説明

茶葉加工物、茶葉含有発泡ポリウレタン樹脂、茶葉含有菓子、茶葉含有石鹸、茶葉含有入浴剤、茶葉含有酒類及び茶葉含有皮膚用塗布剤

【課題】発泡ポリウレタン樹脂に大量に添加できる茶葉加工物を提供すること。
【解決手段】100℃以上に加熱した水蒸気で生茶葉を加熱処理して得られる加熱茶葉から製造される加熱茶葉粉末及び/又は加熱茶葉抽出物よりなる茶葉加工物からなることを特徴とする。つまり、従来は100℃以下の温度(おそらくは100℃未満の温度)の蒸気にて生茶葉を蒸し上げていたところ、100℃以上の温度で生茶葉を蒸し上げることで、発泡性部材に添加しても発泡を阻害しない茶葉加工物を得ることに成功した。本発明の茶葉加工物は、発泡ポリウレタン樹脂に添加しても発泡を阻害することが少なくなり、大量に添加することが可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉を加工して得られる加工物であって、樹脂や菓子などに含有させる際に大量に添加することができる茶葉加工物、その茶葉加工物を採用した菓子などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、茶葉は風味がよいことや含有するカテキンなどの作用を期待されて種々のものに添加されている。例えば、茶葉に含まれるカテキンは抗菌性をもつことが知られており(特許文献1)、その抗菌性に着目してポリウレタン樹脂、ゴム、ラテックス中などに添加することが提案されている(特許文献2及び3)。
【0003】
ここで、茶葉は生のままでは用いられることはまれで、一般的には常圧下、蒸気により蒸し上げることで含有する酵素を破壊し安定化している。
【特許文献1】特開平9−110615号公報
【特許文献2】特許第3175119号公報
【特許文献3】特開平11−106569号公報
【特許文献4】特開2003−61579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、茶葉はその作用を発揮させるために、大量に添加・使用することができれば好ましいものと考えられているが、茶葉を大量に添加すると、茶葉中に含まれる成分によって好ましくない結果をもたらす場合があった。
【0005】
例えば、茶葉を発泡ポリウレタン樹脂中に含有させる場合、大量に添加させるとポリウレタン樹脂が十分に発泡しなくなる不都合があった。また、菓子中に茶葉を含有させる場合には大量に添加すると、風味が落ちたり、発色が悪くなったり、発泡が悪くなったりした。
【0006】
本発明は上記実情に鑑み行われたものであり、ポリウレタン樹脂などの発泡材や、スポンジケーキなどの発泡を伴う菓子に大量に添加しても発泡や風味を阻害することが少ない茶葉加工物を提供することを解決すべき課題とする。また、そのような茶葉加工物を添加したポリウレタン樹脂、菓子などを提供することも解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下の発明を完成した。すなわち、本発明の茶葉加工物は、発泡性部材に添加するために用いられるものであって、過熱水蒸気で生茶葉を加熱処理して得られる加熱茶葉から製造される加熱茶葉粉末及び/又は加熱茶葉抽出物よりなる茶葉加工物からなることを特徴とする。
【0008】
つまり、従来は100℃以下の温度(おそらくは100℃未満の温度)の蒸気にて生茶葉を蒸し上げていたところ、100℃以上(好ましくは150℃以上、180℃以上、250℃以上、300℃以上などである。上限としては350℃以下が例示される。)の温度で生茶葉を蒸し上げることで、発泡性部材に添加しても発泡を阻害しない茶葉加工物を得ることに成功した。ここで、生茶葉を処理する過熱水蒸気は水蒸気が主成分である限り、空気などのガスが混入されていてもよい。特に、酸素を含まない乃至は含有量が少ない気体(水蒸気のみを用いたり、窒素ガスなどの不活性ガスを混合した気体)を用いることで還元雰囲気下での加熱が実現できるので、生成する茶葉加工物の変色や風味の低下を抑制できる。
【0009】
また、これら茶葉加工物は発泡ポリウレタン樹脂に添加しても十分に発泡するとともに、スポンジケーキなどの発泡させる菓子や、クッキーなどの発泡させない菓子にも、発泡の阻害や、風味を落とさず大量に添加することが可能になった。
