説明

色彩選別機

【課題】撮影手段が撮影する背景部の光量レベルを容易に調整する。
【解決手段】色彩選別機では、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が背景部84の背景板90を背景として撮影した選別粒Gの光量レベルに基づいて、選別粒Gのうちの正常粒と異常粒とを選別する。ここで、背景部84内における冷陰極管86の発光光量が調整可能にされており、背景板90は冷陰極管86によって発光可能にされると共に、背景板90の発光光量が調整可能にされている。このため、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する背景板90の光量レベルを容易に調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒等の選別粒の色彩に基づいて選別粒を選別する色彩選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
色彩選別機としては、蛍光灯によって照明された比色板を背景として、カメラが穀粒を撮影することで、カメラが撮影した穀粒の色彩に基づいて穀粒を選別するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような色彩選別機では、カメラが撮影する穀粒の光量レベルに対応してカメラが撮影する比色板の光量レベルを調整するのが好ましく、これにより、穀粒を良好に選別することができる。
【特許文献1】特開2003−156447公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、撮影手段が撮影する背景部の光量レベルを容易に調整できる色彩選別機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の色彩選別機は、選別粒を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影方向に設けられて前記撮影手段が選別粒を撮影する背景にされ、発光可能にされて前記撮影手段が撮影する光量レベルを調整可能にされた背景部と、前記撮影手段が撮影した選別粒の光量レベルに対応する選別粒の色彩に基づいて選別粒を選別する選別手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の色彩選別機は、請求項1に記載の色彩選別機において、前記撮影手段が撮影する前記背景部の光量レベルを前記撮影手段が撮影する選別粒うちの正常粒の光量レベルに調整した、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の色彩選別機では、撮影手段の撮影方向に背景部が設けられており、撮影手段が背景部を背景にして選別粒を撮影する。さらに、撮影手段が撮影した選別粒の光量レベルに対応する選別粒の色彩に基づいて選別手段が選別粒を選別する。
【0008】
ここで、背景部が発光可能にされて、撮影手段が撮影する背景部の光量レベルを調整可能にされている。このため、撮影手段が撮影する背景部の光量レベルを容易に調整することができる。
【0009】
請求項2に記載の色彩選別機では、撮影手段が撮影する背景部の光量レベルが、撮影手段が撮影する選別粒うちの正常粒の光量レベルに調整される。このため、撮影手段が撮影する背景部及び正常粒の光量レベルに対して撮影手段が撮影する選別粒うちの異常粒の光量レベルを明確に区別することができ、正常粒から異常粒を良好に選別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1には、本発明の実施の形態に係る色彩選別機10が右方から見た断面図にて示されており、図2には、色彩選別機10の要部が右方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、色彩選別機10の前方を矢印FRで示し、色彩選別機10の上方を矢印UPで示す。
【0011】
本実施の形態に係る色彩選別機10では、本体12が箱型に構成されており、本体12の上側には、供給手段を構成する漏斗状の原料供給ホッパ14が設置されている。原料供給ホッパ14の下端は、原料供給口16にされて、本体12内に挿入されており、原料供給ホッパ14は、正常粒(半透明な白米(ウルチ米))に異常粒(着色粒(玄米、黒色のカメムシ被害米、茶色や緑色の有色透明のガラス粒、白色のシラタ米やもち米)及び無色粒(無色透明のガラス粒))が混入された選別粒Gを貯留しつつ本体12内に供給可能にされている。本体12内の上部には、原料供給ホッパ14の下側において、供給手段を構成する漏斗状の原料供給ホッパ18が設置されており、原料供給ホッパ18は、原料供給ホッパ14に比し小型のものにされている。原料供給ホッパ18には、上側から原料供給ホッパ14の下端部が挿入されており、原料供給ホッパ18の下端は原料供給口20にされている。原料供給ホッパ18の下端部には、前側面において、流量調節手段としての板状の流量調節ゲート22が配設されており、流量調節ゲート22は上下方向へ移動(スライド)可能にされている。
