説明

表示装置

【課題】車体の駐車時において車体の側方の路面状態や障害物の存否を、視認性良くモニタに表示する表示装置を構成する。
【解決手段】モニタ16の姿勢と、変速装置のシフト位置とからモニタ16の表示を制御するモニタ制御ECUを備えた。このモニタ制御ECUは、モニタ16を横長姿勢にした基準姿勢では、フロント画像(HF)、バック画像(HR)、ナビゲーション画像(HN)の何れかを表示する。この基準姿勢のモニタ16を左に回転させて縦長の左回転姿勢に操作すると左サイドカメラで撮影した左路面画像(VL)を表示し、モニタ16を横長姿勢から右に回転させて縦長の右回転姿勢に操作すると右サイドカメラで撮影した左路面画像(VR)を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、詳しくは、自動車等の車体の車内に備えたモニタに対して車載カメラ等からの画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された表示装置として特許文献1には、第1辺より長い第2辺を有するディスプレイ(本発明のモニタ)が車内に備えられた点が記載されている。このディスプレイは、横向き状態と縦向き状態とに切換自在に構成され、この状態(ディスプレイの姿勢)を検出するスイッチが備えられている。車体の側方の路面を撮影するカメラが左側の(助手席側の)ドアミラーハウジングに備えられ、車体の現在位置に対応するナビゲーション情報を取得するナビゲーション装置が備えられている。そして、ディスプレイが横向き状態にある場合にはスイッチの状態に対応してナビゲーション装置からのナビゲーション情報が表示され、ディスプレイが縦向き状態にある場合にはスイッチの状態に対応してカメラからの映像が表示される。
【0003】
また、特許文献2には、車体の後方を撮影するカメラが備えられ、ナビゲーションや前方映像等の通常映像を出力する通常映像出力装置が備えられ、シフトレバーの位置と車速信号とが入力するマイコンが備えられている。そして、シフト位置と車速とから駐車走行モードに移行し、モニタには通常映像に代えてモニタにはカメラからの後方映像が表示される。駐車走行モードに移行した後には、所定の車速を満たす限りシフトレバーのシフト位置に拘わらずモニタにはカメラからの後方映像が表示される状態が維持される。
【0004】
【特許文献1】特開2000‐201347号公報 (段落番号〔0018〕、〔0019〕、図9)
【特許文献2】特開平10‐217852号公報 (段落番号〔0016〕〜〔0022〕、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体を後進させて駐車位置に導入する状況において運転者は、車体の後方の障害物の存否や路面の確認を行い、また、助手席側の路面の障害物の存否や路面の状態の確認を行う。
【0006】
しかしながら、特許文献2では、シフトレバーの操作により車体後方を撮影した画像をモニタに表示するだけであり、特許文献1では、モニタの姿勢を切り換えることでナビゲーション画像に代えて助手席側の路面を撮影した画像をモニタに表示するだけである。そこで、車体の後方の画像と車体の側方の路面の画像とを選択して表示するためのスイッチ類を備えることも考えられるが、スイッチ類を備えるものでは操作が煩雑となり操作性が悪化することも考えられる。
【0007】
特に、駐車時のような運転時においては、ドライバは安全を優先する傾向があるので、例えば、スイッチの用途を正確に把握していないスイッチを操作することを控えてしまう結果、そのスイッチ、ひいては、そのスイッチに関わる機能が使われないことになる。従って、ドライバに直感的に理解しやすいスイッチが求められる。
【0008】
駐車時において車体を後方に移動させる場合には、車体後方の路面の状態や障害物の位置を水平方向で広い画面に表示することが視認性において望ましい。また、車体の側部位置において運転席から視覚によって確認し難い路面の状態や障害物の位置を車体の前後方向に沿う縦方向で長い画面に表示することが視認性において望ましい。
【0009】
