説明

蓄電モジュール

【課題】蓄電セルの電極端子と検出部との電気的な接続が簡易であり、かつ高い信頼性を有する蓄電モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係る蓄電モジュール100は、電極端子16を有する蓄電セル10が複数積層された蓄電モジュール100であって、複数の電極端子16を電気的に接続するバスバー40と、バスバー40に固定された導電部材50と、複数の蓄電セル10の電圧を検出する検出部と、検出部と電気的に接続された配線部、および配線部と接続されたパッド部が形成された配線基板60と、を含み、導電部材50は、パッド部と接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複数の電池セルを直列に接続し、高出力化を図った積層型の組電池が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような積層型の組電池では、複数の電池セルの温度差等によって、放電時に複数の電池セルの出力電圧が異なる場合がある。そのため、組電池には、電池セルの各々の出力電圧を検出する検出部が搭載されている。検出部は、例えばワイヤーハーネスを介して、複数の電池セルの電極端子と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−23179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワイヤーハーネスを複数の電池セルの電極端子に接続する際に、例えば電池セル1つ1つに対してワイヤーハーネスを接続させなくてはならず、作業的な負荷が大きくなることがあった。特に、近年の高容量化および高出力化の要求に応じて、電池セルの積層数を増加させる必要があり、いっそう作業的な負荷が大きくなることが想定される。
【0006】
さらに、ワイヤーハーネスによる接続では、例えば外部衝撃によって、ワイヤーハーネスの電線部が断線することがあった。また、ワイヤーハーネスの電線部を被覆する絶縁部が剥離し、剥き出しとなった電線部に導電性部材が接触することによって短絡することがあった。その結果、蓄電モジュールの信頼性が低下することがあった。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、蓄電セルの電極端子と検出部との電気的な接続が簡易であり、かつ高い信頼性を有する蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]
本発明に係る蓄電モジュールの一態様は、
電極端子を有する蓄電セルが複数積層された蓄電モジュールであって、
複数の前記電極端子を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに固定された導電部材と、
複数の前記蓄電セルの電圧を検出する検出部と、
前記検出部と電気的に接続された配線部、および前記配線部と接続されたパッド部が形成された配線基板と、
を含み、
前記導電部材は、前記パッド部と接触している。
【0010】
なお、本発明に係る記載では、「電気的に接続」という文言を、例えば、「特定の部材(以下「A部材」という)に「電気的に接続」された他の特定の部材(以下「B部材」という)」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A部材とB部材とが、直接接して電気的に接続されているような場合と、A部材とB部材とが、他の部材を介して電気的に接続されているような場合とが含まれるものとして、「電気的に接続」という文言を用いている。
【0011】
[適用例2]
適用例1において、
前記導電部材は、弾性部材であってもよい。
【0012】
[適用例3]
適用例2において、
前記導電部材は、
前記バスバーに接続された第1部分と、
前記第1部分に支持され、前記パッド部と接触している第2部分と、
を有し、
前記第2部分は、前記第1部分に近づくにつれて幅が広くなるテーパー状であってもよい。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか1例において、
前記バスバーは、複数の前記電極端子を直列に接続していてもよい。
【0014】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか1例において、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられたセパレータを、さらに含んでもよい。
【0015】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか1例において、
前記配線基板は、複数の前記蓄電セルの積層方向に延在していてもよい。
【0016】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか1例において、
