苗移植機
【課題】レバー式植付操作機構に旋回連動機構を備える苗移植機において、植付昇降レバーの誤操作によることなく、植付部の安定動作を確保することができる苗移植機を提供する。
【解決手段】苗移植機は、走行車体を旋回操作する操舵部材(4)と、走行車体に昇降可能に支持した植付部(6)と、この植付部(6)の上昇、中立、下降、植付の順に切替え動作させる植付昇降レバー(8)と、上記操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)を上昇と下降の位置に移動させる自動昇降機構(C)とを備えて構成され、上記植付部(6)の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業が所定の継続範囲に該当しない場合に自動昇降機構(C)の作動を停止するものである。
【解決手段】苗移植機は、走行車体を旋回操作する操舵部材(4)と、走行車体に昇降可能に支持した植付部(6)と、この植付部(6)の上昇、中立、下降、植付の順に切替え動作させる植付昇降レバー(8)と、上記操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)を上昇と下降の位置に移動させる自動昇降機構(C)とを備えて構成され、上記植付部(6)の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業が所定の継続範囲に該当しない場合に自動昇降機構(C)の作動を停止するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式植付操作機構に旋回連動機構を備えて植付部の昇降と下降を制御する苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の苗移植機は、レバー式植付操作機構を備えて植付部の「上昇」「停止」「下降」「植付」の各動作を植付昇降レバーのレバーポジションの順次切替え操作によって円滑に取り扱うことができ、また、ハンドル操作対応で植付昇降レバーを電動制御する旋回連動機構を備えることにより、ハンドルを切ることによって植付部が上昇動作し、また、ハンドルを直進に戻すことによって植付部が下降動作する。
このように、手動操作式の植付部を備える小型の苗移植機に旋回連動機構を設けることにより、植付走行で機体が圃場端に達して機体旋回を行う際にその都度植付部を昇降操作する煩わしい作業負荷を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記旋回連動機構による旋回連動動作は、植付走行に続くハンドル操作と対応して開始されることから、作業者の手動介入による植付昇降レバーの操作に際して「停止」から「下降」に切替えた時に、意図に反して「植付」まで行き過ぎた場合に、レバーを「下降」に即時戻しても、旋回途中で旋回連動動作が新たに開始される結果、圃場端に予定外の苗が植え付けられ、圃場端を移動する際に苗を踏み潰す事態を招き、また、植付部が圃場面に下降する前に植付動作することによって苗の無駄を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、レバー式植付操作機構に旋回連動機構を備える苗移植機において、植付昇降レバーの誤操作によることなく、植付部の安定動作を確保することができる苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、走行車体を旋回操作する操舵部材(4)と、同走行車体に昇降可能に支持した植付部(6)と、この植付部(6)の動作を切替える植付昇降レバー(8)と、上記操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)を上昇と下降の位置に移動させる自動昇降機構(C)とを備える苗移植機において、上記植付部(6)の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業が所定の継続範囲に該当しない場合に自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成において、前記作業検知部材は、植付昇降レバー(8)の切替位置を検知する位置検知装置(11s)によって構成し、植付動作位置の継続が所定時間に満たない場合について自動昇降機構(C)の作動を停止することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の構成において、前記作業検知部材は、走行輪の回転による移動距離を検出する走行検知装置(3s)によって構成し、植付部(6)の作動下で所定の移動距離を検知するまでの間について自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に復帰するように弾性保持する一体構成の切替カム(11)と、この切替カム(11)に作用して植付昇降レバー(8)を中立、下降、植付の各位置にて解除可能に保持する可動保持アーム(13a)と、この可動保持アーム(13a)が保持解除するまでの可動範囲を越えて操舵部材(4)と連動して動作する操舵連動部(16)と、この操舵連動部(16)と一体に操舵操作と連動して保持解除位置を越えるまで可動保持アーム(13a)に弾性的に作用する弾性作用部材(17)とを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)が植付動作位置の場合に限定して動作可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記走行車体の走行速度及び前後進を切り替える走行操作レバー(7)を設け、旋回開始から所定距離の移動地点で植付昇降レバー(8)を下降動作位置に切替え、この下降動作位置において走行操作レバー(7)が後進動作位置に操作されたときに植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に切替えるように前記自動昇降機構(C)を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明により、上記苗移植機は、自動昇降機構(C)の適用により、操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)が上昇と下降を行い、この場合において、作業検知部材によって植付作業の継続が基準に達した後に自動昇降機構(C)が適用されることから、植付昇降レバー(8)の一時的な誤操作があっても、植付動作の一定の継続がない場合は自動昇降機構(C)が作動しないので、旋回途中の誤操作による植付部(6)の下降動作が防止されるので、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止されるため、苗の植え直しが不要となり、作業能率が向上する。
また、旋回中の植付部(6)の植付け動作により苗が空中で掻き取られて圃場に落下する事態が防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が抑えられる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の効果に加え、植付昇降レバー(8)の切替え後の経過時間によって誤操作のような短時間の操作を容易に区別でき、その結果、旋回途中に誤って植付部(6)が下降することが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。
