説明

荷電粒子線応用装置及び試料観察方法

【課題】
マルチビーム式の荷電粒子線応用装置において、電子光学系と試料を相対的に傾けることなく、試料に対し一次ビームを斜め方向から入射する機能を付与する。
【解決手段】
マルチビーム型の荷電粒子線応用装置において、アレイ状レンズ109のレンズ電圧を切った状態でも試料上に合焦させるように、光学系制御回路139により、レンズ140a、140b他を制御する。一次ビーム107は試料上の一点に対して複数の方向、すなわち試料ウェハ115に対して複数の角度をもって照射され、電子光学系と試料を傾斜させることなく、一次ビーム107の試料上到達点を一定に保つ。また、アパーチャーアレイ108やアレイ状レンズ109に対応して設置されたブランカアレイ116を個別に制御することにより、試料ウェハ115に照射する一次ビーム107の照射角を選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子線検査装置および計測装置、及び荷電粒子線試料観察方法に係る。
【背景技術】
【0002】
半導体や磁気ディスクの製造プロセスにおいて、試料上に電子ビームやイオンビームなどの荷電粒子線(以下、一次ビームと呼ぶ)を照射し、発生した二次電子等の二次荷電粒子(以下、二次ビーム)の信号を取得し、試料上に形成されたパターンの形状や寸法を測定する荷電粒子線測長装置、欠陥の有無を調べる荷電粒子線検査装置などが用いられている。特に、試料寸法の微細化に伴い、パターンの側壁観察や三次元形状の推定、高分解能欠陥レビューの技術が重要となってきている。
【0003】
このような技術には、試料に対し一次ビームを斜め方向から入射し、発生した二次荷電粒子の信号情報を利用することが有効である。一次ビームを斜め方向に入射して画像を取得する方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)により半導体ウェハの任意の場所を観察できるよう、半導体ウェハを移動させるステージ自体を傾斜させて撮像する方法、SEMの電子光学系自体を機械的に傾斜させる方法、照射する電子線を偏向して観察対象への入射方向を傾斜させる方法が適用されている。また、特許文献2には、レビューSEMでの欠陥レビューにおいて、斜め方向から一次ビームを当てる代わりに、発生した二次電子の放出方向の仰角、方位角を選別して検出する手段が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000-348658号公報
【特許文献2】特願2006-228999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料に対して一次ビームを斜め方向から入射するためには、電子光学系と試料を相対的に傾けるか、一次ビームを偏向させる必要がある。一次ビームの試料上到達点を傾きによらず一定に保つためには、電子光学系の中心軸と傾斜の中心軸を試料上で一致させる必要があり、複数の方向から一次ビームを照射する場合には、その全ての方向に関してビーム調整が必要である。更に、試料のダメージ低減や二次電子効率の観点から、電子光学系と試料との間には減速電界が印加されることが多いため、電子光学系と試料を相対的に傾けることが困難であるという課題がある。
【0006】
また、発生した二次電子の放出方向の仰角、方位角を選別して検出する手段では、検出する信号量は発生した二次電子の選別のために少量となる、選別のために検出器を複数個常備する必要があるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第一の形態では、マルチビーム型の荷電粒子線応用装置において、アレイ状レンズのレンズ電圧を切った状態でも試料上に合焦させるように他のレンズを制御することにより、一次ビームは試料上の一点に対して複数の方向から、すなわち試料に対して複数の角度をもって照射され、電子光学系と試料を傾斜させることなく、一次ビームの試料上到達点を一定に保つ手段を提供する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、他の形態として、試料上に荷電粒子線を照射するための一次光学系と、荷電粒子線の照射により試料上から発生した二次荷電粒子線を検出し、検出した信号から画像を形成する試料観察方法において、荷電粒子線の試料に対する傾斜の入射角および方位角を選択する工程を含む試料観察方法を提供する。
【0009】
更に本発明の好適な形態として、試料上に荷電粒子線を照射するための一次光学系と、荷電粒子線の照射により試料上から発生した二次荷電粒子線を検出する第一の信号検出系と、これら一次光学系及び第一の信号検出系を制御する手段と、この一次光学系が荷電粒子線の試料に対する入射角を傾斜させる手段と、荷電粒子線の入射角を選択する手段とを含む構成の荷電粒子線応用装置を提供する。
【0010】
また、更に、本発明の他の好適な形態として、荷電粒子線応用装置であって、荷電粒子線を発生する荷電粒子線源と、この荷電粒子線源から発生される荷電粒子線から、複数の分割された一次ビームを形成する照射ビーム形成部と、この照射ビーム形成部によって形成される複数の分割された一次ビームそれぞれの、試料に対する入射角を傾斜させて試料上の所定位置に照射させる電子レンズ系と、分割された一次ビームの照射により試料上の所定位置から発生する二次ビームを検出する信号検出系と、二次ビームに対応する信号検出系の出力を用いて、試料の観察画像を表示する画像表示装置と、照射ビーム形成部等を制御する制御部を有し、照射ビーム形成部は、形成される複数の分割された一次ビームを選択することにより、試料の所定位置に照射される一次ビームの入射角を選択する入射角選択部を含む荷電粒子線応用装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、高い欠陥検出感度と高い検査速度を両立させ得る荷電粒子線応用装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、電子線を使用した検査装置における実施例を示すが、イオンビームを使用する場合、また、計測装置や一般的な電子顕微鏡の場合においても本発明の効果は失わない。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施例に係るマルチビーム型の電子線検査装置の概略構成を示す図である。
