表面波プラズマ発生用アンテナおよび表面波プラズマ処理装置
【課題】均一な表面波プラズマを形成することが可能な表面波プラズマ発生用アンテナおよび表面波プラズマ処理装置を提供すること。
【解決手段】 マイクロ波出力部から、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路を介して伝送されたマイクロ波をチャンバ内に放射して、チャンバ内に表面波プラズマを発生させるための、表面波プラズマ発生用アンテナであって、平面状をなすとともに複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分において、これらスロットが径方向に重なっており、その継ぎ目部分がスロットに覆われた状態となっている。
【解決手段】 マイクロ波出力部から、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路を介して伝送されたマイクロ波をチャンバ内に放射して、チャンバ内に表面波プラズマを発生させるための、表面波プラズマ発生用アンテナであって、平面状をなすとともに複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分において、これらスロットが径方向に重なっており、その継ぎ目部分がスロットに覆われた状態となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面波プラズマ発生用アンテナおよび表面波プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理は、半導体デバイスの製造に不可欠な技術であるが、近時、LSIの高集積化、高速化の要請からLSIを構成する半導体素子のデザインルールが益々微細化され、また、半導体ウエハが大型化されており、それにともなって、プラズマ処理装置においてもこのような微細化および大型化に対応するものが求められている。
【0003】
ところが、従来から多用されてきた平行平板型や誘導結合型のプラズマ処理装置では、生成されるプラズマの電子温度が高いため微細素子にプラズマダメージを生じてしまい、また、プラズマ密度の高い領域が限定されるため、大型の半導体ウエハを均一かつ高速にプラズマ処理することは困難である。
【0004】
そこで、高密度で低電子温度の表面波プラズマを均一に形成することができるRLSA(Radial Line Slot Antenna)マイクロ波プラズマ処理装置が注目されている(例えば特許文献1)。
【0005】
RLSAマイクロ波プラズマ処理装置は、表面波プラズマ発生用アンテナとしてチャンバの上部に所定のパターンで複数のスロットが形成された平面アンテナ(Radial Line Slot Antenna)を設け、マイクロ波発生源から導かれたマイクロ波を、平面アンテナのスロットから放射させるとともに、その下に設けられた誘電体からなるマイクロ波透過板を介して真空に保持されたチャンバ内に放射し、このマイクロ波電界によりチャンバ内で表面波プラズマを生成し、これにより半導体ウエハ等の被処理体を処理するものである。
【0006】
表面波プラズマ発生用アンテナとして用いられる平面アンテナとしては、特許文献2に開示されているように、円弧状のスロットが複数、例えば4個円周状に均等に形成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−294550号公報
【特許文献2】特開2009−224493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、引用文献2に開示されているような複数の円弧状のスロットが円周状に均等に形成された平面アンテナを用いた場合、スロットとスロットとの間の開口部のない部分で電磁波強度が弱くなり、プラズマ密度がその部分だけ減少し、結果として周方向(角度方向)のプラズマ均一性が悪化するという問題がある。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、均一な表面波プラズマを形成することが可能な表面波プラズマ発生用アンテナおよび表面波プラズマ処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、マイクロ波出力部から、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路を介して伝送されたマイクロ波をチャンバ内に放射して、チャンバ内に表面波プラズマを発生させるための、表面波プラズマ発生用アンテナであって、平面状をなすとともに複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分がスロットに覆われるように構成されていることを特徴とする表面波プラズマ発生用アンテナを提供する。
【0011】
前記隣接するスロットとスロットとは、その継ぎ目部分において、径方向に重なっている構成とすることができる。このとき、前記スロットは、中央部とそこから両側に延びる第1の端部および第2の端部を有しており、隣接するスロットのうち一方の第1の端部と他方の第2の端部とが径方向に重なっているように構成することができる。前記中央部、前記第1の端部、および前記第2の端部は、実質的に同じ長さを有していることが好ましい。
【0012】
この場合に、前記スロットの前記中央部は所定幅を有し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記中央部の幅の半分以下の幅を有し、前記第1の端部と前記第2の端部とが重なる部分は、前記中央部と同じ幅を有し、前記複数のスロットの存在領域が円環状をなすように形成することができる。また、前記スロットは細長い形状に形成されており、前記複数のスロットは、円環領域に内包するように設けられ、前記第1の端部が隣接するスロットの第2の端部の外側に形成され、前記第2の端部が隣接するスロットの第1の端部の内側に形成され、前記中央部は、外側の第1の端部から内側の第2の端部に向けて、前記円環領域の外側部分から内側部分を斜めに横切るように設けることもできる。
【0013】
前記複数のスロットは、円周状に複数形成された外側円弧状スロットと、その内側に円周状に複数形成された内側円弧状スロットとで構成され、前記外側円弧状スロット同士の継ぎ目部分と前記内側円弧状スロット同士の継ぎ目部分が径方向に重ならないように設けるように構成することもできる。
【0014】
本発明の第2の観点では、被処理基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構と、マイクロ波電源を有し、マイクロ波を生成して出力するマイクロ波出力部、および出力されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を備え、前記チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスの表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源とを具備し、前記マイクロ波導入機構は、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路と、導波路を介して伝送されたマイクロ波を、チャンバ内に放射するための、表面波プラズマ発生用アンテナとを有し、前記表面波プラズマ発生用アンテナとして、上記第1の観点のものを用いることを特徴とする表面波プラズマ処理装置を提供する。
【0015】
前記マイクロ波導入機構は、前記導波路に設けられた、前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに有してもよい。また、前記マイクロ波導入機構を複数有してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットの継ぎ目部分がスロットに覆われるように構成したので、スロットの継ぎ目部分のスロットが存在しない部分で電磁波強度が弱くなることを回避することができる。このため、周方向(角度方向)のプラズマ均一性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナを有する表面波プラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の表面波プラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示す構成図である。
【図3】図1の表面波プラズマ処理装置におけるマイクロ波導入機構を示す縦断面図である。
【図4】マイクロ波導入機構の給電機構を示す横断面図である。
【図5】チューナの本体におけるスラグと滑り部材を示す平面図である。
【図6】チューナの本体における内側導体を示す斜視図である。
【図7】第1の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナの平面図である。
【図8】第2の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナの平面図である。
【図9】第3の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナの平面図である。
【図10】従来の表面波プラズマ発生用アンテナにおけるプラズマ密度測定位置を示す平面図である。
【図11】図10のアンテナを用いた場合のスロットの中央位置、スロット中央とビームとの間の位置、ビーム位置の直下におけるプラズマ密度を示す図である。
【図12】従来の表面波プラズマ発生用アンテナにおける周方向の電界強度をシミュレーションしたサークル1およびサークル2を示す図である。
【図13】図12のアンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【図14】図7の第1の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【図15】図8の第2の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【図16】図9の第3の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<表面波プラズマ処理装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナを有する表面波プラズマ処理装置の概略構成を示す断面図であり、図2は図1の表面波プラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示す構成図である。
【0020】
表面波プラズマ処理装置100は、ウエハに対してプラズマ処理として例えばエッチング処理を施すプラズマエッチング装置として構成されており、気密に構成されたアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属材料からなる略円筒状の接地されたチャンバ1と、チャンバ1内にマイクロ波プラズマを形成するためのマイクロ波プラズマ源2とを有している。チャンバ1の上部には開口部1aが形成されており、マイクロ波プラズマ源2はこの開口部1aからチャンバ1の内部に臨むように設けられている。
【0021】
チャンバ1内には被処理体であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ11が、チャンバ1の底部中央に絶縁部材12aを介して立設された筒状の支持部材12により支持された状態で設けられている。サセプタ11および支持部材12を構成する材料としては、表面をアルマイト処理(陽極酸化処理)したアルミニウム等が例示される。
【0022】
また、図示はしていないが、サセプタ11には、ウエハWを静電吸着するための静電チャック、温度制御機構、ウエハWの裏面に熱伝達用のガスを供給するガス流路、およびウエハWを搬送するために昇降する昇降ピン等が設けられている。さらに、サセプタ11には、整合器13を介して高周波バイアス電源14が電気的に接続されている。この高周波バイアス電源14からサセプタ11に高周波電力が供給されることにより、ウエハW側にプラズマ中のイオンが引き込まれる。
【0023】
チャンバ1の底部には排気管15が接続されており、この排気管15には真空ポンプを含む排気装置16が接続されている。そしてこの排気装置16を作動させることによりチャンバ1内が排気され、チャンバ1内が所定の真空度まで高速に減圧することが可能となっている。また、チャンバ1の側壁には、ウエハWの搬入出を行うための搬入出口17と、この搬入出口17を開閉するゲートバルブ18とが設けられている。
【0024】
