説明

被撮像物の移動方法及びこの方法を用いる処理装置

【課題】撮像手段によって表示画面上に表示された被撮像物の撮像画像に基づいて任意の部位を指定してその指定部位をドラッグするという簡単な操作で、撮像画像の指定部位を予め設定された目標位置へ移動させることにより、撮像手段と被撮像物を相対的に移動させることができる被撮像物の移動方法を提供する。
【解決手段】本発明の被撮像物の移動方法は、第2のCCDカメラ15によって所定の倍率で撮像され且つ表示画面16に表示されたプローブカード12の撮像画像のピン画像Pを指定することにより、表示画面16上でピン画像Pを十字マークCへ移動させる際に、表示画面16のピン画像Pをマウスポインタ19Aによって指定しマウス19をクリックした後、マウスポインタ19Aを十字マークCへドラッグするだけで、マウスポインタ19Aで指定したピン画像Pを第2のCCDカメラ15の中心へ移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被撮像物の移動方法及びこの方法を用いる処理装置に関し、更に詳しくは、被処理体に所定の処理を施す際に、被処理体等の対象物の撮像画像を表示画面上に表示し、表示画面上で撮像画像を移動操作することで対象物を移動操作することができる被撮像物の移動方法及びこの方法を用いる処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の被処理体に対して所定の処理を施す場合に、その目的に応じて種々の処理装置が用いられる。各種の処理装置は、例えばCRTやFDP等の表示画面に被処理体等の対象物の撮像画像を映し出し、表示画面上で撮像画像を介して対象物を監視したり、表示画面上で撮像画像を操作して対象物を移動させたりしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表示画面内でマウス操作によってウィンドウを指定すると、ウィンドウが移動しウィンドウの大きさも変化することにより、測定する試料のパターンサイズに応じた分光測定を行える分光測定装置に関する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2にはビデオウィンドウ上のXY軸の交点の移動指示用アイコンをマウスのクリック操作あるいはドラッグ操作により移動させると、その移動方向と移動距離に応じてステージが移動することにより、ステージ移動操作を簡単にして測定作業の効率を向上させる画像測定装置に関する技術が記載されている。
【0005】
特許文献3には、測定点指示部を用いて表示画面上で測定したい部分を横切るように2点を指示すると、その2点間のみがスキャンされた測定画面が得られることにより、画像メモリの規模を変えずに高分解能で高精度に測定できる走査型プローブ顕微鏡に関する技術が記載されている。
【0006】
更に、特許文献4には、監視カメラのモニタ画面上でマウスによるドラッグ操作を行うと、マウスポインタの移動方向と距離に基づいて監視カメラの撮像方向が制御され、監視カメラの撮影方向や撮影倍率を制御するための操作性を向上させることができる遠隔監視システム及び制御端末装置に関する技術が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平09−178563
【特許文献2】特開平10−197223
【特許文献3】特開平08−211079
【特許文献4】特開2001−268556
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術は、表示画面内でのマウス操作によって測定する試料のパターンサイズに応じて分光測定できる技術であるが、表示画面上で撮像画像を移動操作によって試料を所望の位置へ移動させる技術ではない。また、この点に関しては特許文献3の技術も同様である。これに対して、特許文献2の技術は、ビデオウィンドウ上のXY軸の交点の移動指示用アイコンをマウスのクリック操作あるいはドラッグ操作により移動させて、ビデオウィンドウ上でステージの移動操作を行えるが、ビデオウィンドウ上の任意の位置を所定の目標位置に直接移動させることができず、表示画面を見ながら任意の位置が目標位置へ移動するようマウスによって移動指示用アイコンをクリック操作、あるいはドラッグ操作をしなくてはならない。