説明

自走式掃除機

【課題】 正確に壁際に沿って走行することができ、壁際の塵埃を好適に除去することが可能な自走式掃除機の提供を課題とする。
【解決手段】 超音波センサ31(31a〜31c)を用いて前方の障害物(壁W)に対して垂直となるように本体BDの向きを補正し、その状態で本体BDを90度旋回させた後、横壁センサ36(36FR、36FL、36RR、36RL)を用いて本体BDの向きが障害物(壁W)に対して平行になるように補正する2段階の向き補正を行うように構成されているため、本体を壁に対して正確に平行とすることができ、壁際走行を正確に行わせることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構と掃除機構とを具備する自走式掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操舵および駆動を実現する駆動機構と、掃除動作を行う掃除機構とを具備する自走式掃除機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような自走式掃除機のなかで、自動走行を行い、室内の障害物を検知する毎に方向転換を行いながら清掃動作を行う自走清掃を行うことが可能な自走式掃除機が提案されている。
【特許文献1】特開平05−046246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような自走清掃を行う自走式掃除機とした場合、特に、室内の壁際等に沿って正確に本体を走行させなければ、同壁際の塵埃を好適に除去することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたものであり、正確に壁際に沿って走行することができ、壁際の塵埃を好適に除去することが可能な自走式掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項2にかかる発明は、操舵および駆動を実現する駆動機構と、掃除機構と、本体の向いている方向角を検出するジャイロセンサと、前方の障害物を検知するとともに同障害物までの距離を計測する前方障害物センサと、側方の障害物を検知し、同障害物までの距離に応じたセンサ出力値を発生する横壁センサとを具備する自走式掃除機において、
上記前方障害物センサは、少なくとも、本体前面中央部分と、それよりも後方の左右両側との3箇所に配置されるとともに、
上記横壁センサとして、本体前側の左右両側に配置された前横壁センサと、本体背面側の左右両側に配置された後横壁センサとを具備しており、
上記3箇所に配置された前方障害物センサを用いて、本体の向きを前方の障害物に対して垂直となるように補正する垂直補正手段と、
上記垂直補正手段により本体の向きが前方の障害物に対して垂直になった後に、上記ジャイロセンサを用いて本体を90度旋回させ、その後、上記前横壁センサおよび上記後横壁センサを用いて、本体の向きを上記障害物に対して平行となるように補正する水平補正手段とを具備する構成としてある。
【0006】
上記のように構成した請求項2にかかる発明において、自走式掃除機は、操舵および駆動を実現する駆動機構と、掃除機構と、本体の向いている方向角を検出するジャイロセンサと、前方の障害物を検知する前方障害物センサと、側方の障害物を検知する横壁センサとを具備しており、上記前方障害物センサは、少なくとも、本体前面略中央部分と、それよりも後方の左右両側との3箇所に配置されるとともに、上記横壁センサとして本体前側の左右両側に配置された前横壁センサと、本体背面側の左右両側に配置された後横壁センサとを具備している。
【0007】
そして、自走式掃除機は、上記3箇所に配置された前方障害物センサを用いて、本体の向きを前方の障害物に対して垂直となるように補正する垂直補正手段と、上記垂直補正手段により本体の向きが前方の障害物に対して垂直になった後に、上記ジャイロセンサを用いて本体を90度旋回させ、その後、上記前横壁センサおよび上記後横壁センサを用いて、本体の向きを上記障害物に対して平行となるように補正する水平補正手段とを具備している。上記垂直補正手段により本体の向きを前方の障害物に対して垂直となるように補正した後、ジャイロセンサを用いて90度本体を旋回させることにより、本体の向きが同障害物と略平行になるが、その後さらに、上記水平補正手段を用いることにより、本体の向きが障害物に対して正確に平行となるのである。このように2段階の位置補正手段を用いることにより、本体を壁に対して正確に平行とすることができ、壁際走行を正確に行わせることが可能となる。そのため、壁際の塵埃を好適に除去することが可能となる。また、上記前方障害物センサおよび上記横壁センサのいずれかが不能となってしまった場合であっても、有効な一のセンサを用いて本体の向きの補正を行うことが可能となる。
