複数の単位用量の薬物送達システム
本発明は、使用者の眼、鼻孔又は耳管に、1つまたは複数の物質の単回又は複数回の用量を投与するデバイスに関する。本明細書中に開示されるデバイスの厳密で再現性のある投薬の特徴により、例えば使用者の眼への物質の供給のための公知の方法に伴う多くの不都合な点が克服される。デバイスは、アンプルから厳密な位置に物質の厳密な用量を投与する。このアンプルは、1用量アンプルであっても2用量アンプルであってもよく、外部から穿刺してもよいし、内部から穿刺してよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦の支援による研究または開発に関する宣言)
該当せず。
【0002】
(「マイクロフィッシュ添付資料」に関する参照)
該当せず。
【0003】
発明の背景
(1.発明の分野)
本発明の開示は使用者の眼、鼻又は耳に活性成分を含有する液体、ゲル、粉末又は他の物質の単一又は複数の単位用量を投与するデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
(2.関連技術の説明)
医薬品の開発は治療の選択肢の継続的向上のためには重要であるが、医薬品の送達方法もまた患者集団が容易に使用できる薬剤を作成する場合において重大な役割を果たすことができる。治療薬の投与が容易になるほど、潜在的患者が薬剤により大きな関心を寄せ、そして薬剤使用のより高いコンプライアンスが達成される。例えばニトログリセリンの経皮パッチ送達が、ニトログリセリン市場を3倍以上に拡大したのは、ニトログリセリンの経皮パッチ送達が、この薬物を簡便に利用できるという利点を患者にもたらしたためである。患者の医薬品の有用性を増大させた別の薬剤送達システムの一例はトロート剤、局所用クリーム及びゲル、経口用癌治療薬、除放性医薬品、リポソーム及び医療用デバイスの適用等である。
【0005】
新しい薬物送達システムのための他の領域の進歩にも関わらず、眼科用業界は使用者への薬剤の投与の向上において遅れを取っている。点眼液は眼病の最前線として100年以上にわたり使用されており、そしてなお、眼への薬物の投与のための最も広範に使用されている方法である。実際、全眼科用薬品の95%超が伝統的な点眼ボトルの送達システムを介して送達される。しかしながら、点眼ボトルから投与される液滴は比較的大きいため、大きい液滴の到達により誘起される本能的な瞬きが眼上の標的領域に実際に接触する流体の量又は割合を大きく制限する。例えば50μLの液滴の10%未満が患者の眼に有効な処置として送達され得、残余は排液により失われ得る。排液の問題は、オーバーフローが起こる前にヒトの眼が保持できるのが10μL〜12μLという自然の限界があることとさらに組み合わされる。このようなかなりの処置液の損失は無駄であり、処置の有効性に関する不確実性をもたらす。特定の眼科用医薬品の長期使用者の場合にはこのオーバーフローの問題は瞼にアレルギー反応を誘発する場合があり、或いは場合によっては、眼の周囲の皮膚の汚染を起こす。即ち、この送達方法は使用者に単純な方法を提供するものである一方、投与において誤差から生じる無駄及び失費;薬剤の不正確な投与に起因する過剰又は過少投薬;点眼ボトルを一度開封し空気に曝露した後の薬剤の薬効を保護するための薬剤中の保存料の必要性;薬剤の貯蔵期間を維持するために必要とされる保存料への曝露による眼の刺激;薬剤の滅菌性の消失又は交差汚染;一部使用済みの薬剤ボトルの廃棄により生じる廃棄物;投与中の眼への偶発的傷害;薬剤の指定された使用へのコンプライアンスを確認する容易な手段が無いこと;及び、有効期限を過ぎた薬剤の不注意による使用を含む多くの問題点を有している。
【0006】
眼科用の薬物送達システムは開発が困難であったが、その主な理由は眼が本来の保護障壁を有しており、眼に薬剤を送達するデバイス、インプラント及び化合物に対して特に感受性であるためである。全てではないが多くの眼科用薬物送達システムの企業による研究は眼背部の疾患、例えば加齢関連黄斑変性症(AMD)に着目していた。過去10年の間、「眼の前面」の障害及び疾患を治療しようとして開発された新規技術の数は限られている。これらのデバイスは単一の単位用量システムに概ね限定されていた。これらのシステムの商業的成功は、眼への薬剤投与を単純化し、費用効率及び簡便性という重要な課題を満足していなかったため、限定されたものとなっている。点眼液の代替としての眼前面への眼科用薬剤の投与のために第1世代のデバイスを用いた単一単位用量投与の数年前Beta Research Corporation,Syossett,NYにより実施された研究により明らかにされたように、眼前面薬剤投与のための効果的な複数単位用量の送達システムの市場ニーズが存在している。
【0007】
薬物送達システムの継続的開発のための別の重要な懸案事項は、高齢者人口およびこの分類に属する人々が、時が経つにつれ必要とする介護の増大である。例えば、合衆国の看護および介護支援センター(nursing and assisted care center)に約1,150万人が存在しており、59%が補助により投与される投薬を必要とし、貴重な労力が費やされ、そしてこれらの人々の自立を阻んでいる。従って、容易で正確な方法において医薬品を自己投与するために、特定の患者集団、例えば高齢者又は障害者のための包括的な解決法が必要とされている。患者及び居住者への眼科用薬剤の投与に関して施設の医療環境に直面する課題の一部には、患者への点眼液の投与を行う介護者により費やされる時間;誤投与により生じる偶発的な眼の傷害の結果としての潜在的不利性;浪費によるコスト増;非協力的な高齢者及び小児の患者への効果的な眼科用薬剤投与;大型の施設用点眼ボトルの使用により生じる交差汚染;及び薬剤コスト上昇が挙げられる。従って、点眼ボトルの送達システムを用いることの難点に着目した効果的な解決法が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な要旨
本発明は使用者に対し、好ましくは使用者の眼、鼻又は耳に対し、1つまたは複数の物質、例えば液体、粉末又はゲルの単回又は複数回の用量を投与するデバイスに関する。本明細書においては、「物質」という用語は活性成分含有物質を包含するがこれに限定されるものではなく、ここで、活性成分は活性な医薬品成分(API)、例えば水性、ゲル、粉末、溶剤または懸濁液の形態の薬剤、例えば処方薬剤、ジェネリック薬剤、又は市販薬、栄養補給食品又は同種療法剤であってよい。本明細書においては、「活性成分」とは疾患の診断、治癒、緩和、処置又は予防において薬理学的活性又は他の直接の作用を与えるか、又は、ヒト又は他の動物の身体の構造又は何れかの機能に影響することを意図した何れかの成分である。物質の送達を達成するためには、微粒子化、エアロゾル化又は他の方法において粒子化又は液滴の形態にされ得、眼、鼻又は耳に送達される。
【0009】
本明細書に開示するデバイスの厳密で再現性のある投薬の特徴により例えば使用者の眼への物質の供給のための公知の方法に伴う不都合な点の多くが克服される。特定の実施形態においては、デバイスは所望の物質、例えば眼科用薬剤の投与をより単純で、迅速、簡便、安全で低コストとする。さらにまた特定の実施形態においては、本明細書に開示されたデバイスは1つまたは複数の以下の利点、即ち、コスト削減(過剰投与による廃棄分の低減);厳密な用量の投与により薬効の向上;使用の簡便さ及び容易さ;患者のコンプライアンスの向上;安全性の向上;交差汚染回避;保存料の必要性の低下又は排除、これによる保存料が原因の使用者の感じる刺激や痛みの低減;複数回投薬による性能の向上;及び高齢者、障害者及び小児の患者の必要性に応える向上した能力を与える。特定の実施形態においては、このデバイスはまた特定の薬剤の投与により生じる潜在的に不快な副作用及び点眼送達システムに伴う難点も低減する。
【0010】
例えば眼科用薬剤産業においては、市販されている液体の点眼ユニットの一部は1用量バイアルとして市販されている。これらの1用量バイアルは点眼薬ボトルと同様の方法において操作され眼に投与されるため、全く同様の難点を伴っている。本明細書に開示したデバイスの重要な利点は物質を供給させるためにデバイス中で用いられるアンプルが使用者により反復して使用できない点である。これらのアンプルの単回使用という性質により、他の市販されている点眼ユニットに共通した再使用の問題点及び単位用量の不適切な再使用に伴う危険が排除される。本明細書に開示したデバイスの別の利点はそれが使用時まで使用者に投与される物質の滅菌性を維持するアンプルを利用している点である。滅菌物質は実際の使用まで空気に曝露されないため、滅菌性の消失が回避される。さらにまた、本明細書に開示したアンプルの分散機構は欠陥又は損傷を有する如何なるアンプルからの物質の分散も防止する。
【0011】
本明細書に開示したデバイスの別の重要な利点はそれらが眼、鼻又は耳の厳密な位置に物質の厳密な量を供給する点であり、これにより過剰又は過少な薬剤投与の危険性が低減される。本明細書に開示するより厳密な送達システムはまた、伝統的な点眼ボトル又は眼、鼻又は耳への薬剤の送達のための他のデバイスで通常経験される過剰又は誤りやすい送達に起因する無駄を低減する。
【0012】
自己投与のために設計されたデバイスの好ましい実施形態においては、デバイスはクラムシェル状、円盤状または円筒状の配置を有している。施設投与のために設計されているデバイスの好ましい実施形態においては、デバイスはリボルバー状の配置を有している。デバイスは好ましくは、独立しているかウェブにより相互連結されているアンプルの組立物を含有するように設計されたアンプルカートリッジホルダー(「ACH」)を受容するための容器を含む。好ましくは、ACHは一方向にのみ自身をデバイスにフィットさせることができる幾何学的なタブ又はキー又はフランジを有しており、これは例えばデバイス内のキーと契合するインデクシングオリエンテーションキー(indexing orientation key)を用いることにより行われる。別の実施形態においては、ACHはデバイスの一体型要素である。さらに別の実施形態においては、デバイスはアンプルの穿刺可能な区分に隣接した物質放出開口部を含む。さらに別の実施形態においては、デバイスはアンプルのリニアベルトフィード又はチューブの配置を含むシリンダーを含み、ここでアンプルは相互に連結されていてもいなくてもよい。
【0013】
好ましい実施形態においては、ACHは円盤状であり、別の好ましい実施形態においてACHはチューブ型又は長方形の箱である。特定の好ましい実施形態においては、穿刺体はアンプルと一体の部品であり、他の実施形態においてはアンプルの区画又はACHは穿刺体を含む。好ましくは、ピストン、プランジャー又はローラーによりアンプルを圧縮することによりアンプルから物質が放出又は分散され、それと同時に内部又は外部のいずれかよりアンプルが穿刺される。別の実施形態においては、アンプルはさらに空気又はガスのヘッドスペースを含み、ここで、アンプルの圧縮が穿刺体を作動するために必要な力を与え、そしてその結果生じる圧縮空気又はガスの膨張がアンプルからの物質の分散を支援する。
【0014】
一部の実施形態においては、開放ボタンはデバイスの一体型部品であり、そして開放ボタンを押せばバネ搭載トリガーが作動するようにバネ搭載トリガーに作動可能に連結されている。好ましくは、デバイスの発射機構はヒンジ、バネ、カム又はモーター駆動を動力とするピストン、プランジャー又はローラーよりなり、そして機械的又は電気的な動力源に作動可能に連結されている。別の実施形態においては、カムは例えば電池によりバネ駆動又はモーター駆動される。
【0015】
デバイスはまたさらにプログラム可能なマイクロプロセッサ、好ましくは処方コンプライアンス通知を提供するようにプログラムすることができ、そして、デバイスの作動状態及びデバイス内に含有される物質を追跡することができる視覚表示インターフェイス、好ましくは液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)及び聴音可能なシグナルに連結されたプリント回線基板(PCB)又はアプリケーション特異的集積回路(ASIC)を含む。他の実施形態においては、デバイスはデバイス内のアンプルカートリッジを検査するための拡大された検査ウインドウを含み、これにより使用者はデバイス内に装填されている物質の種類、残存アンプル数、及び、アンプルがデバイスにより投与されているかどうかを目視により判断することができる。
【0016】
好ましくは、本明細書に開示したデバイスは使用者、例えば使用者の眼、鼻又は耳に治療有効物質1つ以上を投与するために使用する。好ましい実施形態においては、デバイスは使用者の眼に眼科用薬剤1つ以上を投与するために使用する。好ましい実施形態においては眼科用薬剤投与のために使用するデバイスはさらに、好ましくは使用者の眼窩を包囲する使用者の顔面領域の形状に合致させられたアイカップを含む。好ましい実施形態においてデバイスは再使用可能なアイカップのためのアイカップ格納空間を含む。他の好ましい実施形態においては、アイカップは一体型アンプル眼科用ディスペンサー(IAOD)であり、そしてデバイスは場合によりバネ搭載IAOD噴出機構を含む。好ましい実施形態においては、介護者は投与過程の前後何れにおいてもIAODに身体的に接触する必要は無く、交差汚染の危険性を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は使用者に好ましくは活性成分(例えば薬剤)を含有する1つまたは複数の物質の単回又は複数回の用量を供給することができるデバイスに関する。デバイスは使用者の眼、鼻又は耳に物質を供給するように変更できる。本明細書においては、「使用者」という用語は「対象」又は「患者」という用語と互換であり、そして哺乳類、好ましくはヒトを指すが、動物、例えばネコ、イヌ、マウス、ウシ、ウマ、ブタ等も指すことができる。好ましくは、デバイスはデバイスが容易に作動され、そして物質を投与するために必要とされる時間を低減するような人間工学的設計を組み込んでいる。好ましい実施形態においては、デバイスは使用者に投与すべき物質を含有する使い捨てのアンプル並びにアイカップを利用した持ち運び可能なハンドヘルドのデバイスである。デバイスは自己投与用、又は、例えば病院、医院、療養所、介護施設、医務室及び小児科センターのような施設環境における医療及び保険の専任介護者のような介護者による使用のために設計され得る。特定の好ましい実施形態においては、デバイスは眼窩用薬剤送達の用途のため、例えばドライアイ、アレルギー、緑内障、白内障又は他の慢性の眼の問題点又は疾患の治療、並びに、抗生物質又は殺菌性化合物のような抗感染症剤、抗炎症剤又は生物製剤の投与のために使用される。
【0018】
眼に液体を供給するための点眼ボトルの使用の1つの難点は過剰な量の液体が眼に投与されたり、供給された液滴が眼を反れたりして液体の損失が生じること、並びに、医薬品の過剰又は過少投与が起こることが頻繁である点である。例えば従来の点眼器の場合、点眼器先端より滴下する最小の液滴は液体、点眼器先端および先端内部に残存する液体の間の表面張力のために約35μLの液体となる。眼が受容できる液体の最大容量が10μLであることを考慮すれば、投与された液体のかなりの部分が廃棄される。本明細書に開示されるデバイスは、例えば使用者の眼により少容量の液体を投与できるようにするため、これらの難点を克服する。好ましくは、デバイスより供給される液体は微粒子化され、そして例えば使用者の眼に対し、液滴の緊密な流れとして排出される。或いは、液体は使用者の鼻腔内に微細ミストとして供給することができる。本明細書に開示されるデバイスの別の利点はアイカップが使用者の瞬きの比率を低下させる点であり、このことは患者が投与の間に瞬きする可能性が低下することを意味する。さらにまた、本明細書に開示したデバイスは好ましくは液体を微粒子化するため、使用者は投与の間に瞬きする確率が低下し、これにより使用者への液体の投与が促進される。
【0019】
本明細書に開示したデバイスにより克服される従来の点眼器の別の難点は点眼器により供給される物質の量が点眼器のボトルに使用者が適用する力の量に依存している点であり、これが眼への物質の投与に制御不能な変動要因をもたらす。これとは対照的に本明細書に開示したデバイスは使用者の協調作業とは独立して、各投与により厳密な目的位置に対して物質の明確な容量を供給する。投与が容易であることは、関節炎や他の障害状態のような物理的な欠陥のために点眼薬を適用することが困難なことが典型的である高齢者や障害者の使用者にとっては特に重要である。即ち本明細書に開示したデバイスの特定の実施形態は物質の必要投薬量を正確かつ容易に使用者が供給できるようにする。別の利点はこれらのデバイスでは点眼器の場合のように物質の供給のための重力を必要としないため、デバイスは広範な物理的方向から、例えば直立、水平、垂直又は下方の位置から作動することができる。これにより使用者が投与中に頭部を傾ける必要が最小限となり、バランスを失うことによる危険又は頚部傷害を低減する。
【0020】
好ましい実施形態においては眼にデバイスから供給される液滴又は粒子の容量は約1μL〜約25μL、より好ましくは約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23約24μLである。デバイスから放出される液滴又は粒子の容量及び大きさは分散された物質の治療上の利点が最大限となりように調節することができる。供給される物質容量は物質を含有する区画、アンプル、穿刺体、及び、デバイス構造の他の変動要因、並びに分散される物質の特徴により異なり、これらは当業者のよく知るとおりである。これらの変動要因は液体の所望の容量または液滴径、又は、物質の粒径の使用者への分散を達成するために適切な大きさを有するものとすることができる。好ましくは、本明細書に開示したデバイスから分散される液滴又は粒子はそれらが吸入可能な噴霧を形成しないために十分な大きさであり、例えば直径約20μmより大きい液滴である。当業者の知る通り、分散後の残存液体又は他の物質は所望の投薬容量を分散させるための適切なパラメーターを設定する場合に考慮される。
【0021】
