荷電装置設定の能動的制御による光伝導体の寿命の改善
【課題】ゼログラフィックエンジンにおける光伝導体の寿命を改善する。
【解決手段】ゼログラフィックマシンのAC荷電アクチュエータを、出力印刷クオリティを維持しつつ光伝導体の寿命が最適にされる点へと調整することにより、ゼログラフィック光受容体の寿命が改善される。アクチュエータが電圧である場合には、光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝電圧より所定量だけ高くアクチュエータがセットされる。膝電圧を決定するのではなく、アクチュエータの種々の値に対して校正シートを作製することができ、最小のアクチュエータ値をもつ最良のシートが選択され、AC荷電アクチュエータは、その最良のシートに対応する値にセットされる。シートは、ユーザにより評価でき、又は光学的アレーセンサを使用して、シートをスキャンし、コントローラがシートを記憶された基準と比較して最良のシートを自動的に選択し、アクチュエータをセットできる。
【解決手段】ゼログラフィックマシンのAC荷電アクチュエータを、出力印刷クオリティを維持しつつ光伝導体の寿命が最適にされる点へと調整することにより、ゼログラフィック光受容体の寿命が改善される。アクチュエータが電圧である場合には、光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝電圧より所定量だけ高くアクチュエータがセットされる。膝電圧を決定するのではなく、アクチュエータの種々の値に対して校正シートを作製することができ、最小のアクチュエータ値をもつ最良のシートが選択され、AC荷電アクチュエータは、その最良のシートに対応する値にセットされる。シートは、ユーザにより評価でき、又は光学的アレーセンサを使用して、シートをスキャンし、コントローラがシートを記憶された基準と比較して最良のシートを自動的に選択し、アクチュエータをセットできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼログラフィックエンジンにおける光伝導体の寿命の改善に係る。
【背景技術】
【0002】
ゼログラフィック複写装置は、ドラム又はベルトの形態の光受容体を使用して静電像を生成し、その上にトナーを付着して、別のベルト又はドラムへ転写する。トナー像が転写されると、ほとんどのゼログラフィック装置は、表面を研磨する仕方で光受容体を清掃し、時間と共に光受容体の厚みを変化させる。このような研磨を行なわなくても、光受容体の厚みは、通常、システム内の種々の他の装置、例えば、転写ローラーとの接触摩擦を通じて、時間に伴う使用により減少する。例えば、電荷搬送層の厚み減少・対・印刷回数のグラフである図6の「公称」曲線を参照されたい。光受容体の性質上、その厚みが変化すると、その静電性能も変化する。
【0003】
光伝導体の表面層が著しく磨耗すると、通常、印刷クオリティの欠陥が現れ始める。例えば、有機光伝導体ドラムでは、電荷搬送層(CTL)である光伝導体外側層が著しく磨耗した後に、電荷欠乏スポット(CDS)が出力プリントに現れる。このような種類の欠陥を回避するために、あるゼログラフィック装置は、ページカウンタを使用して、所定数のプリントが行われた後に、光伝導体の使用を単に停止するか、或いは光伝導体を交換すべきであることを少なくとも知らせる。光伝導体は、通常、交換費用が若干高いために、これら装置の寿命は、プリントエンジンの全体的な運転コストに著しく影響し得る。実際に、これは、多くのタンデムカラーゼログラフィックマシンの部品コストに最も貢献するものの1つである。
【0004】
多くのゼログラフィックエンジン、特に、カラーゼログラフィックエンジンは、図1ないし3に示すように、バイアス式荷電ローラー(BCR)のような接触及び/又は密接接近型AC荷電装置を使用する。接触及び/又は密接接近型荷電装置は、通常、プリントエンジンの特定の幾何学形状と共に変化するエアブレークダウンに対する所要スレッシュホールド電圧VTHを越えるようにDCオフセットバイアスを伴うAC波形を使用して、希望の光受容体荷電特性を発生する。装置自体は、光受容体に接触してもよいが、接触は、コロナが光受容体に接触するか又は密接接近状態にあるための必要な条件ではなく、高い速度で光受容体の磨耗を招く。それ故、ここに開示する実施形態から、装置表面と光受容体との間にエアギャップをもつ荷電装置が有益である。
【0005】
ACピーク−ピーク電圧荷電アクチュエータの関数としての光伝導体の電位の典型的な応答が、図4に示されている。この曲線におけるアクチュエータ飽和点の位置は、通常、荷電曲線の「膝(knee)」(アクチュエータを更に増加しても光伝導体の出力荷電電圧に著しく影響しない点)と称される。通常、AC荷電装置の場合に、ACピーク−ピークアクチュエータがこの膝値より低い状態で動作されるときには、得られる印刷クオリティが非均一になる。更に、ある条件の下では、荷電曲線の膝に近いが、依然それより若干高いアクチュエータ値の場合に、ある程度の印刷クオリティの欠陥が生じ得る。この発生し得る欠陥の一形式は、荷電膝と、背景消滅点(BDP)として知られたVp-p値との間に生じる明暗スポットパターン(ごま塩ノイズと同様の)である。BDP欠陥の結果として現れる斑点は、通常、BDPスポットと称される。BDPスポットの発生を防止するために、AC荷電アクチュエータをBDPより上の安全な値に維持することが必要である。従って、接触及び/又は密接接近型AC荷電装置を使用するほとんどのゼログラフィックエンジンでは、荷電アクチュエータが、曲線の膝より充分に高い値で作動され、プロセスに変動があっても、受け容れられる出力プリントのクオリティが確保される。
【0006】
BDPスポット欠陥は、特定のゼログラフィックエンジン及び/又は光伝導体にもよるが、数百回以上の多数のプリントが実行された後に発生が止むと思われるが、最初のプリントから欠陥を排除するのが好ましい。エージングに関係した作用は、ACアクチュエータを光伝導体の寿命の早期にBDP値より若干高く操縦する必要があるが、印刷回数の特定のスレッシュホールドに到達すると、AC荷電アクチュエータを荷電曲線の膝に向けて減少することができる。
【0007】
接触及び/又は密接接近AC荷電装置を使用するゼログラフィックシステムでは、荷電装置による光伝導体表面への正イオン付着の結果として光伝導体の磨耗率が加速される。これらの正イオンは、光伝導体の表面と相互作用し、研磨及び磨耗をより受け易くなると考えられる。荷電中に光伝導体の表面に付着される正イオンの数が多いほど、光伝導体の表面物質がより迅速に磨耗する。更に、荷電膝電圧を越える量が大きいほど、荷電波形の各サイクル中に発生される正及び負の両イオンの数が多くなる。これが、例えば、図5に示されており、この図は、荷電アクチュエータ電圧が膝値より増加するときの光伝導体への正電荷付着の量を指示するシミュレーション結果を示している。従って、荷電装置に印加されるAC荷電電圧の大きさは、光伝導体の表面に生じる正電荷付着の量に著しく影響し得る。所与のDCオフセット電圧に対して、荷電膝より上の印加AC電圧のピーク−ピーク振幅が大きいほど、通常、各荷電サイクル中にPC表面に付着される正電荷の量が多くなる。この場合も、荷電装置により光伝導体の表面に付着される正電荷の量が多いほど、PC表面は、より迅速に磨耗する。従って、荷電曲線の膝より上の荷電アクチュエータの距離を常に最小にすることが強く望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
接触及び/又は密接接近のAC荷電装置を使用する多くのゼログラフィックシステムでは、AC荷電アクチュエータが能動的に調整されない。AC荷電アクチュエータとは、通常、定電圧モード荷電の場合はAC電圧波形の振幅であり、又は定電流モード荷電の場合はAC電流設定である。しかしながら、AC荷電装置のDCオフセット電圧は、多くのエンジンでは、一貫した出力を維持する上で助けとなるように、通常のプロセス制御の一部分として調整される。多くのゼログラフィックプリントエンジンのAC荷電アクチュエータ値が決定され、そしてエンジンの初期設計の一部分としてセットされる。従って、AC荷電アクチュエータは、固定されたままであり、通常のオペレーション中に能動的に調整されない。印刷クオリティの欠陥は、荷電アクチュエータ値が膝に近いか又はそれより低い場合に発生することが分かっているので、プロセスの振舞いの変化が荷電出力電圧の変化を招くことがないように確保するために、通常、ACアクチュエータの大きな設計値が選択される。しかしながら、これらの大きなアクチュエータ値では、より多くの正のイオンが各荷電サイクル(AC波形の各サイクル)中に光伝導体の表面に付着されることになる。この場合も、光伝導体の磨耗率は、その表面への正の電荷付着の量に関係し、正の電荷付着量が増加すると、光伝導体の予想寿命の短縮を生じる。従って、設計時点で、荷電アクチュエータの印刷クオリティの寛容度と、光伝導体の表面に付着される余計な正電荷の量、ひいては、装置の予想磨耗率との間で兼ね合いがなされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、ゼログラフィックエンジンに使用される接触及び/又は密接接近荷電装置のAC荷電設定を、荷電スレッシュホールドVkneeの測定値に基づくと共に、おそらく印刷クオリティに関係したパラメータの測定値にも基づいて、能動的に調整することにより、ゼログラフィックエンジンにおける光伝導体の寿命を著しく改善する。これら実施形態では、AC荷電アクチュエータ(ピーク−ピーク電圧又はAC電流)を能動的に調整して、光伝導体の表面に付着される正の電荷の量を減少し、これにより、図6の「減少BCR」曲線で示すようにその寿命を延長する一方、アクチュエータ設定と、荷電曲線の膝及び/又は必要な印刷クオリティの欠陥スレッシュホールドとの間に許容距離を維持し、荷電に関係した印刷クオリティ欠陥のおそれを最小にする。
【0010】
接触及び/又は密接接近AC荷電アクチュエータ動作値(アクチュエータ)の選択は、光伝導体装置寿命の観点から非常に重要である。というのは、PC表面上に正電荷が付着すると、接触及び/又は密接接近AC荷電装置をもつ多くのゼログラフィックシステムにおいてPC磨耗率を推し進めるからである。荷電アクチュエータ動作値は、定電圧荷電装置の場合は荷電波形のピーク−ピーク電圧値であり、定電流荷電装置の場合はAC電流値である。AC荷電アクチュエータ設定の選択に関する別の問題は、光伝導体上に得られる荷電電圧Vhighの均一性である。Vhighの非均一性は、ゼログラフィック装置の出力における望ましからぬ非均一性へと換算される。AC荷電アクチュエータ値が低過ぎると、荷電からVhigh出力にこの形式の非均一性を招く傾向となる。従って、これら実施形態によりAC荷電アクチュエータの適切な値を選択することで、光伝導体の寿命の延長に加えて、印刷クオリティの欠陥の発生を防止することができる。
【0011】
