説明

自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物、自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法および自動車ウェザーストリップ。

【課題】摩擦抵抗が小さく、耐摩耗性に優れる上、長期間にわたる多数回の昇降開閉操作後にも、窓ガラスに貼ってある着色フィルムに傷を付けず、しかも簡単な工程によって製造され得る自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物は、メルトインデックス1dg/min以下の高粘度高密度ポリエチレン樹脂5〜60質量部およびメルトインデックス20dg/min以上の低粘度高密度ポリエチレン樹脂95〜40質量部からなるポリオレフィン樹脂100質量部と、過酸化物系加硫剤0.01〜0.3質量部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ウェザーストリップ(weatherstrip)用コーティング組成物に関し、より詳しくは、ガラス昇降チャネル(glass run channel)の、窓ガラスの昇降により窓を開閉する際に自動車ドアの窓ガラスと圧接する部位の保護薄膜用に用いられるコーティング剤として取扱容易で安価の汎用ポリオレフィン樹脂を使用することにより、優れた経済性と均一な品質を実現することが可能な自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車ドアの窓ガラスは、ユーザの様々な意図により、昇降開閉操作を複数回繰り返し行うことができるように構成されている。このため、窓ガラスと窓フレームとの間に自動車ウェザーストリップの1種であるガラス滑降チャネルが備えられている。ユーザの便宜のために、前記ガラス滑降チャネルを通しての窓ガラスの開閉操作は、柔軟かつ安定に行われるべきである。また、窓は、長期間、窓ガラスの昇降により繰り返し開閉されるので、ガラス滑降チャネルの圧接部位は、高い耐磨耗性を有するべきである。
【0003】
従来、自動車のガラス滑降チャネルは、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)またはエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)のようなゴムで製造されていた。従来のガラス滑降チャネルは、窓ガラスとの圧接面における摩擦抵抗を減少させ且つ耐摩耗性を与えるために、その表面にウレタン樹脂またはナイロンフィルムを積層させ、突起を生成させるエンボシング(embossing)処理によって窓ガラスとの接触面積を減少させている。ところが、このような作業は、PVCおよびEPDMとの接着のために表面に接着剤を塗布する過程がさらに必要であり、エンボシングを積層前または後に行わなければならないので、工程の簡便性の面で不利である。特に、上述した従来の技術は、複雑で湾曲面を有する構造への適用に作業上困難性があり且つ煩わしいため、実際の製品生産時の作業負担が大きい。また、前記のように製造されたガラス滑降チャネルは、依然として摩擦抵抗が高く、耐久性が弱いため、結局窓ガラスの開閉操作の際に柔軟に作動しないという欠点がある。
【0004】
前記問題点を改善するとともに、EPDMおよびPVCの使用によって引き起こされる環境問題を同時に解決するために、最近環境に優しい素材として知られている熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer;TPE)を本体とし、窓ガラスが接触する圧接部位を摩擦抵抗の小さいコーティング剤と共に共押出する方法が用いられている。
【0005】
一方、ガラス滑降チャネルに使用されるコーティング剤が所望の性能を発揮するためには、摩擦抵抗を小さくすべきである。このため、窓ガラスと接触する面積を減少させる方法が提案されてきた。すなわち、コーティング剤で仕上げた表面に、小さくて均一に分布した凹凸を与えることにより、窓ガラスとの接触面積を減少させるのである。このような先行技術の例は下記のとおりである。
【0006】
特許文献1は、硬質合成樹脂からなるベース部と、前記ベース部に連結され、軟質合成樹脂からなる窓ガラス支持部と、窓ガラスとの接触のために少なくとも前記支持部上に配置される接触バンド層を有する自動車窓ガラス用ウェザーストリップであって、前記接触バンド層がそれぞれ異なる融点を有する2つの合成樹脂(高溶融点を有する合成樹脂および低溶融点を有する合成樹脂)からなり、前記接触バンド層が一体(integral)の粗い表面を持つように前記高融点の樹脂が低融点の樹脂と混合されている窓ガラス用ウェザーストリップを開示している。すなわち、特許文献1では、摩擦の小さいナイロン、ウレタン、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリスチレン系樹脂の中から選択される、融点の異なる2つ以上の樹脂材質の各種粉末または粒子を混合して得られた合成樹脂を押し出すと、高融点を有する樹脂の粉末または粒子は、融点が高いため押出温度および押出圧力で溶融されないので、その粉末または粒子の形状を維持し、窓ガラスとの接触面に多数の凹凸が形成されるという原理を利用している。
【0007】
