説明

表示装置

【課題】 表示領域を構成する画素の総数は同一でも、従来よりも開口率が向上でき、信号配線の総本数を少なくすることで、信号配線用駆動回路の低コスト化が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 複数の画素30がマトリクス状に配置された表示領域50と、画素30はカラー表示を行うN(3以上の整数)原色に対応したN個の副画素35から構成され、副画素35は、走査配線2と、これに交差する信号配線3と、走査配線2によって制御されるスイッチング素子と、信号配線2とスイッチング素子を介して接続される画素電極7とを有し、画素構成において、走査配線2は、N個の副画素35に対応したN本が、副画素35間に群をなして並列に配置され、信号配線3は、N個の副画素35に対応した共通の1本が、副画素35間に配置され、N個の副画素35のスイッチング素子に接続されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に関するものである。特に、表示装置の表示領域を構成する複数の画素の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のブラウン管に代わって、液晶、エレクトロルミネセンス等の原理を利用した薄型で平面形状の表示パネルを有する新しい表示装置が多く使用されるようになった。これらの新しい表示装置の代表である液晶表示装置は、薄型、軽量だけでなく、低電圧駆動できる特徴を有している。液晶表示装置は、2枚の基板の間に液晶を封入して形成される。片方の基板は、複数の画素がマトリクス状に配置されて表示領域を構成するアレイ基板である。カラー表示の場合は、一般に、RGB(赤、緑、青)の3原色で構成され、この場合、各画素は、3原色に対応した3個の副画素(サブ画素)から構成される。近年は、色再現性の向上のため、3原色以上のN原色が使用される場合もあり、この場合はN個の副画素から構成される。もう片方の基板は、各副画素に対応したN原色のカラーフィルタが、表示領域に対向して設けられた対向基板(カラーフィルタ基板)である。
【0003】
特に、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)型液晶表示装置は、アレイ基板上の各副画素に、スイッチング素子であるTFTが設けられ、各副画素が独立して液晶を駆動する電圧を保持できるので、クロストークの少ない高画質な表示が可能である。また、各副画素は、TFTのON、OFFを制御する走査配線(ゲート配線)と、画像データ入力用の信号配線(ソース配線)を有する。例えば、カラー表示が3原色の場合は、1画素は3個の副画素で構成されるので、3本の走査配線と3本の信号配線が必要である。一般に、画素または副画素の形状は、四角形(正方形、または長方形)である。そのため、3個の副画素は、走査配線方向に一列に並ぶ配置として、走査配線は1本を共用して、3個の副画素のスイッチング素子を、同時に駆動する構成とすることが多い。一方、画像データ用の信号配線は、副画素毎に異なる画像データを与える必要があるので、通常は3本が必要である。そして、各副画素は走査配線と信号配線に囲まれた領域が対応する。
【0004】
走査配線および信号配線は、一般に比抵抗の小さな不透明な金属膜で形成されるので、開口率(画素の光透過する面積の比率)を向上するには、画素の面積に対して、不透明な配線が占める比率が小さい方が望ましい。または、配線周囲の光漏れを防止するカラーフィルタ基板に形成される遮光膜の面積が小さい方が望ましい。
【0005】
そこで、開口率を向上させる構成として、副画素の形状を、四角形ではなく、六角形あるいは円形に近い多角形とした表示装置が開示されている。例えば、特許文献1では、副画素形状を六角形とし、横方向に隣接する副画素間に2本の信号配線が配置されるカラー表示の液晶表示装置が開示されている。特許文献2でも、画素電極の形状を、六角形とした例が開示されている。
【0006】
ただし、画素または副画素の形状を変えても、副画素毎に1本の信号配線が必要な点は変わらなかった。信号配線の総本数が多い場合、これを駆動する信号配線用駆動回路は高価なので、表示装置のコストが高くなる。
【0007】
そこで、特許文献3では、1本の信号配線で2つの副画素を駆動することで、信号配線数を半分にする構成が開示されている。また、特許文献4では、1本の信号配線で、複数の副画素を時分割で駆動することで、信号配線数を減らす駆動方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−230303号公報
