説明

芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂における難燃剤としてのジホスフィンの誘導体

本発明は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂における難燃剤としてのジホスフィンの特定の誘導体の使用に、及びジホスフィンの特定の誘導体を取り込んだ芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂を含有する有機材料の難燃性を値ゲンするための方法に関する。さらに、本発明は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂自体を含有する、又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂に対して、1〜35質量%の量で少なくとも1つのジホスフィンの誘導体を、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂から加工した及び芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中に組み込まれた、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂における難燃剤としてのジホスフィンの特定の誘導体の使用に、及びジホスフィンの特定の誘導体を取り込んだ芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂を含有する有機材料の難燃性を低減するための方法に関する。さらに、本発明は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂自体を含有する、又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂に対して、1〜35質量%の量で少なくとも1つのジホスフィンの誘導体を、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂から加工した及び芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中に組み込まれた、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
難燃剤は、有機材料、例えば木、主にフレーム材、紙、板紙、織物、可燃性液体、及び特にポリマー材料のための所望の特性である。いくつかの適用において、難燃剤は、例えば、飛行機及び自動車両構造のための構造材料における、及び公共交通車両のための、人類及び材料資産に対する危険性によって最優先される。電子適用において、難燃性は、その構成成分が、局在的な高温及び電気火花を生じうるために必要である。従って、高レベルの火炎/燃焼保護を要求する。
【0003】
従って、有機材料中に、特に芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中に難燃剤を組み込むことが習慣的である。
【0004】
今日の難燃剤市場は、化学的及び/又は物理的手法によって燃焼プロセスを干渉する作用がある生成物からなる。機械的に、それらの難燃剤は、ガス相、凝縮相、又は双方における物品の燃焼中に作用することが提案されている。
【0005】
従って市販の多く使用されている最も通常の難燃剤は、ハロゲン含有化合物、例えばテトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルエタン、臭素化カーボネートオリゴマー、臭素化エポキシオリゴマー及びポリ(ブロモスチレン)である。オルガンハロゲンは、ガス相中で、ポリマー基材からの遊離基有機"燃料"と干渉するハロゲン種(例えばHY)を生じるために提案される。
【0006】
一般に、ハロゲン含有難燃剤、例えば前記で挙げられたものは、安全性及び効果があると見なされている。しかしながら、それらは、ハロゲンを含有しない燃焼を遅延する物質を使用することの興味が増加している。難燃性の要求を満たすことができ、かつ現在使用されているハロゲン化材料で提供されているのと同様の又はより良い特性、例えば機械的特性、靱性、耐溶剤性又は防湿性等を示すことができるそれらの化合物を備えた材料が所望される。
【0007】
多くの異なるアプローチは、Journal of Fire Sciences 24, 345−364, 2006; Journal of Fire Sciences 22, 251−264, 2004; Polymer International 54, 1 1−35, 2005及びPolymer International 54,981−998,2005において記載されている、ハロゲンを使用しない難燃性有機ポリマーに対して研究されている。
【0008】
有機ポリマー材料中でハロゲンを使用しない難燃剤への1つの一般的なアプローチは、燐を基礎とした難燃剤の使用である。エポキシ系において、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナトレン(DOPO)の使用がよく確立されている。さらに、ジアルキルホスフィン酸に種々の塩の使用は、Exolit(登録商標) OPシリーズ下のClariantによって促進されている。
【0009】
Medsker、II et al.は、US 5,436,280において、ビニルモノマーの重合において光開始剤及び連鎖移動剤として機能しうるビニルモノマーを含有する他の有機物におけるビ(ホスフィンオキシド)及びビ(ホスフィンスルフィド)の使用を記載している。芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中での難燃剤として式I及びIIの化合物の使用は、記載されていない。
【0010】
T. Uozumi et al.は、JP−A 2004−75729において、ポリカーボネート及びポリスチレン中で難燃剤としてテトラフェニルジホスフィンモノオキシド及びテトラフェニルジホスフィンジオキシドの使用を記載している。他の有機材料、例えばエポキシ樹脂中でのそれらの難燃剤の使用が記載されている。芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中での式I及びIIの化合物の使用は、記載されていない。
【0011】
本発明の目的は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂において適用されることができ、かつ効果的で経済的であり、かつ公知のシステムの欠点を示さない、ハロゲンを含有しない難燃剤を提供することである。ハロゲン化難燃剤の典型的な欠点は、例えば退色問題、再利用中の問題(再利用プロセス中の有毒な副産物の発生;waste electrical and electronic equipment(WEEE)宣言は、注意すべき、かつ耐年数の終わりで別々に処理されるべき臭素を含有する全ての材料を要求する)であり、ハロゲン化難燃剤(FR)は、典型的に、毒性並びに環境、健康及び安全性(EHS)問題も導く、相乗剤、例えば酸化アンチモン、又はボレートと共に使用される。さらに、大衆消費電子製品は、しばしば、ハロゲンを有さない製品を要求する環境レベル(Blue Angel等)を要求する。
【0012】
ジホスフィンの特定の誘導体が、それらを備えた材料に、良好な難燃性を付与することが見出されている。
【0013】
従って、本発明は、式I又はIIの少なくとも1つのジホスフィン、又は双方の混合物
【化1】

[式中、
1〜R4は、独立して、置換及び/又は非置換のC6〜C12−アリール、置換及び/又は非置換のC6〜C12−アリールチオ並びに置換及び/又は非置換のC6〜C12−アリールオキシの群から選択され、
Xは、独立して、酸素及び硫黄から選択される元素であり、かつ
nは、0、1又は2であり、nが2である場合にXが硫黄のみであり、かつR1〜R4がC6〜C12−アリールオキシである場合にnは0のみである]の、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂含有材料における難燃剤としての使用に関する。
【0014】
本発明の観点から、難燃剤は、難燃剤を備えた基材の易燃性を低減する物質であるべきと解される。それらは、難燃性材料の熱応力による分解に対する耐性を高めることによって、及び/又は難燃性材料への引火源の広がりを防止し、従って炎の広がりを防止し、遅延し又は阻害することによって、炎の出発相中に活性がある。
【0015】
式I及びIIにおけるR1〜R4に関するC6〜C12−アリールは、フェニル、ビフェニル又はナフチルを言う。アリール基は、未置換であるか、又は1〜3置換される。適した置換基は、ヒドロキシ、NO2、C1〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル又はtert−ブチル、C1〜C4−アルコキシ、フェニル、ビフェニル、ナフチル、NRab、CORa、COORa及びCONRabを含み、それぞれRa及びRbは、独立して、H及びC1〜C4−アルキルから選択される。有利には、アリールは未置換である。
【0016】
式I及びIIにおけるR1〜R4に関するC6〜C12−アルコキシは、酸素原子を介して結合する前記のようなC6〜C12−アリールである。1つの例は、フェノキシである。
【0017】
6〜C12−アリールチオは、硫黄原子を介して結合する前記のようなC6〜C12−アリールである。1つの例は、フェニルチオである。
【0018】
式I及び/又はIIの化合物の本発明による使用に関して、それぞれの場合に、それら自体で又は互いに組み合わせて以下に記載の実施態様が好ましい。
【0019】
好ましい式I及びIIにおいて、それぞれのR1は、独立して、C6〜C12−アリールからなる群から選択される。より好ましくは、それぞれのR1は、置換又は未置換のフェニル、ビフェニル又はナフチルである。有利には、C6〜C12−アリールは、未置換であり、すなわち、未置換のフェニル、未置換のビフェニル又は未置換のナフチルである。
【0020】
特に、式I及びIIにおいて、全ての基R1は、同様の意味を有する。
【0021】
好ましい一実施態様において、R1〜R4は、アリール基である。特に好ましい一実施態様において、式Iの化合物は、R1〜R4フェニル基として含む。
【0022】
X=O及びn=0である式Iの化合物は、テトラフェニルジホスフィンモノオキシドの製造のための公知の方法に従って、例えば、J. Chem. Soc. 1965, 3500; Zh. Obshch. Khim. 1979, 49, 2418(参照をもって本発明に完全に組み込まれたものとする)において記載されるように製造されうる。適した方法は、例えば、式
【化2】

