説明

蒸気発生器の隙間計測装置

【課題】伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を精度よく計測することができる蒸気発生器の隙間計測装置を提供することにある。
【解決手段】蒸気発生器の内筒内に配設される多数本の伝熱管と、隣接する伝熱管の間に配置される伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する蒸気発生器の隙間計測装置10であって、光を出射する発光器14と、発光器14から出射された光を受光し光量を計測する受光器15と、発光器14および受光器15がそれぞれ先端部に取り付けられ所定の長さを有す一対の支持棒11,12と、発光器14と受光器15が対向して配置され、一対の支持棒11,12の基端部に連結して設けられた連結材13とを具備するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電設備にて熱交換器として用いられる蒸気発生器の隙間を計測する装置に関し、詳細には、蒸気発生器が具備する伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する蒸気発生器の隙間計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発生器は、中空密閉形状の外筒内に、その内壁面と所定の間隔を有して内筒(管群外筒)が配置され、内筒内には、逆U字形状をなす多数本の伝熱管が配置されている。外筒の下部には、前記多数本の伝熱管の両端部を支持する管板が配置されている。内筒の高さ方向に沿う複数箇所には、多数本の伝熱管の直管部分が挿通されて当該多数本の伝熱管を支持する管支持板が配置されている。管支持板は、複数箇所を多数のステーロッドにより支持され、その周縁部を内筒の内周面に対して固定されている。
【0003】
図7に示すように、最上段に配置される管支持板101より上方には、列方向および行方向のそれぞれに沿って多数本の伝熱管102の円弧部分(Uベンド)が配置されている。行方向にて隣接する伝熱管102同士が隙間を有して配置され、その隙間部分には、V字状をなす多数の伝熱管振れ止め金具(AVB)103が配設されている。なお、伝熱管振れ止め金具103は、内筒内に取り付けられる保持金具104に固定されている。振れ止め金具は地震などの横揺れの振動エネルギを摩擦エネルギに変換し、制振することを目的とし、伝熱管間に隙間無く配置する。
【0004】
そのため、多数本の伝熱管の円弧部分にあっては、高い設計精度が求められており、例えば、図8(a)および図8(b)に示す装置110を用いて計測が行われている。計測装置110は、静電容量を計測するセンサ111が棒状の支持具112の先端部112a近傍に取り付けられた機器である。図9に示すように、計測装置110を多数本の伝熱管102の上方から伝熱管振れ止め金具103に沿って挿入し、引き抜きながら隣接する伝熱管同士の隙間を中心部分からその外周側へ向けて順次計測し、この計測値と伝熱管振れ止め金具103の直径から隙間の有無を検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−78308号公報(例えば、段落[0026]、[図1]など参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した計測装置110を用いた方法では、隣接する伝熱管の隙間を計測して当該伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を間接的に計測することができるものの、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を直接計測することができず、伝熱管、管支持板、および伝熱管振れ止め金具の製造誤差に応じて検査誤差を生じる可能性があった。また、製品品質の向上の観点から、検査の精度を向上させることが求められていた。
【0007】
以上のことから、本発明は、前述した課題を解決するために為されたもので、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を精度よく計測することができる蒸気発生器の隙間計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する第1の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、
蒸気発生器の内筒内に配設される多数本の伝熱管と、隣接する伝熱管の間に配置される伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する蒸気発生器の隙間計測装置であって、
光を出射する発光器と、
前記発光器から出射された光を受光し光量を計測する受光器と、
前記発光器および前記受光器がそれぞれ先端部に取り付けられ所定の長さを有す一対の支持棒と
前記発光器と前記受光器が対向して配置され、前記一対の支持棒の基端部に連結して設けられた連結材とを具備する
ことを特徴とする。
【0009】
上述した課題を解決する第2の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、
第1の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置であって、
前記一対の支持棒の先端部のそれぞれに設けられた磁石を具備し、