【0010】
更に、前述の茶葉加工物は発泡部材のみならず、石鹸、入浴剤、酒類並びに皮膚用塗布剤に添加しても顕著な効果を発揮することが判った。
【発明の効果】
【0011】
本発明の茶葉加工物は、発泡性部材に添加した場合に発泡を阻害することが少なくなり、大量に添加することが可能になった。また、この茶葉加工物を添加した菓子は従来よりも大量の茶葉加工物を発色や風味を好ましい状態に保ったまま添加することが可能になった。更に、石鹸、入浴剤、酒類、皮膚用塗布剤に添加することで、発色や芳香に優れているとともに、茶渋などの発生抑制(石鹸、入浴剤)、渋味やえぐみの発生抑制(酒類)、刺激低減並びに保湿性・ピーリング効果の増強(皮膚用塗布剤)といった効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(茶葉加工物)
本発明の茶葉加工物は生茶葉を100℃以上、特に好ましくは180℃以上の温度で蒸し上げたものである。ここで、生茶葉とは一般的に茶として飲用される植物から採取した生の状態の葉や茎などである。生茶葉を100℃以上で蒸し上げる方法としては特に限定しないが、例えば、生茶葉に対して、数秒から数十秒間蒸気を当てて加熱して、次いでその茶葉に蒸気と100℃以上、好ましくは200〜400℃の熱風、又は、加湿熱風とを混合した高温高湿の熱気により加熱処理をする方法がある(特許文献4)。常圧下発生する蒸気をそのまま当てて生茶葉を加熱処理すると、生茶葉の表面で蒸気が結露するなどの理由で100℃未満の温度でしか加熱処理できない。また、発生した蒸気を更に加熱して100℃超(例えば、200〜400℃程度)に加熱した過熱水蒸気を生茶葉に噴射することでも生茶葉を100℃以上の温度にて処理することができる。100℃以上の蒸気にて加熱処理することで、生茶葉中の酵素を速やかに失活させることが可能になる。なお、加熱時間は1分〜5分程度とすることが望ましい。あまりに長く加熱すると、茶葉に含まれるカテキンなどの有効成分が変質するおそれがあるからである。
【0013】
このようにして加熱した茶葉は、その後、通常の緑茶と同様に、葉打、揉捻、乾燥などの処理を行うことで本発明の茶葉加工物を得ることができる。本茶葉加工物は、粉末状としたり、水やアルコールなどで成分を抽出した抽出物(液状、粉末状などの形態は問わない)とすることもできる。
【0014】
本茶葉加工物は樹脂組成物中に混合し発色に優れた及び/又は発泡させる場合には発泡性に優れたものとすることができるほか、紙に添加することで、発色に優れた鮮やかな緑色であって、茶で染色した紙を得ることができる。また、塗料組成物中に発色性よく含有させることもできる。
【0015】
更に、食品中に添加する用途、例えば、菓子などに添加することもできる。大量に添加しても発色に優れる上、風味が落ちないので好ましい。具体的には、スポンジケーキ、プリン、固形チョコレート、ゼリー、パン、クッキー、ビスケット、アイスクリーム、茶ソバなどに添加することや、製菓材料としての生クリーム、砂糖などに添加することもできる。本発明の茶葉加工物は高温処理により、存在する細菌数を少なくできるので、食品用途に好適である。
【0016】
更に、本発明の茶葉加工物は、前述の茶葉加工物をシリカ粉末など(その他、セルロース粉末などの多糖類の粉末、アルミナ、粘土などの無機化合物など)の担体上に担持させたものとすることもできる。例えば、上述の茶葉加工物とコロイダルシリカとの水懸濁液をスプレードライによって噴霧乾燥したものとすることもできる。
【0017】
例えば、匂いが気になる材料と混合することで匂いを抑えることができる。匂いの抑制は前述のスプレードライにより噴霧乾燥する手法のほか、単純に混合することでも効果を発揮する。
【0018】
例えば、コラーゲンは、細胞をつなぎ合わせる接着剤のようなもので、皮膚や内臓の様々な箇所にあり、体の弾力・張りに大きく関与し、新陳代謝を促進させ、張りのある瑞々しい肌を保つために必要な成分といわれているが、加齢と共に減少してしまう。肌だけではなく、関節にある軟骨の成分でもあるので、関節の動きを助けてする減った軟骨を強くしたり、髪の毛のつやを高めたりする働きもある。
