説明

蒸気タービン発電設備およびその運転方法

【課題】二酸化炭素回収システムに必要なエネルギ源として、太陽熱を利用した蒸気タービンで発電をした後のエクセルギの低い排出蒸気を利用することにより、エネルギの損失を抑制し、高い発電効率が得られる蒸気タービン発電設備およびその運転方法を提供する。
【解決手段】蒸気タービン発電設備10は、燃焼熱を利用して蒸気を発生させるボイラ21や太陽光を利用して蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置31からの蒸気によって蒸気タービンを駆動し発電を行う蒸気タービン設備20と、ボイラ21などからの燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収設備60とを備える。また、集熱蒸気発生装置31からの蒸気は、太陽熱蒸気タービン32に導かれ、膨張仕事をした後、その一部が、配管51を介して二酸化炭素回収設備60へ導かれ、再生塔80の吸収液100を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービン、ボイラ、タービン発電機などを備えた蒸気タービン発電設備およびその運転方法に係り、特に、蒸気の温度を上昇させることによって発電効率を向上させるとともに、ボイラから排出された燃焼ガスに含まれるCOを分離して回収する装置を備えた蒸気タービン発電設備およびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蒸気タービン発電設備においては、蒸気の温度条件が600℃以下であるため、高温の蒸気に曝される、例えば、タービンロータ、動翼、ノズルなどの構成部の部材は、製造性や経済性に優れたフェライト系耐熱鋼で構成されていた。一方、高温の蒸気に曝されない、例えば、給水加熱器を構成する材料には、炭素鋼が採用されてきた。
【0003】
一方、近年、燃料節約や環境保全を背景とした蒸気タービン発電設備の高効率化が積極的に進められている。例えば、600℃程度(620℃以下)の温度の高温蒸気を利用した蒸気タービンが運転されている。このような高温蒸気を利用した蒸気タービンにおいては、フェライト系耐熱鋼の諸特性では要求特性を満たすことのできない部品が少なからず存在する。そのため、より高温特性に優れたオーステナイト系耐熱鋼等が使用されている。しかし、オーステナイト系耐熱鋼を使用することは、設備コストの上昇を招く。さらに、オーステナイト系耐熱鋼は、フェライト系耐熱鋼に比較して熱伝導率が低く、かつ線膨張係数が大きいため、プラント起動時やプラント停止時などの負荷変化時に熱応力が発生しやすいという問題を有している。
【0004】
さらに、現在、蒸気温度を700℃以上とする700℃超臨界圧発電システム、いわゆるA−USC(Advanced Ultra-Supercritical)が検討されている。蒸気タービンの入口蒸気温度が650℃以上になると、タービン抽気が580℃を超える部分が生じ、その抽気で加熱する給水加熱器にも耐熱鋼を使用する必要がある。しかし、580℃を超えるタービン抽気を給水加熱器に導入することは、給水温度と抽気温度の差に比例して発生する熱応力の観点から好ましくない。これを回避するために、高圧タービンから排出される蒸気の一部を一旦抽気背圧タービンに導入して仕事を取り出し、圧力および温度が低下した抽気背圧タービンからの抽気を給水加熱器に供給するサイクルが考案されている。また、この抽気背圧タービンは、従来、給水ポンプ駆動用として給水ポンプに直結されている。
【0005】
また、地球温暖化現象の原因の一つとして二酸化炭素(CO)による温室効果が指摘されている。そのため、例えば、大量の化石燃料を使用する火力発電所などを対象に、燃焼排ガスを吸収液と接触させ、燃焼排ガス中の二酸化炭素を除去して回収する方法が精力的に研究されている。
【0006】
図9は、燃焼排ガス中の二酸化炭素を除去して回収する従来の二酸化炭素回収システム300の一例を示す図である。
【0007】
図9に示された従来の二酸化炭素回収システム300において、例えば、ボイラにおいて化石燃料を燃焼して排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス供給口311から吸収塔310内に導かれる。吸収塔310の上部には、二酸化炭素を吸収する吸収液320が供給され、この供給された吸収液320は、導入された燃焼排ガスと気液接触して、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収する。
【0008】
二酸化炭素を吸収した吸収液320は、吸収塔310の下部から吸収液循環ポンプ330によって熱交換器340を通過して、再生塔350に導かれる。なお、二酸化炭素を吸収した吸収液320の温度は、その吸収による反応熱、および燃焼排ガスが有する顕熱によって、二酸化炭素を吸収する前の吸収液320の温度よりも高くなる。
【0009】
一方、吸収液320に二酸化炭素を吸収された残りの燃焼排ガスは、吸収塔310の上部から大気へ放出される。
【0010】
再生塔350に導かれた吸収液320は、リボイラ360によって加熱され、吸収した二酸化炭素を放散し、再び二酸化炭素を吸収できる吸収液320に再生される。再生された吸収液320は、吸収液循環ポンプ331により、熱交換器340を介して吸収塔310の上部へ戻される。
【0011】
一方、吸収液320から放散された二酸化炭素は、冷却器341を介して汽水分離器370に導かれ、水分が取り除かれた後に、二酸化炭素圧縮機380に導かれ回収される。また、汽水分離器370で分離された凝縮水は、再生塔350に導かれる。また、リボイラ360の加熱源としては、火力発電プラント等内の蒸気タービンサイクルから抽気した蒸気を主に利用するが、二酸化炭素を圧縮する過程における高温化した二酸化炭素ガスを用いることもできる(例えば、特許文献1−2参照。)。
【0012】
例えば、特許文献2には、高圧タービンから排出された蒸気の一部を、二酸化炭素圧縮機を駆動するための背圧タービンに導入し、中圧タービンから排出された蒸気の一部を、補機駆動用(例えば、給水ポンプ駆動用)の背圧タービンに導入し、それぞれの蒸気タービンから排出された蒸気を二酸化炭素回収システムの加熱用に利用する技術が開示されている。
【0013】
また、複合発電システムにおいて、太陽熱を併用したハイブリッドシステムに係る技術が開示されている(例えば、特許文献3−4参照。)。この太陽熱を併用したハイブリッドシステムでは、複合発電サイクルの排熱回収ボイラに、太陽熱を吸収した熱交換器を併設して、発電サイクル全体の燃費の改善を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第2809381号公報
【特許文献2】特開2004−323339号公報
【特許文献3】特開2008−39367号公報
【特許文献4】特開2008−121483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記した従来における、背圧タービンから排出された蒸気を吸収液の加熱蒸気として利用する二酸化炭素回収システムでは、二酸化炭素圧縮機および補機の必要とする駆動蒸気流量の合計が必ずしも二酸化炭素回収システムに必要な加熱蒸気流量と一致するとは限らなかった。そのため、必要な蒸気流量よりも駆動蒸気流量が多い場合には、余った蒸気は復水器などに捨てられることとなる。この場合、エクセルギの高い蒸気を、直接二酸化炭素回収システムに供給しているので、エネルギの損失となる。
【0016】
また、従来の二酸化炭素回収システムにおいては、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収した吸収液から、何らかの方法によって、二酸化炭素を分離して回収しなければならない。この二酸化炭素の分離は、通常、吸収液を加熱して行うことが最も簡単であるため、従来から加熱放散方式が採用されてきた。しかし、二酸化炭素を分離する場合、分離に使用される熱量が大きく、蒸気タービンサイクル内の蒸気を抽出すると、発電効率が相対値で30%程度低下すると言われている。
【0017】
例えば、吸収液として、二酸化炭素の吸収性能が高いアミン系の吸収液を使用した場合、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素を分離する温度は、100〜150℃程度である。この際必要となる熱量は、2.5〜3.5MJ/(kg−CO)、すなわち二酸化炭素1kg当たり2.5〜3.5MJと言われている。この熱量は、例えば、ボイラの燃料として石炭を用いる場合、石炭の発熱量の10〜20%程度に相当する。
【0018】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素回収システムに必要なエネルギ源として、太陽熱を利用した蒸気タービンで発電をした後のエクセルギの低い排出蒸気を利用することにより、エネルギの損失を抑制し、高い発電効率が得られる蒸気タービン発電設備およびその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、過熱器および少なくとも1つの再熱器を備えるボイラと、前記過熱器からの主蒸気が導入されて駆動される第1の蒸気タービンと、前記再熱器で再加熱された、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第2の蒸気タービンと、前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第3の蒸気タービンと、少なくとも、前記第3の蒸気タービンによって駆動される発電機と、前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水とする復水器と、前記復水器と前記ボイラの間の給水系統に設けられ、前記復水器から導かれた給水を加熱する給水加熱器と、太陽光を利用して前記復水の一部から蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置と、少なくとも前記集熱蒸気発生装置からの蒸気が導入されて駆動される第4の蒸気タービンとを備える蒸気タービン設備と、前記ボイラからの燃焼ガスが導入され、燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収液により吸収する吸収塔と、前記第4の蒸気タービンから排出された蒸気を利用して、二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、当該吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、前記再生塔で放散された二酸化炭素を回収する回収装置とを備える二酸化炭素回収設備とを具備することを特徴する蒸気タービン発電設備が提供される。