また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。
【0014】
請求項3に係る発明により、請求項1に記載の効果に加え、植付部(6)が植付けした移動距離によって誤操作を確実に判断することができるので、旋回途中に誤って植付部(6)を下降させることが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。
また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。
さらに、時間に関係なく距離を基準に誤操作を判定することにより、極低速で作業しているときであっても誤検知を防止できるので、苗の植付精度を向上することができる。
【0015】
請求項4に係る発明により、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の効果に加え、旋回操作すると切替カム(11)により植付部(6)が上昇し、このとき、弾性作用部材(17)により植付昇降レバー(8)の随時操作が可能となるので、旋回途中における植付昇降操作の必要に応じて圃場条件に合わせた細やかな操作が可能となり、作業能率や植付精度が向上する。
【0016】
請求項5に係る発明により、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の効果に加え、植付昇降レバー(8)が植付動作位置でない場合は自動昇降機構(C)が動作しないことから、旋回終了時に操舵部材(4)の操作を誤ったり、あるいは旋回軌跡の調節のために操舵操作を行っても、下降していた植付部(6)を再度上昇させてしまうことを防止できるので、植付部(6)の下降操作や植付開始操作を手動で行う必要がなく、作業能率や植付精度を向上することができる。
【0017】
請求項6に係る発明により、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の効果に加え、植付部(6)が所定の旋回地点で下降した状態で機体を後進すると植付部(6)が上昇することから、変形田や植付条合わせ等のために、旋回途中に走行操作レバー(7)を後進操作する必要がある場合に、その後進操作に伴い植付部(6)が上昇するので、後進時に植付部(6)で圃場面を荒らすことが防止され、苗の植付精度が向上する。
また、植付部(6)が圃場面に接触した摩擦で損傷することが防止されるため、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】苗移植機の側面図(a)および平面図(b)
【図2】植付昇降レバーの支持部の構成図
【図3】自動昇降機構の適用制御のブロック構成図
【図4】自動昇降適用制御の構成例のフローチャート
【図5】操舵連動部の連動作用図(a〜d)
【図6】別の自動昇降機構の構成例
【図7】切替カムの要部拡大図
【図8】苗移植時の旋回動作工程のフローチャート
【図9】マスコットの取付部の側面図(a)およびその要部正面図(b)
【図10】機体の側面図
【図11】乗降用手摺の取付部の分解斜視図
【図12】左右の支持プレートの要部平面図(a)および正面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態にかかる苗移植機について説明する。
図1は本実施の適用対象となる苗移植機の側面図(a)と平面図(b)である。この苗移植機1は、圃場を走行可能に機体を支持する走行装置である左右の前輪2,2と左右の後輪3,3を備え、機体前部に前輪2,2を操舵する操舵部材であるハンドル4、後部に昇降リンク機構6aによって昇降可能に植付部6が構成され、前後進切替えと変速走行用の走行操作レバー7、植付部6の昇降動作と植付動作を操作するための植付昇降レバー8等の操作具を操縦部9に備える。
【0020】
植付昇降レバー8は、上昇、中立、下降、植付の順に植付部6の動作を切替え可能に構成し、詳細には、図2の植付昇降レバー8の支持部の構成図に示すように、植付昇降レバー8は、支軸8aによって前後に回動可能に軸支し、下端には切替カム11を一体に備えて上昇動作位置に復帰可能に弾性保持する。
【0021】
切替カム11には、上昇動作位置から植付動作位置までの4つの係合凹部により4つの動作と対応して角度位置を定める角度選択部12を形成し、この角度選択部12と係合して角度位置を保持する保持ピン13を後述の可動保持アーム13aによって可動支持することにより、植付昇降レバー8を上昇動作位置から中立、下降、植付の動作位置に切替え保持可能に構成する。
【0022】
また、ポテンショメータ等の位置検知装置11sを設けて切替カム11の回動位置を検出し、植付昇降レバー8の切替え位置と対応して植付部6の昇降と植付を制御するように植付昇降レバー8の支持部を構成することにより、植付昇降レバー8の操作位置に応じて植付部6の動作を上昇、中立、下降、植付に切替えることができ、上昇の動作位置では油圧バルブを作動させることにより植付部6を上昇させ、中立の動作位置では植付部6の高さ位置を保持し、下降の動作位置では油圧バルブを作動させることにより植付部6を下降させ、植付の動作位置では植付部6による苗植付けを行う。
【0023】
さらに、切替カム11には、長孔リンク14を連結し、この長孔リンク14を電動駆動部15によって進退制御することにより、切替カム11の保持位置を上昇動作位置から停止、下降、植付の順に動作位置を電動制御によって切替え可能に構成する。
【0024】
また、ハンドル4の操作と連動して可動保持アーム13aに作用するように後述の操舵連動部16および一体の弾性作用部材17を設け、ハンドル4の所定の操舵操作によって保持ピン13よる切替カム11の保持を解除して切替カム11を上昇動作位置に戻し、次いでハンドル4の直進操作により切替カム11を中立から植付の動作位置まで順次電動制御するとともに、可動保持アーム13aによる保持を回復させるようにして自動昇降機構を構成する。
【0025】
(連動機構の適用制御)
この場合において、図3の自動昇降機構の適用制御のブロック構成図に示すように、走行検知装置である後輪の回転センサ3sと、ポテンショメータ等による植付部6の昇降高さセンサ6hと、自動昇降機構の適用スイッチ21の信号を制御部Cに入力し、キャンセル部21cを設けて自動昇降を停止可能に構成する。
【0026】
制御構成について説明すると、図4(a)のフローチャートに示すように、自動昇降機構の適用スイッチ21のスイッチ操作による第1の処理ステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により自動昇降が適用される場合について、植付部6が植付状態(S2)における回転センサ3sの回転パルスのカウントによって機体走行の移動距離を判定(S3)し、所定の移動距離条件(例えば、1回転の距離)が満たされた場合は機体旋回に際して回転センサ3sによるカウント(S4)を行うことにより植付部6の昇降および植付の制御(S5)を行い、一方、植付状態の移動転距離条件が満たされない場合はカウント結果をキャンセル(S4a)する。
【0027】
