説明

自己免疫疾患を治療するための薬剤として有用な置換ピリド(2,3−D)ピリミジン誘導体

本発明は、予想外に望ましい薬特性を有する、詳細には高度に活性の免疫抑制薬であり、それ自体で移植拒絶反応および/または所定の炎症性疾患における治療において有用である、1群の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、それらの医薬上許容される塩、N−オキシド、溶媒和物およびエナンチオマに関する。これらの誘導体は、心血管障害、中枢神経系の障害、TNFα関連性障害および細胞増殖障害を予防または治療することにおいても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1組の新規な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体に関する。本発明は、それらの調製方法、ならびに組成物、詳細には、1つまたは複数の医薬上許容される賦形剤と一緒に1つまたは複数の前記3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を含む医薬組成物に関する。本発明は、より詳細には、免疫および自己免疫障害、臓器および細胞移植拒絶反応、細胞増殖性障害、心血管障害および中枢神経系障害などを含むがそれらに限定されない障害および病的状態を治療するための薬剤を製造するための、生物活性成分としての前記新規な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体の使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
極めて多数のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体が、当技術分野において既に知られており、それらの一部には生物活性がある。例えば、2、4および6位(ピリド(2,3−d)ピリミジン部分についての標準原子番号付けを用いる)に様々な置換基を備える3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体が、抗菌および抗原虫活性、ジヒドロ葉酸還元酵素活性、抗関節炎活性、抗マイコバクテリア活性、サイクリン依存性キナーゼの阻害、抗高血圧活性、抗腫瘍活性、および殺虫作用などの生物活性を有することは、例えば、米国特許第5,223,503号および米国特許第5,547,954号から知られている。一部の他の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体は、生物活性などの特定の有用性を有していないことが知られており、例えば2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−ブロモ−ピリド(2,3−d)ピリミジンはTaylor et al. in Heteocycles(1993)36:1885から知られており、そして2−アミノ−4−[1,2,4−トリアゾリル]−6−ブロモ−ピリド(2,3−d)ピリミジンはDurucasu in Turk. J. Chem.(1989)13:280−292から知られている。
【0003】
しかし当技術分野においては、免疫および自己免疫障害、臓器および細胞移植拒絶反応、細胞増殖性障害、心血管障害および中枢神経系障害などを含むがそれらに限定されない特異的かつ高度に治療的な活性化合物が持続的に必要とされている。詳細には、当技術分野において、重大な副作用を有する現行の薬物に取って代えるため、および/または同一治療効果で治療費用を減少させるために、低用量で活性である免疫抑制化合物および抗腫瘍薬を提供する必要がある。
【0004】
現在使用されている免疫抑制薬には、メトトレキセート(米国特許第2,512,572号に開示された2,4−ジアミノピリド(3,2−d)ピリミジン誘導体)、アザチオプリン、およびシクロホスファミドなどの抗増殖薬が含まれる。これらの薬物は有糸分裂および細胞分裂に影響を及ぼすので、骨髄細胞および消化管粘膜などの高い代謝回転速度を備える正常細胞に深刻な毒性作用を有する。したがって、骨髄抑制および肝臓損傷は、これらの抗増殖薬の一般的副作用である。
【0005】
免疫抑制を誘導するために使用される抗炎症化合物には、デキサメタゾンおよびプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドが含まれる。これらの化合物の使用に伴って観察される一般的副作用は、頻発する感染症、異常代謝、高血圧、および糖尿病である。
【0006】
リンパ球活性化およびその後の増殖を阻害するために現在使用されているその他の免疫抑制性化合物には、シクロスポリン、タクロリムスおよびラパマイシンが含まれる。シクロスポリンおよびその関連物質は、特に最も一般に使用される免疫抑制薬である。シクロスポリンは、典型的には、腎臓、肝臓、心臓、膵臓、骨髄、および心肺移植における臓器拒絶反応を予防または治療するため、ならびにクローン病、再生不良性貧血、多発性硬化症、重症筋無力症、ブドウ膜炎、胆汁性肝硬変などの自己免疫および炎症性疾患を治療するために使用される。しかし、シクロスポリンは治療用量範囲が狭く、そして腎毒性、肝毒性、高血圧、多毛症、癌、および神経毒性を含む深刻な毒性作用を有している。
【0007】
さらに、移植拒絶反応を予防および/または治療するためには、OKT3などの免疫抑制特性を備えるモノクローナル抗体が使用されてきた。そのようなモノクローナル抗体の患者体内への導入は、多数の生物学的物質と同様に、呼吸困難などの数種の副作用を誘導する。多数の生命を脅かす疾患の状況では、臓器移植は標準治療と見なされており、多くの場合に、死を免れるための唯一の選択肢である。主要組織適合遺伝子複合体(以下ではMHCと呼ぶ)によってコードされ、全細胞上に存在する移植片上の異種細胞表面抗原に対する免疫応答は、一般に、移植組織が適合性ドナー由来であって正常免疫応答が抑制されない限り、組織および臓器の移植の成功を妨害する。一卵性双生児以外では、最高の適合性、したがって長期移植率は、MHCが同一である兄弟姉妹ドナーまたはMHCが同一である非親族の死体ドナーを用いて達成される。しかし、そのような理想的な適合は達成するのが困難である。さらに、ドナー臓器に対する必要性が増加するにつれて、現在は移植される臓器不足の増加が存在する。そこで、異種移植が集中的な研究の領域として出現してきたが、レシピエント生物内での拒絶反応に関して多数のハードルに直面している。
【0008】
臓器同種移植片に対する宿主反応は、複雑な一連のTおよびBリンパ球間の細胞相互作用ならびに認識して異種抗原によって活性化されるマクロファージもしくは樹状細胞を含んでいる。共刺激因子、主としてサイトカイン、およびマクロファージもしくは樹状細胞などの活性化されたアクセサリー細胞によって提供される特異的な細胞−細胞相互作用は、T細胞増殖にとって不可欠である。これらのマクロファージおよび樹状細胞は、特異的接着タンパク質を通してT細胞へ直接的に付着する、またはIL−12およびIL−15などのT細胞を刺激するサイトカインを分泌する。アクセサリー細胞由来共刺激シグナルは、T細胞におけるインターロイキン2(IL−2)遺伝子転写の活性化および高親和性IL−2受容体の発現を刺激する。IL−2は、抗原刺激されるとTリンパ球によって分泌され、正常免疫応答性のために必要とされる。IL−2は、リンパ球様細胞が増殖してIL−2特異的細胞表面受容体(IL−2R)への結合によって分化することを刺激する。IL−2はさらに、細胞毒性T細胞のヘルパーT細胞活性化を開始し、次にマクロファージの細胞破壊特性を活性化するインターフェロンγの分泌を刺激する。さらにその上、IFN−γおよびIL−4は、移植された臓器中でのMHCクラスII発現の重要な活性化因子でもあり、それによって移植された臓器の免疫原性を強化することによって拒絶反応カスケードをさらに拡大する。T細胞媒介性応答の現行モデルは、T細胞が、主として樹状細胞によって2次リンパ球様臓器のT細胞帯域内で準備されることを示唆している。初期相互作用は、抗原提示細胞(以下ではAPCと呼ぶ)上での抗原負荷MHC分子とT細胞上のT細胞受容体/CD3複合体との間の細胞−細胞接触を必要とする。TCR/CD3複合体の係合は、主としてCD4T細胞上でのCD154発現を誘導し、これは次にCD40係合を通してAPCを活性化し、改善された抗原提示をもたらす。これは、一部には、APC上でのどちらもT細胞上の重要なCD28共刺激性分子に対するリガンドであるCD80およびCD86の発現のアップレギュレーションによって引き起こされる。しかし、CD40の係合はさらにMHC−抗原複合体の長期にわたる表面発現、4−1BBおよびOX−40(活性化されたT細胞上で発現した強力な共刺激性分子)に対するリガンドの発現ももたらす。さらに、CD40係合は、それらの全部がAPCおよびT細胞の活性化および成熟の両方に重要な作用を有している様々なサイトカイン(例、IL−1
2、IL−15、TNF−α、IL−1、IL−6、およびIL−8)およびケモカインの分泌を引き起こす。I型糖尿病などの自己免疫疾患の発生には類似の機序が関係している。ヒトおよび非肥満症性糖尿病マウスにおいては、インスリン依存型糖尿病は加齢とともに激しくなるインスリン産生膵臓β細胞の特発性T細胞依存性自己免疫破壊の結果として生じる。このプロセスには、主としてTリンパ球から構成される単核球による膵島の浸潤(膵島炎)が先行する。自己攻撃性T細胞とサプレッサ型免疫現象の間の繊細な平衡が、自己免疫の発現が膵島炎に限定されるか否かを決定する。T細胞を標的とする治療戦略は、自己免疫疾患のそれ以上の進行を予防することには成功してきた。これらには、新生児胸腺摘出術、シクロスポリンの投与、および抗汎T細胞、抗CD4、もしくは抗CD25(IL−2R)モノクローナル抗体の輸注が含まれる。拒絶反応の予防および自己免疫逆転戦略すべての目的は、罹患率および致死率を最小限に抑えながら、抗原性組織もしくは物質に対する患者の免疫応答性を抑制することである。したがって、多数の薬物がそれらの免疫抑制特性のために現在使用されている、または研究されている。上記で考察したように、最も一般的に使用されている免疫抑制薬はシクロスポリンであるが、しかしこれは極めて多数の副作用を有する。したがって、低毒性プロファイルおよび管理可能な副作用を伴う免疫抑制において有効な物質について選択肢が相当に少数であることを考えると、当技術分野においては代替免疫抑制薬の同定およびカルシニューリン阻害に対する補体として作用する薬剤に対する必要性が存在する。
【0009】
癌細胞の転移は、大多数の充実性腫瘍における臨床的罹患率および致死率の主要原因を表している。癌細胞の転移は、リンパ管もしくは血管のいずれかへの腫瘍細胞の進入の結果として生じることがある。リンパ管の侵襲は、局所的排液性リンパ節への転移を生じさせる。リンパ節から、例えば黒色腫細胞は肺、肝臓、および脳へ転移する傾向を示す。黒色腫を含む数種の充実性腫瘍については、リンパ節転移の不在もしくは存在は患者生存率にとっての最善の予測因子である。現在は、本発明者らの知る限り、転移を予防する、または有意に減少させることのできる治療法はない。そこで、当技術分野においては、癌患者の適切な治療のためにそのような抗転移作用を有する化合物に対する必要がある。
【0010】
敗血症性ショックは、集中治療室における死亡の主因であり(静脈内抗生物質および対症療法を伴う治療が行われるにもかかわらず、米合衆国では年間推定死亡数は約150,000例である)、現時点ではそのために有効な治療はほとんど利用できない。重症敗血症を有する患者は、循環器系、ならびに腎不全、出血および血液凝固を含む、身体内での様々な系の機能不良をしばしば経験する。リポ多糖(以下ではLPSと呼ぶ)は、全アレイのマクロファージ由来サイトカイン(例えば、TNF−α;IL−1、IL−6、IL−12などのインターロイキン;インターフェロンγ(以下ではIFN−γと呼ぶ)など)の産生を誘導することによって、敗血症の最も一般的な形態であるグラム陰性細菌性敗血症の主要メディエータである。これらのサイトカインは、サイトカイン(例、IFN−γ)を同様に作製するために他の細胞(例、T細胞、NK細胞)を誘導できる。さらに、他のマクロファージ産物(例、一酸化窒素、以下ではNOと呼ぶ)もまた毒性ショックの病因において役割を果たすこともある。これらの物質(例、NO)は、微生物相互作用のために直接的に、または前炎症性サイトカインの作用を通して間接的に誘導することができる。LPSはLPBとして知られる血清タンパク質に結合し、こうして形成されたLPS−LPB複合体は、単核食細胞上でのCD14 toll様受容体4(以下ではTlr4と呼ぶ)複合体によって認識される。Tlr4はシグナル伝達単位であり、その活性化は、TNF−α、IL−1α、IL−1βおよびIL−6などのメディエータの遊離を生じさせる。これらのサイトカインは、ショックの病因にとって重要である。それらの投与は、敗血症性ショックの臨床症状を来たし、それらの遮断はLPS誘導性致死性ショックから部分的に保護する。
【0011】
敗血症性ショックを治療するための現行の治療戦略は、LPS(例、LPSもしくはL
BP−34−23に対する抗体)に対して、またはLPSによって誘導されるサイトカイン(例、TNF抗体)もしくはLPSに対する受容体(例、CD14)に対して向けられる。あいにくなことに、これらのアプローチの初期の臨床試験データは極めて悲観的であり、毒性ショックの病因に関係する受容体やメディエータの冗長性を示している。例えば、フラゲリンは、グラム陰性サルモネラ菌性ショック症候群において役割を果たし、特にLPSに向けられた治療戦略によって予防または治療できないまた別の毒素であると思われる。
【0012】
TNF−α遮断抗体(IL−1受容体アンタゴニストもしくはPAF受容体アンタゴニストなど)を備えるヒトにおける臨床試験は、炎症(例、プレドニゾロンを用いて)をダウンレギュレートする、またはエンドトキシンを遮断するアプローチと同様に、これまで成功していない。これらの産物は、この疾患の発生後の極めて早期に投与されなければならないが、これはほとんどの場合に不可能である。
【0013】
敗血症性ショックを含む敗血症の最も重篤な形態を備える成人患者を治療するために保健官庁によって現在承認されている唯一の薬物は、天然型ヒトタンパク質の遺伝子組換えバージョンである、Xigris(登録商標)として知られる、活性化タンパク質C、または中等度の有効性しか示さないdrotecogin−αである。さらに、活性化タンパク質Cは血液凝固を妨害するので、Xigris(登録商標)に関連する最も重篤な副作用は、発作を誘発する出血を含む出血である。したがってXigris(登録商標)は、活性の内出血を有するまたは最近の発作、最近の頭部もしくは脊椎手術または重症頭部外傷を含む所定の医学的状態のために出血する可能性がより高い患者には禁忌である。Xigris(登録商標)による治療には潜在的に重篤な危険性が付随するので、Xigris(登録商標)による治療の利益および危険性は個々の患者各々について注意深く熟考されなければならない。
【0014】
このため、当技術分野において、敗血症性ショックなどの重症感染症によって誘発される生命を脅かす疾患の最も重篤な形態を治療するための、単独または現在提案されている治療と組み合わせてのいずれかによる、新規薬剤に対する強い必要がある。
【0015】
TNF−αは、一般に細菌感染に対する哺乳動物の応答における重要なメディエータであると考えられる。それは、直接的に、またはIL−1もしくはプロスタグランジンのような他のサイトカインの形成を誘導することのいずれかによって、ほとんどの任意の器官系の機能に影響を及ぼすであろう強力な前炎症性物質である。TNF−αは、強力な抗腫瘍薬でもある。ヒトに低用量で投与されると、発熱、頭痛、食欲不振、筋肉痛、低血圧、毛細血管漏出症候群、脂肪分解の増加した速度および骨格筋タンパク質変性(悪液質を含む)を誘発する。このため癌治療におけるその使用は、その重篤な副作用によって極めて大きく限定される。
【0016】
TNF−αは、主として活性化されたマクロファージによって産生する多面性サイトカインであり、形質転換細胞に対するインビトロ細胞毒性作用および動物モデルにおけるインビボ抗腫瘍活性を発揮する。しかし、TNF−αが癌患者において特に黒色腫および肉腫を治療するために使用されるという事実にもかかわらず、その使用を妨害する主要な問題は毒性である。実際に、TNF−αは、腸腫脹および損傷、肝細胞壊死、IL−1もしくはIL−6などの炎症性サイトカインの強化された遊離、およびおそらくは一酸化窒素および他の前炎症性サイトカインなどの血管拡張の誘導因子の遊離に起因する低血圧などのショック様症状を誘発する。心血管毒性は、通常は用量制限性である。低血圧は、60mmHg未満の収縮期血圧を伴って重症の場合がある。呼吸困難は、TNF−αを用いた治療後には一般的であり、人工呼吸を必要とすることがある。このタイプの治療においては、上部ならびに下部消化管症状もまた一般的である。悪心および嘔吐は痛ましいことが
あり、一部の症例では用量制限性である。水様性下痢は頻回に観察されている。TNF−αによる治療の神経学的後遺症もまた発生することがある。
【0017】
そこで、癌患者の治療のためには、TNF−αの毒性作用を阻害するが、TNF−α抗腫瘍作用を阻害しない化合物が高度に望ましい。現在、TNF−αを含む数件の臨床試験が、肝臓、肺、腎臓および膵臓などの器官の癌のために開発されているが、これらは器官の分離、分離された器官内へのTNF−αの注射、および治療された器官の再灌流の工程を含む方法に基づいている。しかし、分離された器官の灌流のためでさえ、一部のTNF−αは通常は全身血液循環へ漏出し、このように治療された患者の約10%の致死率を導く。この方法によって治療された多数の患者は、そのようなTNF−α治療の毒性副作用に対応するために集中治療室による救助も必要とする。
【0018】
分離された器官灌流モデルにおけるTNF−αとアルキル化剤との併用療法は、相当に大きな注目を集めてきた。TNF−αは、現在はヒト癌患者において、そして黒色腫、肉腫および癌腫に対してメルファランおよびインターフェロンγと併用して、分離された四肢灌流において使用されて成功している。
【0019】
消化管粘膜は、化学療法薬に対して極めて感受性である。化学療法によって惹起される粘膜炎は、通常は治療の開始直後に消化管の炎症および潰瘍形成を伴って始まり、下痢を引き起こす。重症の、潜在的に生命を脅かす下痢は、化学療法による治療の中断およびその後の治療薬の減量を必要とすることがある。口腔はしばしば、患者のクオリティ・オブ・ライフおよび患者がその療法を忍容する能力に有害な影響を及ぼす癌治療からの重篤な副作用の場所である。これらの副作用は、化学療法に加えて放射線療法によって誘発されることもある。TNF−αおよびIL−1の血清中および粘膜中レベルの関係は、粘膜炎を含む非血液学的毒性と相関している。
【0020】
例えば単回高線量照射後に発生する放射線障害には、アポトーシスならびに放射線壊死が含まれる。照射中の遮蔽化によって保護された正常組織でさえ、相当大きく損傷することがある。実験動物モデルでは、様々な悪性腫瘍を治療するために典型的に使用される単回高線量照射後の放射線障害は放射線壊死およびアポトーシスからなることが見いだされたが、これらはTNF−αおよびTGF−β1の発現と相関していた。
【0021】
照射は、癌患者において移植片対宿主疾患(以下ではGVHDと呼ぶ)を誘発することがある。この疾患は、特に白血病もしくはリンパ腫などの癌の治療として同種骨髄移植を受けた患者において発生することがあり、該当する患者の約25%の死亡を引き起こすことがある。骨髄移植の前に、例えば白血病患者は、彼らの免疫系を抑制するために全身または全リンパ球照射のいずれかを受ける。しかし、そのような照射は壊死だけではなく前炎症性サイトカイン、主としてTNF−α、IL−1およびIL−6の遊離もまた誘発し、これは次に直接宿主組織炎症およびGVHDを引き起こす宿主抗原に対するドナー細胞の活性化を誘発する。
【0022】
シスプラチンは、精巣癌、胚細胞癌、頭頸部(頸部)癌、膀胱癌および肺癌を含む小児および成人両方における広範囲の悪性腫瘍の治療において使用される有効な化学療法薬である。用量依存性および蓄積腎毒性は、時々は用量の減量または治療中止を必要とするシスプラチンの主要な副作用である。シスプラチンの他の副作用には、腎損傷、受胎能消失、発育中の乳児への有害な作用、例えば白血球数の減少を引き起こす骨髄機能の一時的低下、貧血、出血を誘発する血小板数の低下、食欲消失、四肢におけるしびれもしくはチクチク感、味覚消失、アレルギー反応、および聴覚障害(高音域の音についての難聴、耳鳴りの経験)が含まれる。視力障害も、高用量のシスプラチンに伴う副作用となる可能性がある。TNF−αは、シスプラチンによって腎臓において活性化された前炎症性ケモカイ
ンおよびサイトカインの網状組織における重要な要素であることが証明された。TNF−α作用の遮断は、サイトカインネットワークの活性化を防止し、シスプラチン腎毒性に対する保護を提供するであろう。そこで、癌患者の治療のためには、シスプラチンの毒性作用を阻害するが、シスプラチン抗腫瘍作用を阻害しない化合物が高度に望ましい。
【0023】
過剰のTNF−αは、内皮細胞の劇的変化もさらに引き起こす。詳細には、TNF−αは、極度の体重減少および全身消耗を特徴とする衰弱性症候群である悪液質と関連する骨格筋変性の重要なメディエータである。悪液質は、通常はそれにより欠損性同化作用と組み合わせた過剰な組織異化作用が生じる二次的な症状である。これは、癌、心肺疾患、加齢、吸収不良障害、過剰な肉体的ストレス、摂食障害および後天性免疫不全症候群(AIDS)などの慢性疾患に罹患した患者において頻回に見られる。一部の研究者は、疾患の活性期にある癌患者の少なくとも50%において見いだされる上昇したTNF−α値が悪液質を生じさせる可能性があると考えている。臨床的に健常な成人、ならびに成人癌患者におけるTNF−αレベルは、例えばNenova et al. in Archives of Hellenic Medicine(2000) 17:619−621によって明確に証明されている。健常な小児および悪性腫瘍を有する小児における血清中TNF−α濃度は、例えばSaarinen et al. in Cancer Research(1990) 50:592−595によって証明されている。極めて有意な比率の癌致死率は、全身腫瘍組織量(tumor burden)ではなくむしろ悪液質の結果として生じる。慢性消耗性疾患(悪液質)は、過剰な細胞損傷がいわゆる健常組織を代謝作用で分解する物質(TNF−α、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ)の遊離を生じさせ、結果として関連する組織の同化作用性再構築のために必要とされる栄養分を吸収する不能力を生じさせる場合に生じることがある。
【0024】
現時点では、悪液質を治療するために提案されている薬物は極めて少数である。酢酸メゲストロール(転移性乳癌の治療のために使用される薬剤)および酢酸メドロキシプロゲステロンのような一部の高用量プロゲスチンは、無作為化臨床試験において、改善された食欲および体重増加に関して統計的に有意な長所を提供することが証明された。そこで、共投与される薬物の抗腫瘍作用を阻害せずに食欲および体重増加を促進する化合物は、悪液質の治療のために高度に望ましい。より詳細には、当技術分野においては、ヒトの血清中のTNF−αレベルを低下させる化合物の投与によって悪液質を治療する必要がある。
【0025】
TNF−αはさらにまた、造血環境において可能性のある二重作用を通して、最も頻回には高齢者において発生するが小児においてもまれに発生する特発性骨髄異形成症候群などの血液学的悪性腫瘍の発生において役割を果たすことが疑われるが、これらの症候群は現在は急性白血病の早期であると見なされている。
【0026】
当技術分野では、上述した疾患すべてにとっての現行の予防または治療解決策を改善する、またはそれらの代替策を提供するという強い必要がある。当技術分野におけるこれらの様々な必要のうちの1つまたは複数を満たすことが、本発明の主要な目標を構成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
発明の概要
本発明は、ピリド(2,3−d)ピリミジン環の2、4および6位(この部分についての標準原子番号付けを使用する)上での3つの特定の組の置換基の所定の組み合わせが上述した医学的必要のうちの1つまたは複数を満たすことができる、そして予想外の生物学的特性を示すことができるという予想外の所見に基づいており、前記組み合わせは先行技術によって示唆されていない。そこで、本発明の重要な特徴は、ピリド(2,3−d)ピ
リミジン環の置換パターンであり、それは前記環の2、4および6位上の3つの置換基の任意の以下の組み合わせを含む、またはそれらからなる。ピリド(2,3−d)ピリミジン環の4−アミノ置換は所定の望ましい生物学的特性を入手するために適合しないことが見いだされているので、本発明のまた別の重要な特徴はピリド(2,3−d)ピリミジン環の置換パターンであり、前記環の4位上の置換基はアミノ(NH)ではない。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この所見に基づくと、本発明は、その第1態様の広範囲の表現において、構造式(I):
