説明

衣類乾燥装置

【課題】吸熱器に発生する霜や氷の成長を防止した乾燥性能が高いコンパクトな衣類乾燥装置を提供する。
【解決手段】ヒートポンプ装置30と、被乾燥物を収容する回転槽5と、放熱器23で加熱した空気を回転槽5内へ供給する送風機12と、回転槽5内の空気を、吸熱器21を通して放熱器23へ循環させる熱交換風路(吸熱器風路22と放熱器風路24)とを具備し、ヒートポンプ装置30内の吸熱器21と放熱器23を同一熱交換風路内に構成することにより、放熱器23側より吸熱器21側へフィン25を通して熱を移動させることができ、低外気温においても冷媒の温度上昇とともに吸熱器21の霜を溶かすため乾燥性能が高いコンパクトな衣類乾燥装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭にて使用される衣類等の洗濯乾燥機に用いられる衣類乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の洗濯乾燥機について、図17を用いて説明する。
【0003】
図17に示すように、従来の洗濯乾燥機は、筐体1の内部に、複数のサスペンション2によって弾性的に支持された円筒状の水槽3を設け、洗濯・脱水時の振動をサスペンション2によって吸収する構成としている。また、水槽3の内部には、衣類等の洗濯または乾燥の対象となるいわゆる被乾燥物4(以下、衣類4と称す)を収容する円筒状で横軸型の回転槽5を回転可能に設け、駆動モータ6により回転軸6aを回転させて回転駆動する。
【0004】
回転槽5の内壁には衣類4を撹拌する複数のバッフル(図示せず)が設けられ、回転槽5の周壁には小孔5aを多数設けている。
【0005】
筐体1の前面には、衣類4を出し入れする開口部1aと、これを開閉する扉7が設けられている。また、水槽3および回転槽5の前面側にもそれぞれ同様の開口部3a、5bを有し、さらに、水槽3の開口部3aは、ベローズ8によって筐体1の開口部1aと水密に連結されている。
【0006】
また、水槽3の底部には、洗濯水を排出する排水口9を有し、その排水口9は、排水弁10を介して排水ホース11に連結され、その先端部は洗濯乾燥機の外に導出されている。
【0007】
送風機12は、ヒータ13によって加熱された温風を給気口14から回転槽5内に送風供給するものである。
【0008】
循環ダクト15は、回転槽5および水槽3を通過し、湿った乾燥用空気の除湿を行うもので、一端を水槽3の下部の排気口16に接続し、他端を送風機12に接続している。
【0009】
給水弁17は、水道の蛇口(図示せず)等に接続された給水ホース18からの給水を制御する。
【0010】
上記のように構成された従来の洗濯乾燥機の動作は、以下の通りである。
【0011】
洗濯運転を行う場合は、扉7を開いて回転槽5内へ衣類4および洗剤を入れて運転を開始する。
【0012】
その運転は、まず、給水弁17が洗濯水側の給水口(図示せず)を開き、水槽3および回転槽5内に所定量の水が供給されると、駆動モータ6が作動し、回転槽5が回転駆動され、洗浄動作を行う。
【0013】
所定時間後、駆動モータ6が停止して排水弁10が開き、汚れた水が回転槽5および水槽3から排水され、排水ホース11を介して洗濯乾燥機外の排水場所へ排水される。
【0014】
次に、上記と同様に水槽3および回転槽5に水が供給され、濯ぎ動作を行う。
【0015】
濯ぎが終了すると、排水弁10が開いて排水された後、回転槽5が駆動モータ6により高速で回転駆動され、これによって衣類4の脱水が行われる。
【0016】
以上のように洗濯・濯ぎ運転が終了すると、乾燥運転が開始する。
【0017】
乾燥工程では駆動モータ6により低速で回転槽5を回転駆動させ、衣類4を撹拌しながら、ヒータ13で加熱された温風が送風機12により矢印a方向に送風され、送風路20を通って給気口14から矢印bに示す如く回転槽5内へ送り込まれる。この温風は、衣類4の水分を奪った後、回転槽5の小孔5aから水槽3内を通過し、排気口16を経て循環ダクト15へ至る。
【0018】
このとき給水弁17は、冷却水側の給水口を開いており、その結果、循環ダクト15内には冷却水が注水されている。
【0019】
衣類4の水分を奪って湿気を含んだ温風は、循環ダクト15内を通過するとき、冷却水により冷却されて水分の結露が起こり、湿った温風は結露によって除湿され、矢印cに示すように再び送風機12へ戻る。
【0020】
冷却水および結露水は排水弁10を介して洗濯乾燥機外へ排水される。
【0021】
このように、従来の洗濯乾燥機は、ヒータ13、送風機12、給気口14、回転槽5、水槽3、排気口16、循環ダクト15の循環経路で温風を循環させることにより、回転槽5内の衣類4を乾燥させることができる。
【0022】
しかしながら、上記従来の洗濯乾燥機の構成では、衣類4の乾燥に使用された熱は、循環ダクト15の冷却水もしくは筐体1からの放熱によって全て外部に捨てられるものであり、再利用されることがなかった。
【0023】
そこで、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機により圧縮されて高温高圧になった冷媒と周囲の空気とを熱交換させて冷媒の熱を放熱する放熱器と、放熱器で放熱された高圧の冷媒を減圧するための絞り手段と、絞り手段により減圧されて低温低圧となった冷媒と周囲の空気とを熱交換させて冷媒で周囲から熱を奪う吸熱器とを順次冷媒が循環するように管路で連結して構成したヒートポンプ装置を、洗濯乾燥機に設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0024】
また、除湿機用の熱交換器として、ヒートポンプ装置を構成する吸熱器と放熱器を、フィンを共有する一体形の熱交換器とし、前記フィンにおける吸熱器と放熱器の間にスリットを設けて吸熱器と放熱器間の熱の移動を抑制する構成とした熱交換器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0025】
さらに、比較的高温の冷媒入口の伝熱管と比較的低温の冷媒出口の伝熱管近傍に長い切断部を設け、温度の大きく異なる伝熱管相互の熱伝導を効率的に遮断し、冷媒の過冷却を大きく採れるようにして熱交換量を増大させる熱交換器も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0026】
上記特許文献1の構成によれば、衣類より蒸発させた水分を吸熱器に結露させることにより効率よく衣類の乾燥が行えると共に、衣類からの水分を含んだ温風の熱が吸熱器で吸収され、それが冷媒を介して圧縮機に送られ、圧縮機で暖められた冷媒の熱が放熱器で放熱されて温風を再加熱することで、熱を有効に活用することができる。
【0027】
また、上記特許文献2の構成によれば、吸熱器、放熱器の小型化が可能となり、機器本体への組込み構成が簡易となってその作業も容易となる。
【0028】
さらに、上記特許文献3の構成によれば、熱交換器としての熱交換能力を高めることができる。
【特許文献1】特開平7−178289号公報
【特許文献2】特開2002−310584号公報
【特許文献3】特許第3769085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
上記特許文献1に示されるヒートポンプ方式の乾燥装置では、吸熱器で湿った衣類の水分を除湿することで冷凍サイクルの吸熱源とし、圧縮機を駆動するための電気入力を加えて、放熱器で空気を加熱することでさらに衣類の水分を蒸発させる動作を繰り返している。
【0030】
しかしながら、上記従来のヒートポンプ方式の衣類乾燥装置では、衣類が温まり冷凍サイクルの吸熱源として利用できるまでに時間がかかり、この間、圧縮機の圧力が上昇しにくい状況が発生する。
【0031】
特に、衣類の温度が低い時、あるいは冬場等のように外気温度が低く、洗濯乾燥機そのものの温度が低いような場合には、冷凍サイクルを構成する吸熱器、放熱器を循環する空気の温度も低くなり、この空気と熱交換するためには、吸熱器を流れる冷媒の温度はさらにこの空気よりも低く制御しなければ、空気からエネルギーを吸熱することができなくなる。
【0032】
このため、循環する空気の温度が一定温度以上になるまでは、吸熱器を流れる冷媒の温度は0℃以下となり、このときに吸熱器で結露した水分は吸熱器の表面に霜または氷となって付着するため、循環する空気の流れの抵抗となると共に、冷媒と空気の熱交換を妨げることとなる。
【0033】
また、吸熱器では、循環する空気が下流側に進むにつれて冷却されるため、下流側の温度が最も低くなり、ここから霜、氷の成長が始まり、循環する空気の抵抗となると共に、冷媒と空気の熱交換を妨げることとなる。
【0034】
また、循環する空気がある一定温度に上昇するまでは、吸熱器表面では発生した霜が成長、溶融を繰り返し、この溶融した水分は、吸熱器の下面側に流れ落ちる間に再氷結してしまう。このため、循環する空気の抵抗となると共に、冷媒と空気の熱交換を妨げるという課題があった。
【0035】
さらに、吸熱器に霜や氷が成長し、空気と冷媒の熱交換が十分できなくなると、冷媒は完全に蒸発せずに液の状態で圧縮機に吸入されることとなり、圧縮機の信頼性にも影響を及ぼすという課題もあった。
【0036】
また、特許文献2に示される熱交換器は、吸熱器および放熱器の小型化が図れるものの、吸熱器および放熱器それぞれにおいて、冷媒パイプがフィンを共用し、かつ隣接しているため、吸熱器および放熱器それぞれにおいて、隣接する冷媒パイプ間でのフィンを介しての熱移動が作用し、吸熱器、放熱器それぞれの熱交換効率が低下するという課題を有する。
【0037】
さらに、熱交換器を通過する空気の温度が高い場合、前述の熱移動により、放熱器側における冷媒過冷却域の確保が困難となり、除湿能力が低下する課題も有する。
【0038】
