説明

複合溶接方法と複合溶接装置

【課題】 被溶接物にレーザビームを照射しながら第1ワイヤを送給し前記被溶接物との間でアーク溶接を行う際、前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給する複合溶接方法と複合溶接装置に関する。
【解決手段】 被溶接物2の溶接位置にレーザビーム1を照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤ12を送給して前記被溶接物2との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、前記レーザビーム1と前記アーク溶接で形成した溶融池14に少なくとも1本の第2ワイヤ13を供給することによって、アーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被溶接物にレーザビームの照射とアーク溶接を行う複合溶接方法と複合溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ溶接はエネルギー密度が高いため、高速で熱影響部の狭い溶接を行うことが可能である。しかし、被溶接物にギャップがあると、レーザビームがそのギャップから抜けてしまい、溶接ができなくなる恐れがあった。
【0003】
この問題を克服するために、フィラーワイヤを使用したレーザ溶接方法が従来からあり(例えば、非特許文献1参照)、また、非消耗電極方式または消耗電極方式のアーク溶接と併用する複合溶接方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。非消耗電極方式のアーク溶接(TIG溶接)と併用する複合溶接方法では、フィラーワイヤを添加してTIG電極であるタングステン電極を振動しながら良好な溶接部を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、TIG溶接を使用する場合は、通常、その電極として融点の高いタングステン電極を使用するが、溶接中にそのタングステン電極が焼損または消耗し、アーク不安定をきたすと共に、消耗したタングステン電極が溶接金属に混入し、溶接継手部の性能劣化を招いてしまう恐れがあった。
【0004】
前記非消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法に対して、消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法が提案され(特許文献3参照)、タングステン電極を使用することなく、ワイヤを溶接部に添加することが可能であり、深溶け込みの溶接を行うことができる。高速加工および溶融幅の改善の視点から、消耗電極方式のアーク溶接を使用する複合溶接方法では、更に、レーザビーム照射位置に対して溶接加工進行方向前方と後方にアーク溶接の電極を配置する方法が提案されている(特許文献4参照)。この場合レーザビーム照射位置の前方と後方とに配置させるアーク溶接は、その電極がいずれもMIG電極(ワイヤ)であるが、前記ワイヤの送給速度とMIG溶接のアーク電流とを独立に調整することができない(非特許文献2参照)。通常、ワイヤ送給速度を高くすると、アーク電流も同時に高くなってしまう。そのため、例えば、ギャップ付の薄板の溶接では高い溶着金属量を必要とする場合には、高いワイヤ送給速度をのみ要するが、アーク電流も同時に高くなってしまうので、溶落ちが発生してしまう恐れがあった。
【0005】
図9は、従来のレーザ溶接および複合溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図である。図9(a)はレーザ溶接の場合である。1はレーザビーム、2は被溶接物、3は前記被溶接物の突合せ面間にあるギャップである。4は、前記レーザビーム1を用い、前記被溶接物2同士の溶接を行う際に得られたビードである。前記ギャップ3が狭い時または溶接速度の遅い時には、前記ビード4は良好なものとなるが、例えば、前記ギャップ3が広い、または溶接速度が速い場合には、前記レーザビーム1が前記ギャップ3から抜けてしまい、また溶着金属の量が減少し、前記ビード4に溶落ち5を形成してしまう恐れがあった。図9(b)は、消耗電極方式のアーク溶接を使用した複合溶接の場合である。6はワイヤ、7は前記ワイヤ6と被溶接物2との間に形成したアークで、8は前記ワイヤ6が溶融して形成した溶滴である。9は前記レーザビーム1と前記アーク7によって前記被溶接物2の突合せ部に形成した溶融池、10は前記溶融池9が凝固して形成したビードである。複合溶接では(図(b))、前記ワイヤ6が添加できるため、前記レーザ溶接の場合(図(a))と比較して許容するギャップ3が広くなるが、前記ギャップ3が広すぎた時また溶接速度が速すぎた時には、前記ビード10が不連続となり、その中心部に溶落ち11を形成してしまう恐れがあった。この場合、前記ギャップ3を埋めるのに必要な量の前記ワイヤ6の送給量を増やしても、同様に溶落ちが発生してしまう恐れがあった。これは、通常のアーク溶接では前記ワイヤ6を単独に増やすことができなく、アーク電流も同時に増加してしまい、前記被溶接物2に対する入熱が増加すると共に、前記溶融池9のサイズが大きくなり、前記溶融池9の周辺部から発生した表面張力のみによって前記溶融池9を保持できなくなるためである。その結果、前記溶落ち11が発生するわけである。
【非特許文献1】池田正幸、藤岡知夫、堀池靖浩、丸尾大、吉川省吾編、レーザプロセス技術ハンドブック、1992年、朝倉書店、第149頁
【非特許文献2】黄地尚義著、溶接・接合プロセスの基礎、1996年、産報出版、第128頁
【特許文献1】特開昭53−137044号公報
【特許文献2】特開2002−178177号公報
【特許文献3】特公昭60−8916号公報