【0019】
市販のコラーゲンとしては魚のうろこから抽出・酵素分解して得られるものがある。魚由来であるので、生臭さが感じられることがあるが、本発明の茶葉加工物と混合することで生臭さを消すことができる。この効果は通常の茶葉よりも高いものである。また、茶葉に含まれるビタミンCがコラーゲンの体内での再合成時に働くことも期待できる。本発明の茶葉加工物では加熱処理が短時間で行われているので、ビタミンCが熱により破壊されずに残存している。
【0020】
(茶葉含有発泡ポリウレタン樹脂)
本発明の茶葉含有発泡ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂と、このポリウレタン樹脂中に分散含有されている前述の本発明の茶葉加工物とからなる。つまり、ポリウレタン樹脂をマトリクスをなし、そのマトリクス中に茶葉加工物が分散されている。
【0021】
茶葉加工物を含有させる量として特許文献1においてはポリウレタン樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.6〜3.6質量部がより好ましいと開示している。しかしながら、茶葉加工物を含有させる量を多くするにつれて混合はできるものの、用途によっては十分に発泡しているとは言い難い場合があった。本発明の茶葉加工物を採用することで、多量に含有させた場合(例えば、ポリウレタン樹脂100質量部に対して2.0質量部以上)でも十分な発泡が進行する。
【0022】
なお、茶葉加工物を分散させているポリウレタン樹脂は、特に限定しない。ポリウレタン樹脂は発泡したフォーム状のものである。ポリウレタン樹脂を得る方法としては限定しないが、ポリオールとポリイソシアネートを含む樹脂原料を混合することによりポリオールとポリイソシアネートを反応させて得ることができる。なお、重合、成形に際して100℃以上の高温を伴うものは茶の有効成分を損なうおそれがあるので好ましくない。ポリウレタン樹脂を製造する原料としてはポリオールとポリイソシアネート以外に、触媒、発泡剤、その他の添加剤を従来のポリウレタン樹脂の製造原料と同様に使用できる。
【0023】
本発明の茶葉含有ポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオール、ポリイソシアネートで変性されたポリオール、水、アミンや有機スズ化合物などの触媒、起泡を制御できるシリコーンなどの混合物に前述の茶葉加工物を添加混合し、これにポリイソシアネート化合物を添加混合して特に加温することなく重合させる通常の方法で製造することができる。
【0024】
(茶葉含有菓子)
本発明の茶葉含有菓子の一つとして、本発明の茶葉加工物を含有するスポンジケーキ生地を焼き上げて発泡させたものが挙げられる。スポンジケーキにはカステラ、その他の内部に気泡をもつ小麦粉などのデンプンを主成分とする焼き菓子が含まれる。スポンジケーキ生地としては例えば、小麦粉、砂糖、卵、ベーキングパウダーなどが混合される。
【0025】
また、スポンジケーキ生地に代えて、茶葉加工物を含有するクッキー生地を焼いた茶葉含有菓子とすることもできる。更に、羊羹、水羊羹、ゼリーなどに対して、茶葉加工物を含有させて、茶葉含有菓子とすることもできる。
【0026】
茶葉加工物の含有量は限定しないが、菓子などの食料品(例えば、スポンジケーキ、クッキー)においては、全体の質量を100質量部とした場合に、下限としては3質量部以上、4質量部以上などを採用でき、上限としては15質量部以下、10質量部以下、6質量部以下、5質量部以下などが採用できる。茶葉加工物を多く含有させると、例えば、カステラでは含水量が上昇し、しっとり感が向上するなどの効果が現れる。
【0027】
(石鹸及び入浴剤)
本発明の石鹸及び入浴剤は本発明の茶葉加工物を含有する。石鹸としては通常の天然石鹸と称される高級脂肪酸の塩のほか、合成界面活性剤からなる合成石鹸でもよい。特に、手洗いや、洗顔用などの固形石鹸中に添加することで、使用時に心地よい香りを付与したり、石鹸の使用による抗菌性の発現などの効果が期待できる。本発明の茶葉加工物は凝集などを起こさずに大量に含有させることができる。
