説明

表情皺を緩和するのに好適な皮膚投与のための美容組成物

本発明は、筋肉繊維における収縮弛緩又は緩和作用を有する選択活性ペプチド成分を、筋肉繊維成分に直接的又は間接的に作用することによって筋肉収縮レベルを減少させる微量要素と組み合わせる表情皺を緩和するのに好適な皮膚投与用美容組成物に関する。本発明の美容組成物の有効成分は、都合よくはリポソームによって運ばれる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、表情皺を緩和するのに好適な皮膚投与のための美容組成物に関する。
【0002】
顔の皺は、多かれ少なかれ顔の皮膚上に存在して深さが変化する線状の溝であり、皮膚老化の兆候と見なされている。
皺形成の原因は、主に以下の要因:
i)総合的な経時的皮膚老化、ii)重力、iii)太陽光の作用による弾性繊維及びコラーゲン繊維の分解、iv)筋肉及び関節の繰り返し運動の結果、
の組み合わせ作用に帰することができる。
これらの要因は、老化皺、重力皺、光線性皺又は表情皺が存在するか否かに依存して、別々の方法で皺の形成に影響を与える。
【0003】
老化皺は、皮膚の厚みの減少及び存在する繊維芽細胞数の減少、並びにそれ自体の細胞ターンオーバー及び細胞代謝の衰えの結果として形成される。
重力皺は、皮膚の弾性繊維及び変質コラーゲン繊維束が重力とこれ以上釣り合うことができないときに現れ、及び生物体の老化プロセスに生理学的に現れる。
光線性皺は、太陽放射によって弾性繊維及びコラーゲン繊維上に及ぼされる累積性の損傷による。これらは、光に露出された部位に存在する。これらは、多かれ少なかれ一連の微細で広く分散した皺を生成する皮膚ウィーブの顕著な強調に相当する。
表情皺又は表情筋皺は、本質的に表情筋によって及ぼされる反復的牽引の結果として顔の皮膚上に形成される溝である。
【0004】
30歳になると、表情皺はすでに明確に見え、年齢を重ねるとそれらは進行的に深くなる。これらは動的な皺であり、収縮性筋肉エネルギー及び収縮の回数に直接関係すると考えられている。これらの皺は、顔の物まねをよく用いる人ではさらに明らかであり、口又は目の周辺、皺が寄る額、又は表情に最も頻繁に用いられる側面などの顔の種々の高い活力点においてさらに顕著である。
【0005】
それらの性質及び起源をさらに理解するためには、顔の表情筋が、眼球孔、眼瞼、鼻、唇、頬、口、耳介、頭皮及び首の皮膚の輪郭に関連することに注目すべきである。顔の表情筋は小さく且つ微細であり、これらは皮神経末端を有するという共通の要素を有し、挙筋、制筋、収縮筋又は散大筋になり得る。これらは2つの役割:機能性、及び個人の精神的機能の具象化を有する。それらのほとんどは、顔の前部の皮下結合で見出される。顔の骨組織層におけるそれらの深い刺入から、それらは、深い皮膚層のレベルにおいてそれらがそれらの表面刺入を有する皮膚に向けて表面まで上がる。それらの収縮は、常に筋肉繊の方向に垂直な折りたたみの形成により、顔の皮膚の運動を引き起こす。これらの折りたたみは、その特定の筋肉に特異的であり、且つ人格、個性又は特定の精神状態の動的な表情として考えられ得る顔の特徴の変化を引き起こす。
【0006】
顔の筋肉は全ての筋肉組織のように、収縮性ストランドからなる筋原繊維と呼ばれる数百本の長い収縮束からなる筋肉繊維(各筋肉繊維は単一の筋肉細胞である)で構成されている。神経繊維は、シナプスボタンと呼ばれる膨張を終わらせる分枝を介して筋肉繊維を刺激する。収縮を含む神経刺激が神経繊維の末端に到達すると、シナプスボタンのレベルにおいて、神経膜を有する小胞体自体の融合に続き、シナプスボタン及び筋肉繊維間を通過するスペース(シナプススペース)内に大量に放出される神経伝達物質アセチルコリンを含有する小胞体の大量の蓄積が起こる。
【0007】
アセチルコリン分子が放出されると、それらは自ら特定の受容体又は筋細胞の原形質膜をその全厚みに渡って通過するキャナル(canal)蛋白質と結合する。これらのキャナル受容体は一般的に閉じており、種々のアセチルコリン分子がそれらと結合してそれらの開口を引き起こすまでそのままでいる。アセチルコリンのこれらの受容体キャナルの開口により、筋細胞内に大量の陽イオン(Na+ナトリウムイオン)の全通路が生じる。Na+イオンのこの流れは、筋原形質膜の極性における反転:いわゆる活動電位の生成を導く膜の脱分極を引き起こす。いったん生成されると、該活動電位は刺激が連続的な膜領域に与えられた場所から増殖し、その脱分極を引き起こす。
