自動車のフードストッパ構造
【課題】 フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパがフードと車体側部材との間の挟み込まれるという事態を生じることなく、上記歩行者の頭部に加えられる衝撃を効果的に緩和する。
【解決手段】 車体の前部に設けられたフード5と車体側部材1との間に、フード5の閉止時に緩衝材として機能するストッパ7が設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパ7の支持部を有する支持ブラケット8をシュラウドアッパ1からなる車体側部材に設けるとともに、この支持ブラケット8に支持されたストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔17からる支持部からストッパ7が離脱するのを促進する離脱促進手段を設けた。
【解決手段】 車体の前部に設けられたフード5と車体側部材1との間に、フード5の閉止時に緩衝材として機能するストッパ7が設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパ7の支持部を有する支持ブラケット8をシュラウドアッパ1からなる車体側部材に設けるとともに、この支持ブラケット8に支持されたストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔17からる支持部からストッパ7が離脱するのを促進する離脱促進手段を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前部に設けられたフードの閉止時に緩衝材として機能するストッパがフードと車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示すように、ゴム等の弾性を有する材料よりなるフードダンパを介して車体側受止部に当接支持される自動車のフード端部の支持構造において、車体側受止部とフード端部との少なくとも一方に、設定以上の荷重でフード端部が押されたときに変形可能な断面台形状の支持ブラケットからなる緩衝部を設けるとともに、該緩衝部とフード端部との間にフードダンパを配設することが行われている。
【特許文献1】実公昭63−11020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示された発明では、フードを閉止する際に、フードダンパを弾性変形させることによりフードの閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記緩衝部を変形させて衝撃エネルギーを吸収することにより、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃をある程度緩和することが可能である。
【0004】
しかし、上記事故の発生時に、緩衝部となる支持ブラケットを変形させたとしてもこの支持ブラケットに支持されたストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれた状態となった場合には、フードに作用する衝撃エネルギーを効果的に吸収することが困難であるという問題がある。すなわち、自動車の走行時に上記ストッパが弾性変形することに起因してフードが振動するのを防止するためには、上記ストッパを構成するゴム材等として所定の硬度を有するものを使用する必要がある。したがって、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれた状態となると、上記緩衝部となる支持ブラケットを変形させることによる衝撃エネルギーの吸収効果を充分に発揮させることができないという問題がある。
【0005】
なお、上記特許文献1に開示された発明では、緩衝材となる支持ブラケットが取り付けられる車体側部材に、この支持ブラケットに支持されたストッパの下部が落とし込まれる逃がし孔を形成することにより、上記衝突事故の発生時に支持ブラケットに支持されたストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれた状態となるのを防止するように構成されている。
【0006】
しかし、上記のように車体側部材に形成された逃がし孔内にストッパの下部が確実に落とし込まれるようにするためには、上記逃がし孔の孔径をかなり大きな値に設定する必要があり、これによって上記支持ブラケットが取り付けられる車体側部材の強度が低下し易く、支持ブラケットの取付強度を充分に確保することが困難であるという問題がある。特に、車体前端部に位置するシュラウドアッパの上面に、上記ストッパを設置するとともに、ストッパの下部が落とし込まれる大径の逃がし孔を形成した場合には、上記シュラウドアッパの設置部におけるシール性が低下し、エンジンルーム内の熱気が上記逃がし孔を介してラジエータの設置部に導入されることにより、ラジエータの冷却性能が低下し易い等の問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フードを閉止する際に、緩衝材としての機能を有するストッパを弾性変形させることによりフードの閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパがフードと車体側部材との間の挟み込まれるという事態を生じることなく、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和することができる自動車のフードストッパ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体の前部に設けられたフードの閉止時に緩衝材として機能するストッパがフードと車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパの支持部を有する支持ブラケットを車体側部材に設けるとともに、この支持ブラケットに支持されたストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持部からストッパが離脱するのを促進する離脱促進手段を備えたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパの支持部としてストッパが嵌着される支持孔を支持ブラケットに設け、かつ上記ストッパの離脱促進手段として、上記ストッパの支持孔に連通する第1スリットを支持ブラケットに設けるとともに、ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記第1スリット内に進入してこの第1スリットを拡幅させることにより上記支持孔を拡開変形させるものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載の自動車のフードストッパ構造において、第1スリットの設置部と反対側の位置においてストッパの支持孔に連通する第2スリットを支持ブラケットに設けたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項2または3に記載の自動車のフードストッパ構造において、支持ブラケットに設けられた第1スリットと車体側部材に設けられた棒状部材との間に、支持ブラケットに入力される荷重が一定値以上となるまで上記棒状部材が上記第1スリット内に進入するのを規制する進入規制手段を設けたものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項2〜4の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造において、支持ブラケットに設けられた第1スリットに、ストッパの支持孔に近付くにしたがって溝幅が減少する拡幅促進部を設けたものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記請求項2〜5の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造において、棒状部材が挿通される挿通部を支持ブラケットに設けるとともに、上記第1スリットの設置部と反対側の位置において棒状部材の挿通部に連通する第3スリットを支持ブラケットに設けたものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造において、上記支持ブラケットに、ストッパが嵌着される支持孔と、車体側部材に設けられた棒状部材が挿通される挿通部とを設け、上記ストッパの支持孔と棒状部材の挿通部との間に複数の第1スリットを形成するとともに、各第1スリットの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段を配設し、上記ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記進入規制手段による棒状部材の規制状態を解除して上記複数の第1スリット内に棒状部材を順次進入させることにより、この第1スリットおよび上記支持孔を拡幅するように構成したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、フードを閉止する際に、緩衝材としての機能を有する上記ストッパを弾性変形させることによりフードの閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパを適切な離脱荷重で確実に支持ブラケットから離脱させることにより、このストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれるという事態の発生を低減し、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、支持ブラケットに設けられた支持孔に嵌着されたストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、この支持ブラケットに入力される荷重に応じて取付ボルトのねじ軸等からなる棒状部材を上記第1スリット内に進入させ、この第1スリットを拡幅させて上記支持孔を拡開変形させることにより、簡単な構成で上記支持孔からストッパを効果的に離脱させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、支持ブラケットに設けられた第1スリットの設置部と反対側の位置において、上記ストッパの支持孔に連通する第2スリットを支持ブラケットに設けたため、この支持ブラケットに一定値以上の荷重が作用して上記棒状部材が第1スリット内に進入した時点で、上記第2スリットを起点にして支持ブラケットのストッパの支持孔を容易に拡開変形させることにより、この支持孔からストッパを、より確実に離脱させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、フードを閉止する際には、上記支持ブラケットに入力される荷重を上記進入規制手段において支持することにより、第1スリット内に棒状部材が進入するのを防止してフード閉止時の衝撃エネルギーを上記ストッパにより効果的に吸収できるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生し、上記ストッパを支持する支持ブラケットに一定値以上の荷重が入力された場合には、上記棒状部材が進入規制手段の設置部を突破する等により、適正時期に精度良く棒状部材を進入させて上記支持孔からストッパを確実に離脱させることができる等の利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、ストッパを支持する支持ブラケットに一定値以上の荷重が入力された時点で、棒状部材が拡幅促進部内に進入することにより、この拡幅促進部を案内部として上記第1スリット内に上記棒状部材を進入させて上記支持孔からストッパを効果的に離脱させることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、上記棒状部材の挿通孔に連通する第3スリットを支持ブラケットに設けたため、この支持ブラケットに一定値以上の荷重が入力されて第1スリット内に上記棒状部材が進入した時点で、この第1スリットを容易に拡幅させてストッパの支持孔を拡開変形させることにより、この支持孔からストッパをさらに効果的に離脱させることができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、支持ブラケットに、ストッパが嵌着される支持孔と、車体側部材に設けられた棒状部材が挿通される挿通部とを設け、上記ストッパの支持孔と棒状部材の挿通部との間に複数の第1スリットを形成するとともに、各第1スリットの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段を配設したため、上記ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、上記進入規制手段を突破させる等により、より適切な時期に上記複数の第1スリット内に棒状部材を順次進入させて上記支持孔からストッパを確実に離脱させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車のフードストッパ構造を備えた前部車体を示している。この前部車体には、その前方部に設けられたシュラウドアッパ1と、左右両側辺部に設けられたフロントフェンダエプロン2と、後方部に設けられたダッシュパネル3とにより囲繞されたエンジンルーム4の上端開口部を開閉するフード5が設けられている。
【0023】
上記フード5は、その後端部下面とフロントフェンダパネル2の後端部上面との間に配設されたフードヒンジ6を支点として揺動操作されることにより、エンジンルーム4の上端開口部を閉止した状態と開放した状態とに変位可能に支持されている。また、上記フード5の前端部下面とシュラウドアッパ1の上面との間には、フード5を閉止状態に保持する図略のフードロックが設けられるとともに、フード5の閉止時に緩衝材として機能するストッパ7がシュラウドアッパ1上の4個所に設けられている。
【0024】
上記ストッパ7は、合成ゴム材等により形成された円柱状体からなり、図2および図3に示すように、シュラウドアッパ1に取り付けられた支持ブラケット8に支持されるように構成されている。この支持ブラケット8は、取付ボルト9によりシュラウドアッパ1の前辺部上面に締着されるブラケット部10と、このブラケット部10の後端部から後上がりに傾斜した状態で立ち上がる起立壁部11と、この起立壁部11の上端部から後方側に延びる天板部12と、この天板部12の後端部から下方に延びるとともに、取付ボルト13により下方部がシュラウドアッパ1の後壁面に締着される後壁部14とを有している。
【0025】
上記支持ブラケット8には、そのブラケット部10に取付ボルト9の挿通孔9aが形成されるとともに、上記後壁部14の下方部に取付ボルト13が挿通される挿通孔15が形成され、かつストッパ7が嵌着される支持孔16が天板部12に形成されている。また、上記支持ブラケット8の天板部12および後壁部14には、上記支持孔16の後縁部と上記挿通孔15の上縁部とを連通させる細幅の溝部からなる第1スリット18が形成されている。さらに、上記支持ブラケット8の天板部12には、上記支持孔16の前縁部に連通するU字状の切欠きからなる第2スリット19が形成されている。
【0026】
上記ストッパ7の支持孔16は、その周縁部が螺旋状に形成されるとともに、この支持孔16にねじ込まれて嵌着される雄ねじ状の突条部20がストッパ7の下方部に形成されている。そして、上記支持ブラケット8に支持されたストッパ7は、フード5の下面に設けられたフードインナパネル21に当接するように配設されている。そして、フード5の閉止時には、図3の矢印αに示すように略鉛直方向の荷重が上記ストッパ7に作用し、この荷重に応じて上記ストッパ7が弾性変形することにより、緩衝材としての機能が発揮されるとともに、閉止状態に保持されたフード5の前端部が振動するのを規制する機能が発揮されるようになっている。
【0027】
上記シュラウドアッパ1の後端部上面には、支持ブラケット8よりも大きな幅寸法を有するとともに、後下がりの傾斜面を有する凹部22が上記支持ブラケット8の設置部に設けられている。そして、フード5の閉止時には、上記ストッパ7に作用する荷重に応じて支持ブラケット8が変形することなく、かつこのフード5の閉止時に作用する荷重よりも大きな荷重が上記支持ブラケット8に入力された場合には、図4および図5に示すように、支持ブラケット8の起立壁部11がシュラウドアッパ1上に倒伏するとともに、これに対応して上記支持ブラケット8の天板部12および後壁部14がシュラウドアッパ1の後方側に変位するように上記支持ブラケット8の強度が設定されている。
【0028】
すなわち、上記フード5の閉止時には、その後端部に設けられたフードヒンジ6を支点にしてフード5が揺動変位することにより、図3の矢印αに示すように、略鉛直方向の荷重が上記フード5から支持ブラケット8に支持されたストッパ7に入力される。上記フード5の閉止時に、例えば1.4kNの荷重がストッパ7に作用するとともに、これに対応した荷重が上記支持ブラケット8に入力された場合には、上記起立壁部11、天板部12および後壁部14の何れもが塑性変形することのないようにその剛性が設定されている。
【0029】
これに対して自動車の走行時に歩行者が車体の前面に衝突して図6に示すように、歩行者がフード5上に倒れ込む等の衝突事故が発生した場合には、図3の矢印βに示すように、フード5の下方に設けられたフードインナパネル21の下面がストッパ7に当接することにより、後下がりに傾斜した方向の荷重が上記フード5から支持ブラケット8に支持されたストッパ7に作用する。上記衝突事故の発生時に、上記フード閉止時の荷重よりも大きな荷重、例えば2.0kN以上の荷重がストッパ7に作用するとともに、これに対応した荷重が支持ブラケット8に入力した場合には、後上がりに傾斜した状態で立ち上がる支持ブラケット8の起立壁部11がシュラウドアッパ1上に倒れ込むように塑性変形するとともに、これに対応して上記支持ブラケット8の天板部12が車体の後方側に移動するように、その剛性が設定されている。
【0030】
また、上記衝突事故の発生時に、図3に矢印β方向に作用する荷重に応じ、上記取付ボルト13によりシュラウドアッパ1の後面に締着された支持ブラケット8の後壁部14が押し下げられることにより、図4に示すように、上記取付ボルト13のねじ軸が支持ブラケット8の第1スリット18内に進入してこの第1スリット18を拡幅させるように構成されている。そして、上記第1スリット18が拡幅されるのに応じ、天板部12に設けられた上記ストッパ7の支持孔16が左右に拡開変形するとともに、この支持孔16の拡開変形が上記第2スリット19の存在によって促進されることにより、ストッパ7が上記支持孔16から離脱し易い構造となっている。つまり、上記支持ブラケット8に支持されたストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7が離脱するのを促進する離脱促進手段が、支持ブラケット8に設けられた第1スリット18、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材および上記第2スリット19により構成されている。
【0031】
上記のように車体の前部に設けられたフード5の閉止時に緩衝材として機能するストッパ7がフード5とシュラウドアッパ1からなる車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパ7の支持孔16からなる支持部を有する支持ブラケット8を車体側部材(シュラウドアッパ1)に設けるとともに、この支持ブラケット8に支持されたストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7が離脱するのを促進する離脱促進手段を設けたため、フード5を閉止する際に、緩衝材としての機能を有する上記ストッパ7を弾性変形させることにより、フード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパ7がフード5と車体側部材との間の挟み込まれるという事態を生じることなく、上記歩行者の頭部に加えられる衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0032】
すなわち、フード5を閉止する際に作用する荷重によっては上記支持ブラケット8が変形することのないようにその強度を設定することにより、上記緩衝材としての機能を有する上記ストッパ7を弾性変形させてフード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができる。そして、車両の前端部が歩行者の頭部に衝突し、図6に示すように歩行者の頭部がフード5に上面に衝突する等の衝突事故が発生して上記フード閉止時の荷重よりも大きな荷重が支持ブラケット8に入力された場合には、上記取付ボルト13のねじ軸を支持ブラケット8の第1スリット18内に進入させて上記支持孔16からなるストッパ7の支持部を拡開変形させることにより、この支持部からストッパ7を確実に離脱させることができる。したがって、特許文献1に示されるように、車体側部材にストッパの下部が確実に落とし込まれる逃がし孔を形成する等の手段を講じることなく、ストッパ7がフード5と車体側部材との間の挟み込まれるのを効果的に防止できるとともに、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を確実に離脱させることにより、上記フード5を充分に変形させて衝撃エネルギーを吸収することができ、これによって歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0033】
例えば、フード5の下方に配設されたフードインナパネル21と、シュラウドアッパ1からなる車体側部材との間に上記ストッパ7が挟み込まれた場合には、図7の仮想線Aで示すように、歩行者の頭部等がフード5に上面に衝突する事故が発生した時点t0から上記ストッパ7の挟み込みが発生する時点taまで間に、このストッパ7および支持ブラケット8に入力される衝撃エネルギーが略一定の割合で上昇するとともに、上記挟み込みが発生した時点taの後に、このストッパ7によりフード5の変形が阻止されて上記衝撃エネルギーが急上昇することになる結果、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃が極めて大きくなることが避けられない。