本明細書に記載したデバイス及びアンプルの設計の利点は、投与される物質の滅菌性が使用時まで維持される点である。使用時まで滅菌性が維持されることは汚染の危険を伴うことなく投与される物質中の保存料又は殺菌性化合物の使用の必要性を最小限にするか排除するものである。さらにまたアンプルの損傷又はその他の欠陥が生じた場合、もはや滅菌性ではなくなった物質をデバイスは投与しない。例えば、アンプルが穿刺可能な区分の領域内に欠陥を有する場合、または漏出を起こした場合、物質を効果的に放出するために十分な圧力がアンプル内に生じないため、デバイスは物質を適切に供給しなくなる。
【0022】
好ましい実施形態においては、本明細書に開示したデバイスから供給される物質は活性な薬学的成分(API)、例えば以下の治療化合物、即ち、抗緑内障剤/IOP(眼内圧)低下化合物(例えばβ−アドレナリン受容体拮抗剤、例えばカルテオロール、セタモロール、ベータキソロール、レボブノロール、メチプラノロール、チモロール;縮瞳剤、例えばピロカルピン、カルバコール、フィソスチグミン;交感神経作用剤、例えばアドレナリン、ジピベフリン;炭酸脱水素酵素阻害剤、例えばアセタゾラミド、ドルゾラミド;およびプロスタグランジン、例えばPGF−2アルファ);抗微生物化合物、例えば抗細菌剤及び抗カビ剤、例えばクロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フラマイセチン、フシジン酸、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ポリミキシン、プロパミジン、テトラサイクリン、トブラマイシン、キノリン;抗ウィルス化合物、例えばアシクロビル、シドフォビル、イドクスウリジン、インターフェロン;アルドース還元酵素阻害剤、例えばトルレスタット;抗炎症及び/又は抗アレルギー化合物、例えばステロイド化合物、例えばベタメタゾン、クロベタゾン、デキサメタゾン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、プレドニソロン及び非ステロイド化合物、例えばアンタゾリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ロドキサミド、サプロフェン、クロモグリク酸ナトリウム;人口涙/ドライアイ治療薬、コンフォートドロップ、灌流液、例えば生理食塩水、水又は油状物;以上全て場合により重合体化合物、例えばアセチルシステイン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメルロース、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸誘導体を含有しているもの;診断薬、例えばフルオレセイン、ローズベンガル;局所麻酔剤、例えばアメトカイン、リグノカイン、オキシブプロカイン、プロキシメタカイン;角膜表面の欠陥の治癒を支援する化合物、例えばシクロスポリン、ジクロフェナク、ウロガストロンおよび成長因子、例えば表皮成長因子;散瞳剤及び毛様体筋麻痺剤、例えばアトロピン、シクロペントレート、ホマトリピン、ハイソシン、トロピカミド;翼状片の治療のための化合物、例えばマイトマイシンC、コラゲナーゼ阻害剤(例えばバチマスタット);黄斑変性及び/又は糖尿病性網膜症の治療及び/又は白内障予防ための化合物;及び、眼、鼻腔内又は耳への投与の後の血流中への吸収語の全身作用のための化合物、例えば化学薬品、蛋白またはペプチド、例えば偏頭痛又は慢性疼痛の処置のための鎮痛薬、ワクチン、インスリン、ヒスタミン、コルチコステロイド、うっ血除去剤及びホルモンである。
【0023】
別の好ましい実施形態においては物質は特に鼻腔内送達に適しており、例えばフルミスト(Mediimune)、イミトレックス(Glaxo)、ミグラナル(Xcel)、ミアカルシン(Novartis)、ナスコバルゲル(Nastech/Questcor)、ニコトロール(Pfizer)、スタドールNS(Bristol−Myers−Squibb)、スチメート(Aventis Behringer)、シナレル(Pfizer)、ゾミッグ(AstraZeneca)、アポモルヒネ(Britannia Pharm)、アポモルヒネ(Nastech)、エミタゾール(Questor)、フェンタニル(West Pharm)、フルヌシュア(ID Biomedical)、フォルチカル(Unigene)、ヒプノスタット(Questor)、インスリン(Bentley Lab)、インターフェロン(Nastech)、ケタミン(IDDS)、ロイプロリド(West)、ミグラスタット(Questor)、モルヒネ(West)、モルヒネグルコネート(Nastech)、ナスコバルスプレー(Questcor)、ソマトロピン(Nastech)、ペプチドYY3−36(Nastech)、PH948(Pheriin)、PH80(Organon/Pherin)、トリプタン(Nastech)及びワクチン(West)が例示される。さらに別の好ましい実施形態においては、物質はワクチン、例えばジフテリア、破傷風、無細胞百日咳、インフルエンザ、単純疱疹、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、麻疹、おたふくかぜ、風疹、肺炎球菌コンジュゲート、ポリオ、炭素菌、狂犬病、チフス、黄熱病に対するワクチン、及びアテヌバックス(Merck)である。
【0024】
本明細書に開示したデバイスにより投与される活性成分含有物質は活性成分の遊離の酸又は遊離の塩基又は活性成分の塩であってよい。さらに本明細書に開示したデバイスは活性成分含有物質1つ以上を患者に投与するために使用してよい。活性成分含有物質は好ましくは水溶液、ゲル、粉末、溶液又は懸濁液として製剤し、そしてこれらの製剤は場合により他の製剤用賦形剤、例えば増粘剤、例えばゲル、粘性接着剤及び重合体、安定化剤、抗酸化剤、保存料及び/又はpH/浸透圧調節剤を含有してよい。
【0025】
アンプル
本明細書に開示したデバイスはまた、アンプルを利用することにより使用者に1つまたは複数の物質の単回又は複数回の用量を供給することができる。本明細書においては、「アンプル」という用語は「ボトル」、「バイアル」、「単位用量バイアル」又は「容器」という用語と互換である。好ましい実施形態においては、アンプルは、アンプルの区画1つ以上内に、1つの物質又は2種の異なる物質の1単位の用量又は2単位の用量を含有する。或いは、アンプルはアンプル中の区画1つ以上から物質3種以上を投与してもよい。製造中において、アンプルは単一化、即ち個々に分断し、個々に例えばアンプルカートリッジ又はデバイス内に搭載させることができる。或いはアンプルは例えば連結ウェブを介して相互に連結できる。アンプルはアンプルのストリップとして製造することができ、これを後に操作して後投与のための個々の形態、例えば円形、環状又は管とすることができる。他の好ましい実施形態においては、アンプル自体、又はアンプルカートリッジホルダーがアンプルの投与において使用者を支援するためのナンバリング、カラーコード、アイコンシステムコード又は点字に付着しており、そして、バーコード及び無線周波数識別デバイス(RFID)も包含してよい。
【0026】
一般的に、本明細書に開示したアンプルは使用者の眼、鼻又は耳への広範な物質を保持して供給するために使用される1単位用量の滅菌容器である。好ましい眼科用の用途は緑内障、アレルギー又はドライアイを治療するための化学薬剤を投与するためのアンプルの使用を包含し、又は、抗感染症剤又は抗炎症剤を投与するために使用してよい。好ましい鼻腔内薬剤の例は、偏頭痛、疼痛の処置又はアレルギーに対する化学薬剤を包含し、又は鼻腔内アンプルは抗感染症剤、ワクチン又はインスリンを投与するために設計される。好ましい耳用の薬剤は例えば抗感染症剤及び抗炎症剤である。当業者の知る他の薬剤、並びにまだ発見されていない薬剤も本明細書に開示したアンプル及びデバイスを利用して使用者に投与してよいものとする。
【0027】
好ましくは、本明細書に開示したデバイスにおいて利用されるアンプルは小型であり、直径約0.5cm〜約2cm、より好ましくは直径約1cm〜約1.5cmである。好ましい実施形態として、1単位用量の眼科用アンプルの大きさ(内容量)は25μL〜100μLである。好ましくは2単位用量の眼科用アンプルの大きさ(内容量)は50μL〜120μLである。好ましくは1単位用量の鼻腔内アンプルの大きさ(内容量)は50μL〜250μLである。好ましくは2単位用量の鼻腔内アンプルの大きさ(内容量)は100μL〜500μLである。好ましくは耳用アンプルは鼻腔内アンプルと同様の範囲の内容量を有する。このパラグラフに記載した容量は対象の適切な構造に対して有効量を送達するために必要な容量に基づいており、そしてヒト対象の治療に主に基づいている。対象への特定の物質の投与の旨適投与量は当該分野で知られた方法により決定され、そして、対象の年齢、体重、身長、性別、全身医療/診療状態、病歴、疾患の進行、製剤、併用薬、対象の観察される応答等のような要因により変動する。畜産又は家禽動物への送達のためのアンプルもまた適宜、大きさ及び容量が変動してよい。
【0028】
「25μL〜100μL」などのように範囲に言及する場合、容量の範囲はこの例では25及び100μLである両終点も包含するものとし、そして、整数の単位又は整数の分数の何れかにおいて、範囲内の何れの容量も包含するものとする。例えば、「25μL〜100μL」の範囲には、26、27、28,29、30等、単位漸増して99μLまで、並びに中間整数の何れかの分数、例えば25.1、25.2等も包含してよい。両終点は絶対ではなく、終点の10%以内に属する容量は範囲内と見なしてよく、例えば22〜25μL又は100〜110μLは25μL〜100μLの範囲に合理的に包含されるものとする。この範囲は例としてのみ使用しており、本明細書に記載したアンプルの全ての容量並びに本明細書に開示した種々のパラメーターに関する全ての範囲について同様の説明が当てはまる。
【0029】
好ましい実施形態においては、アンプルは物質、例えば活性成分含有物質、又は、物質と、アンプル内に充填された物質の種類、物質の濃縮物、活性成分の生体利用性に必要なもの、及び、利用するアンプルの設計に応じて決まる滅菌空気又は他の不活性ガス又は真空の組み合わせを含有する。好ましい実施形態においては、アンプルの噴射用量効率(「EDE」)は利用されるアンプル設計及び充填容量比に応じて約50%〜約90%の範囲である。EDEは投与時に目的箇所に実際に送達される物質の容量とアンプル内に含有される物質の容量の比である。
【0030】
アンプルの壁面の穿刺可能な区分と流体連通するか、これと隣接している、投与すべき物質を含有する内部区画又は薬剤区画をアンプルが包含することは本明細書の開示の方法である。この壁面は内部壁面又は外部壁面であってよい。種々のアンプル設計及び穿刺の実施形態が本明細書に開示されており、それにおいては、アンプルの外部壁面の区分が適切なデバイスにより穿刺又は開口されることによりアンプル中の物質を放出する。特定の実施形態においては、アンプルの区画は内部穿刺体を含み、別の実施形態においてはアンプルは外部穿刺体により開口され、さらに別の実施形態においてはアンプルは供給デバイスの一部であるブレードにより開口され、そしてさらに別の実施形態においてはアンプルは外部壁面の所定の位置においてアンプルを破裂させるように設計されたローラーにより圧縮される。アンプル及びデバイスの全実施形態は好ましくはアンプル区画を自動的に穿刺するか開口させてそこに含有される物質をデバイス発射時に対象に供給するための機構を含む(参照により本明細書に組み込まれる米国特許5,411,175参照)。特定の実施形態においては、穿刺体は物質の分散を可能にするように区画の穿刺可能な区分に向かって移動してこれを穿刺するか、又は、穿刺可能な区分が穿刺体に向かって移動してこれにより穿刺される。或いは、ブレード穿刺体がアンプルの中軸部に対する垂直面において、又はその近傍で移動することにより物質嚢放出を促進する。或いは、ローラー穿刺体がアンプルの長手方向に沿って移動することにより上部、下部又は逆方向からアンプルを圧縮し、これにより特定の所定の方法においてアンプルが破裂して開口してもよい。
【0031】
穿刺体は好ましくは従来の材料、例えばプラスチック、プラスチック積層体、プラスチック金属積層体、又は金属から作成し、そして、好ましくは、例えばアンプルを圧縮するデバイス発射機構により適切な圧力を適用することによって穿刺体がアンプルの穿刺可能な区分を突破し、これにより、制御された方法でアンプルの内容物が放出されるように構築される。内部穿刺体は物質と同じ区画内、区画と隣接、又は区画外に位置してよい。アンプルは内部穿刺体1つ以上を含有でき、そして/またはアンプル内の各穿刺体は穿刺可能な区分と接触できる点1つ以上を含有してよい。例えば、1つより多い穿刺体、又は、1つより多い穿刺点を有する穿刺体により穿刺可能な区分が穿刺されるようにアンプルを設計してよい。複数の穿刺点はアンプル中の物質の送達率を上昇させるために使用してよい。穿刺体はアンプルの一体型部品として、又はアンプルとは独立して製造してよい。好ましくはアンプルの区画内の物質は滅菌されており、そして滅菌性は投与時まで維持される。一部の実施形態においては穿刺体は中空である。別の実施形態においては穿刺体は穿刺可能な区分から遠位の末端において開口又は閉塞している。
【0032】
本明細書に開示するアンプルは、デバイス発射機構の設計に応じて、アンプル後方から、又は、片側又は両側からアンプルを殴打して圧縮する力の衝撃の下に「発射」又は「破裂」するように設計されている。アンプルを効果的に発射させるために必要な力は約2〜8ポンドであるが、これはアンプルの一体性を確保すること、貯蔵期間、蒸気圧の性能、及びアンプルの製造工程の限界に伴う他の設計の条件と考量される。アンプルから眼内への物質の完全な排出は好ましくは圧縮力の衝撃時点から約200〜300ミリ秒内である。
【0033】
好ましくは、アンプルスプレーパターンはアンプル毎に一貫しており、より低い四分円(即ち盲嚢)に向かって物質を送達する。好ましい実施形態においては、物質は、重力の作用を克服するために十分な直線的エネルギーによりアンプルから駆出され、即ち、使用者は、使用者の頭部及び眼の方向が重力の力/方向に対して垂直面となった場合に信頼性高く安全に眼内に物質を一貫して送達することが可能になる。好ましくは、物質は2μL〜10μLの範囲の個々の液滴径、あるいは100ミクロン〜400ミクロンの直径の液滴において送達される。眼の表面へ向けてアンプルから物質が横断しなければならない直線距離は好ましくは約10mm〜35mmである。本明細書に開示したアンプル及びデバイスの基本的な設計の検討事項は、眼、鼻又は耳内の標的到着場所に対して一貫した送達用量であること、液滴の大きさ、及び使用者にとって快適、安全及び効果的である力の水準、並びに標的到着場所への送達の精度である。
【0034】
本発明の開示の特定の実施形態においては、ノズル又はスプレーヘッドは、物質の放出もとのアンプルの領域に直接隣接させて位置させる。ノズル又はスプレーヘッドは、デバイスに連結するか、又は、アンプル又はカートリッジに連結させる。例えば、ノズル又はスプレーヘッドはアンプルの穿刺可能な区分に渡って密着することによりアンプル内の物質が放出される際に経由するオリフィスを与えてよい。ノズル又はスプレーヘッドは場合により、物質がアンプルから放出された後にその流動を方向づけることができる。別の実施形態においては、デバイスはノズル又はスプレーヘッドが物質を供給するために受容部に並置されるようにカートリッジに連結されたノズル又はスプレーヘッドを受領するための受領部を有する。さらに別の実施形態においては、アンプルは穿刺可能な区分の外部領域に重複する取り外し可能な外部のカバー又はシールを有し、これはアンプル内の物質が排出される直前に除去してよい。シールは例えば個別の剥離可能な層であってよい。
【0035】
アンプルを製造する好ましい方法はフォームフィルシール(FFS)又はブローフィルシール(BFS)の方法であり、これは滅菌アンプルを製造するために無機滅菌方法を組み込んでいる。例えば、当業者のよく知る方法であるBFSは選択された容器内で重合体物質をインラインで形成して密封する特殊な包装技術である。BFS機は重合体顆粒格納及び供給システム、パリソンヘッド付の回転スクリュ押出機、滅菌空気充填チャンバー、容器を成型して閉鎖する金型の片身、及び、例えば漏出検知システムを含む顆粒の器材を組み込んでいる。医薬品用BFSシステムは滅菌容器及び薬剤の製品を製造するために無菌製造方法を利用する。重合体顆粒を真空配管システムを介してBFS押出機のホッパーに供給し、ここで加熱溶融される(160〜170℃)。均質な重合体溶融物がシリンダーオリフィスを経由してプラスチックのパリソン内に形成され、これは滅菌濾過空気流により崩壊しない。次に、分割された金型の片身の下方部分を閉鎖して開放パリソンの底部を密封し、そしてパリソンの壁面を噴出及び/又は吸引して冷却金型壁内にいれ、容器の下方部分を形成する。充填針が必要容量の物質を容器内に引き込み、そして充填針の撤退の後、金型の上方部分を閉鎖して容器の上方部分を形成して密封する。
【0036】
別の滅菌方法は滅菌され、好ましくは保存料非含有の薬剤パッケージを製造するためのガンマ線照射のような技術使用した終末滅菌である。好ましい実施形態として、アンプルは低密度ポリエチレン(LDPE)又はポリプロピレン、又は、高密度ポリエチレン(HDPE)又は他のプラスチック、重合体又は外来樹脂より構築する。より好ましくはアンプルは医薬品包装において使用されるFDAにより認可された材料より構築し、これらはまたFFS又はBFS方法の使用にも好ましく合致している。好ましい実施形態として、アンプルは円筒、チューブ、涙型、山形、円錐、菱形、台形、球状又は部分的球状に形状付与された外部容器よりなる。好ましいアンプルは0、1、2又はそれより多いふいごを含有してよく、或いはアンプルの圧縮又は穿刺を支援するために形状付与された容器を有してよい。好ましいアンプルは単一の内部区画を有するか、又は、物質を含有する区画に隣接した個別の内部区画1つ以上を含有してよい。好ましくはアンプルの壁厚みは約0.05mm〜2mmの範囲である。好ましい実施形態として、アンプルは約0.5mmの壁厚みとなるようにLDPEから構築する。特定の実施形態においては、アンプル壁の厚みは圧縮及び/又は穿刺に好都合となるようにアンプルの特定の部分において変動する。
