説明

蓄電素子及びその製造方法

【課題】面積の小さい電極の端子用リードタブと面積の大きい電極との間に発生する短絡の発生率が少なく、体積容量密度の高い蓄電素子を提供する。
【解決手段】正極形成面6aの側辺部6c,6dのうち耳部6bが形成された側辺部6cと該側辺部に平行な負極形成面7aの側辺部7c,7dのうち側辺部6cと正極端子用リードタブ8との間に位置する側辺部7cとのずれ量αを0mm以上3mm以下、正極端子用リードタブ8の一端部から耳部6bが形成された正極形成面6aの側辺部6cと正極端子用リードタブ8との間に位置する負極形成面7aの側辺部7cまでの最短距離Xを0.5mm以上5.0mm以下、負極端子用リードタブ9の一端部から耳部7bが形成された負極形成面7aの側辺部7cと負極端子用リードタブ9との間に位置する正極形成面6aの側辺部6cまでの最短距離Yを0.5+αmm以上5.0+αmm以下とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば深夜電力貯蔵システムや分散型蓄電システム、電気自動車用蓄電システムなどに用いられる蓄電素子とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全および省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵システム、太陽光や風力などの自然エネルギー発電技術に基づく分散型蓄電システム、電気自動車用蓄電システムなどが注目を集めており、これらの蓄電システムには、蓄電素子として、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池に代表される高エネルギー密度を特徴とする電池、あるいは電気二重層キャパシタに代表される高出力密度、高耐久性を特徴とするキャパシタが使用されている。
【0003】
ハイブリッド電気自動車に使用されているニッケル水素二次電池は電気二重層キャパシタと同等の高出力が得られ、160Wh/l程度のエネルギー密度を有しているが、そのエネルギー密度や出力をより一層高め、かつ高温での安定性をさらに改善して耐久性を高めるための研究が現在も精力的に進められている。
また、リチウムイオン二次電池についても高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(素子の放電容量の何%を放電した状態かを表わす値)50%の出力が3kW/lを超えるリチウムイオン二次電池が開発されているが、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度は100Wh/l以下であり、リチウムイオン二次電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっているため、電気二重層キャパシタに比べて耐久性(サイクル特性、高温保存特性)が劣り、実用的な耐久性を持たせるためには、放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲でしか使用できないため、実際に使用できる容量はさらに小さくなる。このため、リチウムイオン二次電池の耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
【0004】
一方、高出力の蓄電デバイスとしては、電極に活性炭を用いた電気二重層キャパシタが開発されている。この電気二重層キャパシタは耐久性(サイクル性、高温保存特性)が高く、0.5〜1kW/l程度の出力特性を有していることから、高出力が要求される分野で最適のデバイスとして考えられていたが、そのエネルギー密度は1〜5kW/l程度に過ぎないため、イオン性液体を電解液に使用するなどの工夫により耐電性を向上させてエネルギー密度を増加させる研究が行われている。
【0005】
上記のように、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池などの電池では出力密度、耐久性の向上を目指した研究が行われ、電気二重層キャパシタなどのキャパシタではエネルギー密度の向上を目指した研究が行われているが、近年では、電気二重層キャパシタと同等の耐久性を持ちながらエネルギー密度および出力密度が電気二重層キャパシタよりも高い蓄電素子として、電解液にリチウム塩を含む非水系電解液を用いて高耐電圧を向上させた非水系リチウム型蓄電素子も提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
これらの蓄電素子は金属箔からなる集電体に活物質を塗布した複数の正極と負極を、金属箔と樹脂フィルムを積層してなるラミネートフィルムまたは金属缶からなる外装体内に収容し、さらに外装体の中に電解液を注入して製造され、上記外装体が金属缶からなるものとしては、電極の対向面積を増やし、高容量かつ高出力を得るために、正極と負極及びこれらの電極間に介在するセパレータを捲回して形成された電極捲回体を電解液と共に外装体内に収容した構造のものが提案されている。
【0007】
一方、外装体がラミネートフィルムからなる薄型パッケージの蓄電素子としては、正極と負極および該電極を分離するセパレータを積層して形成された電極積層体を電解液と共に外装体内に収容し、電極積層体の正極に接続された正極端子用リードタブと電極積層体の負極に接続された負極端子用リードタブとを外装体のヒートシール封口部から外装体外部に引き出した構造のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−229926号公報
