説明

蒸着装置及びこれを利用する蒸着方法

本発明による蒸着装置は反応空間を形成する工程チャンバと、工程チャンバに連結された移送チャンバと、工程チャンバ内に位置して基板を安置する基板安置手段と、基板安置手段と対向配置されて原料物質を保存する蒸着源と、移送チャンバに設置されて基板に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを直接測定する厚さ測定手段を含む。
本発明は厚さ測定手段を備える蒸着装置を利用して薄膜が蒸着される基板に形成された蒸着膜の実際の厚さを直接測定してモニタリングできる。これに、基板に蒸着された蒸着膜の実際の厚さをリアルタイムにモニタリングして、前記蒸着膜の実際の厚さを制御する蒸着制御の厚さをリアルタイムに補正することで、蒸着膜の厚さを正確に制御することができる。これにより、基板に形成される素子の信頼性及び生産収率を進めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸着装置及びこれを利用する蒸着方法に関し、より詳しくは、基板に蒸着される蒸着膜の実際の厚さをリアルタイムにモニタリングすることができる蒸着装置及び蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)、プラズマ表示パネル(Plasma Display Panel:PDP)に引き続き、有機発光素子(Organic Light Emitting Deivce:OLED)は次世代平板表示装置として期待されているディスプレー装置である。
【0003】
このような有機発光素子は、基板上に+電極、有機物層、−電極を順に形成して+電極と−電極の間に電圧をかけることで、電子と正孔がそれぞれ有機物層に移動した後に再結合して光を発生させる方式である。この時、前述のさまざまな層の中で有機物層は一般的に熱蒸着(Thermal Deposition)方法によって形成される。従来の有機物層を形成するための蒸着装置には、基板に蒸着される蒸着膜の厚さをモニタリングするためにセンサーが備えられている。このセンサーは有機物を加熱して蒸発させる蒸着源に露出するように配置され、センサーに附着して感知される有機物の量を検出して蒸着膜の厚さに換算する。すなわち、センサーを利用して間接的に基板に蒸着される蒸着膜の厚さを感知する。しかし、このような方式は実際に基板に蒸着される蒸着膜の厚さを測定しない間接的な方式なので、厚さ測定の正確度が下がり、蒸着膜の実際の厚さをリアルタイムにモニタリングすることができない問題がある。また、実際の蒸着膜の厚さを確認する方法がなく、蒸着工程が終わった後に素子の特性検査の時に厚さの不良が発見され、素子の生産収率を減少させる問題が起る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基板に蒸着される蒸着膜の実際の厚さを測定することができる厚さ測定手段を備える蒸着装置及びこれを利用する蒸着方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様態による蒸着装置は反応空間を形成する工程チャンバと、前記工程チャンバに連結された移送チャンバと、前記工程チャンバ内に位置して基板を安置する基板安置手段と、前記基板安置手段と対向配置されて原料物質を保存する蒸着源と、前記移送チャンバに設置されて基板に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを直接測定する厚さ測定手段を含む。
【0006】
前記厚さ測定手段としてエリプソメータを利用する。
【0007】
前記エリプソメータが配置された移送チャンバの一端部には透過窓が設置されることが望ましい。
【0008】
前記工程チャンバ内の一側に備われ、蒸着源から蒸発される原料物質の量を感知して蒸着膜の換算の厚さで算出するセンサーを含む。
【0009】
前記工程チャンバ及び移送チャンバを複数備えて一方向に連結して、前記複数の工程チャンバそれぞれには蒸着源が設置されて、前記複数の移送チャンバそれぞれには厚さ測定手段が設置される。
【0010】
前記センサーに連結されて基板に蒸着される蒸着膜の厚さを調節するモニタリング部を含む。
【0011】
前記モニタリング部は蒸着源と連結されて前記蒸着源に供給される電源及び蒸着工程時間を制御する制御部が連結される。
【0012】
前記基板安置手段の下部にはマスクホルダーが連結されて、前記マスクホルダーにはシャドーマスクが装着される。
【0013】
前記シャドーマスクの開放された領域の中で前記基板の非活性領域に対応配置されて、少なくとも一つのマスクパターンを含む補助マスクをさらに含む。
【0014】
前記補助マスクの両端には前記補助マスクを移動させて、マスクパターンの位置を変更させる駆動部が連結されて、前記駆動部はマスクホルダーに連結される。