前記蓄電セルは、リチウムイオンキャパシタであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る蓄電モジュールによれば、バスバーに固定された導電部材は、配線基板に形成されたパッド部と接触している。パッド部は、配線基板に形成された配線部を介して、検出部と電気的に接続されている。これにより、検出部は、蓄電セルの電極端子と電気的に接続されることができる。このように、本発明に係る蓄電モジュールでは、ワイヤーハーネスを用いることなく、簡易に電極端子と検出部とを電気的に接続することができる。
【0018】
さらに、ワイヤーハーネスは、例えば、電線部が断線したり、電線部を被覆する絶縁部が剥離したりすることがあるが、本発明に係る蓄電モジュールでは、ワイヤーハーネスを用いていないので、このような問題を回避することができ、高い信頼性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す分解斜視図。
【図3】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す分解斜視図。
【図4】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す図。
【図5】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す分解斜視図。
【図6】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す斜視図。
【図7】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す斜視図。
【図8】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す図。
【図11】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す断面図。
【図12】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す図。
【図13】本実施形態に係る蓄電モジュールの一部を模式的に示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
1. 蓄電モジュール
本実施形態に係る蓄電モジュールについて、図面を参照しなら説明する。図1は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す分解斜視図である。図3は、本実施形態に係る蓄電モジュール100の一部を模式的に示す分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る蓄電モジュール100の一部を模式的に示す図であって、図1のIV矢印方向から見た図である。図5は、本実施形態に係る蓄電モジュール100の一部を模式的に示す分解斜視図である。
【0022】
蓄電モジュール100は、図1〜図5に示すように、蓄電セル10と、バスバー40と、導電部材50と、配線基板60と、検出部70と、を含む。さらに、蓄電モジュール100は、セパレータ20と、検出部収容部材74,76と、ベース部材80と、セル固定部材81と、モジュール端子90,92と、を有することができる。
【0023】
なお、便宜上、図1では、配線基板60の1つを省略している。また、便宜上、図3では、2つの蓄電セル10に対応する構成を図示し、図4では、3つの蓄電セル10に対応する構成を図示し、図5では、2つの蓄電セル10およびベース部材80に対応する構成を図示している。
【0024】
蓄電モジュール100は、蓄電セル10を、セパレータ20を介してZ軸方向に複数積層された構成を有することができる。蓄電セル10の数は、特に限定されず、蓄電モジュール100の用途に応じて適宜変更することができる。蓄電セル10の形態としては、リチウムイオンキャパシタ、二次電池、電気二重層キャパシタなどを例示することができる。
【0025】
蓄電セル10がリチウムイオンキャパシタである場合、蓄電セル10は、正極活物質として、例えば、活性炭、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であるポリアセン系物質(PAS)を用いることができる。また、蓄電セル10は、負極活物質として、例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)を用いることができる。そして、リチウムイオンを、負極にドープ(「プレドープ」ともいえる)することにより、負極の電位を下げることができる。これにより、エネルギー密度を大きくすることができる。
【0026】
蓄電セル10は、図3に示すように、外装体12と、電極端子16(正極端子16a、負極端子16b)と、を有することができる。