一方の前記支持棒に設けられた前記磁石と他方の前記支持具に設けられた前記磁石が互いに引き合う磁力を有する
ことを特徴とする。
【0010】
上述した課題を解決する第3の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、
第1の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置であって、
前記一対の支持棒の移動を案内するガイド機構をさらに具備する
ことを特徴とする。
【0011】
上述した課題を解決する第4の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、
第3の発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置であって、
前記ガイド機構が、基端部が連結具を介して連結されて対向して配置される所定の長さを有す一対のガイド棒と、
前記一対のガイド棒の先端部のそれぞれに設けられた磁石と、
前記一対のガイド棒の対向部のそれぞれに設けられた磁石とを備え、
一方の前記ガイド棒の先端部に設けられた前記磁石と他方の前記ガイド棒の先端部に設けられた前記磁石とが互いに引き合う磁力を有し、
前記一対のガイド棒の対向部のそれぞれに設けられた前記磁石が前記支持棒を移動可能に引き付ける磁力を有する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置によれば、隣接する伝熱管の間で、かつ伝熱管振れ止め金具の一方の側部側に発光器、伝熱管振れ止め金具の他方の側部側に受光器となるように支持棒を挿入し、発光器から光を出射しつつ、この光を受光器で受光して光量を計測するだけで、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を直接計測することができる。これにより、隣接する伝熱管の隙間を計測し伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を間接的に計測する場合と比べて、計測精度を向上させることができる。その結果、従来の計測装置を用いた場合と比べて、製品品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置を模式的に示した図である。
【図2】蒸気発生器の隙間計測装置が具備する発光器の説明図であって、図2(a)にその平面を示し、図2(b)にその側面を示す。
【図3】蒸気発生器の隙間計測装置の説明図であって、図3(a)にその上面を示し、図3(b)にその正面を示す。
【図4】蒸気発生器の隙間計測装置の挿入深さと光量の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第二番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置を模式的に示した図である。
【図6】本発明の第三番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置を模式的に示した図であって、図6(a)にその正面を示し、図6(b)にその側面を示す。
【図7】蒸気発生器の説明図である。
【図8】従来の計測装置の概略図であって、図8(a)にその全体を示し、図8(b)に図8(a)における囲み線VIIIの拡大を示す。
【図9】従来の計測装置による伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間の計測を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置について、各実施形態にて具体的に説明する。
【0015】
[第一番目の実施形態]
本発明の第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置について、図1〜図4を参照して説明する。なお、図3(a)にて、図中上下方向が列方向を示すと共に、図中左右方向が行方向を示し、図3(b)にて、図中左右方向が列方向を示すと共に、紙面表裏方向が行方向を示す。
【0016】
本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、蒸気発生器の内筒内に配設される多数本の伝熱管と、隣接する伝熱管の間に配置される伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する装置である。蒸気発生器の隙間計測装置10は、図1に示すように、発光器(発光部)14と受光器15とを具備する。
【0017】
発光器14は、図2(a)および図2(b)に示すように、入射した光L1を拡散する拡散板16と、入射した光L2を収束する収束板17と、入射した光L3を所定の大きさのレーザ光L4にするスリット板18とを具備する。発光器14の拡散板16には、系外に設けられた光源から光ファイバなどの光伝達手段を介してレーザ光L1が入射される。このレーザ光L1が拡散板16、収束板17、スリット板18を通過することにより所定幅のレーザ光L4となり、発光器14から出射することになる。なお、スリット板18には、所定の大きさの孔18aが形成されている。
【0018】
受光器15は、発光器14から出射したレーザ光L4を受光し、その光量を計測する機器である。受光器15にはケーブル(図示せず)が接続され、計測データが前記ケーブルを通じてコンピュータなどへ伝送可能になっている。
【0019】