【0015】
本発明の一様態による蒸着方法はチャンバ内に基板を準備する段階と、前記基板に蒸着膜を形成する段階と、前記基板を移送チャンバ内に移動させて、前記基板に形成された蒸着膜の実際の厚さを直接測定する段階と、前記蒸着膜の実際の厚さと目標の厚さを比べる段階と、前記厚さ比較結果によって工程条件を調節する段階を含む。
【0016】
前記工程条件を調節する段階後に、次の工程につづく蒸着膜は調節された工程条件によって形成される。
【0017】
前記基板に蒸着膜を形成する段階前に目標の厚さ及び蒸着制御の厚さを設定する段階を含む。
【0018】
前記基板に蒸着膜を形成する間にセンサーで原料物質の量を感知して蒸着膜の換算の厚さで算出する段階を含む。
【0019】
前記換算の厚さが蒸着制御の厚さに達する時に、蒸着工程を中止する。
【0020】
前記厚さ比較結果によって工程条件を調節する段階は蒸着制御の厚さの設定値を変更する。
【0021】
前記基板は活性領域と非活性領域を有し、前記非活性領域に形成された蒸着膜の実際の厚さを測定する。
【0022】
前記調節された工程条件によって形成された蒸着膜の実際の厚さと以前の工程で形成された蒸着膜の実際の厚さの平均厚さを目標の厚さと比べる。
【0023】
前記蒸着膜の実際の厚さと目標の厚さを比べて工程条件を調節した後、前記基板に連続的に他の原料物質を蒸着する。
【0024】
前記蒸着膜が形成された基板が安置された基板安置手段を一方向に連結された複数の工程チャンバの中でいずれかの一つの工程チャンバ内に移動させて、前記基板に連続的に他の原料物質を蒸着する。
【0025】
前記基板に連続的に他の原料物質を蒸着する段階前に補助マスクのマスクパターンの位置を変更して、前記マスクパターンによって露出する前記基板の非活性領域の位置を変更する段階をさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明による蒸着装置及びこれを利用する蒸着方法は厚さ測定手段を備える蒸着装置を利用して薄膜が蒸着される基板に形成された蒸着膜の実際の厚さを直接測定してモニタリングすることができる。よって、本発明による蒸着装置及びこれを利用する蒸着方法は基板に蒸着された蒸着膜の実際の厚さをリアルタイムにモニタリングして、前記蒸着膜の実際の厚さを制御する蒸着制御の厚さをリアルタイムに補正することで、蒸着膜の厚さを正確に制御することができる。したがって、基板に形成される素子の信頼性及び生産収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施形態による蒸着装置を示す図面。
【図2】図2は、本実施形態による蒸着装置を利用して蒸着膜の厚さを制御する過程を説明するためのフローチャート。
【図3】図3は、本発明の実施形態の変形の実施形態による蒸着装置の主要部を示す概略図。
【図4】図4は、変形の実施形態による図3のA領域の平面図。
【図5】図5は、図4のB−B’線による断面図。
【図6】図6は、変形の実施形態による補助マスクを概略的に示す概念図。
【図7】図7は、本発明の変形の実施形態による蒸着装置を利用して製作された有機発光素子を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。しかし、本発明は以下で開示される実施の形態に限定されることなく、互いに違う多様な形態に実現される。ただ、本実施の形態は本発明の開示を完全にさせ、通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるためのものである。
【0029】
図1は本発明の実施形態による蒸着装置を示す図面である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の実施形態による蒸着装置は工程チャンバ100と、工程チャンバ100の上側側部に連結された移送チャンバ110と、工程チャンバ100内の上部に連結されて基板200が安置される基板安置手段300と、基板安置手段300の下部に連結されたマスクホルダー320と、マスクホルダー320に装着されるシャドーマスク330と、基板安置手段300と対向配置された蒸着源400と、移送チャンバ110下部の外壁に設置された厚さ測定手段500と、移送チャンバ110内に設置されて工程チャンバ100内に基板200を前記移送チャンバ110内に移動させるロボットアーム150を含む。また、工程チャンバ100内の一側に位置して蒸着源400から蒸発される原料物質の量を感知するセンサー600と、基板安置手段300と蒸着源400の間の空間に位置するシャッター(図示せず)を含む。そして、工程チャンバ100の一側に備えられた真空調節部700と、工程チャンバ100の側壁に位置する第1基板出入口801と、工程チャンバ100と移送チャンバ110の間に位置するドア(図示せず)と、移送チャンバ110の側壁に位置する第2基板出入口802を含む。