【0027】
外装体12は、図示はしないが、正極、負極、および電解液を収容している。外装体12の形状は、正極、負極、および電解液を収容できれば、特に限定されない。図示の例では、外装体12は、外装缶13と、封口板14と、を有している。
【0028】
外装缶13は、その厚み(Z軸方向の長さ)を、横幅(Y軸方向の長さ)および縦幅(X軸方向の長さ)より小さくし、四隅の角部を面取りした略箱型の形状を有することができる。外装缶13の平面形状(Z軸方向から見た形状)は、例えば、Y軸方向に沿う長辺と、X軸方向に沿う短辺と、を有する長方形である。外装缶13の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄が挙げられる。図示はしないが、外装缶13は、円筒型でもよい。
【0029】
封口板14は、外装缶13の開口を封止することができる。これにより、正極、負極、および電解液を外装体12内に密閉することができる。封口板14の形状は、外装缶13の開口を封止できれば、特に限定されない。封口板14の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄が挙げられる。
【0030】
なお、図示はしないが、外装体12内に収容される正極および負極は、セパレータを介してシート状の正極および負極を重ねて積層シートを形成し、該積層シートを捲回させてなる捲回型でもよいし、セパレータを介してシート状の正極および負極を複数重ねてなる積層型でもよい。
【0031】
正極端子16aは、図3に示すように、封口板14に設けられている。正極端子16aの形状は、特に限定されないが、図示の例では、ボルト形状である。正極端子16aの材質としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。正極端子16aは、外装体12内の正極と電気的に接続されている。
【0032】
負極端子16bは、封口板14に設けられている。負極端子16bの形状は、特に限定されないが、図示の例では、ボルト形状である。負極端子16bの材質としては、例えば、銅、ニッケルが挙げられる。負極端子16bは、外装体12内の負極と電気的に接続されている。
【0033】
隣り合う蓄電10のうち、一方の蓄電セル10aの正極端子16aのZ軸方向(蓄電セル10の積層方向)には、他方の蓄電セル10bの負極端子16bが位置している。これにより、複数の蓄電セル10を容易に直列に接続することができる。
【0034】
封口板14には、安全弁18が設けられている。安全弁18は、正極端子16aと負極端子16bとの間に配置されている。図示の例では、安全弁18は、封口板14の中央に配置されている。安全弁18は、外装体12内の圧力が所定値以上に上昇した場合に開弁して、外装体12内のガスを放出することができる。安全弁18の開弁により、外装体12内の圧力上昇を抑制することができる。
【0035】
セパレータ20は、図3に示すように、隣り合う蓄電セル10の間に設けられている。セパレータ20の材質は、例えば、プラスチック等の樹脂である。セパレータ20は、隣り合う蓄電セル10を、電気的および熱的に絶縁することができる。
【0036】
セパレータ20は、蓄電セル10を支持するセル支持部22と、セル支持部22の周囲に設けられた側壁部30と、を有することができる。セル支持部22の平面形状は、例えば、Y軸方向に沿う長辺と、X軸方向に沿う短辺と、を有する長方形である。セル支持部22の断面形状(YZ平面の形状)は、凸部24と凹部26とを有する凹凸状である。
【0037】
凸部24は、外装体12と接することができる。セル支持部22は、凸部24において蓄電セル10を支持することができる。凹部26は、例えば、X軸方向に沿って延在している。凹部26は、例えば、Y軸方向において等間隔に配置されている。
【0038】
凸部24および凹部26の数は、特に限定されない。凸部24および凹部26は、表裏一体の関係にある。すなわち、隣り合う蓄電セル10のうち一方の蓄電セル10aと接する凸部24は、他方の蓄電セル10bにおいて凹部となることができる。同様に、他方の蓄電セル10bと接する凸部は、一方の蓄電セル10aにおいて凹部26となることができる。
【0039】
側壁部30は、セル支持部22の周囲に設けられている。側壁部30は、セル支持部22よりもZ軸方向に延在している。側壁部30は、第1側壁部31と、第2側壁部32と、第3側壁部33と、第4側壁部34と、を有することができる。
【0040】
第1側壁部31は、例えば、支持部22の長辺方向(Y軸方向)に沿って設けられている。第1側壁部31には、端子16a,16bが配置される開口部35が形成されている。端子16a,16bは、開口部35を通ってセパレータ20の外部に突出することができる。
【0041】
