説明

芯出治具、計測システム、及び計測方法

【課題】本発明の目的は、灰溶融炉の炉室壁の現実の損耗量を光学的計測技術を利用して求めるための芯出治具、計測システム、計測方法を提供することである。
【解決手段】芯出治具(20)は、灰溶融炉(1)の外殻構造(2)に対して位置決めされる基部(21)と、前記灰溶融炉の炉室(3)に配置されるように前記基部に支持される基準物体(25)とを具備している。したがって、外殻構造(2)に対して位置決めされて炉室(3)に配置される基準物体(25)を基準として、炉室壁(4、5、6)の現実の損耗量を光学的計測技術を利用して求めることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灰溶融炉の炉室壁の損耗量を求めるための芯出治具、計測システム、及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却灰等の灰を溶融処理する灰溶融炉においては、炉室内の高温雰囲気と灰が含有する腐食成分との影響により、耐火材により形成された炉室壁が損耗する。したがって、損耗量が一定限度を越えた場合は、炉室壁を補修する必要がある。
【0003】
しかし、炉室壁の損耗量は灰が含有する成分の違いや灰溶融炉の運転条件により異なるため、適切な補修時期を判断することは難しい。
【0004】
特許文献1は、耐火材を冷却する冷却水の流量と、冷却水の入口温度と出口温度の差と、炉室の温度とに基づいて、耐火材の推定損耗量を算出する方法を開示している。しかし、現実の損耗量ではない推定損耗量は、補修時期を判断する根拠としては説得力に欠ける面もある。
【0005】
一方、特許文献2は、レーザー計測技術を応用した寸法の計測方法を開示している。この方法においては、構造物にパルスレーザー光を掃引照射して構造物からの反射光を受光し、光電変換して反射点の位置データを収集する。そして、収集した位置データに基づいてこの構造物の3次元CADデータを生成し、3次元CADデータからこの構造物の寸法を求めることとしている。
【0006】
ここで、灰溶融炉の炉室壁の損耗量は、炉室壁の厚さの変化から求めることも可能であるようにみえる。炉室壁の厚さは、炉室壁の表面上の点の座標と、表面の反対側の裏面上の点の座標とが得られれば、2点間の距離として求めることが可能である。しかし、炉室壁の裏面は露出していないから、上述した寸法の計測方法をそのまま適用して炉室壁の厚さを求めることができない。
【0007】
レーザ計測技術や写真を用いて計測対象物体の3次元CADデータを取得する写真計測技術に例示される光学的計測技術は、手作業で計測する場合に比較して精度の高いデータを取得可能である、或いは、現場での作業時間が短縮される等の利点を有している。
【0008】
灰溶融炉の炉室壁の現実の損耗量を光学的計測技術により求めることを可能とする技術が必要とされている。
【特許文献1】特開2003−294372号公報
【特許文献2】特開2003−279333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、灰溶融炉の炉室壁の現実の損耗量を光学的計測技術を利用して求めるための芯出治具、計測システム、計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による芯出治具は、灰溶融炉(1)の外殻構造(2)に対して位置決めされる基部(21)と、前記灰溶融炉の炉室(3)に配置されるように前記基部に支持される基準物体(25)とを具備している。
【0012】
本発明によれば、外殻構造(2)に対して位置決めされて炉室(3)に配置される基準物体(25)を基準として、炉室壁(4、5、6)の現実の損耗量を光学的計測技術を利用して求めることが可能となる。
【0013】
本発明による芯出治具においては、前記灰溶融炉の上側へ貫通する貫通穴(7)が前記炉室の天井(4)に設けられてもよい。前記基部は、前記外殻構造に対して位置決めされた状態で上を向く平面(21a)を備え、前記状態において前記貫通穴の上方に配置されてもよい。前記基準物体は、前記基部から前記平面が向いている方向の逆方向に延びる第1ポール(26)と、前記第1ポールに垂直となるように前記第1ポールに取り付けられる第2ポール(27)と、前記第1ポールの所定の位置に取り付けられるボール(31)とを備えてもよい。ここで、前記第1ポールは前記平面に垂直である。
【0014】
本発明においては、平面(21a)が水平となるとき、第1ポール(26)は鉛直方向を規定し、第2ポール(27)は水平面内の所定の方向を規定し、ボール(31)は第1ポール(26)上の所定の位置を規定する。このような基準物体(25)の構成は、損耗前の炉室壁面(4a、5a、6a)と損耗後の炉室壁面(4a’、5a’、6a’)とを比較するために好適である。
【0015】