【0029】
【化1】

【0030】
(式中、
− RはアミノもしくはN−保護アミノである;
− Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、モノ−C1−7アルキルアミノ;モノ−アリールアミノ;モノ−アリールC1−7アルキルアミノ;モルホリニル;N−ピペリジニル;トリアゾリル;複素環置換アミノ;C1−7アルコキシ;オキシ複素環;ピペラジニルもしくはホモピペラジニルからなる群から選択されるが、このとき前記ピペラジニルは任意にアシル、C1−7アルキルもしくはアリールアルキルでN−置換されている;
− Rは、ハロゲン;ハロゲン、ハロC1−7アルキル、C1−7アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で任意に置換されたアリールおよびヘテロアリール基からなる群から選択される;および
− Rは水素である、
ただしRは、RがブロモでRがアミノである場合は1,2,4−トリアゾリルではないことを前提とする)を有する1組の新規な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、またはその医薬上許容される付加塩、またはそのジヒドロ誘導体もしくはテトラヒドロ誘導体、またはその立体異性体、またはそのN−オキシド、またはその溶媒和物に関する。
【0031】
第2態様では、本発明は、構造式(I)を有する生物活性の一部の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製するための中間物として有用である所定群の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジンに関する。添付の図1に示したように、そのような群には、以下が含まれるが、それらに限定されない:
− 2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−R−置換ピリド(2,3−d)ピリミジン(Rは式(I)に規定した通りである)、およびそれらの互変異性体の群;
− 2−N−保護−アミノ−4−ヒドロキシ−6−R−置換ピリド(2,3−d)ピリミジン、2−N−保護−アミノ−4−クロロ−6−R−置換ピリド(2,3−d)ピリミジンおよび2−N−保護−アミノ−4−トリアゾリル−6−R−置換ピリド(2,3−d)ピリミジン(式中、Rは式(I)に規定した通りであり、N−保護−アミノはアセトアミドおよびピバルアミドなどのアシルアミノであるが、それらに限定されない)の群。
【0032】
第3態様では、本発明は、リンパ球の増殖を減少させる、またはT細胞活性化を減少させる、またはB細胞もしくは単球もしくはマクロファージ活性化を減少させる、または所定のサイトカインの遊離を阻害する、またはヒトTNF−α産生を阻害する能力などであ
るが、それらに限定されない少なくとも1つの望ましい生物学的特性は、それの化合物などであるがそれらに限定されない構造式(I)(式中、
− RはアミノもしくはN−保護アミノである;
− Rは、モノ−C1−7アルキルアミノ;モノ−アリールアミノ;モノ−アリールC1−7アルキルアミノ;モルホリニル;N−ピペリジニル;トリアゾリル;複素環置換アミノ;C1−7アルコキシ;オキシ複素環;ピペラジニルもしくはホモピペラジニルからなる群から選択されるが、このとき前記ピペラジニルは任意にアシル、C1−7アルキルもしくはアリールアルキルでN−置換されている;
− Rは、ハロゲン、ハロC1−7アルキル、C1−7アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で任意に置換されたアリールおよびヘテロアリール基からなる群から選択される;および
− Rは水素である)を有する、その医薬上許容される付加塩、そのジヒドロ−もしくはテトラヒドロ誘導体、その立体異性体、そのN−オキシド、および/またはその溶媒和物を含む新規な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物の組内に存在する特徴であるという予想外の所見に関する。
【0033】
結果として、本発明は、有効成分として構造式(I)(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有する)を有する少なくとも1つの3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物、および/または医薬上許容されるその付加塩、および/またはそのジヒドロ誘導体もしくはテトラヒドロ誘導体、および/またはその立体異性体、および/またはそのN−オキシド、および/またはその溶媒和物を含む医薬組成物にさらに関する。
【0034】
詳細には、構造式(I)(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有する)を有するこれらの3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物は、高度に活性な免疫抑制薬、または1つまたは複数の医薬上許容される担体と一緒に、免疫および自己免疫障害、臓器および細胞移植拒絶反応、細胞増殖障害、心血管障害および中枢神経系の障害などを含むがそれらに限定されない病的状態を予防または治療するために適合する医薬組成物に製剤化することができる。構造式(I)(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有する)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物は、例えば:
− 敗血症性もしくは内毒素性ショック、
− TNF−α媒介性疾患、
− 哺乳動物の身体内の全身性、局所性もしくは特定組織タイプもしくは場所において発生する異常レベルのTNF−αに関連する、および/またはTNF−αによって誘導される病状および状態、
− TNF−αおよび/または抗癌化学療法薬の毒性作用、
− 放射性元素による哺乳動物組織の照射後の傷害、および
− 悪液質、などの哺乳動物におけるTNF−α関連性障害
を予防または治療するための薬剤を製造するための有効成分としても有用である。
【0035】
また別の態様では、本発明は、構造式(I)(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有する)を有する少なくとも1つの3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物と、免疫抑制薬および/または免疫調節薬、抗腫瘍薬、抗ヒスタミン剤もしくはアレルギー状態の原因物質の阻害剤などを含むがそれらに限定されない1つまたは複数の薬物とを一緒に含有する複合製剤にさらに関する。さらにまた別の態様では、本発明は、上記の障害もしくは病的状態のうちの1つまたは複数を予防または治療するための方法であって、前記方法がそれを必要とする患者(例、人間)へ構造式(I)(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有する)を有する有効量の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物を、任意に医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物および/または有効量のまた別の適切な薬物と一緒に含む複合製剤の形態で投与する工程によって実施される方法にさらに関する。
【0036】
さらにまた別の態様では、本発明は、例えば本明細書で上記に規定したような1つまたは複数の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン中間物を介して、構造式(I)(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有する)に規定された新規な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物、ならびにそれらの医薬上許容される塩、N−オキシド、溶媒和物および立体異性体を作製するための様々なプロセスおよび方法に関する。
【0037】
用語の定義
本明細書中で別途言及しない限り、用語「3置換(された)」は、ピリド(2,3−d)ピリミジン部分の2、4および6位(ピリド(2,3−d)ピリミジン部分についての標準原子番号付けにしたがう)にある少なくとも3つの炭素原子が水素以外の原子もしくは原子群と置換されていることを意味する。
【0038】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、他に規定されない限り、用語「C1−7アルキル」は、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、1−メチルエチル(イソプロピル)、2−メチルプロピル(イソブチル)、1,1−ジメチルエチル(ter−ブチル)、2−メチルブチル、n−ペンチル、ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、n−ヘプチルなどの1〜7個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状の飽和非環式炭化水素一価ラジカルを意味する;用語「C1−4アルキル」は1〜4個の炭素原子を有するそのようなラジカルの群を意味し、その他も同様である。
【0039】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「アシル」は、C1−7アルキルラジカル、アリールラジカル、アリールアルキルラジカルもしくは複素環ラジカルに隣接するカルボニル(オキソ)基を広く意味するが、それらの全部はそれらの小群を含めて、本明細書に規定したものである;アシルの代表的例には、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、ナフトイルなどが含まれるがそれらに限定されない。
【0040】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「アリール」は、例えばインダニル、テトラヒドロナフチル、フルオレニルなどの融合ベンゾ−C4−8シクロアルキルラジカルを含むフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラシル、フルオロアンテニル、クリセニル、ピレニル、ビフェニリル、テルフェニル、ピセニル、インデニル、ビフェニル、インダセニル、ベンゾシクロブテニル、ベンゾシクロオクテニルなどの6〜30個の炭素原子を有する任意の単環式もしくは多環式芳香族一価炭化水素ラジカルを指定しているが、それらに限定されず、前記のラジカルはすべてが例えば4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、トリフルオロメチルフェニルおよび3,4−ジメトキシフェニルなどのハロゲン、ハロC1−7アルキルおよびC1−7アルコキシ(それらの全部はそれらの小群を含めて、本明細書に規定されたものである)からなる群から独立して選択された1つまたは複数の置換基で任意に置換されている。
【0041】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「複素環式」は、2〜15個の炭素原子を有する、そして1つまたは複数の複素環中に1つまたは複数のヘテロ原子を含んでいる単環式もしくは多環式の、飽和もしくは1不飽和もしくは多不飽和の一価炭化水素ラジカルを意味しており、前記環の各々は3〜10個の原子(および任意にさらに例えばカルボニルの形態にある前記環の1つまたは複数の炭素原子に付着した、および/または例えばスルホン、スルホキシドもしくはN−オキシドの形態にある前記環の1つまたは複数の炭素原子に付着した1つまたは複数のヘテロ原
子を含んでいる)を有しており、前記ヘテロ原子の各々は、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立して選択され、さらに複素環が例えばベンゾ融合、ジベンゾ融合およびナフト融合複素環ラジカルの形態で1つまたは複数の芳香族炭化水素環に融合しているラジカルを含んでいる;この定義の中には、チエニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、トリアゾリル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニルなどであるがそれらに限定されない複素環ラジカルが含まれ、このとき前記複素環の各炭素原子はさらに独立して置換されてよい;3〜10個の炭素環内の不飽和の数に依存して、複素環ラジカルは当技術分野における標準知識にしたがって複素環式芳香族(もしくは「ヘテロアリール」ラジカルおよび非芳香族複素環ラジカルに分割することができる;前記複素環ラジカルのヘテロ原子が窒素である場合は、後者はC1−7アルキル、アリールもしくはアリールアルキルおよびアルキルアリール(それらは全部が、それらの小群を含めて本明細書に規定したものである)からなる群から選択される置換基と置換されてよい。
【0042】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「C1−7アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アリールアルキルオキシ」および「オキシ複素環」は置換基を意味するが、このときC1−7アルキル、各々アリール、アリールアルキルもしくは複素環ラジカルの炭素原子(それらの各々は、それらの小群を含めて本明細書に規定したものである)が、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、ペントキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ピペリジンオキシなどであるがそれらに限定されない一重結合を通して酸素原子に取り付けられている。
【0043】
本明細書中で使用する場合、置換原子に関しては、そして他に規定されない限り、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択された任意の原子を意味する。
【0044】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「ハロC1−7アルキル」は、1つまたは複数の水素原子がフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチルなどであるがそれらに限定されない対応する数のハロゲン原子(好ましくは、フッ素、塩素もしくは臭素)によって独立して置換されているC1−7アルキルラジカル(それらの小群を含む、上記に規定したものなど)を意味する。
【0045】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「アリールアルキル」は、その上にアリールラジカル(それらの小群を含む、上記に規定したものなど)が既にベンジル、4−クロロベンジル、4−フルオロベンジル、2−フルオロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、およびフェニルエチルなどであるがそれらに限定されないものに結合している脂肪族飽和炭化水素一価ラジカル(好ましくは、それらの小群を含めて、上記に規定したようなC1−7アルキルラジカル)を意味する。
【0046】
本明細書中で使用する場合、置換ラジカルに関しては、そして他に規定されない限り、用語「モノ−アルキルアミノ」、「モノ−アリールアミノ」、「モノ−アリールアルキルアミノ」は、1つのC1−7アルキル、アリール、アリールアルキルもしくは複素環(後者の場合にはアミノ基の窒素原子が複素環の炭素原子に付着していることを前提に)ラジカル(それらの各々は、各々本明細書に規定した通りである)が、アミノ、ベンジルアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ter−ブチルアミノおよびブロモアニリノなどであるがそれらに限定されない一重結合を通して窒素原子に取り付けられていることを意味する。
【0047】
本明細書中で使用する場合、そして他に規定されない限り、用語「立体異性体」は、考えられるすべての種々の異性体ならびに式(I)の化合物が有し得る立体配座形、詳細には基本分子構造の考えられるすべての立体化学的および立体配座的異性体形、全ジアステレオマ、エナンチオマおよび/またはコンフォーマを意味する。本発明の一部の化合物は、様々な互変異性体形で存在することができ、後者の全部は本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
本明細書中で使用する場合、そして他に規定されない限り、用語「エナンチオマ」は、少なくとも80%(すなわち、少なくとも90%の1つのエナンチオマおよび多くとも10%の他のエナンチオマ)、好ましくは少なくとも90%およびより好ましくは少なくとも98%の光学純度もしくは鏡像体過剰率(当技術分野において標準の方法によって決定される)を有する本発明の化合物の各個別の光学活性形を意味する。
【0049】
本明細書中で使用する場合、そして他に規定されない限り、用語「溶媒和物」には、適切な無機溶媒(例、水から形成された水和物)またはアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ニトリルなどであるがそれらに限定されない適切な有機溶媒を用いて本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体によって形成できる任意の組み合わせが含まれる。
【0050】
本明細書中で使用する場合、そして他に規定されない限り、用語「ジヒドロ誘導体」および「テトラヒドロ誘導体」は、構造式(I)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、すなわち、あと2つの水素原子がピリド(2,3−d)ピリミジン環の5および6位、もしくは7および8位に存在する、または各々あと4つの水素原子が前記環の5、6、7および8位に存在する誘導体のいずれかの水素化生成物である;そのような水素化ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体は、当技術分野においてよく知られている水素化法を用いて誘導体から容易に入手できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
発明の詳細な説明
上記の概要において説明したように、本発明は、第1態様において、構造式(I)(式中、R、RおよびRの各々は本明細書で上記に規定したように独立して選択され、Rは水素である)を有する広範囲の組の新規な化合物に関する。
【0052】
本発明の上記に規定した組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物の範囲内では、第1小群は構造式(I)(式中、R、RおよびRは本明細書の上記で規定した通りであり、Rはハロゲンもしくはトリアゾリルである)を有する新規な化合物を含んでおり、それらは主として構造式(I)(式中、R、RおよびRは本明細書の上記で規定した通りであり、Rは、ハロゲンもしくはトリアゾリルを除き、本明細書の上記で規定した通りである)を有する生物活性な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物を作製するための中間物として有用である。
【0053】
本発明の上記に規定した組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物の範囲内では、第2小群は構造式(I)(式中、R、RおよびRは本明細書の上記で規定した通りであり、Rはハロゲンである)を有する化合物を含んでおり、それらはそれら自体で生物活性を有し得る、および/または構造式(I)(式中、R、RおよびRは本明細書の上記で規定した通りであり、Rは、ハロゲンを除き、本明細書の上記で規定した通りである)を有する生物活性な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物を作製するための中間物として有用であり得る。
【0054】
本発明の化合物のそのような第1および第2小群は、添付の図1および2、および以下
の詳細な説明に例示されており、すなわちRはブロモであり、および/またはR(Lと示された場合に)はクロロもしくはトリアゾリルであるが、それらに限定されない。
【0055】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、R、RおよびRは本明細書での上記の極めて広範囲の表現において規定した通りである)を有する化合物の小群である。
【0056】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、RおよびRは本明細書での上記の極めて広範囲の表現において規定した通りであり、およびRは1置換もしくは多置換フェニル基である(前記フェニル基の1つまたは複数の置換基は本明細書の上記で規定した通りである))を有する化合物の小群である。
【0057】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、Rはモルホリニル;N−ピペリジニル;トリアゾリル;ピペラジニルもしくはホモピペラジニルであり、このとき前記ピペラジニルはアシルもしくはアリールアルキル(ベンジルピペラジニルなどであるがそれらに限定されない)と任意にN置換されている;およびRは1置換もしくは多置換フェニル基である(前記フェニル基の1つまたは複数の置換基は本明細書の上記で規定した通りである))を有する化合物の小群である。
【0058】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、Rはオキシ複素環(テトラヒドロ−ピラニルオキシまたはメチルピペリジンオキシなどであるがそれらに限定されない)であり、およびRは1置換もしくは多置換フェニル基である(前記フェニル基の1つまたは複数の置換基は本明細書の上記で規定した通りである))を有する化合物の小群である。
【0059】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、RはC1−7アルコキシ(好ましくは、メトキシ、プロポキシもしくはブトキシなどであるがそれらに限定されないC1−4アルコキシ)、およびRは1置換もしくは多置換フェニル基である(前記フェニル基の1つまたは複数の置換基は本明細書の上記で規定した通りである))を有する化合物の小群である。
【0060】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、Rはモノ−C1−7アルキルアミノ(好ましくは、モノプロピルアミノ)、モノ−アリールアミノ(好ましくは、アニリノもしくはブロモアニリノ)またはモノ−アリールC1−7アルキルアミノ(好ましくはベンジルアミノもしくはフェニルエチルアミノ)であり、およびRは1置換もしくは多置換フェニル基である(前記フェニル基の1つまたは複数の置換基は本明細書の上記で規定した通りである))を有する化合物の小群である。
【0061】
本発明の広範囲の組の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアミノであり、RおよびRは本明細書での上記の極めて広範囲の表現において規定した通りであり、およびRは本明細書の上記で規定したように2つ以下の置換基を有するフェニル基であり、好ましくは1つの置換基は前記フェニル環上のパラ位置にある)を有する化合物の小群である。
【0062】
本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物のまた別の実施形態は、構造式(I)(式中、Rはアシルアミノ(例、アセトアミドもしくはピバルアミド)などであ
るがそれらに限定されないN−保護アミノ基であり、およびR、RおよびRは本明細書の上記で規定した通りであり、詳細には、Rは1置換もしくは多置換フェニル基であり(それらの置換基は本明細書の上記で規定した通りである)、およびより好ましくは本明細書での上記で規定した2つ以下の置換基を有するフェニル基であり、好ましくは1つの置換基が前記フェニル環上のパラ位置にある)を有する化合物の小群である。
【0063】
本発明の第1態様では、新規な2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体は構造式(I)(式中、置換基R、RおよびRの各々は、詳細には「C1−7アルキル」、「アリール」、「複素環」、「ハロゲン」、「アリールアルキル」、「アルキルアミノ」、「アリールアミノ」、「アリールアルキルアミノ」、「オキシ複素環」、「複素環置換アミノ」、「C1−7アルコキシ」、「ハロC1−7アルキル」などの置換原子もしくはラジカルのために使用される一般名称の個別の意味(上述したように)を含む、上記に提供した定義のいずれかに独立して対応し得る)に規定した通りである。