【0012】
なお、原料供給ホッパ14の下側に原料供給ホッパ18を配置した二重構造に必ずしもする必要はなく、例えば下側の原料供給ホッパ18を省略してもよい。この場合、流量調節ゲート22は、原料供給ホッパ14の下端部の前側面に配設すればよい。
【0013】
原料供給ホッパ18の下側には、搬送手段としての振動装置24が設置されている。振動装置24には、揺動板26が設けられており、揺動板26の上面は、略階段形状にされている。揺動板26は、複数の棒状の揺動アーム28によって支持されており、揺動アーム28の上端は揺動板26の下部に回動自在に連結されると共に、揺動アーム28の下端は本体12側に回動自在に連結されている。
【0014】
揺動板26は、原料供給ホッパ18の原料供給口20の直下に僅かに離間して略水平に配置されており、揺動板26は、原料供給口20から排出された選別粒Gを受止め可能にされている。揺動板26の上面と流量調節ゲート22の下端との間には隙間が形成されており、当該隙間から選別粒Gが揺動板26上に沿って前側へ移動可能にされている。
【0015】
揺動板26の側方には、駆動モータ30が配設されている。駆動モータ30の出力軸30Aには、略円板状の偏心カム32が固定されており、駆動モータ30が駆動されて出力軸30Aが軸線回りに回転されることで、偏心カム32が出力軸30Aを中心として回転可能にされている。偏心カム32の出力軸30A固定位置とは異なる位置と揺動板26とは、棒状のロッド34によって相互に連結されており、ロッド34は偏心カム32及び揺動板26に対して回動可能にされている。このため、駆動モータ30が駆動されると、偏心カム32の回転によってロッド34の一端が出力軸30A回りに円運動を行うことで、ロッド34の他端と共に揺動板26が前後方向に往復運動を行う。これにより、揺動板26上の選別粒Gが、振動を与えられると共に、揺動板26上面の略階段形状によって整列されながら、前側へ搬送されて、所定量ずつ下記繰出ロール36へ供給される。
【0016】
揺動板26の前側かつ下側には、繰出手段としての繰出ロール36が配設されている。繰出ロール36の回転軸36Aはベルト等を介して駆動モータ(図示省略)と連結されており、駆動モータは後記制御部98に接続されている。当該駆動モータは、制御部98からの駆動信号に基づいて所定の回転速度で駆動回転可能にされており、繰出ロール36は、当該駆動モータの駆動力を受けて図1の矢印Aの方向へ回転可能にされている。これにより、繰出ロール36が回転されることで、繰出ロール36に供給された選別粒Gが、繰出ロール36によって前側へ搬送されて、繰出ロール36の前側へ自由落下される。なお、繰出ロール36の表面は、平滑でありながら、選別粒Gがあまり滑らないように仕上げられたもの、又はそのような材質のもの(例えば、ゴム)によって構成されている。
【0017】
繰出ロール36の下側には、繰出ロール36からの選別粒Gの自由落下方向の前後両側において、撮影手段(カメラ)としてのフロントカメラ52及びリヤカメラ54が配置されており、フロントカメラ52及びリヤカメラ54は、自由落下中の選別粒Gを前後両側(表裏二面)から撮影可能にされている。
【0018】
フロントカメラ52及びリヤカメラ54は、ラインセンサカメラにされており、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する領域は、左右方向において、複数の分割領域に分割されている。分割領域の左右方向幅は、繰出ロール36から自由落下する選別粒Gの自由落下軌道の左右方向幅よりも広くされている。
【0019】
フロントカメラ52の視野中心軸(撮影中心方向)は略水平とされており、フロントカメラ52の近傍には、フロントカメラ52の視野中心軸に対して対称な上下位置において、照明手段としての一対の蛍光灯56、58(青色蛍光灯)が左右方向に沿って配置されている。一方、リヤカメラ54の視野中心軸(撮影中心方向)は前方へ向かうに従い上方へ向かう方向へ若干傾いており、リヤカメラ54の近傍には、リヤカメラ54の視野中心軸に対して対称な上下位置において、照明手段としての一対の蛍光灯60、62(青色蛍光灯)が左右方向に沿って配置されている。フロントカメラ52の視野中心軸とリヤカメラ54の視野中心軸とは交差されており、繰出ロール36から自由落下する選別粒Gは、フロントカメラ52の視野中心軸とリヤカメラ54の視野中心軸の交点近傍に到達した際に、一対の蛍光灯56、58及び一対の蛍光灯60、62によって照明された状態で、フロントカメラ52及びリヤカメラ54によって撮影される。
【0020】