このような視認性を考えるとモニタの姿勢と、モニタに表示する画像とは密接に関係するものであり、煩わしい操作を行うことなく、モニタの姿勢と表示すべき画像とを合理的に組み合わせることが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、車体の駐車時において車体の側方の路面状態や障害物の存否を、視認性良くモニタに表示する表示装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、車体の右側の路面を撮影する右サイドカメラと、車体の左側の路面を撮影する左サイドカメラと、車内に備えられたモニタと、このモニタの表示を制御する表示制御ユニットとを備え、前記モニタの表示面が長方形に形成され、前記モニタを横長姿勢にした姿勢が基準姿勢に設定されると共に、前記モニタが、前記基準姿勢から右端側を下側に向ける右回転により縦長姿勢とする右回転姿勢と、前記基準姿勢から左端側を下側に向ける左回転により縦長姿勢とする左回転姿勢とに切換自在に支持され、前記表示制御ユニットは、前記モニタが前記基準姿勢にある際に基準画像を表示し、前記モニタが前記基準姿勢から右回転姿勢に切り換えられた際に、前記右サイドカメラの撮影画像を前記モニタに表示し、前記モニタが前記基準姿勢から左回転姿勢に切り換えられた際に、前記左サイドカメラの撮影画像を前記モニタに表示するサイド画像表示モードでの処理を行う点にある。
【0012】
この構成により、モニタに基準画像が表示されている状態において、モニタを左回転姿勢に切り換えた場合には、左サイドカメラの撮影画像がモニタに表示される。これとは逆に、モニタを右回転させた場合には、右サイドカメラの撮影画像がモニタに表示される。つまり、車体の側部の領域をモニタに表示する場合には、車体の前後方向に沿った長い領域を表示するために縦長姿勢に設定することが無駄のない表示を実現するものとなり、しかも、車体の左側を確認する場合にモニタを左回転させ、車体の右側を確認する場合にはモニタを右回転させることにより、モニタの表示対象を切り換えるモードでの処理(モードでの遷移)が行われるので、操作感覚に違和感がなく直感的な操作も可能となる。その結果、車体の駐車時において車体の側方の路面状態や障害物の存否を、視認性良くモニタに表示する表示装置が構成された。
【0013】
本発明は、前記車体の前方を撮影するフロントカメラを備え、前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記フロントカメラの撮影画像を前記モニタに表示するフロント画像表示モードの処理を行っても良い。この構成によると、モニタが基準姿勢にある場合に車体前方の領域をモニタに表示され、前方の確認を容易に行える。
【0014】
本発明は、前記車体の後方を撮影するバックカメラを備え、前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記バックカメラの撮影画像を前記モニタに表示するバック画像表示モードの処理を行っても良い。この構成によると、モニタが基準姿勢にある場合に車体後方の領域がモニタに表示され、後方の確認を容易に行える。
【0015】
本発明は、前記車体の存在位置を地球の経度と緯度とで表されるポジション情報として取得し、取得したポジション情報で示される位置を対応する地図上に表示するナビゲーション画像を生成するナビゲーションシステムを備え、前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記ナビゲーション画像を表示するナビゲーション画像表示モードの処理を行っても良い。この構成によると、モニタが基準姿勢にある場合にナビゲーション画像がモニタに表示され、地図上での車体の位置の確認を容易に行える。
【0016】
本発明は、前記車体の前方を撮影するフロントカメラと、前記車体の後方を撮影するバックカメラとを備え、前記車体の変速装置のシフト位置を検出するシフト位置センサを備え、前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記フロントカメラの撮影画像を前記モニタに表示するフロント画像表示モードの処理を行うと共に、このフロント画像表示モードでの表示が行われている際に、前記シフト位置センサによってシフト位置が後進位置に操作されたことを検出した場合には、前記基準画像として、前記バックカメラの撮影画像を前記モニタに表示するバック画像表示モードの処理を行っても良い。
【0017】
