説明

表示媒体初期化装置および記録装置

【課題】光書込型の表示媒体を初期化するときに、表示媒体への光の照射において消費する電力を少なくすること。
【解決手段】光書込型の表示媒体である電子ペーパ200に光を照射する記録装置は、電子ペーパ200に記録された画像を初期化するときに照射する光に外光300を用いる。外光300は、シャッタ120eが開状態に制御されると、筐体102内の空間102bに取り入れられ、導光板120aにより照射領域に導かれることにより、電子ペーパ200の記録面200bに照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体初期化装置および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光書込型の表示媒体に光を照射することにより、画像を表示媒体に記録する技術がある。特許文献1には、この表示媒体に画像を記録する場合と、表示媒体の画像を消去して初期化(リセット)する場合とで異なる光源を用いた記録装置が記載されている。
【特許文献1】特開2007−299016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、光書込型の表示媒体を初期化するときに、表示媒体への光の照射において消費する電力を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に係る表示媒体初期化装置は、照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示媒体に光を照射する照射部を有する筐体と、前記筐体外から前記筐体内に外光を取り込む光取込手段と、前記光取込手段が取り込んだ外光を前記照射部に導く導光手段とを具備することを特徴とする。
【0005】
本発明の請求項2に係る表示媒体初期化装置は、請求項1の構成において、前記光取込手段によって取り込まれる外光の強度を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した外光の強度に応じて、前記導光手段により前記照射部に導かれる外光を減光する減光手段とをさらに具備することを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項3に係る表示媒体初期化装置は、請求項1の構成において、前記光取込手段によって取り込まれる外光の強度を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した外光の強度に応じた強度で発光する発光手段とをさらに具備し、前記導光手段は、前記光取込手段が取り込んだ外光および前記発光手段の発光による外光を前記照射部に導くことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項4に係る表示媒体初期化装置は、請求項1の構成において、前記光取込手段によって取り込まれる外光の強度を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した外光の強度に応じて、前記光取込手段によって外光が取り込まれる期間を制御する制御手段とをさらに具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項5に係る記録装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示媒体初期化装置と、画像情報に応じた光を前記照射部から前記表示媒体に照射して、当該表示媒体に画像を記録する記録手段とを具備し、前記光取込手段は、前記記録手段が前記表示媒体に記録する期間において、前記筐体内へ光を取り込まないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、同構成を有しない場合に比べ、光書込型の表示媒体を初期化するときに、表示媒体への光の照射において消費する電力を少なくすることができる。
本発明の請求項2に記載の発明によれば、外光の強度が予め設定された強度より大きい場合に、表示媒体に照射される光の強度を予め設定された強度とすることができる。
本発明の請求項3に記載の発明によれば、外光の強度が予め設定された強度より小さい場合に、表示媒体に照射される光の強度を予め設定された強度とすることができる。
本発明の請求項4に記載の発明によれば、表示媒体に照射される光のエネルギを予め設定されたエネルギとすることができる。