【0028】
入浴剤としては通常の組成が採用できる。例えば、重曹などの発泡剤や、EDTAなどの安定化剤や、界面活性剤などである。本発明の入浴剤は浴槽中に付着する茶渋の量が少ないという特徴をもつ。
【0029】
(酒類)
日本酒や焼酎に前述の茶葉加工物を含有させることで、茶葉成分が溶出して透明な美しい外観をもち、渋味やえぐみが少ないまろやかな味わいの酒を提供することができる。この場合、溶出後の茶葉加工物はろ過などで取り除くことが望ましい。また、茶葉加工物を粉末状態のまま懸濁した状態で含有させることもできる。
【0030】
(皮膚用塗布剤)
一般的な化粧品用の基剤中に前述の茶葉加工物を分散含有させることができる。茶葉加工物のほかにも有効成分を含有することができる。茶葉加工物に含有されるカテキン、タンニンなどのポリフェノール類には殺菌作用、収斂作用、ピーリング効果などの人体への作用が期待できるが、前述の茶葉加工物を採用した皮膚用塗布剤は茶葉加工物に含有されるポリフェノール類などの有効成分の変質が抑制され、予期しない皮膚への刺激性の発現などが抑制できる。
【0031】
また、前述の茶葉加工物を香料と共に共存させることで、香料の効果を制御することができる。具体的には、茶葉加工物自身が発する芳香が好ましい結果をもたらすほか、共存させた香料の揮発性を抑制し、穏やかな香りの発現が実現できる。その結果、従来では香りが強すぎて含有させることができない量の香料を含有することも可能になる。
【実施例1】
【0032】
低反発ウレタンフォームにカテキン成分(茶葉加工物)を添加した場合の発泡の様子について検討を行った。用いた茶葉加工物は静岡機械製作所製のシーマスタンダードにて処理されたものを用いた。処理条件は生茶葉を180℃の加湿空気で3分間処理した後、連続揉捻機で処理した後、再度、180℃の加湿空気にて90秒間処理した。その後、乾燥させて粉末状にして試験例1の茶葉加工物とした。
【0033】
更に、試験例1の茶葉加工物をコロイダルシリカ(固形分40%の水懸濁液)に対して、コロイダルシリカの固形分100質量部に対して8705質量となるように添加・懸濁させたスラリーを噴霧乾燥機にて入り口温度200℃、出口温度100℃の条件にて処理して粉末化して試験例2の茶葉加工物とした。その他、カテキン30A(高田茶園製)及び通常の製法にて製造された市販品の粉末茶葉をそれぞれ試験例3及び4の茶葉加工物とした。
【0034】
・低反発ウレタンフォームの製造
各試験例の茶葉加工物をウレタン樹脂全体を基準とした質量比率として0.6%、1.0%、2.0%、3.0%及び4.0%含有させた試料を調製し、75kg/m3の密度で発泡させた場合の発泡の様子を観察することで評価した。ウレタン樹脂の組成はポリエーテルポリオール(LR03:三井武田ケミカル製)が100質量部、シリコン系整泡剤(SF−2969:東レダウコーニングシリコン製)が10質量部、3級アミン触媒(Dabco33LV:エアプロダクツ製)が1質量部、イソシアネートとしてのTDI(TDZ80:三井武田ケミカル製)が40質量部、水が1.2質量部とした。
【0035】
・結果
添加量が0.6%の試料はすべて問題なく発泡したが、試験例3の茶葉加工物(カテキン30A)は1.0%以上の添加量で発泡不良が発生し、試験例4の茶葉加工物(粉末茶葉)は2.0%以上の添加量で発泡不良が発生した。それに対して試験例1の茶葉加工物は3.0%以上でしか発泡不良の発生は認められず、試験例2の茶葉加工物は更に4.0%以上の添加量でしか発泡不良の発生が認められなかった。従って、本発明の茶葉加工物はポリウレタン樹脂に含有させた場合に発泡を阻害することなく大量に添加することが可能であることが判った。
【実施例2】
【0036】
茶葉加工物の含有量を全体を基準として試験例1、2及び4の茶葉加工物を1.3%添加したポリウレタンフォームについて抗酸化力及び消臭効果を検討した。対照試験として茶葉加工物を含有しないポリウレタンフォームを製造して評価を行った。ポリウレタンフォームの原料としては夢柔力フォームLRZ75(高通気度、高機械強度タイプ)を用いた。
【0037】
・抗酸化力測定試験
