説明

芳香性物質としての、トランス−ペリトリンの使用

本発明は、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(トランス-ペリトリン)の、芳香性物質としての、特に唾液分泌誘発性の芳香性物質としての、好ましくは栄養物または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物における使用に関するものである。本発明は、更にトランス-ペリトリンを含有する調製物および半完成品、並びに香気、芳香および香味物質の組成物、並びにトランス-ペリトリンの製法にも関連するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香性成分、特に唾液分泌誘発作用を持つ芳香性成分としての、好ましくは栄養素または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物(preparation)における、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(トランス-ペリトリン(pellitorin))の使用に関するものである。本発明は、またトランス-ペリトリンを含有する、調製物および半完成品、並びに香気、芳香および香味物質の組成物、並びにトランス-ペリトリンの製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
唾液分泌誘発性物質は、例えば臨床上のドライマウス(dry mouth)を軽減し、食欲を刺激し、あるいはまた口腔衛生性を改善するために使用され、結果的に、増進された唾液流によって、有害な物質または微生物が、口腔から洗い流される。食用の酸、例えばクエン酸、酒石酸またはリンゴ酸が、通常食品調製物中で、この目的のために使用されている。唾液腺を刺激する特定の物質、例えばヤボランジ樹(南米熱帯地方産のミカン科植物)から抽出されるピロカルピン等は、臨床上のドライマウスの治療において使用されている(Acta Med. Croatica 2000, 54:65-67)。しかし、このように高いコリン作用性の副交感神経刺激剤は、一般的に重篤な副作用を持ち、またその幾つかは、著しく毒性の高いものである。
長鎖脂肪酸アルキルアミドの中で、2E,6Z,8E-デカトリエン酸-N-イソブチルアミド(スピラントール)が、強力な唾液分泌誘発性およびヒリヒリ(tingling)した刺激性を持つものとして、記載されている。しかし、スピラントールは、同時にまた、特にピリピリ(fiery)した刺激性および麻酔性、並びに収斂性をも示す(Lebensm.-Wiss. u. -Technol. 1992, 25:417-421)。一方、他の長鎖ポリエン酸-N-イソブチルアミドまたはポリイン酸-N-イソブチルアミドは、より強力な唾液分泌誘発性を示すものと考えられるが、これらは、更に苦味のある香味の知覚をもたらす(上記引用文献参照)。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は、唾液分泌誘発性のおよび/またはヒリヒリとした刺激作用を持つ、並びにそうでない場合には、著しく中性の芳香プロフィールを持つ物質を開発することにあり、この物質は、調製物、特に栄養素または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物に、芳香性物質として配合することができる。
従って、本発明は、芳香性物質、好ましくは唾液分泌誘発性のおよび/またはヒリヒリとした刺激作用を持つ芳香性物質として、特に好ましくは、栄養素または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物における、唾液分泌誘発性のおよび/またはヒリヒリとした刺激作用を持つ芳香性物質としての、2E,4E-デカジエン酸イソブチルアミド(トランス-ペリトリン)の使用に関するものである。
本発明は、また2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含む、好ましくは合成の2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含む半完成品、並びに香気、芳香および香味物質の組成物を提供するものである。
【0004】
本発明による該トランス-ペリトリンの器官感覚受容性に関する研究は、この物質が、比較的持続性の高い、快適な唾液分泌誘発性および弱いヒリヒリした感覚的知覚を与えることを示した。驚いたことに、最終製品、例えば完成された調製物中の濃度が、20ppm以下、特に10ppm以下である場合には、唾液分泌誘発作用のみが観測可能である。この場合、付随的な感覚上の知覚は全く検出されず、従って香味プロフィールは極めて中立的である。この著しく中立的な香味プロフィールは、調製物への配合に関して、実質的な利点をなす。というのは、このトランス-ペリトリンが、該調製物の香味プロフィールに何の変化をも与えず、あるいはこれを改悪しないからである。
このことは、純粋状態にあるトランス-ペリトリンが、増進された唾液流をもたらすことに加えて、その賞味中に、舌に対して、焼けるような強烈な刺激をもたらすことがJ. Am. Chem. Soc., 1953, 75:2584-2586に記載されていることから、特に驚嘆すべきことである。その器官感覚受容性知覚も、支配的に麻酔性であるとして記載されていた(J. Agric. Food Chem., 1981, 第29巻、115頁以降、またはFitoterapia, 2001, 第72巻、197頁以降参照)。
