説明

表面処理装置および表面処理方法

【課題】処理むらを防止して、良好な被膜を安定的に形成できるようにした表面処理装置および表面処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の表面処理装置1は、被処理基板Wを配置する成膜室3と、成膜室3内を減圧するポンプ5と、シランカップリング剤Y1を気化させる処理剤気化装置21と、処理剤気化装置21に対してキャリアガスを供給するガス供給装置22と、成膜室3内の気体を循環させる第1循環系40と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理装置および表面処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、表示画像を形成するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。しかし、このようなラビング法は簡便であるものの、物理的にポリイミド膜をこすることでポリイミド膜に対して配向特性を付与するために、種々の不都合が指摘されている。具体的には、(1)配向性の均一さを確保することが困難であること、(2)ラビング処理時の筋跡が残り易いこと、(3)配向方向の制御およびプレチルト角の選択的な制御が可能ではなく、また広視野角を得るために用いられるマルチドメインを使用した液晶パネルには適さないこと、(4)ガラス基板からの静電気による薄膜トランジスタ素子の破壊や、配向膜の破壊が生じ、歩留まりを低下させること、(5)ラビング布からのダスト発生による表示不良が発生しがちであること、などである。
【0004】
また、このような有機物からなる配向膜では、液晶プロジェクタのような高出力光源を備えた機器に用いた場合、光エネルギーにより有機物がダメージを受けて配向不良を生じてしまう。特に、プロジェクタの小型化および高輝度化を図った場合には、液晶パネルに入射する単位面積あたりのエネルギーが増加し、入射光の吸収によりポリイミドそのものが分解し、また、光を吸収したことによる発熱でさらにその分解が加速される。その結果、配向膜に多大なダメージが付加され、機器の表示特性が低下してしまう。
【0005】
そこで、このような不都合を解消するため、無機材料からなる配向膜の適用が進められている。無機配向膜の形成には、蒸着法、スパッタ法等があるが、蒸着法では大型基板に低欠陥密度の膜を形成することが困難であり、スパッタ法での無機配向膜の形成が強く求められている。
このスパッタ法によって得られた無機配向膜(SiO2)に対して、脂肪族アルコールやシランカップリング剤で表面処理する方法が開示されている(例えば、特許文献1,2)。
【特許文献1】特開2004−47211号公報
【特許文献2】特開2007−127757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、シランカップリング剤を用いる表面処理には、上記した液相処理のほかにも、気相状態のシランカップリング剤を基板に供給する気相処理が知られている。この場合には、大気圧下で処理を行うと材料の拡散性があまり良くないために処理に時間がかかってしまう。
【0007】
さらに、無機配向膜上の付着水や汚染物質などの影響によって処理むらが生じてしまい、均一な表面処理を行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、処理むらを防止し、良好な被膜を効率よく得ることのできる表面処理装置および表面処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表面処理装置は、上記課題を解決するために、被処理基板を配置する成膜室と、前記成膜室内を減圧する減圧装置と、処理剤を気化させる処理剤気化装置と、前記処理剤気化装置に対してキャリアガスを供給するガス供給装置と、前記成膜室内の気体を循環させる循環系と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、被処理基板を配置する成膜室と、成膜室内を減圧する減圧装置と、処理剤を気化させる処理剤気化装置と、処理剤気化装置に対してキャリアガスを供給するガス供給装置と、成膜室内の気体を循環させる循環系と、を有することから、表面処理中、成膜室内の雰囲気を均一に保つことができる。これにより、基板上の処理むらをなくすことが可能となり、より均一な表面処理を行うことができる。したがって、基板上に良好な被膜を効率よく得ることができる。
【0011】
また、前記処理剤気化装置を経由して前記気体を循環させる第2の循環系をさらに備えていることが好ましい。
本発明によれば、処理剤気化装置を経由して気体を循環させる第2の循環系をさらに備えていることから、表面処理中、成膜室内の処理剤の量(濃度)を一定にすることができる。例えば、成膜室内の処理剤を飽和状態に維持することによって、成膜レートが向上し、短時間で表面処理を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記循環系にファンが設けられていることが好ましい。
