説明

表面粗さ測定装置

【課題】本発明は、複数枚のウエハの表面粗さの測定を連続で自動的に行うことができ、測定効率を向上させることができる表面粗さ測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のウエハ70を載置できる回転駆動可能なステージ10と、
該ステージ上で前記複数のウエハを同心円状に位置決め固定する位置決め手段50と、
上下方向及び水平方向に直線的に移動可能に支持された接触子21を、所定の測定位置にあるウエハの表面に接触させて水平方向に直線移動させることにより、該ウエハの表面粗さを測定する表面粗さ測定手段20と、
測定対象となる測定対象ウエハを前記所定の測定位置に前記ステージを回転させて移動させ、前記表面粗さ測定手段により該測定対象ウエハの表面粗さを測定する一連の動作を前記複数のウエハに対して順次行うように前記ステージ及び前記表面粗さ測定手段を制御する制御手段40と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面粗さ測定装置に関し、特に、上下方向及び水平方向に直線的に移動可能に支持された接触子を、所定の測定位置にあるウエハの表面に接触させて水平方向に直線移動させることにより、ウエハの表面粗さを測定する表面粗さ測定手段を有する表面粗さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハなどの半導体ウエハの表面には、微細な回路が形成されるため、加工工程によっては、ミクロンオーダからオングストロームオーダの表面粗さしか許容されず、高水準の平滑さが求められる。よって、半導体プロセスの各加工工程における加工方式や、加工条件を適切に設定することが不可欠である。かかる半導体プロセスの各加工工程において、ウエハ表面の表面粗さを正確に知るために、表面粗さ計を用いた計測が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ウエハの加工では、砥粒を用いた加工が主流となっており、加工方式や加工条件によって加工面の表面粗さは面内で差異が生じる。よって、加工方式によっては、加工面の面内分布を考慮して表面粗さを測定することが必要となり、1枚のウエハから複数点の表面粗さを測定することが一般的に行われている。
【0004】
図1は、従来の表面粗さ計によるウエハの表面粗さの測定方法を説明するための図であり、図1(A)は、従来の表面粗さ計の一例を示した構成図である。図1(A)において、支持台130上に、被測定物であるウエハ170を載置するためのステージ110及び支柱124が設けられている。支柱124には、接触子121を上下方向に移動させる上下アーム123が取り付けられ、上下アーム123には接触子121を水平方向に移動させる水平アーム122が取り付けられている。接触子121は針状の形状をしており、水平アーム122の先端に設けられている。接触子121により測定されたデータは、記録手段126に保存されるようになっている。
【0005】
次に、図1(A)に示した従来の表面粗さ計を用いたウエハの表面粗さ測定方法について説明する。まず、ウエハ170を作業者がステージ110の上に載置し、接触子121をウエハ170の測定位置に移動させた後に測定を開始する。次に、接触子121がウエハ170に接触する位置まで上下アーム123が下降する。次に、水平アーム122が手前側に移動することにより、接触子121がウエハ170の表面を直線状に引っ張る動作をしながら手前側に移動する。このとき、接触子121の圧力変化を検知することにより、接触子121の位置情報とウエハ170の表面粗さ情報を測定し、測定データを記録手段126に記録する。一般的に、接触子121は、一測定点につき被測定物であるウエハ170に接触しながら5mm〜15mmの直線距離を移動し、ウエハ170の表面粗さを測定する。
【0006】
図1(B)は、従来の表面粗さ計を用いたウエハの表面粗さ測定方法において、ウエハの測定点を示した図である。図1(B)に示すように、ウエハ170の表面粗さの測定点171〜175は、表面粗さの面内分布を考慮して、十字方向の4点と中心を加えた計5点とする場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平4−35761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図1に示した従来の表面粗さ計を用いた表面粗さの測定では、ステージ110の中心にウエハ170を置いて、十字方向の4点と中心を加えた計5点の表面粗さを測定する場合には、最初に一方向の直線上における測定を終えた後、作業者が手動でステージ110を90°回転させて、再度、もう一方の直線の粗さを測定する必要があった。そのため、表面粗さ測定中は、常時作業者が回転ステージ10を90°回転させるためとウエハ10を交換するために装置の近くに待機していなければならず、作業効率が悪くなるという問題があった。
