説明

色変換材料、該材料を含む組成物、該組成物を使用した色変換光学部品および該色変換光学部品を使用した発光素子

【課題】色変換材料、該材料を含む組成物、該組成物を使用した色変換光学部品および該色変換光学部品を使用した発光素子であって、変換効率が改善された色変換材料を提供する。また、これに用いられる特定のピロメテンホウ素錯体化合物を提供する。
【解決手段】下記のピロメテンホウ素錯体化合物を使用することからなる色変換材料を用いる。


寿命が長く、耐久性に優れている。発光素子の用途は特に限定されるものではなく、表示用、ディスプレイ用、交通信号用、交通表示用、液晶バックライト用、液晶フロントライト用、フィールドシーケンシャル液晶表示用、一般照明器具用、局所照明用、インテリア照明用等の種々の用途に使用することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換材料、該材料を含む組成物、該組成物を使用した色変換光学部品および該色変換光学部品を使用した発光素子に関する。さらに詳しくは発光ダイオードのような光源を使用して、短波長光を高い変換効率で長波長光に変換するための色変換材料、該材料を含む組成物、該組成物を使用した色変換光学部品および該色変換光学部品を使用した発光素子に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、発光素子としては、白熱電球、蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)及びエレクトロルミネッセンス等が使用されている。例えば、白熱電球および蛍光ランプから発生する光は、熱や放電による光であり、熱源や放電源の寿命が短いという根本的な問題があることから、発光素子としての寿命が限られている。これに対し、発光ダイオード(LED)の光放射は、半導体固有の性質により発光するものであり、長寿命化が期待されている。このように発光方式としては、種々の方式が利用されており、現在もその特性改良が継続して行われている。発光素子の特性としては、色調、光束及び効率などの特性を有しているが、照明用の光源としては、特に演色性という自然光に如何に類似させるかという特性が求められている。
これまで、光源の演色性を改善するためにさまざまな工夫がなされてきた。蛍光ランプにおいては、低圧水銀放電で発生する253.7nmの強い線スペクトルのエネルギーを蛍光膜で受けて可視光に変換して色補正し演色性を改善する方法。すなわち、蛍光膜に使用する蛍光体や蛍光膜の構造を適切に選んで演色性を改善すること、例えば、全光束を高く保持しつつ複数の蛍光体を用いて演色性を高める技術が提案されている(特許文献1)。
また、蛍光高圧水銀ランプ(特許文献2)やメタルハライドランプ(特許文献3)においても、蛍光体の開発による演色性の改善が提案されている。さらに、高圧ナトリウムランプと高圧水銀ランプを、蛍光体を塗布した外管内に共に収容して演色性の高い混色照明を得る技術も提案されている(特許文献4)。
なお、これらの提案においては、何れも希土類元素を含む無機蛍光体が管面に塗布される構成となっている。
一方、近年、発光ダイオード(LED)を使用した発光素子も多く検討されている。その中で、半導体を用いた可視光発光ダイオードは、直流駆動と低消費電力および比較的長い寿命を有するという特徴がある。
【0003】
発光ダイオードは1962年に赤色の発光ダイオードが開発・商品化されて以来、橙色、緑色、青色発光の製品が逐次、開発・商品化されている。しかしながらその発光色は限られた種類しかないため、種々の混色方式および色変換方式が提案されているのが現状である。
例えば、InGaN、AlInGaPを発光材料とする青色、緑色、赤色の3つの発光ダイオードを使用して、一つのパッケージに実装し、白色光およびフルカラーの発光を得る素子(3チップ型)が提案されている。このような、3つの発光ダイオードを組み合わせて白色光を得る場合には色再現性に優れるという特徴があるが、該素子を使用して白色光を得るためには電力が通常の発光ダイオードの3倍必要になるという問題点がある。
【0004】
さらに、InGaNによる青色発光をYAG蛍光体に照射し、青色光とYAG蛍光体より発生する黄色光を混合することで白色発光する発光ダイオード(1チップ型)も提案されている。しかしながら、このような無機蛍光体を使用した場合でもその蛍光色は限られており、演色性を高めた白色光を得たり、様々な中間色の発光ダイオードを得るには限界がある。また、該素子は青色光と黄色光を混合して疑似白色光を実現しており、緑色と赤色が分離できないために色純度がかなり悪いという問題点がある。
この問題点に対しては、例えば、GaAlN系化合物半導体より発せられる発光を蛍光染料または蛍光顔料に照射して種々の波長の光を得る方法が提案されている(特許文献5)。また、発光素子による発光光を有機色素を含む波長変換部材(色変換)により調光し、光の演色性を向上させることが提案されている(特許文献6)。さらには、有機ELの分野においても、色変換材料を使用した多色化が提案されている(特許文献7〜8)。
このように、現在では色変換技術による調光が種々検討されており、種々の光源に適した多様な色変換材料が求められている。しかしながら、既存の蛍光染料や蛍光顔料による色変換では有機色素の耐光寿命が短いという問題点がある。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−86364号公報
【特許文献2】特開平4−234482号公報
【特許文献3】特開平6−76798号公報
【特許文献4】特開平6−243841号公報
【特許文献5】特開平5−152609号公報
【特許文献6】特開平11−39917号公報
【特許文献7】特開2000−44824号公報、
【特許文献8】特開2000−119645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、耐久性に優れた、高い変換効率を有する色変換材料、該材料を使用した組成物および該組成物を使用した発光素子を提供することである。さらに詳しくは、高い変換効率および耐久性に優れた色変換材料、該材料を色変換光学部品として使用するための組成物、該組成物を成形してなる色変換光学部品、および、光源および該色変換光学部品よりなる発光素子を提供することである。

【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の蛍光色素に関して鋭意検討を行った結果、ピロメテンホウ素錯体化合物が、上記した目的にきわめて好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(i)ピロメテンホウ素錯体化合物を含んでなる色変換材料に関し、
(ii)ピロメテンホウ素錯体化合物が一般式(1)で表される錯体化合物である前記(i)の色変換材料であり、
【0008】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換または未置換の芳香族炭化水素基;置換または未置換の芳香族複素環基;置換または未置換のアラルキル基;置換または未置換のアリールオキシ基;置換または未置換のアリールチオ基;置換または未置換のカルボキシル基;置換または未置換のシリル基;置換または未置換のアミノ基;あるいはシアノ基を表し、RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。又、X及びXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基を表す。)
また、本発明は、
(iii)さらに高分子化合物を含んでなる前記(i)の色変換材料、
(iv)前記(i)の色変換材料を成形して得られる色変換光学部品、
(v)光源および前記(i)の色変換材料を成形した色変換光学部品を用いてなる発光素子、さらに、
(vi)光源が発光ダイオードである前記(v)の発光素子に関するものである。

【発明の効果】
【0009】
本発明により、寿命が長く、耐久性に優れた色変換材料、該材料を含有する組成物、該組成物を成形してなる色変換光学部品、該色変換光学部品を使用した発光素子を提供することが可能になった。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の色変換光学部品を用いた発光素子を模式的に表す概略断面図であり、光源として発光ダイオードを使用し、光源/色変換光学部品/透光性基板の構成であり、透光性基板としてレンズ形状の透光性基板を用いた発光素子の例である。
【図2】本発明の色変換光学部品を用いた発光素子を模式的に表す概略断面図であり、光源として発光ダイオードを使用し、光源/色変換光学部品の構成であり、色変換光学部品としてレンズ形状の色変換光学部品を用いた発光素子の例である。
【図3】本発明の色変換光学部品を用いた発光素子を模式的に表す概略断面図であり、光源として発光ダイオードを使用し、光源/透光性基板/色変換光学部品の構成であり、色変換光学部品としてレンズ形状の色変換光学部品を用いた発光素子の例である。
【図4】本発明の色変換光学部品を用いた発光素子を模式的に表す概略断面図であり、光源として発光ダイオードを使用し、光源/透光性基板/色変換光学部品/透光性基板の構成であり、色変換光学部品として板状の色変換光学部品を用いた素子の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に関し詳細に説明する。本発明の色変換材料はピロメテンホウ素錯体化合物を使用してなるものである。
本発明に係るピロメテンホウ素錯体化合物は、下記一般式(2)で表される骨格を有する化合物を表すものであり、
【0012】

(式中、X及びXは、一般式(1)の場合と同じ意味を表す。)
種々の置換基を有していてもよく、好ましくは、一般式(1)で表される化合物である。
【0013】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換または未置換の芳香族炭化水素基;置換または未置換の芳香族複素環基;置換または未置換のアラルキル基;置換または未置換のアリールオキシ基;置換または未置換のアリールチオ基;置換または未置換のカルボキシル基;置換または未置換のシリル基;置換または未置換のアミノ基;あるいはシアノ基を表し、RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。又、X及びXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基を表す。)