【0008】
また、請求項3にかかる発明は、上記垂直補正手段が、本体が上記障害物に向かって走行中、右側の前方障害物センサにて同障害物が検知されたときには、本体を右回りに所定角度だけ旋回させ、左側の前方障害物センサにて上記障害物が検知されたときには、本体を左回りに所定角度だけ旋回させる構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる発明において、本体の右側に配置された前方障害物センサにて前方の障害物が検知されたとき、すなわち、本体が同障害物に対して左向きに傾いているときには、本体を右回りに旋回させることにより、同障害物に対して垂直となるように補正し、また、本体の左側に配置された前方障害物センサにて前方の障害物が検知されたとき、すなわち、本体が同障害物に対して右向きに傾いているときには、本体を左回りに旋回させることにより、同障害物に対して垂直となるように補正することが可能となる。
【0009】
また、請求項4にかかる発明は、上記水平補正手段は、左側の前横壁センサのセンサ出力値が左側の後横壁センサのセンサ出力値よりも大きいとき、または、右側の後横壁センサのセンサ出力値が右側の前横壁センサのセンサ出力値よりも大きいときには、本体を右回りに所定角度だけ旋回させ、右側の前横壁センサのセンサ出力値が右側の後横壁センサの出力値よりも大きいとき、または、左側の後横壁センサのセンサ出力値が左側の前横壁センサのセンサ出力値よりも大きいときには、本体を左回りに所定角度だけ旋回させる構成としてある。
上記のように構成した請求項4にかかる発明において、前横壁センサと後横壁センサとのいずれかが障害物に対して近くなっており、これに起因して一方のセンサ出力値が大きくなっているときに、本体を旋回させることにより、障害物に対して平行となるように本体の向きを補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように請求項2にかかる発明によれば、壁際走行を正確に行わせることが可能となり、結果、壁際の塵埃を好適に除去することが可能となる。
また、請求項3にかかる発明によれば、同障害物に対して垂直となるように補正することが可能となる。
さらに、請求項4にかかる発明によれば、障害物に対して平行となるように本体の向きを補正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)自走式掃除機の外観:
(2)自走式掃除機の内部構成:
(3)自走式掃除機の動作:
(4)まとめ:
【0012】
(1)自走式掃除機の外観:
図1は、本発明にかかる自走式掃除機の外観斜視図であり、図2は、図1に示した自走式掃除機の裏面図である。なお、図1において、矢印Aにより示した方向が自走式掃除機の前進時の進行方向である。図1に示すように、本発明にかかる自走式掃除機10は、略円柱形状の本体BDを備えており、本体BDの裏側に設けられた2つの駆動輪12R、12L(図2参照)が個別に駆動されることにより、直進、後退および所定の回転軸を中心とした旋回を行うことが可能となっている。また、本体BDの前面側中央部分には、撮像センサとしての赤外線CCDセンサ73が設けられている。
【0013】
また、赤外線CCDセンサ73の下側には、前方障害物センサとしての3つの超音波センサ31(31a〜31c)が設けられている。超音波センサ31は、超音波を発生する発信部と、同発信部から発せられ、前方の壁に反射して戻ってくる超音波を受信する受信部とを備え、発信部から発せられた超音波が受信部により受信されるまでの時間から、壁までの距離を算出することができるようになっている。これら3つの超音波センサ31のうち、本体BDの前面中央部に超音波センサ31bが設けられており、進行方向右側には超音波センサ31a、進行方向左側には超音波センサ31cがそれぞれ設けられている。右側の超音波センサ31aと左側の超音波センサ31cは、中央の超音波センサ31bよりも後方に配置されている。
【0014】
また、本体BDの前面側の左右両側には、人体センサとしての焦電センサ35(35a、35b)がそれぞれ設けられている。焦電センサ35a、35bは、人体から発生する赤外線を検出することにより、本体BDの近傍に存在する人物を検知することが可能である。なお、図1には示していないが、本体BDの裏側の左右両側にも、焦電センサ35(35c、35d)がそれぞれ設けられており、本体BDの周囲360°が検出範囲となるように構成されている。
