説明

衝撃エネルギ吸収部材及びその製造方法

【課題】筒状の本体部2を座屈変形させることなく筒軸Z方向に安定して変形させることが可能でかつ取扱い性に優れた衝撃エネルギ吸収部材1を提供する。
【解決手段】本体部2が、変形部3と該変形部3の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部5及び複数の内周側変形制御部6とが一体成形されてなり、外周側及び内周側変形制御部5,6が、本体部2の筒軸Z方向において交互に配置されていて、該本体部2に対して筒軸Z方向に所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、変形部3の筒軸Z方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部3において本体部2外周部に位置する部分を本体部2径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部2内周部に位置する部分を本体部2径方向の内側へ塑性変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の本体部に対して筒軸方向に入力される圧縮荷重を吸収する、車両のクラッシュカン等に好適な衝撃エネルギ吸収部材及びその製造方法に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば車両のフロントサイドフレームの先端又はリヤサイドフレームの後端に、衝撃エネルギ吸収部材としてクラッシュカンを設けて、このクラッシュカンにより、車両の正面衝突時や後面衝突時の衝撃エネルギ(衝撃圧縮荷重)を吸収するようにすることはよく知られている。
【0003】
上記クラッシュカン等の衝撃エネルギ吸収部材においては、衝撃エネルギの吸収性能を向上させるべく種々の提案がなされている。例えば特許文献1では、衝撃エネルギ吸収部材の筒状の本体部を、少なくとも1つの短筒形状の第1部分と、この第1部分に対して同心軸状に重ねて配置された少なくとも1つの短筒形状の第2部分とで構成し、上記第1部分と第2部分との接続部分を上記同心軸に対して傾斜する部分を含む構成として、本体部に対して筒軸方向に圧縮荷重が入力されたときに、第1部分を縮径させつつ第2部分を拡径させて、第1部材を第2部材の内側中空部に押し込むようにしている。この構成により、不安定な座屈現象の発生を抑制して変形モードを安定させ、これにより衝撃エネルギの吸収性能を高めるようにしている。
【特許文献1】国際公開第2006/025559号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のものでは、本体部に対して筒軸方向に圧縮荷重が入力されたときにおいて、第1部分と第2部分とを接続部分で分離させて第1部材を第2部材の内側中空部に押し込む際に、第1部材が第2部材の内側中空部にスムーズに押し込まれずに、第1部材又は第2部材が座屈変形する可能性があり、衝撃エネルギ吸収部材を安定して変形させることが困難になる。この座屈変形を確実に防止するためには、第1及び第2部分の長さをかなり短くしておく必要があるが、この場合、車両に生じるような圧縮荷重に対応可能にしようとすると、第1及び第2部分の数がかなり多くなる。また、第1部材を第2部材の内側中空部にスムーズに押し込むためには、第1部分と第2部分とは単に接触しているか、又は固定されていたとしても、その固定力を小さくしておく必要があるが、上記のように第1及び第2部分の数がかなり多くなると、衝撃エネルギ吸収部材の運搬時や車両等への組付け時に第1部分又は第2部分が脱落する可能性があり、取扱い性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筒状の本体部を座屈変形させることなく本体部筒軸方向に安定して変形させることが可能でかつ取扱い性に優れた衝撃エネルギ吸収部材を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、筒状の本体部を有し、該本体部に対して筒軸方向に入力される圧縮荷重を吸収する衝撃エネルギ吸収部材を対象として、上記本体部は、金属からなりかつ所定以上の上記圧縮荷重を受けて本体部筒軸方向に圧縮塑性変形する変形部と、該本体部の外周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部と、該本体部の内周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の内周側変形制御部とが一体成形されてなり、上記外周側及び内周側変形制御部は、上記本体部の筒軸方向において交互に配置されていて、該本体部に上記所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、上記変形部の本体部筒軸方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部において本体部外周部に位置する部分を本体部径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部内周部に位置する部分を本体部径方向の内側へ塑性変形させる構成とした。