[式中、Rはアルキル基である]で表される、ジアリールハロゲノホスフィンと、ジアリールアルコキシホスフィンとの反応である。前記反応は、一般に、適した溶剤中で又は溶剤を使用しないで実施される。適した溶剤は、アクリルエーテル、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル等、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン、並びに非プロトン性芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン又はキシレンである。液体ジアリールアルコキシホスフィンの過剰量の存在での生成物の製造が好ましい。ジアリールハロゲノホスフィン及びジアリールアルコキシホスフィンは、有利には、0.5:1〜1:5、より有利には0.8:1〜1:3、さらにより有利には0.9:1〜1:2.6のモル比で使用される。その反応温度は、有利には0〜150℃又は20〜130℃である。反応の完了後に、反応混合物は、一般に溶剤を使用せず、かつ例えば溶剤の濾過及び蒸発によって未反応の出発材料がない。得られた生成物は、それ自体使用されることができるか、又はさらに精製されうる。精製を、公知の方法によって、例えば非溶剤での残りの洗浄又は消化によって、又は再結晶化によって実施することができ、後者が好ましい。再結晶は、適した溶剤中で、一般に高温で、例えば混合物の沸点で実施される。適した溶剤は、空気の不在下で非プロトン又はプロトンである。例えば、芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン、脂環式溶剤、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサン、及びカルボン酸誘導体、例えばエチルアセテート、エチルプロピオネート又はプロピルアセテート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水又はそれらの混合物である。有利には、芳香族溶剤は、特にトルエンが使用される。
【0023】
X=S及びn=0又は1である式I及びIIの化合物は、M. Gruber et al.によるChem. Ber. 1990, 123, 1313−1317において、T.R. Hopkins et al.によるAmer. Chem. Soc. 1956, 78, 4447−4450において、M.G. Zimin et al.によるZhournal Obschei Khimii.1980, 50, 1 , 24−30において、W. Kuchen et al.によるChem. Ber. 1958, 91 , 2871−2877において、及びJ.McKechnie et al.によるJ. Chem. Soc, 1965, 3500−3501において記載されているような公知の方法に従って製造されうる。
【0024】
本発明の用語において、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂又はエポキシ複合材又はエポキシブレンドは、エポキシ基を有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物を含む。それらの芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物は、部分式(A)
【化3】

の少なくとも2つのエポキシ基が存在し、炭素、酸素、窒素又は硫黄原子に直接結合し、かつR2が水素又はメチルを示す、多官能価エポキシド化合物を含んでよい。
【0025】
多官能価芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシド化合物の例は以下である:
I)分子中で少なくとも2つのカルボキシル基を有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシド化合物と、エピクロロヒドリン及び/又はグリセロールジクロロヒドリン及び/又はβ−メチルエピクロロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエステル及びポリ(β−メチルグリシジル)エステル。前記反応は、塩基の存在で実施される。分子中で少なくとも2つのカルボキシル基を有する、適した芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物は、フタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸及びピロメリト酸である。
II)少なくとも2つの遊離フェノールヒドロキシル基を有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族化合物と、好適に置換されたエピヒドロクロリンとの、アルカリ条件下での、又は酸触媒の存在、続いてアルカリ条件下での処理で、反応することによって得られる、ポリグリシジルエーテル又はポリ(β−メチルグリシジル)エーテル。
このタイプのエーテルは、例えば、単核フェノール、例えばレゾルシノール又はヒドロキノンから由来し、又はそれらは、多核フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェノール)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンもしくは4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンに、又は酸性条件下で得られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物、例えばフェノールNovolak(登録商標)に基づく。
III)エピクロロヒドリンと少なくとも2つのアミノ水素原子を有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族アミンとの反応生成物を脱塩酸することによって得られるポリ(N−グリシジル)化合物。これらのアミンは、例えばアニリン、トルイジン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシレンジアミン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタン、及びN,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール又はN,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノールでもある。
IV)ポリ(S−グリシジル)化合物、例えば芳香族及び/又はヘテロ芳香族ジチオールから由来するジ−S−グリシジル誘導体、例えばビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル。
【0026】
多官能価芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシド化合物は公知である。それらの多くは、Huntsman Advanced Materials社(商標名Araldite(登録商標))、Dow Chemicals社(商標名DER(登録商標))、Mitsubishi Gas Chemical Company社(商標名Tetrad(登録商標))、Shell社(商標名Cardura(登録商標))並びにHexion Specialty Chemicals社(Hexion(登録商標)、Tactix(登録商標)、Epon(登録商標)及びEpikot(登録商標))から市販されている。適した多官能価エポキシドの例は以下である:
a)液体ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばARALDITE(登録商標)GY 240、ARALDITE(登録商標)GY 250、ARALDITE(登録商標)GY 260、ARALDITE(登録商標)GY 266、ARALDITE(登録商標)LY 1556、ARALDITE(登録商標)GY 2600、ARALDITE(登録商標)MY 790、DER(登録商標)332、DER(登録商標)331 、Hexion(登録商標)EPR 158、Tactix(登録商標)123、Tactix(登録商標)138、Epon(登録商標)826;
b)固体ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばARALDITE(登録商標)GT 6071 、ARALDITE(登録商標)GT 7071、ARALDITE(登録商標)GT 7072、ARALDITE(登録商標)GT 6063、ARALDITE(登録商標)GT 7203、ARALDITE(登録商標)GT 6064、ARALDITE(登録商標)GT 7304、ARALDITE(登録商標)GT 7004、ARALDITE(登録商標)GT 6084、ARALDITE GT(登録商標)1999、ARALDITE(登録商標)GT 7077、ARALDITE(登録商標)GT 6097、ARALDITE(登録商標)GT 7097、ARALDITE GT(登録商標)7008、ARALDITE(登録商標)GT 6099、ARALDITE(登録商標)GT 6608、ARALDITE(登録商標)GT 6609、ARALDITE(登録商標)GT 6610、ARALDITE(登録商標)CT 200、ARALDITE(登録商標)6100 ES、Epikote(登録商標)1001 、Epikote(登録商標)109、DER(登録商標)661 、DER(登録商標)667、DER(登録商標)668、DLS 1065 ES;
c)液体ビスフェノールFジグリシジルエーテル、例えばARALDITE(登録商標)GY 281 、ARALDITE(登録商標)GY 282、ARALDITE(登録商標)PY 302、ARALDITE(登録商標)PY 306;
d)テトラフェニルエタンの固体ポリグリシジルエーテル、例えばCG Epoxy Resin 0163;
e)フェノール−ホルムアルデヒドNovolak(登録商標)の固体及び液体ポリグリシジルエーテル、例えばEPN 1 138、EPN 1 139、GY 1180、PY 307、Epon(登録商標)828、Tactix(登録商標)556;
f)o−クレゾール−ホルムアルデヒドNOVOLAKの固体及び液体ポリグリシジルエーテル、例えばECN 1235、ECN 1273、ECN 1280、ECN 1299;
g)カルボン酸の液体グリシジルエーテル、例えばShell Cardura(登録商標)E terephthalic ester、trimellitic ester、ARALDITE(登録商標)PY 284;
h)固体ヘテロ環状エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)、例えばARALDITE(登録商標)PT 810;
i)p−アミノフェノールの液体N,N,O−トリグリシジルエーテル、例えばARALDITE(登録商標)MY 0510;
j)テトラグリシジル−4,4’−メチレンベンズアミン又はN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、例えばARALDITE(登録商標)MY 720、ARALDITE(登録商標)MY 721
k)m−キシリデンジアミンのテトラグリシジル−誘導体、例えばTetrad(登録商標)−X
l)1,1,2,−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのトリグリシジル−誘導体、例えばTactix(登録商標)742。
【0027】
所望の場合に、種々の構造の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ化合物の混合物も使用することができる。
【0028】
適した多官能価芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシド化合物は、有利には、式
【化4】