これら実施形態を達成するために、光伝導体の表面電位の測定が有用である。表面電位は、静電電圧計(ESV)を使用して測定することができ、及び/又はBCR又はBTR、高電圧電源からの測定値を使用して光伝導体の厚みを推定することができる。しかしながら、ESVは、ESVを予め含んでいないエンジン、特に、多数の光伝導体及び/又はマーキングエンジンを含むカラーゼログラフィック装置において実施するのにコストがかかる。又、システム判断及び閉ループプロセス制御のために動的な静電電圧計としてバイアス転写ロールを使用する別の形態は、BTRに使用されるエラストマーの予想し得ないエージング作用及び他のファクタのために不正確さを被っている。従って、参考としてここに援用する米国特許出願第11/644,277号(ゼロックスドケットNo.20051608−US−NP)に開示されたバイアス荷電ローラーを使用する方法が、可能なときには精度のために好ましい。光伝導体の表面電位(VPC)の測定値を使用して、膝の位置を決定することができ、そしてこれら実施形態では、それに応じてACアクチュエータを調整することができる。これら実施形態のルーチンを、周期的に、例えば、サイクルアップ又はサイクルダウン中に、或いは多数のプリントごとに実行して、それが使用されたゼログラフィック装置の一貫した出力を確保することができる。
【0012】
これら実施形態を達成するために、荷電に関係した印刷クオリティの欠陥の発生及び/又はレベルの測定も有用である。これらの測定は、種々の技術及びセンサを使用して得ることができる。例えば、ゼログラフィックプリントエンジンでは、CDS及びBDP欠陥のような構造化映像の印刷クオリティの欠陥を検出するために、その場の(in situ)スキャンバーセンサーを使用することができる。これらのセンサは、このような印刷クオリティの欠陥に関係した発生、サイズ及び他の特性を検出するのに使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すれば、実施形態の特徴を組み込んだ複写機又はレーザプリンタのようなゼログラフィック装置100が概略的に示されている。図示された実施形態を参照して詳細に説明するが、多数の別の実施形態も使用できることを理解されたい。更に、本発明の精神から逸脱せずに、適当なサイズ、形状、又は形式の要素又は材料を使用することができる。
【0014】
図1に示すように、ゼログラフィック装置100は、一般に、カラー(又はブラック)トナーを付与できる各々実質的に同の一構造の少なくとも1つの像形成装置110を備えている。図1の例では、4つの像形成装置110があって、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及び/又はコパ/ブラックのトナーを付与することができる。像形成装置110は、トナーを中間転写ベルト111へ付与する。この中間転写ベルト111は、少なくとも1つの張力ローラー113、操向ローラー114、及び駆動ローラー115の周りに取り付けられる。駆動ローラー115が回転すると、中間転写ベルト111を矢印116の方向に移動し、中間転写ベルト111の経路に沿って配置された種々の処理ステーションを通して中間転写ベルト111を前進させる。各像形成装置110により適宜トナーを付着させることでベルト111上にトナー像が完成されると、完成したトナー像は、転写ステーション120へ移動される。転写ステーション120は、搬送システム140によりこの転写ステーションへ運ばれたペーパー又は他の媒体130にトナー像を転写する。この媒体は、次いで、溶融ステーション150へ通され、トナー像を媒体130に定着させる。多くのゼログラフィック装置100は、図示されたようにそしてこの実施形態により、シート型媒体130へ像トナーを転写するために少なくとも1つのバイアスされた転写ローラー124を使用しているが、この実施形態では、その広い観点から逸脱せずに、連続する媒体ロール又は他の形態の媒体を使用できることも理解されたい。
【0015】
図1に示すように、転写ステーション120は、中間転写ベルト111の片側に少なくとも1つのバックアップローラー122を備えている。このバックアップローラー122は、バイアスされた転写ローラー124とでベルト111に挟み部を形成し、従って、媒体130は、中間転写ベルト111の完成したトナー像に密接接近するか又はそれに接触して転写ローラー124上を通過する。転写ローラー124は、バックアップローラー122と共に動作して、例えば、スチールローラーのような転写ローラー124の表面に高電圧を印加することによりトナー像を転写する。バックアップローラー122は、接地されたシャフト126に取り付けられ、これは、トナー像を中間転写ベルト111から基板130へ引っ張る電界を生成する。シート搬送システム140は、次いで、媒体130を溶融ステーション150へ、そして取り扱いシステム、捕獲トレー、等(図示せず)へ向ける。
【0016】
或いは又、この実施形態において、バックアップローラー122は、バイアスされたシャフトに取り付けることができる。上述したように、バイアスされた転写ローラー124は、最初に、接地されたシャフト126に取り付けられ、これは、中間転写ベルト111から基板130へトナー像を引っ張る電界を生成する。或いは又、バックアップローラー122のシャフトをバイアスする一方、バイアスされた転写ローラー124のシャフト126を接地してもよい。シート搬送システム140は、次いで、媒体130を溶融ステーション150へ、そして取り扱いシステム、捕獲トレー、等(図示せず)へ向ける。
【0017】
一例として図2に示す1つの像形成装置110を参照すれば、各像形成装置110は、光受容体200(PC)と、荷電ステーション又はサブシステム210と、レーザスキャニング装置又はサブシステム220、例えば、ラスタ化出力スキャナ(ROS)と、トナー付着ステーション又はサブシステム230と、前転写ステーション又はサブシステム240と、転写ステーション又はサブシステム250と、前清掃ステーション又はサブシステム260と、清掃/消去ステーション270とを備えている。この実施形態の光受容体210は、ドラムであるが、他の形式の光受容体もおそらく使用できる。この実施形態の光受容体ドラム210は、光伝導層204の表面202を含み、その上に静電荷を形成することができる。光伝導層204は、シリンダー206上に取り付け又は形成することができ、シリンダーは、シャフト208において矢印209の方向に回転するように取り付けられる。
【0018】
この実施形態の荷電ステーション210は、高電圧電源(図3に示す)により供給されるDCバイアスのAC電圧を使用して光受容体200を荷電するバイアスされた荷電ローラー212を備えている。このバイアスされた荷電ローラー212は、スチールシリンダーのような内部シリンダー216上に形成されるか又は取り付けられたエラストマー層215の表面214を含むが、適当な伝導性材料を使用することができる。ローラー212は、ローラー212の長手軸に沿って延びるシャフト218と共に回転するように取り付けられるのが好ましい。
【0019】
この実施形態のレーザスキャニング装置220は、ダイオードレーザのようなレーザ224の出力を変調するコントローラ222を備え、その変調されたビームは、モータ228により回転される回転ミラー又はプリズム226を照らす。ミラー又はプリズム226は、その変調されたレーザビームを荷電PC表面202へ反射し、PC表面202の巾を横切ってそれをパンし、従って、変調されたビームは、PC表面202にプリントされるべき像の線221を形成することができる。プリントされるべき像の露光された部分は、トナー付着ステーション230へと進み、ここで、トナー232が光伝導体の露光された部分に接着する。接着トナーを伴うPCの像領域は、次いで、前転写ステーション240へ通過し、次いで、転写ステーション250へ通過する。
【0020】
転写ステーション250は、中間転写ベルト111にトナー像を転写するためにPC200とで中間転写ベルト111に挟み部253を形成するように構成されたバイアスされた転写ローラー252を備えている。この実施形態では、バイアスされた転写ローラー252は、内側シリンダー256上に形成され又は取り付けられるエラストマー層254を備え、そしてローラー252は、ローラー252の長手軸に沿って延びるシャフト258に取り付けられる。バイアスされた転写ローラー252は、通常、図3に示すような高電圧電源352により供給されるDC電位を保持する。ローラー252に印加される電圧は、光受容体表面202から中間転写ベルト111へトナー像231を引き出す。転写の後に、PC表面202は、前清掃サブシステム260へ回転し、次いで、清掃/消去サブステーション270へ回転し、そこで、ブレード272がPC表面202から過剰トナーを削り取り、そして消去ランプ274がPC表面上の残留電荷をイコライズする。
【0021】
図3を参照すれば、ゼログラフィック装置100の電子制御システム310は、少なくとも1つの各サブシステムに接続された少なくとも1つのサブシステムコントローラを含むことができる。図3に示す例では、3つのサブシステムコントローラ340、340’、及び340”が、ローカル転写サブシステム250、メイン転写サブシステム120、及び荷電サブシステム210に各々接続される。この実施形態の少なくとも1つのサブシステムコントローラ340、340’、340”の各々は、動作モード装置344、344’、344”と、診断モードで選択的に動作する装置346、346’、346”及びベースラインモードで選択的に動作する装置348、348’、348”とを備えている。コントローラ310は、更に、マイクロプロセッサ356を備え、これは、メモリ装置360を含むことができると共に、コード及び電圧評価装置354、354’、354”に応答して診断メッセージ364、364’、364”を発生することができる。これら診断メッセージは、ゼログラフィック装置のユーザインターフェイス(図示せず)に表示することができる。マイクロプロセッサ356は、第1転写サブシステム250、第2転写サブシステム120、及び荷電サブシステム210の高電圧電源352、352’、352”に各々接続されるのが好ましい。1つの電源は、制御電流及び/又は制御電圧をメイン転写サブシステムのバイアスされた転写ローラー122へ供給し、別の電源は、制御電流及び/又は制御電圧を1つの又は各バイアスされた荷電ローラー212へ供給し、そして別の電源は、制御電流及び/又は制御電圧を1つの又は各ローカルのバイアスされた転写ローラー252へ供給する。バイアスされた荷電ローラー212は、DCバイアスのAC高電圧電源352”によりしばしば給電される。バイアスされた荷電ローラー212に与えられるDC成分は、通常、一定制御電圧に維持され、AC成分は、通常、一定制御電流で作用される。バイアスされた転写ローラー252は、一定制御電流或いは一定制御電圧モードのいずれかで動作されるDC高電圧電源352’によりしばしば給電される。荷電又は転写ローラーの電圧又は電流設定点は、時間と共に変化し得る。
【0022】