本発明によれば、循環系にファンが設けられていることから、気体の循環効率が向上し、成膜室内の雰囲気を効率よく均一にできるとともに処理剤の反応促進が見込める。
【0013】
また、前記成膜室に水分を供給する水分供給装置を有することが好ましい。
本発明によれば、成膜室に水分を供給する水分供給装置を有することから、基板上の水分を飽和状態(あるいはそれに近い状態)にすることができる。これにより、基板上の水分量を、表面処理において好適な水分量に調整しやすくなる。
【0014】
また、前記被処理基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部を前記成膜室に対して進退させる搬送装置と、を有することが好ましい。
本発明によれば、被処理基板を保持する基板保持部と、基板保持部を成膜室に対して進退させる搬送装置と、を有することから、成膜室に対して基板を搬入および搬出する作業が容易になるとともに、これらの動作を迅速に行うことが可能になる。
【0015】
また、前記基板保持部が、複数の前記被処理基板を保持可能な構成とされていることが好ましい。
本発明によれば、基板保持部が、複数の被処理基板を保持可能な構成とされていることから、一度に多くの基板に対して表面処理を施すことが可能となり処理量が向上する。
【0016】
また、前記処理剤気化装置が、前記処理剤を保持する処理剤保持部と、前記処理剤保持部に液体の処理剤を定量的に供給する処理剤供給部と、前記液体の処理剤を加熱する加熱部と、を有することが好ましい。
本発明によれば、処理剤気化装置が、処理剤を保持する処理剤保持部と、処理剤保持部に液体の処理剤を定量的に供給する供給部と、液体の処理剤を加熱する加熱部と、を有することから、必要量の処理剤を連続して供給することができる。
【0017】
本発明の表面処理方法は、大気圧よりも低い圧力下で処理剤を気化させ、前記処理剤の雰囲気に被処理基板を晒すことで前記被処理基板上に前記処理剤の被膜を形成する表面処理工程を有し、前記表面処理工程では、前記被処理基板が配置された成膜室内の気体を循環させることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、大気圧よりも低い圧力下で処理剤を気化させ、処理剤の雰囲気に被処理基板を晒すことで被処理基板上に処理剤の被膜を形成する表面処理工程を有し、表面処理工程では、被処理基板が配置された成膜室内の気体を循環させることから、表面処理中、成膜室内の雰囲気を均一にすることができる。これにより、基板に対して表面処理が均一に施され、処理むらが生じるのを防止できる。
【0019】
また、前記表面処理工程では、前記気化した処理剤を排気しながら供給することが好ましい。
本発明によれば、表面処理工程では、気化した処理剤を排気しながら供給することから、成膜室内の処理剤の量(濃度)を一定に保つことができる。例えば、成膜室内の処理剤を飽和状態にすることによって、処理剤の反応が促進されて成膜効率が向上し、処理時間を短縮することが可能である。
【0020】
また、前記表面処理工程よりも前に、前記被処理基板の表面の水分を除去する水分除去工程と、前記被処理基板の表面に水分を供給する水分供給工程とを順に実行することが好ましい。
本発明によれば、表面処理工程よりも前に、被処理基板の表面の水分を除去する水分除去工程と、被処理基板の表面に水分を供給する水分供給工程とを順に実行することから、基板上の水分量を、表面処理に好適な水分量に調整することができる。
【0021】
また、前記水分供給工程において、前記被処理基板の表面を水分飽和状態とすることが好ましい。
本発明によれば、水分供給工程において、被処理基板の表面を水分飽和状態とすることから、基板上の水分量を、表面処理工程において必要となる水分量に調整することが容易になる。
【0022】
また、前記水分供給工程の後に、前記被処理基板の表面の水分を部分的に除去する水分調整工程を有することが好ましい。
本発明によれば、水分供給工程の後に、被処理基板の表面の水分を部分的に除去する水分調整工程を有することから、飽和状態の水分を表面処理に好適な水分量に調整できる。
【0023】
また、前記処理剤が、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。
【0024】
【化1】

【0025】
本発明によれば、式(1)で表されるシランカップリング剤を用いることから、被処理基板上に極めて薄い被膜を略均一に形成することができ、被処理基板の表面の物理的性質および化学的性質を改質することができる。また、シランカップリング剤が成膜されることによって被処理基板の表面が撥水面となり、被処理基板の耐水性を向上させることが可能である。
【0026】
また、前記被処理基板上に無機膜を有し、当該無機膜の表面に前記被膜を形成することで前記被処理基板上に配向膜を形成することが好ましい。