特許文献2は、低粘度および高流動性のポリオレフィン系樹脂から形成されたベース物質と、高粘度および低流動性のポリオレフィン系樹脂の粉末または粒子から形成された添加材料を含む混合物を金型に入れ押し出して表面に多数の凹凸を形成する方法を開示している。
【0008】
特許文献3は、高分子量を有する高密度ポリエチレン樹脂、低分子量を有する高密度ポリエチレン樹脂および中間分子量を有する高密度ポリエチレン樹脂の混合物を含む高密度ポリエチレン成分、ならびにエチレン/プロピレンゴム(EPR)および高密度ポリエチレン樹脂の混合物を含むエラストマー成分を含むコーティング組成物を開示している。
【0009】
特許文献4は、超高分子量ポリオレフィン系樹脂および低分子量ポリオレフィン系樹脂の混合物に若干の潤滑剤を添加して押し出すことにより、超高分子量ポリオレフィン系樹脂を用いて凹凸を形成する方法を開示している。
【0010】
特許文献5は、前述した特許文献4を改良した技術であって、超高分子量ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー成分、スチレン系ブロック共重合体またはその誘導体、高級脂肪酸、シリコンオイル、エステル、フルオロポリマーなどを混合して押し出す方法を開示している。
【0011】
ところが、単に粘度差によって凹凸を形成する従来の方法では、得られる成分は、低粘度高流動性のポリオレフィンおよび高粘度低流動性のポリオレフィンを含み、依然として耐摩耗性が低いので、使用に多くの制限を受ける。この問題を解決するために、超高分子量ポリエチレン樹脂を使用する方法が提案されたが、超高分子量ポリオレフィン系樹脂は、粉末状にしかできず、しかも高価であるという欠点がある。この超高分子量ポリオレフィン系樹脂を用いて形成した凹凸はその硬度が高いため、長期間にわたって昇降開閉操作が繰り返される場合には、窓ガラスに貼ってある着色 (tinting)フィルムに傷を付けるという欠点がある。よって、上記問題を解決する方法が求められている。
【0012】
一方、粉末状の樹脂と粒子状の樹脂を混合して得られる混合物を押出機に投入することにより混合(compounding)工程を行う場合、粒子サイズが合わないため(due to the inconsistent particle size)分離現象が発生して正確な量の投入が困難であり、これにより別途に分離して押出機に投入しなければならないという工程上の煩わしさがある。また、粉末状の原料は、粉末の飛散および静電気などに非常に敏感なので正確な量の投入が難しく、作業が面倒であるという欠点がある。このような理由により、従来の技術は、生産性および製品均一性の面で改善すべきである。
【特許文献1】米国特許第5,343,655号明細書
【特許文献2】米国特許第5,424,019号明細書
【特許文献3】米国特許第5,110,685号明細書
【特許文献4】米国特許第5,424,135号明細書
【特許文献5】米国特許第6,146,739号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、摩擦抵抗が小さく、耐摩耗性に優れる上、長期間にわたる多数回の昇降開閉操作後にも、窓ガラスに貼ってある着色フィルムに傷を付けず、しかも簡単な工程によって製造され得る自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、前記コーティング組成物を用いて製造された自動車用ウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前述した従来の技術の問題点を克服するとともに、優れた耐摩耗性および小さい摩擦抵抗を有する自動車ウェザーストリップ用コーティング剤を開発するために鋭意検討を行った結果、安価な汎用ポリエチレン系樹脂を使用し経済性および物性に優れたコーティング組成物を開発し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1] (A)(a1)メルトインデックス(ASTM D1238)1dg/min以下の高粘度高密度ポリエチレン樹脂5〜60質量部および(a2)メルトインデックス20dg/min以上の低粘度高密度ポリエチレン樹脂95〜40質量部からなるポリオレフィン樹脂100質量部と、
(B)過酸化物系加硫剤(peroxide vulcanizing agent)0.01〜0.3質量部と
を含むことを特徴とする、自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[2] 前記ポリオレフィン樹脂100質量部を基準として、前記(a1)成分の含有量が10〜40質量部であり、前記(a2)成分の含有量が90〜60質量部であることを特徴とする、[1]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[3] 前記(B)成分の含有量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対し0.02〜0.1質量部であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[4] 前記(a1)成分のメルトインデックスが0.01〜0.4dg/minであり、前記(a2)成分のメルトインデックスが20〜45dg/minであることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[5] (C)高級脂肪酸、シリコンオイルおよびフルオロポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し1〜30質量部の含有量でさらに含むことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[6] 