【0037】
特定の好ましい実施形態においては、アンプルの充填はBFS法を用いて以下の範囲、即ちa)1単位用量眼科用アンプルは15〜60μLの薬剤用量を含有し、b)2単位用量眼科用アンプルは40〜90μLの薬剤用量を含有し、c)1単位用量鼻腔内アンプルは40〜200μLの薬剤用量を含有し、そしてd)2単位用量鼻腔内アンプルは60〜400μLの薬剤用量を含有するように行う。好ましくは、耳用アンプルは鼻腔内アンプルと同様の範囲内に属する用量を有する。2単位用量アンプルの好ましい使用は順次薬剤の2個別用量(例えば単一の対象の右眼、ついで左眼)を発射するようにする。
【0038】
アンプルの安全設計上の検討事項は識別の補助としてアンプル又はアンプルカートリッジホルダーをカラーコード化する能力を包含する。アンプル設計は経時的な物質の品質又は薬効に影響する場合がある蒸気圧の移行の許容可能な水準を維持するための検討事項を含む。好ましい実施形態においては、アンプル及び含有される物質の貯蔵期間は製造日から最低12ヶ月、好ましくは24ヶ月を目標とする。
【0039】
好ましくはデバイス及びアンプルは、アンプルを穿刺し、そして眼、鼻又は耳へのアンプル中の物質の送達のための液滴又はスプレー霧の緊密な流れを生じさせるための以下の機構の1つ、即ち、(a)内部穿刺アンプル;(b)切り取り型チップアンプル、(c)外部穿刺アンプル;(d)破裂型アンプル;および(e)自己穿刺アンプル、を組み込んでいる。
【0040】
内部穿刺アンプル
内部穿刺アンプルの例を図1に示す。内部穿刺体161は種々の形状、例えば内部に薬剤を付着させる漏斗型設計又は円盤形状の設計を有していてよい。好ましくは、アンプルを裁断するか、又は、穿刺体の貫通点において外部容器上の脆弱壁を有することにより穿刺可能な区分を穿刺するために必要な貫通力を低減する。この特徴はまた、投与中のアンプルへ気からの如何なる外来材料の放出も最小限にする。アンプルの壁厚はアンプルの圧縮又は穿刺体の貫通に好都合なように変化させてよい。好ましい実施形態においては内部穿刺体はアンプル壁を貫通するために十分な硬度のスチレン、ポリスチレン又は他の医薬品等級のFDA認可材料より構築する。
【0041】
好ましい実施形態においては内部穿刺体は中空の管又はチャンネル(送達チャンネル)を含み、アンプルが圧縮穿刺されると、物質はこれを通過して流動する。穿刺体の先端は好ましくは角度のある端部を有し、アンプル容器の貫通に好都合となっている。穿刺体管の内径は約0.015インチ〜約0.05インチの範囲であるが、特定の実施形態においては、約0.025インチである。出口の地点とその近傍における送達チャンネルの内径、形状又は表面の状態はノズルを含有してよく、又は、アンプルから吐出される際の試料の旨適液滴径及びスプレー霧の幾何学的特徴を形成するように変動してよい。内部穿刺されるアンプルは1投与単位又は2投与単位であってよい。
【0042】
内部穿刺されるアンプルは直線状ストリップとしてBFS製造過程において製造してよい。好ましい実施形態においては、個々のアンプルはアンプルと同じ材料から作成され、そしてBFS製造過程の間に形成される連結ウェブを介して連結されている。アンプルは単一化、即ちストリップ型から個別に破断されアンプルカートリッジホルダー内に入れられるか、又は、好ましくは、アンプルのストリップ全体がアンプルカートリッジホルダー内に形成されるか、或いは、例えば環状、円状又はチューブの形状のアンプルシリーズとなるように形成される。
【0043】
切り取り型チップアンプル
切り取り型チップアンプルは、緻密なスプレー中の物質の供給を促進するアンプル内の精密な開口部を形成するために、好ましくは図2に示すような新しい切り取り型チップを利用する。特定の実施形態においては、カットアウェイアンプルはアンプルの切り取り型チップの上に可撓性のヒンジを含む。使用中はデバイス中のカッターブレードの端部が発射シーケンス(Sequence)の間にアンプルのチップを切断する。切断されたチップはチップの各側にある2個のプラスチックのバネのヒンジにより結合している。カッターブレードが切断されたチップを押しながら下に向けることにより供給チューブを開口させる。アンプルが圧縮されると、液体は開口部を通過して強制的に押し出される。好ましくは、切断されたチップは発射シーケンスが終了すると元の位置に戻されてアンプルを密封することにより、残存する液体がある場合でも漏出を防止する。
【0044】
アンプルのチップの切断はアンプル容器本体へのチップの連結点からチップ終点の約0.5mm内の何れかの地点において起こることができる。好ましい配置においては、チップはアンプル上に約1.0mmの供給チャンネルを残してチップの端部から約1.5mmで切断する。しかしながら、全体的な寸法はアンプルの内容量に応じて変動してよいと理解される。
【0045】
切り取り型チップの別の配置は1ピボットヒンジ及びアンプルから完全に切り離されてアンプルカートリッジ又はデバイス内の小区画内に捕獲される切り取り型チップを包含する。他の実施形態においては、切断された切り取り型チップはデバイスから排除される。
【0046】
カットアウェイアンプルはそれらが切開される時点において物質が液体である場合に特に小型液滴を滴下又は放出する可能性を有する。これは、格納中又は穿刺時点のいずれかにおいて毛管作用の結果として供給チャンネル内の少量の物質の集積をもたらす場合がある。特定の実施形態においては、アンプル容器中の液体の表面張力は不慮の漏出の可能性を低減する。この自然力学はアンプル及び供給チャンネルの内部構造の適切な設計を通じて増強できる。
【0047】
アンプルの穿刺過程の間の物質の不慮の放出を低減又は防止するための種々の手法及び内部アンプル設計が開発されている。これらの設計の特徴は図3に示す通り、供給チャンネルの改変、又は、供給チャンネルの交点の改変を、それがアンプル容器の主要チャンバーと交差する箇所において行うことを包含する。例えば、アンプルは供給するべき物質を提供するために設計することができ、アンプルは物質を保持するための区画を有し、区画はその中に配設されている物質を有し、そして、内半径を有さない供給チャンネル、輪郭付けされた壁部を有し内半径を有さない(例えば球)、標準的な吐出部を有する輪郭付けされた壁部、又は反転した出口を含み、ここで供給チャンネルの設計は穿刺過程の間の物質の不慮の放出を低減又は防止する。これらの設計配置の全ては、例えば格納及び取り扱い中、又は、アンプルが穿刺された後であって物質の放出のためにアンプルを圧縮する前において、供給チャンネル中の、特に液体形態の物質の集積の防止(例えば毛管作用による)を補助するものである。これらの設計の手法は個々に、又は組み合わせて使用することができる。さらにまた、発射シーケンス中のアンプルの操作を介して不慮の滴下を低減することができる。一例として、穿刺及び圧縮の工程の直前の発射シーケンスの間にアンプルを伸展するようにデバイスを配置させることができる。この作用は穿刺時に少量の空気を供給チャンネルを経由してデバイス内に引き込み、液体の漏出を防止する。
【0048】
外部穿刺アンプル
外部穿刺アンプルはアンプルを穿刺して発射させる中空の送達チャンネルを含有する外部穿刺体を利用する。好ましい実施形態においては、穿刺体はアンプルに一体化されており、そして各アンプルは自身専用の単回使用穿刺体を有することにより汚染の可能性を低減している。或いは、外部穿刺体はアンプルカートリッジホルダー内に一体化される。特定の実施形態においては、デバイスがアンプルを圧縮すると、それは2次元上で移動し、即ち(a)アンプル全体が穿刺体に向かって、そしてその上にACH内を前進し;そして(b)デバイスのプランジャー又はピストンがアンプルに圧力を与え、送達チャンネルの中空コア部から液体を強制的に排出させながら、アンプルが背部から圧縮される。外部穿刺アンプルの代替の配置は図4に示す通りである。この設計は、個々のアンプルに直接結合し、そしてその後アンプルカートリッジに装填されるスチレン、ポリスチレン又は同様の医薬品等級のプラスチックで構築された個々の穿刺体を意図している。
【0049】
外部穿刺されるアンプルは、それらは発射時に移動することが必要である場合があるため、アンプルカートリッジ内に装填される時点で連結ウェブを介して連結されていてもされていなくてもよい。デバイスにより投与中にアンプルが移動する場合は、それらは好ましくは製造過程において単一化され、後生産過程においてアンプルカートリッジに個別に装填される。外部穿刺アンプルの全体的寸法はアンプルの内容量に応じて変動してよい。
【0050】
破裂型アンプル
破裂型アンプルは圧縮時に所定位置において破裂するように設計されている。図5に示す設計は前進的な方法において後方から前方にアンプルを絞扼する圧縮手法を示している。好ましくは所定位置、例えばアンプル前面の脆弱部分又は切り込みのある表面を破裂点と定義する。アンプル壁はこの点においてより薄くなっており、アンプルを破裂させるために必要な力が低減され、そして、破裂型アンプル中の物質の放出が意図する位置において起こることを確保している。全体的寸法はアンプルの内容量より変動する。多くの好ましい実施形態が底部からアンプルを圧縮するためにシャフトを利用しているが、これらの機構の何れも側面からアンプルを係留し、アンプルが破裂してそれが含有する物質が放出されるまで圧縮する一対のローラーを含むように変更することができる。
【0051】
自己穿刺アンプル
自己穿刺アンプルは例えばフィンガーロッドを有するプランジャーが自己穿刺体内に挿入されることによりそれを強化し、アンプルを圧縮しながらアンプルの前面を経由させてそれを駆動するとアンプルを穿刺する作用を有する内部穿刺体を組み込むようにアンプルシェルを改変するように設計されている。自己穿刺アンプルは図6に示す通り好ましくは穿刺体の表面上に形成された一連の小型チャンネルである送達チャンネルを有する。液体はチャンネルを強制的に通過させられ、そして自己穿刺表面に搭載されているアンプルから流出する。プランジャー上のフィンガーロッドは内部自己穿刺体を強化してアンプルの穿刺可能な区分を自己穿刺体が貫通するために必要な支援を行う機能を有する。フィンガーロッドはアンプル容器と同様の材料で構築されている穿刺体がアンプル壁部を貫通できるために十分な強度と支援を与える。好ましくは、アンプルは穿刺体の貫通点において脆弱部分又は切り込みのある外表面を有しており、これによりアンプルを穿刺するために必要な力が低減され、そして穿刺過程の間にアンプルから外来性材料が放出される可能性を低減する。全体的寸法はアンプルの内容量により変動する。
【0052】
アンプルカートリッジ
好ましくは、アンプルは各アンプル間の連結ウェブを用いて直線状ストリップとしてBFS製造過程において製造する。好ましい実施形態においては、連結ウェブを用いてアンプルを円状の形状とすることによりアンプルカートリッジホルダー(「ACH」)に挿入するためのアンプルカートリッジを形成する。本明細書においては、「カートリッジ」とは相互に連結されているか、又は会合しているアンプル2個以上である。好ましくはACHはアンプルカートリッジの特定の型を保持するために設計された円盤型の封入された容器である。好ましい実施形態においては、ACHは以下の目的の1つ以上を果たすものであり、即ち、(a)不正防止型のパッケージ容器として格納及び輸送中のカートリッジを保護し;(b)ラベル表示のための面を与え(製造元、物質の種類、バーコード、有効期限及び処方箋使用法説明書);(c)アンプルカートリッジをインデクシングできるようにするデバイス内のインデクシング機構に対するギア又はラチェットインターフェイスを含有し;(d)認可されたデバイスにカートリッジホルダーの設置及び作動を限定し、そしてカートリッジがデバイス内に正しく担持されることを確保する安全確保キーの要素少なくとも1つを含有し;そして(e)コンプライアンス追跡において使用者を支援するためのアンプルの番号、カラーコード、点字システム並びに無線周波数識別デバイス(RFID)のための好ましい搭載位置を含有する。
【0053】
好ましい実施形態においては、ACHはポリスチレン、又は、別の種類のFDA認可医療用等級プラスチック、例えばポリプロピレン、ABS、ナイロン6及びポリカーボネートより構築する。ACHはアンプルカートリッジを収容するための何れかの大きさ、例えば適切な数量のアンプルのアンプルカートリッジリングであってよく、そして、特定の実施形態においては1単位用量又は2単位用量のアンプル16〜30個を含有するように配置してよい。別の実施形態においては、ACHは異なる形状、例えば長方形、正方形、円筒状、円状又はピラミッド型であることにより別のデバイス設計を収容することができる。
【0054】
好ましい実施形態においては、ACHに担持されるアンプルカートリッジリングのようなアンプルの供給物は、カートリッジの各アンプル内に単一種類の物質を含有する。或いは、ACH内のアンプルは2種以上の異なる物質を所定の順序で含有してよく、例えばこれにより2種以上の活性成分含有物質を、又は、同じ物質の2種以上の用量水準を投与できる。
【0055】
好ましい実施形態においては、アンプルカートリッジ又はACHは物質を識別するためのラベルを付し、そして又、アンプルカートリッジ又はACHをデバイス内に搭載したままでデバイスを開放する必要なく使用者が読み易い方法でバーコードおよび有効期限の情報を含んでよい。アンプルカートリッジ又はACHはまたデバイス内に装填された薬剤の種類を使用者が調べることができるようにする目視可能な色照合を与えるカラーコード方式を使用してよい。好ましくは、アンプルカートリッジ又はACHはデバイスの大型透明ウインドウを通してデバイス内に搭載されたままで使用者が目視可能なものである。アンプルカートリッジ又はACH内の各アンプルは好ましくは拡大ウインドウを介してデバイスを開放することなく使用者により容易に読まれることができる方法でアンプルカートリッジ又はACHの上面において好ましく番号付けされる。
【0056】
アイガイド(eye guide)及びアイカップ
好ましくは本明細書に開示したデバイスは治療部位、例えば眼、鼻又は耳の上面又は内部に対し直接位置づけられ、そして物質はデバイスの中心軸から供給される。デバイスを眼科用途に使用する場合、物質は好ましくは使用者の眼の上に正確に向けられる。一部の実施形態においては、アイカップのようなアタッチメントをデバイスと共に使用することにより使用者の眼への物質の供給をガイドし、そして、投与中旨適位置に瞼を保持し易くする。手術により過敏な領域が残る場合が多く、そしてその領域に物体を置くことは患者に不快感を与えたり、或いはさらに、手術領域に損傷を与える場合がある。例えば眼の手術の後は、瞼や眼の如何なる部分にも接触しないことが好ましい場合がある。アイカップは眼に直接接触する必要なく眼内に分散物質を導くことによりこの問題を克服し易くしている。特定の実施形態においては、アイカップは瞼を開けたままに維持するように設計されたデバイスに接続される。デバイスはまた標的部位、例えば使用者の眼、耳又は鼻に対して適切な方向に物質を含有するアンプルを位置づけるように設計してもよい。
【0057】
好ましい実施形態においては、アイカップに接続させた折りたたみ式のアイガイドを本明細書に開示したデバイス内に組み込む。好ましくは、折りたたみ式アイガイドはデバイス本体より伸長可能であり、そしてデバイスを使用する準備完了を行うために使用者により準備完了位置にロックされる。アイガイド及びアイカップは眼から正しい方向及び距離にデバイスを位置づける作用を有する。さらにまた瞼の開放し、投与中瞼を正しい位置に保持し易くする。アイカップの特定の好ましい実施形態においては、投与中に焦点を合わせるべき「標的」、例えば開口部又は他の同様の視覚的マークを与えるアイカップ内の視覚的照合物が存在する。好ましくは、開口部又は他の視覚標的に治療すべき眼の焦点を合わせることにより、眼の本来のレンズが上方に、そしてアンプルから放出された物質の流れの発射路の外に回転し、これにより、眼への物質の正しい投与が促進される。
【0058】
好ましい実施形態においては、本明細書に開示したデバイスへのアイカップの組み込みはオープンスポークフレームとして配置されたアイガイド支持フレームを包含する。好ましくは、眼窩周囲に渡る軟質ゴム又はプラスチックのアイカップを1つまたは複数のアーム部で支える。特定の実施形態においては、アイガイド支持アームはデバイスハウジングに接続され、使用時以外はデバイスハウジング内にアイカップを引き込むようにスライドする。好ましくは、使用者交換用の軟質プラスチック又はゴムのアイカップカバーをアイガイド前面に接続させて眼窩に対するクッションとし、そしてアンプルからの物質の投与の際の瞼の開口及び開口状態の維持を容易にする。別の好ましい実施形態においては、アイガイドはデバイスから引いて180°回転させて開口位置にロックすることにより伸長するテレスコープアームとして配置させるか、又は、アイガイドは完全に伸長した位置まで引いてそのままロックすることができるオープンスポークフレームを含む。テレスコープアイガイドはアイカップが搭載されている環(又はクリップ)を支持する。テレスコープアームはデバイスハウジングに接続され、使用時以外はアイカップを引き込むようにスライドする。特定の実施形態においては、使用者交換用軟質アイカップカバーがアイガイドに接続され、薬剤投与中に瞼を開口状態に保持し易くする。アイガイドはまた投与操作の間、デバイスに対する眼の適切な位置付けを確保するものである。
【0059】