【0014】
一般式(1)で表される化合物において、R〜Rが、置換の芳香族炭化水素基または置換の芳香族複素環基である場合、有しうる置換基としては、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のハロアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;芳香族炭化水素基(さらに、アルキル基、アルコキシ基または芳香族炭化水素基で一置換または多置換されていてもよい);芳香族複素環基(さらに、アルキル基、アルコキシ基、または芳香族炭化水素基で一置換または多置換されていてもよい);アラルキル基(さらに、アルキル基、アルコキシ基または芳香族炭化水素基で一置換または多置換されていてもよい);アリールオキシ基;アリールチオ基;置換または未置換のシリル基;置換または未置換のアミノ基;シアノ基である。

【0015】
又、R〜Rが置換のシリル基である場合、有しうる置換基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐、または環状のアルコキシ基;置換または未置換の芳香族炭化水素基(ここでの置換基は、置換の芳香族炭化水素基が有しうる置換基と同意);あるいは置換または未置換の芳香族複素環基(ここでの置換基は、置換の芳香族複素環基が有しうる置換基と同意)である。

さらに、R〜Rが置換のアミノ基である場合、有しうる置換基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基;置換または未置換の芳香族炭化水素基(ここでの置換基は、置換の芳香族炭化水素基が有しうる置換基と同意);あるいは置換または未置換の芳香族複素環基(ここでの置換基は、置換の芳香族複素環基が有しうる置換基と同意)である。

【0016】
尚、本明細書において、アリールチオ基及びアリールオキシ基のアリールとは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの芳香族複素環基を表す。
本発明に係るピロメテンホウ素錯体化合物の置換基は、特に限定されるものではないが、以下に具体的に例示する。

一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、好ましくは、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;炭素原子数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルケニル基;炭素原子数2〜20の直鎖または分岐のアルキニル基;炭素原子数6〜50の置換または未置換の芳香族炭化水素基;炭素原子数3〜40の置換または未置換の芳香族複素環基;炭素数7〜40の置換または未置換のアラルキル基;炭素原子数3〜50の置換または未置換のアリールオキシ基;炭素原子数3〜50の置換または未置換のアリールチオ基;炭素原子数1〜20の置換または未置換のカルボキシル基;炭素原子数1〜50の置換または未置換のシリル基;炭素原子数1〜50の置換または未置換のアミノ基;あるいはシアノ基を挙げることができる。

【0017】
又、一般式(1)で表される化合物において、R〜Rが置換の芳香族炭化水素基または置換の芳香族複素環基の場合、有しうる置換基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のハロアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;芳香族炭化水素基;芳香族複素環基;置換のシリル基;ジアリールアミノ基が好ましく、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のハロアルキル基;炭素原子数6〜50の芳香族炭化水素基;炭素原子数3〜40の芳香族複素環基;炭素原子数1〜50の置換または未置換のシリル基がより好ましい。

〜Rが置換のシリル基の場合、有しうる置換基としては、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;炭素原子数6〜50の置換または未置換の芳香族炭化水素基;炭素原子数3〜50の置換または未置換の芳香族複素環基が好ましく、

〜Rが置換のアミノ基の場合、有しうる置換基としては、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素原子数6〜50の置換または未置換の芳香族炭化水素基;炭素原子数3〜50の置換または未置換の芳香族複素環基が好ましい。

【0018】
一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物における、R〜Rの具体例としては、水素原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、シアノ基などが挙げられ、
直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、n-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、1-エチルオクチル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、1-ヘキシルヘプチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、1-ヘプチルオクチル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、1-オクチルノニル基、n-オクタデシル基、1-ノニルデシル基、1-デシルウンデシル基、n-エイコシル基、n-ドコシル基、n-テトラコシル基、1-アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基などの炭素原子と水素原子のみからなる炭化水素アルキル基が具体例として挙げられるが、その他の直鎖、分岐または環状のアルキル基の具体例としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基、n-ヘキシルオキシメチル基、(2-エチルブチルオキシ)メチル基、n-オクチルオキシメチル基、n-デシルオキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロポキシエチル基、2-イソプロポキシエチル基、2-n-ブトキシエチル基、2-n-ペンチルオキシエチル基、2-n-ヘキシルオキシエチル基、2-(2'-エチルブチルオキシ)エチル基、2-n-ヘプチルオキシエチル基、2-n-オクチルオキシエチル基、2-(2'-エチルヘキシルオキシ)エチル基、2-n-デシルオキシエチル基、2-n-ドデシルオキシエチル基、2-n-テトラデシルオキシエチル基、2-シクロヘキシルオキシエチル基、2-メトキシプロピル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-n-プロポキシプロピル基、3-イソプロポキシプロピル基、3-(n-ブトキシ)プロピル基、3-(n-ペンチルオキシ)プロピル基、3-(n-ヘキシルオキシ)プロピル基、3-(2'-エチルブトキシ)プロピル基、3-(n-オクチルオキシ)プロピル基、3-(2'-エチルヘキシルオキシ)プロピル基、3-(n-デシルオキシ)プロピル基、3-(n-ドデシルオキシ)プロピル基、3-(n-テトラデシルオキシ)プロピル基、3-シクロヘキシルオキシプロピル基、4-メトキシブチル基、4-エトキシブチル基、4-n-プロポキシブチル基、4-イソプロポキシブチル基、4-n-ブトキシブチル基、4-n-ヘキシルオキシブチル基、4-n-オクチルオキシブチル基、4-n-デシルオキシブチル基、4-n-ドデシルオキシブチル基、5-メトキシペンチル基、5-エトキシペンチル基、5-n-プロポキシペンチル基、6-エトキシヘキシル基、6-イソプロポキシヘキシル基、6-n-ブトキシヘキシル基、6-n-ヘキシルオキシヘキシル基、6-n-デシルオキシヘキシル基、4-メトキシシクロヘキシル基、7-エトキシヘプチル基、7-イソプロポキシヘプチル基、8-メトキシオクチル基、10-メトキシデシル基、10-n-ブトキシデシル基、12-エトキシドデシル基、12-イソプロポキシドデシル基、テトラヒドロフルフリル基、2-(2’-メトキシエトキシ)エチル基、2-(2'-エトキシエトキシ)エチル基、2-(2'-n-ブトキシエトキシ)エチル基、3-(2'-エトキシエトキシ)プロピル基、2-アリルオキシエチル基、2-(4'-ペンテニルオキシ)エチル基、3-アリルオキシプロピル基、3-(2'-ヘキセニルオキシ)プロピル基、3-(2'-ヘプテニルオキシ)プロピル基、3-(1'-シクロヘキセニルオキシ)プロピル基、4-アリルオキシブチル基などの、アルキルオキシ基またはアルケニルオキシ基を有するアルキル基。

【0019】
例えば、ベンジルオキシメチル基、2-ベンジルオキシエチル基、2-フェネチルオキシエチル基、2-(4'-メチルベンジルオキシ)エチル基、2-(2'-メチルベンジルオキシ)エチル基、2-(4'-フルオロベンジルオキシ)エチル基、2-(4'-クロロベンジルオキシ)エチル基、3-ベンジルオキシプロピル基、3-(4'-メトキシベンジルオキシ)プロピル基、4-ベンジルオキシブチル基、2-(ベンジルオキシメトキシ)エチル基、2-(4'-メチルベンジルオキシメトキシ)エチル基などの、アラルキルオキシ基を有するアルキル基。
フェニルオキシメチル基、4-メチルフェニルオキシメチル基、3-メチルフェニルオキシメチル基、2-メチルフェニルオキシメチル基、4-メトキシフェニルオキシメチル基、4-フルオロフェニルオキシメチル基、4-クロロフェニルオキシメチル基、2-クロロフェニルオキシメチル基、2-フェニルオキシエチル基、2-(4'-メチルフェニルオキシ)エチル基、2-(4'-エチルフェニルオキシ)エチル基、2-(4'-メトキシフェニルオキシ)エチル基、2-(4'-クロロフェニルオキシ)エチル基、2-(4'-ブロモフェニルオキシ)エチル基、2-(1'-ナフチルオキシ)エチル基、2-(2'-ナフチルオキシ)エチル基、3-フェニルオキシプロピル基、3-(2'-ナフチルオキシ)プロピル基、4-フェニルオキシブチル基、4-(2'-エチルフェニルオキシ)ブチル基、5-(4'-tert-ブチルフェニルオキシ)ペンチル基、6-(2'-クロロフェニルオキシ)ヘキシル基、8-フェニルオキシオクチル基、10-フェニルオキシデシル基、10-(3'-クロロフェニルオキシ)デシル基、2-(2'-フェニルオキシエトキシ)エチル基、3-(2'-フェニルオキシエトキシ)プロピル基、4-(2'-フェニルオキシエトキシ)ブチル基などの、アリールオキシ基を有するアルキル基。