【0031】
工程チャンバ100は円筒形または直方体に製作され、内部には基板200を処理できる所定の反応空間が備われる。これに限定されることなく、工程チャンバ100は基板200の形に対応するように製作されることが望ましい。工程チャンバ100の一側壁には基板200のローディングが行われる第1基板出入口801が形成され、このような基板出入口801は工程チャンバ100の他側壁にも形成できる。また、工程チャンバ100に設置される真空調節部700は工程チャンバ100の一側に結合されるゲート710と、ゲート710と連結される配管720と、配管720と連結された真空ポンプ730を含む。ゲート710は工程チャンバ100内を密閉または開放させる役割をし、前記ゲート710には配管720及び真空ポンプ730が連結される。こうすることで、ゲート710を開放して真空ポンプ730を利用して工程チャンバ100内の真空を形成できる。
【0032】
基板安置手段300は工程チャンバ100内の上側に備われ、工程チャンバ100内にローディングされた基板200を支持する役割をする。このような基板安置手段300は基板200を支持する支持部301と、支持部301の上部に連結されて支持部301を回転させる駆動軸302を含む。この時、駆動軸302には前記駆動軸302を回転させる動力部(図示せず)と連結される。
【0033】
マスクホルダー320は基板安置手段300の下部に連結され、前記マスクホルダー320に蒸着用シャドーマスク330が安置される。ここでシャドーマスク330は基板200上に原料物質がパターニングされて蒸着されるようにする。
蒸着源400は基板安置手段300と対応配置されて蒸着源400の内部空間に保存された原料物質を蒸発させて蒸発された原料物質を基板200の一面に提供する役割をする。ここで、本実施形態による蒸着源400は点蒸着源400である。もちろんこれに限定されることなく、蒸着源400は線型蒸着源に製作できる。蒸着源400はルツボ411と、前記ルツボ411を加熱させるヒーター412を含む。ここで、ルツボ411は上部が開放されて内部に原料物質を保存することができる所定空間が備えられるように製作される。ヒーター412はルツボ411の側面及び下部の中で少なくともいずれかの一つの領域に配置される。前記ヒーター412を利用してルツボ411を加熱させてルツボ411の内部空間に保存された原料物質、例えば、有機物を加熱させて蒸発させることができる。ヒーター412は温度調節部130と連結されて、前記温度調節部130からヒーター412に電源を供給する。この時、温度調節部130からヒーター412に供給される電源によってルツボ411内の温度が変わる。また、温度調節部130は制御部120と連結される。制御部120は基板200に蒸着された蒸着膜の実際の厚さによって温度調節部130からヒーター412に加えられる電源を調節する役割をする。
【0034】
基板安置手段300と蒸着源400の間にはシャッター(図示せず)がさらに備えられるし、このようなシャッター(図示せず)は蒸発された原料物質の移動経路を制御する役割をする。ここでシャッター(図示せず)の形はいろいろと変更することができることは勿論である。
【0035】
工程チャンバ100内の一側には蒸着源400から蒸発される原料物質の量を感知するセンサー600が備われる。原料物質が蒸発されると、センサー600はこれを感知して前記センサー600で感知される原料物質の量を蒸着厚さに換算する。すなわち、センサー600に感知される原料物質の量をセンサー600に蒸着される蒸着膜の換算の厚さで算出する。よって、蒸着が行われるうちにリアルタイムでセンサー600に蒸着された蒸着膜の換算の厚さを通して基板200に蒸着される蒸着膜の厚さを間接的に検出する。しかし、センサー600によって検出された蒸着膜の厚さはセンサー600に感知される原料物質の量から検出した間接的な厚さであるので、基板200に蒸着された蒸着膜の実際の厚さと違うこともある。センサー600は蒸着源400から蒸発されて噴射される原料物質の量を感知することができるセンサー600ならどのようなセンサーでもいい。例えば、水晶振動子を備えるセンサー600を利用することもできる。
【0036】
センサー600は蒸着が行われるうちに前記センサー600から得られる蒸着膜の厚さをリアルタイムにディスプレーして、センサー600に蒸着される蒸着膜の厚さを制御するモニタリング部140と連結される。モニタリング部140には基板200上に蒸着しようとする目標の厚さ及びセンサー600に蒸着される蒸着膜の厚さを調節する蒸着制御の厚さが入力される。このような、モニタリング部140は蒸着源400に加えられる電源を制御する制御部120と連結される。つづいて、蒸着源400を加熱して原料物質を基板200に蒸着するうちにセンサー600では前記センサー600に感知される原料物質の量をセンサー600に蒸着された蒸着厚さに換算して、蒸着膜の換算の厚さが蒸着制御の厚さに達すると、蒸着工程が中止される。すなわち、モニタリング部140から制御部120で信号を送ると、前記制御部120は温度調節部130を制御してヒーター412に加えられる電源供給を中止して、蒸着工程を止める。
