説明

薄膜光学リターダ

【課題】斜め角度堆積を使用して、少なくとも1つの稠密構造複屈折層を有するAプレート光学リターダを提供する。
【解決手段】一実施形態によれば、稠密構造複屈折層は、LCD複屈折補償のための全誘電体完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダを提供するように、FBARスタックの一部として堆積される。完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダの稠密構造は、高度な耐久性および/または安定性を提供し、それにより、高光フラックス偏光ベース投影システムにおいて偏光補償を提供するのに十分適するものとなることが有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2005年12月6日に出願された米国仮出願60/742940からの優先権を主張する。
【0002】
マイクロフィッシュ・アペンディクス
利用可能ではない。
【0003】
本出願は、一般的には、偏光制御に関し、具体的には、偏光感応性光学システムにおいて複屈折を提供するための薄膜光学リターダに関する。
【背景技術】
【0004】
光学リターダは、光学リターダを通過する偏光の相対位相を変化させるために使用され、したがって、偏光に対する制御が必要とされる応用分野において使用されるのに十分に適している。光の偏光を制御するために、1/4および1/2波リターデーションを誘起することに加えて、光学リターダは、システムの他の光学構成要素について偏光補償を提供するためにも使用される。たとえば、光学リターダ補償器が、システムの他の光学構成要素によって導入される偏光の2つの成分間の位相差を補正する目的で、入射光において位相遅延を導入するために使用される。
【0005】
光学リターダの1つの特に重要な応用分野は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルについて偏光補償を提供することであり、この場合、液晶セルの残留複屈折により、線形偏光はわずかに楕円になり、光学リターダは、液晶セルの複屈折と呼応して線形偏光を維持する。トリム・リターダ補償器としばしば呼ばれるこれらの補償器は、多くのLCDシステムにおいてシステム・コントラストを向上させることが示されている。
【0006】
たとえば、図1に示された3パネルWGPベースLCoSマイクロディスプレイ投影システムについて考察する。マイクロディスプレイ・システムは、たとえば高圧放電灯である光源5、および光ロッド7を含む。光ロッド7は、空間的に一様な光分布を保証するために、光源5によって生成された光円錐を均質化する。任意選択で、光ロッド7は、線形偏光を生成するための偏光変換光パイプ(PCLP)である。第1レンズ8aが、光パイプ7からの光を第1折曲げミラー9に進行させ、折曲げミラー9は、光を第1二色フィルタ10に向ける。二色フィルタ10は、残りの光から青色の光を分離し、第2レンズ8bおよび第3レンズ8cならびに第2折曲げミラー17および第3折曲げミラー16を介して第1LCoSディスプレイ・パネル20aに青色の光を向ける。二色フィルタ10を透過する残りの光は、第4レンズ8dおよび第5レンズ8eならびに第4折曲げミラー11を介して第2二色フィルタ12に向けられる。第2二色フィルタ12は、残りの光を緑色と赤色の光に分離し、緑色の光は、第2LCoSディスプレイ・パネル20bに向けられ、赤色の光は、第3LCoSディスプレイ・パネル20cに進む。この場合、各LCoSディスプレイ・パネル20a、20b、および20cは、垂直配向ネマチック(VAN)モード・マイクロディスプレイである。
【0007】
各LCoSディスプレイ・パネル20a、20b、および20cに到達する前に、入射光は、まず、WGP15、14、および13、ならびにトリム・リターダ補償器21a、21b、および21cをそれぞれ通過する。各WGP15、14、および13は、平行マイクロワイヤの方向に直交する偏光を有する光を透過させ、ワイヤの方向に平行な偏光を有する光を反射する複数の平行マイクロワイヤから形成される偏光子/検光子である(たとえば、偏光子が、図1に示されるように、水平またはP偏光の光を通過させるように設計される場合、マイクロワイヤは、図1の面に垂直である)。各LCoSパネル20a、20b、および20cは、線形偏光入射光の偏光を画素ごとに変化させ、変調された光を対応するWGP15、14、および13に後方反射する。各WGP15、14、および13は、光伝播の主方向に対して約±45°に配向されているので、偏光子/検光子として作用することに加えて、各WGP15、13、および14は、各LCoSパネルから反射された光を入射光路に直交する出力光路に沿って向ける、または偏向させることによって、入射光を外出光から分離するビーム・スプリッタとしても作用する。より具体的には、各WGP15、14、および13は、S偏光(たとえば、ON状態において画素によって90°だけ回転された偏光)をXキューブ19に反射する。Xキューブ19は、3つの色チャネルのそれぞれから像を収集し(すなわち、収束させ)、投影レンズ18を介して、最終的な像を大規模スクリーン(図示せず)の上に投影する。任意選択で、各色チャネルは、前偏光子(図示せず)および/またはクリーンアップ検光子(図示せず)をさらに含み、たとえば、1つまたは複数のWGPおよび/または二色シート偏光子を含むことが可能である。
【0008】
トリム・リターダ補償器21a、21b、および21c(本明細書では単にトリム・リターダと呼ばれる)は、マイクロディスプレイ・システムのコントラスト性能レベルを向上させるために使用される補償要素であり、コントラスト性能レベルは、そうでない場合にはダーク(たとえば、オフ)状態におけるLCoSパネルの残留複屈折によって限定される。具体的には、各トリム・リターダ21a、21b、および21cは、対応するLCoSパネルの固有複屈折の結果であるリターダンスを消去する位相リターダンスを導入する。本明細書において使用される「リターダンス」または「リターデーション」という用語は、特に断りのない限り、円形リターダンスの大きさとは対照的に、線形リターダンスの大きさを指す。線形リターダンスは、2つの直交する屈折率の差に光学要素の厚さをかけたものである。線形リターダンスにより、2つの直交線形偏光間に位相差が生じ、一方の偏光は、線形リターダの異常軸に平行に位置合わせされ、他方の偏光は、線形リターダの正常軸に平行に位置合わせされる。対照的に、円形リターダンスにより、右手円偏光と左手円偏光との間に相対位相差が生じる。
【0009】
線形リターダンスは、面内リターダンスまたは面外リターダンスとして述べることが可能である。光路長差として表される面内リターダンスは、2つの直交面内屈折率の差に光学要素の物理的な厚さをかけたものを指す。面外リターダンスは、光学要素の厚さの方向(z方向)に沿った屈折率と1つの面内屈折率(または面内屈折率の平均)との差に光学要素の物理的な厚さをかけたものを指す。円錐束の垂直入射光線は、面内リターダンスのみを認識するが、斜め光線(すなわち、垂直ではないが、主SおよびP平面に沿う)およびスキュー光線(すなわち、垂直ではなく、主SおよびP平面から離れて入射する)を含む軸外光線は、面外リターダンスおよび面内リターダンスの両方を経験する。面内リターダンスは、複屈折媒体において自明の90°光線角度の場合には観測されないことに留意されたい。
【0010】
トリム・リターダ21a〜cがない場合、ダーク(オフ)状態において各マイクロディスプレイ・パネルを照明するP偏光の偏光は、LCoSパネル20a〜cの残留複屈折のために反射の際にわずかに楕円に偏光される。P成分およびS成分の両方を含む楕円偏光が、対応するWGP15、14、および13に透過するとき、S成分はXキューブに反射され、それにより、ダーク状態の光が大規模スクリーンの上に漏れる可能性があり、投影システムのコントラストを限定する。
【0011】
トリム・リターダ21a〜cの使用は、LCoSパネル20a〜cの残留複屈折の結果であるリターダンスを補償する面内リターダンスを提供することによってコントラスト・レベルを向上させる。より具体的には、トリム・リターダ21a〜cは、その遅軸がLCoSパネル20a〜cの遅軸(「交差軸」と呼ばれる)に対して直交方位角配向において構成され、一方、速軸がLCoSパネル20a〜cの速軸に対して直交方位角配向において構成されるように配向される。本明細書で使用される遅軸(SA)および速軸(FA)という用語は、線形リターダンスが垂直入射において測定されるときの2つの直交複屈折軸を指す。SAおよびFAの位置は、軸外照明と共に変化し、ならびに、大きな入射角度における負の面外リターダンス成分についてSA/FAの役割を反対にすることにより変化することに留意されたい。
【0012】
トリム・リターダ21a〜cおよびLCoSパネル20a〜cの遅軸は、直交方位角配向において構成されるので、速軸/遅軸の役割は、垂直入射光についてトリム・リターダ21a〜cからLCoSパネル20a〜cに切り替えられる。すなわち、特定の偏光を有する光は、トリム・リターダ21a〜cおよびLCoSパネル20a〜cにおいて、それぞれより多く次いでより少なく、またはその反対に交互に遅延される。正味の効果は、入射偏光についてゼロ相対遅延であり、その結果、無偏光である(すなわち、出力光は楕円偏光ではない)。次いで、対応するWGP15、14、13および/または光学クリーンアップ偏光子は、ダーク状態パネル漏れがスクリーン上に出現しないように、出力光を拒否する。トリム・リターダ21a〜cは、パネル・オン状態のスループットを著しくは変化させないので、結果的な順次コントラスト(フルおよび/またはフル・オフ)は優れている。
【0013】
各トリム・リターダ21a〜cの動作原理は、単一チャネル光エンジンのコア光学機器に関して、図2においてさらに示されている。これらのコア光学機器は、前偏光子30、WGP31、トリム・リターダ32、VANモードLCoSパネル33、およびクリーンアップ偏光子(図示せず)を含む。動作時、先行ステージ照明(図示せず)から出力された無偏光または部分偏光が、P偏光を得るように前偏光子30を通過する。光は、WGP31を透過し、偏光消光比は改善される。トリム・リターダ32は、入射P偏光ビームを事前調整し、楕円出力を創出する。理想的には、ダーク(オフ)状態にあるLCoSパネル33に入射する偏光の楕円率は、残留パネル・リターダンスによって無効になる。したがって、反射光は、VAN−LCoSパネル33およびトリム・リターダ32を通る2重パスを完了した後、依然としてP偏光である。WGP31によって透過された残りのP偏向成分は、照明システムに再び注入され、最終的には失われる。
【0014】