前記で一般的に述べたように、この実施形態では、ゼログラフィックプリントエンジンのAC荷電アクチュエータが能動的に調整される。図1ないし4に例示する装置では、ACバイアスされる荷電ローラー212を定電流又は定電圧モードのいずれかで使用することができ、そしてこれらのいずれかを必要に応じて調整して、ゼログラフィック出力及び光受容体寿命を同時に最適化することができる。この実施形態は、上述したように、接触及び/又は密接接近AC荷電装置の適切な状態に使用できることに注意されたい。注目すべきことに、荷電装置は、この種類の装置では光受容体に接触する必要がなく、コロナ放電それ自体を、光受容体の表面に対して、例えば、500μm以下に密接接近させることができる。
【0023】
AC荷電アクチュエータを適切に調整するために、この実施形態では、ACピーク−ピーク電圧・対・光受容体表面電位曲線上の荷電膝を最初に決定するのが好ましい。このような曲線が図4に一例として示され、これは、膝値を決定する種々の方法の説明を助けるためにマーキングを含む。設計膝値又はDCバイアス電圧値を使用して、所与の一連のピーク−ピーク電圧に対する表面電圧を測定できる範囲を確立し、実際の膝値を決定することができる。実際の膝値が分ると、印刷クオリティに関係した欠陥の測定を行い、これを使用して、荷電アクチュエータの適切な選択を誘導することができる。従って、この実施形態では、荷電膝値及び印刷クオリティ欠陥測定値を使用して、光伝導体の寿命を延長すると同時に印刷クオリティを向上できる適当な動作アクチュエータ電圧を確立することができる。
【0024】
図4の例示的曲線に見られるように、ACピーク−ピーク電圧曲線の傾斜は、荷電バイアス電圧がエアブレークダウンのスレッシュホールド電圧VTHを越えるまでゼロのままである。スレッシュホールド電圧に達すると、出力光伝導体電圧が、入力AC荷電アクチュエータと共に直線的に増加する。この関係は、最大光受容体電圧に到達するまで続き、その後、荷電ローラーのピーク−ピーク電圧を増加しても、光受容体表面電圧は著しく変化しない。最大PC電圧へのこの遷移点が曲線の「膝(knee)」である。最大PC荷電電圧は、通常、荷電ローラーに印加されるDCバイアス電圧に等しいか又はそれより若干低い。又、荷電曲線の膝におけるアクチュエータ値は、エアブレークダウンが生じるスレッシュホールド電圧の2倍に実質的に等しい。
【0025】
図8に示すように、ピーク−ピーク電圧Vp-pは、荷電膝Vp-p、kneeの各側の荷電アクチュエータ(電流)と実質的に直線関係を有する。傾斜は、膝の各側で異なり、これは、以下に述べるように、Vp-p、kneeの値を決定するための付加的な方法を許す。
【0026】
従って、図9を参照すれば、AC荷電アクチュエータを調整する方法900は、910でスタートし、膝電圧値を決定し(920)、次いで、動作荷電アクチュエータを、ある所定インターバルで膝値より高く設定する(921)。荷電膝と、荷電アクチュエータ値の選択との間の望ましい電圧差は、均一な荷電出力を確保すると共に、望ましからぬ印刷欠陥の発生を防止するように選択される。例えば、BDPスポット欠陥は、ある小さなデルタ内又は荷電膝より上の範囲内の荷電アクチュエータ値に対して生じることが知られている。この実施形態では、荷電膝と望ましいアクチュエータ設定との間の選択されたデルタは、BDPスポット欠陥の発生のスレッシュホールドより若干高くなるように選択される。更に、荷電膝と、選択されたアクチュエータ設定との間のこのデルタは、膝値と共に可変であるか、又はプロセスの他の測定値と共に可変であるのが好ましい。例えば、BDPスポット欠陥の発生のスレッシュホールドは、PCの厚みと共に変化することが知られている。従って、光伝導体の推定厚みの関数として膝と荷電アクチュエータ値との間の希望の距離を入念に調整することで、荷電アクチュエータをBDPスポットのスレッシュホールドのすぐ上にのせることができ、これにより、最小のアクチュエータ値を確保し且つPC寿命を最大にすることができる。簡単な実施形態では、この解決策は、プリントエンジンによりなされたプリントの回数のみに基づいてPC厚みを推定し、そしてプリントの回数をPC厚みに関係付ける実験的に導出された方程式を使用するだけで実施することができる。同様の実施形態では、光伝導体のサイクル数を、PC厚みを導出するための指示子として使用することができる。光受容体の厚みは、前記方法を使用してBTR又はBCRと共にその場で決定されるのが好ましい。このように、荷電膝と、選択された荷電アクチュエータとの間のデルタは、受け容れられる出力印刷クオリティを達成しながら最小値を維持するように適切に調整することができる。他の実施形態では、荷電膝電圧は、その場の静電電圧計(ESV)を使用し、又は荷電装置を上述したようにESVとして使用することを含む種々の感知機構を使用して、直接測定することができる。
【0027】
又、他の実施形態において荷電装置コントローラのためのフィードバック感知の好ましい方法は、出力印刷均一性の直接的な尺度である。この形式の感知は、例えば、スキャンバー等の光学的アレーセンサを使用して、印刷されたシート、或いはITB、光伝導体又は他の像保持部材のような像保持部材に印刷された像をスキャンすることで達成できる。このセンサは、BDPスポット欠陥の直接的な測定を行うことができ、それ故、充分なフィードバック情報を与えて、出力印刷クオリティに影響せずに荷電装置設定を最小にすることができる。膝アクチュエータ電圧値、及び荷電均一性又は出力印刷クオリティ性能の幾つかの測定値が分ると、この実施形態により、AC荷電アクチュエータを調整し、ゼログラフィックマシンの出力印刷クオリティを維持する一方、光受容体の寿命を延長することができる。
【0028】
上述したように、荷電曲線の膝の位置は、種々の障害の関数として変化する。例えば、PC表面が磨耗し、薄くなるにつれて、荷電曲線の膝の位置が変化することが知られている。更に、PC及びBCRの温度のような他の障害も、荷電曲線の膝の位置に影響を及ぼす。同様に、BDPスポットのような荷電に関係した印刷クオリティ欠陥の発生に対するスレッシュホールドの位置も、通常、印刷システムの寿命及び動作全体にわたって静的ではない。これらのファクタが、荷電膝の位置、及び荷電に関係した印刷クオリティ欠陥に対するアクチュエータスレッシュホールドの位置に影響するために、荷電アクチュエータの最適な静的値を設計時に決定することができない。むしろ、この開示において要約したように、荷電アクチュエータは、プリンタが動作しているときに、最大のPC寿命を確保する一方、受け容れられる出力印刷クオリティも保証するために、能動的に調整しなければならない。荷電の振舞い、ひいては、荷電膝の位置及び荷電に関係した印刷クオリティ欠陥の発生に影響するほとんどの障害は、その性質が非常に低速であり、通常、荷電の膝が明らかに移動するには数百回又は数千回の印刷を要する。荷電の膝位置の変化が低速である結果、この実施形態を具現化するために、荷電コントローラは、荷電性能をサンプリングし、そして非常に低い割合でアクチュエータ値に対する調整を行なわねばならない。
【0029】
膝電圧値を直接測定し、それを、必要な荷電アクチュエータ設定を計算するための基礎として使用するのではなく、標準偏差で示されるVhigh電圧のノイズレベルを使用して、AC荷電アクチュエータに対する望ましい動作点を決定することができる。これは、ESVがもしあれば、これで行うこともできるし、或いは上述したBTR又はBCRで行うことができる。図9を再び参照すれば、ACアクチュエータのスイープ(ブロック940)は、図4に示したものと同様の光受容体表面電圧応答を発生する。このデータにおいて、報告された電圧値を非常に大きなエリアにわたって平均化して、得られる信号のノイズレベルを下げることができる。しかしながら、電圧センサにより見られる非均一性を除去するために平均化するのではなく、この非均一性情報を、標準偏差を使用して当該信号として使用することができる。電圧検出信号の標準偏差をAC荷電アクチュエータの関数としてプロットすることで(941)、図7に示したものと同様の曲線が得られる。図7における垂直の点線は、静電電圧計(ESV)を使用して測定された荷電曲線の膝の位置を指示する。このプロットから、膝の値において電圧検出器により測定されたPC電荷レベルの非均一性に段階的変化があることが明らかである。標準偏差曲線の分析によりどんな電圧値で段が生じるかの決定(942)をコントローラにより使用して、AC荷電アクチュエータが作用すべき最適なポイントを決定することができる。この実施形態のコントローラは、標準偏差センサのノイズレベルが実質的に増加するのを防止するために充分大きなアクチュエータ設定を維持しながら、荷電アクチュエータを最小にするように試みるのが好ましい。この形式の感知機構は、非常に安価なセンサを使用して得ることができる。というのは、荷電曲線の膝の位置の入念な測定が必要とされないので、センサの絶対的精度があまり重要でないからである。この種の技術を使用すると、出力印刷に非均一性が生じるのを防止するために充分な荷電アクチュエータを維持することが依然必要である。BDPスポットは、比較的小さな欠陥であるために、電圧検出器がそれらの存在を感知する前に非常に多数のスポットがおそらく存在することになろう。従って、BDPスポット欠陥を最小にするために、PCの寿命において早期に、電圧検出器のデータにより暗示されるものより若干控え目な設定をとることがおそらく必要である。しかしながら、この控え目な設定は、多くのケースにおける典型的なAC荷電アクチュエータ動作ポイントより、依然として、実質的に低いものである。更に、BDPスポット欠陥の発生は、光伝導体装置の年齢に関係していると思われ、古いPC装置ほど、BDPスポット欠陥をあまり受けないと思われるので、当該PC装置についてページ計数のスレッシュホールドに到達すると、ACアクチュエータ設定を更に減少することができる。
【0030】
いずれの形式の電圧検出器も使用せずに荷電コントローラに対するフィードバックを得るための別の方法は、種々のAC荷電設定に対してマシンの出力を分析することである。例えば、マシンは、ユーザから直接フィードバックを得ることができる。図9を再び参照すれば、マシンは、各ページを印刷するために種々のAC荷電設定を使用して校正シートのセットを印刷することができる(950)。マシンは、ユーザの評価と、最も受け容れられるシートの入力、好ましくは、ユーザが受け容れられる印刷クオリティを生じたと思われる最低の荷電設定とを要求することができる(951)。コントローラは、次いで、選択されたシートに関連した値にアクチュエータをセットすることができる(952)。
【0031】
ユーザの介入を回避するために、線形光学アレーセンサ、或いは全巾アレー(FWA)と時々称されるものは、ここに提案する荷電コントローラと共に使用するための別の考えられる感知機構である。その場のスキャンバー形式のセンサを使用して、マシン内の望ましい位置で質量パターンの像を得ることができる。これは、中間転写ベルトのような中間基板上にあってもよいし、又はマシンから出る前の媒体上に直接あってもよい。従って、システムは、シートを印刷した後(950)、又は少なくともプリントエンジン内で中間基板上にそれらを像形成した後、FWAでシート/像をスキャンする(953)。システムは、FWAからのデータを分析し、BDPスポット欠陥を含む種々の種類の荷電関係非均一性を、記憶された所定の基準に対して検出し(954)、そして最も受け容れられるスキャン像に関連した設定を使用する(952)。この形式のセンサを使用して、荷電に関係した欠陥の発生を自動的に感知して追跡し、そしてユーザの支援を要求せずに荷電アクチュエータを適切に調整することができる。