【0020】
例えば、n-ブチルチオメチル基、n-ヘキシルチオメチル基、2-メチルチオエチル基、2-エチルチオエチル基、2-n-ブチルチオエチル基、2-n-ヘキシルチオエチル基、2-n-オクチルチオエチル基、2-n-デシルチオエチル基、3-メチルチオプロピル基、3-エチルチオプロピル基、3-n-ブチルチオプロピル基、4-エチルチオブチル基、4-n-プロピルチオブチル基、4-n-ブチルチオブチル基、5-エチルチオペンチル基、6-メチルチオヘキシル基、6-エチルチオヘキシル基、6-n-ブチルチオヘキシル基、8-メチルチオオクチル基、2-(2'-メトキシエチルチオ)エチル基、4-(3'-エトキシプロピルチオ)ブチル基、2-(2'-エチルチオエチルチオ)エチル基、2-アリルチオエチル基、2-ベンジルチオエチル基、3-(4'-メチルベンジルチオ)プロピル基、4-ベンジルチオブチル基、2-(2'-ベンジルオキシエチルチオ)エチル基、3-(3'-ベンジルチオプロピルチオ)プロピル基、2-フェニルチオエチル基、2-(4'-メトキシフェニルチオ)エチル基、2-(2'-フェニルオキシエチルチオ)エチル基、3-(2'-フェニルチオエチルチオ)プロピル基などの、チオアルキル基。

【0021】
例えば、フルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、6-フルオロヘキシル基、8−フルオロオクチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ-n-プロピル基、パーフルオロ-n-ヘキシル基、4-フルオロシクロヘキシル基などのフッ素原子を有するアルキル基及びジクロロメチル基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、4-クロロシクロヘキシル基、7-クロロヘプチル基、8-クロロオクチル基、2,2,2-トリクロロエチル基などの塩素原子を有するアルキル基などのハロゲン原子を有するアルキル基。

更には、例えば、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基、6-ヒドロキシヘキシル基、5-ヒドロキシヘプチル基、8-ヒドロキシオクチル基、10-ヒドロキシデシル基、12-ヒドロキシドデシル基、2-ヒドロキシシクロヘキシル基など水酸基を有するアルキル基など、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。

【0022】
直鎖、分岐または環状のアルコキシ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルコキシ基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導される、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基が挙げられる。

直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基としては、前記に挙げたアルキル基と同様な置換基を有しても良いアルキルチオ基であり、前記アルキル基の具体例として示したアルキル基から誘導される、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキルチオ基が挙げられる。

直鎖、分岐または環状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、1-ブテニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-シクロペンテニル基、1−ビニルヘキシル基、スチリル基、スチリルメチル基、2−スチリルエチル基などの、二重結合を含む炭化水素基が含まれる炭素原子数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルケニル基が挙げられる。

直鎖または分岐のアルキニル基としては、例えば、アセチレニル基、プロピニル基、1-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、2-メチル-1-ペンチニル基、フェニルアセチレニル基などの、三重結合を含む炭化水素基が含まれる炭素原子数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルキニル基が挙げられる。

【0023】
置換または未置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-フェニル-1-ナフチル基、6-フェニル-2-ナフチル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、9-メチル-10−アントラセニル基、9-フェニル-10-アントラセニル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、9-メチル-10-フェナントリル基、9-フェニル-10-フェナントリル基、1-メチル-9-フェナントリル基、1-フェニル-9-フェナントリル基、2-メチル-9-フェナントリル基、2-フェニル-9-フェナントリル基、1,8-ジメチル-9-フェナントリル基、1,8-ジフェニル-9-フェナントリル基、2-クロロ-9-フェナントリル基、2-フルオロ-9-フェナントリル基、2,7-ジクロロ-9-フェナントリル基、2,7-ジメチル-9-フェナントリル基、2,7-ジフェニル-9-フェナントリル基、2,7,9-トリメチル-10-フェナントリル基、2,7,9-トリフェニル-10-フェナントリル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-6-イル基が具体例として挙げられるが、その他の置換または未置換の芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、1-ピレニル基、2-ピレニル基、1-フェニル-2-ピレニル基、1-メチル-2-ピレニル基、2-フェニル-1-ピレニル基、2-メチル-1-ピレニル基、4,5-ジメチル-1-ピレニル基、6-フェニル-1-ピレニル基、6-メチル-1-ピレニル基、6-tert-ブチル-1-ピレニル基、6-シクロヘキシル-1-ピレニル基、7-フェニル-1-ピレニル基、7-メチル-1-ピレニル基、7-フェニル-2-ピレニル基、7-メチル-2-ピレニル基、7-tert-ブチル-2-ピレニル基、1,8-ジフェニル-2-ピレニル基、1,8-ジメチル-2-ピレニル基、5,9-ジシクロヘキシル-2-ピレニル基、3,6-ジフェニル-1-ピレニル基、3,6-ジメチル-1-ピレニル基、3,6-ジ-tert-ブチル-1-ピレニル基、8-メチル-1-ピレニル基、8-tert-ブチル-1-ピレニル基、8-フェニル-1-ピレニル基、9-フェニル-1-ピレニル基、9-フェニル-2-ピレニル基、9-メチル-2-ピレニル基、10-フェニル-1-ピレニル基、10-メチル-1-ピレニル基、10-フェニル-2-ピレニル基、10-メチル-2-ピレニル基、9-メチル-1-ピレニル基、3,6,8-トリメチル-1-ピレニル基、3,6,8-トリフェニル-1-ピレニル基、3,6-ジメチル-8-フェニル-1-ピレニル基、9,10-ジメチル-1-ピレニル基、9,10-ジフェニル-1-ピレニル基、4,9-ジメチル-1-ピレニル基、4,9-ジフェニル-1-ピレニル基、9,5-ジメチル-2-ピレニル基、4,5,9,10-トリメチル-2-ピレニル基などのピレニル基。

【0024】
例えば、2-ペリレニル基、3-ペリレニル基、2-フルオランテニル基、3-フルオランテニル基、7-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基。

例えば、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、2-エチルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、4-イソブチルフェニル基、4-sec-ブチルフェニル基、2-sec-ブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3-tert-ブチルフェニル基、2-tertブチルフェニル基、4-n-ペンチルフェニル基、4-イソペンチルフェニル基、2-ネオペンチルフェニル基、4-tert-ペンチルフェニル基、4-n-ヘキシルフェニル基、3-n-ヘキシルフェニル基、4-(2'-エチルブチル)フェニル基、4-n-ヘプチルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-(2'-エチルヘキシル)フェニル基、4-tert-オクチルフェニル基、4-n-デシルフェニル基、4-n-ドデシルフェニル基、4-n-テトラデシルフェニル基、4-シクロペンチルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、4-(4'-メチルシクロヘキシル)フェニル基、4-(4'-tert-ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3-シクロヘキシルフェニル基、2-シクロヘキシルフェニル基、4-エチル-1-ナフチル基、6-n-ブチル-2-ナフチル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4-ジエチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,5-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジイソブチルフェニル基、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル基、2,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、4,6-ジ-tert-ブチル-2-メチルフェニル基、5-tert-ブチル-2-メチルフェニル基、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルフェニル基などのアルキル化芳香族炭化水素基。

【0025】
例えば、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、4-n-プロポキシフェニル基、3-n-プロポキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、3-イソプロポキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、4-n-ブトキシフェニル基、4-イソブトキシフェニル基、2-sec-ブトキシフェニル基、4-n-ペンチルオキシフェニル基、4-イソペンチルオキシフェニル基、2-イソペンチルオキシフェニル基、4-ネオペンチルオキシフェニル基、2-ネオペンチルオキシフェニル基、4-n-ヘキシルオキシフェニル基、2-(2'-エチルブチルオキシ)フェニル基、4-n-オクチルオキシフェニル基、4-n-デシルオキシフェニル基、4-n-ドデシルオキシフェニル基、4-n-テトラデシルオキシフェニル基、4-シクロヘキシルオキシフェニル基、2-シクロヘキシルオキシフェニル基、2-メトキシ-1-ナフチル基、4-メトキシ-1-ナフチル基、4-n-ブトキシ-1-ナフチル基、5-エトキシ-1-ナフチル基、6-メトキシ-2-ナフチル基、6-エトキシ-2-ナフチル基、6-n-ブトキシ-2-ナフチル基、6-n-ヘキシルオキシ-2-ナフチル基、7-メトキシ-2-ナフチル基、7-n-ブトキシ-2-ナフチル基、2-メチル-4-メトキシフェニル基、2-メチル-5-メトキシフェニル基、3-メチル-5-メトキシフェニル基、3-エチル-5-メトキシフェニル基、2-メトキシ-4-メチルフェニル基、3-メトキシ-4-メチルフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,5-ジエトキシフェニル基、3,5-ジ-n-ブトキシフェニル基、2-メトキシ-4-エトキシフェニル基、2-メトキシ-6-エトキシフェニル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基、2-フェニルオキシフェニル基、3-フェニルオキシフェニル基、4-フェニルオキシフェニル基、などのアルコキシ基またはアリールオキシ基を有する芳香族炭化水素基。