また、特許文献4の技術は、監視カメラの撮影方向や撮影倍率を制御するための操作性を向上させことができるが、単に監視カメラの撮影方向を制御する技術であるに過ぎない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、撮像手段によって表示画面上に表示された被撮像物の撮像画像に基づいて任意の部位を指定してその指定部位をドラッグするという簡単な操作で、撮像画像の指定部位を予め設定された目標位置へ移動させることにより、撮像手段と被撮像物を相対的に移動させることができる被撮像物の移動方法及びこの方法を用いる処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の被撮像物の移動方法は、撮像手段によって所定の倍率で撮像され且つ表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させる被撮像物の移動方法であって、上記任意の部位にマウスポインタを当て、マウスをクリックすることにより上記任意の部位を指定すると共に上記指定部位を上記目標位置へドラッグする工程と、上記指定部位の上記表示画面上での座標値を記憶する工程と、上記マウスをドラッグした後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値を記憶する工程と、上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める工程と、上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させて、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させる工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の被撮像物の移動方法は、撮像手段によって所定の倍率で撮像され且つ表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させる被撮像物の移動方法であって、上記表示画面としてタッチパネルを設け、上記タッチパネルに表示された上記撮像画像の上記任意の部位に触れることにより上記任意の部位を指定すると共に上記指定部位を上記目標位置へドラッグする工程と、上記指定部位の上記表示画面上での座標値を記憶する工程と、上記タッチパネルでの指定部位をドラッグした後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値をそれぞれ記憶する工程と、上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める工程と、上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させて、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させる工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の処理装置は、所定の倍率で被撮像物を撮像する撮像手段と、上記撮像手段による撮像画像を表示する表示画面と、上記被撮像物と上記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、上記移動手段を駆動する駆動手段と、これらを制御する制御手段と、を備え、制御手段の制御下で、上記表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させるように構成された処理装置であって、上記撮像画像の任意の複数の部位にマウスポインタを当ててクリックすることにより上記の任意の部位を指定すると共に上記任意の指定部位を上記目標位置までドラッグするマウスとして構成された指定手段と、上記指定部位及び上記ドラッグ後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値をそれぞれ記憶する記憶手段と、上記表示画面上での上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める演算手段と、を有し、上記駆動手段が上記オフセットに基づいて駆動し、上記移動手段を介して上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物が相対的に移動することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の処理装置は、所定の倍率で被撮像物を撮像する撮像手段と、上記撮像手段による撮像画像を表示する表示画面と、上記被撮像物と上記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、上記移動手段を駆動する駆動手段と、これらを制御する制御手段と、を備え、制御手段の制御下で、上記表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させるように構成された処理装置であって、上記撮像画像の任意の部位に触れて上記任意の部分を指定すると共に上記任意の指定部位を上記目標位置までドラッグする機能を有するタッチパネルとして構成された指定手段と、上記指定部位及び上記ドラッグ後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値をそれぞれ記憶する記憶手段と、上記表示画面上での上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める演算手段と、を有し、上記駆動手段が上記オフセットに基づいて駆動し、上記移動手段を介して上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物が相対的に移動することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮像手段によって表示画面上に表示された被撮像物の撮像画像に基づいて任意の部位を指定してその指定部位をドラッグするという簡単な操作で、撮像画像の指定部位を予め設定された目標位置へ移動させることにより、撮像手段と被撮像物を相対的に移動させることができる被撮像物の移動方法及びこの方法を用いる処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の処理装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の被撮像物の移動方法の一実施形態の工程を示す図で、(a)は撮像後に撮像画像中のピン画像をマウスポインタで指定した状態を示す表示画面の正面図、(b)は移動後の撮像画像が表示された状態を示す表示画面の正面図である。
【図3】図2に示す工程を実施するフローチャートを示す図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の被撮像物の移動方法の一実施形態の工程を示す図で、(a)は撮像後に撮像画像中の第1のピン画像をマウスポインタで指定した状態を示す表示画面の正面図、(b)は撮像後に撮像画像中の第2のピン画像をマウスポインタで指定した状態を示す表示画面の正面図、(c)は移動後の撮像画像が表示された状態を示す表示画面の正面図である。
【図5】図2に示す工程を実施するフローチャートを示す図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ本発明の被撮像物の移動方法の更に実施形態の工程を示す図で、(a)は撮像後に撮像画像中のピン画像をマウスポインタで指定した状態を示す表示画面の正面図、(b)は移動後の撮像画像が表示された状態を示す表示画面の正面図である。
【図7】図2に示す工程を実施するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図7に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。本実施形態では、プローブ装置を例に挙げて処理装置について説明する。
【0017】
本実施形態のプローブ装置10は、例えば図1に示すように、被処理体であるウエハ(図示せず)を載置する移動可能な載置台(ステージ)11と、このステージ11の上方に配置されたプローブカード12と、このプローブカード12の複数のプローブ12Aとステージ11上のウエハとのアライメントを行うアライメント機構13と、アライメント機構13を構成する第1、第2の撮像手段(例えば、CCDカメラ)14、15と、第1、第2のCCDカメラ14、15によって撮像された画像を表示する表示画面16を有する表示装置と、これらの構成機器を制御するコンピュータ本体からなる制御装置17と、を備え、制御装置17の制御下で、アライメント機構13によってステージ11上のウエハとプローブカード12の複数のプローブ12Aとのアライメントを行った後、複数のプローブ12Aとウエハとを電気的に接触させてウエハの電気的特性検査を行うように構成されている。
【0018】
また、プローブ装置10は、図1に示すようにキーボード等の入力部18及びマウス19を備え、入力部18から種々の条件を入力して種々の検査条件を設定することができ、マウス19によって後述のように表示画面16上に表示されたマウスポインタを操作して画像を移動させることができる。
【0019】
ステージ11は、図1に示すように駆動機構11A及び検出器(例えば、エンコーダ)11Bを備え、駆動機構11Aを介してX、Y、Z及びθ方向に移動すると共にエンコーダ11Bを介して移動量を検出するように構成されている。駆動機構11Aは、ステージ11が配置されたXYテーブルを駆動する、例えばモータとボールねじを主体とする駆動機構(図示せず)と、ステージ11に内蔵された昇降駆動機構と、ステージ11をθ方向に回転させるθ駆動機構と、を備えている。エンコーダ11Bは、モータの回転数を介してXYテーブルのX、Y方向への移動距離をそれぞれ検出し、それぞれの検出信号を制御装置17へ送信する。制御装置17は、エンコーダ11Bからの信号に基づいて駆動機構11Aを制御し、もってステージ11のX、Y方向への移動量を制御する。