【0032】
荷電膝値が使用されるときには、図10を参照すれば、膝値を見出す方法1000は、1010でスタートし、膝より低いピーク−ピーク電圧Vp-pの複数の値に対して光受容体の表面電圧を決定する(1020)。これらの測定は、バイアスされる荷電ローラー1021、バイアスされる転写ローラー1022、ESV1023、又は表面電圧の適度に正確な測定値を与える他の方法を使用して行なうことができる。膝より低い測定値を使用すると、表面電位・対・Vp-p曲線の傾斜部分を表わす最良適合線を「描く」ことができる(1024)。膝より上で付加的な表面測定を行うことができ(1025)、そして膝より上の値に対して最良の適合線を「描く」ことができる(1026)。最良適合線の交点は、膝の位置を決定し(1027)、決定ルーチンを終了させる(1040)。上述したように、光受容体の表面電圧VPCを測定する方法を使用して、BCRをエレクトロ・ダイナミック電圧計として使用することができる。或いは又、上述したように、BTRを使用して、表面電圧を測定することができる。もちろん、ゼログラフィック装置にESVが装備されている場合には、このESVを使用して、光受容体表面電位のこれら測定を行うことができる。
【0033】
上述したように最良適合線の交点を見出すのとは別に、図4に見られる光受容体表面電圧・対・ピーク−ピーク電圧曲線の傾斜部分(膝より下)のy切片を使用して見出すことのできるスレッシュホールド電圧Vp-p、kneeから膝電圧を決定することができる。この別の態様では、膝より下の最良適合線1024が、表面電圧軸上で膝より下の最良適合線の切片値を決定するよう拡張される(1028)。次いで、切片値VPC(intercept)を使用し、式VTH=2*(VDC−VPC(intercept))を使用してスレッシュホールド電圧膝電圧を見出すことができ(1029)、但し、VDCは、バイアスされた荷電ローラーのシャフトに印加されるDCバイアスである。次いで、式Vknee=2*VTH1030を使用して膝値が計算される。
【0034】
Vp-p、kneeを見出すための付加的な別の仕方が、図8を参照して、図10に示されている。図8は、アクチュエータ電流・対・Vp-pを示す。この別の仕方が開始されると、膝より下の荷電アクチュエータの少なくとも2つの電流値に対してVp-pを測定し(1060)、そして膝より上の少なくとも2つの電流値を測定する(1061)。それに続いて、膝より上及び下の測定値に対して線を適合させる(1062)。線の交点を見出すと(1063)、Vp-p、kneeの値が得られる(1040)。
【0035】
要約すれば、本発明の実施形態は、AC荷電装置設定の能動的な調整を介してゼログラフィックシステムにおけるPCの寿命を改善する方法を提供する。特に、PC表面の磨耗率に著しく影響する接触及び/又は密接接近AC荷電装置からの望ましからぬ種子の電荷付着を、本発明の実施形態によりAC荷電アクチュエータの攻撃的作用の低減により著しく減少することができる。従って、本発明の実施形態は、光伝導体の磨耗を実質的に減少するようにAC荷電アクチュエータを能動的に調整する一方、望ましからぬ印刷クオリティ又は他の副作用を必要に応じて防止し、常に健全な荷電性能を確保するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態を使用できるゼログラフィック装置の概略図である。
【図2】実施形態を使用できる像形成装置であって、図1に示すようなゼログラフィック装置の一部分である像形成装置の概略図である。
【図3】実施形態に使用されるコンポーネントの概略図である。
【図4】光受容体の表面電位・対・ピーク−ピークバイアス荷電ローラー電圧Vp-pを示すグラフである。
【図5】正電荷付着・対・Vp-pとVkneeとの差を示すグラフである。
【図6】典型的なゼログラフィックマシンの場合の光受容体/電荷搬送層厚みロス・対・印刷回数を、実施形態によるACアクチュエータ調整を使用するゼログラフィックマシンの場合と比較したグラフである。
【図7】検出電圧・対・AC荷電アクチュエータ(電圧)の標準偏差を示すグラフである。
【図8】実施形態によるAC荷電アクチュエータ(電流)・対・Vp-pを示すグラフである。
【図9】実施形態によりACアクチュエータを調整する方法のフローチャートである。
【図10A】実施形態によりVp-p、kneeを決定する方法のフローチャートである。
【図10B】実施形態によりVp-p、kneeを決定する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
100:ゼログラフィック装置
110:像形成装置
111:中間転写ベルト
120:転写ステーション
122:バックアップローラー
124:バイアスされた転写ローラー
126:シャフト
130:媒体
140:シート搬送システム
150:溶融ステーション
200:光受容体(PC)
204:光伝導層
206:シリンダー
208:シャフト
210:荷電ステーション
212:バイアスされた荷電ローラー
215:エラストマー層
216:内側シリンダー
218:シャフト
220:レーザスキャン装置
222:コントローラ
224:レーザ
226:回転ミラー
228:モータ
230:トナー付着ステーション
240:前転写ステーション
250:転写ステーション
252:バイアスされた転写ローラー
253:挟み部
260:前清掃ステーション
270:清掃/消去ステーション
300:電子制御システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼログラフィックエンジンにおける光伝導体の寿命の改善に係る。
【背景技術】
【0002】
ゼログラフィック複写装置は、ドラム又はベルトの形態の光受容体を使用して静電像を生成し、その上にトナーを付着して、別のベルト又はドラムへ転写する。トナー像が転写されると、ほとんどのゼログラフィック装置は、表面を研磨する仕方で光受容体を清掃し、時間と共に光受容体の厚みを変化させる。このような研磨を行なわなくても、光受容体の厚みは、通常、システム内の種々の他の装置、例えば、転写ローラーとの接触摩擦を通じて、時間に伴う使用により減少する。例えば、電荷搬送層の厚み減少・対・印刷回数のグラフである図6の「公称」曲線を参照されたい。光受容体の性質上、その厚みが変化すると、その静電性能も変化する。
【0003】
光伝導体の表面層が著しく磨耗すると、通常、印刷クオリティの欠陥が現れ始める。例えば、有機光伝導体ドラムでは、電荷搬送層(CTL)である光伝導体外側層が著しく磨耗した後に、電荷欠乏スポット(CDS)が出力プリントに現れる。このような種類の欠陥を回避するために、あるゼログラフィック装置は、ページカウンタを使用して、所定数のプリントが行われた後に、光伝導体の使用を単に停止するか、或いは光伝導体を交換すべきであることを少なくとも知らせる。光伝導体は、通常、交換費用が若干高いために、これら装置の寿命は、プリントエンジンの全体的な運転コストに著しく影響し得る。実際に、これは、多くのタンデムカラーゼログラフィックマシンの部品コストに最も貢献するものの1つである。
【0004】
多くのゼログラフィックエンジン、特に、カラーゼログラフィックエンジンは、図1ないし3に示すように、バイアス式荷電ローラー(BCR)のような接触及び/又は密接接近型AC荷電装置を使用する。接触及び/又は密接接近型荷電装置は、通常、プリントエンジンの特定の幾何学形状と共に変化するエアブレークダウンに対する所要スレッシュホールド電圧VTHを越えるようにDCオフセットバイアスを伴うAC波形を使用して、希望の光受容体荷電特性を発生する。装置自体は、光受容体に接触してもよいが、接触は、コロナが光受容体に接触するか又は密接接近状態にあるための必要な条件ではなく、高い速度で光受容体の磨耗を招く。それ故、ここに開示する実施形態から、装置表面と光受容体との間にエアギャップをもつ荷電装置が有益である。
【0005】
ACピーク−ピーク電圧荷電アクチュエータの関数としての光伝導体の電位の典型的な応答が、図4に示されている。この曲線におけるアクチュエータ飽和点の位置は、通常、荷電曲線の「膝(knee)」(アクチュエータを更に増加しても光伝導体の出力荷電電圧に著しく影響しない点)と称される。通常、AC荷電装置の場合に、ACピーク−ピークアクチュエータがこの膝値より低い状態で動作されるときには、得られる印刷クオリティが非均一になる。更に、ある条件の下では、荷電曲線の膝に近いが、依然それより若干高いアクチュエータ値の場合に、ある程度の印刷クオリティの欠陥が生じ得る。この発生し得る欠陥の一形式は、荷電膝と、背景消滅点(BDP)として知られたVp-p値との間に生じる明暗スポットパターン(ごま塩ノイズと同様の)である。BDP欠陥の結果として現れる斑点は、通常、BDPスポットと称される。BDPスポットの発生を防止するために、AC荷電アクチュエータをBDPより上の安全な値に維持することが必要である。従って、接触及び/又は密接接近型AC荷電装置を使用するほとんどのゼログラフィックエンジンでは、荷電アクチュエータが、曲線の膝より充分に高い値で作動され、プロセスに変動があっても、受け容れられる出力プリントのクオリティが確保される。
【0006】
BDPスポット欠陥は、特定のゼログラフィックエンジン及び/又は光伝導体にもよるが、数百回以上の多数のプリントが実行された後に発生が止むと思われるが、最初のプリントから欠陥を排除するのが好ましい。エージングに関係した作用は、ACアクチュエータを光伝導体の寿命の早期にBDP値より若干高く操縦する必要があるが、印刷回数の特定のスレッシュホールドに到達すると、AC荷電アクチュエータを荷電曲線の膝に向けて減少することができる。
【0007】
接触及び/又は密接接近AC荷電装置を使用するゼログラフィックシステムでは、荷電装置による光伝導体表面への正イオン付着の結果として光伝導体の磨耗率が加速される。これらの正イオンは、光伝導体の表面と相互作用し、研磨及び磨耗をより受け易くなると考えられる。荷電中に光伝導体の表面に付着される正イオンの数が多いほど、光伝導体の表面物質がより迅速に磨耗する。更に、荷電膝電圧を越える量が大きいほど、荷電波形の各サイクル中に発生される正及び負の両イオンの数が多くなる。これが、例えば、図5に示されており、この図は、荷電アクチュエータ電圧が膝値より増加するときの光伝導体への正電荷付着の量を指示するシミュレーション結果を示している。従って、荷電装置に印加されるAC荷電電圧の大きさは、光伝導体の表面に生じる正電荷付着の量に著しく影響し得る。所与のDCオフセット電圧に対して、荷電膝より上の印加AC電圧のピーク−ピーク振幅が大きいほど、通常、各荷電サイクル中にPC表面に付着される正電荷の量が多くなる。この場合も、荷電装置により光伝導体の表面に付着される正電荷の量が多いほど、PC表面は、より迅速に磨耗する。従って、荷電曲線の膝より上の荷電アクチュエータの距離を常に最小にすることが強く望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