天然産の純粋な2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドは、文献に広く記載されている。例えば、この物質は、胡椒中に見られる(G.M. Strunzによる概説、Stud. Nat. Prod. Chem., 2000, 24:638-738[生体活性天然物(パートE)])。
【0005】
トランス-ペリトリンを含有する天然物、例えば天然抽出物は、付随的な芳香特性を持ち、従って中立の香味プロフィールを持たない。このことは、しばしば調製物中に配合する際における、天然物の望ましからぬ特長の一つとなる。そのために、本発明においては、合成された、即ち合成トランス-ペリトリンの使用が好ましい。
本発明の特に好ましい一態様では、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドは、他の唾液分泌誘発性の、ピリピリ、ヒリヒリ、または香辛性の風味を持つ物質または植物抽出物との組合せで使用される。このようにして、意図した様式で、特に均整のとれた器官感覚受容性プロフィールを達成することが可能である。
他の唾液分泌誘発性の、ピリピリ、ヒリヒリ、または香辛性の風味を持つ物質は、例えば食用の酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸)、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ギンゲロール、パラドール(paradol)、シャガオール(shagaol)、ピペリン、カルボン酸-N-バニリルアミド、特にノナン酸-N-バニリルアミド、2-アルケン酸アミド、特に2-ノネン酸-N-イソブチルアミド、スピラントール(spilanthol)、2-ノネン酸-N-4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルアミド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアルコールのアルキルエーテル、特に4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル-n-ブチルエーテル、4-アシルオキシ-3-メトキシベンジルアルコールのアルキルエーテル、特に4-アシルオキシ-3-メトキシベンジル-n-ブチルエーテルおよび4-アシルオキシ-3-メトキシベンジル-n-ヘキシルエーテル、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコールのアルキルエーテル、3,4-ジメトキシベンジルアルコールのアルキルエーテル、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンジルアルコールのアルキルエーテル、3,4-メチレンジオキシベンジルアルコールのアルキルエーテル、(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)酢酸アミド、特に(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)酢酸-N-n-オクチルアミド、フェルラ酸フェネチルアミド、ニコチンアルデヒド、メチルニコチネート、プロピルニコチネート、2-ブトキシエチルニコチネート、ベンジルニコチネート、1-アセトキシカビコール、ポリゴジアール(polygodial)、イソドリメニノール(isodrimeninol)、またはピロカルピンであり得る。
【0006】
該トランス-ペリトリンは、有利には、デカン酸、2E-デセン酸、2E,4Z-デカジエン酸、2Z,4E-デカジエン酸、2Z,4Z-デカジエン酸、2E,4Z,7Z-デカトリエン酸、3Z,5E-デカジエン酸または3Z,5E,7Z-デカトリエン酸からなる群から選択される、少なくとも1種の追加のN-イソブチルアミドと共に使用できる。少なくとも80質量%の2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドと、多くとも20質量%の2E,4Z-デカジエン酸-N-イソブチルアミドとの混合物が好ましい。
唾液分泌誘発性の、ピリピリ、ヒリヒリ、および/または香辛性の風味を持つ植物抽出物は、唾液分泌誘発性の、ピリピリ、ヒリヒリ、および/または香辛性の器官感覚受容性知覚をもたらす、栄養素または口腔衛生のために適した、任意の植物抽出物であり得る。例えば、胡椒抽出物(ピパー(Piper) ssp.,特にピパーニグラム(Piper nigrum))、ヤナギタデ抽出物(ポリゴナム(Polygonum) ssp.,特にポリゴナムハイドロピパー(Polygonum hydropiper))、ネギ族植物抽出物(特に、タマネギおよびニンニク抽出物)、大根の抽出物(ラファヌス(Raphanus) ssp.)、ホースラディッシュ抽出物(コクレアリアアルモラシア(Cochlearia armoracia))、クロガラシの抽出物(ブラシカニグラ(Brassica nigra))、野生または黄色カラシの抽出物(シナピス(Sinapis) ssp.