上記で議論されたように、トリム・リターダ32は、オフ状態において対応するLCoSパネル33の面内リターダンスと整合する面内リターダンスを提供することが理想的である。しかし、実際には、LCoSパネル33およびトリム・リターダ32の両方の面内リターダンスは、デバイスの厚さの製造公差および材料の複屈折制御、ならびに動作ドリフト(温度、機械応力など)のために、各成分内において変化する傾向がある。その結果、十分な補償を保証するために、トリム・リターダ32において、LCoSパネル33によって呈示されるものより高い面内リターダンスを提供することが一般的である。たとえば、10nmの面内リターダンス(λ=550nmにおける)を有するトリム・リターダが、2nmの面内リターダンス(λ=550nmにおける)を示すVANモードLCoSを補償するためにしばしば提供される。当業者には既知であるように、面内値のこの不整合は、通常、上述された公称交差軸構成に対して、トリム・リターダ32の光学軸をずらすことを必要とする。すなわち、トリム・リターダは、交差軸構成から離れるように方位角配向を回転させることによってクロックインされる。
【0015】
面内リターダンスを提供することに加えて、トリム・リターダ32は、視野を増大させるために面外リターダンスを提供することも一般的である。より具体的には、トリム・リターダは、面内リターダンスを補償するためのAプレート補償成分、および面外リターダンスを補償するための負の複屈折を示す−Cプレート補償成分の両方を含むことが一般的である。任意選択で、これらの完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダは、Oプレート成分をも含む。Aプレートは、プレートの平面に平行に配向された異常軸を有する複屈折光学要素である。Cプレートは、プレートの平面に垂直(すなわち、垂直入射光の方向に平行)に配向された異常軸を有する複屈折光学要素である。Oプレートは、プレートの平面に対して斜めの角度に配向された異常軸(すなわち、光学軸またはc軸)を有する複屈折光学要素である。
【0016】
従来、トリム・リターダは、反射防止(AR)コーティング・ガラス基板の上に積層化された伸張ポリマーから製作された。より具体的には、伸張されていないz方向に沿ってより、力の方向(たとえば、XY平面において)に沿って高い屈折率を提供する2軸伸張ポリマー膜が、完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダを提供するために使用される(すなわち、一般に負の2軸フォイルが得られる)。残念ながら、伸張ポリマー膜は、リターダンスの一様性の欠如および環境信頼性の問題ために、多くの偏光ベース投影システムについて理想的ではない。たとえば、環境信頼性に関して、多くのマイクロディスプレイ投影応用分野において提供される高温および高光フラックスの環境は、時間の経過に伴い伸張ポリマーを弛緩させ、したがって複屈折を失う傾向がある。
【0017】
一様性および信頼性の問題を回避するために、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第20050128391は、透明基板の上において液晶ポリマー(LCP)層および線形光重合(LPP)層をスピンコーティングすることによって製作されるAプレート・トリム・リターダを教示する。LCモノマーのディレクタは、LPP層によって配向され、次いで、固体膜状の剛性および信頼性のためにポリマー・ホストに架橋される。適切な−Cプレート成分が欠如していることは、誘電体薄膜構造複屈折(form−birefringent)(FB)スタックをARコーティング設計に導入する(FBAR)ことで回避される。この完全機能A/−Cプレート・リターダは、VANモードLCoSディスプレイ・システムの像コントラストを数百対1から数千対1に向上させることが示されているが、高光フラックス・プロジェクタの応用分野では、有機層の使用を低減することが望ましい。
【0018】
実際、ラミネーション・エポキシを含めて、任意の有機材料が存在することは、一般に信頼性の問題源である。全無機トリム・リターダを準備する1つの手法は、複屈折結晶を使用することである。複屈折結晶はより堅牢および/またはより安定であるが、結晶プレートを成長させて研磨するコストは、特に約1インチ以上の対角線を有するミクロディスプレイでは、膨大である可能性がある。その結果、無機薄膜および/または誘電体薄膜から製作されたトリム・リターダの関心が増している。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる2006年11月1日に出願された米国仮出願11/591623において、Tanらは、Aプレート・リターダンスが横方向不均一1次元格子構造によって提供され、−Cプレート・リターダンスが、上記で議論された軸方向不均一1次元FBAR格子構造によって提供される完全機能全誘電体トリム・リターダを開示している。
【0019】
誘電体材料において構造複屈折を導入する他の方法は、斜め角度堆積を使用し、薄誘電体膜が、多孔性構造複屈折層を提供するために、ある角度において蒸着またはスパッタリングによって堆積される。より具体的には、図3に示されるように、この技法は、基板44の上において原子シャドーイング42を実施して、蒸気源に向かって成長する材料46の孤立柱状体を有する微細構造を提供するために、斜め入射蒸気フラックス40を使用する。薄膜の光学特性は、使用材料、微細構造の多孔性、および柱状体の配向に依存する。一般に、柱状体の配向は、入射蒸気フラックス角度θ(法線から測定された入射角度)に関係する。入射蒸気フラックス角度θは、0°と90°との間の任意の角度とすることが可能であるが、柱状微細構造の傾斜を最大にするために、高い入射角度(たとえば、75°を超える)を使用する傾向がある。
【0020】
たとえば、米国特許第5638197号において、Gunningらは、ねじれネマチック(TN)・タイプLCDにおいてグレイ・スケールの性能を向上させるための無機薄膜「Oプレート」補償器を開示している。最適な堆積角度θは、76°であると報告されている。
【0021】
米国特許第6097460号において、Shimizuらは、TNタイプLCDまたは超ねじれネマチック(STN)・タイプLCDの視角特性を向上させるために使用することができるTiOを含む位相リターダ膜を開示している。20nmから200nmにわたる必要なAプレート・リターデーション値を提供するために、入射蒸気フラックス角度は、50°から85°にわたる。
【0022】
米国特許第5866204号および第6248422号において、RobbieおよびBrettは、薄膜を斜め堆積する方法を記載しており、第1ステージにおいて、入射蒸気フラックス角度(法線から測定された入射角度)は、多孔性柱状微細構造を生成するために、通常は80°を超える値に固定され、第2ステージにおいて、入射蒸気フラックス角度は、稠密で一様なキャッピング層を提供するために、0°に近づく。
【0023】
米国特許第7079209号において、Nakagawaは、視角を増大させるための、および/またはTNタイプLCDベース投影システムのコントラスト比を向上させるためのリターデーション補償器を教示している。一実施形態によれば、リターデーション補償器は、米国特許第5638197号において記載されているように、斜め角度堆積によって形成されたロッド状柱状体のアレイを含む(たとえば、約76°の最適堆積角度で)。
【0024】
これらの参考文献は、斜め角度堆積による構造複屈折薄膜を提供するが、上述された多孔性微細構造は、投影システムには理想的ではない。たとえば、基板が堆積プロセス中に回転しないときなどのような多くの場合、層の厚さ、したがってリターデーションの一様性は、不十分である。すべての場合において、高多孔性により信頼性の問題が生じると予期される。具体的には、高多孔性微細構造は、映画プロジェクタなど、偏光ベース投影システムにおいて提供される高温および/または高光フラックスの環境において、支持基板から離層する可能性がある。また、多孔性膜は、湿気が複屈折層の中に進入し、それにより、湿度環境の変化に付随してリターデーション特性を変化させる可能性があることが予期される。
【0025】
さらに、多孔性微細構造によって提供される大きな面内複屈折により、これらの構造は、VANモード反射LCDシステム(たとえば、VANモードLCoS投影TV)に特に不適切になる。一般に、VANモード反射LCoSシステムのトリム・リターダは、後方反射を低減する、かつ/またはコントラスト最適化の角度調整を向上させるために、わずかに少量の面内複屈折を示すことが望ましい。たとえば、コントラスト最適化の角度調整の向上に関して、大きな面内リターダンス(たとえば、30nmを超える)を有するトリム・リターダは、通常、過度に鋭敏な調整曲線(すなわち、コントラスト・レベル対クロッキング角度)を示す。
【特許文献1】米国特許出願第20050128391
【特許文献2】米国特許第5638197号
【特許文献3】米国特許第6097460号
【特許文献4】米国特許第5866204号
【特許文献5】米国特許第6248422号
【特許文献6】米国特許第7079209号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、稠密構造複屈折層(dense, form−birefringent layer)を得るために斜め角度を使用する薄膜堆積プロセス中に導入される面内複屈折を有する光学リターダに関する。一実施形態によれば、稠密構造複屈折層は、完全機能(すなわち、Aプレート複屈折および−Cプレート複屈折の両方)を有する全誘電体トリム・リターダを提供するために、FBARスタックと共に堆積される。完全機能トリム・リターダの稠密構造は、高い耐久性および/または安定性を提供し、したがって、高光フラックス偏光ベース投影システムにおいて偏光制御を提供するのに十分適するものとなることが有利である。さらに、面内複屈折の大きさは、VANモードLCSマイクロディスプレイ応用分野を補償するのに適している。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の一態様によれば、斜め角度堆積を使用して形成される少なくとも1つの稠密構造複屈折層を備える光学リターダを提供するものであって、斜め角度および少なくとも1つの稠密構造複屈折層の全体の厚さは、偏光制御を提供するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される。
【0028】
本発明の他の態様によれば、斜め角度堆積を使用して少なくとも1つの稠密構造複屈折層を表面上に堆積させる光学リターダを製作する方法を提供するものであって、斜め角度および少なくとも1つの稠密構造複屈折層の全体の厚さは、偏光制御を提供するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される。
【0029】
