘッド部を上昇させ、ジャッキ受け部21に当接させてジャッキアップ力を付与して、自動車をジャッキアップすることができる。
【0056】
尚、タイダウン係合部26にタイダウンフックを引っ掛けてから、又は、ジャッキ受け部21にジャッキのヘッド部を当接させてから、開閉カバー38を操作解除すると、開閉カバー38が板バネ46により閉位置側へ移動して、タイダウンフック(ワイヤ)又はジャッキ(ヘッド部)に引っ掛かった状態に保持される。タイダウン解除時又はジャッキアップ解除時には、タイダウン係合部26からタイダウンフックを取り外す、又は、ジャッキのヘッド部をジャッキ受け部21から離隔させることで、操作解除された開閉カバー38が板バネ46により自動的に閉位置へ移動して復帰する。
【0057】
この自動的のアンダーカバー構造30によれば、アンダーカバー31に設けられ、車体フロア2側の補強部材6に設けられたタイダウン係合部26とこのタイダウン係合部26の近傍における車体1のサイドシル3の下面部に設けられたジャッキ受け部21との下面側をカバー可能な開閉カバー38と、開閉カバー38がタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向へ移動してタイダウン係合部26及びジャッキ受け部21を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバー38を開閉する為のカバー開閉機構40とを備えた。
【0058】
従って、タイダウン係合部26の未使用時には、開閉カバー38を閉位置にして、この開閉カバー38によりタイダウン係合部26の下面側をカバーし、タイダウン係合部26の使用時には、開閉カバー38を開位置にして、タイダウン係合部26を下方へ露出させることができ、通常時において、走行時の車体1の下側の空気流の整流性能を確実に高めて、操縦安定性と燃費の向上を図り、路面からの水や泥等によるタイダウン係合部26及びその周辺の補強部材6の下面の汚れや錆びを確実に防止できる。
【0059】
また、ジャッキ受け部21の未使用時には、開閉カバー38を閉位置にして、この開閉カバー38によりジャッキ受け部21の下面側をカバーし、ジャッキ受け部21の使用時には、開閉カバー38を開位置にして、ジャッキ受け部21を下方へ露出させることができ、通常時において、走行時の車体下側の空気流の整流性能を確実に高めて、操縦安定性と燃費の向上を図り、路面からの水や泥等によるジャッキ受け部21及びその周辺のサイドシル3の下面の汚れや錆びを確実に防止できる。
【0060】
更に、1組のタイダウン係合部26とジャッキ受け部21に対して、1つの開閉カバー38及びカバー開閉機構40を共通に適用できるので、タイダウン係合部26とジャッキ受け部21の各々に開閉カバー及びカバー開閉機構を設ける構造と比べると、部品点数を低減し、構造を簡単化し、製造コストを低減することができる。
【0061】
カバー開閉機構40は、開閉カバー38を車外から操作可能に開閉カバー38に設けられた操作部47を有するので、開閉カバー38を操作部42により車外から操作して、閉位置から開位置へ確実に移動させることができ、また、開閉カバー38を閉位置へ付勢する板バネ46を有するので、この板バネ46により、開閉カバー38を閉位置に確実に保持できるとともに、開閉カバー38を開位置から閉位置へ自動的に復帰させることができる。開閉カバー38を閉位置と開位置とに亙って移動駆動するアクチュエータを設ける必要がなく、構成を簡単化し、製造コスト的に有利になる。
【0062】
アンダーカバー31に、サイドシル3の下部の外側面及び下面をカバーするサイドカバー部36を一体形成したので、このサイドカバー部36により、サイドシル3の下面の路面からの水や泥等による汚れや錆びを防止でき、走行中の車体下側の空気流の整流性能の一層の向上を図り、また、自動車の側面下部における外観を意匠的に優れたものすることができ、更に、サイドカバー部36をアンダーカバー31に一体形成できるので、部品点数の低減、製造コストの低減、組み付け性の向上を図ることができる。
【0063】
ここで、アンダーカバー31の後部は、タイダウン係合部26、ジャッキ受け部21に加えて、トレーリングアーム29を配設する関係上、比較的大きな開口31bを下端から切欠いた状態に形成することになり、このままでは、強度・剛性が低いため実用に耐えないが、この開口31bの少なくとも一部を閉塞する開閉カバー38によって、アンダーカバー31の後部を補強できたうえで、タイダウン係合部26及びジャッキ受け部21を開閉可能に構成できるので、アンダーカバー31にサイドカバー部36を一体形成して実用に耐え得るものになる。