アイカップ及びアイガイドのフレームは好ましくはFDA認可材料から作成する。アイカップは使用者により交換することができる例えばシリコーン又は他のFDA認可材料より構築された軟質の柔軟性プラスチック(又はゴム)から作成される。好ましい実施形態においては、投与操作を介助する介護者が物質が供給される時点において瞼が開いていることを目視により確認できるようにするためにアイカップの材料は透明なものとする。アイガイドは完全に伸長して発射準備完了位置にロックされている場合は、好ましくは、使用者の眼とアンプルから、例えばアンプルノズルからの物質の放出との間の距離を約20mm〜約30mmとする。他の実施形態においては伸長した位置にアイガイドをロックすることはまた、デバイスを発射可能とするデバイス内部の一体型安全ピン又はクリップを開放するものである。アイガイドを積載位置に引き込むことは、安全ピンを再契合させることであり、これによりデバイスの発射を防止する。
【0060】
好ましい実施形態においては、取り外し可能、又はピボット又はヒンジ上のカバー又はキャップがアイガイド、アイカップ及びデバイスの本体中の物質供給孔部を被覆することにより、デバイス、物質通路、アンプルの汚染又はデバイス又はアイカップ内の外来物質の蓄積を防止する。特定の実施形態においては、アイガイド、物質送達経路及びアイカップの選択された要素がMICROBAN(登録商標)のような抗微生物コーティングを使用することにより汚染の可能性を低下してよい。
【0061】
アイカップ又は他の適合する投与デバイス、例えば鼻腔内又は耳内使用のためのノズルもまたデバイスの特定の実施形態においてアンプルと一体化してよい。例えば、広範な種類の使用者にわたり病院又は療養所のような施設看護環境において介護者により使用されるデバイスは好ましくは、各投与につき、所望の物質を有する個別に充填されたアンプル及び滅菌アイカップ又はノズルを組み込んでいる。本明細書に開示されたものは、好ましくは施設状況において使用者に対し物質を投与するために介護者により使用されるために設計されたデバイスの実施形態と共に使用するためのアンプル及び穿刺体を含有する合成のプラスチックカラーに搭載されたアイカップ又は鼻又は耳への送達のためのノズルである。アイカップと一体化されたアンプルのこの実施形態は本明細書においては一体型アンプル眼科用ディスペンサー(IAOD)と称し、あるいは、ノズルと一体化されたアンプルの実施形態は本明細書においては一体型アンプルノズルディスペンサー(IAND)と称する。IAOD及びデバイスにこれらのIAODをパッケージして装填するセルフフィード供給デバイスは、特に施設状況において使用してよい。ノズルを使用する場合は、それは耳又は鼻の内部に挿入するための適切な大きさを有する。個人用を意図する実施形態においては、これらのインターフェイスは汚染の問題が限定されているため再使用できる。しかしながら、施設適用を意図する実施形態においては、インターフェイスは好ましくはアンプルと一体化され、単回使用のために設計され、そして廃棄されることにより、使用者間の交差汚染の危険性を最小限にする。
【0062】
UniDoserTM薬剤送達システム(UDDS)
本発明者等によりUniDoserTM薬剤送達システム(UDDS)と称される本明細書に開示したデバイスは、眼科、鼻腔内及び耳用の製品のための種々の治療送達用途に適合できるプラットホーム技術を与える。UDDSデバイスの配置は以下の要因、即ち、(a)自己投与対介護者投与;(b)多用量(アンプル)再充填可能デバイス対1用量(アンプル)使い捨てデバイス;(c)1用量対2用量アンプル;(d)単一薬剤アンプル/デバイス対複合薬剤アンプル/デバイス;(e)デバイスによりアンプル外に物質を供給するための作用機構(「MOA」)(機械的又は電気的な動力);および(f)アンプル穿刺機構(内部穿刺、切り取り型チップ、外部穿刺、破裂又は自己穿刺)により決定される。本開示は一般的に本明細書に開示したデバイスを消費者用デバイス又は施設用デバイスに分類する。本明細書に開示したデバイスの如何なる実施形態も予定外の実験を行うことなく当業者により本明細書に開示した如何なる型のアンプルからも物質を投与できるように容易に適合させてよいことに留意することが重要である。即ち、3種の開示した経路(即ち眼、鼻腔内、耳内)の1つを用いて使用者の特定の型に特定の物質を投与するために選択されるデバイス及びアンプルの組み合わせは投与の様式(例えば自己対施設投与)、製造コスト、投与経路、投与すべき試料の特性(例えば特定の薬剤及び薬剤の粘度)、所望の水準の滅菌性及びスプレー霧の幾何学的性質に関する要件等の様な要因に応じて変動する。
【0063】
本明細書に開示した特定のデバイス、例えば送達中のプランジャーのピストン作用により、単純な物質置換により、又は、物質を含有する区画内の空気又はガスの膨張により(例えば窒素又は希ガス)、加圧下にアンプル内の物質を供給する。好ましくは、デバイスの発射機構の圧縮力は穿刺体が穿刺可能な表面を穿刺するため、並びに、区画から物質の少なくとも一部を供給するために十分なものである。他の実施形態においては、アンプルを加圧するために使用するデバイスの内部機構は、所定の最低限の距離にアンプル内の物質を分散させるために十分な衝撃を有するピストン、ピストン−シリンダー、ローラー又はカンチレバーの機構を利用する。種々の加圧方向、例えば物質の放出に対して垂直又は並行、ならびに平行と垂直の間のある角度でアンプルに適用することができる。特定の実施形態においては、物質を含有するアンプルの区画は好ましくは液体と穿刺可能な区分の間に空気又は気体の空間(例えば空気又はガスのヘッドスペース)を有し、これを加圧することにより穿刺体及び/又は穿刺可能な区分の移動を促進することができる。一部の実施形態においては、空気又はガスの圧縮で物質の放出を促進する。区画内の空気又はガスの空間を与えることなく製造する実施形態においては、穿刺体は好ましくは区画の穿刺可能な区分の穿刺を達成するために必要な移動の程度を限定するようにアンプル内に位置づける。他の実施形態においては、穿刺体は区画内の穿刺体と内壁の間を物質が流動するのを最低限とするか防止するために区画の内壁に対し障壁又は密封密着をもたらすシーリングリップを有してよい。
【0064】
本明細書に開示したデバイスは簡便で正確な方法において活性成分含有物質を供給することにより予防的、術後又は慢性に関わらず、使用者に対する治療処置を向上させるために使用してよい。好ましい実施形態においては、デバイスは白内障又は眼の腫瘍の摘出等のような眼の手術後、又はLASIK処置後に、眼に眼科用薬剤を投与するために使用される。例えば本発明の1つの実施形態は白内障の術後治療を向上させるために使用される。通常、蛋白と水で殆どが形成されているヒトの眼のレンズは透明であり光線は容易にレンズを通過できる。白内障が生じるとレンズは曇化して白濁し、その光を透過させる能力が低下する。白内障の形成は経時的に起こり、通常はレンズの化学組成の変化により生じる。白内障は外傷、強い熱、化学熱傷、長期間のステロイド使用、又は緑内障、糖尿病、腫瘍のような眼の疾患により誘発されるが、白内障の80%は老年性白内障であり、50歳超の人間で起こる。白内障は52歳〜64歳では合衆国人口の42%、65〜74歳では73%が罹患している。合衆国内の人口統計が高齢化するに従い、より多くがこの障害をもたらす疾患に罹患することになる。
【0065】
白内障の手術では肥厚な曇化レンズを除去し、そして、眼の同じ部分に人口のレンズを移植する。交換レンズは元のものよりはるかに薄く、通常は患者の障害に渡り眼内に残存できる軟質の透明材料より作成される。合衆国で毎年約140万人が白内障の手術を受けて眼内レンズインプラントを移植されている。白内障の手術では抗炎症剤及び抗感染剤のような所定の薬剤を術後に使用するように患者は要求される。抗炎症剤の目的は組織が傷害を受ける手術の直後に開始する炎症を低減することであり、そして抗感染症剤の目的は感染症の予防である。白内障手術後の術後療養用の抗炎症剤及び抗感染剤の使用は指定された標準的な療養であり、これらの薬剤の適切な使用は患者にとって最も重要である。標準的なプロトコルでは、2〜6週間抗炎症剤又は抗感染症剤の毎日の投与が要求され、そして処置後の初期の日々においては、これらの薬剤は毎日2〜3回投与することが必要である。残念なことに、大部分の患者は種々の理由、例えば不便、忘れ易さ、混乱等々により、適切なプロトコルを完了することはない。医薬の投与はまた、多くの高齢者にとっては、その医薬の前回いつ服用したか、どれだけの量服用したかについて常時疑問を持っているか、或いは他者の補助を必要とするため、大きな負担となっている。
【0066】
本明細書に開示したデバイスの利点の1つはそれらが1種より多い薬剤含有物質又は一種より多い薬剤を同時又は逐次的に使用者に投与できる点である。この利点は、標準的なプロトコルが1種より多い薬剤を患者に投与することを必要としているため、白内障の術後治療において特に有用である。デバイスに関しては、2薬は投与直前にアンプルの区画内で混合し、そしてその後患者に投与してもよいし、或いは、2薬は投与時までは同じアンプル内の別の区画内にあるが、投与に際しては同じアンプルから患者に逐次的又は共に放出されてもよい。例えばアンプルの第1区画は凍結乾燥した薬剤又は乾燥粉末形態の薬剤を含有し、そして第2の区画は水又は生理食塩水のような薬学的に受容可能なキャリアを含有する。アンプルは、2区画を連結する領域(例えば穿刺可能な区分)が(例えば穿刺体によって)破られ、そして2区画内の材料が混合されて、例えば水性製剤中に薬学的に活性な薬剤を希釈再調製又は懸濁させる。2材料の再調製又は懸濁は、例えば振動デバイス又は水溶液を振動させる高周波数信号発生デバイスにより促進することができる。液体の水溶液が形成された後、薬剤は例えば本明細書に開示した機構によりアンプルから放出され、そして使用者に投与される。別の好ましい実施形態においては、2種以上の薬剤がACH内で相互に直接隣接しているアンプル2個以上中に存在し、そして使用者は第1の薬剤を投与し、そして次に、即座に、又は治療上適切な長さの時間の後に第2の薬剤を投与し、その後必要な別の薬剤があれば逐次的に投与する。
【0067】
これらの実施形態は患者により必要とされるほど多くの種類の物質を投与するために使用でき、並びに、医療専門家が選択された物質の治療投与を使用者に対するその治療上の利点が最大限となるように調整できるようにする。例えば、眼の手術の後の最初の数日間〜1週間は患者により必要とされる全ての眼科用薬剤の完全な用量用法(処方)特別に提供するアンプルカートリッジ又はACHを設計し、その後は標準的な術後プロトコルを完了するアンプルカートリッジ又はACHを使用することができる。これには、設定された時点において特定の順序で投与しなければならない種々の薬剤の組み合わせを必要とする処方の用量用法を包含する。各アンプル又はACHは、薬剤を使用する患者又は人間が最終投薬時を知ることができ、そして、次回の薬剤の用量が投与の位置にあるように、カラーコード又は数字マークにより識別できるようにすることができる。アンプル又はACHは1日における時間、並びにアンプル中に存在する薬剤に従ってマークしてもよい。患者がどれほど長い期間薬剤を使用しているか、そして、いつアンプルカートリッジが空になるかを知ることができるように、アンプル自体又はACHに各々の日時をマークすることができる。異なる色が異なる治療段階を示すようなカラーシステムを使用してもよい。例えば、デバイスは投与の前に目視できる赤色光を組み込むことができ、これが所定量の用量がデバイスにより分散させられた後に緑色に変わる。
【0068】
或いは、プログラム可能なマイクロプロセッサコンピュータデバイス、例えば液晶ディスプレイ(LCD)パネル又は発光ダイオード(LED)と組み合わせたプリント回線基板(PCB)又はアプリケーション特異的集積回路(ASIC)をデバイスに組み込むことにより、患者に薬剤の次回の用量を投与する適切な時期、どれだけの用量が残存しているかを患者に想起させ、そしてデバイスを交換すべき時期を使用者に警告し得る。ディスプレイは投薬送達のスケジュールを示すのみならず、充填されたアンプルを投与する時間が来たら警報を鳴らすようにプログラムすることができる。この特徴は、術後又は長期の療養に伴う複雑なプロトコルに渡って多くの患者が体験する混乱を大きく低減し、そしてより良好な患者のコンプライアンス及び治療処置をもたらす。デバイスはまた、多くの安全上の特徴を組み込むように設計され、例えば遅延機構をデバイスに搭載して使用者への過剰用量の不慮の送達を防止することができる。個人用デバイスの別の安全上の特徴は、小児によるデバイスの偶発的廃棄を防止するためのチャイルドセーフティーロックである。このデバイスはまた、より多くの患者が自身の術後又は長期の療養を介護者要求せずに実行することができるようにする。
【0069】
眼の手術、例えば白内障手術の術後処置については、デバイスは、何れかの順序及び時系列において、患者に対し、抗炎症剤、抗感染症剤又はステロイドを適切に投与するために使用できる。例えば、デバイスは、デバイス内にありながら連続投与のために配列された連続アンプルシリーズにおいて、相互に隣接するように抗炎症剤及び抗感染症剤を含有するアンプルを投与できる。抗炎症剤を患者に投与した後、抗感染症剤が次回投与されるようにACHが手動又は自動で回転する。ACHは手動又は自動で回転し続け、そしてアンプルカートリッジが空になるまでアンプルの投薬を施す。白内障手術後の療養において使用する眼科用の抗炎症剤及び抗感染症剤の例としては、トブラマイシン及びデサメタゾン眼科用溶液、スルファセタミドナトリウム−酢酸プレドニソロン、硫酸ネオマイシン−リン酸ナトリウムデキサメタゾン並びにフルオロキノロン、モキシフロキサシン及びガチフロキシンと称される新しいグループの極めて強力な抗感染症化合物が挙げられる。
【0070】
即ち、本開示はこれらの化合物を縦列させて使用する術後の外科処置に有効な眼前面に好ましくは保存料非含有の単位用量系を送達するための独特のシステムを提供する。これらの薬剤の何れも使用者に対する包括的治療処置プロトコルにおいて、本明細書に開示したデバイスを用いて投与することができる。ステロイドもまた、単に治療用アンプルカートリッジにステロイドを含有するアンプルを加えることにより、同じ治療の用量用法において投与してよい。例えば、開示されたデバイスを用いて、患者は連続アンプル中の2種の個別の薬剤としてステロイド及びフルオロキノロンを投与することができ、これにより薬剤がほぼ同時に投与され、複合薬を模倣できる。別の実施形態においては、麻酔薬又は診断薬、例えばフルオロセインを他の眼科用薬剤と共に別のアンプルに封入してよい。
【0071】
消費者用デバイス
本明細書に開示した特定のデバイスは、好ましくは単一の使用者による反復使用のため、及び自己投与のために設計される。これらのデバイスは本明細書においては消費者用デバイスと称する。好ましくは、消費者用デバイスのデバイス設計の人間工学的特徴により、デバイスは片手または両手で使用者により作動される。さらにまた、デバイスの作動部品は手の器用さが限定されている高齢者又は障害者によっても操作できるための十分な大きさを有している。これはオーバーサイズの制御により、そして使用動作の大部分について細かい運動能力よりも大まかな運動能力を使用することを強調した使用動作により達成される。特定の好ましい実施形態においては、デバイスの表面処理により作動中にデバイスが手から容易に滑り落ちないようにできる。消費者用デバイスは、好ましくは交換前に1200〜1600回の物質投与のサービスサイクルを有している。好ましい実施形態においては、デバイスの要素はFDA認可材料よりなる。好ましくは、デバイスはハイインパクトポリスチレン又は他のFDA認可医療用等級のプラスチック又は樹脂より構築され、そして「食器洗い機使用可」であり、即ち、従来の食器洗浄機の戦場サイクルに装填することにより洗浄及び消毒することができる。
【0072】
本明細書に開示する消費者用デバイスの好ましい実施形態は図7に示す通りである。このデバイスは本発明者等によりPufferFishと命名されており、物質、例えば緑内障、感染症、炎症状態、ドライアイ又はアレルギーのような状態を治療するための処方箋又は店頭販売眼科薬の毎日の自己投与のための消費者による使用に標的化された眼科用薬剤送達系である。図7に示すデバイスは1用量の外部穿刺アンプルを発射するように設計されているが、本明細書に開示した他の型のアンプルのいずれかと共に使用するために容易に適合させてよい。デバイスはクラムシェル状に開放され、使用者はアンプルカートリッジを入れることができる。これにより消費者はデバイスを使用し、必要に応じて新しいアンプルカートリッジを再装填するのみでよい。
【0073】
好ましい実施形態においては、図7に示すデバイスにおいて使用するためのACHはアンプルの相互連結環であり、薬剤、製造元、有効期限を識別するためにラベルを有しており、そして、アンプルカートリッジがデバイス内に搭載されている場合にデバイスを開放することなく使用者が容易に読めるような態様でバーコード又は無線周波数識別デバイス(RFID)を組み込んでいる。ACHは好ましくは、デバイス内に装填されている薬剤の種類を使用者が判断できるようにしたカラーコード又は点字のスキームを利用する。ACHはデバイスの上面、底面又は側面にある大型の透明な拡大ウインドウを通してデバイス内に搭載されている状態で使用者に目視可能である。ACH内の各アンプルは好ましくはデバイスを開放することなく使用者により容易に読み取られる態様で番号付けされている。ACH内の各アンプルは同じ薬剤を含有してよく、又は2種以上の選択された薬剤を各アンプルが含有してよい。さらにまた2用量アンプルを現設計に組み込んでもよい。
【0074】
図7に示すデバイスにおいて、アクチュエーター12はデバイス10の上面に位置する大型のパドル形状を有する表面である。アクチュエーターはハウジングの前面からヒンジ状態14となっている。アクチュエーターパドルは好ましくは高齢者の使用に適する大型とする。アクチュエーターはヒトの手により動力付与されるように設計され、デバイスを発射するために必要な力を低減するという機械的効率を与える(例えばパドルを作動させるための約2〜5ポンドの力)。アクチュエーターパドルは機械的レバーがアンプルを圧縮して発射させるために十分な力が確実に送達されるように、作動するための最小の力の閾値を必要とする。使用中は図8に示す通りアクチュエーターは開放され、発射準備完了位置にヒンジする。次に使用者はアクチュエーターをハウジング内に押し下げ、アンプルを発射させる。上面にあるスライドラッチ16はクラムシェルの内部リップに契合して非使用時にアクチュエーターを閉鎖状態に保持するか、または、供給機構に契合する。アクチュエーターは使用者により押し付けられた後には自動的に「準備完了」位置に戻る。クラスプ18はデバイスを再充填する場合を除き、常時、閉鎖およびロックされた位置にクラムシェルを保持する。図7に示すデバイスは下向きのロックされた位置を示している。アンプルカートリッジホルダー及びデバイス本体は好ましくは一体化されたヒンジを有するように鋳造され、そして、同時に切断される。