チャンバ1内のサセプタ11の上方位置には、プラズマエッチングのための処理ガスをウエハWに向けて吐出するシャワープレート20が水平に設けられている。このシャワープレート20は、格子状に形成されたガス流路21と、このガス流路21に形成された多数のガス吐出孔22とを有しており、格子状のガス流路21の間は空間部23となっている。このシャワープレート20のガス流路21にはチャンバ1の外側に延びる配管24が接続されており、この配管24には処理ガス供給源25が接続されている。
【0025】
一方、チャンバ1のシャワープレート20の上方位置には、リング状のプラズマガス導入部材26がチャンバ壁に沿って設けられており、このプラズマガス導入部材26には内周に多数のガス吐出孔が設けられている。このプラズマガス導入部材26には、プラズマガスを供給するプラズマガス供給源27が配管28を介して接続されている。プラズマ生成ガスとしてはArガスなどが好適に用いられる。
【0026】
プラズマガス導入部材26からチャンバ1内に導入されたプラズマガスは、マイクロ波プラズマ源2からチャンバ1内に導入されたマイクロ波によりプラズマ化され、このプラズマがシャワープレート20の空間部23を通過しシャワープレート20のガス吐出孔22から吐出された処理ガスを励起し、処理ガスのプラズマを形成する。
【0027】
マイクロ波プラズマ源2は、チャンバ1の上部に設けられた支持リング29により支持されており、これらの間は気密にシールされている。図2に示すように、マイクロ波プラズマ源2は、複数経路に分配してマイクロ波を出力するマイクロ波出力部30と、マイクロ波出力部30から出力されたマイクロ波を伝送しチャンバ1内に放射するためのマイクロ波供給部40とを有している。
【0028】
マイクロ波出力部30は、マイクロ波電源31と、マイクロ波発振器32と、発振されたマイクロ波を増幅するアンプ33と、増幅されたマイクロ波を複数に分配する分配器34とを有している。
【0029】
マイクロ波発振器32は、所定周波数(例えば、915MHz)のマイクロ波を例えばPLL発振させる。分配器34では、マイクロ波の損失ができるだけ起こらないように、入力側と出力側のインピーダンス整合を取りながらアンプ33で増幅されたマイクロ波を分配する。なお、マイクロ波の周波数としては、915MHzの他に、700MHzから3GHzを用いることができる。
【0030】
マイクロ波供給部40は、分配器34で分配されたマイクロ波を主に増幅する複数のアンプ部42と、複数のアンプ部42のそれぞれに接続されたマイクロ波導入機構41とを有している。
【0031】
アンプ部42は、位相器45と、可変ゲインアンプ46と、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47と、アイソレータ48とを有している。
【0032】
位相器45は、マイクロ波の位相を変化させることができるように構成されており、これを調整することにより放射特性を変調させることができる。例えば、各アンテナモジュール毎に位相を調整することにより指向性を制御してプラズマ分布を変化させることや、後述するように隣り合うアンテナモジュールにおいて90°ずつ位相をずらすようにして円偏波を得ることができる。また、位相器45は、アンプ内の部品間の遅延特性を調整し、チューナ内での空間合成を目的として使用することができる。ただし、このような放射特性の変調やアンプ内の部品間の遅延特性の調整が不要な場合には位相器45は設ける必要はない。
【0033】
可変ゲインアンプ46は、メインアンプ47へ入力するマイクロ波の電力レベルを調整し、個々のアンテナモジュールのばらつきを調整またはプラズマ強度調整のためのアンプである。可変ゲインアンプ46を各アンテナモジュール毎に変化させることによって、発生するプラズマに分布を生じさせることもできる。
【0034】
ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47は、例えば、入力整合回路と、半導体増幅素子と、出力整合回路と、高Q共振回路とを有する構成とすることができる。
【0035】
アイソレータ48は、マイクロ波導入機構41で反射してメインアンプ47に向かう反射マイクロ波を分離するものであり、サーキュレータとダミーロード(同軸終端器)とを有している。サーキュレータは、後述するマイクロ波導入機構41のアンテナ部43で反射したマイクロ波をダミーロードへ導き、ダミーロードはサーキュレータによって導かれた反射マイクロ波を熱に変換する。
【0036】
マイクロ波導入機構41は、図3の縦断面図、図4の横断面図に示すように、マイクロ波を伝送する同軸構造の導波路44と、導波路44を伝送されたマイクロ波をチャンバ1内に放射するアンテナ部43とを有している。そして、マイクロ波導入機構41からチャンバ1内に放射されたマイクロ波がチャンバ1内の空間で合成され、チャンバ1内で表面波プラズマが形成されるようになっている。
【0037】
導波路44は、筒状の外側導体52およびその中心に設けられた棒状の内側導体53が同軸状に配置されて構成されており、導波路44の先端にアンテナ部43が設けられている。導波路44は、内側導体53が給電側、外側導体52が接地側となっている。外側導体52および内側導体53の上端は反射板58となっている。
【0038】
導波路44の基端側にはマイクロ波(電磁波)を給電する給電機構54が設けられている。給電機構54は、導波路44(外側導体52)の側面に設けられたマイクロ波電力を導入するためのマイクロ波電力導入ポート55を有している。マイクロ波電力導入ポート55には、アンプ部42から増幅されたマイクロ波を供給するための給電線として、内側導体56aおよび外側導体56bからなる同軸線路56が接続されている。そして、同軸線路56の内側導体56aの先端には、外側導体52の内部に向けて水平に伸びる給電アンテナ90が接続されている。
【0039】
給電アンテナ90は、例えば、アルミニウム等の金属板を削り出し加工した後、テフロン(登録商標)等の誘電体部材の型にはめて形成される。反射板58から給電アンテナ90までの間には、反射波の実効波長を短くするためのテフロン(登録商標)等の誘電体からなる遅波材59が設けられている。なお、2.45GHz等の周波数の高いマイクロ波を用いた場合には、遅波材59は設けなくてもよい。このとき、給電アンテナ90から放射される電磁波を反射板58で反射させることで、最大の電磁波を同軸構造の導波路44内に伝送させる。その場合、給電アンテナ90から反射板58までの距離を約λg/4の半波長倍に設定する。ただし、周波数の低いマイクロ波では、径方向の制約のため、これに当てはまらない場合もある。その場合には、給電アンテナ90より発生させる電磁波の腹を給電アンテナ90ではなく、給電アンテナ90の下方に誘起させるように、給電アンテナの形状を最適化することが好ましい。
【0040】
給電アンテナ90は、図4に示すように、マイクロ波電力導入ポート55において同軸線路56の内側導体56aに接続され、電磁波が供給される第1の極92および供給された電磁波を放射する第2の極93を有するアンテナ本体91と、アンテナ本体91の両側から、内側導体53の外側に沿って延び、リング状をなす反射部94とを有し、アンテナ本体91に入射された電磁波と反射部94で反射された電磁波とで定在波を形成するように構成されている。アンテナ本体91の第2の極93は内側導体53に接触している。
【0041】
給電アンテナ90がマイクロ波(電磁波)を放射することにより、外側導体52と内側導体53との間の空間にマイクロ波電力が給電される。そして、給電機構54に供給されたマイクロ波電力がアンテナ部43に向かって伝播する。
【0042】
導波路44にはチューナ60が設けられている。チューナ60は、チャンバ1内の負荷(プラズマ)のインピーダンスをマイクロ波出力部30におけるマイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるものであり、外側導体52と内側導体53との間を上下に移動する2つのスラグ61a,61bと、反射板58の外側(上側)に設けられたスラグ駆動部70とを有している。
【0043】
これらスラグのうち、スラグ61aはスラグ駆動部70側に設けられ、スラグ61bはアンテナ部43側に設けられている。また、内側導体53の内部空間には、その長手方向に沿って例えば台形ネジが形成された螺棒からなるスラグ移動用の2本のスラグ移動軸64a,64bが設けられている。
【0044】
スラグ61aは、図5に示すように、誘電体からなる円環状をなし、その内側に滑り性を有する樹脂からなる滑り部材63が嵌め込まれている。滑り部材63にはスラグ移動軸64aが螺合するねじ穴65aとスラグ移動軸64bが挿通される通し穴65bが設けられている。一方、スラグ61bは、スラグ61aと同様、ねじ穴65aと通し穴65bとを有しているが、スラグ61aとは逆に、ねじ穴65aはスラグ移動軸64bに螺合され、通し穴65bにはスラグ移動軸64aが挿通されるようになっている。これによりスラグ移動軸64aを回転させることによりスラグ61aが昇降移動し、スラグ移動軸64bを回転させることによりスラグ61bが昇降移動する。すなわち、スラグ移動軸64a,64bと滑り部材63とからなるねじ機構によりスラグ61a,61bが昇降移動される。
【0045】
図6に示すように、内側導体53には長手方向に沿って等間隔に3つのスリット53aが形成されている。一方、滑り部材63は、これらスリット53aに対応するように3つの突出部63aが等間隔に設けられている。そして、これら突出部63aがスラグ61a,61bの内周に当接した状態で滑り部材63がスラグ61a,61bの内部に嵌め込まれる。滑り部材63の外周面は、内側導体53の内周面と遊びなく接触するようになっており、スラグ移動軸64a,64bが回転されることにより、滑り部材63が内側導体53を滑って昇降するようになっている。すなわち内側導体53の内周面がスラグ61a,61bの滑りガイドとして機能する。なお、スリット53aの幅は5mm以下とすることが好ましい。これにより、後述するように内側導体53の内部へ漏洩するマイクロ波電力を実質的になくすことができ、マイクロ波電力の放射効率を高く維持することができる。
【0046】
滑り部材63を構成する樹脂材料としては、良好な滑り性を有し、加工が比較的容易な樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を好適なものとして挙げることができる。
【0047】
上記スラグ移動軸64a,64bは、反射板58を貫通してスラグ駆動部70に延びている。スラグ移動軸64a,64bと反射板58との間にはベアリング(図示せず)が設けられている。また、内側導体53の下端には、導体からなる軸受け部67が設けられており、スラグ移動軸64a,64bの下端はこの軸受け部67に軸支されている。
【0048】
スラグ駆動部70は筐体71を有し、スラグ移動軸64aおよび64bは筐体71内に延びており、スラグ移動軸64aおよび64bの上端には、それぞれ歯車72aおよび72bが取り付けられている。また、スラグ駆動部70には、スラグ移動軸64aを回転させるモータ73aと、スラグ移動軸64bを回転させるモータ73bが設けられている。モータ73aの軸には歯車74aが取り付けられ、モータ73bの軸には歯車74bが取り付けられており、歯車74aが歯車72aに噛合し、歯車74bが歯車72bに噛合するようになっている。したがって、モータ73aにより歯車74aおよび72aを介してスラグ移動軸64aが回転され、モータ73bにより歯車74bおよび72bを介してスラグ移動軸64bが回転される。なお、モータ73a,73bは例えばステッピングモータである。
【0049】
なお、スラグ移動軸64bはスラグ移動軸64aよりも長く、より上方に達しており、したがって、歯車72aおよび72bの位置が上下にオフセットしており、モータ73aおよび73bも上下にオフセットしている。これにより、モータおよび歯車等の動力伝達機構のスペースを小さくすることができ、これらを収容する筐体71を外側導体52と同じ径にすることが可能となる。
【0050】
モータ73aおよび73bの上には、これらの出力軸に直結するように、それぞれスラグ61aおよび61bの位置を検出するためのインクリメント型のエンコーダ75aおよび75bが設けられている。
【0051】
スラグ61aおよび61bの位置は、スラグコントローラ68により制御される。具体的には、図示しないインピーダンス検出器により検出された入力端のインピーダンス値と、エンコーダ75aおよび75bにより検知されたスラグ61aおよび61bの位置情報に基づいて、スラグコントローラ68がモータ73aおよび73bに制御信号を送り、スラグ61aおよび61bの位置を制御することにより、インピーダンスを調整するようになっている。スラグコントローラ68は、終端が例えば50Ωになるようにインピーダンス整合を実行させる。2つのスラグのうち一方のみを動かすと、スミスチャートの原点を通る軌跡を描き、両方同時に動かすと位相のみが回転する。
【0052】