上述した発光器14および受光器15は、図1および図3(a)に示すように、それぞれ直方体形状をなす支持棒11,12の先端近傍の側部(対向部)11a,12aに取り付けられる。支持棒11と支持棒12は、略同じ長さであって、上述した多数本の伝熱管と、伝熱管振れ止め金具の隙間を中心部分(最奥部分)からその外周側の部分に亘って計測可能な所定の長さを有して形成されている。支持棒11の基端部と支持棒12の基端部とは連結材13により連結されている。これにより、支持棒11の側部11aと支持棒12の側部12aとが対向し、発光器14と受光器15とが対向して配置される。連結材13は、伝熱管振れ止め金具103の幅よりも長尺であって、所定の長さを有している。支持棒11,12および連結材13は、発光器14および受光器15をそれぞれ支持し、作業者による計測作業を行うことができる程度の強度を有する材料で作製される。
【0020】
なお、支持棒11は、光源からのレーザ光を発光器14へ伝達する光ファイバなどの光伝達手段を内部に配置可能に形成されている。支持棒12は、受光器15にてレーザ光を受光して計測した光量に関するデータを伝送するケーブルなどを内部に配置可能に形成されている。
【0021】
上述した構成の蒸気発生器の隙間計測装置10を用いて、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する作業について、図3(a)および図3(b)、図4を参照して説明する。
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、行方向にて隣接して配置される伝熱管102の間で、且つ、伝熱管振れ止め金具103を中心にして伝熱管振れ止め金具103の一方の側部103b側に発光器14、伝熱管振れ止め金具103の他方の側部103c側に受光器15が配置されるように、伝熱管振れ止め金具103の上端部103の上方より支持棒11,12を挿入する。
【0022】
続いて、発光器14からレーザ光L4を出射しつつ、このレーザ光L4を受光器15にて受光して光量を計測する。図3(a)では、伝熱管振れ止め金具103の背面部103dが一方の伝熱管102に接触しているが、伝熱管振れ止め金具103の前面部103eが他方の伝熱管102には接触せず隙間がある。発光器14から出射するレーザ光L4が、前記隙間を通じて受光器15に入射している。このような計測作業について、支持棒11,12を引き抜きつつ、中心部分(最も深い領域)からその外周側(浅い領域)へ向けて順次行うことにより、伝熱管振れ止め金具の長手方向に沿って、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測することができる。
【0023】
上述した蒸気発生器の隙間計測装置10による挿入深さと光量の関係は、例えば、図4に示すように、所定の大きさの光量を計測する領域と、浅くなるに従い徐々に光量が小さくなる領域と、光量が小さい大きさで維持される領域と、浅くなるに従い光量が徐々に大きくなる領域が繰り返し計測される。これは、受光器15が、近傍に伝熱管が無い領域、伝熱管に近づく領域、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の間の領域、伝熱管から離れる領域を通ることにより、光量の大きさが変化することに起因する。ここで、光量が最も小さいときであっても、零にならないことで、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の間に隙間があることを確認することができる。
【0024】
したがって、本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10によれば、隣接する伝熱管102の間で、且つ、伝熱管振れ止め金具103の一方の側部103b側に発光器14、伝熱管振れ止め金具103の他方の側部103c側に受光器15が配置されるように支持棒11,12を挿入し、発光器14からレーザ光L4を出射しつつ、このレーザ光L4を受光器15で受光して光量を計測しつつ、支持棒11,12を引き抜いていくだけで、伝熱管102と伝熱管振れ止め金具103の隙間を直接計測することができる。これにより、隣接する伝熱管の隙間を計測し伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を間接的に計測する場合と比べて、計測精度を向上させることができる。その結果、従来の計測装置110を用いた場合と比べて、製品品質を向上させることができる。
【0025】
[第二番目の実施形態]
本発明の第二番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置について、図5を参照して説明する。
本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、上述した第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10に磁石を設けた装置である。本実施形態では、上述した第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10が具備する機器と同一機器には同一符号を付記している。
【0026】
本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置20では、図5に示すように、一方の支持棒11の先端部11bに磁石21が設けられると共に、他方の支持棒12の先端部12bに磁石22が設けられる。磁石21と磁石22は互いの引き合う磁力を有するように配置される。