本発明による芯出治具は、前記第1ポールの前記基部側の部分に設けられた複数のリブ(24)を具備してもよい。前記複数のリブは、前記第1ポールを軸とする放射状に配置される。前記複数のリブの各々は、前記基部に接合した基部側端縁(24a)と、前記第1ポールに接合した第1ポール側端縁(24b)と、前記第1ポールの反対側に配置された外側端縁(24c)とを備えている。前記外側端縁は、前記第1ポールを中心軸とする仮想的な円錐面上に配置される。前記円錐面は、前記逆方向に向かって狭くなることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、外側端縁(24c)と貫通穴(7)の内側に設けられた内筒部(8)と係り合うため、基準物体(25)は、外殻構造(2)に対して大まかに位置決めされる。大まかに位置決めされていれば、その後に精密に位置決めすることが容易になる。
【0017】
本発明による芯出治具においては、前記基準物体は3つのボール(31、32)を備えていることが好ましい。ここで、前記3つのボールは、仮想的な三角形が有する3つの頂点に配置されている。
【0018】
本発明においては、同一直線上にない異なる3点を基準とし、損耗前の炉室壁面(4a、5a、6a)と損耗後の炉室壁面(4a’、5a’、6a’)とを比較し、損耗量を求めることが可能である。また、ボール(31、32)はどの方向から見ても同じ形状をしているから、基準となる3点の位置を精度よく求めることができる。
【0019】
本発明による芯出治具20においては、前記基準物体が塗装されていることが好ましい。
【0020】
例えば、基準物体(25)に白色塗装を施しておけば、三次元レーザスキャナーによる読み取りが容易になる。なお、一般に炉室(3)に配置される構造体は、灰溶融処理時に高温にさらされるため、塗装が施されることはない。
【0021】
本発明による計測システムは、記憶部(44)と、計測部(41)と、座標基準点算出部(42)と、三次元CADデータ生成部(43)と、損耗量分布算出部(45)と、画像データ生成部(46)とを具備している。前記記憶部は、灰溶融炉(1)の炉室壁(4、5、6)の損耗前の表面(4a、5a、6a)を第1座標基準点(70)を基準として表す損耗前表面三次元CADデータ(61)を記憶する。前記計測部は、前記炉室壁が損耗して露出した損耗後の表面(4a’、5a’、6a’)上の第1点群の第1座標系における三次元位置を示す第1点群データ(57)を前記第1点群からの反射光に基づいて収集し、前記灰溶融炉の炉室(3)に配置された基準物体(25)の表面(25a)上の第2点群の前記第1座標系における三次元位置を示す第2点群データ(58)を前記第2点群からの反射光に基づいて収集する。前記座標基準点算出部は、前記第2点群データから第2座標基準点(70’)を求める。前記三次元CADデータ生成部は、前記第1点群データから、前記損耗後の表面を前記第2座標基準点を基準として表す損耗後表面三次元CADデータ(60)を生成する。前記損耗量分布算出部は、前記損耗前表面三次元CADデータ及び前記損耗後表面三次元CADデータから前記炉室壁の損耗量の分布(62)を算出する。前記画像データ生成部は、前記分布を濃淡分布として示す画像(81、84、85、86)の画像データ(63、64)を生成する。そして、前記炉室に配置された前記基準物体を支持する基部(21)は、前記灰溶融炉の外殻構造(2)に対して位置決めされる。前記第1座標基準点は、前記外殻構造を基準として定められる。
【0022】
本発明によれば、炉室壁(4、5、6)の損耗量分布を濃淡分布として示す画像(81、84、85、86)を出力することが可能である。したがって、炉室壁4〜6の損耗状態が容易に把握される。
【0023】
本発明による計測システムにおいては、前記画像データ生成部は、前記炉室壁の天井壁面(4a)、側壁面(5a)、又は炉底壁面(6a)のいずれかのオルソ画像(84、85、86)としての前記画像の前記画像データを生成してもよい。
【0024】
本発明によれば、損耗量分布を歪みのないオルソ画像として出力することが可能となる。
【0025】
本発明による計測システムは、前記画像と、カーソル(82)とを表示する画面(47a)を備えた出力部(47)と、検出部(49)とを具備することが好ましい。この場合、前記画像データ生成部は、前記炉室壁上の第1位置(P)における前記損耗量を表す濃淡情報が表示される前記画面上の第2位置(p)と、前記第1位置における前記損耗量を示す数値(D)とを対応させた対応データ(65)を生成する。前記検出部は、前記対応データから、前記カーソルが指定する前記第2位置としてのカーソル指定位置(p1)と対応された前記数値としての第1数値(D1)を検出する。前記出力部は、前記第1数値を前記画面に表示する。
【0026】
本発明によれば、炉室壁(4、5、6)上の任意の位置を指定して、その位置における損耗量を示す数値を表示することが可能となる。
【0027】