【0075】
外来物質の汚染又は蓄積からデバイスの内部を保護するため、デバイスは完全に封入される。折りたたみ式のアイカップ20はデバイスの本体から伸長し、デバイスの使用に備えるために使用者により準備完了位置にロックされる。アイカップ20は図8において伸長した位置に示されている。アイカップは眼から正しい方向及び距離にデバイスを位置づける作用を有する。これは投与の間に瞼を開放させ、そして正しい位置に瞼を保持することをも容易にする。開口部22のような投与中に焦点を合わせるべき「標的」を与えるアイカップ内の視覚的照合物が存在してよい。開口部又は他の標的に治療すべき眼の焦点を合わせることにより、眼の本来のレンズが上方に、そして薬剤の流れの発射路の外に回転する。好ましくは薬剤供給路は発射準備完了位置にあるデバイス本体内の小型開口部よりなる。特定の実施形態においては、カップ又はカバー(図示せず)は折りたたみ式のアイカップおよび薬剤供給路に渡って閉鎖されることにより、格納及び輸送の間の汚染からデバイスを保護する。
【0076】
図7のデバイスの分解図を図9に示す。デバイスはパドル型アクチュエーター12の上方に伸び、クラスプ18に連結されるスライドラッチ16を含む。契合時にはクラスプはアクチュエーター12をハウジングの上面31に対向して保持し、デバイスの発射を防止する。アクチュエーター下方に位置するリビングヒンジ32は使用者によりアクチュエーターが押されるとアンプルを圧縮して物質を放出するように配置されている。やはり分解図で示されているものはアンプルカートリッジ34を含有するカートリッジホルダー33である。アンプルの穿刺可能な部分35はカートリッジの外部に曝露されており、使用時に物質をアイカップ内に向ける。好ましい実施形態においては、ハウジングの底部37は、デバイスを開放することなく使用済みアンプル数、残存アンプル数、デバイスに装填されている物質の種類、及び物質の有効期限を判断するためにアンプルカートリッジを使用者が目視により調べられるように拡大ウインドウ36を含んでいる。
【0077】
特定の好ましい実施形態においては、クラムシェルデバイス本体は直径約75mm及び高さ25mm(折りたたみ式アイガイドを除く)であり、そして空の状態の重量は65g〜100gである。別の実施形態においては、クラムシェルデバイス本体は好ましくは直径約3インチ及び高さ1.4インチ(折りたたみ式アイガイドを除く)である。
【0078】
好ましい実施形態においては、デバイスの外部本体上の回転ベゼル21がインデクシング機構を始動させる。ベゼルが始動すると、インデクシング機構が新しいアンプルを回転させて「発射準備完了」位置とする。好ましくは、インデクシング機構は新しいアンプルが発射準備完了位置に適切に装填されているという少なくとも1つの明確なシグナルを使用者に提供する。シグナルはベゼルを介した触感によるシグナル、又は、デバイスが発射準備完了にあることを使用者に告知する視覚的又は聴覚的なシグナルであってよい。例えば2つの形態のフィードバックを提供することにより視覚又は聴覚に障害を有する高齢者の使用者に適合させてよい。インデクシング機序は格納及び輸送の間定位置にロックすることにより使用者が知らないうちにアンプルカートリッジが不注意により進められることがないようにできる。インデクシング機序は正しい(1方の)方向にアンプルカートリッジ又はACHを進めるのみであるように設計される。
【0079】
特定の実施形態においては、安全確保キーはアンプルカートリッジ又はACHが正しい位置にデバイス内に装填されることを確実に行うためのインデクシング機構と一体化した変形可能なギア又はラチェットを含む(即ち一番目のアンプルが一番目の発射位置に装填される)。或いは、特定のアンプルカートリッジのみ(例えば薬剤の特定の型を代表するもの又は指定された製造元の薬剤)をデバイスに装填できるように製造工程においてインデクシング機構を変更可能としてよい。
【0080】
デバイスの発射機構はメカニカルレバー(アクチュエーターパドル12)により動力付与されるリビングヒンジ32よりなる。好ましくは、パドルはヒトの手に対して機械的効率をもたらす。デバイスに組み込まれるアンプルは好ましくはアンプルを圧縮して眼内に物質を排出するためには2〜8ポンドの力を必要とする。デバイスは、使用者により選択された頭部/眼の方向のある範囲において正しい力および容量で眼内に物質を発射するように作動するが、物質供給スプレーのベクトルが重力に垂直であるか、重力と同じ方向になるような、頭部が通常位置に保持されている場合、又は横臥している場合にも物質を最低限使用者が投与できるようにする(例えば使用者リクライニング時)。即ち、デバイスは、それが重力に垂直のベクトルで、そして、水平より45度下方〜垂直の範囲から発射しても意図する到着場所に物質を送達するために有効なものである。発射機構はリビングヒンジが開放され駆動されるよりも前にパドルアクチュエーターに最低限の力の閾値が適用されることを必要とする抵抗デテントを組み込んでいる。この特徴はアンプルを圧縮して発射させるために必要な力の最低限の量が確実に送達されることを意図している。アクチュエーターパドルは2:1の機械的効率を与えるが、機械的効率はレバーを調節することにより4:1まで拡大することができる。
【0081】
図6に示すデバイスを使用するためには、使用者はデバイスのクラムシェル本体の上方半分をラッチ解除する。デバイスの上方半分はヒンジにより回転開放され、デバイスの内部及びアンプルカートリッジインデクシングプラットホームを露出する。好ましい実施形態においては図示された符号をデバイス上蓋内面上で使用することにより装填のためにACHを整列させる正しい方向を表示してよい。使用者はアンプルカートリッジを含有するACH、又は、ホルダーがデバイスに一体化されている場合はアンプルカートリッジを挿入し、デバイス及びACH上の目視による照合により適切に整列されていることを確認する。デバイスの上方半分を閉鎖して固定する。
【0082】
特定の実施形態においては、使用者はデバイス本体の外側上に位置するインデクシングベゼルを移動させることによりアンプルカートリッジをインデクシングする。この操作は新しいアンプルを適切な発射位置にまで回転させる。インデクシングシステムは、新しいアンプルが適切に「発射準備完了」位置にある時、フィードバックを使用者に提供する。使用者のフィードバックはインデクシングレバー又はベゼルを介した触感フィードバックの形態であってよい。使用者のための他の形態のフィードバックは使用者がアンプルが正しい位置にあることを見ることができる視覚的フィードバック、又は、デバイスが発射準備完了にあることを示すカラーインジケーター、又はアンプルが適切に装填されている場合に「カチッという音」がする聴覚的シグナルを包含する。アンプルが適切に装填されていることを使用者が指令された後、使用者はアイガイドカバー(又はキャップ)を取り外し、デバイスから引出されれば所定位置にはまり込むアイガイドを伸長させる。アイガイドの伸長により安全器具が解除され、デバイスの発射が可能となる。使用者はスイッチのラッチ解除によりアクチュエーターパドルのロックを解除し、これによりアクチュエーターは振子運動により開放されて発射準備完了位置となる。
【0083】
デバイスを発射させるためには、使用者は眼窩の内部辺縁に対向させてアイカップを置き、軽く押し付けることによりアイカップを拡張させ、瞼を広げ、これを広がった位置で保持する。使用者はアイカップの上に位置する視覚標的(又は開口部)に眼の焦点を合わせて眼の本来のレンズを物質路外に回転させる。次に使用者はアクチュエーターパドルを押して物質を投与する。格納のためには、使用者はアクチュエーターパドルを押し下げた位置に保持してスイッチをラッチすることにより積載位置にロックする。使用者はデバイス本体内にアイガイドを引き込み、カバー又はキャップを元の位置に戻す。
【0084】
さらに好ましい実施形態の開示したデバイスは図10に示す通りである。このデバイスは本発明者等によりBlowFishデバイスと命名されており、やはり毎日の自己投与のための消費者による使用を目標とした眼窩用薬剤送達系となるように設計されている。この実施形態は上記したPufferFishデバイスの特徴1つ以上を組み込んでよい。使用者はクラムシェル型のデバイスを開け、そして、好ましくは16〜30個の1用量アンプルを含有するアンプルカートリッジ内に入れることによりデバイスに充填する。デバイスは1用量又は2用量アンプルを発射するように配置することができる。以下の説明は1用量内部穿刺アンプルと共にデバイスを使用する場合に関するものであるが、本明細書に開示した如何なるアンプルもデバイスと共に使用できる。好ましくは、デバイス又はアンプルの一体型部品であってよいノズルを外側に向け、周囲に対して垂直とする。
【0085】
デバイスの機構を説明するためにデバイスの一連の断面図を図10に示す。図10の4つのパネルは、アンプルカートリッジ交換時、発射準備完了状態、発射状態、及び、格納配置のデバイスを示す。機械的効率化レバー50はデバイス底面上で図中には示されている。このレバーはバネ機構及びデバイスのインデクシングシステムに連結されている。レバーは一端にピボットを有し、手動で移動されれば、バネ42を起立させて発射準備完了位置とする。レバーは振子の円弧の始点に戻り、新しいアンプルを発射準備完了位置にインデクシングする。或いはこの操作を逆にしてレバーの第1運動においてインデクシングを、そして第2運動において起立を行うことができる。図10に示す通り、アンプルカートリッジを戻すと、レバーは閉鎖位置となり、バネを開放する。アンプルカートリッジはアンプル1を第1位置に入れることにより配列させる。ACHを充填した後、レバー50を準備完了位置に移動させることによりデバイスは発射準備完了となる。アイピースを伸長させ、デバイス起立中の安全器具とする。使用者の準備完了ができれば、トリガーボタン46を押してデバイスを発射させ、バネ42がピストン44をアンプル内に押し込む。発射後、レバーは閉鎖位置に戻り、アイピースは引き込まれカバーされる。
【0086】
前述の実施形態において記載した通り、クラムシェルデバイス本体はデバイス内部を外来物質の汚染又は蓄積から保護するために完全に封入される。デバイス本体から伸長させて準備完了位置にロックできる折りたたみ式のアイカップが存在する。薬剤供給路はデバイス本体の小型開口部よりなる。キャップ又はカバーを折りたたみ式アイカップ及び薬剤供給路に渡って閉鎖させることにより格納及び輸送の間の汚染からデバイスを保護することができる。クラスプは再充填のためにデバイスが開放される場合を除き、常時、デバイスのクラムシェル本体を閉鎖ロック位置に保持する。
【0087】
好ましい実施形態においては、デバイスの発射機構はヒトの手により機械的効率化ピボットレバーにより負荷(起立)することができるバネよりなる。特定の実施形態においては、BlowFishデバイスは切り取り型チップアンプルを発射するために設計されている。この場合、発射機構は発射シーケンスにアンプルの先端を切断して開放状態で保持するように設計されたデバイスの前面に遮蔽されたプラスチックカッターブレードを組み込む。トリガーボタンがカッターブレードを作動させ、そして次にプランジャーをアンプル内に駆動させてこれを圧縮し、物質を発射させるバネを開放する。カッターブレードは引き込まれ、アンプルのヒンジ先端はその元の位置に戻ることによりアンプルをプラグして漏出の危険性を低減する。カッターブレードは好ましくは発射シーケンス又はデバイスの充填又は充填物除去の間に使用者がカッターに曝露されるのを防止するシュラウド内に格納される。カッターは好ましくはハイインパクトスチレンプラスチックより構築される。
【0088】
発射シーケンス(デバイスのトリガー時から眼への薬剤の送達終了時まで)は好ましくは200〜300ミリ秒内に終了する。他の好ましい実施形態においては、投与の間に使用者に瞬きを起こさせる可能性のある大音又は威嚇的な音を低減するため、及び、アンプルに対するプランジャーの衝撃により生じるデバイス内の振動を低減するため、発射機構は減音処置される。好ましくは、トリガーボタンを押し下げるために必要な力はデバイスに装填されているアンプルの種類及びバネの配置に応じて、2〜8ポンドである。発射機構により生じる力は種々の力のバネを挿入することにより変更することができ、これにより、デバイスはより広範なアンプル及び種々の粘度の物質を発射できるようになる。
【0089】
図10のデバイスにおいて示したものと同様の発射システムを含んでよい別の実施形態を図11に示す。本実施形態は前記開示したPufferFish及びBlowfishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよい。このデバイスは機構を起立させるためにデバイスの底部上の回転可能な部材52を使用する。このデバイスはバネ機構上に契合して発射のためにデバイスを起立させるためにデバイス中の機械的効率化された傾斜平面を利用している。傾斜平面を使用することによりデバイスを起立させるために必要な力が低減され、高齢者又は障害者の作動が容易になる。
【0090】
本明細書に開示したデバイスの別の実施形態は図12に示す通りであり、本発明者等によりSailFishと称されている。本実施形態もまたPufferFish及びBlowfishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよい。デバイスはバネ駆動プランジャーシステム64に連結されたデバイス内のメカニカルレバー63に連結したスプリットウイング61、62を含む。デバイス本体のスプリットウイングが完全に開放されると、メカニカルレバーがバネを起立させる。スプリットウイングの閉鎖により、アンプルカートリッジがインデクシングされ、新しいアンプルがトリガーボタン下の発射準備完了位置に移動する。好ましくはアイカップもまたデバイスと一体化され、伸長されて使用準備完了となる。デバイスは図13において、閉鎖位置、格納準備完了状態である。アイカップは引き込まれ、格納のためにウイングによりカバーされる。発射ボタン71はまたアンプルカートリッジを目視するための拡大ウインドウとして作用し、使用者により常時目視可能となる。
【0091】
デバイスのヒンジされたウイングはインデクシング機構を始動させる。ウイングが始動するとインデクシング機構が新しいアンプルを回転させて「発射準備完了」位置とする。好ましくは、インデクシング機構は上記した通り新しいアンプルが発射準備完了位置に適切に搭載されている幾つかの明確なシグナルを使用者に与える。本実施形態の発射機構はデバイス本体のスプリットウイングを開閉することにより負荷(起立)させることができるバネを含む。このシステムはヒトの手に対し機械的効率を与える。図12に示すSailFishデバイスは切り取り型チップアンプルを発射するために設計されているが、別の設計により本明細書に開示した如何なる型のアンプルも発射してよい。
【0092】
デバイスを作動するためには、使用者はデバイス前面をラッチ解除する。デバイスの2つのスプリットウイングはヒンジされ、振子運動により開放され、デバイス内面及びアンプルカートリッジインデクシングプラットホームを露出する。使用者はACHを挿入し、それがデバイス及びアンプルカートリッジに対して適切に整列されていることを目視により照合することにより確認する。デバイスを閉鎖し、ラッチで固定する。
【0093】
物質の投与のためには、使用者はデバイスの前面のラッチを解放して2つのスプリット本体ウイングをロック解除し、アイカップポート上で前面カバーを開放する。スプリットウイングを完全長(約160°)開放し、これによりバネが引き戻されることによりデバイスが起立する。使用者はアイガイドをデバイスから引き出すことによりこれを伸長させ、次に180°回転させ、これによりアイカップを適切な位置にロックする。この動作はまた安全器具を開放し、これによりデバイスはウイングを作動させ、ACHをインデクシングし、新しいアンプルを回転させて発射準備完了位置とする。インデクシングシステムにより、アンプルが適切に装填されていれば前記した通り使用者に対しフィードバックを与える。本体のスプリットウイングは閉鎖され、伸長されたアイカップ周囲にロックされる。
【0094】
デバイスを発射させるためには、使用者は眼窩の内部辺縁に対向させてアイカップを置き、軽く押し付けることによりアイカップを拡張させ、瞼を広げ、これを広がった位置で保持する。使用者はアイカップの上に位置する視覚標的(又は開口部)に眼の焦点を合わせて眼の本来のレンズを薬剤の発射線外部に回転させる。次に使用者はデバイス上面に位置する発射ボタンを押し、アンプル内の物質を投与する。デバイス発射の後、本体のスプリットウイングは90°開放し、使用者はアイカップを180°回転させることによりアイガイドを引き、次にテレスコープアームをデバイス内に押し戻す。この動作により安全器具が再契合し、アイカップを積載位置にロックする。スプリットウイングは完全に閉鎖され、アイカップカバーが閉鎖され、クラスプは再契合する。次にデバイスは保管準備完了状態となる。
【0095】