また、特許文献3に記載される熱交換器は、冷媒入口と冷媒出口の間におけるフィンを介しての熱移動を抑制することはできるが、冷媒入口と冷媒出口の間に位置する冷媒管が複数列存在する場合は、隣り合う冷媒管相互のフィンを介しての熱移動が行われるため、放熱器の場合であれば、高温度維持の効率が低下し、吸熱器の場合であれば、低温度維持の効率が低下し、結果として効率のさらなる向上が期待できない。
【0039】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、外気温度の低い状況でも吸熱器での霜や氷の成長を抑えた衣類乾燥装置を提供することを目的とする。
【0040】
また、吸熱器、放熱器それぞれの効率の向上を図り、熱交換器を通過する空気の温度が高い場合においても、放熱器側における冷媒過冷却域を確保し、除湿能力の低下を抑制して乾燥効率の優れた衣類乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥装置は、ヒートポンプ装置の吸熱器と放熱器を一体化し、熱交換風路内に配設したものである。
【0042】
したがって、放熱器側より吸熱器側へフィンを通して熱を移動させることができ、その結果、低外気温において霜の成長により吸熱器が閉塞されても、冷媒の温度上昇とともに霜を溶かすことができ、乾燥効率の低下を防止することができる。
【0043】
さらに、吸熱器と放熱器を一体化して構成することから、コンパクト性に優れたヒートポンプユニットを構成できるため、乾燥性能が高いコンパクトな衣類乾燥装置を提供することができる。
【0044】
また、吸熱器と放熱器が共有するフィンにおける前記吸熱器と放熱器の間に狭小伝熱部を設けることにより、吸熱器、放熱器相互間の熱の移動を抑制し、除湿、乾燥作用の効率低下を抑制することができる。
【0045】
さらに、吸熱器、放熱器それぞれの冷媒パイプ間に狭小伝熱部を設けることにより、吸熱器、放熱器それぞれの効率を高めることができ、さらなる乾燥効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の衣類乾燥装置は、同一熱交換器内に吸熱器と放熱器を一体化して構成することから、外気温度の低い時でも、吸熱器に発生する霜や氷の成長を防止あるいは抑制することができるので、乾燥性能が高いコンパクトな衣類乾燥装置を実現することができる。
【0047】
また、吸熱器、放熱器それぞれの効率を高めることにより、乾燥性能の一層の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮されて高温高圧になった前記冷媒と周囲の空気とを熱交換させて前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、前記放熱器で放熱された高圧の前記冷媒を減圧するための絞り手段と、前記絞り手段により減圧されて低温低圧となった前記冷媒と周囲の空気とを熱交換させて前記冷媒で周囲から熱を奪う吸熱器とを順次前記冷媒が循環するように管路で連結して構成したヒートポンプ装置と、被乾燥物を収容する槽と、前記放熱器で加熱した空気を前記槽内へ供給する送風手段と、前記槽内の空気を、前記吸熱器を通して前記放熱器へ循環させる熱交換風路を具備し、前記放熱器と吸熱器に亘るフィンを設けることにより、前記吸熱器と前記放熱器を一体化し前記熱交換風路内に配設した衣類乾燥装置において、前記吸熱器と放熱器のそれぞれを、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びる冷媒パイプを前記フィンに貫通させた構成とし、前記フィンにおける前記吸熱器と放熱器の間に、前記吸熱器と放熱器の間の前記フィンを介しての熱移動を抑制する狭小伝熱部を設け、前記狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きより形成したものである。
【0049】
かかる構成とすることにより、放熱器側より吸熱器側へフィンを通して最小限必要な熱を移動させることができ、その結果、低外気温において霜の成長により吸熱器が閉塞されても、冷媒の温度上昇とともに霜を溶かすため、乾燥効率の低下を防止することができる。
【0050】
さらに、吸熱器と放熱器を一体化して構成することから、コンパクト性に優れたヒートポンプユニットを構成できるため、乾燥性能が高いコンパクトな衣類乾燥装置を提供することができる。
【0051】
また、前記狭小伝熱部である切込みまたは切欠きを、冷媒パイプの蛇行状に形成されて延びる方向と同じ方向とすることにより、フィンの金型成形時の一工程として前記狭小伝熱部を形成することができ、しかも、フィンの送り方向は一方向であり、金型による前記フィンの加工に合わせた送り方向とすることができ、熱交換器における組立工程の合理化を図ることができる。
【0052】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記狭小伝熱部を、少なくとも前記吸熱器と放熱器をそれぞれ形成する冷媒パイプが接近する箇所に設けたものである。
【0053】
かかる構成とすることにより、冷媒の温度差が最も大きく放熱器と吸熱器相互間の伝熱量が大きい放熱器と吸熱器の境界に設けた狭小伝熱部(切込みまたは切欠き)により、フィンを介しての放熱器から吸熱器への伝熱量を抑制することができる。しかも、狭小伝熱部の継ぎ目部(ミシン目状の継ぎ目部)を介して放熱器から吸熱器への伝熱を行うため、その伝熱量を、凍結防止に最小限必要な伝熱量とすることができる。
【0054】
その結果、吸熱器では、空気と吸熱器内の冷媒との熱交換量が向上し、より多く除湿できる。また、放熱器では、空気と放熱器内の冷媒との熱交換量が向上し、放熱器を通過する空気の温度を高めて相対湿度をより低下させ、乾燥性能の一層の向上を図ることができる。
【0055】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、少なくとも前記吸熱器を鉛直下方向に傾斜させたものである。
【0056】
かかる構成とすることにより、吸熱器で発生した結露水を放熱器側へ移動させることなく貯水室へ導くことができるので、吸熱器から放熱器への水飛び現象による放熱器の温度低下を抑制することができ、乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0057】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記吸熱器と前記放熱器の間に冷媒を通す前記冷媒パイプの未挿入貫通穴を有するものである。
【0058】
かかる構成とすることにより、吸熱器で発生した結露水を放熱器側へ移動させることなく貯水室へ導くことができるので、吸熱器から放熱器への水飛び現象による放熱器の温度低下を防止することができ、一層乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0059】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記放熱器を構成する冷媒パイプの冷媒入口と冷媒出口の位置を、隣接しない位置としたものである。
【0060】
かかる構成とすることにより、冷媒入口と冷媒出口相互の熱の影響が緩和でき、前記狭小伝熱部による熱移動抑制作用を助長することができ、吸熱器、放熱器の効率低下を抑制することができる。
【0061】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記放熱器におけるフィンの前記冷媒パイプの延びる方向の冷媒二相域と冷媒過熱域の境界部に、前記冷媒二相域と冷媒過熱域の間の前記フィンを介しての熱移動を抑制する過熱域側狭小伝熱部を設け、前記過熱域側狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と交差する方向に延びる切込みまたは切欠きとしたものである。
【0062】
かかる構成とすることにより、冷媒の温度差が大きい放熱器内の冷媒過熱域と冷媒二相域におけるフィンを介しての伝熱を抑制し、冷媒と空気との熱交換量を向上させ、さらに乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0063】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記放熱器におけるフィンの前記冷媒パイプの延びる方向の冷媒二相域と冷媒過冷却域の境界部に、前記冷媒二相域と冷媒過冷却域の間の前記フィンを介しての熱移動を抑制する過冷却域側狭小伝熱部を設け、前記過冷却域側狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と交差する方向に延びる切込みまたは切欠きとしたものである。
【0064】
かかる構成とすることにより、冷媒の温度差が大きい放熱器内の冷媒二相域と冷媒過冷却域におけるフィンを介しての伝熱を抑制し、冷媒と空気との熱交換量を向上させ、さらに乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0065】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記放熱器を、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びた冷媒パイプが並列に複数配置された放熱側冷媒パイプ列を具備する構成とし、前記放熱側冷媒パイプ列は、前記一方の冷媒パイプの一端と他方の冷媒パイプの一端が連続する単一の放熱側冷媒流路を構成し、少なくとも前記放熱側冷媒パイプ列における放熱器の冷媒過熱域を有する列と、該冷媒過熱域を有する列と隣接する列の間に、狭小伝熱部を設け、前記狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きより形成したものである。
【0066】
かかる構成とすることにより、冷媒パイプの圧力損失による冷媒凝縮温度の変化に伴った温度差に起因する列相互間のフィンを介しての伝熱量を抑制することができ、放熱器の熱交換量を向上することができる。その結果、さらに乾燥性能の向上を図ることができる。