活動電位は細胞の細胞質において、小胞体の一部上のCa2+カルシウムイオン、高濃度のカルシウムイオンを含有する筋細胞内に存在する細胞小器官の放出を誘導する。それらの放出は活動電位の効果のもとで開き、カルシウムイオンを排出する細網膜に存在する電圧依存キャナルの開口の結果として起こる。この点では、カルシウムが筋細胞の細胞質に放出されるとき、そこに存在する全ての収縮性ストランドが素早く活性化されて筋肉の収縮を引き起こす。従って、カルシウムは筋肉収縮の引金となり得る事実上のスイッチとして作用する。
【0008】
最近の皺取り処理は、特に潜在的に毒性の物質であるボツリヌス毒素の一部による筋肉繊維に対する神経興奮の伝達システムとの相互作用に基づく。
一般的にはボツリンと呼ばれるボツリヌス毒素は、細菌であるClostridium Botulinumによって製造され、その感染原因は、筋肉膜に対する神経興奮伝達の結果として生じる閉塞による筋系の神経終末のレベルにおけるアセチルコリンの放出停止の後に、呼吸筋の麻痺により人の死も引き起こし得る。
その作用機構の発見は、この毒素を約20年に渡って多くの病理学的状態:例えば遺伝性斜視、眼瞼痙攣、関節痙攣、深刻な失禁を減弱することのできる薬剤に変形させた。
1992年に、カナダ人皮膚科医が、眉間の皺、すなわち眉の上に位置する縦線を緩和するために化粧品分野でボツリヌス毒素を用いる考えを持った。この考えは、段々と非治療学的分野に適用されていったが、純粋に審美的な目的のためのその使用は、2002年にFDAによって承認されたのみであった。形成外科医及び皮膚科医によって小量が皮膚性微量注射を用いて表情皺に注射され、筋肉に感染することなく皺を緩和する。イタリアでは2004年に、形成外科医、顎顔面専門医、皮膚科医及び眼科医の一部の排他的使用に対して承認が得られた。
【0009】
皮膚微細注射を用いる審美的目的のためのボツリヌス毒素の使用は、主に額、眉の間の縦型の表情皺を緩和するとして認識されている。しかし、その使用は一般的に顔の上部3分の1(額、眉間、眼)まで拡張されている。
ボツリヌス毒素による治療は顔の皺の治療の美容アプローチに革命を起こしたが、その使用は深刻にもなり得る不都合を有さなくはない。
審美的目的のためのボツリヌス毒素の注射に関連して起こり得る危険、例えば治療した部位の痛み、紅斑、嘔気、腫脹は広く知られており、科学文献に記録されている。過剰量は表情の固定も引き起こし、種菌の間違いは眉又は眼瞼の低下を引き起こし得る。
上記観点から、局所的でその結果として非侵襲的投与による表情皺を緩和するために化粧品を用い、それによってこれらの審美的治療方法における固有の危険性を減らすための必要性は明らかである。
【0010】
本発明の目的は、有効成分の厳しい投与方法(微細注射)に頼ること無く、表情皺の有効な緩和を引き起こすことのできる組成物及び美容方法を与えることからなる。
本発明の別の目的は、ボツリンの局所的投与に典型的な副作用の形成を引き起こすこと無く、表情皺を緩和することのできる美容組成物を与えることからなる。
本発明のさらなる目的は、顔の皮膚微細収縮を減らして表情皺の緩和効果を生成することができ、それらの減弱又は消失を引き起こすボツリヌス毒素を含まない美容組成物を与えることからなる。
本発明の目的は、請求項1に示されるような美容使用のための組成物を提供することによって達成される。本発明のさらなる特徴は、その後の請求項で明記される。
本発明は、筋肉繊維における収縮弛緩又は緩和作用を有する選択されたペプチド成分を、筋肉繊維の成分に直接的又は間接的に作用することによって筋拘縮を減らす微細要素と組み合わせることによって、相乗的な皺緩和作用が得られるという主張から生じる。この緩和作用は、表情皺に関しては特に明らかである。
【0011】
本発明の第一の特徴では、直接的及び/又は間接的機構により種々の作用部位に細胞又は筋肉繊維のレベルで作用することによって、繊維自体に審美的観点から表情皺の特に感知できるほどの緩和を引き起こす相乗的緩和作用を生成する有効成分に基づく美容組成物が提供される。
本発明の第一の特徴に基づき、本出願人は、該組成物の活性ペプチド成分が以下のアミノ酸:アラニン(ala)、アルギニン(arg)、プロリン(pro)、グリシン(gly)を含有するペンタペプチドを含むときに、皺における相乗的緩和作用が特に顕著であることを見出した。
