説明

色ずれ量検出装置、色ずれ量検出方法

【課題】それぞれ異なる色のトナー像の主走査方向の相対的な色ずれ量を精度良く検出することを低コストで実現できる色ずれ量検出装置、及び、色ずれ量検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1パターン、及び、第1パターンとの間で相対的に主走査方向に重なり合う第1パターンとは異なる色の第2パターンを記録媒体に形成する画像形成手段30と、第1及び第2のパターンを表す第1及び第2のパターン画像データを生成する画像読取手段7と、第1及び第2のパターン画像データにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する濃度分布判別手段90と、主走査方向の濃度分布において、第1閾値以上であり、且つ、第1閾値よりも大きな第2閾値未満である濃度が存在する割合を判別する濃度割合判別手段91と、判別された割合と予め設定された基準割合との差の絶対値から、第1及び第2のパターンの主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する色ずれ量検出手段92と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ異なる色のトナー像の相対的な色ずれ量を検出する色ずれ量検出装置、及び、色ずれ量検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれ異なる色のトナー像を像担持体に形成する画像形成装置において、それぞれ異なる色のトナー像が像担持体の周面に形成される相対的な位置関係がずれる現象を表す色ずれが生じることがある。このような色ずれは、それぞれ異なる色のトナー像が付着すべき潜像が像担持体の周面に形成される位置が、本来形成される位置からずれることによって生ずる。
【0003】
そこで、画像形成装置において、このような現象が生じることを抑制するために、色ずれを補正するレジストレーションが行われている。このようなレジストレーションは、例えば、それぞれ異なる色のトナー毎に、光源、像担持体、現像器を有するタンデム方式の画像形成装置において、必ず実行されている。
【0004】
レジストレーションを行う方法には、例えば、以下の方法が挙げられる。すなわち、各色に対応した像担持体が、各色のトナー像を、周回駆動されている転写ベルトの表面に対して重なり合うように形成する。ここに、各色のトナー像は、例えば、主走査方向に対して一定の角度を有する直線を示す像である。そして、レジストレーション用のセンサが、各色の直線を検出する。転写ベルトの表面に各色のトナー像が形成される位置が主走査方向に相対的にずれていれば、各色のトナー像は、副走査方向(転写ベルトの周回方向)に沿って配列している。そこで、制御部は、各色の直線が検出された時間差に基づいて各色の直線の主走査方向の相対的な色ずれ量を求めて、色ずれを無くす補正を行う。
【0005】
ところで、主走査方向の相対的な色ずれ量は、数10μm程度である。そのため、レジストレーション用のセンサには高い検出精度が求められる。また、転写ベルトの表面にトナー像が転写される際には、現像特性やトナー残量等に影響されて、センサによってトナー像の濃度として検出される値が変動しやすい。更に、レジストレーション用のセンサと転写ベルトとの距離も変動しやすい。これらの事象は、センサにおける検知誤差の原因となる。そのため、センサにおいて容易に検知誤差が生じる。従って、レジストセンサは、検知誤差を補正することも求められる。従って、レジストレーション用のセンサは高価となってしまう。
【0006】
一方、特許文献1に記載されている方法において、比較的安価な光学センサを用いたレジストレーションが行われている。つまり、画像形成装置が、感光体ドラムの周面において、感光体ドラムの回転方向に沿って、黒のトナー像と赤のトナー像とが相対的に主走査方向に重なり合う複数のパターンを形成する。そして、光学センサによって、複数のパターンの各々において発生した反射光の光量を計測する。そして、複数のパターンの各々において発生した反射光の光量を比較して、黒のトナー像と赤のトナー像との主走査方向の相対的な色ずれ量を推定する。最後に、推定した色ずれ量に基づいて感光体ドラムへのレーザ光の照射開始位置を修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6―1002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載されている方法には、以下に示される問題がある。つまり、光学センサは、レジストレーション用の専用のセンサと比較して比較的安価であるが、検出精度や検知誤差の補正性能が劣る。特許文献1に記載されている方法では、相対的な色ずれ量が、感光体ドラムの回転方向に沿って光学センサの検知範囲に順次到達する2つのパターンの濃度差を比較する処理を経て推定されている。そのため、感光体ドラムに形成されるパターンの濃度の変動が、光学センサによってトナー像の濃度として検出される値に対して顕著に影響を与える。従って、2つのパターンの濃度差を比較する処理を経て色ずれ量を推定する方法では、色ずれ量が精度よく検出されない。
【0009】