【特許文献2】特開平6−308537号公報
【特許文献3】特開平10−142578号公報
【特許文献4】特開平10−228263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2では画素または副画素の形状を変えて開口率を向上しても、副画素毎に1本の信号配線が必要な点は変わらなかった。信号配線の総本数は変わらないので、信号配線用駆動回路の低コスト化はできなかった。また、特許文献3、4では、信号配線の総本数を少なくでき、信号配線用駆動回路の低コスト化は可能であったが、開口率を向上する観点において、最適な画素構成の検討は充分になされていなかった。
【0010】
この発明は、上記の様な問題点を解決するためになされたものであり、表示領域を構成する画素の総数は同一でも、従来よりも開口率が向上でき、信号配線の総本数を少なくすることで、信号配線用駆動回路の低コスト化が可能な表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、画素はカラー表示を行うN(Nは3以上の整数)原色に対応したN個の副画素から構成され、副画素は、走査配線と、これに交差する信号配線と、走査配線によって制御されるスイッチング素子と、信号配線とスイッチング素子を介して接続される画素電極とを有し、画素構成において、走査配線は、N個の副画素に対応したN本が、副画素間に群をなして並列に配置され、信号配線は、N個の副画素に対応した共通の1本が、副画素間に配置され、N個の副画素のスイッチング素子に接続されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示装置の信号配線の総本数を少なくすることができ、画素の開口率の向上と、信号配線用駆動回路の数または出力数を少なくすることができるので、表示装置の高開口率化と、信号配線用駆動回路の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る表示装置の表示領域の画素構成を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る表示装置の信号配線がn番目の画素構成を示す等価回路図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る表示装置の信号配線がn+1番目の画素構成を示す等価回路図である。
【図5】図2の領域Tの画素構成を拡大して示す平面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る表示装置の画素構成を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る表示装置の画素構成を模式的に示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る表示装置の画素構成を模式的に示す平面図である。
【図10】図9の領域Tの画素構成を拡大して示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る表示装置の画素構成を模式的に示す平面図である。
【図12】図11の領域Tの画素構成を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の表示装置についての実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施の形態を説明するための各図において、同一符号は、同一または相当部分を示しているので、原則として重複する説明は省略する。
【0015】
実施の形態1.
はじめに、表示装置の構成を簡単に説明する。図1は、実施の形態1に係る表示装置の構成を模式的に示す平面図である。
【0016】
実施の形態1の表示装置は、最も代表的な液晶表示装置100である。液晶表示装置100を構成する2枚の基板の内、片方の基板は、表示領域50の画素を構成する走査配線、信号配線、スイッチング素子、画素電極等が形成されたアレイ基板10である。もう一方の基板は、アレイ基板10の表示領域50上に液晶を介して対向配置され、カラーフィルタや遮光膜等が形成されたカラーフィルタ基板20である。
【0017】