【0007】
上記の構成により、本体部に対して筒軸方向に所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、変形部は、外周側及び内周側変形制御部によって、本体部筒軸方向への圧縮塑性変形と同時に本体部径方向の外側及び内側へ塑性変形し、このような変形部の塑性変形により圧縮荷重(衝撃エネルギ)を吸収することができる。また、変形部は、本体部筒軸方向の長さが短くなるとともに本体部径方向の外側及び内側へバランス良く広がることとなり、これにより、本体部全体として座屈変形が生じずに筒軸方向に安定して変形する。しかも、変形部は、外周側及び内周側変形制御部と一体成形されたものであるので、外周側及び内周側変形制御部から分離し難く、このことでも、本体部が筒軸方向に安定して変形することになる。したがって、本体部に対して、筒軸方向の圧縮荷重と同時に、本体部を径方向に倒すような力が入力されたとしても、本体部は座屈変形し難くて筒軸方向に確実に変形し、これにより、圧縮荷重の吸収性能を高めることができる。また、外周側及び内周側変形制御部の数が多くなっても、外周側及び内周側変形制御部を変形部に対し一体成形により強固にかつ容易に固定することができ、衝撃エネルギ吸収部材の運搬時や車両等への組付け時における取扱い性を向上させることができる。尚、外周側及び内周側変形制御部は、例えば、本体部筒軸方向の圧縮荷重に対して変形部よりも圧縮塑性変形し難くかつ破壊し難い材料、つまり上記圧縮荷重に対する強度及び剛性が変形部よりも高い材料で構成すればよい。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記変形部は、アルミニウム合金鋳物からなり、上記外周側及び内周側変形制御部は、強化繊維が含有されたアルミニウム合金鋳物からなるものとする。
【0009】
このことにより、外周側及び内周側変形制御部は、強化繊維により変形部よりも圧縮塑性変形し難くかつ破壊し難くなって、変形部の塑性変形の方向を確実に制御できるようになる。また、衝撃エネルギ吸収部材の軽量化を図ることができる。さらに、強化繊維成形体からなる外周側及び内周側予備成形体を成形しておいて、これら外周側及び内周側予備成形体とアルミニウム合金の溶湯とを複合化することで、変形部並びに外周側及び内周側変形制御部を容易に一体成形することができる。
【0010】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記強化繊維は、上記本体部の径方向に延びているものとする。
【0011】
このことで、本体部に対して筒軸方向に、外周側及び内周側変形制御部が圧縮塑性変形するような大きさの圧縮加重が入力されたときに、外周側及び内周側変形制御部が本体部の筒軸方向に真っ直ぐに圧縮塑性変形するようになり、本体部の座屈変形をより確実に抑制することができる。
【0012】
請求項4の発明では、請求項2又は3の発明において、上記アルミニウム合金鋳物は、Al−Mn−Fe−Mg系合金鋳物であるものとする。
【0013】
すなわち、Al−Mn−Fe−Mg系合金は、各成分の含有量を適切に設定することによって、アルミニウム合金の強度を維持しつつ鋳造性及び伸びの両方を同時に向上させて、鋳造のままでも高い伸びを有する高延性のものとすることができる。よって、衝撃エネルギ吸収部材の軽量化を図りつつ、圧縮荷重の吸収性能を高めることができる。
【0014】
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの発明において、衝撃エネルギ吸収部材は、車両のフロントサイドフレーム又はクラッシュカンに用いられるものとする。
【0015】
このことにより、車両の正面衝突時や後面衝突時の衝撃エネルギを確実に吸収して、車両の安全性を高めることが可能になる。また、変形部並びに外周側及び内周側変形制御部を、請求項2の発明のような材料にすることで、車両の軽量化を図りつつ、安全性の向上化を図ることができる。
【0016】
請求項6の発明は、筒状の本体部を有し、該本体部に対して筒軸方向に入力される圧縮荷重を吸収する衝撃エネルギ吸収部材の製造方法の発明であり、この発明では、上記本体部は、金属からなりかつ所定以上の上記圧縮荷重を受けて本体部筒軸方向に圧縮塑性変形する変形部と、該本体部の外周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部と、該本体部の内周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の内周側変形制御部とからなり、上記外周側及び内周側変形制御部は、上記本体部の筒軸方向において交互に配置されていて、該本体部に上記所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、上記変形部の本体部