説明

被試験デバイスの分析のためのシステムおよび被試験デバイスをテストする方法

【課題】ビア、例えばTSVの中のボイドのような故障を検出するために熱画像を調べる装置、方法を提供する。
【解決手段】制御された量の熱が光ビームを用いてスタックダイ中に注入され、伝搬された熱は、ダイの反対側からLITカメラで測定される。得られた熱画像は、既知のスタックレイヤからの位相シフトを較正するのに用いられるよう、またはスタックダイ中の欠陥を特定するのに用いられるよう、その特性が得られる。本プロセスは、将来のテストのためのレファレンスを生成するために、スタックの中のそれぞれのダイについて繰り返され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの欠陥特定分析の分野に属し、そのような欠陥特定のための較正装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの設計および検証段階では、さまざまな欠陥、または欠陥につながり得る、チップ設計上、問題がある領域がないかテストすることが重要である。欠陥のうちの一つのカテゴリーとして、局所的な発熱を引き起こす欠陥がある。このテスト段階において、そのような欠陥を特定することが重要である。局所的な発熱欠陥を特定する方法として、ロックインサーモグラフィ(lock in thermography, LIT)と呼ばれるものがある。本願の出願人であるカリフォルニア州フレモントのDCG Systems, Inc.から入手可能な現在の製品はこの手法を利用しており、ELITEと呼ばれる。LITという語は、ロックインアンプを用いて非常に小さな発熱バラツキを試料から検出する非破壊技術をさす。このシステムは、チップ内で局所的な発熱を起こす欠陥をつきとめ、その「位置特定」を行う、すなわちその位置座標を求める。
【0003】
設計検証のあいだになされる他の種類のテストは、熱レーザ刺激(TLSまたは静的レーザ刺激の略としてSLS)と呼ばれる。この技術を用いて本願出願人から入手可能な現在の製品は、MERIDIANまたはTriVisionと呼ばれる。TLSという語は、レーザ(例えば波長1340nmのレーザ)を用いて半導体集積回路(IC)上を局所的に加熱することによって、ICのパフォーマンスに対する加熱の影響をテストすることをいう。このようなシステムにおいて、対象となるICは、電気的にテスタに接続され、電気的テスト信号を与えられる。レーザ源を用いて局所的な加熱を行い、このテスタを用いて加熱に対するICの電気的反応を調べる。すなわち、レーザ加熱を伴う場合および伴わない場合の電気的テスト信号に対するICの反応が、ICの電気的出力を検査することによって比較される。従来のTLSにおいては、連続波レーザを用いて被試験デバイスに熱を発生させる。この技術を用いてデバイス中の金属部の短絡を検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複雑でスタックダイのデバイスが進歩するに従い、従来の技術を用いてデバイスをテストすることがますます難しくなる。また、最近のスタックダイアーキテクチャは、シリコン貫通ビア(TSV)と呼ばれる構造を採用する。TSVは、高いアスペクト比を有するので、導電材料でこれらを均一に埋めることは難しい。しかし適切に埋められていないTSVは、デバイス性能の低下やさらには誤動作にまでつながり得る。したがってこのようなデバイスをテストする助けとなるような新規で改良された技術および装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の要約は、本開示のいくつかの局面および特徴の基本的な理解を促すために記載されている。この要約は、本発明の広範な概観ではなく、よって本発明の主要なまたは重要な要素を具体的に特定するよう意図されておらず、本発明の範囲を定めるよう意図されていない。その唯一の目的は、以下に示されるより詳細な説明の前に簡略化された形で本発明のいくつかの概念を提示することである。
【0006】
本発明の局面によれば、制御された量の熱が光ビームを用いてスタックダイ中に注入され、伝搬された熱は、ダイの反対側から熱センサで測定される。得られた熱画像は、既知のスタックレイヤから位相シフトを較正するのに用いられるよう、特性が求められ得て、または、スタックダイ中の欠陥を特定するために用いられ得る。本プロセスは、将来のテストのためのレファレンスを生成するために、スタックの中のそれぞれのダイについて繰り返され得る。熱画像は、ビア、例えばTSVの中のボイドのような故障を検出するために調べられ得る。