特にシナピスアルベンシス(Sinapis arvensis)およびシナピスアルバ(Sinapis alba))、ピレトリウム根の抽出物(Anacyclus ssp.特にAnacyclus pyrethrum L.)、キク科ムラサキオオハンゴンソウ族植物の抽出物(Echinaceae ssp.)、ゼチュアン(Szechuan)胡椒の抽出物(Zanthoxylum ssp. 特にZanthoxylum piperitum)、スピランテス族植物の抽出物(Spilanthes ssp. 特にSpilanthes acmella)、チリ抽出物(Capsicum ssp. 特にCapsicum frutescens)、パラダイス種子抽出物(Aframonum ssp. 特にAframonum melegueta [Rose] K. Schum.)、ショウガ抽出物(Zingiber ssp. 特にZingiber officinale)、コウリョウキョウ抽出物(Kaempferia galangaまたはAlpinia galangal)およびヤボランジ抽出物(Pilocarpus spp. 特にPilocarpus jaborandi)が、植物抽出物として好ましい。
【0007】
本発明による植物抽出物は、対応する新鮮なまたは乾燥した植物もしくは植物の一部、特にホワイト、グリーンまたはブラック乾燥胡椒の実、ヤナギタデ種子、タマネギおよびニンニク、ラディッシュの根、ホースラディッシュ、カラシ種子、ムラサキオオハンゴウソウの根、ピレトリウム根、ザントキシラム変種由来の植物部分、スピランテス変種由来の植物部分、チリの鞘、パラダイス種子またはショウガの根、並びにヤボランジから得ることができる。該乾燥した植物の部分は、好ましくは予め粉砕され、快適さを求めて消費される食物および製品にとって適した溶媒、好ましくはエタノール、水、ヘキサンまたはヘプタンもしくはエタノール/水混合物を用いて、0℃乃至各溶媒または溶媒混合物の沸点までの温度にて、従来通り抽出し、次いで濾過し、得られた濾液を、好ましくは蒸留、凍結乾燥または噴霧乾燥によって、完全にまたは部分的に濃縮する。このようにして得た原料抽出物を、次に一般には100Pa(0.01mbar)〜標準的圧力なる範囲の圧力下で、例えば蒸気によって処理し、および/または快適さを求めて消費される食物および製品にとって適した溶媒中に溶解する。
快適さを求めて消費される食物および製品にとって適した溶媒は、例えば水、エタノール、メタノール、プロピレングリコール、グリセロール、アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、トリアセチン、植物油または脂肪、並びに超臨界二酸化炭素または上記溶媒の混合物であり得る。
これまでに文献中に記載されているトランス-ペリトリンの合成法は、多段型の方法であり、また中程度乃至極めて低い収率を与え(J. Am. Chem. Soc. 1953, 75:2584-2586)あるいは例えば有毒な二酸化セレン等の有害な試薬を使用している(Bull. Chem. Soc. Jpn. 1984, 第57巻:3013頁以降)。
【0008】
従って、本発明は、また2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドの製法にも関連し、この方法は以下の工程を含むことを特徴とする:
a) 2E,4E-または2E,4Z-デカジエン酸エステルまたはこれらエステルの混合物を、触媒の存在下で、イソブチルアミンと反応させる工程、および
b) 上記工程a)において製造し、場合により精製工程を経た生成物を異性化して、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを得る工程を含むか、あるいは
i) 2E,4Z-デカジエン酸エステル、または2E,4E-および2E,4Z-デカジエン酸エステル混合物を、異性化して、2E,4E-デカジエン酸エステルを得、かつ
ii) 上記工程i)において製造し、場合により精製工程を経た生成物を、触媒の存在下で、イソブチルアミンと反応させる工程。
上記工程i)を省略し、2E,4E-デカジエン酸エステルを、イソブチルアミンとの反応に直接供給することも可能である。
該イソブチルアミンとの反応を、触媒、好ましくは酵素、特にリパーゼ活性を持つ酵素の存在下で行うことを特徴とする方法が有利であり、ここで該酵素は遊離タンパク質として、または担体と結合した状態で存在することができ、得られる反応混合物は、場合により好ましくは水性媒体中の酵素または水で希釈した塩基、特に好ましくは無機塩規制塩の水性溶液と共に、未反応の2,4-デカジエン酸エステルとの鹸化を行い、生成したこの2,4-デカジエン酸を、好ましくは抽出法により分離し、該精製されたまたは未精製の原料製品を、異性化して、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを得、およびこの混合物を次に物理化学的な方法、好ましくは結晶化、クロマトグラフィー、蒸留または同時蒸留によって精製する。
この方法は、以下の模式的な式を参照して、説明することができる:
【0009】
【化1】

【0010】