【0037】
移送チャンバ110は蒸着工程を実施する工程チャンバ100の側部に連結される。また、移送チャンバ110は円筒形または直方体に製作できる。これに限定されることなく、移送チャンバ110は基板200の形に対応するように製作されることが望ましい。移送チャンバ110の一側壁には基板200の搬出が行われる第2基板出入口802が位置する。また図示してないが、移送チャンバ110には前記移送チャンバ110の内部を真空及び大気圧に変化可能にさせる真空調節部(図示せず)が連結される。
【0038】
ロボットアーム150は工程チャンバ100内に位置して、原料物質が蒸着された基板200を移送チャンバ110内に移送させる。ここで、ロボットアーム150は工程チャンバ100内の基板200を移送チャンバ110内に移動させることができる手段ならどのような手段でもいい。本実施形態によるロボットアーム150はアンテナと一緒に伸縮可能な装置を利用する。このようなロボットアーム150を利用して工程チャンバ100内に位置する基板200を移送チャンバ110下部の外壁に位置する厚さ測定手段500と対応配置されるように移動させる。以後、基板200がロボットアーム150に安置された状態で、前記基板200上に形成された蒸着膜の実際の厚さを厚さ測定手段500を利用して測定する。そして、ロボットアーム150を利用して基板200を移送チャンバ110の一側壁に配置された第2基板出入口802を通して排出する。
【0039】
本実施形態による蒸着装置は基板200に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを測定することができる厚さ測定手段500を備える。図1を参照すると、厚さ測定手段500は移送チャンバ110下部の外壁に設置される。厚さ測定手段500は基板200上に蒸着された蒸着膜の厚さを直接測定することで前記蒸着膜の実際の厚さを算出することができる。本実施形態による厚さ測定手段500は光を利用して蒸着膜の実際の厚さを測定するエリプソメータ(ellipsometer)である。エリプソメータは測定対象膜にレーザーなどの光を照射して、この測定対象膜の表面から反射する光の偏光状態の変化を解釈することで、蒸着膜の厚さを測定する。厚さ測定手段500はレーザー光などの光を照射する光照射手段511と、蒸着された薄膜で反射した光を検出する検出手段512を含む。そして、厚さ測定手段500が配置された移送チャンバ110下部には光照射手段511から放射される光を透過するための第1プレート521と、蒸着膜で反射した光が検出手段512が位置した方向に透過できるようにする第2プレート522が備われる。この時、第1及び第2プレート521、522は光を透過する光透過性物質に製作される。基板200に蒸着された蒸着膜の厚さ測定のために光が照射される測定点は基板200の非活性領域であることが望ましい。このために、ロボットアーム150を利用して基板200を移動させて、前記ロボットアーム150に安置された基板200の非活性領域が厚さ測定手段500に対応位置するようにする。このように、基板200の非活性領域に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを測定することで、前記基板100の活性領域に蒸着された蒸着膜の実際の厚さが分かる。この時、厚さ測定手段500はモニタリング部140と連結される。
【0040】
図2は本実施形態による蒸着装置を利用して蒸着膜の厚さを制御する過程を説明するためのフローチャートである。
【0041】
下記では図1及び図2を参照して本発明の実施形態による蒸着装置を利用して蒸着膜の厚さを制御する過程を説明する。
【0042】
図2は実施形態による蒸着装置を利用して蒸着膜の厚さを制御する過程を説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、モニタリング部140に蒸着しようとする目標の厚さ及び蒸着制御の厚さを設定するS100。蒸着制御の厚さの初期値は目標の厚さと等しい。そして、温度調節部130を通してヒーター412に電源を供給して、原料物質が保存されたルツボ411を加熱して基板200上に蒸着膜を形成するS200。蒸着膜が形成されるうちにセンサー600は前記センサー600に感知される原料物質の量をリアルタイムで感知して、感知された原料物質の量を蒸着膜の換算の厚さで算出するS300。このように算出された蒸着膜の換算の厚さはモニタリング部140にリアルタイムにディスプレーされる。