【特許文献2】特開2003−346801号公報
【特許文献3】特開2006−252802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、外装体が上述のラミネートフィルムからなる蓄電素子を試作し、短絡が発生する各種の原因を検討した。その結果、正極と負極の面積が異なる電極積層体内において、面積の大きい電極の端子用リードタブ側辺と面積の小さい電極の端子用リードタブ側辺間の短絡が一因となっていることを見出した。
本発明の目的は、外装体が上述のラミネートフィルムからなる蓄電素子において、面積の小さい電極の端子用リードタブと面積の大きい電極との間に発生する短絡の発生率が少なく、体積容量密度の高い蓄電素子とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決するために検討した結果、端子用リードタブと電極積層体内の電極との最短距離を規定することで前記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明に係る蓄電素子は、ラミネートフィルムからなる外装体と、該外装体内に電解液と共に収容された電極積層体とを備え、前記電極積層体が前記外装体のヒートシール封口部から外装体外部に引き出された第1の電極端子用リードタブと第2の電極端子用リードタブとを有し、前記電極積層体の一方の電極が方形状に形成された第1の電極形成面と該第1の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第1の電極形成板から形成されているとともに、前記電極積層体の他方の電極が前記第1の電極形成面より大きい面積で方形状に形成された第2の電極形成面と該第2の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第2の電極形成板から形成され、前記第1の電極端子用リードタブの一端部が前記第1の電極形成板の耳部に接続されているとともに、前記第2の電極端子用リードタブの一端部が前記第2の電極形成板の耳部に接続されている蓄電素子であって、前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された側辺部と該側辺部に平行な第2の電極形成面の二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する側辺部とのずれ量をα、前記第1の電極形成板の耳部に接続された第1の電極端子用リードタブの一端部から前記第2の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する第2の電極形成面の側辺部までの最短距離をX、前記第2の電極形成板の耳部に接続された第2の電極端子用リードタブの一端部から前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第2の電極形成面の側辺部と前記第2の電極端子用リードタブとの間に位置する第1の電極形成面の側辺部までの最短距離をYとしたとき、αが0mm以上3mm以下、Xが0.5mm以上5.0mm以下、Yが0.5+αmm以上5.0+αmm以下であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る蓄電素子の製造方法は、ラミネートフィルムからなる外装体と、該外装体内に電解液と共に収容された電極積層体とを備え、前記電極積層体が前記外装体のヒートシール封口部から外装体外部に引き出された第1の電極端子用リードタブと第2の電極端子用リードタブとを有し、前記電極積層体の一方の電極が方形状に形成された第1の電極形成面と該第1の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第1の電極形成板から形成されているとともに、前記電極積層体の他方の電極が前記第1の電極形成面より大きい面積で方形状に形成された第2の電極形成面と該第2の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第2の電極形成板から形成され、前記第1の電極端子用リードタブの一端部が前記第1の電極形成板の耳部に接続されているとともに、前記第2の電極端子用リードタブの一端部が前記第2の電極形成板の耳部に接続されている蓄電素子を製造する方法であって、前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された側辺部と該側辺部に平行な第2の電極形成面の二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する側辺部とのずれ量をαとしたとき、αが0mm以上3mm以下となるように前記電極積層体を形成する電極積層体形成工程と、前記第1の電極形成板の耳部に接続される第1の電極端子用リードタブの一端部から前記第2の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する第2の電極形成面の側辺部までの最短距離をX、前記第2の電極形成板の耳部に接続される第2の電極端子用リードタブの