【0007】
本発明の局面によれば、被試験デバイス(DUT)の分析のためのシステムが提供され、前記DUTを支持するためのテストベンチと、所定量のエネルギーを前記DUT上の局所的なスポットに、前記DUTの一方の側から届けるよう配置された熱源と、前記DUTの他方の側を画像化するよう配置された熱画像化システムと、前記熱源を動作させることによって、前記所定量のエネルギーを送り、前記熱画像化システムから出力信号を受け取るコントローラとを備える。前記熱源は、レーザ光源のような光源を備える。開示された実施形態によれば、前記コントローラは、前記光源をロックイン周波数f1で動作させ、前記熱画像化システムをロックイン周波数f2で動作させる。ロックイン周波数f2は、ロックイン周波数f1の少なくとも4倍であり得る。前記熱画像化システムは、赤外カメラを備えてもよく、前記熱源はさらに可動ステージと、前記可動ステージに結合された光学スキャナであって、前記光学スキャナは、前記光源の出力を受け取り、前記出力を前記DUT上の特定のスポットへ導く、光学スキャナと、前記出力を前記DUT上の前記特定のスポットへ収束させる対物レンズとを備えてもよい。
【0008】
さらなる局面によれば、被試験デバイス(DUT)の分析のためのシステムが開示され、前記DUTを支持するためのテストベンチと、ロックイン周波数f1において動作し、前記DUT上にパルスレーザ光ビームを前記DUTの一方の側から届けるよう配置されたロックインレーザ光源と、ロックイン周波数f2で動作し、前記DUTの他方の側を画像化するよう配置されたロックインサーマル画像化システムと、前記ロックイン周波数f1で前記光源を動作させ、前記ロックイン周波数f2で前記サーマル画像化システムを動作させるコントローラとを備える。開示された実施形態において、前記コントローラは、ロックイン周波数f1のトリガ信号を前記ロックインレーザ光源に出力し、ロックイン周波数f2のトリガ信号を前記ロックインサーマル画像化システムに出力し、ロックイン周波数f2は、ロックイン周波数f1の少なくとも4倍である。前記ロックインレーザ光源は、前記ロックイン周波数f1のトリガ信号を受け取り、パルスレーザ光ビームを発生する励起源と、前記パルスレーザ光ビームを受け取り、前記DUT上の指定された位置に導くスキャンユニットと、前記指定された位置上に前記パルスレーザ光ビームを収束させる対物レンズとを備える。前記ロックイン熱画像化システムは、赤外カメラを備える。
【0009】
さらなる他の局面によれば、被試験デバイス(DUT)をテストする方法が提供され、この方法は、前記DUTをテストベンチ上に配置することと、前記DUTの一方の側に指定されたスポットを照射することと、前記DUTの他方の側の熱画像を得ることと、前記熱画像を分析することによって、前記DUT内の熱の熱伝搬の特性を求めることを含む。指定されたスポットを照射することは、一連の周波数f1のレーザ光パルスを伝えることを含み得て、熱画像を取得することは、周波数f2において一連の画像を取得することを含み得る。この方法は、周波数f1およびf2を同期させることをさらに含み得て、ロックイン周波数f2は、ロックイン周波数f1の少なくとも4倍である。この方法は、前記一連のパルスを前記DUT内の所定の深さに収束させることをさらに含み得る。前記指定されたスポットは、少なくとも1つのシリコン貫通ビア(TSV)を含み、前記方法は、前記熱画像をレファレンス熱画像と比較することによって、前記TSV中の欠陥を調べることをさらに含み得る。前記方法は、前記DUTのさまざまなレイヤ内の熱の熱伝搬のレファレンスデータベースを組み立てることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示し、ICデバイスをテストするための構成を示す図である。
【図2】8ダイスタックについての実験結果を示す図である。
【図3】熱伝搬特性が得られた後で被試験デバイスをテストする実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の他の局面および特徴は、図面を参照する詳細な説明から明らかとなろう。詳細な説明および図面は、特許請求の範囲によって規定される本発明の、さまざまな実施形態のさまざまな非限定的実施例を提供することに注意されたい。
【0012】
ここに援用され本明細書の一部をなす添付の図面は、さまざまな実施形態を例示し、本明細書の記載と共に、本発明の原理を説明し図示する働きをする。本図面は、例示的実施形態の主要な特徴を概略的に図示するよう意図されている。図面は、実際の実施形態のあらゆる特徴を図示するようには意図されておらず、図示された要素の相対的な寸法を示すようにも意図されておらず、よって原寸に比例していない。