前記成分(C)の含有量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し2〜20質量部であることを特徴とする、[5]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[7] 前記高級脂肪酸は、ステアリン酸またはラウリン酸であることを特徴とする、[5]または[6]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[8] 前記シリコンオイルは、25℃で500〜1500cstの範囲の粘度を有することを特徴とする、[5]〜[7]のいずれかに記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[9] 前記フルオロポリマーは、最大粒径が15〜150μmの範囲であり、かつ50%平均粒径が2〜100μmの範囲であることを特徴とする、[5]〜[8のいずれかに記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[10] 前記フルオロポリマーは、最大粒径が50〜100μmの範囲であり、かつ50%平均粒径が10〜60μmの範囲であることを特徴とする、[9]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[11] (D)無機質フィラー、加工助剤、着色剤、酸化防止剤およびUV安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤成分を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し20質量部以下の含有量でさらに含むことを特徴とする、[1]〜[10]のいずれかに記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
[12] (A)(a1)メルトインデックス(ASTM D1238)1dg/min以下の高粘度高密度ポリエチレン樹脂5〜60質量部および(a2)メルトインデックス20dg/min以上の低粘度高密度ポリエチレン樹脂95〜40質量部からなるポリオレフィン樹脂原料を、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、(B)過酸化物系加硫剤0.01〜0.3質量部の存在下で、動的加硫(dynamic vulcanization)によって混合する段階を含むことを特徴とする、自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
[13] 前記混合段階は、二軸押出機またはバンバリーミキサーを用いて行われることを特徴とする、[12]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
[14] 混合段階において、(C)高級脂肪酸、シリコンオイルおよびフルオロポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し1〜30質量部の量でさらに使用することを特徴とする、[12]または[13]に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
[15] 混合段階において、無機質フィラー、加工助剤、着色剤、酸化防止剤およびUV安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤成分を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、20質量部以下の量でさらに使用することを特徴とする、[12]〜[14]のいずれかに記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
[16] [12]〜[15]のいずれかに記載の方法によって製造されるコーティング剤が、自動車ウェザーストリップ構造の少なくとも圧接部位上に単層構造または2層以上の積層構造で形成されていることを特徴とする、自動車ウェザーストリップ。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物は、安価な汎用ポリオレフィン樹脂を使用して簡単に製造でき、しかも従来のコーティング剤の性能と同等以上の高機能性を有するコーティング剤を製造することができるという利点がある。特に、超高分子量のポリオレフィン樹脂を使用する従来の技術とは異なり、自動車用着色フィルムの表面を損傷させるなどの二次的な問題を誘発しないという利点がある。また、粒子状に提供される汎用ポリエチレン樹脂を使用することにより、原料の取り扱いが容易でより精密な定量投入が可能となり、より均一な品質のコーティング剤を形成することができるという利点をもつ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