本発明によれば、被処理基板上に無機膜を有し、当該無機膜の表面にシランカップリング剤の被膜を形成することで被処理基板上に配向膜を形成することから、耐水性に優れた被処理基板が得られ、液晶表示装置への応用に好適なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0028】
[表面処理装置]
図1は、本実施形態の表面処理装置の概略構成を示す模式図、図2は、表面処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、表面処理装置1は、無機膜10を有する基板W(被処理基板)に対してシランカップリング剤Y1の蒸気を導入して表面処理を行うことにより、基板W上に無機配向膜を形成する装置であって、処理剤供給装置2と、成膜室3と、ポンプ5(減圧装置)と、バルブ8と、水分供給装置9と、搬送装置11と、基板保持部12と、第1循環系40と、第2循環系50とを備えている。
【0029】
基板Wは、石英、ガラス、サファイア等からなり、表面に透明電極、配線、層間絶縁膜など(いずれも図示略)を有し、最表層にスパッタ法や蒸着法などによって成膜された無機膜10が設けられている。無機膜10は、SiO2などの酸化膜から構成されたものである。
【0030】
処理剤供給装置2は、処理剤としてのシランカップリング剤Y1を気化させ、気化したシランカップリング剤Y2を成膜室3へと供給するためのものである。この処理剤供給装置2は、処理剤気化装置21と、ガス供給装置22とを備えている。
【0031】
処理剤気化装置21は、気化室210内に、シランカップリング剤Y1を保持する処理剤保持部211と、処理剤保持部211にシランカップリング剤Y1を定量的に供給する処理剤供給部212と、処理剤保持部211に供給されたシランカップリング剤Y1を加熱する加熱部213などを備えている。そして、これら処理剤保持部211と加熱部213が、図2に示す制御装置7によって制御されることによって、気化室210の内部雰囲気が制御される。
【0032】
用いるシランカップリング剤Y1としては、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤を用いることができる。
【0033】
【化2】

【0034】
ORはアルコキシ基であり、Rはメチル基(CH)、エチル基(C)等のアルキル基である。このRは反応後には脱離し、A−Si結合部とSi−O−Siという結合だけが残ることになる。
このRとしては非常に選択の幅が広く、シランカップリング剤として例えば、オクタデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−トリフルオロメチルフェニルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを好適に用いることができる。また、オクチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びトリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等も用いることもできる。
【0035】
ガス供給装置22は、気化室210内にキャリアガスを供給するためのもので、配管6Aを介して処理剤気化装置21(気化室210)と接続されている。キャリアガスとしては、使用されるシランカップリング剤Y1の種類に応じて選択され、例えば窒素ガス(N2)やアルゴンガス(Ar)を用いることができる。このガス供給装置22は、キャリアガスの供給量を制御することが可能である。
【0036】
成膜室3は、内部に無機膜10を有した基板Wを収容可能な容器であって、例えばステンレスなどの金属からなる。成膜室3は密閉可能に構成されており、配管6C,6Eを介して接続されるポンプ5によって内部を減圧可能になっている。
【0037】
具体的に本実施形態の成膜室3は、本体部31と、該本体部31に対して着脱可能な蓋部32とを有しており、蓋部32が成膜室3の底部を構成するようになっている。この蓋部32が本体部31に装着されることによって密閉空間が形成される。本体部31の下端周縁には、外側に張り出すフランジ部31Aが設けられており、このフランジ部31Aと蓋部32との間にはOリングなどの環状のシール材33が配置されている。シール材33は、本体部31および蓋部32のどちら側に設けられていてもよい。
【0038】
このように、本体部31に対して蓋部32を装着した際、相互間にシール材33を介在させるようにしたことで、成膜室3の内部の密閉状態を確保することが可能になる。そして、密閉空間とされた成膜室3内に、処理剤供給装置2から配管6Bを介して、気化したシランカップリング剤Y2が導入されるようになっている。
【0039】
なお、本実施形態においては、成膜室3内に抵抗加熱ヒータ(不図示)が備えられており、成膜室3の内部の温度(基板Wの温度)を所定温度に維持することが可能となっている。