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、過熱器および再熱器を備えるボイラと、前記過熱器からの主蒸気が導入されて駆動される第1の蒸気タービンと、前記再熱器で再加熱された、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第2の蒸気タービンと、前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第3の蒸気タービンと、少なくとも、前記第3の蒸気タービンによって駆動される発電機と、前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水とする復水器と、前記復水器と前記ボイラの間の給水系統に設けられ、前記復水器から導かれた給水を加熱する給水加熱器と、太陽光を利用して前記復水の一部から蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置と、少なくとも前記集熱蒸気発生装置からの蒸気が導入されて駆動される第4の蒸気タービンとを備える蒸気タービン設備と、前記ボイラからの燃焼ガスが導入され、燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収液により吸収する吸収塔と、二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、当該吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、前記再生塔で放散された二酸化炭素を回収する回収装置とを備える二酸化炭素回収設備とを具備し、前記再生塔において、前記第4の蒸気タービンから排出された蒸気を利用して、前記吸収液を加熱し、前記吸収液から二酸化炭素を放散させることを特徴とする蒸気タービン発電設備の運転方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の蒸気タービン発電設備およびその運転方法によれば、二酸化炭素回収システムに必要なエネルギ源として、太陽熱を利用した蒸気タービンで発電をした後のエクセルギの低い排出蒸気を利用することにより、エネルギの損失を抑制し、高い発電効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備の概要を示す図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備における二酸化炭素回収設備の概要を示す図である。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備における蒸気の状態変化をT−s線図(温度−エントロピ線図)で示した図である。
【図4】1日における太陽熱エネルギと太陽熱蒸気タービンの出力との関係を説明するための図である。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備の概要を示す図である。
【図6】本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備における蒸気の状態変化をT−s線図(温度−エントロピ線図)で示した図である。
【図7】本発明に係る第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備の概要を示す図である。
【図8】本発明に係る第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備における蒸気の状態変化をT−s線図(温度−エントロピ線図)で示した図である。
【図9】燃焼排ガス中の二酸化炭素を除去して回収する従来の二酸化炭素回収システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10の概要を示す図である。
【0025】
第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10は、燃焼熱を利用して蒸気を発生させるボイラ21や太陽光を利用して蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置31からの蒸気によって蒸気タービンを駆動し発電を行う蒸気タービン設備20と、ボイラ21などからの燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収設備60とを備えている。
【0026】
まず、蒸気タービン設備20について説明する。
【0027】
図1に示すように、蒸気タービン設備20は、過熱器21aおよび再熱器21bを備えるボイラ21、第1の蒸気タービンとして機能する高圧タービン22、第2の蒸気タービンとして機能する中圧タービン23、第3の蒸気タービンとして機能する低圧タービン24、復水器25、復水ポンプ26、低圧給水加熱器27a、27b、27c、脱気器28、ボイラ給水ポンプ29、高圧給水加熱器30a、30bを備えている。
【0028】
また、蒸気タービン設備20は、脱気器28で脱気された給水の一部を太陽光の熱エネルギにより加熱して蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置31、この集熱蒸気発生装置31で発生した蒸気が導入される、第4の蒸気タービンとして機能する太陽熱蒸気タービン32を備えている。また、太陽熱蒸気タービン32から排出された蒸気の一部は、二酸化炭素回収設備60へ供給される構成となっている。
【0029】
集熱蒸気発生装置31は、例えば、太陽光によって液状の熱媒体を加熱する加熱機構、この加熱機構から供給された熱媒体によって給水を加熱する熱交換器、加熱機構および熱交換器に熱媒体を循環させる配管に設けられた循環ポンプなどを備えている。具体的には、集熱蒸気発生装置31は、例えば、太陽光を線状に集光する曲面鏡を備えるトラフ式の集光集熱装置や、平面鏡を用いて中央部の集熱器に太陽光を集光させるタワー式の集光集熱装置を使用することができる。これらの集光集熱装置では、太陽熱エネルギによって、油などの熱媒体が温められ、この熱媒体からの熱量が熱交換により給水に与えられる。トラフ式の集光集熱装置では、例えば、370〜400℃の蒸気が得られる。一方、タワー式の集光集熱装置では、例えば、500〜550℃の蒸気が得られる。そのため、集光集熱装置を選択する際、高圧タービン22からの排出蒸気の温度に近い蒸気が得られる集光集熱装置を選択することが好ましい。
【0030】
ここで、集熱蒸気発生装置31と太陽熱蒸気タービン32との間に、集熱蒸気発生装置31で発生した蒸気の有する熱量の一部を蓄熱する蓄熱装置34を備えてもよい。なお、蓄熱装置34における蓄熱方式は、物質の顕熱を利用するもの、潜熱を利用するもの、化学反応を利用するもの等のいずれの方式を使用するものであってもよい。
【0031】
蓄熱装置34を備える場合、集熱蒸気発生装置31と蓄熱装置34との間には、集熱蒸気発生装置31の熱媒体を循環させる循環配管34aが設けられる。そして、蓄熱装置34に蓄熱する際、または蓄熱装置34に蓄熱された熱量を集熱蒸気発生装置31で使用する際、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱または蓄熱された熱量の放出を行う。このように、蓄熱装置34を備えることで、例えば、日照量が多い場合は、余剰の熱量を一旦蓄熱装置34へ貯めることができる。一方、夜間や日照量が少ないために所定の太陽熱エネルギ量が得られない場合には、蓄熱された熱量を取り出すことができる。すなわち、蓄熱装置34を備えることで、太陽熱の変動を吸収して平準化することができる。
【0032】
ここで、太陽熱蒸気タービン32は、低圧タービン24と同一軸で接続され、発電機35aを駆動するように構成されている。また、高圧タービン22は、中圧タービン23と同一軸で接続され、発電機35bを駆動するように構成されている。このように、各蒸気タービンを配置することで、全長が長くなるのを抑制し、タービンロータと、静止部材との熱伸び差による漏洩蒸気量を低減することができる。さらに、高温の蒸気が導入される蒸気タービンと、比較的低温の蒸気が導入される蒸気タービンを分けて構成し、それぞれにスラスト軸受けを適正に配置することにより、起動特性を改善することができる。
【0033】
この蒸気タービン設備20では、ボイラ21の過熱器21aで発生した高温の蒸気は、主蒸気管42を介して高圧タービン22に導入され、膨張仕事をした後、低温再熱蒸気管43を介してボイラ21の再熱器21bに導入される。ここで、過熱器21aから高圧タービン22に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば、650℃程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を高圧タービン22に導入することもできる。また、高圧タービン22から排出された蒸気の一部は、高圧タービン22から排出された蒸気を再熱器21bに導く低温再熱蒸気管43から分岐された配管44を介して高圧給水加熱器30aに導かれ、給水を加熱する。さらに、高圧タービン22から抽気された蒸気は、配管45を介して高圧給水加熱器30bに導かれ、給水を加熱する。
【0034】
ここで、高圧タービン22から排出された蒸気の温度が、高圧給水加熱器30aに導く所定の蒸気温度よりも高い場合には、高圧給水加熱器30aとボイラ21の過熱器21aとの間の給水管49を流れる給水と、高圧タービン22から排出された蒸気を高圧給水加熱器30aに導く配管44を流れる蒸気との間で熱交換可能な熱交換器(図示しない)を設けることが好ましい。この場合、この熱交換器は、高圧タービン22から排出された蒸気の有する顕熱の一部を給水に与える過熱低減器(デスーパヒータ)として構成するとよい。これによって、高圧給水加熱器30aに適正な温度の蒸気を導入することができる。
【0035】
再熱器21bで再び高温の過熱蒸気に加熱(再熱)された蒸気は、高温再熱蒸気管46を介して中圧タービン23に導入され、膨張仕事をした後、配管47を介して、低圧タービン24に導入される。ここで、再熱器21bで加熱され、中圧タービン23に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば650度程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を中圧タービン23に導入することもできる。また、中圧タービン23は、発電機35bを駆動して発電する。
【0036】
低圧タービン24に導入され、膨張仕事をした蒸気は、復水器25に導かれて凝縮し、復水となる。また、低圧タービン24から抽気された蒸気は、配管48を介して、低圧給水加熱器27a、27b、27cに導かれ、給水を加熱する。また、低圧タービン24は、発電機35aを駆動して発電する。
【0037】