この構成によると、モニタにフロントカメラの撮影画像が表示されている状態において変速装置のシフト位置が後進位置に操作された場合には、モニタに対してバックカメラの撮影画像を表示する。そして、フロントカメラの撮影画像が表示されている状態、及び、バックカメラの撮影画像が表示されている状態のモニタを左回転姿勢に設定した場合には、左サイドカメラの撮影画像がモニタに表示され、これとは逆に、モニタを右回転させた場合には、右サイドカメラの撮影画像がモニタに表示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1〜図3に示すように、前車輪1と後車輪2を有した車体Bのルーム内に運転座席3と助手席4とが備えられ、運転座席3の前部位置にステアリングホイール5と、メータ類を有したパネル6を配置し、前記運転座席3の側部に変速用のシフトレバー7を配置して乗用車が構成されている。
【0019】
この乗用車では、車体Bの前部位置にエンジンEと、このエンジンEからの動力を変速して前車輪1に伝えるトルクコンバータやCVT等で成る変速装置Tとが配置されている。この前部位置には、ステアリングホイール5の回転操作力を前車輪1に操舵力として伝えるパワーステアリングユニットPSが備えられている。これにより、前車輪1は駆動輪として機能すると同時に操舵輪として機能する。
【0020】
変速装置Tはシフトレバー7で変速操作される。このシフトレバー7は、シフト位置の設定で車体Bの前進、後進、駐車等の状態を実現し、シフトレバー7の近傍にはシフト位置を検出するシフト位置センサ7Sが備えられている。尚、シフト位置センサ7Sを、変速装置Tに備えることにより変速装置Tの変速設定を直接的に検出するように構成しても良い。
【0021】
前記運転座席3の近傍には走行速度を制御するアクセルペダル8と、前車輪1と後車輪2とのブレーキ装置BKを操作して前車輪1、後車輪2に制動力を作用させるブレーキペダル9とが並列配置されている。
【0022】
前車輪1の近傍位置には操舵角を検出する操舵角センサ11が備えられ、後車輪2の近傍には、後車輪2の回転量から車体Bの移動距離を計測する移動距離センサ12が備えられている。
【0023】
運転座席3の近傍のコンソールの上部位置にブラケット14が設けられ、このブラケット14の上端位置に前後向き姿勢の回転支軸15によって回転自在にモニタ16が支持されている。このモニタ16の表示面16Sは長方形に形成され、回転支軸15周りでの手動操作による左回転と右回転とにより表示面16Sが図4に示す横長姿勢の基準姿勢と、同図に示す縦長姿勢に切換自在となる。
【0024】
つまり、モニタ16は、横長姿勢となる基準姿勢が設定されると共に、回転支軸15により左側と右側とに夫々90度の範囲で回転自在に支持されている。これにより、基準姿勢のモニタ16の左端側を下側に向ける縦長姿勢の左回転姿勢と、この基準姿勢のモニタ16の右端側を下側に向ける縦長姿勢とする右回転姿勢との何れかに切り換え自在となる。
【0025】
回転支軸15の近傍位置には基準姿勢と、左回転姿勢と、右回転姿勢との何れであるかを検出するモニタ姿勢センサ17が備えられている。また、パネル6の近傍位置にはモニタ16が基準姿勢にある状態でモニタ16に表示する画像の選択を行う表示選択スイッチ18と、モニタ16が左回転姿勢又は右回転姿勢にある場合に上面視画像を表示させる上面視画像表示スイッチ19とが備えられている。
【0026】
モニタ姿勢センサ17は、複数のリミットスイッチやリードスイッチ等を組み合わせることや、ロータリエンコーダ等を用いることにより基準姿勢と左回転姿勢と右回転姿勢とに対応した信号を出力する。表示選択スイッチ18と上面視画像表示スイッチ19とはモメンタリ型のものやトグル型のものが用いられる。尚、以下の実施形態では、モメンタリ型を用いた構成を示しており、表示モード選択部35(図5を参照)が非操作状態でOFF状態と判定し、押し操作でON状態と判定し、再度の押し操作でOFF状態と判定する。
【0027】
また、モニタ16の表示面にタッチパネルを備えたものでは、表示選択スイッチ18と上面視画像表示スイッチ19との少なくとも一方をモニタ16に操作ボタンとして表示することも可能である。このようにタッチパネルを用いることで電気的な接点を有したスイッチ類の数を低減できる。
【0028】
前記モニタ16は、バックライトを備えた液晶型のものを想定しているが、プラズマ表示型や、有機ELD型、あるいは、CRT型のものであっても良い。
【0029】
また、モニタ16の表示面にタッチパネルを備えたものでは、表示選択スイッチ18と上面視画像表示スイッチ19との少なくとも一方をモニタ16に操作ボタンとして表示しても良い。これにより電気的な接点を有したスイッチ類の数を低減できる。