センサー600によって算出された蒸着膜の換算の厚さとモニタリング部140に設定された蒸着制御の厚さを比べ続けてS400、換算の厚さが蒸着制御の厚さに達すると、蒸着工程が中止される。蒸着制御の厚さによって調節されて工程が中止された後、基板200に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを厚さ測定手段500を通して測定するS500。この時、工程チャンバ100と移送チャンバ110の間に配置されたドア(図示せず)をオープンして、ロボットアーム150を利用して基板200を移送チャンバ110内に移動させた後、前記移送チャンバ110下部の外壁に配置された厚さ測定手段500を利用して蒸着膜の実際の厚さを測定するS500。
【0044】
引き継き、蒸着膜の実際の厚さを目標の厚さと比べるか、実際の厚さの平均値を目標の厚さと比べるS600。例えば、工程チャンバ100内にローディングされて蒸着膜が形成された第1基板の場合、前記第1基板に形成された蒸着膜の実際の厚さと目標の厚さを比べる。そして、第1基板に引き継いで第2基板に蒸着膜が形成されると、第1基板と第2基板に形成された蒸着膜の実際の厚さの平均値と目標の厚さを比べる。また、第2基板に引き継いで第3基板ないし第10基板に連続的に蒸着膜が形成されると、各蒸着工程の時の第1基板ないし第10基板に形成された蒸着膜の実際の厚さの平均値を目標の厚さと比べる。本実施形態では最近の10個分の基板200を対象に各基板200に形成された蒸着膜の実際の厚さの平均値を計算して目標の厚さと比べる。例えば、第10基板に引き継いで第11基板に蒸着膜が形成されると、第2基板ないし第11基板に形成された蒸着膜の実際の厚さの平均値を目標の厚さと比べる。もちろん、これに限定されることなく、いろいろな数の基板200を対象に平均値を計算して、これを目標の厚さと比べることができる。このように、本実施形態では各蒸着工程の時の基板200上に形成された蒸着膜の実際の厚さを目標の厚さと比べるか、蒸着膜の実際の厚さの平均値を目標の厚さと比べた後S600、蒸着制御の厚さを補正するS700。そして、次の工程につづく蒸着膜の厚さは補正された蒸着制御の厚さによって調節されて形成されるS800。よって、各蒸着工程の時ごとに基板200上に形成された蒸着膜の実際の厚さを測定して目標の厚さと比べて蒸着制御の厚さを補正することで、基板200上に信頼し得る厚さの蒸着膜を形成できる。
【0045】
本実施形態ではセンサー600で算出される蒸着膜の換算の厚さを利用して基板200に蒸着される蒸着膜の厚さを調節したが、これに限定されることなく、蒸着膜の換算の厚さを利用しないで基板200に蒸着される蒸着膜の厚さを制御することができる。すなわち、モニタリング部140に蒸着しようとする目標の厚さを設定する。そして、ヒーター412に電源を供給して原料物質が保存されたルツボ411を加熱して、基板100上に蒸着膜を形成する。蒸着工程終了後、基板200に形成された蒸着膜の実際の厚さを厚さ測定手段500を利用して測定して、これを目標の厚さと比べる。蒸着膜の実際の厚さが目標の厚さと一致しない場合、蒸着の速度及びヒーター412に加えられる電源などの工程条件を修正する。そして、次の工程では修正した工程条件によって調節されて蒸着膜が形成される。
【0046】
図3は本発明の実施形態の変形の実施形態による蒸着装置の主要部を示す概略図である。
【0047】
下記では図3を参照して実施形態の変形の実施形態による蒸着装置を説明する。
【0048】
図3を参照すれば変形の実施形態による蒸着装置はインライン(in-line)蒸着装置であって、複数の工程チャンバ100a、100b、100c及び複数の移送チャンバ(110a、110b、110c:110)が一方向に配列された形に製作される。例えば、図1の蒸着工程チャンバ100及び移送チャンバ110を複数備えて一方向に連結して製作することができる。つづいて、変形の実施形態による蒸着装置を利用して単一基板200に連続的に蒸着膜を形成できる。本変形の実施形態では3個の工程チャンバ100a、100b、100c及び3個の移送チャンバ110a、110b、110cを含んだインライン(in-line)蒸着装置を製作したが、これに限定されることなく、多様な個数に製作できる。
【0049】