【特許文献4】特開2001−246485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、レーザ照射とアーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本のワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることのできる複合溶接方法と複合溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、
前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給する複合溶接方法
または、溶接方向に対し、レーザビームの照射が前で第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、少なくとも1本の第2ワイヤを前記レーザビームの前方方向、前記レーザビームと前記第1ワイヤとの間、または前記第1ワイヤの後方方向から供給する複合溶接方法および複合溶接装置、
または、溶接方向に対し、第1ワイヤが前でレーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤの前方方向、前記第1ワイヤと前記レーザビームとの間、またはレーザ照射の後方方向から供給する複合溶接方法および複合溶接装置、
または、レーザビームの光軸と第1ワイヤの中心軸と第2ワイヤの中心軸とがそれぞれ異なる軸芯、または第1ワイヤと第2ワイヤとの内、どちらか一方の中心軸をレーザビームの光軸と同軸に配置する複合溶接方法および複合溶接装置、
または、シールドガスは、少なくとも1本の第2ワイヤを送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルと第1ワイヤを送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルとの少なくとも一つから供給する、または第1ノズルと第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにする複合溶接方法および複合溶接装置、
または、シールドガスは、少なくとも1本の第2ワイヤと第1ワイヤとを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給する複合溶接方法および複合溶接装置、
または、第1ノズルと第2ノズルとから供給するシールドガスを溶接部位に応じて前記シールドガスの供給と停止を独立に行うが、シールドガスを停止、または再開する際にレーザビームの照射条件とアーク溶接の条件との少なくとも一つを変化する複合溶接方法および複合溶接装置、
または、第1ワイヤと第2ワイヤとを同一の材質とする、または第1ワイヤと少なくとも1本の第2ワイヤとは、同一の主成分を持つ、異なる材質のものとする複合溶接方法および複合溶接装置、
または、被溶接物と第1ワイヤと第2ワイヤとはその主成分はアルミニウム、またはその主成分は鉄である溶接方法および複合溶接装置、
または、溶接部位により、第2ワイヤの少なくとも1本を停止するが、第2ワイヤの少なくとも1本を停止、あるいは再開する際には、レーザビームの照射条件とアーク溶接の条件と第2ワイヤの稼働している少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変える複合溶接方法および複合溶接装置、
または、溶接部位により、レーザビームの照射とアーク溶接のどちらかを停止するが、レーザビームの照射とアーク溶接のどちらかを停止、あるいは再開する際には、レーザビームの照射条件と第1ワイヤの送給速度と第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変える複合溶接方法および複合溶接装置、
または、溶接部位により、第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変えるが、第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変える際には、レーザビームの照射条件とアーク溶接の条件との少なくとも一つを変える複合溶接方法および複合溶接装置、
または、第2ワイヤとレーザビームの照射とアーク溶接との停止、再開、またはその条件変更は、センサからの入力信号に応じて行う複合溶接方法および複合溶接装置、
または、レーザビームの照射の代わりに、プラズマアークを使用する複合溶接方法および複合溶接装置、
または、アーク溶接は、パルスアーク溶接である複合溶接方法および複合溶接装置、
または、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ発生手段と、第1トーチを介して前記溶接位置に第1ワイヤを送給する第1ワイヤ送給手段と、前記第1ワイヤと前記被溶接物にアーク溶接のための電力を供給するアーク発生手段と、第2トーチを介して前記溶接位置に第2ワイヤを送給する第2ワイヤ送給手段と、前記レーザ発生手段と前記アーク発生手段と前記第2ワイヤ送給手段とを制御する制御手段とを備え、
前記第1ワイヤと前記被溶接物との間に形成したアーク溶接と前記レーザビームとで形成した溶融池に第2ワイヤを供給する供給する複合溶接装置である。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、前記レーザビームと前記アーク溶接とで形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における複合溶接方法の構成を示す模式図である。なお、図9に示した内容と同様の構成および動作と作用効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0010】
図1では、説明のために、図9(b)におけるワイヤ6を第1ワイヤ12と表記するが、同様のものである。13は、被溶接物2の突合せ部の溶接位置にレーザビーム1を照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤ12を送給して前記被溶接物2との間でアーク7を発生してアーク溶接を同時に行う際に、前記レーザビーム1と前記アーク7で形成した溶融池14に供給する第2ワイヤである。15は、前記溶融池14が凝固して形成したビードである。図において、前記第2ワイヤ12を1本と示したが、前記溶融池14に供給した場合には溶融さえ可能であれば、1本以上でもよい。