アンテナ部43は、マイクロ波を放射するスロットを有し平面状をなす、表面波プラズマを発生するための表面波プラズマ発生用アンテナ81を有している。表面波プラズマ発生用アンテナ81の詳細は後述する。
【0053】
アンテナ部43は、表面波プラズマ発生用アンテナ81の上面に設けられた遅波材82を有している。遅波材82の中心には導体からなる円柱部材82aが貫通して軸受け部67と表面波プラズマ発生用アンテナ81とを接続している。したがって、内側導体53が軸受け部67および円柱部材82aを介して表面波プラズマ発生用アンテナ81に接続されている。なお、外側導体52の下端は表面波プラズマ発生用アンテナ81まで延びており、遅波材82の周囲は外側導体52で覆われている。また、表面波プラズマ発生用アンテナ81および後述する天板83の周囲は被覆導体84で覆われている。
【0054】
遅波材82は、真空よりも大きい誘電率を有しており、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により構成されており、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてアンテナを小さくする機能を有している。遅波材82は、その厚さによりマイクロ波の位相を調整することができ、表面波プラズマ発生用アンテナ81が定在波の「はら」になるようにその厚さを調整する。これにより、反射が最小で、表面波プラズマ発生用アンテナ81の放射エネルギーが最大となるようにすることができる。
【0055】
また、表面波プラズマ発生用アンテナ81のさらに先端側には、真空シールのための誘電体部材、例えば石英やセラミックス等からなる天板83が配置されている。そして、メインアンプ47で増幅されたマイクロ波が内側導体53と外側導体52の周壁の間を通って表面波プラズマ発生用アンテナ81から天板83を透過してチャンバ1内の空間に放射される。
【0056】
本実施形態において、メインアンプ47と、チューナ60と、表面波プラズマ発生用アンテナ81とは近接配置している。そして、チューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とは1/2波長内に存在する集中定数回路を構成しており、かつ表面波プラズマ発生用アンテナ81、遅波材82、天板83は合成抵抗が50Ωに設定されているので、チューナ60はプラズマ負荷に対して直接チューニングしていることになり、効率良くプラズマへエネルギーを伝達することができる。
【0057】
表面波プラズマ処理装置100における各構成部は、マイクロプロセッサを備えた制御部110により制御されるようになっている。制御部110は表面波プラズマ処理装置100のプロセスシーケンスおよび制御パラメータであるプロセスレシピを記憶した記憶部や、入力手段およびディスプレイ等を備えており、選択されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理装置を制御するようになっている。
【0058】
<表面波プラズマ発生用アンテナの構成>
次に、上記表面波プラズマ発生用アンテナ81の構成について説明する。
【0059】
[表面波プラズマ発生用アンテナの第1の実施形態]
図7は、表面波プラズマ発生用アンテナの第1の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、表面波プラズマ発生用アンテナ81は、全体が円板状(平面状)をなすとともに6個のスロット121が円周状に形成されている。これらスロット121は全て同じ形状の円弧状をなしており、いずれも太い円弧状をなす中央部121aと、中央部121aの円周方向端部の両側から円弧状に延びる第1の端部121bおよび第2の端部121cとを有している。そして、これらスロット121のうち隣接するもの同士の継ぎ目部分は、一方のスロット121の第1の端部121bが他方のスロット121の第2の端部121cと径方向に重なるように構成されている。すなわち、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成され、周方向にスロットのない部分が存在しないようにしている。第1の端部121bおよび第2の端部121cの径方向の幅は、中央部121aの径方向の幅の半分以下となっており、第1の端部121bは中央部121aの一方の円周方向端部の外側(外周側)から円周方向に延び、第2の端部121cは中央部121aの他方の円周方向端部の内側(内周側)から円周方向に延びている。そして、第1の端部121bの外周は中央部121aの外周に連続しており、第2の端部121cの内周は中央部121aの内周に連続している。このため、隣接するスロット121の継ぎ目部分において、第1の端部121bが外側に、第2の端部121cが内側になるように重なっており、6個のスロット121は、全体的に中央部121aと第1の端部121bの外周を結んだ線を外周とし中央部121aと第2の端部121cの内周を結んだ線を内周とする同じ幅の円環領域を形成するように設けられている。
【0060】
スロット121は、(λg/2)−δの長さを有する。ただし、λgはマイクロ波の実効波長であり、δは円周方向(角度方向)に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分(0を含む)である。なお、スロット121の長さは約λg/2に限らず、λg/2の整数倍から微調整成分(0を含む)を引いたものであればよい。中央部121a、第1の端部121b、第2の端部121cはほぼ均等な長さを有している。すなわち、スロット121の長さが(λg/2)−δのときには、それぞれ中央部121a、第1の端部121b、第2の端部121cは、それぞれ(λg/6)−δ1、(λg/6)−δ2、(λg/6)−δ3の長さとなる。ただし、δ1,δ2、δ3は円周方向(角度方向)に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分(0を含む)である。隣接するスロットがオーバーラップする部分の長さは等しいほうが好ましいので、δ2=δ3であることが好ましい。本実施形態の場合、一つのスロット121の長さが約λg/2であり、それが6個であるから合計の長さが約3λgであるが、そのうちオーバーラップ部分は(λg/6)×6=λgであり、全体の長さは2λgとなるから、アンテナとしては、長さが約λg/2のスロットを円周状に4つ配置した従来のアンテナとほぼ等価なものとなる。
【0061】
スロット121は、その内周が、表面波プラズマ発生用アンテナ81の中心から(λg/4)+δ′の位置になるように形成される。ただし、δ′は径方向の電界強度分布を均一にするために微調整する微調整成分(0を含む)である。なお、中心からスロット内周までの長さは約λg/4に限らず、λg/4の整数倍に微調整成分(0を含む)を加えたものであればよい。
【0062】
[表面波プラズマ発生用アンテナの第2の実施形態]
図8は、表面波プラズマ発生用アンテナの第2の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、表面波プラズマ発生用アンテナ81は、全体が円板状(平面状)をなすとともに、6個のスロット131が全体形状が円周状になるように形成されている。これらスロット131は全て同じ形状であり、円周に沿って細長い形状に形成されている。これらスロット131のうち隣接するもの同士の継ぎ目部分は、一方のスロット131の端部と他方のスロット131の端部とが重なるように構成されている。すなわち、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成され、周方向にスロットのない部分が存在しないようにしている。具体的には、スロット131の両端にそれぞれ隣接するスロット131と重なる第1の端部131bおよび第2の端部131cを有しており、第1の端部131bと第2の端部131cとの間の重なりのない部分が中央部131aとなっている。そして、隣接するスロット131のうち、一方の第1の端部131bと他方の第2の端部131cが、第1の端部131bが外側に第2の端部131cが内側になるように重なっている。中央部131aは、外側にある第1の端部131bと内側にある第2の端部131cとを繋いでいるため、図8に示す6個のスロット131を内包する二点鎖線で示す円環領域132において外周と一致する第1の端部131bと内周と一致する第2の端部131cの間を斜めに結ぶようになっている。
【0063】
スロット131は、第1の実施形態のスロット121と同様、(λg/2)−δの長さを有する。δは第1の実施形態と同様である。この実施形態においても、スロット131の長さは約λg/2に限らず、λg/2の整数倍から微調整成分(0を含む)を引いたものであればよい。中央部131a、第1の端部131b、第2の端部131cは、第1の実施形態の中央部121a、第1の端部121b、第2の端部121cと同様、ほぼ均等な長さを有している。すなわち、スロット131の長さが(λg/2)−δのときには、それぞれ中央部131a、第1の端部131b、第2の端部131cは、それぞれ(λg/6)−δ1、(λg/6)−δ2、(λg/6)−δ3の長さとなる。δ1,δ2、δ3は第1の実施形態と同様である。また、隣接するスロットがオーバーラップする部分の長さは等しいほうが好ましいので、δ2=δ3であることが好ましい。本実施形態の一つのスロット131の長さは、第1の実施形態のスロット121と同様、約λg/2であり、それが6個であるから合計の長さが約3λgであるが、そのうちオーバーラップ部分は(λg/6)×6=λgであり、全体の長さは2λgとなるから、アンテナとしては、長さが約λg/2のスロットを円周状に4つ配置した従来のアンテナとほぼ等価なものとなる。
【0064】
スロット131は、その内周(上記円環領域132の内周)が、第1の実施形態のスロット121と同様、表面波プラズマ発生用アンテナ81の中心から(λg/4)+δ′の位置になるように形成される。なお、中心からスロット内周までの長さは約λg/4に限らず、λg/4の整数倍に微調整成分(0を含む)を加えたものであればよい。
【0065】
[表面波プラズマ発生用アンテナの第3の実施形態]
図9は、表面波プラズマ発生用アンテナの第3の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、表面波プラズマ発生用アンテナ81は、全体が円板状(平面状)をなすとともに、4個の円弧状のスロット141が所定間隔をおいて円周状に形成され、その内側に4個の円弧状のスロット142が所定間隔をおいて円周状に形成されている。そして、外側のスロット141の外周から内側のスロット142の内周までの長さLは、4個のスロットを円周状に配置した従来のスロットの幅とほぼ同等とされ、外側のスロット141の間のフレーム部分141a(継ぎ目部分)と内側のスロット142の間のフレーム部分142a(継ぎ目部分)が径方向で重ならないようになっている。すなわち、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成され、周方向に外側のスロット141および内側のスロット142の少なくとも一方が必ず存在するようにしている。図9では、外側のスロット141の間のフレーム部分141aが内側のスロット142の中央に位置し、内側のスロット142の間のフレーム部分142aが外側のスロット141の中央に位置している。
【0066】
スロット141は(λg/2)−δ4の長さを有し、スロット142は(λg/2)−δ5の長さを有する。δ4、δ5は、円周方向(角度方向)に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分(0を含む)である。なお、スロット141、142の長さは約λg/2に限らず、λg/2の整数倍から微調整成分(0を含む)を引いたものであればよい。
【0067】
スロット141,142は、内側のスロット142の内周が、第1の実施形態のスロット121と同様、表面波プラズマ発生用アンテナ81の中心から(λg/4)+δ′の位置になるように形成される。なお、中心からスロット内周までの長さは約λg/4に限らず、λg/4の整数倍に微調整成分(0を含む)を加えたものであればよい。
【0068】
<表面波プラズマ処理装置の動作>
次に、以上のように構成される表面波プラズマ処理装置100における動作について説明する。
まず、ウエハWをチャンバ1内に搬入し、サセプタ11上に載置する。そして、プラズマガス供給源27から配管28およびプラズマガス導入部材26を介してチャンバ1内にプラズマガス、例えばArガスを導入しつつ、マイクロ波プラズマ源2からマイクロ波をチャンバ1内に導入して表面波プラズマを生成する。
【0069】
このようにして表面波プラズマを生成した後、処理ガス、例えばCl2ガス等のエッチングガスが処理ガス供給源25から配管24およびシャワープレート20を介してチャンバ1内に吐出される。吐出された処理ガスは、シャワープレート20の空間部23を通過してきたプラズマにより励起されてプラズマ化し、この処理ガスのプラズマによりウエハWにプラズマ処理、例えばエッチング処理が施される。