【0013】
本発明の実施形態は、マイクロメーターのスポットサイズの熱源を用いて熱的欠陥分析を可能にし、ICおよびスタックダイの分析のための較正方法を提供する。本発明の実施形態によれば、レーザ、レーザダイオードなどのような光源が用いられることによって、ダイの中で局所的な加熱が行われる。この局所的な加熱は、例えば、ダイの反対側からの熱放射画像取得を用いて調べられる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、ロックインサーマルレーザ刺激は、ロックイン熱放射と組み合わせることによって、IC設計を検査できる。一つの工程がデバイスの一方の側から実行され、もう一つの工程がデバイスの反対側から同時にかつ同期して実行される。
【0015】
ある実施形態によれば、レーザパルス(例えば波長1340nmまたはシリコンのバンドギャップである1064nmより長い任意の波長)が、与えられたロックイン周波数においてICの与えられた位置に向けられることによって、IC内に局所的な加熱を起こす。光学システム、すなわち対物レンズなどが用いられて、IC内の任意の深さにおいてビームをフォーカスさせることができる。熱は、熱カメラ、例えば赤外(IR)カメラによって反対側から検出される。熱カメラは、ロックインモードでも動作する。カメラの動作周波数は、レーザロックイン周波数の少なくとも4倍であるが、これはナイキストシャノンのサンプリング定理による。両方のシステムがロックインモードで動作するという事実によって、より高い感度が可能になる。
【0016】
この手法は、スタックダイを通した熱伝搬の較正プロセスのために、より具体的には位相シフト分析のために利用できる。従来のLITテストにおいては、励起源は、電気信号をICに供給する電源である。物理的な欠陥によってスタックダイの中に局所的な熱が発生し、これは熱センサを用いるLITシステムによってIC表面において検出される。ICのさまざまなレイヤを通して伝搬する熱波(heat wave)は、電源の位相に対して位相シフトを有する。位相シフトの量は、欠陥および表面の間にある材料の種類と、ICの中の欠陥の深さとに依存する。しかし一般的には、位相シフトの量と、材料の種類および欠陥深さとの相関は、未知である。よって従来技術では、IC内の欠陥の深さを求めることは難しい。
【0017】
本発明の実施形態の方法は、スタックダイに制御された熱を注入すること、およびその熱伝搬を熱カメラで測定することを利用し、それにより与えられた(既知の)スタックレイヤからの位相シフトを較正することができる。この動作は、スタック中のそれぞれのダイについて繰り返されることで、将来のテストのためのレファレンス(基準、参照データ)を生成する。これはそれぞれのダイを一つずつ物理的に除去し、ダイのそれぞれについて位相測定を行うことによってもなされ得る。
【0018】
図1は、被試験デバイスであるIC、DUT105をテストするための構成100を示す本発明の実施形態を示す。この構成100は、DUT105を支持するテストベンチ117、DUT105の一方の側からDUT105を照らすよう配置される光学的熱源110、およびDUT105のもう一方の側を画像化するよう配置された熱画像化システム150を含む。光学的熱源110は、光源112、例えばレーザ、レーザダイオードなどを利用することで、所定量のエネルギーをDUT105内の選択された位置に送り込む。図1の図示において、光源112は、光パルスをスキャナ116に届ける。それぞれのパルスは、必要な量のエネルギーを届けるよう計算された所定の持続期間および強度を有する。スキャナ116は、光パルスをDUT105上の選択された位置に導くよう操作される。すなわち、スキャナ116は、スキャニングモードでは動作せず、つまりDUT105を走査せずに、むしろ静止(static)モードで用いられることによって光パルスを単一の選択された位置に導く。光パルスは、対物系118によってDUT105上に焦点が合わされる。
【0019】