接触及び/又は密接接近のAC荷電装置を使用する多くのゼログラフィックシステムでは、AC荷電アクチュエータが能動的に調整されない。AC荷電アクチュエータとは、通常、定電圧モード荷電の場合はAC電圧波形の振幅であり、又は定電流モード荷電の場合はAC電流設定である。しかしながら、AC荷電装置のDCオフセット電圧は、多くのエンジンでは、一貫した出力を維持する上で助けとなるように、通常のプロセス制御の一部分として調整される。多くのゼログラフィックプリントエンジンのAC荷電アクチュエータ値が決定され、そしてエンジンの初期設計の一部分としてセットされる。従って、AC荷電アクチュエータは、固定されたままであり、通常のオペレーション中に能動的に調整されない。印刷クオリティの欠陥は、荷電アクチュエータ値が膝に近いか又はそれより低い場合に発生することが分かっているので、プロセスの振舞いの変化が荷電出力電圧の変化を招くことがないように確保するために、通常、ACアクチュエータの大きな設計値が選択される。しかしながら、これらの大きなアクチュエータ値では、より多くの正のイオンが各荷電サイクル(AC波形の各サイクル)中に光伝導体の表面に付着されることになる。この場合も、光伝導体の磨耗率は、その表面への正の電荷付着の量に関係し、正の電荷付着量が増加すると、光伝導体の予想寿命の短縮を生じる。従って、設計時点で、荷電アクチュエータの印刷クオリティの寛容度と、光伝導体の表面に付着される余計な正電荷の量、ひいては、装置の予想磨耗率との間で兼ね合いがなされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、ゼログラフィックエンジンに使用される接触及び/又は密接接近荷電装置のAC荷電設定を、荷電スレッシュホールドVkneeの測定値に基づくと共に、おそらく印刷クオリティに関係したパラメータの測定値にも基づいて、能動的に調整することにより、ゼログラフィックエンジンにおける光伝導体の寿命を著しく改善する。これら実施形態では、AC荷電アクチュエータ(ピーク−ピーク電圧又はAC電流)を能動的に調整して、光伝導体の表面に付着される正の電荷の量を減少し、これにより、図6の「減少BCR」曲線で示すようにその寿命を延長する一方、アクチュエータ設定と、荷電曲線の膝及び/又は必要な印刷クオリティの欠陥スレッシュホールドとの間に許容距離を維持し、荷電に関係した印刷クオリティ欠陥のおそれを最小にする。
【0010】
接触及び/又は密接接近AC荷電アクチュエータ動作値(アクチュエータ)の選択は、光伝導体装置寿命の観点から非常に重要である。というのは、PC表面上に正電荷が付着すると、接触及び/又は密接接近AC荷電装置をもつ多くのゼログラフィックシステムにおいてPC磨耗率を推し進めるからである。荷電アクチュエータ動作値は、定電圧荷電装置の場合は荷電波形のピーク−ピーク電圧値であり、定電流荷電装置の場合はAC電流値である。AC荷電アクチュエータ設定の選択に関する別の問題は、光伝導体上に得られる荷電電圧Vhighの均一性である。Vhighの非均一性は、ゼログラフィック装置の出力における望ましからぬ非均一性へと換算される。AC荷電アクチュエータ値が低過ぎると、荷電からVhigh出力にこの形式の非均一性を招く傾向となる。従って、これら実施形態によりAC荷電アクチュエータの適切な値を選択することで、光伝導体の寿命の延長に加えて、印刷クオリティの欠陥の発生を防止することができる。
【0011】
これら実施形態を達成するために、光伝導体の表面電位の測定が有用である。表面電位は、静電電圧計(ESV)を使用して測定することができ、及び/又はBCR又はBTR、高電圧電源からの測定値を使用して光伝導体の厚みを推定することができる。しかしながら、ESVは、ESVを予め含んでいないエンジン、特に、多数の光伝導体及び/又はマーキングエンジンを含むカラーゼログラフィック装置において実施するのにコストがかかる。又、システム判断及び閉ループプロセス制御のために動的な静電電圧計としてバイアス転写ロールを使用する別の形態は、BTRに使用されるエラストマーの予想し得ないエージング作用及び他のファクタのために不正確さを被っている。従って、参考としてここに援用する米国特許出願第11/644,277号(ゼロックスドケットNo.20051608−US−NP)に開示されたバイアス荷電ローラーを使用する方法が、可能なときには精度のために好ましい。光伝導体の表面電位(VPC)の測定値を使用して、膝の位置を決定することができ、そしてこれら実施形態では、それに応じてACアクチュエータを調整することができる。これら実施形態のルーチンを、周期的に、例えば、サイクルアップ又はサイクルダウン中に、或いは多数のプリントごとに実行して、それが使用されたゼログラフィック装置の一貫した出力を確保することができる。
【0012】
これら実施形態を達成するために、荷電に関係した印刷クオリティの欠陥の発生及び/又はレベルの測定も有用である。これらの測定は、種々の技術及びセンサを使用して得ることができる。例えば、ゼログラフィックプリントエンジンでは、CDS及びBDP欠陥のような構造化映像の印刷クオリティの欠陥を検出するために、その場の(in situ)スキャンバーセンサーを使用することができる。これらのセンサは、このような印刷クオリティの欠陥に関係した発生、サイズ及び他の特性を検出するのに使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すれば、実施形態の特徴を組み込んだ複写機又はレーザプリンタのようなゼログラフィック装置100が概略的に示されている。図示された実施形態を参照して詳細に説明するが、多数の別の実施形態も使用できることを理解されたい。更に、本発明の精神から逸脱せずに、適当なサイズ、形状、又は形式の要素又は材料を使用することができる。
【0014】
図1に示すように、ゼログラフィック装置100は、一般に、カラー(又はブラック)トナーを付与できる各々実質的に同の一構造の少なくとも1つの像形成装置110を備えている。図1の例では、4つの像形成装置110があって、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及び/又はコパ/ブラックのトナーを付与することができる。像形成装置110は、トナーを中間転写ベルト111へ付与する。この中間転写ベルト111は、少なくとも1つの張力ローラー113、操向ローラー114、及び駆動ローラー115の周りに取り付けられる。駆動ローラー115が回転すると、中間転写ベルト111を矢印116の方向に移動し、中間転写ベルト111の経路に沿って配置された種々の処理ステーションを通して中間転写ベルト111を前進させる。各像形成装置110により適宜トナーを付着させることでベルト111上にトナー像が完成されると、完成したトナー像は、転写ステーション120へ移動される。転写ステーション120は、搬送システム140によりこの転写ステーションへ運ばれたペーパー又は他の媒体130にトナー像を転写する。この媒体は、次いで、溶融ステーション150へ通され、トナー像を媒体130に定着させる。多くのゼログラフィック装置100は、図示されたようにそしてこの実施形態により、シート型媒体130へ像トナーを転写するために少なくとも1つのバイアスされた転写ローラー124を使用しているが、この実施形態では、その広い観点から逸脱せずに、連続する媒体ロール又は他の形態の媒体を使用できることも理解されたい。
【0015】
図1に示すように、転写ステーション120は、中間転写ベルト111の片側に少なくとも1つのバックアップローラー122を備えている。このバックアップローラー122は、バイアスされた転写ローラー124とでベルト111に挟み部を形成し、従って、媒体130は、中間転写ベルト111の完成したトナー像に密接接近するか又はそれに接触して転写ローラー124上を通過する。転写ローラー124は、バックアップローラー122と共に動作して、例えば、スチールローラーのような転写ローラー124の表面に高電圧を印加することによりトナー像を転写する。バックアップローラー122は、接地されたシャフト126に取り付けられ、これは、トナー像を中間転写ベルト111から基板130へ引っ張る電界を生成する。シート搬送システム140は、次いで、媒体130を溶融ステーション150へ、そして取り扱いシステム、捕獲トレー、等(図示せず)へ向ける。
【0016】
或いは又、この実施形態において、バックアップローラー122は、バイアスされたシャフトに取り付けることができる。上述したように、バイアスされた転写ローラー124は、最初に、接地されたシャフト126に取り付けられ、これは、中間転写ベルト111から基板130へトナー像を引っ張る電界を生成する。或いは又、バックアップローラー122のシャフトをバイアスする一方、バイアスされた転写ローラー124のシャフト126を接地してもよい。シート搬送システム140は、次いで、媒体130を溶融ステーション150へ、そして取り扱いシステム、捕獲トレー、等(図示せず)へ向ける。
【0017】
一例として図2に示す1つの像形成装置110を参照すれば、各像形成装置110は、光受容体200(PC)と、荷電ステーション又はサブシステム210と、レーザスキャニング装置又はサブシステム220、例えば、ラスタ化出力スキャナ(ROS)と、トナー付着ステーション又はサブシステム230と、前転写ステーション又はサブシステム240と、転写ステーション又はサブシステム250と、前清掃ステーション又はサブシステム260と、清掃/消去ステーション270とを備えている。この実施形態の光受容体210は、ドラムであるが、他の形式の光受容体もおそらく使用できる。この実施形態の光受容体ドラム210は、光伝導層204の表面202を含み、その上に静電荷を形成することができる。光伝導層204は、シリンダー206上に取り付け又は形成することができ、シリンダーは、シャフト208において矢印209の方向に回転するように取り付けられる。
【0018】
この実施形態の荷電ステーション210は、高電圧電源(図3に示す)により供給されるDCバイアスのAC電圧を使用して光受容体200を荷電するバイアスされた荷電ローラー212を備えている。このバイアスされた荷電ローラー212は、スチールシリンダーのような内部シリンダー216上に形成されるか又は取り付けられたエラストマー層215の表面214を含むが、適当な伝導性材料を使用することができる。ローラー212は、ローラー212の長手軸に沿って延びるシャフト218と共に回転するように取り付けられるのが好ましい。
【0019】