一端部から前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第2の電極形成面の側辺部と前記第2の電極端子用リードタブとの間に位置する第1の電極形成面の側辺部までの最短距離をYとしたとき、Xが0.5mm以上5.0mm以下となるように前記第1の電極端子用リードタブの一端部を前記第1の電極形成板の耳部に接続すると共にYが0.5+αmm以上5.0+αmm以下となるように前記第2の電極端子用リードタブの一端部を前記第2の電極形成板の耳部に接続するリードタブ接続工程と、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、第1の電極形成板の耳部に接続された第1の電極端子用リードタブの一端部から第2の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と第1の電極端子用リードタブとの間に位置する第2の電極形成面の側辺部までの最短距離XがX<0.5mmのものと比較して、第1の電極形成板により形成される電極と第2の電極端子用リードタブとの間に発生する短絡の発生率を低減することができる。
また、第1の電極形成板の耳部に接続された第1の電極端子用リードタブの一端部から第2の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と第1の電極端子用リードタブとの間に位置する第2の電極形成面の側辺部までの最短距離XがX>5.0mmのものと比較して、体積容量密度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係る蓄電素子を模式的に示す図であり、図1に示される蓄電素子1は、外装体2と、この外装体2内に電解液(図示せず)と共に収容された電極積層体3とを備えている。
外装体2はラミネートフィルムからなり、ラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムを積層して形成されたものを用いることができ、特に、金属箔の外側と内側に樹脂フィルムを有する三層構造のものを用いることが好ましい。ここで、金属箔は水分やガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等などからなるものを好適に用いることができる。
【0013】
一方、金属箔の外側に形成される樹脂フィルムは接触などにより金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロンやポリエステル等からなるものを好適に用いることができる。また、金属箔の内側に形成される樹脂フィルムは外装体内に注入される電解液から金属箔を保護すると共にヒートシール時に溶融して外装体を封口させるためのものであり、ポリオレフィンや酸変成ポリオレフィン等からなるものを好適に用いることができる。
【0014】
電極積層体3は、複数の正極4と負極5とを有している。これらの電極4,5は間にセパレータ(図示せず)を介在させて積層されており、正極4は方形状に形成された正極形成面6aと、この正極形成面6aの一側辺部に形成された耳部6bとを有する第1の電極形成板6から形成されている。
一方、負極5は第2の電極形成板7から形成され、この第2の電極形成板7は第1の電極形成板6の正極形成面6aより大きい面積で方形状に形成された負極形成面7aと、この負極形成面7aの一側辺部に形成された耳部7bとを有している。
【0015】
電極積層体3のセパレータ(図示せず)としては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製もしくはポリプロピレン製の微多孔膜、または電気二重層コンデンサで用いられるセルロース製の不繊紙などを用いることができる。また、内部のマイクロショートによる自己放電を小さくするという観点から厚みが10μm以上のセパレータを用いることが好ましく、蓄電素子のエネルギー密度の減少を抑えながら出力特性の低下も抑えるという観点からは50μm以下の厚みを持つセパレータを用いることが好ましい。
【0016】
第1の電極形成板6としては、耳部6bを除いた部分に導電性炭素材からなる結着剤が塗布され、かつ結着剤の上に正極活物質層が形成された厚さ5〜100μm程度の金属箔(例えば、アルミニウム箔)を好適に用いることができる。
また、第2の電極形成板7としては、耳部7bを除いた部分に導電性炭素材からなる結着剤が塗布され、かつ結着剤の上に負極活物質層が形成された厚さ5〜100μm程度の金属箔(例えば、銅箔)を好適に用いることができる。
【0017】
ここで、上記正極活物質層を形成する正極活物質としては、活性炭などの多孔質炭素材料を好適に用いることができ、正極活物質として活性炭を用いる場合は、直径20〜500Åの細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.3<V1≦0.8、0.5≦V2≦1.0を満たす活性炭を正極活物質として用いることが蓄電素子のエネルギー密度、出力密度の観点から好ましい。
【0018】