また、本体BDの前面側の左右両側には、後述するフォトリフレクタからなる前横壁センサ36F(36FR、36FL)がそれぞれ設けられている。このフォトリフレクタは、側方の壁を検出し、走行時に同壁と所定間隔を維持するためのものであり、また、後述する自動充電を行う際に、充電装置の検出を行うために用いられるものである。なお、図1には示していないが、本体BDの背面側の左右両側にもフォトリフレクタからなる後横壁センサ36R(36RR、36RL)がそれぞれ設けられている。これらの横壁センサ36は、いずれも、側方の壁までの距離が近くなる程、大きなセンサ出力値を発生する。
【0015】
図2において、本体BDの裏側中央の左右両端部には、2つの駆動輪12R、12Lがそれぞれ設けられている。また、本体BDの裏側の前側(進行方向側)には、3つの補助輪13がそれぞれ設けられている。さらに、本体BDの裏側の右上、右下、左上、左下には、路面の凹凸や段差を検知する段差センサ14がそれぞれ設けられている。また、本体BDの裏側中央より下側には、メインブラシ15が設けられている。このメインブラシ15は、メインブラシモ−タ52(図示せず)により回転駆動され、路面上の塵埃を掻き出すことができる。また、メインブラシ15が取り付けられている部分の開口は、吸引口であり、メインブラシ15により塵埃を掻き出しながら、同掻き出された塵埃が吸引口に吸引されるようになっている。また、本体BDの裏側の右上および左上側には、サイドブラシ16がそれぞれ設けられている。
なお、本発明にかかる自走式掃除機10は、図1および図2に示した超音波センサ31、焦電センサ35、段差センサ14、横壁センサ36の他にも各種のセンサを備えているが、それらについては、後に図面(図3)を用いて説明する。
【0016】
(2)自走式掃除機の内部構成:
図3は、図1、図2に示した自走式掃除機の構成を示すブロック図である。同図において、本体BDには、制御部としてCPU21と、ROM23と、RAM22がバス24を介して接続されている。CPU21は、ROM23に記憶されている制御プログラムおよび各種パラメ−タテ−ブルに従い、RAM22をワ−クエリアとして使用して各種の制御を実行する。
【0017】
本体BDは、バッテリ−27を有しており、CPU21は、バッテリ−監視回路26を介してバッテリ−27の残量をモニタ−可能となっている。また、バッテリ−27は、上述した充電装置100から充電を行うための充電端子27aを備えている。この充電端子27aには、充電装置100の給電端子102aが接続されて充電が行われる。バッテリー監視回路26は主にバッテリー27の電圧を監視して残量を検知する。また、本体BDはバス24と接続する音声回路29aを有しており、同音声回路29aにて生成した音声信号に応じてスピーカ29bが音声を発する。
【0018】
また、本体BDは、前方障害物センサとしての超音波センサ31(31a〜31c)と、人体センサとしての焦電センサ35(35a〜35d)と、段差センサ14とをそれぞれ備えている(図1、図2参照)。また、本体BDは、側方の壁を検出する横壁センサ36(36FR、36FL、36RR、36RL)を備えている。これらの横壁センサ36は、赤外線を発する出光部と壁により反射した赤外線を受光する受光部とを具備するフォトリフレクタからなるものであるが、本発明に適用される横壁センサとしては、他に超音波センサ等を用いることが可能である。さらに、本体BDは、上記他のセンサとして、ジャイロセンサ37を備えている。ジャイロセンサ37は、本体BDの進行方向の変化に起因する角速度の変化を検出する角速度センサ37aを備え、角速度センサ37aにより検出されたセンサ出力値を積算することにより本体BDの向いている方向角を検出することが可能である。
【0019】
本発明にかかる自走式掃除機10は、駆動機構として、モ−タドライバ41R、41L
、駆動輪モ−タ42R、42L、および、駆動輪モ−タ42R、42Lと上述した駆動輪12R、12Lとの間に介装される図示しないギアユニットとを備えている。駆動輪モ−タ42R、42Lは、旋回走行を行う際に回転方向と回転角度とが、モ−タドライバ41R、41Lによって詳細に駆動制御される。各モータドライバ41R,41Lは、CPU21からの制御指示に応じて対応する駆動信号を出力する。なお、ギアユニットや駆動輪12R、12Lは各種のものを採用可能であり、円形のゴム製タイヤを駆動させるようにしたり、無端ベルトを駆動させるようにして実現しても良い。