図3を参照すると、工程チャンバ(100a、100b、100c:100)それぞれには蒸着源400a、400b、400cを含む。各蒸着源400a、400b、400cはお互いに違う原料物質を保存することが望ましい。また、各工程チャンバ100a、100b、100cの間には移送チャンバ110が配置され、各移送チャンバ110a、110b、110cの下部外壁には基板200に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを測定する厚さ測定手段500a、500b、500cが備われる。そして、複数の蒸着源400a、400b、400c及び複数の厚さ測定手段500a、500b、500cと対向配置されたガイド部材310と、ガイド部材310に連結された基板安置手段300と、基板安置手段300の下部に連結されたマスクホルダー320と、マスクホルダー320に装着されたシャドーマスク330と、マスクホルダー320に連結されてシャドーマスク330の開放された領域の中で基板200の非活性領域200bに対応配置された補助マスク340を含む。そして、各工程チャンバ100a、100b、100cと移送チャンバ110a、110b、110cの間にはドア(図示せず)が設置され、ドア(図示せず)が開放される時に基板安置手段300が各移送チャンバ110a、110b、110cまたは工程チャンバ100a、100b、100cに移動する。
【0050】
ガイド部材130は基板200が安置された基板安置手段300が各工程チャンバ110a、110b、110c及び各移送チャンバ110a、110b、110cの間を移動できるようにする役割をする。ここでガイド部材130は複数の蒸着源400a、400b、400c及び複数の厚さ測定手段500a、500b、500cが配列された延長さ方向と対応される形に製作される。つづいて、ガイド部材310に連結された基板安置手段300は前記ガイド部材310に沿って各工程チャンバ100a、100b、100cと各移送チャンバ110a、110b、110cの間を移動することができる。
【0051】
図4は変形の実施形態による図3のA領域の平面図である。図5は図4のB−B’線の断面図である。図6は変形の実施形態による補助マスクを概略的に図示した概念図である。
【0052】
補助マスク340は図4及び図5に示すように、シャドーマスク330の開放された領域の中で基板200の非活性領域200bに対応して配置される。このような補助マスク340はマスクパターン341を含む。マスクパターン341は多様な個数に備えられる。図5を参照すると、補助マスク340のマスクパターン342はシャドーマスク330の開放された領域の中である特定領域を露出する。これにより、基板200の非活性領域200bには補助マスク340のマスクパターン341によって露出した領域に原料物質が蒸着される。また、図4に示すように、補助マスク340のマスクパターン341はその位置を変更できる。これにより、基板200の非活性領域200b中でマスクパターン341によって露出する領域の位置が変更される。図6を参照すると、補助マスク340の長さ方向の両端にはギア部材342が連結されて、ギア部材342には駆動モーター343が連結される。ギア部材342は図3及び図4に示すようにマスクホルダー320に連結される。そして、駆動モーター343は補助マスク340の精密な移動制御が可能なマイクロムービングモーター及びステッピングモーターの中でいずれかの一つを利用することができる。また、補助マスク340の下部にはギア部材342の微細歯車と結合されて補助マスク340を移動させるホール(図示せず)が備われる。変形の実施形態では補助マスク340をギア部材342及び駆動モーター343を利用して移動させたが、これに限定されることなく、前記補助マスク340のマスクパターン341の位置を移動させることができる手段ならいかなる手段でもいい。
【0053】
単一基板200に連続的に原料物質を蒸着する場合、第1蒸着源400aを利用して原料物質を蒸着した後に補助マスク340のマスクパターン341を移動させ、第2蒸着源400bを利用して原料物質を蒸着する。これにより、補助マスク340を通して蒸着された基板200の非活性領域200bには第1蒸着源400aを通して蒸着された第1蒸着膜と第2蒸着源400bを通して蒸着された第2蒸着膜がお互いに離隔されるように形成される。
【0054】
図7は本発明の変形の実施形態による蒸着装置を利用して製作された有機発光素子を示す図面である。
【0055】
下記では図3及び図7を参照して変形の実施形態による蒸着装置の動作を説明する。
【0056】
まず、モニタリング部140に蒸着しようとする目標の厚さ及び蒸着制御の厚さを設定する。そして、基板200を第1基板出入口801を通して第1チャンバ100a内にローディングさせ、基板200を基板安置手段300の支持部301に安着させる。この時、第1蒸着源400a、第2蒸着源400b及び第3蒸着源400cに保存された原料物質は粉末形態のそれぞれ別々の有機物を利用する。基板安置手段300の下部に連結されたマスクホルダー320にはシャドーマスク330が装着され、シャドーマスク330の開放された領域の中で基板200の非活性領域200bに対応する位置には補助マスク340が配置される。そして、基板安置手段300の駆動軸302をガイド部材310に沿って移動させ、駆動軸302に連結された支持部301が第1蒸着源400aすぐ上側に位置するようにする。