説明

茶コンテナ

【課題】 茶箱として木製のものが用いられているが、殺菌や清浄処理に不向きであり、茶の実質容量に比し大型にして重く、積み重ねができない。
【解決手段】 容器本体(2)と蓋体(3)とをアルミニウム合金製とし、蓋体(3)の平坦面部(4)の内面にシール材(11)を張り付け、容器本体(2)のシール部(7)の頂面をシール材(11)に密着させて気密状態を得る。蓋体(3)の突部(6)が茶コンテナ(1)の積み重ねを可能にし、容器本体(2)の段部(9)に手をかけ持ち運びを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金製にして軽量、堅牢、耐久性に優れ清潔な茶コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
日本茶は湿気、臭いを特に嫌うことから茶業者は木製の箱に入れ、保存、保管している。この木製の箱は、容器本体と、蓋体とからなり、容器本体の開口周縁の肉厚のシール部の外側に蓋体の側縁のフランジ部を嵌合させ、容器本体の内部を外気から遮断させている。
容器本体の内面にトタン板を張り、木部に湿気と茶の香りの染み込みを防止している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−72758号公報
【特許文献2】実開平3−4537号公報
【特許文献3】特開平9−23814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
業務用の木製の茶箱は、木の厚みから大型にして重いものとなっていることから、移動を困難にさせている。又、木製の茶箱は、日本古来の建物である蔵等にて市販前の茶を保管するに適したものであるが、現在の空調設備の整った建物での市販前の茶の保管及び製造中の茶の保存には必ずしも向いていない。
【0005】
木製の茶箱は、高温洗浄、極低温での使用に不向きであり、又、経時的な変形や損傷も多い。さらに、多量の輸送に木製の茶箱は嵩張り、コスト高となって好ましくない。
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的にはアルミニウム合金製にしてパッキンを用いた茶コンテナを提供する。
【0007】
本発明によれば、有底の箱形のアルミニウム合金製の容器本体と、容器本体の上部開口を塞ぎかつ容器本体の両側に錠留めされるアルミニウム合金製の蓋体とを有し、蓋体が平坦面部と、平坦面部の側縁より垂下する断面略L字状のフランジ部とを有し、平坦面部の内面にパッキンを張設し、容器本体の上部開口の周縁の断面略逆U字状のシール部の頂面がパッキンに密着する茶コンテナが提供される。
【0008】
好ましくは、容器本体のシール部に断面略逆L字状の段部を有し、蓋体のフランジ部が段部と対向する。さらに、蓋体がダボ出し又はビーディングによる突部を有し、突部が蓋体に重なる容器本体の底縁に当接する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の茶コンテナは、アルミニウム合金を用いていることから軽量かつ堅牢な構造で、汚れがつきにくく、粉塵の吸着もなく、洗浄、殺菌ができ清潔であり、又、熱伝導率も高く冷蔵、冷凍庫での保管に適する。
パッキン付きの蓋体を容器本体に錠留めすることから密閉性が高く持ち運びも便利である。コンテナの積み重ねができ、省スペースでのコンテナ保管が可能である。
【0010】
アルミニウム合金製の茶コンテナは外力による変形も少なく耐久性に富み、リサイクル可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照する。茶コンテナ1は、アルミニウム合金製にして、容器本体2と蓋体3とからなる。蓋体3は、平坦面部4とその側縁のフランジ部5からなり、平坦面部4の頂面に複数個のダボ出しの突部6を設ける。突部6は、図1の仮想線で示す積み重ねたコンテナの底面を受けて滑りを防止する。
図2と図3に示す如く、容器本体2は、底部に向かって絞った形の箱形にして上部開口8の周縁に平坦な頂面を有する断面略逆U字状のシール部7、シール部7につづく断面略逆L字状の段部9を形成する。段部9は使用者の手が掛かるように容器本体2の側面より離間している。
【0012】
蓋体3は、平坦面部4の周縁に垂下する断面略L字状のフランジ部10を有し、平坦面部4の全面又はシール部7と対向する面にポリエチレンフォームよりなるシール材11を貼り付ける。
