色処理装置およびその方法
【課題】 画像形成に使用する材量が蛍光物質を含む場合を考慮して、少ないデータ量で、任意の観察光源の下における色を高精度に算出する。
【解決手段】 蛍光特性生成部202は、紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、単色光の放射輝度を測定した測定値を入力する。そして、入力した三刺激値と放射輝度から、単色光の波長における三刺激値生成率を算出する。光源情報入力部203は、画像の観察光源の、紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力する。測色値算出部204は、紫外域から可視域の範囲の複数の波長における三刺激値生成率と分光放射輝度から、色票を観察光源の下で観察する場合の測色値を算出する。
【解決手段】 蛍光特性生成部202は、紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、単色光の放射輝度を測定した測定値を入力する。そして、入力した三刺激値と放射輝度から、単色光の波長における三刺激値生成率を算出する。光源情報入力部203は、画像の観察光源の、紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力する。測色値算出部204は、紫外域から可視域の範囲の複数の波長における三刺激値生成率と分光放射輝度から、色票を観察光源の下で観察する場合の測色値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を形成する材量に含まれる蛍光物質を考慮した色処理に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像出力機器を用いて画像を出力する場合、画像出力機器の色再現特性に基づき、画像の色を画像出力機器が再現可能な色へマッピングする。
【0003】
図1、図2により色再現特性の測定方法を説明する。画像出力機器により所定のメディア11に色票12を印刷したプリント出力22を形成する。そして、測色器の光源(測色光源)13から色票12に光を照射し、色票12が反射した光を分光器14を通して受光器15に受光することで、反射光の分光放射輝度を測定する。反射光の分光放射輝度を測色光源13の分光放射輝度で除算すれば色票12の分光反射率R(λ)が算出される(S23)。次に、出力画像を観察する環境の光源(観察光源)24の分光放射輝度S(λ)を測定する(S25)。これら、分光反射率R(λ)、観察光源24の分光放射輝度S(λ)および等色関数x(λ)y(λ)z(λ)から下式により三刺激値XYZ27を算出する(S26)。
X = k∫R(λ)S(λ)x(λ)dλ
Y = k∫R(λ)S(λ)y(λ)dλ …(1)
Z = k∫R(λ)S(λ)z(λ)dλ
ここで、k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ、
積分範囲は380〜780nm。
【0004】
つまり、画像出力機器によりメディア11に多数の色の色票12を印刷し、各色票の測色値(例えば三刺激値XYZ27)を取得すれば、色票12を印刷する際に画像出力機器に入力した信号値(例えばRGB値)21と測色値の関係が得られる。この対応関係は、画像出力機器の色再現特性を表す。
【0005】
しかし、画像形成に使用するメディア(例えば記録紙)などの材量に蛍光を発する材料(例えば蛍光増白剤)が使用されている場合、上記の方法で測定した分光反射率R(λ)は、観察光源の下における分光反射率R(λ)と異なる場合がある。なお、蛍光物質は、照射光に含まれる励起波長域とは異なる波長域(蛍光波長域)の光を発する。一般に、蛍光波長は励起波長より長波長になる。
【0006】
図3の模式図により蛍光物質を含む色票に単色光を照射した場合の色票からの放射光の測定値を示す。図3(a)は、当該色票に350nmの単色光を照射した場合の放射光の強度を示す。放射光1101は、照射した単色光に対する反射光であり、放射光1102は照射した単色光により励起された蛍光である。一方、図3(b)は、当該色票に440nmの単色光を照射した場合の放射光の強度を示す。放射光1103は、照射した単色光に対する反射光である。
【0007】
図3(a)に示すように、色票が蛍光物質を含む場合、励起波長の光が照射されると、照射した光の波長の反射光1101とは別に、照射した光の波長とは異なる波長の蛍光1102が観測される。一方、図3(b)に示すように、励起波長ではない光を照射すると、照射した光の波長の反射光1103が観測される。そのため、例えば350nm成分と440nm成分を含む光源下において、当該色票の放射光として観測される440nmの光は、蛍光1102と反射光1103の和である。勿論、一般的な光源は多くの波長成分を有するため、440nmの反射光と各波長に対する440nmの蛍光の総和が、その光源下において色票から観測される440nmの放射光になる。
【0008】
図4により励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率R(λ)を説明する。図1に示すような測定系を用いて、蛍光物質を含む試料の放射光を測定すると、蛍光物質が照射光に含まれる紫外域(図4(a)の41)の光に反応し、蛍光波長域(図4(b)の42)の光が発光される。つまり、測色器は、測色光源13の紫外域(励起波長域)41の光エネルギに依存した蛍光が加わった放射光を試料から受光する。その結果、分光反射率R(λ)も測色光源13の紫外域41の光エネルギに依存することになる(図4(c))。測色光源13と観察光源24が同じ場合は、測定において、観察光源24の励起波長域の光エネルギに対応する蛍光が得られるため、正しい測色値が算出される。他方、測色光源13と観察光源24が異なれば、測定において、観察光源24の励起波長域の光エネルギに対応しない蛍光が得られるため、正しい三刺激値を算出することができない。
【0009】
このように、蛍光物質を含む試料の測色に用いた測色光源13と、観察光源24が異なる場合、色再現特性を表す測色値と、実際に見える色が対応しない問題がある。この問題を解決する手法として、観察環境に応じた光源を用いて測色値を求める方法(特許文献1)や、出力装置が出力する色の励起特性に基づき定めた色変換特性を用いて観察環境の下の測色値を推定する方法(特許文献2)が提案されている。
【0010】
特許文献1が開示する方法は、観察環境ごとに光源を変更して色再現特性を測定するため、多くの観察環境に対応するには、大量の測定を行い、大量の測色値を管理する必要がある。また、特許文献2が開示する方法は、励起光波長と蛍光波長の組み合わせを示す励起特性データを作成する必要があり、それら多数の組み合わせの励起特性データを作成し、管理する必要がある。例えば、励起波長を300nmから780nm、蛍光波長を380nmから780nmとして10nm刻みの励起特性データを保持する場合、41行49列の二次元マトリクスデータ(2009個のデータ)になる。たとえ、励起波長<蛍光波長のデータのみを保持するとしても一色(一色票)当り1189個のデータを保持する必要がある。
【0011】
このように、メディアや色材が蛍光物質を含む場合の色再現特性を正確に取得し、かつ、蛍光を考慮したマッピングを行えば、大量の測色値を扱うため、測定にかかる工数、メモリの記憶容量、マイクロプロセッサ(CPU)の計算負荷が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-064112公報
【特許文献2】特開2003-110867公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、画像形成に使用する材量が蛍光物質を含む場合を考慮して、少ないデータ量で、任意の観察光源の下における色を高精度に算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0015】