【0034】
これに対して上記第1実施形態では、図7の実線Bで示すように、支持ブラケット8に所定荷重が入力された時点t1で支持ブラケット8を塑性変形させて衝撃エネルギーを徐々に吸収した後、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を離脱させるように構成したため、このストッパ7が離脱した時点t2でフード5を下方に大きく変位させた後に、上記フード8を徐々に変形させることにより、従来よりもピーク荷重を抑えながらフード5がシュラウドアッパ1に当接する前に衝撃エネルギーを充分に吸収することができるとともに、このフード5の下降ストロークを充分に確保して歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和することができる。
【0035】
特に、上記第1実施形態に示すように、ストッパ7の支持部としてストッパ7が嵌着される支持孔16を支持ブラケット8に設け、かつ上記ストッパ7の離脱促進手段として、上記ストッパ7の支持孔16に連通する第1スリット18を支持ブラケット8に設けるとともに、ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに支持ブラケット8に入力される荷重に応じて上記第1スリット18内に進入する取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を車体側部材に設け、このねじ軸により上記第1スリット18を拡幅させて支持孔16を拡開変形させるように構成した場合には、簡単な構成で上記支持ブラケット8に支持されたストッパ7に作用する一定値以上の荷重に応じて上記支持孔16からストッパ7を効果的に離脱させることができるという利点がある。
【0036】
また、上記第1実施形態では、支持ブラケット8に設けられた第1スリット18の設置部と反対側(前端部側)の位置において、上記ストッパ7の支持孔16に連通する第2スリット(U字状の切欠き)19を支持ブラケット8に設けたため、この支持ブラケット8に一定値以上の荷重が作用して上記取付ボルト13のねじ軸が支持ブラケット8の第1スリット18内に進入した時点で、上記支持孔16からなるストッパ7の支持部を第2スリット19を起点にして容易に拡開変形させることにより、この支持部からストッパ7を、より確実に離脱させることができる。
【0037】
さらに、上記第1実施形態では、シュラウドアッパ1の後端部上面に後下がりの傾斜面を有する凹部22を設けたため、支持ブラケット8に一定値以上の荷重が作用した場合に、図4および図5に示すように、上記シュラウドアッパ1の上壁面に邪魔されることなく、上記支持ブラケット8の天板部12および後壁部14を車体の後方側に変位させることができるとともに、上記支持孔16に嵌着されたストッパ7の底部を上記傾斜面に当接させることにより、ストッパ7を上記支持孔16から容易に離脱させることができる。したがって、上記ストッパ7がフード5と車体側部材との間の挟み込まれるという事態の発生を、より効果的に防止できるという利点がある。
【0038】
図8は、上記支持ブラケット8に設けられた第1スリット18と、シュラウドアッパ1の後面に螺着されることにより車体側部材に設けられた棒状部材(取付ボルト13のねじ軸)との間に、この棒状部材が上記第1スリット18内に進入するのを規制する進入規制手段、つまり上記取付ボルト13のねじ軸が挿通される挿通孔15からなる挿通部の近傍において上記第1スリット18を閉塞する閉塞部23を設けることにより、上記支持ブラケット8に入力される荷重が一定値以上となるまで、上記棒状部材が第1スリット18内に進入するのを規制するように構成された本発明の第2実施形態を示している。
【0039】
上記第2実施形態では、フード5を閉止する際にストッパ7が上記支持孔16から離脱するのを防止することにより、フード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを効果的に吸収できるとともに、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を適正時期に離脱させて歩行者の頭部等に加えられる衝撃エネルギーを効果的に緩和できるという利点がある。
【0040】
すなわち、フード5を閉止する際に上記支持ブラケット8に入力される荷重を上記閉塞部23からなる進入規制手段において支持することにより、第1スリット18内に取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材が進入するのを防止できるため、図7の破線Cに示すように、上記支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力されるまで上記ストッパ7を支持ブラケット8に支持させた状態に維持してフード閉止時の衝撃エネルギーを上記ストッパ7により効果的に吸収することができる。
【0041】
一方、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生し、上記ストッパ7を支持する支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された場合には、図9に示すように、上記閉塞部23を破断させる等により突破させて上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を第1スリット18内に進入させることにより、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を確実に離脱させることができる。したがって、上記閉塞部23の強度を適宜の値に設定することにより、上記ストッパ7の離脱荷重を適正値に設定できるという利点がある。
【0042】
なお、上記第閉塞部23からなる進入規制手段に代え、支持ブラケット8に形成された1本のスリットを部分的に被覆する別体の被覆プレートを設け、この被覆プレートによって上記取付ボルト9のねじ軸からなる棒状部材の移動を規制し、または上記スリットの幅寸法を部分的に小さくしあるいはスリットの側辺部の板厚を部分的に増大させる等により上記棒状部材に移動を規制するように構成してもよい。
【0043】
また、上記第2実施形態では、支持ブラケット8に設けられた第1スリット18の基端部、つまり上記取付ボルト13の挿通孔15に近接した位置に、ストッパ7の支持孔16に近付くにしたがって溝幅が減少する先窄まりの拡幅促進部24が設けられているため、図7の破線Cに示すように、上記支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力されて閉塞部23が破断した時点tbで、拡幅促進部24を案内部として取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を上記第1スリット18内に上記棒状部材をスムーズに進入させることにより、この第1スリット18および上記ストッパ7の支持孔16を効果的に拡開変形させてストッパ7を上記支持孔16から確実に離脱させることができる。
【0044】
さらに、図8および図9に示す第2実施形態では、第1スリット18の設置部と反対側の位置、つまり後壁部14の下方側において、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材の挿通孔15からなる挿通部に連通する第3スリット25を支持ブラケット8に設けたため、この支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力されて上記第1スリット18内に上記棒状部材が進入した時点で、支持ブラケット8の後壁部14および上記第1スリット18を容易に拡幅させさせることができる。したがって、上記支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された時点で、より迅速に上記第1スリット18を拡幅させてストッパ7の支持孔16を拡開変形させ、この支持孔16からストッパ7をさらに効果的に離脱させることができる。
【0045】
なお、上記のように取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を上記第1スリット18内に進入させることにより、この第1スリット18を拡幅させて上記ストッパ7の支持孔16を拡開変形させるように構成された上記第1,第2実施形態に代え、図10に示す第3実施形態のように、三角柱状の楔体13aからなる棒状部材を車体側部材であるシュラウドアッパ1の後面に突設し、ストッパ7を支持する支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された時点で、上記支持ブラケット8の第1スリット18内に上記楔体13aからなる棒状部材を進入させることにより、支持ブラケット8の天板部12および後壁部14を拡開変形させるように構成してもよい。
【0046】
図11〜図13は、本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第4実施形態を示している。この第4実施形態では、支持ブラケット8の後壁部14が、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に作用する荷重の入力方向βに沿って後下がりに傾斜するとともに、これに対応した角度にシュラウドアッパ1の後壁面1aが傾斜して設置されている。そして、上記支持ブラケット8の後壁部14には、天板部12に形成されたストッパ7の支持孔16に連通する上方側の第1スリット18aと、取付ボルト15の挿通孔15に連通する下方側の第1スリット18bとが形成されるとともに、上記後壁部14の左右両側に補強用のフランジ部26が設けられている。
【0047】
また、上記支持ブラケット8に設けられた両第1スリット18aの間には、上記取付ボルト13のねじ軸なる棒状部材の移動を規制する進入規制手段となる閉塞部27が形成されるとともに、上記第1スリット18bの上端部には、支持ブラケット8の天板部12に設けられたストッパ7の支持孔16に近付くにしたがって溝幅が減少する先窄まりの拡幅促進部28が設けられている。さらに、シュラウドアッパ1の後端部上面には、上記支持孔16から離脱したストッパ7の収容部となる凹部29が上記支持ブラケット8の設置部に設けられている。
【0048】
