説明

蒸発冷却器及び乾燥剤補助蒸気圧縮空調システム

【課題】効率が全体として向上する、エバポレータアッセンブリ及び凝縮器アッセンブリを含む空調システムを提供する。
【解決手段】排気空気流の第1部分が凝縮器(30)を出て蒸発冷却器アッセンブリ(36)の一次チャンネルに進入する。水が蒸発冷却器チューブ(38)から蒸発し、多量の水分を含む空気流を発生する。蒸発冷却器チューブの複数の穴(50)が、多量の水分を含む空気流を、蒸発冷却器チューブ内に形成された二次チャンネルに流す。一次チャンネル内の空気から奪った熱が蒸発冷却空気流を発生し、この空気流が乾燥剤ホイール(52)に進入する。乾燥剤ホイール内の固体乾燥剤が蒸発冷却空気流から水分を吸収し、除湿空気流を発生し、この除湿空気流がエバポレータアッセンブリ(22)に進入する。排気空気流の第2部分がヒーター(72)を通して案内され、次いで乾燥剤ホイール(52)に進入し、固体乾燥剤を再生するための熱を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の空調システムは、冷媒の気化及び凝縮を周期的に行うように協働するエバポレータアッセンブリ(蒸発器アッセンブリ)及び凝縮器アッセンブリを含む。エバポレータアッセンブリは、冷媒を搬送する複数のエバポレータチューブ(エバポレータ管)と、周囲空気をこれらのエバポレータチューブを横切って移動させるためのエバポレータファンとを含む。熱が空気から冷媒に伝達することにより冷媒を気化(蒸発)させ、空調空気流を発生する。凝縮器アッセンブリは、エバポレータチューブと流体連通した複数の凝縮器チューブ(凝縮器管)を含む。凝縮器ファンは、周囲空気を凝縮器チューブ上で移動し、熱が冷媒から周囲空気に伝達し、これによって冷媒を凝縮し、排気空気流を発生する。排気空気流は、代表的には、大気中に放出される。既知の空調システムは、更に、冷媒が凝縮器に進入する前に冷媒を圧縮して過熱蒸気にするためのコンプレッサと、冷媒がエバポレータに進入する前に冷媒に作用する圧力を減少し、過冷却液体を発生する膨張デバイスとを含む。
【0003】
このシステムは、大量のエネルギ入力を必要とする。周囲空気と空調空気の所望の温度との間の差が大きければ大きい程、熱交換を連続的に行うため、システムを通した冷媒のサイクルを速くしなければならない。必要とされるエネルギの多くは、コンプレッサで使用される。このシステムに加わる負荷を低下しようとする試みがなされてきた。空調システムの二種類の冷却負荷は、顕熱負荷(sensible load)及び潜熱負荷(latent load)である。顕熱負荷は、空調空気の乾球温度を下げるのに必要なエネルギである。顕熱負荷は、観察者(例えば温度計、又は冷却した空間内に居る人)が温度差を感知又は検出できるため、そのように呼ばれる。潜熱負荷は、周囲空気中の水蒸気をエバポレータの表面上に凝縮するのに必要なエネルギである。水蒸気は、低温のエバポレータ表面上で凝縮するとき、熱エネルギを放出し、この熱エネルギは、エバポレータチューブ内の冷媒によって吸収される。
【0004】
メゾシェンコ等に付与された米国特許第6,776,001号は、乾燥剤ホイールを使用することによる潜熱負荷の低下を教示する。しかしながら、乾燥剤ホイールで生じる反応は熱を放出するため、多くの場合において乾燥剤ホイールは潜熱負荷を顕熱負荷にしてしまう。本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/453,721号は、エバポレータに進入する顕熱負荷の低下に蒸発冷却器を使用することを教示する。しかしながら、これは、来入空気の潜熱負荷の低下に対してなすところがない。これは、蒸発冷却器が周囲空気の湿度を低下しないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,776,001号