本発明による計測方法は、灰溶融炉(1)の炉室壁(4、5、6)の損耗前の表面(4a、5a、6a)を第1座標基準点(70)を基準として表す損耗前表面三次元CADデータ(61)を取得するステップと、前記炉室壁が損耗して露出した損耗後の表面(4a’、5a’、6a’)上の第1点群の第1座標系における三次元位置を示す第1点群データ(57)を前記第1点群からの反射光に基づいて収集し、前記灰溶融炉の炉室(3)に配置された基準物体(25)の表面(25a)上の第2点群の前記第1座標系における三次元位置を示す第2点群データ(58)を前記第2点群からの反射光に基づいて収集するステップと、前記第2点群データから第2座標基準点(70’)を求めるステップと、前記第1点群データから、前記損耗後の表面を前記第2座標基準点を基準として表す損耗後表面三次元CADデータ(60)を生成するステップと、前記損耗前表面三次元CADデータ及び前記損耗後表面三次元CADデータから前記炉室壁の損耗量の分布(62)を算出するステップと、前記分布を濃淡分布として示す画像(81、84、85、86)の画像データ(63、64)を生成するステップとを具備している。前記炉室に配置された前記基準物体を支持する基部(21)は、前記灰溶融炉の外殻構造(2)に対して位置決めされる。前記第1座標基準点は、前記外殻構造を基準として定められる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、灰溶融炉の炉室壁の現実の損耗量を光学的計測技術を利用して求めるための芯出治具、計測システム、計測方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
添付図面を参照して、本発明による芯出治具、計測システム、及び計測方法を実施するための最良の形態を以下に説明する。
【0030】
図1A及び図1Bは、本発明の実施形態に係る芯出治具20、計測システム40、及び計測方法が適用される灰溶融炉1を示している。灰溶融炉1は、外殻構造2と、外殻構造2の内側に設けられた天井壁4、側壁5、及び炉底壁6とを備えている。外殻構造2に対して定義される灰溶融炉1の中心軸Lは、通常、鉛直方向に平行となされている。天井壁4、側壁5、炉底壁6は、耐火レンガのような耐火材で形成されている。炉室3は、天井壁4、側壁5、炉底壁6に囲まれた円柱形状をした空間である。炉室3の天井の中心部には、図示しない主電極を設置するための電極貫通口7が上下方向に貫通して設けられている。炉室3の床に相当する炉底には、電極貫通口7と対向するように炉底電極9が設けられている。灰溶融炉1の上側に開口する電極貫通口7の開口部にはフランジ11が設けられている。フランジ11は、上向きの平面としての上面11aを備えている。上面11aは、中心軸Lに垂直である。フランジ11は、外殻構造2に対する相対位置が変化しないように外殻構造2に固定されている。灰溶融炉1には、出滓口10、灰投入口15、及びマンホール16が設けられている。
【0031】
灰溶融炉1においては、灰投入口15から炉室3に灰が投入され、灰が投入された状態で主電極と炉底電極9との間に直流電流が流される。このとき炉室3に発生するプラズマアークによる熱と、両電極間を流れる電流によるジュール熱により灰が溶融して溶融スラグとなる。溶融スラグは、灰溶融炉1に設けられた出滓口10から排出される。
【0032】
灰溶融炉1が灰溶融処理を実行すると、天井壁4、側壁5、炉底壁6が損耗し、損耗前の天井壁面4a、側壁面5a、炉底壁面6aが、損耗後の天井壁面4a’、側壁面5a’、炉底壁面6a’にまで後退する。天井壁4、側壁5、炉底壁6の補修時期を判断するためにこれらの損耗量を知る必要がある。
【0033】
そこで、本発明の実施形態においては、電極貫通口7に芯出治具20が設置され、三次元レーザスキャナーのような計測部41が天井壁4、側壁5、炉底壁6の表面の三次元座標を取得する。このとき計測部41は、芯出治具20の三次元座標も取得する。芯出治具20を灰溶融処理によって損耗等しない外殻構造2に対して位置決めすることにより、計測部41を有する計測システム40は、芯出治具20を基準として用いて損耗量を求めることが可能である。
【0034】
以下、芯出治具20及び計測システム40について詳細に説明する。
【0035】
図2(a)及び図2(b)は、芯出治具20を示している。芯出治具20は、基部21と、ボルト22と、ナット23と、リブ24と、基準物体25とを備えている。基部21は、板形状をしており、その厚さ方向を向く主面としての主平面21aと、主平面21aに垂直な側面21b〜21dとを備えている。図6に示されるように、側面21bと側面21cとは90°をなし、側面21bと側面21dとは180°をなして互いに反対方向を向いている。基部21の四隅には、基部21を厚さ方向に貫通する雌ねじ穴が設けられ、そこにボルト22がねじ込まれる。ボルト22の頭部は主平面21a側に配置される。ナット23は、ボルト22がねじ込まれ、ボルト22の頭部と基部21との間に配置される。
【0036】
基準物体25は、第1ポール26と、第2ポール27と、ブラケット28と、ボール31と、ボール32とを備えている。第1ポール26は、主平面21aに垂直となるように、主平面21aの中心21eの反対側に溶接されている。したがって、第1ポール26は、基部21から主平面21aが向く方向の逆方向に延びている。
【0037】
第1ポール26の基部21側の部分には複数のリブ24が設けられ、基部21と第1ポール26との結合が強固なものとなされている。複数のリブ24は、第1ポール26を軸とする放射状に配置されている。リブ24は、基部21に接合した端縁24aと、第1ポール26に接合した端縁24bと、第1ポールの反対側に配置された端縁24cとを備えている。端縁24cは第1ポール26を中心軸とする仮想的な円錐面上に配置されていることが好ましい。この仮想的な円錐面は、基部21から第1ポールの先端に接近する方向に狭くなっている。第1ポール26の先端には、ボール31が取りつけられる。第1ポール26上の基部21及びボール31の間には、ブラケット28が固定されている。ブラケット28は、第2ポール27が第1ポール26に対して垂直となるように第2ポール27を支持する。第2ポール27の先端には、ボール32が取り付けられる。主平面21aとボール31との距離H1は、所定の値に設定されている。