驚いたことに、本発明の方法が、容易に精製できる、所定の2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを、高い収率で極めて簡単に与えることを確認した。このように、芳香性物質を支配する規制の意味の範囲内にある天然試薬を使用する場合、天然のトランス-ペリトリンを得ることができる。
2E,4E-または2E,4Z-デカジエン酸エステルは、有利には1〜20個の炭素原子を持つ脂肪族一価アルコール、特にメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、1-トリデカノール、1-テトラデカノール、1-ペンタデカノール、1-ヘキサデカノール、1-ヘプタデカノール、1-オクタデカノール、1-ノナデカノール、1-エイコサノール等と、または2〜18個の炭素原子を持つ多価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール、例えばエリスリトール、ソルビトール、グルシトール、マニトール、単糖類、例えばエリスロースまたはトレオース等のテトロース、アラビノース、リボース、リキソース、キシロース等のペントース、アロース、アルトロース、ガラクトース、マンノース、グロース、イドース、グルコース、タロース、フルクトース等のヘキソース、オリゴ糖類、例えばマルトース、ラフィノース、スクロース、マルトオリゴ糖類またはラクトースと、2E,4E-または2E,4Z-デカジエン酸とのエステルである。ここで、該多価アルコールの更なるOH基は脂肪族飽和または不飽和カルボン酸、並びにその混合物または炭素原子数4〜20の飽和または不飽和ヒドロキシカルボン酸(その一部は、上記アルコールによりエステル化することが可能である)によってエステル化することができる。
【0011】
本発明の範囲内において有利な脂肪族飽和または不飽和カルボン酸は、炭素原子数2〜26の、飽和または一価または多価不飽和鎖状カルボン酸、特に酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、2E-ノネン酸、デカン酸、2E-デカン酸、デカジエン酸またはデカトリエン酸の様々な異性体、例えば2E,4E-デカジエン酸、2E,4Z-デカジエン酸、2E,4Z,7Z-デカトリエン酸、3Z,5E-デカジエン酸、3Z,5E,7Z-デカトリエン酸、デカ-2,8-ジエン-4,6-ジイン(diynoic)酸、デカ-2-エン-4,6,8-トリイン(triynoic)酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9E-または9Z-ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、9E-または9Z-または11E-または11Z-オクタデセン酸、9,12-オクタデカジエン酸、6,9,12-オクタデカトリエン酸、9,12,15-オクタデカトリエン酸、6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸の様々な幾何異性体、ノナデカン酸、エイコサン酸、様々なエイコサン酸、11,14-エイコサジエン酸、8,11,14-エイコサトリエン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、10,13,16-ドコサトリエン酸、7,10,13,16-ドコサテトラエン酸、4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸および4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸の様々な幾何異性体である。
本発明の範囲内にある2,4-デカジエン酸エステルは、好ましくは天然の、または例えばスチリンギア属植物の油から濃縮し、加工したトリグリセライド、またはメチルまたはエチルエステルとして存在し得る。該スチリンギア油を、エタノール中で酵素を用いたエステル交換反応にかけ、次いで蒸留することにより得られた画分が特に好ましく、このものは少なくとも80質量%のエチル-2E,4Z-デカジエノエートを含むことによって特徴付けられる。
【0012】
本発明の範囲内における異性化反応は、トランス-ペリトリンに相当しない該2,4-デカジエン酸のラジカルの、他の可能な幾何異性体(2E,4Z-、2Z,4Z-または2Z,4E-)が、それ自体公知の方法によって、該2E,4E-異性体に転化されることを意味する。該2E,4Z-異性体は、好ましくはヨウ素で処理することにより、あるいはUV-光(250〜320nmなる範囲内の波長を持つ)を照射することによって、2E,4E-異性体に転化される。この異性化反応は、2,4-デカジエン酸-N-イソブチルアミドまたは2,4-デカジエン酸エステルについて行うことができる。