好ましい実施態様では、前記ペプチド成分がクラーレ様活性を有する5種のアミノ酸からなり、好ましくは以下の配列:GLY-PRO-ARG-PRO-ALAを含む。
【0012】
シナプスレベルでは、GLY-PRO-ARG-PRO-ALAがその受容体との結合においてアセチルコリン神経伝達物質と競争し、該受容体は筋肉細胞の膜レベルに存在してキャナル状構造を有する。これらのキャナル受容体は一般的に閉じており、種々のアセチルコリン分子がそれらと結合してそれらの開口を引き起こすまでそのままでいる。アセチルコリンに代わる前記ペンタペプチドの結合に続き、該キャナルは閉じたままでその結果として筋肉細胞内に陽イオン(Na+ナトリウムイオン)の通路が無く、カルシウムイオンの非蓄積により、該膜の脱分極とその結果としての筋肉収縮を引き起こす必要性が生じる。
【0013】
典型的には、本発明の使用に特に好適なgly-pro-arg-pro-ala-NH2タイプのペンタペプチドは、固相の化学合成方法によって得ることができる。この合成手順では、該ペンタペプチドが、ポリマー固体キャリア、例えばアミノ酸が連続して結合しているクロロトリチルクロライド-2樹脂を用い、前者から出発して合成する。後者を適当に改良した形態で用い、ポリペプチド合成中に用いられる試薬の作用により、該樹脂に結合させて保護させたままにすることができる(Fmoc-保護)。
1組以上の精製相が都合よくは続き、典型的には精製オリゴペプチドの製造を導くイオン交換クロマトグラフィー及びゲルクロマトグラフィーによる。
【0014】
ある実施態様では、本発明の組成物の活性ペプチド成分が、筋肉繊維の収縮弛緩又は緩和作用を有するジペプチドと結合されているgly-pro-arg-pro-ala-NH2ペンタペプチドを含み、都合よくは神経伝達プロセスに介在して筋肉細胞の緩和及びその結果としての筋系自体の緩和を引き起こすアミノ酸及びアルギニンを含む。
特に、前記チロシンアルギニンジペプチドは:
中枢神経系(CNS)のニューロンにおいて、後脳のPOMC(プロ-オピオメラノコルチン)遺伝子前駆体の遺伝子発現を刺激し、該神経ペプチドは筋系の緩和に関連する、
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)合成を減らし、該神経ペプチドは筋肉活性を刺激するのに関連する。一方でアセチルコリンは筋肉繊維の収縮を生成し、他方でCGRPは、1連の連鎖リン酸化により、筋肉細胞における収縮のトーンを強化し、且つエネルギーの製造を活性化する環状AMPの製造を刺激する。
【0015】
ある実施態様では、チロシン-アルギニンジペプチドをアセチル化して、皮膚レベルでより親油性、より安定及び生物的利用可能にする。アセチルチロシン-アルギニン-1セチルエステルは、効果的に神経液の放出を調節することのできる形状であり、皮膚及び美容の用途に特に好適である。
別の実施態様では、美容組成物が、上記ペンタ/ジペプチドの1種又は両方と、筋肉収縮のレベルを減らす微量要素を含む。
本発明の範囲内では、微量要素という用語が、筋肉繊維に神経刺激を与える作用及び介在を及ぼす生理学的に許容される無機要素を意味する。本発明の範囲内の好適な微量要素は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、それらの塩及び生理学的に許容される誘導体から選択される1種以上の微量要素を含む。
【0016】
微量要素であるナトリウム、カリウム及びマグネシウムが同時に存在することが、以下に記載される異なる機構で作用することにより、これらの微量要素が筋肉細胞の2つの近接点の封鎖を引き起こし、そこからのカルシウムイオンの放出をかなり制限し、該筋肉収縮機構をかなり妨げるとして特に有利である。
“生体外”試験では、ナトリウム及びカリウムの組み合わせの神経-筋肉シナプスのレベルにおける投与が筋緩和作用を引き起こし、表情皺の結果的な緩和となることが観察された。
【0017】
この点において、本出願人はまた、アニスの水性抽出物に、ナトリウム及び上記全てのカリウム塩が豊富な天然原料を同定した。筋緩和タイプのその作用機構は、特に筋肉細胞膜のレベルに存在するナトリウム-カリウムポンプを遮断するカリウムと連結し、ナトリウムの入口を妨害し、筋原繊維の収縮を妨げる。筋肉細胞外のナトリウムの非導入及びカリウムの強力な存在は、筋肉細胞の小胞体のレベルに位置する膜の脱分極及びカルシウムキャナルの開口を妨げる。細胞における前記カルシウムイオンの非蓄積は、筋肉細胞内に含有される筋原繊維を収縮することから妨げ、それによって全筋肉の収縮を回避する。