【0038】
ボール31、32は、どの方向から見ても同じ形状をしているから、損耗量を精度よく求めることに貢献する。
【0039】
芯出治具20、特に基準物体25においては、塗装が施されていることが好ましい。この塗装は白色塗装であることがより好ましい。一般的に炉室3に配置される構造物は塗装されないが、芯出治具20が塗装されていると、三次元レーザスキャナーによる読み取りが容易になる。
【0040】
図3は、ブラケット28を示している。ブラケット28には、第1ポール26がブラケット28を貫通するように挿入されるポール貫通穴28aと、ブラケット28の表面からポール貫通穴28aに達するねじ穴28bと、ブラケット28の表面からポール貫通穴28aの方向へ延びるねじ穴28cとが設けられている。ねじ穴28b及びねじ穴28cは、その内周に雌ねじが設けられ、ポール貫通穴28aに対して垂直に延びている。ブラケット28は、ポール貫通穴28aに第1ポール26が挿入された状態でねじ穴28bに六角穴付き全ねじ30がねじ込まれ、第1ポール26に対して固定される。六角穴付き全ねじ30の外周面全体には雄ねじが設けられている。
【0041】
図4は、第2ポール27及びボール32のブラケット28への取り付け方を示している。第2ポール27には、その一方側の端部に第2ポール27の軸心線方向に延びるねじ穴27aが設けられ、その他方側の端部に第2ポール27の軸心線方向に延びるねじ穴27bが設けられている。ボール32には、その表面から中心に向かって延びるねじ穴32aが設けられている。ねじ穴27a、ねじ穴27b、及びねじ穴32aの内周には雌ねじが設けられている。ねじ穴28cには、六角スタッド29の一方の雄ねじ部が羅着される。六角スタッド29の他方の雄ねじ部には、ねじ穴27aが羅着される。ねじ穴27bには、六角穴付き全ねじ30が羅着される。六角穴付き全ねじ30のねじ穴27bから露出した部分には、ねじ穴32aが羅着される。したがって、第2ポール27及びボール32は、第1ポール26に対して着脱可能に取り付けられる。
【0042】
図7は、計測システム40を示している。計測システム40は、計測部41と、座標基準点算出部42と、三次元CADデータ生成部43と、記憶部44と、損耗量分布算出部45と、画像データ生成部46と、出力部47と、位置指定部48と、検出部49とを備えている。計測部41は、物体の表面上に分布する点群で反射された反射光52に基づいて、点群の三次元位置を示す点群データを取得する。計測部41としては、三次元レーザスキャナーが好適に用いられる。三次元レーザスキャナーは、計測対象となる物体にレーザー光としての照射光51を照射し、物体で反射された反射光52に基づいてその物体についての点群データを取得する。
【0043】
以下、計測部41が三次元レーザスキャナーである場合について説明するが、計測部41として写真計測装置を用いることも可能である。写真計測装置は、物体を異なる方向から撮像した複数の写真からその物体についての点群デ−タを取得する。
【0044】
図11に示されたフローチャートに沿って本発明の実施形態に係る計測方法について説明する。本計測方法においては、灰溶融炉1の炉室壁4〜6の損耗量を芯出治具20及び計測システム40を用いて計測する。
【0045】
損耗量の計測方法は、損耗前の炉室壁面4a〜4cについての損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ56を取得するステップS1と、損耗後の炉室壁面4a’〜4c’についての損耗後炉室壁面三次元CADデータ60を取得するステップS2と、損耗量分布の算出をするステップS3と、損耗量分布の出力をするステップS4とを具備している。
【0046】
(ステップS1)
ステップS1は、灰溶融炉1を新設し、又は既設灰溶融炉1の炉室壁4〜6の補修をした後、灰溶融炉1を灰溶融処理に使用する前に実行される。
【0047】
はじめに、図1A及び図1Bに示されるように、芯出治具20を灰溶融炉1に設置し、計測部41を炉室3に設置する。
【0048】
芯出治具20の設置をするために、芯出治具20の一部としてのセンター部33を準備する。センター部33は、基部21と、リブ24と、第1ポール26と、ブラケット28と、ボール31とを備えているが、第2ポール27及びボール32は備えていない。センター部33をボール31の方から電極貫通口7を通して炉室3に挿入する。
【0049】
このとき、図5に示されるように、端縁24cが電極貫通口7の内側に設けられた内筒部8と係り合うため、センター部33は、外殻構造2に対して大まかに位置決めされる。具体的には、センター部33は、水平方向位置と、高さ方向位置とが大まかに位置決めされ、且つ、主平面21aがほぼ水平となるように位置決めされる。センター部33が端縁24cによって大まかに位置決めされるため、センター部33を精密に位置決めする作業が容易になる。
【0050】