アレイ基板10は、ガラス、プラスチック等の透明基板1上に、複数の画素30がマトリクス状に配置された表示領域50と、表示領域50の周辺の額縁領域55に分けられる。額縁領域55には、COG(Chip On Glass)技術により、走査配線用駆動回路60と、信号配線用駆動回路70が実装されている。また、透明基板1の端部には、走査配線用駆動回路60、および信号配線用駆動回路70に基準電圧、クロック、画像データ等を供給する外部回路と接続するための複数の端子(図示せず)に、フレキシブル基板80、85が接続されている。
【0018】
なお、図1では、表示領域50から、走査配線用駆動回路60の出力部へ延びる走査配線の引き出し配線、信号配線用駆動回路70の出力部へ延びる信号配線の引き出し配線や、走査配線用駆動回路60、および信号配線用駆動回路70の入力部とフレキシブル基板80、85と接続される複数の端子とを接続する入力配線が多数本あるが、図の簡素化のために図示していない。
【0019】
小型パネルでは、配線の総本数が比較的少ないので、走査配線用駆動回路60と信号配線用駆動回路70を一体化した駆動回路が使用されることが多い。また、フレキシブル基板80、85も、まとめて1個にすることが多い。
【0020】
図2は、表示領域の画素構成を模式的に示す平面図である。実施の形態1では、RGB(赤、緑、青)の3原色からなる画素30は、3個の副画素35(35r、35g、35b)から構成される。また、副画素35(35r、35g、35b)の形状は六角形としている。
【0021】
また、画素30の配置は、ストライプ配置でなく、デルタ配置である。すなわち、画素30を構成する3つの副画素35(35r、35g、35b)の略中心位置を結ぶ形状Sが、直線でなく三角形をしている。
【0022】
図2では、走査配線2と信号配線3が交差する領域Tには、各副画素35(35r、35g、35b)が隣接し、それぞれにTFTが設けられている。
【0023】
3つの副画素35(35r、35g、35b)は、1本の信号配線3に接続されて共用されており、従来の構成のように、3つの副画素35毎に3本の信号配線3が設けられていない点が特徴である。
【0024】
そのかわり、3本の走査配線2(2r、2g、2b)が設けられ、3つの副画素35(35r、35g、35b)のTFTを独立して制御できるようになっている。そして、3本の走査線2(2r、2g、2b)が、群(束)になって並行して配置されている。ここでは、3本の走査配線2の群の位置は、画素領域50の上端にあるものを1番として、m番目のものを2(m)で示している。例えば、m番目の走査配線2(m)は、3本の走査線2r(m)、2g(m)、2b(m)の群で構成される。よって、走査配線2の総本数は、3原色の場合は、従来の3個の副画素35(35r、35g、35b)の各スイッチング素子を共用の1本の走査配線2で同時に駆動する構成と比較して3倍の総本数になる。
【0025】
一方、信号配線3は、画素領域50の左端にあるものを1番として、n番目のものを3(n)で示している。図2では、1本の信号配線3は、3個の副画素35(35r、35g、35b)で共用されており、従来の構成のように、各副画素35(35r、35g、35b)毎に独立した3本の信号配線3は設けられていない。この構成により、信号配線3の総本数は、3原色の場合は、従来の構成と比較して1/3の本数になる。
【0026】
図2では、表示領域50における画素30の位置(座標)は、これに属する走査配線2の配線番号mと、信号配線3の配線番号nを用いて、30(m,n)で示している。また、これを構成するR、G、Bの副画素35(35r、35g、35b)の位置は、それぞれ35r(m,n)、35g(m,n)、35b(m,n)で示している。
【0027】
図3、4は、実施の形態1の画素の構成を示す等価回路である。図3は、画素30(m,n)で示される位置で、走査配線2がm番目で、信号配線3がn番目のものである。画素30(m,n)は、3つの副画素35r(m,n)、35g(m,n)、35b(m,n)で構成される。図4は、画素30(m,n+1)で示される位置で、走査配線2がm番目で、信号配線3が隣のn+1番目のものである。画素30(m,n+1)は、3つの副画素35r(m,n+1)、35g(m,n+1)、35b(m,n+1)で構成される。表示領域50における画素30はデルタ配置である。図3、4から判るように、信号配線3が偶数、奇数番によって、画素30の形状は、交互に上下対称に配置されているが、等価回路としては同一である。
【0028】