復水器25の復水は、復水ポンプ26によって、低圧給水加熱器27a、27b、27c、脱気器28へ送られボイラ21への給水として再利用される。脱気器28へ送られた復水は、ボイラ給水ポンプ29によって昇圧され、給水管49を介して、高圧給水加熱器30a、30bを経て過熱器21aに給水される。一方、脱気器28へ送られた給水(復水)の一部は、給水系統配管40から分岐された配管41を介して、給水ポンプ33によって、集熱蒸気発生装置31に導かれる。集熱蒸気発生装置31に導かれた給水は、集熱蒸気発生装置31によって加熱され蒸気となり、太陽熱蒸気タービン32に導入される。
【0038】
例えば、蓄熱装置34を備えている場合において、集熱蒸気発生装置31によって得られた太陽熱エネルギが必要量を超える場合には、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱装置34に蓄熱する。そして、給水に集熱蒸気発生装置31から所定量の太陽熱エネルギが熱媒体を介して与えられ、適正な温度の蒸気を太陽熱蒸気タービン32に導入することができる。
【0039】
一方、蓄熱装置34を備え、蓄熱装置34がすでに熱量を蓄熱している場合において、集熱蒸気発生装置31によって得られた太陽熱エネルギが必要量を下回る場合には、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱装置34に蓄熱された熱量を集熱蒸気発生装置31で使用する。そして、給水に集熱蒸気発生装置31から所定量の太陽熱エネルギが熱媒体を介して与えられ、適正な温度の蒸気を太陽熱蒸気タービン32に導入することができる。
【0040】
ここで、高圧タービン22から排出された蒸気を再熱器21bに導く低温再熱蒸気管43から分岐され、太陽熱蒸気タービン32の蒸気導入口に連通する配管50を設けてもよい。例えば、蓄熱装置34を備えない場合や、蓄熱装置34を備えていても蓄熱装置34で蓄熱された熱量だけでは、給水に与えるエネルギが足りない場合には、配管50を介して、高圧タービン22から排出された蒸気の一部を太陽熱蒸気タービン32に導入することができる。ここで、太陽熱蒸気タービン32に導入される蒸気の温度は、集熱蒸気発生装置31が発生させる蒸気と近い温度とするのが好ましく、例えば、集熱蒸気発生装置31がトラフ式の場合は370〜400℃、集熱蒸気発生装置31がタワー式の場合は500〜550℃の蒸気とするとよい。
【0041】
太陽熱蒸気タービン32に導かれた蒸気は、膨張仕事をした後、その一部が、配管51を介して二酸化炭素回収設備60へ供給され、その残りは、配管51から分岐された配管52を介して、上記した低圧タービン24から抽気された蒸気とともに低圧給水加熱器27cに導かれる。
【0042】
ここで、太陽熱蒸気タービン32から抽気された蒸気を、中圧タービン23のタービンロータ、タービン動翼、ケーシングなどを冷却するための冷却蒸気として、配管53を介して中圧タービン23の所定のタービン段落に導入してもよい。これにより、中圧タービン23のタービンロータ、タービン動翼のクリープ強度を確保することができる。さらに、太陽熱蒸気タービン32から抽気した温度の低い冷却蒸気を使用することで、サイクル損失を低減することができる。なお、太陽熱蒸気タービン32からの蒸気を抽気して中圧タービン23を冷却する場合、中圧タービン23の冷却部における蒸気の圧力よりも高い圧力の蒸気を太陽熱蒸気タービン32から抽気することが好ましい。
【0043】
ここで、配管50には、太陽熱蒸気タービン32に導く蒸気の流量を調整するための流量調整弁V1が設けられている。また、配管52には、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の圧力を調整するための圧力調整弁V2が設けられている。また、太陽熱蒸気タービン32から抽気した蒸気を、冷却蒸気として中圧タービン23に導入する場合、配管53には、太陽熱蒸気タービン32からの抽気蒸気の流量を調整するための流量調整弁V3が設けられている。なお、蒸気タービン発電設備10における発電出力は、発電機35aおよび発電機35bの合計出力が目標出力に合うように、高圧タービン22に導入する主蒸気の流量を蒸気加減弁(図示しない)で調整している。また、上記した各弁や各ポンプなどは、図示しない制御装置によって、例えば、図示しない、温度検知装置、流量検知装置、圧力検知装置などからの情報に基づいてフィードバック制御されている。
【0044】
例えば、二酸化炭素回収設備60へ導入される蒸気の流量や温度は、制御装置によって圧力調整弁V2などを制御することで、所定の流量や温度になるように調整される。具体的には、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が、二酸化炭素回収設備60で必要とする蒸気の温度よりも低い場合には、例えば、圧力調整弁V2を絞ることにより、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の圧力を上昇させる。これによって、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が上昇して、所定の温度に近づけることができる。なお、温度の微調整が必要な場合には、例えば、配管51の一部をスプレー水などで冷却して温度調整を行ってもよい。また、二酸化炭素回収設備60に導入される蒸気の流量が所定の流量より少ない場合は、例えば、給水ポンプ33からの給水量を増加させたり、流量調整弁V1の開度を大きくすることにより、所定の流量に近づけることができる。
【0045】
なお、ここでは、二酸化炭素回収設備60へ導入する蒸気の温度や流量に基づいて、流量調整弁V1および圧力調整弁V2を調整する一例を示したが、例えば、後述する、二酸化炭素回収設備60の再生塔における吸収液の温度に基づいて、流量調整弁V1および圧力調整弁V2を調整してもよい。このように、吸収液の温度に基づいて、流量調整弁V1および圧力調整弁V2を調整することで、適正な制御をするための時間遅れを小さくすることができる。この際、制御を安定化するために、吸収液の流量を関数として流量調整弁V1および圧力調整弁V2を制御してもよい。
【0046】
次に、二酸化炭素回収設備60について説明する。
【0047】
図2は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10における二酸化炭素回収設備60の概要を示す図である。
【0048】
図2に示すように、二酸化炭素回収設備60は、吸収塔70と、再生塔80と、二酸化炭素回収装置90とを備えている。
【0049】
吸収塔70は、ボイラ21から排出された燃焼ガスを導入し、この燃焼ガスに吸収液100を気液接触させて、燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収液100に吸収させるための塔である。
【0050】
再生塔80は、吸収塔70において二酸化炭素を吸収した吸収液100を、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の熱を利用して加熱し、吸収液100から二酸化炭素を分離するための塔である。
【0051】
二酸化炭素回収装置90は、再生塔80で分離された二酸化炭素を回収するための装置である。二酸化炭素回収装置90は、例えば、分離された二酸化炭素を圧縮して回収する圧縮回収機などで構成される。
【0052】
ここで、吸収液としては、二酸化炭素を吸収し、所定の条件で放散可能なものであればよく、例えば、アミン系水溶液などを使用することができる。アミン系水溶液として、具体的には、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン等のアルカノールアミンのいずれか1つの水溶液、またはこれらのうちから2種以上を混合した水溶液を使用することができる。
【0053】
上記した、二酸化炭素回収設備60において、例えば、ボイラ21において化石燃料を燃焼して排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス供給口71から吸収塔70内に導かれる。吸収塔70の上部には、二酸化炭素を吸収する吸収液100が供給され、この供給された吸収液100は、例えば、下方に向けて噴霧され、導入された燃焼排ガスと気液接触して、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収する。
【0054】
二酸化炭素を吸収した吸収液100は、吸収塔70の下部から吸収液循環ポンプ110によって熱交換器120を通過して、再生塔80に導かれる。ここで、吸収液100は、熱交換器120を通過する際、再生塔80から吸収塔70に導かれる吸収液100によって加熱される。また、二酸化炭素を吸収した吸収液100の温度は、その吸収による反応熱、および燃焼排ガスが有する顕熱によって、二酸化炭素を吸収する前の吸収液100の温度よりも高くなる。
【0055】
一方、吸収液100に二酸化炭素を吸収させた残りの燃焼排ガスは、吸収塔70の上部から大気へ放出される。
【0056】
再生塔80に導かれた吸収液100は、リボイラ130によって加熱され、吸収した二酸化炭素を放散し、再び二酸化炭素を吸収できる吸収液100に再生される。リボイラ130には、配管51を介して太陽熱蒸気タービン32から排出された蒸気が導入される。この太陽熱蒸気タービン32から排出された蒸気によって、二酸化炭素を吸収した吸収液100が加熱される。
【0057】
ここで、リボイラ130に導入される、太陽熱蒸気タービン32から排出された蒸気の温度は、前述した蒸気タービン設備20における制御によって、所定の温度に設定されている。ここで、この所定の温度は、再生塔80において効果的に二酸化炭素を放散できる温度に吸収液100を加熱するのに必要な温度であり、使用する吸収液100に対応して適宜に設定される。例えば、上記したアミン系水溶液を吸収液100として使用した場合、効果的に二酸化炭素を放散できる温度は100〜120℃である。すなわち、再生塔80に導入された吸収液100の温度を100〜120℃に加熱できる熱量をリボイラ130で吸収液100に与えられればよい。すなわち、二酸化炭素回収設備60へ導入する蒸気の所定の温度は、加熱する吸収液100の流量やリボイラ130に導入される蒸気の流量によっても異なるが、これらの流量を考慮すると、130〜150℃程度に設定されることが好ましい。
【0058】
リボイラ130によって吸収液100に熱を放出した蒸気は、図1に示した復水器25に導かれ、復水となる。また、リボイラ130によって吸収液100に熱を放出した蒸気が復水となる場合には、例えば、図1に示す、低圧給水加熱器27aと低圧給水加熱器27bとの間の復水が流れる配管に、リボイラ130からの復水を導入してもよい。
【0059】