フロントカメラ52の視野中心軸の延長線上及びリヤカメラ54の視野中心軸の延長線上には、それぞれ蛍光灯60の上側及び蛍光灯56の上側において、長尺矩形柱状の背景部84が設けられている。背景部84内には、発光手段(光源)としての長尺円柱状の冷陰極管86(エレクトロルミネセンス又はLEDでもよい)が設けられており、冷陰極管86は、発光可能にされると共に、発光する光量を調整可能にされている。冷陰極管86は、長尺矩形箱状の背景箱88内に収容されており、背景箱88のフロントカメラ52又はリヤカメラ54の撮影方向に対向する側面には、背景部材(拡散部材)としての長尺矩形板状の背景板90が設けられている。背景板90は、乳白色(半透明)のアクリル製にされており、背景板90(拡散板)は、光を例えば49%透過可能にされて、冷陰極管86によって発光(照明)可能にされていると共に、背景箱88の外側から背景板90を介して冷陰極管86が視認されることが抑制されている。背景板90は、冷陰極管86によって発光されることで、フロントカメラ52又はリヤカメラ54が撮影する背景板90の光量レベルが、フロントカメラ52又はリヤカメラ54が撮影する選別粒Gのうちの正常粒の光量レベルに合わせられており、繰出ロール36から自由落下する選別粒Gは、背景板90を背景として、フロントカメラ52及びリヤカメラ54によって撮影される。
【0021】
前側の一対の蛍光灯56、58及び背景部84と後側の一対の蛍光灯60、62及び背景部84とは、断面略五角形箱状の収容箱92に収容されており、収容箱92のフロントカメラ52又はリヤカメラ54に対向する側壁には、フロントカメラ52の視野中心軸又はリヤカメラ54の視野中心軸が通過する位置において、透過部としての長尺の透過孔94が貫通形成されると共に、収容箱92のフロントカメラ52の視野中心軸及びリヤカメラ54の視野中心軸が通過する側壁は、透過部材としての長尺板状のガラス96にされており、透過孔94及びガラス96は、光を透過可能にされている。これにより、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が繰出ロール36から自由落下する選別粒Gを透過孔94及びガラス96を介して撮影可能にされると共に、一対の蛍光灯56、58及び一対の蛍光灯60、62が繰出ロール36から自由落下する選別粒Gをガラス96を介して照明可能にされている。
【0022】
一対の収容箱92には、基準部材としての基準板64が支持されており、基準板64は、フロントカメラ52及びリヤカメラ54により撮影される位置に配置されると共に、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する際の基準となる濃度(基準濃度)にされている。
【0023】
図3に詳細に示す如く、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gの光量レベルが選別粒Gの正常粒の範囲である下限値(下しきい値)以上上限値(上しきい値)以下と判定された場合には、選別粒Gが正常粒と判定される。一方、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gの光量レベルが下限値よりも低いと判定された場合には、選別粒Gが異常粒の着色粒と判定されると共に、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gの光量レベルが上限値よりも高いと判定された場合には、選別粒Gが異常粒の無色粒と判定される。
【0024】
フロントカメラ52及びリヤカメラ54の下側には、繰出ロール36からの選別粒G自由落下軌跡の前側において、選別手段としてのエジェクタ68が左右方向に複数設置されており、複数のエジェクタ68は、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する複数の分割領域の下方にそれぞれ配置されて、複数の分割領域にそれぞれ対応している。エジェクタ68には、弾性を有する断面L字形板状の板バネ76が設けられており、板バネ76は、上側端が支持部材80に固定されると共に、下側部分が上側部分から垂下している。エジェクタ68には、ソレノイド78が設けられており、ソレノイド78は、支持部材80に固定されて、プランジャ82が板バネ76下側部分の前側に垂直に配置されている。
【0025】
フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した分割領域の選別粒Gが異常粒と判定された場合には、当該分割領域に対応するエジェクタ68が所定のタイミングで作動される。エジェクタ68が作動された際には、ソレノイド78に電圧が瞬間的に印加されることで、プランジャ82が板バネ76の下側部分を後方へ瞬間的に押圧する。これにより、板バネ76が瞬間的に弾性変形し、板バネ76の下側部分が瞬間的に後側へ回動されて繰出ロール36からの選別粒Gの自由落下軌道に入り込むことで、異常粒と判定された選別粒Gを自由落下軌道から後側へ弾き出す。
【0026】
複数のエジェクタ68の下側には、分離手段としての選別筒66が設置されており、選別筒66には、正常粒用通路70及び異常粒用通路74が設けられている。正常粒用通路70は、繰出ロール36から自由落下する選別粒Gがそのままの軌道で入り込むことができる位置に設けられて、正常粒と判定された選別粒Gを上端から受け取ることができる。一方、異常粒用通路74は、繰出ロール36から自由落下する選別粒Gがエジェクタ68によって後側へ弾き出された際に入り込むことができる位置に設けられて、異常粒と判定された選別粒Gを上端から受け取ることができる。正常粒用通路70及び異常粒用通路74は、下端が本体12の外部へ露出しており、正常粒用通路70及び異常粒用通路74に送り込まれた選別粒Gは、正常粒用通路70及び異常粒用通路74の下端から本体12の外部へ取り出すことができる。