光パルスの焦点がDUT105上の選択された位置に合わされているとき、熱点(hot spot)がDUT105内に発生する。DUT105の反対側の面に向かった熱点の伝搬は、DUT105の熱点および背面の間にあるさまざまなレイヤの材料と厚さとに依存している。いったん熱が背面に伝搬したら、熱放射145は、熱センサ、例えばIRカメラ118によって画像化される。IRカメラ118は、プロセッサ152によって制御され、ロックインモードで動作される。正確さを高めるために、この実施形態では、カメラ118のロックイン周波数140は、光源112のロックイン周波数135の少なくとも4倍に設定される。その後、熱画像は、DUT105内の熱伝搬の特性を決定するために分析される。この特性決定は、熱点の位置をDUT105内で特定するために用いられ得る。熱点は、DUT105の欠陥や設計ミスによって引き起こされる。例えば、DUT105の表面を熱画像化しながら、電気的テスト信号がDUT105に与えられる。この電気的テスト信号は、欠陥に熱点を発生させ、この熱点は、熱画像化を用いて画像化され得る。特性決定は、DUT105内の欠陥の正確な深さを求めるために用いられ得る。
【0020】
図2は、8ダイスタックについての実験結果を示す。図2の曲線は、較正された位相と、レイヤのそれぞれについてのロックイン周波数との関係を示す。これらの曲線は、同様の構造を有するデバイスをLITテストするのに利用され得る。
【0021】
他の例によれば、図1に示されるようなシステムは、欠陥のあるTSV(シリコン貫通ビア)の位置を特定するのに利用され得る。製造されるとき、デバイス上の全てのTSVは、電気信号を適切に導くために、導電材料で適切に埋められなければならない。TSVにあるいかなるボイドも検出されなければならないが、これはボイドがTSVの抵抗を増やすために、ICの性能低下や故障を引き起こすからである。同時に、TSV中のいかなるボイドも欠陥からの、または励起源112からの熱伝搬を遅くするか、妨げる。したがって、本発明の実施形態によれば、励起源112は、熱点をダイの一方の側に生じさせ、熱放射カメラがダイの表面を画像化するように配置されているもう一方の側に熱が伝搬するようにさせるために用いられる。適切な構造を有するTSV、すなわちレファレンスTSVとして設定できるようなTSVの中における熱伝搬は、被試験TSVにおける熱伝搬と比較され得る。もし熱伝搬が遅かったり、または熱伝達が低かったりすれば、すなわち熱画像が微弱なら、それは欠陥のあるTSVを意味する。
【0022】
図3は、熱伝搬特性が得られたあとに、DUT300をテストする実施形態を示す。DUT300は、電気的励起源305によって発生された周波数f0の電気的励起信号330によって励起される(stimulated)。ある実施形態では、励起信号330は、DUTの動作電圧、例えば1.2V、およびロックイン周波数f0に等しい振幅電圧を有する方形波である。励起信号の周波数f0は、プロセッサ315の周波数選択部320によって設定され変化させられる。同期信号335は、プロセッサ315から出力され、励起源305に送られる。同期信号335は異なる周波数であってもよいが、最も簡単な構成は、励起源305が周波数f0の電気的励起信号330を発生するように構成されているなら、同期信号335を同じ周波数f0に設定することである。IRカメラ310は、DUT300の選択された領域のIR画像を取得するのに用いられる。カメラ310のフレームレートは、これには限定されないが、ふつうは周波数f0よりも高く設定される。ここでは周波数f0の少なくとも4倍に設定される。この動作は、自動試験装置(ATE)によって処理され得る。すなわち、ATEが駆動信号をDUTに送り、同時に、トリガ信号をコントローラおよびカメラに送る。
【0023】
図3の構成では、DUT300は、励起源305によって繰り返し励起され、励起信号の周波数f0は、周波数選択器320によって供給される同期信号335に従って変化させられる。これにより電子デバイス内において、熱点の位置、とりわけその深さ(すなわちz方向)がよりよく、より正確に特定できるようになる。加えて、図3の構成は、単一の位相データ点を出力せず、むしろモニタ325上に応答曲線全体をプロットすることを可能にする。応答曲線全体を得ることは、曲線あてはめのようなさらなる分析を可能にし、DUT内の時間分解された放熱をよりよく理解できるようにする。特筆すべきは、理解できるように、デバイスの分解(例えばパッケージをこわして開けること。de-capsulation)およびチップの背面を薄くすることを要求するOBIC、LVP、TREMなどのような標準的なデバッグ法とは異なり、図3の構成では、テストはチップを分解する必要なしで、なされる。
【0024】