前述したように、本発明に係る自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物は、(A)(a1)メルトインデックス(ASTM D1238)1dg/min以下の高粘度高密度ポリエチレン樹脂および(a2)メルトインデックス20dg/min以上の低粘度高密度ポリエチレン樹脂からなるポリオレフィン樹脂、および(B)過酸化物系加硫剤を含む。前記組成物を構成する各成分の詳細について以下に説明する。
【0017】
(A)ポリオレフィン樹脂
(a1)高粘度高密度ポリエチレン樹脂
本発明において、(a1)成分は、高粘度高密度ポリエチレン(HDPE)であって、ASTM D1238によって測定されるメルトインデックス(M1)が1dg/min以下、好ましくは0.01〜0.4dg/minである。このように低いメルトインデックスの高粘度高密度ポリエチレンを使用する理由は、前記(a1)成分のメルトインデックスが1dg/minを超えると、過酸化物による動的加硫の際に生成されるゲルの大きさが小さくなってはっきりとした凹凸形成に不利だからである。
【0018】
前記高粘度高密度ポリエチレン成分は、全ポリオレフィン樹脂100質量部を基準として5〜60質量部、好ましくは10〜40質量部の含有量で使用される。その含有量が過度に低い場合には、形成される凹凸が小さくなり、その含有量が過度に高い場合には、所望の凹凸が形成されずマトリックス(matrix)になるという問題が発生する。より具体的に説明すると、本発明のコーティング剤製造過程において、(a1)成分中のポリマーは、過酸化物の作用により、既に存在する分子鎖を架橋する加硫により、より大きな分子量を持つように変化する。これにより、超高分子量ポリエチレン樹脂を使用したときのように、所望の凹凸が形成され得る。このように形成された凹凸は、超高分子量ポリエチレンによる凹凸に比べて柔らかい特性を持つため、自動車窓ガラス着色フィルムに傷を付けない。したがって、例えば全ポリオレフィン樹脂100質量部を基準として5質量部未満の含有量で含有された場合には、加硫によって新たに生成される、より大きい分子量を有する高密度ポリエチレンの含有量が減少して、十分な効果が得られず、且つ非常に不規則な凹凸が形成される。これに対し、60質量部を超える量で含まれる場合には、加硫によって新たに形成されるより大きい分子量を有する高密度ポリエチレン成分が主要相(即ちマトリックス相)となり、組成物全体の流れ性(flowability)が急激に低下して加工性に問題が生ずるおそれがある。
【0019】
(a2)低粘度高密度ポリエチレン樹脂
本発明において、(a2)成分は、低粘度高密度ポリエチレン(HDPE)であって、 ASTM D1238によって測定されるメルトインデックス(M1)が20dg/min以上、好ましくは20〜45dg/minである。このように高いメルトインデックスを有する低粘度高密度ポリエチレンを使用する理由は、メルトインデックスが20dg/min未満では、流れ性が低下し凹凸形成に不利である上、加工性の面においても問題が引き起こされるためである。すなわち、後述するように、前記(a2)成分も過酸化物系加硫剤による動的加硫に付されるので、このことを考慮してメルトインデックス20dg/min以上の高密度ポリエチレンを使用する必要がある。より具体的には、メルトインデックスが20dg/min未満では、過酸化物系加硫剤による架橋によって高分子の分子量がより大きくなるのでメルトインデックスはより低くなり、組成物全体の流れ性が悪くなって加工性に問題が引き起こされるおそれがある。
【0020】
つまり、前記(a2)成分は、コーティング剤の製造の際に過酸化物の架橋作用によって、既に存在するポリマー分子鎖が互いに結合しながらより大きい分子量を持つことになって組成物全体の流れ性を調節し、前述した(a1)成分による凹凸形成が容易に行われるように形態学的に安定させる役割をする。前記低粘度高密度ポリエチレン樹脂は、全ポリオレフィン樹脂100質量部を基準として95〜40質量部、好ましくは90〜60質量部の量で使用される。前述したように、前記(a2)成分の含有量が過度に高いと、すなわち(a1)成分の含有量が過度に低いと、コーティング層の表面に所望の凹凸を形成することが困難となり、前記(a2)成分の含有量が過度に低いと、すなわち(a1)成分の含有量が過度に高いと、前述のように、高粘度高密度ポリエチレン成分がマトリックス相になり、流れ性が急激に低下するので、加工性に問題が引き起こされるおそれがある。
【0021】
(B)過酸化物系加硫剤
本発明で使用可能な加硫剤は、過酸化物系加硫剤であれば、特に限定されるものではなく、当分野で既に知られている公知の加硫剤を使用することができる。このような過酸化物系加硫剤は、典型的には有機過酸化物であって、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシドなどが使用可能である。具体的な例として、ジクミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、ジ−t−ブチルペルオキシド(di-tert-butyl peroxide)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)へキサン(2,5-dimethyl-2,5-di-(tert-butylperoxy)hexane)、t−ブチルクミルペルオキシド(t-butyl cumyl peroxide)などが挙げられる。前記過酸化物系加硫剤は、全ポリオレフィン樹脂100質量部に対し0.01〜0.3質量部、好ましくは0.02〜0.1質量部の含有量で使用される。もし加硫剤の含有量が過度に低ければ、意図した添加の効果が期待できず、前記(a1)成分および(a2)成分の加硫を十分に行うことができないため、凹凸の形成効果が満足に得られない上、後述する実施例および比較例の実験結果から分かるように、所望のレベルのコーティング剤の優れた耐摩耗性および低い摩擦抵抗効果を得ることができない。これに対し、架橋剤の含有量が過度に高ければ、未溶融ゲルによる不規則な凹凸の形成および匂い発生などの問題を引き起こすおそれがある。