【0014】
まず、装置構成について説明する。
【0015】
電子銃101は、仕事関数の低い物質よりなる陰極102、陰極102に対して高い電位を持つ陽極105、陰極と陽極の間に形成される加速電界に磁場を重畳する電磁レンズ104からなる。本実施例では、大きな電流が得やすく電子放出も安定したショットキー型の陰極を用いた。電子銃101から一次電子ビーム103が引出される下流方向には、図1に示すように、コリメーターレンズ107、同一基板に複数の開口を配列したアパーチャーアレイ108、複数の開口を有するレンズアレイ109、各レンズアレイに対応する位置に配置されたブランカアレイ116a~c、電子レンズ群140a~b、ビームセパレーター111、対物レンズ112、走査偏向用偏向器113からなる電子光学系、ステージ117、信号検出系である二次ビーム検出器121a~c等を配置して構成している。
【0016】
さらに、電子光学系には、電流制限用絞り、一次ビームの中心軸(光軸)調整用アライナ、収差補正器等も付加されている(図示せず)。ステージ117は上に試料であるウェハ115を載置して移動する。
【0017】
ウェハ115には後述するように負の電位(以下、リターディング電位と称する)を印加する。図示していないが、ウェハ115とステージ117の間にはウェハと導通の取れた状態でウェハホルダが介在し、このウェハホルダにリターディング電源118aを接続してウェハホルダ、およびウェハ115に所望の電圧を印加する構成としている。
【0018】
ウェハ115から電子銃101方向側には、表面電界制御電極114を設置している。走査偏向用偏向器113には走査信号発生装置137、表面電界制御電極114には表面電界制御電源118bを接続している。電子銃101、コリメーターレンズ107、レンズアレイ109、ブランカアレイ116、電子レンズ群140、ビームセパレーター111、対物レンズ112、リターディング電源118a、及び表面電界制御電源118bの各部には、光学系制御回路139が接続し、さらに光学系制御回路139にはシステム制御部135が接続している。ステージ117にはステージ制御装置138が接続し、さらに、二次ビーム検出器121a~c、走査偏向用偏向器113も同様にシステム制御部135に接続している。システム制御部135には記憶装置132、演算部133、欠陥判定部134が配置され、画像表示部136が接続している。また、図示していないが、制御系、回路系以外の構成要素は真空容器内に配置しており、真空排気して動作させていることは言うまでもない。また、真空外からウェハをステージ上に配置するウェハ搬送系が具備されていることも言うまでもない。
【0019】
次に、本装置を使用したウェハパターン検査について説明する。以下、本装置を使用した検査時の光学条件及びその他のモードを、マルチビームモードと記述する。後で説明するように、このモードの設定はシステム制御部135などの制御によって行われる。
【0020】
電子源102から放出された一次ビーム103は、電磁レンズ204による集束作用を受けながら陽極105の方向に加速され、第一の電子源像106(ビーム径が極小になる点)を形成する。図示しないが、一般的な電子銃によく見られるように電子銃101には絞りを配置しており、所望の電流範囲の電子ビームが絞りを通過するように構成している。陽極105、電磁レンズ104の動作条件を変えれば、絞りを通過する一次ビームの電流量を所望の電流量に調節することが可能となっている。また、図示しないが電子銃102とコリメーターレンズ107の間には一次電子ビームの光軸を補正するアライナが配置され、電子ビームの中心軸が絞りや電子光学系に対してずれている場合に補正できる構成となっている。第一の電子源像106を光源としてコリメーターレンズ107は一次ビームを略平行に整える。本実施例においてコリメーターレンズ107は電磁レンズである。アパーチャーアレイは複数の開口により一次ビーム103を複数に分割する。このアパーチャーアレイ108、レンズアレイ109は、複数のビームを形成する照射ビーム形成部を構成する。図1においては、図示の関係上、分割されたビームのうち3本のビームについて示した。アパーチャーアレイ108の開口、対応するレンズアレイ109、ブランカアレイ116、二次ビーム検出器121も同様であり、3個に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0021】
マルチビームモードにおいては、光学系制御回路139からの制御により、分割された一次ビームはレンズアレイ109によって個別に集束され、複数の第二の電子源像110a,110b,110cが形成され、マルチビームとなる。レンズアレイ109は、それぞれ複数の開口を有する3枚の電極からなり、このうち中央の電極に電圧を印加することにより、開口部を通過する一次ビームに対してアインツェルレンズとして作用するものである。なお、本出願人は先に、ビームの本数を複数にしたマルチビーム型の荷電粒子線応用装置として、例えば特願2006-144934号「荷電粒子線応用装置」を提案し、レンズアレイの構成を開示している。
【0022】
一次ビーム103は、レンズアレイ109を通過した後、ブランカアレイ116に入射する。ブランカアレイ116a~cは、照射ビーム形成部の一部であり、それぞれ2枚の電極で構成され、その片側に電圧を印加する(ブランカをONする)ことにより個別にビームを遮断するオンオフ選択部として機能する。すなわち、ブランカアレイ116a~cのうち、通過させたいもの以外のビームに対応するブランカをONすることにより、試料に到達するビームを選択することが可能となる。
【0023】
一次ビーム103のうち、ブランカアレイ116で遮断しないものは、電子レンズ群140を通過する。本実施例においては、電子レンズ群140は140a、140bの2段であり、第二の電子源像110a~cを第三の電子源像141a~cに一度投影する構成とした。その後、一次ビーム103はビームセパレーター111内を通過する。ビームセパレーター111は、一次ビーム103と二次ビーム120を分離する目的で使用され、本実施例においては、一次ビームの入射方向に対して概略垂直な面内に互いに直交する磁場と電場を発生させ、通過する電子に対してそのエネルギーに対応した偏向角度を与えるウィーンフィルターを採用した。本実施例においては、一次ビームが直進するように磁場と電場の強さを設定し、さらに、反対方向から入射する二次電子ビームに対しては所望の角度に偏向するように電磁場の強さを調節・制御する。また、ビームセパレーター111の位置については、一次ビームに対する収差の影響を考慮して、影響を低減するために一次ビームの第三の電子源像141a,141b,141cの高さに合わせて配置している。対物レンズ113は電磁レンズであり、第三の電子源像141a,141b,141cを縮小投影する。