【0009】
一方、ロボットでウエハ170をハンドリングさせる方法は、ウエハ170の取り出し、載置などが必要で、さらに、ステージを正確に回転させる必要があるため、非常に高価で大掛かりなものとなってしまうという問題があった。特に、近年は、シリコンウエハのみならず、サファイア基板等のウエハも利用されており、このようなウエハの表面粗さを測定する必要があるが、このような基板は小ロットで生産される場合が多い。よって、ロボットの導入は費用対効果の面から好ましくなく、現実的な解決手段とはならないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、安価に構成可能でありながら、複数枚のウエハの表面粗さの測定を連続で自動的に行うことができ、測定効率を向上させることができる表面粗さ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係る表面粗さ測定装置は、複数のウエハを載置できる回転駆動可能なステージと、
該ステージ上で前記複数のウエハを同心円状に位置決め固定する位置決め手段と、
上下方向及び水平方向に直線的に移動可能に支持された接触子を、所定の測定位置にあるウエハの表面に接触させて水平方向に直線移動させることにより、該ウエハの表面粗さを測定する表面粗さ測定手段と、
前記位置決め手段により同心円状に位置決め固定された前記複数のウエハのうち、測定対象となる測定対象ウエハを前記所定の測定位置に前記ステージを回転させて移動させ、前記表面粗さ測定手段により該測定対象ウエハの表面粗さを測定する一連の動作を、前記複数のウエハに対して順次連続的に行うように前記ステージ及び前記表面粗さ測定手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
これにより、自動的に連続で複数のウエハの表面粗さを測定することができ、測定効率を著しく向上させることができるとともに、自動化により、作業者の負担も軽減することができる。
【0013】
また、前記測定対象ウエハ上に複数の表面粗さ測定ポイントがあり、該複数の表面粗さポイントが、前記接触子が水平移動する移動直線上にない配置関係を含む場合には、
前記制御手段は、前記ステージを回転させることにより前記移動直線上にない表面粗さポイントを前記接触子の前記移動直線上に移動させ、前記移動直線上に移動した該表面粗さポイントを測定する制御を行うように構成されてもよい。
【0014】
これにより、測定対象ウエハの表面にある測定ポイントが同一直線上に無くても、ステージの回転制御により自動的に連続で表面粗さ測定を行うことができる。
【0015】
また、前記複数の表面粗さポイントの位置は、前記ステージの回転角度情報及び前記接触子の水平方向位置情報として予め記憶手段に記憶され、
前記制御手段は、該記憶手段に記憶された前記回転角度情報及び前記水平位置情報に基づいて、前記複数の表面粗さポイントにおける表面粗さを連続的に測定する制御を行うように構成されてもよい。
【0016】
これにより、同一ウエハの表面に測定ポイントが複数ある場合は、予め測定ポイントを回転方向位置は回転角度情報として、また、水平方向位置は水平方向位置情報として記憶しておき、複数枚の複数ポイントを総て連続で自動的に測定することができる。
【0017】
また、前記接触子は、水平方向に直線的に移動する水平アームに支持されており、
前記水平位置情報は、該水平アームのストローク情報として記憶されてもよい。
【0018】
また、前記位置決め手段は、前記複数のウエハを載置する位置に前記ウエハの外周に沿って前記ウエハの周囲を囲むことができる形状及び大きさのウエハ位置決め穴が形成された位置決め用シートであってもよい。
【0019】
これにより、ステージ上に複数枚のウエハを載置するときに、作業員がステージ上にウエハを手で置いても、置いた位置にばらつきを発生させず、ステージ上の所定位置にウエハを位置決め固定することができる。
【0020】
また、前記ステージ上に2個以上の突起が設けられ、
前記ウエハ位置決めシートは、該突起と嵌合するシート位置決め穴を有してもよい。
【0021】