また、平均細孔径(細孔径に対して該細孔径を有する全細孔の容積の和を細孔径の小さいものから順に積算したときに積算値が直径20Å未満のマイクロ孔、及び直径20Å以上500Å以下のメソ孔をあわせた合計細孔面積の50%となるときの細孔径)が20Å以上の活性炭を正極活物質として用いることが蓄電素子の出力を大きくする点から好ましく、揚力を大きくする点からは平均細孔径が25Å以下の活性炭を正極活物質として用いることが好ましい。さらに、BET比表面積に関しては、1500m2/g以上、2500m2/g以下の活性炭を用いることが好ましい。
【0019】
一方、上記負極活物質層を形成する負極活物質としては、特許文献2に開示されているような複合多孔性材料、具体的には、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔性材料を好適に用いることができ、複合多孔性材料を負極活物質として用いる場合は、直径20〜500Åの細孔に由来するメソ孔量をVml(cc/g)、直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)としたとき、0.01≦Vm1≦0.20、0.01≦Vm2≦0.40を満たすものを用いることが好ましい。
【0020】
ここで、複合多孔性材料は活性炭と炭素質材料前駆体とを共存させた状態で熱処理することにより得ることができ、この場合の活性炭としては、平均粒径が1〜500μm程度(より好ましくは1〜50μm)の活性炭粉末を用いることが好ましい。
また、得られる複合多孔性材料が所望の特性を発揮する限り、炭素質材料前駆体と共に熱処理される活性炭の原材料などに特に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系などの各種の原材料から得られた市販の活性炭を使用することができる。
【0021】
炭素質材料前駆体としては、活性炭の表面に炭素質材料を被着させることができる液体または溶剤に溶解可能な有機質材料、例えばピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークスあるいはフェノール樹脂などの合成樹脂などを用いることができ、これらの中でもピッチを用いることが製造コストの点から好ましい。
ピッチは大別して石油系ピッチと石炭系ピッチに分けられ、石油系ピッチとしては、例えば、原油の蒸留残渣、デカントオイルなどの流動性接触分解残渣、サークルクラッカーからのボトム油、ナフサクラッキングの際に得られるエチレンタールなどを挙げることができる。
【0022】
炭素質材料前駆体として上記ピッチを用いる場合は、ピッチを活性炭の表面で揮発もしくは熱分解させ、活性炭の表面で揮発もしくは熱分解したピッチ成分が活性炭の細孔内に入り込んで被着することにより複合多孔性材料が得られるが、この場合、ピッチを活性炭の表面で200〜500℃程度、好ましくは400℃以上の温度で熱分解させることにより、活性炭の細孔内に入り込んで被着したピッチ成分が炭素質材料となる反応が進行する。
【0023】
炭素質材料前駆体を活性炭と共存させた状態で熱処理するときのピーク温度は得られる複合多孔性材料の特性、熱反応パターン、熱反応雰囲気などにより適宜決定されるものであるが、400℃以上であることが好ましく、更に好ましくは450〜1000℃であり、特に500〜800℃程度のピーク温度であることが好ましい。
また、熱処理時のピーク温度を維持する時間は30分から10時間であればよく、好ましくは1時間から7時間、更に好ましくは2時間から5時間である。500〜800℃程度のピーク温度で2時間から5時間熱処理する場合、活性炭表面に被着している炭素質材料は多環芳香族系炭化水素になっているものと考えられる。
【0024】
電極積層体3と共に外装体2内に収容される電解液としては、電解質と溶媒を含む電解液を用いることができ、電解液のかわりに固体電解質を使用することも可能である。
電解液の溶媒としては、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)に代表される環状炭酸エステル、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(MEC)に代表される鎖状炭酸エステル、γ−プチロラクトン(γBL)などのラクトン類や、これらの非水系溶媒を混合したものを用いることができる。
【0025】
上記非水系溶媒に溶解する電解質としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO225)などのリチウム塩や、これらのリチウム塩を混合した混合塩を用いることができる。
電解液中の電解質濃度は、陰イオンの不足を避け、蓄電素子の容量を最大にする点から、0.5mol/l以上であることが好ましい。また、未溶解の塩が電解液中に析出することを抑え、電解液の粘度が高くなりすぎたりしないようにし、伝導度を上げて出力特性を上げるという点から電解液中の電解質濃度を2.0mol/l以下にすることが好ましい。
【0026】
電極積層体3は、外装体2のヒートシール封口部(図示せず)から外装体外部に引き出された正極端子用リードタブ8と負極端子用リードタブ9とを有している。これらのリードタブ8,9のうち正極端子用リードタブ8は例えばアルミニウムから形成されており、この正極端子用リードタブ8の一端部は前述した第1の電極形成板6の耳部6bに超音波溶接、抵抗溶接、半田付け、銀ロウ接続などの方法によって接続されている。
一方、負極端子用リードタブ9は例えば銅またはニッケルから形成されており、この負極端子用リードタブ9の一端部は前述した第2の電極形成板7の耳部7bに超音波溶接、抵抗溶接、半田付け、銀ロウ接続などの方法によって接続されている。
