説明

薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置

【課題】薄用紙ロール製品における薄用紙の巻き長さを簡易に測定することができるようにする。
【解決手段】
薄葉紙ロールの管芯に挿通される支持ローラと、連続薄葉紙を巻取るための巻き取りローラと、巻き取りローラを支承して巻き取りローラに回転力を伝える一対の駆動ローラと、駆動ローラを回転駆動させるための駆動原と、支持ローラと巻き取りローラとの間に位置するガイドローラと、ガイドローラに周接するように配され、前記ガイドローラとの間を通る連続薄葉紙をニップするとともに、その連続薄葉紙の移動に伴って回転される測定ローラと、前記測定ローラの円周と回転数とに基づいて前記ガイドローラと支持ローラとの間を通過する薄葉紙の長さを算出する算出装置とを備える薄葉紙ロール製品の巻き長さ測定装置により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットロールやキッチンロール等の帯状の薄葉紙を巻取ってロール状とした薄葉紙ロールは、よく知られているところであるが、かかる製品の品質に関しては各製品毎における巻き長さ(巻かれている帯状の連続薄葉紙の総長さ)が一定であることが求められる。
このため、業界においては、製品ロット毎の巻き取り長さの誤差を小さくするため、或いは適時の検査のために製品の一部を抜き取って、その長さを測定する検査を行なっている。
この測定は、巻き取られた連続薄葉紙を巻きほどき、直線状の展開した後に、巻き尺などの既知の測定手段によって測定していた。
しかしながら、かかる製品の長さは、製品の大きさからしてみると極めて長く、例えば、トイレットロールのようなコンパクトな製品であっても、その巻き長さは30mを超える。このため、この検査は極めて煩雑な操作であるとともに、その測定誤差も大きいものであった。
【特許文献1】特開2003−240534号公報
【特許文献2】特許3908050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、かかる製品を製造現場や市販する店舗等において、簡易かつ正確に測定でき、しかもコンパクトな巻き長さの測定装置が求められていた。
本発明は、このような問題点に鑑みて、かかる薄用紙ロールの巻き長さの測定装置を提供することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
薄葉紙ロール製品の巻き長さを測定するための装置であって、
薄葉紙ロールの管芯に挿通される支持ローラと、
連続薄葉紙を巻取るための巻き取りローラと、
巻き取りローラを支承して巻き取りローラに回転力を伝える一対の駆動ローラと、
駆動ローラを回転駆動させるための駆動原と、
支持ローラと巻き取りローラとの間に位置するガイドローラと、
ガイドローラに周接するように配され、前記ガイドローラとの間を通る連続薄葉紙をニップするとともに、その連続薄葉紙の移動に伴って回転される測定ローラと、
前記測定ローラの円周と回転数とに基づいて前記ガイドローラと支持ローラとの間を通過する薄葉紙の長さを算出する算出装置とを備えることを特徴とする薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置。
【0005】
<請求項2記載の発明>
前記測定ローラとガイドローラとの間のニップ圧が50〜1000gf/cmである請求項1記載の薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置。
【0006】
<請求項3記載の発明>
支持ローラとガイドローラと巻き取りローラとの位置関係が、支持ローラよりも上方にガイドローラが位置しているとともに、各ローラの軸心同士を結ぶ仮想線によって三角形が形成される位置関係にあり、かつ、ガイドローラの軸心を頂点とする角の角度が90〜150°である請求項1又は2記載の薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンパクトであり、しかも簡易に正確に薄葉紙ロールの巻き長さを測定できる装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について詳説する。