高開口率化については、実施の形態1では、従来の構成と比較すると、走査配線2の総本数は3倍に増加するが、信号配線3の総本数は1/3になる。従来の構成の走査配線2と信号配線3の各総本数は、表示領域50の形状(縦横比)にも依存するので、実施の形態1と、従来の構成のどちらが、配線の総本数が少なくなるかは表示装置100によって異なる。
【0029】
しかし、一般的に、モニタやテレビのような、表示領域50が横長の形状であれば、横方向が走査配線2で、縦方向が信号配線3である場合が多い。しかも、3原色であれば、さらに横方向に副画素35(35r、35g、35b)が並ぶのが通常なので、さらに信号配線3は、横方向の画素30の数の3倍の総本数になる。
【0030】
以上より、従来の構成では、信号配線3の総本数の方が、走査配線3の総本数よりも多い(3倍以上)場合が一般的である。したがって、実施の形態1の方が、従来の構成よりも配線の総本数が少なくでき、高開口率化に有利である。
【0031】
また、低コスト化については、走査配線用駆動回路60は、単純なシフトレジスタ構成で、順次、走査配線2にTFTをON、OFFする電圧を供給する程度でよく、低コストである。
【0032】
信号配線用駆動回路70は、デジタルの画像データをアナログの信号電圧に変換するデジタル/アナログ(D/A)変換回路や、画像データ(信号電圧)を一走査配線2毎に一斉に出力するためにの信号配線3の総本数分を保持する保持回路を有するので、走査配線用駆動回路60よりも回路が複雑で高コストである。したがって、走査配線2の総本数は増加しても、信号配線3の総本数を少なくした方が、信号配線用駆動回路70の個数、または信号配線用駆動回路70の出力数を減らした方が低コスト化に有利である。
【0033】
また、図2では、走査配線2と信号配線3が交差する領域Tには、各副画素35(35r、35g、35b)が隣接し、それぞれにTFTが設けられている。この領域Tの詳細について説明する。
【0034】
図5は、図2の領域Tの画素構成を拡大して示す平面図である。走査配線2上には、図示していないが、全面に、SiNx,SiOx等の絶縁膜からなるゲート絶縁膜が設けられている。そして、走査配線2(2r、2g、2b)の領域Tのゲート絶縁膜上に、TFTを構成する半導体膜4(4r、4g、4b)が設けられている。各副画素35(35r、35g、35b)の半導体膜4(4r、4g、4b)は、略同一の大きさである。各画素電極7(7r、7g、7b)に接続されるドレイン電極5(5r、5g、5b)は、走査配線2(2r、2g、2b)との寄生容量が略同一になるように構成されている。ここでは、各ドレイン電極5(5r、5g、5b)は、3本の走査配線2(2r、2g、2b)と重なる構成になっている。例えば、ドレイン電極5bは、走査配線2gと重ならなくても、副画素35bは動作するが、寄生容量を略同一にするために、領域Cまで延在して走査配線2gと重ねている。
【0035】
ドレイン電極5とゲート配線2との寄生容量を略同一にすることによって、TFTがONからOFFに変化した時に、寄生容量の影響による電荷の再分配による画素電極7(7r、7g、7b)の電位変化量(フィードスルー)を略同一にすることができる。本構成によって、TFTがOFF時においても、各副画素35(35r、35g、35b)は、同一画像データは略同一電位となり、すなわち略同一階調表示とすることができる。
【0036】
また、走査配線2(2r、2g、2b)も、信号配線3やドレイン電極5(5r、5g、5b)との交差による重なり部分の面積が略同一構成をとりやすくなり、走査配線2(2r、2g、2b)の寄生容量も略同一にしやすいので、TFTのON、OFF信号遅延量も略同一にすることが容易になる。
【0037】
または、各ドレイン電極5(5r、5g、5b)と走査配線2(2r、2g、2b)との重なり部分の面積が略同一構成であれば、寄生容量は略同一になる。例えば、ドレイン電極5bは、領域Cまで延在して走査配線2gと重ねなくても、ドレイン電極5bの幅を広くして、2本の走査配線2r、2bとの寄生容量を略同一としてもよい。
【0038】