【特許文献2】米国特許出願第11/453,721号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、効率が全体として向上した、エバポレータアッセンブリを含む空調システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エバポレータアッセンブリは、冷媒を搬送するための複数のエバポレータチューブ(エバポレータ管)を含み、凝縮器アッセンブリは、エバポレータチューブと流体連通した複数の凝縮器チューブ(凝縮器管)を含む。凝縮器ファンが周囲空気を凝縮器チューブ上で移動させ、冷媒から周囲空気に熱を伝達し、冷媒を凝縮し、排気空気流を発生する。蒸発冷却器アッセンブリは、来入空気流を受け取るため、及び蒸発冷却空気流を発生するため、一次チャンネルを形成する。乾燥剤ホイールは、固体乾燥剤と、この固体乾燥剤を支持するハウジングとを有する。蒸発冷却空気流を受け取るため、及び蒸発冷却空気流をハウジングの第1セクタを通して案内する(差し向ける)ため、第1空気入口が、蒸発冷却器アッセンブリと空気流連通している。固体乾燥剤と蒸発冷却器空気流との間の発熱反応により、蒸発冷却空気流を乾燥し、除湿空気流を発生する。除湿空気流をエバポレータチューブ上に案内する(差し向ける)ため、第1出口が、エバポレータアッセンブリと空気流連通している。
【0008】
本発明のこの他の利点は、添付図面と関連して以下の詳細な説明を参照することによって更によく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の例示の実施例による空調システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の例示の実施例による乾燥剤ホイールの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の例示の実施例による蒸発冷却器の斜視図である。
【図4】図4は、例示の実施例による空調システムを通ってサイクルするときの空気の状態を示す湿度図表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照すると、これらの図面では、幾つかの図に亘り、対応する部分に同様の参照番号が付してあり、空調システムの全体に参照番号20が付してある。先ず最初に図1を参照すると、空調システム20は、互いから間隔が隔てられた複数のエバポレータチューブ(エバポレータ管)24を持つエバポレータアッセンブリ22を含む。エバポレータチューブ24上を流れる除湿空気流を受け取るため、エバポレータチューブ24間にエバポレータ空気通路が形成されている。除湿空気流の源を以下に詳細に説明する。エバポレータチューブ24は、過冷却状態の液体冷媒を搬送し、エバポレータファン26を使用して、除湿空気流をエバポレータチューブ24を横切って移動させる。熱が空気から冷媒に伝達され、液体冷媒を気化して蒸気にする。空気が冷却されて空調空気流を発生し、次いで所望の通りに案内される(差し向けられる)。
【0011】
蒸発した冷媒はエバポレータチューブ24を離れ、コンプレッサ28に進入する。コンプレッサ28は蒸発した冷媒を圧縮し、過熱蒸気Aを発生する。凝縮器アッセンブリ30は、互いに間隔が隔てられた複数の凝縮器チューブ(凝縮器管)32を含む。これらの凝縮器チューブ32は、過熱蒸気を受け取るため、コンプレッサ28と流体連通している。凝縮器チューブ32間に凝縮器空気通路が形成される。凝縮器ファン33が、凝縮器チューブ32の周囲の凝縮器空気通路を通して周囲空気を移動させる。熱が過熱蒸気から周囲空気に伝達され、冷媒を凝縮して液体に戻す。周囲空気は加熱され、凝縮器空気通路を出る排気空気流を発生する。
【0012】
冷却サイクルを完成するため、膨張デバイス34が、凝縮器チューブ32とエバポレータチューブ24との間で流体連通している。膨張デバイス34は、液体に作用する圧力を減少し、過冷却液体冷媒を発生し、エバポレータチューブ24に戻す。
【0013】
図3を参照すると、蒸発冷却器アッセンブリ36が示してある。蒸発冷却器アッセンブリ36は、垂直方向に延びる、互いから間隔が隔てられた複数の蒸発冷却器チューブ(蒸発冷却器管)38を含む。複数のフィン40が蒸発冷却器チューブ38間で前後に延びており、これによって、これらのフィン40に沿って、また、蒸発冷却器チューブ38に対して垂直方向(直交方向)に延びる、一次チャンネルが形成されている。複数の内部デバイダ(内部分割部、内部分割壁)42が、蒸発冷却器チューブ38内を延びており、一次チャンネルに対して垂直方向に延びる二次チャンネルが形成されている。水タンク44が、蒸発冷却器チューブ38の一端の周囲に配置されている。