説明

複列基板垂直搬送による表面処理方法、この表面処理方法に用いる複列チャックハンガー、及びこの複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置

【課題】 複数枚の基板をレールに沿って処理薬品液中を垂直搬送させながら表面処理する表面処理方法と、この表面処理方法を実施する複列チャックハンガーと、この複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置を提供する。
【解決手段】 複列チャックハンガー1で並列状態に吊持した複数の基板Wをレール2に沿って処理薬品液中を搬送させながら表面処理する方法を提供する。複数の基板Wを並列状態に吊持できる複数列の開閉チャック3A,3B,3Cで構成した複列チャック5をもつ複列チャックハンガー1を提供し、この複列チャックハンガー1の複数列の前記開閉チャック3A,3B,3Cを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に独立した駆動部によって単独作動できるチャック開閉作動部21A,21B,21Cを有する複列チャック開閉装置20を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解メッキ処理される基板を吊持するチャックハンガーとチャックハンガーのチャック開閉装置に係り、複数枚の基板を好適に吊持するチャックハンガーとこのチャックハンガーのチャック開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の基板を化学銅浴で同時に無電解メッキする場合、従来は複数枚の基板を網状のバスケットで各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に保持し、このバスケットごと複数枚の基板を化学銅浴中に浸漬して行なうバスケット浸漬方式が公知である。
【0003】
また、陰極として機能するレールに吊持ハンガーを介して一枚ずつ基板を移動自在に吊持し、各吊持ハンガーに一枚ずつ吊持した基板をレールに沿ってメッキ浴中の陽極間を垂直搬送させながら電気メッキする垂直搬送方式が公知である(例えば、特許第2943070号公報)。
【0004】
この垂直搬送方式で用いている吊持ハンガーとしては、バネの付勢力を利用したクリップ式のものが公知(例えば、実用新案登録第3085849号公報、特許第3677488号公報)であるが、一つのハンガーで複数の基板を並列状態に吊持できるようにしたものは、知られていない。
【0005】
しかし、薬品による表面処理の技術分野において、並列状態に吊持した複数の基板をレールに沿って処理薬品液中を垂直搬送させながら表面処理する技術は知られていない。
【0006】
【特許文献1】特許第2943070号公報
【特許文献2】実用新案登録第3085849号公報
【特許文献3】特許第3677488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような技術背景に鑑み、本発明者は、先ず、並列に配置した複数のレールにそれぞれ吊持ハンガーを介して一枚ずつ基板を吊持し、複数の吊持ハンガーで並列状態に吊持した複数の基板をレールに沿って処理薬品液中を垂直搬送する方式を想到した。しかし、この方式では設備コストが高くなり実用性に乏しいことが判明した。
【0008】
本発明は、このような技術背景に鑑み、複数枚の基板を表面処理する方法として、レールにハンガー治具を介して複数枚の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持し、この複数枚の基板をレールに沿って処理薬品液中を垂直搬送させながら処理薬品で表面処理する新規な表面処理方法を提供しようとするものである。また、この表面処理方法を実施するのに好適な複列チャックハンガーとこの複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の基板を、レールに沿って移動自在に取り付けられた複列チャックハンガーを介して、各基板面が所定間隔を空けて向き合う平行な並列状態にあり、且つ並列状態にある各基板の一側端部が前記レールに沿う移動方向に向く姿勢状態に吊持し、この複列チャックハンガーに吊持された複数の基板をレールに沿って処理薬品液中を搬送させながら表面処理する方法を提供する。
【0010】
また、この表面処理方法を実施するのに好適な復列チャックハンガーとして、本発明は、レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックは常態において基板を吊持できる閉じ状態にバネによる付勢力を与えて構成されており、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う平行な並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとした複列チャックハンガーを提供する。
【0011】
この複列チャックハンガーの前記複列チャックは、吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャックを配置して構成してある。
【0012】