本発明の請求項5に記載の発明によれば、表示媒体に画像を記録する場合には、外光が表示媒体に照射されないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態である記録装置1の構成を示すブロック図である。同図に示す記録装置1は、光書込型の表示媒体である電子ペーパ200に画像の記録、消去(初期化)を行う装置であって、記録ユニット100、制御部110および情報取得部150を備える。記録ユニット100は、リセット光発生部120、記録光発生部130および電圧印加部140を備える。
【0012】
図2は、記録ユニット100の構成を示す図である。記録ユニット100は、予め定められた態様で電子ペーパ200を保持または収容し、リセット光発生部120、記録光発生部130で発生した光が照射されるようになっている。以下、記録装置1の各構成ついて、図1、図2を用いて説明する。
【0013】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を備え、記録装置1の動作を制御する。制御部110は、情報取得部150からによって取得される情報、リセット光発生部120の外光センサ120cから出力される情報に応じて、リセット光発生部120、記録光発生部130および電圧印加部140の動作を制御する信号を、それぞれに対して出力して、各部を制御する。
【0014】
情報取得部150は、電子ペーパ200に記録する画像を示す画像情報を取得する。この画像情報は、記録装置1に設けられる内部メモリなどの記憶手段から取得してもよいし、不揮発性メモリなどの記録媒体、有線、無線通信により記録装置1の外部から取得してもよい。なお、利用者が操作手段を操作することにより、画像記録開始などの指示を示す情報を取得してもよい。
【0015】
次に、記録ユニット100の各構成について説明する。筐体102は、遮光性部材で構成され、リセット光発生部120、記録光発生部130および電圧印加部140の各構成を保持する。また、筐体102は、画像の記録、初期化を行う対象となる電子ペーパ200を保持する。筐体102の内部には、筐体102および後述する透明板101により空間102aが構成され、筐体102および後述する調光素子120bにより空間102bが構成される。また、空間102aと空間102bとは、後述する導光板120aが設けられるスリット状の開口部102cによって接続されている。
【0016】
筐体102の内部は、電子ペーパ200が筐体102に保持されている状態で、後述するように、シャッタ120eが閉状態になっているときには、外光300が取り込まれないようになっている。ここで、筐体102を構成する遮光性部材は、外光300を遮光できればよく、光の透過率が低い部材であることが望ましい。ここで、外光300とは、太陽光、蛍光灯の光など、筐体102の外部で発生した光であればよい。
【0017】
透明板101は、筐体102に保持された電子ペーパ200の記録面200bに、筐体102の内部から光を照射する照射領域である照射部として設けられた透光性部材である。透明板101を構成する透光性部材は、電子ペーパ200の記録面200bに光を照射する照射領域であるから、光の透過率が高く、光学的歪みが少ない部材であることが望ましい。電子ペーパ200が筐体102に保持されているときには、電子ペーパ200は透明板101を覆い、筐体102の内部への光を遮蔽する。
【0018】
リセット光発生部120は、導光板120a、調光素子120b、外光センサ120c、補助光源120dおよびシャッタ120eを備え、電子ペーパ200に画像を記録する前に、既に記録されている画像を消去するなど初期化するときに照射する光(リセット光)を発生させる。
【0019】
導光板120aは平板上の構造を持ち、板の一端面から光を入射すると平板の面から光が放射される光学的特性を持った材料で構成される。導光板120aは、光の放射方向が透明板101の方向となるように空間102aに位置し、光が入射される一端面は、空間102bに位置するように、筐体102の開口部102cを介して筐体102内部に設けられている。したがって、空間102bにおける光は、導光板120aを介して空間102aに放射され、それ以外の光の経路は筐体102によって遮光される。後述するように、空間102bにおける光とは、外光300、補助光源120dからの光である。このように、導光板120aは、外光300、補助光源120dからの光を照射領域に導くようになっている。
【0020】
シャッタ120eは、筐体102に設けられる遮光部材であって、制御部110の制御により矢印AR1のように移動する。これにより、シャッタ120eは、空間102bに外光300を取り込む開状態(実線)、または外光300を取り込まない閉状態(2点鎖線)の位置に制御される。
【0021】
外光センサ120cは、筐体102の外部に設けられ、外光300の強度を測定し、測定した強度を示す信号を制御部110に出力する。外光センサ120cは、例えば、フォトダイオードや、フォトトランジスタや、カドミウムセルといった光を電気信号に変換する素子が用いられる。なお、外光センサ120cは、筐体102の外部に設けられるだけでなく、外光300の強度が直接的または間接的に検出できる位置であれば、内部に設けられていてもよい。
【0022】
調光素子120bは、制御部110の制御に応じて、光の透過率を変化させる素子であり、例えば、電気信号により透過率が変化する液晶シャッタ、エレクトロクロミック素材、温度により透過率が変化するサーモクロミック素材などが用いられる。調光素子120bは、シャッタ120eが開状態に制御され、外光300が空間102bに取り込まれるときに外光300が通過する位置に配置され、空間102bに取り込まれる外光300の強度を減衰させ、照射領域に導かれる外光300を減光する。なお、入射光の強度に応じて透過率を変化させ、予め設定された強度に減光して通過させるフォトクロミック材料を用いた素子を用いてもよく、この場合には、制御部110の制御は不要である。
【0023】
補助光源120dは、空間102bに設けられ、制御部110の制御に応じた強度で発光する。補助光源120dは、LED(Light Emitting Diode)、冷陰極管、EL(Electro-Luminescence)などの電気を光に変換する素子が用いられる。
【0024】
記録光発生部130は、記録光源130aを備え、電子ペーパ200に画像を記録するときに照射する光(記録光)を発生する。記録光源130aは、例えば、複数のLEDが線状に配置され、画像を記録する解像度に応じた範囲に各LEDの光を収束するレンズを備えたLEDアレイであり、制御部110により、各LEDの明滅が制御されるとともに、矢印AR2の方向に移動するように制御され、照射領域から電子ペーパ200の記録面200bに対して、光を走査して照射する。なお、電子ペーパ200に画像を記録するときの光の照射は、このように、線状の光を走査するだけでなく、半導体レーザなどを用いたスポット状の光を走査するようにしてもよい。また光照射は、面状の光源を用いてもよい。
【0025】
電圧印加部140は、電極140aを備え、制御部110の制御に応じて、電極140aに電圧を印加する。電子ペーパ200が記録ユニット100に保持されているときには、後述する電子ペーパ200の電極280と電極140aとが電気的に接触し、電子ペーパ200の透明電極220、260間に、制御部110の制御に応じた電圧が印加される。以上が、記録装置1の構成についての説明である。次に、光書込型の表示媒体である電子ペーパ200の構成について説明する。
【0026】
図3は、電子ペーパ200の構成を示す図である。電子ペーパ200は、画像が記録される記録領域に、フィルム基板210、270、透明電極220、260、光導電層230、着色層240および表示素子層250を備えるとともに、記録領域外に透明電極220、260のそれぞれと電気的に接続された2つの電極280を備える。
【0027】
フィルム基板210、270は、電子ペーパ200の表面を保護するために設けられた層であり、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)により構成される。フィルム基板210は記録面200b側でありリセット光や記録光を照射する側の面である。フィルム基板270は表示面200a側であり記録された画像を使用者が観察する側の面である。透明電極220、260は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)から構成される層である。上述したように、透明電極220、260に接続された電極280と、記録装置1の電極140aとが接続され、制御部110の制御により電極140aに電圧が印加されると、透明電極220、260間に電位差が生じる。
【0028】
光導電層230は、照射される光の強度に応じてその導電率を異ならせる導電体からなる層である。光導電層230としては、例えば、有機光導電体を用いる。着色層240は、表示素子層250が光を透過する場合に観察される層であり、あらかじめ決められた色(例えば、黒)になっている。
【0029】
表示素子層250は印可される電圧に応じて光の反射状態を異ならせる表示素子を含む層である。表示素子層250は、バインダー樹脂中にマイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子を分散させたものである。コレステリック液晶表示素子は、配向状態として、プレーナ配向状態とフォーカルコニック配向状態がメモリ性を有し、無電圧印加時もこれらの状態を保持する。コレステリック液晶表示素子は、プレーナ配向状態の場合は光を反射(ブラッグ反射)して、あらかじめ決められた色を呈し、フォーカルコニック配向状態にある場合は光を透過して着色層240の色を呈する。