上記制御構成は、植付部6の植付動作時において機体走行を検知する回転センサ3sにより所定距離以上の移動を自動昇降機構の作動条件としたことにより、植付昇降レバー8の誤操作を確実に判断することができるので、旋回途中に誤って苗載置台が下降することや植付装置を下降させることが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。さらに、適用除外条件を移動距離基準とし、時間要素を含まないことから、極低速で作業しているときであっても誤検知することを防止できるので、苗の植付精度が向上する。
【0028】
また、時間経過を条件とする別の制御構成について説明すると、図4(b)のフローチャートに示すように、自動昇降機構の適用スイッチ21のスイッチ操作(S11)に続き、植付昇降レバー8の切替位置を検知する位置検知装置により、植付動作位置における所定時間(例えば、5秒間)の経過の判定(S12)により、時間経過条件が満たされた場合は機体旋回に際して回転センサ3sによるカウント(S13)を行うことにより植付部6の昇降および植付の制御(S14)を行い、一方、植付動作位置における時間経過条件が満たされない場合はカウント結果をキャンセル(S13a)する。
【0029】
上記制御構成は、植付昇降レバー8が植付動作位置に切替えられてからの所定時間の経過を自動昇降機構の作動条件としたことにより、誤操作のような短時間の操作との区別が容易に付けられるので、旋回途中に誤って苗載置台が下降することや植付装置を下降させることが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。
【0030】
このように、植付部6の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業の継続を判定することにより、植付昇降レバー8の誤操作があっても、旋回途中における植付部の下降が防止されるので、圃場端に植え付けられた想定外の苗の植え直しが不要となり、作業能率が向上する。また、旋回中の植付部の動作により苗が空中で掻き取られて圃場に落下する事態が回避されるため、無駄な苗消費を減少することができる。
【0031】
(手動介入機構)
操舵連動部16について詳細に説明すると、図5の操舵過程の連動作用図(a〜d)に示すように、支点13bで軸支した可動保持アーム13aにより保持ピン13を保持高さ位置に付勢して可動支持することにより、切替カム11の角度位置を上昇動作位置から中立、下降、植付の動作位置に切替え可能に保持するとともに、ハンドル4の旋回動作と連動して可動保持アーム13aに作用するように操舵連動部を構成する。
【0032】
詳細には、ドラッグロッド等と連結してハンドル4の旋回動作を反映するワイヤ4aと、このワイヤ4aと連結する操舵連動部である連動アーム16と、この連動アーム16の一端に設けた板ばね等による弾性作用部材17とによって可動保持アーム13aを制御可能に構成する。連動アーム16は、一端に設けた弾性作用部材17が可動保持アーム13aに弾性的に作用するとともに、可動保持アーム13aの保持解除するまでの可動範囲を越えて弾性作用部材17がストロークするように他端の支点16aで軸支し、ワイヤ4aを戻すためのスプリング16rを連結する。
【0033】
上記弾性作用部材17を設けた連動アーム16と可動保持アーム13aとの関係は、ハンドル4の直進時(a)は弾性作用部材17の位置を可動保持アーム13aの可動上限外として保持ピン13による切替カム11の切替えを可能とし、旋回操作の過程(b)で弾性作用部材17を可動保持アーム13aに作用する位置として保持ピン13が切替カム11の保持を解除することにより切替カム11が上昇動作位置に復帰し、旋回の極大操作時(c)までに弾性作用部材17が可動保持アーム13aの可動範囲を超えて保持ピン13による切替カム11の切替えを可能とし、旋回操作の戻し過程(d)で弾性作用部材17が可動保持アーム13aを越えて、直進時(a)の状態に戻る。
【0034】
この一連の過程において、自動昇降機構は、操舵連動部16と一体の弾性作用部材17が操舵操作によって可動保持アーム13aに作用すると、切替カム11が保持解除されて植付昇降レバー8を上昇動作位置に戻すことから旋回操作に応じて植付部6が上昇し、次いで、弾性作用部材17により操舵連動部16が可動保持アーム13aの可動範囲を超えると可動保持アーム13aが切替カム11の保持可能位置に戻ることから、植付昇降レバー8の随時操作が可能となるので、旋回途中における植付昇降操作の必要に応じて圃場条件に合わせた操作が可能となり、作業能率や植付精度を向上することができる。
【0035】
また、別の自動昇降機構の構成例を図6に示すように、長孔リンクによる可動保持アーム13aにワイヤ4aとオートリフトレバー31を連結して植付部6を旋回連動昇降可能に構成するとともに、ソレノイド32を設けてオートリフトレバー31を入切可能に構成し、旋回連動の制御が働いている間はオートリフトが働かないようにソレノイド32で「切」に切替えることによっても、上記同様に植付昇降レバー8の手動介入操作が可能となる。
【0036】
(連動機構の限定適用)
次に、操舵操作連動の自動昇降機構の限定適用構成について説明すると、図7の切替カムの要部拡大図に示すように、上昇動作位置から植付動作位置までの4つの係合凹部を形成した角度選択部12について、植付動作位置の係合凹部12dの底位置Aをほかより浅く形成し、ハンドル4の旋回操作によって保持ピン13が隣接の下降動作位置の係合凹部12cに移動可能に構成する。
【0037】
上記構成の角度選択部12により、機体旋回時のハンドル4の操作によって保持ピン13が植付動作位から移動可能となるので、植付昇降レバー8が植付動作位置の場合に限り自動昇降機構の作動が可能となる。したがって、機体旋回の途中に植付部6の下降動作から植付動作の間にハンドル操作が遅れて自動昇降機構が動作することによる植付部6の上昇を防止することができる。
【0038】
このように、植付昇降レバーが植付動作位置でない場合に自動昇降機構が動作しないように構成したことから、旋回終了時に操舵部材の操作を誤ったとき、あるいは旋回軌跡の調節のための操作を行ったとき、自動昇降機構が作動しないことから、下降していた植付部6を再度上昇させてしまうことを防止できるので、植付部の下降操作や植付開始操作を手動で行う必要がなく、作業能率や植付精度を向上することができる。
【0039】
(後進走行対応制御)
次に、機体の後進走行時の植付部6昇降制御について説明する。
苗移植時の動作行程は、図8のフローチャートに示すように、植付開始(S21)、機体旋回(S22)、植付部下降(S23)、前後進(S24)、植付昇降レバー操作(S25)、植付再開(S26)の一連の工程から構成される。植付部下降(S23)に続いて機体後進の場合については、走行操作レバー7を後進動作位置に操作することにより、植付部6が上昇動作するように構成する。
【0040】
詳細には、植付開始工程(S21)では、旋回連動昇降スイッチをオン、ハンドル4を直進、植付昇降レバー8を植付動作位置として走行操作レバー7を前進に変速操作を行う。
機体旋回工程(S22)では、180°旋回であれば、圃場端近傍の旋回開始位置からのハンドル4の操作による油圧駆動で植付部6が上昇動作されるとともに後輪回転がカウント開始され、また、90°旋回、所謂ドン付けバック旋回であれば、圃場端の停止位置で走行操作レバー7を後進若しくは中立でバックリフトによる油圧駆動で植付部6が上昇動作され、後輪回転カウントが開始され、機体後進後の前進走行とともにハンドル4の操作によって90°旋回する。