【0024】
走査偏向用の偏向器113は、対物レンズ中に静電8極型で構成、設置されている。走査信号発生装置137により偏向器113に信号が入力されると、中を通過する複数本の一次ビームは、略同一方向に且つ略同一角度だけ偏向作用を受け、試料であるウェハ115をラスタ走査する。
【0025】
ウェハ115にはリターディング電源118aにより負の電位が印加されており、一次ビームを減速させる電界が形成される。リターディング電源118a、および表面電界制御電源118bは他の光学素子、即ち、電子銃101、コリメーターレンズ107、レンズアレイ109、電子レンズ群140、ビームセパレーター111、対物レンズ112と同様に、光学系制御回路139を介してシステム制御部135により統一的に制御される。ステージ117はステージ制御装置138により制御される。システム制御部135はウェハ115上の所定の領域を、ステージ進行方向に並んだ1ストライプずつ検査すべく、走査信号発生装置137およびステージ制御装置138は統一的に制御される。なお、本実施例の検査装置では、検査実行時にはステージが連続に移動していて、走査による偏向とステージ移動の組合せにより、一次ビームが帯状の領域を順次走査するように制御される。この帯状領域は所定の検査領域をマルチビームに対応して分割したものであり、マルチビームが複数の帯状領域のそれぞれを走査することによって所定の検査領域全体が走査される。なお、上述の1ストライプとは、マルチビームに対応した複数の帯状領域が通過した範囲に相当する。
【0026】
ウェハ115の表面に到達した複数本の一次ビームは、試料表面付近の物質と相互に作用する。これにより、反射電子、二次電子、オージェ電子等の二次的な電子が試料から発生し、二次ビーム120となる。
【0027】
表面電界制御電極114は、ウェハ115の表面付近の電界強度を調整し、二次ビーム120の軌道を制御するための電極である。ウェハ115に対向して設置され、ウェハ115に対して正電位または負電位または同電位が表面電界制御電源118bにより印加される。表面電界制御電源118bにより表面電界制御電極114に印加される電圧は、ウェハ115の種類や観察対象に応じて適した値に調整する。例えば、発生した二次ビーム120を積極的にウェハ115の表面に戻したい場合には、表面電界制御電源118bには負電圧を印加する。逆に、二次ビーム120がウェハ115の表面に戻らないよう、表面電界制御電源118bには正電圧を印加することもできる。
【0028】
表面電界制御電極114の通過後、二次ビーム120は、対物レンズ112の集束作用を受け、さらに二次ビームに対しては偏向作用を持つビームセパレーター111により、一次ビームの軌道と分離され、検出器121a、121b、121cに到達する。検出された信号は増幅回路130a、130b、130cにより増幅され、A/D変換機131によりデジタル化され、システム制御部135内の記憶装置132に画像データとして一旦格納される。その後、演算部133が画像の各種統計量の算出を行い、最終的には欠陥判定部134が予め求めておいた欠陥判定条件に基づき欠陥の有無を判定する。判定結果は画像表示装置136に表示される。以上の手順で、ウェハ115内の検査すべき領域を端から順にパターン検査できる。
【0029】
次に、図1の装置を用い、ウェハに対して斜め方向から電子ビームを照射し、その信号を取得するモードに関して、図2を使用して説明する。以下、このモードを、マルチビームモードに対し、斜め照射モードと記述する。このモードの切替えは、システム制御部135、光学系制御回路139などの制御によって実行される。
【0030】
図2は、本実施例の電子線検査装置において、マルチビームモードから斜め照射モードに切り替えた場合の装置と電子光学系の概略図である。図2における装置構成は図1と同一であり、光学系制御回路139などによって与えられる電子光学条件が異なる。電子光学条件の変化のため、図1のマルチビームモードにおける一次ビーム103と、図2の斜め照射モードにおける一次ビーム201は、異なる軌道を描く。斜め照射モードとマルチビームモードの最も大きな違いは、レンズアレイ109のレンズ強度、すなわちレンズアレイ109を構成する3枚の電極のうち、中央の電極への印加電圧である。
【0031】
マルチビームモードとするためには、レンズアレイ109に一次ビーム軌道集束のための電圧を印加するが、斜め照射モードにおいては、レンズアレイ109にレンズ作用を持たせず、電圧を印加しない。このため、斜め照射モードにおける一次ビーム201は、レンズアレイ109に入射するまではマルチビームモードにおける一次ビーム103と同一の軌道を描くが、レンズアレイ109による個別の集束作用を受けず、複数の電子源像は形成されない。このため、斜め照射モードにおける一次ビーム201は、マルチビームとはならない。その代わりに、電子レンズ群140a及び140bにより、単一の第二の電子源像202が形成される。本実施例においては電子レンズ群140aと140bの間には電子源像を持たず、第一の電子源像106を単一の第二の電子源像202に一度投影する構成とした。斜め照射モードにおける一次ビーム201は、対物レンズ112の集束作用を受け、単一の第二の電子源像202がウェハ115上の一点に投影される。一次ビーム201は、照射ビーム形成部であるアパーチャーアレイ108により、複数本のビームに分割されており、その複数ぼ分割された一次ビームが、ウェハ上の一点に、それぞれ異なる方向から斜めに入射することになる。言い換えるなら、斜め照射モードにおいては、一次電子光学系に含まれる複数の開口を配列したアパーチャーアレイ108、電子レンズ群140a、140b、更には対物レンズ112が、複数に分割された一次ビームのウェハに対する入射角を傾斜させる傾斜機構として機能する。
【0032】