図4に示す如く、蓋体3と容器本体2とはパチン錠12を用いて固定される。パチン錠12は一方の側部に2個、他方の側部に2個、好ましくは4個用いる。パチン錠12は蓋体3側の金具13に容器本体2側のフック14を係止し、レバー15を押し下げることで、フック14と金具13とを係止させるものであるが、他の形式の錠を用いても良い。
【0013】
図4から明らかな如く、錠留めされた状態ではシール部7の頂面がシール材11に食い込み、密閉状態を確保する。錠留めされた状態では、フランジ部10の水平面が段部9の水平面に当接し、シール部7のシール材11への過度な食い込みを防止する。
シール部7がシール材11に適度に食い込みかつフランジ部10が段部9に当接していることから、図4の状態が、茶コンテナ1の保管、運送中にも保たれ、密閉性が損なわれることはない。又、段部9に手をかけることで作業員の手による持ち運びも容易である。
また、図5に示すように、一方の側部のパチン錠12と他方の側部のパチン錠12の位置をズラすと、横に並べて置く時に、パチン錠がお互いに当たらず、置いた時の隙間を減らし、パチン錠の損傷を防止できる。
【0014】
アルミニウム合金製の容器本体2と蓋体3とは、高温での殺菌処理、洗浄処理が可能であり、熱伝導率が高く冷蔵、冷凍の茶の保管に適する。アルマイト処理された外観は汚れがつきにくく、ささくれや錆もなく清潔に茶コンテナを使用できる。
図5と図6に示すように、突部6は短い長さの側部側の中央にかつ細長い形としたビーディング(ひもだし)形状としてもよい。突部6の内側を結ぶ線が積み重ねるコンテナの底部の形状と一致する。
【0015】
茶コンテナ1を積み重ねた状態を図7に示す。容器本体2に蓋体3をパチン錠12を用いて固定し、その蓋体3の突部6を用いて、積み重ねる茶コンテナ1の容器本体2の底面を滑らせないようにさせる。そのようにして、茶コンテナ1を複数積み重ねることができる。
図8は、茶コンテナ1を使用していないときの保管を示し、容器本体2の開口内に次の容器本体2を挿入して、容器本体2を重ねていく。重ねた容器本体2の上に蓋体3を重ねていくことで、複数の容器本体2と蓋体3とを一括してコンパクトに保管できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一例の茶コンテナの斜視図である。
【図2】図1の矢視II−IIより見たコンテナの断面図である。
【図3】図1の矢視III−IIIより見たコンテナの断面図である。
【図4】錠留め部分を示す断面図である。
【図5】蓋体の別の例を示す平面図である。
【図6】図5の例の正面図である。
【図7】蓋付きコンテナを積み重ねた状態の斜視図である。
【図8】コンテナ本体を重ね、さらに蓋体を重ねた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 茶コンテナ
2 容器本体
3 蓋体
4 平坦面部
5 フランジ部
6 突部
7 シール部
8 開口
9 段部
10 フランジ部
11 シール部
12 パチン錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の箱形のアルミニウム合金製の容器本体と、容器本体の上部開口を塞ぎかつ容器本体の両側に錠留めされるアルミニウム合金製の蓋体とを有し、蓋体が平坦面部と、平坦面部の側縁より垂下する断面略L字状のフランジ部とを有し、平坦面部の内面にパッキンを張設し、容器本体の上部開口の周縁の断面略逆U字状のシール部の頂面がパッキンに密着する茶コンテナ。
【請求項2】
容器本体のシール部に断面略逆L字状の段部を有し、蓋体のフランジ部が段部と対向する請求項1記載の茶コンテナ。
【請求項3】
蓋体がダボ出し又はビーディングによる突部を有し、突部が蓋体に重なる容器本体の底縁に当接する請求項2記載の茶コンテナ。
【請求項4】
段部に手をかけ、運搬可能な請求項3記載の茶コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−96403(P2006−96403A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287199(P2004−287199)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【Fターム(参考)】