筒軸方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部において本体部外周部に位置する部分を本体部径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部内周部に位置する部分を本体部径方向の内側へ塑性変形させるように構成されており、上記金属の溶湯との複合化により上記複数の外周側変形制御部及び複数の内周側変形制御部をそれぞれ形成することが可能な複数の外周側予備成形体及び複数の内周側予備成形体を成形する工程と、上記成形した外周側及び内周側予備成形を金型のキャビティ内にセットした状態で、上記金属の溶湯を該キャビティ内に供給することで、該溶湯と外周側及び内周側予備成形体とを複合化して、上記変形部と外周側及び内周側変形制御部とを一体成形する工程とを含むものとする。
【0017】
この発明により、外周側及び内周側予備成形体とアルミニウム合金の溶湯とを複合化することで、変形部と外周側及び内周側変形制御部とを容易に一体成形することができ、本体部筒軸方向に安定して変形させることが可能でかつ取扱い性に優れた衝撃エネルギ吸収部材を容易に製造することができる。
【0018】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、上記金属は、アルミニウム合金であり、上記外周側及び内周側予備成形体は、強化繊維成形体からなるものとする。
【0019】
このことにより、請求項2の発明に係る衝撃エネルギ吸収部材を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の衝撃エネルギ吸収部材によると、本体部が、変形部と複数の外周側変形制御部と複数の内周側変形制御部とが一体成形されてなり、上記外周側及び内周側変形制御部が、本体部の筒軸方向において交互に配置されていて、該本体部に対して筒軸方向に所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、上記変形部の本体部筒軸方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部において本体部外周部に位置する部分を本体部径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部内周部に位置する部分を本体部径方向の内側へ塑性変形させる構成としたことにより、本体部が筒軸方向に安定して変形するようになり、圧縮荷重の吸収性能を高めることができるとともに、衝撃エネルギ吸収部材の運搬時や車両等への組付け時における取扱い性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の衝撃エネルギ吸収部材の製造方法によると、複数の外周側予備成形体及び複数の内周側予備成形体を成形する工程と、該成形した外周側及び内周側予備成形を金型のキャビティ内にセットした状態で、金属の溶湯を該キャビティ内に供給することで、該溶湯と外周側及び内周側予備成形体とを複合化して、上記変形部と外周側及び内周側変形制御部とを一体成形する工程と含むようにしたことにより、本体部を座屈変形させることなく筒軸方向に安定して変形させることが可能でかつ取扱い性に優れた衝撃エネルギ吸収部材を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る衝撃エネルギ吸収部材1を示し、この衝撃エネルギ吸収部材1は、筒状(本実施形態では円筒状)の本体部2を有していて、該本体部2に対して筒軸Z方向(図1の上下方向)に入力される圧縮荷重を吸収するものである。
【0024】
上記衝撃エネルギ吸収部材1は、本実施形態では、図2に示すように、車両100の前部における車幅方向両側位置で前後方向にそれぞれ延びるように設けられる左右のフロントサイドフレーム91の前端とフロントバンパー93における車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント93aの左右両端部との間にそれぞれ介設されるクラッシュカン92として用いられる。この場合、衝撃エネルギ吸収部材1は、筒軸Z方向が車両100の前後方向に一致するように配設されて、車両100の正面衝突時にバンパーレインフォースメント93aから入力される衝突エネルギ(衝撃圧縮荷重)を吸収する。
【0025】
尚、衝撃エネルギ吸収部材1は、上記クラッシュカン92に限らず、上記左右のフロントサイドフレーム91の一部(特に前端部分)、車両100の後部における車幅方向両側位置で前後方向にそれぞれ延びるように設けられる左右のリヤサイドフレーム(図示せず)の一部(特に後端部分)、又は、この各リヤサイドフレームの後端とリヤバンパー94のバンパーレインフォースメント(図示せず)との間に介設されるクラッシュカン(図示せず)に用いてもよい。また、衝撃エネルギ吸収部材1は、車両100において衝撃エネルギを吸収する必要がある部分に広く用いることができるとともに、車両100以外のものに用いることも可能である。