【0030】
電子ペーパ200に画像を記録して表示させるには、透明電極220、260間に予め設定された記録電圧を印可した状態で記録面200bに記録光を照射し、その後、記録電圧の印加を停止することで行う。上述のように、電子ペーパ200の記録面200bに記録光を照射することにより、光導電層230の導電率が変化する。これにより表示素子層250に印加される電圧が変化して表示素子の光の反射状態が変化し、表示面200aの反射率が変化する。
【0031】
また、電子ペーパ200に記録された画像を消去して初期化するには透明電極220、260間に予め設定されたリセット電圧を加えた状態で記録面200bにリセット光を照射し、その後、リセット電圧の印加を停止することで行う。電子ペーパ200の初期化は、画像の記録の前に行われる。このとき、照射するリセット光は、記録光に比べて強い光であることが望ましく、予め設定された単位面積あたりの光のエネルギを照射すると、反射率の低下などの劣化を回復する。以上が、電子ペーパ200の構成についての説明である。
【0032】
次に、記録面200bを記録ユニット100の透明板101に向け、電極280と電極140aとが接続されて導通するように、記録装置1に電子ペーパ200を収容し、筐体102に保持させ、画像の記録、初期化が可能な状態において、記録装置1における動作について説明する。
【0033】
情報取得部150が電子ペーパ200に記録する画像を示す画像情報を取得し、画像の記録を指示する情報を取得すると、まず電子ペーパの初期化(初期化処理)が行われ、その後、電子ペーパ200への画像の記録処理が開始される。
【0034】
まず、初期化処理についての動作を説明する。制御部110は、外光センサ120cから出力された信号に応じて外光300の強度を検出する。また、制御部110は、電圧印加部140を制御し、電極140aを介して、リセット電圧を電子ペーパ200に印加する。そして、制御部110は、リセット電圧印加中の予め設定された期間について、シャッタ120eを開状態に制御する。
【0035】
このとき、制御部110は、検出した外光300の強度に応じて調光素子120bおよび補助光源120dを制御する。これは、照射領域に導かれる光の強度がリセット光として予め設定された強度となるように、調光素子120bの透過率、補助光源120dの発光の強度が制御される。具体的には、制御部110には、外光300の強度と調光素子120bの透過率との関係、外光300の強度と補助光源120dの発光の強度との関係を示すテーブルが記憶され、この関係は、外光300の強度が大きくなるほど調光素子120bの透過率が下がり、外光300の強度が小さくなるほど補助光源120dの発光の強度が大きくなるようになっている。このとき、調光素子120bの透過率が制御される外光300の強度の範囲と、補助光源120dの発光の強度が制御される外光300の強度の範囲とは、重複していても重複していなくてもよい。
【0036】
すなわち、制御部110が検出した外光300の強度が大きく、照射領域に導かれる光の強度がリセット光として予め設定された強度を超えてしまう場合には、制御部110は、補助光源120dを発光させず、調光素子120bの透過率を下げるように制御し、照射領域に導かれる外光300の強度を減衰させて減光させる。一方、制御部110が検出した外光300の強度が小さく、照射領域に導かれる光の強度がリセット光として予め設定された強度より小さくなってしまう場合には、制御部110は、補助光源120dを発光させ、調光素子120bの透過率を最大となるように制御し、外光300および補助光源120dの光が照射領域に導かれる。
【0037】
なお、補助光源120dを発光させる期間は、シャッタ120eを開状態とする期間とすればよいが、必ずしも同一でなくてもよい。すなわち、リセット電圧印加中の予め設定された期間に照射領域に導かれる単位面積当たりの光のエネルギの総量が、予め設定された値になるように制御されていればよい。例えば、制御部110は、発光の強度を制御せず発光期間を制御し、補助光源120dの発光の強度が小さければ長い期間、強度が大きければ短い期間で発光させてもよい。
【0038】
また、外光300の強度が予め設定された値より小さい場合には、制御部110は、シャッタ120eを開状態とせず、閉状態のままとして、補助光源120dを発光させてもよい。
【0039】
上述した制御部110の制御により、外光300、補助光源120dからの光は、導光板120aの空間102b側の一端面に入射し、リセット光として照射領域に導かれる。そして、制御部110は、シャッタ120eを閉状態とし、リセット電圧の印加を停止するように制御して、初期化処理を終了させる。この初期化処理において、電子ペーパ200に対して照射する光に外光300を用いているから、用いない場合と比べて電子ペーパ200への光の照射において消費する電力が少なくなる。