【0030】
特に、本発明ではモニタ16の姿勢を変更するための電動モータを備えることも可能である。具体的には、モニタ16を回転させる人為的な操作力を感圧センサ等で感知した際に操作方向に電動モータを作動させることでモニタ16の回転をアシストすることや、モニタ16を自立して回転させる構成を備えることになる。これと同様に、電動モータの作動を制御する右回転用のスイッチと左回転用のスイッチを備え、一方のスイッチが操作されることにより、対応する方向に電動モータを作動させてモニタ16を回転させる構成を備えても良い。このスイッチもタッチパネルに操作ボタンとして表示しても良い。
【0031】
車体Bの前端に車体前方の路面を含んだ領域を撮影するフロントカメラ21を備え、車体Bの後端に車体後方の路面を含んだ領域を撮影するバックカメラ22を備えている。
【0032】
左側のドアには左サイドミラー23Lが備えられ、そのハウジングの内部に車体左側の近傍で車体Bの前端から後端に亘る領域の路面を上方から撮影する左サイドカメラ24Lが備えられている。これと同様に右側のドアには右サイドミラー23Rが備えられ、そのハウジングの内部に車体右側の近傍で車体Bの前端から後端に亘る領域の路面を上方から撮影する右サイドカメラ24Rが備えられている。
【0033】
これらのカメラは、広角レンズを有した撮像光学系を備えると共に、CCD型やCMOS型の撮像素子を備え、撮影した画像を1秒間に数コマ以上のコマ数の動画として出力する機能を有する。
【0034】
この乗用車では、複数のGPS衛星から電波信号を受信することで車体Bの位置を地球の経度と緯度とで表されるポジション情報として取得し、取得したポジション情報で示される位置を対応する地図上に表示するナビゲーション画像を生成するナビゲーションシステム25(図5を参照)を備えている。
【0035】
モニタ16は、図7に示すようにナビゲーションシステム25で生成されたナビゲーション画像(HN)と、バックカメラ22で撮影されたバック画像(HR)と、左サイドカメラ24Lで撮影された路面画像(VL)と、上面視画像(VT)等が表示される。
【0036】
特に、上面視画像(VT)を生成する際には、フロントカメラ21と、バックカメラ22と、左サイドカメラ24Lと、右サイドカメラ24Rとからの画像を、車体Bの上方の視点から見下ろす像となる視点変換を行うように射影変換した画像Tf、Tb、Ts、Tsを作り出す。そして、これらの画像Tf、Tb、Ts、Tsを車体Bのイメージ画像を取り囲む位置にマッピングした画像が生成される。
【0037】
これらの複数の画像の何れかを選択して表示する表示制御ユニットとして、車体Bにはモニタ制御ECU30を備えている。
【0038】
〔表示制御系〕
図5に表示制御系の概要を示している。モニタ制御ECU30は、フロントカメラ21、バックカメラ22、左サイドカメラ24L、右サイドカメラ24R夫々の画像を取得する画像インタフェース31を備えている。また、モニタ制御ECUは、画像インタフェース31を介して取得した夫々の4種の画像から上面視画像を生成する視点変換手段としての視点変換ユニット32を備え、バックカメラ22で撮影された画像に駐車支援画像を合成する駐車支援画像合成部33を備えている。
【0039】
視点変換ユニット32からの上面視画像と、駐車支援画像合成部33で駐車支援画像が合成されたバックカメラ22からの画像と、左サイドカメラ24Lで撮影された路面画像と、ナビゲーションシステム25で生成されたナビゲーション画像との何れかの画像を選択するセレクタ34を備えている。更に、セレクタ34を制御する表示モード選択部35を備えている。そして、この表示モード選択部35は、後述する複数の表示モードに対応した情報をセレクタ34に与え、セレクタ34はモニタ16に表示される画像を切り換える表示モードでの処理(モードでの遷移)を行うことになる。
【0040】
視点変換ユニット32は、操舵角センサ11と移動距離センサ12とが入力する信号系を有すると共に、画像インタフェース31を介して取得したフロントカメラ21と、バックカメラ22と、左サイドカメラ24Lと、右サイドカメラ24Rとからの4種の画像を、車体Bの上方の視点から見下ろす像となる視点変換により射影変換した画像Tf、Tb、Ts、Tsを作り出す。そして、これらの画像Tf、Tb、Ts、Tsを車体Bのイメージ画像を取り囲む位置にマッピングすることにより、車体Bの上方の視点から見下ろした像となる上面視画像(VT)(図7を参照)を生成する。