図示の例では、開口部35には、さらに、突出部28が配置されている。突出部28は、平面視において、例えば長方形のセル支持部22から、端子16a,16bの延出方向(+X方向)に突出している。突出部28は、図3に示すように、セル支持部22と一体的に形成されていてもよい。突出部28は、隣り合う蓄電セル10のうち、一方の蓄電セル10aの端子16a,16bと、他方の蓄電セル10bの端子16a,16bと、の間に位置している。これにより、例えば、蓄電モジュールの組立て作業時においてナット等の誤落下が発生した場合に、一方の蓄電セル10aの端子16a,16bと、他方の蓄電セル10bの端子16a,16bと、が短絡することを防止できる。さらに、絶縁を確保するために隣り合う蓄電セルの間の距離を大きくする必要がないので、隣り合う蓄電セル10間の距離を小さくすることができる。そのため、蓄電モジュール100のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
第1側壁部31には、例えば、蓄電セル10の積層方向(Z軸方向)に沿って、スリット部36が形成されている。スリット部36には、配線基板60が差し込まれることができる。図2に示すように、配線基板60を、スリット部36に沿ってZ軸方向に移動させて、図1に示すように、配線基板60を固定することができる。
【0043】
第1側壁部31は、図3に示すように、切り欠き部37が形成されている。切り欠き部37は、蓄電セル10の安全弁18と対応する位置に形成されている。安全弁18からガスが放出された場合に、ガスは、切り欠き部37を通って外部に排出されることができる。
【0044】
第2側壁部32は、例えば、セル支持部22の長辺方向(Y軸方向)に沿って設けられている。第2側壁部32は、第1側壁部31と対向配置されていてもよい。第1側壁部31および第2側壁部32には、例えば、貫通孔38が形成されている。より具体的には、貫通孔38は、凹部26の延長上に形成されている。貫通孔38は、側壁部31,32をX軸方向に貫通している。第1側壁部31に形成された貫通孔38と、第2側壁部32に形成された貫通孔38とは、対向配置されていてもよい。貫通孔38の形状および数は、特に限定されない。貫通孔38および凹部26は、通気孔として機能することができ、蓄電セル10の放熱性を向上させることができる。
【0045】
なお、図示はしないが、蓄電モジュール100は、貫通孔38および凹部26によって形成される通気孔に、送風するための冷却ファンを備えていてもよい。また、凹部26に断熱材を配置してもよい。
【0046】
第3側壁部33および第4側壁部34は、例えば、セル支持部22の短辺方向(X軸方向)に沿って設けられている。第3側壁部33および第4側壁部34は、第1側壁部31および第2側壁部32と接続している。第3側壁部33および第4側壁部34は、互いに対向配置されていてもよい。
【0047】
図6は、バスバー40を模式的に示す斜視図である。バスバー40は、複数の端子16a,16bを電気的に接続している。より具体的には、バスバー40は、複数の蓄電セル10を直列に接続している。すなわち、バスバー40は、隣り合う蓄電セル10のうち、一方の蓄電セル10の正極端子16aと、他方の蓄電セル10の負極端子16bと、を電気的に接続している。これにより、蓄電モジュール100の高出力化を図ることができる。なお、図示はしないが、バスバー40は、複数の蓄電セル10を並列に接続していてもよい。
【0048】
バスバー40の材質としては、例えば、銅系の金属、アルミニウム系の金属が挙げられる。特に銅系の金属は、導電率が高いため、好適に用いられることができる。また、ニッケルや金等の金属でめっきを施すことにより、接触抵抗を低減することができる。ニッケル系の金属は、電蝕対策としても有効である。また、バスバー40の材質は、鉄や合金等でもよい。
【0049】
バスバー40の形状は、複数の端子16a,16bを電気的に接続できれば、特に限定されない。バスバー40は、図6に示すように、端子16a,16bに接続される端子接続部42と、導電部材50に接続される導電部材接続部46と、を有することができる。
【0050】
端子接続部42には、第1貫通孔43が形成されている。第1貫通孔43は、端子接続部42を、X軸方向に貫通している。第1貫通孔43は、端子16a,16bに対応する位置に形成されている。第1貫通孔43に端子16a,16bを通すようにバスバー40を配置し、ナット19を端子16a,16bに螺合することにより(図5参照)、バスバー40を固定することができる。第1貫通孔43の形状は、端子16a,16bを通すことができれば、特に限定されないが、図示の例では、円形である。
【0051】
なお、図示はしないが、バスバー40とナット19との間に金属性のワッシャーを設けてもよい。これにより、蓄電セル10の放熱性を向上させることができる。
【0052】