本発明にかかる色処理は、紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して前記色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、前記単色光の放射輝度を測定した測定値を入力し、前記入力された三刺激値と放射輝度から、前記単色光の波長における三刺激値生成率を算出し、画像の観察光源の、前記紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力し、前記紫外域から可視域の範囲の複数の波長における前記三刺激値生成率と前記分光放射輝度から、前記色票を前記観察光源の下で観察する場合の測色値を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成に使用する材量が蛍光物質を含む場合を考慮して、少ないデータ量で、任意の観察光源の下における色を高精度に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】色再現特性の測定方法を説明する図。
【図2】色再現特性の測定方法を説明する図。
【図3】蛍光物質を含む色票に単色光を照射した場合の色票からの放射光の測定値を示す模式図。
【図4】励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率R(λ)を説明する図。
【図5】実施例の色処理装置の構成例を説明するブロック図。
【図6】色処理プログラムによって実現される色処理部の機能構成例を説明するブロック図。
【図7】蛍光特性データの一例を説明する図。
【図8】色測定装置の構成例を説明する図。
【図9】色処理部の処理例を説明するフローチャート。
【図10】蛍光特性生成部による蛍光特性データの生成を説明するフローチャート。
【図11】測色値算出部による測色値の算出を説明するフローチャート。
【図12】変形例の色処理部の機能構成例を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる実施例の色処理を図面を参照して詳細に説明する。なお、通常の色変換処理に用いるカラープロファイルと区別するため、本発明にかかるカラープロファイルは「蛍光プロファイル」と呼ぶことにする。
【実施例1】
【0019】
[装置の構成]
図5のブロック図により実施例の色処理装置100の構成例を説明する。マイクロプロセッサ(CPU)101は、メインメモリ102のRAMなどをワークメモリとして、メインメモリ102のROMやハードディスクドライブ(HDD)103に格納されたオペレーティングシステム(OS)や各種プログラムを実行する。そして、システムバス105を介して後述する構成を制御する。汎用インタフェイス(I/F)104は、例えばUSBやIEEE1394などのシリアルバスインタフェイスである。汎用I/F104には、プリンタなどの画像出力装置(画像形成装置)107、色測定装置108、観察環境の光源の分光分布を測定する光源測定装置109などが接続される。
【0020】
色処理装置100には、ビデオI/F110を介してモニタ106が接続される。また、汎用I/F104には、図示しないキーボードやポインティングデバイスなども接続される。CPU101は、モニタ106に表示したユーザインタフェイスを介したユーザ指示に従い、実施例の色処理を実現する色処理プログラムおよびデータをHDD103からRAMにロードし、色処理プログラムを実行する。そして、色処理の結果を示すデータをHDD103などに格納する。
【0021】
●色処理部
図6のブロック図により色処理プログラムによって実現される色処理部201の機能構成例を説明する。なお、色処理部201は、CPU101が色処理プログラムによって実現する機能の主要部に相当する。
【0022】
色データ出力部205は、HDD103から読み出した色データを画像出力装置107に出力する。蛍光特性生成部202は、画像出力装置107が形成した色票の後述する蛍光特性データを生成する。光源情報入力部203は、観察光源の後述する光源情報を入力する。測色値算出部204は、蛍光特性データと光源情報から色票を観察光源の下で観察する場合の測色値(XYZ値やLab値など)を算出する。プロファイル生成部206は、色票の色データと測色値の対応関係を示す蛍光プロファイルを生成し、生成した蛍光プロファイルをHDD103に格納する。
【0023】
蛍光プロファイルは、画像出力装置107の色再現特性を表すために充分な数の色票それぞれについて、色票の色データと蛍光特性データから算出した測色値の対応関係を記述したテーブルである。例えば、画像出力装置107がRGB各256階調の色信号を入力するとして、RGBの階調をそれぞれ八分割した9ステップ分の色票(93=729個)に対応する測色値が記述されている。また、例えば、画像出力装置107がCMYK各256階調の色信号を入力するとすれば、CMYKの階調をそれぞれ八分割した9ステップ分の色票(94=6561個)に対応する測色値が記述されていてもよい。勿論、階調の分割数は任意であり、色再現精度に応じた分割数(色票数)に設定すればよい。つまり、蛍光プロファイルは、蛍光特性データから算出された測色値が記述されている点で通常のカラープロファイルと異なる。
【0024】
図7により蛍光特性データの一例を説明する。蛍光特性データは、波長λiと、波長λiに対応する三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)を組み合わせたデータである。三刺激値生成率は、単位放射輝度の単色光の照射に対する、反射光と蛍光を含む放射光の三刺激値XYZである。
【0025】
波長λiの範囲は、色票に含まれる蛍光物質の励起波長域および可視光波長域であり、波長λiのサンプリング間隔は必要な色再現精度に応じて決定する。サンプリング間隔を狭くすれば色再現精度は向上するが、測定に必要な時間や蛍光特性データのデータ量が増加する。逆に、サンプリング間隔を広くすれば色再現精度は低下するが、測定に必要な時間や蛍光特性データのデータ量は減少する。
【0026】
以下では、紫外域に励起波長域をもつ蛍光物質を想定して、例えば、波長λiの範囲を300nmから780nm、サンプリング間隔を10nmとする。従って、本実施例の波長λiは300、310、320、…、780nm(i=0〜48)の49通りの値をとり、各色票の蛍光特性データは、図7に示すように、三行49列のマトリクスになる。従って、一色(一色票)当り147個のデータであり、上述した特許文献2のデータ量(1189個のデータ)の約1/8のデータ量である。
【0027】
[色測定装置]
図8により色測定装置108の構成例を説明する。図8(a)に示すように、光源401は、色票403を照射する光P(λ)を出力する。光P(λ)は、可視光の波長域(以下、可視域)と蛍光物質の励起波長域について連続的なスペクトルを有することが望ましい。本実施例においては、波長λiの範囲である300nmから780nmの間で連続的なスペクトルをもつ光源401を使用する。分光器402は、光P(λ)を分光して波長λiの単色光P(λi)を出力する。
【0028】
フィルタ切替部404は、色票403と受光器405を結ぶ光路上にXYZフィルタの何れかを配置した状態と、光路上からXYZフィルタを退避した状態とを切り替える。フィルタ切替部404は、図8(b)に示すように、窓406から409の四つの窓をもつターレットで、窓406、407、408にはそれぞれXフィルタ、Yフィルタ、Zフィルタが配置されている。また、窓409にはフィルタが未設置で、色票403からの放射光はスルーされる。フィルタ切替部404は、回転することにより、光路上に四つの窓の何れかを配置することができる。
【0029】
受光器405は、色票403からの放射光Q(λ)の光量を測定する。受光器405は、二度の視野角をもち、49通りの測定波長λiのすべてについて既知の分光応答感度をもつ。また、XYZ各フィルタの分光透過率と受光器405の分光応答感度は、それらを組み合わせた際に二度視野の等色関数に近似した分光応答感度をもつように設計されている。なお、本発明を構成する上で受光器405の視野角は二度に限らない。例えば、受光器405の視野角が10度であり、XYZ各フィルタと組み合わせた場合に10度視野の等色関数に近似する構成でもよい。