【0067】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記放熱部を、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びた冷媒パイプが並列に複数配置された放熱側冷媒パイプ列を具備する構成とし、前記放熱側冷媒パイプ列は、前記一方の冷媒パイプの一端と他方の冷媒パイプの一端が連続する単一の放熱側冷媒流路を構成し、少なくとも前記放熱側冷媒パイプ列における放熱器の冷媒過冷却域を有する列と、該冷媒過冷却域を有する列と隣接する列の間に、狭小伝熱部を設け、前記狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きより形成したものである。
【0068】
かかる構成とすることにより、冷媒パイプの圧力損失による冷媒凝縮温度の変化に伴った温度差に起因する列相互間のフィンを介しての伝熱量を抑制することができ、放熱器の熱交換量を向上することができる。その結果、さらに乾燥性能の向上を図ることができる。
【0069】
また、放熱器における冷媒過冷却域を有する列と該冷媒過冷却域を有する列に隣接する列の間の熱の移動を抑制することにより、吸熱器に近い冷媒パイプ部での吸熱器側との温度差を確保することができる。
【0070】
その結果、前記狭小伝熱部による放熱器から吸熱器側への熱の移動抑制効果が大きくなり、放熱器での過冷却冷媒の生成をより多くして放熱器、吸熱器それぞれの効率低下を抑制することができる。
【0071】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記吸熱器を、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びた冷媒パイプが並列に複数配置された吸熱側冷媒パイプ列を具備する構成とし、前記吸熱側冷媒パイプ列は、前記一方の冷媒パイプの一端と他方の冷媒パイプの一端が連続する単一の吸熱側冷媒流路を構成し、前記吸熱側冷媒パイプ列における少なくとも冷媒入口を有する列と、該列と隣接する列の間に、前記吸熱側狭小伝熱部を設け、前記吸熱側狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きとしたものである。
【0072】
かかる構成とすることにより、冷媒パイプの圧力損失による冷媒蒸発温度の変化に伴った温度差に起因する列相互間のフィンを介しての伝熱量を抑制することができ、吸熱器の熱交換量を向上することができる。その結果、さらに乾燥性能の優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0073】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも前記吸熱器部のフィン部をコルゲートフィンとしたものである。
【0074】
かかる構成とすることにより、吸熱器に結露した結露水の重力方向への滴下排水処理が容易かつ円滑となり、その結果、吸熱器に付着した結露水が気流に押されて気流風下側の放熱器に流入し難くなる。したがって、結露水の放熱器での再蒸発を抑制し、さらに優れた乾燥性能の衣類乾燥装置を実現することができる。
【0075】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の発明において、前記放熱器のフィン部をスリットフィンとしたものである。
【0076】
かかる構成とすることにより、放熱器の放熱量を大きくすることができ、その結果、放熱器のフィンの伝熱を促進し、効率よく空気を加温することができ、さらに乾燥性能の優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0077】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0078】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における衣類乾燥装置を備えた洗濯乾燥機の外観斜視図、図2は、図1の洗濯乾燥機の筐体の右側面1b方向から見た乾燥工程時の一部切欠き断面図、図3は、図1の洗濯乾燥機の筐体の背面1c方向から見た乾燥工程時の一部切欠き断面図、図4は、同洗濯乾燥機に搭載されたヒートポンプ装置の構成と乾燥用空気の流れを示すシステム概念図、図5は同洗濯乾燥機の熱交換風路部の拡大断面図である。なお、従来例における洗濯乾燥機と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
図1から図5に示すように、本実施の形態1における洗濯乾燥機の本体を構成する筐体1の内部には、複数のサスペンション2によって弾性的に支持された円筒状の水槽3が設けられ、洗濯・脱水時における水槽3の振動をサスペンション2によって吸収する構成となっている。
【0080】
水槽3の内部には、衣類4を収容する円筒状で横軸型の回転槽5が回転可能に設けられており、回転槽5は、駆動モータ6により回転駆動される。筐体1の前面には、衣類4を出し入れする開口部1aと、これを開閉する扉7が設けられている。
【0081】
水槽3および回転槽5の前面側にもそれぞれ同様の開口部3a、5bを有し、この水槽3の開口部3aは、ベローズ8によって筐体1の開口部1aと水密に連結されている。水槽3の底部には、水槽3内の洗濯水を排出する排水口(図示せず)を有し、この排水口は、排水弁(図示せず)を介して排水ホース11に連結されている。
【0082】
送風手段を構成する送風機12は、筐体1の上面1dと水槽3により形成される隅部空間(筐体1の上部)に位置するように、水槽3の外周面に設けられている。筐体1の背面下部には、ヒートポンプ装置30を構成する熱交換器部が設けられている。この熱交換器部には、吸熱器21へ矢印eの方向から空気を流す熱交換風路の一部である吸熱器風路22と、同様に放熱器23から矢印fの方向へ空気を流す熱交換風路の一部である放熱器風路24が設けられている。
【0083】
さらに、吸熱器21と放熱器23は、それぞれにおいて、蛇行状に形成され、一方向に伸びた冷媒パイプ21a、23aと、多数枚並設され、かつ共有するフィン25を具備し、多数枚並設された平板状のフィン(フラットフィン)25を冷媒パイプ21a、23aが貫通することにより、一体化された構成となっている。特に、放熱器23は、冷媒パイプ23aが傾斜した蛇行状態で上下方向に延びる列と、直立して上下方向に延びる列の二列配置となっており、各冷媒パイプ23aは、その端部を接続して連続した単一の冷媒流路(本発明の放熱側冷媒流路に相当)を形成している。これらの様子は、図4の管路28の引き回し内容、および図5の冷媒パイプ21a、23aを一部切欠いた図示より理解することができる。
【0084】
ここで、冷媒パイプ21a、23aは、銅、銅合金あるいはアルミニウム、アルミニウム合金等の周知の金属を材料とし、フィン25は、アルミニウム、アルミニウム合金等の周知の金属を材料とし、平板状に形成されている。また、この吸熱器21と放熱器23の組立て方法等については、周知の内容で良いため、説明を省略する。
【0085】
そして、フィン25における吸熱器21と放熱器23の間には、図5に示す如くミシン目状の切込み32が形成されている。この切込み32により、フィン25は吸熱側と放熱側に区画され、また、切込み32の間に存在する僅かな接続部分で吸熱器21と放熱器23の間の熱伝導面積(伝熱部分)を形成している。
【0086】
本実施の形態1では、切込み32を施したが、金型により微小幅をもたせて同等の位置でフィン25を打ち抜いた切欠き(図示せず)でも同様の作用が得られる。しかし、この切欠きではフィン25の面積が減少するため、空気との熱交換面積を確保するという観点からは、切込み32を設ける方がより効果的である。なお、切込み32あるいは切欠きは、本発明の狭小伝熱部を形成するものである。
【0087】
上述の如く、フィン25を共有し、かつ切込み32をミシン目の如く狭小とすることにより、吸熱器21および放熱器23を通過する空気は、切込み32を通って隣の気流(フィン25の裏面の気流)と干渉することが少ないため、効率よく吸熱器21から放熱器23を通過する。
【0088】
したがって、吸熱器風路22と放熱風路24が接近し、熱交換部を通って急反転するような風回路の場合であっても、吸熱器21および放熱器23を通過する気流は、円滑に流れる。さらに吸熱器風路22と放熱器風路24は、樹脂成形加工により吸熱器21と放熱器23のケースとして一体に形成することができる。その結果、コンパクトに構成することができ、ヒートポンプユニットとして筐体1の背面下部の限られたスペース内に取付けることができる。
【0089】
送風機12で送風される乾燥用空気は、矢印eで示す如く蛇腹状に形成された可撓性接続管19を通って吸熱器風路22の吸熱器21を通過し、放熱器風路24の放熱器23を通過して図2の矢印fで示す如く蛇腹状に形成された可撓性接続管19、送風路20を通り、矢印bで示す如く給気口14から回転槽5内に入り、回転槽5内の衣類4を通過した後、矢印cで示す如く上方に設けた排気口16から循環ダクト15を通って送風機12へ戻り、以下前述の流れで循環するようになっている。
【0090】
また、ヒートポンプ装置30は、冷媒に環境への影響が少ない可燃性冷媒を用い、図4に示す如く、冷媒を圧縮する縦型の圧縮機26と、圧縮機26により圧縮されて高温高圧になった冷媒と周囲の空気とを熱交換させて冷媒の熱を放熱する放熱器23と、放熱器23で放熱された高圧の冷媒を減圧するための絞り弁あるいは毛細管等の絞り手段27と、絞り手段27により減圧されて低温低圧となった冷媒と周囲の空気とを熱交換させて周囲から熱を奪う吸熱器21を順次冷媒が循環するように管路28で連結して構成されている。したがって、冷媒は矢印h、iで示す方向に流れて循環し、ヒートポンプサイクルを実現する。
【0091】
