説明

薬物誘発性手足症候群を治療するための組成物および方法

本発明は、それを必要とする被験体における手足症候群を治療、改善または予防する方法であって、前記被験体に治療有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権に関する陳述]
本発明は、その全内容が引用により本明細書の一部をなす2009年10月16日に出願された米国仮特許出願第61/279,091号明細書の、米国特許法第119条(e)項の下での恩典を主張するものである。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、ホスホジエステラーゼ阻害剤を使用して薬物誘発性手足症候群を治療するための組成物および方法に向けられる。
【背景技術】
【0003】
手足症候群(HFS)としても公知である手掌足底感覚異常症(PPE)は、手掌および足裏の組織が赤くなり、痛みを伴って肥厚化する、しばしば発生する皮膚学的毒性であり、水疱形成および皮膚の剥離が発生することがある。
【0004】
PPEには、多数の一般的に使用される抗癌剤、特にVEGFキナーゼ阻害剤のソラフェニブ(Nexevar(商標))およびスニチニブ(Sutent(商標))、5−フルオラシル静注(5−FU)、カペシタビン(Xeloda(商標))、およびリポソームドキソルビシン(Doxil(商標))が関係している。毎年、世界中で400,000人を超える患者がこれらの薬剤で治療されている。PPEは、これらの抗癌剤について用量維持、減量および/または治療中止とされる場合の中でも最も一般的な理由である。任意のグレード(グレード1〜3)のPPEの発生頻度は、スニチニブについては21%まで、ソラフェニブについては30%まで、カペシタビンについては54%まで、およびリポソームドキソルビシンについては51%までである(1−4)。重度(グレード3)のPPEの発生頻度は、スニチニブについては5%まで、ソラフェニブについては8%まで、カペシタビンについては17%まで、およびリポソームドキソルビシンについては24%までの患者において見られる(1−7)。そこで、PPEは、PPEが直接的に誘発する苦痛のためだけではなく、毒性がその他の点では効果的な抗癌療法の潜在的利点を制限することが多いために、重要な毒性を表している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PPEを管理するための看護の基準は、現在は皮膚軟化剤の使用および関連する抗癌治療の中断または減量しか包含していない。PPEのためのより効果的なメカニズムに基づく療法が緊急に必要とされる。
【0006】
本発明は、被験体におけるPPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療する組成物および方法を提供することによって当分野における従来の欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被験体におけるPPE(例えば、薬物誘発性PPE)を特徴とする状態を治療、改善、および/または予防するための組成物および方法を提供する。
【0008】
本発明の1つの態様は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)におけるPPEを治療するために、前記被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む(comprise)、投与するステップからなる(consist of)、または投与するステップから実質的になる(consist essentially of)、被験体におけるPPEを治療する方法を提供する。
【0009】
本発明のまた別の態様は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)におけるPPEを改善するために、前記被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む、投与するステップからなる、または投与するステップから実質的になる、被験体におけるPPEを改善する方法を提供する。
【0010】
本発明のまた別の態様は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)におけるPPEを予防するために、前記被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む、投与するステップからなる、または投与するステップから実質的になる、被験体におけるPPEを予防する方法を提供する。
【0011】
本発明の所定の実施形態では、PPEは、薬物誘発性である。
【0012】
本発明の追加の態様は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)における薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療ために、前記被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む、投与するステップからなる、または投与するステップから実質的になる、被験体における薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療する方法を提供する。
【0013】