また、二酸化炭素を放散し、再生された吸収液100は、吸収液循環ポンプ111により、熱交換器120を介して再び吸収塔70の上部へ戻される。ここで、吸収液100は、熱交換器120を通過する際、吸収塔70から再生塔80に導かれる吸収液100を加熱する。これにより、吸収塔70に戻される吸収液100の温度は、再生塔80における温度よりも低い、吸収塔70における燃焼排ガスの二酸化炭素の吸収に適した温度となる。すなわち、熱交換器120は、リボイラ130から吸収液循環ポンプ111を介して供給された、比較的温度が高い再生済みの吸収液100の熱を、吸収塔70の下部から吸収液循環ポンプ110を介して供給された、比較的温度が低く、吸収した二酸化炭素を放散させるために加熱が必要な二酸化炭素を吸収済みの吸収液100に再生させる再生熱交換器である。
【0060】
一方、再生塔80において、吸収液100から放散された二酸化炭素は、冷却器121を介して汽水分離器140に導かれ、水分が取り除かれた後に、二酸化炭素回収装置90に導かれ回収される。また、汽水分離器140で分離された凝縮水は、再生塔80に導かれる。
【0061】
なお、吸収液循環ポンプ110、吸収液循環ポンプ111、二酸化炭素回収装置90等は、前述した制御装置(図示しない)によって制御される。
【0062】
次に、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10におけるサイクル効率について説明する。
【0063】
図3は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10における蒸気の状態変化をT−s線図(温度−エントロピ線図)で示した図である。なお、図3には、比較のため、従来の一段再熱サイクルにおける状態変化も示している。また、ここでは、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10の高圧タービン22に導入される蒸気の温度を650℃、従来の蒸気タービン発電設備における高圧タービンに導入される蒸気の温度を600℃とした一例を示している。なお、図3において、各蒸気タービンにおける膨張過程は、断熱膨張を仮定している。
【0064】
従来の蒸気タービン発電設備において、6→1は、過熱器での等圧昇温、1→2は、高圧タービンにおける断熱膨張、2→3は、再熱器における等圧再熱、3→4は、中圧タービンおよび低圧タービンにおける断熱膨張を示す。また、4→5は、復水器における等温凝縮、5→6は、給水ポンプおよび給水加熱器における昇圧、昇温を示す。
【0065】
一方、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10では、高圧タービン22に導入される蒸気の温度は、従来の蒸気タービン発電設備の高圧タービンに導入される蒸気の温度よりも高いため、高圧タービン22での断熱膨張は、1a→2aとなる。また、中圧タービン23および低圧タービン24での断熱膨張は、3a→4aとなる。
【0066】
図3において、従来の蒸気状態値から上の蒸気状態値で囲まれる面積(図3の斜線で示された部分の面積)が仕事として取り出せるエネルギ増加分、すなわち高温化による効率向上の寄与分である。
【0067】
また、太陽熱蒸気タービン32における断熱膨張は、2a→7で表され、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度は、排出される蒸気の圧力Pexにより決まる。ここで、集熱蒸気発生装置31で発生する蒸気の温度や圧力は、高圧タービン22から排出された蒸気の温度や圧力とほぼ同じであるため、いずれから太陽熱蒸気タービン32に導入された蒸気も、蒸気条件2aとなる。
【0068】
また、例えば、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が、二酸化炭素回収設備60で必要とする蒸気の温度(例えば、150℃)よりも低い場合には、圧力調整弁V2を絞ることにより、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の圧力Pexを上昇させる。これによって、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が上昇して、所定の温度に近づけることができる。また、二酸化炭素回収設備60に導入される蒸気の流量が、所定の流量より少ない場合は、例えば、給水ポンプ33からの給水量を増加させたり、流量調整弁V1の開度を大きくすることにより、所定の流量に近づけることができる。
【0069】
上記した制御により、蒸気タービン発電設備10全体の出力は、発電機35aと発電機35bの合計で決まる。そのため、所定の出力を得るには、高圧タービン22に導入する蒸気の流量を、蒸気加減弁(図示しない)によって制御し、発電機35a、35bの出力を制御することにより可能となる。
【0070】
なお、二酸化炭素回収設備60の吸収液100の交換などのために、リボイラ130に導入する蒸気を遮断して蒸気タービン発電設備10を運転する場合には、配管51に設けられた遮断弁(図示しない)を閉じて、二酸化炭素回収設備60への蒸気の流入を遮断する。さらに、圧力調整弁V2を全開にして、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の全量が、低圧給水加熱器27cに導入されるように制御する。
【0071】
ここで、蒸気タービン発電設備10の蒸気タービン設備20に蓄熱装置34を備えた場合と、蓄熱装置34を備えない場合とにおける、太陽熱エネルギと太陽熱蒸気タービン32の出力について説明する。
【0072】
図4は、1日における太陽熱エネルギと太陽熱蒸気タービン32の出力との関係を説明するための図である。なお、ここでは、太陽熱蒸気タービン32の出力(太陽熱蒸気タービン32の排気量)を一定とする。
【0073】
蓄熱装置34を備えない場合には、図4に示すように、太陽熱エネルギに応じて太陽熱蒸気タービン32の最大飲み込み可能な蒸気量(最大飲み込み量)まで出力することができる。しかし、太陽熱蒸気タービン32の最大飲み込み量まで出力することができても、二酸化炭素回収設備60に必要な蒸気量は決まっているため、その必要量を超えた余分なエネルギは損失となる。また、太陽熱エネルギを得ることができなくなると、上記した一定の出力を得るのに相当するエネルギ(図4の破線矢印間に相当するエネルギ)を、高圧タービン22から排出された蒸気(バックアップ蒸気)で補わなければならない。なお、上記した蓄熱装置34を備えない場合において、起動用助燃装置は備えられている。
【0074】
一方、蓄熱装置34を備えた場合には、多くの太陽熱エネルギが得られ、二酸化炭素回収設備60に必要な蒸気量を超えた余分なエネルギは、蓄熱装置34に蓄熱することができる。そのため、太陽熱エネルギが減少する夕方などに、蓄熱装置34に蓄熱された熱量を利用して、太陽熱蒸気タービン32に蒸気を導入することができる。これにより、バックアップ蒸気によって補わなければならないエネルギは、蓄熱装置34における熱量を利用しても不足するエネルギ(図4の実線矢印間に相当するエネルギ)のみで足りる。なお、上記した蓄熱装置34を備えた場合には、起動用助燃装置は不要である。
【0075】
上記したように、太陽熱蒸気タービン32による燃費削減量は、蓄熱装置34を備えない場合の太陽熱エネルギを用いることによる燃費削減量(図4の左下がりの斜線で示した部分のエネルギ量)から、蓄熱装置34を備えた場合の太陽熱エネルギを用いることによる燃費削減量(図4の右下がりの斜線で示した部分のエネルギ量)まで増加することができる。
【0076】
なお、例えば、一般に石炭火力は、ボイラの運用性が他の燃料より劣り、また、高温化により性能向上しているため、日中は性能のよい定格条件付近で運転される。また、電力需要の少ない夜間でも、蒸気タービン発電設備10を止めずに運転していることが多い。特にこのような運転条件の蒸気タービン発電設備において、蓄熱装置34を備えることが有効である。
【0077】
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10によれば、集熱蒸気発生装置31および太陽熱蒸気タービン32を備え、給水の一部を集熱蒸気発生装置31において蒸気として太陽熱蒸気タービン32に導入し、太陽熱蒸気タービン32を駆動し、発電することができる。
【0078】
また、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10によれば、蓄熱装置34を備えることで太陽熱蒸気タービン32による燃費削減量を増加することができる。
【0079】
また、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10によれば、二酸化炭素回収設備60の再生塔80に必要なエネルギとして、太陽熱蒸気タービン32で膨張仕事をした後のエクセルギの低い蒸気を利用することができる。これによって、エネルギの損失を抑制し、高い発電効率を得ることができる。
【0080】
ここで、上記した蒸気タービン発電設備10では、太陽熱蒸気タービン32は、低圧タービン24と同一軸で接続され、発電機35aを駆動するように構成され、高圧タービン22は、中圧タービン23と同一軸で接続され、発電機35bを駆動するように構成されているが、各蒸気タービンの配置構成は、これらに限られるものではない。例えば、太陽熱蒸気タービン32は、高圧タービン22および中圧タービン23と同一軸で接続されるように配置されてもよい。また、太陽熱蒸気タービン32を単独で配置して、単独の発電機を備えるように構成してもよい。また、高圧タービン22、中圧タービン23、低圧タービン24および太陽熱蒸気タービン32を同一軸で接続するタンデムコンパウンドで構成してもよい。
【0081】
また、太陽熱蒸気タービン32を接続する際、ギア接続して回転数を上げるように構成してもよい。これによって、太陽熱蒸気タービン32のコンパクト化、高性能化を図ることができる。
【0082】
さらに低圧タービン24を半速、すなわち通常の3600rpmや3000rpmに対して1800rpmや1500rpmとして遠心力を低減し、最終タービン段落のタービン動翼に長翼を採用してもよい。これによって、排気軸流速度を低減して、排気損失を低減することができる。ここで、以下の式(式(1)〜式(3))によって、排気環状面積、排気軸流速度および排気損失を定義する。
【0083】
排気環状面積 = 翼長(m)×平均直径(m)×π …式(1)
排気軸流速度 = 排気体積流量(m/s)/排気環状面積(m) …式(2)
排気損失 = A/2g×排気質量流量(kg/s)×(排気軸流速度) …式(3)
ここで、Aは定数、gは重量加速度である。
【0084】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11の概要を示す図である。なお、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10と同一の構成部分には同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