【0020】
アライメント機構13は、上述のように第1、第2のCCDカメラ14、15及びアライメントブリッジ20を備えている。図1に示すように、第1のCCDカメラ14はアライメントブリッジ20に装着され、第2のCCDカメラ15はステージ11の側方に装着されている。第1、第2のCCDカメラ14、15は、いずれも一定の倍率でプローブ12Aやウエハ等の対象物を拡大してそれぞれの一部を撮像するが、ステージ11を移動させてプローブ12Aやウエハを探すときには低倍率に切り換えて各カメラの視野を広くすることができる。
【0021】
第1のCCDカメラ14は、アライメントブリッジ20を介してプローバ室の背面からプローブセンタまで進出してプローブカード12とステージ11との間に位置し、ここでステージ11がX、Y方向へ移動する間に、ウエハの検査用電極を上方から所定の倍率で撮像し、撮像信号を制御装置17へ送信し、制御装置17を介してその撮像画像を表示画面16上に表示する。また、第2のCCDカメラ13Cは、アライメントブリッジ13Aがプローブ室内の背面に後退した後、プローブカード12の下方でステージ11がX、Y方向へ移動する間に、プローブカード12の下方から複数のプローブ12Aを所定の倍率で撮像し、撮像信号を制御装置17へ送信し、制御装置17を介してそのピン画像Pを表示画面16上に表示する。
【0022】
制御装置17は、中央演算処理部17Aと、本発明の被撮像物の移動方法を実行するプログラムを含む各種のプログラムが記憶されたプログラム記憶部17Bと、種々のデータを記憶する記憶部17Cと、第1、第2のCCDカメラ14、15からの撮像信号を画像処理する画像処理部14A、15Aと、これらの画像処理部14A、15Aからの画像信号を画像データとして記憶する画像記憶部14B、15Bと、これらの画像信号に基づいて表示画面16に撮像画像を表示するための表示制御部14C、15Cと、を備え、中央演算処理部17Aがプログラム記憶部17A、記憶部17Cとの間で信号を送受信してプローブ装置10の各種の構成機器を制御する。
【0023】
中央演算処理部17Aには入力部18が接続され、入力部18から入力された各種のデータ信号を処理し、記憶部17Cへ格納する。また、中央演算処理部17Aにはマウス19が接続され、マウス19のマウスポインタ19Aが中央演算処理部17Aを介して表示画面16上に表示される。本実施形態ではプログラム記憶部17Cに第1、第2、第3の被撮像物の移動方法等のプログラムが格納され、それぞれの被撮像物の移動方法が表示画面16にメニューの一部として表示される。そして、マウス19を操作することによって三種類のプログラムのいずれか一つをメニューから選択し、実行させることができる。また、これらの方法は、メニュー表示に代えてアイコン表示にしても良い。
【0024】
また、中央演算処理部17Aには画像記憶部14B、15B及び表示制御部14C、15Cが接続され、第1、第2のCCDカメラ14、15による撮像画像を中央演算処理部17A及び表示制御部14C、15Cを介して表示画面16上にそれぞれ表示する。画像記憶部14B、15Bには第1、第2のCCDカメラ14、15による現在の撮像画像以外に、過去の撮像画像を格納することができる。
【0025】
第1、第2、第3の被撮像物の移動方法それぞれのプログラムは、種々の記憶媒体に記録され、必要に応じて各種のプローブ装置の記憶部に登録して使用することができる。また、これらのプログラムは、通信媒体によって各種のプローブ装置にダウンロードすることができる。本実施形態では、制御装置17においてプログラム記憶部17Bに格納された三種類の被撮像物の移動方法のプログラムをそれぞれ個別に実行して、以下で説明するように表示画面16上に表示された撮像画像の一部をマウスポインタ19Aで操作することによってステージ11を第1のCCDカメラ14またはプローブカード12に対して相対的に移動させることができる。
【0026】
第1の被撮像物の移動方法
第1の被撮像物の移動方法について図2、図3を参照しながら説明する。まず、マウス19を操作して表示画面16のメニューから第1の被撮像物の移動方法を表すプログラムを選択する。表示画面16には例えば第2のCCDカメラ15によって撮像されたプローブカードの撮像画像が図2の(a)に示すように表示される。尚、図2の(a)では便宜上プローブカード12の複数のプローブピン中の1本のプローブがピン画像Pとして表示されているが、実際には複数のピン画像が表示される。そこで、マウス19を操作して撮像画像の一部であるピン画像Pをマウス19のマウスポインタ19Aで指定し、マウス19をクリックすると、同図の(b)に示すようにピン画像Pが十字マークCへ移動する。換言すれば、この操作によりピン画像Pに対応するプローブが第2のCCDカメラ15の中心に位置するようにステージ11が移動する。