【0030】
色測定装置108は、分光器402から色票403へ単色光P(λi)を入射角90度で照射し、45度方向の色票403からの光の放射輝度を受光器405で測定する。窓406(Xフィルタ)を光路上に配置すると、Xフィルタを透過した放射光x(λ)を受光器405が測定することでX値に相当する放射光量の測定値が得られる。同様に、窓407(Yフィルタ)、窓408(Zフィルタ)を光路上に配置して、Y値、Z値に相当する放射光量の測定値を得る。これら測定量を、波長λiにおける受光器405の応答感度で除算すれば単色光P(λi)を照射した場合の色票の放射光のXYZ値が得られる。
【0031】
また、色票403を照射する単色光P(λi)の放射輝度を測定する場合、色票403に代わって標準反射試料を配置し、窓409(フィルタなし)を光路上に配置する。標準反射試料は、色測定装置108における入射角および反射角の下で、49通りの波長λiすべてについて既知の反射率をもち、蛍光特性を有さない(蛍光を発光しない)白色板である。波長λiの測定値を、波長λiにおける標準反射試料の反射率および受光器405の応答感度で除算すれば単色光λiの放射輝度が得られる。
【0032】
なお、放射光量の測定値をXYZ値や放射輝度に変換する演算は、色測定装置108が行ってもよいし、蛍光特性生成部202が行ってもよい。以下では、色測定装置108が当該演算を行い、蛍光特性生成部202が演算結果を測定値として入力する、として説明する。また、色票403への光の入射角と測定する光の反射角は90度と45度に限らず、測定可能であれば任意の角度でよい。例えば、入射角が45度で反射角が90度でも構わず、色票403を可動な台上に配置して入射角および反射角を調整可能にしてもよい。勿論、複数の色票403や標準拡散試料を効率よく測定するために、XYステージなどを用意して、測定する色票403を自動的に切り替える構成も有効である。
【0033】
また、色測定装置108は、複数の波長の入射光に対する色票403の三刺激値を測定可能であればよく、例えば、光源401および分光器402の代わりに、単色光のレーザ光源を切り換えて色票403を照射する構成でもよい。
【0034】
また、色測定装置108は、XYZフィルタの代わりに、分光器402と同等の分光器を色票403と受光器405を結ぶ光路上に配置して、色票403の放射光の分光放射輝度を測定してもよい。その場合、測定した分光放射輝度に等色関数を積算し、波長で積分することで単色光λiに対応する三刺激値を算出することができる。等色関数は任意の方法で入力すればよく、例えばHDD103に予め格納してもよいし、汎用I/F104を介して外部の記憶装置から入力してもよい。しかし、この手法は、分光を入射と測定の二回行うため、受光器に到達する光の放射輝度が小さくなり、測定値に対するノイズの割合が増加する。そのため、別途ノイズ低減のための対策を施す必要がある。
【0035】
[蛍光プロファイルの生成]
図9のフローチャートにより色処理部201の処理例を説明する。色データ出力部205は、色票を形成するための色データを画像出力装置107に出力して、画像出力装置107に所定の記録媒体上に色データに基づく色票を形成させる(S501)。
【0036】
蛍光特性生成部202は、詳細は後述するが、色測定装置108を制御して測定値を入力し、三刺激値生成率を算出して蛍光特性データを生成する(S502)。つまり、蛍光特性生成部202は、測定値を入力する第一の入力部、および、三刺激値生成率を算出する第一の算出部として機能する。なお、蛍光特性生成部202は、生成した蛍光特性データをHDD103の所定領域に格納することができる。
【0037】
光源情報入力部203は、光源測定装置109を制御して、観察光源の光源情報を入力する(S503)。つまり、光源情報入力部203は、光源情報を入力する第二の入力部として機能する。
【0038】
測色値算出部204は、蛍光特性データと光源情報に基づき、詳細は後述するが、観察光源の下における色票の測色値を算出する(S504)。つまり、測色値算出部204は、測色値を算出する第二の算出部として機能する。
【0039】
プロファイル生成部206は、色データ出力部205が出力した色データ、および、測色値算出部204が算出した測色値を対応付けた蛍光プロファイルを生成する(S505)。
【0040】
光源情報は、色票が含む蛍光物質の励起波長域と可視域を含む波長域における観察光源の分光放射輝度である。なお、励起波長域の光を含まない観察光源の場合、励起波長域の分光放射輝度を0とすればよい。以下では、光源情報入力部203は300nm≦λ≦780nmの分光放射輝度を入力するとして説明する。なお、規格によって規定される観察環境、標準的な観察環境など観察光源の特性が明らかな場合、光源情報入力部203は、光源測定装置109を使わずに、例えばHDD103などの記憶部に格納された光源の分光放射輝度を入力すればよい。
【0041】
●蛍光特性生成部
図10のフローチャートにより蛍光特性生成部202による蛍光特性データの生成(S502)を説明する。なお、図10は一つの色票を測定して蛍光特性データを取得する処理を示すが、色票の数(例えば729)分、図10に示す処理を繰り返す。
【0042】
蛍光特性生成部202は、インデックスiを0に設定する(S601)。そして、波長λiの単色光P(λi)を色票403に照射して色票403の三刺激値XYZを測定した測定値を入力する(S602)。続いて、単色光P(λi)を標準反射試料に照射して単色光P(λi)の放射輝度を測定した測定値を入力する(S603)。
【0043】
次に、蛍光特性生成部202は、単色光P(λi)の放射輝度と、単色光P(λi)に対する色票403の三刺激値XYZから、波長λiにおける色票403の三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)を算出する(S604)。つまり、三刺激値XYZを放射輝度で除算することにより三刺激値生成率を算出する。
【0044】
次に、蛍光特性生成部202は、インデックスiをインクリメントし(S605)、インデックスiと測定すべき波長λiの数nを比較する(S606)。そして、i<n(この例ではi<49)であれば処理をステップS602に戻して、測定すべき波長λi(この例ではλ0〜λ49)すべてについてステップS602からS605を繰り返す。
【0045】
測定すべき波長λiすべてについて測定が終了すると、蛍光特性生成部202は、単色光P(λi)の波長(入力波長)λiと三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)の対応関係を示す蛍光特性データを生成する(S607)。
【0046】
なお、図10に示すフローチャートは、測定波長を設定した後、XYZフィルタを切り替えて三刺激値XYZを測定する例を示す。しかし、例えば、Xフィルタを光路上に配置して測定すべき波長λiすべてについてX値の測定を行い、続いて、Yフィルタ、Zフィルタの順にフィルタを配置して、測定すべき波長λiすべての測定を行ってもよい。あるいは、色測定装置108が測定対象の色票を自動切替する機能をもつ場合、ある波長λiとあるフィルタの組み合わせについてすべての色票を測定し、その後、波長λiとフィルタの組み合わせを変更してもよい。
【0047】
●測色値算出部
図11のフローチャートにより測色値算出部204による測色値の算出(S504)を説明する。なお、図11は一つの色票の測色値を算出する処理を示すが、色票の数(例えば729)分、図11に示す処理を繰り返す。
【0048】
測色値算出部204は、測色値を算出する色票の蛍光特性データ、および、光源情報を取得する(S701)。例えば、蛍光特性データは、図7に示す入力波長λi=300nmから780nmに対する三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)である。光源情報は、蛍光物質の励起波長域を含む光源の分光放射輝度S(λ)(300nm≦λ≦780nm)である。