【0041】
駐車支援画像合成部33は、バックカメラ22で撮影された画像に対して車体Bを導入すべき領域、及び、設定距離移動した際に車体Bが達する位置を示す領域等の駐車支援画像を路面上に描画する形態でモニタ16に表示する。
【0042】
表示モード選択部35は、マイクロプロセッサ(図示せず)を備えると共に、シフト位置センサ7Sと、モニタ姿勢センサ17と、表示選択スイッチ18とから入力する信号に基づきセレクタ34に対して制御信号を出力する。
【0043】
この表示モード選択部35は、フロント画像表示モードと、ナビゲーション画像表示モードと、バック画像表示モードと、サイド画像表示モードと、上面視画像表示モードとの何れか1つを選択するソフトウエアを備えており、この表示モード選択部35にはモニタ姿勢センサ17と、シフト位置センサ7Sと、表示選択スイッチ18と、上面視画像表示スイッチ19とからの信号が入力する。
【0044】
フロント画像表示モードは、モニタ16が基準姿勢(横長姿勢)に設定された状態で、表示選択スイッチ18がON操作された場合に選択される。つまり、表示選択スイッチ18のON操作に連係してモニタ16に表示される画像がフロントカメラ21で撮影された画像に遷移する。
【0045】
ナビゲーション画像表示モードは、モニタ16が基準姿勢(横長姿勢)に設定された状態で、表示選択スイッチ18がOFF状態にあり、かつ、シフト位置センサ7Sで検出されるシフト位置が後進位置以外の位置にある場合に選択される。つまり、モニタ16が基準姿勢にあり、表示選択スイッチ18がOFF状態にあり、シフト位置センサ7Sでシフト位置が後進位置にある状況に達すると、これに連係してモニタ16に表示される画像がナビゲーション画像に遷移する。
【0046】
バック画像表示モードは、モニタ16が基準姿勢(横長姿勢)に設定され、かつ、シフト位置センサ7Sで検出されるシフト位置が後進位置にある場合に選択される。つまり、モニタ16が基準姿勢にあり、シフト位置センサ7Sでシフト位置が後進位置にある状態に達すると、これに連係してモニタ16に表示される画像がバックカメラ22で撮影された画像に遷移する。
【0047】
サイド画像表示モードは、モニタ16が基準姿勢から左回転姿勢に切り換えられた際に左サイドカメラ24Lで撮影された左路面画像(撮影画像)が選択され、モニタ16が基準姿勢から右回転姿勢に切り換えられた際に右サイドカメラ24Rで撮影された右路面画像(撮影画像)が選択される。つまり、切換に連係してモニタ16に表示される画像が左路面画像から右路面画像に遷移、又は、これとは逆に遷移する。
【0048】
上面視画像表示モードは、モニタ16が左回転姿勢又は右回転姿勢にある状態において上面視画像表示スイッチ19がON操作されることにより、視点変換ユニット32で生成された上面視画像がモニタ16に選択される。つまり、上面視画像表示スイッチ19のON操作に連係してモニタ16に表示される画像が上面視画像に遷移する。
【0049】
〔表示制御〕
本発明の表示装置では、モニタ16の姿勢とシフトレバー7のシフト位置とに基づいて表示モード選択部35がモニタ16に表示する画像を選択する。その制御形態の概要を図6のフローチャートに示すことが可能であり、この制御形態に対応したモニタ16の表示状態を図7に示している。
【0050】
モニタ16が基準姿勢にある場合に表示選択スイッチ(表示選択SW)18がOFF状態にある場合には、モニタ16にフロント画像(HF)が表示される。そして、表示選択スイッチ18がON操作された場合には、モニタ16にナビゲーション画像(HN)が表示される。更に、表示選択スイッチ18がOFF状態にあり、シフトレバー7が後進位置(シフト=R)にある場合には、モニタ16にバック画像(HB)が表示される(#101〜#103ステップ)。
【0051】
これらフロント画像(HF)と、ナビゲーション画像(HN)と、バック画像(HB)とが本発明の基準画像である。この3種の基準画像の何れかが表示されている状態で、モニタ16が左回転姿勢に操作された場合には、左路面画像(VL)が表示され、モニタ16が右回転姿勢に操作された場合には、右路面画像(VR)が表示される(#105〜#108ステップ)。
【0052】
つまり、基準姿勢にあるモニタ16を左に回転させて縦長姿勢(左回転姿勢)に切り換えた場合には、車体Bの左側の路面の画像がモニタ16に表示される。また、基準姿勢にあるモニタ16を右に回転させて縦長姿勢(右回転姿勢)に切り換えた場合には、車体Bの右側の路面の画像がモニタ16に表示される。