【0026】
例えば、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、2,6-ジフェニルフェニル基、3,5-ジフェニルフェニル基、2,4-ジフェニルフェニル基、2,3-ジフェニルフェニル基、2,5-ジフェニルフェニル基、3,4-ジフェニルフェニル基、2,4,6-トリフェニルフェニル基、3,4,5-トリフェニルフェニル基、2,4,5-トリフェニルフェニル基、2-(2'-ピリジル)フェニル基、3-(2'-ピリジル)フェニル基、4-(2'-ピリジル)フェニル基、4-(4'-メチルフェニル)フェニル基、4-(3'-メチルフェニル)フェニル基、4-(4'-メトキシフェニル)フェニル基、4-(4'-n-ブトキシフェニル)フェニル基、2-(2'-メトキシフェニル)フェニル基、4-(4'-クロロフェニル)フェニル基、3-メチル-4-フェニルフェニル基、2-エチル-4-フェニルフェニル基、3-フルオロ-4-フェニルフェニル基、3-メトキシ-4-フェニルフェニル基、2-(1'-ナフチル)フェニル基、2-(2'-ナフチル)フェニル基、3-(1'-ナフチル)フェニル基、3-(2'-ナフチル)フェニル基、4-(1'-ナフチル)フェニル基、4-(2'-ナフチル)フェニル基、4-(2'-ナフチル)-1-ナフチル基、2-フェニル-1-ナフチル基、1-フェニル-2-ナフチル基、4-(1'-ナフチル)-1-ナフチル基、6-(2'-ナフチル)-2-ナフチル基、6-(1'-ナフチル)-2-ナフチル基などのアリール基を有する芳香族炭化水素基。

【0027】
例えば、4-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、2-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、2-ブロモフェニル基、4-クロロ-1-ナフチル基、4-クロロ-2-ナフチル基、6-ブロモ-2-ナフチル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2,5-ジブロモフェニル基、2,4,6-トリクロロフェニル基、2,4-ジクロロ-1-ナフチル基、1,6-ジクロロ-2-ナフチル基、2-フルオロ-4-メチルフェニル基、2-フルオロ-5-メチルフェニル基、3-フルオロ-2-メチルフェニル基、3-フルオロ-4-メチルフェニル基、2-メチル-4-フルオロフェニル基、2-メチル-5-フルオロフェニル基、3-メチル-4-フルオロフェニル基、2-クロロ-4-メチルフェニル基、2-クロロ-4-メチルフェニル基、2-クロロ-5-メチルフェニル基、2-クロロ-6-メチルフェニル基、2-メチル-3-クロロフェニル基、2-メチル-3-クロロフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、3-メチル-4-クロロフェニル基、2-クロロ-4,6-ジメチルフェニル基、2-メトキシ-4-フルオロフェニル基、2-フルオロ-4-メトキシフェニル基、2-フルオロ-4-エトキシフェニル基、2-フルオロ-6-メトキシフェニル基、3-フルオロ-4-エトキシフェニル基、3-クロロ-4-メトキシフェニル基、2-メトキシ-5-クロロフェニル基、3-メトキシ-6-クロロフェニル基、5-クロロ-2,4-ジメトキシフェニル基などのハロゲン化芳香族炭化水素基。

例えば、3-N,N-ジフェニルアミノフェニル基、4-N,N-ジフェニルアミノフェニル基、6-N,N-ジフェニルアミノ-2-ナフチル基、4-N,N-ジフェニルアミノ-1-ナフチル基などのジアリールアミノ基を有する芳香族炭化水素基。

【0028】
例えば、9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル基、9,9-ジエチル-9H-フルオレン-2-イル基、9,9-ジ-n-ヘキシル-9H-フルオレン-2-イル基、9,9-ジ-n-オクチル-9H-フルオレン-2-イル基、9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル基、9,9-ジシクロヘキシル-9H-フルオレン-2-イル基、9,9-ジベンジル-9H-フルオレン-2-イル基、7-N,N-ジフェニルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル基などの、フルオレニル基。
例えば、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、4-パーフルオロエチルフェニル基、2-メチルチオフェニル基、3-メチルチオフェニル基、4-メチルチオフェニル基、4-エチルチオフェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基。

【0029】
更に、例えば、2-トリメチルシリルフェニル基、3-トリメチルシリルフェニル基、4-トリメチルシリルフェニル基、3,5-ビストリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基などの、シリル基を有するフェニル基など、炭素原子数6〜50の置換または未置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。

置換または未置換の芳香族複素環基としては、例えば、4-キノリニル基、3-キノリニル基、2-キノリニル基、1-フェニル-イソキノリン-3-イル基、2-フェニル-7-ナフチリジニル基、2-フェナントロリニル基、4-ピリジニル基、3-ピリジニル基、2-ピリジニル基、2-フェニル-5-ピリジル基、2-フェニル-4-ピリジル基、2,5-ジフェニル-4-ピリジル基、2-(2'-ピリジル)-5-ピリジル基、2,5-ジ(2'-ピリジル)-4-ピリジル基、2-エチル-6-フェニル-4-ピリジル基、2,3,4-トリフェニル-6-ピリジル基、3-エチル-4-ピリジル基、2-ピリミジニル基、2-フェニル-5-ピリミジニル基、2-(2',6'-ジメチルフェニル)-5-ピリミジニル基、4,5-ジフェニル-2-ピリミジニル基、2-ピリダジニル基、2-ピラジニル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ジ(2'-ナフチル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ジ(1'-ナフチル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、3-フラニル基、2-フラニル基、3-チエニル基、2-チエニル基、ベンゾフラン-2-イル基、ベンゾチオフェン-2-イル基、2-オキサゾリル基、2-チアゾリル基、2-ベンゾオキサゾリル基、2-ベンゾチアゾリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、ジベンゾフラン-2-イル基、ジベンゾフラン-4-イル基、ジベンゾフラン-3-イル基、ジベンゾフラン-2-イル基、ジベンゾチオフェン-4-イル基、ジベンゾチオフェン-3-イル基、ジベンゾチオフェン-2-イル基などの、炭素原子数3〜40の置換または未置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。

【0030】
置換または未置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α-エチルベンジル基、フェネチル基、α-メチルフェネチル基、β-メチルフェネチル基、α,α-ジメチルベンジル基、α,α-ジメチルフェネチル基、4-メチルフェネチル基、4-メチルベンジル基、3-メチルベンジル基、2-メチルベンジル基、4-エチルベンジル基、2-エチルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、2-tert-ブチルベンジル基、4-tert-ペンチルベンジル基、4-シクロヘキシルベンジル基、4-n-オクチルベンジル基、4-tert-オクチルベンジル基などの、無置換またはアルキル基を有するアラルキル基が具体例として挙げられるが、その他の置換または未置換のアラルキル基の具体例としては、例えば、4-アリルベンジル基、4-ベンジルベンジル基、4-フェネチルベンジル基、4-フェニルベンジル基、4-(4'-メチルフェニル)ベンジル基などのアリール基またはアラルキル基を有するアラルキル基。

【0031】
例えば、4-メトキシベンジル基、2-メトキシベンジル基、2-エトキシベンジル基、4-n-ブトキシベンジル基、4-n-ヘプチルオキシベンジル基、4-n-デシルオキシベンジル基、4-n-テトラデシルオキシベンジル基、4-n-ヘプタデシルオキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、4-メトキシメチルベンジル基、4-イソブトキシメチルベンジル基、4-アリルオキシベンジル基、4-ビニルオキシメチルベンジル基、4-ベンジルオキシベンジル基、4-フェネチルオキシベンジル基、4-フェニルオキシベンジル基、3-フェニルオキシベンジル基などのオキシ基を有するアラルキル基。

例えば、4-ヒドロキシベンジル基、3-ヒドロキシベンジル基、2-ヒドロキシベンジル基、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル基などの水酸基を有するアラルキル基。

例えば、4-フルオロベンジル基、2-フルオロベンジル基、4-クロロベンジル基、3-クロロベンジル基、2-クロロベンジル基、3,4-ジクロロベンジル基などのハロゲン原子を有するアラルキル基。

【0032】
更には、例えば、2-フルフリル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基などの、炭素原子数7〜40の置換または未置換のアラルキル基が挙げられる。

置換または未置換のアリールオキシ基としては、前記に挙げた置換の芳香族炭化水素基あるいは置換の芳香族複素環基と同様な置換基を有しても良いアリールオキシ基であり、前記に挙げた置換の芳香族炭化水素基あるいは置換の芳香族複素環基の具体例として示した置換基から誘導される、炭素原子数3〜50の置換または未置換のアリールオキシ基が挙げられる。

置換または未置換のアリールチオ基としては、前記に挙げた置換の芳香族炭化水素基あるいは置換の芳香族複素環基と同様な置換基を有しても良いアリールチオ基であり、前記に挙げた置換の芳香族炭化水素基あるいは置換の芳香族複素環基の具体例として示した置換基から誘導される、炭素原子数3〜50の置換または未置換のアリールチオ基が挙げられる。

【0033】
置換または未置換のカルボキシル基としては、例えば、カルボキシル基、メチルカルボキシル基、エチルカルボキシル基、フェニルカルボキシル基、イソプロピルカルボキシル基、1-n-ブテニルカルボキシル基などの、炭素原子数1〜20の置換または未置換のカルボキシル基が挙げられる。