【0011】
図1に示した複合溶接方法の原理について、図2を参照しつつ説明する。図2は、消耗電極式アーク溶接方法と本発明の実施の形態における複合溶接法方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図である。図2(a)では、MRは消耗電極式のアーク溶接方法におけるアーク電流とワイヤを溶融した時に得られる溶着量の関係を示す溶融曲線である。前記溶融曲線MRによると、溶着量VW0と対応するアーク電流はIである。したがって、前記図1における前記ギャップ3が広い時に、溶着量VW0を溶着量VW1に上げ、前記ギャップ3を埋めようすると、前記アーク電流Iがアーク電流Iまでに上昇してしまう。その結果、溶融池14の大きさが増加し、前記溶融池14にかかるアーク力も増加してしまうので、溶落ちがかえって発生しやすくなる恐れがあった。一方、図2(b)では、MRは前記溶融池14に供給される前記第2ワイヤ13から得られる溶着量を示す溶融曲線であり、前記第2ワイヤ13の送給速度が一定であれば、アーク電流と無関係に一定の溶着量VWWを得ることが可能である。したがって、複合溶接の溶融曲線MRとしては、前記溶融曲線MRと前記溶融曲線MRをたすことによって得ることが可能である。なお、前記アーク電流を変えることなく、前記第2ワイヤ13の送給速度(溶融量VWWと対応する)のみを変更することによって、全体の溶着量を変えることが可能である。例えば、前記図1における前記ギャップ3が広い時には、前記第2ワイヤ13による溶着量がVWWになるよう供給すると、溶着量VW0を溶着量VW1にするために、アーク電流Iをかえって下げる必要があり、図示の通り、前記アーク電流Iをアーク電流Iに下げる必要がある。すなわち、図1に示す複合溶接を使用すると、アーク電流を上げることなく、溶着量のみを上げることが可能であり、その結果、前記ギャップ3が広くても良好なビードを得ることが可能である。
【0012】
以上のように本発明の実施の形態によれば、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
【0013】
以上の説明では、第2ワイヤ13として1本をもって図示したが、言うまでもなく、1本以上でもよい。
【0014】
また、以上の説明では、溶接方向に対し、レーザビーム1の照射が前で第1ワイヤ12を前記レーザビーム1の後ろに配置し、第2ワイヤ13を前記第1ワイヤの後方方向から供給する配置で説明したが(図1参照)、前記レーザビーム1の照射が前で前記第1ワイヤ12を前記レーザビーム1の後ろに配置し、前記第2ワイヤ13を前記レーザビーム1と前記第1ワイヤ12との間から供給してもよい(図3(a)参照)。また、前記レーザビーム1の照射が前で前記第1ワイヤ12を前記レーザビーム1の後ろに配置し、第2ワイヤ13を前記レーザビーム1の前方方向から供給してもよい(図3(b)参照)。
【0015】
また、溶接方向に対し、第1ワイヤ12が前でレーザビーム1の照射を前記第1ワイヤ12の後ろに配置し、第2ワイヤ13を前記レーザビーム1の後方方向から供給してもよい(図4(a)参照)。また、前記第1ワイヤ12が前で前記レーザビーム1の照射を前記第1ワイヤ12の後ろに配置し、第2ワイヤ13を前記第1ワイヤ12と前記レーザビーム1との間から供給してもよい(図4(b)参照)。更に、前記第1ワイヤ12が前で前記レーザビーム1の照射を前記第1ワイヤ12の後ろに配置し、前記第2ワイヤ13が前記レーザビーム1の後方方向から供給してもよい(図4(c)参照)。
【0016】
また、以上の説明では、図示していないが、レーザビーム1の光軸と第1ワイヤ12の中心軸と第2ワイヤ13の中心軸とがそれぞれ異なる軸芯で説明したが(図1、図3と図4参照)、前記第1ワイヤ12と前記第2ワイヤ13との内、どちらか一方の中心軸を前記レーザビーム1の光軸と同軸に配置してもよい。
【0017】
また、以上の説明では、シールドガスの供給については言及しなかったが、前記シールドガスは、図示していないが、第2ワイヤ13を送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルと第1ワイヤ12を送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルとの少なくとも一つから供給してもよい。なお、前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにしてもよい。言うまでもなく、前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスを溶接部位に応じて前記シールドガスの供給と停止を独立に行ってもよい。シールドガスを停止、または再開する際に前記レーザビーム1の照射条件とアーク溶接の条件との少なくとも一つを変えてもよい。または、シールドガスは、前記第2ワイヤ13と前記第1ワイヤ12とを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給してもよい。その内容については、図5を参照しつつ説明する。図5は、第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図である。図5(a)〜図5(d)は、図3と図4において、図示していないが、第1ワイヤと第2ワイヤとを同時に送給する複合トーチによって送給される際に、前記複合トーチの先端に取り付けた複合ノズル16のイメージ図を示す。図において、シールドガスは前記複合ノズル16によって供給される。言うまでもなく、前記複合トーチでは前記第1ワイヤ12と前記第2ワイヤ13とに対して同じ速度で送給してもよいが、異なった速度で送給してもよい。
【0018】