【0027】
上述した構成の蒸気発生器の隙間計測装置20を用いて、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する場合、第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10と同様に、行方向にて隣接して配置される伝熱管の間で、且つ、伝熱管振れ止め金具を中心にして伝熱管振れ止め金具の一方の側部側に発光器14、伝熱管振れ止め金具の他方の側部側に受光器15が配置されるように、伝熱管振れ止め金具の上端部の上方より支持棒11,12を挿入する。このとき、支持棒11,12の先端部11b,12bに設けられた磁石21,22が互いに引き合い、支持棒11,12の先端部11b,12bが伝熱管振れ止め金具を挟んで所定の距離を有して配置される。すなわち、発光器14と受光器15とが所定の距離を有して互いに向き合うことになる。これにより、蒸気発生器の隙間計測装置20を引き上げていくだけで、伝熱管振れ止め金具の長手方向に沿って、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測することができる。
【0028】
したがって、本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置20によれば、上述した第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10と同様な作用効果を奏する上に、隣接する伝熱管の間で、且つ、伝熱管振れ止め金具の一方の側部側に発光器14、伝熱管振れ止め金具の他方の側部側に受光器15が配置されるように支持棒11,12を挿入するだけで、磁石21,22により互いに引き合い、支持棒11,12の先端部11b,12b同士が伝熱管振れ止め金具を挟んで所定の距離を有して配置される。そのため、支持棒11,12自体の剛性に起因して支持棒11,12の先端部11b,12b同士が近づいたり離れたりすることによる計測誤差の発生を防ぐことができ、より精度の良い計測を行うことができる。
【0029】
[第三番目の実施形態]
本発明の第三番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置について、図6(a)および図6(b)を参照して説明する。
本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置は、上述した第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10にガイド機構を設けた装置である。本実施形態では、上述した第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10が具備する機器と同一機器には同一符号を付記している。
【0030】
本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置30は、図6(a)および図6(b)に示すように、一対の支持棒11,12を具備する。支持棒11,12は、鉄などの磁石に引っ付く性質を持つ材料で作製される。蒸気発生器の隙間計測装置30は、支持棒11,12の移動を案内するガイド機構31をさらに具備する。ガイド機構31は、側面視にて逆L字形状をなす一対のガイド棒32,33を備えている。ガイド棒32とガイド棒33は、略同じ長さであり、支持棒11,12よりも長尺であって所定の長さを有して形成されている。
【0031】
ガイド棒32の基端部とガイド棒33の基端部とは連結ピン(連結具)34で連結されている。これにより、ガイド棒32の側部32aが支持棒11に対向して配置されると共に、ガイド棒33の側部33aが支持棒12に対向して配置される。連結ピン34は、支持棒11,12の幅と連結棒13の長さの和よりも長尺であって、その長さを調整可能にガイド棒32,33に取り付けられている。
【0032】
ガイド棒32,33および連結ピン34は、後述する磁石35,36,37,38、および支持棒11,12、連結材13、発光器14、受光器15を支持し、作業者による計測作業を行うことができる程度の強度を有する材料で作製される。
【0033】
一方のガイド棒32の側部32aにおける先端部に磁石35が設けられると共に、他方のガイド棒33の側部33aにおける先端部に磁石36が設けられる。磁石35と磁石36は互いに引き合う磁力を有するように配置される。
【0034】
一方のガイド棒32の側部32aには、長手方向に沿って所定の間隔にて複数(図示例では3つ)の磁石37が設けられる。他方のガイド棒33の側部33aには、長手方向に沿って所定の間隔にて複数(図示例では3つ)の磁石38が設けられる。磁石37,38は、支持棒11,12を長手方向に移動可能な程度の磁力を有している。よって、磁石37,38の磁力によりガイド棒32,33が支持棒11,12に所定の力にて引っ付くことになる。
【0035】
上述した構成の蒸気発生器の隙間計測装置30を用いて、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する場合、まず、支持棒11,12を側方から包囲するようにガイド機構31を取り付ける。ガイド棒32が磁石37により支持棒11に接着すると共に、ガイド棒33が磁石38により支持棒12に接着する。磁石35は支持棒11の先端部よりも下方に配置されると共に、磁石36が支持棒12の先端部よりも下方に配置される。