端子接続部42には、図6に示すように、例えば、第2貫通孔44が形成されている。第2貫通孔44は、端子接続部分42を、X軸方向に貫通している。第2貫通孔44は、2つの第1貫通孔43の間に形成されている。セパレータ20の突出部28は、図5に示すように、第2貫通孔44を通って、端子16a,16b間に配置されることができる。第2貫通孔44の形状は、突出部28を通すことができれば、特に限定されない。端子接続部42は、図6に示すように、第2貫通孔44によって、正極端子16aに接続される正極端子接続部42aと、負極端子16bに接続される負極端子接続部42bと、に区画されることができる。
【0053】
導電部材接続部46は、例えば、端子接続部42の周囲に、端子接続部42と直交して設けられている。図示の例では、導電部材接続部46は、2つ設けられ、2つの導電部材接続部46は、互いに対向配置されている。導電部材接続部46には、例えば、第3貫通孔47が形成されている。第3貫通孔47は、導電部材接続部46を、Y軸方向に貫通している。第3貫通孔47と、導電部材50の貫通孔54(図5および図7参照)と、が一致するようにバスバー40および導電性部材50を配置し、貫通孔47,54にピン等(図示せず)を通すことにより、導電部材接続部46に、導電部材50を固定することがきる。なお、図示はしないが、貫通孔54の代わりに、バスバー40側に突起した凸状形状を設け、該凸状形状を第3貫通孔47に勘合することで、導電部材接続部46に、導電部材50を固定してもよい。例えば、導電部材50がバネ性を有する場合は、より確実に、固定されることができる。
【0054】
図7は、導電部材50を模式的に示す斜視図である。図8は、導電部材50を模式的に示す図7のVIII−VIII線断面図(例えばXY平面の断面図)である。図9は、導電部材50を模式的に示す図7のIX−IX線断面図(例えばXZ平面の断面図)である。
【0055】
なお、便宜上、図8および図9において、(a)は、導電部材50がパッド部62と接触していない状態を図示し、(b)は、導電部材50がパッド部62と接触している状態を図示している。また、便宜上、図8および図9では、導電部材50を簡略化して図示している。また、便宜上、図8では、簡略化したバスバー40を図示している。
【0056】
導電部材50は、バスバー40の導電部材接続部46に固定されている。導電部材50は、導電性を有し、その材質は、例えば、銅系の金属、アルミニウム系の金属が挙げられる。特に銅系の金属は、導電率が高いため、好適に用いられることができる。また、ニッケルや金等の金属でめっきを施すことにより、接触抵抗を低減することができる。ニッケル系の金属は、電蝕対策としても有効である。導電部材50は、図7〜図9に示すように、第1部分51と、第2部分57と、を有することができる。
【0057】
第1部分51は、固定部52と、支持部53と、接合部56と、を有することができる。固定部52は、支持部53の外周に接続されている。固定部52は、バスバー40の導電部材接続部46と対向配置されることができる。固定部52には、バスバー40に固定されるための貫通孔54が形成されている。固定部52は、バスバー40に固定されることができ、これにより、第1部分51は、バスバー40に接続されることができる。
【0058】
支持部53には、例えば、スリット55が形成されている。スリット55の形状により、導電部材50の弾性力を調節することができる。支持部53は、第2部分57を支持することができる。
【0059】
接合部56は、支持部53の外周に接続されている。接合部56によって、スリット55が形成された場合でも、支持部53はその外形を保つことができる。
【0060】
第2部分57は、第1部分51に支持されている。第2部分57は、配線基板60に形成されたパッド部62(詳細は図12参照)と接触することができる。第2部分57は、図9に示すように、第1部分51に近づくにつれて幅(Z軸方向の長さ)が広くなるテーパー形状を有することができる。そのため、蓄電セル10を複数積層させた後、セパレータ20のスリット部36に沿って、配線基板60をZ軸方向に移動させる際に(図2参照)、滑らかに配線基板60を移動させることができる。例えば、テーパー形状を有しない導電部材では、配線基板を移動させる際に、配線基板が導電部材に引っ掛かり、滑らかに移動させることができない場合がある。なお、第2部分57は、図8に示すように、第1部分51に近づくにつれて、Z軸方向の長さだけでなくY軸方向の長さも大きくなるテーパー形状を有していてもよい。
【0061】
支持部53は、図8および図9に示すように、第2部分57がパッド部62と接触することにより、−X方向の力を受け、屈曲することができる。そのため、支持部53は、第2部分57をパッド部62側に(+X方向に)付勢することができる。すなわち、導電部材50は、弾性部材であることができる。これにより、導電部材50とパッド部62との接触圧力を大きくすることができ、導電部材50とパッド部62との接触抵抗が変化することを抑制できる。さらに、導電部材50とパッド部62との確実な電気的接続を、確保することができる。