【0064】
開閉カバー38の車幅方向外端部の一部が車外から視認可能に外部に臨んでいるので、この部分に操作指標48を設けることができ、開閉カバー38の位置(閉位置、開位置)を車外から確実に視認でき、開閉カバー38の閉位置ら開位置への操作について、その操作必要性を容易に察知することができる。
【0065】
サイドシル3のインナパネル11の後端部に、車体1のホイールハウス16を形成するパネル部材16aに下側に屈曲して接合される屈曲部11cを形成し、サイドカバー部36を、屈曲部11cの下面側をカバーするように形成したので、従来、屈曲部11cでは、路面からの水や泥等による汚れや錆びが生じ易いが、これを確実に抑制できる。
【0066】
尚、実施例1のアンダーカバー構造30を次のように部分的に変更してもよい。
1]タイダウン係合部26とジャッキ受け部21がある程度離隔した位置関係にある場合に、開閉カバー38が、タイダウン係合部26のみの下面側をカバー可能に構成し、カバー開閉機構40が、開閉カバー38がタイダウン係合部26をカバーする閉位置とこの閉位置から前方へ移動してタイダウン係合部26を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバー38を開閉する為の機構に構成する。
【0067】
2]タイダウン係合部26とジャッキ受け部21がある程度離隔した位置関係にある場合に、開閉カバー38が、ジャッキ受け部21のみの下面側をカバー可能に構成し、カバー開閉機構40が、開閉カバー38がジャッキ受け部21をカバーする閉位置とこの閉位置から前方へ移動してジャッキ受け部21を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバー38を開閉する為の機構に構成する。
【0068】
3]操作指標48を省略してもよい。開閉カバー38の一部(外側壁38bや操作部47)が車外から視認可能に外部に臨んでいるので、これを見て、開閉カバー38の位置(閉位置、開位置)を車外から確実に視認できる。その視認対象部を操作部47とする場合、サイドカバー部36のカバー側壁36bに形成した側口36を省略してもよい。
【0069】
4]板バネ46の変わりに、コイルバネ、巻バネ等の種々の付勢手段を適用可能である。例えば、巻バネを適用する場合、その巻バネによりドラムを回転付勢し、そのドラムにワイヤを巻取り可能にして、ワイヤの先端部を開閉カバー38に連結し、開閉カバー38を閉位置へ引っ張り付勢する。
【0070】
5]閉位置ストッパー部42,43にクッション部材を設ける。開閉カバー38が板バネ46により閉位置へ急激に復帰する場合でも、そのクッション部材が開閉カバー38を受け止める衝撃を緩和することができる。
【0071】
6]操作部47を操作していない状態で、開閉カバー38を開位置に保持する開位置保持手段を設けてもよい。この開位置保持手段としては、例えば、開閉カバー38とアンダーカバー31との摩擦や係合により、開閉カバー38を開位置へ保持できるようにし、この保持を所定の解除操作を行うことで解除するようにしてもよい。
【0072】
7]板バネ46を省略し、操作部47により、開閉カバー38を開位置と閉位置とに亙って移動操作するようにしてもよい。この場合、開閉カバー38を開位置と閉位置とに夫々保持する保持手段を設けることが好ましい。
【実施例2】
【0073】
図5〜図7に示すように、実施例2の自動的のアンダーカバー構造50は、車体フロア2の下面側をカバーするアンダーカバー51と、車体フロア2側の補強部材55に設けられたタイダウン係合部56を開閉可能なカバー装置52を備えている。尚、このアンダーカバー構造50を装備した自動的の車体1については、実施例1と基本的に同じであり同一符号を付して説明する。
【0074】
アンダーカバー51には、タイダウン係合部56を下方へ露出させる為の開口51aが形成されるとともに、タイダウン係合部56の下面側をカバー可能な合成樹脂製又は金属製の開閉カバー57が設けられている。尚、アンダーカバー51は左右に1対設けられ、カバー装置52(開閉カバー57)、開口部51a、タイダウン係合部56は、夫々前後左右に4つ設けられている。次に、後左側のカバー装置52について説明する。
【0075】