【0027】
ここで、正極形成面6aの互いに平行な二つの側辺部6c,6dのうち耳部6bが形成された側辺部(例えば、側辺部6c)と該側辺部に平行な負極形成面7aの二つの側辺部7c,7dのうち耳部6bが形成された正極形成面6aの側辺部6cと正極端子用リードタブ8との間に位置する側辺部(例えば、側辺部7c)とのずれ量をα、第1の電極形成板6の耳部6bに接続された正極端子用リードタブ8の一端部から負極形成面7aの互いに平行な二つの側辺部7c,7dのうち耳部6bが形成された正極形成面6aの側辺部と正極端子用リードタブ8との間に位置する側辺部(例えば、側辺部7c)までの最短距離をX、第2の電極形成板7の耳部7bに接続された負極端子用リードタブ9の一端部から正極形成面6aの互いに平行な二つの側辺部6c,6dのうち耳部7bが形成された負極形成面7aの側辺部と負極端子用リードタブ9との間に位置する側辺部(例えば、側辺部6c)までの最短距離をYとすると、ずれ量αが0mm以上3mm以下、最短距離Xが0.5mm以上5.0mm以下(好ましくは0.7mm以上4.0mm以下、より好ましくは0.9mm以上3.0mm以下)、最短距離Yが0.5+αmm以上5.0+αmm以下(好ましくは0.7+αmm以上4.0+αmm以下、より好ましくは0.9+αmm以上3.0+αmm以下)となっている。
【0028】
図2は本発明の第2の実施形態に係る蓄電素子を模式的に示す図であり、図2に示される蓄電素子1が第1の実施形態に係る蓄電素子と異なる点は、外装体2が二つのヒートシール封口部を有し、これらのヒートシール封口部のうち一方のヒートシール封口部から正極端子用リードタブ8を外装体外部に引き出し、他方のヒートシール封口部から負極端子用リードタブ9を外装体外部に引き出した点である。
【0029】
次に、図1及び図2に示した蓄電素子1の製造方法について説明する。
蓄電素子1の電極積層体3は、以下の工程を含んで作製される。すなわち、表面に導電性炭素材が結着された集電体の両面または片面に活物質層を塗布して電極を形成する塗布工程と、電極を定められた寸法形状に切断する加工工程と、電極をセパレータを介して複数積層して電極積層体とする積層工程とを含む。
【0030】
これらの工程のうち上記塗布工程は、まず、正極活物質または負極活物質を、必要に応じて、微粒子黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維などの導電材と混合し、結着剤である樹脂の有機溶剤溶液と混合することでペーストを得る。次に、得られたペーストを集電体上に塗布し、乾燥させることによって活物質層を形成する。ここで、活物質層は必要に応じて集電体の片面または両面に形成することができ、活物質層の片面分の乾燥後の厚みは10〜200μmの範囲であることが好ましい。電極の厚みを均一にするため、必要に応じてプレスしても良い。得られた電極は乾燥後、定められた寸法に打ち抜く加工を行う。
打ち抜かれた電極は、耳部のついた略四辺形形状を有し、耳部以外には活物質が塗布されている。耳部は前述したリードタブを接続するための接続部分に該当し、活物質は塗布されていない。
【0031】
次に、積層工程について説明する。
正極4と負極5との間にセパレータを挟み、位置合せをしながら必要に応じた層数の正極4と負極5を積層する。ここで、セパレータは、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜、もしくはポリプロピレン製の微多孔膜、または電気二重層コンデンサで用いられるセルロース製の不繊紙などを用いることができる。セパレータの厚みは、内部のマイクロショートによる自己放電を小さくさせる点から10μm以上が好ましく、また蓄電素子のエネルギー密度の減少を抑えながら、かつ出力特性の低下も抑えるという点から、50μm以下が好ましい。
【0032】
本発明の製造方法により得られる蓄電素子に用いる負極中には、あらかじめリチウムをドープしておくことができる。リチウムをドープしておくことにより、素子の容量および作動電圧を制御することが可能である。リチウムのドープ法は、例えば、電極部以外に設置されたリチウム源と負極を短絡することによって、正極貫通孔、負極貫通孔を経由して積層または捲廻積層された負極郡の活物質層にドープする方法や、負極にリチウム箔を圧着することによって電気化学的に負極の活物質層にドープする方法を挙げることができる。
【0033】
間にセパレータを介在させて正極4と負極5を積層するときには、上記ずれ量αが0mm以上3mm以下となるように、正極4と負極5を積層して電極積層体3を作製する。次に、作製された電極積層体3の正極4に正極端子用リードタブ8を、上記Xが0.5mm以上5.0mm以下(好ましくは0.7mm以上4.0mm以下、より好ましくは0.9mm以上3.0mm以下)になるように接続する。同様にして、負極5に負極端子用リードタブ9を、上記Yが0.5+αmm以上5.0+αmm以下(好ましくは0.7+αmm以上4.0+αmm以下、より好ましくは0.9+αmm以上3.0+αmm以下)になるように接続する。
上記Xが0.5mm以上であれば蓄電素子を製造したときの短絡の発生率が低く、5.0mm以内であれば体積容量密度が高い。
【0034】