センター部33の水平方向位置は、例えば、中心21eが中心軸L上に配置されるように位置決めする。
【0051】
主平面21aの水平を水準器で確認しながら、基部21の四隅に配置されたボルト22を使用して主平面21aの上面11aに対する高さH2が所定の値となるように調節して、センター部33の高さ方向位置を合わせ、主平面21aの水平をとる。
【0052】
センター部33の外殻構造2に対する位置決めが終了したら、図6に示されるように、位置決め面12aを側面21bに当接させた状態で位置決め用部材12を上面11a上に固定し、位置決め面13aを側面21cに当接させた状態で位置決め用部材13を上面11a上に固定し、位置決め面14aを側面21dに当接させた状態で位置決め用部材14を上面11a上に固定する。ここで、位置決め面12aと位置決め面14aとは、互いに反対方向を向くが、図6に示されるように互いに対向しないで配置されてもよく、互いに対向して配置されてもよい。この状態で位置決め用部材12〜14と基部21とを点付け溶接すれば、計測部41による計測中にセンター部33が外殻構造2に対して位置ずれすることが防がれる。
【0053】
そして、第2ポール27及びボール32をブラケット28に対してねじ止めすれば、芯出治具20の灰溶融炉1への設置が終了する。このとき、基準物体25は、炉室3に配置されるように基部21に支持される。第2ポール27とブラケット28とを着脱可能とすることで、第2ポール27の長さを長くすることが可能である。第2ポール27が長ければ、損耗量を精度よく求めることが可能となる。なお、第2ポール27及びボール32の組は、一つのブラケット28に対して複数組取りつけられてもよい。また、第1ポール26上に複数のブラケット28が設けられてもよい。この場合、少なくとも一つのブラケット28には、90°ごとに4本の第2ポール27が取り付けられることが好ましい。互いに90°をなす2本の第2ポール27は、互いに垂直、且つ、第1ポール26に垂直な2方向を規定する。また、互いに180°をなす2本の第2ポール27は、基準物体25の重量バランスに貢献する。
【0054】
つぎに、炉室3に設置された計測部41は、炉室壁面4a〜6a及び基準物体25の表面25aに対して照射光51を掃引照射し、照射光51が反射された反射光52に基づいて、炉室壁面4a〜6a上の点群の三次元位置を示す損耗前炉室壁面点群データ53と、表面25a上の点群の三次元位置を示す座標基準データ54とを、共通の座標系における三次元位置を示すデータとして収集し、出力する。計測部41の設置場所を変更して損耗前炉室壁面点群データ53及び座標基準データ54を収集する操作を何回か繰り返す。
【0055】
座標基準点算出部42は、座標基準データ54から座標基準点70を求め、座標基準点70を示す座標基準データ55を出力する。
【0056】
三次元CADデータ生成部43は、炉室壁面4a〜6aを座標基準点70を基準として表す損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ56を損耗前炉室壁面点群データ53から生成して出力する。
【0057】
記憶部44は、損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ56を記憶する。
【0058】
計測部41による炉室壁面4a〜6a及び表面25aの計測が終了したら、計測部41と芯出治具20とを灰溶融炉1から取り除く。芯出治具20は、芯出治具20を設置したときと逆の手順で取り除くが、位置決め用部材12〜14は取り除かないで残しておく。
【0059】
(ステップS2)
ステップS2は、灰溶融炉1を灰溶融処理に使用した後に実行される。灰溶融処理により炉室壁4〜6が損耗するため、炉室壁面4a’〜6a’が露出する。
【0060】
はじめに芯出治具20を灰溶融炉1に設置し、計測部41を炉室3に設置する。芯出治具20を設置する手順はステップS1と同様であるが、フランジ11に位置決め用部材12〜14が設けられているため、水平方向の位置決めと、水平面内の向きの決定が容易である。
【0061】
つぎに、炉室3に設置された計測部41は、炉室壁面4a’〜6a’及び表面25aに対して照射光51を掃引照射し、照射光51が反射された反射光52に基づいて、炉室壁面4a’〜6a’上の点群の三次元位置を示す損耗後炉室壁面点群データ57と、表面25a上の点群の三次元位置を示す座標基準データ58とを、共通の座標系における三次元位置を示すデータとして収集し、出力する。計測部41の設置場所を変更して損耗後炉室壁面点群データ57及び座標基準データ58を収集する操作を何回か繰り返す。
【0062】
座標基準点算出部42は、座標基準データ58から座標基準点70’を求め、座標基準点70’を示す座標基準データ59を出力する。
【0063】
三次元CADデータ生成部43は、炉室壁面4a’〜6a’を座標基準点70’を基準として表す損耗後炉室壁面三次元CADデータ60を損耗後炉室壁面点群データ57から生成して出力する。
【0064】
(ステップS3)
記憶部44は、記憶していた損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ56を損耗前炉室壁面三次元CADデータ61として出力する。