【0040】
基板保持部12は、成膜室3内に配置され、複数の基板Wを互いに離間させた状態で保持する構成とされている。この基板保持部12は、気化したシランカップリング剤Y2の流れを遮らない構成であることが好ましく、例えば通気性の良いメッシュ状のものでもよい。
【0041】
搬送装置11は、伸縮自在な支持部材113を有しており、端部に基板保持部12を備えている。そして、この支持部材113を成膜室3に対して進退させることで、基板保持部12を成膜室3内に搬入および搬出するものである。さらに、成膜室3から搬出した基板保持部12を成膜室3の下方に配置された収容部13内に収容する。また、支持部材113には上記した成膜室3の蓋部32も連結されており、基板保持部12とともに収容部13内に収容される。
【0042】
支持部材113には、基板保持部12および蓋部32よりも軸方向内側にシリンダ部112が設けられている。このシリンダ部112を設けたことで、本体部31に蓋部32を装着した状態で成膜室3の基板保持部12を上下移動させることができる。
また、蓋部32を本体部31に装着させることにより、成膜室3内の密閉状態が確保される。
【0043】
第1循環系40は、循環経路41およびファン42などを備える。循環経路41は、成膜室3から複数の分岐路41A…、本路41Bを経由して成膜室3に戻る経路である。複数の分岐路41A…は、成膜室3の壁部3bに沿って一列に配置されており、上記した複数の基板Wの配列方向に倣うようにして配置されている。本路41Bは、その分岐路41A…とは反対側の端部が成膜室3の上面3a側に接続されている。
ファン42は、成膜室3内に配置されており、成膜室3内の気体を循環経路41を介して循環させる。
このような第2循環系50により、成膜室3内の気体(シランカップリング剤Y2)が攪拌されて均一な雰囲気にできる。
【0044】
第2循環系50は、循環経路51およびファン52などを備える。循環経路51は、成膜室3から、配管6C、バルブ8、配管6F、気化室210、配管6Bを経由して成膜室3に戻る経路である。ファン52は、循環経路51上にある気化室210内に配置されており、成膜室3内の気体を循環経路51を介して循環させる。
このような第2循環系50により、気化室210と成膜室3との間で気化したシランカップリング剤Y2が循環することになる。
【0045】
ポンプ5は、配管6E上に配置されており、バルブ8および配管6Cを介して成膜室3へと接続されている。このポンプ5は、制御装置7の制御のもとに駆動され、バルブ8の開閉状態に応じて、成膜室3内の空気を排出して成膜室3の内部に減圧雰囲気を形成することが可能である。
【0046】
バルブ8は、図2に示す制御装置7による制御のもと3つの経路を切り替えることが可能な3方バルブであって、配管6C,6E,6Fに接続されている。すなわち、このバルブ8の開閉を制御することによって、成膜室3とポンプ5とを繋ぐ経路、成膜室3と気化室210とを繋ぐ経路、ポンプ5と気化室210とを繋ぐ経路とが切り替えられるようになっている。これにより、成膜室3のみならず、気化室210の内部にも減圧雰囲気を形成することが可能である。
【0047】
水分供給装置9は、蒸発器19とガス供給装置23とから構成され、配管6Dを介して成膜室3に接続されている。この水分供給装置9は、蒸発器19内部に供給された水を加熱することによって水蒸気を生成し、ガス供給装置23から送られてくるキャリアガスとともに上記水蒸気を成膜室3内へと供給する。なお、ガス供給装置23を設けず、ガス供給装置22を処理剤気化装置21と蒸発器19の両方に接続してもよい。
の機能を兼用しても良い。
【0048】
制御装置7は、図2に示すように、処理剤気化装置21(処理剤供給部212、加熱部213)、ガス供給装置22、第1循環系40、第2循環系50、搬送装置11、ポンプ5、バルブ8、ファン42,52、水分供給装置9(蒸発器19、ガス供給装置23)の各々と電気的に接続されており、表面処理装置1の動作を統括的に制御する。
【0049】
具体的に、制御装置7は、処理剤気化装置21およびガス供給装置22を制御することによって、気化室210内の処理雰囲気を制御し、シランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とすることが可能である。このシランカップリング剤Y1の気化に最適な条件とは、制御可能な処理雰囲気の中において、シランカップリング剤Y1が最も短時間で気化する条件である。すなわち、本実施形態においては、制御装置7によって、気化室210の内部の温度や圧力などが、最も短時間でシランカップリング剤Y1が気化する条件に制御される。
【0050】