【0027】
即ち、図2の(a)に示すようにマウス19を操作してマウスポインタ19Aによってピン画像Pを指定し、マウス19をクリックすると(ステップS1)、制御装置17はピン画像Pのピクセル座標を記憶部17Cで記憶する(ステップS2)。引き続き、制御装置17は、中央演算処理部17Aにおいてピン画像Pのピクセル座標と第2のCCDカメラ15の中心座標とのオフセット(x,y)を計算する(ステップS3)。制御装置17は、現在使用している倍率のピクセルサイズ(μm)を記憶部17Cから中央演算処理部17Aに取得した後(ステップS4)、中央演算処理部17Aにおいて現在使用している倍率のピクセルサイズに基づいてオフセットをピクセル座標からステージ座標(実際の寸法)にμm換算する計算を実行する(ステップS5)。引き続き、制御装置17は、記憶部17Cから現在のステージ座標(同図の(a)の位置座標)を取得し(ステップS6)、中央演算処理部17Aにおいてステージ座標にμm換算されたオフセットを加算した後(ステップS7)、中央演算処理部17Aを介して駆動機構11Aを駆動させてオフセットを加算したステージ座標位置へステージ11を移動させると(ステップS8)、図2の(b)に示すようにピン画像Pが第2のCCDカメラ15の中心を示す十字マークCへ移動する。これによって同図の(b)に示す移動後のステージ11のステージ座標を記憶部17Cに格納し、記憶する。
【0028】
また、第1のCCDカメラ14を用いてピン画像Pに対応するウエハの検査用電極を検出する場合には、第2のCCDカメラ15から第1のCCDカメラ14に切り換えて第1のCCDカメラ14による撮像画像を表示画面16に表示した後、上述した場合と同様にマウス19を操作して、ウエハの目標とする検査用電極を第1のCCDカメラ14の中心に移動させることができ、そのステージ座標を記憶部17Cに記憶する。
【0029】
以上説明したように第1の被撮像物の移動方法によれば、表示画面16のピン画像Pをマウスポインタ19Aによって指定し、マウス19をクリックするだけで、マウスポインタ19Aで指定したピン画像Pを第2のCCDカメラ15の中心へ移動させることができ、もって第2のCCDカメラ15の中心でプローブ12Aを検出することができ、そのステージ座標を記憶部17Cへ記憶させることができる。同様にして第1のCCDカメラ14によるウエハの撮像画像についても同様に処理を行うことができ、指定した検査用電極を検出することができる。従って、第1、第2のCCDカメラ14、15によって目標とするプローブ12A及びウエハの検査用電極をそれぞれ検出し、それぞれのステージ座標に基づいてこれら両者のアライメントを行うことができる。
【0030】
第2の被撮像物の移動方法
本実施形態の被撮像物の移動方法について図4、図5を参照しながら説明する。まず、マウス19を操作して表示画面16のメニューから第2の被撮像物の移動方法を表すプログラムを選択する。表示画面16には例えば第2のCCDカメラ15によって撮像された2本のプローブが図4の(a)に示すように第1、第2のピン画像P1、P2として表示される。そこで、マウス19を操作して第1のピン画像P1をマウスポインタ19Aで指定しマウス19をクリックした後、同図の(b)に示すように第2のピン画像P2をマウス19のマウスポインタ19Aで指定しマウス19をクリックすると、同図の(c)に示すように第1、第2のピン画像P1、P2が移動しこれらの結線の中心が十字マークCへ移動する。この操作により第1、第2のピン画像P1、P2間の中心が第2のCCDカメラ15の中心になるようにステージ11が移動する。
【0031】
即ち、図4の(a)に示すようにマウス19を操作してマウスポインタ19Aによって第1のピン画像P1を指定しマウス19をクリックすると(ステップS11)、制御装置17は第1のピン画像P1のピクセル座標1を記憶部17Cで記憶する(ステップS12)。次いで、同図に(b)に示すようにマウス19を操作してマウスポインタ19Aによって第2のピン画像P1を指定しマウス19をクリックすると(ステップS13)、制御装置17は第2のピン画像P2のピクセル座標2を記憶部17Cで記憶する(ステップS14)。引き続き、制御装置17は、中央演算処理部17Aにおいて予め定義されている関係式を用いて第1のピン画像P1のピクセル座標1と第2のピン画像P2のピクセル座標2の中点座標を計算した後(ステップS15)、制御装置17は、中央演算処理部17Aにおいて中点座標と第2のCCDカメラ15の中心座標とのオフセット(x,y)を計算する(ステップS16)。