【0064】
本発明の第2態様では、新規な2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン中間物は、特に図に示したように、本明細書に規定した通りであり、このとき置換基R、R、Rおよび/またはLの各々は一般式(I)に関して提供した定義のいずれかに、または以下のプロセスについての説明では、特に「C1−7アルキル」、「アリール」、「複素環」、「オキシ複素環」、「ハロゲン」、「アリールアルキル」、「アルキルアミノ」、「C1−7アルコキシ」、「ハロC1−7アルキルなどの置換原子もしくはラジカルのために使用される一般名称の個別の意味(上述したように)を含む、上記に提供した定義のいずれかに独立して対応し得る。
【0065】
一般式(I)を有する3置換化合物の組内では、重要な基は、Rが本明細書の上記で規定したような置換基Rと任意にN−置換されたピペラジニル基である基である。前記ピペラジニル基は、1つまたは複数の炭素原子で置換基Rの数nによってさらに置換されてよいが、このときnは0〜4の整数であり、nが少なくとも2である場合は、各Rは他から独立して規定できる。1つまたは複数の炭素原子での1つまたは複数のそのような置換基Rの存在は、一般式(I)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体内ならびにそれらを作製するために対応する中間物内へキラリティを導入するための適切な方法であり得る。実際に、そのような置換基Rの選択は、置換ピペラジンの商業的入手性によって制限され得る。より好ましくは、Rは、ピペラジン−1−イル基であり、nは0、1もしくは2であり、置換基Rの代表的な例は、2−メチルピペラジン−1−イル、2−フェニルピペラジン−1−イルおよび2,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルにおけるようなメチルもしくはフェニルである。この化合物群の範囲内では、本発明のより特異的な実施形態は、ピペラジニル基の2個の窒素原子の一方が前記窒素原子に好ましくは直接隣接するカルボニル(オキソ)官能基を有する置換基Rを有する実施形態である。これを言い換えると、この特定実施形態は、Rが各々、アシル、アミドもしくはカルボキシレートから選択される場合に、次にRがそれに付着している窒素原子と一緒に各々アミド、尿素もしくはカルバメート(carbamato)基を形成することを意味する。
【0066】
一般式(I)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体の特に有用な種は、置換基Rがピペラジン−1−イル基である種であり、このとき前記基は置換基Rと4位で置換されており、Rは:
− COR(式中、Rは、水素;C1−7アルキル;1つまたは複数の置換基で任意に置換されたアリール(上記に規定した通り);アリールオキシ;およびアリールアミノから選択される;Rの代表的であるが限定的ではない例には、ベンジルオキシ、フェノキシなどが含まれる;CORの代表的であるが限定的ではない例には、メチルフェニルカルバモイルが含まれる);および
−R11(式中、R11はベンジルなどであるがそれに限定されないアリールアルキルである)からなる群から選択される。
【0067】
本発明は、構造式(I)を有する新規な3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製するための様々なプロセスおよび方法をさらに提供する。一般的規則として、これらの化合物の調製は、適切なピリド(2,3−d)ピリミジン前駆体(通常は、2−R−置換−6−アミノ−ピリミジン−4−オン)から出発して、他の置換基RおよびRの各々がピリド(2,3−d)ピリミジン部分上の他の位置に既に存在する1つまたは複数の置換基の存在、または合成手順中に後でまた別の置換基を導入する能力に有害な影響を及ぼさずに個別に導入できるという原理に基づいている。
【0068】
目標とする最終化合物に依存して、2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体について当技術分野において既に知られている合成方法の代わりに、または随意にそれらと組み合わせて使用できる製造方法は、本発明者らによって開発されている。例えば、本発明のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体のモノ−N−オキシドの合成は、当業者によく知られている条件下で、前記誘導体を過酸化水素(例、酢酸の存在下において)またはクロロ過安息香酸などの過酸などであるがそれらに限定されない1つまたは複数の酸化剤で処理する工程によって容易に達成できる。
【0069】
以下では本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製するための方法を添付の図1を参照しながらより詳細に説明するが、このとき以下で他に規定されない限り、置換基もしくは原子R、RおよびRの各々は本発明の概要の構造式(I)に関して規定した通りであり、より詳細には、R、RおよびRの各々は上記に開示した個別の意味のいずれかに対応する。
【0070】
図1に含まれる反応工程の説明では、例えば所定の触媒および/または所定タイプの溶媒の使用が言及されている。触媒のタイプは、通常は対応する反応工程の遂行にとっては通常は重要ではないこと(場合により、達成される収率を除く)、そして言及された各触媒は関係する反応のタイプに関して当業者によく知られている触媒量で使用すべきであることを理解されたい。以下の反応工程において使用できる溶媒には、プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒および非極性溶媒ならびに関連する反応条件下では不活性である水性溶媒などであるがそれらに限定されない様々な種類の有機溶媒が含まれる。適切な溶媒のより特異的な例には、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、脂肪族炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、アミド、水もしくはそれらの混合物、ならびに例えば二酸化炭素などの超臨界溶媒(超臨界条件下で反応を実施する場合)などが含まれるが、それらに限定されない。各種類の反応工程に適用できる適切な反応温度および圧力条件、ならびに最も適切な溶媒の選択は、本明細書では詳述しないが、関係する反応のタイプおよび使用される溶媒のタイプ(特に、その沸点)に関して当業者に既に知られている関連する条件および溶媒からは逸脱しない。同様に、本発明の化合物を良好な収率および純度で作製するために望ましい様々な反応工程は本明細書において所定の順序で示され、記載されているが、当業者であれば、本明細書に提示した例示的スキームに関して反応工程の順序を変更させながら同一もしくは類似の結果に到達することができる。
【0071】
図1は、式(I)を有する2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、ならびにそのための中間物を作製するための方法の略図を示しているが、このとき2位における置換基はアシルアミノ(例、アセトアミドもしくはピバルアミド)などのN−保護アミノであってよい、および/または4位における置換基はヒドロキシ、ハロゲン(特にクロロ)またはトリアゾリルであってよい。第1工程(a)では、2−R−置換−6−アミノ−ピリミジン−4−(3H)オンが、ブロモマロンアルデヒドもしくはクロロマロンアルデヒドを用いて凝縮させられると、所望の2−R−置換−4−オキソ−6−ブ
ロモピリド[2,3−d]ピリミジン(図1に示す)または2−R−置換−4−オキソ−6−クロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体(図示していない)が産生する。
【0072】
ピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体骨格の6位にある臭素もしくは塩素原子は、Suzuki反応などであるがそれに限定されないパラジウム触媒反応におけるそれ以上の誘導体化に適合する置換基である。例えば、工程(a)の反応生成物の置換位置は次の工程(b)においてラジカルRを含むアリールボロン酸と反応させるために効率的に使用することができるが、前記アリールボロン酸のアリール基は1つまたは複数の置換基(上記の定義で言及したものなど)と任意に置換されており、したがって良好な収率で2−R−置換−4−オキソ−6−R−置換−ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体の生成をもたらす。または、前記Suzuki反応は、図1に示したように、工程(d)における置換基Rの導入後に、実施できる。その後の求核置換反応のためのピリド[2,3−d]ピリジミン骨格の4位で互変異性体ヒドロキシル基の活性化は、次の工程(c)において、例えば溶媒としてピリジン中のPOClもしくは4−クロロフェニルホスホロジクロリデートおよび1,2,4−トリアゾールを用いて、対応する2−R−置換−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−R−置換−ピリド[2,3−d]ピリミジンもしくは2−R−置換−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体(以下の実施例に例示したように)を調製することによって行われる。または、前記互変異性体ヒドロキシル基は、例えば、塩化チオニルもしくはPOClを用いた処理により、その後に2−R−置換−4−クロロ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンもしくは2−R−置換−4−クロロ−6−R−置換−ピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体が生じるように、塩素原子の導入によって活性化することもできる。両方の代替実施形態のトリアゾリル基もしくは塩素原子は、添付の図1においてLによって示されている。
【0073】
がアミノ基である場合は、反応工程(c)を実施する前にRの保護が望ましい、推奨される、または必要でさえあり得る。そのようなアミノ基は、例えばアシル基(例、ピバロイルもしくはアセチル)によって、例えば溶媒としてのピリジン中のピバロイル無水物もしくは酢酸無水物との反応によって、(当技術分野においてよく知られている保護方法を用いて)有効に保護することができる。この保護工程は、アセトアミドもしくはピバルアミドなどであるがそれらに限定されないN−保護アミノ基のピリド[2,3−d]ピリジミン骨格の2位での導入を生じさせるが、これは容易に変換させる、例えば加水分解させて、必要な場合は本プロセスの次の工程においてアミノ基に戻すことができる。
【0074】
トリアゾリル基もしくは塩素原子の求核置換は次の反応工程(d)において、2−R−置換−4−(1,2,4−トリアゾリル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンもしくは2−R−置換−4−クロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体と一般式RY(式中、Rは一般式(I)において規定した通りであり、Yは水素もしくはアルカリ金属である)を有する適切な求核基と反応させる工程によって実施される。適切な求核基には、例えば、アルキルアミン、アリールアミン、アリールアルキルアミン、モルホリン、ピペラジンもしくはN−置換ピペラジン(本明細書に詳述したものなど)、ホモピペラジン、ピペリジンもしくは置換ピペリジン、アルコキシドナトリウム、アリールオキシドナトリウム、アリールアルキルオキシドナトリウムなどが含まれ、そして反応工程(d)は、好ましくは1,4−ジオキサンなどであるがそれらに限定されない極性非プロトン性溶媒中において中等度の温度(通常はほぼ室温)で実施される。本方法の工程(d)において適切に使用できる市販のN−置換ピペラジンの代表的であるが非限定的例には、ベンジルピペラジンなどが含まれる。最終工程(図1には示していない)では、以前に導入されていてよい任意のアミノ保護基は、酸性もしくは塩基性加水分解などの標準開裂条件を使用することによって容易に開裂される。
【0075】
そこで、本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体もしくは中間物を作製するための方法は、2−R−置換−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンもしくは2−R−置換−6−クロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(式中、Rは構造式(I)に規定した通りである)を構造式(I)に規定した適切なアリールもしくはヘテロアリールラジカルRを含む(ヘテロ)アリールボロン酸と反応させる重要な工程(b)を含んでいる。この重要な工程(b)のためのピリド[2,3−d]ピリジミン出発材料は:
− Rがアミノであり、オキソ基(ヒドロキシル基にとっての互変異性体)がピリド[2,3−d]ピリジミン骨格の4位に存在する場合は、例えばTaylor et al. in Synth. Commun.(1988) 18:1187−1191から、当技術分野において既に知られているか、または
− オキソ基(ヒドロキシル基にとっての互変異性体)はピリド[2,3−d]ピリジミン骨格の4位に存在するが、Rがアミノとは相違する場合には、前記先行技術の参照において記載された方法との相似性によって対応する2−R−置換−6−アミノ−ピリミジン−4−(3H)オンから調製できるか、または
− ピリド[2,3−d]ピリジミン骨格の4位における置換基Rの導入後に上記の化合物から調製できる。
【0076】
図2は、式(I)(式中、4位にある置換基は、その第2窒素原子上で官能化されているピペラジン−1−イル基である)を有する2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製する方法を示した略図である。実際に、図1の工程(d)に使用される求核基が第2求核性窒素原子(例、ピペラジンもしくはホモピペラジン)を有する場合は、この第2窒素原子は、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンもしくはピリジンなどであるがそれらに限定されない非プロトン性溶媒中で、そして必要であれば有効量の3級アミン(例、トリエチルアミン)などの塩基の存在下で、適切なカルボン酸塩化物を用いた処理によって容易にアシル化できる。または、ピペラジン−1−イル部分の遊離アミノ基は、ジメチルホルムアミドもしくはジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中で適切なイソシアネートとの反応によって尿素に変換させることができる、またはジメチルホルムアミド、ジクロロメタンもしくはピリジンなどであるがそれらに限定されない非プロトン性溶媒中で、そして必要であれば、有効量の3級アミン(例、トリエチルアミン)などの塩基の存在下で、適切なクロロホルメートとの反応によってカルバミン酸塩に変換させることができる。
【0077】
また別の特定の実施形態では、本発明は、上記の式(I)を有しており、そして医薬上許容される塩の形態にある1群の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体に関する。後者には、式(I)を有する化合物が塩形成剤とともに形成できる任意の治療的に活性な非毒性付加塩が含まれる。そのような付加塩は、便宜的には本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を適切な塩形成酸もしくは塩基で処理する工程によって入手できる。例えば、塩基特性を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体は、従来方法にしたがって遊離塩基形を適切な量の適切な酸を用いて処理する工程によって対応する治療的に活性な、非毒性の酸付加塩に転換することができる。そのような適切な塩形成酸の例には、例えば、ヒドロハライド(例、塩酸塩および臭化水素酸塩)、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩などであるがそれらに限定されない塩の形成を生じさせる無機酸;および例えば、酢酸塩、プロパン酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、2−ヒドロキシプロパン酸塩、2−オキソプロパン酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、安息香酸塩、2−ヒドロキシ安息香酸塩、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸塩、ベンゼン−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、p−アミノサリチル酸塩、パモ酸塩、重酒石酸塩、ショウノウスルホン酸塩、1,2−エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、
グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドロキシナフトエート、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、マンデル酸塩、メチル硫酸塩、パントテン酸塩、ステアリン酸塩などの塩の形成を生じさせる有機モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、ならびにエタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)−2−ブテン二酸、(E)2−ブテン二酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2,3−ジヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸およびシクロヘキサンスルファミン酸などに由来する塩が含まれる。
【0078】
酸特性を有する一般式(I)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体は、類似の方法で、対応する治療的に活性な、非毒性塩基付加塩形に転換することができる。適切な塩形成塩基の例には、対応する金属塩を生じさせる例えば、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム、または亜鉛のようなアルカリおよびアルカリ土類金属の塩などであるがそれらに限定されない金属水酸化物のような無機塩基;アンモニア、アルキルアミン、ベンザチン、ヒドラバミン、アルギニン、リシン、N,N’−ジベンジル−エチレンジアミン、クロロプロカイン、塩素、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカインなどであるがそれらに限定されない有機塩基が含まれる。
【0079】
本発明の一般式(I)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を適切な塩形成酸もしくは塩基で処理するための反応条件は、同一酸もしくは塩基であるが各々塩基特性もしくは酸特性を備える相違する有機化合物を含む標準条件に類似する。好ましくは、特定疾患を治療するための医薬組成物もしくは薬剤の製造におけるその使用を考慮すると、医薬上許容される塩が設計されるであろう、すなわち、より大きな水溶性、より低い毒性、より大きな安定性、特異的結晶形および/または本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体へのより良好に制御された溶解速度を付与するように塩形成酸もしくは塩基が選択されるであろう。
【0080】
本発明は、一般式(I)によって表される3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、もしくはその医薬上許容される塩、もしくはそのジヒドロ誘導体もしくはテトラヒドロ誘導体、もしくはその立体異性体、もしくはそのN−オキシド、もしくはその溶媒和物の、生物活性成分としての、すなわち有効成分として、特には薬剤もしくは診断薬として、または薬剤もしくは診断キットを製造するための使用をさらに提供する。詳細には、前記薬剤は、例えば人間などの哺乳動物における:
− 免疫障害、詳細には臓器および細胞移植拒絶反応、および自己免疫障害、
− 心血管障害、
− 中枢神経系障害、
− TNF−α関連性障害、および
− 細胞増殖障害、
からなる群から選択された病的状態の予防または治療のためであってよい。
【0081】
以下では、前記使用が関与する病的状態および障害、ならびに対応する予防または治療方法について説明する。本発明に関して上述したいずれかの使用は、非医療的使用(例、化粧用組成物中において)、非治療的使用、非診断的使用、非ヒト使用(例、獣医学用組成物)、またはインビトロ専用、または動物から離れた場所での細胞を用いた使用に限定されることがある。
【0082】
1つの実施形態では、本発明は:
(a)一般式(I)によって表される組に属する1つまたは複数の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体(またはそれらの小群)、および
(b)1つまたは複数の医薬上許容される担体
を含む医薬組成物にさらに関する。
【0083】
また別の実施形態では、本発明は、一般式(I)によって表される組に属する1つまたは複数の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体(もしくはそれらの小群)と好ましくは免疫抑制薬および/または免疫調節薬および/または抗腫瘍薬からなる群から選択される1つまたは複数の生物活性薬との組み合わせ、好ましくは相乗作用性組み合わせを提供する。当技術分野において従来法であるように、薬物組み合わせにおける相乗作用の評価は、Chou et al. in Adv. Enzyme Reg.(1984) 22:27によって記載されたメジアン作用原理を用いて、個別薬物間の相互作用の定量を分析することによって行なうことができる。手短には、この原理は、2つの薬物間の相互作用(相乗作用、加算性、拮抗作用)が以下の等式によって規定された組み合わせ指数(以下ではCIと呼ぶ)を用いて定量できることを述べている。
【0084】
【数1】

【0085】
(式中、EDは、所定の作用を生成するために必要とされる、単独で使用された第1もしくは各々第2薬物(1a、2a)、または第2もしくは各々第1薬物(1c、2c)と組み合わせた場合の用量である。前記第1および第2薬物は、各々CI<1、CI=1、またはCI>1に依存して相乗性もしくは加算性もしくは拮抗性作用を有する。以下でより詳細に説明するように、この原理は、例えば移植拒絶反応に対する活性、免疫抑制もしくは免疫調節に対する活性、または細胞増殖に対する活性などであるがそれらに限定されない多数の望ましい作用に適用することができる。
【0086】
例えば本発明は、免疫抑制もしくは免疫調節に対する相乗作用を有しており、そして自己免疫障害の治療もしくは予防および/または移植拒絶反応において同時に、個別に、もしくは連続的に使用するための:
(a)1つまたは複数の免疫抑制薬および/または免疫調節薬、および
(b)一般式(I)によって表される組に属する少なくとも1つの3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体(またはそれらの小群)、および
(c)任意に1つまたは複数の医薬賦形剤もしくは医薬上許容される担体、を含有する医薬組成物もしくは複合製剤に関する。
【0087】
本発明の相乗作用組成物もしくは複合製剤に包含するために適切な免疫抑制薬は、よく知られている治療クラスに属する。それらは、制限なく、シクロスポリンA、置換キサンチン(例、ペントキシフィリンなどのメチルキサンチン類)、ダルトロバン、シロリムス、タクロリムス、ラパマイシン(および以下に規定するようなその誘導体)、レフルノミド(もしくはその主要な活性代謝産物A771726、またはマロンニトリルアミドと呼ばれるその類似体)、ミコフェノール酸およびその塩(商標名Mofetil(登録商標)を付けて市販されているナトリウム塩を含む)、副腎皮質ステロイド、アザチオプリン、ブレキナール、グスペリムス、6−メルカプトプリン、ミゾリビン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、および免疫抑制特性を備えるモノクローナル抗体(例、エタネルセプト、インフリキシマブもしくはキネレット)からなる群から選択されてよい。本発明の意味の範囲内での副腎皮質ステロイドには、主として、シプロシノニド、デソキシコルチシステロン、フルドロコルチゾン、フルモキソニド、ヒドロコルチゾン、ナフロコート(naflocort)、プロシノニド(procinonide)、チモベゾン(timobesone)、チプレダン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、メトトレキセート、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンおよびそれらの医薬上許容される