また、吸熱器風路22における吸熱器21の下部には、吸熱器21に付着した結露水を受ける貯水室29が設けられている。この貯水室29に貯水された結露水は、排水ポンプ31によって汲み上げられ、排水ホース11より機外へ排出される。
【0092】
上記構成における洗濯乾燥機の動作について説明する。
【0093】
洗濯(洗浄)工程では、排水弁(図示せず)を閉じた状態で給水弁17を開放することにより、水道の蛇口(図示せず)等に接続された給水ホース18より水槽3内への給水が行われる。そして水槽3内に所定の水位に達するまで給水を行い、駆動モータ6を駆動して衣類4と洗濯水の入った回転槽5を回転させて洗濯を行う。
【0094】
また、次の洗濯後の濯ぎ工程においても、前述の洗濯工程と同様に水槽3内に給水し、その後回転槽5を回転させて衣類4の濯ぎを行う。
【0095】
さらに次の脱水工程では、排水弁を開いて水槽3内の水を洗濯乾燥機の外へ排水した後、駆動モータ6により衣類4の入った回転槽5を一方向に高速回転し、その遠心力により脱水する。
【0096】
そして、前述の脱水工程が終了すると、図4に示す乾燥工程に移る。この乾燥工程では、回転槽5が所定の速度で回転駆動され、また、ヒートポンプ装置30の縦型の圧縮機26を作動させるとともに送風装置12を作動させる。
【0097】
したがって、冷媒は圧縮機26で圧縮されて高温高圧のガス冷媒となり、矢印hで示す如く放熱器23に流入し、相互のフィン25間を流れる空気と熱交換して冷却され、液冷媒となる。
【0098】
液状態となった冷媒は、次に絞り手段27へと流れ、断熱膨張して低温低圧の液冷媒または液とガスが混在する二相冷媒となって、吸熱器21へと流入する。
【0099】
吸熱器21で冷媒は、フィン25相互間を流れる空気と熱交換し、加熱されてガス冷媒となり、圧縮機26に戻る。そして、前述の流れで循環する。
【0100】
一方、回転槽5内で衣類4から水分を奪った空気は、送風機12の運転により、矢印cで示す如く水槽3の排気口16を経て送風機12を通過し、まず吸熱器21に流入する。そして、冷却され露点温度以下になった吸熱器21の表面に結露し、除湿される。
【0101】
次に放熱器23へと流入し、加温され高温低湿の空気となり、矢印fで示す如く送風路20を通過し、水槽3内に流入する。
【0102】
水槽3内では、回転槽5が駆動モータ6により回転駆動されているため、衣類4は上下に撹拌されながら転がっている状態にある。
【0103】
回転槽5内に供給された高温低湿の空気は、衣類4の隙間を通るときに水分を奪い、湿った状態で水槽3の排気口16を経て循環ダクト15から送風機12を通り、再び吸熱器21に至る流れとなり、以下、上述の流れで循環する。
【0104】
ここで吸熱器21の表面に結露した結露水は、吸熱器21の下部に設けられた貯水室29に貯水され、排水ポンプ31を介して排水ホース11より機外へ排出される。
【0105】
このように、衣類4の乾燥にヒートポンプ装置30の熱交換作用を用いることにより、吸熱器21で多量にかつ効率的に除湿できるため、乾燥効率を向上させることができ、乾燥時間の短縮と省エネルギーを実現することが可能になる。
【0106】
上記ヒートポンプ装置30の熱交換作用において、吸熱器21と放熱器23が共用するフィン25の吸熱器21と放熱器23の境界部には、ミシン目状の切込み32が設けられているため、外気温度の低いとき、あるいは吸熱器21を通過する空気温度が低いとき等のように吸熱器21を流れる冷媒の温度が0℃以下の状態となっても、放熱器23側の熱が切込み32の間に存在する僅かな接続部分を伝って吸熱器21側へ適量に移動するため、その熱によって吸熱器21に発生する霜や氷の成長を抑制することができる。その結果、外気温度の低い状況でも、乾燥用の空気と冷媒との熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0107】
また、切込み32を、冷媒パイプ21a、23aの蛇行状に形成されて延びる方向と同じ方向とすることにより、フィン25の金型成形時の一工程として切込み32を形成することができる。しかも、フィン25の送り方向は一方向であり、金型によるフィン25の冷媒パイプ貫通穴の加工に合わせた送り方向とすることができ、熱交換器における組立工程の合理化を図ることができる。
【0108】
さらに、吸熱器21および放熱器23が、一つの熱交換器として一体化して構成されているため、コンパクト性に優れたヒートポンプユニットを構成することができ、その結果、乾燥性能が高いコンパクトな衣類乾燥装置を提供することができる。
【0109】
なお、本実施の形態1では、衣類4の出し入れを行うための開口部1aを、回転槽5の駆動モータ6を有する水槽3の面と相反する面に設けた構成としているが、この開口部1aは、上記場所に限定されるものではなく、水槽3および回転槽5の如何なる位置に設定しても良い。
【0110】
また、洗濯乾燥機の形態についてもドラム式の洗濯乾燥機に限るものではなく、パルセータ方式の縦型の洗濯乾燥機に適用することも可能であり、本発明の技術的範囲を逸脱するものではない。
【0111】
さらに、ヒートポンプ装置30に使用する冷媒は、可燃性冷媒としたが自然冷媒である二酸化炭素あるいはHFC系冷媒を使用しても良く、圧縮機26についても、縦型に限らず、横型を用いても良い。
【0112】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における洗濯乾燥機の熱交換風路部の拡大断面図である。ここで、先の実施の形態1と同一の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0113】
本実施の形態2においては、吸熱器21が放熱器23よりも若干下方となるように、一体化された吸熱器21、放熱器23を鉛直下方向に傾斜して配置したものである。
【0114】
その結果、吸熱器21で発生した結露水の放熱器23側への移動が抑制でき、吸熱器21に付着した結露水を円滑に貯水室29へ導くことができる。その結果、吸熱器21から放熱器23への水飛び現象による放熱器23の温度低下を防止することができ、乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0115】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における洗濯乾燥機の熱交換風路部の拡大断面図である。ここで、先の実施の形態1と同一の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0116】
本実施の形態3においては、吸熱器21の冷媒パイプ21aの配置構成を、放熱器23と同様に、冷媒パイプ21aが傾斜した蛇行状態でフィン25を貫通し、かつ上下方向に延びる列と、フィン25を貫通し、かつ直立して上下方向に延びる列の2列配置とし、その直立して上下方向に延びる列の冷媒パイプを廃止し、意図的に冷媒パイプを通さない貫通穴33の部分を設けたものである。
【0117】
したがって、かかる構成によれば、吸熱器21と放熱器23との距離が大きく確保できることから、吸熱器21で発生した結露水を、放熱器23側へ移動させることをより確実に抑制しつつ貯水室29へ導くことができる。その結果、吸熱器21から放熱器23への水飛び現象による放熱器23の温度低下をより確実に抑制することができ、放熱器23の温度を高く維持して乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0118】
さらに、本来冷媒パイプを通すための貫通穴33を、吸熱器21と放熱器23の間における熱移動の抑制に利用することにより、放熱器23の温度を高く維持することができ、乾燥効率の低下の抑制を図ることができる。
【0119】
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の斜視図である。図9は、同熱交換器の側面図である。ここで、前述の各実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0120】
図8、図9において、熱交換器は、吸熱器21および放熱器23共に、蛇行状に形成され、一方向に伸びた一列の冷媒パイプ21a、23aが平板状のフィン(フラットフィン)25を貫通した構成であり、吸熱器21、放熱器23のそれぞれの冷媒入口21A、23Aと冷媒出口21B、23Bは、最も離れた位置関係となるように設けられているが、設計の都合等で接近して配置する場合は、吸熱器21および放熱器23のそれぞれにおける冷媒入口21A、23Aと冷媒出口21B、23Bが隣接しないように配慮する必要がある。ここで、矢印h、iは、放熱器23および吸熱器21それぞれにおける冷媒の流れを示すものである。
【0121】
さらに、フィン25における吸熱器21と放熱器23の境界部には、冷媒パイプ21a、23aの延びる方向(図中、上下方向)にミシン目状の切込み32aが設けられている。
【0122】
なお、切込み32aは、ミシン目状に限るものではなく、後述する吸熱器21と放熱器23間の熱の授受が行われる構成であれば、所定の長さで断続的に連続する切込み(スリット)あるいは、金型により同等の位置でフィン25を打ち抜いた断続的に連続する微小幅の切欠きであってもよい。
【0123】
また、放熱器23の冷媒入口23A側の冷媒過熱域55と冷媒二相域56の間には、冷媒パイプ23aの蛇行状に延びる方向と交差する方向にスリット状の切込み32bが設けられている。この切込み32bは、本発明の過熱域側狭小伝熱部に相当し、切込み32aと同様にミシン目状あるいは切欠きとすることもできる。
【0124】
さらに、放熱器23の冷媒出口23B側の冷媒過冷却域57と冷媒二相域56の間には、前記切込み32bと同様に、冷媒パイプ23aの蛇行状に延びる方向と交差する方向にスリット状の切込み32cが設けられている。この切込み32cは、本発明の過冷却域側狭小伝熱部に相当し、切込み32aと同様にミシン目状あるいは切欠きとすることもできる。