これにより、ステージとウエハ位置決めシート、ウエハ位置決めシートとウエハとの間にずれを生じさせないようにすることができる。
【0022】
また、前記ウエハ位置決めシートは、厚さ0.1〜2mmの樹脂製のシートであってもよい。
【0023】
また、前記表面粗さ測定手段は、前記接触子を上下動させる上下アームと、
該上下アームの上昇を検出するアーム上昇センサとを有し、
前記制御手段は、前記アーム上昇センサによる上下アームの上昇検出により前記表面粗さ測定ポイントの表面粗さ測定終了を検出し、該表面粗さ測定終了の検出後に次の制御動作を行うように構成してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数枚のウエハの表面粗さを、連続で自動的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の表面粗さ計によるウエハの表面粗さの測定方法の説明図である。図1(A)は、従来の表面粗さ計を示した構成図である。図1(B)は、従来の表面粗さ計を用いたウエハの表面粗さ測定方法におけるウエハの測定点を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表面粗さ測定装置の一例を示した図である。図2(A)は、本実施形態に係る表面粗さ装置の一例の全体構成を示した図である。図2(B)は、5つの測定ポイントを測定する場合の測定ポイントの一例を示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表面粗さ装置のウエハ位置決め手段の一例としてウエハ位置決めシートを示した図である。図3(A)は、ウエハ位置決めシートの一例を示した構成図である。図3(B)は、ウエハ位置決めシートのステージへの設置方法を示した図である。
【図4】測定対象となるウエハ70の測定点の位置関係の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0027】
図2は、本発明の実施形態に係る表面粗さ測定装置の一例を示した図である。図2(A)は、本実施形態に係る表面粗さ装置の一例の全体構成を示した図である。図2(A)において、本実施形態に係る表面粗さ装置は、ステージ10と、サーボモーター13と、原点センサ14と、表面粗さ測定手段20と、支持台30と、制御機40と、情報入力機器42と、ウエハ位置決めシート50とを備える。また、表面粗さ測定手段20は、接触子21と、水平アーム22と、上下アーム23と、支柱24と、アーム上昇センサ25と、記録手段26とを備える。また、制御機40は、内部に記憶手段41を備える。また、図2(A)において、関連構成要素として複数枚のウエハ70が示されている。
【0028】
支持台30は、ステージ10及び表面粗さ測定手段20を支持するための基台であり、支持台30上に、ステージ10と、表面粗さ測定手段20の支柱24が設けられている。支柱24には、接触子21を上下方向に移動させる上下アーム23が取り付けられ、上下アーム23には接触子21を水平方向に移動させる水平アーム22が取り付けられている。接触子21は針状の形状をしており、水平アーム22の先端に設けられている。接触子21により測定されたデータは、記録手段26に保存されるようになっている。
【0029】
表面粗さ測定手段20は、ステージ10上の所定の測定位置にある測定対象となるウエハ70の表面粗さを測定するための手段である。表面粗さ測定手段20による表面粗さの測定は、接触子21を上下アーム23により下降させ、ウエハ70の表面に接触させた状態で、水平アーム22を手前に引くように支柱24側に水平移動させ、ウエハ70の表面粗さを測定する。上下アーム22及び水平アーム23の双方とも、直線的に移動するので、接触子21がウエハ70の表面を直線移動する際に、ウエハ70の表面粗さが測定される。なお、ウエハ70の表面粗さを測定する所定の測定位置は、水平アーム22が移動可能な移動直線上の位置であればよいが、接触子21の移動距離を少なくする観点から、支柱24寄りの手前側であることが好ましい。なお、一般的に接触子21の移動距離は、一測定点につき被測定物であるウエハ70に接触をさせながら5mm〜15mmの直線を移動し、表面粗さを測定する。
【0030】