塩などであるがそれらに限定されないグルココルチコイドが含まれる。本明細書で言及したラパマイシン誘導体には、O−アルキル化誘導体、詳細には9−デオキソラパマイシン、26−ジヒドロラパマイシン、例えばSDZ−RADとしても知られる40−O−(2−ヒドロキシ)エチルラパマイシンなどの−40−O−置換ラパマイシンおよび28,40−O,O−2置換ラパマイシン(米国特許第5,665,772号に開示されている)、PEG化ラパマイシン(米国特許第5,780,462号に開示されている)、7−デスメチルラパマイシンのエーテル(米国特許第6,440,991号に開示されている)およびSDZ−RADのポリエチレングリコールエステル(米国特許第6,331,547号に開示されている)が含まれる。
【0088】
本発明の相乗作用免疫調節医薬組成物もしくは複合製剤中に包含するために適切な免疫調節薬は、制限なく、アセマンナン、アミプリロース、ブシラミン、ジメプラノール、ジチオカルブナトリウム、イミキモド、イノシンプラノベクス、インターフェロンβ、インターフェロンγ、レンチナン、レバミソール、リソフィリン、ピドチモド、ロムルチド、プラトニン、プロコダゾール、プロパゲルマニウム、サイモモデュリン、サイモペンチンおよびウベニメクスからなる群から選択されてよい。
【0089】
免疫抑制もしくは免疫調節に対する本発明の医薬組成物もしくは複合製剤の相乗作用活性は、1つまたは複数のリンパ球活性化試験によって容易に決定できる。通常、活性化はリンパ球増殖によって測定される。そのため増殖の阻害は、必ず適用された実験条件下での免疫抑制を意味する。リンパ球活性化に対する様々な刺激があり、詳細には:
a)いわゆる混合リンパ球培養試験における様々な種のリンパ球の共培養(混合リンパ球反応、以下ではMLRと呼ぶ):HLA−DRタイプの様々な小さい、および大きい抗原を発現するリンパ球(=アロ抗原)は、非特異的に相互を活性化する;
b)外因性で付加された抗体によるTリンパ球の活性が存在する場合のCD3アッセイ(OKT3)。この抗体は、共刺激機能を有するリンパ球膜上に所在するCD3分子に対して反応する。OKT3とCD3との間の相互作用は、Ca+/カルモジュリン/カルシニューリン系を介して進行し、例えばシクロスポリンA(以下ではCyAと呼ぶ)によって阻害されうるT細胞活性化を生じさせる;
c)Tリンパ球の特異的活性化が、同様にリンパ球膜上に所在して強力な共刺激シグナルを送達するCD28分子に対する外因性で付加された抗体によって進行するCD28アッセイ、が存在する。この活性化はCa+−非依存性であるので、CyAによって阻害することはできない。
【0090】
本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、ならびにそれらを含む相乗性組み合わせの免疫抑制もしくは免疫調節活性の決定は、好ましくは1つまたは複数の、好ましくは2つの、およびより好ましくは3つのリンパ球活性化インビトロ試験に基づくが、本試験セットは、最も好ましくは上述したMLR試験、CD3アッセイおよびCD28アッセイのうちの少なくとも1つを含んでいる。好ましくは、使用されるリンパ球活性化インビトロ試験には、好ましくは同一の一般タイプのクラスターおよびより好ましくはI型膜貫通タンパク質に属する2つの相違する分化クラスターについての少なくとも2つのアッセイが含まれる。任意に、免疫抑制もしくは免疫調節活性の決定は、他のリンパ球活性化インビトロ試験に基づいて、例えば、TNF−αアッセイもしくはIL−1アッセイもしくはIL−6アッセイもしくはIL−10アッセイもしくはIL−12アッセイもしくはそのようなクラスターのまた別の一般タイプに属する、およびより好ましくはCD69、CD71もしくはCD134などであるがそれらに限定されないII型膜貫通タンパク質に属する分化クラスターについてのアッセイを実施することによって実施できる。
【0091】
相乗作用は、本明細書で上述したメジアン作用分析方法によって評価できる。そのような試験は、例えば当技術分野における標準慣行によると、分析終了時に、これらの精製さ
れたバッチがさらに分析される前に、多数の細胞下位区分を分離および分類することのできる、フローサイトメータなどの装置の使用を含むことができる。
【0092】
移植拒絶反応の予防または治療における本発明の医薬組成物の相乗作用活性は、例えばLin et al. in Transplantation(1997) 63:1734−1738によって記載された全血アッセイ(以下ではWBAと呼ぶ)において実施される1つまたは複数の白血球活性化試験によって容易に決定することができる。本明細書で使用するWBAは、事前に本発明の2置換もしくは3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、および任意に他の免疫抑制薬がインビボで与えられた動物から採取された全血中に存在するリンパ球を用いてインビトロで実施されるリンパ増殖アッセイである。よってこのアッセイは、インビトロ読み出しアッセイによって評価されるような物質のインビボ作用を反映している。相乗作用は、本明細書で上述したメジアン作用分析方法によって評価できる。動物における様々な臓器移植モデルはインビボでもまた利用可能であり、これらは使用されるドナーおよびレシピエント種に依存して、そして移植された臓器の性質に依存して、様々な免疫原性によって強度に影響を受ける。そこで移植された臓器の生存時間は、免疫応答の抑制を測定するために使用できる。
【0093】
本発明による免疫抑制もしくは免疫調節に対する相乗作用活性を備える医薬組成物もしくは複合製剤は、企図される特異的使用および該当する患者にその製剤が及ぼす期待される作用に依存して、広い含量範囲にわたって式(I)の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を含有していてよい。通常は、本発明の複合製剤中の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体含量は、0.1〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%の範囲内である。
【0094】
本発明は、細胞増殖に対する相乗作用を有しており、そして細胞増殖障害の治療もしくは予防において同時に、個別に、もしくは連続的に使用するための:
(a)1つまたは複数の抗腫瘍薬、および
(b)一般式(I)によって表される組に属する少なくとも1つの3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体(またはそれらの小群)、および
(c)任意に1つまたは複数の医薬賦形剤もしくは医薬上許容される担体
を含有する組成物もしくは複合製剤にさらに関する。
【0095】
本発明の相乗作用性抗増殖性医薬組成物もしくは複合製剤中に包含するために適切な抗腫瘍薬は、制限なく、アルカロイド、アルキル化剤(アルキルスルホン酸塩、アジリジン、エチレンイミン、メチルメラミン、ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアを含むがそれらに限定されない)、抗生物質、抗代謝薬(葉酸類似体、プリン類似体およびピリミジン類似体を含むがそれらに限定されない)、酵素、インターフェロンおよび白金錯体からなる群から選択できる。より特定の例には、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン;ビスナフィド;ビゼレシン;ブレオマイシン;ブレキナール;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;エフロミチン;エルサミトルシン;エノプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;エピルビシン;エルブロゾール;エソルビシン;エスト
ラムスチン;エタニダゾール;エチオド化油I131;エトポシド;エトプリン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン;フォストレシン;ゲンシタビン;金198;ヒドロキシウレア;イダルビシン;イフォスファミド;イルモノフォシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−1a;インターフェロンγ−1b;イプロプラチン;イリノテカン;ランレオチド;レトロゾール;ロイプロリド;リアロゾール;ロメトレキソール;ロムスチン;ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン;メゲストロール;メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;ミトマイシン;ミトスペル;ミトタン;ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピボブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマー;ポリフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン;ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパーフォセート;スパーソマイシン;スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウム89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガラン;テガフール;テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパラザミン;トポテカン;トレミフェン;トレストロン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン;ビンクリスチン;ビンデシン;ビネピジン;ビングリシネート;ビンロイロシン;ビノレルビン;ビンロシジン;ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシン;およびそれらの医薬上許容される塩が含まれる。
【0096】
その他の適切な抗腫瘍化合物には、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンDなどであるがそれらに限定されないビタミンD誘導体;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドクス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレライド;アナストロゾール;アンドログラフォライド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アントラレリクス;抗背方化形態形成タンパク質−1;ベノルテロン、シオテロネル、シプロテロン、デルマジノン、オキセンドロン、トプテロン、ザノテロンおよびそれらの医薬上許容される塩などであるがそれらに限定されない抗アンドロゲン薬;クロメテロン;デルマジノン;ナフォキシジン;ニトロミフェン;ラロキシフェン;タモキシフェン;トレミフェン;トリオキシフェンおよびそれらの医薬上許容される塩などであるがそれらに限定されない抗エストロゲン薬;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィディコリングリシネート;アポトーシス性遺伝子調節剤;アポトーシス調節剤;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;β−ラクタム誘導体;β−アレシン(alethine);ベータクラマイシン(betaclamycin)B;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビスアントレン;ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリ
アゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤;カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クロミフェンおよびその類似体;クロトリマゾール;コリスマイシン(collismycin)AおよびB;コンブレタスタチンおよびその類似体;コナゲニン;クラムベスシジン(crambescidin)816;クリプトフィシンおよびその誘導体;キュラシンA;シクロペンタントラキノン(cyclopentanthraquinones);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビン;細胞溶解性因子;サイトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ;デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B;デスロレリン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ディデムニンB;ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine);ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エレメン;エミテフール;エプリステリド;エストロゲンアゴニストおよびアンタゴニスト;エキセメスタン;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン(fluasterone);フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);ホルフェニメクス;ホルメスタン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イドキシフェン;イドラマントン;アイロマスタット(ilomastat);イミダゾアクリドン(imidazoacridones);イミキモド;免疫刺激性ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;イオベングアン;ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin);イポメアノール;イリノテカン;アイロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン;ジャスプラキノリド(jasplakinolide);カハラリド(kahalalide)F;ラメラリン−N;レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム;レンチナン;レプトールスタチン(leptolstatin);白血病阻害因子;リュープロレリン;レバミソール;リアロゾール;リソクリンアミド(lissoclinamide);ロバプラチン;ロンブリシン(lombricine);ロニダミン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン(lutetium texaphyrin);リソフィリン(lysofylline);マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックス金属蛋白分解酵素阻害剤;メルバロン(merbarone);メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;ミトナフィド(mitonafide);ミトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン;モファロテン;モルグラモスチム;ヒト絨毛性ゴナドトロピンモノクローナル抗体;モピダモール;マイカペロキシド(mycaperoxide)B;ミリアポロン(myriaporone);N−アセチルジナリン(acetyldinaline);N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン;ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ナイサマイシン(nisamycin);一酸化窒素調節剤;ニトロオキシド抗酸化物質;ニトルリン(nitrullyn);オクトレオチド;オキセノン(okicenone);オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシ
ン(oracin);オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン(oxaunomycin);パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸;パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン;パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ペルデシン;ペントサン;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);パーフルブロン;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン(phenazinomycin);フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンAおよびB;プラスミノーゲンアクチベータ阻害剤;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ラルチトレキセド(raltitrexed);ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;レテリプチン(retelliptine);エチドロン酸レニウム186;リゾキシン;レチンアミド;ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメクス;ルビジノン(rubiginone)B1;ルボキシル(ruboxyl);セイントピン(saintopin);サルコフィトールA;サルグラモスチム;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテートナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スプレノペンチン(splenopentin);スポンジスタチン(spongistatin)1 ;スクアラミン;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシン(stromelysin)阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン(swainsonine);タリムスチン;タモキシフェン;タウロムスチン;タザロテン;テコガラン(tecogalan);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモゾロマイド;テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide);テトラゾミン(tetrazomine);サリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポイエチン;サイマルファシン;サイモポイエチン受容体アゴニスト;サイモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チタノセン;トプセンチン(topsentin);トレチノイン;トリアセチルウリジン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン(tyrphostins);ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バリオリン(variolin)B;ベラレソール;ベラミン(veramine);バージン(verdins);ベルテポルフィン;ビンキサルチン;ビタキシン(vitaxin);ザノテロン(zanoterone);ジラスコルブ;およびそれらの医薬上許容される塩が含まれる。
【0097】
本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン化合物は、安定化された微小管に起因するG2−M相内の細胞を停止させることによって機能する1つまたは複数の抗癌薬と組み合わせて投与することもできる。タキソール(パクリタキセル)、その類似体および誘導体に加えて、この機序によって機能する抗癌薬の他の例には、制限なく、以下の市販薬物および開発中の薬物が含まれる:エルブロゾール、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート、ジスコデルモライド(discodermolide)、アルトルリルチン(altorhyrtins)、スポンジスタチン、塩酸セマドチン、エポチロン、デスオキシポチロン(desoxyepothilone)、16−アザ−エポチロン、21−アミノエポチロン、21−ヒドロキシエポチロン、26−フルオロエポチロン、オーリスタチン(auristatin)、ソブリドチン、クリプトフィシン、ビチレブアミド(vitilevuamide)、チューブリシン(tubulysin)、カナデンソール(canadensol)、センタウレイジン、オンコシジン(oncocidin)、
フィジャノライド(fijianolide)、ラウリラマイド(laulimalide)、ナルコシン(narcosine)、ナスカピン(nascapine)、ヘミアステルリン(hemiasterlin)、バナドセン(vanadocene)アセチルアセトネート、モンサトロール(monsatrol)、イナノシン(inanocine)、エロイテロビン(eleutherobins)、カリベオシド(caribaeoside)、カリベオリン(caribaeolin)、ハリコンドリン、ジアゾナミド、タッカロノライド(taccalonolide)、ジオゾスタチン(diozostatin)、フェニラヒスチン(phenylahistin)、ミオセベリン(myoseverin)、レスベラスタチン(resverastatin)リン酸ナトリウム、およびそれらの医薬上許容される塩が含まれる。
【0098】
細胞増殖に対する本発明の医薬組成物もしくは複合製剤の相乗作用活性は、腫瘍細胞系の培養中のH−チミジンの組み込みの結果として生じる放射能の測定などであるがそれに限定されない1つまたは複数の試験によって容易に決定できる。例えば、試験化合物の抗腫瘍作用を評価するために:
− RPMI1788ヒト末梢血白血球(PBL)白色人種腫瘍系、
− Jurkat:ヒト急性T細胞性白血病、
− EL4:C57BI/6マウスリンパ腫、または
− THP−1:ヒト単球腫瘍系
などであるがそれらに限定されない様々な腫瘍細胞系を選択できる。
【0099】
選択された腫瘍細胞系に依存して、そして当技術分野における一般知識にしたがって、そのような試験のために、例えば:
− RPMM 788およびTHP−1に対して:RPMI−1640+10% FCS+1% NEAA+1%ピルビン酸ナトリウム+5×10−5メルカプト−エタノール+抗生物質(G−418 0.45μg/mL)。
− JurkatおよびEL4に対して:RPMI−1640+10% FCS+ 抗生物質(G−418 0.45μg/mL)などの様々な培養培地を使用できる。
【0100】
細胞増殖相乗作用決定試験の特定の実施形態では、腫瘍細胞系が採取され、全培地中の0.27×10cells/mLの懸濁液が調製される。懸濁液(150μL)は、3つずつマイクロタイタープレートへ添加される。完全培地(コントロール)もしくは試験濃度(50μL)での試験化合物が、マイクロタイタープレート内の細胞懸濁液に添加される。細胞は、5% CO下で16時間にわたり37℃でインキュベートされる。H−チミジンが加えられ、細胞はさらに8時間インキュベートされ、次に採取され、そしてβ−カウンタで1分当たりの数(CPM)で放射能が測定される。H−チミジン細胞含量、したがって測定された放射能は、細胞系の増殖と比例している。相乗作用は、本明細書で先に開示したメジアン作用分析方法によって評価される。
【0101】
本発明による細胞増殖に対する相乗作用活性を備える医薬組成物もしくは複合製剤は、企図される特異的使用およびその製剤が及ぼす予想作用に依存する広い含量範囲にわたって一般式(I)の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体(そのあらゆる種を含む)を含有していてよい。一般には、複合製剤の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体含量は、0.1〜99.9重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%の範囲内である。