本明細書に開示したデバイスの別の実施形態は図14に示す通りであり、本発明者等によりRockFishデバイスと称されている。この実施形態もまたPufferFish、Blowfish及びSailFishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよい。本デバイスは1用量又は2用量のアンプルを発射するように配置され、本明細書に記載した何れの方のアンプルも使用できるように配置されている。本デバイスは電池により動力付与され、モーター駆動されるドライバーピストンをデバイス発射のための動作の主要機構として利用している。デバイスの分解図を図15に示す。デバイスは好ましくは従来の使い捨て電池より、又は、再充電可能の電池又は他の適切な動力系により動力付与される。安全機構、トリガー、アンプルインデクシング放出及びデバイスステータス態報告のためのデバイスの制御システムはPCB又はデバイスカバー内に位置するASICのようなプログラム可能なマイクロプロセッサコンピュータデバイスにより電子工学的に制御される。上面カバーの外面上のLCDパネルは使用者のための視覚ディスプレイインターフェイスを提供する。
【0096】
好ましい実施形態においては、デバイスのモーターはDC電源のステップモーター又はサーボモーター又はカスタムモーターであって、3〜9ボルトを必要とする内部ギアボックスを有し、トルクは40〜120oz−inであり、速度は50〜240rpmである。当業者の知るとおり、このモーターの説明は例示に過ぎず、そして、他の適切なモーターもデバイス又は本明細書に開示した他のデバイスと共に使用できる。
【0097】
好ましい実施形態においては、クラムシェルデバイス本体は直径約3インチ及び高さ1.6インチである(折りたたみ式アイガイドを除く)。空の状態の重量は90g〜140gである。デバイス本体は使用済みアンプル数、残存アンプル数、及び、デバイスに装填されている物質の種類を判断するためにアンプルカートリッジを使用者が目視により調べられるように拡大ウインドウを含んでいる。
【0098】
デバイスの発射機構はギアボックスを介してドライバーに連結されているステップ又はサーボ型のDCモーターを含む。モーター駆動されたドライバーは高速で作動し、プランジャーをアンプルに対向して駆動させ、デバイスを発射させ、そして次にプランジャーを開始位置まで引く。或いは、機構はモーター駆動されたカムにより始動されるプランジャー又はモーター駆動カム/バネ駆動されたプランジャーを含んでよい。モーター駆動されたカムにより始動されるプランジャーの場合は、モーターはプランジャーに直接連結されたカムを回転させることにより圧縮力を与える。モーター駆動カム/バネの場合は、モーターがプランジャーに連結されたバネを起立させるカムを始動させる。機械的又は電子工学的にバネが開放された時点で、それがプランジャーに対して圧縮力を与え、アンプルを発射させる。
【0099】
特定の実施形態においては、本明細書に開示したデバイスのいずれかは、好ましくはデバイスのカバー内に密封収容されたPCB又はASICよりなる制御システムを組み込んでよい。制御システムは以下の機能を実施する。
・ On/Offデバイス作動
・ LCDディスプレイ及びデバイスステータスモニター
・ 電子トリガー
・ インデクシング安全器具開放
・ アイガイド安全器具開放
制御システムは例えば以下のものを包含するデバイスステータスをモニタリングして報告するように設計される。
・ 薬剤投与シーケンス
・ コンプライアンス通知及び追跡
・ 薬剤名及び有効期限の追跡
・ デバイス操作及びライフサイクルのステータス
好ましくは、デバイスのPCB(又はASIC)は、デバイスのステータス及び使用者のコンプライアンスに関する追跡及び報告のためにファームウエア、ソフトウエア及び非揮発性メモリの組み合わせを利用することによりデバイスを作動する。図16に示すフローチャートは電池により動力供給される本明細書に開示したデバイスに関するファームウエア/ソフトウエアの技術の主要な機能を総括したものである。
【0100】
電子工学的に動力付与されたデバイスの第1世代のファームウエア/ソフトウエアの能力は主に以下の重要な機能を提供する。
・ デバイスステータス報告−デバイスのライフサイクル、電池の状態、時間/日付時計。
・ 操作シーケンス報告−作動過程及び次の操作上の工程に関してデバイスの現況を調べ、ディスプレイインターフェイス又は聴音可能なシグナルを介して使用者に通知する能力。
・ コンプライアンス追跡−過去24時間の投与回数、最終投与時/日の記録。
・ デバイスをインデクシングし、デバイスを発射することに関する安全機構の制御。
・ 自動シャットダウン操作。
【0101】
アンプルカートリッジに搭載された現場プログラム可能なASIC又は同様のチップと組み合わせられたデバイスにおけるより進歩したソフトウエア/ファームウエアは以下の能力をさらに与えるものである。
・ 特定の使用者に関する薬剤投与及び詳細なコンプライアンスの履歴及び処方又は治療薬の追跡と記録。
・ 正しいアンプルカートリッジ及び物質がデバイスに装填されているか、及び、アンプルカートリッジが所定の使用者に対する正しい処方であるかの判断。
・ 使用者に投与された物質が使用者に現在処方されている何れかの他の医薬と何らかの副作用を起こすかどうかに関する追跡と記録。
・ アンプルカートリッジ内の物質が有効期限切れかどうかの判断。
・ 医師、第3者の処方担当者又は薬剤師によりアンプルカートリッジチップにロードされた個人用の処方に基づいた薬剤使用時期の使用者への自動告知。
・ 使用者が処方された使用に従わないか、乱用している場合のデバイスの作動を禁止。
・ 個人のコンプライアンス履歴を医療記録内への、又は請求目的のアップロード。
・ 処方箋レフィルの自動再オーダー
記載したデバイスは1用量又は2用量アンプルのいずれかを発射するために配置される。2用量アンプルは、トリガーを最初に押した時点では2用量アンプルの半分を、次にトリガーを二回目に押した時点で残余を圧縮するようにモーター駆動ドライバーをプログラムするようにPCB制御システムに変更することが必要である。モーター駆動されたドライバーは初回用量を圧縮して発射し、次にプランジャー又はローラーを上げ戻すことによりアンプルに対する圧力を開放することにより、アンプルの圧縮を開放して不慮の漏出を防止する。第2用量の投与は二回目にトリガーが押され、アンプルが完全に排出された時点で終了する。
【0102】
特定の実施形態においては、作動の安全のためにアイガイド上に搭載されたマイクロスイッチコネクションが存在する。アイガイドを所定位置まで伸長してアイカップを「準備完了」位置とすると、マイクロスイッチが安全機構を解除してデバイスの発射を可能にする。アイガイド/アイカップを折りたたんでデバイス内に戻すと安全器具機構が再契合する。3分(この時間制限は変動する)より長時間に渡ってデバイスが完全に可能な位置(即ちデバイスが使用可能でありアイカップが伸長位置)に放置されれば、安全回路がデバイスをシャットダウンし、再作動しない限り発射できなくなる。クラスプは、デバイスが再充填を必要とする場合を除いて常時、閉鎖されロックされた位置にデバイスのクラムシェル本体を保持する。
【0103】
上記したデバイスを使用するためには、使用者はデバイス上面のボタンを押してデバイスを作動し使用可能とする。この工程により、格納及び輸送の間に安全な位置にアンプルカートリッジをロックする小型カム又はギアが開放される。使用者はデバイス側面の小型レバーをスライドさせることによりアンプルを「発射準備完了」位置にインデクシングする。使用者はデバイスがインデクシング工程を完了したことを確認するための数種の形態のフィードバックを受けてよい。例えば、レバーがインデクシング工程の終了時に停止すれば、デバイスは聴音可能な機械的又は電子的なシグナルを発し、そして視覚的にはカートリッジ上面のアンプル番号がデバイス上面の拡大ウインドウを介して目視できる。或いは、デバイスが発射準備完了にあるがなお「安全」モードであることのアイコン又はテキストシグナルをLCD又はLEDパネルがディスプレイすることができる。
【0104】
発射シーケンス終了時、ACH安全器具はカートリッジをロックして移動を防止するカム又はギアと電子工学的に再契合する。次に使用者は例えばアイカップを180°回転させて掛け金を開放し、その後テレスコープアームをデバイスに押し戻すことによりアイガイドを引き戻す。この動作により安全に作動しているデバイスを再契合させ、アイカップを積載位置にロックする。使用者はオン/オフボタンを押すことによりデバイスを脱作動することができ、又は、デバイスは非使用の約3分(或いは他の所望の時間)後に自動的に脱作動する。キャップ又はアイカップカバーを戻し、デバイスを保管することができる。
【0105】
開示したデバイスの別の実施形態は図17に示す通りであり、本発明者等によりBoneFishデバイスと称されている。この実施形態もまた上記したPufferFish、Blowfish、SailFish及びRockFishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよく、そしてRockFishデバイスと設計及び構築法において同様である。本デバイスは1用量又は2用量のアンプルを発射するように配置され、本明細書に記載した何れの方のアンプルも使用できるように配置されている。好ましくは、本デバイスは1用量の破裂型アンプル用に設計されており、そして破裂型アンプルの独特の形状をしっかり保持するように設計されている交換可能なアンプルカートリッジをデバイスに装填する。本デバイスは電池により動力付与され、モーター駆動されるドライバーローラーをデバイス発射のための動作の主要機構として利用している。デバイスは好ましくは従来の使い捨て電池より、又は、再充電可能の電池又は他の適切な動力系により動力付与される。安全機構、トリガー、アンプルインデクシング放出及びデバイス状態報告のためのデバイスの制御システムはデバイスカバー内に位置するPCB(又はASIC)チップにより電子工学的に制御される。上面カバーの外面上のLCDパネルは使用者のための視覚ディスプレイインターフェイスを提供する。
【0106】
デバイスの発射機構はギアボックスを介してドライバーに連結されているステップ又はサーボ型のDCモーターを含む。モーター駆動されたドライバーは高速で作動し、ローラーを破裂型アンプル上で駆動させ、デバイスを発射させ、そして次にローラーを開始位置まで引く。好ましい実施形態においては、ローラーが破裂型アンプル上を通過する再に、アンプルの先端の切断開口部を圧縮して破裂させ、破裂型アンプル内の液体を切断開口部から全面に向けて搾り出す。別の実施形態においては、アンプル上部を圧縮して振動させるか押込む屈曲ロッカーでローラー機構を置き換えることができる。
【0107】
消費者用デバイスの別の実施形態は図18に示す通りであり、本発明者等によりSliderデバイスと称されている。図18の一連のデバイス断面図はデバイスの機構を説明している。図18の4つのパネルは、格納配置、発射準備完了状態、発射状態、及び、アンプル脱離状態のデバイスを示す。本実施形態はPufferFish、Blowfish、SailFish、RockFish及びBonefishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよいが、本デバイスは円筒状、楕円又は長方形のチューブ及びチューブの一端に位置するアイカップよりなる点においてこれらの他のデバイスとは設計において異なっている。本明細書に開示したデバイスは1用量の内部穿刺アンプルのために設計されているが、1用量および2用量アンプル、並びに本明細書に記載した何れかの型のアンプルを発射するために配置させることができる。
【0108】
好ましい実施形態においては、デバイスは使用済みアンプル数、残存アンプル数、及び、デバイスに装填されている物質の種類を判断するためにアンプルカートリッジを使用者が目視により調べられるように透明ウインドウを組み込んでいる。アンプルカートリッジはデバイスのカートリッジチャンバーの1つ以上を曝露させるデバイスの基底部の小型の出し入れ口を介してデバイス内に装填してよい。好ましい実施形態においては、使用者はアンプルカートリッジをチャンバーに装填するが、ここで、アンプルカートリッジはアンプルカートリッジの上面にフランジ又はタブを組み込んでおり、これにより使用者はデバイスの適切な方向にアンプルカートリッジを挿入する必要が生じる(例えば薬剤のラベル及びアンプルの番号が表示され、使用者はデバイスの透明ウインドウを介してそれを目視することができ、これによりコンプライアンス追跡及び薬剤識別がし易くなる)。アンプルカートリッジをチャンバーに挿入した後、出し入れ口を閉鎖し、ラッチすることによりアンプルカートリッジがデバイス内に確保されるようにする。この過程はデバイス内の別のチャンバー各々を装填するために反復される。好ましくは、アンプルカートリッジは1用量アンプル約10〜16個を含有する。特定の実施形態においては、アンプルは両端部に渡り整列されるか、又は、隣接する列1つ以上において水平に重積される。好ましい実施形態においては、2つ以上の独立した格納チャンバーがデバイス内に存在し、これにより、2つ以上の異なる物質をデバイス内に格納できる。他の実施形態においては、アンプルカートリッジはデバイスの端部に搭載され、そして各格納チャンバー中のアンプル残存数を示すように目盛付けされる。
【0109】
外来物質の汚染又は蓄積からデバイスの内部を保護するためデバイス本体は完全に封入される。好ましくは、アイカップはデバイス上面に着座し、プランジャーがアイカップをロックすることによりそれが格納中に滑らないようにする。アイカップは親指又はそれ以外の指で押すことにより水平方向にスライドし、アンプルを装填、発射及び脱離の位置に移動させる。デバイスはデバイス底部にアンプルの供給分を含有する円筒管の形態のアンプルカートリッジ1つ以上を挿入することにより装填される。発射準備完了位置にアンプルをインデクシングすることは、アンプルカートリッジチャンバー2つ以上のうちの1つに渡ってアイカップをスライドさせること、及び、デバイスを上方に回転させることによりアンプルが重力によりアイガイドの発射準備完了位置に供給されるようにすることを包含する。或いは、アンプルをバネ又はレバーを用いてアイガイド内に供給することによりアンプルをアンプルカートリッジから発射準備完了位置に移動させることができる。アイカップを開放すればそれはプランジャー上をスライドして戻る。或いは、使用者により解放されれば発射準備完了位置に戻るバネを用いてアイカップをはいちさせる。好ましい実施形態においてはデバイス側面上のメカニカルレバーをバネ駆動プランジャー機構に連結する。レバーをデバイス基部に向けて引くと、バネ及びプランジャーは起立して発射準備完了位置となる。機械的トリガーにより放出されれば、バネは小型プランジャーを駆動し、これにより発射準備完了位置に既に装填されているアンプルを圧縮して発射させる。アンプルの物質が放出された後、使用済みアンプルを露出させる逆方向にアイガイドをスライドさせることによりアンプルを脱離させる。使用者はデバイスを穏やかに振動させることによりアイガイドからアンプルを脱落させ、使用済みアンプルを廃棄し、アイガイドを保管準備完了位置に戻す。キャップ又はカバーを戻し、デバイスを保管する。
【0110】
好ましい実施形態においては、デバイスは交換まで400〜600投薬のサービスサイクルを有する。さらに、デバイスは好ましくはハイインパクトポリスチレン、ポリカーボネート、ABS又はナイロン6のようなFDA認可プラスチックより構築する。好ましくはデバイスは概ね直径25mm、長さ130mmである。空の重量は45g〜80gである。
【0111】
施設用デバイス
本発明の開示の特定のデバイスは好ましくは医院、病院、療養所及び介助看護生活環境のような施設環境において患者又は入院者に物質を投与する介護者による使用のために設計される。これらの状況における介護者は、市販薬又は処方箋の眼科用製品を種々の状態、例えば緑内障、ドライアイ及びアレルギーに対して投与しなければならない場合が多く、そして、抗感染症剤、抗炎症剤及び術後の複合薬剤を投与しなければならない場合が多い。これらのデバイスは本明細書においては施設用デバイスと称する。
【0112】
施設用デバイスの実施形態は図19に示す通りであり、本発明者等によりSeaHorseデバイスと称されている。本デバイスは患者集団に眼科用薬剤を広範に投与するための眼科用薬物送達系として設計されている。デバイスはアイカップ112、デバイスステータスインジケーターディスプレイ113、デバイス/アンプル/患者データディスプレイ114、メニュースクロール用ディスプレイボタン115、及びメニュー選択、グラップル開放、グラップル閉鎖及び安全のための多機能サムボタン116を包含する。デバイスは1用量又は2用量アンプルを発射するために配置することができる。以下の説明は1用量外部穿刺アンプルを発射するための配置に関するものであるが、デバイスは本明細書に記載した如何なるアンプルの使用にも適合させてよい。
【0113】
SeaHorseは好ましくはモーター駆動されるドライバーピストンをデバイス発射のための動作の主要機構として利用する電池により動力付与されるデバイスである。デバイスは従来の使い捨て電池より、又は再充電可能の電池又は他の適切な動力源により動力付与される。安全機構、トリガー、アンプル装填及び脱離、及びデバイスステータス報告のためのデバイスの制御システムはPCB又はデバイス本体内に位置するASICチップにより電子工学的に制御される。上面カバーの外面上の2つのLCDパネルは介護者のための視覚ディスプレイインターフェイスを提供する。
【0114】
外来物質の汚染又は蓄積からデバイスの内部を保護するためデバイス本体は完全に封入される。単回使用型の一体型アンプル眼科用ディスペンサー(「IAOD」)を把握し、保持し、そして脱離させるために設計された、デバイスの前面上のグラップルマウントが存在する。IAODは単回使用アイカップ、所望の物質を含有するアンプル、及び、全体の要素を共に保持し、そして、物質投与のためのデバイス上にIADOを搭載させる手段として機能する搭載カラー部よりなる。好ましくは、軟質プラスチック(又はゴム)のアイカップを剛性のカラー部に固定する。或いは、アンプルは搭載カラー及び鼻又は耳用の薬剤送達における使用のために設計されたノズルと一体化することができる。一体型アンプルノズルディスペンサー(IAND)と称するこの形状は内部作動プランジャー又はピストンを組み込んだ単回使用ノズル、物質を含有するアンプル及び全体の要素を共に保持し、そして、投与のためのデバイス上にIANDを搭載させる手段として機能する搭載カラー部よりなる。これらのディスペンサーは患者の眼、鼻又は耳に所望の物質を投与するために使用してよい。