【0070】
上記表面波プラズマを生成するに際し、マイクロ波プラズマ源2では、マイクロ波出力部30のマイクロ波発振器32から発振されたマイクロ波電力はアンプ33で増幅された後、分配器34により複数に分配され、分配されたマイクロ波電力はマイクロ波供給部40へ導かれる。マイクロ波供給部40においては、このように複数に分配されたマイクロ波電力は、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47で個別に増幅され、マイクロ波導入機構41の導波路44に給電され、チューナ60でインピーダンスが自動整合され、電力反射が実質的にない状態で、アンテナ部43の表面波プラズマ発生用アンテナ81および天板83を介してチャンバ1内に放射されて空間合成される。
【0071】
マイクロ波導入機構41の導波路44への給電は、同軸構造の導波路44の軸の延長線上にスラグ駆動部70が設けられているため、側面から行われる。すなわち、同軸線路56から伝播してきたマイクロ波(電磁波)が、導波路44の側面に設けられたマイクロ波電力導入ポート55において給電アンテナ90の第1の極92に到達すると、アンテナ本体91に沿ってマイクロ波(電磁波)が伝播して行き、アンテナ本体91の先端の第2の極93からマイクロ波(電磁波)を放射する。また、アンテナ本体91を伝播するマイクロ波(電磁波)が反射部94で反射し、それが入射波と合成されることにより定在波を発生させる。給電アンテナ90の配置位置で定在波が発生すると、内側導体53の外壁に沿って誘導磁界が生じ、それに誘導されて誘導電界が発生する。これらの連鎖作用により、マイクロ波(電磁波)が導波路44内を伝播し、アンテナ部43へ導かれる。
【0072】
このとき、導波路44において、給電アンテナ90から放射されるマイクロ波(電磁波)を反射板58で反射させることで最大のマイクロ波(電磁波)電力を同軸構造の導波路44に伝送することができるが、その場合、反射波との合成を効果的に行うために給電アンテナ90から反射板58までの距離が約λg/4の半波長倍になるようにすることが好ましい。
【0073】
このように複数に分配されたマイクロ波を、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47で個別に増幅し、表面波プラズマ発生用アンテナ81を用いて個別に放射した後にチャンバ1内で合成するので、大型のアイソレータや合成器が不要となる。
【0074】
また、マイクロ波導入機構41は、アンテナ部43とチューナ60とが一体となっているので、極めてコンパクトである。このため、マイクロ波プラズマ源2自体をコンパクト化することができる。さらに、メインアンプ47、チューナ60および表面波プラズマ発生用アンテナ81が近接して設けられ、特にチューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とは集中定数回路として構成することができ、かつ表面波プラズマ発生用アンテナ81、遅波材82、天板83の合成抵抗を50Ωに設計することにより、チューナ60により高精度でプラズマ負荷をチューニングすることができる。また、チューナ60は2つのスラグ61a,61bを移動するだけでインピーダンス整合を行うことができるスラグチューナを構成しているのでコンパクトで低損失である。さらに、このようにチューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とが近接し、集中定数回路を構成してかつ共振器として機能することにより、表面波プラズマ発生用アンテナ81に至るまでのインピーダンス不整合を高精度で解消することができ、実質的に不整合部分をプラズマ空間とすることができるので、チューナ60により高精度のプラズマ制御が可能となる。
【0075】
さらにまた、スラグを駆動ささせるための駆動伝達部、駆動ガイド部、保持部に相当するものを内側導体53の内部に設けたので、スラグ61a,61bの駆動機構を小型化することができ、マイクロ波導入機構41を小型化することができる。
【0076】
ところで、上述したように、マイクロ波導入機構41の導波路44に給電されたマイクロ波は、アンテナ部43の表面波プラズマ発生用アンテナ81および天板83を介してチャンバ1内に放射されるが、表面波プラズマ発生用アンテナ81に、従来のように、複数の円弧状のスロットが円周状に均等に形成されている場合には、スロットとスロットとの継ぎ目の開口部のない部分(ビーム部分)で電磁波強度が弱くなり、プラズマ密度がその部分だけ減少する。
【0077】
例えば図10に示すような、4個の円弧状のスロット81aが円周状に均等に形成された従来の表面波プラズマ発生用アンテナ81′の場合には、スロット81aの中央位置A、スロット中央とビームとの間の位置B、ビーム位置Cにおける電磁波強度が異なるため、その直下位置の電界が弱くなってプラズマ密度が図11に示すようにばらついてしまう。なお、図11の横軸は石英天板の端部からの径方向の距離を示している。
【0078】
このときの図12に示すサークル1およびサークル2における電磁界シミュレーションによる電界強度を図13に示す。図12のサークル1はスロット81aの外周位置を周方向(角度方向)にたどったものであり、サークル2はスロット81aの内周よりも内側部分を周方向(角度方向)にたどったものである。図13は横軸にサークル1およびサークル2の基準位置からの長さをとり、縦軸に電磁界シミュレーションによる電界強度をとっている。図13に示すように、スロットとスロットとの間のビーム位置において電界強度が低下しており、その影響がスロットの内側にも現れているのがわかる。
【0079】
そこで、表面波プラズマ発生用アンテナ81を、上述した図7〜9に示す第1〜第3の実施形態のようなものとし、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成し、周方向にスロットのない部分が存在しないようにした。これにより、スロットとスロットとの継ぎ目部分においてスロットが存在しないことによる電磁波強度が弱くなることが防止され、周方向(角度方向)の電界強度が均一なものとなる。このため均一なプラズマ密度を得ることができる。
【0080】
上記図7〜9に示す第1〜第3の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合の電磁界シミュレーションによる周方向(角度方向)の電界強度分布を図14〜16に示す。これらの図では、上記図12に示すサークル1およびサークル2の位置における電界強度を示すものである。これらの図に示すように、上記第1〜第3の実施形態の表面波プラズマ用アンテナを用いた場合には、周方向(角度方向)の電界強度が均一になることが確認された。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の思想の範囲内において種々変形可能である。例えば、マイクロ波出力部30やマイクロ波供給部40の構成等は、上記実施形態に限定されるものではない。具体的には、アンテナから放射されるマイクロ波の指向性制御を行ったり円偏波にしたりする必要がない場合には、位相器は不要である。
【0082】
また、上記表面波プラズマ発生用アンテナのスロットの形状、数および配置は例示に過ぎず、円周状に複数のスロットが配置され、隣接するスロット間の継ぎ目部分がスロットで覆われる構成をとる限り、スロットの数、形状および配置は限定されるものではない。特に、スロットの数は2以上の自然数の中から任意に選択することができる。
【0083】
さらに、上記実施形態においては、プラズマ処理装置としてエッチング処理装置を例示したが、これに限らず、成膜処理、酸窒化膜処理、アッシング処理等の他のプラズマ処理にも用いることができる。また、被処理基板は半導体ウエハWに限定されず、LCD(液晶ディスプレイ)用基板に代表されるFPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、セラミックス基板等の他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1;チャンバ
2;マイクロ波プラズマ源
11;サセプタ
12;支持部材
15;排気管
16;排気装置
17;搬入出口
20;シャワープレート
30;マイクロ波出力部
31;マイクロ波電源
32;マイクロ波発振器
40;マイクロ波供給部
41;マイクロ波導入機構
43;アンテナ部
44;導波路
52;外側導体
53;内側導体
54;給電機構
55;マイクロ波電力導入ポート
56;同軸線路
58;反射板
59;遅波材
60;チューナ
81;表面波プラズマ発生用アンテナ
90;給電アンテナ
100;表面波プラズマ処理装置
110;制御部
121,131,141,142;スロット
121a,131a;中央部
121b,131b;第1の端部
121c,131c;第2の端部
W;半導体ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面波プラズマ発生用アンテナおよび表面波プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理は、半導体デバイスの製造に不可欠な技術であるが、近時、LSIの高集積化、高速化の要請からLSIを構成する半導体素子のデザインルールが益々微細化され、また、半導体ウエハが大型化されており、それにともなって、プラズマ処理装置においてもこのような微細化および大型化に対応するものが求められている。
【0003】
ところが、従来から多用されてきた平行平板型や誘導結合型のプラズマ処理装置では、生成されるプラズマの電子温度が高いため微細素子にプラズマダメージを生じてしまい、また、プラズマ密度の高い領域が限定されるため、大型の半導体ウエハを均一かつ高速にプラズマ処理することは困難である。
【0004】
そこで、高密度で低電子温度の表面波プラズマを均一に形成することができるRLSA(Radial Line Slot Antenna)マイクロ波プラズマ処理装置が注目されている(例えば特許文献1)。
【0005】
RLSAマイクロ波プラズマ処理装置は、表面波プラズマ発生用アンテナとしてチャンバの上部に所定のパターンで複数のスロットが形成された平面アンテナ(Radial Line Slot Antenna)を設け、マイクロ波発生源から導かれたマイクロ波を、平面アンテナのスロットから放射させるとともに、その下に設けられた誘電体からなるマイクロ波透過板を介して真空に保持されたチャンバ内に放射し、このマイクロ波電界によりチャンバ内で表面波プラズマを生成し、これにより半導体ウエハ等の被処理体を処理するものである。
【0006】
表面波プラズマ発生用アンテナとして用いられる平面アンテナとしては、特許文献2に開示されているように、円弧状のスロットが複数、例えば4個円周状に均等に形成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−294550号公報
【特許文献2】特開2009−224493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、引用文献2に開示されているような複数の円弧状のスロットが円周状に均等に形成された平面アンテナを用いた場合、スロットとスロットとの間の開口部のない部分で電磁波強度が弱くなり、プラズマ密度がその部分だけ減少し、結果として周方向(角度方向)のプラズマ均一性が悪化するという問題がある。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、均一な表面波プラズマを形成することが可能な表面波プラズマ発生用アンテナおよび表面波プラズマ処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、マイクロ波出力部から、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路を介して伝送されたマイクロ波をチャンバ内に放射して、チャンバ内に表面波プラズマを発生させるための、表面波プラズマ発生用アンテナであって、平面状をなすとともに複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分がスロットに覆われるように構成されていることを特徴とする表面波プラズマ発生用アンテナを提供する。
【0011】
前記隣接するスロットとスロットとは、その継ぎ目部分において、径方向に重なっている構成とすることができる。このとき、前記スロットは、中央部とそこから両側に延びる第1の端部および第2の端部を有しており、隣接するスロットのうち一方の第1の端部と他方の第2の端部とが径方向に重なっているように構成することができる。前記中央部、前記第1の端部、および前記第2の端部は、実質的に同じ長さを有していることが好ましい。