【0102】
本発明による医薬組成物および複合製剤は、経口で、または任意の他の適切な方法で投与できる。経口投与は多数の状況において好ましく、対応する組成物もしくは製剤は、錠剤、水性分散剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤もしくはゲル剤の形態を有していてよい。投与形は、その
ような医薬組成物もしくは製剤を製造するために当技術分野において知られている任意の方法を用いて調製することができ、甘味料、フレーバー剤、着色剤、保存剤などであるがそれらに限定されない1つまたは複数の添加物を含んでいてよい。
【0103】
医薬上許容される担体物質および賦形剤については以下で詳述するが、特に、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤、結合剤などを含むことができる。本発明の医薬組成物もしくは複合製剤は、任意の不活性固体希釈剤もしくは担体物質と混合してゼラチンカプセル内に含まれてよい、またはその中で成分が水もしくは油性溶媒と混合されている軟質ゼラチンカプセルの形態を有している。水性分散剤は、懸濁化剤、分散剤もしくは湿潤剤と組み合わせた生物活性組成物もしくは複合製剤を含んでいてよい。油性分散剤は、植物油などの懸濁化剤を含んでいてよい。直腸投与もまた、例えば坐剤もしくはゲル剤の形態で適用可能である。注射(例、筋肉内もしくは腹腔内)は、治療対象の障害および患者の状態に依存して、例えば注射溶液もしくは分散液の形態で、投与様式として適用できる。
【0104】
本発明の医薬組成物もしくは複合製剤によって予防または治療できる自己免疫障害には:
−狼瘡性エリテマトーデス、乾癬、脈管炎、多発性筋炎、強皮症、多発性硬化症、強直性脊椎炎、慢性関節リウマチおよびシェーグレン症候群などであるがそれらに限定されない全身性自己免疫疾患;甲状腺炎などの自己免疫性内分泌障害;および
−アジソン病、溶血性もしくは悪性貧血、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、特発性血小板減少性紫斑病、インスリン依存型糖尿病、若年性糖尿病、ブドウ膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、天疱瘡、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肺炎、自己免疫性心臓炎、重症筋無力症、糸球体腎炎および特発性不妊症などであるがそれらに限定されない臓器特異的自己免疫疾患、の両方が含まれる。
【0105】
本発明の医薬組成物もしくは複合製剤によって予防または治療できる移植拒絶反応には、宿主対移植片反応疾患などであるがそれらに限定されない、移植もしくはグラフト化された臓器もしくは細胞(同種移植片および異種移植片の両方)の拒絶反応が含まれる。本明細書で使用する用語「臓器」は、腎臓、肺、骨髄、毛髪、角膜、眼(硝子体)、心臓、心臓弁、肝臓、膵臓、血管、皮膚、筋肉、骨、腸もしくは胃などであるがそれらに限定されない、哺乳動物、特にはヒトにおける全臓器もしくは臓器の部分を意味する。本明細書で使用する用語「拒絶反応」は、最終的には移植された臓器内での細胞もしくは組織の死をもたらす、または移植された臓器もしくはレシピエントの機能的能力および生存性に有害な影響を及ぼすレシピエントの身体もしくは移植された臓器の全部の反応を意味する。詳細には、これは急性および慢性拒絶反応を意味する。本発明には、細胞移植片および異種移植の拒絶反応を予防または治療する工程もまた含まれる。異種移植にとっての主要なハードルは、同種移植片の拒絶反応の原因となるTリンパ球が活性化される前でさえ、先天性免疫系、詳細にはT非依存性Bリンパ球およびマクロファージが活性されることである。これは、過活動拒絶反応および血管拒絶反応と各々呼ばれる2つのタイプの重症および早期の急性拒絶反応を引き起こす。本発明は、シクロスポリンAのような従来型免疫抑制薬が異種移植においては無効であるという問題を取り扱う。本発明の化合物がT非依存性異種抗体産生ならびにマクロファージ活性化を抑制する能力は、異種ハムスター心臓移植片を受領した胸腺欠損性、T欠乏性マウスにおける異種移植片拒絶反応を予防する能力において評価できる。
【0106】
本発明の医薬組成物もしくは複合製剤によって予防または治療できる細胞増殖性障害には、任意の腫瘍進行もしくは侵襲または任意のタイプであるが、好ましくは肺癌、白血病、卵巣癌、肉腫、カポジ肉腫、髄膜腫、大腸癌、リンパ節腫瘍、多形性神経膠芽細胞腫、前立腺癌、骨癌、精巣癌、または皮膚癌からなる群から選択される1つの癌の侵襲もしく
は転移の阻害が含まれる。
【0107】
本発明の医薬組成物もしくは製剤によって予防または治療できる中枢神経系障害には、認知症、脳虚血、外傷、てんかん、統合失調症、慢性疼痛などであるがそれらに限定されない認知障害およびうつ病、対人恐怖症および強迫神経障害などであるがそれらに限定されない神経障害が含まれる。
【0108】
本発明の医薬組成物によって予防または治療できる心血管障害には、虚血性障害、梗塞もしくは再還流損傷、アテローム硬化症および脳卒中が含まれる。
【0109】
本発明の医薬組成物によって予防または治療できるTNF−α−関連性障害には以下の:
− 詳細には治療開始時に1,000pg/mLを超えるインターロイキン6の血清中レベルを有する患者における敗血症性もしくは内毒性ショックまたは敗血症;
− 播種性血管内凝固および川崎病などであるがそれらに限定されない血管性TNF−α−媒介性疾患;
− 全身性、局在性もしくは特定組織タイプ中または哺乳動物の身体内の部位において発生するTNF−α(本明細書では、正常健常被験者において存在するTNF−αレベルの少なくとも10%を超える、および高くても500%であると規定する)の異常レベルに関連する、および/または誘導される病状および状態;そのような組織タイプには、血液、リンパ、肝臓、腎臓、脾臓、心筋もしくは血管、脳もしくは脊髄白質もしくは灰白質、軟骨、靱帯、腱、肺、膵臓、卵巣、精巣および前立腺が含まれるがそれらに限定されない。異常TNF−αレベルは、関節、神経血管接合部および骨などの身体内の特定領域もしくは細胞に局在することもあり得る。そのような病理には、アルコール誘発性肝炎;皮質脊髄系の病変を含む錐体外路系および小脳障害などの神経変性疾患;大脳基底核障害;舞踊病などの過剰運動障害;薬剤誘発性の運動障害;パーキンソン病などの運動低下障害;脊髄性運動失調、多系統変性症(デジェリン・クルムプケ症候群を含む)および全身性障害(レフサム病、無βリポタンパク血症、運動失調症および毛細血管拡張症)などの脊髄小脳変性;神経原性筋萎縮症(筋萎縮性側索硬化症、乳児脊髄性筋萎縮症および若年性脊髄性筋萎縮症などの前角細胞変性)などの運動単位の障害;アルツハイマー病;ウェルニッケ・コルサコフ症候群;クロイツフェルト・ヤコブ病;ハーラーフォルデン・シュパッツ病;および原発性もしくは続発性骨髄異形成症候群が含まれる;
− TNF−αおよび/または抗癌化学療法薬の毒性作用、特には、例えばシスプラチンの使用後の抗腫瘍療法中のTNF−α生成に関連する副作用;
− 放射線誘発性移植片対宿主疾患などであるがそれらに限定されない放射性元素による哺乳動物(例、人間)の組織の照射後の傷害;および
− 悪液質および、吸収障害、過剰な肉体的ストレス、摂食障害、およびAIDSなどであるがそれらに限定されない、癌または他の慢性疾患に関連する類似の慢性消耗性疾患、が含まれる。
【0110】
本発明のこの実施形態における薬剤は、予防的使用のためであってよい、すなわち、TNF−αレベルの上昇が予想される、またはそれが望ましくない高レベル(本明細書の上記に規定したとおり)に達した後もしくはTNF−αレベルが患者において上昇している時点でTNF−αレベルを減少させる際に使用するためであってよい。
【0111】
医薬組成物および複合製剤に関連して本明細書で使用する用語「医薬上許容される担体もしくは賦形剤」は、それとともに有効成分、すなわち一般式(I)の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、および任意に免疫抑制薬もしくは免疫調節薬もしくは抗腫瘍薬が、例えば前記組成物を溶解する、分散させるもしくは拡散させることによって、治療される場所への投与もしくは播種を促進するために、および/またはその有効性を損な
うことなくその貯蔵、輸送もしくは取り扱いを容易にするために調製できる任意の材料もしくは物質を意味する。医薬上許容される担体は、固体もしくは液体もしくは液体を形成するために圧縮されている気体であってよい。すなわち、本発明の組成物は、濃縮物、エマルジョン、液剤、顆粒剤、ダスト剤、スプレー剤、エアゾール剤、ペレット剤もしくは散剤として適切に使用できる。
【0112】
前記医薬組成物およびそれらの製剤において使用するために適切な医薬担体は、当業者にはよく知られている。本発明の範囲内でのそれらの選択に特別の制限はないが、それでも本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体の通常は低いもしくは極めて低い水溶性のために、予想される徐放性プロファイルに関してそれらを適正に調製することに役立ち得る適切な担体組み合わせの選択に特別な注意が払われるであろう。適切な医薬担体には、同一物は医薬実践と一致していることを前提として、湿潤剤、分散剤、粘着剤、接着剤、乳化剤もしくは界面活性剤、増粘剤、錯化剤、ゲル化剤、溶媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤(例えばフェノール、ソルビン酸、クロロブタノール)、等張剤(糖もしくは塩化ナトリウムなど)、すなわち哺乳動物へ永久的損傷を生じさせない担体および添加物であるがそれらに限定されない添加物が含まれる。本発明の医薬組成物は、任意の既知の方法で、例えば生物活性成分を選択された担体物質と、そして適切な場合は、界面活性剤などの他の添加物と単一工程もしくは複数工程方法で、均質に混合する、溶解する、スプレー乾燥する、コーティングする、凍結乾燥する、押出成形する、製粉する、および/または微粉砕する工程によって調製でき、さらにまた例えばそれらを通常は約1〜10μmの径を有するミクロスフェアの形態で入手するため、つまり生物活性成分の制御性放出もしくは持続性放出のためのマイクロカプセルの製造のために、微粉末化によって調製できる。
【0113】
本発明の医薬組成物において使用すべき適切な界面活性剤は、優れた乳化、分散および/または湿潤特性を有する非イオン性、カチオン性および/またはアニオン性物質である。適切なアニオン性界面活性剤には、水溶性石けんおよび水溶性合成界面活性剤の両方が含まれる。適切な石けんには、高級脂肪酸(C10−C22)のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、未置換もしくは置換アンモニウム塩、例えばオレイン酸もしくはステアリン酸、またはヤシ油もしくは獣脂油から入手できる天然脂肪酸混合物のナトリウムもしくはカリウム塩が含まれるがそれらに限定されない。合成界面活性剤には、ポリアクリル酸のナトリウムもしくはカルシウム塩;脂肪スルホン酸塩および硫酸塩;スルホン化ベンズイミダゾール誘導体およびアルキルアリールスルホン酸塩が含まれる。脂肪スルホン酸塩および硫酸塩は、通常はアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、未置換アンモニウム塩もしくは8〜22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシルラジカルと置換されたアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩または天然脂肪酸、硫酸もしくはスルホン酸エステル(硫酸ラウリルナトリウムなど)のスルホン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩から入手された脂肪アルコール硫酸塩および脂肪アルコール/酸化エチレン付加物の混合物の形態にある。適切なスルホン化ベンズイミダゾール誘導体は、好ましくは8〜22個の炭素原子を含有する。アルキルアリールスルホン酸塩の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸もしくはジブチル−ナフタレンスルホン酸のナトリウム、カルシウムもしくはアルカノールアミン塩またはナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物である。さらにまた適合するのは、対応するリン酸塩、例えばリン酸エステルの塩およびエチレンおよび/またはプリピレンオキシドを備えるn−ノニルフェノールの付加物、またはリン脂質である。この目的に適合するリン脂質は、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタニル−ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンなどのセファリンもしくはレシチンタイプの(動物もしくは植物細胞由来の)天然もしくは合成リン脂質およびあらゆる比率にあるそれらの混合物である。
【0114】
適切な非イオン性界面活性剤には、例えば脂肪族および脂環式アルコール、飽和および不飽和脂肪酸およびアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体などの、アルキルフェノール、脂肪アルコール、脂肪酸、分子内に少なくとも12個の炭素原子を含有する脂肪族アミンもしくはアミド、アルキルアレンスルホン酸塩およびジアルキルスルホコハク酸塩などのポリエトキシル化およびポリプロポキシル化誘導体が含まれるがそれらに限定されず、前記誘導体は、好ましくは(脂肪族)炭化水素部分中に3〜10個のグリコールエーテル基および8〜20個の炭素原子およびアルキルフェノールのアルキル部分中に6〜18個の炭素原子を含有する。また別の適切な非イオン性界面活性剤は、ポリプロピレングリコール、アルキル鎖内に1〜10個の炭素原子を含有するエチレンジアミノ−ポリプロピレングリコールを備えるポリエチレンオキシドの水溶性付加物であるが、その付加物は20〜250のエチレングリコールエーテル基および/または10〜100のプロピレングリコールエーテル基を含有している。そのような化合物は、通常は1プロピレングリコール単位に付き1〜5のエチレングリコール単位を含有する。非イオン性界面活性剤の代表的な例は、ノニルフェノール−ポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタン(ポリオキシエチレンソルビタントリオレートなど)、グリセロール、ソルビタン、スクロースおよびペンタエリトリトールの脂肪酸エステルはもまた適切な非イオン性界面活性剤である。
【0115】
適切なカチオン性界面活性剤には、4級アンモニウム塩、好ましくは、ハロ、フェニル、置換フェニルもしくはヒドロキシと任意に置換された4個の炭化水素ラジカルを有するハロゲン化物が含まれるがそれらに限定されない;例えば、4級アンモニウム塩は、N−置換基として少なくとも1つのC−C22アルキルラジカル(例、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイルなど)および、また別の置換基として、未置換もしくはハロゲン化低級アルキル、ベンジルおよび/またはヒドロキシC1−4アルキルラジカルを含有する。
【0116】
このために適切な界面活性剤についてのより詳細な説明は、例えば“McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual” (MC Publishing Crop., Ridgewood, New Jersey, 1981), “Tensid−Taschenbuch”, 2nd ed. (Hanser Verlag, Vienna, 1981) and “Encyclopaedia of Surfactants (Chemical Publishing Co., New York, 1981)の中に見いだすことができる。
【0117】
構造形成剤、増粘剤もしくはゲル生成剤も、本発明の医薬組成物および複合製剤の中に含めることができる。詳細には、適切なそのような薬剤には、商標名Aerosilの下で市販されている生成物などの高分散性ケイ酸;ベントナイト;モンモリロナイトのテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、商標名Bentoneの下で市販されている生成物)であって、アルキル基の各々は1〜20個の炭素原子を含有していてよい;セトステアリルアルコールおよび改質ヒマシ油生成物(例、商標名Antisettleの下で市販されている生成物)が含まれるがそれらに限定されない。
【0118】
本発明の医薬組成物および複合製剤の中にさらに含めることができるゲル化剤には、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;アラビアガム、キサンタンガム、トラガンタガム、グアーガムなどの天然ガム;ゼラチン;二酸化ケイ素;カルボマーなどの合成ポリマー、ならびにあらゆる比率でのそれらの混合物が含まれるが
それらに限定されない。ゼラチンおよび改質セルロースは、好ましいクラスのゲル化剤を表している。
【0119】
本発明の医薬組成物および複合製剤の中に含めることのできる他の任意の賦形剤には、酸化マグネシウム;アゾ染料;二酸化チタンなどの有機および無機顔料;UV吸収剤;安定剤;臭気マスキング剤;粘度強化剤;例えばアスコルビン酸パルミテート、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなど、およびそれらの混合物などの酸化防止剤;例えばソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、没食子酸プロピル、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの保存剤;エチレン−ジアミン四酢酸などの金属イオン封鎖剤;天然バニリンなどのフレーバー剤;クエン酸および酢酸などの緩衝剤;ケイ酸塩、珪藻土、酸化マグネシウムもしくは酸化アルミニウムなどの膨張剤もしくはバルキング剤;マグネシウム塩などの高密度化剤;およびそれらの混合物などの添加物が含まれる。
【0120】
本発明の組成物および複合製剤の中の生物活性成分の作用の持続期間を制御するために、追加の成分を含めることができる。したがって制御放出組成物は、例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミンなどの適切なポリマー担体を選択することによって達成できる。薬物放出の速度および作用の持続期間は、ヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメチルメタクリレートおよび他の上述したポリマーなどのポリマー物質の粒子、例えばマイクロカプセル内に有効成分を組み込むことによっても制御することができる。そのような方法には、リポソーム、マイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、ナノカプセルなどのようなコロイド状薬物送達系が含まれる。投与経路に依存して、本発明の医薬組成物および複合製剤は、さらにまた保護コーティングを必要とすることがある。
【0121】
注射剤使用のために適切な医薬形には、無菌水溶液もしくは分散液およびその即時の調製のための無菌散剤が含まれる。したがってこの目的のための典型的な担体には、生体適合性水性緩衝液、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばシクロデキストリンなどの錯化剤、およびそれらの混合物が含まれる。
【0122】
本発明の3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体および免疫抑制剤もしくは免疫調節剤もしくは抗腫瘍薬を含む複合製剤の場合には、両方の成分は治療される患者においてそれらの相乗作用性治療作用を必ずしも同時に直接的に発揮しないので、前記複合製剤は個別の、しかし隣接する形態にある2つの成分を含有する医用キットもしくはパッケージの形態にあってよい。後者の状況では、このため各成分は他の成分の経路とは相違する投与経路のために適切な方法で製剤化することができる。例えばそれらの一方は経口もしくは非経口製剤の形態にあってよく、他方は静脈内注射用アンプルもしくはエアロゾルの形態にある。
【0123】
本発明は、患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくは人間における中枢神経系障害、細胞増殖障害、免疫および自己免疫障害、移植拒絶反応およびTNF−α−関連性障害からなる群から選択される疾患を予防または治療する方法にさらに関する。本発明の方法は、それを必要とする患者に、有効量の一般式(I)を有する3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を、任意に有効量の他の免疫抑制剤もしくは免疫調節剤もしくは抗腫瘍薬と一緒に、または極めて詳細に上記に開示したような上記を含む医薬組成物を投与する工程からなる。有効量は、通常はヒトについては1日に付き体重1kgに付き約0.01mg〜20mg、好ましくは約0.1mg〜5mgの範囲内にある。治療される病的状態および患者の状態に依存して、前記有効量は、1日に付き数回の小単位に分割できる、または1日に2回以上の間隔をあけて投与できる。治療される患者は、前記の病的状態に罹
患している任意の温血動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトであってよい。
【0124】
以下では本発明について所定のより具体的な実施形態および実施例を参照しながら説明するが、本発明はそれらには限定されず、添付の請求項によってのみ限定される。以下の実施例は、例示するためにのみ提供されている。
【0125】
実施例1 − 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ナトリウム(65mg、2.82mmole)をイソプロパノール(30mL)中に60℃で溶解させ、次に2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(2.56mmole、940mg)(例えば、Taylor
et al. in Heterocycles(1993) 36:1889にしたがって調製して特性解析した)を加えた。反応混合液を70℃で6時間にわたり攪拌し、次に酢酸(160μL)を用いて酸性化して、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層は真空で蒸発させ、残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液(徐々に1:99から4:96に変動する比率で)からなるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、純粋標題化合物(515mg、収率71%)が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):305,307 ([M+Na],45),283,285([M+H],60),241,243([M+H−プロペン),100)。
【0126】
実施例2 − 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
テトラヒドロフラン(15mL)中の2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(0.7mmole、199mg)の溶液に3,4−ジメトキシフェニルホウ酸(192mg、1.054mmole)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0352mmole、41mg)および15mLの0.4M NaCO水溶液を加えた。反応混合液を16時間にわたり還流させた。溶媒は真空で蒸発させ、生じた残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液(徐々に1:99から3:97に変動する比率で)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、純粋標題化合物(98mg、収率41%)が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):703([2M+Na],100),363([M+Na],25),341([M+H],100),299([M+H−プロペン],90)。
【0127】