【0085】
第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11は、燃焼熱を利用して蒸気を発生させるボイラ21や太陽光を利用して蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置31からの蒸気によって蒸気タービンを駆動し発電を行う蒸気タービン設備20と、ボイラ21などからの燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収設備60とを備えている。
【0086】
まず、蒸気タービン設備20について説明する。
【0087】
図5に示すように、蒸気タービン設備20は、過熱器21aおよび再熱器21b、21cを備えるボイラ21、第1の蒸気タービンとして機能する超高圧タービン36、2つの蒸気タービンで構成される第2の蒸気タービンのうちの一方の蒸気タービンとして機能する高圧タービン22、第2の蒸気タービンのうちの他方の蒸気タービンとして機能する中圧タービン23、第3の蒸気タービンとして機能する低圧タービン24、復水器25、復水ポンプ26、低圧給水加熱器27a、27b、27c、脱気器28、ボイラ給水ポンプ29、高圧給水加熱器30a、30bを備えている。
【0088】
また、蒸気タービン設備20は、脱気器28で脱気された給水の一部から蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置31、この集熱蒸気発生装置31で発生した蒸気が導入される、第4の蒸気タービンとして機能する太陽熱蒸気タービン32を備えている。また、太陽熱蒸気タービン32から排出された蒸気の一部は、二酸化炭素回収設備60へ供給される構成となっている。
【0089】
集熱蒸気発生装置31は、例えば、太陽光によって液状の熱媒体を加熱する加熱機構、この加熱機構から供給された熱媒体によって給水を加熱する熱交換器、加熱機構および熱交換器に熱媒体を循環させる配管に設けられた循環ポンプなどを備えている。集熱蒸気発生装置31は、前述したように、例えば、トラフ式の集光集熱装置やタワー式の集光集熱装置を使用することができる。
【0090】
また、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10と同様に、集熱蒸気発生装置31と太陽熱蒸気タービン32との間に、集熱蒸気発生装置31で発生した蒸気の有する熱量の一部を蓄熱する蓄熱装置34を備えてもよい。
【0091】
ここで、太陽熱蒸気タービン32は、低圧タービン24と同一軸で接続され、発電機35aを駆動するように構成されている。また、超高圧タービン36は、高圧タービン22および中圧タービン23と同一軸で接続され、発電機35bを駆動するように構成されている。このように、各蒸気タービンを配置することで、全長が長くなるのを抑制し、タービンロータと、静止部材との熱伸び差による漏洩蒸気量を低減することができる。さらに、高温の蒸気が導入される蒸気タービンと、比較的低温の蒸気が導入される蒸気タービンを分けて構成し、それぞれにスラスト軸受けを適正に配置することにより、起動特性を改善することができる。
【0092】
なお、各蒸気タービンの配置構成は、上記した構成に限られるものではなく、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10で示した他の配置構成と同様の構成を採用してもよい。
【0093】
この蒸気タービン設備20では、ボイラ21の過熱器21aで発生した高温の蒸気は、主蒸気管42を介して超高圧タービン36に導入され、膨張仕事をした後、低温再熱蒸気管43aを介してボイラ21の再熱器21bに導入される。ここで、過熱器21aから超高圧タービン36に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば、650℃程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を超高圧タービン36に導入することもできる。また、超高圧タービン36から排出された蒸気の一部は、超高圧タービン36から排出された蒸気を再熱器21bに導く低温再熱蒸気管43aから分岐された配管44aを介して高圧給水加熱器30bに導かれ、給水を加熱する。
【0094】
再熱器21bで再び高温の過熱蒸気に加熱(再熱)された蒸気は、高温再熱蒸気管46aを介して高圧タービン22に導入され、膨張仕事をした後、低温再熱蒸気管43bを介してボイラ21の再熱器21cに導入される。ここで、再熱器21bから高圧タービン22に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば、650℃程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を高圧タービン22に導入することもできる。また、高圧タービン22から排出された蒸気の一部は、高圧タービン22から排出された蒸気を再熱器21cに導く低温再熱蒸気管43bから分岐された配管44bを介して高圧給水加熱器30aに導かれ、給水を加熱する。
【0095】
ここで、高圧タービン22から排出された蒸気の温度が、高圧給水加熱器30aに導く所定の蒸気温度よりも高い場合には、高圧給水加熱器30aとボイラ21の過熱器21aとの間の給水管49を流れる給水と、高圧タービン22から排出された蒸気を高圧給水加熱器30aに導く配管44bを流れる蒸気との間で熱交換可能な熱交換器(図示しない)を設けることが好ましい。これによって、高圧給水加熱器30aに適正な温度の蒸気を導入することができる。
【0096】
また、超高圧タービン36から抽気された蒸気を、高圧タービン22のタービンロータ、タービン動翼、ケーシングなどを冷却するための冷却蒸気として、配管54を介して高圧タービン22の所定のタービン段落に導入してもよい。これにより、高圧タービン22のタービンロータ、タービン動翼のクリープ強度を確保することができる。
【0097】
再熱器21cで再び高温の過熱蒸気に加熱(再熱)された蒸気は、高温再熱蒸気管46bを介して中圧タービン23に導入され、膨張仕事をした後、配管47を介して、低圧タービン24に導入される。ここで、再熱器21cで加熱され、中圧タービン23に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば650度程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を中圧タービン23に導入することもできる。また、中圧タービン23は、発電機35bを駆動して発電する。
【0098】
低圧タービン24に導入され、膨張仕事をした蒸気は、復水器25に導かれて凝縮し、復水となる。また、低圧タービン24から抽気された蒸気は、配管48を介して、低圧給水加熱器27a、27b、27cに導かれ、給水を加熱する。また、低圧タービン24は、発電機35aを駆動して発電する。
【0099】
復水器25の復水は、復水ポンプ26によって、低圧給水加熱器27a、27b、27c、脱気器28へ送られボイラ21への給水として再利用される。脱気器28へ送られた復水は、ボイラ給水ポンプ29によって昇圧され、給水管49を介して、高圧給水加熱器30a、30bを経て過熱器21aに給水される。一方、脱気器28へ送られた給水(復水)の一部は、給水系統配管40から分岐された配管41を介して、給水ポンプ33によって、集熱蒸気発生装置31に導かれる。集熱蒸気発生装置31に導かれた給水は、集熱蒸気発生装置31によって加熱され蒸気となり、太陽熱蒸気タービン32に導入される。
【0100】
例えば、蓄熱装置34を備えている場合において、集熱蒸気発生装置31によって得られた太陽熱エネルギが必要量を超える場合には、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱装置34に蓄熱する。そして、給水に集熱蒸気発生装置31から所定量の太陽熱エネルギが熱媒体を介して与えられ、適正な温度の蒸気を太陽熱蒸気タービン32に導入することができる。
【0101】
一方、蓄熱装置34を備え、蓄熱装置34がすでに熱量を蓄熱している場合において、集熱蒸気発生装置31によって得られた太陽熱エネルギが必要量を下回る場合には、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱装置34に蓄熱された熱量を集熱蒸気発生装置31で使用する。そして、給水に集熱蒸気発生装置31から所定量の太陽熱エネルギが熱媒体を介して与えられ、適正な温度の蒸気を太陽熱蒸気タービン32に導入することができる。
【0102】
ここで、超高圧タービン36から排出された蒸気を再熱器21bに導く低温再熱蒸気管43aから分岐され、太陽熱蒸気タービン32の蒸気導入口に連通する配管50を設けてもよい。例えば、蓄熱装置34を備えない場合や、蓄熱装置34を備えていても蓄熱装置34で蓄熱された熱量だけでは、給水に与えるエネルギが足りない場合には、配管50を介して、超高圧タービン36から排出された蒸気の一部を太陽熱蒸気タービン32に導入することができる。ここで、太陽熱蒸気タービン32に導入される蒸気の温度は、集熱蒸気発生装置31が発生させる蒸気と近い温度とするのが好ましく、例えば、集熱蒸気発生装置31がトラフ式の場合は370〜400℃、集熱蒸気発生装置31がタワー式の場合は500〜550℃の蒸気とするとよい。
【0103】
太陽熱蒸気タービン32に導かれた蒸気は、膨張仕事をした後、その一部が、配管51を介して二酸化炭素回収設備60へ供給され、その残りは、配管51から分岐された配管52を介して、上記した低圧タービン24から抽気された蒸気とともに低圧給水加熱器27cに導かれる。
【0104】
ここで、太陽熱蒸気タービン32から抽気された蒸気を、中圧タービン23のタービンロータ、タービン動翼、ケーシングなどを冷却するための冷却蒸気として、配管53を介して中圧タービン23の所定のタービン段落に導入してもよい。これにより、中圧タービン23のタービンロータ、タービン動翼のクリープ強度を確保することができる。さらに、太陽熱蒸気タービン32から抽気した温度の低い冷却蒸気を使用することで、サイクル損失を低減することができる。なお、太陽熱蒸気タービン32からの蒸気を抽気して中圧タービン23を冷却する場合、中圧タービン23の冷却部における蒸気の圧力よりも高い圧力の蒸気を太陽熱蒸気タービン32から抽気することが好ましい。
【0105】
