説明

表示装置

【課題】 複数の回路基板を接続する表示装置において、容易で且つ確実に接続を行うことで、高い接続信頼性を得ることを目的とする。
【解決手段】 表示領域が形成された絶縁性基板1と、前記表示領域に信号を供給するために、前記絶縁性基板1上の前記表示領域外に接続された第1の回路基板6と、前記表示領域に光を供給すべく前記絶縁性基板の表示領域が形成された面とは反対側に配置された面状光源装置と、前記面状光源装置に接続され電源を供給する第2の回路基板10を備えた表示装置において、前記第1の回路基板6と前記第2の回路基板10とは、前記第1の回路基板6に形成された孔15または切り欠きに、前記第2の回路基板10の端部を挿入し当接させることで、前記第2の回路基板10の位置決めが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示領域を有する絶縁性基板上の端子に接続されるプリント基板を有し、該プリント基板とその他のプリント基板とを接続する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は液晶パネルを面状光源装置の発光面上に配置することで構成される。液晶パネルは、二枚の基板を所定の間隔を設けて対向させ、基板周辺部においてシール材により接着すると共に二枚の基板間に液晶層を封入することにより形成され、表面には偏光性を有する偏光板が貼り付けられる。液晶パネルの電極端子部には駆動用ICと屈曲性を有するプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:以下、FPCと称する)が異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film:以下、ACFと称する)を介して搭載される。FPCの入力用電極端子部にはプリント基板(Printed Wiring Board:以下、PWBと称する。)からの信号及び電源が供給される。また、光源となる面状光源装置は、FPC上に搭載された点状光源のLEDから出射された光が導光板内を伝播することで発光面に伝達されると共に、導光板の裏面に漏出した光を反射シートにより反射させて導光板に戻し、且つ導光板の発光面側においては導光板の表面側(発光面側)に配された拡散シートとレンズシートにより効率よく光を発光面に広げ、且つムラなく発光する。面状光源装置に接続されるFPCは、PWBもしくは液晶パネルを構成する絶縁性基板に接続されたFPC上の端子もしくはコネクタに接続され、電源が供給される。特に、FPC上の端子に接続される場合、FPCの位置決めには位置決め用のマークもしくは端子同士をカメラ等で確認しながら位置を合わせた状態で接続するか、もしくは少なくとも2ヶ所以上の位置決め用の孔もしくは切り欠きをピン等で位置決めし接続を実施している。
【0003】
また、その他の従来技術として、ICチップを実装した表示パネルの導電部と接続されるFPCにおいて、FPCの接続側の先端形状が、ICチップの3辺の外面のそれぞれ少なくとも一部からなる基準面に当接する位置合わせ部を有する形状とし、当該位置合わせ部をICチップの基準面に当接させて表示パネルに位置決めするものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−78790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の液晶表示装置のFPC接続方法では、位置決め用のマークもしくは端子同士の位置決め状態を確認するためのカメラや位置決めピン等の治工具などの設備費が発生する。また、位置決め確認後にFPCを保持した状態で接続する必要があるため、接続時のズレ発生や作業時間増加等、低コスト化や作業性を改善する必要があった。
【0006】
また、上述の特許文献1の従来技術においては、絶縁性基板上の端子と接続されるFPCとその他のFPCとの接続方法に関しては何等開示されておらず、絶縁性基板上の端子と接続されるFPCとその他のFPCとを容易に且つ確実に接続するのが困難であるという問題点を有していた。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、絶縁性基板上の端子と接続されるFPCとその他のFPCとを接続する表示装置において、容易で且つ確実に接続を行うことで、高い接続信頼性を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表示領域が形成された絶縁性基板と、前記表示領域に信号を供給するために、前記絶縁性基板上の前記表示領域外に接続された第1の回路基板と、前記表示領域に光を供給すべく前記絶縁性基板の表示領域が形成された面とは反対側に配置された面状光源装置と、前記面状光源装置に接続され電源を供給する第2の回路基板を備えた表示装置において、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、前記第1の回路基板に形成された孔または切り欠きに、前記第2の回路基板の端部を挿入し当接させることで、前記第2の回路基板の位置決めがなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絶縁性基板上の端子と接続されるFPCとその他のFPCとを接続する表示装置において、容易で且つ確実に接続を行うことにより、接続信頼性の高い表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1を図1、図2により説明する。図1は本発明の実施の形態1における表示装置の全体平面図であり、図2は図1におけるA−A方向からの断面図である。
【0011】