置換または未置換のシリル基としては、例えば、シリル基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリn−プロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、ジメチルn-プロピオキシシリル基、ジメチルイソプロピオキシシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチル-p-トリルシリル基、ジメチルビフェニルシリル基、ジメチルナフチルシリル基、ジメチル-2-ピリジルシリル基などの、炭素原子数1〜50の置換または未置換のシリル基が挙げられる。

置換または未置換のアミノ基としては、例えば、アミノ基、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N-n-プロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N-n-ブチルアミノ基、N-イソブチルアミノ基、N-sec-ブチルアミノ基、N-tert-ブチルアミノ基、N-n-ペンチルアミノ基、N-シクロペンチルアミノ基、N-n-ヘキシルアミノ基、N-シクロヘキシルアミノ基などの、アルキル基を有するアミノ基が具体例として挙げられるが、その他の置換または未置換のアミノ基の具体例としては、例えば、N-ベンジルアミノ基、N-フェネチルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N-(1-ナフチル)アミノ基、N-(2-ナフチル)アミノ基、N-(4-フェニルフェニル)アミノ基、N-(3-フェニルフェニル)アミノ基、N-(2-フェニルフェニル)アミノ基、N-(4-メチルフェニル)アミノ基、N-(2-メチルフェニル)アミノ基、N-(2-アントラセニル)アミノ基、N-(9-アントラセニル)アミノ基などの、アラルキル基またはアリール基を有するアミノ基。

【0034】
例えば、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジ-n-プロピルアミノ基、N,N-ジ-イソプロピルアミノ基、N,N-ジ-n-ブチルアミノ基、N,N-ジ-イソブチルアミノ基、N,N-ジ-sec-ブチルアミノ基、N,N-ジ-n-ペンチルアミノ基、N,N-ジシクロペンチルアミノ基、N,N-ジシクロヘキシルアミノ基、N,N-ジベンジルアミノ基、N,N-ジフェネチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-メチル-N-n-プロピルアミノ基、N-メチル-N-イソプロピルアミノ基、N-メチル-N-n-ブチルアミノ基、N-メチル-N-tert-ブチルアミノ基、N-メチル-N-シクロペンチルアミノ基、N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-メチル-N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-フェネチルアミノ基、N-エチル-N-tert-ブチルアミノ基、N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-エチル-N-ベンジルアミノ基、N-イソプロピル-N-シクロペンチルアミノ基、N-イソプロピル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-イソプロピル-N-ベンジルアミノ基、N-tert-ブチル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-tert-ブチル-N-ベンジルアミノ基、N-シクロペンチル-N-ベンジルアミノ基、N-シクロヘキシル-N-ベンジルアミノ基などのアルキル基またはアラルキル基で二置換されたアミノ基。

【0035】
例えば、N,N-ジフェニルアミノ基、N-フェニル-N-(4-メチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-メチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-メチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-メトキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-メトキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-メトキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(1-ナフチル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-ナフチル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-フェニル-1-ナフチル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-フェニルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-フェニルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-フェニルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-シクロヘキシルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-シクロヘキシルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-シクロヘキシルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-〔4-(2'-ピリジニル)フェニル〕アミノ基、N-フェニル-N-〔4-(4'-ピリジニル)フェニル〕アミノ基、N-フェニル-N-(4-フェノキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-フェノキシフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(9-フェナントレニル)アミノ基、N-フェニル-N-(9-フェニル-10-フェナントレニル)アミノ基、N-フェニル-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ基、N-フェニル-N-(2-ピリジニル)アミノ基、N-フェニル-N-(3-ピリジニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-ピリジニル)アミノ基、N-(1-ナフチル)-N-(4'-フェニルフェニル)アミノ基、N-(1-ナフチル)-N-(3'-フェニルフェニル)アミノ基、N-(1-ナフチル)-N-(2'-フェニルフェニル)アミノ基、N-(2-ナフチル)-N-(4'-フェニルフェニル)アミノ基、N-(2-ナフチル)-N-(3'-フェニルフェニル)アミノ基、N-(2-ナフチル)-N-(2'-フェニルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-メチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(3-メチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(2-メチルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(3-メトキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(2-メトキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(1-ナフチル)アミノ基、N,N-ジ(2-ナフチル)アミノ基、N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ基、N,N-ジ(4-フェニルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(3-フェニルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(2-フェニルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-シクロヘキシルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(3-シクロヘキシルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(2-シクロヘキシルフェニル)アミノ基、N,N-ジ(4-フェノキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(3-フェノキシフェニル)アミノ基、N,N-ジ(9-フェナントリル)アミノ基などの芳香族炭化水素基または芳香族複素環基で二置換されたアミノ基。

【0036】
例えば、N-カルバゾリル基、3,6-ジメチル-N-カルバゾリル基、3,6-ジフェニル-N-カルバゾリル基、3,6-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)-N-カルバゾリル基、3,6-ビス〔N-フェニル-N-(1'-ナフチル)アミノ〕-N-カルバゾリル基、3,6-ビス〔N-フェニル-N-(4’−フェニルフェニル)アミノ〕-N-カルバゾリル基、3,6-ビス〔N-カルバゾリル〕-N-カルバゾリル基、3-(N,N-ジフェニルアミノ)-N-カルバゾリル基、3-(N,N-ジフェニルアミノ)-6-フェニル-N-カルバゾリル基、3-〔N-フェニル-N-(1'-ナフチル)アミノ〕-N-カルバゾリル基、1,8-ジフェニル-3,6-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)-N-カルバゾリル基、3-(N,N-ジフェニルアミノ)-6-〔N-フェニル-N-(1'-ナフチル)アミノ〕カルバゾリル基などのカルバゾリル基。

更には、N-フェノチアジニル基、N-フェノキサジニル基などの、炭素原子数1〜50の置換または未置換のアミノ基が挙げることができる。

一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、より好ましくは、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素原子数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;炭素原子数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;炭素原子数2〜10の直鎖、分岐または環状のアルケニル基;炭素原子数2〜10の直鎖または分岐のアルキニル基;炭素原子数6〜45の置換または未置換の芳香族炭化水素基;炭素原子数3〜35の置換または未置換の芳香族複素環基;炭素数7〜35の置換または未置換のアラルキル基;炭素原子数3〜40の置換または未置換のアリールオキシ基;炭素原子数3〜40の置換または未置換のアリールチオ基;炭素原子数1〜10の置換または未置換のカルボキシル基;炭素原子数1〜45の置換または未置換のシリル基;炭素原子数1〜40の置換または未置換のアミノ基;あるいはシアノ基を表す。

【0037】
一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、さらに好ましくは、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素原子数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;炭素原子数6〜45の置換または未置換の芳香族炭化水素基;炭素原子数3〜35の置換または未置換の芳香族複素環基;炭素原子数1〜35の置換または未置換のシリル基;炭素原子数1〜30の置換または未置換のアミノ基:あるいはシアノ基を表す。

さらに、一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、R〜Rから選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成していてもよく、好ましくは、RとR、およびRとRが、同時に置換または未置換の芳香族環を形成し、RとR、およびRとRのいずれかが、置換または未置換の芳香族環を形成していることがより好ましい。
なお、一般式(1)で表される化合物において、R〜Rから選ばれる互いに隣接する基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成している具体例としては、例えば、下記式1−1〜1−10で表されるピロメテンホウ素錯体化合物であり、好ましくは、下記式1−1〜1−3を挙げることができ、より好ましくは、下記式1−1および1−2を挙げる事ができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】




(式中、R〜R、XおよびXは一般式(1)の場合と同じ意味を表す。又、R11〜R18、R21〜R28、R31〜R37およびR41〜R47は、一般式(1)におけるR〜Rと同様に定義される。)

【0039】
一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、XおよびXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基を挙げることができる。
又、一般式(1)で表される化合物において、XおよびXが、置換の芳香族炭化水素基の場合、有しうる置換基としては、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のハロアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;芳香族炭化水素基;芳香族複素環基;アラルキル基;アリールオキシ基;アリールチオ基;置換または未置換のシリル基;あるいは置換または未置換のアミノ基などが好ましい。

【0040】
一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、好ましくは、XおよびXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基を挙げる事ができる。
一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物において、より好ましくは、XおよびXはそれぞれ独立に、フッ素原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基を表し、さらに好ましくは、フッ素原子を表す。

一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物における、XおよびXの具体例としては、R〜R7の具体例として挙げた、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基と同じものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。

【0041】
本発明においての「色変換材料」とは、特定波長の光を吸収し、特定波長の光を放出(発光)することにより、吸収波長の光の波長(色)を発光波長の光の波長(色)に変換できる能力を有する材料を表す。本発明に係るピロメテンホウ素錯体化合物を使用した色変換材料は、紫外光〜可視光の光を照射することにより、橙色〜赤色で高輝度に発光することが可能である。また、従来にはなく、耐久性に優れた色変換材料を実現することが可能になる。さらに他の発光性の材料と組み合わせて使用することにより高輝度で耐久性に優れた白色発光素子を提供することも可能になる。