植付部下降工程(S23)では、旋回内側の後輪回転数合計が0.4回転に達した時点で植付昇降レバー8を停止動作位置に電動制御して植付部6を待機高さに保持する。
【0041】
前後進工程(S24)では、前進の場合を除き、作業者による走行操作レバー7の後進操作をバックスイッチにより検出し、この検出信号によって植付昇降レバー8を上昇動作位置に戻すように電動駆動部15を制御することにより、機体後進と連動して植付部6を上昇させることができ、機体後進の終了時点で作業者が機体を前進させつつ植付昇降レバー8を下降動作位置に操作することによって植付を再開することができる。
【0042】
このように、自動昇降機構により、変形田や植付条合わせ等のために、旋回途中に走行操作レバー7を後進操作する必要がある場合に、その後進操作に伴い植付部6が上昇するので、後進時に植付部6が圃場面を荒らすことが防止され、苗の植付精度が向上する。また、植付部6が圃場面に接触した摩擦で損傷することが防止されるため、耐久性が向上する。
【0043】
植付昇降レバー操作工程(S25)では、所定のタイミングより早く植付開始する場合等の植付昇降レバー8の手動操作に応じて、その角度位置を検出するポテンショメータ11sの検出値が変化しても所定の制御処理に影響しないように構成する。
【0044】
また、植付再開工程(S26)では、旋回内側の後輪回転数合計が0.95回転に達した時点で植付昇降レバー8を植付動作位置に電動制御して植付部6を植付動作させ、植付昇降レバー8をその位置のままに電動駆動部15を初期状態の上昇動作位置に戻して植付走行を行う。
【0045】
(マスコット)
次に、機体前端センター配置のマスコットの支持構成について説明する。
マスコット41は、その取付部について図9の側面図(a)およびその要部正面図(b)に示すように、畦越アーム42を一体的に支持する。
【0046】
詳細には、マスコット41と畦越アーム42の基部にそれぞれカラー41a,42aを取付け、機体のフロントフレーム角柱部43の前側に取付けた左右の保持部材44,44と、これら両保持部材44,44間に架した上下の支軸45,46によってマスコット41と畦越アーム42のそれぞれのカラー41a,42aを軸支し、上下間に逆ヘの字状ストッパ兼用の補強板47を設けることにより、両カラー部との干渉なしにプレートと溶接でき、両軸支部を簡潔に構成することができる。
【0047】
補強板47の前部47aの上面をマスコット41の基端部と点接触する簡易構成の回動規制部とし、また、前部47aと後部47bのそれぞれの下面を畦越アーム42の基端部と面接触する回動規制部としてその間に大きな回動角を確保でき、さらに、中間部に水抜孔47cを形成してマスコット41のハーネスを配設する。
【0048】
(ステップ)
次に、小型ステップについて説明する。
機体の左右両側には、図10の側面図に示すように、逆U字状に屈曲したパイプ材による左右の乗降用手摺51,51を設け、それぞれは、逆U字状の頂部をハンドル4の下端部より高く配置して操作性を確保し、かつ、施肥機ブロアBの収納時にブロアBのモータ部の凸部先端が逆U字内に収まるようにして機体の後部寄りに構成する。
【0049】
乗降用手摺51,51の取付部は、図11の分解斜視図に示すように、左右の補助ステップ52,52間の左右連結部材53の両端にそれぞれ乗降用手摺51の一端51aを支持し、また、後部の左右連結部材54の両端に取付けた左右の支持プレート54a,54aにそれぞれ2つの取付孔54b,54cを形成して乗降用手摺51の他端51bおよび追加ステップ55を支持することにより、小型機について剛性部材を利用した乗降用手摺を簡易に構成することができ、また、追加ステップ55により植付部6の苗補給が容易になる。
【0050】
この場合、後側の左右連結部材54は、後輪を回避するために、前側の連結部材53より上位に配置する。左右の支持プレート54a,54aは、それぞれ図12の要部平面図(a)および正面図(b)に示すように、一方の取付孔54bに追加ステップ55をボルト固定しつつ下支えして強固な固定を確保することができ、また、他方の取付孔54cに乗降用手摺51をボルト固定するとともに、追加ステップ55に形成した切欠き55aにより乗降用手摺51の外側に追加ステップ55を張出すことにより、機体側方への踏外しを乗降用手摺51によって防止することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 苗移植機
2 前輪
3s 回転センサ(走行検知装置)
3 後輪
4 ハンドル(操舵部材)
6 植付部
7 走行操作レバー
8a 支軸
8 植付昇降レバー
11 切替カム
11s ポテンショメータ(位置検知装置)
12 角度選択部
13 保持ピン
13a 可動保持アーム
15 電動駆動部
16 連動アーム(操舵連動部)
17 弾性作用部材
21 適用スイッチ
21c キャンセル部(C)
A 底位置
C 制御部(自動昇降機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式植付操作機構に旋回連動機構を備えて植付部の昇降と下降を制御する苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の苗移植機は、レバー式植付操作機構を備えて植付部の「上昇」「停止」「下降」「植付」の各動作を植付昇降レバーのレバーポジションの順次切替え操作によって円滑に取り扱うことができ、また、ハンドル操作対応で植付昇降レバーを電動制御する旋回連動機構を備えることにより、ハンドルを切ることによって植付部が上昇動作し、また、ハンドルを直進に戻すことによって植付部が下降動作する。
このように、手動操作式の植付部を備える小型の苗移植機に旋回連動機構を設けることにより、植付走行で機体が圃場端に達して機体旋回を行う際にその都度植付部を昇降操作する煩わしい作業負荷を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記旋回連動機構による旋回連動動作は、植付走行に続くハンドル操作と対応して開始されることから、作業者の手動介入による植付昇降レバーの操作に際して「停止」から「下降」に切替えた時に、意図に反して「植付」まで行き過ぎた場合に、レバーを「下降」に即時戻しても、旋回途中で旋回連動動作が新たに開始される結果、圃場端に予定外の苗が植え付けられ、圃場端を移動する際に苗を踏み潰す事態を招き、また、植付部が圃場面に下降する前に植付動作することによって苗の無駄を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、レバー式植付操作機構に旋回連動機構を備える苗移植機において、植付昇降レバーの誤操作によることなく、植付部の安定動作を確保することができる苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、走行車体を旋回操作する操舵部材(4)と、同走行車体に昇降可能に支持した植付部(6)と、この植付部(6)の動作を切替える植付昇降レバー(8)と、上記操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)を上昇と下降の位置に移動