この水タンク44から水を毛管作用で吸い上げて二次チャンネルと接触させることができるように、吸い上げコーティング46が、蒸発冷却器チューブ38に沿って延びている。 図1及び図3を参照すると、第1導管48が凝縮器空気通路を蒸発冷却器アッセンブリ36の一次チャンネルに空気流連通可能に連結する。排気空気流の第1部分は、第1導管48を通って一次チャンネルまで流れる。空気流を一次チャンネルと二次チャンネルとの間で分けるため、複数の穴50が蒸発冷却器チューブ38に沿って配置されている。従って、排気空気流の第1部分の一部が穴50に進入し、二次チャンネルに流入し、湿った表面上を流れる。二次チャンネル内の空気は、水を、蒸発冷却器チューブ38の側部に沿って蒸発させ、多量の水分を含む(湿気をたっぷり含んだ)空気流を発生する。蒸発により排気空気流の第1部分から蒸発潜熱を奪い、蒸発冷却空気流を発生する。この蒸発冷却空気流は、一次チャンネルを通って流れ、乾球温度が周囲空気よりも低い。この比較的低温の空気流は、エバポレータアッセンブリ22の顕熱負荷を低下させ、これによって、システム20によって及ぼされる冷却負荷を低下する。二次チャンネルを通って流れる多量の水分を含む空気流は、蒸発冷却器チューブ38の開口部を通って蒸発冷却アッセンブリ36の外に出されることができるだけである。
【0014】
図1及び図2を参照すると、これらの図には乾燥剤ホイール52が示してある。乾燥剤ホイール52は、互いから間隔が隔てられた一対の端プレート56を持つハウジング54を含む。複数の乾燥剤チューブ(乾燥剤管)58が端プレート56間を延びており、一対のトラニオン60が各端プレート56から延びており、軸線Zを形成する。固体乾燥剤が、各乾燥剤チューブ58の各々に入って延在している。乾燥剤ホイール52のハウジング54は、蒸発冷却空気流を受け入れるため、蒸発冷却器の一次チャンネルと空気流連通した第1空気入口62を含む。第1空気入口62は、蒸発冷却空気流を乾燥剤チューブ58の第1セクタを通して案内し、固体乾燥剤上に通す。蒸発冷却空気流は、固体乾燥剤と発熱反応を生じる。その結果、固体乾燥剤が蒸発冷却空気流から水分を吸収又は吸着(発熱して水分を吸着)し、これによって、除湿空気流を発生する。反応は以下の数1に従って生じる。ここで、Mは固体乾燥剤に関し、この反応によりnモルの水蒸気即ちnHOを固体乾燥剤に吸収し、錯体M・nHOを形成し、熱Qを放出する。この放出された熱により、乾燥剤ホイール52の第1区分を通って流れる空気の温度を上昇できる。
【0015】
【数1】

【0016】
エバポレータチューブ24上に除湿空気流を案内する(差し向ける)ため、第1空気出口64が、エバポレータ空気通路と空気流連通して設けられている。この反応により、エバポレータアッセンブリ22で凝縮する空気流中に残る水蒸気が減少し、これによって、エバポレータに作用する潜熱負荷が低下し、システム20の全冷却負荷が更に低下する。
【0017】
しかしながら、固体乾燥剤は、水蒸気の吸収後に再生しなければならない。従って、排気空気流の第2部分を受け入れるため、第2空気入口66が、凝縮器空気通路と空気流連通している。排気空気流の第2部分を乾燥剤チューブ58に案内する(差し向ける)ため、第2導管68が、凝縮器空気通路を第2空気入口66に連結している。排気空気流を第1部分及び第2部分に分割するため、排気流分割装置(排気流デバイダ)70が凝縮器空気通路を第1及び第2の導管48、68に空気流連通状態で連結する。例示の実施例によれば、排気流分割装置70は、第1及び第2の導管48、68を凝縮器空気通路に連結するY字形状導管である。排気空気流の第2部分を加熱するため、ヒーター72が、凝縮器空気通路と乾燥剤ホイール52の第2空気入口66との間に空気流連通状態で設けられている。
【0018】
排気空気流の第2部分は、第2空気入口66から、乾燥剤チューブ58の第2セクタを通して案内される。ヒーター72からの暖かな空気が固体乾燥剤と接触したとき、吸熱反応が生じ、これにより水蒸気分子を固体乾燥剤から除去する(吸熱して水蒸気分子を脱着する)。この反応は、以下の数2に従って生じる。ここで、排気空気流の第2部分からの熱は、発熱反応中に放出された熱Qに取って代わることになる。
【0019】
【数2】

【0020】