従って、アニス抽出物は、表情皺に対抗するための美容組成物を製造するのに特に好適なナトリウム-カリウムの天然原料を表す。
【0018】
Na+塩及び上記全てのK+塩が豊富な好適な水溶液は、溶媒としての水及び1/2に等しい比の原材料/抽出物を用いてPimpinella Asinum果実からの水性抽出物によって得られる。抽出方法は、典型的には水へのアニス果実の溶解、それに続く酵素加水分解、可溶性及び不溶性相の分離、濾過及び任意の最終除菌を含む。
典型的には、本発明の美容組成物内におけるマグネシウム及び/又はその塩/誘導体の存在が、行われた“生体外”試験で説明されたように、この微量要素が筋系に収縮弛緩活性を及ぼすため、最終的な皺取り効果のために重要にもなり得る。
【0019】
実際、マグネシウムは、筋肉細胞の小胞体のレベルに存在する電圧依存カルシウムキャナルを妨害することにより、カルシウムイオンの濃度を減少させる。これらを開口から妨げることにより、マグネシウムが細網に詰め込まれたカルシウムイオンの放出を妨げる。それらの放出を阻害することにより、収縮に対する刺激も阻害される。
種々の期間でマグネシウム濃度を変化させることにより、小胞体から放出されるカルシウムイオンの量が減少し、媒体に存在するMg++の該濃度が増加する。特に、マグネシウムイオンの外部濃度に関するカルシウムイオンの出口における流れの依存関係を評価した。得られた結果を図2のグラフに示す。
【0020】
本発明の範囲内で用いることのできるマグネシウムの異なる誘導体の中では、グルコン酸マグネシウムが美容組成物内での使用に特に評価できることが証明された。
特に好ましい実施態様では、本発明の美容組成物が、gly-pro-arg-pro-alaのペンタペプチドとアセチルチロシン-アルギニンのジペプチドの組み合わせ、及びナトリウム、カリウム及びマグネシウムのグルコン酸塩である微量要素を含む。表情皺に対する皺取り治療を必要とする体の部位上へのこの組成物の継続的局所投与は、“生体外”試験で示されたように筋肉繊維の緩和を誘導し、例えば顔の表情筋の運動の繰り返し収縮によって形成される皺の深さを減少させる。
【0021】
ある実施態様では、本発明の組成物が:
0.001質量%〜5質量%のナトリウム及びカリウム
0.001質量%〜5質量%のグルコン酸マグネシウム
0.001質量%〜5質量%のアセチルチロシル-アルギニル(ジペプチド)-1セチルエステル
0.001質量%〜5質量%のgly-pro-arg-pro-ala-NH2
を含む。
本出願人は、これらの有効成分の使用が、完全ではない評価スケールによって定義することのできる重力皺、例えば中程度の皺、深い皺及び非常に深い皺に関連する用量を増加させることを認識している。
【0022】
表情皺を緩和するためには、以下の作用手順に従い、上記有効成分を筋肉細胞の収縮弛緩機構を相乗的に操作する:
gly-pro-arg-pro-ala-NH2のペンタペプチドは、主にシナプス後膜に作用する。前記ペンタペプチドは、アセチルコリン(Ach)のための膜受容体の競合的な拮抗薬である。アセチルコリンのための膜受容体が遮断されると、イオンキャナルは閉じたままである。ナトリウムイオンは筋肉細胞内を通らず、結果的にカルシウムイオンの放出を誘導せずに筋肉を緩和させたままにし、表面組織のその結果生じる緩和及び皺の軟化を伴う。
ナトリウム及びカリウムの連合はナトリウム-カリウムポンプ上で作用する特性を有し、これらのポンプは筋肉細胞膜のレベルに存在してそれを遮断し、その結果カルシウムキャナルの開口を妨げる。筋肉細胞におけるカルシウムイオンの非蓄積は、収縮が生じないことを保証する。
マグネシウムはカルシウムの拮抗薬であり、筋肉細胞の小胞体に存在する電圧依存カルシウムキャナルの一部上におけるその放出を阻害する。それらの放出を阻害することにより、収縮に対する刺激も阻害される。
チロシン-アルギニン-1セチルエステルのアセチルジペプチドが筋肉緩和のメッセンジャー神経ペプチドの合成を刺激し、筋肉収縮のメッセンジャー媒介物の合成を阻害する。
【0023】