させる自動昇降機構(C)とを備える苗移植機において、上記植付部(6)の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業が所定の継続範囲に該当しない場合に自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成において、前記作業検知部材は、植付昇降レバー(8)の切替位置を検知する位置検知装置(11s)によって構成し、植付動作位置の継続が所定時間に満たない場合について自動昇降機構(C)の作動を停止することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の構成において、前記作業検知部材は、走行輪の回転による移動距離を検出する走行検知装置(3s)によって構成し、植付部(6)の作動下で所定の移動距離を検知するまでの間について自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に復帰するように弾性保持する一体構成の切替カム(11)と、この切替カム(11)に作用して植付昇降レバー(8)を中立、下降、植付の各位置にて解除可能に保持する可動保持アーム(13a)と、この可動保持アーム(13a)が保持解除するまでの可動範囲を越えて操舵部材(4)と連動して動作する操舵連動部(16)と、この操舵連動部(16)と一体に操舵操作と連動して保持解除位置を越えるまで可動保持アーム(13a)に弾性的に作用する弾性作用部材(17)とを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)が植付動作位置の場合に限定して動作可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記走行車体の走行速度及び前後進を切り替える走行操作レバー(7)を設け、旋回開始から所定距離の移動地点で植付昇降レバー(8)を下降動作位置に切替え、この下降動作位置において走行操作レバー(7)が後進動作位置に操作されたときに植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に切替えるように前記自動昇降機構(C)を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明により、上記苗移植機は、自動昇降機構(C)の適用により、操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)が上昇と下降を行い、この場合において、作業検知部材によって植付作業の継続が基準に達した後に自動昇降機構(C)が適用されることから、植付昇降レバー(8)の一時的な誤操作があっても、植付動作の一定の継続がない場合は自動昇降機構(C)が作動しないので、旋回途中の誤操作による植付部(6)の下降動作が防止されるので、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止されるため、苗の植え直しが不要となり、作業能率が向上する。
また、旋回中の植付部(6)の植付け動作により苗が空中で掻き取られて圃場に落下する事態が防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が抑えられる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の効果に加え、植付昇降レバー(8)の切替え後の経過時間によって誤操作のような短時間の操作を容易に区別でき、その結果、旋回途中に誤って植付部(6)が下降することが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。
また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。
【0014】
請求項3に係る発明により、請求項1に記載の効果に加え、植付部(6)が植付けした移動距離によって誤操作を確実に判断することができるので、旋回途中に誤って植付部(6)を下降させることが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。
また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。
さらに、時間に関係なく距離を基準に誤操作を判定することにより、極低速で作業しているときであっても誤検知を防止できるので、苗の植付精度を向上することができる。
【0015】
請求項4に係る発明により、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の効果に加え、旋回操作すると切替カム(11)により植付部(6)が上昇し、このとき、弾性作用部材(17)により植付昇降レバー(8)の随時操作が可能となるので、旋回途中における植付昇降操作の必要に応じて圃場条件に合わせた細やかな操作が可能となり、作業能率や植付精度が向上する。
【0016】
請求項5に係る発明により、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の効果に加え、植付昇降レバー(8)が植付動作位置でない場合は自動昇降機構(C)が動作しないことから、旋回終了時に操舵部材(4)の操作を誤ったり、あるいは旋回軌跡の調節のために操舵操作を行っても、下降していた植付部(6)を再度上昇させてしまうことを防止できるので、植付部(6)の下降操作や植付開始操作を手動で行う必要がなく、作業能率や植付精度を向上することができる。
【0017】
請求項6に係る発明により、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の効果に加え、植付部(6)が所定の旋回地点で下降した状態で機体を後進すると植付部(6)が上昇することから、変形田や植付条合わせ等のために、旋回途中に走行操作レバー(7)を後進操作する必要がある場合に、その後進操作に伴い植付部(6)が上昇するので、後進時に植付部(6)で圃場面を荒らすことが防止され、苗の植付精度が向上する。
また、植付部(6)が圃場面に接触した摩擦で損傷することが防止されるため、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】苗移植機の側面図(a)および平面図(b)
【図2】植付昇降レバーの支持部の構成図
【図3】自動昇降機構の適用制御のブロック構成図
【図4】自動昇降適用制御の構成例のフローチャート
【図5】操舵連動部の連動作用図(a〜d)
【図6】別の自動昇降機構の構成例
【図7】切替カムの要部拡大図
【図8】苗移植時の旋回動作工程のフローチャート
【図9】マスコットの取付部の側面図(a)およびその要部正面図(b)
【図10】機体の側面図
【図11】乗降用手摺の取付部の分解斜視図
【図12】左右の支持プレートの要部平面図(a)および正面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態にかかる苗移植機について説明する。
図1は本実施の適用対象となる苗移植機の側面図(a)と平面図(b)である。この苗移植機1は、圃場を走行可能に機体を支持する走行装置である左右の前輪2,2と左右の後輪3,3を備え、機体前部に前輪2,2を操舵する操舵部材であるハンドル4、後部に昇降リンク機構6aによって昇降可能に植付部6が構成され、前後進切替えと変速走行用の走行操作レバー7、植付部6の昇降動作と植付動作を操作するための植付昇降レバー8等の操作具を操縦部9に備える。