吸熱反応後に排気空気流の第2部分を排出するため、第2空気出口74が設けられている。
乾燥剤ホイール52は、軸線Zを中心として回転できるようにトラニオン60によって支持されており、これにより、固体乾燥剤を第1及び第2のセクタ間で交互に移動させて、固体乾燥剤を排気空気流の第2部分及び蒸発冷却空気流に連続的に露呈(さらすことが)できるようになっている。このサイクルにより、固体乾燥剤の使用及び再生を連続的に行うことができる。例示の実施例では、乾燥剤ホイール52は、毎分5回乃至6回の速度で回転する。更に、乾燥剤ホイール52が吸収できる水分量は回転速度に比例する。その結果、速度を変えるだけで、除湿空気流の湿度を制御できる。
【0021】
図4を参照すると、この図には、システム20を通って流れる空気の湿度特性(psychrometric property)が示してある。図4の湿度図表に表示された点の参照符号は、図1のシステム20内の位置と対応する。即ち、周囲空気は、周囲温度Ti及び絶対湿度ωiを有する点Aで、システム20に進入する。周囲空気は、凝縮器空気通路で加熱され、同じ絶対湿度及び高められた温度Tsを有する排気空気流として点Bで出る。これにより、蒸発冷却器アッセンブリ36及び乾燥剤ホイール52の両方での空気の水蒸気取り込み容量を高める。次いで、排気空気流の第1部分が蒸発冷却器36に流入し、同じ絶対湿度及び低められた温度Tpを有する蒸発冷却空気流として点Cで出る。多量の水分を含む空気流は、二次チャンネル内での直接的蒸発冷却により僅かに低下した温度Tse及び高められた絶対湿度ωsを有する状態で、二次チャンネルを通って、点Dで、蒸発冷却器アッセンブリ36を出る。次いで、一次チャンネル内の蒸発冷却空気流が、乾燥剤ホイール52に流入し、周囲温度Tiを越えない高められた温度及び低い絶対湿度ωoを備えた除湿空気流として点Eで出る。除湿空気流は、次いで、エバポレータ空気通路に進入し、点Fまで更に冷却され、同じ絶対湿度で低い温度Teとなる。排気空気流の第2部分は、凝縮器空気通路を出てヒーター72に入る。排気空気流の第2部分は、同じ絶対湿度ωi及び高められた温度Tdを有した状態で点Gのところでヒーター72を出る。排気空気流の第2部分は、次いで、乾燥剤ホイール52に入り、固体乾燥剤を乾燥させ、固体乾燥剤から水分を受け取り、実質的に同じ温度Td及び比較的高い絶対湿度ωdを有した状態で点Hで乾燥剤ホイール52を出る。
【0022】
空調システム20は、凝縮器空気流からの廃熱を使用し、空気の水蒸気取り込み容量を高める。更に、凝縮器ファン33は、多数の機能を果たしている。多数の機能としては、例えば、凝縮器アッセンブリ30、蒸発冷却器アッセンブリ36、及び乾燥剤ホイール52等の各アッセンブリ毎に別々のファンを使用するのでなく、これらを通して空気を案内する機能が挙げられる。
【0023】
蒸発冷却器アッセンブリ36内では、第1導管48を通って蒸発冷却器アッセンブリ36に流入する空気の水蒸気取り込み容量が比較的高いため、二次チャンネルでの水の蒸発率が高い。蒸発率が比較的高いため、蒸発冷却プロセスの効率が高まる。乾燥剤ホイール52内では、第2導管68を通って流れる空気の水蒸気取り込み容量が比較的高いため、固体乾燥剤から大量の水分を吸収することによって、乾燥剤再生速度が高まる。これらの両方の要因により、空調システム20の効率が全体として向上する。蒸発冷却器アッセンブリ36の一次チャンネルを出る蒸発冷却空気流が、乾燥剤ホイール52内で生じる発熱反応の熱を吸収し、これによって、除湿空気流をエバポレータアッセンブリ22に周囲空気温度Tiで又はそれよりも低い温度で送出する。かくして、乾燥剤ホイール52と関連して作動する蒸発冷却器アッセンブリ36は、廃熱のみを出し、蒸発冷却器アッセンブリ22の潜熱負荷を完全に取り扱う。これによって、空調システム20の効率が全体として向上する。この廃熱を使用することによる負荷の低下はかなり大きく、代表的には、全負荷の約40%に及ぶ。
【0024】