本発明のまた別の態様は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)における薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を改善するために、前記被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む、投与するステップからなる、または投与するステップから実質的になる、被験体における薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を改善する方法を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)における薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を予防するために、前記被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップを含む、投与するステップからなる、または投与するステップから実質的になる、被験体における薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を予防する方法を提供する。
【0015】
本明細書で追加して提供するのは、被験体(例えば、それを必要とする被験体)におけるPPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状の治療、改善および/または予防におけるホスホジエステラーゼ阻害剤の使用である。
【0016】
本明細書でさらに提供するのは、被験体(例えば、それを必要とする被験体)におけるPPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療、改善および/または予防するための医薬品の製造におけるホスホジエステラーゼ阻害剤の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原理の理解を促進する目的で、以下では例示的な実施形態を参照し、同一物を説明するために特定の言語を使用する。しかし、それにより本開示の範囲を限定することは意図しておらず、本明細書に示した本発明の当該の変形およびさらなる改変は、本開示が属する分野の当業者であれば自然に想到することができることは想定されていることが理解される。
【0018】
冠詞「1つの(a,an)」および「その(the)」は、本明細書では1つまたは2つ以上(つまり、少なくとも1つ)の冠詞の文法上の目的語を意味するために使用される。例えば、「1つの要素」は少なくとも1つの要素を意味し、2つ以上の要素(例えば、多数または複数の要素)を包含することができる。
【0019】
本明細書で使用する用語「および/または」は、1つ以上の関連する列挙した項目のいずれかおよび全部の考えられる組み合わせ、ならびに選択的(「または」)に解釈される場合は組み合わせの欠如を意味し、含んでいる。
【0020】
本明細書で使用する用語「約」は、質量、用量、時間、温度などの測定可能な数値に関連して使用される場合は、規定量の20%、10%、5%、1%、0.5%、または0.1%の変化量さえ含むことが意図されている。
【0021】
本明細書で使用する「1(つ)以上」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の任意の数までを意味することができる。
【0022】
他に規定しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。
【0023】
本明細書で使用する用語「被験体」および「患者」は、本明細書では同義的に使用され、ヒトおよび非ヒト動物の両方を意味する。用語「非ヒト動物」には、全ての脊椎動物、例えば哺乳動物および非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ブタ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類、齧歯類(例えば、マウス、ラットなど)などが包含される。特定の実施形態では、本発明の被験体は、ヒト被験体である。
【0024】
本発明の薬物は、化学療法薬、抗癌薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、抗血管薬、抗感染薬、リポソーム薬、リポソーム抗真菌薬、抗血管上皮成長因子(抗VEGF)薬、PPEに関連する薬物、および/またはPPEおよび/または薬物毒性の反応、状態、障害および/または症状、およびそれらの任意の組み合わせに関連することが公知であるか考えられる、現在公知の任意の他の薬物もしくは後に同定される任意の他の薬物であってよいが、それらに限定されない。「PPEに関連する」薬物は、本明細書に記載したように、単独および/または他の薬物と組み合わせて、PPEの症状を生じさせる、かつ/または悪化させることが公知または考えられる任意の薬物であってよい。薬物毒性に関連する薬物は、本明細書に記載したように、単独または他の薬物と組み合わせて、薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を生成および/または悪化させることが公知または考えられる任意の薬物であってよい。
【0025】
一部の実施形態では、本発明の薬物は、低用量で投与された場合、および/または静脈内注射以外で投与された場合、および/またはPPEおよび/または本明細書に記載した反応、障害および/または症状に関連する他の薬物の非存在下で投与された場合には、PPEおよび/または本明細書に記載したその他の反応障害および/または症状に関連しない薬物であることができる。しかし、高用量で投与された場合、および/または静脈内注射(例えば、持続静脈内注射)によって投与された場合、および/またはPPEおよび/または本明細書に記載した反応、障害および/または症状に関連する他の薬物とともに投与された場合には、PPEおよび/または本明細書に記載した他の反応、障害および/または症状に関連するようになる薬物であることができる。
【0026】
PPEの臨床症状およびPPEを診断する方法は、当分野において公知である。PPEの症状には、発赤、圧痛、乾燥、灼熱、痛み、潰瘍、腫脹、剥離、ひび割れ、水疱形成、しびれ、刺痛、肥厚、硬化および疼痛の外観、発現、発生および/または悪化(例えば、増悪)が包含されるが、それらに限定されない。
【0027】