の少なくとも2つの基を含む。
【0029】
構成成分としては、次の化合物のタイプ、及び/又はそれらの混合物
【化5】

[式中、X1、X2及びX3は、非置換又は置換されうるフェニレン又はナフチレンであり、かつX2は、さらに、非置換又は部分式
【化6】

の置換された基である]が特に好ましい。
【0030】
前記遊離基に関して適した置換基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−S(=O)=、−S(O2)−、−C(CF32−、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、アルコキシ、アリールオキシ又はハロゲンである。同一又は異なる置換基が、2回以上存在してよいのに対して、置換基自体は、同様にさらに置換されていてよい。
【0031】
適したアルキル基の例は、C1〜C18アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシル、及びそれらの分枝鎖状異性体である。
【0032】
可能なアルキレン及びアルコキシ基は、さらにハロゲン原子を取り除くことによって、又はそれぞれ酸素原子を付加することによって、前記アルキル基から形式的に由来されうる。
【0033】
適したアリール基の例は、炭素原子6〜20個を有するもの、例えばフェニレン、ビフェニレン又はナフチレンである。
【0034】
可能なアリーレン及びアリールオキシ基は、さらにハロゲン原子を取り除くことによって、又はそれぞれ酸素原子を付加することによって、前記アリール基から形式的に由来されうる。
【0035】
以下の式の遊離基が好ましい:
1に関して:
【化7】

2に関して:
【化8】

3に関して:
【化9】

[式中、
1は、直接結合又は基−O−、−S−又は−C(=O)−O−であり、
2は、直接結合又は基−SO2−、−CO−、−S−、−SO−、CH2−、−C(CH32−又は−C(CF32−であり、
nは1〜10である]。
【0036】
芳香族基は、前記でより詳細に記載されているように、未置換か、又はアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ又はハロゲンによって1回以上置換される。
【0037】
次の化合物が特に好ましい:
【化10−1】

【化10−2】

【0038】
好ましい一実施態様によって、硬化剤成分は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物中に、又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物及びさらに重合可能なモノマーを含む組成物中で存在してよい。適した硬化剤化合物は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂のためのあらゆる公知の硬化剤である。アミン及び無水硬化剤、例えば、ポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタンジアミン、N−アミノエチル−ピペラジン、ジアミノジフェニルメタン[DDM]、DDMのアルキル置換誘導体、イソ−ホロンジアミン[IPD]、ジアミノジフェニルスルホン[DDS]、4,4’−メチレンジアニリン[MDA]、もしくは1,6−ヘキサメチレン−ビス−シアノグアニジン、又は酸無水物、例えばドデカニルコハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸無水物、及びそれらの誘導体が特に好ましい。
【0039】
本発明の他の目的は、b)少なくとも1つの芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂、及び/又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂含有材料、並びにa)少なくとも1つの式I及び/又はIIのジホスフィンを含有する、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物である。
【0040】
化合物a)及びb)の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物は、さらに従来の添加剤を含有してよい。
【0041】
適した従来の添加剤は、抗酸化剤、UV吸収剤/光安定剤、金属不活性剤、静電防止剤、補強剤、充填剤、殺菌剤、潤滑剤、乳化剤、着色剤、顔料、レオロジー添加剤、離型剤、触媒、流量調整剤、蛍光増白剤、さらなる難燃剤(本発明の環状又はポリマーホスフィンとは異なる)、滴下防止剤(antidripping agent)及び膨張剤を含む。
【0042】
場合により使用される酸化防止剤、光安定剤及び金属不活性剤は、高いミグレーション堅牢性(migration fastness)及び耐熱性を有する。適した酸化防止剤、UV吸収/光安定剤、及び金属不活性剤は、例えば、a)〜r)の群から選択される。群a)〜g)及びi)の化合物は、UV吸収材/光安定剤を示す一方、群j)〜r)の化合物は、特に安定剤として作用し、かつ群s)は、耐衝撃性改良剤として機械的特性を改良する他の添加剤を示す:
a)4,4−ジアリールブタジエン、
b)ケイ皮酸エステル、
c)ベンゾトリアゾール、
d)ヒドロキシベンゾフェノン、
e)ジフェニルシアノアクリレート、
f)シュウ酸ジアミド、
g)2−フェニル−1,3,5−トリアジン、
h)酸化防止剤、
i)立体ヒンダードアミン
j)金属不活性剤、
k)ホスフィット及びホスホナイト、
l)ヒドロキシルアミン、
m)ニトロン、
n)アミンオキシド、
o)ベンゾフラノン及びインドリノン、
p)チオ相乗剤、
q)ペルオキシド捕捉剤、
r)塩基補助安定剤、
s)耐衝撃性改良剤。
【0043】
4,4−ジアリールブタジエンの群a)は、例えば式Aの化合物を含む。
【化11】