本発明を例示の実施例を参照して説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、そのエレメントを均等物に代えることができるということは当業者には明らかであろう。更に、特定の情況及び材料に合わせて、本発明の要旨を逸脱することなく、本発明の教示に多くの変更を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施する上で考えられる最良の態様として開示された特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範疇の全ての実施例を含もうとするものである。
【符号の説明】
【0025】
20 空調システム
22 エバポレータアッセンブリ
24 エバポレータチューブ
26 エバポレータファン
28 コンプレッサ
30 凝縮器アッセンブリ
32 凝縮器チューブ
33 凝縮器ファン
34 膨張デバイス
36 蒸発冷却器アッセンブリ
38 蒸発冷却器チューブ
40 フィン
42 内部デバイダ(内部分割部、内部分割壁)
44 水タンク
46 吸い上げコーティング
48 第1導管
50 穴
52 乾燥剤ホイール
54 ハウジング
56 端プレート
58 乾燥剤チューブ
60 トラニオン
62 第1空気入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システムであって、
冷媒を搬送するための複数のエバポレータチューブと、除湿空気流から冷媒に熱を伝達して冷媒を気化し、空気流の空調を行うため、前記エバポレータチューブ上で除湿空気流を移動させるためのエバポレータファンとを含む、エバポレータアッセンブリと、
前記エバポレータチューブと流体連通した複数の凝縮器チューブと、熱を冷媒から周囲空気に伝達して冷媒を凝縮し、排気空気流を発生するため、前記凝縮器チューブ上で周囲空気を移動させるための凝縮器ファンとを含む、凝縮器アッセンブリと、
来入空気流を受け入れ、蒸発冷却空気流を発生するための一次チャンネルを形成する蒸発冷却器アッセンブリと、
固体乾燥剤と、この固体乾燥剤を支持するためのハウジングと、前記蒸発冷却空気流を受け入れてこの蒸発冷却空気流を前記ハウジングの第1セクタを通して案内し、前記固体乾燥剤と発熱反応させて、前記蒸発冷却空気流を乾燥させ、前記除湿空気流を発生する、前記蒸発冷却器アッセンブリと空気流連通した第1空気入口と、前記除湿空気流を前記エバポレータチューブを上に案内するため、前記エバポレータアッセンブリと空気流連通した第1出口とを含む、乾燥剤ホイールと、
を備えた、空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空調システムにおいて、
前記凝縮器チューブは互いから間隔が隔てられており、周囲空気を受け入れるため及び排気空気流を排出するための凝縮器空気通路をその間に形成し、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、前記排気空気流の少なくとも第1部分を受け入れ、前記排気空気流の前記第1部分を冷却し、蒸発冷却空気流を発生するため、前記凝縮器空気通路と空気流連通している、空調システム。
【請求項3】
請求項2に記載の空調システムにおいて、
前記排気空気流の少なくとも前記第1部分を前記蒸発冷却器の前記一次チャンネルに案内するため、前記凝縮器空気通路を前記蒸発冷却器アッセンブリに空気流連通状態で連結する第1導管を含む、空調システム。
【請求項4】
請求項3に記載の空調システムにおいて、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、
垂直方向に延びる複数の蒸発冷却器チューブを含み、これらの蒸発冷却器チューブ内には二次チャンネルが形成されており、前記蒸発冷却器チューブは互いから間隔が隔てられており、それらの間には、前記排気空気流の第1部分を受け入れるため、直交方向に延びる前記一次チャンネルが形成されており、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、また、
前記蒸発冷却器チューブの一端の周囲に配置された水タンクを含み、前記蒸発冷却器チューブは、前記水タンクから上方に延びており、その表面上を延びる吸い上げコーティングが設けられており、このコーティングにより、前記水タンクから水を毛管作用で吸い上げて前記一次チャンネルと接触させて蒸発させ、多量の水分を含む空気流にし、前記排気空気流の第1部分から蒸発潜熱を奪い、前記一次チャンネルによって搬送される前記蒸発冷却空気流を発生し、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、さらに、