また、以上の説明では、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13との材質について言及しなかったが、前記第1ワイヤ12と前記第2ワイヤ13とを同一の材質としてよいが、同一の主成分を持つ、異なる材質のものとしてもよい。言うまでもなく、前記第1ワイヤ12と前記第2ワイヤと前記被溶接物2とは、その主成分はアルミニウムであってもよく、鉄であってもよい。
【0019】
また、以上の説明では、溶接部位について言及しなかったが、溶接部位により、前記第2ワイヤ13が複数本の場合、その少なくとも1本を停止してもよい。なお、前記第2ワイヤ13の少なくとも1本を停止、あるいは再開する際には、レーザビーム1の照射条件とアーク溶接の条件と前記第2ワイヤ13の稼働している少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変えてもよい。また、溶接部位により、前記レーザビーム1の照射とアーク溶接のどちらかを停止してもよい。なお、前記レーザビーム1の照射とアーク溶接のどちらかを停止、あるいは再開する際には、前記レーザビーム1の照射条件と前記第1ワイヤ12の送給速度と前記第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変えてもよい。更に、溶接部位により、前記第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変えてもよい。なお、前記第2ワイヤ13の少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変える際には、前記レーザビーム1の照射条件とアーク溶接の条件との少なくとも一つを変えてもよい。
【0020】
また、以上の説明では、レーザビーム1の照射をもって説明したが、前記レーザビーム1の代わりに、ここでその詳細な図示による説明を省略するが、プラズマアークを使用してもよい。
【0021】
また、以上の説明では、アーク溶接はパルスアーク溶接であってもよい。
【0022】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における複合溶接方法の構成を示す模式図である。なお、図1〜図5に示した内容と同様の構成および動作と作用効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0023】
図6は本発明の実施の形態2における複合溶接装置の構成を示すブロック図である。17はレーザ発生手段で、レーザ発振器18とレーザ伝送手段19と集光光学系20からなり、レーザビーム1を被溶接物2の溶接位置に照射する。前記レーザ伝送手段19は、光ファイバーであってもよく、レンズによって組み合わせた伝送系であってもよい。前記集光光学系20は、一枚あるいは複数のレンズから構成されてもよい。12は第1ワイヤで、第1ワイヤ送給手段21によって第1トーチ22を通して前記被溶接物2の溶接位置に送給される。25はアーク発生手段で、ケーブル26とケーブル27とによってそれぞれ前記第1トーチ22と前記被溶接物2とに接続してその給電を行うものであり、溶接開始時には前記第1ワイヤ送給手段21を制御し、前記第1トーチ22を通して前記第1ワイヤ12を前記被溶接物2の溶接位置に向かって送給しつつ、前記第1ワイヤ12と前記被溶接物2の間にアーク7を発生するよう制御するが、溶接終了時には前記第1ワイヤ送給手段21による前記第1ワイヤ12の送給を停止すると共に、前記アーク7を停止するよう制御する。13は第2ワイヤで、第2ワイヤ送給手段23によって第2トーチ24を通して、図示していないが、前記レーザビーム1と前記アーク7とによって前記被溶接物2の溶接位置に形成した溶融池に送給される。28は制御手段で、図示していないが、外部から溶接開始または溶接終了の命令を受けてから、前記レーザ発生手段17から発生するレーザビーム1の照射開始とその終了と、前記アーク発生手段25から発生するアーク7の放電開始とその終了と、前記第2送給手段23から送給される前記第2ワイヤ13の送給開始とその停止とを制御する。前記制御手段28は、コンピュータを使用して構成してもよいが、コンピュータのような演算機能を有する部品、デバイス、装置あるいはそれらの組み合わせを使用してもよい。前記制御手段28としては、ロボットを使用してもよい。詳細の説明を省略するが、ロボットを使用する際には、前記ロボットのマニピュレータ部分に前記集光光学系20と前記第1トーチ22と前記第2トーチ24とを固定して使用してもよい。前記レーザ発振器18は、図示していないが、予め設定した所定の出力値を出力するが、前記制御手段28で設定した出力値の信号を受け、それを出力してもよい。前記アーク発生手段25は、前記レーザ発生手段17と同様に、前記制御手段28によってその出力を制御することができる。また、前記第2ワイヤ送給手段23は、前記制御手段28によってその送給速度および送給の開始と停止を制御することができる。
【0024】
図6に示した構成の複合溶接装置の動作について説明する。溶接開始時には、図示していないが、溶接開始命令を受けた制御手段28は、レーザ発生手段17にレーザ溶接の開始信号を送りレーザビーム1の照射を開始すると共に、アーク発生手段25にアーク溶接の開始信号を送ってアーク放電を開始し、また第2ワイヤ送給手段23にワイヤ送給の開始信号を送るよう動作する。溶接終了時には、溶接終了命令を受けた前記制御手段28は、前記レーザ発生手段17にレーザ溶接終了信号を送り前記レーザビーム1の照射を終了すると共に、前記アーク発生手段25にアーク溶接終了信号を送ってアーク放電を終了し、また前記第2ワイヤ送給手段23にワイヤ送給の終了信号を送ることによって溶接を終了するよう動作する。
【0025】
以上の説明では、レーザビーム1と第1ワイヤ12と第2ワイヤ13との配置については言及しなかったが、それは図1〜図5に示した配置が適用するものである。
【0026】