【0040】
初期化処理が終了すると、続いて、記録処理が開始される。制御部110は、電圧印加部140を制御し、記録電圧を発生させて電極140aを通じて電子ペーパ200に印加する。次に、制御部110は、記録光発生部130を制御し、電子ペーパ200の記録面200bに対して、画像情報に応じて記録光を照射する。記録光を照射した後、制御部110は、記録電圧の印加を停止するように制御する。これにより電子ペーパ200に画像の記録が終了する。以上が、記録装置1の動作についての説明である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
【0042】
<変形例1>
上述した実施形態において、照射領域に外光300を導く手段として、導光板120aを用いた構成を示したが、図4に示すように、凸面鏡121aを用いてもよい。この場合、外光300が反射する凸面鏡121aの鏡面の曲面形状は、照射領域全体に外光300が導かれるように光学設計されればよく、このようにすると、筐体102の外から取り込まれた外光300は、開口部102cを通過し凸面鏡121aにおいて反射して照射領域へ導かれる。
【0043】
<変形例2>
上述した実施形態において、照射領域に外光300を導く手段として、導光板120aを用いた構成を示したが、図5に示すように、ポリゴンミラーなどの回転鏡122aを用いてもよい。この場合、制御部110は、回転軸1221aを中心に、回転鏡122aを矢印AR3の方向に回転させるように制御すればよい。このようにすると、筐体102の空間102bに取り込まれた外光300は、開口部102cを通過し、回転鏡122aにおいて反射して照射領域に導かれる。このとき、回転鏡122aが回転しないと、照射領域の一部の領域に外光300が導かれるようになっているが、回転鏡122aの回転により、その領域が移動して照射領域全体に導かれることになる。
【0044】
ここで、制御部110は、回転鏡122aの回転速度を、照射領域に照射される単位面積当たりの光のエネルギの総量が予め設定された値になる回転速度とすればよい。これは、空間102bにおける光の強度が一定であることを前提としているが、一定でないとき、すなわち、制御部110が調光素子120bの透過率を制御しないときなどにおいては、制御部110は、検出した外光300の強度に応じて、回転速度を変え、照射領域に照射される単位面積当たりの光のエネルギの総量が予め設定された値になるようにしてもよい。
【0045】
<変形例3>
上述した実施形態において、照射領域に外光300を導く手段として、導光板120aを用いた構成を示したが、図6に示すように、可動鏡123aを用いてもよい。この場合、制御部110は、可動鏡123aを矢印AR4の方向に移動させるように制御すればよい。このようにすると、筐体102の外から取り込まれた外光300は、開口部102cを通過し、可動鏡123aにおいて反射して照射領域に導かれる。このとき、可動鏡123aが移動しないと、照射領域の一部の領域に外光300が導かれるが、可動鏡123aの移動により、その領域が移動して照射領域全体に導かれることになる。
【0046】
ここで、制御部110は、可動鏡123aの移動速度を、照射領域に照射される単位面積当たりの光のエネルギの総量が予め設定された値になる移動速度とすればよい。これは、空間102bにおける光の強度が一定であることを前提としているが、一定でなくする場合、すなわち、調光素子120bの透過率を制御しない場合などにおいては、制御部110は、検出した外光300の強度に応じて、移動速度を変え、照射領域に照射される単位面積当たりの光のエネルギの総量が予め設定された値になるようにしてもよい。
【0047】
<変形例4>
上述した実施形態において、図7に示すように、蓄光器400を用いてもよい。蓄光器400は、太陽光や照明灯の光を吸収蓄積して、周囲の光量が下がったときに自ら発光する特性を持った素材で構成されている。このようにすると、外光300と、蓄光器400に蓄積された光とが空間102bに取り込まれるようになる。
【0048】
<変形例5>
上述した実施形態においては、シャッタ120eは、制御部110によって、予め設定された期間に開状態となるように制御されていたが、検出された外光300の強度によって、外光300を筐体102内に取り入れる期間を変更するように制御されてもよい。すなわち、制御部110は、外光300の強度が大きくなるほど、開状態となる期間を短く、強度が小さくなるほど開状態となる期間を長くして、照射領域に照射される単位面積当たりの光のエネルギの総量が予め設定された値になるように制御すればよい。