ここで、配管50には、太陽熱蒸気タービン32に導く蒸気の流量を調整するための流量調整弁V1が設けられている。また、配管52には、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の圧力を調整するための圧力調整弁V2が設けられている。また、太陽熱蒸気タービン32から抽気した蒸気を、冷却蒸気として中圧タービン23に導入する場合、配管53には、太陽熱蒸気タービン32からの抽気蒸気の流量を調整するための流量調整弁V3が設けられている。また、超高圧タービン36から抽気した蒸気を、冷却蒸気として高圧タービン22に導入する場合、配管54には、超高圧タービン36からの抽気蒸気の流量を調整するための流量調整弁V4が設けられている。
【0106】
なお、蒸気タービン発電設備11における発電出力は、発電機35aおよび発電機35bの合計出力が目標出力に合うように、超高圧タービン36に導入する主蒸気の流量を蒸気加減弁(図示しない)で調整している。また、上記した各弁や各ポンプなどは、図示しない制御装置によって、例えば、図示しない、温度検知装置、流量検知装置、圧力検知装置などからの情報に基づいてフィードバック制御されている。
【0107】
例えば、二酸化炭素回収設備60へ導入される蒸気の流量や温度は、制御装置によって圧力調整弁V2などを制御することで、所定の流量や温度になるように調整される。具体的には、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が、二酸化炭素回収設備60で必要とする蒸気の温度よりも低い場合には、例えば、圧力調整弁V2を絞ることにより、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の圧力を上昇させる。これによって、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が上昇して、所定の温度に近づけることができる。なお、温度の微調整が必要な場合には、例えば、配管51の一部をスプレー水などで冷却して温度調整を行ってもよい。また、二酸化炭素回収設備60に導入される蒸気の流量が所定の流量より少ない場合は、例えば、給水ポンプ33からの給水量を増加させたり、流量調整弁V1の開度を大きくすることにより、所定の流量に近づけることができる。
【0108】
なお、ここでは、二酸化炭素回収設備60へ導入する蒸気の温度や流量に基づいて、流量調整弁V1および圧力調整弁V2を調整する一例を示したが、例えば、後述する、二酸化炭素回収設備60の再生塔における吸収液の温度に基づいて、流量調整弁V1および圧力調整弁V2を調整してもよい。このように、吸収液の温度に基づいて、流量調整弁V1および圧力調整弁V2を調整することで、適正な制御をするための時間遅れを小さくすることができる。この際、制御を安定化するために、吸収液の流量を関数として流量調整弁V1および圧力調整弁V2を制御してもよい。
【0109】
なお、二酸化炭素回収設備60の構成および作用効果は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10における二酸化炭素回収設備60と同様である。
【0110】
次に、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11におけるサイクル効率について説明する。
【0111】
図6は、本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11における蒸気の状態変化をT−s線図(温度−エントロピ線図)で示した図である。なお、図6には、比較のため、従来の二段再熱サイクルにおける状態変化も示している。また、ここでは、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11の超高圧タービン36に導入される蒸気の温度を650℃、従来の蒸気タービン発電設備における超高圧タービンに導入される蒸気の温度を600℃とした一例を示している。さらに、図6においては、図3と同様に、各蒸気タービンにおける膨張過程は断熱膨張を仮定している。
【0112】
従来の蒸気タービン発電設備において、8→1は、ボイラ21での等圧昇温、1→2は、超高圧タービンにおける断熱膨張、2→3は、再熱器における等圧再熱、3→4は、高圧タービンにおける断熱膨張、4→5は、再熱器における等圧再熱、5→6は、中圧タービンおよび低圧タービンにおける断熱膨張を示す。また、6→7は、復水器における等温凝縮、7→8は、給水ポンプおよび給水加熱器における昇圧、昇温を示す。
【0113】
一方、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11では、超高圧タービン36に導入される蒸気の温度は、従来の蒸気タービン発電設備の超高圧タービンに導入される蒸気の温度よりも高いため、超高圧タービン36での断熱膨張は、1a→2aとなる。また、高圧タービン22での断熱膨張は、3a→4aとなる。また、中圧タービン23および低圧タービン24での断熱膨張は、5a→6aとなる。
【0114】
図6において、従来の蒸気状態値から上の蒸気状態値で囲まれる面積(図6の斜線で示された部分の面積)が仕事として取り出せるエネルギ増加分、すなわち高温化による効率向上の寄与分である。
【0115】
また、太陽熱蒸気タービン32における断熱膨張は、2a→9で表され、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度は、排出される蒸気の圧力Pexにより決まる。ここで、集熱蒸気発生装置31で発生する蒸気の温度や圧力は、超高圧タービン36から排出された蒸気の温度や圧力とほぼ同じであるため、いずれから太陽熱蒸気タービン32に導入された蒸気も、蒸気条件2aとなる。
【0116】
また、例えば、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が、二酸化炭素回収設備60で必要とする蒸気の温度(例えば、150℃)よりも低い場合には、圧力調整弁V2を絞ることにより、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の圧力Pexを上昇させる。これによって、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度が上昇して、所定の温度に近づけることができる。また、二酸化炭素回収設備60に導入される蒸気の流量が、所定の流量より少ない場合は、例えば、給水ポンプ33からの給水量を増加させたり、流量調整弁V1の開度を大きくすることにより、所定の流量に近づけることができる。
【0117】
上記した制御により、蒸気タービン発電設備10全体の出力は、発電機35aと発電機35bの合計で決まる。そのため、所定の出力を得るには、超高圧タービン36に導入する蒸気の流量を、蒸気加減弁(図示しない)によって制御し、発電機35a、35bの出力を制御することにより可能となる。
【0118】
なお、二酸化炭素回収設備60の吸収液100の交換などのために、リボイラ130に導入する蒸気を遮断して蒸気タービン発電設備10を運転する場合には、配管51に設けられた遮断弁(図示しない)を閉じて、二酸化炭素回収設備60への蒸気の流入を遮断する。さらに、圧力調整弁V2を全開にして、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の全量が、低圧給水加熱器27cに導入されるように制御する。
【0119】
上記したように、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11によれば、集熱蒸気発生装置31および太陽熱蒸気タービン32を備え、給水の一部を集熱蒸気発生装置31において蒸気として太陽熱蒸気タービン32に導入し、太陽熱蒸気タービン32を駆動し、発電することができる。
【0120】
また、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11によれば、蓄熱装置34を備えることで太陽熱蒸気タービン32による燃費削減量を増加することができる。
【0121】
また、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11によれば、二酸化炭素回収設備60の再生塔80に必要なエネルギとして、太陽熱蒸気タービン32で膨張仕事をした後のエクセルギの低い蒸気を利用することができる。これによって、エネルギの損失を抑制し、高い発電効率を得ることができる。
【0122】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明に係る第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12の概要を示す図である。図8は、本発明に係る第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12における蒸気の状態変化をT−s線図(温度−エントロピ線図)で示した図である。なお、図8には、比較のため、従来の二段再熱サイクルにおける状態変化も示している。また、第1の実施の形態および第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備10、11と同一の構成部分には同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。また、図8においては、図3と同様に、各蒸気タービンにおける膨張過程は、断熱膨張を仮定している。
【0123】
第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12は、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11の太陽熱蒸気タービン32を再熱タービンに構成し、再熱器として、集熱蒸気発生装置を備えた以外は、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11と同様の構成である。
【0124】
また、ここでは、超高圧タービン36に導入される蒸気の温度が600℃程度であり、超高圧タービン36から排出される蒸気の温度が、前述した第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11の超高圧タービン36から排出される蒸気の温度よりも低くなる場合を想定している。さらに、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の温度を、二酸化炭素回収設備60で要求される温度(例えば150℃)にしようとしたときに、蒸気の状態が湿り域(図8に示された飽和蒸気線よりも下側の領域)に属するような場合を想定している。このように、排出される蒸気の状態が湿り域に属する場合には、例えば、最終タービン段落の動翼や静翼の侵食などの問題を有し、蒸気タービンの信頼性が低下する。
【0125】
なお、太陽熱蒸気タービン32から排出される蒸気の排気圧力を高めれば、飽和温度より高くすることができるが、排出される蒸気の温度を150℃程度にするためには、排出される蒸気の減圧減温が必要となり、エネルギの損失となる。