また、制御装置7は、ポンプ5およびバルブ8を制御することによって、成膜室3内の処理雰囲気を制御し、気化したシランカップリング剤Y2による基板Wの表面処理に最適な条件とすることが可能である。この気化したシランカップリング剤Y2による基板Wの表面処理に最適な条件とは、制御可能な処理雰囲気中において、最も短時間で表面処理が完了する条件である。そして、基板Wの表面に所定の膜厚のシランカップリング剤が成膜されたことで表面処理が完了するものとする。つまり、本実施形態においては、制御装置7によって、成膜室3の内部の温度や圧力などが、基板Wの表面に最も短時間で所定の膜厚のシランカップリング剤が成膜される条件に制御される。
【0051】
さらに、制御装置7は、第1循環系40および第2循環系50をそれぞれ制御する。第1循環系40を制御することによって成膜室3内の雰囲気を一定に保ち、第2循環系50を制御することによって成膜室3内のシランカップリング剤Y2の濃度を一定に保つ。
【0052】
[表面処理方法]
次に、本発明にかかる表面処理装置を用いた表面処理方法の一例について説明する。
図3は、基板に対する表面処理の説明図である。なお、図3においてはシランカップリング剤の反応状態を模式的に示す図である。
「処理条件」
シランカップリング剤:(C10H21Si(OCH3)3)
表面処理温度:130〜200℃
表面処理時間:90〜240分
キャリアガス流量:500cc/min以下(大気圧換算)
成膜室内の圧力:500Pa程度
【0053】
まず、無機膜10を有した基板Wを用意し、該基板Wが配置された成膜室3内を減圧加圧することによって基板Wに対して水分除去処理を行う(水分除去工程)。
図3(a)に示すように、無機膜10の表面には分極した水酸基が多数存在し、シラノール基(Si−OH)を形成している。特にその親水性のシラノール基の存在により、図中の破線で示す領域Rに水(湿気)が存在し易くなっている。この状態で表面処理を行うと、基板W上の水分等(付着水や揮発性の汚染物質)による影響を受けてシランカップリング剤Y2が塊状に過剰反応したり、逆に未反応となる領域が発生してしまう。ここでは、このような表面処理の不都合を回避すべく無機膜10上の水分等をできる限り除去しておくようにする。
【0054】
具体的には、制御装置7によって成膜室3内の処理雰囲気が水分除去処理に好適な条件とされる。制御装置7は、バルブ8およびバルブ18を閉状態にして成膜室3を密閉し、その後、ポンプ5を駆動させることによって成膜室3内を大気圧よりも低い圧力(所定の減圧雰囲気)にする。このとき、成膜室3内にガス供給装置22からキャリアガスの導入および排出を繰り返し、基板Wの表面に付着した水分子などをキャリアガス分子に置換することが有効である。
【0055】
それと同時に、抵抗加熱ヒータ(不図示)によって成膜室3内(基板W)を加熱する。加熱温度としては表面処理温度程度が好ましい。こうした高温および減圧雰囲気下で、基板W上の付着水および揮発性の汚染物質を除去する。本実施形態では、付着水や汚染物質だけでなく、図3(b)に示すように基板W表面のOH基を過剰に除去し、表面処理に対してOH基が不足した状態にする。
【0056】
以下、表面処理が終了するまで、成膜室3内(基板W)の温度を維持する。成膜室3内の温度調整は、制御装置7により成膜室3に設けられた抵抗加熱ヒータ(不図示)を制御することにより可能である。
【0057】
次に、蒸発器19により生成した水蒸気をキャリアガスとともに成膜室3内に導入し、図3(c)に示すように、OH基不足とされた基板Wの表面をOH基で飽和させる(水分供給工程)。このとき、基板Wの表面を水分飽和状態として所定時間保持することが、基板Wの表面のOH基の量を均一にする上で有効である。
なお、水分供給工程において、基板Wの表面を必ずしも水分飽和状態にする必要はないが、水分飽和状態あるいはこれに近い状態にしておくことで、次の工程で基板W上の水分量を表面処理に最適な量に調整しやすくなる。
【0058】
次に、基板W上の水分量を調整する(水分調整工程)。具体的には、水分供給装置9により、キャリアガスもしくは微量の水分を含むキャリアガスを成膜室3内に導入しつつ、並行して、導入したキャリアガスをポンプ5により排気することによって成膜室3内を一定の減圧状態に保持する。その結果、基板W上のOH基が部分的に除去されることになる。このようにして、基板Wの表面におけるOH基の量を、表面処理工程において必要となる量に制御する。
【0059】
次に、処理剤気化装置21の気化室210内に貯留されたシランカップリング剤Y1を気化させる。
まず、バルブ8を開いてポンプ5を駆動させることにより、気化室210内を減圧し大気圧より低い圧力にする。その後、気化室210を密閉状態にして、処理剤供給部212から処理剤保持部211へシランカップリング剤Y1を定量的に供給し、シランカップリング剤Y1を加熱部213により加熱することによって気化させる。シランカップリング剤Y1をこのような減圧雰囲気下において加熱することによって、その気化速度を高めることが可能になる。
【0060】
その後、ガス供給装置22から気化室210へ所定量のキャリアガスを導入する。キャリアガスの流量は、500cc/min以下(大気圧換算)とする。気化したシランカップリング剤Y2は、気化室210に導入されたキャリアガス(N2)とともに成膜室3内へと供給される。