【0125】
上記構成の熱交換器を搭載した洗濯乾燥機の乾燥工程において、圧縮機26で圧縮された冷媒は、矢印hで示す如く、放熱部23の冷媒入口23Aから流入し、冷媒出口23Bから絞り手段27を介して吸熱器21に至り、矢印iで示す如くその冷媒入口21Aから流入し、冷媒出口21Bから圧縮機26へと流れる。
【0126】
また、送風機12による送風は、図9の矢印Xで示す方向に流れ、吸熱器21を通過する際に、該空気に含まれた水分が吸熱器21に結露し、放熱器23を通過する際に昇温されて乾いた高温の空気となり、回転槽5内の衣類4の乾燥に供される。
【0127】
この状態において、熱交換器では、ミシン目状の切込み32aを吸熱器21と放熱器23の境界部に設けたことにより、放熱器23から吸熱器21への熱移動(伝熱)を抑制し、該熱移動に伴う吸熱器21および放熱器23の効率低下を抑制することができるものの、吸熱器21に発生する霜や氷の成長を防止するのに必要な放熱器23の熱量を、切込み32aの間に存在する僅かな接続部分から吸熱器21へ伝達させることができる構成となっている。
【0128】
その結果、外気温度(吸熱器21、放熱器23を通過する空気温度)の低い状況における吸熱器21への着霜を抑制し、乾燥用の空気と冷媒との熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0129】
また、切込み32bおよび切込み32cにより、冷媒二相域56よりも大幅に温度が高い冷媒過熱域55と冷媒二相域56間の熱移動、および冷媒二相域56よりも温度が低い冷媒過冷却域57と冷媒二相域56間の熱移動をそれぞれ抑制するため、放熱器23における冷媒過熱域55、冷媒二相域56を通過する空気を効率的に加熱することができる。
【0130】
換言すると、冷媒過熱域55では、切込み32bによって冷媒二相域56への熱移動に伴う温度低下が抑制されるため、空気と冷媒の温度差を大きくすることができ、また、冷媒二相域56では、切込み32cによって冷媒過冷却域57への熱移動が抑制される。これに伴い、冷媒過冷却域57では、温度が高い冷媒過熱域55、冷媒二相域56からの熱の影響を受けることが極めて少ない状態となる。
【0131】
その結果、この冷媒過冷却域57では、冷媒の過冷却度が大きくなり、冷媒は液状態で安定し易くなる。また、熱移動に伴う冷媒過熱域55の温度低下が抑制されることにより、放熱器23を通過する空気を効率よく加熱することができる。したがって、吸熱器21での結露を生じ易くして高い温度の乾燥空気を得ることができ、乾燥性能を安定させることができる。
【0132】
さらに、放熱器23を通過する空気温度が高い場合、一般に放熱器23側での冷媒過冷却が得られ難くなり、冷媒は二相状態で絞り手段27に流入することになる。二相状態の冷媒が絞り手段27に流入すると、冷媒の循環量が減少して吸熱器21の温度も高くなり、吸熱器21での結露も減少する傾向となる。
【0133】
ところが、前述の如く、ミシン目状の切込み32aの間に存在する僅かな接続部分からの熱伝導が行われる構成とすることにより、低温時における吸熱器21への着霜抑制を行うことと同様に、空気温度が高い場合においても前記僅かな接続部分を介して吸熱器21と放熱器23の間の熱移動が行われる。
【0134】
その結果、前述の冷媒過熱域から冷媒過冷却域に亘る熱の移動抑制作用と相俟って、放熱器23の冷媒出口23B側では、液状態の冷媒を確保し易い環境が形成されることとなり、液状態の冷媒が絞り手段27へ流入する。
【0135】
絞り手段27を通過した冷媒は、液とガスが混在する二相冷媒となって、吸熱器21へと流入し、吸熱器21は、吸熱作用を行う。したがって、空気温度が高い場合であっても、吸熱器21での結露が可能となり、乾燥空気を確保することができる。
【0136】
なお、本実施の形態4においては、冷媒過熱域55と冷媒二相域56の間、および冷媒過冷却域57と冷媒二相域56の間に切込み32b、32cをそれぞれ設ける構成としたが、例えば、冷媒過冷却域57を大きく確保する等、熱交換器の特性に応じて、冷媒過冷却域57の切込み32cを廃止することもできる。
【0137】
また、本実施の形態4の熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することも可能であることは明らかであり、同様の作用効果が期待できる。
【0138】
なお、図8、図9における冷媒過熱域55、冷媒二相域56、冷媒過冷却域57は、一義的に定めたものであり、熱交換器の特性によっては、その箇所が異なる場合もあるが、熱負荷の大きさ、ヒートポンプサイクルの安定した状態における熱交換器の状態等に応じて切込み32b、32cの位置を設定すればよい。
【0139】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図である。ここで、前述の各実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0140】
図10において、熱交換器は、放熱器23の構成を、蛇行状に形成され、一方向に伸びた一列の冷媒パイプ23aが独立して二列設けられ、それぞれ上下配置においてフィン25を貫通した二回路構成としている。したがって、放熱器23の冷媒入口23A、冷媒出口23Bは、それぞれ二箇所に設けられている。
【0141】
そして、一義的に定めた冷媒過熱域55、冷媒二相域56、冷媒過熱域57それぞれの領域の境界部に切込み32a、32b、32cを設けた構成としている。
【0142】
なお、吸熱器21の構成は、先の実施の形態4と同じである。
【0143】
上記構成の熱交換器を搭載した洗濯乾燥機の乾燥工程において、送風機12による送風は、図10の矢印X方向に流れ、吸熱器21を通過する際に、該空気に含まれた水分が吸熱器21に結露し、放熱器23を通過する際に昇温されて乾いた高温の空気となり、回転槽5内の衣類の乾燥に供される。
【0144】
この状態において、冷媒は、圧縮機26から吐出された後に分岐され、矢印hで示す如く、放熱器23において図中上下端に位置するそれぞれの冷媒入口23Aから図中中央部に位置する冷媒出口23Bへと流れ、その後合流し、絞り手段27を介して吸熱器21に至り、矢印iで示す如く、その冷媒入口21Aから流入し、冷媒出口21Bから圧縮機26へと流れる。
【0145】
その過程において放熱器23では、冷媒過熱域55、冷媒二相域56、冷媒過冷却域57が形成される。
【0146】
そして、ミシン目状の切込み32aを吸熱器21と放熱器23の境界部に設けたことにより、放熱器23から吸熱器21への熱移動(伝熱)を抑制し、該熱移動に伴う吸熱器21および放熱器23の効率低下を抑制することができる。その一方で、吸熱器21に発生する霜や氷の成長を防止するのに必要な放熱器23の熱量を、ミシン目状の切込み32aの間に存在する僅かな接続部分から吸熱器21へ伝熱させることができる。
【0147】
その結果、外気温度(放熱器23、吸熱器21を通過する空気温度)の低い状況における乾燥用の空気と冷媒との熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0148】
また、切込み32bおよび切込み32cにより、冷媒二相域56よりも大幅に温度が高い冷媒過熱域55と冷媒二相域56間の熱移動、および冷媒二相域56よりも温度が低い冷媒過冷却域57と冷媒二相域56間の熱移動をそれぞれ抑制するため、放熱器23における冷媒過熱域55、冷媒二相域56を通過する空気を効率的に加熱することができる。
【0149】
その結果、先の実施の形態4と同様に、冷媒過冷却域57での過冷却冷媒(液冷媒)が確保し易くなり、放熱器23を通過する空気を効率よく加熱することができ、また、吸熱器21での結露を生じ易くして乾燥性能を安定させることができる。
【0150】
さらに、放熱器23を通過する空気温度が高い場合も、先の実施の形態4と同様にミシン目状の切込み32aの間に存在する僅かな接続部分を介して吸熱器21と放熱器23の間の熱移動が行われ、放熱部23における冷媒出口23B側で冷媒は液冷媒の状態になり、吸熱器21の冷却作用による結露と放熱器23による昇温(加熱)作用によって乾燥空気を確保することができる。
【0151】
なお、本実施の形態5においても、冷媒過冷却域57を大きく確保する等、熱交換器の特性に応じて、冷媒過冷却域57の切込み32cを廃止することができる。
【0152】
また、本実施の形態5の熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することも可能であることは明らかであり、同様の作用効果が期待できる。
【0153】
なお、図10における冷媒過熱域55、冷媒二相域56、冷媒過冷却域57は、一義的に定めたものであり、熱交換器の特性によっては、その箇所が異なる場合もあるが、熱負荷の大きさ、ヒートポンプサイクルの安定した状態における熱交換器の状態等に応じて切込み32b、32cの位置を設定すればよい。
【0154】
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の形態6における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図である。なお、先の実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0155】
図11において、熱交換器は、実施の形態4を基調とする構成を具備し、先の実施の形態4と大きく相違する点は、フィン25の構成であり、吸熱器21側のフィン25aをコルゲートフィンとし、放熱器23側のフィン25bをフラットフィンとした点である。なお、放熱器23側のフィン25bは、フラットフィンに限るものではない。
【0156】
上記構成の熱交換器を搭載した洗濯乾燥機の乾燥工程において、圧縮機26で圧縮された冷媒は、矢印hで示す如く、放熱部23の冷媒入口23Aから流入し、冷媒出口23Bから絞り手段27を介して吸熱器21に至り、矢印iで示す如く、その冷媒入口21Aから流入し、冷媒出口21Bから圧縮機26へと流れる。