次に、実施の形態1の動作、作用について詳述する。上述のように、実施の形態1では、各画素30の3個の副画素35に対して、1本の信号配線3が共用して使用されている。そのかわり、1本の信号配線3で、3個の副画素35に画像信号を与えるために、1画素30に3本の走査配線2(2r、2g、2b)が必要であり、従来の構成の一走査配線2の選択時間内に、3個のTFTをON、OFFするようになっている。すなわち、従来の構成の約3倍速で走査配線用駆動回路60を駆動する必要がある。同時に、信号配線用駆動回路70も、信号配線3に約3倍速で画像データを供給する必要がある。このため、各副画素35(35r、35g、35b)のTFTの選択時間(ON時間)が、従来の構成の約1/3になるため、TFTは従来の構成の約1/3の選択時間内に画素電極7(7r、7g、7b)を所定の電位にする必要がある。
【0039】
例えば、書き換え周波数(フレーム周波数)が60Hzでは、16.7msを走査配線2の総本数で割った時間が、TFTの選択時間に略同一になる。小・中型パネル等のように、走査配線2の総本数が千本以下で少ない場合は、3倍速でも選択時間に比較的余裕があるので余り問題はない。しかし、大型パネル等で、走査配線2の総本数が、約千本以上と多くなる場合は、TFTの駆動能力が高いことが要求される。このために、半導体膜4にTFTの駆動能力が大きいポリシリコンの使用や、TFTのサイズを大きくして駆動能力を大きくすることが必要になる。信号配線用駆動回路70も、3倍速で駆動する必要があるが、単結晶シリコン、またはポリシリコンで形成された走査配線用駆動回路60、信号配線用駆動回路70であれば、アモルファスシリコンTFTに比較して、10倍から1000倍の駆動能力があるので、殆ど問題はない。
【0040】
高開口率化については、配線の総本数が少なくなっているので、カラーフィルタ基板20に形成される走査配線2や信号配線3の両側の隙間からの光漏れに対し、これを防止する遮光膜(ブラックマトリクス)の総面積も大幅に小さくすることができる。
【0041】
さらに、実施の形態1の特徴として、同じ総本数でも走査配線2を群になって並行して配置することで、カラーフィルタ基板20に形成される走査配線2の隙間からの光漏れに対し、これを防止する走査配線用遮光膜の面積をさらに小さくできる効果がある。
【0042】
この作用、効果を、図6の図5のA−A断面図を用いて説明する。図6において、アレイ基板10には、透明基板1上に走査配線2(2r、2g、2b)と画素電極7(7r、7b)が形成されている。カラーフィルタ基板20には、透明基板21上に、走査配線2(2r、2g、2b)の群の位置に対向して、走査配線用遮光膜22が形成されている。なお、説明の簡略化のため、カラーフィルタや対向電極等は図示していない。アレイ基板10とカラーフィルタ基板20の隙間には液晶90が封入されている。
【0043】
ここで、走査配線2(2r、2g、2b)の幅は同一幅Gとして、バックライト光Lに対して、斜め視野角方向の光漏れ防止と、アレイ基板10と、カラーフィルタ基板20との貼り合わせ誤差を考慮して、走査配線2の幅Gから走査配線用遮光膜22を広げた片側幅Wとする。片側幅Wは、走査配線2の両側で略同一幅を必要とし、線対称とする。走査配線用遮光膜22の両端は、画素電極7r、7bに重なる位置まで広げる場合が一般的である。
【0044】
ここで、走査配線2(2r、2g、2b)を分離して配置する場合を考える。例えば、走査配線2gを分離して配置した場合、これに対応した走査配線用遮光膜22の幅X1は、X1=G+2・Wとなる。したがって、3本の走査配線2(2r、2g、2b)の合計では、単純に、これを3倍した幅3・X1が必要であり、3・X1=3・(G+2・W)となる。
【0045】
これに対して、走査配線2(2r、2g、2b)を群になって並行して配置する場合は、走査配線用遮光膜22の幅X2を、分離して配置する場合の合計幅3・X1より小さくすることができる。これについて、以下に説明する。
【0046】
図6において、走査配線2(2r、2g、2b)の間の隙間をSとした場合、実施の形態1における走査配線用遮光膜22の幅X2は、X2=3・G+2・(S+W)となる。分離した走査配線用遮光膜22の幅3・X1との差である3・X1−X2は、3・X1−X2=4・W−2・Sとなる。すなわち、この値が正であれば、走査配線2(2r、2g、2b)を群として配置した方が、走査配線用遮光膜22の幅を小さくできることになる。この条件3・X1≧X2となるのは、上式を書き直すと、2・W≧Sの場合である。
【0047】
パターンの隙間Sは露光装置の解像度やエッチング精度に依存するが、一般に、2.5〜3.5μmである。これに対して、斜め視野角方向の光漏れ防止と、アレイ基板10と、カラーフィルタ基板20との貼り合わせ誤差を考慮した、走査配線用遮光膜22を広げた片側幅Wは、一般に5〜6μmである。したがって、2・W≧Sの関係を充分に満たしているので、走査配線2(2r、2g、2b)を群になって並行して配置する実施の形態1の構成の方が、走査配線2(2r、2g、2b)を分離して配置するよりも開口率がさらに高くできる。