前記多量の水分を含む空気流を前記一次チャンネルから前記二次チャンネル内に送出し、前記蒸発冷却器から排出するため、前記蒸発冷却器チューブに沿って配置された複数の穴を含む、空調システム。
【請求項5】
請求項4に記載の空調システムにおいて、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、前記一次チャンネルと平行に延びる、前記チューブ間を前後に延びる複数のフィンを含む、空調システム。
【請求項6】
請求項2に記載の空調システムにおいて、
前記凝縮器空気通路及び前記乾燥剤ホイールと空気流連通した第2導管を含み、
前記乾燥剤ホイールは、前記凝縮器空気通路と空気流連通できるように前記第2導管に連結された第2空気入口を含み、これによって、前記排気空気流の少なくとも第2部分を前記ハウジングの第2セクタを通して案内し、前記固体乾燥剤と吸熱反応させて、前記固体乾燥剤を乾燥させることができ、
前記乾燥剤ホイールは、また、前記排気空気流の第2部分を排出するための第2空気出口を含む、空調システム。
【請求項7】
請求項6に記載の空調システムにおいて、
前記排気空気流の前記第2部分を加熱するため、前記凝縮器空気通路と前記第2空気入口との間で前記第2導管に沿って配置されたヒーターを含む、空調システム。
【請求項8】
請求項6に記載の空調システムにおいて、
前記乾燥剤ホイールの前記ハウジングは、間隔が隔てられた一対の端プレートと、これらの端プレート間を延びる、内部に前記固体乾燥剤が入った複数の乾燥剤チューブとを含み、
一対のトラニオンの各々が前記端プレートから延びて軸線を形成し、これらのトラニオンは、前記固体乾燥剤を前記第1及び第2のセクタ間で交互に移動させて、前記固体乾燥剤を排気空気流の前記第2部分及び蒸発冷却空気流に連続的に露呈できるように、前記乾燥剤ホイールを、前記軸線を中心として回転可能に支持する、空調システム。
【請求項9】
空調システムであって、
エバポレータアッセンブリを備えており、前記エバポレータアッセンブリは、内部で冷媒を搬送するための複数のエバポレータチューブを含み、
これらのエバポレータチューブの各々は互いから間隔が隔てられており、これによって、エバポレータ空気通路がその間に形成され、前記エバポレータ空気通路は、除湿空気流を受け入れて、該除湿空気流は前記エバポレータチューブ上を流れ、これによって、前記除湿空気流から冷媒に熱を伝達して前記エバポレータチューブ内の冷媒を気化し、前記エバポレータ空気通路内に空調空気流を発生させることができ、
前記空調システムは、また、凝縮器アッセンブリを備えており、
前記凝縮器アッセンブリは、
前記エバポレータチューブと流体連通しており、互いから間隔が隔てられて凝縮器空気通路をその間に形成する複数の凝縮器チューブと、
周囲空気を、前記凝縮器空気通路を通して、前記凝縮器チューブ上で移動させて、前記冷媒から前記周囲空気に熱を伝達し、これによって、前記凝縮器チューブ内の前記冷媒を凝縮でき、また、前記凝縮器空気通路内に排気空気流を発生できる、凝縮器ファンとを含み、
前記空調システムは、また、蒸発冷却器アッセンブリを備えており、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、垂直方向に延びる複数の蒸発冷却器チューブを含み、これらのチューブ内には二次チャンネルが形成されており、
前記蒸発冷却器チューブは、互いから間隔が隔てられ、その間に一次チャンネルが形成されており、該一次チャンネルが前記排気空気流の第1部分を受け入れて、蒸発冷却空気流と多量の水分を含む空気流とを発生させることができ、
前記蒸発冷却器チューブには、前記多量の水分を含む空気流を前記一次チャンネルから前記二次チャンネル内に入れるための複数の穴が設けられており、
前記空調システムは、また、
前記排気空気流の前記第1部分を前記一次チャンネルに案内するため、前記凝縮器空気通路と前記蒸発冷却器の前記一次チャンネルとに空気流連通した第1導管と、
固体乾燥剤と、この固体乾燥剤を支持するためのハウジングとを有する乾燥剤ホイールとを備えており、