実施例3 − 2−ピバロイルアミノ−4−モルホリノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
1,4−ジオキサン(100mL)中の、例えばTaylor et al. in Heterocycles(1993) 36:1889にしたがって調製かつ特性解析した2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(1.77g、4.71mmole)の懸濁液にモルホリン(492μL、5.65mmole)を加えた。懸濁液は1時間後に黄色溶液となり、さらに室温で一晩攪拌した。この反応混合液に水を加え、この反応混合液をジクロロメタンで抽出した(3回)。有機層は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液(徐々に3:97から6:94に変動する比率で)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、白色粉末(1.37g、74%)として純粋標題化合物が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):393,395([M+H],100)。
【0128】
実施例4 − 2−アミノ−4−モルホリノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
テトラヒドロフラン(20mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−モルホリノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(650mg、1.65mmole)の溶液に3,4−ジメトキシフェニルホウ酸(450mg、2.48mmole)、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)(95mg、0.0825mmole)および20mLの0.4M NaCO水溶液を加えた。反応混合液を16時間にわたり還流させた。溶媒を真空で蒸発させると、生じた残留物は2−アミノ−4−モルホリノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンおよび2−ピバロイルアミノ−4−モルホリノ−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンから構成された。この残留物をメタノール(20mL)および20%のKCO水溶液(20mL)中に再懸濁させた。この反応混合液を次に2時間還流させたが、その後には薄層クロマトグラフィではピバロイル化物質を観察できなかった。溶媒は真空で蒸発させ、生じた残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液(徐々に2:98から3:97に変動する比率で)からなるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、白色粉末(212mg、収率35%)として標題化合物が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):368([M+H],100)。
【0129】
実施例5 − 2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
1,4−ジオキサン(110mL)中の、例えばTaylor et al. in Heterocycles(1993) 36:1889にしたがって調製かつ特性解析した2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(1.902g、5.05mmole)の懸濁液にピペラジン(523mg、6.07mmole)を加えた。懸濁液は1時間後に黄色溶液となり、さらに室温で16時間攪拌した。この反応混合液に水を加え、これをジクロロメタンで3回抽出した。有機層は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液(0.5%濃アンモニア水溶液を用いて6:94の比率で)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、白色粉末(969mg、収率62%)として純粋標題化合物が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):393,395([M+H],100)。
【0130】
実施例6 − 2−ピバロイルアミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジクロロメタン(25mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(1.18g、3.75mmole)の溶液にp−トリルイソシアネート(500mg、3.75mmole)を加えた。この混合液を室温で1時間攪拌した。溶媒は真空で蒸発させ、生じた残留物は移動相がCHOHとCHCl混合液(1:30の比率で)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった粉末(1.32g、収率84%)として標題化合物が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):526.1,528.2([M+H],100)。
【0131】
実施例7 − 2−アミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
MeOH(25mL)および水(15mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(526mg、1.0mmole)およびKCO(415mg、3.0mmole)の溶液を50℃で3時間攪拌した。この反応混合液をジクロロメタンで抽出した。有機層は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相がCHOHとCHCl混合
液(1:30の比率で)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、白色粉末(370mg、収率84%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− UV(MeOH/HO):222.2,236.5および364.7nm;ならびに
− MS(m/z):442.1,444.1([M+H],100)。
【0132】
実施例8 − 2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジニル−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジオキサン(20mL)および水(5mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(393mg、1.0mmole)の溶液に3,4−ジメトキシフェニルホウ酸(182mg、1mmole)、KCO(550mg、3mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(58mg、0.05mmole)を加えた。反応混合液は1時間にわたり90℃で加熱した。反応混合液を次にジクロロメタンで抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。残留物は移動相がCHOHとCHCl混合液(1:15の比率)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(340mg、収率76%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):451.3([M+H],100)。
【0133】
実施例9 − 2−ピバロイルアミノ−4−[N−フェノキシアセチル]−N−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ピリジン(5mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジン−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(180mg、0.4mmole)の溶液に塩化フェノキシアセチル(102mg、0.6mmole)を加えた。この混合液を室温で20分間攪拌した。この反応は水(50μL)でクエンチした。溶媒は真空で蒸発させ、生じた残留物は移動相がCHOHとCHCl混合液(1:40の比率)であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(198mg、収率85%)として標題化合物が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):607.3([M+Na], 30),585.4([M+H],100)。
【0134】
実施例10 − 2−アミノ−4−(N−フェノキシアセチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
MeOH(15mL)および水(10mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−[(N−フェノキシアセチル)−N−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(190mg、0.32mmole)およびKCO(225mg、1.6mmole)の溶液を50℃で4時間攪拌した。この反応混合液をジクロロメタンで抽出した。有機層は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相が1:20のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(130mg、収率81%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− UV(MeOH/HO):216.5,276.7および374.3nm;ならびに
− MS(m/z):501.2([M+H],100)。
【0135】
実施例11 − 2−ピバロイルアミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジオキサン(50mL)および水(15mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジンー1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(1.32g、2.5mmole)の溶液に3,4−ジメトキシフェニルホウ酸(455mg、2.5mmole)、KCO(860mg、6.2mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(140mg、0.12mmole)を加えた。反応混合液は1時間にわたり90℃で加熱した。反応混合液をジクロロメタンで抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。残留物は移動相が1:35のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色固体(1.31g、収率90%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):584.3([M+H],100)。
【0136】
実施例12 − 2−アミノ−4−(N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
MeOH(25mL)および水(15mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−(N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(380mg、0.65mmole)およびKCO(270mg、2.0mmole)の懸濁液を50℃で3時間攪拌した。この反応混合液をジクロロメタンで抽出した。有機層は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相が1:30のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(215mg、収率66%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:− UV(MeOH/HO):222.2,236.5,364.7nm;および
− MS(m/z):500.3([M+H],100)。
【0137】
実施例13 − 2−ピバロイルアミノ−4−[(N−4−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジクロロメタン(20mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(393mg、1mmole)の溶液にトリエチルアミン(3mmole)およびベンジルクロロホルメート(1.25mmole)を加えた。この反応混合液を室温で1時間攪拌した。この反応は水(200μL)でクエンチした。溶媒は真空で蒸発させ、残留物は移動相が1:30のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(400mg、収率76%)として標題化合物が得られたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):549.2,551.1([M+Na],35),527.2,529.2([M+H],50)。
【0138】
実施例14 − 2−ピバロイルアミノ−4−[(N−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジオキサン(20mL)および水(15mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−[(N−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジンー1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(400mg、0.76mmole)の溶液に3,4−ジメトキシフェニルホウ酸(170mg、0.93mmole)、KCO(320mg、2.3mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(50mg、0.05mmole)を加えた。反応混合液は30分間にわたり90℃で加熱した。反応混合液をジクロロメタンで抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。残留物は移動相が1:30のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(420mg、94%)として標題化合物が生じたので
、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):585.3([M+H],100)。
【0139】
実施例15 − 2−アミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−[(N−ベンジルオキシ−カルボニル)−ピペラジン−1−イル]−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
MeOH(25mL)および水(15mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−[(N−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(420mg、0.72mmole)およびKCO(300mg、2.2mmole)の懸濁液を50℃で3時間攪拌した。この反応混合液をジクロロメタンで抽出した。有機相は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相が1:30のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(180mg、収率50%)として純粋標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− UV(MeOH/HO):214.1,281.4,379.1nm;および
− MS(m/z):501.3([M+H],100)。
【0140】
実施例16〜18 − 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジンおよび2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−ヘテロアリール−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジオキサン(20mL)および水(5mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(1mmole)の溶液に適切なアリールホウ酸(1mmole)、KCO(3mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05mmole)を加えた。この混合液を90℃で2時間(実施例16)または30分間(実施例17および18)加熱した。反応混合液をCHCl(50mL)で希釈し、有機相を減圧下で濃縮すると、以下の粗化合物が生じたので、これを精製せずに、後にそのままで使用した:
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例16)は、4−ジメチルアミノフェニルホウ酸から入手した、
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例17)は、4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸から入手した、および
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(2−チエニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例18)は、2−チエニルホウ酸から入手した。
【0141】
実施例19〜21 − 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジンおよび2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−ヘテロアリール−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
MeOH(40mL)中の実施例16〜18からの粗2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジン(1mmole)の懸濁液にFe(NO9HO(0.2mmole)を加えた。この混合液を室温で48時間攪拌した。減圧下で濃縮した後、残留物は移動相が1:30のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、以下の純粋化合物が生じたので、これを質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例19)は、黄色がかった固体として収率71%で2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリド[2
,3−d]ピリミジンから入手した。UV(MeOH/HO、nm):227.0,315.9,379.1;MS(m/z):324.0([M+H],100);
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例20)は、黄色がかった固体として収率52%で2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンから入手した。UV(MeOH/HO、nm):289.8,241.2,351.8;MS(m/z):349.0([M+H],100);および
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(2−チエニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例21)は、黄色がかった固体として収率53%で2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(2−チエニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンから入手した。UV(MeOH/HO、nm):223.5,306.4,367.1;
MS(m/z):287.0([M+H],100)。
【0142】
実施例22および23 − 2−アミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
トルエン(4mL)中の2−ピバロイルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オン(1mmole)の懸濁液に1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(1mL、4.7mmole)、適切なアミン(4mmole)、p−トルエンスルホン酸(20mg、0.1mmole)および硫酸アンモニウム(20mg、0.15mmole)を加えた。反応混合液を48時間にわたり還流下で攪拌した。溶媒を減圧下で除去した後、残留物は移動相が1:40のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、以下の純粋化合物が生じたので、これを質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− 2−アミノ−4−(ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例22)はピペラジンから白色固体として収率68%で入手した。UV(MeOH/HO、nm):216.5,276.7,377.9;MS(m/z):367.2([M+H],100);および
− 2−アミノ−4−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例23)は1−ベンジルピペラジンから白色固体として収率26%で入手した。UV(MeOH/HO、nm):215.3,280.3,375.5;MS(m/z):357.3([M+H],100)。
【0143】
実施例24 − 2−ピバロイルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オンおよび2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ジオキサン(20mL)および水(8mL)中の、Taylor et al. in
Heterocycles(1993) 36:1883にしたがって合成および特性解析した2−ピバロイルアミノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)オン(210mg、0.65mmole)の溶液に3,4−ジメトキシフェニルホウ酸(0.65mmole、118mg)、KCO(223mg、1.6mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(38mg、0.032mmole)を加えた。反応混合液を2時間にわたり90℃で加熱した。反応混合液をジクロロメタンで抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。残留物は移動相が3:97のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、2−ピバロイルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オン(155mg、収率63%)が生じたので、以下の
ように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):383([M+H],100)。
【0144】
アセトニトリル(20mL)中の2−ピバロイルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オン(1.0mmole)の溶液に1,2,4−トリアゾール(10mmole)、トリエチルアミン(3mmole)およびPOCL(3mmole)を加えた。この反応混合液を室温で24時間攪拌した(薄層クロマトグラフィ監視を行なって)。反応混合液はCHCl(30mL)を用いて希釈し、5%塩酸水溶液で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮すると、粗2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンが産生したので、これを精製せずにその後の反応に使用した。