引き継き、第1ルツボ411aに充填された第1有機物401を加熱して蒸発させ、基板200上に蒸着膜を形成する。蒸着膜を形成する間、第1チャンバ100a内の一側に配置された第1センサー600aは第1有機物401の量をリアルタイムで感知して第1有機物膜400aの換算の厚さで算出する。第1センサー600aによって算出された第1有機物膜400aの換算の厚さが蒸着制御の厚さに達すると、蒸着工程が中止される。これを通して、図7に示すように基板200の活性領域200a及び非活性領域200bそれぞれに第1有機物膜401aが形成される。引き継き、第1有機物膜401aが形成された基板200を第1移送チャンバ110aに移動させて、前記第1移送チャンバ110aの下部外壁に設置された第1厚さ測定手段500aを利用して基板200の非活性領域200bに蒸着された第1有機物膜401aの実際の厚さを測定する。そして、第1有機物膜401aの実際の厚さと目標の厚さを比べるか、第1有機物膜401aの実際の厚さの平均値と目標の厚さを比べる。すなわち、工程チャンバ100内にローディングされて第1有機物膜401aが形成される第1基板の場合、前記第1基板に形成された第1有機物膜401aの実際厚さと目標の厚さを比べる。また、連続的に工程チャンバ100a内にローディングされる複数の基板200中に第1有機物膜401aが形成される複数番目の基板200の場合、先立って第1有機物膜401aが形成された複数の基板200及び前記複数番目の基板200にそれぞれ形成された第1有機物膜401aの実際の厚さの平均値を目標の厚さと比べる。そして、モニタリング部140の蒸着制御の厚さを補正した後、次の工程で第1有機物膜401aの厚さは補正された蒸着制御の厚さによって調節されて形成される。
【0057】
以後、第1有機物膜400aが形成された基板200を第2工程チャンバ100b及び第2移送チャンバ110bそして第3工程チャンバ100c及び第3移送チャンバ110c内に移動させた後、第1工程チャンバ100a及び第2移送チャンバ110c内で行われた過程を繰り返す。ただし、第2有機物402及び第3有機物403を蒸着する段階前に、補助マスク340に連結されたギア部材342を回転させて補助マスク340のマスクパターン341の位置を変更させる。すなわち、図7に示すように、基板200の非活性領域200bに形成される第1有機物膜401a、第2有機物膜402a及び第3有機物膜403aがお互いに離隔されて形成されるように補助マスク340の位置を変更させる。そして、第1有機物膜401a、第2有機物膜402a及び第3有機物膜403aが形成された基板200を第2基板出入口802を通して搬出する。
【0058】
また、変形の実施形態による蒸着源400a、400b、400cは点蒸着源を利用したが、これに限定されることなく、蒸着源400a、400b、400cで線型蒸着源を利用することもできる。そして、厚さ測定手段500を通して測定される有機物膜の測定点の位置をお互いに違うようにして複数回測定する。これを通して、お互いに違う位置で測定された有機物膜の厚さを比べることで、基板200上に形成された蒸着膜の均一度、線型蒸着源を構成する各開口部の閉塞及び蒸着率を確認することができる。
【0059】
また、本実施形態では原料物質で有機物を利用したが、これに限定されることなく、無機物及び金属など多様な材料を使うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間を形成する工程チャンバと、
前記工程チャンバに連結された移送チャンバと、
前記工程チャンバ内に位置して基板を安置する基板安置手段と、
前記基板安置手段と対向配置されて原料物質を保存する蒸着源と、
前記移送チャンバに設置されて基板に蒸着された蒸着膜の実際の厚さを直接測定する厚さ測定手段と、を含む蒸着装置。
【請求項2】
前記厚さ測定手段としてエリプソメータを利用することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記エリプソメータが配置された移送チャンバの一端部には透過窓が設置されることを特徴とする請求項2に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記工程チャンバ内の一側に備われ、蒸着源から蒸発される原料物質の量を感知して蒸着膜の換算の厚さで算出するセンサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記工程チャンバ及び移送チャンバを複数備えて一方向に連結して、前記複数の工程チャンバそれぞれには蒸着源が設置されて、前記複数の移送チャンバそれぞれには厚さ測定手段が設置されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記センサーに