また、このような方法は、像担持体の周面のうち、光学センサが反射光を受光できない領域において生じる色ずれ量を推定することができない。従って、像担持体の周面のうち主走査方向の全域において生じる色ずれの色ずれ量を検出することができない。主走査方向の全域における色ずれは、例えば、部分倍率ずれが生じることで生じる。部分倍率ずれは、像担持体の周面に照射されたレーザ光の光束の照射面における主走査方向の長さが本来の長さとは異なる長さに変化する現象が、部分的に生じることで生じる。このように、レーザ光の光束の照射面における主走査方向の長さが本来の長さとは異なる長さに変化する現象が部分的に生じれば、主走査方向の長さが変化した光束が照射された像担持体の周面において、トナーが付着すべき位置及びトナーが付着しない位置が本来の位置から主走査方向においてずれる。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、像担持体に形成されたそれぞれ異なる色のトナー像の主走査方向の相対的な色ずれ量を精度良く検出することを低コストで実現できる色ずれ量検出装置、及び、色ずれ量検出方法を提供することを目的とする。また、像担持体の周面のうち主走査方向の全域において生じる色ずれの色ずれ量を検出することができる色ずれ量検出装置、及び、色ずれ量検出方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に係る色ずれ量検出装置は、トナー像からなる第1パターン、及び、前記第1パターンとは異なる色のトナー像からなり、前記第1パターンとの間で相対的に主走査方向に重なり合う第2パターンのそれぞれを、対応する像担持体に形成し、前記像担持体のそれぞれに形成された前記第1及び第2のパターンのそれぞれを記録媒体に形成する画像形成手段と、前記記録媒体に形成された前記第1及び第2のパターンを読み取って、第1及び第2のパターン画像データを生成する画像読取手段と、前記画像読取手段によって生成された前記第1及び第2のパターン画像データにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する濃度分布判別手段と、前記濃度分布判別手段によって判別された前記主走査方向の濃度分布において、予め設定された第1閾値以上であり、且つ、予め設定され前記第1閾値よりも大きな第2閾値未満である濃度が存在する割合を判別する濃度割合判別手段と、
前記濃度割合判別手段によって判別された前記割合と予め設定された基準割合との差の絶対値を求めて、求めた前記絶対値から、前記第1及び第2のパターン画像の主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する色ずれ量検出手段と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
この構成によれば、第1パターン及び第1パターンと主走査方向に重なり合い第1パターンとは異なる色の第2パターンが記録媒体に形成される。そして、記録媒体に形成された第1及び第2のパターンを表す第1及び第2のパターン画像データが生成される。そして、第1及び第2のパターン画像の主走査方向の濃度分布が判別され、判別された濃度分布から、第1の閾値以上であり、且つ、第1閾値よりも大きな第2閾値未満である濃度が存在する割合が判別される。そして、判別された割合と予め設定された基準割合との差の絶対値が求められ、求められた絶対値から、第1及び第2のパターンの主走査方向の相対的な色ずれ量が検出される。
【0013】
そのため、第1及び第2のパターンの全体を表す第1及び第2のパターン画像データに対して、第1パターンと第2パターンとが重なり合う部分以外の部分に相当する画像データが存在する割合が得られて、その割合と基準割合との差の絶対値から、第1及び第2のパターン画像の主走査方向の相対的な色ずれ量が検出される。
【0014】
そのため、第1パターン及び第2パターンの全体に対して、第1パターンと第2パターンとが重なっていない部分が存在する割合が、基準とされる割合からどの程度異なっているかに応じて、色ずれ量が検出される。従って、レジストレーション用の高価なセンサが要されずに、第1パターンと第2パターンとの間で生じる主走査方向の正味の色ずれ量が判断される。
【0015】
従って、像担持体に形成されたそれぞれ異なる色のトナー像の主走査方向の相対的な色ずれ量を精度良く検出することを低コストで実現できる。
【0016】
上記構成において、前記色ずれ量検出手段には、前記絶対値として各々異なる値が設定されており、且つ、前記絶対値として設定された各々異なる値に対応して、各々異なる色ずれ量が設定されており、前記色ずれ量検出手段は、前記絶対値に相当する前記色ずれ量を検出する構成とすることができる(請求項2)。この構成によれば、濃度割合判別手段によって判別された割合と基準割合との差の絶対値が判れば、その絶対値に相当する色ずれ量が容易に判る。従って、絶対値から色ずれ量が容易に検出される。
【0017】
上記構成において、前記第1及び第2のパターン画像データは、多値画像データである構成とすることができる(請求項3)。この構成によれば、第1及び第2のパターン画像データは、階調が多い多値画像データからなる。そのため、第1及び第2のパターン画像データの濃度分布には、多くの異なる濃度が含まれることになるので、第1及び第2のパターン画像データにおいて、第1閾値以上であり第2閾値未満である濃度が存在する割合が精度よく判別される。
【0018】
上記構成において、前記濃度が、前記第1及び第2のパターン画像データをなす画素において、予め設定された数の画素の階調値を平均した平均値である構成とすることができる(請求項4)。
【0019】
この構成によれば、濃度分布判別手段によって主走査方向の分布が判別されるべき濃度は、第1及び第2のパターン画像データをなす画素において、予め設定された数の画素の階調値を平均した平均値である。そのため、第1及び第2のパターンが記録媒体に形成される際に、現像特性やトナー残量等による影響が生じて第1及び第2のパターンの各画素の階調値に誤差が生じても、各画素の階調値が周辺画素の階調値とともに平均化されるので誤差による影響が緩和される。そのため、色ずれ量の検出を行う障害となる現像特性やトナー残量等による影響が及ぶことが緩和される。
【0020】
上記構成において、前記第1及び第2のパターンが、主走査方向に平行に配列されている構成とすることができる(請求項5)。そのため、第1及び第2のパターンは、主走査方向にのみ重なり合った状態となる。従って、第1及び第2のパターンが、主走査方向の色ずれ量を検出することに適したパターンとなる。
【0021】
上記構成において、前記記録媒体において、前記第1及び第2のパターンからなる組み合わせが、主走査方向に複数配列されている構成とすることができる(請求項6)。この構成によれば、色ずれ量を検出するための第1及び第2のパターンからなる組み合わせが、記録媒体において主走査方向に複数配列されている。そのため、像担持体の主走査方向の複数箇所において色ずれ量が検出される。従って、像担持体の周面のうち主走査方向の全域において生じる色ずれの色ずれ量が検出される。