【0027】
本体12の前側かつ上側の角部には、制御手段としての制御部98が設けられている。制御部98は、上記流量調節ゲート22、駆動モータ30、フロントカメラ52、リヤカメラ54、エジェクタ68及び冷陰極管86等が接続されて、これらの作動を制御している。
【0028】
本体12の側面には、操作部(図示省略)が設けられており、操作部は、制御部98に接続されている。操作部には、オペレータが、選別粒Gの選別モード(選別粒Gの種類)を選択するための選択ボタン、選別粒Gの正常粒の範囲である下限値及び上限値を調整するための調整ボタン、繰出ロール36から繰り出される選別粒Gの流量を調節するための調節ダイヤル、選別粒Gの選別処理の開始及び停止を指示するための運転ボタンの他、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した画像に対するオシロスコープ波形(ビデオ信号波形)を表示するためのモニタ等が設けられている。
【0029】
次に、本実施の形態の作用並びに効果を説明する。
【0030】
以上の構成の色彩選別機10では、オペレータ又は所定の穀粒投入機によって、原料供給ホッパ14に選別対象となる選別粒Gが投入されると、投入された選別粒Gは、原料供給ホッパ14の原料供給口16から原料供給ホッパ18に投入され、更に原料供給ホッパ18の原料供給口20から排出され、揺動板26上に落下して受止められる。
【0031】
一方、揺動板26には、振動装置24によって所定の振動が与えられる(加振される)。すなわち、制御部98からの駆動信号によって駆動モータ30が駆動すると、偏心カム32が出力軸30A回りに偏心運動を行う。この偏心運動がロッド34を介して揺動板26に伝達されることにより、揺動板26が前後方向に揺動し、揺動板26上の選別粒Gに振動が加えられる。その結果、流量調節ゲート22の下端と揺動板26の上面との隙間から選別粒Gが所定量ずつ前側へ排出され、整列した状態(均一に散乱した状態)で繰出ロール36に供給される。
【0032】
繰出ロール36の表面に載置された選別粒Gは、繰出ロール36が所定の回転速度で回転することにより、繰出ロール36の前側かつ下側へ自由落下していく。そして、選別粒Gは、自由落下の途中において、フロントカメラ52及びリヤカメラ54によって撮影される。
【0033】
フロントカメラ52及びリヤカメラ54によって撮影された選別粒Gを含む画像に対するビデオ信号は、それぞれ制御部98へ出力される。制御部98では、撮影された選別粒Gを含む画像に対するビデオ信号に基づいて、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する分割領域毎に、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gが正常粒であるか又は異常粒(着色粒及び無色粒)であるかを判定する。すなわち、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gの光量レベルが選別粒Gの正常粒の範囲である下限値以上上限値以下と判定された場合には、選別粒Gが正常粒と判定される。一方、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gの光量レベルが下限値よりも低いと判定された場合には、選別粒Gが異常粒の着色粒と判定されると共に、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影した選別粒Gの光量レベルが上限値よりも高いと判定された場合には、選別粒Gが異常粒の無色粒と判定される。
【0034】
これにより、異常粒(着色粒及び無色粒)と判定された選別粒Gが撮影された分割領域に対応するソレノイド78に制御部98によって電圧が瞬間的に印加される。その結果、当該ソレノイド78において、プランジャ82が瞬間的に飛び出し、板バネ76の下側部分が選別粒Gの自由落下軌道の方向に瞬間的に弾性変形されて飛び出すことで、選別粒G(異常粒)が弾かれて選別筒66の異常粒用通路74へ落下し、装置外へ取り出される。
【0035】
一方、正常粒と判定された選別粒Gが撮影された分割領域に対応するソレノイド78には、制御部98によって電圧が印加されない。従って、自由落下する選別粒G(正常粒)は、板バネ76の下側部分によって弾かれることは無く、選別筒66の正常粒用通路70へと自由落下して、装置外へ取り出される。
【0036】
ところで、フロントカメラ52及びリヤカメラ54の撮影方向に背景部84の背景板90が設けられており、フロントカメラ52及びリヤカメラ54は背景板90を背景にして選別粒Gを撮影する。