【0026】
上記本体部2における筒軸Z方向の両側端には、衝撃エネルギ吸収部材1を上記フロントサイドフレーム91の前端とバンパーレインフォースメント93aとにそれぞれ取付固定するための第1及び第2固定部7,8がそれぞれ設けられている。第1固定部7には、該第1固定部7をフロントサイドフレーム91の前端に締結固定するためのボルトが挿通される複数のボルト挿通孔7aが形成されており、第2固定部8には、該第2固定部8をバンパーレインフォースメント93aに締結固定するためのボルトが挿通される複数のボルト挿通孔8aが形成されている。これら第1及び第2固定部7,8の形状は、衝撃エネルギ吸収部材1の適用箇所によって異なる。
【0027】
本実施形態のように衝撃エネルギ吸収部材1をクラッシュカン92に用いる場合、本体部2の外径Dは40〜100mmが好ましく、肉厚tは2〜8mmが好ましく、長さLは80〜150mmが好ましい。尚、本体部の外径Dは、図1では、本体部2の筒軸Z方向全体に亘って一定に記載しているが、厳密には一定ではなくて、第2固定部8側に向かって徐々に小さくなっている。これは、衝撃エネルギ吸収部材1を後述の鋳造金型30(図7参照)で鋳造した後に該鋳造金型30からの離型を容易にするためである。
【0028】
上記本体部2は、該本体部2に対する筒軸Z方向の所定以上の圧縮荷重を受けて筒軸Z方向に圧縮塑性変形する変形部3と、本体部2の外周部における筒軸Z方向の複数箇所に本体部2周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部3の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部5と、本体部2の内周部における筒軸Z方向の複数箇所に本体部2周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部3の塑性変形の方向を制御する複数の内周側変形制御部6とが一体成形されてなるものである。そして、上記外周側及び内周側変形制御部5,6は、本体部2の筒軸Z方向において交互に配置されていて、本体部2に対して筒軸Z方向に所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、上記変形部3の筒軸Z方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部3において本体部2外周部に位置する部分を本体部2径方向の外側へ強制的に塑性変形(拡径変形)させるとともに本体部2内周部に位置する部分を本体部2径方向の内側へ強制的に塑性変形(縮径変形)させる。これら外周側及び内周側変形制御部5,6は、筒軸Z方向の圧縮荷重に対して変形部3よりも圧縮塑性変形し難くかつ破壊し難い材料、つまり上記圧縮荷重に対する強度及び剛性が変形部3よりも高い材料で構成すればよいが、これに限られるものでもない。
【0029】
本実施形態では、上記変形部3はアルミニウム合金鋳物からなり、外周側及び内周側変形制御部5,6は、強化繊維が含有されたアルミニウム合金鋳物からなる。これら変形部3と外周側及び内周側変形制御部5,6とは、後述の如くアルミニウム合金の溶湯と強化繊維成形体からなる外周側及び内周側予備成形体15,16(図7参照)との複合化により一体成形されたものである。
【0030】
上記アルミニウム合金として好ましいのは、Al−Mn−Fe−Mg系合金である。このAl−Mn−Fe−Mg系合金は、各成分の含有量を適切に設定することによって、アルミニウム合金の強度を維持しつつ鋳造性及び伸びの両方を同時に向上させて、鋳造のままでも高い伸びを有する高延性のものとすることができる。具体的には、0.5〜2.5%のMn成分と、0.1〜1.5%のFe成分と、0.01〜1.2%のMg成分と、残部が不可避不純物を含むAl成分とからなるアルミニウム合金とする(含有量の数値は質量百分率である)。
【0031】
また、上記各成分含有量を有するAl−Mn−Fe−Mg系合金に、質量百分率で0.1〜0.2%のTi成分、質量百分率で0.01〜0.1%のB成分、及び、質量百分率で0.01〜0.2%のBe成分のうちの少なくとも1つを添加することがより好ましい。すなわち、Ti成分、B成分及びBe成分は、鋳物の結晶粒を微細化することによりその特性を向上させて鋳造割れ性を改善することができるが、含有量が多すぎると、粗大化合物が生成されて伸びが低下する。そこで、Ti成分、B成分及びBe成分の各含有量を上記範囲に設定して、伸びの低下を防ぎつつ、鋳造割れ性をさらに良好にする。
【0032】
尚、上記Al−Mn−Fe−Mg系合金に代えて、例えば、Al−Si系合金を用いてもよく(この合金の場合には、高真空ダイカスト法で鋳造する)、Mg系合金やその他の金属を用いてもよい。
【0033】