【0065】
損耗量分布算出部45は、損耗後炉室壁面三次元CADデータ60及び損耗前炉室壁面三次元CADデータ61から炉室壁4〜6の損耗量の分布を示す損耗量分布データ62を算出して出力する。
【0066】
図8は、炉室壁4〜6の損耗量分布を求める方法を模式的に示している。図8には、損耗前炉室壁面三次元CADデータ61が表す炉室壁面4a〜6aと、損耗後炉室壁面三次元CADデータ60が表す炉室壁面4a’〜6a’とが示されている。座標基準点70及び座標基準点70’は、外殻構造2に対して定められた共通の基準点である。ここで、座標基準点70及び座標基準点70’は、仮想的な三角形の3つの頂点に配置された3つのボール31、32の位置を示す点であってもよく、ボール31の位置を示す点と、第1ポール26及び1本の第2ポール27のそれぞれを示す点あってもよく、基準物体25が有する全てのボール31、32の位置を示す点であってもよい。
【0067】
損耗量分布算出部45は、炉室壁面4a〜6aに垂直なベクトルVと炉室壁面4a〜6aとの交点の位置Pと、ベクトルVと炉室壁面4a’〜6a’との交点の位置P’とから、炉室壁4〜6の損耗量Dを位置Pから位置P’への後退量を表す数値として求める。例えば、天井壁面4aに垂直なベクトルVと天井壁面4aとの交点の位置Pと、ベクトルVと天井壁面4a’との交点の位置P’とから、天井壁4の損耗量Dを求める。損耗量分布データ62は、各位置Pに対して損耗量Dを対応付けている。
【0068】
(ステップS4)
図9に示されるように、出力部47は、三次元ビューワ画像81を表示することが可能な画面47aを備えている。画像データ生成部46は、三次元ビューワ画像81を表示させるための画像データ63を損耗量分布データ62から生成する。画像データ63は、画面47a上の位置pの各々に対して色の濃淡Cを対応付けている。画像データ生成部46は、三次元ビュ−ワ画像のデータを生成するための規則にしたがって位置Pから位置pを求め、所定の規則にしたがって損耗量Dから濃淡Cを求める。
【0069】
出力部47は、画像データ63に基づいて三次元ビューワ画像81を画面47aに表示する。三次元ビューワ画像81は、天井壁面表示領域81aと、側壁面表示領域81bと、炉底壁面表示領域81cとを含んでいる。ここで、天井壁面表示領域81aには天井壁面4a上の損耗量Dの分布が濃淡Cの分布として表示され、側壁面表示領域81bには側壁面5a上の損耗量Dの分布が濃淡Cの分布として表示され、炉底壁面表示領域81cには炉底壁面6a上の損耗量Dの分布が濃淡Cの分布として表示される。
【0070】
損耗量分布が濃淡分布として表示されるから、炉室壁4〜6の損耗状態が容易に把握される。
【0071】
また、出力部47は、カーソル82が指定する画面47a上の位置p1に対応する炉室壁面4a〜6a上の位置P1における損耗量を数値で損耗量表示領域83に表示してもよい。
【0072】
画像データ生成部46は、位置pの各々に対して位置Pと損耗量Dとを対応付けた対応データ65を生成する。
【0073】
位置指定部48は、マウス等のポインティングデバイスからの指令69に基づいて、カーソル82が指定すべき画面47a上の位置p1を示す位置指定データ66を生成する。
【0074】
出力部47は、位置指定データ66に基づいて、カーソル82が位置p1を指定するように画面47aに表示する。
【0075】
検出部49は、位置pとしての位置p1と対応された損耗量Dとしての損耗量D1を対応データ65から検出し、損耗量D1を示す数値データ67を生成する。ここで、損耗量D1は、位置p1と対応された位置Pとしての位置P1における損耗量を表している。
【0076】
出力部47は、数値データ67に基づいて、損耗量D1を「−132.8」のように画面47a上の損耗量表示領域83に表示する。
【0077】
また、出力部47は、図10に示すように、炉室壁面4a〜6aが正射投影されたオルソ画像84〜86を表示しても良い。
【0078】
画像データ生成部46は、天井壁面オルソ画像84、側壁面オルソ画像85、炉底壁面オルソ画像86を表示させるための画像データ64を損耗量分布データ62から生成する。画像データ64は、位置pの各々に対して濃淡Cを対応付けている。この場合、画像データ生成部46は、オルソ画像のデータを生成するための規則にしたがって位置Pから位置pを求める。
【0079】
出力部47は、画像データ64に基づいて、天井壁面オルソ画像84と、側壁面オルソ画像85と、炉底壁面オルソ画像86とを画面47aに表示する。ここで、天井壁面オルソ画像84には天井壁面4a上の損耗量Dの分布が濃淡Cの分布として表示され、側壁面オルソ画像85には側壁面5a上の損耗量Dの分布が濃淡Cの分布として表示され、炉底壁面オルソ画像86には炉底壁面6a上の損耗量Dの分布が濃淡Cの分布として表示される。
【0080】
損耗量分布が濃淡分布として表示されるから、炉室壁4〜6の損耗状態が容易に把握される。また、オルソ画像とすることで、歪みのない画像が表示され、画面47a上の炉室壁面の面積と、現実の炉室壁面の面積とが正確に対応する。画像データ64は、歪みのないデータであるから、図面と同等な扱いが可能であり、且つ検証・管理が容易に可能となる。
【0081】