【0020】
植付昇降レバー8は、上昇、中立、下降、植付の順に植付部6の動作を切替え可能に構成し、詳細には、図2の植付昇降レバー8の支持部の構成図に示すように、植付昇降レバー8は、支軸8aによって前後に回動可能に軸支し、下端には切替カム11を一体に備えて上昇動作位置に復帰可能に弾性保持する。
【0021】
切替カム11には、上昇動作位置から植付動作位置までの4つの係合凹部により4つの動作と対応して角度位置を定める角度選択部12を形成し、この角度選択部12と係合して角度位置を保持する保持ピン13を後述の可動保持アーム13aによって可動支持することにより、植付昇降レバー8を上昇動作位置から中立、下降、植付の動作位置に切替え保持可能に構成する。
【0022】
また、ポテンショメータ等の位置検知装置11sを設けて切替カム11の回動位置を検出し、植付昇降レバー8の切替え位置と対応して植付部6の昇降と植付を制御するように植付昇降レバー8の支持部を構成することにより、植付昇降レバー8の操作位置に応じて植付部6の動作を上昇、中立、下降、植付に切替えることができ、上昇の動作位置では油圧バルブを作動させることにより植付部6を上昇させ、中立の動作位置では植付部6の高さ位置を保持し、下降の動作位置では油圧バルブを作動させることにより植付部6を下降させ、植付の動作位置では植付部6による苗植付けを行う。
【0023】
さらに、切替カム11には、長孔リンク14を連結し、この長孔リンク14を電動駆動部15によって進退制御することにより、切替カム11の保持位置を上昇動作位置から停止、下降、植付の順に動作位置を電動制御によって切替え可能に構成する。
【0024】
また、ハンドル4の操作と連動して可動保持アーム13aに作用するように後述の操舵連動部16および一体の弾性作用部材17を設け、ハンドル4の所定の操舵操作によって保持ピン13よる切替カム11の保持を解除して切替カム11を上昇動作位置に戻し、次いでハンドル4の直進操作により切替カム11を中立から植付の動作位置まで順次電動制御するとともに、可動保持アーム13aによる保持を回復させるようにして自動昇降機構を構成する。
【0025】
(連動機構の適用制御)
この場合において、図3の自動昇降機構の適用制御のブロック構成図に示すように、走行検知装置である後輪の回転センサ3sと、ポテンショメータ等による植付部6の昇降高さセンサ6hと、自動昇降機構の適用スイッチ21の信号を制御部Cに入力し、キャンセル部21cを設けて自動昇降を停止可能に構成する。
【0026】
制御構成について説明すると、図4(a)のフローチャートに示すように、自動昇降機構の適用スイッチ21のスイッチ操作による第1の処理ステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により自動昇降が適用される場合について、植付部6が植付状態(S2)における回転センサ3sの回転パルスのカウントによって機体走行の移動距離を判定(S3)し、所定の移動距離条件(例えば、1回転の距離)が満たされた場合は機体旋回に際して回転センサ3sによるカウント(S4)を行うことにより植付部6の昇降および植付の制御(S5)を行い、一方、植付状態の移動転距離条件が満たされない場合はカウント結果をキャンセル(S4a)する。
【0027】
上記制御構成は、植付部6の植付動作時において機体走行を検知する回転センサ3sにより所定距離以上の移動を自動昇降機構の作動条件としたことにより、植付昇降レバー8の誤操作を確実に判断することができるので、旋回途中に誤って苗載置台が下降することや植付装置を下降させることが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。さらに、適用除外条件を移動距離基準とし、時間要素を含まないことから、極低速で作業しているときであっても誤検知することを防止できるので、苗の植付精度が向上する。
【0028】
また、時間経過を条件とする別の制御構成について説明すると、図4(b)のフローチャートに示すように、自動昇降機構の適用スイッチ21のスイッチ操作(S11)に続き、植付昇降レバー8の切替位置を検知する位置検知装置により、植付動作位置における所定時間(例えば、5秒間)の経過の判定(S12)により、時間経過条件が満たされた場合は機体旋回に際して回転センサ3sによるカウント(S13)を行うことにより植付部6の昇降および植付の制御(S14)を行い、一方、植付動作位置における時間経過条件が満たされない場合はカウント結果をキャンセル(S13a)する。
【0029】
上記制御構成は、植付昇降レバー8が植付動作位置に切替えられてからの所定時間の経過を自動昇降機構の作動条件としたことにより、誤操作のような短時間の操作との区別が容易に付けられるので、旋回途中に誤って苗載置台が下降することや植付装置を下降させることが防止され、圃場端に誤って苗が植え付けられることが防止される。また、苗が空中で掻き取られて圃場に落下することが防止されるため、無駄になる苗が減少し、苗の消費量が減少する。
【0030】
このように、植付部6の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業の継続を判定することにより、植付昇降レバー8の誤操作があっても、旋回途中における植付部の下降が防止されるので、圃場端に植え付けられた想定外の苗の植え直しが不要となり、作業能率が向上する。また、旋回中の植付部の動作により苗が空中で掻き取られて圃場に落下する事態が回避されるため、無駄な苗消費を減少することができる。
【0031】
(手動介入機構)
操舵連動部16について詳細に説明すると、図5の操舵過程の連動作用図(a〜d)に示すように、支点13bで軸支した可動保持アーム13aにより保持ピン13を保持高さ位置に付勢して可動支持することにより、切替カム11の角度位置を上昇動作位置から中立、下降、植付の動作位置に切替え可能に保持するとともに、ハンドル4の旋回動作と連動して可動保持アーム13aに作用するように操舵連動部を構成する。
【0032】
詳細には、ドラッグロッド等と連結してハンドル4の旋回動作を反映するワイヤ4aと、このワイヤ4aと連結する操舵連動部である連動アーム16と、この連動アーム16の一端に設けた板ばね等による弾性作用部材17とによって可動保持アーム13aを制御可能に構成する。連動アーム16は、一端に設けた弾性作用部材17が可動保持アーム13aに弾性的に作用するとともに、可動保持アーム13aの保持解除するまでの可動範囲を越えて弾性作用部材17がストロークするように他端の支点16aで軸支し、ワイヤ4aを戻すためのスプリング16rを連結する。
【0033】
上記弾性作用部材17を設けた連動アーム16と可動保持アーム13aとの関係は、ハンドル4の直進時(a)は弾性作用部材17の位置を可動保持アーム13aの可動上限外として保持ピン13による切替カム11の切替えを可能とし、旋回操作の過程(b)で弾性作用部材17を可動保持アーム13aに作用する位置として保持ピン13が切替カム11の保持を解除することにより切替カム11が上昇動作位置に復帰し、旋回の極大操作時(c)までに弾性作用部材17が可動保持アーム13aの可動範囲を超えて保持ピン13による切替カム11の切替えを可能とし、旋回操作の戻し過程(d)で弾性作用部材17が可動保持アーム13aを越えて、直進時(a)の状態に戻る。