以上のように本発明の実施の形態によれば、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に第2ワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることができる。
【0027】
以上の説明では、第2ワイヤ13として1本をもって図示したが、言うまでもなく、1本以上でもよい。その時、それぞれの前記第2ワイヤ13を供給するために、それぞれのワイヤ送給手段とトーチを設けるのは、言うまでもない。
【0028】
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3における複合溶接方法の構成を示す模式図である。図7は、図6において、制御手段28の代わりに溶接位置近傍Aの様子をセンシングするセンシング手段29からの信号を入力信号とする制御手段30を使用したものである。前記制御手段は、前記センシング手段29の信号を受け、それに基づいてレーザ発生手段17とアーク発生手段25と第2ワイヤ送給手段23を制御する。なお、図6に示した内容と同様の構成および動作と作用効果を奏するところには同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なるところを中心に説明する。
【0029】
図7に示したセンシング手段29の動作について、図8を参照しつつ説明する。図8は、センシング手段29の配置を示す模式図である。前記センシング手段29は、センサユニット31と光ビーム32から構成される。前記センサユニット31は、図示していないが、その発光部からは被溶接物2の突合せ部の任意の箇所に対して前記突合せ部の垂直方向を示す垂直方向aa’に長く伸びた形の光ビーム32を照射すると共に、その受光部からは前記光ビーム32が前記被溶接物2に当たった場合の照射位置形状をキャッチし、それを測定する機能を備える。なお、前記センサユニット31は、前記照射位置形状に基づき前記被溶接物2の突合せ面における隙間であるギャップを算出し、前記ギャップ信号を制御手段30に出力する。以上の説明では、前記光ビーム32を前記垂直方向aa’に長く伸びた形のものとして説明したが、言うまでもなく、それは前記センサユニット31から発生して前記垂直方向aa’に沿って高速にスキャンするスポット状のビームであってもよい。その際、前記センサユニット31は、前記スポット状のビームが前記被溶接物2に当たった場合の照射位置の軌跡によって前記被溶接物2の突合せ部のギャップを計測してもよい。
【0030】
制御手段30の動作について説明する。実際の溶接では、被溶接物2の突合せ面においてギャップが存在し、なお、前記ギャップが場所によって変動する場合がある。したがって、良好な溶接ビードを得るためには、前記ギャップに応じて溶接条件を変える必要がある。前記制御手段30は、図6において説明した制御手段28の持つ機能以外に、前記センシング手段29から入力したギャップ信号に基づき、第2ワイヤ13とレーザビーム1の照射とアーク溶接との停止、再開、またはその条件変更を行うことによって、一定の溶接ビードが得られるよう動作する。但し、図8に示したように、光ビーム32の照射位置を示す垂直方向aa’は厳密には前記溶融池14が形成される位置と一致しないが、その距離は予め前記制御手段30に入力されてもよい。
【0031】
以上のように本発明の実施の形態によれば、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に第2ワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げると共に、被溶接物にギャップがあっても良好な溶接ビードを得ることができる。
【0032】
以上の本発明の実施の形態1から形態3の説明では、図1〜図8に示した通り、ギャップ3を持った被溶接物2の突合せ溶接を例にして説明したが、前記突合せ以外の継手においても同様に、本発明の実施の形態における複合溶接方法を使用すればアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることが可能であり、また、被溶接物にギャップがあっても良好な溶接ビードを得ることができる。
【0033】
また、以上の説明では、溶接方向に対し、レーザビームの照射と第1ワイヤと第2ワイヤの順と、レーザビームの照射と第2ワイヤと第1ワイヤの順と、第1ワイヤとレーザビームの照射と第2ワイヤの順と、第1ワイヤと第2ワイヤとレーザビームの照射の順と、第2ワイヤとレーザビームの照射と第1ワイヤの順と、第2ワイヤと第1ワイヤとレーザビームの順とで配置するよう構成したが、言うまでもなく、詳細の図示を省略するが、前記配置を溶接方向と垂直する方向において行ってもよい。
【0034】
また、以上の説明では、第1ワイヤ12と第2ワイヤ13とのワイヤ径については言及しなかったが、言うまでも泣く、両者は同じでもよく、異なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように本発明によれば、被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給することによってアーク電流を上げることなく、溶着量を上げることのできる複合溶接方法と複合溶接装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1における複合溶接方法の構成を示す模式図
【図2】消耗電極式アーク溶接方法と本発明の実施の形態における複合溶接法方法の溶着量とアーク電流の関係を示す模式図
【図3】第2ワイヤの供給位置を説明する模式図
【図4】第2ワイヤの供給位置を説明する模式図
【図5】第1ワイヤと第2ワイヤとの供給方法を説明する模式図
【図6】本発明の実施の形態2における複合溶接方法の構成を示す模式図
【図7】本発明の実施の形態3における複合溶接方法の構成を示す模式図
【図8】センシング手段の配置を示す模式図
【図9】従来のレーザ溶接および複合溶接による突合せ溶接のイメージを示す模式図
【符号の説明】