【0032】
更に、制御装置17は、現在使用している倍率のピクセルサイズ(μm)を記憶部17Cから中央演算処理部17Aに取得した後(ステップS17)、中央演算処理部17Aにおいて現在使用している倍率のピクセルサイズに基づいてオフセットをピクセル座標からステージ座標にμm換算する計算を実行する(ステップS18)。引き続き、制御装置17は、記憶部17Cから現在のステージ座標を取得し(ステップS19)、中央演算処理部17Aにおいてステージ座標にμm換算したオフセットを加算した後(ステップS20)、中央演算処理部17Aを介して駆動機構11Aを駆動させてオフセットを加算した座標位置へステージ11を移動させると(ステップS21)、図4の(b)に示すように第1、第2のピン画像P1、P2の中点が表示画面16の十字マークC、即ち第2のCCDカメラ15の中心になるように移動する。これによって図4の(c)に示す移動後のステージ11のステージ座標を記憶部17Cに格納し、記憶する。
【0033】
また、第1のCCDカメラ14を用いて、第1、第2のピン画像P1、P2に対応するウエハの検査用電極を検出する場合には、第2のCCDカメラ15から第1のCCDカメラ14に切り換えて第1のCCDカメラ14による撮像画像を表示画面16に表示した後、上述した場合と同様にマウス19を操作して、ウエハの目標とする2つの検査用電極の中点を第1のCCDカメラ14の中心に移動させることができ、そのステージ座標を記憶部17Cに記憶する。
【0034】
以上説明したように第2の被撮像物の移動方法によれば、表示画面16の第1のピン画像P1をマウスポインタ19Aによって指定しマウス19をクリックした後、第2のピン画像P2をマウスポインタ19Aによって指定しマウス19をクリックするだけで、マウスポインタ19Aで指定した第1、第2のピン画像P1、P2間の中点を第2のCCDカメラ15の中心へ移動させることができ、もって第2のCCDカメラ15の中心で隣り合うプローブ12Aの中心を検出することができ、そのステージ座標を記憶部17Cへ記憶させることができる。同様にして第1のCCDカメラ14によるウエハの撮像画像についても同様に処理を行うことができ、指定した第1、第2の検査用電極のXY座標位置を検出することができる。従って、第1、第2のCCDカメラ14、15によって目標とするプローブ12A及びウエハの検査用電極をそれぞれ二つずつ検出することにより、これら両者のステージ座標を用いることでこれら両者の中点同士のアライメントを行うことができる。
【0035】
第3の被撮像物の移動方法
本実施形態の被撮像物の移動方法について図6、図7を参照しながら説明する。まず、マウス19を操作して表示画面16のメニューから第3の被撮像物の移動方法を表すプログラムを選択する。表示画面16には例えば第2のCCDカメラ15によって撮像されたプローブカードの撮像画像が図6の(a)に示すように表示される。そこで、マウス19を操作して撮像画像の一部であるピン画像Pをマウスポインタ19Aで指定しマウス19をクリックした後、同図の(a)に示すようにマウス19を操作してマウスポインタ19Aをピン画像Pから矢印方向にドラッグして十字マークCに合わせてクリックを解除すると、ピン画像Pはマウスポインタ19Aに追随して十字マークCまで移動する。換言すれば、このドラッグ操作によりピン画像Pに対応するプローブが第2のCCDカメラ15の中心に位置するようにステージ11が移動する。
【0036】
即ち、図7の(a)に示すようにマウス19を操作してマウスポインタ19Aによってピン画像Pを指定し、マウス19をクリックすると(ステップS31)、制御装置17はピン画像Pのピクセル座標1を記憶部17Cで記憶する(ステップS32)。引き続き、制御装置17は、中央演算処理部17Aにおいてピン画像Pがクリックされているか否かを判断し(ステップS33)、クリックされていないと判断すると、ステップS31へ戻りステップS33までの動作を繰り返す。ステップS33においてマウス19がクリックされていると判断すると、次いで、マウスポインタ19Aが動いたか(ドラッグしたか)否かを判断する(ステップS34)。マウスポインタ19Aが動いていないと判断すると、ステップS33へ戻り再度クリックされているか否かを判断する。
【0037】