【0048】
簡単に言えば、走査配線2(2r、2g、2b)の1つの群において、両端にない中央の走査配線2bの斜め視野角方向の遮光については、両側の走査配線2r、2gに対応した走査配線用遮光膜22の内側の部分が、走査配線2r、2gの斜め視野角方向の遮光機能だけでなく、走査配線2bの斜め視野角方向の遮光機能も有するからである。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態2は、副画素35が保持容量Csを有する場合である。図7に示すように、隣接する副画素35間の境界領域で、走査配線2が配置されない領域近傍に、走査配線2の配置される横方向に、保持容量Csを形成する共通配線(Cs配線)8を配置したものである。共通配線8は、走査配線2と同一層で同時形成する。
【0050】
保持容量Csは、共通配線8と画素電極7が重なった領域で構成される。ここでは、共通配線8と画素電極7の間には、ゲート絶縁膜と保護膜の絶縁膜が存在する。実施の形態2では、走査配線2が配置されない副画素35の境界領域に共通配線8を配置しているので、不透明な金属膜からなる共通配線8は、隣接する画素電極7間の隙間、または画素電極7と信号配線3との隙間からの光漏れを防止する遮光膜の機能も有する。よって、カラーフィルタ基板20において、共通配線8に対応する位置には、遮光膜を形成する必要が必ずしもない利点がある。また、遮光膜を兼ねる共通配線8の幅は、アレイ基板10上に形成するので、アレイ基板10と、カラーフィルタ基板20との貼り合わせ誤差を考慮する必要がなく、カラーフィルタ基板20に遮光膜を形成する場合よりも面積を小さくできるため、開口率の向上を図ることができる。
【0051】
なお、図7に示すように、信号配線3の下層全体に、共通配線8がゲート絶縁膜を介して配置されている領域がある。このため、共通配線8と信号配線3の短絡を防止するために、共通配線8は信号配線3の重なり面積を小さくしても良い。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態3では、図8に示すように、実施の形態2の構成に加えて、左右に隣接する副画素35の間の境界領域において、信号配線2の配置される縦方向の領域にも、保持容量Csを形成するように、共通配線8を縦方向にも延在させて配置したものである。略同一の大きさの保持容量Csであれば、共通配線8と画素電極7の重なり幅は小さくできるので開口率が、実施の形態2よりも向上する。また、カラーフィルタ基板20に形成する遮光膜は、信号配線3に対してはなくすことができ、走査配線2の群に対応した位置のみ形成する構成にすることもできる。
【0053】
以上のように、共通配線8で、遮光膜の多くの面積をアレイ基板10上に形成することができるので、実施の形態1、2よりも、さらに開口率の向上が図れる。
【0054】
実施の形態4.
実施の形態4では、図9に示すように、副画素35(35r、35g、35b)の形状を、六角形から一般的な四角形にして、デルタ配置にしたものである。ただし、通常のデルタ配置と異なるのは、実施の形態1〜3と同様に、3本の走査配線2(2r、2g、2b)が群になって並行して配置されることと、3つの副画素35(35r、35g、35b)で、1本の信号配線3が共用されている点である。
【0055】
実施の形態4においても、実施の形態1〜3と同様に、画素30の中心付近の、3本の走査配線2(2r、2g、2b)と信号配線3が交差する領域T近傍に、TFTが配置されている。
【0056】
図10は、図9の領域Tの画素構成を拡大して示す平面図である。副画素35(35r、35g、35b)の形状は四角形で、実施の形態1〜3と異なるが、図5と同様に、ドレイン電極5(5r、5g、5b)は、3本の走査配線2(2r、2g、2b)の全てと重なるように構成され、それぞれの寄生容量が略同一になるように構成されている。画素電極7(7r、7g、7b)はコンタクトホール6(6r、6g、6b)を介して、ドレイン電極5(5r、5g、5b)に接続されている。実施の形態4は、実施の形態1と比較して、副画素35(35r、35g、35b)の形状が異なる以外は、基本構成は同等である。
【0057】
実施の形態5.