薬物毒性の臨床症状および薬物毒性に関連する反応および/または障害を診断する方法は、当分野において公知である。本発明の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状には、当分野において公知であるように、それらのあらゆる組み合わせを包含する、疲労、偏頭痛、消化管毒性(例えば、下痢、腸炎、結腸炎、瘻/胃腸穿孔など)、腸および/または他の器官(例えば、鼻中隔、気管、肺など)の穿孔または瘻形成、異常または遅延性の創傷治癒、出血(例えば、軽度から重度の粘膜出血(例えば、鼻血、痔核)、喀血、上部消化管出血、腫瘍出血など、腎毒性(例えば、タンパク尿、腎炎症候群、腎血行動態または糸球体または尿細管血流および/または透過性における変化に起因する腎不全、糸球体損傷など)、抗血管内皮細胞成長因子(抗VEGF)毒性、抗血管新生毒性、心血管系合併症、動脈血栓塞栓事象(例えば、心筋梗塞、狭心症、心虚血、脳血管事象、一過性虚血事象、卒中、脳虚血など)、脳血管系合併症などの外観、発現、発生および/または悪化(例えば、増悪)が包含されるが、それらに限定されない。
【0028】
本明細書に記載した反応、障害および症状は、当分野において公知であるように、単独または化学療法もしくは他の薬物療法との組み合わせで放射線療法の結果の可能性がある。そこで、本発明のホスホジエステラーゼ阻害剤は、本明細書に記載した方法において、そのような放射線に関連する反応、障害および/または症状を治療する、改善する、および/または予防するために使用できる。
【0029】
PPEに関連する、かつ/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状に関連する本発明の薬物の非限定的例には、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、リニファニブ、ベバシズマブ、5−フルオロウラシル、カペシタビン、フロキシウリジン、araC、リポソームaraC、ドキソルビン、ダウノルビシン、イダルビシン、リポソームドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、リポソームアムホテリシンB(例えば、AmBisome(登録商標);Fungisome(商標)、Amphotec(登録商標)、Abelcet(登録商標)、Ampholip(商標))、インターロイキン−2(IL−2)、イダルビシンおよびそれらの任意の組み合わせが包含される。本発明の薬物のまた別の非限定的例には、それらの任意の組み合わせを包含する、Abraxane(登録商標)、抗エストロゲン薬、アントラサイクリン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルベキサタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イマチニブ、インターフェロン類、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、レチノイン酸、タキソテール、タモキシフェン、テニポシド、チオテパ、チオグアニン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン、ならびにPPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状に関連することが現在公知である、または後に同定される任意の他の薬物が包含される。本発明の組み合わせの非限定的例には、1)ベバシズマブと5−フルオロウラシル、2)ベバシズマブとカペシタビン、および3)オキサリプラチンと5−フルオロウラシルが包含される。
【0030】
本発明のホスホジエステラーゼ阻害剤[例えば、ホスホジエステラーゼ5型(PDE−5)阻害剤]の非限定的例には、シルデナフィル、クエン酸シルデナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、アバナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィルおよびそれらの任意の組み合わせが包含される。
【0031】
本発明の方法では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、前記被験体に任意の適切な手段によって、例えば局所的、経口的および/または非経口的に投与することができる。局所投与は、PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療または予防するために使用できる。経口および/または潜在的(例えば、静脈内)投与は、PPEを治療または予防するためだけではなく、一部の実施形態では、本発明の薬物の使用に関連する全身性毒性反応および/または関連症状を治療または予防するためにも使用できる。
【0032】
ホスホジエステラーゼ阻害剤の局所投与のためには、約0.0001%〜約20%の範囲内の用量を使用できる。例えば、一部の実施形態では、約0.005%〜約5%の範囲内の用量を使用でき、そして一部の実施形態では、約0.05%〜約2%の範囲内の用量を使用できる。ホスホジエステラーゼ阻害剤の経口または非経口投与のためには、約1μg〜約500mgの範囲内の用量を使用できる。例えば、一部の実施形態では、約0.5mg〜約100mgの範囲内の用量を使用でき、そして一部の実施形態では、約1mg〜約50mgの範囲内の用量を使用できる。投与は、当分野において公知の臨床パラメータによって指示されるように、1日1回または2回以上、毎週1回または2回以上、毎月1回または2回以上などであってよい。
【0033】
様々な局所製剤が可能である。製剤は、様々な濃度のクリーム剤および軟膏剤を包含することができる。局所製剤は、パッチおよび/または他の被覆剤内に包埋される薬物を使用して適用できる。本発明のクリーム剤の非限定的例には、アマンチル(amantyl)クリームおよびコールドクリーム(例えば、油、ワックスおよび水のエマルジョン)が包含される。
【0034】