上記のように支持ブラケット8に、ストッパ7が嵌着される支持孔16と、車体側部材(シュラウドアッパ1)に設けられた棒状部材(取付ボルト13のねじ軸)が挿通される挿通孔15からなる挿通部とを設け、上記ストッパ7の支持孔16と棒状部材の挿通孔15との間に複数の第1スリット18a,18bを形成するとともに、各第1スリット18a,18bの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段(閉塞部27)を配設し、上記ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、上記進入規制手段による棒状部材の規制状態を解除して複数の第1スリット18a,18b内に上記棒状部材を順次進入させることにより、上記支持孔16を拡幅させるように構成した場合には、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、この支持孔16からストッパ7を確実に離脱させて歩行者の頭部に加えられる衝撃エネルギーを効果的に緩和できるという利点がある。
【0049】
すなわち、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合には、図14の実線Dに示すように、上記取付ボルト13による支持ブラケット8の取付力よりも大きな荷重が支持ブラケット8に入力された時点t1で、上記支持ブラケット8の第1スリット18a内に上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材が進入してこの棒状部材に沿って支持ブラケット8の後壁部14がスライド変位した後、所定の荷重が作用した時点t3で、上記進入規制手段を構成する閉塞部27が上記棒状部材により破断されることになるが、この閉塞部27の破断される際に、フード5から入力された衝撃エネルギーをある程度吸収することができる。
【0050】
また、上記閉塞部27が破断された時点t3の後に、上記棒状部材が下方の第1スリット18b内から上方の第1スリット18a内に進入して上記支持孔16が拡開変形されることにより、ストッパ7が支持ブラケット8から離脱されるため、このストッパ7の離脱時点t4でフード5を大きく変形させてこのフード5をクッション材として利用することにより、歩行者の頭部等に加えられる衝撃を急減させることができるとともに、その後に上記フード8を変形させることとにより衝撃エネルギーを効果的に吸収して歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和することができる。
【0051】
また、上記第4実施形態では、支持ブラケット8の後壁部14を、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に作用する荷重の入力方向βに沿って後下がりに傾斜させるとともに、これに対応した角度にシュラウドアッパ1の後壁面を傾斜させた構造としているため、上記事故の発生時に、支持ブラケット8の後壁部14をシュラウドアッパ1の後壁面に沿って下方にスライド変位させることにより、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を下方の第1スリット18b内から上方の第1スリット18a内に順次進入させて上記支持孔16を効果的に拡幅し、ストッパ7を支持ブラケット8から確実に離脱させることができる。特に、上記のように後壁部14の左右両側に補強用のフランジ部26を設けた場合には、支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された場合に、上記後壁部14が変形することに起因してシュラウドアッパ1の後壁面に沿って支持ブラケット8の後壁部14を下方にスライド変位させることができなくなるという事態の発生を効果的に防止できるため、上記ストッパ7を支持ブラケット8から、より確実に離脱させることができる。
【0052】
一方、上記フード5の閉止時には、フード5の後端部に設けられたフードヒンジ6を支点にしてフード5が揺動変位することにより、図12の矢印αに示すように、略鉛直方向の荷重がストッパ7および支持ブラケット8に入力されるため、この支持ブラケット8の後壁部14をシュラウドアッパ1の後壁面1aに圧接させる方向δの分力が作用することになる。したがって、フード5を閉止する際には、上記分力に対応した摩擦抵抗と、上記取付ボルト13の締着力に対応した移動抵抗との両方により、略鉛直方向αに作用する上記荷重を安定して支持することができ、上記支持ブラケット8が塑性変形したり、支持ブラケット8の取付け位置がずれたりするのを効果的に防止できるという利点がある。すなわち、上記のように略鉛直方向αに荷重が作用する場合には、図14の破線Eに示すように、進入規制手段を構成する閉塞部27に作用する荷重が大きな値となって、この閉塞部27が破断される時点t3′までは、シュラウドアッパ1の後壁面1aに沿って支持ブラケット8の後壁部14が下方にスライド変位することを防止し、フード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを効果的に吸収することができる。
【0053】
また、上記第4実施形態では、第1スリット18bの上端部に先窄まりの拡幅促進部28を設けたため、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材が上記拡幅促進部28に到達した時点で、この拡幅促進部28が上記棒状部材により押し広げられることにより、上記閉塞部27を適正に破断することができる。さらに、上記シュラウドアッパ1の後端部上面に凹部29を設け、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16から離脱したストッパ7を上記凹部29内に収容するように構成したため(図13参照)、上記ストッパ7を紛失したり、エンジンルーム内の補機等に上記ストッパ7が噛み込んだりするのを効果的に防止できるという利点がある。
【0054】
なお、ストッパの離脱促進手段として、上記ストッパ7の支持孔16に連通する第1スリット18を支持ブラケット8に設けるとともに、ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに上記第1スリット18を拡幅させて上記支持孔17を拡開変形させる取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を車体側部材に設けてなる上記実施形態に代え、ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに上記支持孔16を強制的に拡開変形させるばね部材または支持孔17からストッパ7を強制的に離脱させる火薬剤等を設けた構造としてもよい。
【0055】
また、上記各実施形態では、支持ブラケット8をシュラウドアッパ1からなる車体側部材に取り付けた例について説明したが、上記シュラウドアッパ1に代え、フロントフェンダ2の上面等に取り付けた構造としてもよい。また、上記各実施形態に示すように、フード5の後端部に設けられたフードヒンジ6を支点して前開き可能に構成された上記フード5に代え、後開きタイプのフードを備えた自動車のフードストッパ構造についても本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る自動車のフードストッパ構造を備えた前部車体構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】フードの閉止状態を示す側面断面図である。
【図4】ストッパの離脱状態を示す斜視図である。
【図5】ストッパの離脱状態を示す側面断面図である。
【図6】自動車のフード上に歩行者が乗り上げた状態を示す斜視図である。
【図7】フードから支持ブラケットに入力される荷重の変化状態を示すグラフである。
【図8】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図9】第2実施形態におけるストッパの離脱状態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第3実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第4実施形態を示す分解斜視図である。
【図12】第4実施形態におけるフードの閉止状態を示す側面断面図である。
【図13】第4実施形態におけるストッパの離脱状態を示す側面断面図である。
【図14】フードから支持ブラケットに入力される荷重の変化状態を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1 シュラウドアッパ(車体側部材)
5 フード
8 支持ブラケット
13 取付ボルト(離脱促進手段)
13a 楔体(棒状部材)
15 挿通孔
16 支持孔(支持部)
18 第1スリット(離脱促進手段)
19 第2スリット
24,28 拡幅促進部
25 第3スリット
26,27 閉塞部(進入規制手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前部に設けられたフードの閉止時に緩衝材として機能するストッパがフードと車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示すように、ゴム等の弾性を有する材料よりなるフードダンパを介して車体側受止部に当接支持される自動車のフード端部の支持構造において、車体側受止部とフード端部との少なくとも一方に、設定以上の荷重でフード端部が押されたときに変形可能な断面台形状の支持ブラケットからなる緩衝部を設けるとともに、該緩衝部とフード端部との間にフードダンパを配設することが行われている。
【特許文献1】実公昭63−11020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示された発明では、フードを閉止する際に、フードダンパを弾性変形させることによりフードの閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記緩衝部を変形させて衝撃エネルギーを吸収することにより、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃をある程度緩和することが可能である。
【0004】
しかし、上記事故の発生時に、緩衝部となる支持ブラケットを変形させたとしてもこの支持ブラケットに支持されたストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれた状態となった場合には、フードに作用する衝撃エネルギーを効果的に吸収することが困難であるという問題がある。すなわち、自動車の走行時に上記ストッパが弾性変形することに起因してフードが振動するのを防止するためには、上記ストッパを構成するゴム材等として所定の硬度を有するものを使用する必要がある。したがって、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれた状態となると、上記緩衝部となる支持ブラケットを変形させることによる衝撃エネルギーの吸収効果を充分に発揮させることができないという問題がある。
【0005】