この実施形態のレーザスキャニング装置220は、ダイオードレーザのようなレーザ224の出力を変調するコントローラ222を備え、その変調されたビームは、モータ228により回転される回転ミラー又はプリズム226を照らす。ミラー又はプリズム226は、その変調されたレーザビームを荷電PC表面202へ反射し、PC表面202の巾を横切ってそれをパンし、従って、変調されたビームは、PC表面202にプリントされるべき像の線221を形成することができる。プリントされるべき像の露光された部分は、トナー付着ステーション230へと進み、ここで、トナー232が光伝導体の露光された部分に接着する。接着トナーを伴うPCの像領域は、次いで、前転写ステーション240へ通過し、次いで、転写ステーション250へ通過する。
【0020】
転写ステーション250は、中間転写ベルト111にトナー像を転写するためにPC200とで中間転写ベルト111に挟み部253を形成するように構成されたバイアスされた転写ローラー252を備えている。この実施形態では、バイアスされた転写ローラー252は、内側シリンダー256上に形成され又は取り付けられるエラストマー層254を備え、そしてローラー252は、ローラー252の長手軸に沿って延びるシャフト258に取り付けられる。バイアスされた転写ローラー252は、通常、図3に示すような高電圧電源352により供給されるDC電位を保持する。ローラー252に印加される電圧は、光受容体表面202から中間転写ベルト111へトナー像231を引き出す。転写の後に、PC表面202は、前清掃サブシステム260へ回転し、次いで、清掃/消去サブステーション270へ回転し、そこで、ブレード272がPC表面202から過剰トナーを削り取り、そして消去ランプ274がPC表面上の残留電荷をイコライズする。
【0021】
図3を参照すれば、ゼログラフィック装置100の電子制御システム310は、少なくとも1つの各サブシステムに接続された少なくとも1つのサブシステムコントローラを含むことができる。図3に示す例では、3つのサブシステムコントローラ340、340’、及び340”が、ローカル転写サブシステム250、メイン転写サブシステム120、及び荷電サブシステム210に各々接続される。この実施形態の少なくとも1つのサブシステムコントローラ340、340’、340”の各々は、動作モード装置344、344’、344”と、診断モードで選択的に動作する装置346、346’、346”及びベースラインモードで選択的に動作する装置348、348’、348”とを備えている。コントローラ310は、更に、マイクロプロセッサ356を備え、これは、メモリ装置360を含むことができると共に、コード及び電圧評価装置354、354’、354”に応答して診断メッセージ364、364’、364”を発生することができる。これら診断メッセージは、ゼログラフィック装置のユーザインターフェイス(図示せず)に表示することができる。マイクロプロセッサ356は、第1転写サブシステム250、第2転写サブシステム120、及び荷電サブシステム210の高電圧電源352、352’、352”に各々接続されるのが好ましい。1つの電源は、制御電流及び/又は制御電圧をメイン転写サブシステムのバイアスされた転写ローラー122へ供給し、別の電源は、制御電流及び/又は制御電圧を1つの又は各バイアスされた荷電ローラー212へ供給し、そして別の電源は、制御電流及び/又は制御電圧を1つの又は各ローカルのバイアスされた転写ローラー252へ供給する。バイアスされた荷電ローラー212は、DCバイアスのAC高電圧電源352”によりしばしば給電される。バイアスされた荷電ローラー212に与えられるDC成分は、通常、一定制御電圧に維持され、AC成分は、通常、一定制御電流で作用される。バイアスされた転写ローラー252は、一定制御電流或いは一定制御電圧モードのいずれかで動作されるDC高電圧電源352’によりしばしば給電される。荷電又は転写ローラーの電圧又は電流設定点は、時間と共に変化し得る。
【0022】
前記で一般的に述べたように、この実施形態では、ゼログラフィックプリントエンジンのAC荷電アクチュエータが能動的に調整される。図1ないし4に例示する装置では、ACバイアスされる荷電ローラー212を定電流又は定電圧モードのいずれかで使用することができ、そしてこれらのいずれかを必要に応じて調整して、ゼログラフィック出力及び光受容体寿命を同時に最適化することができる。この実施形態は、上述したように、接触及び/又は密接接近AC荷電装置の適切な状態に使用できることに注意されたい。注目すべきことに、荷電装置は、この種類の装置では光受容体に接触する必要がなく、コロナ放電それ自体を、光受容体の表面に対して、例えば、500μm以下に密接接近させることができる。
【0023】
AC荷電アクチュエータを適切に調整するために、この実施形態では、ACピーク−ピーク電圧・対・光受容体表面電位曲線上の荷電膝を最初に決定するのが好ましい。このような曲線が図4に一例として示され、これは、膝値を決定する種々の方法の説明を助けるためにマーキングを含む。設計膝値又はDCバイアス電圧値を使用して、所与の一連のピーク−ピーク電圧に対する表面電圧を測定できる範囲を確立し、実際の膝値を決定することができる。実際の膝値が分ると、印刷クオリティに関係した欠陥の測定を行い、これを使用して、荷電アクチュエータの適切な選択を誘導することができる。従って、この実施形態では、荷電膝値及び印刷クオリティ欠陥測定値を使用して、光伝導体の寿命を延長すると同時に印刷クオリティを向上できる適当な動作アクチュエータ電圧を確立することができる。
【0024】
図4の例示的曲線に見られるように、ACピーク−ピーク電圧曲線の傾斜は、荷電バイアス電圧がエアブレークダウンのスレッシュホールド電圧VTHを越えるまでゼロのままである。スレッシュホールド電圧に達すると、出力光伝導体電圧が、入力AC荷電アクチュエータと共に直線的に増加する。この関係は、最大光受容体電圧に到達するまで続き、その後、荷電ローラーのピーク−ピーク電圧を増加しても、光受容体表面電圧は著しく変化しない。最大PC電圧へのこの遷移点が曲線の「膝(knee)」である。最大PC荷電電圧は、通常、荷電ローラーに印加されるDCバイアス電圧に等しいか又はそれより若干低い。又、荷電曲線の膝におけるアクチュエータ値は、エアブレークダウンが生じるスレッシュホールド電圧の2倍に実質的に等しい。
【0025】
図8に示すように、ピーク−ピーク電圧Vp-pは、荷電膝Vp-p、kneeの各側の荷電アクチュエータ(電流)と実質的に直線関係を有する。傾斜は、膝の各側で異なり、これは、以下に述べるように、Vp-p、kneeの値を決定するための付加的な方法を許す。
【0026】
従って、図9を参照すれば、AC荷電アクチュエータを調整する方法900は、910でスタートし、膝電圧値を決定し(920)、次いで、動作荷電アクチュエータを、ある所定インターバルで膝値より高く設定する(921)。荷電膝と、荷電アクチュエータ値の選択との間の望ましい電圧差は、均一な荷電出力を確保すると共に、望ましからぬ印刷欠陥の発生を防止するように選択される。例えば、BDPスポット欠陥は、ある小さなデルタ内又は荷電膝より上の範囲内の荷電アクチュエータ値に対して生じることが知られている。この実施形態では、荷電膝と望ましいアクチュエータ設定との間の選択されたデルタは、BDPスポット欠陥の発生のスレッシュホールドより若干高くなるように選択される。更に、荷電膝と、選択されたアクチュエータ設定との間のこのデルタは、膝値と共に可変であるか、又はプロセスの他の測定値と共に可変であるのが好ましい。例えば、BDPスポット欠陥の発生のスレッシュホールドは、PCの厚みと共に変化することが知られている。従って、光伝導体の推定厚みの関数として膝と荷電アクチュエータ値との間の希望の距離を入念に調整することで、荷電アクチュエータをBDPスポットのスレッシュホールドのすぐ上にのせることができ、これにより、最小のアクチュエータ値を確保し且つPC寿命を最大にすることができる。簡単な実施形態では、この解決策は、プリントエンジンによりなされたプリントの回数のみに基づいてPC厚みを推定し、そしてプリントの回数をPC厚みに関係付ける実験的に導出された方程式を使用するだけで実施することができる。同様の実施形態では、光伝導体のサイクル数を、PC厚みを導出するための指示子として使用することができる。光受容体の厚みは、前記方法を使用してBTR又はBCRと共にその場で決定されるのが好ましい。このように、荷電膝と、選択された荷電アクチュエータとの間のデルタは、受け容れられる出力印刷クオリティを達成しながら最小値を維持するように適切に調整することができる。他の実施形態では、荷電膝電圧は、その場の静電電圧計(ESV)を使用し、又は荷電装置を上述したようにESVとして使用することを含む種々の感知機構を使用して、直接測定することができる。
【0027】
又、他の実施形態において荷電装置コントローラのためのフィードバック感知の好ましい方法は、出力印刷均一性の直接的な尺度である。この形式の感知は、例えば、スキャンバー等の光学的アレーセンサを使用して、印刷されたシート、或いはITB、光伝導体又は他の像保持部材のような像保持部材に印刷された像をスキャンすることで達成できる。このセンサは、BDPスポット欠陥の直接的な測定を行うことができ、それ故、充分なフィードバック情報を与えて、出力印刷クオリティに影響せずに荷電装置設定を最小にすることができる。膝アクチュエータ電圧値、及び荷電均一性又は出力印刷クオリティ性能の幾つかの測定値が分ると、この実施形態により、AC荷電アクチュエータを調整し、ゼログラフィックマシンの出力印刷クオリティを維持する一方、光受容体の寿命を延長することができる。
【0028】
上述したように、荷電曲線の膝の位置は、種々の障害の関数として変化する。例えば、PC表面が磨耗し、薄くなるにつれて、荷電曲線の膝の位置が変化することが知られている。更に、PC及びBCRの温度のような他の障害も、荷電曲線の膝の位置に影響を及ぼす。同様に、BDPスポットのような荷電に関係した印刷クオリティ欠陥の発生に対するスレッシュホールドの位置も、通常、印刷システムの寿命及び動作全体にわたって静的ではない。これらのファクタが、荷電膝の位置、及び荷電に関係した印刷クオリティ欠陥に対するアクチュエータスレッシュホールドの位置に影響するために、荷電アクチュエータの最適な静的値を設計時に決定することができない。むしろ、この開示において要約したように、荷電アクチュエータは、プリンタが動作しているときに、最大のPC寿命を確保する一方、受け容れられる出力印刷クオリティも保証するために、能動的に調整しなければならない。荷電の振舞い、ひいては、荷電膝の位置及び荷電に関係した印刷クオリティ欠陥の発生に影響するほとんどの障害は、その性質が非常に低速であり、通常、荷電の膝が明らかに移動するには数百回又は数千回の印刷を要する。荷電の膝位置の変化が低速である結果、この実施形態を具現化するために、荷電コントローラは、荷電性能をサンプリングし、そして非常に低い割合でアクチュエータ値に対する調整を行なわねばならない。
【0029】