図1、図2において、表示領域が形成された絶縁性基板1と対向基板2とが貼り合わされ、その外面側にはそれぞれ偏光版3、4が貼付されて、液晶パネルを構成している。絶縁性基板1上の端子部(図1においては絶縁性基板1上の紙面下方部分)には駆動用のICチップ5と第1の回路基板6(図1、図2においてはFPC)がACF等の樹脂を介して接続される。また、前記絶縁性基板1の表示領域が形成された面とは反対側には、LEDなどの光源7と導光板8などから構成され、光を表示領域に供給する面状光源装置が配置されている。該面状光源装置は樹脂フレーム9により支持されており、さらに該樹脂フレーム9は、前記液晶パネルも支持している。該面状光源装置の光源に電源を供給するために、第2の回路基板10(図1、図2においてはFPC)が面状光源装置に接続されている。第1の回路基板6と第2の回路基板10とは、液晶パネルにおいて同一の辺側(図1においては、駆動用ICチップ5が実装されている辺側)に配置されている。また、導光板8と液晶パネルとの間には、拡散シートやレンズシート等の各種光学シート11が配置されている。
【0012】
面状光源装置への電源供給は、上記のように第2の回路基板10を用いて行われるが、第2の回路基板の面状光源装置と接続された端部とは反対側の端部(以下、他端部という)に形成された第2の接続端子12が、第1の回路基板6上に設けられた第1の接続端子13と端子同士のずれがないように位置決め後、ハンダもしくはACF等の接続材料を介して接続される。また、第1の接続端子13は第3の接続端子14と第1の回路基板6上のパターンにより連結されており、この第3の接続端子14に外部のPWBなどから電源が供給される。通常、本実施の形態に示される液晶表示装置において、第1の回路基板6は、面状光源装置の裏面側に折り返され固定される。第1の回路基板6における第1の接続端子12近傍には、切り欠きもしくは孔(図1においては孔15)が設けられており、第2の回路基板10の他端部には、所定の位置から孔12より幅が広くなるように、先端部の側辺を切り欠いて形成された段差16が設けられている。
【0013】
本実施の形態において、第2の回路基板10の他端部は第1の回路基板6に形成された切り欠きもしくは孔15に挿入され、ある一定量挿入された後は、段差16でそれ以上挿入できない状態(段差部16と第1の回路基板6とが当接した状態)となり、第2の回路基板10は自身のたわみのため段差部16を支点として他端部先端方向に押しつけられる力が加わった状態となり、図1における紙面上下方向の位置決めがされた状態となる。図1における紙面左右方向の位置決めについては、第2の回路基板10の他端先端部を第1の回路基板6の切り欠きもしくは孔に挿入することで行われるのに加えて、液晶パネルが樹脂フレーム9に組み込まれることでも実施され、さらに回転方向のズレも防止される。
【0014】
以上、本実施の形態により、第2の回路基板10の他端先端部を第1の回路基板6の切り欠きもしくは孔に挿入することにより、第2の回路基板10の第2の接続端子12における第1の回路基板6の第1の接続端子13上への位置決めを容易且つ確実に行うことが可能となる。本構成により外部位置決めピン等による位置決めをせずに、回路基板同士のハンダ付けもしくはACF等の接続が容易で且つ確実に行うことが可能となる。
【0015】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2を図3、図4により説明する。図3は本発明の実施の形態2における表示装置の全体平面図、図4は本発明の実施の形態2におけるその他の表示装置の全体平面図である。図3、図4において、図1、図2と同じ構成部分については同一の符号を付し、上記実施の形態1との相違点について説明する。
【0016】
上記実施の形態1においては、第2の回路基板4の他端部において、所定の位置から孔より幅が広くなるように、先端部の側辺を切り欠いて段差が形成されていたが、まず図3においては、第2の回路基板10の他端部の先端部の形状を、切欠17を2箇所有する形状とし、先端部を中央部と側端部2箇所の計3箇所に分離した形状とすることで、例えば側端部2箇所を、実施の形態1と同様に、第1の回路基板における対応する位置に形成された切り欠きもしくは孔(図3においては孔15)に挿入することで、紙面上下方向の位置決めが実施される。紙面左右方向の位置決めについては、実施の形態1と同様に、第2の回路基板の先端部の側端部2箇所を第1の回路基板の切り欠きもしくは孔に挿入することで行われるのに加えて、液晶パネルが樹脂フレームに組み込まれることでも実施され、さらに回転方向のズレも防止される。
【0017】
次に図4においては、実施の形態1と同様に、第2の回路基板10の先端部が、第1の回路基板6の孔15に挿入されて位置決めされているが、外部のPWB18から電源などを供給される第1の回路基板6上の第3の接続端子14の先端部においても、図4に示すように、側辺を切り欠いて段差部19を形成することで、第1の回路基板6をPWB18に位置決めしている。PWB18における前記第3の接続端子14の先端部と対応する位置には、切り欠きもしくは孔(図4においては孔20)が形成されている。
【0018】
以上のような構成とすることによって、上記実施の形態1と同様の効果を奏することが可能となり、さらに図4においては、絶縁性基板上の端子と接続されるFPCとのその他のFPCとの接続に加えて、それらFPCに接続される外部のPWBとの接続も容易で且つ確実に行うことが可能となる。なお、本実施の形態におけるPWBは、柔軟性を有するフィルム上に形成されたものでも、剛性を有する基板上に形成されたものでもよい。さらに、図4においては、第2の回路基板は第1の回路基板と接続される例について示しているが、必要に応じて第2の回路基板についても第1の回路基板と同様にPWBと接続させてもよい。そして、この第1または第2の回路基板と外部のPWBとの接続構成については、本明細書におけるその他実施の形態の構成と組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【0019】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3を図5、図6により説明する。図5は本発明の実施の形態3における表示装置の全体平面図、図6は本発明の実施の形態3におけるその他の表示装置の部分拡大図である。図5、図6において、図1〜図4と同じ構成部分については同一の符号を付し、上記実施の形態1、2との相違点について説明する。