なお、上記特許文献1に開示された発明では、緩衝材となる支持ブラケットが取り付けられる車体側部材に、この支持ブラケットに支持されたストッパの下部が落とし込まれる逃がし孔を形成することにより、上記衝突事故の発生時に支持ブラケットに支持されたストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれた状態となるのを防止するように構成されている。
【0006】
しかし、上記のように車体側部材に形成された逃がし孔内にストッパの下部が確実に落とし込まれるようにするためには、上記逃がし孔の孔径をかなり大きな値に設定する必要があり、これによって上記支持ブラケットが取り付けられる車体側部材の強度が低下し易く、支持ブラケットの取付強度を充分に確保することが困難であるという問題がある。特に、車体前端部に位置するシュラウドアッパの上面に、上記ストッパを設置するとともに、ストッパの下部が落とし込まれる大径の逃がし孔を形成した場合には、上記シュラウドアッパの設置部におけるシール性が低下し、エンジンルーム内の熱気が上記逃がし孔を介してラジエータの設置部に導入されることにより、ラジエータの冷却性能が低下し易い等の問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フードを閉止する際に、緩衝材としての機能を有するストッパを弾性変形させることによりフードの閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパがフードと車体側部材との間の挟み込まれるという事態を生じることなく、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和することができる自動車のフードストッパ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体の前部に設けられたフードの閉止時に緩衝材として機能するストッパがフードと車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパの支持部を有する支持ブラケットを車体側部材に設けるとともに、この支持ブラケットに支持されたストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持部からストッパが離脱するのを促進する離脱促進手段を備えたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパの支持部としてストッパが嵌着される支持孔を支持ブラケットに設け、かつ上記ストッパの離脱促進手段として、上記ストッパの支持孔に連通する第1スリットを支持ブラケットに設けるとともに、ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記第1スリット内に進入してこの第1スリットを拡幅させることにより上記支持孔を拡開変形させるものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載の自動車のフードストッパ構造において、第1スリットの設置部と反対側の位置においてストッパの支持孔に連通する第2スリットを支持ブラケットに設けたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項2または3に記載の自動車のフードストッパ構造において、支持ブラケットに設けられた第1スリットと車体側部材に設けられた棒状部材との間に、支持ブラケットに入力される荷重が一定値以上となるまで上記棒状部材が上記第1スリット内に進入するのを規制する進入規制手段を設けたものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項2〜4の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造において、支持ブラケットに設けられた第1スリットに、ストッパの支持孔に近付くにしたがって溝幅が減少する拡幅促進部を設けたものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、上記請求項2〜5の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造において、棒状部材が挿通される挿通部を支持ブラケットに設けるとともに、上記第1スリットの設置部と反対側の位置において棒状部材の挿通部に連通する第3スリットを支持ブラケットに設けたものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造において、上記支持ブラケットに、ストッパが嵌着される支持孔と、車体側部材に設けられた棒状部材が挿通される挿通部とを設け、上記ストッパの支持孔と棒状部材の挿通部との間に複数の第1スリットを形成するとともに、各第1スリットの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段を配設し、上記ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記進入規制手段による棒状部材の規制状態を解除して上記複数の第1スリット内に棒状部材を順次進入させることにより、この第1スリットおよび上記支持孔を拡幅するように構成したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、フードを閉止する際に、緩衝材としての機能を有する上記ストッパを弾性変形させることによりフードの閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパを適切な離脱荷重で確実に支持ブラケットから離脱させることにより、このストッパがフードと車体側部材との間に挟み込まれるという事態の発生を低減し、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、支持ブラケットに設けられた支持孔に嵌着されたストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、この支持ブラケットに入力される荷重に応じて取付ボルトのねじ軸等からなる棒状部材を上記第1スリット内に進入させ、この第1スリットを拡幅させて上記支持孔を拡開変形させることにより、簡単な構成で上記支持孔からストッパを効果的に離脱させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、支持ブラケットに設けられた第1スリットの設置部と反対側の位置において、上記ストッパの支持孔に連通する第2スリットを支持ブラケットに設けたため、この支持ブラケットに一定値以上の荷重が作用して上記棒状部材が第1スリット内に進入した時点で、上記第2スリットを起点にして支持ブラケットのストッパの支持孔を容易に拡開変形させることにより、この支持孔からストッパを、より確実に離脱させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、フードを閉止する際には、上記支持ブラケットに入力される荷重を上記進入規制手段において支持することにより、第1スリット内に棒状部材が進入するのを防止してフード閉止時の衝撃エネルギーを上記ストッパにより効果的に吸収できるとともに、フード上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生し、上記ストッパを支持する支持ブラケットに一定値以上の荷重が入力された場合には、上記棒状部材が進入規制手段の設置部を突破する等により、適正時期に精度良く棒状部材を進入させて上記支持孔からストッパを確実に離脱させることができる等の利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、ストッパを支持する支持ブラケットに一定値以上の荷重が入力された時点で、棒状部材が拡幅促進部内に進入することにより、この拡幅促進部を案内部として上記第1スリット内に上記棒状部材を進入させて上記支持孔からストッパを効果的に離脱させることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、上記棒状部材の挿通孔に連通する第3スリットを支持ブラケットに設けたため、この支持ブラケットに一定値以上の荷重が入力されて第1スリット内に上記棒状部材が進入した時点で、この第1スリットを容易に拡幅させてストッパの支持孔を拡開変形させることにより、この支持孔からストッパをさらに効果的に離脱させることができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、支持ブラケットに、ストッパが嵌着される支持孔と、車体側部材に設けられた棒状部材が挿通される挿通部とを設け、上記ストッパの支持孔と棒状部材の挿通部との間に複数の第1スリットを形成するとともに、各第1スリットの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段を配設したため、上記ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、上記進入規制手段を突破させる等により、より適切な時期に上記複数の第1スリット内に棒状部材を順次進入させて上記支持孔からストッパを確実に離脱させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車のフードストッパ構造を備えた前部車体を示している。この前部車体には、その前方部に設けられたシュラウドアッパ1と、左右両側辺部に設けられたフロントフェンダエプロン2と、後方部に設けられたダッシュパネル3とにより囲繞されたエンジンルーム4の上端開口部を開閉するフード5が設けられている。
【0023】
上記フード5は、その後端部下面とフロントフェンダパネル2の後端部上面との間に配設されたフードヒンジ6を支点として揺動操作されることにより、エンジンルーム4の上端開口部を閉止した状態と開放した状態とに変位可能に支持されている。また、上記フード5の前端部下面とシュラウドアッパ1の上面との間には、フード5を閉止状態に保持する図略のフードロックが設けられるとともに、フード5の閉止時に緩衝材として機能するストッパ7がシュラウドアッパ1上の4個所に設けられている。
【0024】
上記ストッパ7は、合成ゴム材等により形成された円柱状体からなり、図2および図3に示すように、シュラウドアッパ1に取り付けられた支持ブラケット8に支持されるように構成されている。この支持ブラケット8は、取付ボルト9によりシュラウドアッパ1の前辺部上面に締着されるブラケット部10と、このブラケット部10の後端部から後上がりに傾斜した状態で立ち上がる起立壁部11と、この起立壁部11の上端部から後方側に延びる天板部12と、この天板部12の後端部から下方に延びるとともに、取付ボルト13により下方部がシュラウドアッパ1の後壁面に締着される後壁部14とを有している。
【0025】
上記支持ブラケット8には、そのブラケット部10に取付ボルト9の挿通孔9aが形成されるとともに、上記後壁部14の下方部に取付ボルト13が挿通される挿通孔15が形成され、かつストッパ7が嵌着される支持孔16が天板部12に形成されている。また、上記支持ブラケット8の天板部12および後壁部14には、上記支持孔16の後縁部と上記挿通孔15の上縁部とを連通させる細幅の溝部からなる第1スリット18が形成されている。さらに、上記支持ブラケット8の天板部12には、上記支持孔16の前縁部に連通するU字状の切欠きからなる第2スリット19が形成されている。
