説明

被加熱材の加熱装置及び加熱方法

【課題】小型かつ簡単な構造でエネルギー消費が少なく、修理や交換が容易な迅速加熱装置及び方法を提供すること。
【解決手段】平板状の被加熱材(1)の加熱装置は、断熱性を有するベースプレート(3、4)上に複数の発熱要素(2)を所定の間隔をおいて平面的に所定のパターンをもって配列して加熱接触面(2a)を構成し、加熱接触面(2a)を被加熱材(1)に直接接触させて加熱することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の被加熱材の加熱装置及び加熱方法に関し、特に複数の発熱要素を直接被加熱材に接触させて加熱する加熱装置及び加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両部品等の成形法として、高温に加熱した鋼板を熱間プレスする熱間プレス成形法が知られている。また、プレスと同時に低温のプレス金型で冷却して焼入れを行うことでさらに引張強度等に優れた部材を成形することができる。
【0003】
部材の加熱は、加熱炉等の加熱装置中に入れて加熱することが一般的であるが、例えば加熱炉内で900℃まで昇温させるには約3〜5分程度の時間がかかり、プレス工程に要する時間よりかなり長い。そのため、プレス工程に無駄な待ち時間が生じ、生産効率低下の原因となっている。そのため、部材をより急速に加熱する方法が必要とされている。
【0004】
鋼板部材を急速加熱する1つの方法としてブロックヒーター加熱法がある。これは、図10に示すように、加熱する鋼板部材の大きさに応じた金属のブロック22の中に電気ヒーター20を組み込み、ブロック全体を均一に加熱して、上方から鋼板部材21に圧力をかけて接触させて加熱する方法である。特に特許文献1では、ブロックの加熱面温度をできるだけ均一にするため、ブロック内部に熱拡散プレートを内蔵させる技術を開示している。また、特許文献2では、ブロックヒーター等の熱源からの熱を伝熱体を介して金属板に伝えて加熱する加熱装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−145166号公報
【特許文献2】特開2006−110549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブロックヒーター加熱装置の場合、900℃以上に加熱する場合には、ブロックの材質が融点の高い材料に限定され、非常に高価になる。大きな部材を加熱する場合には、大量のブロックが必要になり、非常に高価な設備となる。
【0007】
ブロックヒーター加熱では金属製のブロックの中にヒーターを組み込み、ブロックを加熱して鋼板に押し付けて鋼板を加熱する。ブロックと鋼板が確実に接触するためには、ブロック材質は高温に加熱されても熱変形・歪みが少ない材質に限られる。同じく、ブロックを確実に加熱するためには中に組み込んだヒーターとブロックが確実に接触している必要が有り、精密な加工精度、組立て精度が要求されるとともに、ここでも熱変形・歪みが少ない材質が要求される。
【0008】
また、高温で長時間使用されることからも、ブロックに適用される材質は限られ、非常に高価な材質となる。さらに、このような材料は難加工性材料であることが多いため、加工費、設備製作費も高くなる。自動車の構造部品のような大物部品を加熱する場合は大型設備が必要になるが、以上のような理由で設備費が非常に高くなる。また、ブロック全体の昇温には時間がかかるため、ブロックを常に均一に高温に保っておく必要があり、ヒーターは常時ONに近い状態となって電力も多く必要とする。
【0009】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、小型かつ簡単な構造でエネルギー消費が少なく、修理や交換が容易な迅速加熱装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点において、平板状の被加熱材の加熱装置は、断熱性を有するベースプレート上に複数の発熱要素を所定の間隔をおいて平面的に所定のパターンをもって配列して加熱接触面を構成し、該加熱接触面を該被加熱材に直接接触させて加熱することを特徴とする。
【0011】
前記発熱要素の形状は断面が矩形の棒状ないし帯状もしくは断面が円形又は楕円形の棒状であることが好ましい。
【0012】
前記発熱要素の断面が矩形の場合、前記被加熱材と接触する面は該発熱要素全長にわたり凸曲面を有することが好ましい。