連結されて基板に蒸着される蒸着膜の厚さを調節するモニタリング部を含むことを特徴とする請求項4に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記モニタリング部は、蒸着源と連結されて前記蒸着源に供給される電源及び蒸着工程時間を制御する制御部及び厚さ測定手段と連結されることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記基板安置手段の下部にはマスクホルダーが連結されて、前記マスクホルダーにはシャドーマスクが装着されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記シャドーマスクの開放された領域の中で前記基板の非活性領域に対応配置されて、少なくとも一つのマスクパターンを含む補助マスクをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記補助マスクの両端には前記補助マスクを移動させて、マスクパターンの位置を変更させる駆動部が連結されて、前記駆動部はマスクホルダーに連結されることを特徴とする請求項9に記載の蒸着装置。
【請求項11】
チャンバ内に基板を準備する段階と、
前記基板に蒸着膜を形成する段階と、
前記基板を移送チャンバ内に移動させて、前記基板に形成された蒸着膜の実際の厚さを直接測定する段階と、
前記蒸着膜の実際の厚さと目標の厚さを比べる段階と、
前記厚さ比較結果によって工程条件を調節する段階と、を含む蒸着方法。
【請求項12】
前記工程条件を調節する段階後に、次の工程につづく蒸着膜は調節された工程条件によって形成されることを特徴とする請求項11に記載の蒸着方法。
【請求項13】
前記基板に蒸着膜を形成する段階前に目標の厚さ及び蒸着制御の厚さを設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の蒸着方法。
【請求項14】
前記基板に蒸着膜を形成する間にセンサーで原料物質の量を感知して蒸着膜の換算の厚さで算出する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の蒸着方法。
【請求項15】
前記換算の厚さが蒸着制御の厚さに達する時に、蒸着工程を中止することを特徴とする請求項14に記載の蒸着方法。
【請求項16】
前記厚さ比較結果によって工程条件を調節する段階は蒸着制御の厚さの設定値を変更することを特徴とする請求項16に記載の蒸着方法。
【請求項17】
前記基板は活性領域と非活性領域を有し、前記非活性領域に形成された蒸着膜の実際の厚さを測定することを特徴とする請求項11に記載の蒸着方法。
【請求項18】
前記調節された工程条件によって形成された蒸着膜の実際の厚さと以前の工程で形成された蒸着膜の実際の厚さの平均値を、目標の厚さと比べることを特徴とする請求項12に記載の蒸着方法。
【請求項19】
前記蒸着膜の実際の厚さと目標の厚さを比べて工程条件を調節した後、前記基板に連続的に他の原料物質を蒸着することを特徴とする請求項11に記載の蒸着方法。
【請求項20】
前記基板が安置された基板安置手段を一方向に連結された複数の工程チャンバの中でいずれかの一つの工程チャンバ内に移動させて、前記基板に連続的に他の原料物質を蒸着することを特徴とする請求項19に記載の蒸着方法。
【請求項21】
前記基板に連続的に他の原料物質を蒸着する段階前に補助マスクのマスクパターンの位置を変更して、前記マスクパターンによって露出する前記基板の非活性領域の位置を変更する段階をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の蒸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−502177(P2012−502177A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525975(P2011−525975)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004906
【国際公開番号】WO2010/027178
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(509170165)エスエヌユー プレシジョン カンパニー,リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】SNU PRECISION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Dong−a town #201, Bong−chun 7−dong 1692−2,Kwanak−gu,Seoul 152−818(KR)
【Fターム(参考)】