典型的な実施形態では、1つの用途は、本発明の薬物(例えば、化学療法薬および/または抗血管新生薬)に関連する皮膚学的血管毒性のためである。このアプローチの直接的拡張は、放射線誘導性血管損傷に関連すると考えられる短期および長期放射線誘発性毒性の治療である。粘膜炎(直腸炎、膣炎、膀胱炎を包含する)の治療はさらにまた、局所投与される液剤またはペースト剤を包含する他の局所送達アプローチを用いても可能である。
【0035】
「それを必要とする被験体」または「〜を必要とする被験体」は、PPEおよび/または他の薬物毒性に関連する、および/または放射線に関連する障害および/または症状を有する、もしくは発生すること、または本明細書に記載したPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する、または放射線に関連する障害および/または症状を発生するリスク状態にあることが公知である、または疑われる被験体である。例示的な実施形態では、本発明の被験体は、さらにまた以前にはPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する、または放射線に関連する障害および/または症状を有することが公知ではない、または疑われない被験体、またはPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する、および/または放射線に関連する障害および/または症状に対する治療を必要とする被験体もまた包含することができる。
【0036】
本発明の被験体は、さらにまたPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する障害および/または症状を有することが公知である、またはPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する障害および/または症状を有する、もしくは発生するリスク状態にあると考えられることが公知の被験体である。特定の実施形態では、本発明によるそれを必要とする被験体は、PPEおよび/または他の薬物毒性関連障害および/または症状に関連する薬物を摂取する被験体であり、そのような薬物自体は当分野において公知であり、本明細書に記載されている。本発明の所定の実施形態では、被験体は、癌を有すると診断された、または疑われた被験体、ならびに癌に対する治療を受けている被験体である。一部の実施形態では、被験体は、PPEまたは本明細書に記載した他の毒性反応、障害もしくは症状に関連する薬物を用いた治療が適応である障害または状態を有すると診断された、または疑われた被験体、ならびにそのような本発明の薬物が投与されている、または投与される予定である被験体である。本発明の被験体は、さらにまた放射線治療が適応とされる障害を有すると診断された、または疑われる被験体、ならびに放射線治療を受ける予定、またはすでに受けている被験体である。
【0037】
特定の実施形態では、本発明の被験体には本発明の組成物を、たとえ該被験体がPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する、または放射線に関連する障害および/または症状を有することが公知ではない、または疑われない場合でさえ(例えば、予防的に)投与することができる。
【0038】
本発明の方法および組成物を用いて治療、改善および/または予防される、薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状は、本明細書に記載されていて(例えば、本明細書に提供した上記第17段落および実施例のセクションにおける第55段落を参照されたい)、当分野においても公知である。そのような反応、障害および/または症状は、本発明の被験体(例えば、それを必要とする被験体)においてPPEの症状と一緒に、またはPPEの症状の非存在下で存在することがある。被験体への本発明の1つ以上のホスホジエステラーゼ阻害剤の投与は、任意の適切な経路(例えば、全身性の反応、障害および/または症状を治療するために経口的および/または例えば局所的(口腔、膀胱、膣、腸などにおけるような粘膜表面を治療するために局所的))によって行うことができる。例えば、1つ以上のホスホジエステラーゼ阻害剤は、被験体におけるPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療、改善および/または予防するために局所的および全身性(例えば、経口)の両方で該被験体に投与することができる。
【0039】
そこで本発明は、被験体(例えば、それを必要とする被験体)における薬物毒性に関連する、かつ/または放射線に関連する反応、障害および/または症状を治療、改善および/または予防する方法であって、該被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を該被験体に投与するステップを含み、それにより該被験体における該薬物毒性に関連する、かつ/または放射線に関連する反応、障害および/または症状を治療、改善および/または予防する方法をさらに提供する。
【0040】
また別の実施形態では、本発明は、薬物誘発性ではない{当業者には公知であるように、それらのあらゆる組み合わせを包含する、例えば疲労、偏頭痛、消化管毒性(例えば、下痢、腸炎、結腸炎、瘻/胃腸穿孔など)、腸および/または他の器官(例えば、鼻中隔、気管、肺など)の穿孔または瘻形成、異常または遅延性の創傷治癒、出血(例えば、軽度から重度の粘膜出血(例えば、鼻血、痔核)、喀血、上部消化管出血、腫瘍出血など)、腎毒性(例えば、タンパク尿、腎炎症候群、腎血行動態または糸球体または腎細管血流および/または透過性における変化に起因する腎不全、糸球体損傷など)、抗血管内皮細胞成長因子(抗VEGF)毒性、抗血管新生毒性、心血管系合併症、動脈血栓塞栓事象(例えば、心筋梗塞、狭心症、心虚血、脳血管事象、一過性虚血事象、卒中、脳虚血など)、脳血管系合併症}本明細書に記載した障害、状態および/または症状を治療、改善および/または予防する方法であって、本明細書に記載したそれを必要とする被験体に有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与するステップによる方法を提供する。