上記強化繊維としては、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリコンカーバイト繊維等が好ましい。アルミナ繊維及びシリカ繊維の場合には、例えば、平均繊維径3μm〜5μm、繊維長さ5mm〜10mmのものを用い、シリコンカーバイト繊維の場合には、例えば、平均繊維径10μm〜15μm、繊維長さ5mm〜10mmのものを用いればよい。上記強化繊維成形体(予備成形体15)の繊維体積率は5〜10%であることが好ましく、予備成形体15の強化繊維が存在しない部分は空孔となっている。
【0034】
上記強化繊維に代えて、平均径8μm〜12μm、長さが数cmのスチール又はステンレスワイヤーがアルミニウム合金鋳物に含有していてもよい。この場合も、上記強化繊維と同様に、ワイヤーを固めたものからなる予備成形体を成形して、アルミニウム合金の溶湯とその予備成形体とを複合化する。この予備成形体のワイヤー体積率は5〜10%であることが好ましい。
【0035】
上記溶湯と複合化する予備成形体としては、多孔質金属体であってもよい。例えば気孔率98%のニッケル多孔体(商品名:ニッケルセルメット)を予備成形体として用いることができる。また、筒軸Z方向に対応する方向に貫通する複数の貫通孔を有する金属製(筒軸Z方向の圧縮荷重に対してアルミニウム合金鋳物よりも圧縮塑性変形し難くかつ破壊し難い金属(例えばスチール))の予備成形体を用いることも可能である(上記貫通孔にアルミニウム合金の溶湯を含浸させる)。
【0036】
尚、外周側及び内周側変形制御部5,6の構成材料は、同じであることが好ましいが、互いに異なっていてもよい。
【0037】
上記外周側及び内周側変形制御部5,6の強化繊維は、本体部2の径方向に延びていることが好ましい。これは、本体部2に対して筒軸Z方向に、外周側及び内周側変形制御部5,6が圧縮塑性変形するような大きさの圧縮加重が入力されたときに、外周側及び内周側変形制御部5,6が本体部2の筒軸Z方向に真っ直ぐに圧縮塑性変形するようにして、本体部2の座屈変形を抑制するためである。
【0038】
このように外周側及び内周側変形制御部5,6は、変形部3の構成材料であるアルミニウム合金と強化繊維との複合化により強化されて、筒軸Z方向の圧縮荷重に対して変形部3よりも圧縮塑性変形し難くかつ破壊し難くなっている。
【0039】
一方、変形部3は、本体部2において外周側及び内周側変形制御部5,6以外の部分に位置している。すなわち、変形部3は、本体部2において筒軸Z方向全体に亘って延びるものであり、外周側及び内周側変形制御部5,6の上記配置によって蛇腹状をなしており、本体部2外周部に位置する部分と本体部2内周部に位置する部分とが筒軸Z方向に交互に配置されている。そして、本体部2に対して筒軸Z方向に所定以上の圧縮荷重(但し、外周側及び内周側変形制御部5,6が圧縮塑性変形しない大きさの圧縮荷重)が入力されたときには、図3に示すように、圧縮塑性変形していない状態にある(但し、弾性変形はする)外周側及び内周側変形制御部5,6によって、変形部3の筒軸Z方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部3において本体部2外周部に位置する部分が本体部2径方向の外側へ塑性変形するとともに本体部2内周部に位置する部分が本体部2径方向の内側へ塑性変形する。変形部3において本体部2径方向の外側へ塑性変形する部分と内側へ塑性変形する部分とは、本体部2の筒軸Z方向において交互に位置することになる。この変形部3の塑性変形によって上記圧縮加重を吸収する。そして、変形部3は、その筒軸Z方向の長さが短くなりながら本体部2径方向の外側及び内側へ広がることにより、本体部2全体として座屈変形が生じずに筒軸Z方向に安定して変形する。
【0040】
また、本体部2に対して筒軸Z方向に、外周側及び内周側変形制御部5,6が圧縮塑性変形するような大きさの圧縮加重が入力されたときには、図4に示すように、外周側及び内周側変形制御部5,6も筒軸Z方向に圧縮塑性変形する。このとき、上述の如く、外周側及び内周側変形制御部5,6の強化繊維の配向により、外周側及び内周側変形制御部5,6が筒軸Z方向に真っ直ぐに圧縮塑性変形する。この圧縮塑性変形に伴って、外周側変形制御部5は主として本体部2径方向の外側へ塑性変形し、内周側変形制御部6は主として本体部2径方向の内側塑性変形する。外周側及び内周側変形制御部5,6の塑性変形時においても、外周側及び内周側変形制御部5,6は、変形部3の筒軸Z方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部3において本体部2外周部に位置する部分を本体部2径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部2内周部に位置する部分を本体部2径方向の内側へ塑性変形させる役目を果たす。そして、外周側及び内周側変形制御部5,6が塑性変形し始めた時点では、先に塑性変形した変形部3が、既に本体部2径方向の外側及び内側へ大きく塑性変形している。よって、外周側及び内周側変形制御部5,6が塑性変形したとしても、本体部2全体として座屈変形が生じずに筒軸Z方向に変形する。
【0041】