【0053】
このように、モニタ16を縦長姿勢(左回転姿勢又は右回転姿勢)から基準姿勢に操作した後に、モニタ16を基準姿勢に戻した場合にはフロント画像(HF)と、ナビゲーション画像(HN)と、バック画像(HB)との何れかがモニタ16に表示される(#109、#110ステップ)。
【0054】
具体的な表示形態として、モニタ16を縦長姿勢(左回転姿勢又は右回転姿勢)から基準姿勢に戻した場合において、シフトレバー7が後進位置以外のシフト位置(シフト≠R)にあり、表示選択スイッチ18がOFF状態にある場合にはフロント画像(HF)がモニタ16に表示される。
【0055】
また、モニタ16を縦長姿勢(左回転姿勢又は右回転姿勢)から基準姿勢に戻した場合において、シフトレバー7のシフト位置が後進位置(シフト=R)にある場合には、バック画像(HR)がモニタ16に表示される。
【0056】
更に、モニタ16を縦長姿勢(左回転姿勢又は右回転姿勢)から基準姿勢に戻した場合において、シフトレバー7が後進位置以外のシフト位置(シフト≠R)にあり、表示選択スイッチ18がON状態にある場合にはナビゲーション画像(HN)がモニタ16に表示される。
【0057】
モニタ16が右回転姿勢又は左回転姿勢にある状況において上面視画像表示スイッチ(上面視画像表示SW)19がON操作された場合には、上面視画像(VT)がモニタ16に表示される(#111〜#113ステップ)。
【0058】
この制御では、上面視画像表示スイッチ19がOFF操作された場合には、上面視画像(VT)に代えて左路面画像(VL)又は右路面画像(VR)がモニタ16に表示されるが、上面視画像表示スイッチ19がOFFを維持する場合には、既に表示されている左路面画像(VL)又は右路面画像(VR)の表示が継続する(#104、#111〜#113ステップ)。
【0059】
この制御では、モニタ16を左回転姿勢又は右回転姿勢に設定した場合には、シフトレバー7を操作しても、表示されている画像が維持されるので、車体Bを駐車位置に導入する場合のようにシフトレバー7を後進位置と後進以外の位置とに切り換える場合に、車体Bの後進と前進とを反復して行ってもモニタ16の表示が維持され、運転者が視覚によって確認できない領域をモニタ16から把握できるものとなる。
【0060】
このような表示が行われることにより、車体Bを後進させて駐車位置に導入する際には、モニタ16の姿勢とシフト位置とから必要とする画像がモニタ16に表示され、この画像から車体Bの後方の確認を行えるばかりでなく、上面視画像を表示した場合には車体Bの周囲の路面の状態の確認と、路面画像により車体左側の路面の確認とを行える。
【0061】
〔実施形態の効果〕
このように、本発明の表示装置では、モニタ16が横長となる基準姿勢にあり、シフトレバー7が後進位置にない(シフト≠R)場合にはフロント画像(HF)とナビゲーション画像(HN)との何れかが表示される。これにより車体前方の広い領域をモニタ16に表示して前方の確認を容易に行うことや、地図上における車体Bの位置を把握することが可能となる。また、モニタ16が横長となる基準姿勢にあり、シフトレバー7が後進位置にある(シフト=R)場合には、バック画像(HR)を車体後方の領域の画像に合成して表示された駐車支援画像に従って駐車位置へ車体Bを容易に導入することが可能となる。
【0062】
基準姿勢にあるモニタ16にフロント画像(HF)と、ナビゲーション画像(HN)と、バック画像(HR)との何れかが表示されている状態において、モニタ16を左回転させて左回転姿勢に設定すると、左サイドカメラ24Lで撮影された左路面画像(VL)がモニタ16に表示される。これと同様に、モニタ16を右回転させて右回転姿勢に設定した場合には、右サイドカメラ24Rで撮影された右路面画像(VR)がモニタ16に表示される。つまり、運転者が車体Bの左側の路面を確認する場合には、モニタ16を左回転させることで済み、運転者が車体Bの右側の路面を確認する場合には、モニタ16を右回転させることで済む。
【0063】
更に、モニタ16を左回転姿勢に操作して路面画像(VL)が表示されている場合、あるいは、右回転姿勢に操作して路面画像(VR)が表示されている場合において上面視画像表示スイッチ19を操作することで上面視画像(VT)をモニタ16を表示して駐車位置への車体の導入を容易に行える。更に、この上面視画像(VT)が表示されている状態において上面視画像表示スイッチ19を再度操作することにより、元の路面画像(VL)(VR)を表示して路面の状況の確認も行える。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】車体の概要を示す平面図