本発明の目的である該調製物の好ましい実施態様による顔の筋肉の収縮弛緩相乗活性は、これらのそれぞれの作用機構の組み合わせによって表現され、開示されている図3に説明される。
本発明の美容組成物又は調製物は、いかなる皮膚投与にも好適な形態、例えばクリーム、エマルジョン、ローション、ゲル、オイル、ペースト、軟膏、スプレーなどで、表情皺を緩和する最終効果を有する皮膚微小収縮を妨害及び減少させるために提供される。
【0024】
当業者に習慣的な手順による技術として現在有用な装置を、該組成物の調製に用いる。
1種以上の有効成分を加えて、当業者に公知の手順によって生理学的に許容されるキャリア内に分散させ、都合よくは安定化剤、乳化剤、賦形剤、保存剤、芳香剤及び懸濁化剤などの1種以上の添加剤を加える。
【0025】
それらの活性を拡張し、皮膚に優れた性能を提供するために、前記有効成分を、それらを作用部位内に徐々に放出するリポソームを含むトランスフォーマー又はキャリアに封入することができる。リポソームの使用は、該作用部位の範囲に該有効成分の浸透を容易にする目的を有する。用いるリポソームは好ましくは多層状タイプであり、都合よくは150〜500nmの範囲内の寸法を有する。該粒子は一般的に5層よりも多い薄層を有し、それらの同心円状の環はゆっくりと分解する;それらは、外相の濃度が減少するように外部に拡散されているそれらの内容物を徐々に放出する。多数の薄層は、他のタイプの小胞に対して優れた水可溶性分子の保持を可能にする。
特に、本発明の目的である該調製物/組成物に用いられるリポソームは、プロ-リポソームタイプのもの、すなわち、調製物の処理相中に形成されるリポソームである。リン脂質は、都合よくは無秩序に集合した二層の形態で提供され、リポソームの形成は、攪拌下における有効成分の混合物に対して過剰な好適な量の水の添加により引き起こされる。
【0026】
顔の皮膚における美容組成物の投与は、指で直接行う、及び/又は面取りされた末端を有する外用カニューレを備えた計量シリンジの正確な投与器によって該調製物を皺の溝に直接広げることを可能にする、すでに特許出願として提出されている方法で行うことができる。該美容組成物の正確な投与により、この投与装置(瑞国特許出願第01714/04号明細書)は、該調製物を皺の溝に直接正確に投与することを可能にする革新を説明し、さらに本発明の目的である組成物自体の効力を向上させる。
また、該有効成分は美容調製物に自由に分散させることもでき、この使用は、好ましくはあるが排他的ではなく、皺の溝と言うよりは顔の皮膚に自由に分布することを目的とする連続生成物で行われる。
以下の実施例は、本発明を純粋に例証する目的のために提供され、開示されている特許請求の範囲に明記されているその保護範囲を限定するとして考えるべきではない。
【0027】
実施例1
侵襲性調製物として好適であり、且つ経皮投与用Botoina(登録商標)と呼ばれるリポソームによる本発明の美容組成物の処方:
1質量%のペンタペプチドのgly-pro-arg-pro-ala-NH2
4質量%のアニス抽出物
1質量%のグルコン酸マグネシウム
2質量%のアセチルチロシル-アルギニル(ジペプチド)-1セチルエステル
6〜8質量%の液体パラフィン
5〜7質量%のポリイソプレン
0.1〜1%のステアリルアルコール25-エトキシレート
1〜2%の小麦の球菌-ポリペプチド
1〜2%のパルミチン酸でエステル化された小麦プロテイン
1〜3%のイソステアリン酸グリセリン
1〜3%のグリコールプロピレン
0〜1%のラノリンオイル
0〜1%のジメチコン
0.1〜1%のレシチン
0.001〜0.1%のグリセリン
0.001〜0.1%のアルコール
必要に応じて保存剤/抗酸化剤
香料
必要に応じて100までの水
【0028】
実施例2
持続美容調製物として好適な本発明の美容組成物の処方:
0.5質量%のgly-pro-arg-pro-ala-NH2のペンタペプチド
1質量%のアニス抽出物
0.5%のグルコン酸マグネシウム
1%のアセチルチロシル-アルギニル(ジペプチド)-1セチルエステル
5〜7%の液体パラフィン
5〜7%のポリイソプレン
0.1〜1%のステアリルアルコール25-エトキシレート
1〜2%の小麦の球菌-ポリペプチド
1〜2%のパルミチン酸でエステル化された小麦プロテイン
1〜3%のイソステアリン酸グリセリン
1〜3%のプロピレングリコール
2〜3%のイソステアリルアルコール
0〜1%のラノリンオイル