【0022】
一方、本発明に係るコーティング組成物に要求される物性をより改善するために、下記のような任意成分がさらに加えられることが好ましい。
【0023】
(C)高級脂肪酸、シリコンオイルおよび/またはフルオロポリマー
本発明によれば、コーティング層の凹凸表面においてスリップ(slipping)現象を増加させてさらにガラスとの摩擦抵抗を減少させるために、自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物は、高級脂肪酸、シリコンオイルおよびフルオロポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を更に含むことができる。
前記高級脂肪酸成分は、特に限定されず、当分野で知られている種類を使用することができ、例えばステアリン酸、ラウリン酸などが使用可能である。
【0024】
前記シリコンオイルは、特に限定されるものではなく、好ましくは25℃で500〜1500cstの範囲の粘度を有するシリコンオイルの中から選択できる。
【0025】
一方、フルオロポリマーは、前述の(C)成分に共通の機能に加え、凹凸の形成に関与し得るので、凹凸形成と共にガラスとの摩擦力減少に効果的に作用する成分である。前記フルオロポリマーは、特に限定されるものではなく、当分野で知られている種類、例えばポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン共重合体などが使用でき、好ましくはポリテトラフルオロエチレンが使用可能である。特に、最大粒径が15〜150μmの範囲であり、50%平均粒径が2〜100μmの範囲であるフルオロポリマーを使用することが好ましく、最大粒径が50〜100μmの範囲であり、50%平均粒径が10〜60μmの範囲であるフルオロポリマーを使用することがより好ましい。
【0026】
前記(C)成分は、全ポリオレフィン樹脂100質量部に対し1〜30質量部、好ましくは2〜20質量部の量で使用できる。但し、前記(C)成分の含有量が過度に少ないと、意図した添加効果が期待できず、前記(C)成分の含有量が過度に多いと、コーティング組成物を構成する各成分界面の滑り現象を増加させて混練作業を阻害するおそれがあるので、適切な範囲内で使用することが好ましい。
【0027】
(D)その他の添加剤成分
本発明では、コーティング組成物の基本的な特性を保つ範囲内で従来のプラスチック成分の混合に使用される様々な種類のその他の添加剤を1種または2種以上添加し、得られる組成物の特性を多少変えることができる。このような添加剤としては、無機質フィラー、加工助剤(processing adjuvant)、着色剤(カーボンブラック、顔料など)、酸化防止剤、UV安定剤などがある。前記添加剤成分の含有量が過度に多いと、コーティング組成物の耐磨耗性などに良くない影響を及ぼすおそれがあるので、このことを考慮して前記添加剤成分を適切な含有量で使用することが好ましい。好ましくは、全ポリオレフィン樹脂100質量部に対し20質量部までの量で使用される。
【0028】
上記成分を当分野で公知の混合工程に付すことにより、自動車ウェザーストリップ用コーティング剤を製造することができる。特に本発明では、動的加硫方式を採用する。このような動的加硫方式は、溶融状態の高分子を混合しながら架橋させることを意味する。すなわち、組成物に存在する過酸化物は、外部のエネルギー(熱、圧力、せん断力など)によってラジカル成分になり、このラジカルがポリエチレン高分子の分子鎖を互いに繋ぐ役割を果たす。本発明の場合、前記動的加硫過程で、原料の混合とともに化学反応が行われる。その結果、前述した(a1)成分および(a2)成分に既に存在する高分子の分子鎖が互いに結合してより大きい分子量を持つように変化する。したがって、前記(a1)および(a2)成分それぞれのメルトインデックスおよび組成比、そして前記過酸化物系加硫剤の使用量を適切に調節して前記のように変化させることが好ましい。
【0029】
一方、上述した動的加硫方式は、好ましくは二軸押出機(twin screw extruder)、バンバリーミキサー(Banbury mixer)などの各種装備を用いて容易に行うことができる。特に、二軸押出成形機による製造方法は、他の通常の混合装備に比べて、原料に適用されるせん断力を効果的に調節することができるため、動的加硫による組成物の製造において形態学的に好ましい形状の架橋組成物を製造するのに有利である。これに関連し、混合過程は、当分野で知られている通常の工程条件下で行うことができる。
【0030】