また、前記した複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置として、本発明は、前記レールの基板取替え位置に対応して設けられ、この基板取替え位置に前記レールに沿って搬送された前記複列チャックハンガーに対して、この複列チャックハンガーの複数列の前記開閉チャックを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に独立した駆動部によって単独作動させる各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部を有し、このチャック開閉作動部を各列の開閉チャックの開閉作動を可能にする進出位置とレールに沿った前記複列チャックハンガーの移動を許容する後退位置とに進退移動するように構成した複列チャック開閉装置を提供する。
【0013】
そして、前記複列チャックを、吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャックを配置して構成した複列チャックハンガーにおいては、前記複列チャック開閉装置を、各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部によって同列にある複数の開閉チャックの開閉をいっしょに行なえるよう開閉作動を連動させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る複列基板垂直搬送による表面処理方法によれば、複数の基板を均等な処理条件下で表面処理でき、しかも比較的低い設備コストで実施可能である。
【0015】
また、本発明に係る複列チャックハンガーを用いれば、比較的狭い空間を隔てて並列状態に吊持された複数基板が処理薬品液中で充分析出反応され、前記複列基板垂直搬送による表面処理方法を効果的に実施できる。
【0016】
また、本発明に係る複列チャックハンガー及びこの複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置を用いれば、ハンガーへの複数基板の装着及び脱着が容易であり、作業性が良く、自動化もしやすい。また、ハンガーの複列チャックの開閉を各列で単独作動するようにしたため、各列の開閉チャックに対する基板の装着を任意に実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。先ず、本発明の複列チャックハンガーについて、その実施形態を示した図1〜図3に基づき説明する。図1〜図3は搬送メッキ処理工程にある複列チャックハンガーを示し、図1はその概略側面図、図2はその概略正面図、図3はその概略平面図である。
【0018】
本発明の複列チャックハンガー1は、レール2に沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板Wの上端部を着脱自在に挟持して該基板Wを垂直状態に吊持する開閉チャック3(この開閉チャック3は後述するように常態において基板を吊持できる閉じ状態にバネによる付勢力を与えて構成される。)を有し、この開閉チャック3を、複数(本実施例では3枚)の基板Wを各基板面が所定間隔を空けて向き合う平行な並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数(3枚)の前記基板Wをその一側端部が前記レール2に沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体4を介して複数(3枚)の基板に対応した複数列(3列)の並列状態に配置して設けた複列チャック5として構成してある。
【0019】
この複列チャックハンガー1は、上部をレール2に沿って摺動される被支持部6とし、この被支持部6と該チャックハンガーの下部に設けた前記チャック取付け体4とを連結固定部材7を介して連結固定している。なお、複列チャックハンガー1の最上部に設けた係合突起8に図示しないプッシャーを係合させることによって、この複列チャックハンガー1をレール2に沿って移動できるようにしている。
【0020】
この複列チャック5は図示した実施例では、図1において左側から(図3においては下側から)順に第1列開閉チャック3A、第2列開閉チャック3B、第3列開閉チャック3Cの3列の開閉チャック3で構成し、各列の開閉チャック3で1枚ずつ合計3枚の基板Wを吊持できるようにしている。そして、前記第1列開閉チャック3Aを前列、前記第2列開閉チャック3Bを中列、第3列開閉チャック3Cを後列として機能させるようにしている。各列の開閉チャック3の間隔、すなわち各列の開閉チャック3に吊持される基板Wの間隔は、これらの基板Wがレールに沿って処理薬品液中を搬送される際、この処理薬品液中で充分析出反応されるものとしてある。この実施例では吊持される3枚の基板Wの各間隔を数センチメートルとしてある。
【0021】
この複列チャック5を構成する各列の開閉チャック(3A,3B,3C)は、吊持する基板Wの幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャック3を配置して設けている。図示した実施例では、第1列開閉チャック3A、第2列開閉チャック3B、第3列開閉チャック3Cにそれぞれ4個ずつの開閉チャック3を設けている。したがって、図示した実施例の複列チャック5は、3列で4個ずつ合計12個の開閉チャック3で構成してある。なお、同列の4個の開閉チャック3は、後述するように対応するチャック開閉作動部によって4個いっしょに連動させ開閉作動される。
【0022】