【0049】
このため、外光300の強度が大きくなると、外光300を取り入れる期間を短くして照射領域に照射される単位面積当たりの光のエネルギの量を制御するから、調光素子120bは無くてもよいが、外光300の強度が大きすぎる場合に、電子ペーパ200に対して劣化などの影響を与えたり、開状態とする期間が短くなりすぎて、シャッタ120eを制御しにくくなったりするときには、調光素子120bを用いて導かれる光を減衰させてもよい。
【0050】
<変形例6>
上述した実施形態においては、シャッタ120eと調光素子120bとは、別の構成として用いられていたが、調光素子120bの透過率の制御範囲の下限が、予め定められた透過率より小さく外光300を遮光するときは、シャッタ120eを用いず、シャッタ120eと調光素子120bとを共通化した構成としてもよい。この場合、制御部110は、閉状態に制御するときは、調光素子120bを予め定められた透過率より低い透過率になるように制御し、開状態に制御するときは、調光素子120bを、実施形態における調光素子120bの制御のようにすればよい。
【0051】
また、上述した変形例5において、この調光素子120bを用いると、制御部110は、開状態とする期間について、シャッタ120eを制御するのではなく、調光素子120bの透過率の制御をすればよい。
【0052】
<変形例7>
上述した実施形態においては、外光300はリセット光として用いられていたが、リセット光以外の用途で記録装置1において用いることもできる。以下、外光300を記録光の一部の光として用いる場合について説明する。
【0053】
図8は、この例における電子ペーパ200の記録面200bに対して、記録電圧印加中の予め設定された記録期間に照射された光の単位面積あたりのエネルギの総量(以下、単にエネルギという)と反射率との関係とを示す図である。横軸は、記録面200bに照射された光のエネルギを対数軸で表したものであり、縦軸は、表示面200aの反射率を表したものである。図8に示すように、光照射前は反射率がR0であり、照射される光のエネルギが大きくなるほど、反射率が大きくなる。このとき、特定のエネルギ領域においては他のエネルギ領域に比べて、照射する光のエネルギ変化に対して反射率の変化量が大きくなっている。
【0054】
ここで、特定のエネルギ領域は、反射率がR0から変化してRa以上Rb未満となる範囲に対応するエネルギ範囲、すなわちPa以上Pb未満のエネルギ範囲である。したがって、照射される光のエネルギがPaに達するまでは、反射率の変化量は(Ra−R0)以下となり、特定のエネルギ領域に比べて反射率の変化量が少なく、電子ペーパ200に画像を記録するために必要な光のエネルギは、この例においてはPa以上となる。なお、画像の記録のときに階調表現が不要である場合には、照射される光のエネルギをPb以上としてもよい。
【0055】
本変形例においては、上述のような特性の電子ペーパ200に画像を記録するときには、記録面200bに照射される光が、記録光源130aからの光および外光300になるようにする。例えば、制御部110は、調光素子120bの透過率の制御によって外光300に係る光の強度を調節したり、シャッタ120eの開閉の制御によって外光300に係る照射期間を調節したりして、照射領域に導かれる外光300のエネルギを、Pa以下の予め設定されたエネルギになるように、すなわち、この光によっては反射率の変化量が予め設定された値(Ra−R0)以下になるように制御する。なお、この例においては、エネルギがPaの光が照射されたときの反射率の変化量は(Ra−R0)として設定していたが、例えば、変化量をR0から+1%としてもよく、予め設定されていればどのような設定の態様であってもよい。
【0056】
また、制御部110は、記録期間内に電子ペーパ200の記録面200bに照射される外光300のエネルギと、記録光源130aからの光のエネルギとをあわせたエネルギが、情報取得部150によって取得された画像情報に応じた反射率に対応するエネルギとなるように、記録光源130aの光の強度、移動速度を制御して、電子ペーパ200に画像を記録する。したがって、電子ペーパ200に画像を記録するときに用いる記録光の一部に外光300を用いることにより、記録光源130aにおいて消費する電力が少なくなる。
【0057】
なお、記録光源130aからの光と外光300とは記録期間全体にわたって照射されている必要は無く、記録期間内の一部の期間であってもよい。また、記録光源130aからの光と外光300とは同じ期間で照射されていなくてもよく、記録光または補助光のいずれかを先に照射するようにしてもよい。すなわち、記録期間内において、画像情報に応じた反射率に対応するエネルギの光が電子ペーパ200の記録面200bに照射されるようになっていればよい。