膝電圧値を直接測定し、それを、必要な荷電アクチュエータ設定を計算するための基礎として使用するのではなく、標準偏差で示されるVhigh電圧のノイズレベルを使用して、AC荷電アクチュエータに対する望ましい動作点を決定することができる。これは、ESVがもしあれば、これで行うこともできるし、或いは上述したBTR又はBCRで行うことができる。図9を再び参照すれば、ACアクチュエータのスイープ(ブロック940)は、図4に示したものと同様の光受容体表面電圧応答を発生する。このデータにおいて、報告された電圧値を非常に大きなエリアにわたって平均化して、得られる信号のノイズレベルを下げることができる。しかしながら、電圧センサにより見られる非均一性を除去するために平均化するのではなく、この非均一性情報を、標準偏差を使用して当該信号として使用することができる。電圧検出信号の標準偏差をAC荷電アクチュエータの関数としてプロットすることで(941)、図7に示したものと同様の曲線が得られる。図7における垂直の点線は、静電電圧計(ESV)を使用して測定された荷電曲線の膝の位置を指示する。このプロットから、膝の値において電圧検出器により測定されたPC電荷レベルの非均一性に段階的変化があることが明らかである。標準偏差曲線の分析によりどんな電圧値で段が生じるかの決定(942)をコントローラにより使用して、AC荷電アクチュエータが作用すべき最適なポイントを決定することができる。この実施形態のコントローラは、標準偏差センサのノイズレベルが実質的に増加するのを防止するために充分大きなアクチュエータ設定を維持しながら、荷電アクチュエータを最小にするように試みるのが好ましい。この形式の感知機構は、非常に安価なセンサを使用して得ることができる。というのは、荷電曲線の膝の位置の入念な測定が必要とされないので、センサの絶対的精度があまり重要でないからである。この種の技術を使用すると、出力印刷に非均一性が生じるのを防止するために充分な荷電アクチュエータを維持することが依然必要である。BDPスポットは、比較的小さな欠陥であるために、電圧検出器がそれらの存在を感知する前に非常に多数のスポットがおそらく存在することになろう。従って、BDPスポット欠陥を最小にするために、PCの寿命において早期に、電圧検出器のデータにより暗示されるものより若干控え目な設定をとることがおそらく必要である。しかしながら、この控え目な設定は、多くのケースにおける典型的なAC荷電アクチュエータ動作ポイントより、依然として、実質的に低いものである。更に、BDPスポット欠陥の発生は、光伝導体装置の年齢に関係していると思われ、古いPC装置ほど、BDPスポット欠陥をあまり受けないと思われるので、当該PC装置についてページ計数のスレッシュホールドに到達すると、ACアクチュエータ設定を更に減少することができる。
【0030】
いずれの形式の電圧検出器も使用せずに荷電コントローラに対するフィードバックを得るための別の方法は、種々のAC荷電設定に対してマシンの出力を分析することである。例えば、マシンは、ユーザから直接フィードバックを得ることができる。図9を再び参照すれば、マシンは、各ページを印刷するために種々のAC荷電設定を使用して校正シートのセットを印刷することができる(950)。マシンは、ユーザの評価と、最も受け容れられるシートの入力、好ましくは、ユーザが受け容れられる印刷クオリティを生じたと思われる最低の荷電設定とを要求することができる(951)。コントローラは、次いで、選択されたシートに関連した値にアクチュエータをセットすることができる(952)。
【0031】
ユーザの介入を回避するために、線形光学アレーセンサ、或いは全巾アレー(FWA)と時々称されるものは、ここに提案する荷電コントローラと共に使用するための別の考えられる感知機構である。その場のスキャンバー形式のセンサを使用して、マシン内の望ましい位置で質量パターンの像を得ることができる。これは、中間転写ベルトのような中間基板上にあってもよいし、又はマシンから出る前の媒体上に直接あってもよい。従って、システムは、シートを印刷した後(950)、又は少なくともプリントエンジン内で中間基板上にそれらを像形成した後、FWAでシート/像をスキャンする(953)。システムは、FWAからのデータを分析し、BDPスポット欠陥を含む種々の種類の荷電関係非均一性を、記憶された所定の基準に対して検出し(954)、そして最も受け容れられるスキャン像に関連した設定を使用する(952)。この形式のセンサを使用して、荷電に関係した欠陥の発生を自動的に感知して追跡し、そしてユーザの支援を要求せずに荷電アクチュエータを適切に調整することができる。
【0032】
荷電膝値が使用されるときには、図10を参照すれば、膝値を見出す方法1000は、1010でスタートし、膝より低いピーク−ピーク電圧Vp-pの複数の値に対して光受容体の表面電圧を決定する(1020)。これらの測定は、バイアスされる荷電ローラー1021、バイアスされる転写ローラー1022、ESV1023、又は表面電圧の適度に正確な測定値を与える他の方法を使用して行なうことができる。膝より低い測定値を使用すると、表面電位・対・Vp-p曲線の傾斜部分を表わす最良適合線を「描く」ことができる(1024)。膝より上で付加的な表面測定を行うことができ(1025)、そして膝より上の値に対して最良の適合線を「描く」ことができる(1026)。最良適合線の交点は、膝の位置を決定し(1027)、決定ルーチンを終了させる(1040)。上述したように、光受容体の表面電圧VPCを測定する方法を使用して、BCRをエレクトロ・ダイナミック電圧計として使用することができる。或いは又、上述したように、BTRを使用して、表面電圧を測定することができる。もちろん、ゼログラフィック装置にESVが装備されている場合には、このESVを使用して、光受容体表面電位のこれら測定を行うことができる。
【0033】
上述したように最良適合線の交点を見出すのとは別に、図4に見られる光受容体表面電圧・対・ピーク−ピーク電圧曲線の傾斜部分(膝より下)のy切片を使用して見出すことのできるスレッシュホールド電圧Vp-p、kneeから膝電圧を決定することができる。この別の態様では、膝より下の最良適合線1024が、表面電圧軸上で膝より下の最良適合線の切片値を決定するよう拡張される(1028)。次いで、切片値VPC(intercept)を使用し、式VTH=2*(VDC−VPC(intercept))を使用してスレッシュホールド電圧膝電圧を見出すことができ(1029)、但し、VDCは、バイアスされた荷電ローラーのシャフトに印加されるDCバイアスである。次いで、式Vknee=2*VTH1030を使用して膝値が計算される。
【0034】
Vp-p、kneeを見出すための付加的な別の仕方が、図8を参照して、図10に示されている。図8は、アクチュエータ電流・対・Vp-pを示す。この別の仕方が開始されると、膝より下の荷電アクチュエータの少なくとも2つの電流値に対してVp-pを測定し(1060)、そして膝より上の少なくとも2つの電流値を測定する(1061)。それに続いて、膝より上及び下の測定値に対して線を適合させる(1062)。線の交点を見出すと(1063)、Vp-p、kneeの値が得られる(1040)。
【0035】
要約すれば、本発明の実施形態は、AC荷電装置設定の能動的な調整を介してゼログラフィックシステムにおけるPCの寿命を改善する方法を提供する。特に、PC表面の磨耗率に著しく影響する接触及び/又は密接接近AC荷電装置からの望ましからぬ種子の電荷付着を、本発明の実施形態によりAC荷電アクチュエータの攻撃的作用の低減により著しく減少することができる。従って、本発明の実施形態は、光伝導体の磨耗を実質的に減少するようにAC荷電アクチュエータを能動的に調整する一方、望ましからぬ印刷クオリティ又は他の副作用を必要に応じて防止し、常に健全な荷電性能を確保するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態を使用できるゼログラフィック装置の概略図である。
【図2】実施形態を使用できる像形成装置であって、図1に示すようなゼログラフィック装置の一部分である像形成装置の概略図である。
【図3】実施形態に使用されるコンポーネントの概略図である。
【図4】光受容体の表面電位・対・ピーク−ピークバイアス荷電ローラー電圧Vp-pを示すグラフである。
【図5】正電荷付着・対・Vp-pとVkneeとの差を示すグラフである。
【図6】典型的なゼログラフィックマシンの場合の光受容体/電荷搬送層厚みロス・対・印刷回数を、実施形態によるACアクチュエータ調整を使用するゼログラフィックマシンの場合と比較したグラフである。
【図7】検出電圧・対・AC荷電アクチュエータ(電圧)の標準偏差を示すグラフである。
【図8】実施形態によるAC荷電アクチュエータ(電流)・対・Vp-pを示すグラフである。
【図9】実施形態によりACアクチュエータを調整する方法のフローチャートである。
【図10A】実施形態によりVp-p、kneeを決定する方法のフローチャートである。
【図10B】実施形態によりVp-p、kneeを決定する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
100:ゼログラフィック装置
110:像形成装置
111:中間転写ベルト
120:転写ステーション
122:バックアップローラー
124:バイアスされた転写ローラー
126:シャフト
130:媒体
140:シート搬送システム
150:溶融ステーション
200:光受容体(PC)
204:光伝導層
206:シリンダー
208:シャフト
210:荷電ステーション
212:バイアスされた荷電ローラー
215:エラストマー層
216:内側シリンダー
218:シャフト
220:レーザスキャン装置
222:コントローラ
224:レーザ
226:回転ミラー
228:モータ
230:トナー付着ステーション
240:前転写ステーション
250:転写ステーション
252:バイアスされた転写ローラー
253:挟み部
260:前清掃ステーション
270:清掃/消去ステーション
300:電子制御システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にする一方印刷クオリティ欠陥を実質的に排除する最適値へと調整するステップと、
前記最適値を決定するステップであって、
光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝電圧値(knee voltage value)を決定する段階、
導出されたインターバルを前記膝電圧値に追加する段階、及び
前記膝電圧値・プラス・前記所定インターバルに対応する前記荷電アクチュエータの最適値を設定する段階、
を含むステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
膝電圧値を決定する前記段階は、更に、
前記光受容体を前記膝値より低いターゲット電位で荷電し、
実際の表面電位を測定し、
荷電及び測定を繰り返して、膝より低い複数の点を得、
膝より低い前記複数の点に第1の線を適合させ(fitting)、
前記光受容体を前記ピーク−ピーク電圧膝(knee)より高いターゲット電位で荷電し、
実際の表面電位を測定し、
荷電及び測定を繰り返して、膝より高い複数の実際の表面電位点を得、
膝より高い前記複数の点に第2の線を適合させ、そして
前記第1及び第2の線の交点を見出して、実際のピーク−ピーク電圧膝値を見出す、
ことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にする一方印刷クオリティ欠陥を実質的に排除する最適値へと調整するステップを備え、これは、
AC荷電アクチュエータのスイープに対して光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線を作成する段階、
標準偏差・対・AC荷電アクチュエータ値を決定してプロットする段階、
前記標準偏差値における著しいシフトの位置を決定する段階、
前記標準偏差の段に対応するAC荷電アクチュエータ値を決定して、その対応値を得る段階、及び
前記対応値に所定インターバルを追加して、前記最適値を得る段階、
により行なわれる方法。
【請求項4】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にする一方印刷クオリティ欠陥を実質的に排除する最適値へと調整するステップを備え、これは、
前記AC荷電アクチュエータの各値において複数の印刷像を生成する段階、
前記印刷像(print images)をその許容性について評価する段階、
最小値対応のAC荷電アクチュエータ値をもつ最も受け容れ可能な像を選択する段階、及び
前記最小値対応のAC荷電アクチュエータ値を前記最適値として選択する段階、
により行なわれる方法。
【請求項5】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを備え、前記光受容体荷電サブシステムがAC荷電アクチュエータを含むようなゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
出力欠陥及び光受容体の磨耗が実質的に最小であるAC荷電アクチュエータの最適値を決定するステップと、
設置後に前記最適値を前記AC荷電アクチュエータの動作値として採用することにより前記AC荷電アクチュエータを調整するステップと、
光学的アレーセンサを用意するステップと、
を備え、前記最適値を決定するステップは、
前記AC荷電アクチュエータの対応値を使用して複数の校正シートを印刷する段階、
前記校正シートを前記光学的アレーセンサでスキャンする段階、
記憶された所定の基準を使用して前記複数の校正シートを評価する段階、
前記複数の校正シートのうちの最も許容し得るシートを選択する段階、及び
前記最も許容し得る校正シートに対応する前記AC荷電アクチュエータ値を前記最適値として設定する段階、
を備えた第1の方法と、
光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝値を決定する段階、
前記膝値に所定にインターバルを追加して、最適電圧を得る段階、及び
前記AC荷電アクチュエータを、前記最適電圧に対応する値に設定し、この対応値が前記最適値を構成する段階、
を備えた第2の方法との少なくとも一方を含むようにした方法。
【請求項6】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にして、印刷欠陥を誘起せずに光受容体の磨耗率を減少させる最適値へと調整するステップを備え、前記AC荷電アクチュエータは、
光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝電圧値を決定する段階、
前記膝電圧値に所定にインターバルを追加する段階、
前記膝電圧値・プラス・前記所定インターバルに対応する前記荷電アクチュエータの第1最適値を記憶する段階、
前記AC荷電アクチュエータのスイープに対して光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線を作成する段階、
標準偏差・対・AC荷電アクチュエータ値を決定してプロットする段階、
前記標準偏差値における著しいシフトの位置を決定する段階、
前記標準偏差の段に対応するAC荷電アクチュエータ値を決定して、その対応値を得る段階、
前記対応値に所定インターバルを追加して、第2の最適値を得る段階、
前記第2の最適値を記憶する段階、
前記AC荷電アクチュエータの各値において複数の印刷像を生成する段階、
前記印刷像をその許容性について評価する段階、
最小値対応AC荷電アクチュエータ値をもつ最も受け容れ可能な像を選択する段階、
前記最小値対応AC荷電アクチュエータ値を第3の最適値として選択する段階、及び
前記第1、第2及び第3の最適値のうちの最小値を前記AC荷電アクチュエータ値として選択する段階、
により決定されるようにした方法。
【請求項1】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にする一方印刷クオリティ欠陥を実質的に排除する最適値へと調整するステップと、
前記最適値を決定するステップであって、
光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝電圧値(knee voltage value)を決定する段階、
導出されたインターバルを前記膝電圧値に追加する段階、及び
前記膝電圧値・プラス・前記所定インターバルに対応する前記荷電アクチュエータの最適値を設定する段階、
を含むステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
膝電圧値を決定する前記段階は、更に、
前記光受容体を前記膝値より低いターゲット電位で荷電し、
実際の表面電位を測定し、
荷電及び測定を繰り返して、膝より低い複数の点を得、
膝より低い前記複数の点に第1の線を適合させ(fitting)、
前記光受容体を前記ピーク−ピーク電圧膝(knee)より高いターゲット電位で荷電し、
実際の表面電位を測定し、
荷電及び測定を繰り返して、膝より高い複数の実際の表面電位点を得、
膝より高い前記複数の点に第2の線を適合させ、そして
前記第1及び第2の線の交点を見出して、実際のピーク−ピーク電圧膝値を見出す、
ことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にする一方印刷クオリティ欠陥を実質的に排除する最適値へと調整するステップを備え、これは、
AC荷電アクチュエータのスイープに対して光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線を作成する段階、
標準偏差・対・AC荷電アクチュエータ値を決定してプロットする段階、
前記標準偏差値における著しいシフトの位置を決定する段階、
前記標準偏差の段に対応するAC荷電アクチュエータ値を決定して、その対応値を得る段階、及び
前記対応値に所定インターバルを追加して、前記最適値を得る段階、
により行なわれる方法。
【請求項4】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にする一方印刷クオリティ欠陥を実質的に排除する最適値へと調整するステップを備え、これは、
前記AC荷電アクチュエータの各値において複数の印刷像を生成する段階、
前記印刷像(print images)をその許容性について評価する段階、
最小値対応のAC荷電アクチュエータ値をもつ最も受け容れ可能な像を選択する段階、及び
前記最小値対応のAC荷電アクチュエータ値を前記最適値として選択する段階、
により行なわれる方法。
【請求項5】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを備え、前記光受容体荷電サブシステムがAC荷電アクチュエータを含むようなゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、
出力欠陥及び光受容体の磨耗が実質的に最小であるAC荷電アクチュエータの最適値を決定するステップと、
設置後に前記最適値を前記AC荷電アクチュエータの動作値として採用することにより前記AC荷電アクチュエータを調整するステップと、
光学的アレーセンサを用意するステップと、
を備え、前記最適値を決定するステップは、
前記AC荷電アクチュエータの対応値を使用して複数の校正シートを印刷する段階、
前記校正シートを前記光学的アレーセンサでスキャンする段階、
記憶された所定の基準を使用して前記複数の校正シートを評価する段階、
前記複数の校正シートのうちの最も許容し得るシートを選択する段階、及び
前記最も許容し得る校正シートに対応する前記AC荷電アクチュエータ値を前記最適値として設定する段階、
を備えた第1の方法と、
光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝値を決定する段階、
前記膝値に所定にインターバルを追加して、最適電圧を得る段階、及び
前記AC荷電アクチュエータを、前記最適電圧に対応する値に設定し、この対応値が前記最適値を構成する段階、
を備えた第2の方法との少なくとも一方を含むようにした方法。
【請求項6】
光受容体、光受容体荷電サブシステム、像形成サブシステム及び転写サブシステムを含むゼログラフィック装置において、光受容体の寿命を延長しそしてその出力を最適化する方法が、前記ゼログラフィック装置のAC荷電アクチュエータを、正電荷付着を最小にして、印刷欠陥を誘起せずに光受容体の磨耗率を減少させる最適値へと調整するステップを備え、前記AC荷電アクチュエータは、
光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線の膝電圧値を決定する段階、
前記膝電圧値に所定にインターバルを追加する段階、
前記膝電圧値・プラス・前記所定インターバルに対応する前記荷電アクチュエータの第1最適値を記憶する段階、
前記AC荷電アクチュエータのスイープに対して光受容体表面電位・対・ピーク−ピーク電圧曲線を作成する段階、
標準偏差・対・AC荷電アクチュエータ値を決定してプロットする段階、
前記標準偏差値における著しいシフトの位置を決定する段階、
前記標準偏差の段に対応するAC荷電アクチュエータ値を決定して、その対応値を得る段階、
前記対応値に所定インターバルを追加して、第2の最適値を得る段階、
前記第2の最適値を記憶する段階、
前記AC荷電アクチュエータの各値において複数の印刷像を生成する段階、
前記印刷像をその許容性について評価する段階、
最小値対応AC荷電アクチュエータ値をもつ最も受け容れ可能な像を選択する段階、
前記最小値対応AC荷電アクチュエータ値を第3の最適値として選択する段階、及び
前記第1、第2及び第3の最適値のうちの最小値を前記AC荷電アクチュエータ値として選択する段階、
により決定されるようにした方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2008−158518(P2008−158518A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324403(P2007−324403)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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