前記化合物は、EP−A−916 335から公知である。置換基R10及び/又はR11は、有利には、C1〜C8アルキル及びC5〜C8シクロアルキルである。
【0044】
ケイ皮酸エステルの群b)は、例えば、イソアミル4−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、メチルα−メトキシカルボニルシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、及びメチルα−メトキシカルボニル−p−メトキシシンナメートである。
【0045】
ベンゾトリアゾールの群c)は、例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシルl−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300でのエステル化の生成物;[R−CH2CH2−COO(CH232、式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル、並びにそれらの混合物を含む。
【0046】
ヒドロキシベンゾフェノンの群d)は、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(n−オクチルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及びそのナトリウム塩、並びに2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−二スルホン酸及びそのナトリウム塩を含む。
【0047】
ジフェニルシアノアクリレートの群e)は、例えば、例えば商標名Uvinul(登録商標)3035(BASF SE社製、Ludwigshafen、Germany)から市販されているエチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、例えば商標名Uvinul(登録商標)3039(BASF SE社製、Ludwigshafen)から市販されている2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、例えば商標名Uvinul(登録商標)3030(BASF SE社製、Ludwigshafen)から市販されている1,3−ビス[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス{[2’−シアノ−3’,3’−ジフェニル−アクリロイル)オキシ]メチル}プロパンを含む。
【0048】
オキサミド(シュウ酸ジアミド)の群f)は、例えば4,4’−ジオクチルオキシ−オキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキサニリド及び2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブチルオキサニリドとの混合物、並びにオルト−、パラ−メトキシ−ニ置換オキサニリドの混合物、並びにオルト−及びパラ−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物を含む。
【0049】
2−フェニル−1,3,5−トリアジンの群g)は、例えば2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス−(2、4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリ−デシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、及び2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンを含む。
【0050】
酸化防止剤の群h)は、例えば以下を含む:
h.1) アルキル化ものフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチル−フェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチル−フェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、分枝鎖状でない又は側鎖が分枝鎖状のノニルフェノール、例えば、2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデカ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデカ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデカ−1−イル)フェノール、及びそれらの混合物
h.2) アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチル−フェノール及び2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール
h.3) ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミル−ヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、及びビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート
h.4) トコフェロール、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、及びそれらの混合物(ビタミンE)
h.5) ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチル−フェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミル−フェノール)、及び4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド
h.6) アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチル−ベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)−ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)ペンタン
h.7) ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−ジベンジルエーテル、オクタデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルエベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)アミン、1,3,5−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルメルカプトアセテート、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジオクタデシルエステル、及び3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチルエステル、カルシウム塩
h.8) ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ−tertブチル−2−ヒドロキシベンジルベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、及びビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート
h.9) ヒドロキシベンジル芳香族化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、及び2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)フェノール
h.10) トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、及び1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
h.11) ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート、ジエチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート(ジエチル(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチルホスホネート)、ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、及びモノエチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートのカルシウム塩
h.12) アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシ−ステアラニリド、2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン、及びオクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート
h.13) β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価アルコール又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソ−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレンブリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシル−エチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンとのエステル
h.14) β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、一価アルコール又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソ−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレンブリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシル−エチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンとのエステル
h.15) β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価アルコール又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソ−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレンブリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシル−エチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンとのエステル
h.16) 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、一価アルコール又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソ−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレンブリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス−(ヒドロキシル−エチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタンとのエステル
h.17) β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル)ヘキサメチレン−ジアミン、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル)トリメチレン−ジアミン、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル)ヒドラジン、N、N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(例えば、Naugard(登録商標)XL−1(Uniroyal社製))
h.18) アスコルビン酸(ビタミンC)
h.19) アンモニア系酸化防止剤、例えば、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレン−ジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N、N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリル−ジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)−アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニル−メタン、4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン,1,2−ビス(フェニルアミノ)−プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノアルキル化及びジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシル−ジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化及びジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化tert−オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレン−ジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)セバセート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−オール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとのジメチルスクシネートポリマー[CAS番号65447−77−0]、(例えばTinuvin(登録商標)622、Ciba Specialty Chemicals社製、Switzerland)、2,2,4、4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オンとエピクロロヒドリンのポリマー[CAS番号:202483−55−4]、(例えばHostavin(登録商標)N30、CIariant社製、Frankfurt am Main、Germany)
【0051】