ステップS34においてマウスポインタ19Aが動いたと判断すると、即ちマウスポインタ19Aがドラッグされて動いたと判断すると、ドラッグ後の位置、つまり十字マークCのピクセル座標2を記憶部で記憶した後(ステップS35)、ピクセル座標1とピクセル座標2のオフセット(x,y)を計算する(ステップS36)。次いで、制御装置17は、現在使用している倍率のピクセルサイズ(μm)を記憶部17Cから中央演算処理部17Aに取得した後(ステップS37)、中央演算処理部17Aにおいて現在使用している倍率のピクセルサイズに基づいてオフセットをピクセル座標からステージ座標にμm換算する計算を実行する(ステップS38)。引き続き、制御装置17は、記憶部17Cから現在のステージ座標を取得し(ステップS39)、中央演算処理部17Aにおいてステージ座標にμm換算したオフセットを加算した後(ステップS40)、中央演算処理部17Aを介して駆動機構11Aを駆動させてオフセットを加算した座標位置へステージ11を移動させると(ステップS41)、図6の(b)に示すようにピン画像Pが第2のCCDカメラ15の中心を示す十字マークCへ移動する。これによって同図の(b)に示す移動後のステージ11のステージ座標を記憶部17Cに格納し、記憶する。
【0038】
以上説明したように第3の被撮像物の移動方法によれば、表示画面16のピン画像Pをマウスポインタ19Aによって指定しマウス19をクリックした後、マウスポインタ19Aを十字マークCへドラッグするだけで、マウスポインタ19Aで指定したピン画像Pを第2のCCDカメラ15の中心へ移動させることができ、もって第2のCCDカメラ15の中心でプローブ12Aを検出することができ、そのステージ座標を記憶部17Cへ記憶させることができる。同様にして第1のCCDカメラ14によるウエハの撮像画像についても同様に処理を行うことができ、指定した検査用電極のXY座標位置を検出することができる。従って、第1、第2のCCDカメラ14、15によって目標とするプローブ12A及びウエハの検査用電極をそれぞれ検出し、それぞれのステージ座標に基づいてこれら両者のアライメントを行うことができる。
【0039】
尚、上記各実施形態では、表示画面16のピン画像P、P1、P2をマウスポインタ19Aで指定することによってピン画像P、P1、P2を十字マークCへ移動させる方法について説明したが、仮に表示画面16に対象となるピン画像等が表示されていなくても、表示画面16上で任意の部位を指定すれば、その部位を十字マークCへ移動させ、ステージ11を介して第1、第2のCCDカメラ14、15を任意の方向へ移動させることができる。また、第2の画像移動方法では第1、第2のピン画像P1、P2間の中点を求め、この中点を十字マークCへ移動させる方法について説明したが、中点に制限されるものではなく、中点以外の点を特定する関係式を設定し、中点以外の部位を目標位置に移動させるようにしても良い。また、マウスポインタで指定する任意の部位は、三箇所以上であっても良く、この場合には三箇所の部位に基づいて設定部位を求める関係式を記憶部に登録しておくことにより、第2の被撮像物の移動方法を実施することができる。また、上記各実施形態では目標位置を表示画面の中心に設定したが、目標位置は必要に応じて中心以外に設定しても良い。
【0040】
また、上記各実施形態ではマウス19を用いて撮像画像を操作する場合について説明したが、表示画面がタッチパネル式になっている場合には、オペレータが手で撮像画像の一部に触れることによっても上記各実施形態の被撮像物の移動方法を実行することができる。
【0041】
更に、上記各実施形態ではプローブ装置10を例に挙げて説明したが、本発明の処理装置はプローブ装置に制限されるものではなく、カメラ等の撮像手段を備えた半導体製造装置等の製造装置にも広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、撮像手段を備えた処理装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 プローブ装置(処理装置)
11 ステージ(載置台)
11A 駆動機構
11B 被撮像物の移動方法
12 プローブカード(対象物)
12A プローブ
13 アライメント機構
14 第1のCCDカメラ(第1の撮像手段)
15 第2のCCDカメラ(第2の撮像手段)
16 表示画面
17 制御装置(制御手段)
17A 中央演算処理部(演算部)
17B、17C 記憶部
P、P1、P2 ピン画像(指定部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段によって所定の倍率で撮像され且つ表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させる被撮像物の移動方法であって、
上記任意の部位にマウスポインタを当て、マウスをクリックすることにより上記任意の部位を指定すると共にして上記指定部位を上記目標位置へドラッグする工程と、
上記指定部位の上記表示画面上での座標値を記憶する工程と、
上記マウスをドラッグした後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値を記憶する工程と、
上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める工程と、