【0026】
上記ストッパ7の支持孔16は、その周縁部が螺旋状に形成されるとともに、この支持孔16にねじ込まれて嵌着される雄ねじ状の突条部20がストッパ7の下方部に形成されている。そして、上記支持ブラケット8に支持されたストッパ7は、フード5の下面に設けられたフードインナパネル21に当接するように配設されている。そして、フード5の閉止時には、図3の矢印αに示すように略鉛直方向の荷重が上記ストッパ7に作用し、この荷重に応じて上記ストッパ7が弾性変形することにより、緩衝材としての機能が発揮されるとともに、閉止状態に保持されたフード5の前端部が振動するのを規制する機能が発揮されるようになっている。
【0027】
上記シュラウドアッパ1の後端部上面には、支持ブラケット8よりも大きな幅寸法を有するとともに、後下がりの傾斜面を有する凹部22が上記支持ブラケット8の設置部に設けられている。そして、フード5の閉止時には、上記ストッパ7に作用する荷重に応じて支持ブラケット8が変形することなく、かつこのフード5の閉止時に作用する荷重よりも大きな荷重が上記支持ブラケット8に入力された場合には、図4および図5に示すように、支持ブラケット8の起立壁部11がシュラウドアッパ1上に倒伏するとともに、これに対応して上記支持ブラケット8の天板部12および後壁部14がシュラウドアッパ1の後方側に変位するように上記支持ブラケット8の強度が設定されている。
【0028】
すなわち、上記フード5の閉止時には、その後端部に設けられたフードヒンジ6を支点にしてフード5が揺動変位することにより、図3の矢印αに示すように、略鉛直方向の荷重が上記フード5から支持ブラケット8に支持されたストッパ7に入力される。上記フード5の閉止時に、例えば1.4kNの荷重がストッパ7に作用するとともに、これに対応した荷重が上記支持ブラケット8に入力された場合には、上記起立壁部11、天板部12および後壁部14の何れもが塑性変形することのないようにその剛性が設定されている。
【0029】
これに対して自動車の走行時に歩行者が車体の前面に衝突して図6に示すように、歩行者がフード5上に倒れ込む等の衝突事故が発生した場合には、図3の矢印βに示すように、フード5の下方に設けられたフードインナパネル21の下面がストッパ7に当接することにより、後下がりに傾斜した方向の荷重が上記フード5から支持ブラケット8に支持されたストッパ7に作用する。上記衝突事故の発生時に、上記フード閉止時の荷重よりも大きな荷重、例えば2.0kN以上の荷重がストッパ7に作用するとともに、これに対応した荷重が支持ブラケット8に入力した場合には、後上がりに傾斜した状態で立ち上がる支持ブラケット8の起立壁部11がシュラウドアッパ1上に倒れ込むように塑性変形するとともに、これに対応して上記支持ブラケット8の天板部12が車体の後方側に移動するように、その剛性が設定されている。
【0030】
また、上記衝突事故の発生時に、図3に矢印β方向に作用する荷重に応じ、上記取付ボルト13によりシュラウドアッパ1の後面に締着された支持ブラケット8の後壁部14が押し下げられることにより、図4に示すように、上記取付ボルト13のねじ軸が支持ブラケット8の第1スリット18内に進入してこの第1スリット18を拡幅させるように構成されている。そして、上記第1スリット18が拡幅されるのに応じ、天板部12に設けられた上記ストッパ7の支持孔16が左右に拡開変形するとともに、この支持孔16の拡開変形が上記第2スリット19の存在によって促進されることにより、ストッパ7が上記支持孔16から離脱し易い構造となっている。つまり、上記支持ブラケット8に支持されたストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7が離脱するのを促進する離脱促進手段が、支持ブラケット8に設けられた第1スリット18、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材および上記第2スリット19により構成されている。
【0031】
上記のように車体の前部に設けられたフード5の閉止時に緩衝材として機能するストッパ7がフード5とシュラウドアッパ1からなる車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパ7の支持孔16からなる支持部を有する支持ブラケット8を車体側部材(シュラウドアッパ1)に設けるとともに、この支持ブラケット8に支持されたストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7が離脱するのを促進する離脱促進手段を設けたため、フード5を閉止する際に、緩衝材としての機能を有する上記ストッパ7を弾性変形させることにより、フード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができるとともに、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記ストッパ7がフード5と車体側部材との間の挟み込まれるという事態を生じることなく、上記歩行者の頭部に加えられる衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0032】
すなわち、フード5を閉止する際に作用する荷重によっては上記支持ブラケット8が変形することのないようにその強度を設定することにより、上記緩衝材としての機能を有する上記ストッパ7を弾性変形させてフード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを吸収することができる。そして、車両の前端部が歩行者の頭部に衝突し、図6に示すように歩行者の頭部がフード5に上面に衝突する等の衝突事故が発生して上記フード閉止時の荷重よりも大きな荷重が支持ブラケット8に入力された場合には、上記取付ボルト13のねじ軸を支持ブラケット8の第1スリット18内に進入させて上記支持孔16からなるストッパ7の支持部を拡開変形させることにより、この支持部からストッパ7を確実に離脱させることができる。したがって、特許文献1に示されるように、車体側部材にストッパの下部が確実に落とし込まれる逃がし孔を形成する等の手段を講じることなく、ストッパ7がフード5と車体側部材との間の挟み込まれるのを効果的に防止できるとともに、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を確実に離脱させることにより、上記フード5を充分に変形させて衝撃エネルギーを吸収することができ、これによって歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0033】
例えば、フード5の下方に配設されたフードインナパネル21と、シュラウドアッパ1からなる車体側部材との間に上記ストッパ7が挟み込まれた場合には、図7の仮想線Aで示すように、歩行者の頭部等がフード5に上面に衝突する事故が発生した時点t0から上記ストッパ7の挟み込みが発生する時点taまで間に、このストッパ7および支持ブラケット8に入力される衝撃エネルギーが略一定の割合で上昇するとともに、上記挟み込みが発生した時点taの後に、このストッパ7によりフード5の変形が阻止されて上記衝撃エネルギーが急上昇することになる結果、上記歩行者の頭部等に加えられる衝撃が極めて大きくなることが避けられない。
【0034】
これに対して上記第1実施形態では、図7の実線Bで示すように、支持ブラケット8に所定荷重が入力された時点t1で支持ブラケット8を塑性変形させて衝撃エネルギーを徐々に吸収した後、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を離脱させるように構成したため、このストッパ7が離脱した時点t2でフード5を下方に大きく変位させた後に、上記フード8を徐々に変形させることにより、従来よりもピーク荷重を抑えながらフード5がシュラウドアッパ1に当接する前に衝撃エネルギーを充分に吸収することができるとともに、このフード5の下降ストロークを充分に確保して歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和することができる。
【0035】
特に、上記第1実施形態に示すように、ストッパ7の支持部としてストッパ7が嵌着される支持孔16を支持ブラケット8に設け、かつ上記ストッパ7の離脱促進手段として、上記ストッパ7の支持孔16に連通する第1スリット18を支持ブラケット8に設けるとともに、ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに支持ブラケット8に入力される荷重に応じて上記第1スリット18内に進入する取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を車体側部材に設け、このねじ軸により上記第1スリット18を拡幅させて支持孔16を拡開変形させるように構成した場合には、簡単な構成で上記支持ブラケット8に支持されたストッパ7に作用する一定値以上の荷重に応じて上記支持孔16からストッパ7を効果的に離脱させることができるという利点がある。
【0036】
また、上記第1実施形態では、支持ブラケット8に設けられた第1スリット18の設置部と反対側(前端部側)の位置において、上記ストッパ7の支持孔16に連通する第2スリット(U字状の切欠き)19を支持ブラケット8に設けたため、この支持ブラケット8に一定値以上の荷重が作用して上記取付ボルト13のねじ軸が支持ブラケット8の第1スリット18内に進入した時点で、上記支持孔16からなるストッパ7の支持部を第2スリット19を起点にして容易に拡開変形させることにより、この支持部からストッパ7を、より確実に離脱させることができる。
【0037】
さらに、上記第1実施形態では、シュラウドアッパ1の後端部上面に後下がりの傾斜面を有する凹部22を設けたため、支持ブラケット8に一定値以上の荷重が作用した場合に、図4および図5に示すように、上記シュラウドアッパ1の上壁面に邪魔されることなく、上記支持ブラケット8の天板部12および後壁部14を車体の後方側に変位させることができるとともに、上記支持孔16に嵌着されたストッパ7の底部を上記傾斜面に当接させることにより、ストッパ7を上記支持孔16から容易に離脱させることができる。したがって、上記ストッパ7がフード5と車体側部材との間の挟み込まれるという事態の発生を、より効果的に防止できるという利点がある。
【0038】
図8は、上記支持ブラケット8に設けられた第1スリット18と、シュラウドアッパ1の後面に螺着されることにより車体側部材に設けられた棒状部材(取付ボルト13のねじ軸)との間に、この棒状部材が上記第1スリット18内に進入するのを規制する進入規制手段、つまり上記取付ボルト13のねじ軸が挿通される挿通孔15からなる挿通部の近傍において上記第1スリット18を閉塞する閉塞部23を設けることにより、上記支持ブラケット8に入力される荷重が一定値以上となるまで、上記棒状部材が第1スリット18内に進入するのを規制するように構成された本発明の第2実施形態を示している。