【0037】
1 レーザビーム
2 被溶接物
3 ギャップ
4 ビード
5 溶落ち
6 ワイヤ
7 アーク
8 溶滴
9 溶融池
10 ビード
11 溶落ち
12 第1ワイヤ
13 第2ワイヤ
14 溶融池
15 ビード
16 複合ノズル
17 レーザ発生手段
18 レーザ発振器
19 レーザ伝送手段
20 集光光学系
21 第1ワイヤ送給手段
22 第1トーチ
23 第2ワイヤ送給手段
24 第2トーチ
25 アーク発生手段
26 ケーブル
27 ケーブル
28 制御手段
29 センシング手段
30 制御手段
31 センサユニット
32 光ビーム
aa’ 垂直方向
A 溶接位置近傍
MR 溶融曲線
MR 溶融曲線
MR 溶融曲線
W0 溶着量
W1 溶着量
WW 溶着量
アーク電流
アーク電流
アーク電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射しながら前記溶接位置に第1ワイヤを送給して前記被溶接物との間でアーク溶接を同時に行う複合溶接方法において、
前記レーザビームと前記アーク溶接で形成した溶融池に少なくとも1本の第2ワイヤを供給する複合溶接方法。
【請求項2】
溶接方向に対し、前記レーザビームの照射が前で前記第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記レーザビームの前方方向から供給する請求項1記載の複合溶接方法。
【請求項3】
溶接方向に対し、前記レーザビームの照射が前で前記第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記レーザビームと前記第1ワイヤとの間から供給する請求項1記載の複合溶接方法。
【請求項4】
溶接方向に対し、前記レーザビームの照射が前で前記第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤの後方方向から供給する請求項1記載の複合溶接方法。
【請求項5】
溶接方向に対し、前記第1ワイヤが前で前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤの前方方向から供給する請求項1記載の複合溶接方法。
【請求項6】
溶接方向に対し、前記第1ワイヤが前で前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤと前記レーザビームとの間から供給する請求項1記載の複合溶接方法。
【請求項7】
溶接方向に対し、前記第1ワイヤが前で前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤがレーザ照射の後方方向から供給する請求項1記載の複合溶接方法。
【請求項8】
前記レーザビームの光軸と前記第1ワイヤの中心軸と前記第2ワイヤの中心軸とがそれぞれ異なる軸芯である請求項1から請求項7の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項9】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの内、どちらか一方の中心軸を前記レーザビームの光軸と同軸に配置する請求項1から請求項7の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項10】
前記アーク溶接に用いるシールドガスは、前記少なくとも1本の第2ワイヤを送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルと前記第1ワイヤを送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルとの少なくとも一つから供給する請求項1から請求項9の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項11】
前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにする請求項10記載の複合溶接方法。
【請求項12】
前記シールドガスは、前記少なくとも1本の第2ワイヤと前記第1ワイヤとを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給する請求項1から請求項8の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項13】
前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスを溶接部位に応じて前記シールドガスの供給と停止を独立に行う請求項10または請求項11記載の複合溶接方法。
【請求項14】
前記シールドガスを停止、または再開する際に前記レーザビームの照射条件と前記アーク溶接の条件との少なくとも一つを変化する請求項13記載の複合溶接方法。
【請求項15】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとを同一の材質とする請求項1から請求項14の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項16】
前記第1ワイヤと前記少なくとも1本の第2ワイヤとは、同一の主成分を持つ、異なる材質のものとする請求項1から請求項14の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項17】
前記被溶接物と前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとして、その主成分をアルミニウムとする請求項1から請求項4の何れか、または請求項8から請求項16の何れかに記載した複合溶接方法。
【請求項18】
前記被溶接物と前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとして、その主成分を鉄とする請求項1または請求項5から請求項16の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項19】
溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本を停止する請求項1から18の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項20】
前記第2ワイヤの少なくとも1本を停止、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件と前記アーク溶接の条件と前記第2ワイヤの稼働している少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変える請求項1から請求項18の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項21】
溶接部位により、前記レーザビームの照射と前記アーク溶接のどちらかを停止する請求項1から請求項18の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項22】
前記レーザビームの照射と前記アーク溶接のどちらかを停止、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件と前記第1ワイヤの送給速度と前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変える請求項1から請求項18の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項23】
溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変える請求項1から請求項18の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項24】
前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変える際には、前記レーザビームの照射条件と前記アーク溶接の条件との少なくとも一つを変える請求項1から請求項18の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項25】
前記第2ワイヤと前記レーザビームの照射と前記アーク溶接との停止、再開、またはその条件変更は、センサからの入力信号に応じて行う請求項19から24の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項26】
前記レーザビームの照射の代わりに、プラズマアークを使用する請求項1から請求項25の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項27】
前記アーク溶接として、パルスアーク溶接を用いる請求項1から請求項26の何れかに記載の複合溶接方法。
【請求項28】
被溶接物の溶接位置にレーザビームを照射するレーザ発生手段と、第1トーチを介して前記溶接位置に第1ワイヤを送給する第1ワイヤ送給手段と、前記第1ワイヤと前記被溶接物にアーク溶接のための電力を供給するアーク発生手段と、少なくとも1本の第2トーチを介して前記溶接位置に少なくとも1本の第2ワイヤを送給する少なくとも1つの第2ワイヤ送給手段と、前記レーザ発生手段と前記アーク発生手段と少なくとも1つの前記第2ワイヤ送給手段とを制御する制御手段とを備え、
前記第1ワイヤと前記被溶接物との間に形成した前記アーク溶接と前記レーザビームとで形成した溶融池に前記少なくとも1本の第2ワイヤを供給する供給する複合溶接装置。
【請求項29】
溶接方向に対し、前記レーザビームの照射が前で前記第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記レーザビームの前方方向から供給する請求項28記載の複合溶接装置。
【請求項30】
溶接方向に対し、前記レーザビームの照射が前で前記第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記レーザビームと前記第1ワイヤとの間から供給する請求項28記載の複合溶接装置。
【請求項31】
溶接方向に対し、前記レーザビームの照射が前で前記第1ワイヤを前記レーザビームの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤの後方方向から供給する請求項28記載の複合溶接装置。
【請求項32】
溶接方向に対し、前記第1ワイヤが前で前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤの前方方向から供給する請求項28記載の複合溶接装置。
【請求項33】
溶接方向に対し、前記第1ワイヤが前で前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤを前記第1ワイヤと前記レーザビームとの間から供給する請求項28記載の複合溶接装置。
【請求項34】
溶接方向に対し、前記第1ワイヤが前で前記レーザビームの照射を前記第1ワイヤの後ろに配置し、前記少なくとも1本の第2ワイヤが前記レーザ照射の後方方向から供給する請求項28記載の複合溶接装置。
【請求項35】
前記レーザビームの光軸と前記第1ワイヤの中心軸と前記第2ワイヤの中心軸とがそれぞれ異なる軸芯である請求項28から請求項34の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項36】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの内、どちらか一方の中心軸を前記レーザビームの光軸と同軸に配置する請求項28から請求項34の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項37】