【0020】
図5においては、ほぼ実施の形態1の図1と同様の構成であるが、ただ一つ異なるのは、第2の回路基板10を第1の回路基板6の孔15に挿入した際に、当該挿入部近辺の回路基板の重複部の厚さを緩和するために、図5における第1の回路基板6のX部分に段差を形成するまたは厚さを薄くすることで、重複部分の厚さの増加を抑制することが可能となるものである。
【0021】
次に、図6(a)、(b)は、第2の回路基板10の先端部を、第1の回路基板6の孔15に挿入した部分の拡大図を示しているが、まず(a)図のように第2の回路基板10の他端部の先端部において、第1の回路基板の孔15に挿入される部分(図6においては、先端部において側辺に切り欠きが形成された部分)に切り欠きまたは孔など(図6においては孔21)を形成しておき、作業者が指先で軽く引っ張ると、容易にその先端部分(図6において、切り離し部22)が切り離し可能である状態にしておく。その後、(b)図のように、第2の回路基板の他端部を第1の回路基板の孔に挿入し、第2の回路基板の第2の接続端子12と第1の回路基板の第1の接続端子とを接続した後に、切り離し部22を作業者の指先などで引っ張って切り離すことで、回路基板の重複部による回路基板の厚さの増加を抑制することが可能となる。
【0022】
以上のような構成とすることによって、上記実施の形態1、2と同様の効果を奏することに加えて、回路基板の重複による厚さの増加も抑制することが可能となる。
【0023】
上記実施の形態1〜3では、例としては液晶を用いた表示装置について説明を行ったが、それに限定されることなく、エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いたものなど、絶縁性基板上の端子と接続されるFPCとその他のFPCとを接続するあらゆる表示装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における表示装置の全体平面図である。
【図2】図1におけるA−A方向からの断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2における表示装置の全体平面図である。
【図4】本発明の実施の形態2におけるその他の表示装置の全体平面図である。
【図5】本発明の実施の形態3における表示装置の全体平面図である。
【図6】本発明の実施の形態3におけるその他の表示装置の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0025】
1 絶縁性基板、2 対向基板、3 偏光板、4 偏光板、5 駆動用IC、6 第1の回路基板、7 光源、8 導光板、9 樹脂フレーム、10 第2の回路基板、11 光学シート、12 第2の接続端子、13 第1の接続端子、14 第3の接続端子、15 孔、16 段差部、17 切り欠き、18 PWB、19 段差部、20 孔、21 孔、22 切り離し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域が形成された絶縁性基板と、
前記表示領域に信号を供給するために、前記絶縁性基板上の前記表示領域外に接続された第1の回路基板と、
前記表示領域に光を供給すべく前記絶縁性基板の表示領域が形成された面とは反対側に配置された面状光源装置と、
前記面状光源装置に接続され電源を供給する第2の回路基板と、
を備えた表示装置であって、
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、前記第1の回路基板に形成された孔または切り欠きに、前記第2の回路基板の他端部を挿入し当接させることで、前記第2の回路基板の位置決めがなされることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の回路基板の他端部は、側辺を切り欠いて形成された段差部を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1と第2の回路基板は、フレキシブル基板からなることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の回路基板の他端部が、前記第1の回路基板の孔または切り欠きに挿入された部分において、第1の回路基板の厚さを他の部分よりも薄く形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の回路基板の他端部が、前記第1の回路基板の孔または切り欠きに挿入された後に切り離し可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の回路基板に電源を供給する第3の回路基板をさらに備え、前記第1の回路基板と前記第3の回路基板とは、前記第3の回路基板に形成された孔または切り欠きに、前記第1の回路基板の端部を挿入し当接させることで、前記第1の回路基板の位置決めがなされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−145753(P2008−145753A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333260(P2006−333260)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】