【0022】
また、本発明の他の局面に係る色ずれ量検出方法は、色ずれ量検出装置が、トナー像からなる第1パターン、及び、前記第1パターンとは異なる色のトナー像からなり、前記第1パターンとの間で相対的に主走査方向に重なり合う第2パターンのそれぞれを、対応する像担持体に形成し、前記像担持体のそれぞれに形成された前記第1及び第2のパターンのそれぞれを記録媒体に形成する画像形成ステップと、前記記録媒体に形成された前記第1及び第2のパターンを読み取って、第1及び第2のパターン画像データを生成する画像読取ステップと、前記第1及び第2のパターン画像データにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する濃度分布判別ステップと、前記主走査方向の濃度分布において、予め設定された第1閾値以上であり、且つ、予め設定され前記第1閾値よりも大きな第2閾値未満である濃度が存在する割合を判別する濃度割合判別ステップと、前記割合と予め設定された基準割合との差の絶対値を求めて、求めた前記絶対値から、前記第1及び第2のパターンの主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する色ずれ量検出ステップと、を実行することを特徴とする(請求項7)。
【0023】
この方法は、請求項1に記載の色ずれ量検出装置が行う処理に対応する方法である。そのため、請求項1に記載の効果が実現される。また、第1及び第2のパターンが主走査方向に複数配列していれば、主走査方向の主走査方向の全域において生じる色ずれの色ずれ量を検出することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1パターン及び第2パターンの全体に対して、第1パターンと第2パターンとが重なっていない部分が存在する割合が、基準とされる割合からどの程度異なっているかに応じて、色ずれ量が検出される。従って、レジストレーション用の高価なセンサが要されずに、第1パターンと第2パターンとの間で生じる主走査方向の正味の色ずれ量が判断される。従って、像担持体に形成されたそれぞれ異なる色のトナー像の主走査方向の相対的な色ずれ量を精度良く検出することを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出装置を内蔵した画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出装置を内蔵した画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】第1パターン及び第2パターンを有する記録紙の一例を示した図である。
【図4】記録紙が読み取られて生成された第1パターン画像データ及び第2パターン画像データを模式的に示した図である。
【図5】色ずれ量検出処理の概要の一例(色ずれが生じていない状態)を説明するための図である。
【図6】色ずれ量検出処理の概要の一例(色ずれが生じている状態)を説明するための図である。
【図7】色ずれ量検出処理の概要の他の例(色ずれが生じている状態)を説明するための図である。
【図8】色ずれ量検出処理の概要のさらに他の例(色ずれが生じている状態)を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出方法の概要の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出装置及び色ずれ量検出方法について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出装置を内蔵した画像形成装置の概略断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出装置を内蔵した画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。尚、図1に示される画像形成装置は、タンデム方式の画像形成装置1である。
【0027】
図1において、画像形成装置1は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する画像読取部(画像読取手段)7、画像読取部7で読み取られた原稿の画像を記録紙(記録媒体)Pに転写する本体部2、及び、本体部2で原稿の画像が転写された記録紙が排出される記録紙排出部6を備える。
【0028】
画像読取部7は、CCD(Charge Coupled Device)などにより構成されたスキャナ71を備える。画像読取部7は、このスキャナ71により原稿台72に載置された原稿を読み取られて原稿の画像を生成する。また、画像読取部7は、原稿載置部73に積層された複数枚の原稿を順次読取窓74上に送り出し、この読取窓74の位置で、スキャナ71によって原稿を読み取らせて原稿の画像を生成させる。
【0029】
本体部2は、給紙部10、画像形成部(画像形成手段)30、転写搬送部40、定着ユニット50、記録紙搬送部20、及び、制御部9を備える。給紙部10は、記録紙Pの束が給紙カセットに積載されており、給紙カセットに積載された記録紙Pの束を、最上位の記録紙Pから1枚ずつ記録紙搬送部20の最下流部に給紙する。
【0030】
記録紙搬送部20は、給紙部10から最下流部に給紙された記録紙Pを各種ローラ対によって、画像形成部30および転写搬送部40と、定着ユニット50にこの順序で通紙し、記録紙搬送部20の最下流部近傍に設けられた記録紙排出部6まで搬送する。
【0031】
画像形成部30は、記録紙搬送部20により通紙される記録紙Pに複数のトナー画像を多重形成する。画像形成部30は、マゼンダのトナー画像を形成する第1の画像形成ユニット30M、シアンのトナー画像を形成する第2の画像形成ユニット30C、イエローのトナー画像を形成する第3の画像形成ユニット30Y、及び、ブラックのトナー画像を形成する第4の画像形成ユニット30K、を備える。各画像形成ユニット30M,30C,30Y,30Kは、この順序で、記録紙Pが搬送される方向に沿って所定間隔をおいて画像形成部30に配設されている。
【0032】