【0049】
次に、測色値算出部204は、インデックスiを0に設定する(S702)。そして、波長λiの分光放射輝度S(λi)を取得し(S703)、入力波長λiに対する三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)を取得する(S704)。そして、下式により、取得した分光放射輝度S(λi)と、取得した三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)から波長λiにおける三刺激値Xλi、Yλi、Zλiを算出する(S705)。
Xλi = S(λi)Rx(λi)
Yλi = S(λi)Ry(λi) …(2)
Zλi = S(λi)Rz(λi)
【0050】
次に、測色値算出部204は、インデックスiをインクリメントし(S706)、インデックスiと測定すべき波長λiの数nを比較する(S707)。そして、i<n(この例ではi<49)であれば処理をステップS703に戻して、測色値を算出すべき波長λiすべて(この例ではλ0〜λ49)についてステップS703からS706を繰り返す。
【0051】
波長λiのすべてについて測色値を算出すると、測色値算出部204は、下式により、各波長の三刺激値Xλi、Yλi、Zλiを積分し、観察光源の下における色票403の三刺激値XYZを算出する(S708)。
X = k∫Xλidλ
Y = k∫Yλidλ …(3)
Z = k∫Zλidλ
ここで、積分範囲は300〜780nm。
【0052】
式(3)において、kは定数であり、例えば観察光源の分光放射輝度S(λ)に基づいて正規化する場合は、次式で求めればよい。
k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ …(4)
ここで、積分範囲は380〜780nm、
y(λ)は等色関数におけるYの関数。
【0053】
プロファイル生成部206は、このようにして算出された例えば729色分の色票の測色値と、色票を形成する際に画像出力装置に入力した色データの対応関係から、観察光源の下における蛍光プロファイルを生成することができる。なお、測色値としてLab値を使用する場合は、XYZ→Lab変換式によって、XYZ値をLab値に変換すればよい。
【0054】
[蛍光プロファイルの使用]
プロファイル生成部206が生成した蛍光プロファイルは、カラーマネジメントシステム(CMS)において利用可能である。CMSは、デバイスごとに異なる色再現範囲の差を吸収して、異なるデバイス間で可能な限り同等な色再現を実現するシステムである。一般的なCMSは、デバイス依存の色空間(RGB、CMYKなど)と、デバイス非依存の色空間(CIEXYZ、CIELABなど)を相互変換しながら異なるデバイス間のカラーマッチングを実現する。デバイス依存の色空間とデバイス非依存の色空間の相互変換には、デバイスの色再現特性を格納したカラープロファイル(ICCプロファイルなど)を用いる。カラープロファイルは、デバイスの色再現特性を変換式や変換テーブル(ルックアップテーブル(LUT))として格納し、カラープロファイルを参照すれば色空間の相互変換が可能になる。
【0055】
そこで、図9に示す処理に基づいて、色票の測色値を取得し、色票の例えばRGB値と測色値の対応関係をLUTとして記述したカラープロファイルを作成すれば、蛍光プロファイルを一般的なCMSで利用することが可能になる。
【0056】
また、CMSが蛍光プロファイルと観察光源の光源情報を取得し、観察環境下のカラーマッチングを行う構成も可能である。その場合、CMSは、所定色数の色票について観察光源の下での測色値を算出し、例えばRGB値と測色値の対応関係を記述したLUTを生成する。あるいは、蛍光プロファイルを所定色数の色票の例えばRGB値と蛍光特性データの対応関係を記述したLUTとして扱ってもよい。その場合、CMSは任意のRGB値に対する蛍光特性データを補間演算で生成し、観察光源の下の任意のRGB値に対する測色値を算出する。つまり、これらの蛍光プロファイルを使用するCMSも本発明の範疇である。
【0057】
このように、色票に照射する単色光の波長(入力波長)と、入力波長に対する色票の三刺激値生成率の関係を取得して、少ないデータ量で、蛍光物質を含む材量が使用された印刷物の、任意の観察光源の下における色を高精度に算出することが可能になる。従って、メディアや色材が蛍光物質を含む場合の色再現特性を正確に取得し、かつ、蛍光を考慮したマッピングを行う際の測定にかかる工数、メモリの記憶容量、マイクロプロセッサ(CPU)の計算負荷が軽減することができる。
【0058】
[変形例]
上記では、色処理装置100の外部に接続した色測定装置108、光源測定装置109から入力した情報に基づき測色値を算出する例を説明した。しかし、必ずしも外部から情報を取得する必要はなく、測定機能を有する構成も可能である。図12のブロック図により変形例の色処理部801の機能構成例を説明する。
【0059】
色処理部801は、色票や観察光源を測定して測色値を算出する。測定部802は、実施例1で説明した色測定装置108と光源測定装置109と同様の方法により、画像出力装置107が形成した色票の蛍光特性データや、観察光源の光源情報を測定する。演算部803は、測定部802が測定した蛍光特性データおよび光源情報を入力して、測色値算出部204と同様の処理により、観察光源の下における色票の測色値の算出する。記憶部804は、測定部802の測定値(蛍光特性データや光源情報)、演算部803の演算結果(蛍光プロファイルなど)のデータを記憶するメモリである。
【0060】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を形成する材量に含まれる蛍光物質を考慮した色処理に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像出力機器を用いて画像を出力する場合、画像出力機器の色再現特性に基づき、画像の色を画像出力機器が再現可能な色へマッピングする。
【0003】
図1、図2により色再現特性の測定方法を説明する。画像出力機器により所定のメディア11に色票12を印刷したプリント出力22を形成する。そして、測色器の光源(測色光源)13から色票12に光を照射し、色票12が反射した光を分光器14を通して受光器15に受光することで、反射光の分光放射輝度を測定する。反射光の分光放射輝度を測色光源13の分光放射輝度で除算すれば色票12の分光反射率R(λ)が算出される(S23)。次に、出力画像を観察する環境の光源(観察光源)24の分光放射輝度S(λ)を測定する(S25)。これら、分光反射率R(λ)、観察光源24の分光放射輝度S(λ)および等色関数x(λ)y(λ)z(λ)から下式により三刺激値XYZ27を算出する(S26)。
X = k∫R(λ)S(λ)x(λ)dλ
Y = k∫R(λ)S(λ)y(λ)dλ …(1)
Z = k∫R(λ)S(λ)z(λ)dλ
ここで、k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ、
積分範囲は380〜780nm。
【0004】
つまり、画像出力機器によりメディア11に多数の色の色票12を印刷し、各色票の測色値(例えば三刺激値XYZ27)を取得すれば、色票12を印刷する際に画像出力機器に入力した信号値(例えばRGB値)21と測色値の関係が得られる。この対応関係は、画像出力機器の色再現特性を表す。
【0005】
しかし、画像形成に使用するメディア(例えば記録紙)などの材量に蛍光を発する材料(例えば蛍光増白剤)が使用されている場合、上記の方法で測定した分光反射率R(λ)は、観察光源の下における分光反射率R(λ)と異なる場合がある。なお、蛍光物質は、照射光に含まれる励起波長域とは異なる波長域(蛍光波長域)の光を発する。一般に、蛍光波長は励起波長より長波長になる。
【0006】