【0157】
また、送風機12による送風は、図11の矢印Xで示す方向に流れ、吸熱器21を通過する際に、該空気に含まれた水分が吸熱器21に結露し、放熱器23を通過する際に昇温されて乾いた高温の空気となり、回転槽5内の衣類4の乾燥に供される。
【0158】
このように、結露する吸熱器21側のフィン25aをコルゲートフィンとすることにより、先の実施の形態4と同様の作用効果が期待できることに加えて、吸熱器21に結露した結露水が重力方向に排水し易くなり、また、フィン25aに付着した結露水が気流に押されて気流風下側の放熱器23へ流入し難くなるため、結露水の放熱器23での再蒸発を抑制し、さらに高い乾燥性能を得ることができる。
【0159】
なお、本実施の形態6の熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することも可能であることは明らかであり、同様の作用効果が期待できる。
【0160】
また、放熱器23における冷媒流路は、冷媒パイプ23aによる単一の場合として説明したが、冷媒が並行して流れる複数の冷媒流路を具備する構成の場合も同様に切込み32a、32b、32cを設けることにより、同様の作用効果が期待できる。
【0161】
(実施の形態7)
図12は、本発明の実施の形態7における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図である。なお、先の実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0162】
図12において、先の実施の形態6と大きく相違する点は、フィン25の構成であり、吸熱器21側のフィン25aをコルゲートフィンとしたことに加えて、放熱器23側のフィン25bを多数のスリットSを具備するスリットフィンとした点である。
【0163】
上記構成の熱交換器を搭載した洗濯乾燥機の乾燥工程において、送風機12による送風は、図12の矢印Xで示す方向に流れ、吸熱器21を通過する際に、該空気に含まれた水分が吸熱器21に結露し、放熱器23を通過する際に昇温されて乾いた高温の空気となり、回転槽5内の衣類4の乾燥に供される。
【0164】
このように、放熱器25側のフィン25bをスリットフィンとすることにより、吸熱器21に付着した結露水の放熱器23側への流入に起因した乾燥性能の低下が抑制できることに加えて、スリットフィンによる放熱器23の熱交換性能の向上が図れ、しかも、冷媒過熱域55と冷媒二相域56の間に設けた切込み32b、および冷媒二相域56と冷媒過冷却域57の間に設けた切込み32cにより、相互間の熱移動を抑制するため、該熱移動に起因した乾燥空気の温度低下を抑制し、また、熱交換器を流れる空気温度が低い場合、あるいは高い場合であっても、吸熱器21と放熱器23の境界部に設けた切込み32a間での適度な熱伝導作用によって吸熱器21への着霜、あるいは放熱器23の冷媒過冷却域の減少が抑制でき、その結果、乾燥性能の低下を抑制することができる。
【0165】
また、本実施の形態7の熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することも可能であることは明らかであり、同様の作用効果が期待できる。
【0166】
また、放熱器23における冷媒流路は、冷媒パイプ23aによる単一の場合として説明したが、冷媒が並行して流れる複数の冷媒流路を具備する構成とすることも可能であり、その場合も同様に切込み32a、32b、32cを設けることにより、同様の作用効果が期待できる。
【0167】
(実施の形態8)
図13は、本発明の実施の形態8における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の斜視図である。図14は、同熱交換器の側面図である。ここで、前述の各実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0168】
図13、図14において、熱交換器を構成する吸熱器21は、蛇行状に形成され、一方向に伸びた一列の冷媒パイプ21aが、吸熱器21と放熱器23で共有するフィン(フラットフィン)25を縦方向に並んで貫通している。
【0169】
また、熱交換器を構成する放熱器23は、蛇行状に形成され、一方向に伸びた複数列(各列を二点鎖線で示す)60、61、62の冷媒パイプ23aが、吸熱器21と放熱器23で共有するフィン(フラットフィン)25を縦方向に並んで貫通している。そして、中央列61の冷媒パイプ23aの両端を、隣り合う列60、61の冷媒パイプ23aの一端と接続することにより、冷媒入口23Aと冷媒出口23Bが離れた位置に配置された単一の放熱側冷媒流路を形成している。
【0170】
そして、放熱器23側のフィン25における冷媒過熱域55を有する列60と隣接する列61の相互の列の間には、冷媒パイプ23aが延びる方向(図中、上下方向)にミシン目状の切込み32dが設けられている。
【0171】
また、フィン25における吸熱器21と放熱器23の境界部にも、冷媒パイプ23aが延びる方向にミシン目状の切込み32aが設けられ、放熱器23から吸熱器21への熱の移動を抑制する構成となっている。
【0172】
上記構成の熱交換器を搭載した洗濯乾燥機の乾燥工程において、圧縮機26で圧縮された冷媒は、矢印hで示す如く、放熱部23の冷媒入口23Aから流入し、冷媒出口23Bから絞り手段27を介して吸熱器21に至り、矢印iで示す如く、その冷媒入口21Aから流入し、冷媒出口21Bから圧縮機26へと流れる。
【0173】
また、送風機12による送風は、図14において矢印Xで示す方向に流れ、吸熱器21を通過する際に、該空気に含まれた水分が吸熱器21に結露し、放熱器23を通過する際に昇温されて乾いた高温の空気となり、回転槽5内の衣類4の乾燥に供される。
【0174】
この状態において、熱交換器では、ミシン目状の切込み32aにより、放熱器23から吸熱器21への伝熱量を抑制し、吸熱器21に発生する霜や氷の成長を防止するのに必要な放熱器23の熱量を、切込み32aの間に存在する僅かな接続部分を伝って吸熱器21へ伝熱させることができるため、外気温度、あるいは熱交換器を通過する空気温度の低い状況でも乾燥用の空気と冷媒との熱交換効率が低下することを抑制することができる。
【0175】
さらに、列60と列61の間に設けたミシン目状の切込み32dにより、冷媒二相域よりも大幅に温度が高い冷媒過熱域55を有する列60とこの列60と隣接する冷媒二相域もしくは冷媒過冷却域57(図14)の列61の間のフィン25を介した伝熱量を抑制するため、放熱器23を通過する空気を効率的に加熱することができ、乾燥性能を向上することができる。
【0176】
また、切込み32dは、外気温度、あるいは熱交換器を通過する温度が高い場合での放熱器23における冷媒過冷却域57に与える影響も大きい。
【0177】
すなわち、実施の形態4で説明したように、放熱器23を通過する空気温度が高い場合は、放熱器23の冷媒過冷却域57での液冷媒の確保が困難な条件となり易いが、低温時と同様に、放熱器23と吸熱器21の間での適度な熱伝導作用に加え、切込み32dによって冷媒過熱域55から冷媒過冷却域57への熱の移動が抑制されるため、冷媒過冷却域57では、吸熱器21との熱移動を阻害する要因が少なくなる。
【0178】
換言すると、冷媒過冷却域57は、切込み32dによって冷媒過熱域55の熱の影響を受け難いことから、吸熱器21との温度差も小さい状況にあり、その小さい温度差の状況で吸熱器21との熱の授受を行うため、列62で安定して形成される。
【0179】
その結果、冷媒は、放熱器23の出口23bで液状態となり、絞り手段27によって液冷媒または液とガスが混在する二相冷媒となって吸熱器21へと流入する。したがって、外気温度が高い場合であっても、吸熱器21では温度が低下し、吸熱器21での結露が可能となって除湿能力を確保することができる。
【0180】
また、放熱器23では、熱移動に伴う冷媒過熱域55の温度低下が抑制されることにより、放熱器23を通過する空気を効率よく加熱することができる。
【0181】
したがって、吸熱器21での結露を確実にして高い温度の乾燥空気が得られ、乾燥性能を向上することができる。
【0182】
なお、冷媒過熱域55、冷媒過冷却域57の位置は、一義的に定めたものであり、熱交換器のフィンの形状、あるいは冷媒パイプ23aで形成される蛇行状の列数等に応じてその位置は変わるもので、熱交換器の構成(特性)に応じて切込み32dの位置を設定すればよい。
【0183】
本実施の形態8においても熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することが可能であり、同様の作用効果が期待できる。
【0184】
また、熱交換器の特性、能力によっては、図14の列62を廃止し、その冷媒パイプの貫通孔(図示せず)を、実施の形態3と同様に、放熱器23から吸熱器21への熱移動抑制に利用することも可能である。
【0185】
さらに、本実施の形態8においては、フィン25をフラットフィンとしたが、実施の形態5、6と同様に、吸熱器21の部分はコルゲート形状でも良く、かかる構成の場合は、吸熱器21に結露した結露水が重力方向に排水し易くなるとともに、結露水が気流に押されて気流風下側の放熱器23に流入し難くなるため、結露水の放熱器23での再蒸発を抑制し、さらに乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0186】
また、フィン25における放熱器23の部分をスリットフィンとすることにより、放熱器23における空気との熱交換能力が大きくでき、乾燥能力を高めることができる。
【0187】
さらに、フィン25における吸熱器21の部分をコルゲートフィンとし、放熱器23の部分をスリットフィンとすることも可能であり、排水性および熱交換性能が良い熱交換器が期待できる。
【0188】