ステージ10は、被測定物であるウエハ70を載置するための手段である。ステージ10には、制御機40からの制御信号に従い、ステージ10を所望の角度に回転させるためのサーボモーター13が設けられている。よって、ステージ10は、回転駆動可能であり、制御機40によりその駆動を制御可能に構成されている。なお、ステージ10の原点は、原点センサ14により特定できるように構成されている。原点センサ14は、ステージ10の原点位置を検出するための検出手段であり、ステージ10が原点位置に来たときに、支持台30側とステージ10側に設けられた1対の原点センサ14が対向するような配置で設けられてよい。例えば、一方から光を発射し、他方で光を受光するように構成すれば、ステージ10の原点位置を検出し、原点位置決めを行うことができる。
【0031】
また、ステージ10はステージ10の表面外周寄りの円周上に複数のウエハ70を載置可能な構成となっている。具体的には、ウエハ70の載置位置を正確に決めるための位置決め手段50が設けられており、ウエハ70を位置決め固定できる構成となっている。ウエハ位置決め手段50は、ウエハ70を位置決め固定するために、ウエハ70よりも少しだけ大きい相似形状を有し、ウエハ70の周囲をウエハ70の外周に沿って囲むような凹部を形成するための手段である。なお、位置決め手段50の詳細については、後述する。
【0032】
制御機40は、ステージ10の回転駆動及び表面粗さ測定手段20による表面粗さ測定を制御する制御手段である。本実施形態に係る表面粗さ測定装置においては、所定の測定位置にある1枚のウエハ70の表面粗さ測定が終了したら、上下アーム23を上昇させ、ステージ10を回転させて次のウエハ70を所定の測定位置に移動させ、上下アーム23を下降させて次の測定対象であるウエハ70の表面粗さを測定する連続測定動作を行う。よって、制御機40は、上下アーム23の上昇を検出するとともに、サーボモーター13と表面粗さ測定手段20の動作を同期させて駆動制御を行う必要がある。従って、制御機40は、電気的にサーボモーター13とアーム上昇センサ25に接続されるともに、接触子21、上下アーム23及び水平アーム22に接続されている。なお、アーム上昇センサ25は、上下アーム23の上昇を検出する検出手段である。一点の測定ごとに上下アーム23が上昇下降するので、アーム上昇センサ25は、測定完了のタイミングを図るためと動作インタロックの役割をしている。また、制御機40は、情報入力機器42に入力されたステージ10の回転角度情報を記憶手段41により記憶し、記憶した回転角度得情報に基づいて、サーボモーター13に角度指令を出し、ステージ10を実際に回転させることができる。このような連続的な動作をすることにより、自動で連続測定を可能にする。なお、記憶手段41は、必ずしも制御機40の内部に設けられている必要は無く、情報入力機器42側に備えられ、制御機40が記憶情報を読み取って駆動制御を行う構成であってもよい。
【0033】
図2(B)は、表面粗さ測定手段20により5つの測定ポイントを測定する場合の測定ポイントの一例を示した図である。図2(B)において、測定ポイント71〜75は、位置自体は、図1(B)で説明したように、直交する異なる2直線上にあるが、接触子21が移動する方向は、直交する関係には無い。つまり、測定ポイント72、73、74は1本の直線上にあるが、測定ポイント71は、測定ポイント72、73、74よりも右側に傾斜しており、測定ポイント75は、測定ポイント72、73、74よりも左側に傾斜した状態となっている。本実施形態に係る表面粗さ測定装置においては、1枚のウエハ70に測定点が複数ある場合であっても、ステージ10を90度回転させるのではなく、測定ポイント71、測定ポイント72〜74、測定ポイント75同士を接触子21の移動直線上に来るように僅かだけ移動させる駆動制御を行う。そのため、両側端部にある測定ポイント71、75は、測定ポイント72〜74と接触子21の移動方向が直交する関係にはなく、少しだけ角度が異なる方向となっている。なお、この点の詳細については後述する。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る表面粗さ装置のウエハ位置決め手段50の一例として、ウエハ位置決めシート51を示した図である。図3(A)は、ウエハ位置決めシート51の一例を示した構成図である。図3(A)に示すように、図2で説明したウエハ位置決め手段50は、例えば、シート状のウエハ位置決めシート51として構成することができる。ウエハ位置決めシート51は、ウエハ位置決め穴52と、シート位置決め穴53とを有する。ウエハ位置決め穴52は、ウエハ70を位置決め固定するための穴であり、ステージ10上に載置することにより、ステージ10の表面にウエハ位置決めシート51の厚さ分の深さを有する凹部を形成することができる。シート位置決め穴53は、ステージ10の表面上に、例えばピンのような突起を設けた場合に、シート位置決め穴53を突起に嵌合させることにより、ウエハ位置決めシート51をステージ10上に固定設置するために設けられた穴である。