前記のように製造されたコーティング剤を、自動車ウェザーストリップ構造、特にガラス滑降チャネルの少なくとも圧接部位上に適用してコーティング層を形成する。この際、前記コーティング層は、単層構造または2層以上の積層構造で形成することができる。その形成方法は、特に限定されるものではなく、当分野で採用されている成形方法、例えば押出成形方式、射出成形方式などが適用可能である。好ましくは、押出成形方式が適用される。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により更に説明する。但し、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0032】
比較例1
メルトインデックス0.04dg/minの高粘度高密度ポリエチレン樹脂(a1)30質量部、メルトインデックス20.0dg/minの低粘度高密度ポリエチレン樹脂(a2)70質量部、および全ポリオレフィン樹脂100質量部に対して酸化防止剤0.1質量部(d1)および着色剤1質量部(d2)を二軸押出成形機で混合した。前記二軸押出成形機は、40Φ(スクリューの直径=40mm)、長さ/直径の比率(L/D)が38の仕様を有する共回転(co-rotation)のインターメッシング(intermeshing)タイプを使用した(W&P社製ZSK−40)。前記混合は、180〜210℃、スクリュー回転速度200rpmで行われ、全ての原料は主供給機へ同時に投入された。組成物の製造に使用された成分を、下記表1に示す。
【0033】
実施例1
過酸化物系加硫剤(b)0.04質量部を追加した以外は、比較例1と同様にしてコーティング組成物を製造した。組成物の製造に使用された成分の詳細を、下記表1に示す。
【0034】
実施例2
フルオロポリマー(c1)5質量部を追加した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を製造した。組成物の製造に使用された成分の詳細を、下記表1に示す。
【0035】
実施例3
フルオロポリマー(c1)5質量部およびシリコンオイル(c2)1質量部を追加した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を製造した。組成物の製造に使用された成分の詳細を、下記表1に示す。
【0036】
実施例4
フルオロポリマー(c1)10質量部およびシリコンオイル(c2)2質量部を追加した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を製造した。組成物の製造に使用された成分の詳細を、下記表1に示す。
【0037】
実施例5
フルオロポリマー(c1)10質量部およびシリコンオイル(c2)4質量部を追加した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を製造した。組成物の製造に使用された成分の詳細を、下記表1に示す。
【0038】
比較例2
従来の超高分子量高密度ポリエチレン樹脂(UHMWPE)を用いた自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物として、メルトインデックス20.0dg/minの低粘度高密度ポリエチレン樹脂(a2)80質量部、ミツイケミカルズ社(Mitsui Chemicals Inc.)製XM−221UのUHMWPE粉末(Mw=2,000,000、平均粒径25μm、見かけ密度0.4g/cm3)20質量部、そして全ポリオレフィン樹脂100質量部に対して酸化防止剤(d1)0.1質量部および着色剤(d2)1質量部を比較例1と同様の方法で混合してコーティング組成物を製造した。
【0039】
比較例3
アミド系スリップ剤(d3)1質量部を追加した以外は、比較例2と同様にしてコーティング組成物を製造した。
【0040】
【表1】

a1:高粘度高密度ポリエチレン、SK社(韓国)製HDPE8800、メルトインデックス0.04dg/min、密度0.956g/cm3
a2:低粘度高密度ポリエチレン、SK社(韓国)製HDPE7200、メルトインデックス20.0dg/min、密度0.961g/cm3
b:過酸化物系加硫剤、化薬アクゾ株式会社(日本)製Perkadox 14R−GR、純度99.2%、加硫温度180℃、比重1.08
c1:フルオロポリマー、株式会社喜多村(日本)製KTL−450、最大粒径88μm、50%平均粒径22μm、見かけ密度0.50g/cm3
c2:シリコンオイル、米ダウコーニング(Dow Corning)社製200R Fluid 1000CST、25℃での粘度1000cSt
d1:酸化防止剤、ソンウォンインダストリアル社(Songwon Industrial Co.Ltd.)(韓国)製Songnox21B
d2:着色剤、ヨーウォンコムテッック社(Yoo Won Com-Tech Corp.)(韓国)製UWN9012−1、LDPEベースのカーボンブラック、45wt%マスターバッチ
d3:アミド系スリップ剤、アクゾノーベル社(Akzo Nobel N.V.)(オランダ)製Armoslip CP、アミド純度99.3%、融点73.5℃
【0041】
表1の組成によって製造された実施例および比較例のコーティング剤それぞれの耐摩耗性を評価するために、ショア硬度(shore hardness)65Aの完全架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV;韓国SK社製Plasmer 1065BM)とともに2台の単軸押出成形機を用いた共押出方法によって幅20mm、長さ150mm、コーティング剤層厚250μmの押出シート試料を製造した。そのテストに先立ち、コーティング表面の凹凸を肉眼判別による相対的比較によって観察/記録した。その結果を下記表2に示した。