前記乾燥剤ホイールは、前記蒸発冷却器アッセンブリの前記一次チャンネルと空気流連通した第1空気入口を含み、前記第1空気入口は、前記蒸発冷却空気流を受け入れてこの蒸発冷却空気流を前記ハウジングの第1セクタを通して案内し、前記固体乾燥剤と発熱反応させて、前記蒸発冷却空気流を乾燥させ、これによって、前記除湿空気流を発生させることができ、
前記乾燥剤ホイールは、また、前記除湿空気流を前記エバポレータチューブ上に案内するため、前記エバポレータアッセンブリと空気流連通した第1出口を含み、
前記乾燥剤ホイールは、
前記排気空気流の第2部分を受け入れて前記排気空気流の第2部分を前記ハウジングの第2セクタを通して案内し、前記固体乾燥剤と吸熱反応させて、前記固体乾燥剤を乾燥させるための第2空気入口と、
前記排気空気流の第2部分を排出するための第2空気出口とを含み、
前記空調システムは、また、
前記排気空気流の前記第2部分を前記ハウジングの前記第2セクタに案内するため、前記凝縮器空気通路と前記第2空気入口とに空気流連通した第2導管と、
前記排気空気流を前記第1部分及び前記第2部分に分割するため、前記凝縮器空気通路と前記第1及び第2の導管との間に空気流連通状態で連結された排気流分割装置とを備えた、空調システム。
【請求項10】
請求項9に記載の空調システムにおいて、
前記排気空気流の前記第2部分を加熱するため、前記第2導管に沿って配置された、前記凝縮器空気通路と前記第2空気入口との間で空気流連通したヒーターを含む、空調システム。
【請求項11】
請求項9に記載の空調システムにおいて、
前記蒸発冷却器チューブの一端の周囲に配置された水タンクを含み、
前記蒸発冷却器チューブには、その表面上を延びる吸い上げコーティングが設けられており、このコーティングにより、水を前記水タンクから毛管作用で吸い上げて前記一次チャンネルと接触させて蒸発させ、前記多量の水分を含む空気流にして、前記排気空気流の第1部分から蒸発潜熱を奪い、これによって、前記一次チャンネルによって搬送される前記蒸発冷却空気流を発生できるようにした、空調システム。
【請求項12】
請求項9に記載の空調システムにおいて、
前記乾燥剤ホイールの前記ハウジングは、軸線を中心として回転可能に支持されており、前記軸線を中心とした回転により、前記固体乾燥剤を前記第1及び第2のセクタ間で交互に移動させ、これによって、前記固体乾燥剤を、前記排気空気流の第2部分と前記蒸発冷却空気流に連続的に露呈する、空調システム。
【請求項13】
請求項9に記載の空調システムにおいて、
前記除湿空気流を、前記エバポレータ空気通路を通して前記エバポレータチューブ上で移動させるためのエバポレータファンを含む、空調システム。
【請求項14】
空調システムであって、
冷媒を搬送するための複数のエバポレータチューブと、前記エバポレータチューブ上で除湿空気流を移動させて、前記除湿空気流から冷媒に熱を伝達して冷媒を気化し、空気流の空調を行うことができるようにした、エバポレータファンとを含む、エバポレータアッセンブリと、
前記エバポレータチューブと流体連通しており、前記気化した冷媒を圧縮して、過熱蒸気を発生させることができる、コンプレッサと、
前記コンプレッサと流体連通した複数の凝縮器チューブを有する凝縮器アッセンブリとを備え、
前記複数の凝縮器チューブは、互いから間隔が隔てられてその間に凝縮器空気通路が形成されており、
前記凝縮器アッセンブリは、凝縮器ファンを含み、前記凝縮器ファンは、周囲空気を前記凝縮器空気通路を通して前記凝縮器チューブ上で移動させて、前記過熱蒸気から周囲空気に熱を伝達し、これによって、前記過熱蒸気を凝縮して液体冷媒にし、排気空気流を発生させることができ、
前記空調システムは、また、
前記凝縮器チューブ及び前記エバポレータチューブと流体連通しており、前記液体に作用する圧力を減少させて、前記エバポレータチューブに供給して戻すための過冷却液体冷媒を発生させることができる、膨張デバイスと、
垂直方向に延びる複数の蒸発冷却器チューブを含む蒸発冷却器アッセンブリとを備えており、
前記蒸発冷却器チューブは互いから間隔が隔てられており、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、前記蒸発冷却器チューブ間を前後に延びる複数のフィンを有しており、これにより前記蒸発冷却器チューブ間を直交方向に延びる一次チャンネルが形成されており、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、前記凝縮器空気通路と空気流連通し、前記排気空気流の第1部分を受け入れて、蒸発冷却空気流を発生させることができ、