【0035】
図3に示すウエハ位置決めシート51を用いた場合は、測定するウエハ70の大きさ、枚数に応じて、ウエハ位置決めシート51に形成されたウエハ位置決め穴52を変更したものを用いることにより、種々のウエハの表面粗さ測定を行うことが可能になる。
【0036】
図3(B)は、ウエハ位置決めシート51のステージ10への設置方法を示した図である。図3(B)において、ステージ10の表面11に、位置きめ用のピン12が設けられている。ピン12はステージ10の表面11に固定されている。また、上述のように、ウエハ位置決めシート51は、ピン12とほぼ同じ直径の穴であるシート位置決め穴53を有し、回転時でも位置がずれないようになっている。また、ウエハ位置決めシート51の厚さは、例えば0.1〜2mmであり、ウエハ70が引っ掛かる厚さになっている。また、ウエハ位置決めシート51は、ウエハ70とほぼ同じ大きさのウエハ位置決め穴52が設けられており、ウエハ70を載せることにより回転ステージ10上にウエハ70を固定することができる。
【0037】
なお、ウエハ位置決めシート51は、ウエハ70を位置決め固定できる厚さと硬度を有すれば、種々の材料で構成されてよいが、例えば、樹脂製のシートとして構成されてもよい。例えば、厚さ1mm程度のポリプロピレン製樹脂のウエハ位置決めシート51を用いるようにしてもよい。
【0038】
このように、位置決め手段50は、ステージ10の表面11上に位置決め用のピン12を設けるとともに、円盤状のシートにウエハ位置決め穴52及びシート位置決め穴53を設け、これを回転ステージ10上に載置して構成してもよい。ピン12をシート位置決め穴53に挿通させることにより、ウエハ位置決めシート51をステージ10の表面11上に設置固定することが可能となる。
【0039】
なお、図3においては、突起状のピン12及びシート位置決め穴53が2個である例を挙げて説明したが、確実にウエハ位置決めシートの位置ずれを防ぐために、3個以上のピン12等の突起及びシート位置決め穴53を設けるようにしてもよい。
【0040】
次に、図4を用いて、本発明の表面粗さ装置により測定するウエハ70の測定点の位置関係にについて詳細に説明する。図4は、測定対象となるウエハ70の測定点の位置関係の一例を示した図である。図4において、6枚のウエハ70の表面粗さを連続して測定する場合であって、1枚のウエハ当たり5点の測定ポイントを設定するときの測定位置の一例を示している。なお、今まで説明した構成要素には、今までの説明と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図4の例においては、1枚の測定対象ウエハ70の表面上に、測定ポイント71〜75の5点が設定されているが、測定順序は測定ポイン71から測定ポイント75に向かう順序とする。また、測定方向は、測定ポイント72から測定ポイント74に向かう方向に設定されているものとする。図4に示されるように、測定ポイント72〜74は、測定方向である接触子21の水平移動直線上にあるので、ステージ10を回転させることなく総ての測定ポイント72〜74を測定できる位置関係にある。また、測定ポイント71、73、75は、接触子21の移動方向は異なるが、測定方向と垂直な直線上にある。よって、水平アーム22による直線方向の移動量である測定ストロークは、測定ポイント71から測定ポイント72までを移動量76とするとともに、測定ポイント72から測定ポイント73までも移動量76とし、制御機40に記憶させておくことができる。また、ステージ10の角度は、6枚設置の場合、1枚あたりの移動角αは60°となり、測定ポイント71と測定ポイント72の移動角βは、およそ22°となる。これらの角度および移動量をあらかじめ制御機40に記憶させておく。
【0042】