【0042】
耐磨耗性テストは、室温で行われた。各試料を、韓国SK社によって製作された耐摩耗性試験機に装着し、窓ガラスをそれぞれ1kg、2kgおよび3kgの荷重を加えて垂直に圧接させ、60Hzの速度で往復摩擦運動を行い、コーティング剤の耐摩耗性を評価した。このテストでは、それぞれの荷重段階ごとに3万回の往復摩擦運動を行い、1000回ごとに磨耗程度を確認した。コーティング剤の表面に磨耗が観察されたら往復摩擦運動を中断し、その時点までの往復摩擦運動回数を記録した。その結果を下記表2に示した。
【0043】
上述した方法と同様にしてコーティング剤層厚250μm、幅および長さがそれぞれ63.5mmの正方形押出シート試料を製造し、ASTM D1894によって室温でのそれぞれの試料に対する動的摩擦係数および静的摩擦係数を測定した。その測定結果は下記表2に示した。
【0044】
また、耐磨耗性および摩擦係数測定結果より、自動車ウェザーストリップ用コーティング剤としての性能が優れたものと判断される実施例3〜実施例5と比較例2および比較例3のコーティング剤を用いて、通常のガラス滑降チャネルを製造し、着色フィルム(薄くて透明なポリエステルフィルムに着色金属または金属酸化物の真空蒸着、コーティング、貼り合わせなどの工程処理を施すことによって製造された一般的な自動車用着色フィルム)に対する傷生成程度を比較した。その比較結果を下記表2に示した。このように製造されたガラス滑降チャネルを自動車ドア昇降耐久試験機に装着し、通常の着色フィルムが貼ってある窓ガラスを(1)23℃、50%相対湿度条件、(2)80℃、90%相対湿度条件、(3)−30℃、0%相対湿度条件で30Hzの速度にてそれぞれ1000回ずつ昇降開閉作動させ、さらに繰り返し実施する方式で合計10万回の昇降開閉作動を行った後、着色フィルム表面の傷程度を観察した。傷程度は、4(非常に多い)、3(多少多い)、2(多少少ない)、1(非常に少ない)、0(なし)の5段階で評価した。その評価結果は下記表2に示した。
【0045】
【表2】

【0046】
表2の結果から分かるように、高粘度高密度ポリエチレン樹脂および低粘度高密度ポリエチレン樹脂の単純混合(比較例1)のみでも凹凸は形成できるが、凹凸が小さいため、摩擦係数を所望の水準に減少させることができない。また、汎用高密度ポリエチレン樹脂によって形成された凹凸なので、耐摩耗性が低い。
【0047】
これに対し、実施例1の場合、過酸化物加硫剤による2種の高密度ポリエチレン樹脂の加硫によって凹凸を形成することにより、比較例1に比較して、耐摩耗性を向上させ且つ摩擦係数を効果的に減少させることができることが分かる。これに関連し、実施例1は、超高分子量ポリエチレン樹脂を使用した場合に比べて、耐摩耗性の改善および摩擦係数の減少の面で多少低い値を示しているが、実用上、原料コストの面で優れた価格競争力を有する。特に、通常の粒子状に提供される汎用ポリエチレン樹脂は、原料の取り扱いが容易でより精密な定量投入が可能であって、粉末状に提供される超高分子量ポリエチレン樹脂に比べてより均一な品質のコーティング層を形成することができるという利点を持つ。
【0048】
また、実施例1の組成にフルオロポリマーをさらに加えた実施例2では、耐摩耗性および摩擦低下減少の面において実施例1より優れた結果を示すが、依然として超高分子量ポリエチレン樹脂を使用した場合に比べて一部性能の面で低い値を示す。但し、物性の低下程度は激しくなく、しかも、超高分子量ポリエチレン樹脂を使用した場合に比べて、経済性、取り扱い容易性、およびコーティング均一性の面で利点がある。
【0049】
フルオロポリマーおよびシリコンオイルをさらに添加した実施例3および実施例5では、超高分子量ポリエチレン樹脂を用いたコーティング剤によって得られる水準の耐摩耗性を持つ自動車ウェザーストリップ用コーティング剤を得ることができることが分かる。特に比較例3と比較すると、同等な水準の耐摩耗性および摩擦抵抗を示すとともに、経済性の面では一層優れるという利点を持っていることが分かる。また、着色フィルムの表面を損傷させる程度について、本発明のコーティング剤は、超高分子量ポリエチレン樹脂を用いた比較例3に比べて優れていることが分かる。この結果は、従来の技術から認識できなかった他の特性の改善効果まで達成したことを示すものである。
【0050】
以上、本発明の好ましい態様について説明したが、本発明は上記態様に限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範囲内で、各種の変更または修正をなし得ることは明らかであり、それらも当然に本発明の範囲に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a1)メルトインデックス(ASTM D1238)1dg/min以下の高粘度高密度ポリエチレン樹脂5〜60質量部および(a2)メルトインデックス20dg/min以上の低粘度高密度ポリエチレン樹脂95〜40質量部からなるポリオレフィン樹脂100質量部と、
(B)過酸化物系加硫剤0.01〜0.3質量部と
を含むことを特徴とする、自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項2】