【0013】
前記複数の発熱要素の間に、弾性を有するか又は加熱接触面に対し直交方向位置を可変とした断熱材を配置することが好ましい。
【0014】
複数の前記発熱要素を配列して加熱接触面を構成した断熱性を有する前記ベースプレートを、前記被加熱材の両側にそれぞれ配置し、両側から前記被加熱材を挟み込んで前記加熱接触面に直接接触させて加熱することが好ましい。
【0015】
前記平板状の被加熱材の両側に配置する前記複数の発熱要素が、両側で互いに交互に配置され、かつ前記両側の発熱要素の前記ベースプレートに平行な面への垂直投影面が部分的に重複するように配置されていることが好ましい。
【0016】
前記発熱要素の重複は、前記被加熱材がない状態で両側の前記ベースプレートに配置された該発熱要素を互いに接触させた場合に、該発熱要素の接触点近傍の凸曲面部の曲率中心同士を結ぶ線分と該凸曲面部との交点が該発熱要素同士の接触点となるように重複させることが好ましい。
【0017】
前記ベースプレートは、複数の前記発熱要素を含む複数のユニットからなることが好ましい。
【0018】
前記複数の発熱要素は、各発熱要素単位又は各前記ユニット単位で加熱能力を制御可能であり、任意の加熱パターンに設定可能であることが好ましい。
【0019】
前記ベースプレートはセラミックからなることが好ましい。
【0020】
本発明の第2の視点において、平板状の被加熱材の加熱方法は、断熱性を有するベースプレート上に複数の発熱要素を所定の間隔をおいて平面的に所定のパターンをもって配列して加熱接触面を構成し、該ベースプレートを、前記被加熱材の両側にそれぞれ配置し、両側から前記被加熱材を挟み込んで該加熱接触面に直接接触させて加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ブロックを使わないため、設備が小型かつ構造が簡単でコストも低くできる。そして発熱要素を直接被加熱材に接触させるため、迅速な加熱が可能である。また、ユニットごとに交換が可能であり、修理も容易である。また、ユニットごと又は発熱要素ごとの加熱制御が可能であり、加熱自由度が高い。さらに短時間で昇温できるので不使用時は加熱源を切っておくことができ、省エネルギーも達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
断熱性を有するベースプレート上に、2以上の発熱要素を所定の間隔をおいて平面的に配置する。これをユニットと称する。ベースプレートにはセラミック等を用いることができる。発熱要素は断面が矩形の棒状ないし帯状もしくは断面が円形又は楕円形の棒状であり、被加熱材に接触する加熱面が全体として被加熱材に均一に接触するように配置する。発熱要素の断面が矩形の場合、各発熱要素の被加熱材との接触面は平面としてもよいが、凸状の曲面として加圧接触させるとより密接した接触が得られる。この凸曲面の高さは、発熱要素断面の幅に対して一定の割合を持つことが好ましい。このユニットを1つ又は複数平面的に配置して所要の加熱面積を持つ加熱接触面を得る。
【0023】
この加熱接触面を被加熱材に直接接触させて加熱する。これにより、被加熱材を効率的に迅速加熱することができる。なお、ユニットは幅50〜200mm程度、長さが100〜1500mm程度である。このユニットを必要な個数組み合わせ、被加熱材に応じて必要な加熱面積を得る。その大きさは限定されないが、最大4000mm×3000mm程度が想定される。
【0024】
発熱要素は基本的に何でも使用できる。必要とする加熱温度に応じ、電気ヒーター、シースヒーター、ガスヒーター(ラジアントチューブヒーター)等の公知の加熱装置を用いることができる。ヒーターはその断面において一辺の長さ又は直径が5mm〜200mm程度の矩形もしくは円形又は楕円形で、長さが100〜1500mm程度の棒状ないし帯状のものが一般的である。
【0025】
発熱要素の間には、断熱材を備える。これは発熱要素のない部分からの熱放散を抑制し、全体を均一に加熱するためと、後述のごとく両側で交互に発熱要素を配置した場合は、発熱要素の反対側から被加熱材を押えて接触を良くするためである。また、加熱が終了して発熱要素を押さえつけていた圧力を解放したとき、被加熱材と発熱要素とを分離しやすくする効果も有する。両側で交互に発熱要素を配置した場合、断熱材は、発熱要素を被加熱材に加圧接触したときに均一に被加熱材に接触するように、弾性を持つか又はその高さ方向の位置若しくは水平方向の位置等を変えられるような構造を有する。断熱材としては、グラスウール、アスベスト等が用いられる。