また、放熱器23における冷媒流路は、冷媒パイプ23aによる単一の流路を複数列に配置した構成として説明したが、例えば、実施の形態5のように上下の配置関係で、あるいは左右の配置関係で冷媒が並行して流れる複数の冷媒流路を具備する構成とすることも可能であり、その場合も同様に切込み32a、32dを設けることにより、同様の作用効果が期待できる。
【0189】
(実施の形態9)
図15は、本発明の実施の形態9における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図である。ここで、前述の各実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0190】
図15の熱交換器は、先の実施の形態8における熱交換器の構成に加えて、放熱器23側のフィン25における冷媒パイプ23aの列61と列62の間にも、冷媒パイプ23aが延びる方向にミシン目状の切込み32eを設けた構成としたものである。
【0191】
上記構成の熱交換器を搭載した洗濯乾燥機の乾燥工程において、圧縮機26で圧縮された冷媒は、矢印hで示す如く、放熱部23の冷媒入口23Aから流入し、冷媒出口23Bから絞り手段27を介して吸熱器21に至り、矢印iで示す如く、その冷媒入口21Aから流入し、冷媒出口21Bから圧縮機26へと流れる。
【0192】
また、送風機12による送風は、図15において矢印Xで示す方向に流れ、吸熱器21を通過する際に、該空気に含まれた水分が吸熱器21に結露し、放熱器23を通過する際に昇温されて乾いた高温の空気となり、回転槽5内の衣類4の乾燥に供される。
【0193】
この状態において、放熱器23における列60は、冷媒過熱域55を有する列であり、列60と隣接する列61は、冷媒二相域56を有する列であり、列61と隣接する列62は、冷媒過冷却域57を有する列となり、この列61と列62の間にミシン目状の切込み32eを設けることにより、先の実施の形態7の効果に加えて、冷媒二相域56の熱がフィン25を介して該冷媒二相域56よりも大幅に温度が低い冷媒過冷却域57へ移動することを抑制することができる。
【0194】
このように、本実施の形態9においては、切込み32eによって冷媒二相域56および冷媒過熱域55から最も温度が低い冷媒過冷却域57への熱移動を抑制することができるため、先の実施の形態8の効果に加えて、列62での冷媒過冷却域57の形成がさらに安定する。
【0195】
したがって、特に、外気温度、あるいは熱交換器を通過する温度が高い場合の列62における過冷却冷媒(液冷媒)の確保がより安定し、また、吸熱器21での結露を生じ易くして除湿能力の低下を抑制することができる。
【0196】
また、冷媒過熱域55、冷媒二相域56の熱移動に伴う温度低下も抑制できるため、吸熱器21によって除湿された空気を効率的に加熱してさらに乾燥性能を向上することができる。
【0197】
なお、本実施の形態9では、フィン25をフラットフィンとしたが、吸熱器21の部分をコルゲート形状とすることにより、吸熱器21に結露した結露水が重力方向に排水し易くなるとともに、結露水が気流に押されて気流風下側の放熱器23に流入し難くなるため、結露水の放熱器23での再蒸発を抑制し、さらに乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0198】
また、フィン25における放熱器23の部分をスリットフィンとすることにより、放熱器23における空気との熱交換能力が大きくでき、乾燥能力を高めることができる。
【0199】
さらに、フィン25における吸熱器21の部分をコルゲートフィンとし、放熱器23の部分をスリットフィンとすることも可能であり、排水性および熱交換性能が良い熱交換器が期待できる。また、フィン25全体をスリットフィンとすることもできる。
【0200】
なお、冷媒過熱域55、冷媒二相域56、冷媒過冷却域57は、一義的に定めたものであり、熱交換器のフィンの形状、あるいは冷媒パイプ23aで形成される蛇行状の列数等に応じてその位置は変わるもので、熱交換器の構成(特性)に応じて切込み32d、32eの位置を設定すればよい。
【0201】
さらに、本実施の形態9においても熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することが可能であり、同様の作用効果が期待できる。
【0202】
また、熱交換器の特性、能力によっては、図15の列62を廃止し、その冷媒パイプの貫通孔(図示せず)を、実施の形態3と同様に、放熱器23から吸熱器21への熱移動抑制に利用することも可能である。
【0203】
さらに、放熱器23における冷媒流路は、冷媒パイプ23aによる単一の流路を複数列に配置した構成として説明したが、例えば、実施の形態5のように上下の配置関係で、あるいは左右の配置関係で冷媒が並行して流れる複数の冷媒流路を具備する構成とすることも可能であり、その場合も同様に切込み32a、32d、32eを設けることにより、同様の作用効果が期待できる。
【0204】
(実施の形態10)
図16は、本発明の実施の形態10における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図である。ここで、前述の実施の形態と同様の構成要件については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0205】
図16において、熱交換器を構成する吸熱器21は、蛇行状に形成され、一方向に伸びた二列(各列を二点鎖線で示す)71、72の冷媒パイプ21aが、吸熱器21と放熱器23で共有するフィン(フラットフィン)25を縦方向に並んで貫通している。そして各列71、72の冷媒パイプ21aの一端を接続することにより、単一の吸熱側冷媒流路を形成し、冷媒入口21Aと冷媒出口21Bが、図中上方に配置されている。
【0206】
また、熱交換器23を構成する放熱器23は、蛇行状に形成され、一方向に伸びた二列(各列を二点鎖線で示す)60、61の冷媒パイプ23aが、吸熱器21と放熱器23で共有するフィン(フラットフィン)25を縦方向に並んで貫通している。そして、各列60、61の冷媒パイプ23aの一端を接続することにより、単一の放熱側冷媒流路を形成し、冷媒入口23Aと冷媒出口23Bが、図中上方に配置されている。
【0207】
そして、フィン25における吸熱器21と放熱器23の境界部には、冷媒パイプ21a、23aの延びる方向(図中、上下方向)にミシン目状の切込み32aが設けられ、放熱器23から吸熱器21への熱の移動を抑制する構成となっている。
【0208】
また、放熱器23側のフィン25において、冷媒過熱域55を有する列60と、この列60と隣接する列(負荷によっては冷媒二相域56から冷媒過冷却域57となる)61の間にも、冷媒パイプ23aが延びる方向にミシン目状の切込み32dが設けられ、さらに、吸熱器21側における冷媒過冷却域もしくは冷媒二相域(以下、低温域と称す)70を有する列71と、この列71と隣接する列72の間にも、冷媒パイプ21aが延びる方向にミシン目状の切込み32fが設けられている。
【0209】
そして、矢印h、iで示す如く、放熱器23から吸熱器21へと冷媒が流れることにより、吸熱器21で空気中の水分が結露し、放熱器23で吸熱器21を通過した空気の加熱が行われる。
【0210】
したがって、先の実施の形態9の効果に加え、吸熱器21側にミシン目状の切込み32fを設けたことにより、吸熱器21において、最も低温状態にある低温域70を有する列71と、この列71と隣接する列であって冷媒二相域もしくは冷媒過熱域(以下、高温域と称す)73である列72との間のフィン25を介しての伝熱が抑制されるため、圧力損失等による冷媒蒸発温度の変化に伴い、列71、72間の温度差が変化した場合においても、列71、72相互間のフィンを介しての伝熱量を抑制することができる。
【0211】
その結果、吸熱器21側では空気との熱交換量が増し、空気中の水分を効率的に除湿することができ、さらに乾燥性能を向上させることができる。
【0212】
なお、本実施の形態10においても、フィン25をフラットフィンとしたが、吸熱器21の部分をコルゲート形状とすることにより、吸熱器21に結露した結露水が重力方向に排水し易くなるとともに、結露水が気流に押されて気流風下側の放熱器23に流入し難くなるため、結露水の放熱器23での再蒸発を抑制し、さらに乾燥性能に優れた衣類乾燥装置を実現することができる。
【0213】
また、フィン25における放熱器23の部分をスリットフィンとすることにより、放熱器23における空気との熱交換能力が大きくでき、乾燥能力を高めることができる。
【0214】
さらに、フィン25における吸熱器21の部分をコルゲートフィンとし、放熱器23の部分をスリットフィンとすることも可能であり、排水性および熱交換性能が良い熱交換器が期待できる。また、フィン25全体をスリットフィンとすることもできる。
【0215】
なお、放熱器23における冷媒過熱域55、冷媒二相域56、冷媒過冷却域57および、吸熱器21における低温域70、高温域73は、一義的に定めたものであり、熱交換器のフィンの形状、あるいは冷媒パイプ21a、23aで形成される蛇行状の列数等に応じてその位置は変わるもので、熱交換器の構成(特性)に応じて切込み32d、32fの位置を設定すればよい。
【0216】
さらに、本実施の形態10においても熱交換器を、実施の形態2と同様に、吸熱器風路22および放熱器風路24と連通する熱交換風路中に傾斜して配置することが可能であり、同様の作用効果が期待できる。
【0217】
また、熱交換器の特性、能力によっては、図16の列71を廃止し、吸熱器21の冷媒流路を一列とし、廃止した冷媒パイプの貫通孔(図示せず)を、実施の形態3と同様に、放熱器23から吸熱器21への熱移動抑制に利用することも可能である。
【0218】