【0061】
次に、成膜室3内に導入されたシランカップリング剤Y2によって基板Wの表面処理を行う(表面処理工程)。
成膜室3内は、シランカップリング剤Y2とキャリアガスの導入によって500Pa程度になる。具体的には、成膜室3に対してキャリアガスの導入および排出を行い、成膜室3内の減圧雰囲気を一定にする。その後、シランカップリング剤供給部212より所定量のシランカップリング剤Y2を導入し、加熱部213で加熱してシランカップリング剤蒸気を発生させ、成膜室3内に加熱したシランカップリング剤蒸気を供給する。なお、シランカップリング剤蒸気の発生に伴い成膜室3内の圧力が多少上昇するので、必要に応じてポンプ5により排気して圧力調整する。ただし本発明の特徴として、密閉容器内で化学反応を進行させるため、必ずしも圧力を一定に保つ必要はない。
【0062】
表面処理時における成膜室3内の圧力は、大気圧よりも低く設定される。具体的には、50〜5000Paの範囲内で設定され、気化したシランカップリング剤Y2の拡散性や再液化を考慮すると、1000Pa以下に設定されることがより好ましい。また減圧雰囲気とすることで、成膜室3内に気化したシランカップリング剤Y2が充満し、基板W全体をシランカップリング剤Y2の雰囲気に晒すことが可能となる。
【0063】
成膜室3内には基板Wが配置されているため、当該基板Wが、気化したシランカップリング剤Y2の雰囲気中に晒されて、図3(d)に示すように、シランカップリング剤Y2の加水分解基とOH基とが反応する。基板Wが配置された気化室210および成膜室3を密閉状態にしたまま所定時間保持することより、気化室210から成膜室3内へ導入されたシランカップリング剤Y2は、未反応もしくは反応途中の状態で排気されることがなくなり使用効率が高められると同時に、反応完結までの時間を短縮することが出来る。
【0064】
本実施形態においては、表面処理中、密閉された成膜室3内の気体(キャリアガスおよびシランカップリング剤Y2)を循環させておく。具体的には、制御装置7によりファン42を駆動させることによって、キャリアガスとともに未反応のシランカップリング剤Y2を気相状態のまま成膜室3から排出させ、循環経路41を介して再び成膜室3内へと導入させることで循環させている。このように、成膜室3内の気体を循環経路41を経て循環させることで成膜室3内の雰囲気を均一に維持する。
【0065】
同時に、成膜室3内にシランカップリング剤Y2を継続して供給すべく、成膜室3内の気体を循環経路51を経て循環させる。すなわち、成膜室3内の気体を気化室210との間で循環させる。ここでは、制御装置7によりファン52を駆動させることによって、成膜室3内の気体を循環経路51内へ流入させるとともに、この気体を気化室210内へと流出させる。気化室210内に導入された気体は、新たに気化されたシランカップリング剤Y2と混合してキャリアガスとともに成膜室3へと導入される。従来法によれば新鮮なキャリアガスを導入しつつ並行して排気もするため、どうしてもかなりの量の未反応シランカップリング剤を排気していたものが、本発明ではキャリヤガスを循環利用するためシランカップリング剤Y2は成膜室3内に保持される。そのため、たとえ反応に時間を要する場合でも、シランカップリング剤Y2を反応完結まで成膜室3内に保持することが出来、結局、処理時間を短縮することが可能となる。
【0066】
こうして基板Wに対し表面処理が施され、その結果、無機膜10上にシランカップリング剤の被膜が形成される。本実施形態では、表面処理工程の前に無機膜10の表面のOH基の量を調整するようにしたので、OH基に起因する不都合を回避した状態で表面処理を行うことが可能である。
【0067】
そして、このような表面処理を、基板W上に所定の厚さの被膜が形成されるまで継続する。処理剤保持部211内のシランカップリング剤Y1が全て蒸発した場合には、処理剤供給部212により随時補充する。
【0068】
表面処理時間は、凡そ90〜240分とされ、成膜室3内の圧力や温度によって適宜設定される。本実施形態では、成膜室3の内部圧力が500Pa程度、処理温度が130〜200℃であることから、これら処理圧力及び処理温度に応じて所望とする膜厚を得るべく処理時間が適宜設定される。ここで、処理圧力が低ければ均一な表面処理が可能となり、処理温度が高ければ短時間で表面処理が完了する。これは、用いるシランカップリング剤の種類等によっても異なってくる。このようにして、基板Wに対する表面処理が完了する。
【0069】
シランカップリング剤を用いる無機膜(SiO2膜)の表面の処理では、SiO2表面のSi−OH基を消費してシランカップリング剤の反応基が結合する。そのため、SiO2表面のSi−OH基の量を制御することが非常に重要となる。また、シランカップリング剤は、SiO2表面を一層被覆させるのみなので、必要量は僅かだが、SiO2表面に付着した上で中間状態を経由して反応するため反応速度が遅く、1時間近く高温保持しないと反応が完結しないという性質を有している。本実施形態における表面処理装置1および表面処理方法は、こうした反応の特徴を反映したものとなっている。