図3の模式図により蛍光物質を含む色票に単色光を照射した場合の色票からの放射光の測定値を示す。図3(a)は、当該色票に350nmの単色光を照射した場合の放射光の強度を示す。放射光1101は、照射した単色光に対する反射光であり、放射光1102は照射した単色光により励起された蛍光である。一方、図3(b)は、当該色票に440nmの単色光を照射した場合の放射光の強度を示す。放射光1103は、照射した単色光に対する反射光である。
【0007】
図3(a)に示すように、色票が蛍光物質を含む場合、励起波長の光が照射されると、照射した光の波長の反射光1101とは別に、照射した光の波長とは異なる波長の蛍光1102が観測される。一方、図3(b)に示すように、励起波長ではない光を照射すると、照射した光の波長の反射光1103が観測される。そのため、例えば350nm成分と440nm成分を含む光源下において、当該色票の放射光として観測される440nmの光は、蛍光1102と反射光1103の和である。勿論、一般的な光源は多くの波長成分を有するため、440nmの反射光と各波長に対する440nmの蛍光の総和が、その光源下において色票から観測される440nmの放射光になる。
【0008】
図4により励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率R(λ)を説明する。図1に示すような測定系を用いて、蛍光物質を含む試料の放射光を測定すると、蛍光物質が照射光に含まれる紫外域(図4(a)の41)の光に反応し、蛍光波長域(図4(b)の42)の光が発光される。つまり、測色器は、測色光源13の紫外域(励起波長域)41の光エネルギに依存した蛍光が加わった放射光を試料から受光する。その結果、分光反射率R(λ)も測色光源13の紫外域41の光エネルギに依存することになる(図4(c))。測色光源13と観察光源24が同じ場合は、測定において、観察光源24の励起波長域の光エネルギに対応する蛍光が得られるため、正しい測色値が算出される。他方、測色光源13と観察光源24が異なれば、測定において、観察光源24の励起波長域の光エネルギに対応しない蛍光が得られるため、正しい三刺激値を算出することができない。
【0009】
このように、蛍光物質を含む試料の測色に用いた測色光源13と、観察光源24が異なる場合、色再現特性を表す測色値と、実際に見える色が対応しない問題がある。この問題を解決する手法として、観察環境に応じた光源を用いて測色値を求める方法(特許文献1)や、出力装置が出力する色の励起特性に基づき定めた色変換特性を用いて観察環境の下の測色値を推定する方法(特許文献2)が提案されている。
【0010】
特許文献1が開示する方法は、観察環境ごとに光源を変更して色再現特性を測定するため、多くの観察環境に対応するには、大量の測定を行い、大量の測色値を管理する必要がある。また、特許文献2が開示する方法は、励起光波長と蛍光波長の組み合わせを示す励起特性データを作成する必要があり、それら多数の組み合わせの励起特性データを作成し、管理する必要がある。例えば、励起波長を300nmから780nm、蛍光波長を380nmから780nmとして10nm刻みの励起特性データを保持する場合、41行49列の二次元マトリクスデータ(2009個のデータ)になる。たとえ、励起波長<蛍光波長のデータのみを保持するとしても一色(一色票)当り1189個のデータを保持する必要がある。
【0011】
このように、メディアや色材が蛍光物質を含む場合の色再現特性を正確に取得し、かつ、蛍光を考慮したマッピングを行えば、大量の測色値を扱うため、測定にかかる工数、メモリの記憶容量、マイクロプロセッサ(CPU)の計算負荷が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-064112公報
【特許文献2】特開2003-110867公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、画像形成に使用する材量が蛍光物質を含む場合を考慮して、少ないデータ量で、任意の観察光源の下における色を高精度に算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0015】
本発明にかかる色処理は、紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して前記色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、前記単色光の放射輝度を測定した測定値を入力し、前記入力された三刺激値と放射輝度から、前記単色光の波長における三刺激値生成率を算出し、画像の観察光源の、前記紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力し、前記紫外域から可視域の範囲の複数の波長における前記三刺激値生成率と前記分光放射輝度から、前記色票を前記観察光源の下で観察する場合の測色値を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成に使用する材量が蛍光物質を含む場合を考慮して、少ないデータ量で、任意の観察光源の下における色を高精度に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】色再現特性の測定方法を説明する図。
【図2】色再現特性の測定方法を説明する図。
【図3】蛍光物質を含む色票に単色光を照射した場合の色票からの放射光の測定値を示す模式図。
【図4】励起波長が紫外域にある蛍光物質を含む試料の分光反射率R(λ)を説明する図。
【図5】実施例の色処理装置の構成例を説明するブロック図。
【図6】色処理プログラムによって実現される色処理部の機能構成例を説明するブロック図。
【図7】蛍光特性データの一例を説明する図。
【図8】色測定装置の構成例を説明する図。
【図9】色処理部の処理例を説明するフローチャート。
【図10】蛍光特性生成部による蛍光特性データの生成を説明するフローチャート。
【図11】測色値算出部による測色値の算出を説明するフローチャート。
【図12】変形例の色処理部の機能構成例を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる実施例の色処理を図面を参照して詳細に説明する。なお、通常の色変換処理に用いるカラープロファイルと区別するため、本発明にかかるカラープロファイルは「蛍光プロファイル」と呼ぶことにする。
【実施例1】
【0019】
[装置の構成]
図5のブロック図により実施例の色処理装置100の構成例を説明する。マイクロプロセッサ(CPU)101は、メインメモリ102のRAMなどをワークメモリとして、メインメモリ102のROMやハードディスクドライブ(HDD)103に格納されたオペレーティングシステム(OS)や各種プログラムを実行する。そして、システムバス105を介して後述する構成を制御する。汎用インタフェイス(I/F)104は、例えばUSBやIEEE1394などのシリアルバスインタフェイスである。汎用I/F104には、プリンタなどの画像出力装置(画像形成装置)107、色測定装置108、観察環境の光源の分光分布を測定する光源測定装置109などが接続される。
【0020】
色処理装置100には、ビデオI/F110を介してモニタ106が接続される。また、汎用I/F104には、図示しないキーボードやポインティングデバイスなども接続される。CPU101は、モニタ106に表示したユーザインタフェイスを介したユーザ指示に従い、実施例の色処理を実現する色処理プログラムおよびデータをHDD103からRAMにロードし、色処理プログラムを実行する。そして、色処理の結果を示すデータをHDD103などに格納する。
【0021】
●色処理部
図6のブロック図により色処理プログラムによって実現される色処理部201の機能構成例を説明する。なお、色処理部201は、CPU101が色処理プログラムによって実現する機能の主要部に相当する。
【0022】