0〜1%のパンテノール
必要に応じて保存剤/抗酸化剤
香料
必要に応じて100までの水
【0029】
実施例3
持続性美容調製物として好適な本発明の美容組成物の処方:
0.3質量%のgly-pro-arg-pro-ala-NH2のペンタペプチド
0.5質量%のアニス抽出物
0.3%のグルコン酸マグネシウム
0.5%のアセチルチロシル-アルギニル(ジペプチド)-1セチルエステル
6%の液体パラフィン
5%のポリイソプレン
0.5%のステアリルアルコール25-エトキシレート
2%の小麦の球菌-ポリペプチド
2%のパルミチン酸でエステル化された小麦プロテイン
2%のイソステアリン酸グリセリン
1%のプロピレングリコール
3%のイソステアリルアルコール
0.5%のラノリンオイル
0.5%のジメチコン
香料
必要に応じて保存剤/抗酸化剤
必要に応じて100までの水
【0030】
実施例4
実施例1の目的である調製物の効果を評価するために、自己評価試験を35〜65歳の40人の女性サンプルの一部で行った。
ボランティアは、面取りした末端のカニュールを有するシリンジ投与器を用いて、該侵襲性調製物を20日間皺に投与した。
女性サンプルは以下のように構成した:
35〜45歳の16人の女性
46〜55歳の12人の女性
56〜65歳の12人の女性
該調製物をmLの用量で、特に額の皺、眉間の皺、眼の輪郭、鼻-唇の皺及び唇の皺の溝に投与した。10分間放置し、続いて指の先でそれが完全に吸収されるまでマッサージした。
ボランティアは、アンケートに答えることにより、概して20日間の処置の終わりに彼女らの表情及び皮膚の皺の状態における自己評価を表した。
【0031】
“表情皺の減少に気づきましたか?”という質問では、結果は以下であった:
75%のボランティア(40人の女性中30人)は、表情皺の減少に気づいたと断言した。
35〜45歳の16人の女性からなるサンプルでは、87.5%(16人中14人の女性)が、表情皺の減少に気づいたと断言した。
46〜55歳の12人の女性からなるサンプルでは、58.3%(12人中7人の女性)が、表情皺の減少に気づいたと断言した。
56〜65歳の12人の女性からなるサンプルでは、75%(12人中9人の女性)が、表情皺の減少に気づいたと断言した。
【0032】
“20日後に、滑らかさ及び皺の緩和に関してあなたの皮膚における改善に気づきましたか?”と言う質問では、結果は以下であった:
80%のボランティア(40人中32人の女性)が、彼女らの皮膚における改善に気づいたと断言した。
35〜45歳の16人の女性からなるサンプルでは、62.5%(16人中10人の女性)が、彼女らの皮膚における改善に気づいたと断言した。
46〜55歳の12人の女性からなるサンプルでは、83.3%(12人中10人の女性)が、彼女らの皮膚における改善に気づいたと断言した。
56〜65歳の12人の女性からなるサンプルでは、100%の女性が、彼女らの皮膚における改善に気づいたと断言した。
【0033】
彼女らにはまた、皺を減少させるための特別な投与方法の使用に関する意見も求めた。“シリンジ及びカニュールを用いる皺の溝への該調製物の投与方法が、皺の減少を得るのに有用であると思うか?”という質問では、結果は以下であった:
92%のボランティア(40人中37人の女性)がYESと答えた。
35〜45歳の16人の女性からなるサンプルでは、87.5%(16人中14人の女性)がYESと答えた。
46〜55歳の12人の女性からなるサンプルでは、100%がYESと答えた。
56〜65歳の12人の女性からなるサンプルでは、91.7%(12人中11人の女性)がYESと答えた。
【0034】
実施例5
ペンタペプチドにおける試験管内効能試験
収縮頻度を、神経-筋肉共培養モデルで測定し、0.3質量%の濃度で用いたペンタペプチドgly-pro-arg-pro-ala-NH2の収縮弛緩能力を評価した。
1分後、及び該有効成分による培養の2時間後に調査し、30秒間確認される収縮をカウントした。
前記ペンタペプチドの0.3%の使用では、収縮頻度の減少は以下であった:
1分後に収縮頻度の平均減少は69.75%であった
2時間後に収縮頻度の平均減少は60.75%であった
得られたデータを、開示されている図4で説明されているグラフに要約する。
【0035】
実施例6
該美容組成物に混合される2種の微量要素ナトリウム及びカリウムの活性を評価した。
試験管内効力試験