本発明の他の態様によれば、光源と、光源からの光を受光し、第1線形偏光軸を有する第1線形偏光を透過させるための第1偏光子と、第1線形偏光を光学変調するための、残留複屈折を有する液晶ディスプレイ・パネルと、光学変調光を受光し、第2線形偏光軸を有する第2線形偏光を透過させるための第2偏光子と、第2線形偏光をスクリーン上に投影するための投影レンズと、液晶ディスプレイ・パネルの残留複屈折を補償するためのトリム・リターダとを備える液晶ディスプレイ・ベース投影システムを提供するものであって、トリム・リターダが斜め角度堆積を使用して形成された少なくとも1つの稠密構造複屈折層を備え、斜め角度および少なくとも1つの稠密構造複屈折層の全体の厚さは、液晶ディスプレイ・パネルの残留面内複屈折を補償するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される。
【0030】
本発明の他の態様によれば、斜め角度堆積を使用して形成された少なくとも1つの稠密構造複屈折層を提供することを備える、偏光制御を提供する方法が提供される。斜め角度および少なくとも1つの稠密構造複屈折層の全体の厚さは、偏光制御を提供するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される。
【0031】
以下において定義される用語について、これらの定義は、異なる定義が請求項または本明細書の他の箇所において与えられない限り、適用されるものである。
【0032】
「面内」という用語は、面内複屈折、面内リターダンス、面内リターダ軸など、デバイスの平面に平行であることを記述すること理解されたい。
【0033】
「面外」という用語は、面外複屈折、面外リターダンスなど、デバイスの法線に平行であることを記述することを理解されたい。
【0034】
「リターデーションまたはリターダンス」という用語は、2つの直交する屈折率の差に光学要素の厚さをかけたものを指すことを理解されたい。
【0035】
「面内リターデーション」という用語は、2つの直交する面内屈折率の差の積に光学要素の厚さをかけたものを指すことを理解されたい。
【0036】
「面外リターデーション」という用語は、光学要素の厚さの方向(z軸)に沿った屈折率と1つの面内屈折率との差に光学要素の厚さをかけたものを指すことを理解されたい。代替として、この用語は、光学要素の厚さの方向(z軸)に沿った屈折率と面内屈折率の平均の差に光学要素の厚さをかけたものを指すことを理解されたい。
【0037】
「複屈折」という用語は、複数の異なる屈折率を有することを指すことを理解されたい。
【0038】
「1軸」という用語は、2つの異なる屈折率を有することを指すことを理解されたい(たとえば、nx、ny、およびnzの少なくとも2つがほぼ等しい場合)。
【0039】
「偏光子」という用語は、「検光子」と一般的に呼ばれるデバイスを含むことを理解されたい。
【0040】
本発明の他の特徴および利点が、添付の図面と組み合わせて取り入れられている以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【0041】
添付の図面にわたって、同じ特徴は、同じ参照符号によって識別されることに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以前に議論されたように、斜め堆積薄膜コーティングにおける複屈折は、膜の柱状微細構造に主に起因し、複屈折は、柱状体の形状および方向、または傾斜に依拠する。表面の法線に対する柱状体の方向は、接線規則によって、基板に到達するコーティング材料の入射角度にほぼ関係付けられる。
【数1】

上式で、ψは基板の法線に対する柱状体の角度、θは基板の法線に対する堆積角度である。柱状体の角度は、通常、複屈折材料のz軸の方向である。この関係は、TiO、Ta、およびZrOなどの酸化物材料について実験的に確認されている。対照的に、SiOは、最も等方性の膜を形成することが判明しているが、Taの膜は、下式によってより密接に近似される。
【数2】

【0043】
柱状構造に由来する面内(すなわち垂直入射)複屈折と柱状体角度(したがって堆積角度)との間の実験的な関係は、Ian HodgkinsonおよびQi−hong Wuによる「Birefringent Thin Films and Polarizing Elements」という名称の本においてさらに詳細に議論されている。たとえば、一点において、この本の著者は、Taの実験的複屈折を40°より大きい堆積角度について堆積角度の関数としてプロットする。40°より下では、プロットは、シミュレーション値を使用して外挿され、モデルは、1つの部分の上の1つの位置におけるコーティング材料のすべてが同じ堆積角度θにおいて堆積されると想定する。要約すると、結果は、52°の堆積角度について0.04の複屈折、43°の堆積角度について0.03の複屈折、34°の堆積角度について0.02の複屈折、28°の堆積角度について0.015の複屈折、24°の堆積角度について0.01の複屈折、および17°の堆積角度について0.005の複屈折を予測するはずであることを示す。多孔性柱状微細構造は、外挿データについて想定される。
【0044】
本発明者は、低い堆積角度(たとえば、40°より下)により、小から中程度の複屈折を有する薄膜が得られることを実験的に確認した。しかし、堆積は、結果として得られる薄膜が、上述された多孔性柱状微細構造を示さず、むしろ十分稠密であるように実施された。本発明者は、VANモードLCoSマイクロディスプレイにおいて残留複屈折を補償するのに理想的な大きさであることが好都合であるこれらの十分稠密な薄膜の構造複屈折が、高光フラックスおよび/または高温の環境において驚くほど安定であり、したがってこれらの膜が偏光ベース投影システムにおいて使用されるのに理想的となることを発見した。
【0045】
図4を参照すると、稠密薄膜を堆積するのに適切な装置の平面図が示されている。装置50は、48’’拡散ポンプ・ボックス・コータであり、堆積される材料を保持するための第1るつぼ52aおよび第2るつぼ52b、室を加熱するための第1キャルロッド(Calrod)・ヒータ54aおよび第2キャルロッド・ヒータ54b、室の温度を監視するための熱電対56、光学モニタ57、第1結晶率モニタ58aおよび第2結晶率モニタ58b、イオン補助堆積(IAD)源60、基板(または部分)70を支持するためのマウント70、ならびに光学180°マスク80を含む。るつぼ52a/52bは半時計回りに回転し、基板70は半時計回りに回転し、マスク80は適所において固定される。
【0046】
比較のために、図4に概略的に示された装置は、2つの異なる堆積手続きについて使用された。両方の手続きにおいて、稠密薄膜は、4層ARコーティングに組み込まれた。より具体的には、稠密薄膜(すなわち、厚いTa層)は、21’’直径浮動ガラス基板の上に堆積されたSiO/Ta交互スタックの一部であった。第1堆積プロセスでは、マスクは、最大堆積角度を最小にし、部分にわたってコーティングの厚さを一様にするために使用された。第2堆積は、基板上における最大堆積角度、したがって理論的には最大複屈折を得るために、マスクせずに実施された。
【0047】
これらの2つの実行のデータが、表1において与えられている。第1マスク堆積プロセスから得られたARコーティングは、構成1(たとえば、1021〜1071)と呼ばれ、第2非マスク堆積から得られたARコーティングは、構成2(たとえば、1021〜1074)と呼ばれる。
【0048】
【表1】

【0049】
両方の構成において、コーティングの反射率が約5%より大きいとき、サンプルの前面および後面からのレーザ干渉効果によって生じるリターダンス測定のリプルを最小限に抑えるために、ARは633nmを中心とし、ヘリウム−ネオン・レーザの波長が、リターダンスを測定するために使用された。Ta層の全体の厚さは2.95μmであり、一方、SiOの全体の厚さは0.84μmであった。源堆積パラメータが両方の堆積手続きについて同じであったので、堆積率は、非マスク実行について、マスク実行の約2倍迅速であったことに留意するのは興味深い。
【0050】
コーティングの幾何学的形状は、コーティング・システムの幾何学的形状に基づいてコーティングの厚さ特性および堆積角度を予測するプログラムを使用して、構成1および構成2の両方についてモデリングされた。図5を参照すると、基板に入射する理論的な堆積角度が、径方向位置の関数としてプロットされている。マスク構成および非マスク構成の最小角度は同じであることに留意されたい。基板または部分は堆積中に中心の回りに回転するので、コーティングの厚さおよび堆積角度の分布に対して回転対称性が存在する。代替として、基板は、単なる併進もしくは遊星運動で、入射蒸気フラックスおよび/またはマスクに対して移動される(すなわち、同時に、中心の回りに回転し、光路に沿って併進する)。
【0051】
Taについて堆積角度θから柱状体の傾斜ψを予想する式(2)は、柱状体の傾斜を計算するために基準として使用された。より具体的には、式(2)は、基準としてのみ使用されたが、その理由は、原材料のすべてが同じ堆積角度において基板に到達し、部分の1つの位置に到着する材料の角度分布を考慮に入れず、マスキングのあらゆる効果、またはマスク・コーティングと非マスク・コーティングの堆積率の差を考慮に入れないと想定するからである。
【0052】
結果は、非マスク・コーティングの柱状体傾斜は、平均堆積角度について約6.7°であり、部分の外径において最大堆積角度について約13°であることを示す。上述された従来の技術のプロットによれば、これは、最大堆積角度について約0.02の面内複屈折、平均堆積角度について約0.0075の複屈折となる。シミュレーションは、マスク・コーティングが、その部分の外側半径付近において非マスク・コーティングより小さい複屈折を示すことも予測するが、その理由は、マスク構成の平均堆積角度および最大堆積角度は共に、非マスクのものより小さいからである。
【0053】
Exicorリターダンスが測定され、これらのモデリング結果と比較された。リターデーションの実験は、21’’直径基板から切り出された小さいセグメントについて実施された。垂直入射における面内リターダンスは、1mmのステップで各セグメントについて633nmにおいて測定され、元の部分の近似的径方向に沿って走査された。同じ基板の非コーティング・セグメントも、基準として測定された。実験結果が、図6に示されている。実行あたり1つの測定のみが示されているが、複数の測定が、認識された傾向を確認するために行われた。リターダンスにおけるリプルは、サンプル上のいくつかの位置において>5%の633nmにおけるサンプル反射率に起因するが、その理由は、結果的な反射防止コーティングが、633nmの対象波長からシフトしたからである。
【0054】