シールドガスは、前記少なくとも1本の第2ワイヤを送給する第2トーチに取り付けた第2ノズルと前記第1ワイヤを送給する第1トーチに取り付けた第1ノズルとの少なくとも一つから供給する請求項28から請求項36の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項38】
前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスの組成を異なるものにする請求項37記載の複合溶接装置。
【請求項39】
シールドガスは、前記少なくとも1本の第2ワイヤと前記第1ワイヤとを同時に送給する複合トーチに取り付けた複合ノズルから供給する請求項28から請求項35の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項40】
前記第1ノズルと前記第2ノズルとから供給するシールドガスを溶接部位に応じて前記シールドガスの供給と停止を独立に行う請求項37または請求項38記載の複合溶接装置。
【請求項41】
シールドガスを停止、または再開する際に前記レーザビームの照射条件と前記アーク溶接の条件との少なくとも一つを変化する請求項40記載の複合溶接装置。
【請求項42】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとを同一の材質とする請求項28から請求項41の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項43】
前記第1ワイヤと前記少なくとも1本の第2ワイヤとは、同一の主成分を持つ、異なる材質のものとする請求項28から請求項41の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項44】
前記被溶接物と前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとして、その主成分をアルミニウムとした請求項28から請求項31の何れか、または請求項35から請求項43の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項45】
前記被溶接物と前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとして、その主成分を鉄とした請求項28、または請求項32から請求項43の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項46】
溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本を停止する請求項28から45の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項47】
前記第2ワイヤの少なくとも1本を停止、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件と前記アーク溶接の条件と前記第2ワイヤの稼働している少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変える請求項28から請求項45の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項48】
溶接部位により、前記レーザビームの照射と前記アーク溶接のどちらかを停止する請求項28から請求項45の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項49】
前記レーザビームの照射と前記アーク溶接のどちらかを停止、あるいは再開する際には、前記レーザビームの照射条件と前記第1ワイヤの送給速度と前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度との少なくとも一つを変える請求項28から請求項45の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項50】
溶接部位により、前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変える請求項28から請求項45の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項51】
前記第2ワイヤの少なくとも1本の送給速度と溶接速度との少なくとも一つを変える際には、前記レーザビームの照射条件と前記アーク溶接の条件との少なくとも一つを変える請求項28から請求項45の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項52】
前記第2ワイヤと前記レーザビームの照射と前記アーク溶接との停止、再開、またはその条件変更は、センサからの入力信号に応じて行う請求項46から51の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項53】
前記レーザビームの照射の代わりに、プラズマアークを使用する請求項28から請求項52の何れかに記載の複合溶接装置。
【請求項54】
前記アーク溶接としてパルスアーク溶接を用いる請求項28から請求項53の何れかに記載の複合溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−64086(P2010−64086A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230778(P2008−230778)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発表した研究集会:溶接学会 平成20年度春季全国大会 主催者:社団法人 溶接学会 開催日:平成20年4月8日〜10日 発表した刊行物:溶接学会全国大会講演概要 −第82集− 第1会場 第14頁〜第15頁 発行所:社団法人 溶接学会 発行日:平成20年3月17日
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】