説明

自動車の後部構造

【課題】リヤコンビランプを車体に締結するための締結部材および外装部品と車体との隙間を、1つの部材でもって覆うことのできるようにする。
【解決手段】リヤコンビランプ10が締結部材13によって車体後部に取付けられる。車体側部表面に車体後端部まで伸びる外装部品6が取付けられて、該外装部品6の後端と車体との間に隙間Sが形成されている。隙間Sを覆う第1覆い部20aを有するリヤガーニッシュ20が設けられて、該リヤガーニッシュ20に、前記締結部材13を覆う覆い部20bが一体成形されている、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車は、その後面にリヤコンビランプが設けられるが、リヤコンビランプの車体への固定は、ボルト等の締結部材によって車体後方から締結されるのが一般的である。この締結部材が外部から目視されないようにして外観上の体裁をよくするために、特許文献1には、トランクリッドに対してリヤコンビランプを固定するための締結部材を、蓋部材によって覆うことが開示されている。
【0003】
また、自動車の中には、車体側部の表面を外装部品で覆うことも多く行われている。例えば、スライドドアをガイドするためのセンタレールを前後方向に伸ばして配設して、このセンタレールを、外装部品としてのセンタレールカバーによって覆うことが行われている。そして、特許文献2には、センタレールカバーの後端部にリアピラーを覆う上方延長部を形成して、この上方延長部の後端とリアピラーとの間の隙間を蓋部材によって覆うことにより、外観上の体裁をよくすることが開示されている。
【特許文献1】特開平8−20279号公報
【特許文献2】特開2005−319944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外装部品の後端と車体との間に形成される隙間を覆う蓋部材と、リヤコンビランプを車体に固定している締結部材を覆う蓋部材とを別途個別に設けることは、部品点数の増加や取付工数の増加となって、好ましくないものとなる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、リヤコンビランプを車体に締結するための締結部材および外装部品と車体との隙間を、1つの部材でもって覆うことのできるようにした自動車の後部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
リヤコンビランプが締結部材によって車体後部に取付けられる自動車の後部構造であって、
車体側部表面に車体後端部まで伸びる外装部品が取付けられて、該外装部品の後端と車体との間に隙間が形成されており、
前記隙間を覆うリヤガーニッシュが設けられて、該リヤガーニッシュに、前記締結部材を覆う覆い部が一体成形されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、外装部品と車体との隙間を覆うリヤガーニッシュによって、リヤコンビランプを締結するための締結部材をも覆うようにしたので、必要最小限の部品点数でもって外観上の体裁をよいものとすることができる。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
車体側部に、スライドドアイドを前後方向にガイドするためのセンタレールが設けられ、
前記外装部品が、前記センタレールを覆うセンタレールカバーとされている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、センタレールカバーと車体との隙間を覆うリヤガーニッシュを有効に利用して、連結部材を覆うことができる。また、センタレールカバーが車体後端にまで伸びていることから、このセンタレールカバーによって覆われるセンタレールも車体後端あるいはその近くにまで十分後方に長く配設することができ、スライドドアのスライドドア量を極力大きく確保する上でも好ましいものとなる。
【0008】
前記リヤコンビランプは、ランプを収納するハウジングを有して、該ハウジングに、車体後面に対して前記締結部によって取付けられる取付ベース部が形成されており、
前記リヤガーニッシュは、前記取付ベース部を全体的に車体後方から覆っている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、取付ベース部を全体的にリヤガーニッシュによって覆うことにより、取付ベース部を外観上の見栄えのために体裁のよいものとして形成する必要がなくなり、その分取付ベース部ひいては大型部品となるハウジングを安価に形成する上で好ましいものとなる。
【0009】
前記リヤコンビランプが、前記外装部品の上下幅の範囲内において設けられている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、リヤガーニッシュの上下幅を極力小さくする上で好ましいものとなる。
【0010】
前記リヤガーニッシュが、前記取付ベース部に固定されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、リヤガーニッシュを固定するための固定部を車体に対して直接形成する必要がなくなり、車体を構成するパネルの成形性向上等の上で好ましいものとなる。
【0011】
前記取付ベース部に係合部が形成されると共に、前記リヤガーニッシュの裏面に該係合部に係合される係合爪が形成されており、
前記リヤガーニッシュを車体後方から前記取付ベース部に接近させて、前記係合部に対して前記係合爪を係合させることによって、該リヤガーニッシュが該取付ベース部に固定される、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、リヤガーニッシュを車体後方から取付ベース部に接近させて、係合部に対して係合爪を押し込むという簡単な作業によってリヤガーニッシュを取付ベース部つまり車体に固定することができる。