複数本の分割された一次ビームがウェハ上に入射する際の、一次光学系の中心軸と各ビームの中心線がなす角を入射角と呼ぶ。各ビームの中心線を一次光学系の中心軸に対して垂直な平面上に投影し、走査用偏向器113による偏向方向に対する角を方位角と呼ぶ。
【0033】
斜め照射モードで発生した二次ビーム203は、マルチビームモードと同様に対物レンズ112の集束作用を受け、さらに二次ビームに対しては偏向作用を持つビームセパレーター111により、一次ビームの軌道と分離される。ただし、マルチビームモードと異なり、斜め照射モードの二次ビーム203はウェハ上の一点から発生するので、検出器上で容易に分離できず、複数の検出器121のうちの一つ(本実施例においては検出器121b)に到達する。
【0034】
複数に分割された一次ビームに対する情報を分離して取得するため、本実施例においては、システム制御部135がブランカアレイ116a~cに対して順次ON/OFFさせるための命令を光学系制御回路139に送信し、一次ビームを一本ずつ照射する。言い換えるなら、このブランカアレイ116が、一次ビームのウェハ上の入射角を選択する入射角選択部として機能する。
【0035】
システム制御部135は二次ビーム信号と照射した一次ビームを入射角、方位角のデータと合わせて管理する。すなわち、検出器121bで検出された信号を増幅回路130bにより増幅し、A/D変換機131によりデジタル化し、システム制御部135内の記憶装置132に画像データとして、入射角、方位角情報と共に格納する。その後、システム制御部135内の演算部133が画像の各種統計量の算出を行い、算出結果が画像表示装置136に表示される。
【0036】
上記以外の装置の制御方法に関しては、斜め照射モードはマルチビームモードと同様である。ステージの制御に関しても同様であるが、ステージを移動させず、停止した状態で信号を取得してもよい。
【0037】
斜め照射モードにおけるウェハへの入射角θiは、アパーチャーアレイ108の開口の中心からの距離Ra、第一の電子源像106からウェハまでの電子光学系(コリメーターレンズ107、電子レンズ群140a、b及び対物レンズ113)の角度倍率Ma、及びコリメーターレンズ107の焦点距離fによって次式のとおり決定される。
【0038】
[数1]
θi=Ma×arctan(Ra/f) ‐‐‐(1)

従って、同じ入射角で方位角が異なるビームを選択する場合には、Raが同一であるアパーチャーアレイ108の開口に対応する一次ビームを選択するよう、光学系制御回路139によりブランカアレイ116を制御する。
【0039】
次に、斜め照射モードで画像取得を行う手順を図3を使用して説明する。尚、ここでは、ステージ117は停止しているものとする。オペレーターが図1(或いは図2)の画像表示装置136に表示された斜め照射モード開始ボタン302をクリックすると、システム制御部135から、走査信号発生装置137、ステージ制御装置138、光学系制御回路139に信号が送られ、電子光学条件が、図1のマルチビームモードから図2の斜め照射モードに切り替わる。同時に、画像表示装置136に図3にその一例を示したような斜め照射モード条件設定画面が表示される。
【0040】
オペレーターは入射角選択用画面である入射角選択ボックス301から、入射角θiを選択する。図3では、#1の0度及び#3の5度の2種類を選択している。選択できる入射角θiの数は何種類でも構わないが、通常は斜め照射分が1種類と、そこに0度(垂直照射)の有無を選択する。オペレーターが斜め照射モード開始ボタン302を押すと、上述のとおりに信号が取り込まれ、各ビームに対応するSEM画像がSEM画像表示部303に表示される。図3では、#1の0度のSEM画像が1種類、#3の5度の方位角が互いに異なっているSEM画像が4種類表示されており、各SEM画像のウィンドウのタイトルは、それぞれ入射角_方位角である。各SEM画像をもとに、寸法や形状などの各種パラメータを抽出し、パラメータ表示部304に表示する。或いは、複数のSEM画像から、立体的な画像を再構築し、立体画像表示部305に表示する。図3においては、観察形状のうち高さ(図3中a)と幅(図3中b)の二つの寸法を表示した。斜め照射モードを終了するときは、終了ボタン306を押してマルチビームモードに戻る。
【0041】
なお、図3にその一例を示した斜め照射モード条件設定画面は、図3の例に限定されることなく、入射角選択ボックス301に加えて、方位角選択用画面として機能する方位角選択ボックスを更に表示する等、色々な変形を取りうることは言うまでもない。
【実施例2】
【0042】
第一の実施例においては、ブランカアレイにより、照射する一次ビームを順次切り替えて一本ずつ二次ビーム信号を取得する構成とした。これに対し、本実施例においては、入射角が同一である一次ビームを一括で照射して、同時に二次ビーム信号を取得し、エッジを強調したSEM画像を取得する。本実施例における装置構成及び電子光学条件は実施例1の図2に示した構成、条件と同一である。
【0043】
本実施例における斜め照射モードで画像取得を行う手順を図4を使用して説明する。尚、ここでは、ステージ117は停止しているものとする。オペレーターが図1、或いは図2の画像表示装置136に表示された斜め照射モードボタンをクリックすると、システム制御部135から、走査信号発生装置137、ステージ制御装置138、光学系制御回路139に信号が送られ、電子光学条件が、図1のマルチビームモードから図2の斜め照射モードに切り替わる。同時に、システム鮮魚部135の制御の下、画像表示装置136に図4に示したような斜め照射モード条件設定画面が表示される。
【0044】
オペレーターは入射角選択ボックス301から、入射角θiを選択する。図4では、#3の5度を選択している。選択できる入射角θiの数は何種類でも構わないが、エッジ強調のため、通常は斜め照射分を1種類選択する。オペレーターが斜め照射モード開始ボタン302を押すと、上述のとおりに信号が取り込まれ、選択したビームによって形成されるSEM画像がSEM画像表示部303に表示される。斜め照射モードを終了するときは、終了ボタン306を押してマルチビームモードに戻る。
【実施例3】
【0045】
第一、第二の実施例においては、斜め照射モードにおいて、二次ビームを同一の検出器で取得する構成をとった。これに対し、本実施例においては、二次ビームを入射角、方位角ごとに異なる検出器を使用し、分離して検出する。この検出方法、及び構成について、図5を使用して説明する。