【0012】
この場合に、前記スロットの前記中央部は所定幅を有し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記中央部の幅の半分以下の幅を有し、前記第1の端部と前記第2の端部とが重なる部分は、前記中央部と同じ幅を有し、前記複数のスロットの存在領域が円環状をなすように形成することができる。また、前記スロットは細長い形状に形成されており、前記複数のスロットは、円環領域に内包するように設けられ、前記第1の端部が隣接するスロットの第2の端部の外側に形成され、前記第2の端部が隣接するスロットの第1の端部の内側に形成され、前記中央部は、外側の第1の端部から内側の第2の端部に向けて、前記円環領域の外側部分から内側部分を斜めに横切るように設けることもできる。
【0013】
前記複数のスロットは、円周状に複数形成された外側円弧状スロットと、その内側に円周状に複数形成された内側円弧状スロットとで構成され、前記外側円弧状スロット同士の継ぎ目部分と前記内側円弧状スロット同士の継ぎ目部分が径方向に重ならないように設けるように構成することもできる。
【0014】
本発明の第2の観点では、被処理基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構と、マイクロ波電源を有し、マイクロ波を生成して出力するマイクロ波出力部、および出力されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を備え、前記チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスの表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源とを具備し、前記マイクロ波導入機構は、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路と、導波路を介して伝送されたマイクロ波を、チャンバ内に放射するための、表面波プラズマ発生用アンテナとを有し、前記表面波プラズマ発生用アンテナとして、上記第1の観点のものを用いることを特徴とする表面波プラズマ処理装置を提供する。
【0015】
前記マイクロ波導入機構は、前記導波路に設けられた、前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに有してもよい。また、前記マイクロ波導入機構を複数有してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットの継ぎ目部分がスロットに覆われるように構成したので、スロットの継ぎ目部分のスロットが存在しない部分で電磁波強度が弱くなることを回避することができる。このため、周方向(角度方向)のプラズマ均一性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナを有する表面波プラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の表面波プラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示す構成図である。
【図3】図1の表面波プラズマ処理装置におけるマイクロ波導入機構を示す縦断面図である。
【図4】マイクロ波導入機構の給電機構を示す横断面図である。
【図5】チューナの本体におけるスラグと滑り部材を示す平面図である。
【図6】チューナの本体における内側導体を示す斜視図である。
【図7】第1の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナの平面図である。
【図8】第2の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナの平面図である。
【図9】第3の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナの平面図である。
【図10】従来の表面波プラズマ発生用アンテナにおけるプラズマ密度測定位置を示す平面図である。
【図11】図10のアンテナを用いた場合のスロットの中央位置、スロット中央とビームとの間の位置、ビーム位置の直下におけるプラズマ密度を示す図である。
【図12】従来の表面波プラズマ発生用アンテナにおける周方向の電界強度をシミュレーションしたサークル1およびサークル2を示す図である。
【図13】図12のアンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【図14】図7の第1の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【図15】図8の第2の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【図16】図9の第3の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合のサークル1およびサークル2における周方向の電界強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<表面波プラズマ処理装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る表面波プラズマ発生用アンテナを有する表面波プラズマ処理装置の概略構成を示す断面図であり、図2は図1の表面波プラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示す構成図である。
【0020】
表面波プラズマ処理装置100は、ウエハに対してプラズマ処理として例えばエッチング処理を施すプラズマエッチング装置として構成されており、気密に構成されたアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属材料からなる略円筒状の接地されたチャンバ1と、チャンバ1内にマイクロ波プラズマを形成するためのマイクロ波プラズマ源2とを有している。チャンバ1の上部には開口部1aが形成されており、マイクロ波プラズマ源2はこの開口部1aからチャンバ1の内部に臨むように設けられている。
【0021】
チャンバ1内には被処理体であるウエハWを水平に支持するためのサセプタ11が、チャンバ1の底部中央に絶縁部材12aを介して立設された筒状の支持部材12により支持された状態で設けられている。サセプタ11および支持部材12を構成する材料としては、表面をアルマイト処理(陽極酸化処理)したアルミニウム等が例示される。
【0022】
また、図示はしていないが、サセプタ11には、ウエハWを静電吸着するための静電チャック、温度制御機構、ウエハWの裏面に熱伝達用のガスを供給するガス流路、およびウエハWを搬送するために昇降する昇降ピン等が設けられている。さらに、サセプタ11には、整合器13を介して高周波バイアス電源14が電気的に接続されている。この高周波バイアス電源14からサセプタ11に高周波電力が供給されることにより、ウエハW側にプラズマ中のイオンが引き込まれる。
【0023】
チャンバ1の底部には排気管15が接続されており、この排気管15には真空ポンプを含む排気装置16が接続されている。そしてこの排気装置16を作動させることによりチャンバ1内が排気され、チャンバ1内が所定の真空度まで高速に減圧することが可能となっている。また、チャンバ1の側壁には、ウエハWの搬入出を行うための搬入出口17と、この搬入出口17を開閉するゲートバルブ18とが設けられている。
【0024】
チャンバ1内のサセプタ11の上方位置には、プラズマエッチングのための処理ガスをウエハWに向けて吐出するシャワープレート20が水平に設けられている。このシャワープレート20は、格子状に形成されたガス流路21と、このガス流路21に形成された多数のガス吐出孔22とを有しており、格子状のガス流路21の間は空間部23となっている。このシャワープレート20のガス流路21にはチャンバ1の外側に延びる配管24が接続されており、この配管24には処理ガス供給源25が接続されている。
【0025】
一方、チャンバ1のシャワープレート20の上方位置には、リング状のプラズマガス導入部材26がチャンバ壁に沿って設けられており、このプラズマガス導入部材26には内周に多数のガス吐出孔が設けられている。このプラズマガス導入部材26には、プラズマガスを供給するプラズマガス供給源27が配管28を介して接続されている。プラズマ生成ガスとしてはArガスなどが好適に用いられる。
【0026】
プラズマガス導入部材26からチャンバ1内に導入されたプラズマガスは、マイクロ波プラズマ源2からチャンバ1内に導入されたマイクロ波によりプラズマ化され、このプラズマがシャワープレート20の空間部23を通過しシャワープレート20のガス吐出孔22から吐出された処理ガスを励起し、処理ガスのプラズマを形成する。
【0027】
マイクロ波プラズマ源2は、チャンバ1の上部に設けられた支持リング29により支持されており、これらの間は気密にシールされている。図2に示すように、マイクロ波プラズマ源2は、複数経路に分配してマイクロ波を出力するマイクロ波出力部30と、マイクロ波出力部30から出力されたマイクロ波を伝送しチャンバ1内に放射するためのマイクロ波供給部40とを有している。
【0028】
マイクロ波出力部30は、マイクロ波電源31と、マイクロ波発振器32と、発振されたマイクロ波を増幅するアンプ33と、増幅されたマイクロ波を複数に分配する分配器34とを有している。
【0029】
マイクロ波発振器32は、所定周波数(例えば、915MHz)のマイクロ波を例えばPLL発振させる。分配器34では、マイクロ波の損失ができるだけ起こらないように、入力側と出力側のインピーダンス整合を取りながらアンプ33で増幅されたマイクロ波を分配する。なお、マイクロ波の周波数としては、915MHzの他に、700MHzから3GHzを用いることができる。
【0030】
マイクロ波供給部40は、分配器34で分配されたマイクロ波を主に増幅する複数のアンプ部42と、複数のアンプ部42のそれぞれに接続されたマイクロ波導入機構41とを有している。
【0031】
アンプ部42は、位相器45と、可変ゲインアンプ46と、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47と、アイソレータ48とを有している。
【0032】
位相器45は、マイクロ波の位相を変化させることができるように構成されており、これを調整することにより放射特性を変調させることができる。例えば、各アンテナモジュール毎に位相を調整することにより指向性を制御してプラズマ分布を変化させることや、後述するように隣り合うアンテナモジュールにおいて90°ずつ位相をずらすようにして円偏波を得ることができる。また、位相器45は、アンプ内の部品間の遅延特性を調整し、チューナ内での空間合成を目的として使用することができる。ただし、このような放射特性の変調やアンプ内の部品間の遅延特性の調整が不要な場合には位相器45は設ける必要はない。
【0033】
可変ゲインアンプ46は、メインアンプ47へ入力するマイクロ波の電力レベルを調整し、個々のアンテナモジュールのばらつきを調整またはプラズマ強度調整のためのアンプである。可変ゲインアンプ46を各アンテナモジュール毎に変化させることによって、発生するプラズマに分布を生じさせることもできる。
【0034】
ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47は、例えば、入力整合回路と、半導体増幅素子と、出力整合回路と、高Q共振回路とを有する構成とすることができる。
【0035】
アイソレータ48は、マイクロ波導入機構41で反射してメインアンプ47に向かう反射マイクロ波を分離するものであり、サーキュレータとダミーロード(同軸終端器)とを有している。サーキュレータは、後述するマイクロ波導入機構41のアンテナ部43で反射したマイクロ波をダミーロードへ導き、ダミーロードはサーキュレータによって導かれた反射マイクロ波を熱に変換する。
【0036】
マイクロ波導入機構41は、図3の縦断面図、図4の横断面図に示すように、マイクロ波を伝送する同軸構造の導波路44と、導波路44を伝送されたマイクロ波をチャンバ1内に放射するアンテナ部43とを有している。そして、マイクロ波導入機構41からチャンバ1内に放射されたマイクロ波がチャンバ1内の空間で合成され、チャンバ1内で表面波プラズマが形成されるようになっている。
【0037】
導波路44は、筒状の外側導体52およびその中心に設けられた棒状の内側導体53が同軸状に配置されて構成されており、導波路44の先端にアンテナ部43が設けられている。導波路44は、内側導体53が給電側、外側導体52が接地側となっている。外側導体52および内側導体53の上端は反射板58となっている。
【0038】