すべてのサンプルについて、リターダンスは、径方向位置と共に増大した。これは、リターその理由は、マスク構成および非マスク構成の両方について、最大堆積角度は、図5に示されたように径方向位置と共に増大するからである。図5からの径方向位置の最大堆積角度を使用して、実験リターダンスは、最大堆積角度の関数として再プロットされる。このプロットは、図7に示されている。
【0055】
コーティングの物理的な厚さは、式(3)に従って測定リターダンス値に影響を与える。
【数3】

上式で、Γはナノメートルで表したリターダンス、Δnは2つの直交偏光についての最大屈折率と最小屈折率の差、dはナノメートルで表した物理的厚さである。
【0056】
非マスク・サンプルは、内部セグメントおよび外部セグメントにわたって約11%の全体的な厚さの変動を有し、物理的な厚さは、内部径方向位置から外部径方向位置に向かって減少する。マスク実行は、9.5’’径方向位置の回りの径方向位置において非マスク実行と同じ物理的厚さを有するが、より低い径方向位置ではより厚い。計算されたコーティングの幾何学的形状に基づく厚さ特性は、コーティングの厚さをモデリングするために使用され、式(3)と共に、最大堆積角度の関数として非マスク実行について垂直入射、または面内複屈折(Δn)を計算するために使用された。各設計について、各コーティング材料による全リターダンスは、以下のように表される。
【数4】

上式で、LおよびHの下付き文字は、低屈折率材料(すなわち、SiO)および高屈折率材料(すなわち、Ta)をそれぞれ指す。SiOはほぼアモルファスの構造において堆積するので、この材料の複屈折は無視された(予備実験測定は、これが非常に小さいことを示した)。リターダンスのデータおよびTa設計の厚さを使用して、この材料の面内複屈折は計算された。図8は、最大堆積角度の関数として面内複屈折を示す。測定されたリターダンスは、狭い角度範囲にわたってこの計算の線形関数によって近似された。
【0057】
マスクされたサンプルは、測定リプルにおいて識別するには十分ではない1.5%未満の厚さの変動を測定された径方向位置にわたって有し、したがって、物理的な厚さは一定であると想定された。再び、SiOの複屈折は、無視可能であると想定され、リターダンスのすべては、Ta層に起因した。コーティングの面内Δnは、式(3)から計算された。図9は、マスク・コーティングについてのこの計算された面内Δnのプロットである。この計算では、最大堆積角度の関数としての測定リターダンスは、線形関数によって近似される。
【0058】
マスク実行からのサンプルは、約2倍、非マスク実行より約2倍の高い面内複屈折を有していたことに留意されたい。これは、堆積角度から予測されるものとは反対である(すなわち、マスク構成は、非マスク構成より低い最大および平均堆積角度を有していたからである。したがって、これらの2つの構成の複屈折の差は堆積率の差によると考えられ、または、マスクは、部分回転周期の半分中にコーティング・フラックスを遮断するので、柱状構造に影響を与えているということがより考えられる。
【0059】
両方のサンプルの複屈折は、従来の技術のプロットによって予測されたものより小さく、コーティング・フラックスのすべては、単一の入射角度において入射した。コーティング・フラックスの入射円錐は、複屈折がより小さくなるように、柱状構造を「丸くする」(指向性を低減する)ことが可能である。
【0060】
VANモードLCoSマイクロディスプレイについて現在市販されているトリム・リターダの面内リターダンスは、通常、約2〜7nmの範囲にある。0.0012非マスクおよび0.0023マスクであるディスクの外径においてTaによって示される面内複屈折の量は、妥当なコーティングの厚さ(たとえば、6μmより小さい厚さ)を有するトリム・リターダを作成するのに適切な範囲にある。
【0061】
Exicor測定は、部分走査のx軸に対する複屈折材料の第1軸の配向の測定をももたらした。この走査方向は、21’’の直径部分の半径にほぼ配向された。トリム・リターダでは、速軸は、最適な性能を提供するために、部分にわたって線形方向において一定の配向を有することが必要である。図10は、マスク・サンプルおよび非マスク・サンプルについてのこのデータのプロットであり、非マスク・サンプルが、マスク・サンプルより一様な速軸配向を有していたことを示す。より具体的には、図10は、平均堆積角度に対するリターダンス角度のプロットを示し、リターダンス角度は、複屈折材料の速軸がx走査方向に対して作る角度である。図11は、計算された平均堆積角度の関数としてプロットされたこの同じリターダンスを示す。
【0062】
マスクおよび非マスクのコーティング構成それぞれについて、平均堆積角度と材料複屈折の軸配向との間に相関があるようである。しかし、マスク構成と非マスク構成の配向角度には、顕著な違いがある。これはおそらくは、柱状成長、したがって材料の配向に対するマスキングの効果に関係付けられる。
【0063】
マスクおよび非マスクのコーティング構成のそれぞれは、環境試験も受けた。より具体的には、各部分の外径からのサンプルは、湿度、接着、およびアブレーションの試験を受けた。表2にまとめられている環境試験の結果は、コーティングが高度に耐久性あることを示す。
【0064】
【表2】

【0065】
マスクおよび非マスクのコーティング構成のそれぞれは、層の構造を調査するために、透過型電子顕微鏡法(TEM)も受けた。一般に、TEMマイクログラフは、薄膜がほぼアモルファスであることを示した。マイクログラフのいくつかは、柱状微細構造の可能な証拠を示したが、明確な柱状体および/または間隙は確実に欠如していた。さらに、TEMマイクログラフのいくつかは、厚いTa層において斑点またはしみ状の領域を示した。斑点ナノ構造は、非マスク実行よりマスク実行について顕著であり、非マスク実行よりマスク実行の予期されない高い面内複屈折に関係付けることが可能である。各TEMマイクログラフでは、薄膜は、極度に稠密に見える(すなわち、高度に多孔性ではない)。RBSおよびSEMの特徴付けを使用するTa膜密度の粗い推定は、マスク構成について93%、非マスク構成について98%である。上述された方法を使用して準備された湿気シフト試験は、コーティングが公称的に十分稠密である(すなわち、100%または「バルク」密度に非常に近い、またはそれに等しい)ことを示唆する。湿気シフト試験では、フィルタは、乾燥条件において測定され、湿度に24時間暴露され、次いで再度測定された。コーティングは、本質的に波長の変化は示さなかった。コーティングが十分稠密ではない場合、より長い波長へのシフトが、湿気に暴露された後に予測されるが、その理由は、湿気がコーティングに浸透し、間隙を部分的に充填し、したがって、屈折率をわずかに増大させ、フィルタの応答をより高い波長に移動させるからである。
【0066】
十分稠密なほぼアモルファスの薄膜(すなわち、柱状微細構造をわずかに有する、または有さない)が有用な複屈折を示すことは、全く予測されないことであることに留意されたい。本発明者の最適な知識では、高光フラックスおよび/または高温の環境において、これらの十分稠密なほぼアモルファスの薄膜の複屈折形態および/またはその安定性は利用されていない。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、十分に稠密な構造複屈折薄膜が、光学システムにおいて偏光制御を提供するために使用される(たとえば、液晶ディスプレイ・システムにおいて、偏光計において、方形波プレートとしてなど)。
【0068】
一般に、構造複屈折は、斜め角度堆積を介して薄膜に導入される。堆積プロセスは、通常、当業者には周知の様々な蒸着の1つまたはスパッタリング堆積技法を使用する物理的蒸着であり、薄膜が稠密である(たとえば、約90%バルク密度より大きい)ことを補償するように選択および/または変更されることが好ましく、適切な複屈折(たとえば、550nmにおいて約0.0002より大きい)を示す。たとえば、コーティング・フラックス入射角度、コーティング・マスク設計、コーティング源と基板の距離、コーティング源と基板の相対位置および配向、堆積率、基板スピニング制御、ならびにコーティング材料の少なくとも1つは、通常、望ましい複屈折および/または密度を提供するように選択される。代替または追加として、高密度が、IADなどのエネルギー・プロセス(energetic process)によって達成される。たとえば、これまで記述された例では、コーティング・フラックス入射角度は、広範な範囲の堆積角度(たとえば、2から35°)を含み、光学コーティング・マスクは180°マスクであり、基板はるつぼから約30’’離れており、堆積率は約2と12Å/秒の間であり、基板は約500rpmにおいてスピンされ、IAD源が使用された。一般に、平均堆積角度、またはより一般的に最大堆積角度は、約40°より小さい。
【0069】
稠密構造複屈折薄膜は、通常の等方性材料(すなわち、分子複屈折ではない)から、具体的には無機および/または誘電体材料から容易に製作される。したがって、稠密構造複屈折膜は、多機能全誘電体薄膜スタックを提供するように、他の薄膜層に容易に組み込まれる。
【0070】
本発明の他の実施形態によれば、稠密構造複屈折薄膜は、液晶ディスプレイの偏光補償を提供するために使用されるARコーティングに組み込まれる。たとえば、上記で議論された例では、厚いTa層が、4層のTa/AiOAR設計に組み込まれる。代替として、他の設計が提供される。たとえば、表3において記述される赤色帯域ARコーティングを考慮する。交互Ta/SiOスタックがボロフロート基板(n=1.47)の上に堆積され、薄膜スタックの各層は、図4において記述された実験セットアップを使用して低入射角度で堆積される。
【0071】
【表3】

【0072】
図12に示されるように、約7.5μmの厚さである赤色帯域ARコーティングは、約6.8μmの平均面内リターダンスを提供する。都合のよいことには、対応する複屈折のレベルは、VANモードLCoSシステムの低リターダンス・トリム・リターダを製造するのに適している。さらに、全誘電体薄膜スタックは、明確な柱状体/間隙の微細構造が欠如しているので、複屈折は、マイクロディスプレイ投影システムによって提供される高光フラックスおよび/または高温の環境において、極度に安定していることが予期される。
【0073】
本発明の他の実施形態によれば、構造複屈折薄膜層は、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムの残留複屈折を補償するために使用される独立型全誘電体トリム・リターダに組み込まれる。
【0074】