立体ヒンダードアミンの群i)は、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバセート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバセート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバセート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラ−キス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エチレン)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペリジンオン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]−デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバセート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−エタンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−及び4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−ジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの及び4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合生成物、N−(2、2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシニミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシニミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキサスピロ[4.5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキサスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、ポリ[メトキシプロピル−3−オキソ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラ−メチルピペリジンとマレイン酸/C20〜C24−α−オレフィンコポリマーから由来のポリマー類似体反応生成物、例えばUvinul(登録商標)5050 H(BASF Aktiengesellschaft社製、Ludwigshafen)及び対応するポリマー類似体反応生成物、4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン(例えば"メチル化Uvinul(登録商標)5050 H")、テトラメチロールアセチレンジウレアと4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合生成物、例えばUvinul(登録商標)4049 H(BASF Aktiengesellschaft社製、Ludwigshafen)及び4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(例えば"メチル化Uvinul(登録商標)4049 H")との対応する縮合生成物、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]][CAS番号71878−19−8]を含む。
【0052】
金属不活性剤の群j)は、例えばN,N’−ジフェニルオキサルアミド、N−サリチラール−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジン、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジピンジヒドラジド、N、N’−ビス(サリチロイル)シュウ酸ジヒドラジド、及びN,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドを含む。
【0053】
ホスフィット及びホスホナイトの群k)は、例えばトリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g][1,3,2]−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット、2,2’,2''−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット]、及び2−エチルヘキシル3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルホスフィットを含む。
【0054】
ヒドロキシルアミンの群l)は、例えばN,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリル−ヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシル−ヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、及び水素化獣脂脂肪アミンからのN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンを含む。
【0055】
ニトロンの群m)は、例えばN−ベンジルα−フェニルニトロン、N−エチルα−メチルニトロン、N−オクチルα−ヘプチルニトロン、N−ラウリルα−ウンデシルニトロン、N−テトラデシルα−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシルα−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシルα−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシルα−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシルα−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシルα−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシルα−ヘキサデシルニトロン、N−メチルα−ヘプタデシルニトロン、及び水素化獣脂脂肪アミンから製造されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン由来のニトロンを含む。
【0056】
アミンオキシドの群n)は、例えば米国特許番号第5,844,029号及び第5,880,191号において記載されているようなアミンオキシド誘導体、ジデシルメチルアミンオキシド、トリデシルアミンオキシド、トリドデシルアミンオキシド及びトリヘキサデシルアミンオキシドを含む。
【0057】
ベンゾフラノン及びインドリノンの群o)は、例えばUS特許4,325,863;4,338,244;5,175,312;5,216,052;5,252,643において;DE−A−4316611において;DE−A−4316622において;DE−A−4316876において;EP−A−0589839もしくはEP−A−0591102において記載されているもの、又は3−[4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−(3H)−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシ−エトキシ)フェニル]ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−(3H)−オン]、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシ−フェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オン、Irganox(登録商標)HP−136(Ciba Specialty Chemicals社製)、及び3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾフラン−2−(3H)−オンを含む。
【0058】
チオ相乗剤の群p)は、例えばジラウリル チオジプロピオネート又はジステアリルチオジプロピオネートを含む。
【0059】
ペルオキシド捕捉剤の群q)は、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリルエステル、ステアリルエステル、ミリスチルエステル又はトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール、又は2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、及びペンタエリトリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネートを含む。
【0060】
塩基補助安定剤の群r)は、例えばメラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高次脂肪酸のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、マグネシウムベヘネート、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム、及びパルミチン酸カリウム、アンチモンピロカテコレート又は亜鉛ピロカテコレートを含む。
【0061】
耐衝撃性改良剤の群s)は、例えばエチレンビニルアセテートコポリマー、エラストマー例えばABS及びニトリルゴム、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アミノ末端化ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート又はポリシロキサンを含む。
【0062】
適した安定剤は、特に、ジフェニルシアノアクリレート、例えばエチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールをポリエチレングリコール 300でエステル化した生成物;[R−CH2CH2−COO(CH232(式中Rは3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾールl−2−イルフェニルである)、及びそれらの混合物を含む。
【0063】
安定剤は、有利にはハロゲンを有さず、かつ酸化防止剤、ニトロキシル安定剤、ニトロン安定剤、アミンオキシド安定剤、ベンゾフラノン安定剤、ホスフィット及びホスホナイト安定剤、木ノンメチド安定剤、及び2,2’−アルキリデンビスフェノール安定剤のモノアクリレートエステルからなる群から選択される。
【0064】
芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物は、静電防止剤、充填剤及び補強剤から選択される少なくとも1つの添加剤も含有してよい。
【0065】
適した静電防止剤の例は、アミン誘導体、例えばN,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキルアミン又はN,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキレンアミン、ポリエチレングリコールエステル及びポリエチレングリコールエーテル、エトキシル化カルボン酸エステル及びエトキシル化カルボキシアミド、並びにグリセロールモノステアレート及びグリセロールジステアレート、並びにそれらの混合物も含んでよい。
【0066】
適した充填剤又は補強剤は、例えば、顔料、例えばカーボンブラック、グラファイト、ナノグラファイト、カーボンナノチューブ、ナノクレイ、炭酸カルシウム、シリケート、タルク、雲母、カオリン、ベントナイト、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、金属酸化物、金属酸化物水和物、及び金属水酸化物、木粉及び他の天然生成物の微粉末又は繊維、並びに合成繊維を含む。適した繊維状又は粉末状充填剤は、さらに、増強剤、例えば炭素繊維、又はガラス織物、ガラスマット又はグラスフィラメント紡糸の形でのガラス繊維、チョップトガラス、ガラスビーズ、及び珪灰石を含む。ガラス繊維を、短いガラス繊維の形及び連続した繊維(紡糸)の形の双方で組み込むことができる。
【0067】
適した顔料は、例えば、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、酸化鉄等を含む。
【0068】
適した着色剤は、例えばフタロシアニン染料を含む。
【0069】
群a)〜r)の化合物は、群o)のベンゾフラノンを除いて、典型的な量で、例えば、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物の全量に対して、0.001〜10質量%、有利には0.01〜1質量%の量で使用される。群s)の添加剤は、典型的な量で使用される。典型的に、それらは、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物の全量に対して、0〜60質量%の量で使用される。
【0070】
芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物は、さらに、さらなる難燃剤を含有してよい。芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物中に場合により存在する難燃剤に関する例は、2、4、12、13、14及び15族の(半)金属の水酸化物、酸化物及び酸化物水和物、窒素を基礎とした難燃剤、並びにリンを基礎とした難燃剤から選択されるものである。
【0071】
2、4、12、13、14及び15族の(半)金属の水酸化物、酸化物及び酸化物水和物に関する例は、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウム、二水酸化マグネシウム(MDH)、酸化アルミニウム、三水酸化アルミニウム(ATH)、ベーマイト(Al(O)OH)、シリカ、酸化スズ、酸化アンチモン(III及びV)及び酸化アンチモン水和物、酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化亜鉛水和物、CaCO3、(有機的に改質した)層状シリケート、(有機的に改質した)層状二重水酸化物、並びにそれらの混合物である。
【0072】
窒素を基礎とした難燃剤に関する例は、例えば、イソシアヌレート難燃剤、例えばポリイソシアヌレート、イソシアヌル酸のエステル又はイソシアヌレートである。代表的な例は、ヒドロキシアルキルイソシアヌレート、例えばトリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドロキシ−n−プロピル)イソシアヌレート又はトリグリシジルイソシアヌレートである。
【0073】
窒素を基礎とした難燃剤は、さらにメラミンを基礎とした難燃剤を含む。代表的な例は、メラミンシアヌレート、メラミンボレート、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンアンモニウムポリホスフェート、メラミンアンモニウムピロホスフェート、ジメラミンホスフェート及びジメラミンピロホスフェートである。
【0074】
さらなる例は、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンフェニルホスフェート、ウレアシアヌレート、アンモニウムポリホスフェート、及びメレム、メラム、メロンの系列からのメラミンの縮合生成物及び/又はメラミンとリン酸との高次縮合化合物もしくは反応生成物、又はそれらの混合物である。
【0075】
リンを基礎とした難燃剤の例は、赤リン、アンモニウムポリホスフェート、リン酸エステル、特にトリアリールホスフェート、例えばトリフェニルホスフェート、トリベンジルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリ−(ジメチルフェニル)ホスフェート、ベンジルジメチルホスフェート、ジ−(ジメチルフェニル)フェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス(ジフェニル)ホスフェート、レコルシノール−ビス−[ジ−(2,6−ジメチルフェニル)−ホスフェート](PX−200)、アルミニウムジエチルホスフィネート(Exolit(登録商標)OP 1230及びExolit(登録商標)OP 930)、亜鉛ジエチルホスフィネート(Exolit(登録商標)OP 950)、アルミニウムハイポホスフェート(Flamerphos(登録商標)A、Phoslite(登録商標)IP−A)、並びに脂肪族ホスフェート、例えばトリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(Lupragen(登録商標)TCPP)、芳香族ホスフェート、例えばビスフェノール由来のポリホスフェート、例えばUS 2004/0249022において記載されている化合物、並びにホスホン酸エステル、例えばジメチル−メチルホスホネート及びホスホン酸(2−((ヒドロキシメチル)カルバミル)エチル)ジメチルエーテル、並びにポリ環状リン含有化合物、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)、並びにそれらの混合物である。
【0076】
特に好ましいリンを基礎とした難燃剤は、式III
【化12】