【0037】
ここで、背景部84(背景箱88)内における冷陰極管86の発光光量が調整可能にされており、背景板90は冷陰極管86によって発光可能にされると共に、背景板90の発光光量が調整可能にされている。このため、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する背景板90の光量レベルを容易に調整することができる。これにより、背景板90を照明する一対の蛍光灯56、58又は一対の蛍光灯60、62に対して背景板90を移動(回動)させてフロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する背景板90の光量レベルを調整する場合と異なり、背景板90を移動させるサーボ機構が不要であってコストを低減することができると共に、背景板90の位置(角度)を僅かに変化させただけで背景板90の光量レベルが大きく変化するようなことがなく背景板90の光量レベルの微調整を容易にすることができる。
【0038】
さらに、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する背景板90の光量レベルが、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する選別粒Gの正常粒の光量レベルに合わせられている。このため、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する背景板90及び選別粒Gの正常粒の光量レベルに対して、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する選別粒Gの着色粒(異常粒)の光量レベルのみならず、フロントカメラ52及びリヤカメラ54が撮影する選別粒Gの無色粒(異常粒)の光量レベルも明確に区別することができ、正常粒から異常粒(特に無色粒)を良好に選別することができる。これにより、正常粒から無色粒を選別する場合に近赤外線を使用する場合と異なり、大幅なコストアップになることを防止できる。
【0039】
なお、本実施の形態では、選別粒Gの正常粒を白米(ウルチ米)にした構成としたが、選別粒Gの正常粒を玄米等にした構成としてもよい。さらに、選別粒Gとして、大豆等の米粒以外の穀粒や造粒されたプラスチック片等を使用してもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、1回の選別処理で選別粒Gの正常粒と異常粒とを選別する構成としたが、これに限らず、複数回の選別処理を経て選別粒Gの正常粒と異常粒とを選別する構成にしてもよい。例えば、一次選別処理で異常粒を含む一定領域の選別粒G群を選別ルートに弾き出し、これを再び繰出ロール36側へ送り込む際に、今度は選別粒Gが一粒ずつ繰出ロール36の表面に供給されるようにして、一粒ずつ選別粒Gの正常粒と異常粒とを二次選別する構成にしてもよい。
【0041】
さらに、本実施の形態では、エジェクタ68として板ばね・ソレノイド方式のものを使用したが、エジェクタ68としてエアノズルと電磁弁を使ったエアエジェクタ方式のものを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る色彩選別機を示す右方から見た断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る色彩選別機の要部を示す右方から見た断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る色彩選別機においてフロントカメラ及びリヤカメラが撮影した選別粒を含む画像に対するビデオ信号画像である。
【符号の説明】
【0043】
10 色彩選別機
52 フロントカメラ(撮影手段)
54 リヤカメラ(撮影手段)
68 エジェクタ(選別手段)
84 背景部
G 選別粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別粒を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影方向に設けられて前記撮影手段が選別粒を撮影する背景にされ、発光可能にされて前記撮影手段が撮影する光量レベルを調整可能にされた背景部と、
前記撮影手段が撮影した選別粒の光量レベルに対応する選別粒の色彩に基づいて選別粒を選別する選別手段と、
を備えた色彩選別機。
【請求項2】
前記撮影手段が撮影する前記背景部の光量レベルを前記撮影手段が撮影する選別粒うちの正常粒の光量レベルに調整した、ことを特徴とする請求項1記載の色彩選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−34645(P2009−34645A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203257(P2007−203257)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】