導波路44の基端側にはマイクロ波(電磁波)を給電する給電機構54が設けられている。給電機構54は、導波路44(外側導体52)の側面に設けられたマイクロ波電力を導入するためのマイクロ波電力導入ポート55を有している。マイクロ波電力導入ポート55には、アンプ部42から増幅されたマイクロ波を供給するための給電線として、内側導体56aおよび外側導体56bからなる同軸線路56が接続されている。そして、同軸線路56の内側導体56aの先端には、外側導体52の内部に向けて水平に伸びる給電アンテナ90が接続されている。
【0039】
給電アンテナ90は、例えば、アルミニウム等の金属板を削り出し加工した後、テフロン(登録商標)等の誘電体部材の型にはめて形成される。反射板58から給電アンテナ90までの間には、反射波の実効波長を短くするためのテフロン(登録商標)等の誘電体からなる遅波材59が設けられている。なお、2.45GHz等の周波数の高いマイクロ波を用いた場合には、遅波材59は設けなくてもよい。このとき、給電アンテナ90から放射される電磁波を反射板58で反射させることで、最大の電磁波を同軸構造の導波路44内に伝送させる。その場合、給電アンテナ90から反射板58までの距離を約λg/4の半波長倍に設定する。ただし、周波数の低いマイクロ波では、径方向の制約のため、これに当てはまらない場合もある。その場合には、給電アンテナ90より発生させる電磁波の腹を給電アンテナ90ではなく、給電アンテナ90の下方に誘起させるように、給電アンテナの形状を最適化することが好ましい。
【0040】
給電アンテナ90は、図4に示すように、マイクロ波電力導入ポート55において同軸線路56の内側導体56aに接続され、電磁波が供給される第1の極92および供給された電磁波を放射する第2の極93を有するアンテナ本体91と、アンテナ本体91の両側から、内側導体53の外側に沿って延び、リング状をなす反射部94とを有し、アンテナ本体91に入射された電磁波と反射部94で反射された電磁波とで定在波を形成するように構成されている。アンテナ本体91の第2の極93は内側導体53に接触している。
【0041】
給電アンテナ90がマイクロ波(電磁波)を放射することにより、外側導体52と内側導体53との間の空間にマイクロ波電力が給電される。そして、給電機構54に供給されたマイクロ波電力がアンテナ部43に向かって伝播する。
【0042】
導波路44にはチューナ60が設けられている。チューナ60は、チャンバ1内の負荷(プラズマ)のインピーダンスをマイクロ波出力部30におけるマイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるものであり、外側導体52と内側導体53との間を上下に移動する2つのスラグ61a,61bと、反射板58の外側(上側)に設けられたスラグ駆動部70とを有している。
【0043】
これらスラグのうち、スラグ61aはスラグ駆動部70側に設けられ、スラグ61bはアンテナ部43側に設けられている。また、内側導体53の内部空間には、その長手方向に沿って例えば台形ネジが形成された螺棒からなるスラグ移動用の2本のスラグ移動軸64a,64bが設けられている。
【0044】
スラグ61aは、図5に示すように、誘電体からなる円環状をなし、その内側に滑り性を有する樹脂からなる滑り部材63が嵌め込まれている。滑り部材63にはスラグ移動軸64aが螺合するねじ穴65aとスラグ移動軸64bが挿通される通し穴65bが設けられている。一方、スラグ61bは、スラグ61aと同様、ねじ穴65aと通し穴65bとを有しているが、スラグ61aとは逆に、ねじ穴65aはスラグ移動軸64bに螺合され、通し穴65bにはスラグ移動軸64aが挿通されるようになっている。これによりスラグ移動軸64aを回転させることによりスラグ61aが昇降移動し、スラグ移動軸64bを回転させることによりスラグ61bが昇降移動する。すなわち、スラグ移動軸64a,64bと滑り部材63とからなるねじ機構によりスラグ61a,61bが昇降移動される。
【0045】
図6に示すように、内側導体53には長手方向に沿って等間隔に3つのスリット53aが形成されている。一方、滑り部材63は、これらスリット53aに対応するように3つの突出部63aが等間隔に設けられている。そして、これら突出部63aがスラグ61a,61bの内周に当接した状態で滑り部材63がスラグ61a,61bの内部に嵌め込まれる。滑り部材63の外周面は、内側導体53の内周面と遊びなく接触するようになっており、スラグ移動軸64a,64bが回転されることにより、滑り部材63が内側導体53を滑って昇降するようになっている。すなわち内側導体53の内周面がスラグ61a,61bの滑りガイドとして機能する。なお、スリット53aの幅は5mm以下とすることが好ましい。これにより、後述するように内側導体53の内部へ漏洩するマイクロ波電力を実質的になくすことができ、マイクロ波電力の放射効率を高く維持することができる。
【0046】
滑り部材63を構成する樹脂材料としては、良好な滑り性を有し、加工が比較的容易な樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を好適なものとして挙げることができる。
【0047】
上記スラグ移動軸64a,64bは、反射板58を貫通してスラグ駆動部70に延びている。スラグ移動軸64a,64bと反射板58との間にはベアリング(図示せず)が設けられている。また、内側導体53の下端には、導体からなる軸受け部67が設けられており、スラグ移動軸64a,64bの下端はこの軸受け部67に軸支されている。
【0048】
スラグ駆動部70は筐体71を有し、スラグ移動軸64aおよび64bは筐体71内に延びており、スラグ移動軸64aおよび64bの上端には、それぞれ歯車72aおよび72bが取り付けられている。また、スラグ駆動部70には、スラグ移動軸64aを回転させるモータ73aと、スラグ移動軸64bを回転させるモータ73bが設けられている。モータ73aの軸には歯車74aが取り付けられ、モータ73bの軸には歯車74bが取り付けられており、歯車74aが歯車72aに噛合し、歯車74bが歯車72bに噛合するようになっている。したがって、モータ73aにより歯車74aおよび72aを介してスラグ移動軸64aが回転され、モータ73bにより歯車74bおよび72bを介してスラグ移動軸64bが回転される。なお、モータ73a,73bは例えばステッピングモータである。
【0049】
なお、スラグ移動軸64bはスラグ移動軸64aよりも長く、より上方に達しており、したがって、歯車72aおよび72bの位置が上下にオフセットしており、モータ73aおよび73bも上下にオフセットしている。これにより、モータおよび歯車等の動力伝達機構のスペースを小さくすることができ、これらを収容する筐体71を外側導体52と同じ径にすることが可能となる。
【0050】
モータ73aおよび73bの上には、これらの出力軸に直結するように、それぞれスラグ61aおよび61bの位置を検出するためのインクリメント型のエンコーダ75aおよび75bが設けられている。
【0051】
スラグ61aおよび61bの位置は、スラグコントローラ68により制御される。具体的には、図示しないインピーダンス検出器により検出された入力端のインピーダンス値と、エンコーダ75aおよび75bにより検知されたスラグ61aおよび61bの位置情報に基づいて、スラグコントローラ68がモータ73aおよび73bに制御信号を送り、スラグ61aおよび61bの位置を制御することにより、インピーダンスを調整するようになっている。スラグコントローラ68は、終端が例えば50Ωになるようにインピーダンス整合を実行させる。2つのスラグのうち一方のみを動かすと、スミスチャートの原点を通る軌跡を描き、両方同時に動かすと位相のみが回転する。
【0052】
アンテナ部43は、マイクロ波を放射するスロットを有し平面状をなす、表面波プラズマを発生するための表面波プラズマ発生用アンテナ81を有している。表面波プラズマ発生用アンテナ81の詳細は後述する。
【0053】
アンテナ部43は、表面波プラズマ発生用アンテナ81の上面に設けられた遅波材82を有している。遅波材82の中心には導体からなる円柱部材82aが貫通して軸受け部67と表面波プラズマ発生用アンテナ81とを接続している。したがって、内側導体53が軸受け部67および円柱部材82aを介して表面波プラズマ発生用アンテナ81に接続されている。なお、外側導体52の下端は表面波プラズマ発生用アンテナ81まで延びており、遅波材82の周囲は外側導体52で覆われている。また、表面波プラズマ発生用アンテナ81および後述する天板83の周囲は被覆導体84で覆われている。
【0054】
遅波材82は、真空よりも大きい誘電率を有しており、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により構成されており、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてアンテナを小さくする機能を有している。遅波材82は、その厚さによりマイクロ波の位相を調整することができ、表面波プラズマ発生用アンテナ81が定在波の「はら」になるようにその厚さを調整する。これにより、反射が最小で、表面波プラズマ発生用アンテナ81の放射エネルギーが最大となるようにすることができる。
【0055】
また、表面波プラズマ発生用アンテナ81のさらに先端側には、真空シールのための誘電体部材、例えば石英やセラミックス等からなる天板83が配置されている。そして、メインアンプ47で増幅されたマイクロ波が内側導体53と外側導体52の周壁の間を通って表面波プラズマ発生用アンテナ81から天板83を透過してチャンバ1内の空間に放射される。
【0056】
本実施形態において、メインアンプ47と、チューナ60と、表面波プラズマ発生用アンテナ81とは近接配置している。そして、チューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とは1/2波長内に存在する集中定数回路を構成しており、かつ表面波プラズマ発生用アンテナ81、遅波材82、天板83は合成抵抗が50Ωに設定されているので、チューナ60はプラズマ負荷に対して直接チューニングしていることになり、効率良くプラズマへエネルギーを伝達することができる。
【0057】
表面波プラズマ処理装置100における各構成部は、マイクロプロセッサを備えた制御部110により制御されるようになっている。制御部110は表面波プラズマ処理装置100のプロセスシーケンスおよび制御パラメータであるプロセスレシピを記憶した記憶部や、入力手段およびディスプレイ等を備えており、選択されたプロセスレシピに従ってプラズマ処理装置を制御するようになっている。
【0058】
<表面波プラズマ発生用アンテナの構成>
次に、上記表面波プラズマ発生用アンテナ81の構成について説明する。
【0059】
[表面波プラズマ発生用アンテナの第1の実施形態]
図7は、表面波プラズマ発生用アンテナの第1の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、表面波プラズマ発生用アンテナ81は、全体が円板状(平面状)をなすとともに6個のスロット121が円周状に形成されている。これらスロット121は全て同じ形状の円弧状をなしており、いずれも太い円弧状をなす中央部121aと、中央部121aの円周方向端部の両側から円弧状に延びる第1の端部121bおよび第2の端部121cとを有している。そして、これらスロット121のうち隣接するもの同士の継ぎ目部分は、一方のスロット121の第1の端部121bが他方のスロット121の第2の端部121cと径方向に重なるように構成されている。すなわち、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成され、周方向にスロットのない部分が存在しないようにしている。第1の端部121bおよび第2の端部121cの径方向の幅は、中央部121aの径方向の幅の半分以下となっており、第1の端部121bは中央部121aの一方の円周方向端部の外側(外周側)から円周方向に延び、第2の端部121cは中央部121aの他方の円周方向端部の内側(内周側)から円周方向に延びている。そして、第1の端部121bの外周は中央部121aの外周に連続しており、第2の端部121cの内周は中央部121aの内周に連続している。このため、隣接するスロット121の継ぎ目部分において、第1の端部121bが外側に、第2の端部121cが内側になるように重なっており、6個のスロット121は、全体的に中央部121aと第1の端部121bの外周を結んだ線を外周とし中央部121aと第2の端部121cの内周を結んだ線を内周とする同じ幅の円環領域を形成するように設けられている。
【0060】