この場合も、出力部47は、カーソル82が指定する位置p1に対応された損耗量D1を損耗量表示領域83に表示することが可能である。
【0082】
記憶部44は、損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ56を損耗前炉室壁面三次元CADデータ61として出力するかわりに、三次元CADシステム50が生成した炉室壁面4a〜6bの設計データとしての損耗前炉室壁面三次元CAD設計データ68を記憶し、損耗前炉室壁面三次元CAD設計データ68を損耗前炉室壁面三次元CADデータ61として出力してもよい。損耗前炉室壁面三次元CAD設計データ68も損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ56と同様に座標基準点70を基準としている。
【0083】
損耗前炉室壁面三次元CAD設計データ68を損耗前炉室壁面三次元CADデータ61として用いる場合、例えば、図1Aに示すように、第2ポール27の一本が出滓口10の方向を指し示していることが基準物体25の外殻構造2に対する水平面内の回転角度を定める上で好ましい。ここで、基準物体25の外殻構造2に対する水平面内の回転角度を規定する基準として出滓口10を用いるかわりに、灰投入口15やマンホール16等を基準として用いることも可能である。
【0084】
出力部47は、画面47aを備える液晶表示装置のような表示装置であることが好ましいが、画像81、84、85、86を印刷するプリンタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態に係る芯出治具が設置される灰溶融炉の上面図である。
【図1B】図1Bは、本発明の実施形態に係る芯出治具が設置される灰溶融炉の側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る芯出治具を示す図である。図2(a)は、芯出治具の側面図である。図2(b)は、芯出治具の基部の上面図である。
【図3】図3は、ブラケットについて示す図である。図3(a)は、ブラケットの上面図である。図3(b)は、ブラケットの側面図である。図3(c)は、ブラケットの断面図である。図3(d)は、ブラケットの断面図である。
【図4】図4は、芯出治具の組み立て方法を説明するための図である。
【図5】図5は、芯出治具を灰溶融炉の外殻構造に対して位置決めする方法について説明するための一の図である。
【図6】図6は、芯出治具を灰溶融炉の外殻構造に対して位置決めする方法について説明するための他の図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る計測システムのブロック図である。
【図8】図8は、炉室壁の損耗量分布を求める方法を示す模式図である。
【図9】図9は、出力部が表示する三次元ビューワ画像を示す図である。
【図10】図10は、出力部が表示するオルソ画像を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1…灰溶融炉
2…外殻構造
3…炉室
4…天井壁
4a、4a’…天井壁面
5…側壁
5a、5a’…側壁面
6…炉底壁
6a、6a’…炉底壁面
7…電極貫通口
8…内筒部
9…炉底電極
10…出滓口
11…フランジ
11a…上面
12、13、14…位置決め用部材
12a、13a、14a…位置決め面
15…灰投入口
16…マンホール
20…芯出治具
21…基部
21a…主平面
21b、21c、21d…側面
22…ボルト
23…ナット
24…リブ
24a、24b、24c…端縁
25…基準物体
25a…表面
26…第1ポール
27…第2ポール
27a、27b…ねじ穴
28…ブラケット
28a…ポール貫通穴
28b、28c…ねじ穴
29…六角スタッド
30…六角穴付き全ねじ
31、32…ボール
32a…ねじ穴
33…センター部
40…計測システム
41…計測部
42…座標基準点算出部
43…三次元CADデータ生成部
44…記憶部
45…損耗量分布算出部
46…画像データ生成部
47…出力部
47a…画面
48…位置指定部
49…検出部
50…三次元CADシステム
51…照射光
52…反射光
53…損耗前炉室壁面点群データ
54、58…基準物体点群データ
55、59…座標基準点データ
56…損耗前炉室壁面三次元CAD実測データ
57…損耗後炉室壁面点群データ
60…損耗後炉室壁面三次元CADデータ
61…損耗前炉室壁面三次元CADデータ
62…損耗量分布データ
63、64…画像データ
65…対応データ
66…位置指定データ
67…数値データ
68…損耗前炉室壁面三次元CAD設計データ
69…指令
70、70’…座標基準点
81…三次元ビューワ画像
81a…天井壁面表示領域
81b…側壁面表示領域
81c…炉底壁面表示領域
82…カーソル
83…損耗量表示領域
84…天上壁面オルソ画像
85…側壁面オルソ画像
86…炉底壁面オルソ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灰溶融炉の外殻構造に対して位置決めされる基部と、
前記灰溶融炉の炉室に配置されるように前記基部に支持される基準物体と
を具備する
芯出治具。
【請求項2】
前記炉室の天井には、前記灰溶融炉の上側へ貫通する貫通穴が設けられ、