上記衝撃エネルギ吸収部材1を製造するには、先ず、上記アルミニウム合金の溶湯との複合化により上記複数の外周側変形制御部5及び複数の内周側変形制御部6をそれぞれ形成することが可能な複数の外周側予備成形体15(図7参照)及び複数の内周側予備成形体16(図7参照)を成形する。この外周側及び内周側予備成形体15,16の形状は、外周側及び内周側変形制御部5,6とそれぞれ同じ形状(リング状)をなしている。
【0042】
外周側及び内周側予備成形体15,16は、以下のようにして作製する。すなわち、最初に、不図示の容器内に、上記強化繊維と、水と、添加剤とを入れて撹拌混合してスラリー24(図5参照)を調製する。上記添加剤は、外周側及び内周側予備成形体15,16の強度を確保するための強化剤(例えば粒状アルミナゾル)、該強化剤の強化繊維への付着を促進させるための付着促進剤(例えば硫酸アンモン)、及び、強化繊維の分散性を向上させるための分散剤(例えばポリアミド)である。
【0043】
続いて、図5に示すように、濾過装置20により、スラリー24中の水等の液体成分を除去する。この濾過装置20は、内部に多孔性フィルタ22が配設された容器21と、この容器21の底部と接続された吸引装置(図示せず)とを備えている。この多孔性フィルタ22の中央部には、上方に突出する突部22a(フィルタとしての機能はない)が形成されている。そして、容器21内において多孔性フィルタ22における突部22aの周囲部分の上側に上記スラリー24を投入し、その後、上記吸引装置により、多孔性フィルタ22を介して、スラリー24中の水等の液体成分を除去(吸引脱水)する。
【0044】
次いで、図6に示すように、スラリー24中の液体成分を除去することにより得られた脱液体部材25を圧縮する。すなわち、上記容器21内において多孔性フィルタ22における突部22aの周囲部分の上側に脱液体部材25を配置したまま、脱液体部材25をその上方からパンチ27により加圧して外周側予備成形体15又は内周側予備成形体16の形状となるように圧縮成形する。上記パンチ27の下面の中央部には、上記突部22aが嵌合する嵌合孔27aが形成されている。尚、外周側予備成形体15を成形する場合と、内周側予備成形体16を成形する場合とでは、容器21の内径及び多孔性フィルタ22の突部22aの外径が異なる。
【0045】
続いて、上記圧縮成形した脱液体部材25を乾燥させた後に焼結する。この焼結は、例えば、640〜840℃で1.5時間行う。こうして強化繊維成形体からなる外周側及び内周側予備成形体15,16が完成する。
【0046】
次に、図7に示すような鋳造金型30を用いて衝撃エネルギ吸収部材1を製造(鋳造)する。この鋳造金型30は、固定金型プレート31に取付固定された固定金型32と、固定金型プレート31に対して図7の左右方向に移動可能に支持された可動金型プレート33に取付固定された可動金型34とを備えている。固定金型32には、可動金型34側に開口する凹陥部32aが形成されている一方、可動金型34には、その凹陥部32a内に入り込む突出部34aが形成され、これら凹陥部32a及び突出部34a間にキャビティ35が形成される。上記固定金型32の凹陥部32aの側周面には、複数の外周側予備成形体15をそれぞれ支持するための複数の溝(図示せず)が形成されており、上記突出部34aの外周面には、複数の内周側予備成形体16をそれぞれ支持するための複数の溝(図示せず)が形成されている。また、固定金型32には、第2固定部8の複数のボルト挿通孔8aをそれぞれ形成するための複数のピン32bが設けられており、可動金型34には、第1固定部7の複数のボルト挿通孔7aをそれぞれ形成するための複数のピン34bが設けられている。
【0047】
また、上記鋳造金型30には、上記キャビティ35内にアルミニウム合金の溶湯を供給するための射出スリーブ37が設けられている。この射出スリーブ37には上記溶湯の給湯口37aが形成されている。また、射出スリーブ37内には、射出スリーブ37に対して摺動可能に嵌装された射出プランジャ38が設けられており、この射出プランジャ38を図7の左側へ移動させることで、給湯口37aから射出スリーブ37内に供給された溶湯をキャビティ35内へ射出する。
【0048】
上記鋳造金型30を用いて衝撃エネルギ吸収部材1を製造するには、先ず、型開き状態で、固定金型32の凹陥部32aに形成された複数の溝に、上記成形した複数の外周側予備成形体15をそれぞれ支持させるとともに、可動金型34の突出部34aに形成された複数の溝に、上記成形した複数の内周側予備成形体16をそれぞれ支持させ、その後、可動金型34を固定金型32側へ移動させて型を閉じる。これにより、外周側及び内周側予備成形15,16が鋳造金型30のキャビティ15内にセットされた状態となる。
【0049】
続いて、射出スリーブ37内に給湯口37aからアルミニウム合金の溶湯(溶湯温度700℃程度)を供給し、この溶湯を射出プランジャ38によりキャビティ35内に射出して供給する。これにより、キャビティ35内における外周側及び内周側予備成形体15,16が存在しない部分では、変形部3並びに第1及び第2固定部7,8が成形されるとともに、外周側及び内周側予備成形体15,16内の空孔に溶湯が充填されて外周側及び内周側予備成形体15,16と溶湯とが複合化され、このことで外周側及び内周側変形制御部5,6が変形部3並びに第1及び第2固定部7,8と一体成形される。そして、キャビティ15内の溶湯が凝固すれば、衝撃エネルギ吸収部材1の鋳造が完了する。