スロット121は、(λg/2)−δの長さを有する。ただし、λgはマイクロ波の実効波長であり、δは円周方向(角度方向)に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分(0を含む)である。なお、スロット121の長さは約λg/2に限らず、λg/2の整数倍から微調整成分(0を含む)を引いたものであればよい。中央部121a、第1の端部121b、第2の端部121cはほぼ均等な長さを有している。すなわち、スロット121の長さが(λg/2)−δのときには、それぞれ中央部121a、第1の端部121b、第2の端部121cは、それぞれ(λg/6)−δ1、(λg/6)−δ2、(λg/6)−δ3の長さとなる。ただし、δ1,δ2、δ3は円周方向(角度方向)に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分(0を含む)である。隣接するスロットがオーバーラップする部分の長さは等しいほうが好ましいので、δ2=δ3であることが好ましい。本実施形態の場合、一つのスロット121の長さが約λg/2であり、それが6個であるから合計の長さが約3λgであるが、そのうちオーバーラップ部分は(λg/6)×6=λgであり、全体の長さは2λgとなるから、アンテナとしては、長さが約λg/2のスロットを円周状に4つ配置した従来のアンテナとほぼ等価なものとなる。
【0061】
スロット121は、その内周が、表面波プラズマ発生用アンテナ81の中心から(λg/4)+δ′の位置になるように形成される。ただし、δ′は径方向の電界強度分布を均一にするために微調整する微調整成分(0を含む)である。なお、中心からスロット内周までの長さは約λg/4に限らず、λg/4の整数倍に微調整成分(0を含む)を加えたものであればよい。
【0062】
[表面波プラズマ発生用アンテナの第2の実施形態]
図8は、表面波プラズマ発生用アンテナの第2の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、表面波プラズマ発生用アンテナ81は、全体が円板状(平面状)をなすとともに、6個のスロット131が全体形状が円周状になるように形成されている。これらスロット131は全て同じ形状であり、円周に沿って細長い形状に形成されている。これらスロット131のうち隣接するもの同士の継ぎ目部分は、一方のスロット131の端部と他方のスロット131の端部とが重なるように構成されている。すなわち、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成され、周方向にスロットのない部分が存在しないようにしている。具体的には、スロット131の両端にそれぞれ隣接するスロット131と重なる第1の端部131bおよび第2の端部131cを有しており、第1の端部131bと第2の端部131cとの間の重なりのない部分が中央部131aとなっている。そして、隣接するスロット131のうち、一方の第1の端部131bと他方の第2の端部131cが、第1の端部131bが外側に第2の端部131cが内側になるように重なっている。中央部131aは、外側にある第1の端部131bと内側にある第2の端部131cとを繋いでいるため、図8に示す6個のスロット131を内包する二点鎖線で示す円環領域132において外周と一致する第1の端部131bと内周と一致する第2の端部131cの間を斜めに結ぶようになっている。
【0063】
スロット131は、第1の実施形態のスロット121と同様、(λg/2)−δの長さを有する。δは第1の実施形態と同様である。この実施形態においても、スロット131の長さは約λg/2に限らず、λg/2の整数倍から微調整成分(0を含む)を引いたものであればよい。中央部131a、第1の端部131b、第2の端部131cは、第1の実施形態の中央部121a、第1の端部121b、第2の端部121cと同様、ほぼ均等な長さを有している。すなわち、スロット131の長さが(λg/2)−δのときには、それぞれ中央部131a、第1の端部131b、第2の端部131cは、それぞれ(λg/6)−δ1、(λg/6)−δ2、(λg/6)−δ3の長さとなる。δ1,δ2、δ3は第1の実施形態と同様である。また、隣接するスロットがオーバーラップする部分の長さは等しいほうが好ましいので、δ2=δ3であることが好ましい。本実施形態の一つのスロット131の長さは、第1の実施形態のスロット121と同様、約λg/2であり、それが6個であるから合計の長さが約3λgであるが、そのうちオーバーラップ部分は(λg/6)×6=λgであり、全体の長さは2λgとなるから、アンテナとしては、長さが約λg/2のスロットを円周状に4つ配置した従来のアンテナとほぼ等価なものとなる。
【0064】
スロット131は、その内周(上記円環領域132の内周)が、第1の実施形態のスロット121と同様、表面波プラズマ発生用アンテナ81の中心から(λg/4)+δ′の位置になるように形成される。なお、中心からスロット内周までの長さは約λg/4に限らず、λg/4の整数倍に微調整成分(0を含む)を加えたものであればよい。
【0065】
[表面波プラズマ発生用アンテナの第3の実施形態]
図9は、表面波プラズマ発生用アンテナの第3の実施形態を示す平面図である。本実施形態では、表面波プラズマ発生用アンテナ81は、全体が円板状(平面状)をなすとともに、4個の円弧状のスロット141が所定間隔をおいて円周状に形成され、その内側に4個の円弧状のスロット142が所定間隔をおいて円周状に形成されている。そして、外側のスロット141の外周から内側のスロット142の内周までの長さLは、4個のスロットを円周状に配置した従来のスロットの幅とほぼ同等とされ、外側のスロット141の間のフレーム部分141a(継ぎ目部分)と内側のスロット142の間のフレーム部分142a(継ぎ目部分)が径方向で重ならないようになっている。すなわち、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成され、周方向に外側のスロット141および内側のスロット142の少なくとも一方が必ず存在するようにしている。図9では、外側のスロット141の間のフレーム部分141aが内側のスロット142の中央に位置し、内側のスロット142の間のフレーム部分142aが外側のスロット141の中央に位置している。
【0066】
スロット141は(λg/2)−δ4の長さを有し、スロット142は(λg/2)−δ5の長さを有する。δ4、δ5は、円周方向(角度方向)に電界強度の均一性が高くなるように微調整する微調整成分(0を含む)である。なお、スロット141、142の長さは約λg/2に限らず、λg/2の整数倍から微調整成分(0を含む)を引いたものであればよい。
【0067】
スロット141,142は、内側のスロット142の内周が、第1の実施形態のスロット121と同様、表面波プラズマ発生用アンテナ81の中心から(λg/4)+δ′の位置になるように形成される。なお、中心からスロット内周までの長さは約λg/4に限らず、λg/4の整数倍に微調整成分(0を含む)を加えたものであればよい。
【0068】
<表面波プラズマ処理装置の動作>
次に、以上のように構成される表面波プラズマ処理装置100における動作について説明する。
まず、ウエハWをチャンバ1内に搬入し、サセプタ11上に載置する。そして、プラズマガス供給源27から配管28およびプラズマガス導入部材26を介してチャンバ1内にプラズマガス、例えばArガスを導入しつつ、マイクロ波プラズマ源2からマイクロ波をチャンバ1内に導入して表面波プラズマを生成する。
【0069】
このようにして表面波プラズマを生成した後、処理ガス、例えばCl2ガス等のエッチングガスが処理ガス供給源25から配管24およびシャワープレート20を介してチャンバ1内に吐出される。吐出された処理ガスは、シャワープレート20の空間部23を通過してきたプラズマにより励起されてプラズマ化し、この処理ガスのプラズマによりウエハWにプラズマ処理、例えばエッチング処理が施される。
【0070】
上記表面波プラズマを生成するに際し、マイクロ波プラズマ源2では、マイクロ波出力部30のマイクロ波発振器32から発振されたマイクロ波電力はアンプ33で増幅された後、分配器34により複数に分配され、分配されたマイクロ波電力はマイクロ波供給部40へ導かれる。マイクロ波供給部40においては、このように複数に分配されたマイクロ波電力は、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47で個別に増幅され、マイクロ波導入機構41の導波路44に給電され、チューナ60でインピーダンスが自動整合され、電力反射が実質的にない状態で、アンテナ部43の表面波プラズマ発生用アンテナ81および天板83を介してチャンバ1内に放射されて空間合成される。
【0071】
マイクロ波導入機構41の導波路44への給電は、同軸構造の導波路44の軸の延長線上にスラグ駆動部70が設けられているため、側面から行われる。すなわち、同軸線路56から伝播してきたマイクロ波(電磁波)が、導波路44の側面に設けられたマイクロ波電力導入ポート55において給電アンテナ90の第1の極92に到達すると、アンテナ本体91に沿ってマイクロ波(電磁波)が伝播して行き、アンテナ本体91の先端の第2の極93からマイクロ波(電磁波)を放射する。また、アンテナ本体91を伝播するマイクロ波(電磁波)が反射部94で反射し、それが入射波と合成されることにより定在波を発生させる。給電アンテナ90の配置位置で定在波が発生すると、内側導体53の外壁に沿って誘導磁界が生じ、それに誘導されて誘導電界が発生する。これらの連鎖作用により、マイクロ波(電磁波)が導波路44内を伝播し、アンテナ部43へ導かれる。
【0072】
このとき、導波路44において、給電アンテナ90から放射されるマイクロ波(電磁波)を反射板58で反射させることで最大のマイクロ波(電磁波)電力を同軸構造の導波路44に伝送することができるが、その場合、反射波との合成を効果的に行うために給電アンテナ90から反射板58までの距離が約λg/4の半波長倍になるようにすることが好ましい。
【0073】
このように複数に分配されたマイクロ波を、ソリッドステートアンプを構成するメインアンプ47で個別に増幅し、表面波プラズマ発生用アンテナ81を用いて個別に放射した後にチャンバ1内で合成するので、大型のアイソレータや合成器が不要となる。
【0074】
また、マイクロ波導入機構41は、アンテナ部43とチューナ60とが一体となっているので、極めてコンパクトである。このため、マイクロ波プラズマ源2自体をコンパクト化することができる。さらに、メインアンプ47、チューナ60および表面波プラズマ発生用アンテナ81が近接して設けられ、特にチューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とは集中定数回路として構成することができ、かつ表面波プラズマ発生用アンテナ81、遅波材82、天板83の合成抵抗を50Ωに設計することにより、チューナ60により高精度でプラズマ負荷をチューニングすることができる。また、チューナ60は2つのスラグ61a,61bを移動するだけでインピーダンス整合を行うことができるスラグチューナを構成しているのでコンパクトで低損失である。さらに、このようにチューナ60と表面波プラズマ発生用アンテナ81とが近接し、集中定数回路を構成してかつ共振器として機能することにより、表面波プラズマ発生用アンテナ81に至るまでのインピーダンス不整合を高精度で解消することができ、実質的に不整合部分をプラズマ空間とすることができるので、チューナ60により高精度のプラズマ制御が可能となる。
【0075】
さらにまた、スラグを駆動ささせるための駆動伝達部、駆動ガイド部、保持部に相当するものを内側導体53の内部に設けたので、スラグ61a,61bの駆動機構を小型化することができ、マイクロ波導入機構41を小型化することができる。
【0076】
ところで、上述したように、マイクロ波導入機構41の導波路44に給電されたマイクロ波は、アンテナ部43の表面波プラズマ発生用アンテナ81および天板83を介してチャンバ1内に放射されるが、表面波プラズマ発生用アンテナ81に、従来のように、複数の円弧状のスロットが円周状に均等に形成されている場合には、スロットとスロットとの継ぎ目の開口部のない部分(ビーム部分)で電磁波強度が弱くなり、プラズマ密度がその部分だけ減少する。
【0077】
例えば図10に示すような、4個の円弧状のスロット81aが円周状に均等に形成された従来の表面波プラズマ発生用アンテナ81′の場合には、スロット81aの中央位置A、スロット中央とビームとの間の位置B、ビーム位置Cにおける電磁波強度が異なるため、その直下位置の電界が弱くなってプラズマ密度が図11に示すようにばらついてしまう。なお、図11の横軸は石英天板の端部からの径方向の距離を示している。
【0078】
このときの図12に示すサークル1およびサークル2における電磁界シミュレーションによる電界強度を図13に示す。図12のサークル1はスロット81aの外周位置を周方向(角度方向)にたどったものであり、サークル2はスロット81aの内周よりも内側部分を周方向(角度方向)にたどったものである。図13は横軸にサークル1およびサークル2の基準位置からの長さをとり、縦軸に電磁界シミュレーションによる電界強度をとっている。図13に示すように、スロットとスロットとの間のビーム位置において電界強度が低下しており、その影響がスロットの内側にも現れているのがわかる。