によって示されるような、オキサホスホリンオキシド又はそれらの誘導体、C1〜C4−アルキルホスフィン酸の塩、トリフェニルホスフィンオキシド、メラミンフェニルホスホネート及びメラミンポリホスフェートである。
【0077】
オキサホスホリンオキシド(III)において、リン原子及び1つの酸素原子は、環状構造、例えば5員環又は6員環の一部であり、かつ部分式
【化13】

の少なくとも1つの基が存在する。
【0078】
好ましい一実施態様によって、オキサホスホリンオキシドは、6H−ジベンズ[c,e][1,2]オキサホスホリン−6−オキシド、3,4:5,6−ジベンゾ−2H−1,2−オキサホスホリン−2−オキシド又は9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホリルフェナントレン−10−オキシド(DOPOと略記される(CA.RN 35948−25−5))と言うことができる、次の構造式
【化14】

によって示される。かかる化合物は、Sanko Co, Ltd.社から、商標名Sanko−HCA下で市販されている。
【0079】
適したオキサホスホリンオキシド、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホリルフェナントレン−10−オキシド(DOPO)の誘導体は、−R−置換された、式
【化15】

[式中、フェニル基はさらに置換基によって置換されてよく、かつRは、C1〜C18アルキル又はC6〜C12アリールを示し、さらに置換基によって置換されてよい]のオキサホスホリンオキシドである。
【0080】
代表的な化合物(IIIb)は、式
【化16】

[式中、Raは水素又はC1〜C4アルキルを示す]の化合物である。
【0081】
さらに代表的な化合物は、
【化17】

又は、Rがヒドロキシによって置換されたアルコキシアルキルを示す、例えば式
【化18】

の化合物であり、DOPOとエポキシド
【化19】

の反応によって得られる。
【0082】
上記のオキサホスホリンオキシドは公知の化合物であり、又は公知の方法によって製造することができる。それらのいくつかは市販されている。
【0083】
式I及び/又はIIの少なくとも1つの化合物と組み合わせることができるさらに好ましい難燃剤は、リン含有難燃剤として、ジ−C1〜C4アルキルホスホン酸の塩、特にCa2+、Zn2+又はAl3+塩の群から選択される。ジ−C1〜C4アルキルホスホン酸は、同一又は異なるC1〜C4アルキル基、例えばジメチル、ジエチル、メチルエチル又はメチル−n−プロピルホスホン酸を有する。かかる生成物は公知であり、かつ市販されている(Exolit(登録商標)OPシリーズ、Clariant社)。
【0084】
ジ−C1〜C4アルキルホスホン酸、例えばジメチルホスホン酸、ジエチルホスホン酸(DEPAL)、又はメチルエチルホスホン酸(MEPAL)のアルミニウム塩が特に好ましい。
【0085】
式I及び/又はIIの少なくとも1つの化合物と組み合わせることができるさらに好ましいリンを基礎とする難燃剤は、U.S.Pat.Spec.No.4,061,605及びEP−A−367714において記載されているような、リン含有難燃剤としてトリフェニルホスフィンオキシド、及び窒素含有難燃剤としてメラミンフェニルホスホネートである。
【0086】
他の代表的なリン含有難燃剤は、前記のものに加えて、例えば、
テトラフェニルレソルシノールビスホスフェート(Fyrolflex(登録商標)RDP)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー(RDP)、トリフェニルホスフェート、エチレンジアミンジホスフェート(EDAP)、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチルホスホネート、リン酸のヒドロキシアルキルエステル、カチオンとして例えばCa2+、Zn2+又はAl3+を含有する次リン酸(H3PO2)、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルフィド、アンモニウムポリホスホネート、及びホスファゼン難燃剤
である。
【0087】
芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物における追加の難燃剤として最も特に好ましい難燃剤は、式III
【化20】