カバー装置52は、アンダーカバー51に設けられ、車体フロア2側の補強部材55に設けられたタイダウン係合部56の下面側をカバー可能な開閉カバー57と、開閉カバー57がタイダウン係合部56をカバーする閉位置とこの閉位置から車幅方向内方へ移動してタイダウン係合部56を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバー57を開閉する為のカバー開閉機構60とを備えている。尚、開口51aはアンダーカバー51にその後端から切欠いた状態に形成されている。
【0076】
開閉カバー57は、平面視矩形に形成されて、カバー本体57a、前係合部57b、後係合部57c、バネ受け部57dを有する。カバー本体57aは、左右長が開口51aの左右長よりも長く、前後長がタイダウン係合部56の前後長よりも長い。前係合部57bは、カバー本体57aの前端部に左右長全長に亙って下方且つ後方へ突出するように断面L形に形成され、後係合部57cは、カバー本体57aの後端部の車幅方向内端部分に下方且つ前方へ突出するように断面L形に形成されている。
【0077】
バネ受け部57dは、カバー本体57aの車幅方向内端部に前後長全長に亙って下方突出するように形成され、このバネ受け部57dの前後両端部が、前係合部57bと後係合部57cの車幅方向内端部に繋がっている。前係合部57b、後係合部57c、バネ受け部57dの下端部は同高さレベルであり、これら下端部がアンダーカバー51の上面に摺動自在に当接している。
【0078】
カバー開閉機構60は、開閉カバー57を閉位置と開位置とに亙って車幅方向へスライド自在に案内するガイド機構61、開閉カバー57を閉位置から開位置と反対の車幅方向外方へ移動するのを規制する閉位置ストッパー部62、開閉カバー57を閉位置へ付勢する付勢手段に相当する板バネ63を有し、開閉カバー57を閉位置側から開位置側へ車外から操作可能に構成されている。
【0079】
ガイド機構61は、アンダーカバー51の開口部51aの前端部とその車幅方向内側部分に上方且つ前方へ突出するように断面L形に形成された車幅方向に延びる前案内レール部61aと、アンダーカバー51の開口部51aの車幅方向内側部分に上方且つ後方へ突出するように断面L形に形成された車幅方向に延びる後案内レール部61bとを有し、これら案内レール部61a,61bに、開閉カバー57の係合部57b,57cが車幅方向へ移動自在に係合している。
【0080】
閉位置ストッパー部62は、開口51bの車幅方向外側に位置するようにアンダーカバー51に一体的に設けられ、開閉カバー57が閉位置ストッパー部62に車幅方向内側から係合して閉位置になる。板バネ63は、アンダーカバー51の上面側に配設され、一端部がアンダーカバー51にバネ固定部63aを介して固定され、他端部が開閉カバー57のバネ受け部57dに車幅方向内側から当接して、開閉カバー57を車幅方向外方へ付勢している。
【0081】
この自動的のアンダーカバー構造50によれば、タイダウン係合部56の未使用時には、開閉カバー57を閉位置にして、この開閉カバー57によりタイダウン係合部56の下面側をカバーし、タイダウン係合部56の使用時には、開閉カバー57を開位置にして、タイダウン係合部56を下方へ露出させることができ、通常時において、走行時の車体1の下側の空気流の整流性能を確実に高めて、操縦安定性と燃費の向上を図り、路面からの水や泥等によるタイダウン係合部56及びその周辺の補強部材55の下面の汚れや錆びを確実に防止でき、その他、タイダウン係合部56に関する効果は実施例1と同様である。
【0082】
尚、タイダウン係合部56の代わりにジャッキ受け部とし、開閉カバー57が、ジャッキ受け部のみの下面側をカバー可能に構成し、カバー開閉機構60が、開閉カバー57がジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から前方へ移動してジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバー57を開閉する為の機構に構成してもよい。また、実施例1の操作部47に相当する操作部を設けてもよい。その他、実施例1と基本的に同じような変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例1の自動車のアンダーカバー構造を含む底面図である。
【図2】アンダーカバー構造の要部の上側からの斜視図である。
【図3】アンダーカバー構造の開閉カバーが閉位置のときの要部の斜視図である。
【図4】アンダーカバー構造の開閉カバーが開位置のときの要部の斜視図である。
【図5】実施例2の自動車のアンダーカバー構造の要部の平面図である。