図4に示す状態から、ステージ10を角度βだけ反時計回りに回転させ、測定ポイント71から測定を開始したとする。そうすると、次は角度βだけ時計回りにステージ10を回転させ、移動量76の分接触子21を内側に移動させると、測定ポイント72を次に測定できる。測定ポイント72〜74間の関係では、回転角度情報は不要又はゼロであり、ステージ10の半径方向の位置情報を記憶しておけばよい。即ち、移動量76の分外側に接触子21を移動させれば次の測定ポイント73を測定でき、同様に更に移動量76分外側に接触子21を移動させれば、測定ポイント74を測定することができる。次いで、角度βだけステージ10を時計回りに回転させ、測定ポイント74から移動量76の分内側に接触子21を移動させれば、測定ポイント75を測定できる。この測定パターンの場合には、最初に測定ポイント71が測定方向の移動直線上に設置され、半径方向(水平アーム22の水平移動方向)においてはウエハ70の中心位置から測定が開始するとすれば、測定ポイント71を測定、時計方向に角度βでステージ10が回転、内側に移動量76で水平アーム22が移動、測定ポイント72を測定、外側に移動量76で水平アーム22が移動、測定ポイント73を測定、外側に移動量76で水平アーム22が移動、測定ポイント74を測定、時計方向に角度βでステージ10が回転、移動量76で水平アーム22が内側に移動、測定ポイント75を測定、というシーケンスで総ての測定ポイント71〜75を測定することができる。
【0043】
更に、この後、角度αで時計回転方向又は反時計回転方向にステージ10を回転させれば、隣接する別のウエハ70が所定の測定位置に移動し、測定位置に移動したウエハ70を、表面粗さ測定手段20の次の測定対象として表面粗さの測定を行うことができる。この場合には、1枚のウエハ70の測定が終了したら、回転角度αでステージ10を回転させるシーケンスを入れるだけであるので、個々の測定ポイント71〜75の測定と同様の考え方で次のウエハ70の表面粗さを測定することができる。
【0044】
このように、測定方向の移動量又は位置情報と、ステージ10の回転角度情報を予め設定し、測定方法に合わせてシーケンスを組めば、連続して自動的に複数のウエハ70の表面粗さを測定することができる。
【0045】
なお、移動量情報又は位置情報は、水平アーム22のストローク情報として記憶することができ、実際のアクチュエータの駆動に適した形式で移動量情報又は位置情報を記憶することができる。
【0046】
次に、図2〜図4を用いて、本実施形態に係る表面粗さ測定装置を用いた、ウエハ70の表面粗さ測定方法について説明する。ここでは、図4で示したように、例として6枚のウエハ70、1枚当たり5点の測定ポイント71〜75とするが、本発明の表面粗さ測定装置での測定はウエハの測定枚数や測定ポイントが限定されるものではない。
【0047】
図3に示すように、最初に、ステージ10の上に突出しているピン12と、ウエハ位置決めシート51に設けられたピン位置決め穴53が嵌合するように、ステージ10上にウエハ位置決めシート51を載せる。次に、ウエハ位置決めシート51のウエハ位置決め穴52に収まるように6枚のウエハ70をステージ10の表面上にセットする。
【0048】
次に、図2に示された制御機40に、6枚のウエハ10、5点の測定ポイント71〜75の測定順番、回転角度、測定ストローク36、測定順番、1点当たりの測定長さを設定する。制御機40への設定は、情報入力機器42を用いて行われてよく、各設定情報は、制御機40の内部の記憶手段41に記憶されてよい。また、二回目以降に同じ条件で測定をする場合は、再度設定の必要はない。
【0049】
図2に示した表面粗さ測定装置が自動運転を開始すると、ステージ10は、一枚目のウエハ70の中心位置の角度を原点位置として、そこに移動し、その後、図4の第一番目の測定ポイント71の回転角度βだけ回転し、停止する。水平アーム22は測定ポイント72の中心からのストローク位置77に移動し(図4参照)、上下アーム23が接触子21とウエハ70が接触するまで下降し、測定動作を実施する。測定が完了すると上下アーム23が一旦上昇し、アーム上昇センサ25が上下アーム23の上昇を検知し、上昇したまま、次の測定ポイントに移動する。
【0050】
上下アーム23が上昇して、アーム上昇センサ25がオンすると、制御機40が測定終了を検出し、ステージ10を回転させ、次の測定ポイント72の回転角度β分回転移動する。その間に水平アーム22は、次の測定ポイント72の上側に移動し、上下アーム23が下降した後、測定を開始する。
【0051】
以上のような動作を繰り返し、1枚目のウエハ70の測定が終了すると、ステージ10は60°回転し、2枚目の回転角度αの位置に移動する(図4参照)。2枚目から6枚目までは同様に表面粗さを連続で測定したのち、すべての測定が終了すると、終了表示を出して、停止する。
【0052】
以上のように、最初に枚数情報、位置情報を設定しておき、1つのサーボモーター11を設置することで、連続的かつ無人で自動的に、ウエハ70の表面粗さを測定することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ウエハの表面粗さを測定する表面粗さ測定装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 ステージ