本発明は、また有効量の2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドおよび場合により他の公知の塩基性物質、酸および食品および快適さを求めた製品に対する添加物とを含む、栄養物において使用されあるいは快適さを求めて消費される調製物をも提供するものである。これらの調製物は、一般に該調製物の全質量を基準として、0.000001質量%(0.01ppm)〜0.05質量%(500ppm)なる範囲の量、好ましくは0.00001質量%(0.1ppm)〜0.005質量%(50ppm)なる範囲の量、特に好ましくは0.00001質量%(0.1ppm)〜0.0015質量%(15ppm)なる範囲の量で、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含む。更に、公知の塩基性物質、酸および食品および快適さを求めた製品に対する添加物は、該調製物の全質量を基準として、0.000001〜99.999999質量%なる範囲の量、好ましくは10〜80質量%なる範囲の量で、添加することができる。これらの調製物は、更に該調製物の全質量を基準として、99.999999質量%までの量、好ましくは5〜80質量%なる範囲の量の水を含むことができる。
【0013】
本発明の範囲内における、栄養物において使用されあるいは快適さを求めて消費される調製物は、例えばベーカリー製品(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、他の焼いた製品)、菓子類(例えば、チョコレート、フルーツガム、ハードおよびソフトタフィー、チューインガム)、アルコール系またはノンアルコール系飲料(例えば、コーヒー、紅茶、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール類、スピリッツ、ブランデー、フルーツ含有炭酸飲料、等張性飲料、清涼飲料、ネクター、フルーツおよび野菜ジュース、フルーツおよび野菜ジュース調製物)、インスタント飲料、肉製品(例えば、ハム、フレッシュソーセージまたは未調理のソーセージ調製物)、卵または卵製品(例えば、乾燥した卵、卵白、卵黄)、穀物製品(例えば、朝食用の穀物製品、ミュエスリ(muesli)バー)、乳製品(例えば、ミルク飲料、アイスミルク、ヨーグルト、ケフィール、未熟成チーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥ミルク粉末、ホエー、バター、バターミルク)、フルーツ調製物(例えば、ジャム、フルーツアイス、フルーツソース)、野菜調製物(例えば、ケチャップ、ソース、乾燥野菜)、スナック物品(例えば、焼いたまたは揚げたポテトチップスまたはポテトドウ製品、トウモロコシまたはピーナッツを主成分とする押出し物)、油脂またはこれらのエマルションを主成分とする製品(例えば、マヨネーズ、レムラードソース、ドレッシング)、調製料理またはソース、スパイス、香辛料混合物並びに特に振掛けるための香辛料(調味料)(これらは、スナックの分野において使用される)等を含む。本発明の範囲内にある調製物は、また栄養物において使用されあるいは快適さを求めて消費される調製物を製造するための、半完成品としても役立つ。本発明の範囲内にある調製物は、カプセル、錠剤(非-被覆または被覆錠剤、例えば胃液に対して耐性の被覆を持つ錠剤)、ドラジェ、顆粒、ペレット、固体混合物、液相中の分散体、例えばエマルション、粉末、溶液、ペースト、または飲下すことのできる、または咀嚼可能な他の調製物として存在し得る。
【0014】
有効量の2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドおよび場合により他の公知の塩基性物質、酸およびこのような製品に対する添加物を含む、口腔衛生調製物、特に歯科ケア製品、例えば歯磨き用のペースト、ジェル、粉末、マウスウォッシュ、チューイングガム、およびその他の口腔ケア製品が、特に好ましい本発明の態様である。これらは、一般に該調製物の全質量を基準として、0.000001質量%(0.01ppm)〜0.05質量%(500ppm)なる範囲の量、好ましくは0.00001質量%(0.1ppm)〜0.005質量%(50ppm)なる範囲の量、特に好ましくは0.00001質量%(0.1ppm)〜0.0015質量%(15ppm)なる範囲の量で、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含む。更に、公知の塩基性物質、酸および該口腔衛生調製物に対する添加物を、該調製物の全質量を基準として、0.000001〜99.999999質量%なる範囲の量、好ましくは10〜80質量%なる範囲の量で含むことができる。これらの調製物は、更に該調製物の全質量を基準として、99.999999質量%までの量、好ましくは5〜80質量%なる範囲の量の水を含むことができる。
【0015】
2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含有する、歯科用のケア製品は、一般に例えば珪酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび/またはヒドロキシアパタイト等の研磨剤系(洗浄または研磨剤)、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウリルサルコシネートおよび/またはコカミドプロピルベタイン等の界面活性剤、例えばグリセロールおよび/またはソルバイト等の保湿剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、カラギーナンおよび/またはラポナイト(LaponitesTM)等の増量剤、サッカリン等の甘味料、安定剤および例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化錫(II)、四級フッ化アンモニウム、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ピロリン酸錫、塩化錫(II)、様々なピロリン酸の混合物、トリクロサン(triclosan)、塩化セチルピリジニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、過酸化水素、アロマ(aromas) および/または重炭酸ナトリウム等の活性成分からなる。