によって示されるような、オキサホスホリンオキシド又はそれらの誘導体、ジ−C1〜C4アルキルホスホン酸の塩、トリフェニルホスフィン酸化物、メラミンフェニルホスフィネート、三水酸化アルミニウム、酸化水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及びメラミンポリホスフェートの群から選択される。
【0088】
好ましい一実施態様において、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物は、ハロゲンを基礎とする難燃剤から選択されるさらなる難燃剤を含有しない。一実施態様において、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物材料は、本発明のジホスフィンとは別に、さらなる難燃剤を含有しない。
【0089】
さらに他の好ましい実施態様において、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物は、本発明のジホスフィンとは別に、1つ以上のさらなる難燃剤及び/又は相乗剤を含有する。相乗剤は、しばしば過剰相加(相乗作用)法で、固有の難燃剤の効果を改良する化合物である。本発明のジホスフィンと有利に組合せることができる相乗剤は、2、4、12、13、14及び15族の(半)金属の水酸化物、酸化物及び酸化物水和物、例えば酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、Al(O)OH、シリカ、酸化スズ、酸化アンチモン(III及びV)及び酸化アンチモン水和物、酸化チタン及び酸化亜鉛又は酸化亜鉛水和物から、他の亜鉛化合物、例えばホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛又は硫酸亜鉛から、窒素を基礎とした難燃剤、例えばメラミン及び尿素を基礎とした樹脂、メラミンシアヌレート、メラミンボレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート又はメラミンピロホスフェートから、並びにリンを基礎とした難燃剤、例えばホスフィネート金属塩、例えばアルミニウムジエチルホスフィネート(Exolit(登録商標)OP 1230及びExolit(登録商標)OP 930)、亜鉛ジエチルホスフィネート(Exolit(登録商標)OP 950)、ホスホネート、例えばレゾルシノール−ビス[ジフェニルホスフェート]、レゾルシノール−ビス[ジ−(2,6−ジメチルフェニル)−ホスフェート](PX−200)、又はトリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(Lupragen(登録商標)TCPP)、ホスホン酸エステル、例えばジメチル−メチルホスホネート、ポリ環状リン含有化合物、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)又はそれらの誘導体から選択される。他の相乗剤は、フェノールノボラック種を基礎とする材料、例えばフェノール−ホルムアルデヒド縮合反応から得られるものであってよい。好ましい相乗剤は、Ti(IV)酸化物、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、酸化カルシウム、酸化亜鉛、フッ化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メラミン及び尿素を基礎とする樹脂、アルミニウムジエチルホスフィネート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、メラミンシアヌレート、メラミンボレート及びメラミンホスフェート、並びにそれらの混合物である。
【0090】
前記の追加の難燃剤の種類は、本発明の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物中で、該組成物の総量に対して、約0.5〜約65.0質量%の量で、例えば該組成物の総量に対して、約1.0〜約60.0質量%、例えば約5.0〜約50.0質量%の量で有利には含まれる。
【0091】
前記のように、エポキシ樹脂組成物及びさらに本発明による重合可能なモノマーを含有する組成物は、さらに、1つ以上の通常の添加剤、例えば顔料、染料、酸化防止剤、チキソトロープ剤、レベリング助剤、塩基補助安定剤、金属不活性剤、金属酸化物、有機リン化合物、さらに光安定剤、及びそれらの混合物、特に顔料、フェノール酸化防止剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンのUV吸収剤、3,3−ジフェニル−2−シアノアクリレート、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び/又は2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン基を含有してよい。前記組成物のための好ましい追加の添加剤は、加工安定剤、例えば前記ホスフィット及びフェノール酸化防止剤、及び光安定剤、例えばベンゾトリアゾールである。好ましい特定の酸化防止剤は、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076)、ペンタエリトリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート(IRGANOX3114)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(IRGANOX1330)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](IRGANOX245)、及びN、N’−ヘキサン−1,6−ジイル−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](IRGANOX1098)を含む。特定の加工安定剤は、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット(IRGAFOS 168)、3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファ−スピロ[5.5]ウンデカン(IRGAFOS 126)、2,2’,2''−ニトロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)]ホスフィット(IRGAFOS 12)、及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(IRGAFOS P−EPQ)を含む。特定の光安定剤は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINU−VIN234)、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)−6−(tert−ブチル)フェノール(TINU−VIN326)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(tert−ブチル)−6−(sec−ブチル)フェノール(TINUVIN350)、2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(TINU−VIN360)、及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(TINUVIN1577)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN P)、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)−ベンゾフェノン(CHIMASSORB 81)、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス−{[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}−プロパン(UVINUL 3030、BASF)、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(UVINUL 3035、BASF)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(UVINUL 3040、BASF)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(UVINUL 3049、BASF)、2−エチルヘキシル−p−メトキシ−シアナメート(UVINUL 3088、BASF)並びに(2−エチルヘキシル)−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(UVINUL 3039、BASF)を含む。
【0092】
前記添加剤は、有利には、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂の質量に対して、0.01〜10.0質量%、特に0.05〜5.0質量%の量で含まれる。
【0093】
添加剤成分の、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂基材への添加を、通常の攪拌機で実施することができ、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂は、有機溶剤中で融解又は溶解され、かつ添加剤と混合される。
【0094】
適した添加剤の選択は、加工されるべき特定の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂のそれぞれの場合において、及びその最終使用に依存し、かつ当業者によって確立されてよい。
【0095】
式(I)の当該化合物出の使用のために特に有用と見出された光学補助添加剤は、前記相助剤、特にホスフィネート金属塩、例えばExolit(登録商標)OP−930、Exolit(登録商標)OP−950、DOPO又はそれらの誘導体、及び三水酸化アルミニウム、並びにそれらの混合物である。
【0096】
芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料は、エポキシ樹脂組成物の調合前、調合中、又は調合後に、式(I)及び/又はIIの化合物を備えていてよい。
【0097】
式(I)及び/又は(II)の化合物及び光学の他の成分は、個々に又は互いに混合して、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂に添加されてよい。所望の場合に、個々の成分は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中に組み込まれる前に、例えば乾式混合によって、溶融物で又は溶液で互いに混合されてよい。複数の成分を添加する場合に、それらを予め混合するか、又は個々に添加してよい。
【0098】
式(I)及び(II)の成分は、有利には、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂、及び/又は被覆されたカプセルの形でエポキシ樹脂材料に添加されてよく、式(I)及び/又は(II)の成分は、適した被覆材料によって覆われたカプセルコアを形成する。適した被覆材料は、本発明の環状及び/又はポリマーホスフィンを、酸素及び湿分によって生じてよい損傷効果から保護し、かつ適した被覆を形成するものである。適した被覆材料は、導入部において挙げられた充填剤、本発明のジホスフィンに関して適した補助剤として挙げられた材料、及び樹脂、例えばメラミン樹脂でもある。有利には、被覆材料は、難燃性効果も提供するために、及び特に本発明のジホスフィンに関して相乗剤として作用するために、すなわち難燃剤としてのそれらの効果を改良するために選択される。好ましい被覆材料は、場合により、さらに水酸化物又は酸化物、例えば水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛又は水酸化鉛との組合せで、(半)金属水酸化物、(半)金属酸化物及び(半)金属酸化物水和物、例えば三水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、Al(O)OH(ベーマイト)、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化スズ、酸化水酸化スズ、酸化アンチモン(III及びV)及び二酸化チタン、及び特に三水酸化アルミニウムである。被覆は、US 4,210,630において記載された被覆方法に類似して、塩基、例えば水酸化アルカリ金属又は炭酸アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の存在で、例えば式(I)及び(又は)(II)の化合物の水性懸濁液を、1つ以上の前記の(半)金属水溶性塩で処理することによって実施される。得られた(半)金属水酸化物は、式(I)及び/又は(II)の化合物の分散した粒子状に沈澱する。有利には、被覆したカプセルは、平均(中央値)直径1μm〜約100μmを有する。
【0099】
式(I)及び/又は(II)の化合物及び場合により添加剤の組み込みは、樹脂加工前又は加工中に、特に積層プロセス前又はプロセス中に実施してよい。
【0100】
前記式(I)及び/又は(II)の成分を含有する材料は、例えば、成形した物品、樹脂トランスファー成形、シート形成化合物(SMC)、バルク成形化合物(BMC)、プリント回路基板、プリント配線板、(pultrudした)断面、一層及び多層フィルム、ラミネート、例えば織物ラミネート、飛行機、箱形バス、自動車、船、ボート、建築物、パイプのための複合材料、曲がったラミネート(タンク)、表面被覆等のために使用される。
【0101】
有利には、式(I)及び/又は(II)の化合物は、エポキシ樹脂材料中に、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料の質量に対して、1〜35質量%、より有利には1〜25質量%、さらにより有利には3〜20質量%の量で組み込まれる。
【0102】
さらなる側面において、本発明は、材料中に前記式I及び/又はIIの少なくとも1つの化合物を組み込むことを含む、有機材料の難燃性又は易粘性の低減のための方法を提供する。式(I)及び/又は(II)の化合物の好ましい実施態様、適した及び好ましい芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料及び場合により添加剤、並びに式(I)の化合物及びさらに場合により添加剤を芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料中に組み込むための方法が当てはまる。
【0103】
さらなる側面において、本発明は、
(a)前記式I及び/又はIIの少なくとも1つの化合物、
(b)少なくとも1つの芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂を含有する材料
を含有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物を提供し、その際、成分(a)は、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料の質量に対して、1〜35質量%の量で含まれる。
【0104】
式(I)及び/又は(II)の化合物の好ましい実施態様、適した及び好ましい芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料及び場合により添加剤、並びに本発明のジホスフィンの誘導体及びさらに場合により添加剤を芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料中に組み込むための方法が当てはまる。
【0105】
特に、式(I)のジホスフィンは、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物中に、テトラフェニルジホスフィンモノオキシド又はモノスルフェート90〜97質量%、テトラフェニルジホスフィンジオキシド又はオキシドスルフィド1〜5質量%、並びにジフェニルホスフィンオキシド又はスルフィド0.5〜2質量%を含有する混合物として組み込まれてよい。
【0106】
有利には、本発明の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物は、式(I)及び/又は(II)の化合物を、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂材料の質量に対して、1〜35質量%、より有利には1〜25質量%、さらにより有利には3〜20質量%の量で含む。
【0107】
1つ以上の式(I)及び/又は(II)による化合物を含有する芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物の難燃性は、難燃性を評価するために使用される標準方法に従って測定される。それらは、NFPA 701 Standard Methods of Fire Tests for Flame−Resistant Textiles and Films,1989及び1996 Editions;the UL 94 Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances,第5版,1996年10月29日;Limiting Oxygen Index(LOI),ASTM D−2863;並びにCone Calorimetry,ASTM E−1354を含む。UL 94 V試験に従った評価を、以下の表にまとめる:
【表1】