【0062】
なお、導電部材50は、第2部分57(パッド部62との接触する部分)をパッド部62側に付勢できれば、その形状は、特に限定されない。例えば、図10および図11に示すように、変形例に係る導電部材150として、バスバー40に接続される第1部分151と、スリット155を介して第1部分151と離間する第2部分157と、第1部分151と第2部分157とを接続する第3部分158と、を有していてもよい。第2部分157は、第1部分151よりもパッド部62側に配置されることができ、パッド部62と接触することができる。なお、図10は、変形例に係る導電部材150を模式的に示す図である。図11は、変形例に係る導電部材150を模式的に示す図10のXI−XI線断面図である。
【0063】
また、バスバー40とパッド部62とを電気的に接続できれば、導電部材50は、弾性部材に限定されず、例えば、導電性のシールであってもよい。
【0064】
配線基板60は、図1および図2に示すように、板状の形状を有することができる。配線基板60は、複数の蓄電セル10の積層方向(Z軸方向)に延在している。配線基板60は、2つ設けられることができ、端子16a,16b、バスバー40、および導電部材50を覆うことができる。これにより、端子16a,16b等が、例えば外部の部材(図示せず)に接触し、短絡することを抑制できる。
【0065】
ここで、図12は、配線基板60の導電部材50と対向する対向面61側を模式的に示す図である。配線基板60の対向面61には、図12に示すように、パッド部62と、配線部64とが形成されている。
【0066】
パッド部62は、導電部材50の数に対応して、複数形成されている。複数のパッド部62は、互いに電気的に分離している。複数のパッド部62は、例えば、導電部材50間の距離と同じ間隔を保って、Z軸方向に配列されている。パッド部62の形状は、特に限定されないが、図示の例では、円形である。パッド部62は、導電性を有し、その材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルめっきまたは金めっきが施された金属である。パッド部62は、導電部材50と接触することができる。
【0067】
配線部64は、パッド部62と接続されている。配線部64は、パッド部62の数に対応して、複数形成されている。複数の配線部64は、互いに電気的に分離している。配線部64は、導電性を有し、その材質は、例えば、銅である。複数の配線部64は、例えば、配線基板60に形成されたコネクター部66を介して、図2に示す検出部70と電気的に接続されている。これにより、蓄電セル10の端子16a,16bと、検出部70と、を電気的に接続することができる。
【0068】
なお、図示はしないが、配線部64は、対向面61ではなく、配線基板60内部に形成されていてもよい。また、便宜上、図12では、コネクター部66を簡略化して図示している。
【0069】
検出部70は、図2に示すように、例えば回路基板71に形成されている。検出部70は、例えばICから構成されている。回路基板71には、図2に示すように、例えば、コネクター部66に接続するコネクター接続部72が形成されており、検出部70とコネクター接続部72とは、電気的に接続されている。検出部70は、複数の蓄電セル10の各々の出力電圧を検出することができる。回路基板71には、さらに、検出された蓄電セル10の出力電圧が正常か否かを判断し、出力電圧が正常ではないと判断したときに、該出力電圧を回復させるため制御部が設けられていてもよい。
【0070】
第1検出部収容部材74は、検出部70が形成された回路基板71を支持していている。第1検出部収容部材74は、積層された蓄電セル10の上方に設けられている。第1検出部収容部材74は、箱型の形状を有することができる。第1検出部収容部材74の開口を、第2検出部収容部材76で覆うことにより、検出部収容部材74,76によって形成される空間内に、回路基板71を収容することができる。第2検出部収容部材76は、例えば、貫通孔77にネジ78を通し、第1検出部収容部材74に締結することで固定される。検出部収容部材74,76の材質は、例えば、プラスチック等の樹脂である。
【0071】
ベース部材80は、積層された蓄電セル10の下方に設けられている。ベース80は、積層された蓄電セル10を支持することができる。ベース部材80の材質は、例えば、プラスチック等の樹脂である。
【0072】
セル固定部材81は、積層された蓄電セル10の側方に設けられている。より具体的には、セル固定部材81は、セパレータ20の側壁部33,34に設けられている。セル固定部材81の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属や、耐熱性の高い樹脂等であるが、特に限定されるものではない。である。ここで、図13は、セル固定部材81を模式的に示す分解斜視図であって、図1および図2とは異なる角度から見た図である。