前記基部は、前記外殻構造に対して位置決めされた状態で上を向く平面を備え、前記状態において前記貫通穴の上方に配置され、
前記基準物体は、前記基部から前記平面が向いている方向の逆方向に延びる第1ポールと、前記第1ポールに垂直となるように前記第1ポールに取り付けられる第2ポールと、前記第1ポールの所定の位置に取り付けられるボールとを備え、
前記第1ポールは前記平面に垂直である
請求項1の芯出治具。
【請求項3】
前記第1ポールの前記基部側の部分に設けられた複数のリブを具備し、
前記複数のリブは、前記第1ポールを軸とする放射状に配置され、
前記複数のリブの各々は、前記基部に接合した基部側端縁と、前記第1ポールに接合した第1ポール側端縁と、前記第1ポールの反対側に配置された外側端縁とを備え、
前記外側端縁は、前記第1ポールを中心軸とする仮想的な円錐面上に配置され、
前記円錐面は、前記逆方向に向かって狭くなる
請求項2の芯出治具。
【請求項4】
前記基準物体は3つのボールを備え、
前記3つのボールは、仮想的な三角形が有する3つの頂点に配置される
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の芯出治具。
【請求項5】
前記基準物体は塗装されている
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の芯出治具
【請求項6】
灰溶融炉の炉室壁の損耗前の表面を第1座標基準点を基準として表す損耗前表面三次元CADデータを記憶する記憶部と、
前記炉室壁が損耗して露出した損耗後の表面上の第1点群の第1座標系における三次元位置を示す第1点群データを前記第1点群からの反射光に基づいて収集し、前記灰溶融炉の炉室に配置された基準物体の表面上の第2点群の前記第1座標系における三次元位置を示す第2点群データを前記第2点群からの反射光に基づいて収集する計測部と、
前記第2点群データから第2座標基準点を求める座標基準点算出部と、
前記第1点群データから、前記損耗後の表面を前記第2座標基準点を基準として表す損耗後表面三次元CADデータを生成する三次元CADデータ生成部と、
前記損耗前表面三次元CADデータ及び前記損耗後表面三次元CADデータから前記炉室壁の損耗量の分布を算出する損耗量分布算出部と、
前記分布を濃淡分布として示す画像の画像データを生成する画像データ生成部と
を具備し、
前記炉室に配置された前記基準物体を支持する基部は、前記灰溶融炉の外殻構造に対して位置決めされ、
前記第1座標基準点は、前記外殻構造を基準として定められる
計測システム。
【請求項7】
前記画像データ生成部は、前記炉室壁の天井壁面、側壁面、又は炉底壁面のいずれかのオルソ画像としての前記画像の前記画像データを生成する
請求項6の計測システム。
【請求項8】
前記画像と、カーソルとを表示する画面を備えた出力部と、
検出部と
を具備し、
前記画像データ生成部は、前記炉室壁上の第1位置における前記損耗量を表す濃淡情報が表示される前記画面上の第2位置と、前記第1位置における前記損耗量を示す数値とを対応させた対応データを生成し、
前記検出部は、前記対応データから、前記カーソルが指定する前記第2位置としてのカーソル指定位置と対応された前記数値としての第1数値を検出し、
前記出力部は、前記第1数値を前記画面に表示する
請求項6又は7の計測システム。
【請求項9】
前記炉室壁は、天井壁、側壁、炉底壁のいずれかである
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の計測システム。
【請求項10】
灰溶融炉の炉室壁の損耗前の表面を第1座標基準点を基準として表す損耗前表面三次元CADデータを取得するステップと、
前記炉室壁が損耗して露出した損耗後の表面上の第1点群の第1座標系における三次元位置を示す第1点群データを前記第1点群からの反射光に基づいて収集し、前記灰溶融炉の炉室に配置された基準物体の表面上の第2点群の前記第1座標系における三次元位置を示す第2点群データを前記第2点群からの反射光に基づいて収集するステップと、
前記第2点群データから第2座標基準点を求めるステップと、
前記第1点群データから、前記損耗後の表面を前記第2座標基準点を基準として表す損耗後表面三次元CADデータを生成するステップと、
前記損耗前表面三次元CADデータ及び前記損耗後表面三次元CADデータから前記炉室壁の損耗量の分布を算出するステップと、
前記分布を濃淡分布として示す画像の画像データを生成するステップと
を具備し、
前記炉室に配置された前記基準物体を支持する基部は、前記灰溶融炉の外殻構造に対して位置決めされ、
前記第1座標基準点は、前記外殻構造を基準として定められる
計測方法。
【請求項11】
前記炉室壁は、天井壁、側壁、炉底壁のいずれかである
請求項10の計測方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−64385(P2008−64385A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242887(P2006−242887)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】