【0034】
この一連の過程において、自動昇降機構は、操舵連動部16と一体の弾性作用部材17が操舵操作によって可動保持アーム13aに作用すると、切替カム11が保持解除されて植付昇降レバー8を上昇動作位置に戻すことから旋回操作に応じて植付部6が上昇し、次いで、弾性作用部材17により操舵連動部16が可動保持アーム13aの可動範囲を超えると可動保持アーム13aが切替カム11の保持可能位置に戻ることから、植付昇降レバー8の随時操作が可能となるので、旋回途中における植付昇降操作の必要に応じて圃場条件に合わせた操作が可能となり、作業能率や植付精度を向上することができる。
【0035】
また、別の自動昇降機構の構成例を図6に示すように、長孔リンクによる可動保持アーム13aにワイヤ4aとオートリフトレバー31を連結して植付部6を旋回連動昇降可能に構成するとともに、ソレノイド32を設けてオートリフトレバー31を入切可能に構成し、旋回連動の制御が働いている間はオートリフトが働かないようにソレノイド32で「切」に切替えることによっても、上記同様に植付昇降レバー8の手動介入操作が可能となる。
【0036】
(連動機構の限定適用)
次に、操舵操作連動の自動昇降機構の限定適用構成について説明すると、図7の切替カムの要部拡大図に示すように、上昇動作位置から植付動作位置までの4つの係合凹部を形成した角度選択部12について、植付動作位置の係合凹部12dの底位置Aをほかより浅く形成し、ハンドル4の旋回操作によって保持ピン13が隣接の下降動作位置の係合凹部12cに移動可能に構成する。
【0037】
上記構成の角度選択部12により、機体旋回時のハンドル4の操作によって保持ピン13が植付動作位から移動可能となるので、植付昇降レバー8が植付動作位置の場合に限り自動昇降機構の作動が可能となる。したがって、機体旋回の途中に植付部6の下降動作から植付動作の間にハンドル操作が遅れて自動昇降機構が動作することによる植付部6の上昇を防止することができる。
【0038】
このように、植付昇降レバーが植付動作位置でない場合に自動昇降機構が動作しないように構成したことから、旋回終了時に操舵部材の操作を誤ったとき、あるいは旋回軌跡の調節のための操作を行ったとき、自動昇降機構が作動しないことから、下降していた植付部6を再度上昇させてしまうことを防止できるので、植付部の下降操作や植付開始操作を手動で行う必要がなく、作業能率や植付精度を向上することができる。
【0039】
(後進走行対応制御)
次に、機体の後進走行時の植付部6昇降制御について説明する。
苗移植時の動作行程は、図8のフローチャートに示すように、植付開始(S21)、機体旋回(S22)、植付部下降(S23)、前後進(S24)、植付昇降レバー操作(S25)、植付再開(S26)の一連の工程から構成される。植付部下降(S23)に続いて機体後進の場合については、走行操作レバー7を後進動作位置に操作することにより、植付部6が上昇動作するように構成する。
【0040】
詳細には、植付開始工程(S21)では、旋回連動昇降スイッチをオン、ハンドル4を直進、植付昇降レバー8を植付動作位置として走行操作レバー7を前進に変速操作を行う。
機体旋回工程(S22)では、180°旋回であれば、圃場端近傍の旋回開始位置からのハンドル4の操作による油圧駆動で植付部6が上昇動作されるとともに後輪回転がカウント開始され、また、90°旋回、所謂ドン付けバック旋回であれば、圃場端の停止位置で走行操作レバー7を後進若しくは中立でバックリフトによる油圧駆動で植付部6が上昇動作され、後輪回転カウントが開始され、機体後進後の前進走行とともにハンドル4の操作によって90°旋回する。
植付部下降工程(S23)では、旋回内側の後輪回転数合計が0.4回転に達した時点で植付昇降レバー8を停止動作位置に電動制御して植付部6を待機高さに保持する。
【0041】
前後進工程(S24)では、前進の場合を除き、作業者による走行操作レバー7の後進操作をバックスイッチにより検出し、この検出信号によって植付昇降レバー8を上昇動作位置に戻すように電動駆動部15を制御することにより、機体後進と連動して植付部6を上昇させることができ、機体後進の終了時点で作業者が機体を前進させつつ植付昇降レバー8を下降動作位置に操作することによって植付を再開することができる。
【0042】
このように、自動昇降機構により、変形田や植付条合わせ等のために、旋回途中に走行操作レバー7を後進操作する必要がある場合に、その後進操作に伴い植付部6が上昇するので、後進時に植付部6が圃場面を荒らすことが防止され、苗の植付精度が向上する。また、植付部6が圃場面に接触した摩擦で損傷することが防止されるため、耐久性が向上する。
【0043】
植付昇降レバー操作工程(S25)では、所定のタイミングより早く植付開始する場合等の植付昇降レバー8の手動操作に応じて、その角度位置を検出するポテンショメータ11sの検出値が変化しても所定の制御処理に影響しないように構成する。
【0044】
また、植付再開工程(S26)では、旋回内側の後輪回転数合計が0.95回転に達した時点で植付昇降レバー8を植付動作位置に電動制御して植付部6を植付動作させ、植付昇降レバー8をその位置のままに電動駆動部15を初期状態の上昇動作位置に戻して植付走行を行う。
【0045】
(マスコット)
次に、機体前端センター配置のマスコットの支持構成について説明する。
マスコット41は、その取付部について図9の側面図(a)およびその要部正面図(b)に示すように、畦越アーム42を一体的に支持する。
【0046】
詳細には、マスコット41と畦越アーム42の基部にそれぞれカラー41a,42aを取付け、機体のフロントフレーム角柱部43の前側に取付けた左右の保持部材44,44と、これら両保持部材44,44間に架した上下の支軸45,46によってマスコット41と畦越アーム42のそれぞれのカラー41a,42aを軸支し、上下間に逆ヘの字状ストッパ兼用の補強板47を設けることにより、両カラー部との干渉なしにプレートと溶接でき、両軸支部を簡潔に構成することができる。
【0047】
補強板47の前部47aの上面をマスコット41の基端部と点接触する簡易構成の回動規制部とし、また、前部47aと後部47bのそれぞれの下面を畦越アーム42の基端部と面接触する回動規制部としてその間に大きな回動角を確保でき、さらに、中間部に水抜孔47cを形成してマスコット41のハーネスを配設する。
【0048】
(ステップ)
次に、小型ステップについて説明する。
機体の左右両側には、図10の側面図に示すように、逆U字状に屈曲したパイプ材による左右の乗降用手摺51,51を設け、それぞれは、逆U字状の頂部をハンドル4の下端部より高く配置して操作性を確保し、かつ、施肥機ブロアBの収納時にブロアBのモータ部の凸部先端が逆U字内に収まるようにして機体の後部寄りに構成する。
【0049】
乗降用手摺51,51の取付部は、図11の分解斜視図に示すように、左右の補助ステップ52,52間の左右連結部材53の両端にそれぞれ乗降用手摺51の一端51aを支持し、また、後部の左右連結部材54の両端に取付けた左右の支持プレート54a,54aにそれぞれ2つの取付孔54b,54cを形成して乗降用手摺51の他端51bおよび追加ステップ55を支持することにより、小型機について剛性部材を利用した乗降用手摺を簡易に構成することができ、また、追加ステップ55により植付部6の苗補給が容易になる。