本発明の薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置は、図1に示すように、底板1とこれに立設された支持板2とからだなる台座部分と、前記支持板2から水平に張り出すように配された軸心方向同一かつ周面平行な複数の回動自在なローラ群とを有する(図1において各ローラは、紙面から飛び出す方向に向かって突出している)。
【0009】
前記ローラ群は、少なくとも支持ローラ10、駆動ローラ20,20、巻き取りローラ30、ガイドローラ40、測定ローラ50で構成され、少なくとも測定ローラ50と駆動ローラ20以外のローラについては、支持板からの突出長さが、少なくとも薄葉紙ロールの幅よりも長くなっている。
【0010】
測定対象が、トイレットロールやキッチンロール等の薄葉紙ロールであることを考慮すれば、それらのローラの突出長さは100〜250mm程度であれば十分である。
【0011】
各ローラについて詳述すると、前記支持ローラ10は、薄葉紙ロール3の管芯に挿通されて、薄葉紙の絶対的な位置を定めるためのものである。支持ローラ10自体は、回動自在であるか否かはとはないが、少なくとも測定する薄葉紙ロール3の回転を妨げない程度の直径をなす。測定対象が、トイレットロールやキッチンロール等の薄葉紙ロールであることを考慮すれば、25〜30mm程度の断面直径があれば十分である。なお、この支持ローラ10は、本発明では、ローラと称するが、必ずしも断面円形の筒状である必要はなく、薄葉紙ロール3の回転を妨げない範囲で適宜の断面形状の棒とすることができる。もちろん、薄葉紙ロール3が挿通されたのちに、薄葉紙ロール3の意図しない落脱を防止する適宜の機構を備えていてもよい。
【0012】
他方、前記駆動ローラ20,20は、本発明では一対一組で構成され、これらの駆動ローラ20,20のうち、少なくとも一つには、既知のモータ等の駆動原25により駆動可能とされており、当該駆動原25によって回転させられるように構成されている。なお、図示例では、駆動ベルト25Bを介して駆動原25からの駆動力が駆動ローラ20,20に伝達されるように構成されていが、この形態には限られない。
【0013】
また、駆動ローラ20,20は、巻き取りローラ30及びこれに巻かれる薄葉紙3Aに対して、適度な摩擦を有する周面とされる。具体的には、金属ローラであればローレット加工を施したり、また、天然ゴム、合成ゴムなどの適宜のゴム素材によって周面を被覆したり、周面の適宜の位置に配して滑り止め加工されたローラとするのがよい。
この駆動ローラは、巻き取りローラを支承すべくその断面直径は、50〜90mm程度であるのがよい。
【0014】
他方、前記巻き取りローラ30は、前記一対の駆動ローラ20,20上に支承されており、駆動ローラ20,20の回転にともなって回転される。
この巻き取りローラ30は、薄葉紙ロール3から巻きほどかれた連続薄葉紙3Sが巻かれるものであり、巻き初めにおいて薄葉紙が滑らないように、薄葉紙に対して適度な摩擦を有する周面とされる。具体的には、天然ゴム、合成ゴムなどの適宜のゴム素材によって周面を被覆したり、周面の適宜の位置に配して滑り止め加工されたローラとするのがよい。
巻き取りローラ30は、薄葉紙ロール3の管芯と同程度の径とするか、又はそれよりも小径とするのがよい。概ね25〜30mm程度とするのがよい。
【0015】
また、巻き取りローラ30は、連続薄葉紙の巻き取りによる径の増加に対応可能とすべく、支持アーム35によって前記駆動ローラ20,20側に向かって自重による若干の付勢を有しつつ、揺動可能に支持されている。
したがって、使用時(測定時に)において、巻き取りローラに連続薄用紙が巻かれた状態のものが駆動ローラによって支承されることになる。
【0016】
他方、ガイドローラ40は、支持ローラ10と巻取りローラ30との間において、ガイドローラから送り出される連続薄葉紙3Sの方向を巻き取りローラ方向へ所定角をもって変更する位置に配されている。
このガイドローラ40により、連続薄葉紙3Sに対して実際の使用時に近い適度なテンションが付与されるとともに、巻き取り時における過回転が防止される。また、測定する薄葉紙の流れ方向を変化させることで装置自体のコンパクト化にも寄与する。