【0041】
褥瘡および他の圧迫潰瘍およびうっ血性潰瘍などの異常な創傷治癒の状態、ならびに糖尿病および末梢血管疾患に関連するコンプロマイズドもしくは異常な創傷治癒を伴う状態を包含する異常な血管機能に関連する他の疾患への適用もまた可能である。関連する適用は、包帯および縫合材料などの他の局所投与される臨床材料中にホスホジエステル阻害剤を包埋するステップを含むことになる。局所的もしくは包埋されたホスホジエステル阻害剤は、創傷治癒の速度、強度、または美容術もまた改良することができる。
【0042】
本明細書で使用する用語「状態」または「着目した状態」は、炎症性および/または血管性病理を包含する状態に関する。一部の実施形態では、本状態は、化学療法薬、抗血管新生薬などの薬物および/または抗血管性副作用を有する他の薬物に関連する炎症性および/または血管性障害を含んでいる。そのような障害には、PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状が包含されるがそれらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用する用語「投与するステップ」または「投与される」は、全部が本明細書に記載されている局所的、非経口および/または経口投与を包含すると意図されている。非経口投与には、制限なく、静脈内、皮下および/または筋肉内投与(例えば、骨格筋投与)が包含される。本発明の方法では、本発明のホスホジエステラーゼ阻害剤は、単独で、および/または1つ以上の他の化合物と同時に投与することができる。一部の実施形態では、本化合物は、任意の順序で連続的に投与することができる。投与の実際的方法および順序は、とりわけ、利用される化合物の特定製剤、利用される1つ以上の他の化合物の特定製剤にしたがって変動することは理解される。所定の一連の条件に対する本発明の化合物の最適な投与方法および投与順序は、従来型技術を使用しおよび本明細書に記載された情報を考慮すると、当業者であれば解明することができる。
【0044】
用語「投与するステップ」または「投与された」は、制限なく、経口、舌下、口腔、鼻腔、経皮、直腸、筋肉内、静脈内、心室内、気管内および皮下経路にさらに関する。特定の実施形態では、用語「投与するステップ」は、局所的(つまり、患者の皮膚/皮膚表面への本化合物の投与)に関する。局所投与の使用は、潜在的に高い局所濃度を許容し、それにより全身性毒性の活性を改良し、かつ/または全身性毒性の危険性を減少させることになる。優れた臨床実践によると、本発明の化合物は、過度の有害もしくは望ましくない副作用を誘発せずに効果的で有益な効果を生じさせる、つまり投与に関連する利点が有害な効果を上回る用量で投与できる。
【0045】
さらに本明細書で使用する用語「治療する」、「治療するステップ」または「治療」は、例えば、当分野において周知であるように、被験体の状態(例えば、1つ以上の症状)の改良;障害、疾患もしくは疾病の進行の遅延;疾患、障害、もしくは疾病の発生の遅延;および/または状態、障害、疾患もしくは疾病の臨床パラメータにおける変化を包含する、例えばある状態、障害、疾患もしくは疾病に悩まされた被験体にとって有益な、および/または治療的効果であってよい調節効果を付与する任意のタイプの作用に関する。
【0046】
「有効量」または「治療有効量」は、治療的および/または有益な効果であってよい、所望の効果を得るために十分である本発明の化合物または組成物の量に関する。有効量は、被験体の年齢および一般的状態、治療される状態の重症度、投与される特定薬剤、治療の期間、任意の併用療法の性質、使用される医薬上許容される担体、および当業者の知識および専門技術の範囲内の同様の要素によって変動する。必要に応じて、任意の個別症例における有効量もしくは治療有効量は、当業者であれば、適切な教科書および文献を参照して、および/またはルーチンの実験を使用することによって決定することができる(例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(最新版)を参照されたい)。
【0047】
本明細書で使用する用語「改善する」は、例えばPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状などの状態をより良くする、またはより忍容性にする能力に関する。用語「予防する」は、例えばPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状などの状態を発生または存在しないようにする、ならびに発生を遅延もしくは減少させる能力に関する。
【0048】
本発明の化合物、およびその医薬組成物は、本明細書に記載したように被験体に予防および/または治療目的のために投与することができる。
【0049】
治療用途では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、すでにPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を有する被験体に投与される。反応または障害の潜伏期または急性期にある被験体は、1つ以上のホスホジエステラーゼ阻害剤を用いて個別に、または必要に応じ当業者には公知である他の治療と組み合わせて治療することができる。
【0050】
さらに、治療用途では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、被験体にPPEの症状および/または合併症および/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を効果的に治療する、または少なくとも部分的に停止させる、軽減させる、かつ/または減少させるために十分な量で投与される。これを遂行するために適正な量は、「有効量」または「治療有効量」であると規定されている。この使用のために有効な量は、一部には使用される化合物、投与方法、治療される疾患の病期および重症度、被験体の体重および全身健康状態、および処方する医師の判定に左右される。