【0070】
上述した本実施形態の表面処理装置1および表面処理方法では、表面処理を行う前に基板W上の水分量を調整するようにした。従来は、無機膜(SiO2)の内部あるいはピンホール内に捕獲された水分が放出されることで、Si−OH基が形成されるのを待っていたので、反応の完結に長時間を要していた。これに対して本実施形態では、反応に寄与するSiO2表面のSi−OH基の量を制御することによって、必要量のシランカップリング剤Y2を効率良く反応させることが可能になるため、処理時間を短縮することができるとともにシランカップリング剤の使用量を削減することができる。
【0071】
また、水分除去工程において基板W上に付着した付着水とともに揮発性の汚染物質が確実に除去される一方、不足するSi−OH基は水分供給工程において補充されるため、シランカップリング剤Y2の反応を速やかに進行させることができる。さらに、付着水や汚染物質などが除去されることでシランカップリング剤Y2が未反応となる部分をなくすことができるので、均一な処理が可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、表面処理を高温および減圧雰囲気下で行うようにした。これにより、シランカップリング剤Y2が無機膜10の表層部の間隙内により良好に入り込み、この間隙内のSi−OH基と反応し易くなる。このため、無機膜10に対するシランカップリング剤Y2の結合反応がより一層加速して、処理時間の短縮が図れる。
【0073】
さらに、本実施形態によれば、第1循環系40により成膜室3内を攪拌するとともに、第2循環系50により成膜室3内のシランカップリング剤Y2の濃度を常に一定にすることで、成膜室3内の雰囲気を均一に保つことができる。これにより、基板W上の処理むらをなくすことができるとともに成膜効率を向上させることができるので、短時間で均一な表面処理を行うことが可能である。
【0074】
このように、無機膜10を有する基板Wに対してシランカップリング剤による表面処理を行うことにより、液晶装置への応用として好適な無機配向膜を備えた基板が得られる。
【0075】
[純水接触角の比較]
次に、表面処理を行った後のサンプル基板および表面処理を行う前のサンプル基板に対し、各表面上の数箇所の純水接触角をデータとしてそれぞれ取得して比較した。
この結果、表面処理前のサンプル基板の純水接触角の平均値が5度以下であったのに対し、表面処理を行った後のサンプル基板の純水接触角の平均値は40〜100度に上昇した。また、複数のサンプル基板に対して連続して表面処理を行った場合に、基板毎の純水接触角を比較した。ここでは、表面処理工程を5回以上繰り返して行い、各回の処理で得られた基板W間の純水接触角のバラツキは±5度以内であった。
【0076】
以上の結果から分かるように、本実施形態の表面処理装置1および表面処理方法によれば、表面処理中、所定の雰囲気とされた成膜室3内にシランカップリング剤Y2を導入しつつ排出を行うことによって、成膜室3内にシランカップリング剤由来の付着物や残留物が発生する量を大幅に減らせることが分かった。これにより、複数の基板に対して表面処理を連続して行ったとしても安定した表面処理を行うことができるので、基板上に良好な被膜を得ることができた。従って、処理むらが防止されて均一な表面処理が可能であることを確認できた。
【0077】
また、本実施形態の表面処理装置1および表面処理方法によれば、基板W上にシランカップリング剤の被膜が形成されたことで、無機膜10表面の物理的性質および化学的性質が改善され、該無機膜10の表面が撥水面となって基板Wの耐水性が向上する。また、基板Wを液晶装置の基板として用いる場合、無機配向膜の表面の純水接触角を調整することによって液晶分子のプレチルト角を制御することが可能である。純水接触角は、表面処理回数によって調整することがであるため、所望のプレチルト角を得るべく、純水接触角の検出を表面処理中に適宜行うようにしてもよい。
【0078】
また、純水接触角は、成膜室3内におけるシランカップリング剤Y2の濃度、処理温度、処理時間、および処理圧力によっても制御可能である。
なお、処理圧力が低いとシランカップリング剤Y2の拡散性が高まるので成膜室3内の均一性が得られ、処理むらのない良好な被膜を形成することができる。さらに、処理温度が高い方が、より短時間で所望とする純水接触角を得ることができる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0080】
例えば、先の実施形態では、処理剤供給装置2と水分供給装置9とをそれぞれ備えた構成としたが、配管6A上に、成膜室3側から順に蒸発器19とバルブ18が接続されていてもよい。
【0081】