【0012】
車体後面に形成された後方開口部を開閉するための、バックドアを有し、
前記締結部材が、前記バックドアを閉じたときにはバックドアによって覆われる一方、該バックドアを開いたときに該バックドアによっては覆われない位置に設けられており、
前記締結部材が前記覆い部によって車体後方から覆われていることにより、前記バックドアを開いたときに、該締結部材が該覆い部によって外部から目視できないようにされている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、バックドアを開いたときに、不体裁な締結部材が後方から目視されないようにして、外観上の見栄え向上の上で好ましいものとなる。特に、スライドドアを有する車両は、バックドアを有することが一般的なので、スライドドアおよびバックドアを共に有する車両において極めて効果的なとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リヤコンビランプを車体に締結するための締結部材、および外装部品と車体との隙間を、共通部材となる1つのリヤガーニッシュでもってそれぞれ覆うことによって、必要最小限の部品点数でもって外観上の見栄え向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1において、自動車Vは、その側面において図示を略すスライドドアによって開閉される後席用の側方開口部1を有すると共に、その後面においてバックドア2によって開閉される後方開口部3を有する。バックドア2は、ヒンジ4を中心にして開閉されるようになっている。
【0015】
前記側方開口部1を開閉するためのスライドドアは、少なくとも車体側部表面に形成されたセンタレール5によって前後方向にガイドされるようになっており、このセンタレール5は、車体後端あるいはその直近にまで伸びている。そして、センタレール5は、外装部品としてのセンタレールカバー6によって全体的に外部から覆われている。このセンタレールカバー6の後端は、車体後端にまで伸びている。このように、センタレール5(したがってセンタレールカバー6)が十分後方位置にまで伸ばして配設されることにより、スライドドアが十分に後方にまでスライドできるようにされている(側方開口部1を大きく開くことができる)。
【0016】
車体後部には、リヤコンビランプ10が取付けられている。このリヤコンビランプ10は、後方開口部3を左右から挟むようにして左右一対設けられている。図2,図5、図6に示すように、リヤコンビランプ10は、ランプを収納するハウジング11を有し、このハウジング11にはランプを覆うようにしてレンズ部材12が一体化されている。ハウジング11は、リヤコンビランプ10を車体に取付けるための取付ベース部11aを有する。図2に示すように、取付ベース部11aは、後方開口部3の直近に位置されて、車体後面に沿って伸びている。そして、上下の2箇所において、締結部材としてボルト等の締結部材13によって車体に固定されている。
【0017】
リヤコンビランプ10は、車体後面に臨むことになるが、車体側面にまで回り込むようにして前方へも伸びている。また、リヤコンビランプ10は、センタレールカバー6の上下幅の範囲内に位置するように、その上下幅がセンタレールカバー6の上下幅よりも小さく設定されている。そして、センタレールカバー6の後端部には、リヤコンビランプ10の前端部との干渉を避けるための切欠凹部6aが形成されている(切欠凹部6a内に、リヤコンビランプ10の前端部が極力隙間のないように挿入された状態で位置されている)。
【0018】
図2に示すように、センタレールカバー6の後端と車体との間には隙間Sが形成される。この隙間Sは、上下方向に伸びていて、ほぼ車幅方向内方側に向けて開口されていることから、後方からは目視しにくいが、側方から見たときに目立つ存在となっている。そして、外観上の見栄え向上のために、隙間Sは、図3に示すように、リヤガーニッシュ20によって覆われている。すなわち、センタレールカバー6の後端には、上記隙間Sにほぼ対応した形状のフランジ部6bが形成されて、このフランジ部6bに取付孔6cが形成されている。一方、リヤガーニッシュ20には、隙間Sの形状に対応した形状を有する第1覆い部20aが一体成形されている。そして、第1覆い部20aが、上記フランジ部6bに重ねられた状態でもって、上記取付孔6cに螺合される固定ねじ等の固定具21によってフランジ部6bに固定されている。
【0019】
リヤガーニッシュ20は、全体的に合成樹脂による一体成形品とされて、前述した第1覆い部20aを有する他、前述した上下2箇所の締結部材13を後方から覆う第2覆い部20bを一体的に有する。より具体的には、第2覆い部20bは、上下方向に長くされて、第2覆い部20bの下端位置は、センタレールカバー6の下端位置と整合されるように設定され、また第2覆い部20bの上端位置は、上方の締結部13よりも若干高い位置に設定されている。そして、第1覆い部20aは、第2覆い部20bの車幅方向外端位置から、外方および上方に伸びるように設定され、第1覆い部20aの上端位置が、センタレールカバー6の上端位置と整合するように設定されている。なお、リヤガーニッシュ20は、リヤコンビランプ20の車幅方向内方側が挿入される切欠凹部20cを有して、この切欠凹部20cの周縁部は、前述したセンタレールカバー6に形成された切欠凹部6aの周縁部と同様に、リヤコンビランプ20の車体外表面に露出する部分のが外周縁部に沿うように設定されている。
【0020】