実施の形態5では、図11に示すように、画素30を6原色からなる6個の副画素35(35r、35g、35b、35y、35m、35c)の構成としたものである。例えば、この6原色は、RGBにYMC(イエロー、マゼンタ、シアン)の3色を加えたものである。
【0058】
画素30は六角形であり、副画素35は三角形をしている。また、画素30の中央領域には、横方向に6本の走査配線2が群になって並行して配置されている。そして、信号配線3との交差部近傍に、TFTが配置される領域Tがある。1本の信号配線3は6個の画素35で共用され、ジグザグ形状に配置されている。
【0059】
図12は、図11の領域Tの画素構成を拡大して示す平面図である。6本の走査配線2(2r、2g、2b、2y、2m、2c)は、群になって並行して配置されている。走査配線2(2r、2g、2b、2y、2m、2c)上には、TFTの半導体膜4(4r、4g、4b、4y、4m、4c)が配置されている。各副画素35(35r、35g、35b、35y、35m、35c)の画素電極7(7r、7g、7b、7y、7m、7c)は、コンタクトホール6(6r、6g、6b、6y、6m、6c)を介してドレイン電極5(5r、5g、5b、5y、5m、5c)に接続されている。
【0060】
ここでは、各ドレイン電極5(5r、5g、5b、5y、5m、5c)は、3本の走査配線2に重なるように配置されている。すなわち、ドレイン電極5r、5g、5bは、それぞれ、3本の走査配線2r、2g、2bと重なり、ドレイン電極5y、5m、5cは、それぞれ、3本の走査配線2y、2m、2cと重なっている。6本の走査配線2に重ねる構成も可能であるが、寄生容量が増加するので、ここでは3本と重ねる構成としている。そして、走査配線2の方向の群の中央線に対して、上下対象な構成にしており、各ドレイン電極5の走査配線2との寄生容量は略同一にしている。
【0061】
ここで、各ドレイン電極5と走査配線2との重なり本数は、それぞれ、3本としたが、寄生容量が略同一になる構成であれば、4〜6本とすることもできる。
【0062】
実施の形態5では、画素30が6個の副画素35で構成され、6本の走査配線2と1本の信号配線3の構成である。従来の構成に比較して、駆動は6倍速となるが、信号配線2の総本数は1/6にできるので、高価な信号配線用駆動回路70の個数、または出力数を大幅に削減でき、低コスト化できる。
【0063】
以上の実施の形態では、副画素35の形状が、三角、四角、六角形の多角形の場合を示したが、円、楕円等の任意の形状にすることもできる。
【0064】
また、以上の実施の形態では、TFTは、チャネルエッチ逆スタガ型の場合を示したが、エッチストッパ逆スタガ型、トップゲート型等とすることもできる。
【0065】
また、以上の実施の形態では、駆動回路がCOG実装の場合を示したが、TAB(Tape Automated Bonding)実装や、画素のTFT形成と同時にアレイ基板上に駆動回路をポリシリコン等のTFTで形成した表示装置にも適用できる。
【0066】
また、以上の実施の形態では、表示装置として、表示媒体に液晶を使用した液晶表示装置の場合を示したが、エレクトロルミネセンスを使用した表示装置や、微粒子や油滴等を使用した一般に電子ペーパーと呼ばれる表示装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 透明基板
2、2r、2g、2b、2y、2m、2c 走査配線
3 信号配線
4、4r、4g、4b、4y、4m、4c 半導体膜
5、5r、5g、5b、5y、5m、5c ドレイン電極
6、6r、6g、6b、6y、6m、6c コンタクトホール
7、7r、7g、7b、7y、7m、7c 画素電極
10 アレイ基板
20 カラーフィルタ基板
22 走査配線用遮光膜
30、30r、30g、30b 画素
35、35r、35g、35b、35y、35m、35c 副画素
50 表示領域
55 額縁領域
60 走査配線用駆動回路
70 信号配線用駆動回路
80、85 フレキシブル基板
90 液晶
100 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、
前記画素は、カラー表示を行うN(3以上の整数)原色に対応したN個の副画素から構成され、
前記副画素は、走査配線と、前記走査配線に交差する信号配線と、
前記走査配線によって制御されるスイッチング素子と、
前記信号配線と前記スイッチング素子を介して接続される画素電極とを有し、
前記画素の構成において、
前記走査配線は、N個の前記副画素に対応したN本が、前記副画素間に群をなして並列に配置され、
前記信号配線は、N個の前記副画素に対応した共通の1本が、前記副画素間に配置され、
N個の前記副画素の前記スイッチング素子に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
各副画素において、スイッチング素子の画素電極側のドレイン電極と、走査配線との寄生容量が、前記副画素間で略同一となるように、前記ドレイン電極と前記走査配線との重なり面積が略同一に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
各副画素において、スイッチング素子の画素電極側のドレイン電極が、それぞれ、同一本数の走査配線と重なるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
各副画素の保持容量を構成する共通配線が、前記副画素間の領域に配置され、隣接する画素電極の端部と、それぞれ、絶縁膜を介して重なるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−81128(P2011−81128A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232387(P2009−232387)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】