各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kは、それぞれ、感光体ドラム(像担持体)31、帯電部32、現像部34、及び、クリーニング部35を備える。帯電部32、現像部34、及び、クリーニング部35は、いずれも、感光体ドラム31の周面に対向して配設されている。帯電部32は、感光体ドラム31を帯電する。露光部33は、帯電がされた感光体ドラム31に潜像を形成する。現像部34は、形成された潜像にトナーを付着させることによって現像して、感光体ドラム31の周面にトナー像を形成する。このように感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像が、転写搬送部40に搬送されて感光体ドラム31の位置に通紙される記録紙Pに転写される。
【0033】
現像部34は、トナー収納部341を備える。各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kのトナー収納部341は、それぞれ、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナーが収納される。各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kの現像部34は、自己のトナー収納部341に収納されたトナーを用いて、感光体ドラム31に形成された潜像を現像する。これにより、各現像部34は、それぞれ、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナー像を各感光体ドラム31に形成する。このように各感光体ドラム31に形成されたトナー像は、記録紙Pが転写ベルト41によって搬送されてきた際に、記録紙Pへ転写される。
【0034】
転写搬送部40は、従動ローラ42、駆動ローラ43、従動ローラ42及び駆動ローラ43の間に跨って配設された無端状の転写ベルト41、及び、4個の転写ローラ44、を備える。各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kにおいて、4個の転写ローラ44の各々は、感光体ドラム31近傍に1個ずつ設けられ、各感光体ドラム31に対向して設けられている。
【0035】
転写搬送部40は、記録紙搬送部20によって搬送されてきた記録紙Pを、各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kに沿って搬送する。記録紙Pは、各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kの各々において、感光体ドラム41と転写ローラ44との間で形成される転写ニップ部を通過する際に、感光体ドラム41に形成された各色のトナー像が転写される。転写搬送部40は、各画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kにおいて各色のトナー像が転写された記録紙Pを定着ユニット50へ搬送する。
【0036】
定着ユニット50は、転写搬送部40により搬入された記録紙を加熱することにより、先に4つの画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kにより当該記録紙に転写されたトナー像を当該記録紙に定着させる。
【0037】
画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kのトナー収納部341は、それぞれ、当該トナー収納部341に収納されたトナーの残量を検出するセンサSM、SC、SY、及びSKを備えており、画像形成ユニット30M、30C、30Y、及び30Kの各々のトナー収納部341に収納されたマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色のトナーの残量を検出する。制御部9は、CPUなどで構成されており、画像形成装置1を統括的に制御する。
【0038】
図2において、画像形成装置1は、制御部9、スキャナ71、操作部5、記憶部67、画像形成部30、及び、通信部66、を備える。尚、以下の説明において、図1と同じ構成要素は、同一の符号が付されて説明が省略される。
【0039】
このような画像形成装置1において、制御部9、スキャナ71、操作部5、及び、記憶部67は、画像読取部7に組み込まれている。また、制御部9、画像形成部30、スキャナ71、及び、記憶部67は、本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出装置8を構成する。
【0040】
画像形成装置1において、スキャナ71は、先述された機能を有する他に、第1パターン100及び第2パターン101を有する記録紙Pを読み取って第1パターン100を表す第1パターン画像データ101D、及び、第2パターン101を表す第2パターン画像データ101Dを生成する。操作部5は、使用者がコピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びスキャナ機能等に関する操作を行うために使用され、使用者による操作命令(コマンド)等を制御部9に与える。
【0041】
記憶部67は、スキャナ71において生成された画像を記憶する記憶部や、ファクシミリ通信を行う時の短縮釦登録の相手先名称やファクシミリ番号、或いは、ネットワークスキャナとして使用される際の送信相手先のIPアドレスなどを予め記憶したりする記憶部を有して構成されている。また、記憶部67には、第1パターン100及び第2パターン101を有する記録紙P(図3参照)を形成するためのパターンデータが記憶されている。
【0042】
通信部66は、図略のネットワークインターフェースを用い、ネットワークを介して接続されたコンピュータやファクシミリ装置等の外部装置との間で、種々のデータの送受信を行う。例えば、通信部66は、記憶部67へ記憶されている画像を外部装置へ送信することができる。画像形成部30は、先述された機能を有する他に、第1パターン100及び第2パターン101を有する記録紙P(図3参照)を形成する。つまり、画像形成部30は、第1パターン100を表すトナー像、及び、第2パターン101を表すトナー像のそれぞれを、対応する感光体ドラム31のそれぞれの周面に形成し、感光体ドラム31のそれぞれの周面に形成されたトナー像のそれぞれを、記録紙Pに形成する。