2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含有するチューイングガムは、一般にチューイングガムベース、即ち咀嚼中に可塑体となるチューイングマス(chewing mass)と、様々な型の糖、糖代用品、甘味料、糖アルコール、保湿剤、増量剤、乳化剤、アロマおよび安定化剤からなる。
【0016】
本発明による調製物は、またトウモロコシ粉、ポテト粉または米粉チップおよびスナックを食した際に見られる、ドライマウス(dry mouth)感を回避するための、および全体的な器官感覚受容性知覚を改善するための、振掛け用の香辛料、所謂調味料において使用することも好ましい。
適当な振掛け用の香辛料は、例えば合成、天然または天然-等価のアロマ物質並びに例えばマルトデキストリン等の担体物質、例えば食塩等の塩類、例えばパプリカおよびペッパー等のスパイス、例えばサッカリン等の甘味料、例えばモノナトリウムグルタメートおよび/またはイノシンモノホスフェート等の香味増強剤を包含する。
2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含有する本発明の調製物は、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを、溶媒を用いずに、溶液としてあるいは固体または液体担体物質との混合物として、栄養物または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物に配合するように、調製できる。有利には、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含有する、溶液状態にある本発明の調製物は、噴霧乾燥によって固体製品に転化することができる。
【0017】
これら調製物を製造するために、更に好ましい態様では、まず該2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドおよび本発明による調製物の他の随意の成分を、エマルション、例えばホスファチジルコリンから出発するリポソーム、ミクロスフェア、ナノスフェア、あるいはまた食品および快適さのために消費される製品に適した、澱粉、澱粉誘導体、他の多糖類、天然脂肪、天然ワックス等のマトリックスあるいはゼラチン等のタンパク質で作られたカプセルとして配合することも可能である。更なる態様は、まず2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドと適当な錯化剤、例えばシクロデキストリンまたはその誘導体、好ましくはシクロデキストリンとを錯化し、該有効成分をこの形で使用することからなる。
【0018】
本発明による栄養物において使用されあるいは快適さのために消費される調製物のその他の成分としては、更なる公知の塩基性物質、酸および食品および快適さのために消費される製品用の添加物を使用することができ、その例は、水、新鮮なまたは加工された植物または動物に基く基本成分即ち原料物質(例えば、生の、揚げた、乾燥した、醗酵させた、スモークしたおよび/またはボイルした肉、卵、骨、軟骨、魚、甲殻動物および貝類、野菜、フルーツ、ハーブ、ナッツ、野菜またはフルーツジュースまたはペースト、またはこれらの混合物)、消化性のまたは非-消化性の炭水化物(例えば、サッカロース、マルトース、フルクトース、グルコース、デキストリン、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、キシラン、セルロース)、糖アルコール(例えば、ソルバイト、マニトール、キシリトール)、天然または水添脂肪(例えば、タロウ、ラード、パーム油、ココナッツオイル、水添植物油)、脂肪油(例えば、ヒマワリ油、ピーナッツ油、コーン油、アザミ(thistle)油、オリーブ油、クルミ油、魚油、大豆油、ゴマ油)、脂肪酸またはその塩(例えば、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム)、タンパク起源のまたは非-タンパク起源のアミノ酸および関連化合物(例えば、タウリン、クレアチン、クレアチニン)、ペプチド、天然または加工タンパク質(例えば、ゼラチン)、酵素(例えば、ペプチダーゼ、グルコシダーゼ、リパーゼ)、核酸、ヌクレオチド(燐酸イノシトール)、香味調節物質(例えば、グルタミン酸一ナトリウム、2-フェノキシプロピオン酸)、乳化剤(例えば、レシチン、ジアシルグリセロール)、安定化剤(例えば、カラギーナン、アルギネート、イナゴマメ粉末、グアーガム)、保存料(例えば、安息香酸、ソルビン酸)、酸化防止剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸)、キレート化剤(例えば、クエン酸)、有機または無機酸性化剤(例えば、リンゴ酸、エタン酸、クエン酸、酒石酸、リン酸)、苦味物質(例えば、キニン、カフェイン、リモニン)、甘味料(例えば、サッカリン、シクラメート、アスパルタム、ネオタム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム)、酵素の褐変を防止するための物質(例えば、スルフィット、アスコルビン酸)、精油、植物抽出物、天然または合成着色料、または有色顔料(例えば、カロチノイド、フラボノイド、アントシアン、クロロフィルおよびこれらの誘導体)、スパイスおよび臭い物質、合成、天然または天然-等価アロマおよび香味物質等を使用することができる。