図13を参照すると、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムにおいて像コントラストを向上させるための全誘電体トリム・リターダの実施形態が示されている。トリム・リターダ90は、基板93の第1面に配置された誘電体薄膜スタック92、および基板93の第2対向面に配置された反射防止コーティング94を有する。誘電体薄膜スタック92は、Aプレート機能をトリム・リターダ90に分与し、AR層96によって境界を画定された稠密構造複屈折層95を含む。通常は誘電体スタックである各AR層94、96は、屈折率が突然変化する境界面において屈折率整合層として作用する。
【0075】
一般に、構造複屈折は、斜め角度堆積により稠密構造複屈折層95に導入される。堆積プロセスは、通常、当業者には周知の様々な蒸着またはスパッタリング堆積技法の1つを使用する物理的な蒸着であり、薄膜が稠密であり(たとえば、約90%のバルク密度を超える)、適切な複屈折(たとえば、550nmにおいて約0.0002より大きい)を示すことを保証するように選択および/または変更されることが好ましい。たとえば、コーティング・フラックス入射角度、コーティング・マスク設計、コーティング源と基板の距離、コーティング源と基板の相対位置および配向、堆積率、基板スピニング制御、ならびにコーティング材料の少なくとも1つは、通常、望ましい複屈折および/または密度を提供するように選択される。代替または追加として、高密度は、IADなどのエネルギー・プロセスを使用することによって達成される。たとえば、これまで記述された例では、コーティング・フラックス入射角度は、広範な堆積角度(たとえば、2から35°)を含み、任意選択のコーティング・マスクは180°マスクであり、基板はるつぼから約30’’離れており、堆積率は約2と12Å/秒の間であり、基板は約500rpmにおいてスピンされ、IAD源が使用された。一般に、平均堆積角度、またはより一般的に最大堆積角度は、約40°より小さい。
【0076】
薄膜スタック92は、例示のためにのみ、単一の稠密構造複屈折層95を含むように示されていることに留意されたい。他の実施形態によれば、薄膜スタック92は、複数のより薄い稠密構造複屈折層および/または介在層(たとえば、交互屈折率設計において)を含む。代替として、構造複屈折層95は、基板と同様の屈折率を有する材料から製作され、内部ARコーティングは省略される。さらに代替として、Aプレート・スタックは、より複雑なAR設計に組み込まれた少なくとも1つの稠密構造複屈折層を含む。薄膜スタックが単一の稠密構造複屈折層を含む実施形態では、構造複屈折層は、通常、かなり厚い(たとえば、数ミクロン)。
【0077】
誘電体薄膜スタック92および/またはAR層94を形成するのに適切な誘電体には、TiO、Ta、ZrO、およびSiOなどの金属酸化物があり、これらは、光学的に等方性であり、可視波長スペクトル領域(たとえば、400nmから700nm)において高度な透過性を示す。
【0078】
基板93は、通常、たとえば1mmの厚さである平面平行ガラス・プレート基板である。ディスプレイ応用分野に使用されているいくつかの一般的な基板には、コーニング1737FおよびショットD263Tがあり、両方とも、λ=550nmにおいて1.52の公称屈折率を有するシリケート・フロート・ガラスを使用する。代替として、基板は、融合シリカなど、機械的支持体を提供する他の透過性材料から製作される。
【0079】
このトリム・リターダ面内リターダンスは、実際には最高で約4分の1波長とすることが可能であり、可視帯域全体にわたって、一般的には30nm未満、より一般的には約1と10nmとの間を対象とする。たとえば、トリム・リターダが5nmの面内リターダンスを対象とし、約0.002の実効面内複屈折を有する場合、単一層Aプレート設計は、約2.5μmの層を必要とする。この厚さの膜は、任意の一定水準のコーティング機械能力の十分に範囲内にある。
【0080】
Aプレート複屈折は、堆積プロセス自体によって生成されることが有利である。稠密構造複屈折層95は、ARコーティング94/96と並んで、標準的なコーティング室において容易に堆積されるので、非常に低コストの全誘電体トリム・リターダが提供される。さらに、トリム・リターダは、完全に無機誘電体材料から製作されるので、高度に耐久性および/または水分非浸透性のコーティングが得られる。さらに、無機誘電体材料は、明確な柱状体/間隙の微細構造が欠如しているので、複屈折は、マイクロディスプレイ投影システムによって提供される高光フラックスおよび/または高温の環境において、極度に安定であることが予期される。
【0081】
図14を参照すると、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムにおいて像コントラストを向上させるための完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダの実施形態が示されている。トリム・リターダ100は、−Cプレート誘電体スタック101、Aプレート誘電体スタック102、および基板107を含む。より具体的には、−Cプレート・スタック101は、基板107の第1面に結合され、一方、Aプレート・スタック102は、基板107の第2対向面に結合される。
【0082】
−Cプレート誘電体スタック101は、−Cプレート機能を有するFBARスタックを提供するために、反射防止(AR)コーティング105によって境界を画定された構造複屈折(FB)構造103を含む。構造複屈折構造103は、それぞれが第1屈折率nおよび第1の厚さdを有し、第2屈折率nおよび第2の層の厚さdをそれぞれが有する少なくとも第2の複数の層と交互になっている第1の複数の層を含む。層の厚さdおよびdのそれぞれは、構造複屈折の効果を実現するために、動作波長(たとえば、λ=550nm)の端数であることが好ましい。一般に、構造複屈折は、層の厚さdおよびdが同様であり、nとnの差が大きい場合(たとえば、約0.5より大きい)、最大になる。たとえば、タンタル(Ta)とシリカ(SiO)の層の71の対を含み、λ=550nmにおいて2.20および1.46の公称屈折率をそれぞれ有する−Cプレート・スタックが、大気において±12°の入射角度において約−6.3nmの正味のリターデーションを提供すると推定されている。しばしば約40nm未満の厚さであるこれらの誘電体層が、ほぼ等しい層の厚さを有するとき、スタックの結果的な実効屈折率は約2である。
【0083】
Aプレート誘電体スタック102は、AR層106によって境界を画定された稠密構造複屈折層104を含む。一般に、構造複屈折は、斜め角度堆積により稠密構造複屈折層104に導入される。堆積プロセスは、通常は当業者には周知の様々な蒸着またはスパッタリング堆積の技法の1つを使用する物理的な蒸着であり、薄膜が稠密であり(たとえば、約90%のバルク密度より大きい)、適切な複屈折(たとえば、550nmにおいて約0.002より大きい)を示すことを保証するように選択および/または変更されることが好ましい。たとえば、コーティング・フラックス入射角度、コーティング・マスク設計、コーティング源と基板の距離、コーティング源と基板の相対位置および配向、堆積率、基板スピニング制御、ならびにコーティング材料の少なくとも1つは、通常、望ましい複屈折および/または密度を提供するように選択される。代替または追加として、高密度は、IADなどのエネルギー・プロセスを使用することによって達成される。たとえば、これまで記述された例では、コーティング・フラックス入射角度は広範な堆積角度(たとえば、2から35°)を含み、任意選択のコーティング・マスクは180°マスクであり、基板はるつぼから約30’’離れており、堆積率は約2と12Å/秒の間であり、基板は約500rpmにおいてスピンされ、IAD源が使用された。一般に、平均堆積角度、またはより一般的に最大堆積角度は、約40°より小さい。
【0084】
Aプレート誘電体スタック102は、例示のためにのみ、単一の稠密構造複屈折層104を含むように示されていることに留意されたい。他の実施形態によれば、Aプレート・スタック102は、複数のより薄い稠密構造複屈折層および/または介在層(たとえば、交互屈折率設計において)を含む。代替として、構造複屈折層104は、基板と同様の屈折率を有する材料から製作され、内部ARコーティングは省略される。さらに代替として、Aプレート・スタックは、より複雑なAR設計に組み込まれた少なくとも1つの稠密構造複屈折層を含む。Aプレート誘電体スタックが単一の稠密構造複屈折層を含む実施形態では、構造複屈折層は、通常、かなり厚い(たとえば、数ミクロン)が、Aプレート誘電体スタック102が複数の稠密構造複屈折層を含む実施形態では、構造複屈折層は、通常、比較的薄い。
【0085】
−Cプレート誘電体スタックおよびAプレート誘電体スタックのそれぞれにおいて、通常は誘電体スタックである各AR層105/106は、屈折率が突然変化する境界面において屈折率整合層として作用する。ARコーティング105/106は、トリム・リターダが製造されているとき、リターダンス全体および位相差に考慮されるべきである追加の面外リターダンス成分をも提供する可能性がある。
【0086】
−Cプレート誘電体スタック101および/またはAプレート誘電体スタック102を形成するのに適切な誘電体には、TiO、Ta、ZrO、およびSiOなどの金属酸化物があり、これらは、光学的に等方性であり、可視波長スペクトル領域(たとえば、400nmから700nm)において高い透過性を示す。
【0087】
基板107は、通常、たとえば約1mmの厚さである平面平行ガラス・プレート基板である。ディスプレイ応用分野に使用されるいくつかの一般的な基板には、コーニング1737FおよびショットD263Tがあり、両方とも、λ=550nmにおいて1.52の公称屈折率を有するシリケート・フロート・ガラスを使用する。代替として、基板は、融合シリカなど、機械的支持体を提供する他の透過性材料から製作される。
【0088】
このトリム・リターダの面内リターダンスは、実際には最高で約4分の1波長とすることが可能であり、可視帯域全体にわたって、一般的には30nm未満、より一般的には約1と10nmとの間を対象とする。たとえば、トリム・リターダが5nmの面内リターダンスを対象とし、約0.002の実効面内複屈折を有する場合、単一層Aプレート設計は、約2.5μmの層を必要とする。この厚さの膜は、任意の一定水準のコーティング機械能力の十分に範囲内にある。このトリム・リターダの面外リターダンスは、通常、可視帯域全体にわたって約−1nmから約−1000nmの範囲において対象とされる。
【0089】
Aプレート・リターダンスおよび−Cプレート・リターダンスの両方とも、無機材料および/または誘電体材料によって提供されることが有利である。したがって、Aプレート・スタックおよび−Cプレート・スタックの両方とも、低コストの全誘電体トリム・リターダを提供するために、標準的なコーティング室において容易に堆積される。さらに、完全機能トリム・リターダは、完全に等方性誘電体材料から製作されるので、高度に耐久性および/または水分非浸透性のコーティングが得られる。さらに、無機誘電体材料は、明確な柱状体/間隙の微細構造が欠如しているので、複屈折は、マイクロディスプレイ投影システムによって提供される高光フラックスおよび/または高温の環境において、極度に安定であることが予期される。