【0043】
画像形成装置1において、スキャナ71、操作部5、記憶部67、画像形成部30、及び、通信部66は、制御部9による制御の下で動作する。つまり、制御部9は、ユーザから操作部5に入力された各種の指示信号等に応じて、図略のROM又は記憶部67に記憶されている動作制御プログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って画像形成装置1を統括的に制御する。
【0044】
制御部9は、濃度分布判別部(濃度分布判別手段)90、濃度割合判別部(濃度割合判別手段)91、及び、色ずれ量検出部(色ずれ量検出手段)92、を備える。濃度分布判別部90は、スキャナ71によって生成された第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する。
【0045】
濃度割合判別部91は、濃度分布判別部90によって判別された主走査方向の濃度分布において、予め設定された第1閾値(閾値1)以上であり、且つ、予め設定され第1閾値(閾値1)よりも大きな第2閾値(閾値2)未満である濃度が存在する割合を判別する。
【0046】
色ずれ量検出部92は、後述される基準割合Nを表す基準割合データが設定されている。そして、色ずれ量検出部92は、濃度割合判別部91によって判別された割合と基準割合Nとの差の絶対値を求めて、求めた絶対値から、第1及び第2のパターン100、101の主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する。色ずれ量検出部92は、例えば、以下の処理によって色ずれ量を検出することができる。つまり、色ずれ量検出部92は、予め濃度割合判別部91によって判別されうる割合としてそれぞれ異なる値が設定されている。そして、割合として設定されているそれぞれ異なる値に対応して、色ずれ量としてそれぞれ異なる値が設定されている。このような設定がされていれば、色ずれ量検出部92は、濃度割合判別部91によって判別された割合が判れば、その割合に対応する色ずれ量が容易に判る。
【0047】
図3は、第1パターン100及び第2パターン101を有する記録紙Pの一例を示した図である。尚、図3は、第2パターン101をなすトナー像が感光体ドラム31の周面に形成される際に色ずれが生じていない記録紙Pを示している。また、このような記録紙Pは、画像形成部30によって形成される。
【0048】
図3において、記録紙Pには、マゼンダ色の長方形状のトナー像からなる第1パターン100の各々が平行に主走査方向に配列されている。また、第1パターン100とは異なる色のトナー像からなる長方形状の第2パターン101の各々が、第1パターン100の各々と主走査方向に重なり合う状態で、第1パターン100の各々と主走査方向に平行に配列されている。第1パターン100及び第2パターン101の濃度は同じ濃度である。
【0049】
また、第2パターン101の色は、画像形成ユニット30C、30Y、及び30Kの各々に収納されているシアン、イエロー、及びブラックのいずれか一色である。尚、以下の説明において、第2パターン101の色は、ブラックとされる。また、図3において、記録紙Pの角に存在するマークMは、スキャナ7が、第1及び第2のパターン100及び101が主走査方向に対してどの程度傾いているかを判別するためのマークである。このマークの存在により、主走査方向に対して角度をもった状態で読取窓74の上に給紙された記録紙Pから第1及び第2のパターン100、101を読み取って、傾き補正をどの程度行えばよいのかが判る。
【0050】
尚、図3において、第1及び第2のパターン100及び101は、主走査方向及び副走査方向に対して一定の角度をなすように斜めに配列されている。しかしながら、第1及び第2のパターン100及び101の長手方向が副走査方向と並列であってもよい。このような記録紙Pがスキャナ7によって読み取られて、後述される色ずれ量検出処理が行われる。
【0051】
図4は、図3に示される記録紙Pが読み取られて生成された第1パターン画像データ100D及び第2パターン画像データ101Dを模式的に示した図である。尚、図4において、第1パターン画像データ100D及び101Dは、色ずれが生じていない第1及び第2のパターン100及び101が読み取られて生成された画像である。そのため、第1パターン画像データ100D及び101Dにおいて色ずれは生じていない。また、図4において、複数の格子は画素を表している。
【0052】
図4において、第1パターン画像データ100D及び第2パターン画像データ101Dとの間には、重なり部分画像102Dが存在する。このような重なり部分画像102Dは、第1パターン100(図3参照)と第2パターン101(図3参照)とが主走査方向に重なり合っている部分の画像を表す。
【0053】
また、図4において、第1パターン画像データ100D及び第2パターン画像データ101Dをなす画素の階調値(以下、濃度という)は同一の値である。先述されたように、第1パターン画像データ100Dによって表される第1パターン100と、第2パターン画像データ101Dによって表される第2パターン101とは、同じ濃度であるからである。しかしながら、重なり部分画像102Dをなす画素の階調値(以下、濃度という)は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dの濃度よりも大きな濃度である。先述されたように、重なり部分画像102Dによって表される重なり部分は、それぞれが同じ濃度である第1及び第2のパターン100及び101が重なり合う部分に対応する画像であるからである。
【0054】
尚、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dは、階調が多い多値画像データからなることが望ましい。第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、後述される濃度分布が精度よく判別されるからである。