色データ出力部205は、HDD103から読み出した色データを画像出力装置107に出力する。蛍光特性生成部202は、画像出力装置107が形成した色票の後述する蛍光特性データを生成する。光源情報入力部203は、観察光源の後述する光源情報を入力する。測色値算出部204は、蛍光特性データと光源情報から色票を観察光源の下で観察する場合の測色値(XYZ値やLab値など)を算出する。プロファイル生成部206は、色票の色データと測色値の対応関係を示す蛍光プロファイルを生成し、生成した蛍光プロファイルをHDD103に格納する。
【0023】
蛍光プロファイルは、画像出力装置107の色再現特性を表すために充分な数の色票それぞれについて、色票の色データと蛍光特性データから算出した測色値の対応関係を記述したテーブルである。例えば、画像出力装置107がRGB各256階調の色信号を入力するとして、RGBの階調をそれぞれ八分割した9ステップ分の色票(93=729個)に対応する測色値が記述されている。また、例えば、画像出力装置107がCMYK各256階調の色信号を入力するとすれば、CMYKの階調をそれぞれ八分割した9ステップ分の色票(94=6561個)に対応する測色値が記述されていてもよい。勿論、階調の分割数は任意であり、色再現精度に応じた分割数(色票数)に設定すればよい。つまり、蛍光プロファイルは、蛍光特性データから算出された測色値が記述されている点で通常のカラープロファイルと異なる。
【0024】
図7により蛍光特性データの一例を説明する。蛍光特性データは、波長λiと、波長λiに対応する三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)を組み合わせたデータである。三刺激値生成率は、単位放射輝度の単色光の照射に対する、反射光と蛍光を含む放射光の三刺激値XYZである。
【0025】
波長λiの範囲は、色票に含まれる蛍光物質の励起波長域および可視光波長域であり、波長λiのサンプリング間隔は必要な色再現精度に応じて決定する。サンプリング間隔を狭くすれば色再現精度は向上するが、測定に必要な時間や蛍光特性データのデータ量が増加する。逆に、サンプリング間隔を広くすれば色再現精度は低下するが、測定に必要な時間や蛍光特性データのデータ量は減少する。
【0026】
以下では、紫外域に励起波長域をもつ蛍光物質を想定して、例えば、波長λiの範囲を300nmから780nm、サンプリング間隔を10nmとする。従って、本実施例の波長λiは300、310、320、…、780nm(i=0〜48)の49通りの値をとり、各色票の蛍光特性データは、図7に示すように、三行49列のマトリクスになる。従って、一色(一色票)当り147個のデータであり、上述した特許文献2のデータ量(1189個のデータ)の約1/8のデータ量である。
【0027】
[色測定装置]
図8により色測定装置108の構成例を説明する。図8(a)に示すように、光源401は、色票403を照射する光P(λ)を出力する。光P(λ)は、可視光の波長域(以下、可視域)と蛍光物質の励起波長域について連続的なスペクトルを有することが望ましい。本実施例においては、波長λiの範囲である300nmから780nmの間で連続的なスペクトルをもつ光源401を使用する。分光器402は、光P(λ)を分光して波長λiの単色光P(λi)を出力する。
【0028】
フィルタ切替部404は、色票403と受光器405を結ぶ光路上にXYZフィルタの何れかを配置した状態と、光路上からXYZフィルタを退避した状態とを切り替える。フィルタ切替部404は、図8(b)に示すように、窓406から409の四つの窓をもつターレットで、窓406、407、408にはそれぞれXフィルタ、Yフィルタ、Zフィルタが配置されている。また、窓409にはフィルタが未設置で、色票403からの放射光はスルーされる。フィルタ切替部404は、回転することにより、光路上に四つの窓の何れかを配置することができる。
【0029】
受光器405は、色票403からの放射光Q(λ)の光量を測定する。受光器405は、二度の視野角をもち、49通りの測定波長λiのすべてについて既知の分光応答感度をもつ。また、XYZ各フィルタの分光透過率と受光器405の分光応答感度は、それらを組み合わせた際に二度視野の等色関数に近似した分光応答感度をもつように設計されている。なお、本発明を構成する上で受光器405の視野角は二度に限らない。例えば、受光器405の視野角が10度であり、XYZ各フィルタと組み合わせた場合に10度視野の等色関数に近似する構成でもよい。
【0030】
色測定装置108は、分光器402から色票403へ単色光P(λi)を入射角90度で照射し、45度方向の色票403からの光の放射輝度を受光器405で測定する。窓406(Xフィルタ)を光路上に配置すると、Xフィルタを透過した放射光x(λ)を受光器405が測定することでX値に相当する放射光量の測定値が得られる。同様に、窓407(Yフィルタ)、窓408(Zフィルタ)を光路上に配置して、Y値、Z値に相当する放射光量の測定値を得る。これら測定量を、波長λiにおける受光器405の応答感度で除算すれば単色光P(λi)を照射した場合の色票の放射光のXYZ値が得られる。
【0031】
また、色票403を照射する単色光P(λi)の放射輝度を測定する場合、色票403に代わって標準反射試料を配置し、窓409(フィルタなし)を光路上に配置する。標準反射試料は、色測定装置108における入射角および反射角の下で、49通りの波長λiすべてについて既知の反射率をもち、蛍光特性を有さない(蛍光を発光しない)白色板である。波長λiの測定値を、波長λiにおける標準反射試料の反射率および受光器405の応答感度で除算すれば単色光λiの放射輝度が得られる。
【0032】
なお、放射光量の測定値をXYZ値や放射輝度に変換する演算は、色測定装置108が行ってもよいし、蛍光特性生成部202が行ってもよい。以下では、色測定装置108が当該演算を行い、蛍光特性生成部202が演算結果を測定値として入力する、として説明する。また、色票403への光の入射角と測定する光の反射角は90度と45度に限らず、測定可能であれば任意の角度でよい。例えば、入射角が45度で反射角が90度でも構わず、色票403を可動な台上に配置して入射角および反射角を調整可能にしてもよい。勿論、複数の色票403や標準拡散試料を効率よく測定するために、XYステージなどを用意して、測定する色票403を自動的に切り替える構成も有効である。
【0033】
また、色測定装置108は、複数の波長の入射光に対する色票403の三刺激値を測定可能であればよく、例えば、光源401および分光器402の代わりに、単色光のレーザ光源を切り換えて色票403を照射する構成でもよい。
【0034】
また、色測定装置108は、XYZフィルタの代わりに、分光器402と同等の分光器を色票403と受光器405を結ぶ光路上に配置して、色票403の放射光の分光放射輝度を測定してもよい。その場合、測定した分光放射輝度に等色関数を積算し、波長で積分することで単色光λiに対応する三刺激値を算出することができる。等色関数は任意の方法で入力すればよく、例えばHDD103に予め格納してもよいし、汎用I/F104を介して外部の記憶装置から入力してもよい。しかし、この手法は、分光を入射と測定の二回行うため、受光器に到達する光の放射輝度が小さくなり、測定値に対するノイズの割合が増加する。そのため、別途ノイズ低減のための対策を施す必要がある。
【0035】
[蛍光プロファイルの生成]
図9のフローチャートにより色処理部201の処理例を説明する。色データ出力部205は、色票を形成するための色データを画像出力装置107に出力して、画像出力装置107に所定の記録媒体上に色データに基づく色票を形成させる(S501)。
【0036】
蛍光特性生成部202は、詳細は後述するが、色測定装置108を制御して測定値を入力し、三刺激値生成率を算出して蛍光特性データを生成する(S502)。つまり、蛍光特性生成部202は、測定値を入力する第一の入力部、および、三刺激値生成率を算出する第一の算出部として機能する。なお、蛍光特性生成部202は、生成した蛍光特性データをHDD103の所定領域に格納することができる。
【0037】