前記蒸発冷却器チューブは、前記チューブ内を延びる複数の内部デバイダを含み、これにより、前記一次チャンネルに対して垂直方向に延びる二次チャンネルが形成されており、
前記蒸発冷却器アッセンブリは、前記蒸発冷却器チューブの一端の周囲に配置された水タンクを含み、
前記蒸発冷却器チューブは、前記水タンクから上方に延びており、その表面上を延びる吸い上げコーティングが設けられており、このコーティングにより、水を前記水タンクから毛管作用で吸い上げて前記一次チャンネルと接触させて蒸発させ、多量の水分を含む空気流にし、これによって、前記排気空気流の第1部分から蒸発潜熱を奪い、前記一次チャンネルによって搬送される前記蒸発冷却空気流を発生させることができ、
前記蒸発冷却器チューブには、前記多量の水分を含む空気流を前記一次チャンネルから前記二次チャンネル内に入れ、前記蒸発冷却器から排出するための複数の穴が設けられており、
前記空調システムは、また、
間隔が隔てられた一対の端プレート及びこれらの端プレート間を延びる複数の乾燥剤チューブを含むハウジングと、前記端プレートから各々延び、軸線を形成する一対のトラニオンとを持つ乾燥剤ホイールを備え、
前記乾燥剤ホイールは、前記乾燥剤チューブの各々内を延びる固体乾燥剤を含み、
前記乾燥剤ホイールは、
前記蒸発冷却器の前記一次チャンネルと空気流連通し、前記蒸発冷却空気流を受け取り、該蒸発冷却空気流を前記乾燥剤チューブの第1セクタを通して案内し、これにより、前記前記固体乾燥剤と発熱反応させて、蒸発冷却空気流を乾燥させ、前記除湿空気流を発生させることができるようにした、第1空気入口と、
前記エバポレータアッセンブリと空気流連通し、前記除湿空気流を前記エバポレータチューブ上に案内することができる、第1空気出口とを含み、
前記乾燥剤ホイールは、
前記凝縮器空気通路と空気流連通し、前記排気空気流の第2部分を受け取り、前記排気空気流の第2部分を前記乾燥剤チューブの第2セクタを通して案内し、前記固体乾燥剤と吸熱反応させて、前記固体乾燥剤を乾燥させることができるようにした、第2空気入口と、
前記排気空気流の第2部分を排出するための第2空気出口とを含み、
前記乾燥剤ホイールは、前記軸線を中心として回転できるように前記トラニオンによって支持されており、これによって、前記固体乾燥剤を前記第1及び第2のセクタ間で交互に移動させて、前記固体乾燥剤を、前記乾燥剤再生空気流と前記周囲空気とに連続的に露呈させることができ、
前記空調システムは、また、
前記排気空気流の前記第1部分を前記一次チャンネルに案内するため、前記凝縮器空気通路と前記蒸発冷却器の前記一次チャンネルとに空気流連通した第1導管と、
前記排気空気流の前記第2部分を前記乾燥剤チューブの前記第2セクタに案内するため、前記凝縮器空気通路と前記第2空気入口とに空気流連通した第2導管と、
前記排気空気流を前記第1部分及び前記第2部分に分割するため、前記凝縮器空気通路と前記第1及び第2の導管との間に空気流連通状態で連結された排気流分割装置と、
前記排気空気流の前記第2部分を受け取って該排気空気流の該第2部分に熱を加えるため、前記排気流分割装置と前記乾燥剤ホイールの前記第2空気入口との間で空気連通したヒーターと、
を備えた、空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−526981(P2010−526981A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507465(P2010−507465)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/005920
【国際公開番号】WO2008/140746
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(599023978)デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (281)
【Fターム(参考)】