【0090】
図15を参照すると、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムにおいて像コントラストを向上させるための完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダの他の実施形態が示されている。トリム・リターダ110は、−Cプレート誘電体スタック111、Aプレート誘電体スタック112、複数のAR層113、114、115、および116、ならびに基板117を含む。より具体的には、−Cプレート誘電体スタック111およびAプレート誘電体スタック112は両方とも、基板117の第1面に結合され、一方、AR層116は、基板117の第2対向面に結合される。
【0091】
−Cプレート誘電体スタック111は、−Cプレート機能を有するFBARスタックを提供するために、反射防止(AR)コーティング113/114によって境界を画定された構造複屈折(FB)構造111aを含む。構造複屈折構造111aは、それぞれが第1屈折率nおよび第1の厚さdを有し、第2屈折率nおよび第2の層の厚さdをそれぞれが有する少なくとも第2の複数の層と交互になっている第1の複数の層を含む。層の厚さdおよびdのそれぞれは、構造複屈折の効果を実現するために、動作波長(たとえば、λ=550nm)の端数であることが好ましい。一般に、構造複屈折は、層の厚さdおよびdが同様であり、nとnの差が大きい場合(たとえば、約0.5より大きい)、最大になる。たとえば、タンタル(Ta)とシリカ(SiO)の層の71の対を含み、λ=55nmにおいて2.20および1.46の公称屈折率をそれぞれ有する−Cプレート・スタックが、大気において±12°の入射角度において約−6.3nmの正味のリターデーションを提供すると推定されている。しばしば約20nm未満の厚さであるこれらの誘電体層が、ほぼ等しい層の厚さを有するとき、スタックの結果的な実効屈折率は約2である。
【0092】
Aプレート誘電体スタック112は、AR層114/115によって境界を画定された稠密構造複屈折層112aを含む。一般に、構造複屈折は、斜め角度堆積により稠密構造複屈折層112aに導入される。堆積プロセスは、通常は当業者には周知の様々な蒸着またはスパッタリング堆積の技法の1つを使用する物理的な蒸着であり、薄膜が密であり(たとえば、約90%のバルク密度より大きい)、適切な複屈折(たとえば、550nmにおいて約0.002より大きい)を示すことを保証するように選択および/または変更されることが好ましい。たとえば、コーティング・フラックス入射角度、コーティング・マスク設計、コーティング源と基板の距離、コーティング源と基板の相対位置および配向、堆積率、基板スピニング制御、ならびにコーティング材料の少なくとも1つは、通常、望ましい複屈折および/または密度を提供するように選択される。代替または追加として、高密度は、IADなどのエネルギー・プロセスを使用することによって達成される。たとえば、これまで記述された例では、コーティング・フラックス入射角度は、広範な堆積角度(たとえば、2から35°)を含み、任意選択のコーティング・マスクは180°マスクであり、基板はるつぼから約30’’離れており、堆積率は約2と12Å/秒の間であり、基板は約500rpmにおいてスピンされ、IAD源が使用された。一般的に、平均堆積角度、またはより一般的に最大堆積角度は、約40°より小さい。
【0093】
Aプレート誘電体スタック112は、例示のためにのみ、単一の稠密構造複屈折層112aを含むように示されていることに留意されたい。他の実施形態によれば、Aプレート・スタックは、複数のより薄い稠密構造複屈折層および/または介在層(たとえば、交互屈折率設計において)を含む。代替として、構造複屈折層は、基板と同様の屈折率を有する材料から製作され、内部ARコーティング115は省略される。さらに代替として、Aプレート・スタックは、より複雑なAR設計に組み込まれた少なくとも1つの稠密構造複屈折層を含む。Aプレート誘電体スタックが単一の稠密構造複屈折層を含む実施形態では、構造複屈折層は、通常、かなり厚い(たとえば、数ミクロン)が、Aプレート誘電体スタックが複数の稠密構造複屈折層で置き換えられる実施形態では、構造複屈折層は、通常、比較的薄い。
【0094】
AR層113、114、115、および116のそれぞれは、通常は誘電体スタックであり、屈折率が突然変化する境界面において屈折率整合層として作用する。ARコーティング113、114、115、および116は、トリム・リターダが製造されているとき、リターダンス全体および位相差に考慮されるべきである追加の面外リターダンス成分をも提供する可能性がある。
【0095】
−Cプレート誘電体スタック111および/またはAプレート誘電体スタック112を形成するのに適切な誘電体には、TiO、Ta、ZrO、およびSiOなどの金属酸化物があり、これらは、光学的に等方性であり、可視波長スペクトル領域(たとえば、400nmから700nm)において高度な透過性を示す。
【0096】
基板117は、通常、たとえば約1mmの厚さである平面平行ガラス・プレート基板である。ディスプレイ応用分野に使用されるいくつかの一般的な基板には、コーニング1737FおよびショットD263Tがあり、両方とも、λ=550nmにおいて1.52の公称屈折率を有するシリケート・フロート・ガラスを使用する。代替として、基板は、融合シリカなど、機械的支持体を提供する他の透過性材料から製作される。
【0097】
このトリム・リターダの面内リターダンスは、実際には最高で約4分の1波長とすることが可能であり、可視帯域全体にわたって、一般的には30nm未満、より一般的には約1と10nmとの間を対象とする。たとえば、トリム・リターダが5nmの面内リターダンスを対象とし、約0.002の実効面内複屈折を有する場合、単一層Aプレート設計は、約2.5μmの層を必要とする。この厚さの膜は、任意の一定水準のコーティング機械能力の十分に範囲内にある。このトリム・リターダの面外リターダンスは、通常、可視帯域全体にわたって約−1nmから約−100nmの範囲において対象とされる。
【0098】
Aプレート・リターダンスおよび−Cプレート・リターダンスの両方とも、無機材料および/または誘電体材料によって提供されることが有利である。したがって、Aプレート・スタックおよび−Cプレート・スタックの両方とも、低コストの全誘電体トリム・リターダを提供するために、標準的なコーティング室において容易に堆積される。さらに、完全機能トリム・リターダは、完全に等方性の誘電体材料によって製作されるので、高度に耐久性および/または水分非浸透性のコーティングが得られる。さらに、無機誘電体材料には、明確な柱状体/間隙の微細構造がないので、複屈折は、マイクロディスプレイ投影システムによって提供される高光フラックスおよび/または高温の環境において、極度に安定であることが予期される。
【0099】
図15を参照して議論された実施形態では、−Cプレート誘電体スタック111は、稠密Aプレート誘電体スタックの上に縦続結合される。代替実施形態では、Aプレート誘電体スタックは、−Cプレート誘電体スタック111の上に縦続結合される。
【0100】
図16を参照すると、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムにおいて像コントラストを向上させるための完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダの他の実施形態が示されている。トリム・リターダ210は、第2の複数の低屈折率層212と交互になっており、AR層214、215によって境界を画定される、第1の複数の高屈折率層211を有する誘電体スタックを含む。誘電体スタックは、基板217の一つの面に結合され、他のAR層216は、基板217の第2対向面に結合される。
【0101】
第1および第2の複数の層のそれぞれの層の厚さは、誘電体スタックが−Cプレート機能を提供するように選択される。第1および第2の複数の層の少なくとも1つは、斜め角度堆積で形成される。堆積プロセスは、通常は当業者には周知の様々な蒸着またはスパッタリング堆積の技法の1つを使用する物理的な蒸着であり、薄膜が稠密であり(たとえば、約90%のバルク密度より大きい)、適切な複屈折(たとえば、550nmにおいて約0.002より大きい)を示すことを保証するように選択および/または変更されることが好ましい。たとえば、層の厚さは、適切な−Cプレート複屈折を提供するように、通常、約100nmより小さく、しばしば約20nmより小さいので、より高いAプレート・リターダンスを提供するために、より高い入射角度が必要とされる可能性があり、したがって、微細構造が多孔性ではないことを保証するために、堆積率、基板スピニング制御、およびエネルギー・プロセスの少なくとも1つを調節することを必要とする。
【0102】
通常は誘電体スタックであるAR層214、215、および216のそれぞれは、屈折率が突然変化する境界面において屈折率整合層として作用する。ARコーティングは、トリム・リターダが製造されているとき、リターダンス全体および位相差に考慮されるべきである追加の面外リターダンス成分をも提供する可能性がある。
【0103】
誘電体スタックを形成するのに適切な誘電体には、TiO、Ta、ZrO、およびSiOなどの金属酸化物があり、これらは、光学的に等方性であり、可視波長スペクトル領域(たとえば、400nmから700nm)において高度な透過性を示す。
【0104】
基板217は、通常、たとえば約1mmの厚さである平面平行ガラス・プレート基板である。ディスプレイ応用分野に使用されるいくつかの一般的な基板には、コーニング1737FおよびショットD263Tがあり、両方とも、λ=550nmにおいて1.52の公称屈折率を有するシリケート・フロート・ガラスを使用する。代替として、基板は、融合シリカなど、機械的支持体を提供する他の透過性材料から製作される。
【0105】
このトリム・リターダの面内リターダンスは、実際には最高で約4分の1波長とすることが可能であり、可視帯域全体にわたって、一般的には30nm未満、より一般的には約1と10nmとの間を対象とする。このトリム・リターダの面外リターダンスは、通常、可視帯域全体にわたって約−1nmから約−100nmの範囲において対象とされる。
【0106】
Aプレート・リターダンスおよび−Cプレート・リターダンスの両方とも、同じ無機材料によって提供され、したがって、堆積手続きを簡略化することが有利である。さらに、完全トリム・リターダは、完全に等方性の誘電体材料から製作されるので、高度に耐久性および/または水分非浸透性のコーティングが得られる。さらに、無機誘電体材料は、明確な柱状体/間隙の微細構造が欠如しているので、複屈折は、マイクロディスプレイ投影システムによって提供される高光フラックスおよび/または高温の環境において、極度に安定であることが予期される。