【0039】
上記第2実施形態では、フード5を閉止する際にストッパ7が上記支持孔16から離脱するのを防止することにより、フード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを効果的に吸収できるとともに、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を適正時期に離脱させて歩行者の頭部等に加えられる衝撃エネルギーを効果的に緩和できるという利点がある。
【0040】
すなわち、フード5を閉止する際に上記支持ブラケット8に入力される荷重を上記閉塞部23からなる進入規制手段において支持することにより、第1スリット18内に取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材が進入するのを防止できるため、図7の破線Cに示すように、上記支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力されるまで上記ストッパ7を支持ブラケット8に支持させた状態に維持してフード閉止時の衝撃エネルギーを上記ストッパ7により効果的に吸収することができる。
【0041】
一方、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生し、上記ストッパ7を支持する支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された場合には、図9に示すように、上記閉塞部23を破断させる等により突破させて上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を第1スリット18内に進入させることにより、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16からストッパ7を確実に離脱させることができる。したがって、上記閉塞部23の強度を適宜の値に設定することにより、上記ストッパ7の離脱荷重を適正値に設定できるという利点がある。
【0042】
なお、上記第閉塞部23からなる進入規制手段に代え、支持ブラケット8に形成された1本のスリットを部分的に被覆する別体の被覆プレートを設け、この被覆プレートによって上記取付ボルト9のねじ軸からなる棒状部材の移動を規制し、または上記スリットの幅寸法を部分的に小さくしあるいはスリットの側辺部の板厚を部分的に増大させる等により上記棒状部材に移動を規制するように構成してもよい。
【0043】
また、上記第2実施形態では、支持ブラケット8に設けられた第1スリット18の基端部、つまり上記取付ボルト13の挿通孔15に近接した位置に、ストッパ7の支持孔16に近付くにしたがって溝幅が減少する先窄まりの拡幅促進部24が設けられているため、図7の破線Cに示すように、上記支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力されて閉塞部23が破断した時点tbで、拡幅促進部24を案内部として取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を上記第1スリット18内に上記棒状部材をスムーズに進入させることにより、この第1スリット18および上記ストッパ7の支持孔16を効果的に拡開変形させてストッパ7を上記支持孔16から確実に離脱させることができる。
【0044】
さらに、図8および図9に示す第2実施形態では、第1スリット18の設置部と反対側の位置、つまり後壁部14の下方側において、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材の挿通孔15からなる挿通部に連通する第3スリット25を支持ブラケット8に設けたため、この支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力されて上記第1スリット18内に上記棒状部材が進入した時点で、支持ブラケット8の後壁部14および上記第1スリット18を容易に拡幅させさせることができる。したがって、上記支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された時点で、より迅速に上記第1スリット18を拡幅させてストッパ7の支持孔16を拡開変形させ、この支持孔16からストッパ7をさらに効果的に離脱させることができる。
【0045】
なお、上記のように取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を上記第1スリット18内に進入させることにより、この第1スリット18を拡幅させて上記ストッパ7の支持孔16を拡開変形させるように構成された上記第1,第2実施形態に代え、図10に示す第3実施形態のように、三角柱状の楔体13aからなる棒状部材を車体側部材であるシュラウドアッパ1の後面に突設し、ストッパ7を支持する支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された時点で、上記支持ブラケット8の第1スリット18内に上記楔体13aからなる棒状部材を進入させることにより、支持ブラケット8の天板部12および後壁部14を拡開変形させるように構成してもよい。
【0046】
図11〜図13は、本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第4実施形態を示している。この第4実施形態では、支持ブラケット8の後壁部14が、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に作用する荷重の入力方向βに沿って後下がりに傾斜するとともに、これに対応した角度にシュラウドアッパ1の後壁面1aが傾斜して設置されている。そして、上記支持ブラケット8の後壁部14には、天板部12に形成されたストッパ7の支持孔16に連通する上方側の第1スリット18aと、取付ボルト15の挿通孔15に連通する下方側の第1スリット18bとが形成されるとともに、上記後壁部14の左右両側に補強用のフランジ部26が設けられている。
【0047】
また、上記支持ブラケット8に設けられた両第1スリット18aの間には、上記取付ボルト13のねじ軸なる棒状部材の移動を規制する進入規制手段となる閉塞部27が形成されるとともに、上記第1スリット18bの上端部には、支持ブラケット8の天板部12に設けられたストッパ7の支持孔16に近付くにしたがって溝幅が減少する先窄まりの拡幅促進部28が設けられている。さらに、シュラウドアッパ1の後端部上面には、上記支持孔16から離脱したストッパ7の収容部となる凹部29が上記支持ブラケット8の設置部に設けられている。
【0048】
上記のように支持ブラケット8に、ストッパ7が嵌着される支持孔16と、車体側部材(シュラウドアッパ1)に設けられた棒状部材(取付ボルト13のねじ軸)が挿通される挿通孔15からなる挿通部とを設け、上記ストッパ7の支持孔16と棒状部材の挿通孔15との間に複数の第1スリット18a,18bを形成するとともに、各第1スリット18a,18bの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段(閉塞部27)を配設し、上記ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに、上記進入規制手段による棒状部材の規制状態を解除して複数の第1スリット18a,18b内に上記棒状部材を順次進入させることにより、上記支持孔16を拡幅させるように構成した場合には、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に、この支持孔16からストッパ7を確実に離脱させて歩行者の頭部に加えられる衝撃エネルギーを効果的に緩和できるという利点がある。
【0049】
すなわち、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合には、図14の実線Dに示すように、上記取付ボルト13による支持ブラケット8の取付力よりも大きな荷重が支持ブラケット8に入力された時点t1で、上記支持ブラケット8の第1スリット18a内に上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材が進入してこの棒状部材に沿って支持ブラケット8の後壁部14がスライド変位した後、所定の荷重が作用した時点t3で、上記進入規制手段を構成する閉塞部27が上記棒状部材により破断されることになるが、この閉塞部27の破断される際に、フード5から入力された衝撃エネルギーをある程度吸収することができる。
【0050】
また、上記閉塞部27が破断された時点t3の後に、上記棒状部材が下方の第1スリット18b内から上方の第1スリット18a内に進入して上記支持孔16が拡開変形されることにより、ストッパ7が支持ブラケット8から離脱されるため、このストッパ7の離脱時点t4でフード5を大きく変形させてこのフード5をクッション材として利用することにより、歩行者の頭部等に加えられる衝撃を急減させることができるとともに、その後に上記フード8を変形させることとにより衝撃エネルギーを効果的に吸収して歩行者の頭部等に加えられる衝撃を効果的に緩和することができる。
【0051】
また、上記第4実施形態では、支持ブラケット8の後壁部14を、フード5上に歩行者の頭部がぶつかる等の衝突事故が発生した場合に作用する荷重の入力方向βに沿って後下がりに傾斜させるとともに、これに対応した角度にシュラウドアッパ1の後壁面を傾斜させた構造としているため、上記事故の発生時に、支持ブラケット8の後壁部14をシュラウドアッパ1の後壁面に沿って下方にスライド変位させることにより、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を下方の第1スリット18b内から上方の第1スリット18a内に順次進入させて上記支持孔16を効果的に拡幅し、ストッパ7を支持ブラケット8から確実に離脱させることができる。特に、上記のように後壁部14の左右両側に補強用のフランジ部26を設けた場合には、支持ブラケット8に一定値以上の荷重が入力された場合に、上記後壁部14が変形することに起因してシュラウドアッパ1の後壁面に沿って支持ブラケット8の後壁部14を下方にスライド変位させることができなくなるという事態の発生を効果的に防止できるため、上記ストッパ7を支持ブラケット8から、より確実に離脱させることができる。
【0052】