【0073】
セル固定部材81は、図13に示すように、第1固定部材82と、第2固定部材85と、を有することができる。第1固定部材82には、例えば、複数のスリット83が、Z軸方向に等間隔で形成されている。隣り合うスリット83の間隔は、蓄電セル10の1つ分の厚み(Z軸方向の長さ)と同じであってもよい。第2固定部材85は、第1固定部材82側に突出した突出部86を有することができる。突出部86は、複数のスリット83のいずれかに差し込まれることができる。セル固定部材81は、突出部86を差し込むスリット83の位置によって、Z軸方向の長さを可変することができる。すなわち、セル固定部材81は、蓄電セル10の積層数により、Z軸方向の長さを可変することができる。
【0074】
なお、第1固定部材82には、貫通孔84が形成され、該貫通孔84にネジ等(図示せず)を通すことにより、第1固定部材82をベース部材80に固定することができる。また、第2固定部材85には、貫通孔88が形成され、該貫通孔88にネジ89(図2参照)を通すことにより、第2固定部材85を第1検出部収容部材74に固定することができる。
【0075】
また、図13に示すように、第1固定部材82には、貫通孔98が形成され、第2固定部材85には、貫通孔99が形成され、貫通孔98,99にネジ等(図示せず)を通すことにより、第1固定部材82および第2固定部材85を互いに固定することができる。
【0076】
正極用モジュール端子90は、図1に示すように、例えば、積層された蓄電セル10のうち、最も上方に配置された蓄電セル10の正極端子16aと電気的に接続されている。正極用モジュール端子90の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、およびこれらにニッケルめっきや金めっきを施した金属が挙げられる。正極用モジュール端子90は、蓄電モジュール100としての正極となることができる。
【0077】
負極用モジュール端子92は、例えば、積層された蓄電セル10のうち、最も下方に配置された負極端子16bと電気的に接続されている。負極用モジュール端子92の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、およびこれらにニッケルめっきや金めっきを施した金属が挙げられる。負極用モジュール端子92は、蓄電モジュール100としての負極となることができる。
【0078】
なお、図示の例では、上方に配置されたモジュール端子を正極用モジュール端子90とし、下方に配置されたモジュール端子を負極用モジュール端子92としたが、下方に配置されたモジュール端子を正極用モジュール端子とし、上方に配置されたモジュール端子を負極用モジュール端子としてもよい。
【0079】
本実施形態に係る蓄電モジュール100は、例えば、ハイブリッドカーや、電気自動車、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の車載用途、レントゲン、家庭用電源、風力発電装置等の静置用途などに、適用することができる。
【0080】
本実施形態に係る蓄電モジュール100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0081】
蓄電モジュール100によれば、バスバー40に固定された導電部材50は、配線基板60に形成されたパッド部62と接触している。パッド部62は、配線基板60に形成された配線部64を介して、検出部70と電気的に接続されている。これにより、検出部70は、蓄電セル10の電極端子16(16a,16b)と電気的に接続されることができる。このように、蓄電モジュール100では、ワイヤーハーネスを用いることなく、簡易に電極端子16と検出部70とを電気的に接続することができる。より具体的には、配線基板60を、スリット部36に沿って蓄電セル10の積層方向(Z軸方向)に移動させることにより、複数の電極端子16を、一括にパッド部62に接触させることができる。
【0082】
さらに、ワイヤーハーネスは、例えば、電線部が断線したり、電線部を被覆する絶縁部が剥離したりすることがあるが、蓄電モジュール100では、ワイヤーハーネスを用いていないので、このような問題を回避することができ、高い信頼性を有することができる。
【0083】
さらに、ワイヤーハーネスは、引き回しのため空間が必要となるが、蓄電モジュール100では、ワイヤーハーネスを用いていないので、その分、コンパクト化を図ることができる。そのため、蓄電モジュール100では、エネルギー密度を向上させることができる。
【0084】
蓄電モジュール100によれば、導電部材50は、弾性部材であることができる。そのため、導電部材50とパッド部62との接触圧力を大きくすることができ、導電部材50とパッド部62との接触抵抗が変化することを抑制できる。さらに、導電部材50とパッド部62との確実な電気的接続を、確保することができる。例えば、検出部70は、蓄電セル10の出力電圧を数ミリボルト程度まで検出する必要があるが、導電部材とパッド部との接触圧力が小さいと接触抵抗が変化する場合があり、確実に出力電圧を検出できない場合がある。