【0046】
図5は、本発明の第3の実施例に係る斜め照射モードに切り替えた場合の装置と電子光学系の概略図である。図5の装置構成は図1、図2とほぼ同一で、実施例1、2と同様に、斜め照射モードにおいて、一次ビームはウェハ115に対し、斜め方向から入射し、二次ビームが発生する。図5において、実施例1、2と異なる点は、ビームセパレーター111を、二次ビームのうち、反射電子500が所望の偏向角を持つように設定する点と、二次光学系調整用レンズ501を備える点である。尚、ビームセパレーター111は、実施例1、2と同様に、一次ビームに対してはウィーン条件となるよう設定する。二次光学系調整用レンズ501は、本実施例においては電磁レンズである。
【0047】
反射電子500は、斜め照射モードにおける一次ビーム201の入射角と方位角に対応する指向性を持ち、それぞれの照射ビームに対応した出射角及び出射方位角で二次ビーム軌道を描く。反射電子500の瞳の位置では、出射角及び出射方位角ごとに分離することが可能である。従って、二次光学系調整用レンズ501の励磁は、反射電子500の瞳の位置を検出器121a~cに投影する条件とし、一次ビームの入射角、方位角ごとに分離して検出できる。
【0048】
尚、二次ビームが試料から出射する際の、一次光学系の中心軸と各ビームの中心線がなす角を出射角と呼び、各ビームの中心線を一次光学系の中心軸に対して垂直な平面上に投影し、走査用偏向器113による偏向方向に対する角を出射方位角と呼ぶ。本実施例において、二次ビームとして反射電子を使用する場合、入射角≒出射角、方位角≒(180度+出射方位角)となり、出射角と出射方位角が、入射角と方位角に対応する。これにより、上述のとおり、出射角、出射方位角ごとに分離して画像を取得すれば、入射角、方位角ごとの画像が取得できることとなる。
【0049】
本実施例における、斜め照射モードで画像取得を行う手順は、実施例1あるいは2と同様となる。
【0050】
尚、本実施例においては、反射電子500の瞳を検出器121a~cに投影する手段を二次光学系調整用レンズ501の励磁により調整したが、検出器121a~cに、二次光学系の進行方向に機械的に調整できる機構を備えてもよい。
【実施例4】
【0051】
実施例1~3においては、マルチビームモードで使用する二次ビームの検出器を斜め照射モードにも適用した。本実施例では、斜め照射モード専用の二次ビーム検出器を備えている場合に関して、図6を使用して説明する。
【0052】
図6は、第4の実施例に係る斜め照射モードに切り替えた場合の装置と電子光学系の概略図である。図6の装置構成は図1、図2とほぼ同一で、実施例1と同様に、斜め照射モードにおいて、一次ビームはウェハ115に対し、斜め方向から照射される。照射する一次ビームはブランカアレイ116a~cを順次切り替えることによって選択する。発生した二次ビームは偏向作用を持つビームセパレーター111により、一次ビームの軌道と分離される。マルチビームモードにおいては、発生した各二次ビームの分離が重要である為、二次ビームに対するビームセパレーター111の偏向角を比較的大きくする必要があった。これに対し、本実施例における斜め照射モードでは、ビームごとの分離を実施しないため、ビームセパレーター111の偏向角をマルチビームモードに対して小さく設定できる。マルチビームモードと斜め照射モードで偏向角が変化するため、到達する検出器の位置も変化する。このため、図6には、斜め照射モード用検出器600を配置した。二次ビーム203にはビームセパレーター111により斜め照射モードに対応した小さな偏向角が与えられ、検出器600にて検出される。尚、図6では省略したが、検出器600は、検出器121a~cと同様に増幅回路、A/D変換器等を介し、システム制御部135により制御される。
【0053】
本実施例においては、検出器600により二次ビーム203を直接検出する構成としたが、検出器の前段に反射板を置き、反射板に二次ビーム203を衝突させて発生した3次ビームを検出する構成としてもよい。また、図6においては、マルチビームモード用検出器121と斜め照射モード用検出器600を180度位相をずらして配置したが、この配置関係はどのようであっても構わない。
【0054】
なお、本実施例における、斜め照射モードで画像取得を行う手順は、実施例1と同様である。
【実施例5】
【0055】
実施例4においては、マルチビームモード用検出器とは別に斜め照射モード用検出器を一つ配置した。一方、実施例3においては、入射角に指向性を持つ反射電子を利用することにより、分離して検出する例を示した。本実施例においては、反射電子を利用し、マルチビームモード用検出器とは別に、斜め照射モード用の検出器を備え、方位角ごとに分離して二次ビームを検出する例に関して、図7を使用して説明する。
【0056】
図7は、本発明の第5の実施例に係る斜め照射モードに切り替えた場合の装置と電子光学系の概略図である。図7の装置構成は図1、図2とほぼ同一で、実施例1と同様に、斜め照射モードにおいて、一次ビームはウェハに対し、斜め方向から入射する。本実施例における条件で実施例1~4と最も異なる点は、斜め照射モードにおいて、ビームセパレーター111をOFFし、偏向作用を持たせない点である。各照射ビームの方位角に対応して発生した反射電子701は、それぞれの出射方位角の方向に向かう軌道を描く。この二次ビーム軌道に対応する位置に斜め照射モード用検出器700が配置されており、各ビームごとに分離して検出される。尚、図7では省略したが、検出器700は、検出器121a~cと同様に増幅回路、A/D変換器等を介し、システム制御部135により制御される。本実施例においては、検出器700により反射電子701を直接検出する構成としたが、検出器の前段に反射板を置き、反射板に反射電子701を衝突させ、発生した3次ビームを検出する構成としてもよい。
【0057】
本実施例における、斜め照射モードで画像取得を行う手順は、実施例1と同様となる。
【実施例6】
【0058】
実施例1~5において、斜め照射モードにおける一次ビームの入射角θiは、アパーチャーアレイ108の開口の中心からの距離Ra、第一の電子源像106からウェハまでの電子光学系の角度倍率Ma、及びコリメーターレンズ107の焦点距離fによって式(1)のとおり決定される。アパーチャーアレイ108の開口とコリメーターレンズ107の焦点距離fは決まっているので、入射角θiは、アパーチャーアレイの開口に対応した角度からのみ選択されるという制限がある。本実施例においては、上述の電子光学系の角度倍率Maを変化させることにより制限をなくす方法に関して、図8を使用して説明する。