【0020】
また、本体BDは、ロ−タリ−エンコ−ダ38を具備している。このロ−タリ−エンコ−ダ3は、駆動輪モ−タ42R、42Lと一体的に取り付けられており、駆動輪12R、12Lの回転数から、本体BDの走行距離を算出することができるようになっている。
なお、ロータリーエンコーダは駆動輪と直結させず、駆動輪の近傍に自由回転可能な従動輪を取り付け、同従動輪の回転量をフィードバックさせることによって駆動輪にスリップが生じているような場合でも現実の回転量を検知できるようにしても良い。また、加速度センサ44はXYZ三軸方向における加速度を検知し、検知結果を出力する。ギアユニットや駆動輪は各種のものを採用可能であり、円形のゴム製タイヤを駆動させるようにしたり、無端ベルトを駆動させるようにして実現しても良い。
【0021】
本発明にかかる自走式掃除機10における掃除機構は、本体BDの裏面側に設けられた2のサイドブラシ16(図2参照)と、本体BDの裏面中央部分に設けられたメインブラシ15(図2参照)と、同メインブラシ15により掻き出される塵埃を吸引してダストボックス内に格納する吸引ファン(図示せず)とから構成されている。メインブラシ15は、メインブラシモ−タ52により駆動され、また、上記吸引ファンは、吸引モ−タ55により駆動される。メインブラシモ−タ52、吸引モ−タ55には、それぞれモ−タドライバ54、56から駆動電力が供給される。メインブラシ15を使用した清掃は、床面の状況やバッテリ−の状況やユ−ザ−の指示等に応じてCPU21が適宜判断して制御するようにしている。
【0022】
本体BDは、無線LANモジュ−ル61を有しており、CPU21は、所定のプロトコルに従って外部LANと無線によって通信可能となっている。無線LANモジュ−ル61は、図示しないアクセスポイントの存在を前提として、同アクセスポイントは、ル−タ等を介して外部の広域ネットワ−ク(例えば、インタ−ネット)に接続可能な環境となっていることとする。従って、インタ−ネットを介した通常のメ−ルの送受信やWEBサイトの閲覧といったことが可能である。なお、無線LANモジュ−ル61は、規格化されたカ−ドスロットと、同スロットに接続された規格化された無線LANカ−ド等から構成されている。むろん、カ−ドスロットは、他の規格化されたカ−ドを接続することも可能である。
【0023】
また、本体BDは、赤外線CCDセンサ73と、赤外線光源72とを備えている。赤外線CCDセンサ73にて生成された撮像信号は、バス24を介してCPU21に送出され、CPU21にて同撮像信号を対象とした各種処理が行われる。赤外線CCDセンサ73は、正面を撮像可能な光学系を有しており、同光学系にて実現される視野から入力される赤外線に応じて電気信号を生成する。具体的には、上記光学系による結像位置における各画素に対応して配列された多数のフォトダイオードが備えられ、各フォトダイオードが入力された赤外線の電気エネルギ−に応じた電気信号を生成する。そして、CCD素子は、画素毎に生成した電気信号を一時的に記憶し、各画素について電気信号が連続する撮像信号を生成する。そして、同生成された撮像信号を適宜、CPU21に対して出力する。
【0024】
(3)自走式掃除機の動作:
次に、本発明にかかる自走式掃除機10の動作について説明する。
本発明にかかる自走式掃除機10は、ROM23等に予め記憶された制御プログラムに従って自動走行しながら掃除を行うことが可能なように構成されている。自動走行しながらの清掃中に、壁や床面の凹凸がセンサにより検知されたときには、上述した制御プログラムに基づいて、走行制御が行われる。本実施形態においては、図4に示すように、自走式掃除機10が直進走行と90度旋回とを繰り返し、室内をジグザグ走行する場合について説明する。この場合、直進走行中に前方に壁等の障害物が検知されたときには、後述する位置補正処理を行い、前方の壁に対して垂直となるように本体の向きを補正した後に90度旋回し、その後、同壁に対して正確に平行となるように本体の向きを再度、補正する処理を行う。
【0025】
以下、実施形態にかかる自走式掃除機10により実行される位置補正処理を、図5に示すフロ−チャ−トに基づいて説明する。図5は、位置補正処理の流れを示すフロ−チャ−トである。まず、ステップS100において前方の障害物を検知したか否かを判定する。この処理において、本体の直進走行中に前方の障害物(壁等)が、3つの超音波センサ31(31a〜31c)のいずれかにより検知されたか否かを判定する。前方の障害物を検知しない、すなわち、3つの超音波センサ31のいずれにも障壁物が検知されなかった場合には処理をステップS100に戻す。