【0115】
好ましい実施形態においては、IAODは瞼の開口、投与中正しい位置に瞼を保持すること、及び、眼に対して相対的に正しい方向にデバイスを位置づけることを容易にする。例えばアイカップの両側に切り込み部を設けることにより穏やかな圧力を適用すればアイカップが屈曲して瞼を開口させることができる。眼の本来のレンズが上方に、そして物質の流れの発射路の外に回転するように投与中に眼が焦点を合わせるべき「標的」を与えるアイカップ内の視覚的照合物が存在する。さらに、アイカップ材料は好ましくは透明である。この特徴は物質の投与中患者の瞼の位置を介護者が目視し易いように設計されている。IAODは単回投与(又は2用量アンプルの場合は2回の連続投与)のために使用され、その後は廃棄されるように設計されている。
【0116】
好ましい実施形態においては、デバイスは交換まで20000物質投与のサービスサイクルを有する。他の好ましい実施形態においては、デバイス本体は高さ薬7インチ、長さ5インチ(IAODを含む)及び深さ2インチである。空重量は1〜2ポンドである。好ましくはデバイス本体及びハウジングの部品はポリスチレン、ポリカーボネート又はABSプラスチックのようなFDA認可材料より構築する。好ましい実施形態においてはデバイスは、3〜9ボルトを必要とする内部ギアボックスを有し、トルクは40〜120oz−inであり、速度は50〜240rpmを有するDC電源のステップモーター、サーボモーター又はカスタムモーターにより動力付与される。当業者の知るとおり、このモーターの説明は例示に過ぎず、そして、他の適切なモーターもデバイス又は本明細書に開示した他のデバイスと共に使用できる。
【0117】
特定の実施形態においては、IAOD又はIANDは個包装のホイル密封容器中、又はバネ供給カートリッジ含有マルチディスペンサー中にパッケージする。パッケージシステムは、装填又は脱離の何れかのためにIAOD又はIANDに物理的に接触する必要なく介護者がデバイスへの装填を行えるように設計されているため、システムの一体型成分であり、このため、交差汚染の危険が低減される。このような設計の例を図20に示す。
【0118】
デバイスは何れかの手により作動することができる。ハンドルは屈曲しており、握り易く作動中のデバイスの取り扱い易さを増強するために布地風触感の表面を有している。デバイスのハンドル方向はバレルに相対的に90°〜120°の後退位置までの範囲である。ハンドルの別の配置はハンドルを0から180°までピボット運動又は回転させることができるものであり、これにより鼻腔内薬剤送達のために介護者がより好都合に使用できるようになる。
【0119】
好ましい実施形態においては、デバイスのステータス、作動ステータス及び患者のデータを通信するために、デバイスは視覚的ディスプレイ(LCDパネル又はLEDインジケーター)及び聴覚的シグナルの組み合わせを利用する。例えば、2つのLCDディスプレイパネルをデバイスの先端に位置させる。
【0120】
デバイスの断面図を図21に示す。デバイスはアンプルを発射させるトリガーボタン131を有する。DCモーター132はドライバーギア133に連結され、これがアンプル134を押し、眼135に向けてアイカップを介してアンプルの内容物を発射する。電池136及び任意のバーコードリーダー/RFIDスキャナー137も図中に示す。バーコードスキャナー又はRFIDスキャナーはデバイスが物質、使用者(患者又は薬剤受容者)及びその投与履歴の記録(コンプライアンス)を識別できるようにする。さらにまた、医療記録管理システム及び料金請求システムにワイヤレス又はドッキングクレードルを介して通信することができる。デバイスの好ましい実施形態においては使い捨て又は再充電可能な標準的9ボルト電池を使用するように設計される。代わりの電池構成もまた、国際標準またはそれ以上の所要電力に対応するものとする。
【0121】
デバイス先端上の電子工学的に制御されたグラップルはIAOD又はIANDの搭載カラー部をしっかりと把握し、そしてそれを投与のためにデバイス先端に固定するように設計されている。グラップルは2個、3個、4個又はそれより多いプラスチック、プラスチック積層又は金属のクリップ又はフックよりなり、これらがデバイスのバレル内に一体化されている。介護者によりデバイス背面上の制御ボタンが押されることによりグラップルが作動すると、それは開放され、僅かに伸長する。介護者がIAOD又はIANDの搭載カラー部上にデバイス先端を位置付け、そして再度親指で主要制御ボタンを押すことによりグラップルを閉鎖する。グラップルは電気的にサイクル運動し、IAOD又はIANDの搭載カラー部上にロックし、それらを正しい発射位置にまで引く。デバイス先端に位置するマイクロスイッチがIAOD又はIANDが適切にデバイスに装填されることを確認する。IAOD又はIANDが誤整列している場合は、デバイスは介護者にエラーメッセージを与え、そして操作を再度一巡させることができる。IAOD又はIANDが適切に装填されればマイクロスイッチがPCB又はASICに信号を送る。介護者は視覚及び聴覚的シグナルを受け取り、デバイスが「準備完了」ステータスであることを確認する。次にPCB又はASICが安全器具を開放し、デバイスの電子的トリガーを可能にする。
【0122】
投与操作終了後、介護者は制御ボタンを介してグラップルを始動させることにより使用済みのIAODを脱離させる。グラップルは、使用済みのアンプルを開放および脱離する。
【0123】
デバイスの発射機構はギアボックスを介してドライバーに連結されているステップ又はサーボ型のDCモーターを含む。モーター駆動されたドライバーは高速で作動し、プランジャーをアンプルに対向して駆動させ、デバイスを発射させ、そして次にプランジャーを開始位置まで引く。或いは、機構はモーター駆動されたカムにより始動されるプランジャー又はモーター駆動カム/バネ駆動されたプランジャーを含んでよい。モーター駆動されたカムにより始動されるプランジャーの場合は、モーターはプランジャーに直接連結されたカムを回転させることにより圧縮力を与える。モーター駆動カム/バネの場合は、モーターがプランジャーに連結されたバネを起立させるカムを始動させる。機械的又は電子工学的にバネが開放された時点で、それがプランジャーに対して圧縮力を与え、アンプルを発射させる。
【0124】
前述したとおり、本明細書に開示した施設用デバイスの特定の実施形態はPCB又はASICよりなる制御システムを組み込んでよく、そして、ファームウエア、ソフトウエア及び非揮発性メモリの組み合わせを利用しながら、前述の機能の1つ以上を実施する。さらに、制御システムはIAODの装填及び脱着、及びバーコードスキャナー又はRFIDスキャナーの作動を含むデバイスの発射シーケンスを制御してよい。2つのLCDパネル近傍に位置する回転マウスボタンによりデバイスステータス制御のためのメニュースクロール及びメニュー選択を行うことができる。
【0125】
上記した通り、施設用デバイスは1用量又は2用量のIAODのいずれかを発射させるために適合させてよい。2用量アンプルは、トリガーを最初に押した時点では2用量アンプルの半分を、次にトリガーを二回目に押した時点で残余を圧縮するようにモーター駆動ドライバーをプログラムするようにPCB制御システムに変更することが必要である。モーター駆動されたドライバーは初回用量を圧縮して発射し、次にアンプルに対する圧力を開放することにより不慮の漏出を防止し、そして次に二回目にトリガーが押された時点で工程が終了する。2用量を1アンプルから投与する能力により消費者に対するコストがさらに低減される。
【0126】
別の実施形態において、デバイスに搭載又はグラップルされたマイクロスイッチ接続部が存在する。デバイスにIAODが適切に装填されている場合は、デバイス先端のマイクロスイッチが安全機構を解除し、そしてデバイスを発射させる電子的トリガーを可能とする。投与前に発射シーケンスを停止することもまたソウチステータスマウス/スクロールボタンを介して行うことができる。さらにまた、デバイスが特定の時間、例えば3〜5分間使用されない場合は、デバイスのタイムアウト回路がデバイスを脱作動し、安全機構を契合させる。
【0127】
好ましい実施形態においては、介護者はデバイスをオンにするデバイス背面のサムボタンを押すことによりデバイスを作動させる。デバイスにバーコードスキャナーが配置されている場合は、介護者はデバイスのハンドルに位置するスキャナーを用いて患者のバーコードをスキャンする。バーコードスキャナーはサムボタンを押して保持することにより作動される。次にバーコードスキャナーを再度用いて投与すべきアンプルのバーコードをスキャンする。このデータをデバイスのメモリに記録するか、又は、ワイヤレスで医療記録管理システムに転送する。前者の場合は、患者のコンプライアンスのデータは、後にデバイスがそのクレードルにドッキングされて同調させた時点でダウンロードされる。
【0128】
デバイスを発射させるためには、介護者は眼窩の内部辺縁に対向させてアイカップを置き、軽く押し付けることによりアイカップを拡張させ、瞼を広げ、これを広がった位置で保持する。使用者はアイカップの上に位置する視覚標的(又は開口部)に眼の焦点を合わせて眼の本来のレンズを物質発射線外に回転させる。介護者はデバイスハンドルに位置するトリガーボタンを押し、物質を投与する。デバイスに2用量アンプルが装填されている場合は、この操作の二回目をもう一方の眼に対して反復する。投与終了後にサムボタンを押すことによりIAODが廃棄される。
【0129】
鼻腔内デバイス
鼻腔内デバイスの実施形態は図22に示す通りであり、これは本発明者等によりSwordfishデバイスと称されており、個人用又は施設用の何れかのために設計されている。このデバイスは単回使用の使い捨ての鼻腔内薬剤送達系であり、好ましくは処方された薬剤又はワクチンの投与が頻繁ではない場合に使用される。デバイスの例示される適用例は痛止め(例えば偏頭痛用)又はインフルエンザワクチンの鼻腔内送達を包含する。デバイスは以下の主要な要素、即ち、投薬器(プランジャーとアンプルが収納されているチューブ型のハウジング)、プランジャー及び投与すべき物質を含有するアンプルよりなる。デバイスは投薬器内にプランジャーを押込むことにより発射される。このデバイスは本明細書に開示した如何なる型のアンプル並びに1用量又は2用量アンプルの投与のために容易に適合させることができる。好ましくは、デバイスはポリスチレン又はポリプロピレンのようなFDA認可材料により構築する。
【0130】
好ましい実施形態においては、鼻腔内用デバイスのプランジャー及び内壁はパッケージング及び輸送のために固定された位置にプランジャーをロックできるようにした幾何学的な形状を有するリッジガイドを組み込んでいる。このデバイスを使用するためには、使用者は1用量発射位置内にプランジャーの立ち上がったリッジが突き当たってロックされるまで閉鎖されロックされた位置からプランジャーを引出して回転させる。例えば、プランジャーを180°回転させてデバイスをロック解除し、アンプル、例えば1用量アンプルを発射で切るようにする。使用者は例えば投薬器上のマークにプランジャー上のマークを整列させることによりプランジャーが適切に位置づけられていることを目視により確認してよい。デバイスが発射準備完了となった後、使用者は適切な鼻腔内に投薬器の先端を挿入し、そして、完全停止位置に来るまでプランジャーを押し下げることによりデバイスを発射させる。
【0131】
デバイスはまた、例えば処方された治療用途が鼻の両側への投与を必要とする場合に、2用量アンプルを発射するように配置させることができる。2用量アンプルを投与するためには、1用量アンプルと同様の操作に従い、そして第1用量が発射された後、使用者はデバイスを離してプランジャーを回転させて第2の2用量の発射位置とする。例えば、これはプランジャーを90°回転させて2用量アンプルの最初の半分を発射し、そして次にプランジャーをさらに90°回転させて2用量アンプルの第2の半分を発射することにより実施できる。使用者は投薬器の先端を別の鼻腔に挿入し、完全停止位置となるまでプランジャーを押し下げることによりデバイスを発射する。
【0132】
特定の実施形態においては、鼻腔内用デバイスにより投与されるスプレー霧の幾何学的特徴及び液滴径はアンプル穿刺体の設計により制御される。好ましい実施形態は約0.28mm〜約0.75mmの内径の内部中空チャンネルを有する外部穿刺体である。内部チャンネルの吐出点又はノズルの内径は中空チャンネルの内径と同じであることができるか、又はデバイスから吐出する際のスプレー霧の形状又は液滴径を変更するためにそれをより小さくすることにより変動させることができる。別の実施形態においては、デバイスは、放射された薬剤のスプレー霧を鼻粘膜に直接当たるように向けるために直線路ではなくむしろ角度をつけてあるチャンネルを形成するような内部チャンネル及びノズルを有する外部穿刺体の使用を組み込む。スプレー霧を鼻粘膜に再び向けることは、は投薬器とプランジャー機構の直線軸に相対的に20〜90°となるように外部穿刺体の内部チャンネルに角度をつけることにより達成される。投薬チューブの先端もまた相当する角度を有する開口部を組み込むように改変してよく、これにより鼻腔内へのデバイスの挿入の角度から20〜80°で投薬器からスプレー霧が吐出できるようになる。
【0133】
鼻腔内デバイスの別の実施形態は前記したSeaHorseデバイスに基づいており、デバイスはIANDを用いて鼻又は耳内に特定の物質を投与するように配置されている。IANDはIANDと同様の態様でデバイスに接続されている単回使用のアンプルアプリケーターである(即ち剛性の搭載カラー部を用いる)。IANDはアプリケーターチューブ、アンプル及び移動可能なプランジャーを包含する。IANDは例えば内部穿刺アンプル又は外部穿刺アンプル又は本明細書に記載した何れかの他のアンプルを用いて配置させることができる。プランジャー141及び内部穿刺アンプル142の断面図を図23に示す。
【0134】
IANDはIAODに関して前述したものと同様の態様においてデバイスの端部上に搭載される。鼻腔内送達のためのアンプルの別の設計は鼻腔内へのIANDの先端の進入方向を60°〜90°の範囲の角度で濃縮されたパターンにおいてスプレー霧を供給できるようにする。この能力はスプレー霧パターンを鼻腔内の粘膜に向けるように設計される。
【0135】
本明細書に開示し、特許請求した全ての組成物及び方法は本発明の開示を参考にすれば予定外の実験を行うことなく実施完遂することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態に関して記載したが、本発明の概念、精神及び範囲を外れることなく、本明細書に記載した組成物及び/又は方法及び方法の工程又は工程順に対し、変更を適用してよいことは当業者の知るとおりである。より詳細には、化学的又は生理学的に関連する特定の薬剤を本明細書に記載した薬剤の代替としながら同じ結果が達成されることは明らかである。このような当業者のよく知る同様の代替物及び変更は添付する請求項に定義される本発明の精神、範囲及び概念に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0136】
以下の図面は本明細書の部分を構成し、そして、本発明の特定の特徴をさらに説明するために呈示する。本発明は本明細書に記載する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することによりさらに良好に理解される。
【図1】図1は内部穿刺アンプルの好ましい実施形態の断面図である。
【図2】図2は切り取り型チップアンプルの好ましい実施形態の図である。
【図3】図3は切り取り型チップアンプルの別の好ましい実施形態の図である。
【図4】図4は外部穿刺アンプルの好ましい実施形態の図である。
【図5】図5は破裂型アンプルの好ましい実施形態の図である。
【図6】図6は自己穿刺アンプルの好ましい実施形態の図である。
【図7】図7は薬剤を投与するために手動パドル様デバイスを使用する薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。デバイスは格納配置において示す。
【図8】図8は発射準備完了状態の配置にある図7の実施形態の図である。
【図9】図9は図7の実施形態の分解図である。
【図10】図10はデバイスの底部のレバーにより起立させ薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図であり、ここでデバイスはカートリッジ交換、発射準備完了、発射及び格納の状態において示されている。
【図11】図11は発射機構を起立させるために外部ダイアルデバイスを使用する好ましい実施形態の図である。
【図12】図12はデバイスを起立させるために2つのウイング様の部材を操作する薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【図13】図13は閉鎖された格納位置にある図12の実施形態の図である。
【図14】図14は起立機構及び他の機能が電池を動力源とするデバイスの好ましい実施形態の図である。デバイスは開放及び格納された配置において示す。
【図15】図15は図14の実施形態の分解図である。
【図16】図16は好ましい薬物送達デバイスの電子制御の実施形態のフローチャートである。
【図17】図17は破裂型アンプルを圧縮するためにローラーを使用する薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図である。
【図18】図18は円筒形である薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図であり、ここでデバイスは格納、発射準備完了、発射及びアンプル脱離の状態において示されている。
【図19】図19は好ましくは介護者又は施設使用者による使用のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【図20】図20は一体型アンプルアイカップのパッケージの図である。