【0079】
そこで、表面波プラズマ発生用アンテナ81を、上述した図7〜9に示す第1〜第3の実施形態のようなものとし、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分が、スロットに覆われるように構成し、周方向にスロットのない部分が存在しないようにした。これにより、スロットとスロットとの継ぎ目部分においてスロットが存在しないことによる電磁波強度が弱くなることが防止され、周方向(角度方向)の電界強度が均一なものとなる。このため均一なプラズマ密度を得ることができる。
【0080】
上記図7〜9に示す第1〜第3の実施形態の表面波プラズマ発生用アンテナを用いた場合の電磁界シミュレーションによる周方向(角度方向)の電界強度分布を図14〜16に示す。これらの図では、上記図12に示すサークル1およびサークル2の位置における電界強度を示すものである。これらの図に示すように、上記第1〜第3の実施形態の表面波プラズマ用アンテナを用いた場合には、周方向(角度方向)の電界強度が均一になることが確認された。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の思想の範囲内において種々変形可能である。例えば、マイクロ波出力部30やマイクロ波供給部40の構成等は、上記実施形態に限定されるものではない。具体的には、アンテナから放射されるマイクロ波の指向性制御を行ったり円偏波にしたりする必要がない場合には、位相器は不要である。
【0082】
また、上記表面波プラズマ発生用アンテナのスロットの形状、数および配置は例示に過ぎず、円周状に複数のスロットが配置され、隣接するスロット間の継ぎ目部分がスロットで覆われる構成をとる限り、スロットの数、形状および配置は限定されるものではない。特に、スロットの数は2以上の自然数の中から任意に選択することができる。
【0083】
さらに、上記実施形態においては、プラズマ処理装置としてエッチング処理装置を例示したが、これに限らず、成膜処理、酸窒化膜処理、アッシング処理等の他のプラズマ処理にも用いることができる。また、被処理基板は半導体ウエハWに限定されず、LCD(液晶ディスプレイ)用基板に代表されるFPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、セラミックス基板等の他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1;チャンバ
2;マイクロ波プラズマ源
11;サセプタ
12;支持部材
15;排気管
16;排気装置
17;搬入出口
20;シャワープレート
30;マイクロ波出力部
31;マイクロ波電源
32;マイクロ波発振器
40;マイクロ波供給部
41;マイクロ波導入機構
43;アンテナ部
44;導波路
52;外側導体
53;内側導体
54;給電機構
55;マイクロ波電力導入ポート
56;同軸線路
58;反射板
59;遅波材
60;チューナ
81;表面波プラズマ発生用アンテナ
90;給電アンテナ
100;表面波プラズマ処理装置
110;制御部
121,131,141,142;スロット
121a,131a;中央部
121b,131b;第1の端部
121c,131c;第2の端部
W;半導体ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波出力部から、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路を介して伝送されたマイクロ波をチャンバ内に放射して、チャンバ内に表面波プラズマを発生させるための、表面波プラズマ発生用アンテナであって、
平面状をなすとともに複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分がスロットに覆われるように構成されていることを特徴とする表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項2】
前記隣接するスロットとスロットとは、その継ぎ目部分において、径方向に重なっていることを特徴とする請求項1に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項3】
前記スロットは、中央部とそこから両側に延びる第1の端部および第2の端部を有しており、隣接するスロットのうち一方の第1の端部と他方の第2の端部とが径方向に重なっていることを特徴とする請求項2に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項4】
前記中央部、前記第1の端部、および前記第2の端部は、実質的に同じ長さを有していることを特徴とする請求項3に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項5】
前記スロットの前記中央部は所定幅を有し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記中央部の幅の半分以下の幅を有し、前記第1の端部と前記第2の端部とが重なる部分は、前記中央部と同じ幅を有し、前記複数のスロットの存在領域が円環状をなしていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項6】
前記スロットは細長い形状に形成されており、前記複数のスロットは、円環領域に内包するように設けられ、前記第1の端部が隣接するスロットの第2の端部の外側に形成され、前記第2の端部が隣接するスロットの第1の端部の内側に形成され、前記中央部は、外側の第1の端部から内側の第2の端部に向けて、前記円環領域の外側部分から内側部分を斜めに横切るように設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項7】
前記複数のスロットは、円周状に複数形成された外側円弧状スロットと、その内側に円周状に複数形成された内側円弧状スロットとで構成され、前記外側円弧状スロット同士の継ぎ目部分と前記内側円弧状スロット同士の継ぎ目部分が径方向に重ならないように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項8】
被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構と、
マイクロ波電源を有し、マイクロ波を生成して出力するマイクロ波出力部、および出力されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を備え、前記チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスの表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源と
を具備し、
前記マイクロ波導入機構は、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路と、導波路を介して伝送されたマイクロ波を、チャンバ内に放射するための、表面波プラズマ発生用アンテナとを有し、前記表面波プラズマ発生用アンテナとして、請求項1から請求項7のいずれかに記載のものを用いることを特徴とする表面波プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記マイクロ波導入機構は、前記導波路に設けられた、前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の表面波プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記マイクロ波導入機構を複数有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の表面波プラズマ処理装置。
【請求項1】
マイクロ波出力部から、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路を介して伝送されたマイクロ波をチャンバ内に放射して、チャンバ内に表面波プラズマを発生させるための、表面波プラズマ発生用アンテナであって、
平面状をなすとともに複数のスロットが円周状に形成され、かつ、円周方向に隣接するスロットとスロットとの継ぎ目部分がスロットに覆われるように構成されていることを特徴とする表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項2】
前記隣接するスロットとスロットとは、その継ぎ目部分において、径方向に重なっていることを特徴とする請求項1に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項3】
前記スロットは、中央部とそこから両側に延びる第1の端部および第2の端部を有しており、隣接するスロットのうち一方の第1の端部と他方の第2の端部とが径方向に重なっていることを特徴とする請求項2に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項4】
前記中央部、前記第1の端部、および前記第2の端部は、実質的に同じ長さを有していることを特徴とする請求項3に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項5】
前記スロットの前記中央部は所定幅を有し、前記第1の端部および前記第2の端部は前記中央部の幅の半分以下の幅を有し、前記第1の端部と前記第2の端部とが重なる部分は、前記中央部と同じ幅を有し、前記複数のスロットの存在領域が円環状をなしていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項6】
前記スロットは細長い形状に形成されており、前記複数のスロットは、円環領域に内包するように設けられ、前記第1の端部が隣接するスロットの第2の端部の外側に形成され、前記第2の端部が隣接するスロットの第1の端部の内側に形成され、前記中央部は、外側の第1の端部から内側の第2の端部に向けて、前記円環領域の外側部分から内側部分を斜めに横切るように設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項7】
前記複数のスロットは、円周状に複数形成された外側円弧状スロットと、その内側に円周状に複数形成された内側円弧状スロットとで構成され、前記外側円弧状スロット同士の継ぎ目部分と前記内側円弧状スロット同士の継ぎ目部分が径方向に重ならないように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表面波プラズマ発生用アンテナ。
【請求項8】
被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内にガスを供給するガス供給機構と、
マイクロ波電源を有し、マイクロ波を生成して出力するマイクロ波出力部、および出力されたマイクロ波を前記チャンバ内に導入するマイクロ波導入機構を備え、前記チャンバ内にマイクロ波を導入して前記チャンバ内に供給されたガスの表面波プラズマを発生させるマイクロ波プラズマ源と
を具備し、
前記マイクロ波導入機構は、外側導体と内側導体とからなる同軸状の導波路と、導波路を介して伝送されたマイクロ波を、チャンバ内に放射するための、表面波プラズマ発生用アンテナとを有し、前記表面波プラズマ発生用アンテナとして、請求項1から請求項7のいずれかに記載のものを用いることを特徴とする表面波プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記マイクロ波導入機構は、前記導波路に設けられた、前記チャンバ内の負荷のインピーダンスを前記マイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の表面波プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記マイクロ波導入機構を複数有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の表面波プラズマ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−182076(P2012−182076A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45413(P2011−45413)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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