例示した非水系リチウム型蓄電素子の場合は、負極にリチウム箔を貼り付けて活物質に吸収させるために面積が大きいことが好ましいため、第1の電極形成板6により形成される電極は正極であることが好ましい。
上述の工程を経て製造された電極積層体中の、積層された全ての正極の耳部をまとめて正極リードタブに接続し、積層された全ての負極の耳部をまとめて負極リードタブに接続することでタブ付き積層体を得る。接続方法は超音波溶接、抵抗溶接または半田付けや銀ロウ接続が好ましい。
【0035】
正極リードタブの材料はアルミニウムが好ましく、負極リードタブの材料は銅またはニッケルが好ましい。また、リードタブのラミネートフィルム外装体のヒートシール封口部位に位置する部分には該ヒートシール封口部の樹脂と相溶する樹脂からなる接合部を設けてもよい。
タブ付き積層体は、ラミネートフィルムからなる外装体内に、正極に接続した正極リードタブの一端と負極に接続した負極リードタブの一端とを外装体の外側に引き出した状態で収容し、正極リードタブと負極リードタブとをヒートシールにより外装体に固定する。
次に、正極端子用リードタブと負極端子用リードタブとを接続した電極積層体をラミネートフィルムからなる外装体内に、正極端子用リードタブの他端と負極端子用リードタブの他端とが外装体外部に引き出された状態で収容する。
【0036】
ここで、ラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内層樹脂フィルムからなる三層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは接触などにより金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロンやポリエステル等の樹脂を好適に使用できる。金属箔は水分やガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などからなるものを好適に使用できる。内層樹脂フィルムは内部に収容する電解液から金属箔を保護すると共にヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィンが好適に使用できる。
次に、外装体内に電解液を注液し、外装体をヒートシールすることによって蓄電素子を製造することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例及び比較例を表1に基づいて説明する。
【0038】
【表1】

【0039】
<実施例1>
<電極の作製>
市販のピッチ系活性炭(BET比表面積1955m2/g)150gをステンレススティールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ300gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行った。熱処理は窒素雰囲気下で、670℃まで4時間で昇温し、同温度で4時間保持し、続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、炉から取り出した。得られた複合多孔性材料はBET比表面積245m2/gであった。
【0040】
次いで、上記で得た複合多孔性材料83.4重量部、アセチレンブラック8.3重量部およびPVdF(ポリフッ化ビニリデン)8.3重量部とNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスして、厚さ約135μmの負極5(第2の電極形成板7)を得た。
また、負極5の複合多孔性材料の原料と同一の市販のピッチ系活性炭81.6重量部、ケッチェンブラック6.1重量部およびPVdF12.3重量部とNMPを混合したものを、厚さ30μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、厚さ約270μmの正極4(第1の電極形成板6)を得た。
【0041】
<電極積層体の作製>
上記で得られた負極及び正極を用いて、タブ付き積層体の長辺、短辺それぞれの長さが120mm、70mmである電極積層体3を作製した。なお、この長辺、短辺の長さは負極由来のものであり、正極の長辺、短辺は118mm、68mmと負極の長辺、短辺よりも2mmずつ小さい。積層に少なく負極の中心と正極の中心が一致するように積層した。すなわち、正極の端子用リードタブ側辺と負極の端子用リードタブ側辺とのずれ量αはα=1.0mmである。
まず、負極の複合多孔性材料に接するように同面積で厚み20μmのリチウム金属を圧着し、正極と負極の間にポリエチレン製のセパレータ(厚み30μm)を挟み込んで正極7枚負極6枚を積層し、厚さ3.0mmの電極積層体3を作製した。
【0042】
<端子用リードタブの溶接>
上記の電極積層体において、図1に示すように、正極端子用リードタブ8の一端と負極5の最短距離(X)が0.5mm、負極端子用リードタブ9の一端と正極4の最短距離(Y)が1.5mmになるように端子用リードタブの溶接を行い、タブ付き積層体を作製した。
<非水電解液>
この電極積層体3をラミネートフィルム(外側より25μm厚のナイロンフィルム、40μm厚のアルミニウム箔、40μm厚のマレイン酸変成ポリプロピレンフィルムの三層構成)からなる外装体2内に入れ、EC(炭酸エチレン)とEMC(炭酸エチルメチル)を1:4の体積比率で混合した非水溶媒に1mol/Lの濃度でLiN(SO2252を溶解した非水電解液を注入して、ヒートシールにより密閉し、蓄電素子を作製した。