【図2】運転座席の近傍部位の平面図
【図3】モニタの配置を示す図
【図4】回転によるモニタの姿勢変化を示す図
【図5】制御系のブロック回路図
【図6】表示制御ルーチンのフローチャート
【図7】モニタの姿勢とモニタに表示される画像とを示す図
【符号の説明】
【0065】
7S シフト位置センサ
16 モニタ
16S 表示面
21 フロントカメラ
22 バックカメラ
24L 左サイドカメラ
24R 右サイドカメラ
25 ナビゲーションシステム
30 表示制御ユニット(モニタ制御ECU)
B 車体
T 変速装置
HF 基準画像(フロント画像)
HN 基準画像(ナビゲーション画像)
HB 基準画像(バック画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の右側の路面を撮影する右サイドカメラと、車体の左側の路面を撮影する左サイドカメラと、車内に備えられたモニタと、このモニタの表示を制御する表示制御ユニットとを備え、
前記モニタの表示面が長方形に形成され、前記モニタを横長姿勢にした姿勢が基準姿勢に設定されると共に、前記モニタが、前記基準姿勢から右端側を下側に向ける右回転により縦長姿勢とする右回転姿勢と、前記基準姿勢から左端側を下側に向ける左回転により縦長姿勢とする左回転姿勢とに切換自在に支持され、
前記表示制御ユニットは、前記モニタが前記基準姿勢にある際に基準画像を表示し、前記モニタが前記基準姿勢から右回転姿勢に切り換えられた際に、前記右サイドカメラの撮影画像を前記モニタに表示し、前記モニタが前記基準姿勢から左回転姿勢に切り換えられた際に、前記左サイドカメラの撮影画像を前記モニタに表示するサイド画像表示モードでの処理を行う表示装置。
【請求項2】
前記車体の前方を撮影するフロントカメラを備え、
前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記フロントカメラの撮影画像を前記モニタに表示するフロント画像表示モードの処理を行う請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記車体の後方を撮影するバックカメラを備え、
前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記バックカメラの撮影画像を前記モニタに表示するバック画像表示モードの処理を行う請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記車体の存在位置を地球の経度と緯度とで表されるポジション情報として取得し、取得したポジション情報で示される位置を対応する地図上に表示するナビゲーション画像を生成するナビゲーションシステムを備え、
前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記ナビゲーション画像を表示するナビゲーション画像表示モードの処理を行う請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記車体の前方を撮影するフロントカメラと、前記車体の後方を撮影するバックカメラとを備え、前記車体の変速装置のシフト位置を検出するシフト位置センサを備え、
前記表示制御ユニットは、前記基準画像として、前記フロントカメラの撮影画像を前記モニタに表示するフロント画像表示モードの処理を行うと共に、このフロント画像表示モードでの表示が行われている際に、前記シフト位置センサによってシフト位置が後進位置に操作されたことを検出した場合には、前記基準画像として、前記バックカメラの撮影画像を前記モニタに表示するバック画像表示モードの処理を行う請求項1記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−143401(P2010−143401A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322692(P2008−322692)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】