【図6】アンダーカバー構造の要部の上側からの斜視図である。
【図7】図5のVII −VII 線断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 車体
2 車体フロア
3 サイドシル
5,6,55 補強部材
11 インナパネル
11c 屈曲部
16 ホイールハウス
16a パネル部材
20,21 ジャッキ受け部
25,26,56 タイダウン係合部
30,50 自動車のアンダーカバー構造
31,51 アンダーカバー
36 サイドカバー部
37,38,57 開閉カバー
40,60 カバー開閉機構
46,63 板バネ
47 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、
前記アンダーカバーに設けられ、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部の下面側をカバー可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーがタイダウン係合部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してタイダウン係合部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構と、
を備えたことを特徴とする自動車のアンダーカバー構造。
【請求項2】
自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、
前記アンダーカバーに設けられ、車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部の下面側をカバー可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーがジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構と、
を備えたことを特徴とする自動車のアンダーカバー構造。
【請求項3】
自動車の車体フロアの下面側をカバーするアンダーカバーを備えた自動車のアンダーカバー構造において、
前記アンダーカバーに設けられ、車体フロア側の補強部材に設けられたタイダウン係合部とこのタイダウン係合部の近傍における車体のサイドシルの下面部に設けられたジャッキ受け部との下面側をカバー可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーがタイダウン係合部及びジャッキ受け部をカバーする閉位置とこの閉位置から車両前後方向又は車幅方向へ移動してタイダウン係合部及びジャッキ受け部を下方へ露出させた開位置とに亙って開閉カバーを開閉する為のカバー開閉機構と、
を備えたことを特徴とする自動車のアンダーカバー構造。
【請求項4】
前記カバー開閉機構は、開閉カバーを車外から操作可能に開閉カバーに設けられた操作部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項5】
前記カバー開閉機構は、開閉カバーを閉位置へ付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項6】
前記アンダーカバーに、サイドシルの下部の外側面及び下面をカバーするサイドカバー部が一体形成されたことを特徴とする請求項1〜5の何れに記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項7】
前記開閉カバーの車幅方向外端部の少なくとも一部が車外から視認可能に外部に臨んでいることを特徴とする請求項6に記載の自動車のアンダーカバー構造。
【請求項8】
前記サイドシルのインナパネルの後端部に、車体のホイールハウスを形成するパネル部材に下側に屈曲して接合される屈曲部が形成され、
前記サイドカバー部は、前記屈曲部の下面側をカバーするように形成されたことを特徴とする請求項6又は7に記載の自動車のアンダーカバー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−24274(P2008−24274A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202421(P2006−202421)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】