【0019】
本発明の調製物は、また好ましくはこの調製物の風味および/または臭いを、まろやかにし、あるいは改善するためにアロマ組成物を含むこともできる。適当なアロマ組成物は、例えば合成または天然の、あるいは天然-等価アロマ物質並びに臭い物質、特にその他の唾液分泌誘発性の、ピリピリ、ヒリヒリ、または香辛性の風味を持つ物質または植物抽出物を含む。
本発明は、また半完成品であって、これから完成品として製造される調製物に、芳香性を付与するための、該半完成品としての、該本発明の調製物の使用法をも提供する。
本発明は、また2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含有する、臭い、アロマおよび香味物質の組成物をも提供する。これらの組成物は、一般に該組成物の全質量を基準として、0.001〜5質量%なる範囲の量、好ましくは0.01〜2質量%なる範囲の量、特に好ましくは0.05〜1質量%なる範囲の量で、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを含む。
【実施例】
【0020】
本発明は、以下に記載する実施例を参照して、説明することができる。
実施例1:エチル-2E,4Z-デカジエノエートを用いた酵素反応、異性化反応による、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミド(トランス-ペリトリン)の製造
イソブチルアミンとの反応
10gのエチル-2E,4Z-デカジエノエート、4.7gのキラジム(Chirazym) L-2(スイス、バスルのロッシュディアグノスティック(Roche Diagnostics)c.-f, C2, lyo., カタログNo. 1859242)および4gのイソブチルアミンを、55℃にて四日間撹拌した。100mlのジエチルエーテルを、このバッチに添加し、次いで濾過し、濾液を真空下で蒸発させた(粗収量15.2g)。この生成物を、室温にて45分間、10% KOH/メタノール(1:1混合物)中で撹拌し、エーテルで抽出し、得られるエーテル層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、得られた濾液を真空下で蒸発させた。この粗中間生成物を、シリカゲル60上でクロマトグラフィー処理した(溶出液:10:1(v/v) ヘキサン/酢酸エチル)。収量9.1g(GC:99.4%)。
1H-NMR (CDCl3: 200 MHz): δ= 7.56 (1H, ddd, 11.5Hz, 14.9Hz, 1.0Hz), 6.08 (1H, dddd, 11.5Hz, 10.8Hz, 1.4Hz, 0.6Hz), 5.82 (1H, d, 14.9Hz), 5.79 (1H, dtd, 10.8Hz, 7.8Hz, 0.9Hz), 5.50 (1H, bs), 3.18 (2H, dd, 6.8Hz, 6.1Hz), 2.36-2.22 (2H, m), 1.81 (1H, m, 6.7Hz), 1.50-1.22 (6H, m), 0.93 (6H, d, 6.7Hz), 0.88 (3H, m) ppm.
13C-NMR (CDCl3: 50 MHz): δ= 166.34 (C), 140.07 (CH), 135.76 (CH), 126.28 (CH), 123.78 (CH), 46.96 (CH2), 31.41 (CH2), 29.14 (CH2), 28.63 (CH), 28.15 (CH2), 22.52 (CH2), 20.15 (CH3), 14.02 (CH3) ppm.
【0021】
異性化
277mgの精製した上記の2E,4Z-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを、29mgのヨウ素と共に、10mlのトルエン中で、室温にて1時間撹拌した。この混合物を、シリカゲル60上でクロマトグラフィー処理した(溶出液:5:1(v/v) ヘキサン/酢酸エチル)。収量:61mg (純度>95%, NMR)。
1H-NMR (CDCl3: 200 MHz): δ= 7.19 (1H, dd, 14.9Hz, 9.7Hz), 6.13 (1H, dd, 15.1Hz, 9.6Hz), 6.07 (1H, dd, 15.1Hz, 6.4Hz), 5.75 (1H, d, 14.9Hz), 5.50 (1H, bs), 3.17 (2H, dd, 6.9Hz, 6.1Hz), 2.14 (2H, dd, 7Hz, 6.4Hz), 1.80 (1H, m, 6.7Hz), 1.42 (2H, m, 7.1Hz), 1.37-1.22 (4H, m), 0.93 (6H, d, 6.7Hz), 0.89 (3H, m) ppm.