【0055】
つまり、トナー像が感光体ドラム31の周面に形成される位置が主走査方向にずれる色ずれ量は10μm単位で生じる。そのため、色ずれ量が精度よく検出されるためには、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dをなす画素は、10μm四方であることが望ましい。しかしながら、スキャナ7が生成できる画像をなす画素は、通常、42μm四方である。スキャナ7の解像度は、通常、600dpiであるからである。第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dが多値画像データであれば、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dが画像処理されて、10μm四方の画素の集合とされうるからである。このような画像処理として、例えば、移動平均が挙げられる。
【0056】
画像形成装置1において、濃度分布判別部90、濃度割合判別部91、及び、色ずれ量検出部92は、以下に示される処理を行って、第1パターン100及び第2パターン101の主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する。
【0057】
濃度分布判別部90は、図4に示される第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する。つまり、濃度分布判別部90は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、主走査方向の1ラインに存在する画素の濃度をサンプリングする処理を、副走査方向に繰り返して行う。このような処理により、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dの主走査方向の濃度分布が判別される。このような処理により判別された第1及び第2のパターン画像データ100D及び10Dの主走査方向の濃度分布は、図5(a)に示される濃度分布である。
【0058】
尚、濃度分布判別部90は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dをなす画素において、以下の処理を行ってもよい。つまり、濃度分布判別部90は、主走査方向及び副走査方向のいずれか一方又は両方の範囲内に存在する複数の画素を1ブロックとして順次区分し、区分されたブロックに存在する画素の階調値の平均値を記憶する。そして、各ブロックの平均値を主走査方向にサンプリングする処理を副走査方向に繰り返して行う。このような処理によっても、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dの主走査方向の濃度分布が判る。
【0059】
図5は、色ずれ量検出処理の概要の一例(色ずれが生じていない状態)を説明するための図である。尚、図5(a)は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dの主走査方向の濃度分布を示した図である。図5(b)は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、閾値2以上の濃度を有する画素(重なり部分画像102Dをなす画素)が検出されたことをハイレベルのパルスで示すデジタル信号である。
【0060】
また、図5(c)は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、閾値1以上の濃度を有する画素(第1パターン画像データ100及び第2パターン画像データ101D、及び重なり部分画像102Dのいずれかの画像をなす画素)が検出されたことをハイレベルのパルスで示すデジタル信号である。図5(d)は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて、閾値1以上であり、且つ、閾値2未満である濃度を有する画素(第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dのいずれか一方の画像をなす画素)が検出されたことをハイレベルのパルスで示すデジタル信号である。
【0061】
濃度割合判別部91は、図5(a)に示される濃度分布において、主走査方向の始端から終端に向けて、以下の処理を行う。つまり、濃度割合判別部91は、図5(b)に示されるように、閾値2以上である濃度を有する画素が存在する時間の間には「1」を表すデジタル信号を出力する一方、閾値2以上である濃度を有する画素がない時間の間には「0」を表すデジタル信号を出力する。濃度割合判別部91は、このような「1」及び「0」で表される図5(b)に示されるデジタル信号(以下、デジタル信号2という)を記憶部67へ記憶させる。
【0062】
次に、濃度割合判別部91は、図5(a)に示される濃度分布において、主走査方向の始端から終端に向けて、以下の処理を行う。つまり、濃度割合判別部91は、図5(c)に示されるように、濃度1以上である濃度を有する画素が存在する時間の間には「1」を表すデジタル信号を出力する一方、閾値1以上である濃度を有する画素がない時間の間には「0」を表すデジタル信号を出力する。濃度割合判別部91は、このような「1」及び「0」で表される図5(c)に示されるデジタル信号(以下、デジタル信号1という)を記憶部67へ記憶させる。
【0063】
次に、濃度割合判別部91は、図5(c)に示されるデジタル信号1を表す「1」及び「0」から、図5(b)に示されるデジタル信号2を表す「1」及び「0」を減じる処理を行う。この処理により、図5(a)に示される濃度分布において、閾値1以上であり且つ閾値2未満である濃度が存在する時間が「1」で表され、閾値1以上であり且つ閾値2未満である濃度が存在する時間以外の時間が「0」で表される。濃度割合判別部91は、このような「1」及び「0」で表される図5(d)に示されるデジタル信号(以下、デジタル信号3という)を用いて色ずれ量検出処理を行う。尚、前記デジタル信号3は、図5(c)に示されるデジタル信号1と、図5(b)に示されるデジタル信号との論理積を演算することによっても得られる。