【0107】
本発明の他の実施形態によれば、稠密構造複屈折薄膜層は、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムの残留複屈折を補償するために使用される他の光学構成要素と統合された全誘電体トリム・リターダに組み込まれる。
【0108】
図17を参照すると、VANモードLCoSマイクロディスプレイ投影システムのディスプレイ・パネル・カバーにおいて統合された完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダの実施形態が示されている。トリム・リターダ・サブアセンブリは、−Cプレート誘電体スタック303、Aプレート誘電体スタック302、および複数のAR層301を含み、すべて、透明カバー基板300の第1表面上に配置される。このトリム・リターダ・サブアセンブリは、LC分子306が配置されるLCセル・ギャップを形成し、上部レベル金属反射器305が、シリコン背面(基板)304の上に配置されている。一般に、LCoSは、配向層(たとえば、重合または斜め蒸着無機層)307および前面透明導体電極(たとえば、ITO)308をも含む。
【0109】
−Cプレート誘電体スタック303は、−Cプレート機能を有するFBARスタックを提供するために、反射防止(AR)コーティング301a/bによって境界を画定された構造複屈折(FB)構造303aを含む。構造複屈折構造303aは、それぞれが第1屈折率nおよび第1の厚さdを有し、第2屈折率nおよび第1の層の厚さdをそれぞれが有する少なくとも第2の複数の層と交互になっている第1の複数の層を含む。層の厚さdおよびdのそれぞれは、構造複屈折の効果を実現するために、動作波長(たとえば、λ=550nm)の端数であることが好ましい。一般に、構造複屈折は、層の厚さdおよびdが同様であり、nとnの差が大きい場合(たとえば、約0.5より大きい)、最大になる。たとえば、タンタル(Ta)とシリカ(SiO)の層の71の対を含み、λ=55nmにおいて2.20および1.46の公称屈折率をそれぞれ有する−Cプレート・スタックが、大気において±12°の入射角度において約−6.3nmの正味のリターデーションを提供すると推定されている。しばしば約40nm未満の厚さであるこれらの誘電体層が、ほぼ等しい層の厚さを有するとき、スタックの結果的な実効屈折率は約2である。
【0110】
Aプレート誘電体スタック302は、AR層301b/cによって境界を画定された稠密構造複屈折層302aを含む。一般に、構造複屈折は、斜め角度堆積により稠密構造複屈折層112aに導入される。堆積プロセスは、通常は、当業者には周知の様々な蒸着またはスパッタリング堆積の技法の1つを使用する物理的な蒸着であり、薄膜が稠密であり(たとえば、約90%のバルク密度より大きい)、適切な複屈折(たとえば、550nmにおいて約0.002より大きい)を示すことを保証するように選択および/または変更されることが好ましい。たとえば、コーティング・フラックス入射角度、コーティング・マスク設計、コーティング源と基板の距離、コーティング源と基板の相対位置および配向、堆積率、基板スピニング制御、ならびにコーティング材料の少なくとも1つは、通常、望ましい複屈折および/または密度を提供するように選択される。代替または追加として、高密度は、IADなどのエネルギー・プロセスを使用することによって達成される。たとえば、上述された例では、コーティング・フラックス入射角度は、広範な堆積角度(たとえば、2から35°)を含み、任意選択のコーティング・マスクは180°マスクであり、基板はるつぼから約30’’離れており、堆積率は約2と12Å/秒の間であり、基板は約500rpmにおいてスピンされ、IAD源が使用された。一般的に、平均堆積角度、またはより一般的に最大堆積角度は、約40°より小さい。
【0111】
Aプレート誘電体スタック302は、例示のためにのみ、単一の稠密構造複屈折層を含むように示されていることに留意されたい。他の実施形態によれば、Aプレート・スタックは、複数のより薄い稠密構造複屈折層および/または介在層(たとえば、交互屈折率設計において)を含む。代替として、構造複屈折層は、基板と同様の屈折率を有する材料から製作され、内部ARコーティング301cは省略される。さらに代替として、Aプレート・スタックは、より複雑なAR設計に組み込まれた少なくとも1つの稠密構造複屈折層を含む。Aプレート誘電体スタックが単一の稠密構造複屈折層を含む実施形態では、構造複屈折層は、通常、かなり厚い(たとえば、数ミクロン)が、Aプレート誘電体スタック112が複数の稠密構造複屈折層で置き換えられる実施形態では、構造複屈折層は、通常、比較的薄い。
【0112】
通常は誘電体スタックであるAR層301a〜cのそれぞれは、屈折率が突然変化する境界面において屈折率整合層として作用する。ARコーティング301a〜cは、トリム・リターダが製造されているとき、リターダンス全体および位相差に考慮されるべきである追加の面外リターダンス成分をも提供する可能性がある。
【0113】
−Cプレート誘電体スタック303および/または誘電体スタック302を形成するのに適切な誘電体には、TiO、Ta、ZrO、およびSiOなどの金属酸化物があり、これらは、光学的に等方性であり、可視波長スペクトル領域(たとえば、400nmから700nm)において高度な透過性を示す。
【0114】
このトリム・リターダの面内リターダンスは、実際には最高で約4分の1波長とすることが可能であり、通常、可視帯域全体にわたって、一般的には30nm未満、より一般的には約1と10nmとの間を対象とする。たとえば、トリム・リターダが5nmの面内リターダンスを対象とし、約0.002の実効面内複屈折を有する場合、単一層Aプレート設計は、約2.5μmの層を必要とする。この厚さの膜は、任意の一定水準のコーティング機械能力の十分に範囲内にある。このトリム・リターダの面外リターダンスは、通常、可視帯域全体にわたって約−1nmから約−1000nmの範囲において対象とされる。
【0115】
高歩留まりの統合された補償器/ディスプレイを提供するために、Aプレート/−Cプレート・スタックとディスプレイ要素306との間の粗い方位角のずれが、2つのリターダ要素の公称面内リターダンスの大きさを考慮して、デバイスの平面においてカバー基板を機械的に回転させることによって課される可能性がある。各統合補償器/ディスプレイの個々の微調整は、全体的な漏れ強度をさらに低減するために、オフステージにおいてLC傾斜角度を電圧切り替えするなど、他の非機械的な手段を含むことが可能である。非機械的な微調整のさらなる詳細が、全内容が参照によって本明細書に組み込まれる2005年10月18日に出願された米国仮特許出願60/727969において提供されている。Aプレート・スタックおよび−Cプレート・スタックは、ITO層により、印加電圧の大部分がLC層にわたって利用可能となる(すなわち、ITO層は、LC層から実質的には絶縁されない)ことが可能であるとすれば、任意選択でカバー基板300の両面に分布されることに留意されたい。
【0116】
Aプレート・スタックおよび−Cプレート・スタックの両方をLCoSのカバー基板において統合することにより、少なくとも2つの冗長ARコーティングを使用することが不要になる(たとえば、それぞれが他方に面するトリム・リターダおよびディスプレイ・パネル上において)ことが有利である。
【0117】
Aプレート・スタックおよび−Cプレート・スタックの両方が、標準的なコーティング室において容易に堆積される無機誘電体材料で形成されるので、低コスト全誘電体トリム・リターダが提供される。さらに、完全機能トリム・リターダは、完全に等方性誘電体材料から製作されるので、高度に耐久性および/または水分非浸透性のコーティングが得られる。さらに、無機誘電体材料は、明確な柱状体/間隙の微細構造が欠如しているので、複屈折は、マイクロディスプレイ投影システムによって提供される高光フラックスおよび/または高温の環境において、極度に安定であることが予期される。
【0118】
上記の実施形態のそれぞれにおいて、標準的なコーティング室において堆積され、完全に無機材料および/または誘電体材料から形成された薄膜層が、Aプレート機能を提供するために使用される。これらの構造複屈折薄膜層は、妥当に稠密で(たとえば、層の密度は、バルク材料の密度にほぼ等しい)、非多孔性である。その結果、これらの十分稠密な薄膜は、高光フラックス条件において高度に堅牢および/または安定であることが予期される。さらに、これらの薄膜は、明確な柱状体および/または柱状微細構造を示さないので、製作は、比較的簡単にすることができる。たとえば、単一斜め角度が稠密薄膜層を作成するために使用されることが可能であるが、製作は、ある範囲の斜め角度を使用することによって簡単になる。したがって、LCD応用分野において偏光補償を提供することに加えて、本発明の薄膜光学リターダは、簡単で費用効果の高い手法を様々な他の応用分野の偏光制御に提供すると考えられる。
【0119】
一実施形態によれば、薄膜層は、低角度堆積(たとえば、40°未満)を使用して、面内複屈折が630nmにおいて約0.001から0.002の範囲になるように堆積される。これらの稠密層の面外複屈折は未知であるが、あらゆる+Cプレート・リターダンスが、−Cプレート・リターダンスを有するFBARスタックで容易に補償される。実際、稠密構造複屈折薄膜層は、完全A/−Cプレート機能を提供するように、FBAR薄膜スタックに容易に縦続結合され、そうでない場合は結合される。FBARスタック、または他の任意選択の層は、同じ堆積室において形成されることが好都合である。代替として、FBARスタック、または他の任意選択の層は、他の堆積技法を使用して形成される(すなわち、一般的な堆積技法には、化学蒸着(CVD)、プラズマ・エンハンストCVD、電子ビーム蒸着、熱蒸着、スパッタリング、および/または原子層堆積がある)。
【0120】
当然、上記の実施形態は、例示としてのみ提供されている。当業者なら、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な修正、代替構成、および/または等価物が使用されることを理解するであろう。たとえば、本発明は、VANモードLCoS投影応用分野における偏光補償に関して議論されたが、当業者なら、本発明は、投影応用分野である、またはないことが可能である透過型VANモードLCD応用分野など、他のLCD応用分野にも適用可能であることを理解するであろう。たとえば、他の実施形態によれば、薄膜光学リターダは、透過型VANモードLCDパネルの一基板または両方の基板に組み込まれる。さらに、これまで議論されたトリム・リターダの実施形態は、液晶セル・サブアセンブリに組み込まれる、または液晶マイクロディスプレイ投影システムにおいて独立型デバイスとして使用されるとして記述されたが、4分の1波長プレートなどの他の光学構成要素と薄膜光学リターダを統合することも本発明の範囲内にある。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】従来の技術の3パネル・ワイヤグリッド偏光子(WGP)ベースの液晶オン・シリコン(LCoS)投影光エンジンの概略図である。