【0050】
この場合、後側の左右連結部材54は、後輪を回避するために、前側の連結部材53より上位に配置する。左右の支持プレート54a,54aは、それぞれ図12の要部平面図(a)および正面図(b)に示すように、一方の取付孔54bに追加ステップ55をボルト固定しつつ下支えして強固な固定を確保することができ、また、他方の取付孔54cに乗降用手摺51をボルト固定するとともに、追加ステップ55に形成した切欠き55aにより乗降用手摺51の外側に追加ステップ55を張出すことにより、機体側方への踏外しを乗降用手摺51によって防止することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 苗移植機
2 前輪
3s 回転センサ(走行検知装置)
3 後輪
4 ハンドル(操舵部材)
6 植付部
7 走行操作レバー
8a 支軸
8 植付昇降レバー
11 切替カム
11s ポテンショメータ(位置検知装置)
12 角度選択部
13 保持ピン
13a 可動保持アーム
15 電動駆動部
16 連動アーム(操舵連動部)
17 弾性作用部材
21 適用スイッチ
21c キャンセル部(C)
A 底位置
C 制御部(自動昇降機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体を旋回操作する操舵部材(4)と、同走行車体に昇降可能に支持した植付部(6)と、この植付部(6)の動作を切替える植付昇降レバー(8)と、上記操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)を上昇と下降の位置に移動させる自動昇降機構(C)とを備える苗移植機において、
上記植付部(6)の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業が所定の継続範囲に該当しない場合に自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記作業検知部材は、植付昇降レバー(8)の切替位置を検知する位置検知装置(11s)によって構成し、植付動作位置の継続が所定時間に満たない場合について自動昇降機構(C)の作動を停止することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記作業検知部材は、走行輪の回転による移動距離を検出する走行検知装置(3s)によって構成し、植付部(6)の作動下で所定の移動距離を検知するまでの間について自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項4】
前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に復帰するように弾性保持する一体構成の切替カム(11)と、この切替カム(11)に作用して植付昇降レバー(8)を中立、下降、植付の各位置にて解除可能に保持する可動保持アーム(13a)と、この可動保持アーム(13a)が保持解除するまでの可動範囲を越えて操舵部材(4)と連動して動作する操舵連動部(16)と、この操舵連動部(16)と一体に操舵操作と連動して保持解除位置を越えるまで可動保持アーム(13a)に弾性的に作用する弾性作用部材(17)とを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)が植付動作位置の場合に限定して動作可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
前記走行車体の走行速度及び前後進を切り替える走行操作レバー(7)を設け、旋回開始から所定距離の移動地点で植付昇降レバー(8)を下降動作位置に切替え、この下降動作位置において走行操作レバー(7)が後進動作位置に操作されたときに植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に切替えるように前記自動昇降機構(C)を構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項1】
走行車体を旋回操作する操舵部材(4)と、同走行車体に昇降可能に支持した植付部(6)と、この植付部(6)の動作を切替える植付昇降レバー(8)と、上記操舵部材(4)による旋回の開始及び終了と連動して植付昇降レバー(8)を上昇と下降の位置に移動させる自動昇降機構(C)とを備える苗移植機において、
上記植付部(6)の植付作業を検知する作業検知部材を設け、検知した作業が所定の継続範囲に該当しない場合に自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記作業検知部材は、植付昇降レバー(8)の切替位置を検知する位置検知装置(11s)によって構成し、植付動作位置の継続が所定時間に満たない場合について自動昇降機構(C)の作動を停止することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記作業検知部材は、走行輪の回転による移動距離を検出する走行検知装置(3s)によって構成し、植付部(6)の作動下で所定の移動距離を検知するまでの間について自動昇降機構(C)の適用を停止することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項4】
前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に復帰するように弾性保持する一体構成の切替カム(11)と、この切替カム(11)に作用して植付昇降レバー(8)を中立、下降、植付の各位置にて解除可能に保持する可動保持アーム(13a)と、この可動保持アーム(13a)が保持解除するまでの可動範囲を越えて操舵部材(4)と連動して動作する操舵連動部(16)と、この操舵連動部(16)と一体に操舵操作と連動して保持解除位置を越えるまで可動保持アーム(13a)に弾性的に作用する弾性作用部材(17)とを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記自動昇降機構(C)は、植付昇降レバー(8)が植付動作位置の場合に限定して動作可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
前記走行車体の走行速度及び前後進を切り替える走行操作レバー(7)を設け、旋回開始から所定距離の移動地点で植付昇降レバー(8)を下降動作位置に切替え、この下降動作位置において走行操作レバー(7)が後進動作位置に操作されたときに植付昇降レバー(8)を上昇動作位置に切替えるように前記自動昇降機構(C)を構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−42731(P2013−42731A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184593(P2011−184593)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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