【0051】
さらに、本発明の組成物および方法は、PPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状などの薬物誘発性毒性に関連する状態を予防、治療、減少、および/または改善するために予防的に使用できる。有効量は、本明細書に記載したとおりである。さらに、当業者は、適切に予防的治療を調整または改変する方法についても知っているであろう。
【0052】
治療的投与は、PPEの疾患の初徴候もしくは症状の検出(例えば、手および/または足の発赤、腫脹、疼痛など)および/または本明細書に記載した他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状の検出で始めることができる。予防的投与は、PPEの任意の徴候もしくは症状および/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状に先行して始めることができる。そのような予防的投与は、それを必要とする被験体、例えばPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状に関連する1つ以上の薬物が投与される被験体に対してである。そこで、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、PPEに関連する薬物および/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状に関連する薬物の投与に先行して、および/または同時に、しかしPPEの症状および/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状の発生に先行して投与することができる。
【0053】
治療的および/または予防的治療のための医薬組成物は、粘膜(口腔、鼻腔、直腸、尿道、膣内、気管など)、非経口、局所性(topical)、または局所的(local)投与のために意図されている(粘膜投与は、気道、消化管、生殖管の表面などの粘膜面への本化合物の適用に関するので、局所投与とは相違することに留意されたい)。
【0054】
特定の実施形態では、本医薬組成物は、局所的に投与される、例えば皮膚上の罹患領域(例えば、手掌および/または足底)に適用される。その他の局所投与は、気道表面へ、例えば鼻腔面への液滴投与によって、またはエーロゾル粒子の鼻腔面もしくは他の気道通路の表面への吸入投与によって行なうことができ、または本明細書に記載したように創傷もしくは瘢痕形成を治療するなどのために皮膚へ行うことができる。そこで、本発明は、医薬組成物としての水性担体などの医薬上許容される担体中に溶解または懸濁させた本発明の化合物(例えば、ホスホジエステラーゼ阻害剤)を含むことができる局所(粘膜もしくは非粘膜)または非経口投与のための組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、当分野において公知であるように、アルブミン、リポソーム、ナノ粒子などを含むことができる。
【0055】
一部の実施形態では、本医薬組成物は、局所的に投与できる。様々な水性担体、例えば、水、緩衝用水、0.9%食塩液、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用できる。これらの組成物は、従来型で周知の滅菌技術によって滅菌できる、または滅菌濾過することができる。結果として生じる組成物は、そのままで使用のために包装でき、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥した製剤は投与前に無菌溶液と混合される。本組成物は、近似の生理学的状態に必要とされる医薬上許容される補助物質、例えば緩衝剤、等張性調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含有することができる。または、本開示による医薬組成物は、さらにまた乾燥粉末製剤中にあり得る。
【0056】
本発明のまた別の実施形態には、PPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療および/または予防するためのキットであって、ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む医薬組成物、ならびにPPEおよび/または他の薬物毒性に関連する反応、障害および/または症状を治療および/または予防するための使用についての取扱説明書を含むキットが包含される。本発明のキットの一部の実施形態では、本ホスホジエステラーゼ阻害剤は、局所投与のために調製することができる。
【0057】
当業者には理解されるように、本発明の各態様に対しては幾つかの実施形態および要素があり、様々な要素の全ての組み合わせはこれにより予想されるので、本明細書に例示した特定の組み合わせは、特許請求の範囲で主張した本発明の範囲限定と見なすべきではない。特定の要素が除かれ、または組み合わせで利用できる要素群に加えられる場合は、該要素群はそのような変化が組み入れられていると解釈すべきである。
【実施例】
【0058】
カペシタビンに関連するPPE2例とスニチニブに関連するPPE2例である患者4例をPPEに対する局所的シルデナフィルで治療した。全3例の患者において、彼らのPPEに関連する症状は、局所的シルデナフィル治療の結果として有意に改良された。この初期臨床経験は、そのような臨床試験を利用できなかったので、正式臨床試験のコンテキストの範囲外であった。この治療はさらに、これらの患者が彼らの癌に対する治療代替手段を有しておらず、彼らの抗癌療法を停止する、またはさらに減少することによって危険に曝される可能性が高かった強固な臨床的利益を得ていたので開始された。
【0059】