【0026】
加熱は片面のみでも可能であるが、さらに複数のユニットを両側に配置し、平板状の被加熱材を両側から挟み込んで圧接して加熱することができる。被加熱材を挟み込む方向は、上下方向からが一般的であるが、それにこだわらず左右方向からでも可能であり、さらに上下方向又は左右方向から傾斜した方向であってもかまわない。被加熱材との接触面は平面でもよいが、凸状曲面(凸曲面部)として両側から圧接することで平板状の被加熱材との接触をより確実にすることができる。この際、両側の発熱要素は交互に配置する、即ち片側の発熱要素がある範囲には反対側の発熱要素はなく、片側の発熱要素がない範囲に反対側の発熱要素を配置する。ただし一部(端部)を重複して配置することが好ましい。一部重複とは、両側の発熱要素をそれぞれベースプレートに平行な平面に垂直に投影した場合、投影面が一部重なることをいう。
【0027】
発熱要素を重複配置するにあたっては、できるだけ被加熱材を両側の発熱要素のいずれかと必ず接触させ、かつできるだけ両側の発熱要素と同時に接触する範囲を少なくすることが好ましい。このためには以下の考え方で配置する。即ち、被加熱材がない状態で両側の発熱要素を互いに接触させた場合、発熱要素の凸曲面部の両端部(棒状発熱要素を長軸に垂直な断面で見た場合の両端部)付近が互いに接触する。この接触部近傍を含む凸曲面部の曲率中心(両側の発熱要素のそれぞれ)同士を結ぶ線分と発熱要素の凸曲面部の交点が接触点と一致するように重複配置する。
【0028】
このように両側の発熱要素を一部重複して配置することにより、被加熱材の全域でどちらかの発熱要素に必ず接触させ、かつできるだけ両側の発熱要素と同時に接触する範囲を少なくすることにより、被加熱材全体を均一に加熱する効果を有する。
【0029】
また、加熱装置は、各発熱要素又は各ユニット単位で加熱能力を制御できるように加熱制御系を備える。これにより、被加熱材の寸法、形状に応じて任意の加熱パターンかつ任意の温度に加熱することができる。不要な部分の発熱要素は加熱せず、また加熱速度が速いので待機時には全体の加熱を停止することもでき、省エネルギーにも貢献できる。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例に係る加熱装置の基本的な構造図である。例えば高張力鋼からなる平板(被加熱材)1を、ヒーター(発熱要素)2を配置した2つのベースプレート(上部ベースプレート3及び下部ベースプレート4)で上下から挟み込み、平板1にヒーター2を矢印で示すように上方向から加圧して直接接触(圧接)させて加熱する。なお、上部ベースプレート3とそれに配置するヒーター2とは分解図で示している。
【0031】
本実施例におけるヒーター2は棒状のシースヒーターである。その長さ方向に垂直な断面での形状はほぼ矩形であり、そのうち平板1との接触面は凸曲面を有する。ヒーター2の本数は特に限定されないが、本実施例では、各ベースプレートに4本ずつのヒーター2を平面的に(平板1に均一に接触するように)配置した。1つのベースプレートに2以上のヒーター2を配置したものをユニットと呼び、被加熱材の上側のユニットを上部ユニット6、下側のユニットを下部ユニット7という。
【0032】
図2は、上下ユニット6、7で平板1を挟み込むときの、ヒーター2の長さ方向に垂直な面での断面模式図である。図2(a)は挟み込む前、図2(b)は挟み込んだ後の断面図を表す。図2(a)に示すように、各ユニットのヒーター2の間には、弾性のある断熱材5が、ヒーター2の頂面(凸曲面部2a)より突出するように配置されている。断熱材5の材料は例えばグラスウールやアスベストが用いられる。これはヒーター2が接触していない平板1の板面を保温して全体を均一に加熱するため及びヒーター2の反対側から平板1を押えて接触を良くするためである。ヒーター2の平板1との接触面は凸曲面部2aとなってゆるやかに湾曲している。
【0033】
図2に示すように、各ユニットで配列の両端部を、一方はヒーター2、他方は断熱材5とすることが好ましい。こうすると複数のユニットを組み合わせた場合に全体として、ヒーター2と断熱材5とを交互に隙間なく配列することができる。
【0034】