本発明に係るピロメテンホウ素錯体化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【0042】



【0043】

【0044】

【0045】

【0046】


【0047】

【0048】



【0049】

【0050】

【0051】



【0052】




【0053】



【0054】

【0055】



【0056】

【0057】

【0058】




【0059】
本発明の、一般式(1)で表されるピロメテンホウ素錯体化合物は、それ自体公知の方法により製造することができる。例えばJ.Org.Chem,72,269(2007)に記載の方法によって製造できる。

すなわち例えば、一般式(3)や一般式(4)で表されるピロール化合物をアシル化し〔例えば、Tetrahedron
Letters,30,2411(1989)、Tetrahedron Letters,43,8133(2002)、J.Org.Chem,72,269(2007)記載の方法を参考にすることができる〕、次いで、アシル化された一般式(5)と一般式(4)で表される化合物とを反応させるか、またはアシル化された一般式(6)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物とを反応させ、一般式(7)で表されるジピロメテン化合物を得る。当該反応は、例えばオキシ塩化リン、臭化水素酸などの存在下、所望により1,2−ジクロロエタンなどの溶媒中で行えばよい〔例えば、J.Org.Chem,72,269(2007)記載の方法を参考にすることができる〕。

さらに、一般式(7)で表される化合物とハロゲン化ホウ素誘導体(例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体)とを反応させて、一般式(1)で表される錯体化合物を得ることができる〔例えば、J.Org.Chem,72,269(2007)記載の方法を参考にすることができる〕。

【0060】


〔一般式(3)〜(7)中、R〜Rは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕

次に本発明の「組成物」に関して詳細に説明する。本発明の組成物は、少なくとも一種のピロメテンホウ素錯体化合物と、少なくとも一種の高分子化合物とからなる。ピロメテンホウ素錯体化合物は単独で使用しても、複数併用してもよい。また、本発明の組成物で使用する高分子化合物としては、熱可塑性高分子化合物であってもよく、熱または光硬化性高分子化合物であってもよく、それらの混合物であってもよい。また、本発明の組成物において、「高分子化合物」とは、高分子化合物が熱または光硬化性高分子化合物の場合には該高分子化合物の単量体(モノマー)または重合前駆体も含むことを表す。

【0061】
また、本発明で用いる高分子化合物は、透明(可視光線の透過率が50%以上)または半透明であることが好ましい。高分子化合物の具体例としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ桂皮酸ビニル等の反応性ビニル基を有する硬化性高分子化合物、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフォン、ポリパラキシレン、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、フッ素化樹脂、シリコン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、芳香族スルホンアミド、ベンゾグアナミン樹脂、シリコン系エラストマー、環状オレフィンコポリマー等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また、二種以上を組み合せて使用してもよい。これらの高分子化合物の分子量は、通常、重量平均分子量として1000〜100000程度のものが使用可能であるが、もちろんこの範囲外の分子量の高分子化合物も使用可能である。

本発明の組成物において、高分子化合物に対するピロメテンホウ素錯体化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、高分子化合物の重量に対して0.01〜80重量%含有することが好ましく、0.01〜60重量%含有することがより好ましい。また、本発明の組成物は、ピロメテンホウ素錯体化合物と高分子化合物の他に、例えば、色調補正用の色素、酸化防止剤、燐系加工安定剤等の加工・酸化および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤およびシランカップリング剤を添加することができる。色調補正用の色素の具体例としては、例えば、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、クマリン系染料の単品、およびそれらの二種以上の混合物を挙げることができる。

【0062】
加工・酸化および熱安定化剤の具体例としては、例えば、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、デシル−ジフェニルホスファイト、フェニル−ジ−2−エチルヘキシルホスファイト、フェニル−ジデシルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリチル−ジホスファイト、トリス(混合モノ−、ジ−フェニル)ホスファイト、ジノニルフェニル−ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、オクチル−〔2,2’−ジ(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)メチレン〕ホスファイト等の亜燐酸エステル類、

【0063】
トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4、6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(o−アニシル)ホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル−(ヒドロキシメチル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル−(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル−(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等のホスフィン類、

トリフェニルホスフォナイト、ジノニルフェニルホスフォナイト、ジイソオクチルフェニルホスフォナイト、フェニル(2,4,6−トリメチルフェニル)フェニルホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4’,4”−ビフェニレンジホスフォナイト等のホスフォナイト類、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネート−ジエチルエステル等のフェノール系酸化防止剤を挙げることができる。これらの加工、酸化および熱安定化剤は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。

【0064】
また、耐光性安定化剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、3’、3’−ビス〔2−(5’−オクチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾジル〕メタン等のベンゾトリアゾール類を挙げることができる。これらの耐光性安定化剤は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。

また、シランカップリング剤としては、エポキシ基またはアミノ基を有する化合物が好ましく、具体例としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。

これら、色調補正用の色素、加工・酸化および熱安定化剤、耐光性安定化剤およびシランカップリング剤の添加量は、色調補正効果および安定化効果を示す量を添加することが好ましく、高分子化合物の重量に対して通常0.1ppm〜10重量%程度使用するのが好ましい。

【0065】
本発明に係る組成物には、さらに充填剤(例えば、シリカ、ガラス繊維、ガラスビーズ)、可塑剤、滑剤、難燃剤(例えば、有機ハロゲン系化合物)、難燃助剤、帯電防止剤、帯電性付与剤、耐衝撃性改良剤、変色防止剤、離型剤(例えば、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル類など)、流動性改良剤、反応性ないし非反応性の希釈剤等の従来公知の添加剤を適宜配合することができる。
本発明の組成物を製造するための方法としては、少なくとも一種のピロメテンホウ素錯体化合物と少なくとも一種の高分子化合物を、高分子化合物が熱可塑性高分子化合物の場合は、高分子化合物にピロメテンホウ素錯体化合物を分散させてもよく、また高分子化合物の有機溶媒溶液にピロメテンホウ素錯体化合物を溶解または懸濁させた後有機溶媒を除去する方法により混合しても良い。また、高分子化合物が熱または光硬化性高分子化合物である場合、熱または光硬化性高分子の単量体(モノマー)または重合体前駆体にピロメテンホウ素錯体化合物を分散させた後、該単量体または重合前駆体を重合させてもよく、また単量体または重合体前駆体の溶液にピロメテンホウ素錯体化合物を溶解または懸濁させた後に、有機溶媒を除去して該単量体または重合前駆体を重合させてもよい。
高分子化合物にピロメテンホウ素錯体化合物を分散させる方法としては、溶融ブレンド、高分子化合物の粉体との混合等を用いることが可能である。溶融ブレンドを実施する場合には、通常のゴムまたはプラスチック類を溶融ブレンドするのに使用される装置、例えば、熱ロール、タンブラーミキサー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシャルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、押出機などを使用することができる。溶融温度は、高分子化合物が溶融可能な温度で、且つ高分子化合物が熱分解し始める温度以下に設定することが好ましく、その温度は、通常200〜450℃、好ましくは、250〜400℃である。また、単量体または重合体前駆体にピロメテンホウ素錯体化合物を分散させる場合には、単量体または重合前駆体が液体の場合には単量体の液中にピロメテンホウ素錯体化合物を、例えば、ペイントシェーカー、ミキサー、ホモジナイザーを使用して分散させる方法、単量体が固体の場合には単量体の粉体にピロメテンホウ素錯体化合物を、例えば、ボールミル、サンドミル等を使用して分散させる方法を使用することができる。

【0066】
また、有機溶媒を媒体としてピロメテンホウ素錯体化合物を分散させる場合に使用する有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶媒および水を使用することができる。また、これらの有機溶媒は単独で使用してもよく、複数併用してもよい。有機溶媒の除去方法としては、混合有機溶媒溶液を有機溶媒の沸点以上且つ、高分子化合物または単量体およびピロメテンホウ素錯体化合物の分解温度以下の温度に加熱して、有機溶媒を蒸発除去する方法でもよく、また、減圧下(大気圧以下)の圧力で、有機溶媒を蒸発除去させる方法でもよい。
次に、本発明の組成物を成形する方法としては、高分子化合物が熱可塑性高分子化合物である場合には、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、押し出し成形等の成形方法により成形することができる。また、高分子化合物が熱または光硬化性高分子化合物である場合には、その重合方法は、通常の熱重合で行ってもよく、また、光重合で行っても良い。熱重合の場合、通常、本発明の組成物に必要に応じて触媒を加え、加熱することにより行うことができる。加熱温度は、通常、室温から目的とする高分子化合物のTg点または融点以上の範囲で行われるが、重合の進行に合わせて室温付近から徐々に昇温していってもよい。触媒としては、例えば、ラジカル重合用触媒、アニオン重合用触媒、カチオン重合用触媒が挙げられる。ラジカル重合用触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイドを挙げることができる。

【0067】
アニオン重合用触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチルピロリドン、ピペリラジン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、2−ジメチルアミノエチル安息香酸イソアミル、2−ジメチルアミノエチル安息香酸−2−エチルヘキシルを挙げることができる。