【0126】
そこで、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12では、図7に示すように、太陽熱蒸気タービン32a、32b、再熱器である集熱蒸気発生装置37を備えた再熱太陽熱蒸気タービンを備えている。なお、集熱蒸気発生装置37は、集熱蒸気発生装置31と同様の集光集熱装置で構成される。
【0127】
集熱蒸気発生装置31と蓄熱装置34との間には、集熱蒸気発生装置31の熱媒体を循環させる循環配管34aが設けられる。また、集熱蒸気発生装置37と蓄熱装置34との間には、集熱蒸気発生装置31の熱媒体を循環させる循環配管34bが設けられる。そして、蓄熱装置34に蓄熱する際、または蓄熱装置34に蓄熱された熱量を集熱蒸気発生装置31で使用する際、循環配管34aおよび循環配管34bに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱または蓄熱された熱量の放出を行う。このように、蓄熱装置34を備えることで、例えば、日照量が多い場合は、余剰の熱量を一旦蓄熱装置34へ貯めることができる。一方、夜間や日照量が少ないために所定の太陽熱エネルギ量が得られない場合には、蓄熱された熱量を取り出すことができる。すなわち、蓄熱装置34を備えることで、太陽熱の変動を吸収して平準化することができる。
【0128】
なお、ここでは、循環配管34aと循環配管34bとを並列に備えた一例を示しているが、集熱蒸気発生装置31と蓄熱装置34との間、および集熱蒸気発生装置37と蓄熱装置34との間を一つの循環配管で直列に構成してもよい。
【0129】
この蒸気タービン設備20では、ボイラ21の過熱器21aで発生した高温の蒸気は、主蒸気管42を介して超高圧タービン36に導入され、膨張仕事をした後、低温再熱蒸気管43aを介してボイラ21の再熱器21bに導入される。なお、ここでは、上記したように、過熱器21aから超高圧タービン36に導入される蒸気の温度は、600℃程度である。また、超高圧タービン36から排出された蒸気の一部は、超高圧タービン36から排出された蒸気を再熱器21bに導く低温再熱蒸気管43aから分岐された配管44aを介して高圧給水加熱器30bに導かれ、給水を加熱する。
【0130】
再熱器21bで再び高温の過熱蒸気に加熱(再熱)された蒸気は、高温再熱蒸気管46aを介して高圧タービン22に導入され、膨張仕事をした後、低温再熱蒸気管43bを介してボイラ21の再熱器21cに導入される。ここで、再熱器21bから高圧タービン22に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば、650℃程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を高圧タービン22に導入することもできる。また、高圧タービン22から排出された蒸気の一部は、高圧タービン22から排出された蒸気を再熱器21cに導く低温再熱蒸気管43bから分岐された配管44bを介して高圧給水加熱器30aに導かれ、給水を加熱する。
【0131】
ここで、高圧タービン22から排出された蒸気の温度が、高圧給水加熱器30aに導く所定の蒸気温度よりも高い場合には、高圧給水加熱器30aとボイラ21の過熱器21aとの間の給水管49を流れる給水と、高圧タービン22から排出された蒸気を高圧給水加熱器30aに導く配管44bを流れる蒸気との間で熱交換可能な熱交換器(図示しない)を設けることが好ましい。これによって、高圧給水加熱器30aに適正な温度の蒸気を導入することができる。
【0132】
また、超高圧タービン36から抽気された蒸気を、高圧タービン22のタービンロータ、タービン動翼、ケーシングなどを冷却するための冷却蒸気として、配管54を介して高圧タービン22の所定のタービン段落に導入してもよい。これにより、高圧タービン22のタービンロータ、タービン動翼のクリープ強度を確保することができる。
【0133】
再熱器21cで再び高温の過熱蒸気に加熱(再熱)された蒸気は、高温再熱蒸気管46bを介して中圧タービン23に導入され、膨張仕事をした後、配管47を介して、低圧タービン24に導入される。ここで、再熱器21cで加熱され、中圧タービン23に導入される蒸気の温度は、発電効率を向上させる観点から、620℃以上とすることが好ましい。例えば650度程度、あるいはそれ以上の高温の蒸気を中圧タービン23に導入することもできる。また、中圧タービン23は、発電機35bを駆動して発電する。
【0134】
低圧タービン24に導入され、膨張仕事をした蒸気は、復水器25に導かれて凝縮し、復水となる。また、低圧タービン24から抽気された蒸気は、配管48を介して、低圧給水加熱器27a、27b、27cに導かれ、給水を加熱する。また、低圧タービン24は、発電機35aを駆動して発電する。
【0135】
復水器25の復水は、復水ポンプ26によって、低圧給水加熱器27a、27b、27c、脱気器28へ送られボイラ21への給水として再利用される。脱気器28へ送られた復水は、ボイラ給水ポンプ29によって昇圧され、給水管49を介して、高圧給水加熱器30a、30bを経て過熱器21aに給水される。一方、脱気器28へ送られた給水(復水)の一部は、給水系統配管40から分岐された配管41を介して、給水ポンプ33によって、集熱蒸気発生装置31に導かれる。集熱蒸気発生装置31に導かれた給水は、集熱蒸気発生装置31によって加熱され蒸気となり、太陽熱蒸気タービン32に導入される。
【0136】
例えば、蓄熱装置34を備えている場合において、集熱蒸気発生装置31によって得られた太陽熱エネルギが必要量を超える場合には、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱装置34に蓄熱する。そして、給水に集熱蒸気発生装置31から所定量の太陽熱エネルギが熱媒体を介して与えられ、適正な温度の蒸気を太陽熱蒸気タービン32aに導入することができる。
【0137】
一方、蓄熱装置34を備え、蓄熱装置34がすでに熱量を蓄熱している場合において、集熱蒸気発生装置31によって得られた太陽熱エネルギが必要量を下回る場合には、循環配管34aに設けられた循環ポンプ(図示しない)を作動して、蓄熱装置34に蓄熱された熱量を集熱蒸気発生装置31で使用する。そして、給水に集熱蒸気発生装置31から所定量の太陽熱エネルギが熱媒体を介して与えられ、適正な温度の蒸気を太陽熱蒸気タービン32aに導入することができる。
【0138】
ここで、超高圧タービン36から排出された蒸気を再熱器21bに導く低温再熱蒸気管43aから分岐され、太陽熱蒸気タービン32aの蒸気導入口に連通する配管50を設けてもよい。例えば、蓄熱装置34を備えない場合や、蓄熱装置34を備えていても蓄熱装置34で蓄熱された熱量だけでは、給水に与えるエネルギが足りない場合には、配管50を介して、超高圧タービン36から排出された蒸気の一部を太陽熱蒸気タービン32aに導入することができる。ここで、太陽熱蒸気タービン32に導入される蒸気の温度は、集熱蒸気発生装置31が発生させる蒸気と近い温度とするのが好ましく、例えば、370〜400℃にするとよい。
【0139】
太陽熱蒸気タービン32aに導かれた蒸気は、膨張仕事をした後、低温再熱蒸気管55を介して集熱蒸気発生装置37に導かれ、加熱される。集熱蒸気発生装置37で加熱された蒸気は、高温再熱蒸気管56を介して太陽熱蒸気タービン32bに導入される。
【0140】
太陽熱蒸気タービン32bに導かれた蒸気は、膨張仕事をした後、その一部が、配管51を介して二酸化炭素回収設備60へ供給され、その残りは、配管51から分岐された配管52を介して、上記した低圧タービン24から抽気された蒸気とともに低圧給水加熱器27cに導かれる。
【0141】
ここで、太陽熱蒸気タービン32bから抽気された蒸気を、中圧タービン23のタービンロータ、タービン動翼、ケーシングなどを冷却するための冷却蒸気として、配管53を介して中圧タービン23の所定のタービン段落に導入してもよい。これにより、中圧タービン23のタービンロータ、タービン動翼のクリープ強度を確保することができる。さらに、太陽熱蒸気タービン32bから抽気した温度の低い冷却蒸気を使用することで、サイクル損失を低減することができる。
【0142】
ここで、配管50には、太陽熱蒸気タービン32aに導く蒸気の流量を調整するための流量調整弁V1が設けられている。また、配管52には、太陽熱蒸気タービン32bから排出される蒸気の圧力を調整するための圧力調整弁V2が設けられている。また、太陽熱蒸気タービン32bから抽気した蒸気を、冷却蒸気として中圧タービン23に導入する場合、配管53には、太陽熱蒸気タービン32bからの抽気蒸気の流量を調整するための流量調整弁V3が設けられている。また、超高圧タービン36から抽気した蒸気を、冷却蒸気として高圧タービン22に導入する場合、配管54には、超高圧タービン36からの抽気蒸気の流量を調整するための流量調整弁V4が設けられている。
【0143】
なお、蒸気タービン発電設備10における発電出力は、発電機35aおよび発電機35bの合計出力が目標出力に合うように、超高圧タービン36に導入する主蒸気の流量を蒸気加減弁(図示しない)で調整している。また、上記した各弁や各ポンプなどは、図示しない制御装置によって、例えば、図示しない、温度検知装置、流量検知装置、圧力検知装置などからの情報に基づいてフィードバック制御されている。
【0144】
このように、太陽熱蒸気タービン32aから排出された蒸気を、集熱蒸気発生装置37で加熱することで、二酸化炭素回収設備60へ導入される蒸気は、その状態が湿り域に属することなく、適正な温度(例えば150℃)で二酸化炭素回収設備60に導入される。
【0145】
なお、二酸化炭素回収設備60の構成および作用効果は、第1の実施の形態の蒸気タービン発電設備10における二酸化炭素回収設備60と同様である。
【0146】
次に、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12におけるサイクル効率について、図8を参照して説明する。なお、ここで、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11におけるサイクル効率の説明と重複する説明を省略する。
【0147】
第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12における太陽熱蒸気タービン32aに導入される蒸気の温度(2における温度)は、超高圧タービン36に導入する蒸気の温度が600℃程度であるため、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11の太陽熱蒸気タービン32に導入される蒸気の温度(図6の2aにおける温度)よりも低くなる。また、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12における太陽熱蒸気タービン32aから排出される蒸気の状態を、二酸化炭素回収設備60で要求される温度(例えば150℃)にしようとすると、湿り域(図8に示された飽和蒸気線よりも下側の領域)に属することが想定される。