合計12個の各開閉チャック3は、固定杆10と可動杆11をもち、固定杆10は前記チャック取付け体4に固着固定され、可動杆11は、バネ12の付勢力で通常は上部を拡開し下部を固定杆10の下部に向けて閉じるように軸ピン13を介して前記チャック取付け体4に固定してある。そして、前記可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して固定杆11の上部方向へ押圧することによって、可動杆11の下部を固定杆10の下部から離れる方向へ移動させ、開閉チャック3を開くようにしてある。合計12個の各開閉チャック3は、全て図1において左側の前列方向に可動杆11側を配し、バネ12の付勢力を同方向に向けている。前記チャック取付け体4は、図3に示したように、各列の開閉チャック(3A,3B,3C)を各1個ずつ取り付け可能なチャック取り付け架設杆4aを、吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて4つ並べ、これらのチャック取り付け架設杆4aの両端部を固定杆4bで固着した骨組み構造を有し、このチャック取付け体4に3列で各列4個ずつ合計12個の開閉チャック3を取り付けてある。
【0023】
複数(3枚の)の基板Wを、レール2に沿って移動自在に構成された前記複列チャックハンガー1の第1列開閉チャック3A、第2列開閉チャック3B、第3列開閉チャック3Cの3列の開閉チャック3によって、各基板面が所定間隔を空けて向き合う平行な並列状態にあり、且つ並列状態にある各基板Wの一側端部が前記レール2に沿う移動方向に向く姿勢状態に吊持し、この複列チャックハンガー1に吊持された複数(3枚の)の基板Wをレール2に沿って処理薬品液中を搬送させながら処理薬品液で無電解メッキするようにした。図1〜図3において符号15は処理薬品液を入れる処理槽である。
【0024】
次に、前記復列チャックハンガー1の複列チャック開閉装置20について、前記複列チャックハンガー1と複列チャック開閉装置20の関係を示した図4〜図7の図面に基づいて説明する。図4はチャック開閉作動部(21)を進出させた状態の側面図、図5はチャック開閉作動部(21)を後退させた状態の側面図、図6は正面図、図7は複列チャックハンガー1と複列チャック開閉装置20を便宜的に離して示した平面図である。
【0025】
この復列チャック開閉装置20は、前記レール1の基板取替え位置に対応して設けられ、この基板取替え位置に前記レール1に沿って搬送された前記複列チャックハンガー1に対して、この複列チャックハンガー1の複数列の前記開閉チャック(3A,3B,3C)を各列の開閉チャックごとバネ12による付勢力に抗して押圧した開状態に独立した駆動部によって単独作動させる各列の開閉チャック(3A,3B,3C)に対応したチャック開閉作動部21を有し、このチャック開閉作動部21を各列の開閉チャック(3A,3B,3C)の開閉作動を可能にする進出位置とレール2に沿った前記複列チャックハンガー1の移動を許容する後退位置とに進退移動するように構成してある。
【0026】
前記チャック開閉作動部21は、復列チャック開閉装置20の固定支持体22に軸支された回転コロ23を介して進退移動可能に支持された開閉作動部支持体24に支持され、この開閉作動部支持体24と開閉装置20の固定基枠25に連結された進退動シリンダー26の往復駆動力を得て、各列の開閉チャック(3A,3B,3C)の開閉作動を可能にする図4に示した進出位置(図7の実線位置)とレール2に沿った複列チャックハンガー1の移動を許容する図5に示した後退位置(図7の二点鎖線位置)とに進退移動するように構成してある。したがって、前記チャック開閉作動部21は、図7に実線で示した複列チャックハンガー1(このハンガー1には複数の基板Wが吊持されている。)がレール2に沿って基板取替え位置へ送られ該位置で静止した状態で、図7に示した二点鎖線で示した後退位置から同図の実線で示した進出位置へ進出移動され、この進出位置で複列チャックハンガー1の複列チャック5を開閉作動させ、複数基板Wの取り外しと装着を行なえるようにしている。
【0027】
前記チャック開閉作動部21は、第1列開閉チャック3Aに対応した第1列チャック開閉作動部21A、第2列開閉チャック3Bに対応した第2列チャック開閉作動部21B、第3列開閉チャック3Cに対応した第3列チャック開閉作動部21Cによって構成され、これらのチャック開閉作動部(21A,21B,21C)は独立した駆動部(後述する第1作動シリンダー33A、第2作動シリンダー33B、第3作動シリンダー33C)によって単独作動するように構成してある。
【0028】
前述したように、前記複列チャック5は、吊持する基板Wの幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ4個ずつ開閉チャック3を配置して構成してあり、各列にそれぞれ4個ずつ設けた開閉チャック3は、対応するチャック開閉作動部(21A,21B,21C)によって4個いっしょに連動して開閉作動するように構成してある。
【0029】
第1列開閉チャック3A(前列開閉チャックとして機能される。)に対応する第1列チャック開閉作動部21A、第2列開閉チャック3B(中列開閉チャックとして機能される。)に対応する第2列チャック開閉作動部21B、第3列開閉チャック3C(後列開閉チャックとして機能される。)に対応する第3列チャック開閉作動部21Cの各作動機構を図示の実施例に基づき説明する。
【0030】