【0064】
以下の説明において、デジタル信号3のうち「1」を表す時間R1は、前記濃度分布において閾値1以上であり且つ閾値2未満である濃度が存在する割合として扱われる。また、デジタル信号3のうち「0」を表す時間は、前記濃度分布において閾値1以上であり且つ閾値2未満である濃度以外の濃度が存在する割合として扱われる。
【0065】
図5(d)において、時間R1が「x」であり、時間R2が「y」であるとする。すると、図5(a)に示される濃度分布において、時間R1が占める割合は、2x/(2x+y)(以降「基準割合N」という)である。このような値Nとなる時間R1が得られる際には、時間R1が占める割合と基準割合Nとの差は「0」である。このような場合、色ずれ量検出部92は、色ずれがないことを検出する。
【0066】
図6は、色ずれ量検出処理の概要の一例(色ずれが生じている状態)を説明するための図である。尚、図6において、図6(a)〜図6(d)の各々は、図5(a)〜図5(d)の各々と同様であるため、説明が省略される。
【0067】
図6において、時間R1が「x1(但しx1>x)」であり、時間R2が「y1(但しy1<y)」であるとする。すると、図6(a)に示される濃度分布において、時間R1が占める割合(2x1/(2x1+y1))は、値Nよりも大きくなる。色ずれ量検出部92は、時間R1が占める割合と基準割合Nとの差の絶対値を求める。そして、先述されたように、その絶対値に相当する色ずれ量を得る。その際、色ずれ量検出部92は、時間R1が占める割合が基準割合Nよりも大きいので、第2パターン画像データ101Dをなすトナー像が感光体ドラム31の周面に形成される位置が、本来形成される位置よりも主走査方向側へずれていることを検出する。
【0068】
図7は、色ずれ量検出処理の概要の他の例(色ずれが生じている状態)を説明するための図である。尚、図7において、図7(a)〜図7(d)の各々は、図5(a)〜図5(d)の各々と同様であるため、説明が省略される。
【0069】
図7において、時間R1が「x2(但しx2<x)」であり、時間R2が「y2(但しy2>y)」であるとする。すると、図7(a)に示される濃度分布において、時間R1が占める割合(2x2/(2x2+y2))は、基準割合Nよりも小さくなる。色ずれ量検出部92は、色ずれ量検出部92は、時間R1が占める割合と基準割合Nとの差の絶対値を求める。そして、先述されたように、その絶対値に相当する色ずれ量を得る。その際、色ずれ量検出部92は、時間R1が占める割合が基準割合Nよりも小さいので、第2パターン画像データ101Dをなすトナー像が感光体ドラム31の周面に形成される位置が、本来形成される位置よりも主走査方向とは逆の方向側へずれていることを検出する。
【0070】
また、図7(a)に示されるように、第2パターン101において、輪郭部分の濃度が他の部分よりも大きくなる現象であるエッジ効果が生じている際には、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dの主走査方向側(図7(a)において右側方向)において、第2パターン101の主走査方向側に生じたエッジ部分ERに対応する濃度が加わる。
【0071】
また、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dの主走査方向と逆の方向側(図7(a)において左側方向)において、第2パターン101の主走査方向と逆の方向側において生じたエッジ部分ELに対応する濃度が加わる。
【0072】
この場合、第2のパターン101の主走査方向と逆の方向側で生じたエッジ部分ELに対応する濃度によって、濃度分布において閾値1以上であり且つ閾値2未満である濃度が存在する時間R1がΔELだけ減少する。一方、第2のパターン101の主走査方向側で生じたエッジ部分ERに対応する濃度によって、濃度分布において閾値1以上であり且つ閾値2未満である濃度が存在する時間R1がΔERだけ増加する。
【0073】
しかしながら、エッジ効果が主走査方向において生じる長さは略一定である。そのため、ΔELの値はΔERの値と略同じである。従って、エッジ効果によってΔEL減少した時間R1が時間ΔER増加するので、時間R1が占める割合(2x2/(2x2+y2))は全体として変わらない。従って、第2パターン101においてエッジ効果が生じている際でも、精度良く色ずれ量が検出される。
【0074】
図8は、色ずれ量検出処理の概要のさらに他の例(色ずれ量が生じている状態)を説明するための図である。尚、図8において、図8(a)〜図8(d)の各々は、図5(a)〜図5(d)の各々と同様であるため、説明が省略される。
【0075】
図8(d)において、時間R1は「0」である。このような時間R1が占める割合は当然「0」であるので基準割合Nよりも小さい。従って、色ずれ量検出部92は、時間R1が占める割合が基準割合Nよりも小さいので、第2パターン画像データ101Dをなすトナー像が感光体ドラム31の周面に形成される位置が、本来形成される位置よりも主走査方向の逆の方向側へずれていることを検出する。
【0076】
尚、図8(d)に示されるデジタル信号3より得られる時間R1が占める割合「0」が基準割合Nとされてもよい。この場合でも、時間R1が占める割合と基準割合Nとの差の絶対値によって色ずれ量が判る。
【0077】
以上に示されるように、図3に示される記録紙Pには、第1パターン100及び第2パターン101からなる組み合わせが複数配列されている。そのため、第1パターン100及び第2パターン101からなる組み合わせの複数が用いられた色ずれ量検出処理が実現される。そのため、主走査方向の全域において生じる色ずれの色ずれ量を検出することができる。
【0078】
図9は、本発明の一実施形態に係る色ずれ量検出方法の概要の一例を示したフローチャートである。色ずれ量検出装置8は、画像形成部30によって、第1パターン100及び第2パターン101を有する記録紙P(図3参照)を形成する(ステップS1;画像形成ステップ)。
【0079】