このガイドローラ40は、連続薄葉紙3Sに対して実際の使用時に近い適度なテンションの付与等の効果を奏すべく、また、後述する測定ローラ50及び他のローラとの位置関係による測定精度の向上の効果を得るべく、その直径に関しては、他のローラと比較して大きく、30〜200mm程度とするのがよい。30mm未満であると、テンションが過度となったり、測定精度が悪化する。他方、200mmを超えると装置のコンパクトとならなくなる。
【0017】
他方、測定ローラ50は、前記ガイドローラ40に周接するように配され、前記ガイドローラ40との間を通る連続薄葉紙をニップするとともに、その連続薄葉紙3Sの移動に伴って回転されるように構成されている。なお、測定ローラ50はガイドローラ40に周接するように配されるが、当然に測定時には、測定ローラ50とガイドローラ40との間に薄葉紙が存在するため接触しないことはいうまでもない。
【0018】
また、測定ローラ50は、ガイドローラ40の斜め上方からガイドローラ40に接しており、適度なニップ圧を確保すべく、支持ローラ50と同様に、支持アーム45によって自重による若干の付勢を有しつつ、揺動可能に支持されている。
【0019】
ここで、効果的な測定ローラ50とガイドローラ40とのニップ圧は50〜1000gf/cmするのがよい。過度に高いと薄葉紙が延びてしまい、過度に小さいと測定ローラ50が連続薄葉紙の移動によって回転されなくなる。
さらに、測定ローラ50は、連続薄葉紙3Sの流れにともなって回転されるように、その周面は支持ロール30と同様に滑り止め加工されているのが望ましい。
【0020】
他方、本装置X1は、連続薄葉紙3Sの終端が通過したのちに勢いによって測定ローラ50が過度に回転しないようにブレーキ機能を備えるのがよい。なお、このブレーキ機能は、例えば、ガイドローラ40を適度に重量のあるものとして、回転に要する力を調整することで機能付けることができる。
【0021】
他方、本装置X1は、前記ローラ群とともに、この測定ローラ50の円周と回転数とに基づいて前記ガイドローラ40と支持ローラ50との間を通過する薄葉紙3Sの長さを算出する算出装置60を備えている。この算出装置60は、例えば、測定ローラ50の円周×回転数から測定ローラ50に接しつつ流れていく帯状物の長さを測定するとともに、当該長さを表示する表示機能(図示しない)を有する既知の算出装置を用いることができる。具体的には、既知のデジタル又はアナログの回転計を用いることができる。
【0022】
他方、本装置X1では、測定時に伸びによる誤差が生じやすい薄葉紙の特徴を考慮して、当該延びによる誤差を小さくするために、図1に示されるとおり、支持ローラ10とガイドローラ40と巻き取りローラ30との位置関係が、支持ローラ10よりも上方にガイドローラ40が位置しているとともに、各ローラ10,40,30の軸心同士を結ぶ仮想線によって三角形(図中の一点鎖線で示す)が形成される位置関係にあり、かつ、ガイドローラの軸心を頂点とする角∠Aの角度が90〜150°であるのがよい。
さらには、支持ローラ∠Bを頂点とする角の角度が10〜70°、巻き取りローラ∠Cを頂点とする角の角度が10〜70°であるのが望ましい。さらに∠Bと∠Cとは、5°以下の差であるのがよく、特には等角であるのが望ましい。
【0023】
このようなローラの位置関係とすると、上述の前記ガイドローラ40の直径を大きくしたことの効果と相まって、装置をコンパクトにできるとともに、支持ローラ10にセットした薄葉紙ロール3から繰り出された連続薄葉紙3Sが巻き取りローラ30に巻かれるという本装置の原理上発生する、支持ロール10にセットされた薄葉紙ロール3の径の減少と巻き取りロール30がわの径の増加という変動があっても、ガイドローラ40による効果的なテンションの付与と、測定ローラ50とガイドローラ40との確実なニップが発揮される。
【0024】
また、支持ローラ10とガイドローラ40との離間距離(周面間の最短距離)は、100〜250mmであるのが望ましい。100mm未満であると、薄葉紙ロール3を支持ロール10にセットしたときに、ガイドロール40との距離が近くなりすぎて繰り出される薄葉紙に対してガイドロール40によってテンションが適度に付与されなくなる場合がある。また、250mmを超えるとコンパクトな装置とは言えなくなる。