リヤガーニッシュ20の車体への取付けは、前述した固定具21によってセンタレールカバー6を介して行われると共に、リヤコンビランプ20(におけるハウジング11)の取付ベース部11aを介して行われる。すなわち、取付ベース部11aには、締結部材13付近において係合部としての係合孔25が形成される一方、リヤガーニッシュ20の裏面(車体への取付状態において車体外表面に臨む側の面)には、係合孔25に係合される1対の係合爪26が突出形成されている。このように、リヤガーニッシュ20は、車体(車体パネル)に対して直接取付けられることのないようにされている。つまり、車体パネルには、リヤガーニッシュ20を固定するための係合孔等の加工を別途行わなくてもすむようになっている。なお、リヤガーニッシュ20の車体への取付作業は、あらかじめセンタレールカバー6およびリヤコンビランプ10が車体に取付けられた状態で、まず係止爪26を係合孔25に後方から挿入、係止させた後、第1覆い部20aを固定具21によってセンタレールカバー6のフランジ部6aに対して固定することにより行われる。
【0021】
ここで、図6には、締結部材13を用いてリヤコンビランプ10を車体(車体パネル30)へ取付けている部分の詳細構造と、この締結部材13がリヤガーニッシュ20によって覆われている状態が示される。また、図7には、図6よりも車幅方向外方側に寄った位置において、上記取付ベース部11aを車体パネル30)へ取付けている部分の詳細構造が示され、取付ベース部11aと車体パネル30との締結用固定具が符合31で示される(固定具31については図5をも参照)。さらに、図8には、図7よりも前方位置において、取付ベース部11aを車体パネル30へ取付けている部分の詳細構造が示され、取付ベース部11aと車体aパネル30との締結用固定具が符合32で示される(固定具32については、図5をも参照)。なお、センタレールカバー6は、図7,図8に示すように、アウタパネル6Aとインナパネル6Bとによって構成されている。また、図7,図8において、33はリアサイドガラスである(図1をも参照)。
【0022】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用された車両の後方斜視図。
【図2】リヤガーニッシュを取外して状態で、リヤコンビランプ部分を後方から見たときの状態を示す図。
【図3】リヤガーニッシュを取付けた状態で、リヤコンビランプ部分を後方から見たときの状態を示す図。
【図4】リヤガーニッシュをその裏面側(前方)から見たときの図。
【図5】リヤコンビランプとセンタレールカバーとリヤガーニッシュとの組立体を斜め前方から見たときの斜視図。
【図6】図5のX6−X6線相当断面図。
【図7】図5のX7−X7線相当断面図。
【図8】図5のX8−X8線相当断面図。
【符号の説明】
【0024】
V:自動車
S:隙間
1:側方開口部
2:バックドア
3:後方開口部
5:センタレール
6:センタレールカバー
6a:切欠凹部
6b:フランジ部
6c:取付孔
10:リヤコンビランプ
11:ハウジング
11a:取付ベース部
12:レンズ部材
13:締結部材
20:リヤガーニッシュ
20a:第1覆い部
20b:第2覆い部
20c:切欠凹部
21:固定具
25:係合孔
26:係合爪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤコンビランプが締結部材によって車体後部に取付けられる自動車の後部構造であって、
車体側部表面に車体後端部まで伸びる外装部品が取付けられて、該外装部品の後端と車体との間に隙間が形成されており、
前記隙間を覆うリヤガーニッシュが設けられて、該リヤガーニッシュに、前記締結部材を覆う覆い部が一体成形されている、
ことを特徴とする自動車の後部構造。
【請求項2】
請求項1において、
車体側部に、スライドドアイドを前後方向にガイドするためのセンタレールが設けられ、
前記外装部品が、前記センタレールを覆うセンタレールカバーとされている、
ことを特徴とする自動車の後部構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記リヤコンビランプは、ランプを収納するハウジングを有して、該ハウジングに、車体後面に対して前記締結部によって取付けられる取付ベース部が形成されており、
前記リヤガーニッシュは、前記取付ベース部を全体的に車体後方から覆っている、
ことを特徴とする自動車の後部構造。
【請求項4】
請求項3において、
前記リヤコンビランプが、前記外装部品の上下幅の範囲内において設けられている、ことを特徴とする自動車の後部構造。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、
前記リヤガーニッシュが、前記取付ベース部に固定されている、ことを特徴とする自動車の後部構造。
【請求項6】
請求項5において、
前記取付ベース部に係合部が形成されると共に、前記リヤガーニッシュの裏面に該係合部に係合される係合爪が形成されており、
前記リヤガーニッシュを車体後方から前記取付ベース部に接近させて、前記係合部に対して前記係合爪を係合させることによって、該リヤガーニッシュが該取付ベース部に固定される、
ことを特徴とする自動車の後部構造。
【請求項7】
請求項2において、
車体後面に形成された後方開口部を開閉するための、バックドアを有し、
前記締結部材が、前記バックドアを閉じたときにはバックドアによって覆われる一方、該バックドアを開いたときに該バックドアによっては覆われない位置に設けられており、
前記締結部材が前記覆い部によって車体後方から覆われていることにより、前記バックドアを開いたときに、該締結部材が該覆い部によって外部から目視できないようにされている、
ことを特徴とする自動車の後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−96290(P2009−96290A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268953(P2007−268953)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】