また、成膜室3内に複数のファンを設けてもよい。これにより、成膜室3内を効率よく攪拌することができるので、シランカップリング剤Y2の反応を促進する上で有効である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態の表面処理装置の概略構成を示す模式図。
【図2】本実施形態の表面処理装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】基板に対する表面処理の説明図。
【符号の説明】
【0083】
1…表面処理装置、2…処理剤供給装置、3…成膜室、5…ポンプ(減圧装置)、9…水分供給装置、12…基板保持部、10…無機膜、11…搬送装置、21…処理剤気化装置、22…ガス供給装置、40…第1循環系、42,52…ファン、50…第2循環系、211…処理剤保持部、212…処理剤供給部(供給部)、213…加熱部、W…基板(被処理基板)、Y1…シランカップリング剤(液相状態)、Y2…シランカップリング剤(気相状態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を配置する成膜室と、
前記成膜室内を減圧する減圧装置と、
処理剤を気化させる処理剤気化装置と、
前記処理剤気化装置に対してキャリアガスを供給するガス供給装置と、
前記成膜室内の気体を循環させる循環系と、を有する
ことを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
前記処理剤気化装置を経由して前記気体を循環させる第2の循環系をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1記載の表面処理装置。
【請求項3】
前記循環系にファンが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の表面処理装置。
【請求項4】
前記成膜室に水分を供給する水分供給装置を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の表面処理装置。
【請求項5】
前記被処理基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を前記成膜室に対して進退させる搬送装置と、を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の表面処理装置。
【請求項6】
前記基板保持部が、複数の前記被処理基板を保持可能な構成とされている
ことを特徴とする請求項5記載の表面処理装置。
【請求項7】
前記処理剤気化装置が、
前記処理剤を保持する処理剤保持部と、
前記処理剤保持部に液体の処理剤を定量的に供給する処理剤供給部と、
前記液体の処理剤を加熱する加熱部と、
を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の表面処理装置。
【請求項8】
大気圧よりも低い圧力下で処理剤を気化させ、前記処理剤の雰囲気に被処理基板を晒すことで前記被処理基板上に前記処理剤の被膜を形成する表面処理工程を有し、
前記表面処理工程では、前記被処理基板が配置された成膜室内の気体を循環させる
ことを特徴とする表面処理方法。
【請求項9】
前記表面処理工程では、前記気化した処理剤を排気しながら供給する
ことを特徴とする請求項8記載の表面処理方法。
【請求項10】
前記表面処理工程よりも前に、
前記被処理基板の表面の水分を除去する水分除去工程と、
前記被処理基板の表面に水分を供給する水分供給工程とを順に実行する
ことを特徴とする請求項8または9記載の表面処理方法。
【請求項11】
前記水分供給工程において、
前記被処理基板の表面を水分飽和状態とする
ことを特徴とする請求項10記載の表面処理方法。
【請求項12】
前記水分供給工程の後に、
前記被処理基板の表面の水分を部分的に除去する水分調整工程を有する
ことを特徴とする請求項10または11記載の表面処理方法。
【請求項13】
前記処理剤が、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤である
ことを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一項に記載の表面処理方法。
【化1】

【請求項14】
前記被処理基板上に無機膜を有し、当該無機膜の表面に前記被膜を形成することで前記被処理基板上に配向膜を形成する
ことを特徴とする請求項8ないし13のいずれか一項に記載の表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−24484(P2010−24484A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185973(P2008−185973)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】