【0085】
蓄電モジュール100によれば、導電部材50は、バスバー40に接続された第1部分51と、パッド部62と接触している第2部分57と、を有し、第2部分57は、第1部分51に近づくにつれて幅(Z軸方向の長さ)が広くなるテーパー状であることができる。そのため、蓄電セル10を複数積層させた後、セパレータ20のスリット部36に沿って、配線基板60をZ軸方向に移動させる際に、滑らかに配線基板60を移動させることができる。例えば、テーパー形状を有しない導電部材では、配線基板を移動させる際に、配線基板が導電部材に引っ掛かり、滑らかに移動させることができない場合がある。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、例えば、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0087】
10 蓄電セル、12 外装体、13 外装缶、14 封口板、16 電極端子、
16a 正極端子、16b 負極端子、18 安全弁、19 ナット、
20 セパレータ、22 セル支持部、24 凸部、26 凹部、28 突出部、
30 側壁部、31 第1側壁部、32 第2側壁部、33 第3側壁部、
34 第4側壁部、35 開口部、36 スリット部、37 切り欠き部、
38 貫通孔、40 バスバー、42 端子接続部、42a 正極端子接続部、
42b 負極端子接続部、43 第1貫通孔、44 第2貫通孔、
46 導電部材接続部、47 第3貫通孔、50 導電部材、51 第1部分、
52 固定部、53 支持部、54 貫通孔、55 スリット、56 接合部、
57 第2部分、60 配線基板、61 対向面、62 パッド部、64 配線部、
66 コネクター部、70 検出部、71 回路基板、72 コネクター接続部、
74 第1検出部収容部材、76 第2検出部収容部材、77 貫通孔、78 ネジ、
80 ベース部材、81 セル固定部材、82 第1固定部材、83 スリット、
84 貫通孔、85 第2固定部材、86 突出部、88 貫通孔、89 ネジ、
90 正極用モジュール端子、92 負極用モジュール端子、98 貫通孔、
99 貫通孔、100 蓄電モジュール、150 導電部材、151 第1部分、
155 スリット、157 第2部分、158 第3部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する蓄電セルが複数積層された蓄電モジュールであって、
複数の前記電極端子を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに固定された導電部材と、
複数の前記蓄電セルの電圧を検出する検出部と、
前記検出部と電気的に接続された配線部、および前記配線部と接続されたパッド部が形成された配線基板と、
を含み、
前記導電部材は、前記パッド部と接触している、蓄電モジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記導電部材は、弾性部材である、蓄電モジュール。
【請求項3】
請求項2において、
前記導電部材は、
前記バスバーに接続された第1部分と、
前記第1部分に支持され、前記パッド部と接触している第2部分と、
を有し、
前記第2部分は、前記第1部分に近づくにつれて幅が広くなるテーパー状である、蓄電モジュール。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記バスバーは、複数の前記電極端子を直列に接続している、蓄電モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられたセパレータを、さらに含む、蓄電モジュール。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記配線基板は、複数の前記蓄電セルの積層方向に延在している、蓄電モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記蓄電セルは、リチウムイオンキャパシタである、蓄電モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−230963(P2012−230963A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97079(P2011−97079)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(307037543)JMエナジー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】