図2(b)は上部ユニット6を上から加圧して平板1を挟み込んだ時の断面図である。ヒーター2の平板1との湾曲した接触面(凸曲面部2a)により、平板1を挟み込んだ時に平板1は凸曲面部2aに沿って湾曲し、ヒーター2と密接に隙間なく接触させることができる。同時に断熱材5が平板1の板面に沿って弾性変形し、密接に接触することにより、熱の放散が抑制されて平板1の全体を均一に加熱することができる。
【0035】
ヒーター2の凸曲面部2aは、図2(a)に示すように、ヒーター2の断面幅Wに対して、凸曲面部の高さhが1〜20%の範囲であることが好ましく、特に10%程度であることが好ましい。
【0036】
図2に示すように、ヒーター2は上下ベースプレートでその位置が交互になるように配置されている。即ち、上部ベースプレート3にヒーター2がある範囲には下部ベースプレート4にはヒーター2ではなく断熱材5を、上部ベースプレート3にヒーター2ではなく断熱材5がある範囲に、下部ベースプレート4のヒーター2を配置する。これによりヒーター2の本数を最小限に抑えることができる。ただし、図2(b)の拡大図(図中の楕円内、ただし平板1は図示せず)部分に示すように、上下のヒーターを一部(図中Xで示す範囲)を重複させて配置することが好ましい。こうすることにより、平板1全体が上下のヒーターどちらかに必ず接触し、平板1全体を均一に加熱することができる。
【0037】
なお、重複配置する場合は、平板1が上下いずれかのヒーター2と必ず接触するとともに、上下のヒーター2の両方に接触する範囲をできるだけ少なくすることが好ましい。図3(b)は上下を一部重複させたヒーター2で平板1を挟んだ場合の断面模式図である。Xはヒーターの重複範囲、yは図中円内に示すように平板1が上下のヒーター2の両方に接触している範囲である。図3(c)は、図中円内に示すようにyがゼロとなるような接触図であり、このように接触させることが好ましい。
【0038】
そのためには以下のようにする。図3(a)は、平板1(被加熱材)がない状態で上下側のヒーター2を接触させた場合の断面模式図である。接触点近傍(発熱要素端部)を含む凸曲面部2aの一部分は、図中の点線で示すようにある曲率を有する曲面であるが、この曲面の曲率中心を下部ヒーター2でC、上部のヒーター2でC’とする。このC及びC’を結ぶ仮想線分と両ヒーター2の凸曲面部2aとの交点が接触点と一致するようにする。
【0039】
なお、ヒーター2の平板1との接触面(凸曲面部2a)が湾曲していることで、被加熱材である平板1にも若干湾曲面が形成されるが、これは加熱後のプレス工程で所要の形状に加工する際に解消されるので問題とはならない。
【0040】
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2に係る加熱装置の断面模式図である。実施例1と異なる部分は、ヒーター2の間に配置される弾性のある断熱材5のかわりに、弾性のない断熱ブロック8をばね部材9を用いて上下ベースプレート3、4に弾力的に接続し、高さ方向(上下方向)にその位置を変えられる構造としたことである。図4(a)は上下ユニット6、7で被加熱材である平板1を挟み込む前の断面図を表したものであり、断熱ブロック8はヒーター2の接触面より突出する高さ位置にばね部材9で保持されている。
【0041】
図4(b)は上下ユニット6、7で平板1を挟み込んだ後の断面図を表したものであり、平板1が上下のヒーター2で圧接され、断熱ブロック8は押さえ込まれて平板1と接触した状態にある。他の構造は実施例1と同様であり、例えば上下のヒーター2は若干重複して配置されている。なお、ばね部材9を高温から保護するため、ベースプレート3、4に孔を設け、孔の底部でばね部材を接続し、挟み込まれたときにばね部材9が孔内に縮んで収納される構造としても良い(図示せず)。
【0042】
(実施例3)
図5は、発熱要素2として断面が円形であるラジアントチューブヒーターを用いた場合の、本発明の実施例3に係る加熱装置(平板1を加熱している)の断面図である。ラジアントチューブヒーター2は発熱部の断面が円形の棒状発熱体である。ラジアントチューブヒーターは直径が200mm程度のものが実用化されている。これを実施例1、2と同様に上下ベースプレート3、4に交互に並べて配置している。平板1は上下のラジアントチューブヒーター2に挟み込まれて加熱される。ラジアントチューブヒーター2は、上下である程度の長さ(図5中のXで示す)を重複させて配列し、平板1が全体として必ず上下のラジアントチューブヒーター2のいずれかと接触するようにしている。各ベースプレート上のラジアントチューブヒーター2の間には断熱材5が配置され、全体が均一に加熱されるようにしている。