【0058】
このように、本願でいう初期化処理とは、実施形態における説明のように、リセット光の照射により画像を消去する処理、好ましくは表示面200aの反射率を一様にする処理だけでなく、本変形例における説明のように、画像の記録時において、反射率が大きく上がり始めるまでのエネルギ(この例においては、Pa以下のエネルギ)を記録面200bに照射する処理についても示している。すなわち、記録面200bに対して、予め設定されたエネルギの外光300を照射する処理を示している。
【0059】
<変形例8>
上述した実施形態においては、電子ペーパ200に対して、初期化処理、記録処理を行う記録装置1として説明したが、記録処理を行わず、初期化処理を行う初期化装置として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る記録ユニットの構成を示す説明図である。
【図3】実施形態に係る電子ペーパの構成を示す説明図である。
【図4】変形例1に係る記録ユニットの構成を示す説明図である。
【図5】変形例2に係る記録ユニットの構成を示す説明図である。
【図6】変形例3に係る記録ユニットの構成を示す説明図である。
【図7】変形例4に係る記録ユニットの構成を示す説明図である。
【図8】変形例7に係る電子ペーパの特性を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1…記録装置、100…記録ユニット、101…透明板、102…筐体、102a,102b…空間、102c…開口部、110…制御部、120…リセット光発生部、120a…導光板、121a…凸面鏡、122a…回転鏡、1221a…回転軸、123a…可動鏡、120b…調光素子、120c…外光センサ、120d…補助光源、120e…シャッタ、130…記録光発生部、130a…記録光源、140…電圧印加部、140a…電極、150…情報取得部、200…電子ペーパ、200a…表示面、200b…記録面、210,270…フィルム基板、220,260…透明電極、230…光導電層、240…着色層、250…表示素子層、300…外光、400…蓄光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された光に応じた表示を行う光書込型の表示媒体に光を照射する照射部を有する筐体と、
前記筐体外から前記筐体内に外光を取り込む光取込手段と、
前記光取込手段が取り込んだ外光を前記照射部に導く導光手段と
を具備することを特徴とする表示媒体初期化装置。
【請求項2】
前記光取込手段によって取り込まれる外光の強度を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した外光の強度に応じて、前記導光手段により前記照射部に導かれる外光を減光する減光手段と
をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体初期化装置。
【請求項3】
前記光取込手段によって取り込まれる外光の強度を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した外光の強度に応じた強度で発光する発光手段と
をさらに具備し、
前記導光手段は、前記光取込手段が取り込んだ外光および前記発光手段の発光による光を前記照射部に導く
ことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体初期化装置。
【請求項4】
前記光取込手段によって取り込まれる外光の強度を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した外光の強度に応じて、前記光取込手段によって外光が取り込まれる期間を制御する制御手段と
をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体初期化装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示媒体初期化装置と、
画像情報に応じた光を前記照射部から前記表示媒体に照射して、当該表示媒体に画像を記録する記録手段と
を具備し、
前記光取込手段は、前記記録手段が前記表示媒体に記録する期間において、前記筐体内へ外光を取り込まない
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−78709(P2010−78709A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244711(P2008−244711)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】