収縮の実体を神経-筋肉モデルで測定し、1、2、3%でナトリウム-カリウムの組み合わせの収縮弛緩能力を評価した。30秒間確認される収縮を、その処置の前及び試験される有効成分による共培養の収縮の20分後にカウントした。
ナトリウム-カリウムの組み合わせは筋肉緩和活性を示し、筋肉収縮を以下の範囲まで減少させた:
ナトリウム-カリウム1%:-27%
ナトリウム-カリウム2%:-86%
ナトリウム-カリウム3%:-100%
これらの結果を図1に説明されているグラフに要約する。
【0036】
試験管内効力試験
目尻の皺、眉間及び鼻-唇の皺の表面、長さ及び数の減少を、それぞれ20人、19人、20人のボランティアで評価した。これらは、4%のナトリウム-カリウム含有エマルジョンを1日に2回で28日間投与した。28日目の終わりに、以下の結果を得た:
目尻の皺:
全体的な表面減少:-40%
全体的な長さ減少:-34%
全体的な数減少:-13%
改善はボランティアの85%で観察された。
眉間の皺:
全体的な表面減少:-20%
全体的な長さ減少:-21%
全体的な数減少:-18%
改善はボランティアの68%で観察された。
鼻-唇の皺:
全体的な表面減少:-22%
全体的な長さ減少:-20%
全体的な数減少:-17%
改善はボランティアの65%で観察された。
【0037】
実施例7
ヒドロ-グリコール賦形剤に溶解したジペプチドN-アセチルチロシル-アルギニル(ジペプチド)ヘキサデシルエステルの収縮弛緩効力を評価した。
試験管内試験
1. POMC遺伝子の遺伝子発現の評価(0.4%、0.9%及び1.9%のアセチルジペプチドの存在下で24時間培養されたヒトケラチノサイトの培養液における緩和神経液)。参考までに、試験された最も大きい遺伝子の過剰発現は以下を示した:
アセチルジペプチド-1セチルエステル0.9%>+29%
アセチルジペプチド-1セチルエステル1.9%>+63%
【0038】
2. 2.8%及び4.7%のアセチルジペプチドの存在下で6時間培養したニューロンの培養液におけるCGRP合成(収縮神経液)の評価。参考までに、CGRP合成の減少は以下に等しいジペプチドによる培養後に観察された:
アセチルジペプチド-1セチルエステル2.8%:-0%
アセチルジペプチド-1セチルエステル4.7%:-50%
3. 0.9%で5分間及び2時間アセチルジペプチド-1セチルエステルで培養した神経-筋肉共培養モデルにおける収縮頻度の評価。制御された3種の筋肉繊維の収縮は以下のように減少する:
アセチルジペプチド-1セチルエステルの繊維による培養の5分後に、3種のうち1種の繊維が20%よりも高い収縮阻害を示す、
アセチルジペプチド-1セチルエステルによる培養の2時間後に、全ての3種の繊維が100%の収縮阻害を示す。
得られた結果を以下の表に要約する。
【0039】
筋肉繊維収縮の減少

【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ナトリウム-カリウムの組み合わせが示す筋肉緩和活性を表すグラフ。
【図2】マグネシウムイオンの外部濃度に関するカルシウムイオンの出口における流れの依存関係を表すグラフ。
【図3】本発明の調製物による顔の筋肉の収縮弛緩相乗活性を表す作用機構の組み合わせ。
【図4】ペンタペプチドにおける試験管内効能試験の結果を表すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉繊維における収縮弛緩作用を有する少なくとも1種のペプチド、筋肉繊維の収縮を減らす少なくとも1種の微量要素、及び美容上許容されるキャリアを含む、表情皺を緩和するのに好適な美容組成物。
【請求項2】
前記ペプチドが、ジペプチド、ペンタペプチド及びそれらの混合物から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ペプチドが、以下のアミノ酸:アラニン(ala)、アルギニン(arg)、プロリン(pro)、グリシン(gly)を含むペンタペプチドである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記ペンタペプチドが、配列GLY-PRO-ARG-PRO-ALAを有する、請求項2又は3記載の組成物。
【請求項5】