そして、色ずれ量検出装置8は、スキャナ71によって、第1パターン100及び第2パターン101を有する記録紙Pを読み取って第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dを生成する(ステップS2;画像読取ステップ)。
【0080】
濃度分布判別部90は、第1及び第2のパターン画像データ100D及び101Dにおいて主走査方向の濃度分布を判別する(ステップS3;濃度分布判別ステップ)。濃度割合判別部91は、ステップS3において判別された濃度分布において、閾値1以上であり閾値2未満である濃度が存在する割合を判別する(ステップS4;濃度割合判別ステップ)。
【0081】
色ずれ量検出部92は、以下に示される色ずれ量検出ステップを行う。つまり、色ずれ量検出部92は、ステップS4において判別された割合が予め設定された基準割合Nと同じ割合であるか否かを判別する(ステップS5)。
【0082】
その判別の結果、ステップS4において判別された割合が基準割合Nと異なる割合である際には(ステップS5のNO)、先述されたような処理によって、色ずれ量を検出する。つまり、色ずれ量検出部92は、判別された割合(N1)と基準割合(N)との差の絶対値を求める(ステップS6)。そして、求めた絶対値に相当する色ずれ量を検出する(ステップS7)。一方、ステップS4において判別された割合が基準割合Nと同じ割合である際には(ステップS5のYES)、色ずれが生じていることを検出しない。
【符号の説明】
【0083】
7 画像読取部
8 色ずれ量検出装置
30 画像形成部
71 スキャナ
90 濃度分布判別部
91 濃度割合判別部
92 色ずれ量検出部
100 第1パターン
101 第2パターン
100D 第1パターン画像データ
101D 第2パターン画像データ
P 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像からなる第1パターン、及び、前記第1パターンとは異なる色のトナー像からなり、前記第1パターンとの間で相対的に主走査方向に重なり合う第2パターンのそれぞれを、対応する像担持体に形成し、前記像担持体のそれぞれに形成された前記第1及び第2のパターンのそれぞれを記録媒体に形成する画像形成手段と、
前記記録媒体に形成された前記第1及び第2のパターンを読み取って、第1及び第2のパターン画像データを生成する画像読取手段と、
前記画像読取手段によって生成された前記第1及び第2のパターン画像データにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する濃度分布判別手段と、
前記濃度分布判別手段によって判別された前記主走査方向の濃度分布において、予め設定された第1閾値以上であり、且つ、予め設定され前記第1閾値よりも大きな第2閾値未満である濃度が存在する割合を判別する濃度割合判別手段と、
前記濃度割合判別手段によって判別された前記割合と予め設定された基準割合との差の絶対値を求めて、求めた前記絶対値から、前記第1及び第2のパターンの主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する色ずれ量検出手段と、
を備えることを特徴とする色ずれ量検出装置。
【請求項2】
前記色ずれ量検出手段には、
前記絶対値として各々異なる値が設定されており、且つ、前記絶対値として設定された各々異なる値に対応して、各々異なる色ずれ量が設定されており、
前記色ずれ検出手段は、
前記絶対値に相当する前記色ずれ量を検出することを特徴とする請求項1に記載の色ずれ量検出装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のパターン画像データは、多値画像データであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色ずれ量検出装置。
【請求項4】
前記濃度が、前記第1及び第2のパターン画像データをなす画素において、予め設定された数の画素の階調値を平均した平均値であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の色ずれ量検出装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のパターンが、主走査方向に平行に配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに一項に記載の色ずれ量検出装置。
【請求項6】
前記記録媒体において、前記第1及び第2のパターンからなる組み合わせが、主走査方向に複数配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の色ずれ量検出装置。
【請求項7】
色ずれ量検出装置が、
トナー像からなる第1パターン、及び、前記第1パターンとは異なる色のトナー像からなり、前記第1パターンとの間で相対的に主走査方向に重なり合う第2パターンのそれぞれを、対応する像担持体に形成し、前記像担持体のそれぞれに形成された前記第1及び第2のパターンのそれぞれを記録媒体に形成する画像形成ステップと、
前記記録媒体に形成された前記第1及び第2のパターンを読み取って、第1及び第2のパターン画像データを生成する画像読取ステップと、
前記第1及び第2のパターン画像データにおいて、主走査方向の濃度分布を判別する濃度分布判別ステップと、
前記主走査方向の濃度分布において、予め設定された第1閾値以上であり、且つ、予め設定され前記第1閾値よりも大きな第2閾値未満である濃度が存在する割合を判別する濃度割合判別ステップと、
前記割合と予め設定された基準割合との差の絶対値を求めて、求めた前記絶対値から、前記第1及び第2のパターン画像の主走査方向の相対的な色ずれ量を検出する色ずれ量検出ステップと、
を実行することを特徴とする色ずれ量検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−223974(P2010−223974A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67770(P2009−67770)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】