一方、上記フード5の閉止時には、フード5の後端部に設けられたフードヒンジ6を支点にしてフード5が揺動変位することにより、図12の矢印αに示すように、略鉛直方向の荷重がストッパ7および支持ブラケット8に入力されるため、この支持ブラケット8の後壁部14をシュラウドアッパ1の後壁面1aに圧接させる方向δの分力が作用することになる。したがって、フード5を閉止する際には、上記分力に対応した摩擦抵抗と、上記取付ボルト13の締着力に対応した移動抵抗との両方により、略鉛直方向αに作用する上記荷重を安定して支持することができ、上記支持ブラケット8が塑性変形したり、支持ブラケット8の取付け位置がずれたりするのを効果的に防止できるという利点がある。すなわち、上記のように略鉛直方向αに荷重が作用する場合には、図14の破線Eに示すように、進入規制手段を構成する閉塞部27に作用する荷重が大きな値となって、この閉塞部27が破断される時点t3′までは、シュラウドアッパ1の後壁面1aに沿って支持ブラケット8の後壁部14が下方にスライド変位することを防止し、フード5の閉止時に作用する衝撃エネルギーを効果的に吸収することができる。
【0053】
また、上記第4実施形態では、第1スリット18bの上端部に先窄まりの拡幅促進部28を設けたため、上記取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材が上記拡幅促進部28に到達した時点で、この拡幅促進部28が上記棒状部材により押し広げられることにより、上記閉塞部27を適正に破断することができる。さらに、上記シュラウドアッパ1の後端部上面に凹部29を設け、上記支持ブラケット8に設けられた支持孔16から離脱したストッパ7を上記凹部29内に収容するように構成したため(図13参照)、上記ストッパ7を紛失したり、エンジンルーム内の補機等に上記ストッパ7が噛み込んだりするのを効果的に防止できるという利点がある。
【0054】
なお、ストッパの離脱促進手段として、上記ストッパ7の支持孔16に連通する第1スリット18を支持ブラケット8に設けるとともに、ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに上記第1スリット18を拡幅させて上記支持孔17を拡開変形させる取付ボルト13のねじ軸からなる棒状部材を車体側部材に設けてなる上記実施形態に代え、ストッパ7に一定値以上の荷重が作用したときに上記支持孔16を強制的に拡開変形させるばね部材または支持孔17からストッパ7を強制的に離脱させる火薬剤等を設けた構造としてもよい。
【0055】
また、上記各実施形態では、支持ブラケット8をシュラウドアッパ1からなる車体側部材に取り付けた例について説明したが、上記シュラウドアッパ1に代え、フロントフェンダ2の上面等に取り付けた構造としてもよい。また、上記各実施形態に示すように、フード5の後端部に設けられたフードヒンジ6を支点して前開き可能に構成された上記フード5に代え、後開きタイプのフードを備えた自動車のフードストッパ構造についても本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る自動車のフードストッパ構造を備えた前部車体構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】フードの閉止状態を示す側面断面図である。
【図4】ストッパの離脱状態を示す斜視図である。
【図5】ストッパの離脱状態を示す側面断面図である。
【図6】自動車のフード上に歩行者が乗り上げた状態を示す斜視図である。
【図7】フードから支持ブラケットに入力される荷重の変化状態を示すグラフである。
【図8】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図9】第2実施形態におけるストッパの離脱状態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第3実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る自動車のフードストッパ構造の第4実施形態を示す分解斜視図である。
【図12】第4実施形態におけるフードの閉止状態を示す側面断面図である。
【図13】第4実施形態におけるストッパの離脱状態を示す側面断面図である。
【図14】フードから支持ブラケットに入力される荷重の変化状態を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1 シュラウドアッパ(車体側部材)
5 フード
8 支持ブラケット
13 取付ボルト(離脱促進手段)
13a 楔体(棒状部材)
15 挿通孔
16 支持孔(支持部)
18 第1スリット(離脱促進手段)
19 第2スリット
24,28 拡幅促進部
25 第3スリット
26,27 閉塞部(進入規制手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に設けられたフードの閉止時に緩衝材として機能するストッパがフードと車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパの支持部を有する支持ブラケットを車体側部材に設けるとともに、この支持ブラケットに支持されたストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持部からストッパが離脱するのを促進する離脱促進手段を備えたことを特徴とする自動車のフードストッパ構造。
【請求項2】
上記ストッパの支持部としてストッパが嵌着される支持孔を支持ブラケットに設け、かつ上記ストッパの離脱促進手段として、上記ストッパの支持孔に連通する第1スリットを支持ブラケットに設けるとともに、ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記第1スリット内に進入してこの第1スリットを拡幅させることにより上記支持孔を拡開変形させる棒状部材を車体側部材に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項3】
第1スリットの設置部と反対側の位置においてストッパの支持孔に連通する第2スリットを支持ブラケットに設けたことを特徴とする請求項2に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項4】
支持ブラケットに設けられた第1スリットと車体側部材に設けられた棒状部材との間に、支持ブラケットに入力される荷重が一定値以上となるまで上記棒状部材が上記第1スリット内に進入するのを規制する進入規制手段を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項5】
支持ブラケットに設けられた第1スリットに、ストッパの支持孔に近付くにしたがって溝幅が減少する拡幅促進部を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項6】
棒状部材が挿通される挿通部を支持ブラケットに設けるとともに、上記第1スリットの設置部と反対側の位置において棒状部材の挿通部に連通する第3スリットを支持ブラケットに設けたことを特徴とすることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項7】
上記支持ブラケットに、ストッパが嵌着される支持孔と、車体側部材に設けられた棒状部材が挿通される挿通部とを設け、上記ストッパの支持孔と棒状部材の挿通部との間に複数の第1スリットを形成するとともに、各第1スリットの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段を配設し、上記ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記進入規制手段による棒状部材の規制状態を解除して上記複数の第1スリット内に棒状部材を順次進入させることにより、この第1スリットおよび上記支持孔を拡幅するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項1】
車体の前部に設けられたフードの閉止時に緩衝材として機能するストッパがフードと車体側部材との間に設けられた自動車のフードストッパ構造において、上記ストッパの支持部を有する支持ブラケットを車体側部材に設けるとともに、この支持ブラケットに支持されたストッパに一定値以上の荷重が作用したときに、上記支持部からストッパが離脱するのを促進する離脱促進手段を備えたことを特徴とする自動車のフードストッパ構造。
【請求項2】
上記ストッパの支持部としてストッパが嵌着される支持孔を支持ブラケットに設け、かつ上記ストッパの離脱促進手段として、上記ストッパの支持孔に連通する第1スリットを支持ブラケットに設けるとともに、ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記第1スリット内に進入してこの第1スリットを拡幅させることにより上記支持孔を拡開変形させる棒状部材を車体側部材に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項3】
第1スリットの設置部と反対側の位置においてストッパの支持孔に連通する第2スリットを支持ブラケットに設けたことを特徴とする請求項2に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項4】
支持ブラケットに設けられた第1スリットと車体側部材に設けられた棒状部材との間に、支持ブラケットに入力される荷重が一定値以上となるまで上記棒状部材が上記第1スリット内に進入するのを規制する進入規制手段を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項5】
支持ブラケットに設けられた第1スリットに、ストッパの支持孔に近付くにしたがって溝幅が減少する拡幅促進部を設けたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項6】
棒状部材が挿通される挿通部を支持ブラケットに設けるとともに、上記第1スリットの設置部と反対側の位置において棒状部材の挿通部に連通する第3スリットを支持ブラケットに設けたことを特徴とすることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の自動車のフードストッパ構造。
【請求項7】
上記支持ブラケットに、ストッパが嵌着される支持孔と、車体側部材に設けられた棒状部材が挿通される挿通部とを設け、上記ストッパの支持孔と棒状部材の挿通部との間に複数の第1スリットを形成するとともに、各第1スリットの間に上記棒状部材の移動を規制する進入規制手段を配設し、上記ストッパに一定値以上の荷重が作用したときに上記進入規制手段による棒状部材の規制状態を解除して上記複数の第1スリット内に棒状部材を順次進入させることにより、この第1スリットおよび上記支持孔を拡幅するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフードストッパ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−96280(P2006−96280A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287277(P2004−287277)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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