得られたポリウレタンフォームは連続気泡が形成され通気性に優れたものである。このポリウレタンフォームを幅50×長さ100×厚み10mmの直方体状とし、温度25℃、相対湿度75%の空気を1.1m3/分で通過させた。通過させた空気について純水中にバブリングを行い、含まれる成分を純水中に捕集し試験用液とした。
【0038】
得られた試験用液に対して、抗酸化力測定試薬を用いて抗酸化力を測定し、一定時間でポリウレタンフォームから溶出する物質の抗酸化力を評価した。抗酸化力測定試薬はDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル:和光純薬製)を0.05mmol/L含有するエタノール溶液を用いた。この試薬を添加すると、ポリウレタンフォームから溶出する抗酸化物質がDPPHと反応する。この場合のDPPHのUV−可視領域での吸光度の変化から抗酸化物質の量を評価した。抗酸化物質の量は既知の量の抗酸化物質を添加することで検量線を作成し、その抗酸化物質の濃度にて評価した。
【0039】
・結果
試験例1の茶葉加工物を含有するポリウレタンフォームは抗酸化力が1.0235μmol/g、試験例2が1.0225μmol/g、試験例4が1.0219μmol/g、対照が1.0203μmol/gであった。これらの値から対照を基準とした比例計算を行って求めた抗酸化力指数は、試験例1が32、試験例2が22、試験例4が16、対照が0であった。従って、本発明の茶葉加工物は高温で加熱処理が行われているものの含有する有効成分が破壊されずに残存し有効に作用できることが判った。
【0040】
・消臭力測定試験
試験例1、2及び4得られたポリウレタンフォームと茶葉加工物を含有しないポリウレタンフォームを幅50×長さ100×厚み10mmの直方体状とし、一辺が1000mmの立方体状の閉鎖容器内に配設した。ポリウレタンフォームには容器内の空気が通過するように強制送風機(HC−P1(170W):三菱電機製)を設置した。容器内で濃度25%のアンモニア水5mLを完全に蒸発させて容器内のアンモニア濃度を40ppmにした後、強制送風機を作動させ、経時的に容器内のアンモニア濃度を測定した。アンモニアの測定は株式会社ガステック製のガス検知管(アンモニア-No.3L)を用いて行った。更に、ポリウレタンフォームを配設せず、強制送風機のみを作動させる空試験も行った。消臭率は次式(消臭率%)=(1−アンモニア測定濃度÷初期のアンモニア濃度)×100にて算出した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1より明らかなように、本発明の茶葉加工物は高温で加熱処理が行われているものの含有する有効成分が破壊されずに残存し有効に作用できることが判った。
【実施例3】
【0043】
試験例1(本発明の茶葉加工物)及び4(粉末茶葉)をそれぞれカステラ生地に添加して焼き上げカステラを製造した。材料としては小麦粉(増田製粉製)が900g、卵が2700g、砂糖が2600g、ハチミツが460gを混合した一般的なカステラ生地を2つ用意して、それぞれに対して試験例1及び4の茶葉加工物を300gずつ添加して、オーブン中、上火210℃、下火150℃で50分間焼き上げた。
【0044】
得られたカステラを評価したところ、外観上、試験例1のカステラの方が緑色が鮮やかであった。また、試食を行った結果、全員が試験例1のカステラの方が美味であると評価した。また、試験例1のカステラの方が発色などの点で見た目に優れており、しっとり感に優れていると評価された。
【実施例4】
【0045】
市販のパック剤に独自成分を加えたパック剤(含有成分:タルク、バレイショデンプン、カオリン、ベントナイト、ヨクイニン、アルブミン、プルラン、アラントイン、グリチルレチン酸、ピリドキシンHC1、プロピルパラペン、ブチルパラペン、ヒアルロン酸、活性炭など)を基材とし、以下に示す配合量で試験用のパック剤を調製した。精油としてはペパーミント精油を用いた。
【0046】
【表2】

【0047】