【0108】
以下の実施例は、単位例示的な目的を意味し、かつ本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0109】
実施例
1.テトラフェニルジホスフィンモノオキシド(化合物(I);R1〜R4=Ph)の製造
エトキシジフェニルホスフィン(552.6g、2.40mol)を、反応器中に装填し、そして内部温度125〜130℃まで加熱した。1時間後に、クロロジフェニルホスフィン(220.6g、1.0mol)を、得られる塩化エチレンが安全に導入される方法で添加した。その後、混合物を冷却する前にさらに1時間撹拌した。得られた結晶を濾過し、そしてトルエンで洗浄した。濾過ケークを、最良な可能なオイルポンプ真空で、100℃で乾燥し、93〜97%(m/m)の純度を有する1,1,2,2−テトラフェニルジホスフィンモノオキシド(90%収率)を得た。31P NMR(トルエン−d8):δ(ppm)=35.5(d)、23.0(d,J=223Hz)。
【0110】
標準方法
樹脂調合を、メトキシ−2−プロパノール25部中で、Araldite(登録商標)ECN 1280樹脂の100部中で95℃で溶解することによって製造する。2−メチルイミダゾール0.04部、種々の量のテトラフェニルジホスフィンモノオキシドを、この溶液に添加する。透明な樹脂溶液を、10分後に95℃で得る。この溶液9.15部に、メトキシ−2−プロパノールとDMFとの1:1の混合物中で溶解したDICY9.15部を添加する。必要である場合に、さらに難燃剤及び相乗剤、例えばメラミンポリホスフェート(MELAPUR(登録商標)200)及び三水酸化アルミニウム(MARTINAL OL 104 WE)を、この溶液に添加し、そして均一に分散させる。
【0111】
この調合物を、一部のガラスクロス(タイプ7628)状に熱被覆し、そして約1〜3分間、強制通風炉中で170℃に加熱する。非粘着性プレプレグであるそのクロスを、7つの細片(〜180×180mm)に切断し、距離保持器中にそれぞれの頂部をスタックして、均一な厚さ1.5mmを有するラミネートの製造を確実にする。その細片を、プレプレグスタックの上部及び底部上で厚さ1mmの2つのPTFEプレートで被覆する。そのスタックを、熱圧に置き、そしてスタックしたプレプレグを、3barの圧力まで、170℃で、2時間受けさせた。
【0112】
得られたラミネートを、圧力から取り出し、周囲温度まで冷却し、そして距離保持器及びPTFEプレートから離す。そのラミネートを、〜150×150mmの小片に切断し、そして重さを量る。その厚さを測定し、そして樹脂含有率を、パーセント量で測定する。
【0113】
エポキシ燃焼試験方法
ラミネートを、5つの細片(125×13.0mm)に切断し、48時間23℃で及び50%の相対湿度の条件にし、そして前記のUL−94燃焼試験で試験する。
この試験において得られたデータを、以下の表において示す。
参考1:ラミネートを前記のように製造する。
実施例1〜6:ラミネートを前記のように製造する。
【0114】
以下の表において示された結果は、本発明による樹脂組成物が、優れた難燃性(UL94 V−1分類)を呈することを証明する。テトラフェニルジホスフィンモノオキシドを含有する樹脂組成物は、比較的低いレベルの添加装填量で良好な難燃性を有するラミネートを与える。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はIIの少なくとも1つのジホスフィン、又は双方の混合物
【化1】

[式中、
1〜R4は、独立して、置換及び/又は非置換のC6〜C12−アリール、置換及び/又は非置換のC6〜C12−アリールチオ並びに置換及び/又は非置換のC6〜C12−アリールオキシの群から選択され、
Xは、独立して、酸素及び硫黄から選択される元素であり、かつ
nは、0、1又は2であり、nが2である場合にXが硫黄のみであり、かつR1〜R4がC6〜C12−アリールオキシである場合に式IIにおいてnは0のみである]の、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂含有材料における難燃剤としての使用。
【請求項2】
1〜R4がC6〜C12アリールである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
1〜R4がフェニルである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
式I又はIIの少なくとも1つのジホスフィン、又は双方の混合物が、式III
【化2】

によって示されるオキサホスホリンオキシド又はそれらの誘導体、ジ−C1〜C4−アルキルホスフィン酸の塩、トリフェニルホスフィンオキシド、アルミニウムジエチルホスフィネート、亜鉛ジエチルホスフィネート、メラミンフェニルホスホネート、三水酸化アルミニウム、酸化水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、メラミンポリホスフェート及びメラミンシアヌレートの群から選択される、1つ以上の追加の難燃剤と合される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂が、強化材料として繊維又は繊維布を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂自体もしくはその加工された形、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂複合材料、又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂ブレンドを含有する有機材料の難燃性のための又は燃焼性を低減するための、かつ芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂中に、請求項1から4までのいずれか1項に記載の式IもしくはIIの少なくとも1つの化合物又は双方の化合物を組み込むための方法。
【請求項7】
以下、
a. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の式IもしくはIIの少なくとも1つの化合物又は双方の化合物、及び
b. 少なくとも1つの芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂、並びに/又は芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂含有材料
を含有し、成分(a)が、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂の質量に対して、1〜35質量%の量で含まれる、芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂が、強化材料として繊維又は繊維布を含有する、請求項7に記載の芳香族及び/又はヘテロ芳香族エポキシ樹脂組成物。

【公表番号】特表2013−500349(P2013−500349A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521025(P2012−521025)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060513
【国際公開番号】WO2011/009876
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】