【0145】
実施例25〜27 − 2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
実施例24からの粗2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンをジオキサン(20mL)中に溶解させ、適切な1級アミン(2〜3当量)を加えた。この混合液を室温で12時間攪拌した。溶媒を真空で蒸発させると以下の粗化合物が産生したので、これを精製せずにその後の反応に使用した。
− 2−ピバロイルアミノ−4−n−プロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例25)はn−プロピルアミンから入手した;
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例26)はイソプロピルアミンから入手した;および
− 2−ピバロイルアミノ−4−(1−ピペリジノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例27)はピペリジンから入手した。
【0146】
実施例28および29 − 2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ナトリウム(3mmole)を還流させながら適切なアルコール(10mmole)およびTHF(30mL)中に溶解させた。室温に冷却した後、実施例24からの粗2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(1mmole)を加えた。この混合液を室温で30分間攪拌した。この反応混合液をCHCl(100mL)で希釈し、水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮すると、以下の化合物が産生したので、これを精製せずにそのままでその後の反応のために使用した:
− 2−ピバロイルアミノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3d]ピリミジン(実施例28)はテトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールから入手した;および
− 2−ピバロイルアミノ−−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−N−メチルピペリジンオキシ)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例29)は1−メチル−4−ピペリジノールから入手した。
【0147】
実施例30〜32 − 2−アミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
MeOH(20mL)および水(10mL)中の実施例25〜27からの2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(1mmole)およびKCO(3mmol)の混合液を60℃で5時間加熱し
た(薄層クロマトグラフィによる監視を行なって)。この混合液はCHCl(100mL)を用いて抽出した。濃縮した後、残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体として以下の化合物が生じたので、これを以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− 2−アミノ−4−n−プロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例30)は実施例25の化合物から入手した。UV(MeOH/HO、nm):216.5,268.4,298.1,357.6.MS(m/z):310.1([M+H],100);
− 2−アミノ−4−イソプロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例31)は実施例26の化合物から入手した。UV(MeOH/HO、nm):223.5,268.4,299.3,357.6.MS(m/z):310.2([M+H],100);および
− 2−アミノ−4−(1−ピペリジノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例32)は実施例27の化合物から入手した。UV(MeOH/HO、nm):217.6,282.6,373.1.MS(m/z):366.3([M+H],100)。
【0148】
実施例33および34 − 2−アミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
イソプロパノール(25mL)および水(15mL)中の実施例28もしくは29からの2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(1mmole)およびKCO(3.0mmol)の混合液を70℃で5時間攪拌した。この反応混合液をジクロロメタンで抽出した。有機層は真空で蒸発させ、粗残留物は移動相が1:30のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体として以下の化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− 2−アミノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例33)は実施例28の化合物から入手した。UV(MeOH/HO、nm):222.3,289.8,362.5.MS(m/z):383.1([M+H],100);および
− 2−アミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−4(4−N−メチルピペリジンオキシ)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例34)は実施例29の化合物から入手した。UV(MeOH/HO、nm):222.3,288.6,362.5.MS(m/z):813.1([2M+Na],30),791.0([2M+H],30),396.1([M+H],100)。
【0149】
実施例35 − 2−アミノ−4−メトキシ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ナトリウム(92mg、4mmole)は室温でメタノール(20mL)中に溶解させ、次に2−ピバロイルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)オン(433mg、1mmole)を加えた。この反応混合液を室温で30分間攪拌し、次に2時間還流させた。反応混合液を酢酸(240μL)で酸性化し、ジクロロメタンで抽出した。有機層は真空で蒸発させ、残留物は移動相が1:40のCHOH/CHCl混合液であるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、白色固体(257mg、収率82%)として純粋標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− UV(MeOH/HO、nm):223.5,289.8,362.5;および
− MS(m/z):313.1([M+H],100)。
【0150】
実施例36 − 2−アミノ−4−(sec−ブトキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ナトリウム(2mmole)をイソブタノール(30mL)中に60℃で溶解させた。次に、実施例24からの2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(1mmole)を加えた。反応混合液を70℃で4時間にわたり攪拌し、次に酢酸(62.5μL)を用いて酸性化して、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層は真空で蒸発させ、残留物は移動相がCHOH/CHCl混合液(1:35の比率)からなるシリカゲルクロマトグラフィによって精製すると、黄色固体(180mg、収率51%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− MS(m/z):355([M+H],100)、および
− UV:221,289および362nm。
【0151】
実施例37 − 2−アミノ−4−(sec−ブトキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの塩酸塩の合成
実施例36の化合物(130mg)をMeOH中に溶解させた。次にメタノール中の0.36mLの1.25M HCl溶液を加え、反応混合液を室温で30分間攪拌した。溶媒を真空で蒸発させると、純粋黄色粉末(130mg、収率90%)として標題化合物が生じたので、これを以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− MS(m/z):355([M+H],100)、および
− UV:221,289および362nm。
【0152】
実施例38 − 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(3,4−ジメチルフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
実施例2に類似する方法にしたがった。テトラヒドロフラン(15mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(0.5mmole)の溶液に3,4−ジメチルフェニルホウ酸(0.5mmole)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.025mmole)および15mLの0.4M NaCO水溶液を加えた。反応混合液を95℃で30分間還流させると粗2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(3,4−ジメチルフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンが産生したので、これをメタノール(7mL)および20% KCO水溶液(7mL)の混合液中に再懸濁させた。この反応混合液を次に2時間還流させたが、その後に薄層クロマトグラフィではピバロイル化物質を観察できなかった。溶媒は真空で蒸発させ、残留物は移動相が1:35の比率にあるCHOHとCHCl混合液からなるシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製すると、純粋白色粉末(65mg、収率42%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− MS(m/z):309([M+H],100)、および
− UV:218,242,287および357nm。
【0153】
実施例39〜41 − 2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
出発アミンを除いて、実施例25〜27の実験方法を繰り返しながら、以下の化合物を調製した:
− 2−ピバロイルアミノ−4−(3−ブロモ−アニリノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例39)は3−ブロモ−アニリンから入手した;
− 2−ピバロイルアミノ−4−(ベンジルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例40)はベンジルアミンから入手した;および
− 2−ピバロイルアミノ−4−(フェニルエチルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例41)はフェネチルアミンから入手した。
【0154】
実施例42〜44 − 2−アミノ−4−置換−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
実施例30〜32の実験方法を繰り返しながら、しかし実施例39〜41の中間物から出発して、以下の化合物を調製し、以下のように質量スペクトルおよび紫外線スペクトルによって特性解析した:
− 2−アミノ−4−(3−ブロモ−アニリノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例42)。MS(m/z):451,453([M+H],100);UV:212,261,304および381nm;
− 2−アミノ−4−(ベンジルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例43)。MS(m/z):387([M+H],100);UV:212,266,303および366nm;および
− 2−アミノ−4−(フェニルエチルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例44)。MS(m/z):401([M+H],100);UV:214,267,303および366nm。
【0155】
実施例45 − 混合リンパ球反応アッセイ
ピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体を最初にジメチルスルホキシド(以下ではDMSOと呼ぶ)中に溶解させ(10mM)次に培養培地中で希釈し、その後で以下のインビトロ実験のために使用した。市販されている培養培地は、RPMI−1640+10%ウシ胎児血清(FCS)から構成した。本明細書に記載した一部のピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体を以下の混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて試験した。
【0156】
末梢血単核球(以下ではPBMCと呼ぶ)は、ヘパリン化末梢血からLymphoprep(Nycomed社、ノルウェー国Maorstua)を通す密度勾配遠心分離によって単離した。強度にB7−1およびB7−2抗原を発現する同種PBMCもしくはエプスタインバーウイルス形質転換ヒトB細胞[商標名RPMI1788の下で市販されている(ATCC名:CCL156)]を30Gyを用いた照射後の刺激細胞として使用した。MLRは、3つずつのウエル内で実施した。37℃での5日間のインキュベーション後に、1μCi[H]−チミジンを各カップに加えた。さらに16時間のインキュベーション後、細胞を採取し、β−カウンタ内で計数した。本発明の実施例の一部に記載した化合物による増殖の阻害は、以下の式を用いて計数した:
【0157】
【数2】

【0158】
(式中、cpmはチミジンの1分当たり計数である)。MLRアッセイは、このアッセイが応答するリンパ球による刺激白血球上での主要な同種組織適合抗原の認識に基づいているので、当業者には移植拒絶反応のインビトロ類似物であると見なされている。
【0159】
以下の表1は、MLR試験における様々なピリド[3,2−d]ピリミジンに対するI
50値を示している。IC50値は、MLRの50%抑制を生じさせたピリド[3,2−d]ピリミジン誘導体の最低濃度(μmole/Lで表示)を表している。
【0160】
【表1】

【0161】
実施例46 − TNF−αアッセイ
グラム陰性細菌内毒素であるリポ多糖(以下ではLPS)による刺激に応答した末梢血単核球(以下ではPBMCと呼ぶ)は、様々なケモカイン、詳細にはヒトTNF−αを生成する。このためPBMCの活性化の阻害は、LPSによる刺激に応答したPBMCによるTNF−αの産生の抑制レベルによって測定できる。
【0162】
そのような阻害測定は、以下の通りに実施した:PBMCはヘパリン化末梢血からLymphoprep(Nycomed社、ノルウェー国から市販されている)に通しての密度勾配遠心分離によって単離した。LPSは、1μg/mLの最終濃度で完全培地(10cells/mL)中でPMBC懸濁液に加えた。試験対象のピリド[3,2−d]ピリミジン誘導体を様々な濃度(0.1μM、1μMおよび10μM)で加え、細胞を37℃の5% CO中で72時間インキュベートした。上清を収集し、次にTNF−α濃度をサンドイッチELISA(Duo Set ELISAヒトTNFα、R&D Systems(英国)から市販されている)において抗TNF−α抗体を用いて測定した。ELISAの比色示度は、450nm(参照波長:690nm)でMultiskan RCプレートリーダ(ThermoLabsystems社(フィンランド)から市販されている)によって測定した。データ分析はAscentソフトウエア2.6.(同様にThermoLabsystems(フィンランド)から入手できる)を用いて実施した:標準曲線(組換えヒトTNFα)を描出し、標準曲線上の各サンプルの量(pg/mL)を決定した。
【0163】
本発明のピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体によるヒトTNFα産生の抑制率(%)は以下の式を用いて計算した。
【0164】
【数3】

【0165】
以下の表2は、TNFαアッセイにおける様々なピリド[2,3−d]ピリミジンに対するIC50値を示している。
【0166】
【表2】

【0167】
実施例47 − IL−1βアッセイ
グラム陰性細菌内毒素であるリポ多糖(LPS)による刺激に応答した末梢血単核球(ここではPBMCと呼ぶ)は、様々なケモカイン、詳細にはヒトIL−1βを生成する。このためPBMCの活性化の阻害は、LPSによる刺激に応答したPBMCによるIL−1βの産生の抑制レベルによって測定できる。
【0168】
そのような阻害測定は、以下の通りに実施した:PBMCはヘパリン化末梢血からLymphoprep(Nycomed社、ノルウェー国から市販されている)に通しての密度勾配遠心分離によって単離した。LPSは、1μg/mLの最終濃度で完全培地(10cells/mL)中でPMBC懸濁液に加えた。試験対象のピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体を様々な濃度(0.1μM、1μMおよび10μM)で加え、細胞を37℃の5% CO中で72時間インキュベートした。上清を収集し、次にサンドイッチELISAにおいて抗IL−1β抗体を用いてIL−1β濃度を測定した。ELISAの比色示度は、450nm(参照波長:690nm)でMultiskan RCプレートリーダ(ThermoLabsystems社(フィンランド)から市販されている)によって測定した。データ分析はAscentソフトウエア2.6.(同様にThermoLabsystems(フィンランド)から入手できる)を用いて実施した:標準曲線(組換えヒトIL−1β)を描出し、標準曲線上の各サンプルの量(pg/mL)を決定した。
【0169】
本発明のピリド[2,3−d]ピリミジン誘導体によるヒトIL−1βの抑制率(%)は以下の式:を用いて計算した。
【0170】
【数4】

【0171】
IC50値は、ヒトIL−1βの50%抑制を生じさせたピリド[3,2−d]ピリミジン誘導体の最低濃度(μmole/Lで表示)を表している。IL−1β試験において以下のIC50値が入手された:
実施例15の化合物:7.0μmole/L
実施例42の化合物:7.0μmole/L。
【0172】
実施例48 − 2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンおよび2−アミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンは、実施例5に記載した合成方法と類似して、しかしピペラジンに代えてホモピペラジンから出発して良好な収率で調製する。ピリド[2,3−d]ピリミジン環の2位にあるピバロイル保護基は、次に便宜的には酸性加水分解によって除去できる。
【0173】
実施例49 − 2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンおよび2−アミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジンは、実施例8に記載した合成方法と類似して、しかし実施例48の化合物から出発して良好な収率で調製する。ピリド[2,3−d]ピリミジン環の2位にあるピバロイル保護基は、次に便宜的には酸性加水分解によって除去できる。
【0174】
実施例50 − 2−ピバロイルアミノ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オンの合成
1,4−ジオキサン(90mL)および水(36mL)中の、Taylor et al. in Heteocycles(1993)36:1883にしたがって合成および特性解析した2−ピバロイルアミノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)オン(975mg、3mmole)の溶液に4−フルオロフェニルホウ酸(462mg、3.3mmole)、KCO(1.04g、7.5mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(173mg、0.15mmole)を加えた。反応混合液を2時間にわたり90℃で加熱した。反応混合液をジクロロメタンで抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。残留物は移動相が1:99のMeOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、2−ピバロイルアミノ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オン(384mg、収率38%)が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):341([M+H],100)。
【0175】
実施例51 − 2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
アセトニトリル(45mL)中の2−ピバロイルアミノ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オン(600mg、1.8mmole)の溶液に1,2,4−トリアゾール(1.218g、18mmole)、トリエチルアミン(535mg、5.3mmole)およびPOCl(493μL、5.3mmole)を加えた。この反応混合液を室温で24時間攪拌した(薄層クロマトグラフィ監視を行なって)。反応混合液はジクロロメタン(70mL)を用いて希釈し、2%塩酸水溶液で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮すると、粗2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンが産生したので、これを精製せずにその後の反応に使用した。
【0176】
実施例52 − 2−ピバロイルアミノ−4−(3−メチルアニリノ)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
1,4−ジオキサン(30mL)中の、例えばTaylor et al. in Heterocycles(1993) 36:1889にしたがって調製かつ特性解析した2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(605mg、1.6mmole)の懸濁液にm−トルイジン(172mg、1.6mmole)を加えた。懸濁液は1時間後に黄色溶液となり、さらに室温で16時間攪拌した。この反応混合液に水を加え、これをジクロロメタンで3回抽出した。有機層は減圧下で蒸発させ、粗残留物は移動相が1:99のMeOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった粉末(346mg、収率52%)として純粋標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):415([M+H],100)。
【0177】
実施例53 − 2−アミノ−4−(3−メチルアニリノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