【0026】
一方、ステップS100において前方の障害物を検知したと判定した場合、次に、ステップS110において、右側の超音波センサで検知したか否かを判定する。すなわち、3つの超音波センサ31a〜31cのうち、進行方向右側に配置された超音波センサ31aにより前方の障害物が検知されたか否かを判定する。右側の超音波センサで検知したと判定した場合、本体BDの進行方向は、障害物に対して垂直よりも左側に傾いていることになるので、次のステップS120において本体BDを右回りに所定角度(例えば、1度)だけ旋回させる処理を行い、本体BDの向きを同障害物に対して垂直に近づける。
【0027】
ステップS120の処理を実行すると、次に、ステップS130において左側の超音波センサが反応したか否かを判定する。この処理において、左側の超音波センサ31cにより上記前方の障害物が検知されたか否かを判定する。右側の超音波センサ31aにより障害物が検知された状態で、このステップS130の処理により左側の超音波センサ31cにも同障害物が検知されるということは、右側の超音波センサ31aと左側の超音波センサ31cから同障害物までの距離が等しいということであり、本体BDの向きが同障害物に対して垂直になっているということである。ステップS130において左側の超音波センサが反応していないと判定した場合には、処理をステップS120に戻す一方、左側の超音波センサが反応したと判定した場合には、処理を後述するステップS180に進める。
【0028】
上述したステップS110において右側の超音波センサで前方の障害物を検知したと判定しなかった場合、次に、ステップS140において中央の超音波センサ31bにより前方の障害物が検知されたか否かを判定する。3つの超音波センサ31a〜31cのうち、中央の超音波センサ31bが最初に障害物を検知した場合、本体BDの向きが同障害物に対して垂直になっているということである。ステップS140において中央の超音波センサで前方の障害物を検知したと判定した場合には、処理を後述するステップS180に進める。
【0029】
一方、ステップS140において中央の超音波センサで前方の障害物を検知していないと判定した場合、次に、ステップS150において左側の超音波センサで検知したか否かを判定する。この処理において、3つの超音波センサ31a〜31cのうち、進行方向左側に配置された超音波センサ31cにより前方の障害物を検知したか否かを判定する。左側の超音波センサで検知した場合、本体BDの進行方向は、障害物に対して垂直よりも右側に傾いていることになるので、次のステップS160にといて本体BDを左回りに所定角度だけ旋回させる処理を行い、本体BDの向きを同障害物に対して垂直に近づける。
【0030】
ステップS160の処理を実行すると、次に、ステップS170において右側の超音波センサが反応したか否かを判定する。この処理において、右側の超音波センサ31aにより上記前方の障害物が検知されたか否かを判定する。右側の超音波センサが反応していないと判定した場合、処理をステップS160に戻す一方、反応したと判定した場合、処理をステップS180に進める。
【0031】
ステップS180において、本体BDを90度旋回させる。この処理において、ジャイロセンサ37により本体BDの向いている方向角を検出しつつ本体BDを旋回させ、90度旋回したときに本体BDの旋回を停止させる。
ステップS180の処理を実行すると、次に、ステップS190において、左側の前横壁センサまたは右側の後横壁センサのセンサ出力値が大となっているか否かを判定する。この処理おいて、左側の前横壁センサである前横壁センサ36FLのセンサ出力値が、左側の後横壁センサ36RLのセンサ出力値よりも大きいか、または、右側の後横壁センサである後横壁センサ36RRのセンサ出力値が、右側の前横壁センサ36FRよりも大きいかを判定する。このようなセンサ出力値の差異が発生するということは、本体BDの向きが左側に傾いていることに起因する。
【0032】
ステップS190において、左側の前横壁センサまたは右側の後横壁センサのセンサ出力値が大となっていると判定した場合、上述したように本体BDの向きが左側に傾いていることになるので次のステップS200において本体BDを所定角度だけ右回りに旋回させて、その後、処理をステップS190に戻す。
【0033】