カチオン重合用触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、燐酸、酢酸、プロピオン酸、ジブチル錫ジオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウリレート、テトラブチル錫、三弗化ホウ素、テトラエトキシチタン、チタンオキサイドを挙げることができる。これらの重合用触媒の添加量は単量体および/または重合前駆体、および、それを含む組成物の種類により大きく異なるために特に限定できないが、通常、単量体および/または重合前駆体の重量に対して0.0001〜10重量%の範囲である。

【0068】
光重合の場合は、通常、本発明の組成物に、必要に応じて光重合開始剤を加えて、次いで光を照射することによって行われる。また、上記のラジカル重合用触媒、アニオン重合用触媒、カチオン重合用触媒等を併用してもよい。光重合開始剤としては、光ラジカル発生剤、光アニオン発生剤、光カチオン発生剤等が挙げられるが、光ラジカル発生剤、光カチオン発生剤が好ましい。光ラジカル発生剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4’−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4’−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ジベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロキノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンを挙げることができる。これらの添加量は、単量体および/または重合前駆体、および、それを含む組成物の種類により大きくことなるために、特に限定できないが、通常、単量体および/または重合前駆体の重量に対して0.0001〜10重量%の範囲である。

【0069】
光カチオン発生剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ブレンステッド酸のオニウム塩または鉄芳香族化合物塩等が挙げられるが、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ブレンステッド酸の鉄芳香族化合物塩が好ましく用いられる。芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トフェニルスルホニウム四弗化ホウ素塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフォニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモニウム塩を挙げることができる。また、フリーラジカルも発生する芳香族スルホニウム塩の改良型として市販されている商品名;CyracureUVI−6974(UCC製)、CyracureUVI−6990(UCC製)、オプトマーSP150(旭電化工業製)、オプトマーSP170(旭電化工業製)等も挙げることができる。ブロンステッド酸の鉄芳香族化合物塩としては、商品名;CG24−061(CibaGeigy製)を挙げることができる。これらの添加量は単量体および/または重合前駆体、および、それを含む組成物の種類により大きく異なるため、特に限定できないが、通常、単量体および/または重合前駆体の重量に対して0.0001〜10重量%の範囲である。照射される光は、約100〜800nmの紫外光または可視光が好ましく用いられる。400nm以下の紫外線を用いる場合、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、パルスキセノンランプ、無電極放電ランプ等の光源が好ましく用いられる。
【0070】
次に本発明の「変換用光学部品」について説明する。本発明の色変換光学部品は、本発明の組成物を成形して得られる光学部品を表す。成形方法は、本発明の組成物が含有する高分子化合物が熱可塑性高分子化合物である場合、射出成形等の熱溶融状態での成形、または高分子化合物を溶解可能な有機溶媒により溶液を調整した後、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ラングミュア・ブロジェット法、キャスト法、ディップ法、スクリーン印刷法、バブルジェット(登録商標)法、インクジェット法による製膜で実施することができる。また、本発明の組成物が含有する高分子化合物が熱または光硬化性高分子化合物である場合、該高分子化合物の単量体(モノマー)および/または重合前駆体とピロメテンホウ素錯体化合物を混合した組成物を適宜型に充填し、光または熱で重合することにより実施することができる。色変換光学部品の形状は特に限定されるものではなく、膜状、板状(例えば、シート状、フィルター状、ディスク状)、レンズ状、ファイバー状、光導波路状等の種々の形状を示す。

【0071】
本発明の色変換光学部品を膜状として使用する場合には、必要に応じてガラス基板やポリマー基板のような基材を使用してもよい。これらの基材としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウム・ホウケイ酸ガラス、石英等のガラス基板、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、ポリスルフォン等のポリマー基板を挙げることができる。また、膜を製膜する場合には、キャスト法、スピンコート法、塗布法、蒸着法、電界法、印刷法等の様々な方法を利用して製膜することが可能である。

次に本発明の「発光素子」について説明する。本発明の発光素子は光源および本発明の色変換光学部品より構成される。光源としては特に限定されるものではないが、白熱電球、メタルハライドランプ、HIDランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、水銀ランプ、蛍光ランプ、冷陰極管、カソードルイミネッセンス、低速電子線管、発光ダイオード〔例えば、GaP(赤色、緑色)、GaPAs1−x(赤色、橙色、黄色:0<x<1)、AlGa1−xAs(赤色:0<x<1)、GaAs(赤色)、SiC(青色)、GaN(青色)、ZnS、ZnSe〕、エレクトロルミネッセンス(例えば、ZnS母体と発光中心を使用する無機EL、有機EL)、レーザー(例えば、He−Neレーザー、COレーザー、Ar,Kr,He−Cdレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー等の気体レーザー、ルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー、色素レーザー、半導体レーザー)、太陽光等を挙げることができる。

本発明の発光素子において、好ましい光源は、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンスまたは半導体レーザーである。本発明の発光素子に好ましく使用できる発光ダイオードとは、蛍光物質を励起可能な発光波長を発光できる発光層を有する半導体発光素子である。このような半導体発光素子としてZnSeやGaNなど種々の半導体を挙げることができるが、蛍光物質を効率よく励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−x−y、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好ましい。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やpn接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構造のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜に形成させた単一量子井戸構造や多重量子井戸構造とすることもできる。

【0072】
窒化物半導体を使用した場合、半導体用基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO等の材料が好ましく使用される。結晶性のよい窒化物半導体を形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。このサファイヤ基板上にMOCVD法などを用いて窒化物半導体を形成することができる。サファイヤ基板上にGaN、AlN、GaAlN等のバッファ層を形成し、その上にpn接合を有する窒化物半導体を形成させる。pn接合を有する発光ダイオードの例として、バッファ層上にn型窒化ガリウムで形成した第1のコンタクト層、n型窒化アルミニウム・ガリウムで形成させた活性層、p型窒化アルミニウム・ガリウムで形成した第2のクラッド層、p型窒化ガリウムで形成した第2のコンタクト層を順次積層させたダブルヘテロ構造などが挙げられる。窒化物半導体は、不純物をドープしない状態でn型導電性を示す。発光効率を向上させるなど所望のn型窒化物半導体を形成させる場合は、n型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te,C等を適宜導入することが好ましい。一方、p型窒化物半導体を形成させる場合は、p型ドーパントであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化物半導体は、p型ドーパントをドープしただけではp型化しにくいためp型ドーパント導入後に、炉による加熱やプラズマ照射等により低抵抗化させることが好ましい。電極形成後、半導体ウエハーからチップ上にカットさせることで窒化物半導体からなる発光ダイオードを形成させることができる。

【0073】
本発明の発光素子において、白色系を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や、透明性高分子化合物の劣化を考慮して光源の発光波長は200nm以上550nm以下が好ましく、光源と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるには300nm以上500nm以下がより好ましい。また、本発明の発光素子の光源として使用される発光ダイオードは通常、銅箔等のパターニングされた金属を有する基板上に配置される。ここで基板材料としては絶縁性の有機化合物または無機化合物を挙げることができ、各種高分子材料(例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂)、無機材料(例えばガラス、セラミックス)などを使用することができる。また、基板の形状は特に限定されるものではなく、板状(例えば、シート状、フィルター状、ディスク状)、カップ状、多孔板状等の様々な形状を選択することができる。

【0074】
次ぎに、本発明の発光素子の光源として使用可能な半導体レーザーに関して説明する。本発明の発光素子の光源として使用可能な半導体レーザーとしては、半導体をpn接合し、ここに順方向バイアスを印加し、高いエネルギー準位にある少数キャリアーの注入を行い、p形領域に流れ込んだ電子を正孔と、n形領域に流れ込んだ正孔を電子と再結合させ、電子を高いエネルギー準位から低いエネルギー準位に遷移させ、そのエネルギー差に相当する光子を放出させる機構によるものを表す。半導体レーザーの材料としては、ゲルマニウムやシリコン等のIV族元素、GaAs、InPなどの格子振動を伴わない直接遷移型のIII−V族、II−VI族化合物等を挙げることができる。また、その元素数は、2元系のみならず、3元系、4元系、5元系等の多元系であってもよい。また、その積層構造はクラッド層を設けたダブルヘテロ構造であってもよく、また、下部クラッド、活性層、上部クラッドよりなる構成であってもよい。さらには多重量子井戸構造を摘要したものであってもよい。発光効率を向上させるためのストライプ構造は利得導波型であってもよく、屈折率分布導波型であってもよい。利得導波型としては、挟電極型、プレーナストライプ型、溝拡散型、プロトン照射型、ISP型、空乏層制御型、メサストライプ型などを上げることができる。また、屈折率分布導波型としては、CSP型、PCW型、TS型、VSIS型、TRS型、溝形成型、BH型、DC−PBH型、V溝型、U溝型、メサ型、TJS型、DDS型、形状分布型などを挙げることができる。また、共振器構造としては、分布帰還型(DFB)であってもよく、ブラッグ反射型(DBR)であってもよい。