【0059】
図8は、斜め照射モードにおける一次ビームの軌道の概略図であり、図2、5、6、7におけるブランカアレイ116a~cを通過した後から、ウェハ115に到達するまでの軌道を示している。尚、図8においては、入射角が等しく方位角が180度ずれている二本のビームの軌道の例を示している。斜め照射モードにおける一次ビーム201は、電子レンズ群140a及び140bにより、単一の第二の電子源像202を形成し、対物レンズ112によりウェハ115上の一点に集束する。上述の角度倍率Maは、入射角は電子レンズ群140a、140b及び対物レンズ112の励磁条件の組み合わせにより決定される。
【0060】
図8(a)~(c)は、単一の第二の電子源像202の位置と対物レンズ112の励磁は固定してウェハ合焦条件は維持し、電子レンズ群140aと140bの励磁を変化させた場合の軌道の例である。図8(a)は電子レンズ140aの励磁が強く、一次ビーム201のウェハに対する入射角θiが小さい。図8(b)、(c)と電子レンズ140aの励磁が弱くなっていき、電子レンズ140aの励磁が弱くなるにつれ入射角θiが大きくなる。また、図8(b)、(d)、(e)は電子レンズ群のうち140aの励磁を固定とし、140bの励磁を変化させて単一の第二の電子源像202の位置を動かした例である。このとき、対物レンズ112のとるべき励磁はウェハに合焦する値として決まる。図8(d)、(b)、(e)の順で電子レンズ140bの励磁が弱くなっていき、これに伴い入射角θiが小さくなる。このように、ウェハに合焦させる条件を維持しつつ、電子光学系を構成するレンズの励磁の組み合わせを変化させることによって角度倍率Maを変化させ、入射角θiを自由に変化させることが可能となる。
【0061】
次に、図9を使用して、角度倍率Maを変化させて、入射角θiを自由に変化させる手順を説明する。
【0062】
オペレーターが図1、或いは図2の画像表示装置136に表示された斜め照射モードレンズ条件設定ボタンをクリックすると、画像表示装置136に図9に示したような斜め照射モード電子光学条件設定画面が表示される。斜め照射モード電子光学条件設定画面の左側には、調整対象であるレンズ構成の電子光学系概略図900が示されている。オペレーターは、電子光学系概略図900に示された情報をもとに、画面右側のレンズ条件(励磁)設定画面901に条件を記入する。本実施例においては、電子光学系概略図900を構成するレンズがML1、ML2(電子レンズ群140a,b)、及びOL(対物レンズ112)の3つであるから、レンズ条件設定画面901中に、2つのレンズ条件を記入し、残りの1つの条件はウェハ合焦条件から決定される。図9では、OLとML1を自分で設定した例を示している。オペレーターは、励磁条件1のレンズ選択ボックス902aからOLを選択し、励磁入力ボックス903aに、OLに印加したい励磁を入力する。決定ボタン904aを押し、OLの条件を決定する。オペレーターは、同様に、励磁条件2のレンズ選択ボックス902bからML1を選択し、励磁入力ボックス903bに励磁を入力し、決定ボタン904bを押し、ML1の条件を決定する。この時点で、第三のレンズはML2に決まるので、励磁条件3のレンズ選択ボックス902cは自動的にML2が選択され、励磁条件3の励磁表示ボックス903cの数値が調整される。尚、レンズの合焦方法及び手順は本発明と直接関係がないため、説明を省略する。求められた光学条件から、角度倍率Maが決まり、入射角θiが計算される。これが入射角表示ボックス905に表示される。オペレーターは、斜め照射モード電子光学系条件名称ボックス906にこの条件の名前を入力し、保存ボタン907を押す。これにより、図1、2、5、6、7におけるシステム制御部135内の記憶装置132に条件を保存される。一度条件を設定すれば、設定した電子光学条件、すなわちウェハ入射角をあとから自由に呼び出し、変更することが可能となる。
【0063】
続いて、本実施例における、斜め照射モードで画像取得を行う手順について、図10を使用して説明する。尚、ここでは、ステージ117は停止しているものとする。オペレーターが図1の画像表示装置136に表示された斜め照射モードボタンをクリックすると、画像表示装置136に、図10に示した斜め照射モード電子光学条件選択画面が表示される。オペレーターは、あらかじめ保存してある斜め照射モード電子光学条件選択ボックス1000から、実施したい照射角を持つデータ(図10においては、#3)を選択する。これと同時に、選択したデータにおける電子光学条件及び入射角一覧が選択データ確認ボックス1001に表示される。オペレーターが決定ボタン1002を押すと、システム制御部135から、走査信号発生装置137、ステージ制御装置138、光学系制御回路139に信号が送られ、電子光学条件が設定した電子光学条件における斜め照射モードに切り替わり、画像表示装置136に、図3あるいは図4に示した斜め照射モード条件設定画面が表示される。これ以降の手順は、実施例1~5と同様である。
【実施例7】
【0064】
以上説明した実施例1~6は、マルチビーム型の電子線検査装置の機能を、マルチビームモードから斜め照射モードに切り替える、という構成例をとったが、本発明は、マルチビーム型の検査装置をもとにする必然性はない。そこで、本実施例では、実施例1~6における斜め照射モードのみの電子光学条件を持ち、マルチビーム型装置としての使用を前提としない実施例の構成に関し、図11を使用して説明する。尚、以下の説明において、実施例1と同様である部分に関しては、詳細な説明を省いた。
【0065】
図11は、本発明の第7の実施例に係る電子線装置の概略構成を示す図である。
【0066】
装置構成は、電子銃101、電子レンズ1100、同一基板に複数の開口を配列したアパーチャーアレイ1101、一つあるいは複数の開口を持つ可動絞り1102、走査偏向用偏向器113、二次ビーム検出器1103、ステージ117などからなる。ステージ117の上にはウェハ115が載置される。
【0067】