後列として機能させた第3列開閉チャック3Cに対応する第3列チャック開閉作動部21Cは、第3列開閉チャック3Cを構成する複数(4個)の開閉チャック3に対応して係合する複数(4個)の作動レバー30を回動軸31(この回動軸31はチャック開閉作動部21を支持している前記開閉作動部支持体24の支持基枠に軸架してある。)の軸方向に複数(4個)の開閉チャック3に対応して固定し、各作動レバー30を回動軸31の回動によって回動軸31を軸心として連動して回動するように構成してある。前記回動軸31には該回動軸31を回動させ前記作動レバー30をレバーの作用部として機能させるレバーアーム32を固定し、このレバーアーム32の先端部に第3作動シリンダー33C(この作動シリンダーの他端側は前記開閉作動部支持体24の後端部に連結してある。)の往復ロッド側を連結し、この往復ロッドの往復動によって、同列の複数の作動レバー30が該作動レバーの端部に設けた回転子30aを介して対応する第3列開閉チャック3Cの各開閉チャック3の可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して押圧し、該開閉チャック3を開けさせる係合位置と、開閉チャック3の可動杆11から離れた不係合位置を連動して作動するように構成してある。
【0031】
中列として機能させた第2列開閉チャック3Bに対応する第2列チャック開閉作動部21Bも前述した第3列チャック開閉作動部21Cと同様な作動機構であり、第2列開閉チャック3Bを構成する複数(4個)の開閉チャック3に対応して係合する複数(4個)の作動レバー30を回動軸31(この回動軸31はチャック開閉作動部21を支持している前記開閉作動部支持体24の支持基枠に軸架してある。)の軸方向に複数(4個)の開閉チャック3に対応して固定し、各作動レバー30を回動軸31の回動によって回動軸31を軸心として連動して回動するように構成してある。前記回動軸31には該回動軸31を回動させ前記作動レバー30をレバーの作用部として機能させるレバーアーム32を固定し、このレバーアーム32の先端部に第2作動シリンダー33B(この作動シリンダーの他端側は前記開閉作動部支持体24の後端部に連結してある。)の往復ロッド側を連結し、この往復ロッドの往復動によって、同列の複数の作動レバー30が該作動レバーの端部に設けた回転子30aを介して対応する第2列開閉チャック3Bの各開閉チャック3の可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して押圧し、該開閉チャック3を開けさせる係合位置と、開閉チャック3の可動杆11から離れた不係合位置を連動して作動するように構成してある。
【0032】
前列として機能する第1列開閉チャック3Aに対応する第1列チャック開閉作動部21Aも前述した前記第3列チャック開閉作動部21C及び第2列チャック開閉作動部21Bと実質的に同様な作動機構を有するが、第1列チャック開閉作動部21Aの進出状態において複列チャックハンガー1の前記連結固定部材7との衝突を回避させる回避作動機構としている。すなわち、第1列開閉チャック3Aを構成する複数(4個)の開閉チャック3に対応して係合する複数(4個)の作動レバー30を2本に分離した同軸心の回動軸31a,31a(この回動軸はチャック開閉作動部31を支持している前記開閉作動部支持体24の支持基枠に軸架してある。)の軸方向に2個ずつ合計4個を4個の開閉チャック3に対応して固定してある。2本の回動軸31a,31aの各内側端部に各回動軸を回動させ前記作動レバー30をレバーの作用部として機能させるレバーアーム32をそれぞれ固定し、各レバーアーム32の上端部を平面視コ字状の迂回連結杆35に軸ピン36を介して連結し、この迂回連結杆35に第1作動シリンダー33A(この作動シリンダーの他端側は前記開閉作動部支持体24の後端部に連結してある。)の往復ロッド側を連結してある。この往復ロッドの往復動によって、前記迂回連結杆35及び前記各レバーアーム32を介して分離した2本の回動軸31a,31aをいっしょに回動させ、各回動軸31a,31aに固定した2個ずつの作動レバー30が該作動レバーの端部に設けた回転子30aを介して対応する第1列開閉チャック3Aの各開閉チャック3の可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して押圧し、該開閉チャック3を開けさせる係合位置と、開閉チャック3の可動杆11から離れた不係合位置を連動して作動するように構成してある。
【0033】
独立した駆動部(第1作動シリンダー33A、第2作動シリンダー33B、第3作動シリンダー33C)によって単独作動する各チャック開閉作動部(21A,21B,21C)は、前列の第1列開閉チャック3Aに対応した第1列チャック開閉作動部21A、中列の第2列開閉チャック3Bに対応した第2列チャック開閉作動部21B、後列の第3列開閉チャック3Cに対応した第3列チャック開閉作動部21Cの順に閉状態にある各列の開閉チャック(3A,3B,3C)を開作動させるように制御され、前列の第1列開閉チャック3A、中列の第2列開閉チャック3B、後列の第3列開閉チャック3Cの順に開作動される各列の開閉チャックで吊持されていた表面処理済の各基板Wは順次各列の開閉チャックから外され脱着される。次に空の各列の開閉チャックにこれから表面処理される基板をチャッキングし吊持させる場合は、各チャック開閉作動部(21A,21B,21C)を、後列の第3列開閉チャック3Cに対応した第3列チャック開閉作動部21C、中列の第2列開閉チャック3Bに対応した第2列チャック開閉作動部21B、前列の第1列開閉チャック3Aに対応した第1列チャック開閉作動部21Aの順に各列の開閉チャック(3A,3B,3C)を開作動から開作動を終了させる不係合状態に制御し、各開閉チャック3のバネ12の付勢力で後列の第3列開閉チャック3C、中列の第2列開閉チャック3B、前列の第1列開閉チャック3Aの順に閉じられる各列の開閉チャックにこれから表面処理される基板を順次チャッキングし吊持させる。このようにして、復列チャックハンガー1の複列チャック5へ複数の基板を容易に装着でき、装着されていた複数の基板を容易に脱着できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】搬送表面処理工程にある複列チャックハンガーの概略側面図である。