【0148】
そこで、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12では、太陽熱蒸気タービン32aから排出された蒸気(蒸気状態9a)を集熱蒸気発生装置37で加熱して、太陽熱蒸気タービン32bに導入している(蒸気状態9b)。そして、太陽熱蒸気タービン32bから排出される蒸気の状態(蒸気状態9c)を二酸化炭素回収設備60で要求される蒸気状態としている。
【0149】
ここで、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12では、超高圧タービン36に導入される蒸気の温度は、従来の蒸気タービン発電設備の超高圧タービンに導入される蒸気の温度と同等であるため、超高圧タービン36での断熱膨張は、1→2となる。また、太陽熱蒸気タービン32aでの断熱膨張は、2→9aとなる。また、太陽熱蒸気タービン32bでの断熱膨張は、9b→9cとなる。
【0150】
図8において、従来の蒸気状態値から上の蒸気状態値で囲まれる面積(図8の斜線で示された部分の面積)が仕事として取り出せるエネルギ増加分、すなわち高温化による効率向上の寄与分である。
【0151】
このように、太陽熱蒸気タービン32aおよび太陽熱蒸気タービン32bを駆動することで、太陽熱蒸気タービン32bから排出される蒸気状態を、飽和蒸気線より高温側(図8では、飽和蒸気線よりも上方側)の蒸気状態とすることができるとともに、二酸化炭素回収設備60で要求される蒸気状態(例えば150℃)とすることができる。
【0152】
上記したように、第3の実施の形態の蒸気タービン発電設備12によれば、第2の実施の形態の蒸気タービン発電設備11の作用効果に加えて、超高圧タービン36に導入される蒸気の温度が600℃程度であっても、太陽熱蒸気タービン32bから排出される蒸気の状態を、飽和蒸気線より高温側(図8では、飽和蒸気線よりも上方側)で、かつ二酸化炭素回収設備60で要求される蒸気状態(例えば150℃)とすることができる。
【0153】
これによって、太陽熱蒸気タービン32bから排出される蒸気は、過熱蒸気の状態を維持することができる。そのため、最終タービン段落の動翼や静翼の侵食などの問題を生じることなく、高い信頼性を有する蒸気タービン発電設備が得られる。
【0154】
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0155】
10,11,12…蒸気タービン発電設備、20…蒸気タービン設備、21…ボイラ、21a…過熱器、21b,21c…再熱器、22…高圧タービン、23…中圧タービン、24…低圧タービン、25…復水器、26…復水ポンプ、27a,27b,27c…低圧給水加熱器、28…脱気器、29…ボイラ給水ポンプ、30a,30b…高圧給水加熱器、31,37…集熱蒸気発生装置、32,32a,32b…太陽熱蒸気タービン、33…給水ポンプ、34…蓄熱装置、34a,34b…循環配管、35a,35b…発電機、36…超高圧タービン、40…給水系統配管、41,44,44a,44b,45,47,48,50,51,52,53,54…配管、42…主蒸気管、43,43a,43b,55…低温再熱蒸気管、46,46a,46b,56…高温再熱蒸気管、49…給水管、60…二酸化炭素回収設備、70…吸収塔、71…燃焼排ガス供給口、80…再生塔、90…二酸化炭素回収装置、100…吸収液、110,111…吸収液循環ポンプ、120…熱交換器、121…冷却器、130…リボイラ、140…汽水分離器、V1,V3,V4…流量調整弁、V2…圧力調整弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱器および少なくとも1つの再熱器を備えるボイラと、
前記過熱器からの主蒸気が導入されて駆動される第1の蒸気タービンと、
前記再熱器で再加熱された、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第2の蒸気タービンと、
前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第3の蒸気タービンと、
少なくとも、前記第3の蒸気タービンによって駆動される発電機と、
前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水とする復水器と、
前記復水器と前記ボイラの間の給水系統に設けられ、前記復水器から導かれた給水を加熱する給水加熱器と、
太陽光を利用して前記復水の一部から蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置と、
少なくとも前記集熱蒸気発生装置からの蒸気が導入されて駆動される第4の蒸気タービンと
を備える蒸気タービン設備と、
前記ボイラからの燃焼ガスが導入され、燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収液により吸収する吸収塔と、
前記第4の蒸気タービンから排出された蒸気を利用して、二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、当該吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、
前記再生塔で放散された二酸化炭素を回収する回収装置と
を備える二酸化炭素回収設備と
を具備することを特徴する蒸気タービン発電設備。
【請求項2】
前記蒸気タービン設備が、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気の一部を前記第4の蒸気タービンに導入可能に構成されていることを特徴する請求項1記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項3】
前記蒸気タービン設備が、前記集熱蒸気発生装置で得られた熱量の一部を蓄熱する蓄熱装置を備え、
前記蓄熱装置に蓄熱された熱量を利用して、前記第4の蒸気タービンに導入する蒸気を発生させることを特徴する請求項1または2記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項4】
前記第2の蒸気タービンが2つの蒸気タービンで構成され、一方の蒸気タービンには、前記再熱器で再加熱された、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入され、他方の蒸気タービンには、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気を加熱した再熱器とは別の再熱器で再加熱された、前記一方の蒸気タービンから排出された蒸気が導入され、前記他方の蒸気タービンから排出された蒸気は、前記第3の蒸気タービンに導入されることを特徴する請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項5】
前記第4の蒸気タービンから排出される蒸気の圧力を調整する圧力調整弁を備えることを特徴する請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項6】
前記第4の蒸気タービンから抽気された蒸気が、前記第2の蒸気タービンのタービンロータおよび/またはタービン動翼を冷却する冷却蒸気として、前記第2の蒸気タービンに導入されることを特徴する請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項7】
前記再生塔における吸収液の温度に基づいて、前記再生塔における前記吸収液の加熱に利用される、前記第4の蒸気タービンから排出される蒸気の流量を調整する流量調整弁を備えることを特徴する請求項1乃至6のいずれか1項記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項8】
前記再生塔における吸収液の流量に基づいて、前記再生塔における前記吸収液の加熱に利用される、前記第4の蒸気タービンから排出される蒸気の流量を調整する流量調整弁を備えることを特徴する請求項1乃至6のいずれか1項記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項9】
前記第4の蒸気タービンと前記第3の蒸気タービンとが同一軸で接続されていることを特徴する請求項1乃至8のいずれか1項記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項10】
過熱器および再熱器を備えるボイラと、
前記過熱器からの主蒸気が導入されて駆動される第1の蒸気タービンと、
前記再熱器で再加熱された、前記第1の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第2の蒸気タービンと、
前記第2の蒸気タービンから排出された蒸気が導入されて駆動される第3の蒸気タービンと、
少なくとも、前記第3の蒸気タービンによって駆動される発電機と、
前記第3の蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水とする復水器と、
前記復水器と前記ボイラの間の給水系統に設けられ、前記復水器から導かれた給水を加熱する給水加熱器と、
太陽光を利用して前記復水の一部から蒸気を発生させる集熱蒸気発生装置と、
少なくとも前記集熱蒸気発生装置からの蒸気が導入されて駆動される第4の蒸気タービンと
を備える蒸気タービン設備と、
前記ボイラからの燃焼ガスが導入され、燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収液により吸収する吸収塔と、
二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱し、当該吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、
前記再生塔で放散された二酸化炭素を回収する回収装置と
を備える二酸化炭素回収設備と
を具備し、
前記再生塔において、前記第4の蒸気タービンから排出された蒸気を利用して、前記吸収液を加熱し、前記吸収液から二酸化炭素を放散させることを特徴とする蒸気タービン発電設備の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−47364(P2011−47364A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198370(P2009−198370)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】