スタックダイの集積回路デバイス、例えばシステムインパッケージの中で3次元の熱点位置特定を行うために、影響を及ぼす第2の要因が考慮されなければならない。熱点位置で発生された熱波は、異なる材料レイヤ、例えばシリコン、成形材料、ダイ接着テープなどを通って伝搬しなければならず、これらのそれぞれは異なる厚さを有する。その結果、欠陥のあるデバイスの異なるダイにおける軸の熱点位置(axial hot spot position)に依存して、デバイス表面への距離だけでなく、熱拡散長(thermal diffusion length)も変化する。したがってスタック内部の、より低いダイにおける熱点で発生された熱波は、デバイス表面に近い熱点で発生された熱波に比べて、さらなる材料レイヤを通過しなければならない。この振る舞いは、異なる熱点の位置についてある周波数範囲にわたって理論的位相シフトを計算することによって、熱点の深さを求めるのに利用され得る。一方、ここで開示されたシステムおよび方法を用いて、異なるレイヤまたは異なるデバイスの熱伝搬特性のデータベースを生成し、そのデータベースをレファレンスとして用いることによって試験されたデバイスの欠陥深さを解読(つまり計算)できる。
【0025】
上記から理解されるように、開示された実施形態によれば、ロックインサーモグラフィを用いて、電子デバイス内において電気的構造または欠陥によって生じた熱点について定量的かつ非破壊3D(3次元)で位置を特定できる。印加されたロックイン周波数および位相シフト間の関係は、さまざまな試験デバイスおよびレイヤにおける熱伝搬の特性に基づいて求めることができる。これは、熱点が未知の厚さの単一の材料レイヤ内に埋められている場合について、および熱点がスタックダイデバイスの内部の未知の個数のダイ内に埋められている場合についてなされ得る。開示された方法は、成形材料の厚いレイヤ内に埋められている場合であっても熱点の3次元全ての位置を特定できる。
【0026】
さらに、パッケージアーキテクチャ内のシステムの異なるダイレイヤを測定すれば、大きな位相シフト差を示すので、パッケージを通してでも欠陥のあるダイを正確につきとめることができる。複雑な温度特性を持つスタックダイの非均一な材料スタックであっても、熱伝搬特性のデータベースを構築することによって、そのような複雑なデバイスにおける欠陥の位置を正確に特定することができる。これら熱点の深さについての結果を取得および分析する方法は、開示された実施形態によって実施可能である。
【0027】
ここで説明されたプロセスおよび技術は、特定の装置にもともと関係しているわけではなく、要素の任意の適切な組み合わせによって実現可能であることを理解されたい。さらに、ここで説明された教示に従ってさまざまなタイプの汎用デバイスが用いられ得る。またここで記載された方法ステップを実行するために専用の装置を構成するのも効果的であろう。
【0028】
本発明は具体的な例について記載されてきたが、これら例は、全ての点において限定的というよりは例示的であると意図される。ハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアの多くの異なる組み合わせが本発明を実施するのに適切であることが当業者であれば理解できよう。さらに、本発明の他の実現方法は、明細書を考慮し、ここに開示された本発明を実施すれば、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は例示的なものとだけ考えられるべきであると意図され、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス(DUT)の分析のためのシステムであって、
前記DUTを支持するためのテストベンチと、
所定量のエネルギーを前記DUT上の局所的なスポットに、前記DUTの一方の側から届けるよう配置された熱源と、
前記DUTの他方の側を画像化するよう配置された熱画像化システムと、
前記熱源を動作させることによって、前記所定量のエネルギーを送り、前記熱画像化システムから出力信号を受け取るコントローラと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記熱源は光源を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光源はレーザ光源である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記光源をロックイン周波数f1で動作させ、前記熱画像化システムをロックイン周波数f2で動作させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
ロックイン周波数f2は、ロックイン周波数f1の少なくとも4倍である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記熱画像化システムは、赤外カメラを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記熱源はさらに