一方、左側の前横壁センサまたは右側の後横壁センサのセンサ出力値が大となっていないと判定した場合、次に、ステップS210において、右側の前横壁センサまたは左側の後横壁センサのセンサ出力値が大となっているか否かを判定する。この処理において、右側の前横壁センサである前横壁センサ36FRのセンサ出力値が、右側の後横壁センサ36RRのセンサ出力値よりも大きいか、または、左側の後横壁センサである後横壁センサ36RLのセンサ出力値が、左側の前横壁センサ36FLよりも大きいかを判定する。このようなセンサ出力値の差異が発生するということは、本体BDの向きが右側に傾いていることに起因する。
【0034】
ステップS210において、右側の前横壁センサまたは左側の後横壁センサのセンサ出力値が大となっていると判定した場合、上述したように本体BDの向きが右側に傾いていることになるので次のステップS220において本体BDを所定角度だけ左回りに旋回させて、その後、処理をステップS190に戻す。一方、右側の前横壁センサまたは左側の後横壁センサのセンサ出力値が大となっていないと判定した場合、本体BDが右側にも左側にも傾いておらず、障害物に対して平行になっているので、本体BDの旋回は行わず、そのまま位置補正処理を終了させる。
【0035】
以下、図5に示した位置補正処理が実行されているときの具体例を図6、図7を用いて説明する。まず、障害物としての壁Wに向かって走行中、超音波センサ31により壁Wが検知されると(ステップS100:YES)、3つの超音波センサ31a〜31cのうち、どの超音波センサにて検知されたかを判定する(ステップS110、S140、S150)。図6において、本体BDの向きは、壁Wに対して垂直よりも左側に傾いており、その結果、右側の超音波センサが先に検知されることとなる(ステップS110:YES)。
【0036】
その後、本体BDの向きを補正するために、図6中、白抜きの矢印にて示すように微小角度(Δθ)だけ右回りに本体BDを旋回させる。その結果、左側の超音波センサ31cにも壁Wに対する反応があったら、本体BDの向きが壁Wに対して垂直になったとして、本体BDを90度旋回させる(ステップS180)。
【0037】
このステップS180の処理は、ジャイロセンサ37を用いて行われるが、ジャイロセンサ37の計測誤差等に起因して正確に90度旋回とはならず、例えば、図7に示すように壁Wと完全に平行にならない場合がある。図7に示した例では、前横壁センサ36FLが、後横壁センサ36RLと比較して壁Wから近く、そのため、センサ出力値も前横壁センサ36FLの方が大きくなる。この場合は、本体BDを右回りに微小角度(Δθ)だけ旋回させ(ステップS200)、本体BDの向きが壁Wに対して平行になるようにする。
【0038】
上述した実施形態においては、前方障害物センサが超音波センサである場合について説明したが、本発明に適用される前方障害物センサとしては、前方の障害物を検知することができるものであれば、超音波センサに限定されるものではなく、赤外線の出光部と受光部とを具備する赤外線センサ(フォトリフレクタ)等であってもよい。また、実施形態では、横壁センサがフォトリフレクタである場合について説明したが、この横壁センサについても、側方の壁等の障害物を検知することができるものであれば、特に限定されるものではなく、超音波センサ等であってもよい。
【0039】
(4)まとめ:
以上、説明したように、実施形態にかかる自走式掃除機では、超音波センサ31(31a〜31c)を用いて前方の障害物(壁W)に対して垂直となるように本体BDの向きを補正し、その状態で本体BDを90度旋回させた後、横壁センサ36(36FR、36FL、36RR、36RL)を用いて本体BDの向きが障害物(壁W)に対して平行になるように補正する2段階の向き補正を行うように構成されているため、本体を壁に対して正確に平行とすることができ、壁際走行を正確に行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかる自走式掃除機の外観斜視図である。
【図2】図1に示した自走式掃除機の裏面図である。
【図3】図1、図2に示した自走式掃除機の構成を示すブロック図である。
【図4】自走式掃除機が走行する走行順路の一例を示す図である。
【図5】自走式掃除機において実行される位置補正処理の流れを示すフロ−チャ−トである。
【図6】図5に示した位置補正処理を説明するための説明図である。
【図7】図5に示した位置補正処理を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10…自走式掃除機
12R、12L…駆動輪
14…段差センサ
21…CPU
22…RAM
23…ROM
26…バッテリ−監視回路
27…バッテリ−