1,4−ジオキサン(25mL)および水(10mL)中の2−ピバロイルアミノ−4−(3−メチルアニリノ)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(297mg、0.72mmole)の溶液に4−フルオロフェニルホウ酸(110mg、0.79mmole)、KCO(248mg、1.8mmole)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.03mmole、41mg)を加えた。反応混合液は17時間にわたり90℃へ加熱した。反応混合液を減圧下で濃縮し、残留物をメタノール(20mL)中に溶解させた。この溶液にKCO(20%、10mL)の水溶液を加えた。反応混合液は2時間にわたり60℃で加熱した。反応混合液を次にジクロロメタンで抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。残留物は移動相が1:30のMeOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(112mg、収率45%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):346([M+H],100)。
【0178】
実施例54〜57 − 2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン類似体の合成
実施例(0.6mmole)からの粗2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンを1,4−ジオキサン(15mL)中に溶解させ、適切なアミン(3当量)を加えた。この混合液を室温で12時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させると以下の粗化合物が産生したので、これらを精製せずにその後の反応に使用した。
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−ピペリジノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例54)はピペリジンから入手した;
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−モルホリノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例55)はモルホリンから入手した;
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−アセチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例56)はN−アセチルピペラジンから入手した;および
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−メチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例57)はN−メチルピペラジンから入手した。
【0179】
実施例58〜61 − 2−アミノ−4−置換−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン類似体の合成
メタノール(10mL)および水(6mL)中の実施例53〜57からの2−ピバロイルアミノ−4−置換−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(0.5mmole)およびKCO(1.5mmol)の混合液を50℃で加熱した(
薄層クロマトグラフィによる監視を行なって)。この混合液をジクロロメタンで抽出した。濃縮した後、残留物は移動相がMeOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体として以下の化合物が生じたので、これを以下のように質量スペクトルによって特性解析した:
− 2−アミノ−4−(N−ピペリジノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例58)は24時間加熱した後に実施例54の化合物から入手した。(102mg、収率:63%)、MS(m/z):([M+H],100)
− 2−アミノ−4−(N−モルホリノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例59)は5時間加熱した後に実施例55の化合物から入手した。(73mg、収率:45%)、MS(m/z):([M+H],100)
− 2−アミノ−4−(N−アセチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例60)は5時間加熱した後に実施例56の化合物から入手した。(108mg、収率:59%)、MS(m/z):([M+H],100)
− 2−アミノ−4−(N−メチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例61)は8時間加熱した後に実施例57の化合物から入手した。(51mg、収率:30%)、MS(m/z):([M+H],100)。
【0180】
実施例62および63 − 2−ピバロイルアミノ−4−アルコキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
ナトリウム(3.5mmole)を還流によって適切なアルコール(7mmole)およびテトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させた。室温に冷却した後、実施例からの粗2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(0.7mmole)をテトラヒドロフラン(10mL)中の懸濁液として加えた。この混合液を室温で1時間攪拌した。この反応混合液をジクロロメタン(100mL)で希釈し、水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮すると、以下の化合物が産生したので、これを精製せずにそのままでその後の反応のために使用した:
− 2−ピバロイルアミノ−4−エトキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例62)はエタノールから入手した;
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(実施例63)はイソプロパノールから入手した。
【0181】
実施例64 − 2−アミノ−4−エトキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
エタノール(10mL)および水(6mL)中の実施例62からの2−ピバロイルアミノ−4−エトキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(0.44mmole)およびKCO(1.3mmol)の混合液を4時間かけて70℃で加熱した(薄層クロマトグラフィによる監視を行なって)。この混合液をジクロロメタンで抽出した。濃縮した後、残留物は移動相が1:30のMeOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(57mg、収率46%)として純粋標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):285([M+H],100)。
【0182】
実施例65 − 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジンの合成
イソプロパノール(15mL)および水(9mL)中の実施例63からの2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン(0.52mmole)およびKCO(1.5mmol)の混合液を70℃
で加熱した(薄層クロマトグラフィによる監視を行なって)。この混合液をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層は蒸発させ、減圧下で濃縮した後、残留物は移動相が2:98のMeOH/CHCl混合液であるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィによって精製すると、黄色がかった固体(47mg、収率30%)として標題化合物が生じたので、以下のように質量スペクトルによって特性解析した:MS(m/z):299([M+H],100)。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】式(I)を有する2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製する方法を示した略図である。
【図2】式(I)(式中、4位にある置換基は、その第2窒素原子上で官能化されているピペラジン−1−イル基である)を有する2,4,6−3置換ピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製する方法を示した略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】

(式中、
− Rは、アミノもしくはN−保護アミノである;
− Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、モノC1−7アルキルアミノ;モノ−アリールアミノ;モノ−アリールC1−7アルキルアミノ;モルホリニル;N−ピペリジニル;トリアゾリル;複素環置換アミノ;C1−7アルコキシ;オキシ複素環(oxyheterocyclic);ピペラジニルもしくはホモピペラジニルからなる群から選択されるが、このとき前記ピペラジニルは任意にアシル、C1−7アルキルもしくはアリールアルキルでN−置換されている;
− Rは、ハロゲン;ハロゲン、ハロC1−7アルキル、C1−7アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で任意に置換されたアリールおよびヘテロアリール基からなる群から選択される;および
− Rは、水素である、
ただしRは、RがブロモでRがアミノである場合は1,2,4−トリアゾリルではないことを前提とする)を有するピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、またはその医薬上許容される付加塩、またはそのジヒドロ誘導体もしくはテトラヒドロ誘導体、またはその立体化学異性体、またはそのN−オキシド、またはその溶媒和物。
【請求項2】
は、ハロゲンもしくはトリアゾリルである、請求項1に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項3】
はブロモである、請求項1または2に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項4】
はアミノである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項5】
はアミノであり、Rは1置換もしくは多置換フェニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項6】
はN−アシルアミノである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項7】
は、アセトアミノまたはピバルアミドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項8】
は、1置換もしくは多置換フェニル基である、請求項6または7に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項9】
は2つ以下の置換基を有するフェニル基であり、1つの置換基が前記フェニル環上のパラ位置にある、請求項1、2および4〜8のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項10】
はアミノであり、Rはチエニルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項11】
は、テトラヒドロ−ピラニルオキシまたはメチルピペリジンオキシである、請求項1および3〜9のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項12】
はC1−4アルコキシである、請求項1および3〜9のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項13】
は、モノプロピルアミノ、アニリノ、ブロモアニリノ、ベンジルアミノもしくはフェニルエチルアミノである、請求項1および3〜9のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項14】
はピペラジン−1−イル基であり、前記基は置換基Rで4位で任意に置換されており、Rは:
− COR(式中、Rは、水素、C1−7アルキル、1つまたは複数の置換基で任意に置換されたアリール、アリールオキシ、およびアリールアミノから選択される);および
− R11(式中、R11はアリールアルキルである)からなる群から選択される、請求項1および3〜9のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項15】
は、メチルフェニルカルバモイルピペラジン−1−イル、N−フェノキシアセチル−N−ピペラジン−1−イル、(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペラジン−1−イルまたはN−ベンジルピペラジン−1−イルである、請求項1および3〜9のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項16】
2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−モルホリノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−モルホリノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−N−ピペラジニル−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−[(N−フェノキシアセチル)−N−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(N−フェノキシアセチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−[N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(N−4−メチルフェニルカルバモイル−ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−[(N−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル]−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−[(N−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル]−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−[(N−ベンジルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル]−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−ジメチルアミノフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(2−チエニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(2−チエニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(ピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−n−プロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(1−ピペリジノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−N−メチルピペリジンオキシ)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−n−プロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−イソプロピルアミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(1−ピペリジノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−N−メチルピペリジンオキシ)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−メトキシ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(sec−ブトキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(sec−ブトキシ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリド[2,3d]ピリミジン塩酸塩、
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(3,4−ジメチルフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(3−ブロモ−アニリノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(ベンジルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(フェニルエチルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(3−ブロモ−アニリノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(ベンジルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(フェニルエチルアミノ)−6−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−N−ホモピペラジノ−6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−(3H)−オン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(1,2,4−トリアゾリル)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(3−メチルアニリノ)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(3−メチルアニリノ)−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−ピペリジノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−モルホリノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−アセチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−(N−メチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(N−ピペリジノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(N−モルホリノ)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(N−アセチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−(N−メチル−N−ピペラジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−エトキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−ピバロイルアミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、
− 2−アミノ−4−エトキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、および
− 2−アミノ−4−イソプロポキシ−6−(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−d]ピリミジン、からなる群から選択される、請求項1に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体。
【請求項17】
構造式(I):
【化2】

(式中、
− Rはアミノである、
− Rは、モノ−C1−7アルキルアミノ;モノ−アリールアミノ;モノ−アリールC1−7アルキルアミノ;モルホリニル;N−ピペリジニル;トリアゾリル;複素環置換アミノ;C1−7アルコキシ;オキシ複素環;ピペラジニルもしくはホモピペラジニルからなる群から選択されるが、このとき前記ピペラジニルは任意にアシル、C1−7アルキルもしくはアリールアルキルでN−置換されている;
− Rは、ハロゲン、ハロC1−7アルキル、C1−7アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で任意に置換されたアリールおよびヘテロアリール基からなる群から選択される;および
− Rは水素である)を有するピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体、その医薬上許容される付加塩、そのジヒドロ−もしくはテトラヒドロ誘導体、その立体異性体、そのN−酸化物、および/またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項18】
は1置換もしくは多置換フェニル基である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
は2つ以下の置換基を有するフェニル基であり、1つの置換基が前記フェニル環上のパラ位置にある、請求項17または18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
はチエニルである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
1つまたは複数の医薬上許容される担体をさらに含む、請求項17〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
免疫抑制薬および/または免疫調節薬、および抗腫瘍薬からなる群から選択される1つまたは複数の生物活性薬をさらに含む、請求項17〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
2−R−置換−6−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジンもしくは2−R−置
換−6−クロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(式中、Rは一般式(I)に規定した通りである)を、ラジカルR(Rは一般式(I)に規定したアリールもしくはヘテロアリール基である)を含むアリールボロン酸と反応させる工程を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のピリド(2,3−d)ピリミジン誘導体を作製するためのプロセス。
【請求項24】
はアミノ基であり、前記プロセスは前記アミノ基のための保護工程を含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
ピリド[2,3−d]ピリミジン骨格の4位でヒドロキシル基を活性化する工程をさらに含む、請求項23または24に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−530167(P2008−530167A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555544(P2007−555544)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001539
【国際公開番号】WO2006/087229
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507219550)4・アー・ゼット・アー・アイ・ピー・ナムローゼ・フエンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】4 AZA IP NV
【Fターム(参考)】