【0050】
したがって、本実施形態では、衝撃エネルギ吸収部材1の本体部2が、変形部3と該変形部3の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部5及び複数の内周側変形制御部6とが一体成形されてなり、外周側及び内周側変形制御部5,6が、本体部2の筒軸Z方向において交互に配置されていて、該本体部2に対して筒軸Z方向に所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、変形部3の筒軸Z方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部3において本体部2外周部に位置する部分を本体部2径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部2内周部に位置する部分を本体部2径方向の内側へ塑性変形させるようにしたので、変形部3は、筒軸Z方向の長さが短くなるとともに本体部2径方向の外側及び内側へバランス良く広がることとなり、これにより、本体部2全体として座屈変形が生じずに筒軸Z方向に安定して変形する。しかも、変形部3は、外周側及び内周側変形制御部5,6と一体成形されたものであるので、外周側及び内周側変形制御部5,6から分離し難く、このことでも、本体部2が筒軸Z方向に安定して変形することになる。この結果、本体部2に対して、筒軸Z方向の圧縮荷重と同時に、本体部2を径方向に倒すような力が入力されたとしても、本体部2は座屈変形し難くて筒軸Z方向に確実に変形し、これにより、圧縮荷重の吸収性能を高めることができる。また、外周側及び内周側変形制御部5,6の数が多くなっても、外周側及び内周側変形制御部5,6を変形部3に対し一体成形により強固にかつ容易に固定することができ、衝撃エネルギ吸収部材1の運搬時や車両等への組付け時における取扱い性を向上させることができる。
【0051】
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2を示し、外周側及び内周側変形制御部5,6の形状を上記実施形態1とは異ならせたものであり、その他の構成や材料等は上記実施形態1と同様である。
【0052】
すなわち、本実施形態では、外周側及び内周側変形制御部5,6の断面形状が半円形状をなしており、外周側変形制御部5の内周側及び内周側変形制御部6の外周側がそれぞれ円弧状をなしている。これにより、圧縮加重が変形部3全体に均一に作用して特定部位に集中しないようにすることができ、この結果、変形部3の圧縮塑性変形及び本体部2径方向の外側及び内側への塑性変形が均一に生じ、本体部2の座屈変形が生じ難くなる。このときの本体部2(変形部3)の変形の様子を図9に示す。本実施形態の衝撃エネルギ吸収部材1の製造方法は、上記実施形態1と同様である。
【0053】
したがって、本実施形態では、上記実施形態1に比べて、本体部2を筒軸Z方向に更に安定させて変形させることができ、圧縮荷重の吸収性能をより一層高めることができる。
【0054】
尚、外周側及び内周側変形制御部5,6の断面形状については、上記実施形態1,2の形状に限らず、台形、三角形、正方形、円形等の種々の断面形状が適応可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、筒状の本体部に対して筒軸方向に入力される圧縮荷重を吸収する衝撃エネルギ吸収部材及びその製造方法に有用であり、特に車両のクラッシュカン(車両前部に配設されるものと後部に配設されるものとを含む)、左右のフロントサイドフレーム及び左右のリヤサイドフレームに適用する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態1に係る衝撃エネルギ吸収部材を示す断面図である。
【図2】衝撃エネルギ吸収部材が適用されるクラッシュカンを示す車両の前部を破断した側面図である。
【図3】衝撃エネルギ吸収部材の本体部に対して筒軸方向に所定以上の圧縮荷重(変形制御部が圧縮塑性変形しない大きさの圧縮荷重)が入力されたときの該本体部の変形状態を示す断面図である。
【図4】衝撃エネルギ吸収部材の本体部に対して筒軸方向に、変形制御部が塑性変形するような大きさの圧縮加重が入力されたときの状態を示す断面図である。
【図5】スラリー中の液体成分を除去している状態を示す濾過装置の容器の断面図である。
【図6】スラリー中の液体成分を除去することにより得られた脱液体部材を圧縮している状態を示す図5相当図である。
【図7】鋳造金型を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態2を示す図1相当図である。
【図9】実施形態2に係る衝撃エネルギ吸収部材の本体部の図3相当図である。
【符号の説明】
【0057】