27a…充電端子
31(31a〜31c)…超音波センサ
35(35a〜35d)…焦電センサ
36FR、36FL、36RR、36RL…横壁センサ
37…ジャイロセンサ
37a…角速度センサ
38…ロ−タリ−エンコ−ダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵および駆動を実現する駆動機構と、掃除機構と、本体の向いている方向角を検出するジャイロセンサと、前方の障害物を検知するとともに同障害物までの距離を計測する前方障害物センサと、側方の障害物を検知し、同障害物までの距離に応じたセンサ出力値を発生する横壁センサとを具備する自走式掃除機において、
上記前方障害物センサは、少なくとも、本体前面中央部分と、それよりも後方の左右両側との3箇所に配置されるとともに、
上記横壁センサとして、本体前側の左右両側に配置された前横壁センサと、本体背面側の左右両側に配置された後横壁センサとを具備しており、
本体が上記障害物に向かって走行中、右側の前方障害物センサにて同障害物が検知されたときには、本体を右回りに所定角度だけ旋回させ、左側の前方障害物センサにて上記障害物が検知されたときには、本体を左回りに所定角度だけ旋回させることにより、本体の向きを前方の障害物に対して垂直となるように補正する垂直補正手段と、
上記垂直補正手段により本体の向きが前方の障害物に対して垂直になった後に、上記ジャイロセンサを用いて本体を90度旋回させ、その後、左側の前横壁センサのセンサ出力値が左側の後横壁センサのセンサ出力値よりも大きいとき、または、右側の後横壁センサのセンサ出力値が右側の前横壁センサのセンサ出力値よりも大きいときには、本体を右回りに所定角度だけ旋回させ、右側の前横壁センサのセンサ出力値が右側の後横壁センサの出力値よりも大きいとき、または、左側の後横壁センサのセンサ出力値が左側の前横壁センサのセンサ出力値よりも大きいときには、本体を左回りに所定角度だけ旋回させることにより、本体の向きを上記障害物に対して平行となるように補正する水平補正手段と
を具備することを特徴とする自走式掃除機。
【請求項2】
操舵および駆動を実現する駆動機構と、掃除機構と、本体の向いている方向角を検出するジャイロセンサと、前方の障害物を検知するとともに同障害物までの距離を計測する前方障害物センサと、側方の障害物を検知し、同障害物までの距離に応じたセンサ出力値を発生する横壁センサとを具備する自走式掃除機において、
上記前方障害物センサは、少なくとも、本体前面中央部分と、それよりも後方の左右両側との3箇所に配置されるとともに、
上記横壁センサとして、本体前側の左右両側に配置された前横壁センサと、本体背面側の左右両側に配置された後横壁センサとを具備しており、
上記3箇所に配置された前方障害物センサを用いて、本体の向きを前方の障害物に対して垂直となるように補正する垂直補正手段と、
上記垂直補正手段により本体の向きが前方の障害物に対して垂直になった後に、上記ジャイロセンサを用いて本体を90度旋回させ、その後、上記前横壁センサおよび上記後横壁センサを用いて、本体の向きを上記障害物に対して平行となるように補正する水平補正手段と
を具備することを特徴とする自走式掃除機。
【請求項3】
上記垂直補正手段は、本体が上記障害物に向かって走行中、右側の前方障害物センサにて同障害物が検知されたときには、本体を右回りに所定角度だけ旋回させ、左側の前方障害物センサにて上記障害物が検知されたときには、本体を左回りに所定角度だけ旋回させることを特徴とする請求項2に記載の自走式掃除機。
【請求項4】
上記水平補正手段は、左側の前横壁センサのセンサ出力値が左側の後横壁センサのセンサ出力値よりも大きいとき、または、右側の後横壁センサのセンサ出力値が右側の前横壁センサのセンサ出力値よりも大きいときには、本体を右回りに所定角度だけ旋回させ、右側の前横壁センサのセンサ出力値が右側の後横壁センサの出力値よりも大きいとき、または、左側の後横壁センサのセンサ出力値が左側の前横壁センサのセンサ出力値よりも大きいときには、本体を左回りに所定角度だけ旋回させることを特徴とする請求項2または3に記載の自走式掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−268498(P2006−268498A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86322(P2005−86322)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】