光源情報入力部203は、光源測定装置109を制御して、観察光源の光源情報を入力する(S503)。つまり、光源情報入力部203は、光源情報を入力する第二の入力部として機能する。
【0038】
測色値算出部204は、蛍光特性データと光源情報に基づき、詳細は後述するが、観察光源の下における色票の測色値を算出する(S504)。つまり、測色値算出部204は、測色値を算出する第二の算出部として機能する。
【0039】
プロファイル生成部206は、色データ出力部205が出力した色データ、および、測色値算出部204が算出した測色値を対応付けた蛍光プロファイルを生成する(S505)。
【0040】
光源情報は、色票が含む蛍光物質の励起波長域と可視域を含む波長域における観察光源の分光放射輝度である。なお、励起波長域の光を含まない観察光源の場合、励起波長域の分光放射輝度を0とすればよい。以下では、光源情報入力部203は300nm≦λ≦780nmの分光放射輝度を入力するとして説明する。なお、規格によって規定される観察環境、標準的な観察環境など観察光源の特性が明らかな場合、光源情報入力部203は、光源測定装置109を使わずに、例えばHDD103などの記憶部に格納された光源の分光放射輝度を入力すればよい。
【0041】
●蛍光特性生成部
図10のフローチャートにより蛍光特性生成部202による蛍光特性データの生成(S502)を説明する。なお、図10は一つの色票を測定して蛍光特性データを取得する処理を示すが、色票の数(例えば729)分、図10に示す処理を繰り返す。
【0042】
蛍光特性生成部202は、インデックスiを0に設定する(S601)。そして、波長λiの単色光P(λi)を色票403に照射して色票403の三刺激値XYZを測定した測定値を入力する(S602)。続いて、単色光P(λi)を標準反射試料に照射して単色光P(λi)の放射輝度を測定した測定値を入力する(S603)。
【0043】
次に、蛍光特性生成部202は、単色光P(λi)の放射輝度と、単色光P(λi)に対する色票403の三刺激値XYZから、波長λiにおける色票403の三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)を算出する(S604)。つまり、三刺激値XYZを放射輝度で除算することにより三刺激値生成率を算出する。
【0044】
次に、蛍光特性生成部202は、インデックスiをインクリメントし(S605)、インデックスiと測定すべき波長λiの数nを比較する(S606)。そして、i<n(この例ではi<49)であれば処理をステップS602に戻して、測定すべき波長λi(この例ではλ0〜λ49)すべてについてステップS602からS605を繰り返す。
【0045】
測定すべき波長λiすべてについて測定が終了すると、蛍光特性生成部202は、単色光P(λi)の波長(入力波長)λiと三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)の対応関係を示す蛍光特性データを生成する(S607)。
【0046】
なお、図10に示すフローチャートは、測定波長を設定した後、XYZフィルタを切り替えて三刺激値XYZを測定する例を示す。しかし、例えば、Xフィルタを光路上に配置して測定すべき波長λiすべてについてX値の測定を行い、続いて、Yフィルタ、Zフィルタの順にフィルタを配置して、測定すべき波長λiすべての測定を行ってもよい。あるいは、色測定装置108が測定対象の色票を自動切替する機能をもつ場合、ある波長λiとあるフィルタの組み合わせについてすべての色票を測定し、その後、波長λiとフィルタの組み合わせを変更してもよい。
【0047】
●測色値算出部
図11のフローチャートにより測色値算出部204による測色値の算出(S504)を説明する。なお、図11は一つの色票の測色値を算出する処理を示すが、色票の数(例えば729)分、図11に示す処理を繰り返す。
【0048】
測色値算出部204は、測色値を算出する色票の蛍光特性データ、および、光源情報を取得する(S701)。例えば、蛍光特性データは、図7に示す入力波長λi=300nmから780nmに対する三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)である。光源情報は、蛍光物質の励起波長域を含む光源の分光放射輝度S(λ)(300nm≦λ≦780nm)である。
【0049】
次に、測色値算出部204は、インデックスiを0に設定する(S702)。そして、波長λiの分光放射輝度S(λi)を取得し(S703)、入力波長λiに対する三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)を取得する(S704)。そして、下式により、取得した分光放射輝度S(λi)と、取得した三刺激値生成率Rx(λi)、Ry(λi)、Rz(λi)から波長λiにおける三刺激値Xλi、Yλi、Zλiを算出する(S705)。
Xλi = S(λi)Rx(λi)
Yλi = S(λi)Ry(λi) …(2)
Zλi = S(λi)Rz(λi)
【0050】
次に、測色値算出部204は、インデックスiをインクリメントし(S706)、インデックスiと測定すべき波長λiの数nを比較する(S707)。そして、i<n(この例ではi<49)であれば処理をステップS703に戻して、測色値を算出すべき波長λiすべて(この例ではλ0〜λ49)についてステップS703からS706を繰り返す。
【0051】
波長λiのすべてについて測色値を算出すると、測色値算出部204は、下式により、各波長の三刺激値Xλi、Yλi、Zλiを積分し、観察光源の下における色票403の三刺激値XYZを算出する(S708)。
X = k∫Xλidλ
Y = k∫Yλidλ …(3)
Z = k∫Zλidλ
ここで、積分範囲は300〜780nm。
【0052】
式(3)において、kは定数であり、例えば観察光源の分光放射輝度S(λ)に基づいて正規化する場合は、次式で求めればよい。
k = 100/∫S(λ)y(λ)dλ …(4)
ここで、積分範囲は380〜780nm、
y(λ)は等色関数におけるYの関数。
【0053】
プロファイル生成部206は、このようにして算出された例えば729色分の色票の測色値と、色票を形成する際に画像出力装置に入力した色データの対応関係から、観察光源の下における蛍光プロファイルを生成することができる。なお、測色値としてLab値を使用する場合は、XYZ→Lab変換式によって、XYZ値をLab値に変換すればよい。
【0054】
[蛍光プロファイルの使用]
プロファイル生成部206が生成した蛍光プロファイルは、カラーマネジメントシステム(CMS)において利用可能である。CMSは、デバイスごとに異なる色再現範囲の差を吸収して、異なるデバイス間で可能な限り同等な色再現を実現するシステムである。一般的なCMSは、デバイス依存の色空間(RGB、CMYKなど)と、デバイス非依存の色空間(CIEXYZ、CIELABなど)を相互変換しながら異なるデバイス間のカラーマッチングを実現する。デバイス依存の色空間とデバイス非依存の色空間の相互変換には、デバイスの色再現特性を格納したカラープロファイル(ICCプロファイルなど)を用いる。カラープロファイルは、デバイスの色再現特性を変換式や変換テーブル(ルックアップテーブル(LUT))として格納し、カラープロファイルを参照すれば色空間の相互変換が可能になる。
【0055】
そこで、図9に示す処理に基づいて、色票の測色値を取得し、色票の例えばRGB値と測色値の対応関係をLUTとして記述したカラープロファイルを作成すれば、蛍光プロファイルを一般的なCMSで利用することが可能になる。
【0056】
また、CMSが蛍光プロファイルと観察光源の光源情報を取得し、観察環境下のカラーマッチングを行う構成も可能である。その場合、CMSは、所定色数の色票について観察光源の下での測色値を算出し、例えばRGB値と測色値の対応関係を記述したLUTを生成する。あるいは、蛍光プロファイルを所定色数の色票の例えばRGB値と蛍光特性データの対応関係を記述したLUTとして扱ってもよい。その場合、CMSは任意のRGB値に対する蛍光特性データを補間演算で生成し、観察光源の下の任意のRGB値に対する測色値を算出する。つまり、これらの蛍光プロファイルを使用するCMSも本発明の範疇である。