第1例の患者は、転移性膵癌および軽度のレイノー症候群(Raynaud’s syndrome)歴の両方を有していた。カペシタビンを用いた治療は、小さな反応を生じさせたが、グレード2〜3のPPEおよび、数本の指先において有痛性潰瘍を生じさせるレイノー症候群の激発によって悪化させた。カルシウムチャンネルブロッカーが失敗に終わった後、局所的2%シルデナフィルを潰瘍に適用すると、1週間以内に患者の疼痛ならびに指の潰瘍のサイズおよび深さにおける顕著な改善が生じた。重要なことに、潰瘍に隣接するPPEもまた改善した。次に局所的シルデナフィルを一方の手掌全体に適用すると、PPEにおける有意な改善が得られた。次に他の手掌および足裏が治療された場合に類似の改良が所見された。
【0060】
第2例の患者は、転移性結腸癌を備える女性であり、カペシタビン、オキサリプラチンおよびベバシズマブを用いると劇的な抗腫瘍応答を有した。しかし、彼女の治療には、グレード2〜3のPPEが併発し、これは用量維持および減量にもかかわらず持続した。患者は、5FU静注にイリノテカン+ベバシズマブを加えたレジメンに切り換えられたが、同様にグレード2〜3のPPEとも関連付けられた。5FUの投与は、手足症候群の重症度および持続性のために保持された。局所的シルデナフィルは、左手にのみ適用された。患者は、第8日に認められた左手の疼痛および発赤の改善に気付いた。第72日までに、手足症候群は両手において消散した。
【0061】
第3例の患者は、スニチニブを用いて治療されていたイマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍(GIST)を備える男性であった。スニチニブへの満足できる反応にもかかわらず、彼は、頻回な用量維持および減量を必要とする、グレード3のスニチニブに関連するPPEを経験した。彼は、1日3回局所的2%シルデナフィルを用いて治療された。特注製剤のための潜在的に有意な費用が掛かる状況において活性を保証するために、この患者は彼の左手にのみ局所的シルデナフィルを適用した。彼は、例えば頭痛、胸痛、めまいなどの副作用を経験せず、この治療月間中に特発性勃起は生じなかった。たった3回の投与(1日)後、彼は彼の手の圧痛および発赤の改善に気付いた。1週間後までに、疼痛、発赤および水疱は顕著に改善された。4週間後、発赤は顕著に良くなった;疼痛は消散した;多数の水疱、亀裂および肥厚は、全部が本質的に完全に消散した。この改善は「月とすっぽん」の違いであった。右手は、これらの合併症全部を有していた。これらは、患者が皮膚の肥厚ならびに疼痛が原因で手を半分以上閉じることが肉体的に困難であるほど重度であった。彼の左手は、完全に柔軟であった。両手への投与後、彼は何カ月間か経って初めて握手することができ、困難さや疼痛を伴わずに拳を握ることができ、聖歌隊でのギター演奏を再開することがでた。この患者には、後には週1回、1%局所的シルデナフィルが投与された。さらに、この患者はスニチニブ誘発性消化管毒性(腸炎、下痢)を経験したが、これは全身性吸収を許容するために経口シルデナフィルにより治療された。初期用量は、経口シルデナフィル1日50mgであった。これは1日以内に、彼の消化管毒性および手足症候群を急速に改善した。その後は必要に応じて、週1回または2回の4分の1錠(50mgサイズ)を包含する低用量が使用された。
【0062】
第4例の患者は、転移性血管肉腫を備える女性であり、彼女は4年以上にわたりスニチニブで治療されていた。彼女の治療には、グレード3のPPEが併発し、これは毎日投与の50mgから1日おき投与の12.5mg(つまり、週3回;例えば月−水−金)へのスニチニブの減量を必要とした。低用量のスニチニブでの腫瘍進行のためにスニチニブの用量は1日37.5mg(週7日間)へ増量されたが、これは彼女のPPEを再発させた。彼女の手足症候群は、彼女の右手および右足だけに(コールドクリームベースで)局所的2%シルデナフィルを用いた治療が開始された時点にはグレード1であった。右の手足は、1〜2週間以内に顕著に改善された。未治療の手足は悪化し続けた。注目すべきことに、患者の腫瘍は、高用量でのたった1カ月後に、高用量スニチニブへの応答の徴候を示した。
【0063】
これらの患者各々は最初は罹患した皮膚領域のうちの1つだけが治療され、その後に他の類似の罹患領域の治療が行われたので、各患者は自分自身のコントロールとして機能することができた。これらの患者のいずれにおいても、局所的または全身性副作用は経験されなかった。さらに、治療への癌の応答に有害な影響を示唆した患者もいなかった。
【0064】
これらをまとめると、PPEおよびこれらの4例についての公知の病態生理学は、局所的シルデナフィルがPPEの重症度を改善できることを指摘している。経口投与もまた全身性毒性の改善を生じさせた。
【0065】
本明細書に記載した方法および組成物の変形および改変は、当業者には明らかに想到される。したがって、上記の説明は例示であって限定する意図はないと受け取るべきである。
【0066】
本明細書で言及した特許文献または刊行物は、本発明が関係する分野の当業者の水準を示している。これらの特許文献および刊行物は、各個別の刊行物が詳細かつ個別に引用により組み込まれると示されているのと同程度まで引用することにより本明細書の一部をなす。
【0067】
当業者であれば、本発明が、目的を実施して、本明細書中で言及した、ならびにその中に内在する目標および利点を得るために良好に適合することを容易に理解できる。本発明の実施例は、本明細書に記載した方法、手順、処置、分子、および特定化合物と共に、現在は例示的実施形態を表すものであり、本発明の範囲に関する限定であることは意図されていない。以下に提供した、特許請求項の範囲によって規定される本発明の精神の中に含まれるその中の変化およびその他の使用は、当業者であれば想到することができる。
【0068】
参考文献
1.Bayer HealthCare Pharmaceuticals.ソラフェニブ処方情報(Sorafenib Prescribing Information). 2009.