走査偏向用偏向器113には走査信号発生装置137を接続している。電子銃101、電子レンズ群1100には光学系制御回路139が接続し、さらに光学系制御回路139には全体の制御部として機能するシステム制御部135が接続している。ステージ117にはステージ制御装置138が接続し、さらに、二次ビーム検出器1103、走査偏向用偏向器113も同様にシステム制御部135に接続している。システム制御部135には記憶装置132、演算部133が配置され、画像表示装置136が接続している。
【0068】
一次ビーム1105は、荷電粒子線源である電子銃101を出射し、電子レンズ1100を通過した後、照射ビーム形成部として機能するアパーチャーアレイ1101の複数の開口により一次ビーム103を複数に分割する。図11においては、分割された一次ビームのうち3本のビームについて図示する。分割された一次ビームは、照射ビーム形成部の一部を構成し、オンオフ選択部として機能する可動絞り1102の開口位置を合わせることにより、通過、あるいは遮断を選択する。このうち通過したビームのみ電子レンズ系1100による集束作用を受け、ウェハ115上の一点に、ビームごとに異なる方向から斜めに入射する。ウェハからは二次ビーム1106が発生し、これを信号検出系として機能する二次ビーム検出器1103で検出し、増幅回路1104を通じてシステム制御部135により画像を形成し、画像表示装置136に表示される。
【0069】
以上に詳述してきた数々の実施例においては、電子線を使用した検査に関する例を示したが、イオンビームを使用する場合、計測装置や一般的な電子顕微鏡の場合においても本発明の効果は失わない。また、以上に示した実施例においては、観察対象である試料としてウェハを例にとりあげたが、ウェハの一部分を切り出したもの、あるいは磁気ディスクや生物試料等の半導体以外の構造物である場合においても、本発明の効果は失わない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施例に係るマルチビーム型の電子線検査装置の構成を説明する図。
【図2】第1の実施例に係るマルチビーム型の電子線検査装置を使用した斜め照射モードを説明する図。
【図3】第1の実施例に係る斜め照射モード条件設定画面を示す図。
【図4】第2の実施例に係る斜め照射モード条件設定画面を示す図。
【図5】第3の実施例に係るマルチビーム型の電子線検査装置を使用した斜め照射モードを説明する図。
【図6】第4の実施例に係るマルチビーム型の電子線検査装置を使用した斜め照射モードを説明する図。
【図7】第5の実施例に係るマルチビーム型の電子線検査装置を使用した斜め照射モードを説明する図。
【図8】第6の実施例に係る斜め照射モードの一次ビーム軌道概略図。
【図9】第6の実施例に係る斜め照射モード電子光学系条件設定画面を示す図。
【図10】第6の実施例に係る斜め照射モード電子光学系選択画面を示す図。
【図11】第7の実施例に係る電子線応用装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0071】
101…電子銃、102…陰極、103…マルチビームモードにおける一次ビーム、104…電子銃レンズ、105…陽極、106…第一の電子源像、107…コリメーターレンズ、108…アパーチャーアレイ、109…レンズアレイ、110a…第二の電子源像、110b…第二の電子源像、110c…第二の電子源像、111…ビームセパレーター、112…対物レンズ、113…偏向器、114…表面電界制御電極、115…ウェハ、116…ブランカアレイ、116a…ブランカ、116b…ブランカ、116c…ブランカ、117…ステージ、118a…リターディング電源、118b…表面電界制御電源、120…二次ビーム、121a…二次ビーム検出器、121b…二次ビーム検出器、121c…二次ビーム検出器、130a…増幅回路、130b…増幅回路、130c…増幅回路、131…A/D変換機、132…記憶装置、133…演算部、134…欠陥判定部、135…システム制御部、136…画像表示装置、137…走査信号発生装置、138…ステージ制御装置、139…光学系制御回路、140…電子レンズ群、140a…電子レンズ、140b…電子レンズ、141a…第三の電子源像、141b…第三の電子源像、141c…第三の電子源像、201…斜め照射モードにおける一次ビーム、202…単一の第二の電子源像、203…斜め照射モードで発生した二次ビーム、204…電磁レンズ、301…入射角選択ボックス、302…斜め照射モード開始ボタン、303…SEM画像表示部、304…パラメータ表示部、305…立体画像表示部、306…終了ボタン、500…反射電子、501…二次光学系調整用レンズ、600…斜め照射モード用検出器、700…斜め照射モード用検出器、701…反射電子、900…入射角調整対象電子光学系概略図、901…レンズ条件(励磁)設定画面、902a…レンズ選択ボックス、902b…レンズ選択ボックス、902c…レンズ選択ボックス、903a…励磁入力ボックス、903b…励磁入力ボックス、903c…励磁表示ボックス、904a…決定ボタン、904b…決定ボタン、905…入射角表示ボックス、906…斜め照射モード電子光学系条件名称ボックス、907…保存ボタン、1000…斜め照射モード電子光学条件選択ボックス、1001…選択データ確認ボックス、1002…決定ボタン、1100…電子レンズ、1101…アパーチャーアレイ、1102…可動絞り、1103…二次ビーム検出器、1104…増幅回路、1105…一次ビーム、1106…二次ビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料上に荷電粒子線を照射するための一次光学系と、前記荷電粒子線の照射により前記試料上から発生した二次荷電粒子線を検出する第一の信号検出系と、前記一次光学系及び前記第一の信号検出系を制御する制御部とを備えた荷電粒子線応用装置であって、
前記一次光学系は前記荷電粒子線の前記試料に対する入射角を傾斜させる傾斜機構と、前記荷電粒子線の入射角を選択する選択部とを有することを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記一次光学系は、複数の荷電粒子線を形成する照射ビーム形成部と、
前記複数の荷電粒子線を前記試料上に照射させる一つ以上のレンズと、
前記複数の荷電粒子線を前記試料上で走査する偏向器を有し、
前記照射ビーム形成部は、複数の開口と複数のレンズから構成され、