各試験用のパック剤について、目隠しした被験者(女性3名、男性1名)の両ほほにランダムな順番で塗布し、そのときの気持ちよさについて評価してもらい、順位を付けてもらった。各試験用のパック剤を塗布する間隔としては30分以上空けて行った。結果として配合例1〜4の順に1〜4位とした者が3名、配合例1、3、2、4の順に1〜4位とした者が1名であった。特記事項として、配合例4は精油の香りが強すぎて、とても塗布していられないとの苦情があった。配合例1は精油の香りもマイルドで、なおかつクールダウン効果と浸透効果とをより感じることができるとの意見が出て好評であった。配合例2及び3は配合例1よりは、やや劣るもののある程度の効果があるとの評価があった。
【実施例5】
【0048】
試験例1の茶葉加工物が30質量部、コラーゲンが40質量部、サンファイバー(配合1:水溶性食物繊維:太陽化学(株)製)が30質量部、水450質量部で混合・懸濁させたスラリーを噴霧乾燥機中にて処理して粉末化し(入り口温度:200℃、出口温度:100℃)、試験に供した。配合3として水を含まない以外は配合1と同じ混合比での混合物を試験に供した。
【0049】
配合1〜3と対照(コラーゲン原末)とについて、被験者(男性3名、女性2名)に匂いや食味について評価してもらった。判断基準として、0:対照と変わらない、1:対照より魚臭がやや消えた、2:かすかに魚臭がする、3:魚臭はしないの4段階で評価してもらった。なお、コラーゲンは魚を原料として製造されており、そのままでは魚臭がするものである。
【0050】
5人の被験者すべてが配合1及び2については、3:魚臭はしない、との評価であった。配合3については1名が3:魚臭はしないとの評価であったほか、4名は2:かすかに魚臭がする、との評価であった。
【実施例6】
【0051】
試験例1の茶葉加工物が30質量部、コラーゲンが30質量部、ヒアルロン酸Na(チッソ(株)製)が5質量部、アエロジル200(日本アエロジル(株)製)が35質量部、水2000質量部で混合・懸濁させたスラリーを噴霧乾燥機中にて処理して粉末化した(入り口温度:200℃、出口温度:100℃)。その結果、粉末化できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱水蒸気で生茶葉を加熱処理して得られる加熱茶葉から製造される加熱茶葉粉末及び/又は加熱茶葉抽出物よりなる茶葉加工物からなることを特徴とする発泡性部材添加用の茶葉加工物。
【請求項2】
前記生茶葉の加熱温度は180℃以上である請求項1に記載の茶葉加工物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物と、
該茶葉加工物を分散する発泡ポリウレタン樹脂よりなるマトリクスと、を有することを特徴とする茶葉含有発泡ポリウレタン樹脂。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物を分散含有するスポンジケーキ生地を焼き上げて発泡させたことを特徴とする茶葉含有菓子。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物を分散含有するクッキー生地を焼き上げたことを特徴とする茶葉含有菓子。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物を含有することを特徴とする茶葉含有石鹸。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物を含有することを特徴とする茶葉含有入浴剤。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物を含有することを特徴とする茶葉含有酒類。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の茶葉加工物を含有することを特徴とする茶葉含有皮膚用塗布剤。

【公開番号】特開2007−45(P2007−45A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181869(P2005−181869)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(596087812)株式会社エルブ (15)
【Fターム(参考)】