【0075】
発光ダイオード、または半導体レーザーを使用して本発明の色変換光学部品を使用して光源の光を波長変換する場合、場合によっては、カラーフィルターを併設し、色純度を調整してもよい。このようなカラーフィルターとしては、ペリレン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品、および二種以上の混合物からなる色素のみのもの、または色素をバインダー樹脂(高分子化合物)中に溶解または分散させた固体状態のものを挙げることができる。

なお、本発明の発光素子の構成としては、次の例を挙げることができる。(A)光源/色変換光学部品。(B)光源/透光性基板/色変換光学部品。(C)光源/色変換光学部品/透光性基板。(D)光源/透光性基板/色変換光学部品/透光性基板。(E)光源/色変換光学部品/カラーフィルター。(F)光源/透光性基板/色変換光学部品/カラーフィルター。(G)光源/色変換光学部品/透光性基板/カラーフィルター。(H)光源/透光性基板/色変換光学部品/透光性基板/カラーフィルター。(I)光源/透光性基板/色変換光学部品/カラーフィルター/透光性基板。(J)光源/色変換光学部品/カラーフィルター/透光性基板。

【0076】
ここで透光性基板とは、可視光を50%以上透過することができる基板を表し、具体的にはガラス基板(例えば、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウム・ホウケイ酸ガラス、石英)またはポリマー基板(例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、ポリスルフォン)を挙げることができる。また、透光性基板の形状は、特に限定されるものではなく、板状であってもよく、またレンズ状の形状であってもよい。上記の構成の発光素子を作成する場合、各構成要素を順次積層してもよく、貼り合わせても良い。また、発光素子を作成する場合、その順序については特に制限はなく、上記(A)〜(J)の構成において、左から右に作成してもよく、右から左に作成してもよい。
素子の構成を表す概略断面図を図1から図4として示した。もちろん、本発明の発光素子は図1から図4に示した構成および形状に限定されるものではない。本発明の発光素子の用途は特に限定されるものではなく、表示用、ディスプレイ用、交通信号用、交通表示用、液晶バックライト用、液晶フロントライト用、フィールドシーケンシャル液晶表示用、一般照明器具用、局所照明用、インテリア照明用等の種々の用途に使用することが可能であり、もちろんここに記載した用途に限定されるものではない。

【実施例】
【0077】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、平均演色評価は、コニカミノルタ センシング株式会社製、CS−2000型分光放射輝度計で測定し評価した。

【0078】
実施例1:(色変換材料)
例示化合物A−8をジクロロメタンに2×10−5mol/Lの濃度になるように溶解し溶液を調製した。この溶液に256nmの紫外光を照射したところ、赤色の発光が観察された。このことは、紫外光が赤色の可視光に変換されたことを表す。また、この溶液に540nmの緑色光を照射したところ、赤色の発光が観察された。このことは緑色から赤色へ色変換が行われたことを表す。

【0079】
実施例2:(色変換材料)
例示化合物A−23をジクロロメタンに2×10−5mol/Lの濃度になるように溶解し溶液を調製した。この溶液に256nmの紫外光を照射したところ、赤色の発光が観察された。このことは、紫外光が赤色の可視光に変換されたことを表す。また、この溶液に540nmの緑色光を照射したところ、赤色の発光が観察された。このことは緑色から赤色へ色変換が行われたことを表す。

【0080】
実施例3:(色変換材料)
例示化合物B−5をジクロロメタンに2×10−5mol/Lの濃度になるように溶解し溶液を調製した。この溶液に256nmの紫外光を照射したところ、赤色の発光が観察された。このことは、紫外光が赤色の可視光に変換されたことを表す。また、この溶液に540nmの緑色光を照射したところ、赤色の発光が観察された。このことは緑色から赤色へ色変換が行われたことを表す。

【0081】
実施例4:(色変換光学部品の作製)
トルエン500重量部に、例示化合物A−23を1重量部溶解させ、組成物用の色素入り希釈剤とした。高分子化合物としてポリカーボネート(光学ディスクグレード:重量平均分子量3万)100重量部と、この組成物用の色素入り希釈剤とを混合し、スピンコート法により2300回転で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム製、厚さ0.1mm)上に塗工し、110℃のオーブン中で焼成し、乾燥させてフィルム状の色変換光学部品を作製した。
なお、色変換光学部品作製の際の色素配合量は、色素による吸収極大波長における色変換光学部品の吸収透過率が、70%となるようにしたものである。

【0082】
実施例5:(色変換光学部品の作製)
トルエン500重量部に、例示化合物B−5を0.1重量部溶解させ、組成物用の色素入り希釈剤とした。高分子化合物として環状オレフィンコポリマー(三井化学製:アペルAPL5014DP)100重量部と、この組成物用の色素入り希釈剤とを混合し、スピンコート法により2300回転で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム製、厚さ0.1mm)上に塗工し、110℃のオーブン中で焼成し、乾燥させてフィルム状の色変換光学部品を作製した。
なお、色変換光学部品作製の際の色素配合量は、色素による吸収極大波長における色変換光学部品の吸収透過率が、20%となるようにしたものである。

【0083】
実施例6:(色変換光学部品の作製)
実施例4において、例示化合物A−23の代わりに、例示化合物A−8を使用した以外は実施例4と同様の操作を行ってフィルム状の色変換光学部品を作製した。
なお、色変換光学部品作製の際の色素配合量は、色素による吸収極大波長(585nm)における色変換光学部品の吸収透過率が、70%となるようにしたものである。

【0084】
実施例7:(色変換光学部品の作製)
実施例4において、例示化合物A−23の代わりに、例示化合物A−8を使用した以外は実施例4と同様の操作を行ってフィルム状の色変換光学部品を作製した。
なお、色変換光学部品作製の際の色素配合量は、色素による吸収極大波長(585nm)における色変換光学部品の吸収透過率が、40%となるようにしたものである。

【0085】
実施例8:(色変換光学部品の作製)
実施例4において、例示化合物A−23の代わりに、例示化合物A−8を使用した以外は実施例4と同様の操作を行ってフィルム状の色変換光学部品を作製した。
なお、色変換光学部品作製の際の色素配合量は、色素による吸収極大波長(585nm)における色変換光学部品の吸収透過率が、20%となるようにしたものである。

【0086】
実施例9:(発光素子の作成)
以下の操作によって色変換光学部品を使用した発光素子について評価した。
実施例6で作製した、本発明のフィルム状色変換光学部品について、演色性評価を実施した。この試験には、昼光色相当のLED電球(
東芝ライッテック(株)製:LDA5N )を用い、該LED電球の前面に、本発明のフィルム状の色変換光学部品を貼り付け、演色性を評価した。演色性評価には分光放射輝度計(
CS−2000形、コニカミノルタ センシング(株)製)で測定し、平均演色評価数(Ra)等の測定値を表1に示す。

【0087】
実施例10:(発光素子の作成)
実施例7で作製した本発明のフィルム状色変換光学部品について、実施例9と同様にして評価を行った。この結果を表1に示す。

【0088】
実施例11:(発光素子の作成)
実施例8で作製した本発明のフィルム状色変換光学部品について、実施例9と同様にして評価を行った。この結果を表1に示す。

【0089】
比較例1
実施例9において、昼光色相当のLED電球( 東芝ライッテック(株)製:LDA5N )の前面に、実施例6で作製した、本発明のフィルム状の色変換光学部品を貼り付けない以外は実施例9と同様にして評価を行った。この結果を表1に示す。
【0090】

【産業上の利用可能性】
【0091】
前記一般式(1)に示すピロメテンホウ素錯体化合物を使用した組成物、色変換光学部品及び発光素子により演色性の改善がもたらされる。

【符号の説明】
【0092】
1:発光ダイオード(光源)
2:基板
2’:カップ状基板
3:マスク
4:色変換光学部品
5:透光性基板
5’:第2の透光性基板
5”:陽極(透明電極)付き透光性基板
6:発光素子からの発光光
7:リード
8:リード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロメテンホウ素錯体化合物を含んでなる色変換材料。
【請求項2】
ピロメテンホウ素錯体化合物が一般式(1)で表される錯体化合物である請求項1記載の色変換材料。


[式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルキルチオ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換または未置換の芳香族炭化水素基;置換または未置換の芳香族複素環基;置換または未置換のアラルキル基;置換または未置換のアリールオキシ基;置換または未置換のアリールチオ基;置換または未置換のカルボキシル基;置換または未置換のシリル基;置換または未置換のアミノ基;あるいはシアノ基を表し、RとR、RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。又、X1およびX2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子;直鎖、分岐または環状のアルキル基;直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;直鎖、分岐または環状のアルケニル基;直鎖または分岐のアルキニル基;置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基;置換もしくは未置換のアリールオキシ基を表す。]
【請求項3】
さらに高分子化合物を含んでなる請求項1記載の色変換材料。
【請求項4】
請求項1の色変換材料を成形して得られる色変換光学部品。
【請求項5】
光源および請求項1の色変換材料を成形した色変換光学部品を用いてなる発光素子。
【請求項6】
光源が発光ダイオードである請求項5記載の発光素子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−241160(P2011−241160A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113578(P2010−113578)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000179904)山本化成株式会社 (70)
【Fターム(参考)】