前記ジペプチドが、アミノ酸チロシン及びアルギニンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ジペプチドをアセチル化してさらに親油性とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アセチル化ジペプチドが、アセチルチロシン-アルギニン-1セチルエステルである、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のペプチドが、gly-pro-arg-pro-ala-NH2のペンタペプチド及びジペプチドチロシン-アルギニンを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記微量要素が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、それらの塩及び/又は生理学的に許容される誘導体及びそれらの混合物を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ナトリウム-カリウム微量要素の集合が、水性アニス抽出物の形態で与えられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記微量要素が、グルコン酸マグネシウムを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記微量要素が、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムのグルコン酸塩の集合である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
gly-pro-arg-pro-ala-NH2ペンタペプチド、アセチルチロシン-アルギニン-1セチルエステルジペプチド、ナトリウム、カリウム、マグネシウムのグルコン酸塩及び美容上許容されるキャリアを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
0.001質量%〜5質量%のナトリウム及びカリウム、0.001質量%〜5質量%のグルコン酸マグネシウム、0.001質量%〜5質量%のアセチルチロシル-アルギニル-1セチルエステル及び0.001質量%〜5質量%のgly-pro-arg-pro-ala-NH2ペンタペプチドを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
皮膚投与用美容クリームの形態である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記キャリアがリポソームを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記リポソームが多層状タイプのものである、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記リポソームが150〜500nmの寸法を有する、請求項16又は17記載の組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の美容上有効量を、処置が必要とされるときに皮膚投与することを含む、皺の緩和のための美容処置方法。
【請求項20】
面取りされた末端を有する外用カニュールを備えた計量シリンジの正確な投与器により、皺の溝に該美容組成物を直接投与することを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記皺が表情皺である、請求項19又は20記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−536797(P2008−536797A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548705(P2007−548705)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002477
【国際公開番号】WO2006/069608
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507205601)ラボ コスプロファー アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】