前記ポリオレフィン樹脂100質量部を基準として、前記(a1)成分の含有量が10〜40質量部であり、前記(a2)成分の含有量が90〜60質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対し0.02〜0.1質量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項4】
前記(a1)成分のメルトインデックスが0.01〜0.4dg/minであり、前記(a2)成分のメルトインデックスが20〜45dg/minであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項5】
(C)高級脂肪酸、シリコンオイルおよびフルオロポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し1〜30質量部の含有量でさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項6】
前記成分(C)の含有量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し2〜20質量部であることを特徴とする、請求項5に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項7】
前記高級脂肪酸は、ステアリン酸またはラウリン酸であることを特徴とする、請求項5または6に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項8】
前記シリコンオイルは、25℃で500〜1500cstの範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項9】
前記フルオロポリマーは、最大粒径が15〜150μmの範囲であり、かつ50%平均粒径が2〜100μmの範囲であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項10】
前記フルオロポリマーは、最大粒径が50〜100μmの範囲であり、かつ50%平均粒径が10〜60μmの範囲であることを特徴とする、請求項9に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項11】
(D)無機質フィラー、加工助剤、着色剤、酸化防止剤およびUV安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤成分を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し20質量部以下の含有量でさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング組成物。
【請求項12】
(A)(a1)メルトインデックス(ASTM D1238)1dg/min以下の高粘度高密度ポリエチレン樹脂5〜60質量部および(a2)メルトインデックス20dg/min以上の低粘度高密度ポリエチレン樹脂95〜40質量部からなるポリオレフィン樹脂原料を、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、(B)過酸化物系加硫剤0.01〜0.3質量部の存在下で、動的加硫によって混合する段階を含むことを特徴とする、自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
【請求項13】
前記混合段階は、二軸押出機またはバンバリーミキサーを用いて行われることを特徴とする、請求項12に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
【請求項14】
混合段階において、(C)高級脂肪酸、シリコンオイルおよびフルオロポリマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し1〜30質量部の量でさらに使用することを特徴とする、請求項12または13に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
【請求項15】
混合段階において、無機質フィラー、加工助剤、着色剤、酸化防止剤およびUV安定剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤成分を、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、20質量部以下の量でさらに使用することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の自動車ウェザーストリップ用コーティング剤の製造方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法によって製造されるコーティング剤が、自動車ウェザーストリップ構造の少なくとも圧接部位上に単層構造または2層以上の積層構造で形成されていることを特徴とする、自動車ウェザーストリップ。

【公開番号】特開2006−168714(P2006−168714A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336576(P2005−336576)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(598176488)エス ケー コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】