可動ステージと、
前記可動ステージに結合された光学スキャナであって、前記光学スキャナは、前記光源の出力を受け取り、前記出力を前記DUT上の特定のスポットへ導く、光学スキャナと、
前記出力を前記DUT上の前記特定のスポットへ収束させる対物レンズと
を備える請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
被試験デバイス(DUT)の分析のためのシステムであって、
前記DUTを支持するためのテストベンチと、
ロックイン周波数f1において動作し、前記DUT上にパルスレーザ光ビームを前記DUTの一方の側から届けるよう配置されたロックインレーザ光源と、
ロックイン周波数f2で動作し、前記DUTの他方の側を画像化するよう配置されたロックインサーマル画像化システムと、
前記ロックイン周波数f1で前記光源を動作させ、前記ロックイン周波数f2で前記サーマル画像化システムを動作させるコントローラと
を備えるシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、ロックイン周波数f1のトリガ信号を前記ロックインレーザ光源に出力し、ロックイン周波数f2のトリガ信号を前記ロックインサーマル画像化システムに出力する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
ロックイン周波数f2は、ロックイン周波数f1の少なくとも4倍である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロックインレーザ光源は、
前記ロックイン周波数f1のトリガ信号を受け取り、パルスレーザ光ビームを発生する励起源と、
前記パルスレーザ光ビームを受け取り、前記DUT上の指定された位置に導くスキャンユニットと、
前記指定された位置上に前記パルスレーザ光ビームを収束させる対物レンズと
を備える請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロックイン熱画像化システムは、赤外カメラを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
被試験デバイス(DUT)をテストする方法であって、
前記DUTをテストベンチ上に配置することと、
前記DUTの一方の側に指定されたスポットを照射することと、
前記DUTの他方の側の熱画像を得ることと、
前記熱画像を分析することによって、前記DUT内の熱の熱伝搬の特性を求めること
を含む方法。
【請求項14】
指定されたスポットを照射することは、一連の周波数f1のレーザ光パルスを伝えることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
熱画像を取得することは、周波数f2において一連の画像を取得することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
周波数f1およびf2を同期させることをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ロックイン周波数f2は、ロックイン周波数f1の少なくとも4倍である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記一連のパルスを前記DUT内の所定の深さに収束させることをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記指定されたスポットは、少なくとも1つのシリコン貫通ビア(TSV)を含み、
前記熱画像をレファレンス熱画像と比較することによって、前記TSV中の欠陥を調べることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記DUTのさまざまなレイヤ内の熱の熱伝搬のレファレンスデータベースを組み立てることをさらに含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−93355(P2012−93355A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233006(P2011−233006)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(508261219)ディーシージー システムズ インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】