【図2】搬送表面処理工程にある複列チャックハンガーの概略正面図である。
【図3】搬送表面処理工程にある複列チャックハンガーの概略平面図である。
【図4】複列チャックハンガーと複列チャック開閉装置の関係を示す側面図である。
【図5】複列チャックハンガーと複列チャック開閉装置の関係を示す側面図である。
【図6】複列チャックハンガーと複列チャック開閉装置の関係を示す正面図である。
【図7】複列チャックハンガーと複列チャック開閉装置の関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 複列チャックハンガー
2 レール
3 開閉チャック
3A 第1列開閉チャック
3B 第2列開閉チャック
3C 第3列開閉チャック
4 チャック取付け体
5 複列チャック
10 固定杆
11 可動杆
12 バネ
13 軸ピン
15 処理槽
20 複列チャック開閉装置
21 チャック開閉作動部
21A 第1列チャック開閉作動部
21B 第2列チャック開閉作動部
21C 第3列チャック開閉作動部
24 開閉作動部支持体24
26 進退動シリンダー
30 作動レバー
31 回動軸
31a 回動軸
32 レバーアーム
33A 第1作動シリンダー
33B 第2作動シリンダー
33C 第3作動シリンダー
35 迂回連結杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を、レールに沿って移動自在に取り付けられた複列チャックハンガーを介して、各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態にあり、且つ並列状態にある各基板の一側端部が前記レールに沿う移動方向に向く姿勢状態に吊持し、この複列チャックハンガーに吊持された複数の基板をレールに沿って処理薬品液中を搬送させながら表面処理する複列基板垂直搬送による表面処理方法。
【請求項2】
レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとしたことを特徴とする複列チャックハンガー。
【請求項3】
前記複列チャックを、吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャックを配置して構成したことを特徴とする請求項2に記載の複列チャックハンガー。
【請求項4】
複列チャックハンガーと、この復列チャックハンガーの複列チャック開閉装置とから成り、前記複列チャックハンガーは、レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックは常態において基板を吊持できる閉じ状態にバネによる付勢力を与えて構成されており、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとし、
前記復列チャック開閉装置は、前記レールの基板取替え位置に対応して設けられ、この基板取替え位置に前記レールに沿って搬送された前記複列チャックハンガーに対して、この複列チャックハンガーの複数列の前記開閉チャックを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に単独作動させる各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部を有し、このチャック開閉作動部を各列の開閉チャックの開閉作動を可能にする進出位置とレールに沿った前記複列チャックハンガーの移動を許容する後退位置とに進退移動するように構成したことを特徴とする複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置。
【請求項5】
前記複列チャックを、吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャックを配置して構成し、各列にそれぞれ設けた複数の開閉チャックは、各列の開閉チャックに対応した前記チャック開閉作動部によって同列にある複数の開閉チャックの開閉をいっしょに行なえるよう開閉作動を連動させたことを特徴とする請求項4に記載の複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−254914(P2008−254914A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101852(P2007−101852)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(592141466)丸仲工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】