2.Hoffman La Roche Laboratories Inc.カペシタビン処方情報(Capecitabine Prescribing Information). 2006.
3.Ortho Biotech.ドキシル処方情報(Doxil Prescribing Information). 2007.
4.Pfizer Labs.スニチニブマレート処方情報(Sunitinib malate Prescribing Information). 2009.
5.Lorusso D, Di Stefano A, Carone V, Fagotti A, Pisconti S, Scambia G.「ペグ化リポソームドキソルビンに関連する手掌足底感覚異常症(手足症候群)(Pegylated liposomal doxorubicin-related palmar-plantar erythrodysesthesia ('hand-foot' syndrome)」 Ann Oncol. 2007; 18(7):1159-64.
6.Walko CM, Lindley C.「カペシタビン:概説(Capecitabine: a review)」 Clin Ther. 2005; 27(1):23-44.
7.Lacouture ME, Wu S, Robert C, Atkins MB, Kong HH, Guitart J, et al.「多目的キナーゼ阻害剤ソラフェニブおよびスニチニブに関連する手足皮膚反応の管理のための進化する対策(Evolving strategies for the management of hand-foot skin reaction associated with the multitargeted kinase inhibitors sorafenib and sunitinib)」 Oncologist 2008;13(9):1001-11.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における手掌足底感覚異常症(PPE)を治療するために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を前記被験体に投与するステップを含む、被験体におけるPPEを治療する方法。
【請求項2】
被験体におけるPPEを改善するために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を前記被験体に投与するステップを含む、被験体におけるPPEを改善する方法。
【請求項3】
被験体におけるPPEを予防するために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を前記被験体に投与するステップを含む、被験体におけるPPEを予防する方法。
【請求項4】
前記PPEが、薬物摂取に関連する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
被験体における薬物毒性に関連する反応、障害または症状を治療するために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を前記被験体に投与するステップを含む、被験体における薬物毒性に関連する反応、障害または症状を治療する方法。
【請求項6】
被験体における薬物毒性に関連する反応、障害または症状を改善するために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を前記被験体に投与するステップを含む、被験体における薬物毒性に関連する反応、障害または症状を改善する方法。
【請求項7】
被験体における薬物毒性に関連する反応、障害または症状を予防する方法ために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を前記被験体に投与するステップを含む、被験体における薬物毒性に関連する反応、障害または症状を予防する方法。
【請求項8】
前記薬物が、化学療法薬、抗癌薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、抗血管薬、抗感染薬、抗VEGF薬、PPEに関連する薬物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記薬物が、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、リニファニブ、ベバシズマブ、5−フルオロウラシル、カペシタビン、フロキシウリジン、araC、リポソームaraC、ドキソルビン、ダウノルビシン、イダルビシン、リポソームドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、リポソームアムホテリシンB、インターロイキン−2、イダルビシンおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、シルデナフィル、クエン酸シルデナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、アバナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィルおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、前記被験体に局所投与される請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、前記被験体に経口投与される請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害または症状を治療および/または予防するための使用に対してホスホジエステラーゼ阻害剤を含む医薬組成物と取扱説明書とを含む、PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害または症状を治療および/または予防するためのキット。
【請求項14】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、局所投与のために処方される請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、シルデナフィル、クエン酸シルデナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、アバナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィルおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される請求項13または14に記載のキット。
【請求項16】
PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害または症状を治療するためのホスホジエステラーゼ阻害剤の使用。
【請求項17】
PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害または症状を改善するためのホスホジエステラーゼ阻害剤の使用。
【請求項18】
PPEおよび/または薬物毒性に関連する反応、障害または症状を予防するためのホスホジエステラーゼ阻害剤の使用。

【公表番号】特表2013−508295(P2013−508295A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534390(P2012−534390)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052836
【国際公開番号】WO2011/047256
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500093122)デューク・ユニヴァーシティ (7)
【Fターム(参考)】