【0043】
<体積容量密度の算出>
作製した蓄電素子を、4Vまで最大電流5Aで10分充電し、ついで50Aの電流で2Vまで放電を行い、体積容量密度を算出した。5Aはこの素子の10C相当、50Aは100C相当の電流に相当する。なお、蓄電素子の外装体において、電極積層体やリードタブが入らずにヒートシールされている部分については、折り曲げることが可能であるので体積容量密度の算出時にはその影響を考える必要はない。
作製した蓄電素子の体積容量密度は16.0Wh/Lであった。
また、作製した蓄電素子を市販のテスターで抵抗値や電圧を測定し短絡を判断した。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は9個であり、短絡発生率は3%であった。
【0044】
<実施例2>
正極端子用リードタブ8の一端と負極5の最短距離(X)が0.7mm、負極端子用リードタブ9の一端と正極4の最短距離(Y)が1.7mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は16.0Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は4個であり、短絡発生率は1.3%であった。
【0045】
<実施例3>
正極端子用リードタブ8の一端と負極5の最短距離(X)が0.9mm、負極端子用リードタブ9の一端と正極4の最短距離(Y)が1.9mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は15.9Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は0個であり、短絡発生率は0%であった。
【0046】
<実施例4>
正極端子用リードタブ8の一端と負極5の最短距離(X)が3.5mm、負極端子用リードタブ9の一端と正極4の最短距離(Y)が4.5mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は15.3Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は0個であり、短絡発生率は0%であった。
【0047】
<実施例5>
正極端子用リードタブ8の一端と負極5の最短距離(X)が4.0mm、負極端子用リードタブ9の一端と正極4の最短距離(Y)が5.0mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は15.2Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は0個であり、短絡発生率は0%であった。
【0048】
<実施例6>
正極端子用リードタブ8の一端と負極5の最短距離(X)が5.0mm、負極端子用リードタブ9の一端と正極4の最短距離(Y)が6.0mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は15.0Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は0個であり、短絡発生率は0%であった。
【0049】
<比較例1>
正極端子用リードタブの一端と負極の最短距離(X)が0.4mm、負極端子用リードタブの一端と正極の最短距離(Y)が1.4mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は16.0Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は228個であり、短絡発生率は76%であった。
【0050】
<比較例2>
正極端子用リードタブの一端と負極の最短距離(X)が6.0mm、負極端子用リードタブの一端と正極の最短距離(Y)が7.0mmである以外は実施例1と同様にして蓄電素子を作製し、短絡の割合と体積容量密度を算出した。
作製した蓄電素子の体積容量密度は14.8Wh/Lであった。作製した300セル中の短絡した蓄電素子は0個であり、短絡発生率は0%であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の蓄電素子は、自動車において、内燃機関または燃料電池、モーター、及び蓄電素子を組み合せたハイブリット駆動システムの分野、OA機器、瞬時電圧降下対策、さらには瞬間電力ピークのアシスト用途などで好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る蓄電素子の第1の実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る蓄電素子の第2の実施形態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 蓄電素子
2 外装体
3 電極積層体
4 正極
5 負極
6 第1の電極形成板
6a 正極形成面(第1の電極形成面)
6b 耳部
6c,6d 正極形成面の側辺部
7 第2の電極形成板
7a 負極形成面(第2の電極形成面)
7b 耳部
7c,7d 負極形成面の側辺部
8 正極端子用リードタブ