【0043】
(実施例4)
本発明に係る加熱装置は、2以上の発熱要素を含むベースプレート(ユニット)を複数配列して広い加熱面積を得ることができる。さらに、被加熱材の寸法、形状に応じて各ヒーター、又は各ユニット単位で加熱制御系15を用いて加熱能力を制御可能である。図6は、本発明の実施例4に係る加熱装置の構造及び使用態様を示す概略図である。実施例4では、3本のヒーター2を1つのベースプレート上に配置した下部ユニット7を、縦に4列、横に15列並べて1つの加熱装置を構成している。
【0044】
図6では、車両用部材であるドアビームを形成するための鋼板(被加熱材)12を加熱する場合の、加熱するヒーター10を黒い太線で示し、加熱しないヒーター11を白抜き線で示した。またドアビーム用鋼板(被加熱材)12の形状を白抜き点線で示した。このように、ドアビーム用鋼板(被加熱材)12の寸法及び形状に応じて、必要な範囲のみを加熱することができる。
【0045】
図6では下部ユニット7の配列のみを示しているが、これに対応する上部ユニット6を上記実施例1〜3に示すように組み合わせて配列して用いることができる。以下の実施例においても同様である。
【0046】
(実施例5)
図7は、実施例4と同様に3本のヒーター2を1つのベースプレート上に配置したユニットを、縦に4列、横に15列並べた加熱装置を用いて、異なる被加熱材(バンパーを形成するための鋼板)13を加熱する場合の加熱するヒーター2の配置を示した。ここでも同様に加熱するヒーター10を黒い太線で示し、加熱しないヒーター11を白抜き線で示した。またバンパー用鋼板(被加熱材)13の形状を白抜き点線で示した。
【0047】
(実施例6)
図8は、実施例4及び5と同様の加熱装置を用いて、異なる被加熱材(Bピラーを形成するための鋼板)14を加熱する場合の加熱範囲図である。ここでも同様に加熱するヒーター10を黒い太線で示し、加熱しないヒーター11を白抜き線で示した。またBピラー用鋼板(被加熱材)14の形状を白抜き点線で示した。
【0048】
(実施例7)
本発明に係る加熱装置は、部材の中でも高温に加熱する必要がある部分と、それほど高温でなくとも良い部分がある場合にも適用可能である。図9は、実施例6において、さらに加熱量をヒーター2(又はユニット)ごとに変えた場合の加熱範囲を示した(加熱制御系15は図示せず)。図9では、右側の縦4列、横5列のユニット(の一部のヒーターで、斜線で示したもの)を鋼板のA変態点以下の比較的低温で加熱し(低温部L)、それ以外の部分(の一部のヒーターで、黒線で示したもの)を鋼板のA変態点以上の焼入れ可能な程度の高温で加熱する(高温部H)例を示した。このように加熱が必要な部分の位置、形状に応じて任意の加熱パターンかつ任意の温度に加熱することができる。
【0049】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例に係る加熱装置の基本的な構造図である。
【図2】本発明に係る実施例1の断面模式図であり、(a)は平板を上下ユニットで挟み込む前、(b)は平板を上下ユニットで挟み込んだ後の断面図を表す。
【図3】(a)本発明の実施例1に係る上下のヒーターを重複配置する方法を示す断面模式図である。(b)上下のヒーターの両方に接触する平板の範囲を示す断面模式図である。(c)上下のヒーターの両方に接触する平板の範囲がゼロである場合を示す断面模式図である。
【図4】本発明の実施例2に係る加熱装置の断面模式図であり、(a)は平板を上下ユニットで挟み込む前、(b)は平板を上下ユニットで挟み込んだ後の断面図を表す。
【図5】本発明の実施例3に係る加熱装置の断面模式図である。
【図6】本発明の実施例4に係る加熱装置の構造及び使用態様を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例5に係る加熱装置の使用態様を示す概略図である。
【図8】本発明の実施例6に係る加熱装置の使用態様を示す概略図である。
【図9】本発明の実施例7に係る加熱装置の使用態様を示す概略図である。
【図10】従来技術のブロックヒーター加熱装置である。
【符号の説明】
【0051】
1 平板(被加熱材)
2 ヒーター(発熱要素)
2a 凸曲面部
3 上部ベースプレート
4 下部ベースプレート
5 断熱材
6 上部ユニット
7 下部ユニット
8 断熱ブロック
9 ばね部材