11 表面
12 ピン
13 サーボモーター
14 原点センサ
20 表面粗さ測定手段
21 接触子
22 水平アーム
23 上下アーム
24 支柱
25 アーム上昇センサ
26 記録手段
30 支持台
40 制御機
41 記憶手段
42 情報入力機器
50 位置決め手段
51 ウエハ位置決めシート
52 ウエハ位置決め穴
53 シート位置決め穴
70 ウエハ
71〜75 測定ポイント
76 移動量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウエハを載置できる回転駆動可能なステージと、
該ステージ上で前記複数のウエハを同心円状に位置決め固定する位置決め手段と、
上下方向及び水平方向に直線的に移動可能に支持された接触子を、所定の測定位置にあるウエハの表面に接触させて水平方向に直線移動させることにより、該ウエハの表面粗さを測定する表面粗さ測定手段と、
前記位置決め手段により同心円状に位置決め固定された前記複数のウエハのうち、測定対象となる測定対象ウエハを前記所定の測定位置に前記ステージを回転させて移動させ、前記表面粗さ測定手段により該測定対象ウエハの表面粗さを測定する一連の動作を、前記複数のウエハに対して順次連続的に行うように前記ステージ及び前記表面粗さ測定手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする表面粗さ測定装置。
【請求項2】
前記測定対象ウエハ上に複数の表面粗さ測定ポイントがあり、該複数の表面粗さポイントが、前記接触子が水平移動する移動直線上にない配置関係を含む場合には、
前記制御手段は、前記ステージを回転させることにより前記移動直線上にない表面粗さポイントを前記接触子の前記移動直線上に移動させ、前記移動直線上に移動した該表面粗さポイントを測定する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の表面粗さ測定装置。
【請求項3】
前記複数の表面粗さポイントの位置は、前記ステージの回転角度情報及び前記接触子の水平方向位置情報として予め記憶手段に記憶され、
前記制御手段は、該記憶手段に記憶された前記回転角度情報及び前記水平位置情報に基づいて、前記複数の表面粗さポイントにおける表面粗さを連続的に測定する制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の表面粗さ測定装置。
【請求項4】
前記接触子は、水平方向に直線的に移動する水平アームに支持されており、
前記水平位置情報は、該水平アームのストローク情報として記憶されたことを特徴とする請求項3に記載の表面粗さ測定装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、前記複数のウエハを載置する位置に前記ウエハの外周に沿って前記ウエハの周囲を囲むことができる形状及び大きさのウエハ位置決め穴が形成されたウエハ位置決め用シートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表面粗さ測定装置。
【請求項6】
前記ステージ上に2個以上の突起が設けられ、
前記ウエハ位置決めシートは、該突起と嵌合するシート位置決め穴を有することを特徴とする請求項5に記載の表面粗さ測定装置。
【請求項7】
前記ウエハ位置決めシートは、厚さ0.1〜2mmの樹脂製のシートであることを特徴とする請求項5又は6に記載の表面粗さ測定装置。
【請求項8】
前記表面粗さ測定手段は、前記接触子を上下動させる上下アームと、
該上下アームの上昇を検出するアーム上昇センサとを有し、
前記制御手段は、前記アーム上昇センサによる上下アームの上昇検出により前記表面粗さ測定ポイントの表面粗さ測定終了を検出し、該表面粗さ測定終了の検出後に次の制御動作を行うことを特徴とする請求項2乃至7に記載の表面粗さ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−190918(P2012−190918A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51778(P2011−51778)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】