【0036】
続いて、行方向にて隣接して配置される伝熱管の間で、且つ、伝熱管振れ止め金具を中心にして伝熱管振れ止め金具の一方の側部側に発光器14、伝熱管振れ止め金具の他方の側部側に受光器15が配置されるように、伝熱管振れ止め金具の上端部の上方より支持棒11,12を挿入する。このとき、ガイド棒32,33の先端部に設けられた磁石35,36が互いに引き合い、ガイド棒32,33の先端部が伝熱管振れ止め金具を挟んで所定の距離を有して配置される。これにより、支持棒11,12の先端部同士が伝熱管振れ止め金具を挟んで所定の距離を有して配置される。すなわち、発光器14と受光器15とが所定の距離を有して互いに向き合うことになる。よって、蒸気発生器の隙間計測装置30を引き上げていくだけで、支持棒11,12がガイド棒32,33により案内され、伝熱管振れ止め金具の長手方向に沿って、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を計測することができる。
【0037】
したがって、本実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置30によれば、上述した第一番目の実施形態に係る蒸気発生器の隙間計測装置10と同様な作用効果を奏する上に、支持棒11,12を包囲するようにガイド機構31を取り付け、隣接する伝熱管の間で、且つ、伝熱管振れ止め金具の一方の側部側に発光器14、伝熱管振れ止め金具の他方の側部側に受光器15が配置されるように支持棒11,12を挿入するだけで、磁石35,36により互いに引き合い、支持棒11,12がその長手方向に亘って伝熱管振れ止め金具を挟んで所定の距離を有して配置される。そのため、支持棒11,12自体の剛性に起因して支持棒11,12の先端部同士が近づいたり離れたりすることによる計測誤差の発生を防ぐことができ、より精度の良い計測を行うことができる。また、支持棒11,12をガイド機構31により案内することができるため、計測誤差を最小限に抑えることができ、計測精度の更なる向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る蒸気発生器の隙間計測装置によれば、伝熱管と伝熱管振れ止め金具の隙間を精度よく計測することができるため、蒸気発生器などの製造産業などで有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 蒸気発生器の隙間計測装置
11,12 支持棒
13 連結材
14 発光器
15 受光器
16 拡散板
17 収束板
18 スリット板
20 蒸気発生器の隙間計測装置
21,22 磁石
30 蒸気発生器の隙間計測装置
31 ガイド機構
32,33 ガイド棒
34 連結ピン(連結具)
35,36 磁石
37,38 磁石
101 管支持板
102 伝熱管
103 伝熱管振れ止め金具
104 保持金具
105 内筒
110 計測装置
111 センサ
112 支持棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器の内筒内に配設される多数本の伝熱管と、隣接する伝熱管の間に配置される伝熱管振れ止め金具の隙間を計測する蒸気発生器の隙間計測装置であって、
光を出射する発光器と、
前記発光器から出射された光を受光し光量を計測する受光器と、
前記発光器および前記受光器がそれぞれ先端部に取り付けられ所定の長さを有す一対の支持棒と、
前記発光器と前記受光器が対向して配置され、前記一対の支持棒の基端部に連結して設けられた連結材とを具備する
ことを特徴とする蒸気発生器の隙間計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載された蒸気発生器の隙間計測装置であって、
前記一対の支持棒の先端部のそれぞれに設けられた磁石を具備し、
一方の前記支持棒に設けられた前記磁石と他方の前記支持棒に設けられた前記磁石が互いに引き合う磁力を有する
ことを特徴とする蒸気発生器の隙間計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載された蒸気発生器の隙間計測装置であって、
前記一対の支持棒の移動を案内するガイド機構をさらに具備する
ことを特徴とする蒸気発生器の隙間計測装置。
【請求項4】
請求項3に記載された蒸気発生器の隙間計測装置であって、
前記ガイド機構は、基端部が連結具を介して連結されて対向して配置される所定の長さを有すガイド棒と、
前記一対のガイド棒の先端部のそれぞれに設けられた磁石と、
前記一対のガイド棒の対向部のそれぞれに設けられた磁石とを備え、
一方の前記ガイド棒の先端部に設けられた前記磁石と他方の前記ガイド棒の先端部に設けられた前記磁石とが互いに引き合う磁力を有し、
前記一対のガイド棒の対向部のそれぞれに設けられた前記磁石が前記支持棒を移動可能に引き付ける磁力を有する
ことを特徴とする蒸気発生器の隙間計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−145424(P2012−145424A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3538(P2011−3538)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】