【0057】
このように、色票に照射する単色光の波長(入力波長)と、入力波長に対する色票の三刺激値生成率の関係を取得して、少ないデータ量で、蛍光物質を含む材量が使用された印刷物の、任意の観察光源の下における色を高精度に算出することが可能になる。従って、メディアや色材が蛍光物質を含む場合の色再現特性を正確に取得し、かつ、蛍光を考慮したマッピングを行う際の測定にかかる工数、メモリの記憶容量、マイクロプロセッサ(CPU)の計算負荷が軽減することができる。
【0058】
[変形例]
上記では、色処理装置100の外部に接続した色測定装置108、光源測定装置109から入力した情報に基づき測色値を算出する例を説明した。しかし、必ずしも外部から情報を取得する必要はなく、測定機能を有する構成も可能である。図12のブロック図により変形例の色処理部801の機能構成例を説明する。
【0059】
色処理部801は、色票や観察光源を測定して測色値を算出する。測定部802は、実施例1で説明した色測定装置108と光源測定装置109と同様の方法により、画像出力装置107が形成した色票の蛍光特性データや、観察光源の光源情報を測定する。演算部803は、測定部802が測定した蛍光特性データおよび光源情報を入力して、測色値算出部204と同様の処理により、観察光源の下における色票の測色値の算出する。記憶部804は、測定部802の測定値(蛍光特性データや光源情報)、演算部803の演算結果(蛍光プロファイルなど)のデータを記憶するメモリである。
【0060】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して前記色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、前記単色光の放射輝度を測定した測定値を入力する第一の入力手段と、
前記入力された三刺激値と放射輝度から、前記単色光の波長における三刺激値生成率を算出する第一の算出手段と、
画像の観察光源の、前記紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力する第二の入力手段と、
前記紫外域から可視域の範囲の複数の波長における前記三刺激値生成率と前記分光放射輝度から、前記色票を前記観察光源の下で観察する場合の前記色票の測色値を算出する第二の算出手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
さらに、前記色票を形成するために、色票の色データを画像形成装置に出力する出力手段と、
前記色票の色データと前記色票の測色値の関係を示すプロファイルを生成する生成手段とを有することを特徴とする請求項1に記載された色処理装置。
【請求項3】
前記紫外域から可視域の範囲は、前記画像を形成する材量に含まれる蛍光物質の励起波長域を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された色処理装置。
【請求項4】
前記単色光の放射輝度は、前記単色光を標準反射試料に照射した場合の前記標準反射試料からの反射光量から算出されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項5】
前記三刺激値生成率は、単位放射輝度の単色光の照射に対する放射光の三刺激値であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項6】
第一および第二の入力手段、第一および第二の算出手段を有する色処理装置の色処理方法であって、
前記第一の入力手段が、紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して前記色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、前記単色光の放射輝度を測定した測定値を入力し、
前記第一の算出手段が、前記入力された三刺激値と放射輝度から、前記単色光の波長における三刺激値生成率を算出し、
前記第二の入力手段が、画像の観察光源の、前記紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力し、
前記第二の算出手段が、前記紫外域から可視域の範囲の複数の波長における前記三刺激値生成率と前記分光放射輝度から、前記色票を前記観察光源の下で観察する場合の測色値を算出することを特徴とする色処理方法。
【請求項7】
コンピュータ装置を請求項1から請求項5の何れか一項に記載された色処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して前記色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、前記単色光の放射輝度を測定した測定値を入力する第一の入力手段と、
前記入力された三刺激値と放射輝度から、前記単色光の波長における三刺激値生成率を算出する第一の算出手段と、
画像の観察光源の、前記紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力する第二の入力手段と、
前記紫外域から可視域の範囲の複数の波長における前記三刺激値生成率と前記分光放射輝度から、前記色票を前記観察光源の下で観察する場合の前記色票の測色値を算出する第二の算出手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
さらに、前記色票を形成するために、色票の色データを画像形成装置に出力する出力手段と、
前記色票の色データと前記色票の測色値の関係を示すプロファイルを生成する生成手段とを有することを特徴とする請求項1に記載された色処理装置。
【請求項3】
前記紫外域から可視域の範囲は、前記画像を形成する材量に含まれる蛍光物質の励起波長域を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された色処理装置。
【請求項4】
前記単色光の放射輝度は、前記単色光を標準反射試料に照射した場合の前記標準反射試料からの反射光量から算出されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項5】
前記三刺激値生成率は、単位放射輝度の単色光の照射に対する放射光の三刺激値であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された色処理装置。
【請求項6】
第一および第二の入力手段、第一および第二の算出手段を有する色処理装置の色処理方法であって、
前記第一の入力手段が、紫外域から可視域の範囲において、単色光を所定の記録媒体上に形成された色票に照射して前記色票からの放射光の三刺激値を測定した測定値、および、前記単色光の放射輝度を測定した測定値を入力し、
前記第一の算出手段が、前記入力された三刺激値と放射輝度から、前記単色光の波長における三刺激値生成率を算出し、
前記第二の入力手段が、画像の観察光源の、前記紫外域から可視域の範囲の分光放射輝度を入力し、
前記第二の算出手段が、前記紫外域から可視域の範囲の複数の波長における前記三刺激値生成率と前記分光放射輝度から、前記色票を前記観察光源の下で観察する場合の測色値を算出することを特徴とする色処理方法。
【請求項7】
コンピュータ装置を請求項1から請求項5の何れか一項に記載された色処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−32340(P2012−32340A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173965(P2010−173965)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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