さらに、吸熱器21および放熱器23におけるそれぞれの冷媒流路は、冷媒パイプ21a、23aによる単一の流路を複数列に配置した構成として説明したが、例えば、実施の形態5のように上下の配置関係で、あるいは左右の配置関係で冷媒が並行して流れる複数の冷媒流路を具備する構成とすることも可能であり、その場合も同様に切込み32a、32d、32fを設けることにより、同様の作用効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
以上のように、本発明の衣類乾燥装置は、吸熱器と放熱器を一体化して構成することから、外気温度の低い時でも、吸熱器に発生する霜や氷の成長を防止することができるので、乾燥性能が高い衣類乾燥装置や衣類乾燥装置を備えた洗濯乾燥機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】本発明の実施の形態1における衣類乾燥装置を備えた洗濯乾燥機の外観斜視図
【図2】同洗濯乾燥機の側面方向から見た乾燥工程時の一部切欠き断面図
【図3】同洗濯乾燥機の背面方向から見た乾燥工程時の一部切欠き断面図
【図4】同洗濯乾燥機のシステム構成を示す概念図
【図5】同洗濯乾燥機の熱交換風路部の拡大断面図
【図6】本発明の実施の形態2における洗濯乾燥機の熱交換風路部の拡大断面図
【図7】本発明の実施の形態3における洗濯乾燥機の熱交換風路部の拡大断面図
【図8】本発明の実施の形態4における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の斜視図
【図9】同熱交換器の側面図
【図10】本発明の実施の形態5における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図
【図11】本発明の実施の形態6における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図
【図12】本発明の実施の形態7における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図
【図13】本発明の実施の形態8における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の斜視図
【図14】同熱交換器の側面図
【図15】本発明の実施の形態9における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図
【図16】本発明の実施の形態10における洗濯乾燥機の吸熱器および放熱器を構成する熱交換器の側面図
【図17】従来例を示す洗濯乾燥機の断面図
【符号の説明】
【0221】
1 筺体
4 衣類(被乾燥物)
5 回転槽
12 送風機(送風手段)
21 吸熱器
21A 冷媒入口
21B 冷媒出口
21a 冷媒パイプ
22 吸熱器風路(熱交換風路)
23 放熱器
23A 冷媒入口
23B 冷媒出口
23a 冷媒パイプ
24 放熱器風路(熱交換風路)
25 フィン
25a フィン(吸熱器側)
25b フィン(放熱器側)
26 圧縮機
27 絞り手段
28 管路
30 ヒートポンプ装置
32 切込み
32a 切込み
32b 切込み
32c 切込み
32d 切込み
32e 切込み
32f 切込み
33 貫通穴
55 冷媒過熱域(放熱器側)
56 冷媒二相域(放熱器側)
57 冷媒過冷却域(放熱器側)
60 冷媒過熱域を有する列(放熱器側)
61 冷媒過熱域を有する列と隣接する列(放熱器側)
62 冷媒過冷却域を有する列(放熱器側)
70 冷媒過冷却域(吸熱器側)
71 冷媒過冷却域を有する列(吸熱器側)
72 冷媒過冷却域を有する列と隣接する列(吸熱器側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮されて高温高圧になった前記冷媒と周囲の空気とを熱交換させて前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、前記放熱器で放熱された高圧の前記冷媒を減圧するための絞り手段と、前記絞り手段により減圧されて低温低圧となった前記冷媒と周囲の空気とを熱交換させて前記冷媒で周囲から熱を奪う吸熱器とを順次前記冷媒が循環するように管路で連結して構成したヒートポンプ装置と、被乾燥物を収容する槽と、前記放熱器で加熱した空気を前記槽内へ供給する送風手段と、前記槽内の空気を、前記吸熱器を通して前記放熱器へ循環させる熱交換風路を具備し、前記放熱器と吸熱器に亘るフィンを設けることにより、前記吸熱器と前記放熱器を一体化し前記熱交換風路内に配設した衣類乾燥装置において、前記吸熱器と放熱器のそれぞれを、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びる冷媒パイプを前記フィンに貫通させた構成とし、前記フィンにおける前記吸熱器と放熱器の間に、前記吸熱器と放熱器の間の前記フィンを介しての熱移動を抑制する狭小伝熱部を設け、前記狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きより形成した衣類乾燥装置。
【請求項2】
前記狭小伝熱部を、少なくとも前記吸熱器と放熱器をそれぞれ形成する冷媒パイプが接近する箇所に設けた請求項1に記載の衣類乾燥装置。
【請求項3】
少なくとも前記吸熱器を鉛直下方向に傾斜させた請求項1または2に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
前記吸熱器と前記放熱器の間に、冷媒を通す前記冷媒パイプの未挿入貫通穴を設けた請求項1から3のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項5】
少なくとも前記放熱器を構成する冷媒パイプの冷媒入口と冷媒出口の位置を、隣接しない位置とした請求項1から4のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項6】
少なくとも前記放熱器におけるフィンの前記冷媒パイプの延びる方向の冷媒二相域と冷媒過熱域の境界部に、前記冷媒二相域と冷媒過熱域の間の前記フィンを介しての熱移動を抑制する過熱域側狭小伝熱部を設け、前記過熱域側狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と交差する方向に延びる切込みまたは切欠きとした請求項1から5のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項7】
少なくとも前記放熱器におけるフィンの前記冷媒パイプの延びる方向の冷媒二相域と冷媒過冷却域の境界部に、前記冷媒二相域と冷媒過冷却域の間の前記フィンを介しての熱移動を抑制する過冷却域側狭小伝熱部を設け、前記過冷却域側狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と交差する方向に延びる切込みまたは切欠きとした請求項1から6のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項8】
少なくとも前記放熱器を、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びた冷媒パイプが並列に複数配置された放熱側冷媒パイプ列を具備する構成とし、前記放熱側冷媒パイプ列は、前記一方の冷媒パイプの一端と他方の冷媒パイプの一端が連続する単一の放熱側冷媒流路を構成し、少なくとも前記放熱側冷媒パイプ列における放熱器の冷媒過熱域を有する列と、該冷媒過熱域を有する列と隣接する列の間に、狭小伝熱部を設け、前記狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きより形成した請求項1から7のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項9】
少なくとも前記放熱部を、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びた冷媒パイプが並列に複数配置された放熱側冷媒パイプ列を具備する構成とし、前記放熱側冷媒パイプ列は、前記一方の冷媒パイプの一端と他方の冷媒パイプの一端が連続する単一の放熱側冷媒流路を構成し、少なくとも前記放熱側冷媒パイプ列における放熱器の冷媒過冷却域を有する列と、該冷媒過冷却域を有する列と隣接する列の間に、狭小伝熱部を設け、前記狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きより形成した請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項10】
少なくとも前記吸熱器を、蛇行状に形成され、かつ所定の方向に延びた冷媒パイプが並列に複数配置された吸熱側冷媒パイプ列を具備する構成とし、前記吸熱側冷媒パイプ列は、前記一方の冷媒パイプの一端と他方の冷媒パイプの一端が連続する単一の吸熱側冷媒流路を構成し、前記吸熱側冷媒パイプ列における少なくとも冷媒入口を有する列と、該列と隣接する列の間に、前記吸熱側狭小伝熱部を設け、前記吸熱側狭小伝熱部を、前記フィンにおける前記冷媒パイプの延び方向と同方向に延びる切込みまたは切欠きとした請求項1から9のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項11】
少なくとも前記吸熱器のフィン部をコルゲートフィンとした請求項1から10のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項12】
少なくとも前記放熱器のフィン部をスリットフィンとした請求項1から11のいずれか一項に記載の衣類乾燥装置。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−6126(P2009−6126A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109813(P2008−109813)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】