【図2】LCoSパネルおよびトリム・リターダを2重通過する際の線形偏光の保存を示す図である。
【図3】高入射角度蒸気フラックスが複屈折を形成するために使用される、視射角堆積(GLAD)の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による、構造複屈折薄膜を製作する装置の概略図である。
【図5】図4に示されたシステムの実験セットアップを使用して計算された、マスク構成および非マスク構成について入射角のプロットを径方向位置の関数として示す図である。
【図6】垂直入射リターダンスが633nmにおいてExicorについて測定された、マスク構成および非マスク構成について径方向位置に対する面内リターダンスのプロットを示す図である。
【図7】図5および6を使用して計算された、マスク構成および非マスク構成について面内リターダンスのプロットを最大堆積角度の関数として示す図である。
【図8】図7を使用して計算された、マスク構成および非マスク構成について面内複屈折のプロットを最大堆積角度の関数として示す図である。
【図9】図7を使用して計算された、マスク構成および非マスク構成について面内複屈折のプロットを最大堆積角度の関数として示す図である。
【図10】633nmにおいてExicorについて垂直入射において測定されたリターダンス角度を径方向位置の関数として示す図である。
【図11】部分のその位置における平均堆積角度の関数としてプロットされた、図10からの測定リターダンス角度を示す図である。
【図12】赤色帯域ARコーティングのリターダンスを波長の関数として示す図である。
【図13】Aプレート・リターダンスが稠密構造複屈折層によって提供される、全誘電体トリム・リターダの概略図である。
【図14】Aプレート・リターダンスが、ガラス基板の一つの面に配置された稠密構造複屈折層によって提供され、−Cプレート・リターダンスが、ガラス基板の反対面に配置された交互屈折率スタックによって提供される、全誘電体Aプレート/−Cプレート・トリム・リターダの概略図である。
【図15】Aプレート・リターダンスが、ガラス基板の一つの面に配置された稠密構造複屈折層によって提供され、−Cプレート・リターダンスが、ガラス基板の同じ面に配置された交互屈折率スタックによって提供される、全誘電体Aプレート/−Cプレート・トリム・リターダの概略図である。
【図16】Aプレート・リターダンスおよび−Cプレート・リターダンスの両方が、稠密構造複屈折層の交互屈折率スタックによって提供される、全誘電体完全機能Aプレート/−Cプレート・トリム・リターダの概略図である。
【図17】全誘電体完全機能A/−Cプレート・トリム・リターダを組み込んでいる、統合ディスプレイ・パネル・リッドの概略図である。
【符号の説明】
【0122】
50 装置
52a 第1るつぼ
52b 第2るつぼ
54a 第1キャルロッド・ヒータ
54b 第2キャルロッド・ヒータ
56 熱電対
57 光学モニタ
58a 第1結晶率モニタ
58b 第2結晶率モニタ
60 イオン補助堆積(IAD)源
70 基板(または部分)を支持するためのマウント
80 光学180°マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜め角度堆積を使用して形成された少なくとも1つの稠密構造複屈折層を備えた光学リターダであって、前記斜め角度および少なくとも1つの稠密構造複屈折層の全体の厚さが、偏光制御を提供するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される、光学リターダ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層が、前記層材料のバルク密度の約90%より大きい密度を有する、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層が、ほぼアモルファスである、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層が、誘電体薄膜を備える、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層が、金属酸化物を備える、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層が、Taからなる、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層が、反射防止薄膜スタックに組み込まれる、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項8】
前記Aプレート・リターダンスが、1と30nmの間の範囲にある、請求項1に記載の光学リターダ。
【請求項9】
光学リターダがトリム・リターダであり、前記斜め角度および前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層の前記全体の厚さが、液晶ディスプレイ・パネルの残留面内複屈折を補償するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される、請求項1から8のいずれかに記載の光学リターダ。
【請求項10】
前記液晶ディスプレイ・パネルの面外複屈折を補償するための−Cプレート・リターダンスを提供するように、第2屈折率を有する少なくとも第2の複数の誘電体層が挿入された、第1屈折率を有する第1の複数の誘電体層を含む、請求項9に記載の光学リターダ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層および前記構造複屈折反射防止スタックが、基板の対向面に結合される、請求項10に記載の光学リターダ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層および前記構造複屈折反射防止スタックが、基板の同じ面において縦続結合される、請求項10に記載の光学リターダ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層および前記構造複屈折反射防止スタックが、前記液晶ディスプレイ・パネルのカバー・プレートに結合される、請求項10に記載の光学リターダ。
【請求項14】
斜め角度堆積を使用して、少なくとも1つの稠密構造複屈折層を表面上に堆積させる光学リターダを製作する方法であって、前記斜め角度および前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層の全体の厚さが、偏光制御を提供するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される、光学リターダを製作する方法。
【請求項15】
前記斜め角度堆積が、エネルギー・プロセスを含む、請求項14に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項16】
前記エネルギー・プロセスが、イオン補助堆積を含む、請求項14に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項17】
前記斜め角度が、広範な範囲の入射蒸気フラックス角度を含む、請求項14に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項18】
前記平均堆積角度が、約40°より小さい、請求項17に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項19】
最大堆積角度が、約40°より小さい、請求項17に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項20】
前記斜め角度堆積が、前記最大堆積角度を低減するためにマスクを使用する、請求項17に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項21】
光学リターダがトリム・リターダであり、前記斜め角度および前記少なくとも1つの稠密構造複屈折層の前記全体の厚さが、液晶ディスプレイ・パネルの残留面内複屈折を補償するためのAプレート・リターダンスを提供するように選択される、請求項14に記載の光学リターダを製作する方法。
【請求項22】
光源と、
前記光源からの光を受光し、第1線形偏光軸を有する第1線形偏光を透過させるための第1偏光子と、
前記第1線形偏光を光学変調させるための、残留複屈折を有する液晶ディスプレイ・パネルと、
前記光学変調光を受光し、第2線形偏光軸を有する第2線形偏光を透過させるための第2偏光子と、
前記第2線形偏光をスクリーン上に投影するための投影レンズと、
前記液晶ディスプレイ・パネルの前記残留複屈折を補償するための請求項1から8のいずれかに記載の光学リターダとを備える、液晶ディスプレイ・ベース投影システム。
【請求項23】
前記トリム・リターダが、380nmと800nmの間の波長領域において0nmと−1000nmの間の面外リターダンス、および380nmから800nmの間の波長領域において1nmと30nmの間の面内リターダンスを有する、請求項22に記載の液晶ディスプレイ・ベース投影システム。
【請求項24】
トリム・リターダが、前記液晶ディスプレイ・パネルと統合される、請求項22に記載の液晶ディスプレイ・ベース投影システム。
【請求項25】
前記液晶ディスプレイ・パネルが、VANモードLCoSマイクロディスプレイ・パネルであり、前記第1偏光子および前記第2偏光子が、同じ偏光ビーム・スプリッタである、請求項22に記載の液晶ディスプレイ・ベース投影システム。
【請求項26】
前記トリム・リターダの速軸が、前記投影システムのシステム・コントラスト・レベルが増大するように配向される、請求項22に記載の液晶ディスプレイ・ベース投影システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−188060(P2007−188060A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−327831(P2006−327831)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】