1 衝撃エネルギ吸収部材
2 本体部
3 変形部
5 外周側変形制御部
6 内周側変形制御部
15 予備成形体
30 鋳造金型
35 キャビティ
91 フロントサイドフレーム
92 クラッシュカン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部を有し、該本体部に対して筒軸方向に入力される圧縮荷重を吸収する衝撃エネルギ吸収部材であって、
上記本体部は、金属からなりかつ所定以上の上記圧縮荷重を受けて本体部筒軸方向に圧縮塑性変形する変形部と、該本体部の外周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部と、該本体部の内周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の内周側変形制御部とが一体成形されてなり、
上記外周側及び内周側変形制御部は、上記本体部の筒軸方向において交互に配置されていて、該本体部に上記所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、上記変形部の本体部筒軸方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部において本体部外周部に位置する部分を本体部径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部内周部に位置する部分を本体部径方向の内側へ塑性変形させるように構成されていることを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材。
【請求項2】
請求項1記載の衝撃エネルギ吸収部材において、
上記変形部は、アルミニウム合金鋳物からなり、
上記外周側及び内周側変形制御部は、強化繊維が含有されたアルミニウム合金鋳物からなることを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材。
【請求項3】
請求項2記載の衝撃エネルギ吸収部材において、
上記強化繊維は、上記本体部の径方向に延びていることを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材。
【請求項4】
請求項2又は3記載の衝撃エネルギ吸収部材において、
上記アルミニウム合金鋳物は、Al−Mn−Fe−Mg系合金鋳物であることを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の衝撃エネルギ吸収部材において、
車両のフロントサイドフレーム又はクラッシュカンに用いられることを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材。
【請求項6】
筒状の本体部を有し、該本体部に対して筒軸方向に入力される圧縮荷重を吸収する衝撃エネルギ吸収部材の製造方法であって、
上記本体部は、金属からなりかつ所定以上の上記圧縮荷重を受けて本体部筒軸方向に圧縮塑性変形する変形部と、該本体部の外周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の外周側変形制御部と、該本体部の内周部における筒軸方向の複数箇所に本体部周方向に沿ってそれぞれ環状に配置され、上記変形部の塑性変形の方向を制御する複数の内周側変形制御部とからなり、
上記外周側及び内周側変形制御部は、上記本体部の筒軸方向において交互に配置されていて、該本体部に上記所定以上の圧縮荷重が入力されたときに、上記変形部の本体部筒軸方向への圧縮塑性変形と同時に該変形部において本体部外周部に位置する部分を本体部径方向の外側へ塑性変形させるとともに本体部内周部に位置する部分を本体部径方向の内側へ塑性変形させるように構成されており、
上記金属の溶湯との複合化により上記複数の外周側変形制御部及び複数の内周側変形制御部をそれぞれ形成することが可能な複数の外周側予備成形体及び複数の内周側予備成形体を成形する工程と、
上記成形した外周側及び内周側予備成形を金型のキャビティ内にセットした状態で、上記金属の溶湯を該キャビティ内に供給することで、該溶湯と外周側及び内周側予備成形体とを複合化して、上記変形部と外周側及び内周側変形制御部とを一体成形する工程とを含むことを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の衝撃エネルギ吸収部材の製造方法において、
上記金属は、アルミニウム合金であり、
上記外周側及び内周側予備成形体は、強化繊維成形体からなることを特徴とする衝撃エネルギ吸収部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−38339(P2010−38339A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205202(P2008−205202)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】