10 加熱するヒーター
11 加熱しないヒーター
12 ドアビーム用鋼板(被加熱材)
13 バンパー用鋼板(被加熱材)
14 Bピラー用鋼板(被加熱材)
15 加熱制御系
20 電気ヒーター
21 鋼板部材
22 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の被加熱材の加熱装置であって、
断熱性を有するベースプレート上に複数の発熱要素を所定の間隔をおいて平面的に所定のパターンをもって配列して加熱接触面を構成し、該加熱接触面を該被加熱材に直接接触させて加熱することを特徴とする、加熱装置。
【請求項2】
前記発熱要素の形状は断面が矩形の棒状ないし帯状もしくは断面が円形又は楕円形の棒状であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記発熱要素の断面が矩形の場合、前記被加熱材と接触する面は該発熱要素全長にわたり凸曲面を有することを特徴とする、請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記複数の発熱要素の間に、弾性を有するか又は加熱接触面に対し直交方向位置を可変とした断熱材を配置したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の加熱装置。
【請求項5】
複数の前記発熱要素を配列して加熱接触面を構成した断熱性を有する前記ベースプレートを、前記被加熱材の両側にそれぞれ配置し、両側から前記被加熱材を挟み込んで前記加熱接触面に直接接触させて加熱することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記平板状の被加熱材の両側に配置する前記複数の発熱要素が、両側で互いに交互に配置され、かつ前記両側の発熱要素の前記ベースプレートに平行な面への垂直投影面が部分的に重複するように配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記発熱要素の重複は、前記被加熱材がない状態で両側の前記ベースプレートに配置された該発熱要素を互いに接触させた場合に、該発熱要素の接触点近傍の凸曲面部の曲率中心同士を結ぶ線分と該凸曲面部との交点が該発熱要素同士の接触点となるように重複させることを特徴とする、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記ベースプレートは、複数の前記発熱要素を含む複数のユニットからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記複数の発熱要素は、各発熱要素単位又は各前記ユニット単位で加熱能力を制御可能であり、任意の加熱パターンに設定可能であることを特徴とする、請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記ベースプレートはセラミックからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の加熱装置。
【請求項11】
平板状の被加熱材の加熱方法であって、
断熱性を有するベースプレート上に複数の発熱要素を所定の間隔をおいて平面的に所定のパターンをもって配列して加熱接触面を構成し、
該ベースプレートを、前記被加熱材の両側にそれぞれ配置し、両側から前記被加熱材を挟み込んで該加熱接触面に直接接触させて加熱することを特徴とする、加熱方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−176584(P2009−176584A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14434(P2008−14434)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【出願人】(504258871)ベンテラー アウトモビールテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (60)
【氏名又は名称原語表記】Benteler Automobiltechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Residenzstrasse 1, D−33104 Paderborn, Germany
【Fターム(参考)】