異性化変法1
60mgのヨウ素を、20mlのトルエン中で、上記イソブチルアミンとの反応により得た粗中間生成物3.1gに添加し、得られる混合物を室温にて26時間撹拌した。30mlのn-ヘキサンを添加し、得られる混合物を、約18℃にて1時間保存した。生成する結晶生成物を濾別した(GC:86%の2E,4E-異性体、10.5%の2E,4Z-異性体)。約30mlのn-ヘキサンから再結晶化することにより、純度95%の生成物を得ることができた(収量:1.6g)。
【0022】
異性化変法2
3.1gの上記イソブチルアミンとの反応により得た粗中間生成物を、100mlのエタノールに溶解し、冷却しつつ、8時間、石英ガラス管を備えた水銀蒸気高圧ランプの光を照射した。得られた溶液を蒸発させ、油状の残渣(GC: 22%の2E,4E-異性体、62%の2E,4Z-異性体)を、クロマトグラフィーにより精製した(収量:約400mg)。
実施例2:賞味
このトランス-ペリトリンをエタノールに溶解し、このエタノール溶液を、次に11質量%の砂糖溶液で希釈した(最終濃度:c)。賞味のために、約5mlのこの砂糖溶液を、各場合において飲用した。6〜8名の吟味者からなるグループにより、該溶液をテストした。
c=10ppm:唾液分泌誘発性で、僅かにピリピリした知覚を与えるが、ヒリヒリ感はない;
c=20ppm:唾液分泌誘発性で、幾分麻酔性を持ち、僅かに脂肪性を示し、微かな果実様の風味を持ち、ピリピリ感を与え、持続性を持つが、ヒリヒリ感はない。
実施例3:練り歯磨きにおける使用

【0023】
【表1】

【0024】
上記部分AおよびBの成分を、夫々予備混合し、次いで一緒に25-30℃にて30分間、減圧下で十分に撹拌した。部分Cを予備混合し、上記部分AおよびBに添加した。これにDを添加し、得られた混合物を、25-30℃にて30分間、減圧下で十分に撹拌した。減圧の解除後に、得られた練り歯磨きが完成し、これは充填可能である。
実施例4:砂糖を含まないチューイングガムにおける使用
【0025】
【表2】

【0026】
部分A〜Dを混合し、かつ強力に混練した。この原料塊は、直に使用できるチューイングガム、例えば薄いストリップ形状に加工することができる。
実施例5:マウスウォッシュにおける使用


【0027】
【表3】

【0028】
上記部分AおよびBの成分を夫々別々に混合する。部分Bを、部分Aに、得られる混合物が均一になるまで、徐々に導入する。
実施例6:揚げたスナック食品に振掛けるための香辛料における使用
100gの調味されていないトルティーヤに、7gのスナック用の乾燥チーズアロマと0.07gの2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドとの混合物を振掛ける。
実施例7:ビスケット用のクリーム充填物における使用
100gの標準的なクリーム充填物を、0.4gのストロベリーアロマおよび0.1gの2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドと共に強力に混合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養素または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物における、芳香性成分、特に唾液分泌誘発作用を持つ芳香性成分としての、2E,4E-デカジエン酸イソブチルアミド(トランス-ペリトリン)の使用。
【請求項2】
前記トランス-ペリトリンを、最終調製物に対して、0.01〜500ppmなる範囲の量で使用する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
トランス-ペリトリンを含むことを特徴とする、栄養素または口腔衛生のために使用され、あるいは快適性を求めて消費される調製物、並びに香気、芳香および香味物質の組成物。
【請求項4】
前記トランス-ペリトリンを、最終調製物に対して、0.01〜500ppmなる範囲の量で含有する、請求項3記載の調製物。
【請求項5】
少なくとも1種の、追加の唾液分泌誘発性の、ヒリヒリ、ピリピリ、または香辛性の風味を持つ物質を含む、請求項3または4記載の調製物。
【請求項6】
少なくとも1種の唾液分泌誘発性の、ヒリヒリ、ピリピリ、または香辛性の風味を持つ植物抽出物を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項7】
前記トランス-ペリトリンを、0.001〜5質量%なる範囲の量で含有する、請求項3記載の組成物。
【請求項8】
前記トランス-ペリトリンが、合成されたものである、請求項3〜7のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項9】
2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドの製法であって、
a) 2E,4E-または2E,4Z-デカジエン酸エステルまたはこれらエステルの混合物を、触媒の存在下で、イソブチルアミンと反応させる工程、および
b) 上記工程a)において製造し、場合により精製工程を経た生成物を異性化して、2E,4E-デカジエン酸-N-イソブチルアミドを得る工程を含むか、あるいは
i) 2E,4Z-デカジエン酸エステル、または2E,4E-および2E,4Z-デカジエン酸エステル混合物を、異性化して、2E,4E-デカジエン酸エステルを得、かつ
ii) 上記工程i)において製造し、場合により精製工程を経た生成物を、触媒の存在下で、イソブチルアミンと反応させる工程、
を含むことを特徴とする、上記製法。

【公表番号】特表2006−506479(P2006−506479A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551009(P2004−551009)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012686
【国際公開番号】WO2004/043906
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(591278585)ジムリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディットゲゼルシャフト (14)
【Fターム(参考)】