前記傾斜機構は、前記複数の開口を含むことを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項3】
請求項2記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記照射ビーム形成部は、前記複数の荷電粒子線の通過と遮断を個別に選択するオンオフ選択部を更に備えることを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項4】
請求項2記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第一の信号検出系とは別に、前記二次荷電粒子線を検出する1つまたは複数の第二の信号検出系を有することを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項5】
請求項1または請求項4記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第一の信号検出系または前記第二の信号検出系の出力に基づき、前記試料の観察画像を表示する画像表示装置を更に有し、
前記画像表示装置は、前記入射角を選択するための入射角選択用画面を表示することを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項6】
荷電粒子線応用装置であって、
荷電粒子線を発生する荷電粒子線源と、
前記荷電粒子線源から発生した前記荷電粒子線から、複数の分割された一次ビームを形成する照射ビーム形成部と、
複数の前記分割された一次ビームそれぞれの前記試料に対する入射角を傾斜させ、前記試料上の所定位置に照射させる電子レンズ系と、
前記分割された一次ビームの照射により、前記試料から発生する二次ビームを検出する信号検出系と、
前記二次ビームに対応する前記信号検出系の出力に基づき、前記試料の画像を表示する画像表示装置と、
前記照射ビーム形成部、前記電子レンズ系、前記信号検出系、前記画像表示装置を制御する制御部と、を有する
荷電粒子線応用装置。
【請求項7】
請求項6記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記照射ビーム形成部は、複数の前記分割された一次ビームの少なくとも一つを選択し、前記所定位置に照射される前記分割された一次ビームの入射角を選択する入射角選択部を含む
荷電粒子線応用装置。
【請求項8】
請求項7記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記制御部は、前記画像表示装置に、前記分割された一次ビームの入射角を選択するための入射角選択用画面を表示させ、前記入射角選択部に、前記入射角選択用画面に応答して選択された前記入射角に対応する前記分割された一次ビームを選択させる
ことを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項9】
請求項8記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記制御部は、前記画像表示装置に、選択された前記入射角に対応する前記分割された一次ビームの照射によって得られる前記試料の画像を表示する
ことを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項10】
請求項9記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記制御部は、前記画像表示装置に、前記試料の画像を表示する際、選択された前記入射角を有し、方位角が互いに異なる複数の前記分割された一次ビームの照射によって得られる前記試料の画像を同時に表示するよう制御する
ことを特徴とする荷電粒子線応用装置。
【請求項11】
試料上に荷電粒子線を照射するための一次光学系と、前記荷電粒子線の照射により前記試料から発生した二次荷電粒子線を検出する信号検出系を含む装置における、前記信号検出系が検出した信号から画像を形成する試料観察方法であって、
前記荷電粒子線の前記試料に対する傾斜の入射角を選択する工程と、
選択された前記傾斜の入射角に基づき、前記荷電粒子線を前記試料に照射する工程とを含む
ことを特徴とする試料観察方法。
【請求項12】
請求項11記載の試料観察方法であって、
前記選択した入射角に対応した、方位角の異なる複数の画像を同時に画像表示装置に表示する工程を含む
ことを特徴とする試料観察方法。
【請求項13】
請求項11または12記載の試料観察方法であって、
前記荷電粒子線の傾斜の有無を選択する工程を含む
ことを特徴とする試料観察方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項記載の試料観察方法であって、
前記二次荷電粒子線の出射角と出射方位角に応じて、前記二次荷電粒子線を分離して画像を形成する工程を含むことを特徴とする試料観察方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項記載の試料観察方法であって、
前記一次光学系に配置された電子レンズの強度の組み合わせに基づきあらかじめ前記入射角を設定する工程を含む
ことを特徴とする試料観察方法。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか1項記載の試料観察方法であって、
前記装置は表示装置を更に含み、
前記表示装置に、前記荷電粒子線の前記試料に対する前記傾斜の入射角選択用画面を示す工程を含む
ことを特徴とする試料観察方法。
【請求項17】
請求項16記載の試料観察方法であって、
前記荷電粒子線の前記試料に対する方位角を選択する工程を更に含み、
前記照射工程では、選択された前記傾斜の入射角および方位角に基づき、前記荷電粒子線を前記試料に照射する
ことを特徴とする試料観察方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−134926(P2009−134926A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308758(P2007−308758)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】