9 負極端子用リードタブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートフィルムからなる外装体と、該外装体内に電解液と共に収容された電極積層体とを備え、
前記電極積層体が前記外装体のヒートシール封口部から外装体外部に引き出された第1の電極端子用リードタブと第2の電極端子用リードタブとを有し、
前記電極積層体の一方の電極が方形状に形成された第1の電極形成面と該第1の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第1の電極形成板から形成されているとともに、前記電極積層体の他方の電極が前記第1の電極形成面より大きい面積で方形状に形成された第2の電極形成面と該第2の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第2の電極形成板から形成され、
前記第1の電極端子用リードタブの一端部が前記第1の電極形成板の耳部に接続されているとともに、前記第2の電極端子用リードタブの一端部が前記第2の電極形成板の耳部に接続されている蓄電素子であって、
前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された側辺部と該側辺部に平行な第2の電極形成面の二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する側辺部とのずれ量をα、前記第1の電極形成板の耳部に接続された第1の電極端子用リードタブの一端部から前記第2の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する第2の電極形成面の側辺部までの最短距離をX、前記第2の電極形成板の耳部に接続された第2の電極端子用リードタブの一端部から前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第2の電極形成面の側辺部と前記第2の電極端子用リードタブとの間に位置する第1の電極形成面の側辺部までの最短距離をYとしたとき、αが0mm以上3mm以下、Xが0.5mm以上5.0mm以下、Yが0.5+αmm以上5.0+αmm以下であることを特徴とする蓄電素子。
【請求項2】
前記電極積層体の一方の電極が正極、前記電極積層体の他方の電極が負極、前記第1の電極端子用リードタブが正極端子用リードタブ、前記第2の電極端子用リードタブが負極端子用リードタブ、前記第1の電極形成面が正極形成面、前記第2の電極形成面が負極形成面であることを特徴とする請求項1記載の蓄電素子。
【請求項3】
ラミネートフィルムからなる外装体と、該外装体内に電解液と共に収容された電極積層体とを備え、前記電極積層体が前記外装体のヒートシール封口部から外装体外部に引き出された第1の電極端子用リードタブと第2の電極端子用リードタブとを有し、前記電極積層体の一方の電極が方形状に形成された第1の電極形成面と該第1の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第1の電極形成板から形成されているとともに、前記電極積層体の他方の電極が前記第1の電極形成面より大きい面積で方形状に形成された第2の電極形成面と該第2の電極形成面の一側辺部に形成された耳部とを有する第2の電極形成板から形成され、前記第1の電極端子用リードタブの一端部が前記第1の電極形成板の耳部に接続されているとともに、前記第2の電極端子用リードタブの一端部が前記第2の電極形成板の耳部に接続されている蓄電素子を製造する方法であって、
前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された側辺部と該側辺部に平行な第2の電極形成面の二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する側辺部とのずれ量をαとしたとき、αが0mm以上3mm以下となるように前記電極積層体を形成する電極積層体形成工程と、
前記第1の電極形成板の耳部に接続される第1の電極端子用リードタブの一端部から前記第2の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第1の電極形成面の側辺部と前記第1の電極端子用リードタブとの間に位置する第2の電極形成面の側辺部までの最短距離をX、前記第2の電極形成板の耳部に接続される第2の電極端子用リードタブの一端部から前記第1の電極形成面の互いに平行な二つの側辺部のうち前記耳部が形成された第2の電極形成面の側辺部と前記第2の電極端子用リードタブとの間に位置する第1の電極形成面の側辺部までの最短距離をYとしたとき、Xが0.5mm以上5.0mm以下となるように前記第1の電極端子用リードタブの一端部を前記第1の電極形成板の耳部に接続すると共にYが0.5+αmm以上5.0+αmm以下となるように前記第2の電極端子用リードタブの一端部を前記第2の電極形成板の耳部に接続するリードタブ接続工程と、
を含むことを特徴とする蓄電素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−80312(P2010−80312A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248471(P2008−248471)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】