上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させて、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させる工程と、を備えた
ことを特徴とする被撮像物の移動方法。
【請求項2】
撮像手段によって所定の倍率で撮像され且つ表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させる被撮像物の移動方法であって、
上記表示画面としてタッチパネルを設け、上記タッチパネルに表示された上記撮像画像の上記任意の部位に触れることにより上記任意の部位を指定すると共に上記指定部位を上記目標位置へドラッグする工程と、
上記指定部位の上記表示画面上での座標値を記憶する工程と、
上記タッチパネルでの指定部位をドラッグした後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値をそれぞれ記憶する工程と、
上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める工程と、
上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させて、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させる工程と、を備えた
ことを特徴とする被撮像物の移動方法。
【請求項3】
所定の倍率で被撮像物を撮像する撮像手段と、上記撮像手段による撮像画像を表示する表示画面と、上記被撮像物と上記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、上記移動手段を駆動する駆動手段と、これらを制御する制御手段と、を備え、制御手段の制御下で、上記表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させるように構成された処理装置であって、
上記撮像画像の任意の複数の部位にマウスポインタを当ててクリックすることにより上記の任意の部位を指定すると共に上記任意の指定部位を上記目標位置までドラッグするマウスとして構成された指定手段と、
上記指定部位及び上記ドラッグ後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値をそれぞれ記憶する記憶手段と、
上記表示画面上での上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める演算手段と、を有し、
上記駆動手段が上記オフセットに基づいて駆動し、上記移動手段を介して上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物が相対的に移動する
ことを特徴とする処理装置。
【請求項4】
所定の倍率で被撮像物を撮像する撮像手段と、上記撮像手段による撮像画像を表示する表示画面と、上記被撮像物と上記撮像手段とを相対的に移動させる移動手段と、上記移動手段を駆動する駆動手段と、これらを制御する制御手段と、を備え、制御手段の制御下で、上記表示画面に表示された被撮像物の撮像画像の任意の部位を指定し、その状態で上記指定部位を上記表示画面上で目標位置へドラッグすることにより、上記表示画面上で上記指定部位を上記目標位置へ移動させて上記撮像手段と上記被撮像物を相対的に移動させるように構成された処理装置であって、
上記撮像画像の任意の部位に触れて上記任意の部分を指定すると共に上記任意の指定部位を上記目標位置までドラッグする機能を有するタッチパネルとして構成された指定手段と、
上記指定部位及び上記ドラッグ後の上記目標位置の上記表示画面上での座標値をそれぞれ記憶する記憶手段と、
上記表示画面上での上記指定部位と上記ドラッグ後の上記目標位置とのオフセットを求める演算手段と、を有し、
上記駆動手段が上記オフセットに基づいて駆動し、上記移動手段を介して上記オフセットに見合った距離だけ上記撮像手段と上記被撮像物が相対的に移動する
ことを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−104154(P2012−104154A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20407(P2012−20407)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2006−137108(P2006−137108)の分割
【原出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】