【0025】
次いで、本装置X1の使用方法及び測定原理について説明する。
まず、支持ローラ10に測定対象となる薄用紙ロール3をセットする。次いで、薄用紙ロール3から連続薄用紙3Sを巻きほどき、その端部をガイドローラ40と測定ローラ50との間に通しつつ、巻き取りローラ30に数回巻きつける。なお、測定ローラ50とガイドローラ40との間に連続薄用紙3Aを通す際には、測定ローラ50を過度に回転させないように注意する。
【0026】
そして、巻き取りローラ30に連続薄用紙3Sを巻いたならば、駆動ローラ20,20を適宜の速度で駆動して回転させ、これに応じて巻き取りローラ30を回転させる。
この巻き取りローラ30の回転によって、薄葉紙ロール3から順次連続薄葉紙3Sが繰り出され、ガイドローラ40と測定ローラ50との間を連続薄葉紙3Sが流れる。そして、この流れにともなって、ガイドローラ40及び測定ローラ50が回転され、当該測定ローラの回転数と円周から算出装置が当該位置を通った連続薄葉紙3Sの長さを算出し表示部に表示する。
【0027】
薄葉紙ロール3の巻き開始端、すなわち最も芯に近い部分が、測定ローラ50とガイドローラ40との間を通過するとブレーキ機能によってガイドローラ40と測定ローラ50はその回転が止まる。そして、この時点において算出装置60に設けられた表示部から薄葉紙の長さを読み取る。
【0028】
以上、詳述のとおり、本発明の装置X1によれば、装置自体の大きさがコンパクトであり、しかも、実際の使用に近い状態で、簡易に薄葉紙ロールの巻き長さを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる装置の側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1…底板、2…支持板、3…衛生薄葉紙ロール、3S…連続薄葉紙、10…支持ローラ、20…駆動ローラ、25…駆動原、25B…駆動ベルト、30…巻き取りローラ、35…支持アーム、40…ガイドローラ、45…支持アーム、50…測定ローラ、60…算出装置。∠A…ガイドローラの軸を頂点とする角、∠B…支持ローラを頂点とする角、∠C…巻き取りロールを頂点とする角、X1…巻き長さ測定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉紙ロール製品の巻き長さを測定するための装置であって、
薄葉紙ロールの管芯に挿通される支持ローラと、
連続薄葉紙を巻取るための巻き取りローラと、
巻き取りローラを支承して巻き取りローラに回転力を伝える一対の駆動ローラと、
駆動ローラを回転駆動させるための駆動原と、
支持ローラと巻き取りローラとの間に位置するガイドローラと、
ガイドローラに周接するように配され、前記ガイドローラとの間を通る連続薄葉紙をニップするとともに、その連続薄葉紙の移動に伴って回転される測定ローラと、
前記測定ローラの円周と回転数とに基づいて前記ガイドローラと支持ローラとの間を通過する薄葉紙の長さを算出する算出装置とを備えることを特徴とする薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置。
【請求項2】
前記測定ローラとガイドローラとの間のニップ圧が50〜1000gf/cmである請求項1記載の薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置。
【請求項3】
支持ローラとガイドローラと巻き取りローラとの位置関係が、支持ローラよりも上方にガイドローラが位置しているとともに、各ローラの軸心同士を結ぶ仮想線によって三角形が形成される位置関係にあり、かつ、ガイドローラの軸心を頂点とする角の角度が90〜150°である請求項1又は2記載の薄葉紙ロールの巻き長さ測定装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−107480(P2010−107480A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282378(P2008−282378)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】