【図21】図21は好ましくは介護者又は施設使用者による使用のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図である。
【図22】図22は鼻又は耳への投与のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【図23】図23は鼻又は耳への投与のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【技術分野】
【0001】
(連邦の支援による研究または開発に関する宣言)
該当せず。
【0002】
(「マイクロフィッシュ添付資料」に関する参照)
該当せず。
【0003】
発明の背景
(1.発明の分野)
本発明の開示は使用者の眼、鼻又は耳に活性成分を含有する液体、ゲル、粉末又は他の物質の単一又は複数の単位用量を投与するデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
(2.関連技術の説明)
医薬品の開発は治療の選択肢の継続的向上のためには重要であるが、医薬品の送達方法もまた患者集団が容易に使用できる薬剤を作成する場合において重大な役割を果たすことができる。治療薬の投与が容易になるほど、潜在的患者が薬剤により大きな関心を寄せ、そして薬剤使用のより高いコンプライアンスが達成される。例えばニトログリセリンの経皮パッチ送達が、ニトログリセリン市場を3倍以上に拡大したのは、ニトログリセリンの経皮パッチ送達が、この薬物を簡便に利用できるという利点を患者にもたらしたためである。患者の医薬品の有用性を増大させた別の薬剤送達システムの一例はトロート剤、局所用クリーム及びゲル、経口用癌治療薬、除放性医薬品、リポソーム及び医療用デバイスの適用等である。
【0005】
新しい薬物送達システムのための他の領域の進歩にも関わらず、眼科用業界は使用者への薬剤の投与の向上において遅れを取っている。点眼液は眼病の最前線として100年以上にわたり使用されており、そしてなお、眼への薬物の投与のための最も広範に使用されている方法である。実際、全眼科用薬品の95%超が伝統的な点眼ボトルの送達システムを介して送達される。しかしながら、点眼ボトルから投与される液滴は比較的大きいため、大きい液滴の到達により誘起される本能的な瞬きが眼上の標的領域に実際に接触する流体の量又は割合を大きく制限する。例えば50μLの液滴の10%未満が患者の眼に有効な処置として送達され得、残余は排液により失われ得る。排液の問題は、オーバーフローが起こる前にヒトの眼が保持できるのが10μL〜12μLという自然の限界があることとさらに組み合わされる。このようなかなりの処置液の損失は無駄であり、処置の有効性に関する不確実性をもたらす。特定の眼科用医薬品の長期使用者の場合にはこのオーバーフローの問題は瞼にアレルギー反応を誘発する場合があり、或いは場合によっては、眼の周囲の皮膚の汚染を起こす。即ち、この送達方法は使用者に単純な方法を提供するものである一方、投与において誤差から生じる無駄及び失費;薬剤の不正確な投与に起因する過剰又は過少投薬;点眼ボトルを一度開封し空気に曝露した後の薬剤の薬効を保護するための薬剤中の保存料の必要性;薬剤の貯蔵期間を維持するために必要とされる保存料への曝露による眼の刺激;薬剤の滅菌性の消失又は交差汚染;一部使用済みの薬剤ボトルの廃棄により生じる廃棄物;投与中の眼への偶発的傷害;薬剤の指定された使用へのコンプライアンスを確認する容易な手段が無いこと;及び、有効期限を過ぎた薬剤の不注意による使用を含む多くの問題点を有している。
【0006】
眼科用の薬物送達システムは開発が困難であったが、その主な理由は眼が本来の保護障壁を有しており、眼に薬剤を送達するデバイス、インプラント及び化合物に対して特に感受性であるためである。全てではないが多くの眼科用薬物送達システムの企業による研究は眼背部の疾患、例えば加齢関連黄斑変性症(AMD)に着目していた。過去10年の間、「眼の前面」の障害及び疾患を治療しようとして開発された新規技術の数は限られている。これらのデバイスは単一の単位用量システムに概ね限定されていた。これらのシステムの商業的成功は、眼への薬剤投与を単純化し、費用効率及び簡便性という重要な課題を満足していなかったため、限定されたものとなっている。点眼液の代替としての眼前面への眼科用薬剤の投与のために第1世代のデバイスを用いた単一単位用量投与の数年前Beta Research Corporation,Syossett,NYにより実施された研究により明らかにされたように、眼前面薬剤投与のための効果的な複数単位用量の送達システムの市場ニーズが存在している。
【0007】
薬物送達システムの継続的開発のための別の重要な懸案事項は、高齢者人口およびこの分類に属する人々が、時が経つにつれ必要とする介護の増大である。例えば、合衆国の看護および介護支援センター(nursing and assisted care center)に約1,150万人が存在しており、59%が補助により投与される投薬を必要とし、貴重な労力が費やされ、そしてこれらの人々の自立を阻んでいる。従って、容易で正確な方法において医薬品を自己投与するために、特定の患者集団、例えば高齢者又は障害者のための包括的な解決法が必要とされている。患者及び居住者への眼科用薬剤の投与に関して施設の医療環境に直面する課題の一部には、患者への点眼液の投与を行う介護者により費やされる時間;誤投与により生じる偶発的な眼の傷害の結果としての潜在的不利性;浪費によるコスト増;非協力的な高齢者及び小児の患者への効果的な眼科用薬剤投与;大型の施設用点眼ボトルの使用により生じる交差汚染;及び薬剤コスト上昇が挙げられる。従って、点眼ボトルの送達システムを用いることの難点に着目した効果的な解決法が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な要旨
本発明は使用者に対し、好ましくは使用者の眼、鼻又は耳に対し、1つまたは複数の物質、例えば液体、粉末又はゲルの単回又は複数回の用量を投与するデバイスに関する。本明細書においては、「物質」という用語は活性成分含有物質を包含するがこれに限定されるものではなく、ここで、活性成分は活性な医薬品成分(API)、例えば水性、ゲル、粉末、溶剤または懸濁液の形態の薬剤、例えば処方薬剤、ジェネリック薬剤、又は市販薬、栄養補給食品又は同種療法剤であってよい。本明細書においては、「活性成分」とは疾患の診断、治癒、緩和、処置又は予防において薬理学的活性又は他の直接の作用を与えるか、又は、ヒト又は他の動物の身体の構造又は何れかの機能に影響することを意図した何れかの成分である。物質の送達を達成するためには、微粒子化、エアロゾル化又は他の方法において粒子化又は液滴の形態にされ得、眼、鼻又は耳に送達される。
【0009】
本明細書に開示するデバイスの厳密で再現性のある投薬の特徴により例えば使用者の眼への物質の供給のための公知の方法に伴う不都合な点の多くが克服される。特定の実施形態においては、デバイスは所望の物質、例えば眼科用薬剤の投与をより単純で、迅速、簡便、安全で低コストとする。さらにまた特定の実施形態においては、本明細書に開示されたデバイスは1つまたは複数の以下の利点、即ち、コスト削減(過剰投与による廃棄分の低減);厳密な用量の投与により薬効の向上;使用の簡便さ及び容易さ;患者のコンプライアンスの向上;安全性の向上;交差汚染回避;保存料の必要性の低下又は排除、これによる保存料が原因の使用者の感じる刺激や痛みの低減;複数回投薬による性能の向上;及び高齢者、障害者及び小児の患者の必要性に応える向上した能力を与える。特定の実施形態においては、このデバイスはまた特定の薬剤の投与により生じる潜在的に不快な副作用及び点眼送達システムに伴う難点も低減する。
【0010】
例えば眼科用薬剤産業においては、市販されている液体の点眼ユニットの一部は1用量バイアルとして市販されている。これらの1用量バイアルは点眼薬ボトルと同様の方法において操作され眼に投与されるため、全く同様の難点を伴っている。本明細書に開示したデバイスの重要な利点は物質を供給させるためにデバイス中で用いられるアンプルが使用者により反復して使用できない点である。これらのアンプルの単回使用という性質により、他の市販されている点眼ユニットに共通した再使用の問題点及び単位用量の不適切な再使用に伴う危険が排除される。本明細書に開示したデバイスの別の利点はそれが使用時まで使用者に投与される物質の滅菌性を維持するアンプルを利用している点である。滅菌物質は実際の使用まで空気に曝露されないため、滅菌性の消失が回避される。さらにまた、本明細書に開示したアンプルの分散機構は欠陥又は損傷を有する如何なるアンプルからの物質の分散も防止する。
【0011】
本明細書に開示したデバイスの別の重要な利点はそれらが眼、鼻又は耳の厳密な位置に物質の厳密な量を供給する点であり、これにより過剰又は過少な薬剤投与の危険性が低減される。本明細書に開示するより厳密な送達システムはまた、伝統的な点眼ボトル又は眼、鼻又は耳への薬剤の送達のための他のデバイスで通常経験される過剰又は誤りやすい送達に起因する無駄を低減する。
【0012】
自己投与のために設計されたデバイスの好ましい実施形態においては、デバイスはクラムシェル状、円盤状または円筒状の配置を有している。施設投与のために設計されているデバイスの好ましい実施形態においては、デバイスはリボルバー状の配置を有している。デバイスは好ましくは、独立しているかウェブにより相互連結されているアンプルの組立物を含有するように設計されたアンプルカートリッジホルダー(「ACH」)を受容するための容器を含む。好ましくは、ACHは一方向にのみ自身をデバイスにフィットさせることができる幾何学的なタブ又はキー又はフランジを有しており、これは例えばデバイス内のキーと契合するインデクシングオリエンテーションキー(indexing orientation key)を用いることにより行われる。別の実施形態においては、ACHはデバイスの一体型要素である。さらに別の実施形態においては、デバイスはアンプルの穿刺可能な区分に隣接した物質放出開口部を含む。さらに別の実施形態においては、デバイスはアンプルのリニアベルトフィード又はチューブの配置を含むシリンダーを含み、ここでアンプルは相互に連結されていてもいなくてもよい。
【0013】
好ましい実施形態においては、ACHは円盤状であり、別の好ましい実施形態においてACHはチューブ型又は長方形の箱である。特定の好ましい実施形態においては、穿刺体はアンプルと一体の部品であり、他の実施形態においてはアンプルの区画又はACHは穿刺体を含む。好ましくは、ピストン、プランジャー又はローラーによりアンプルを圧縮することによりアンプルから物質が放出又は分散され、それと同時に内部又は外部のいずれかよりアンプルが穿刺される。別の実施形態においては、アンプルはさらに空気又はガスのヘッドスペースを含み、ここで、アンプルの圧縮が穿刺体を作動するために必要な力を与え、そしてその結果生じる圧縮空気又はガスの膨張がアンプルからの物質の分散を支援する。
【0014】
一部の実施形態においては、開放ボタンはデバイスの一体型部品であり、そして開放ボタンを押せばバネ搭載トリガーが作動するようにバネ搭載トリガーに作動可能に連結されている。好ましくは、デバイスの発射機構はヒンジ、バネ、カム又はモーター駆動を動力とするピストン、プランジャー又はローラーよりなり、そして機械的又は電気的な動力源に作動可能に連結されている。別の実施形態においては、カムは例えば電池によりバネ駆動又はモーター駆動される。
【0015】
デバイスはまたさらにプログラム可能なマイクロプロセッサ、好ましくは処方コンプライアンス通知を提供するようにプログラムすることができ、そして、デバイスの作動状態及びデバイス内に含有される物質を追跡することができる視覚表示インターフェイス、好ましくは液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)及び聴音可能なシグナルに連結されたプリント回線基板(PCB)又はアプリケーション特異的集積回路(ASIC)を含む。他の実施形態においては、デバイスはデバイス内のアンプルカートリッジを検査するための拡大された検査ウインドウを含み、これにより使用者はデバイス内に装填されている物質の種類、残存アンプル数、及び、アンプルがデバイスにより投与されているかどうかを目視により判断することができる。
【0016】
好ましくは、本明細書に開示したデバイスは使用者、例えば使用者の眼、鼻又は耳に治療有効物質1つ以上を投与するために使用する。好ましい実施形態においては、デバイスは使用者の眼に眼科用薬剤1つ以上を投与するために使用する。好ましい実施形態においては眼科用薬剤投与のために使用するデバイスはさらに、好ましくは使用者の眼窩を包囲する使用者の顔面領域の形状に合致させられたアイカップを含む。好ましい実施形態においてデバイスは再使用可能なアイカップのためのアイカップ格納空間を含む。他の好ましい実施形態においては、アイカップは一体型アンプル眼科用ディスペンサー(IAOD)であり、そしてデバイスは場合によりバネ搭載IAOD噴出機構を含む。好ましい実施形態においては、介護者は投与過程の前後何れにおいてもIAODに身体的に接触する必要は無く、交差汚染の危険性を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は使用者に好ましくは活性成分(例えば薬剤)を含有する1つまたは複数の物質の単回又は複数回の用量を供給することができるデバイスに関する。デバイスは使用者の眼、鼻又は耳に物質を供給するように変更できる。本明細書においては、「使用者」という用語は「対象」又は「患者」という用語と互換であり、そして哺乳類、好ましくはヒトを指すが、動物、例えばネコ、イヌ、マウス、ウシ、ウマ、ブタ等も指すことができる。好ましくは、デバイスはデバイスが容易に作動され、そして物質を投与するために必要とされる時間を低減するような人間工学的設計を組み込んでいる。好ましい実施形態においては、デバイスは使用者に投与すべき物質を含有する使い捨てのアンプル並びにアイカップを利用した持ち運び可能なハンドヘルドのデバイスである。デバイスは自己投与用、又は、例えば病院、医院、療養所、介護施設、医務室及び小児科センターのような施設環境における医療及び保険の専任介護者のような介護者による使用のために設計され得る。特定の好ましい実施形態においては、デバイスは眼窩用薬剤送達の用途のため、例えばドライアイ、アレルギー、緑内障、白内障又は他の慢性の眼の問題点又は疾患の治療、並びに、抗生物質又は殺菌性化合物のような抗感染症剤、抗炎症剤又は生物製剤の投与のために使用される。
【0018】
眼に液体を供給するための点眼ボトルの使用の1つの難点は過剰な量の液体が眼に投与されたり、供給された液滴が眼を反れたりして液体の損失が生じること、並びに、医薬品の過剰又は過少投与が起こることが頻繁である点である。例えば従来の点眼器の場合、点眼器先端より滴下する最小の液滴は液体、点眼器先端および先端内部に残存する液体の間の表面張力のために約35μLの液体となる。眼が受容できる液体の最大容量が10μLであることを考慮すれば、投与された液体のかなりの部分が廃棄される。本明細書に開示されるデバイスは、例えば使用者の眼により少容量の液体を投与できるようにするため、これらの難点を克服する。好ましくは、デバイスより供給される液体は微粒子化され、そして例えば使用者の眼に対し、液滴の緊密な流れとして排出される。或いは、液体は使用者の鼻腔内に微細ミストとして供給することができる。本明細書に開示されるデバイスの別の利点はアイカップが使用者の瞬きの比率を低下させる点であり、このことは患者が投与の間に瞬きする可能性が低下することを意味する。さらにまた、本明細書に開示したデバイスは好ましくは液体を微粒子化するため、使用者は投与の間に瞬きする確率が低下し、これにより使用者への液体の投与が促進される。
【0019】
本明細書に開示したデバイスにより克服される従来の点眼器の別の難点は点眼器により供給される物質の量が点眼器のボトルに使用者が適用する力の量に依存している点であり、これが眼への物質の投与に制御不能な変動要因をもたらす。これとは対照的に本明細書に開示したデバイスは使用者の協調作業とは独立して、各投与により厳密な目的位置に対して物質の明確な容量を供給する。投与が容易であることは、関節炎や他の障害状態のような物理的な欠陥のために点眼薬を適用することが困難なことが典型的である高齢者や障害者の使用者にとっては特に重要である。即ち本明細書に開示したデバイスの特定の実施形態は物質の必要投薬量を正確かつ容易に使用者が供給できるようにする。別の利点はこれらのデバイスでは点眼器の場合のように物質の供給のための重力を必要としないため、デバイスは広範な物理的方向から、例えば直立、水平、垂直又は下方の位置から作動することができる。これにより使用者が投与中に頭部を傾ける必要が最小限となり、バランスを失うことによる危険又は頚部傷害を低減する。
【0020】
好ましい実施形態においては眼にデバイスから供給される液滴又は粒子の容量は約1μL〜約25μL、より好ましくは約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23約24μLである。デバイスから放出される液滴又は粒子の容量及び大きさは分散された物質の治療上の利点が最大限となりように調節することができる。供給される物質容量は物質を含有する区画、アンプル、穿刺体、及び、デバイス構造の他の変動要因、並びに分散される物質の特徴により異なり、これらは当業者のよく知るとおりである。これらの変動要因は液体の所望の容量または液滴径、又は、物質の粒径の使用者への分散を達成するために適切な大きさを有するものとすることができる。好ましくは、本明細書に開示したデバイスから分散される液滴又は粒子はそれらが吸入可能な噴霧を形成しないために十分な大きさであり、例えば直径約20μmより大きい液滴である。当業者の知る通り、分散後の残存液体又は他の物質は所望の投薬容量を分散させるための適切なパラメーターを設定する場合に考慮される。
【0021】
本明細書に記載したデバイス及びアンプルの設計の利点は、投与される物質の滅菌性が使用時まで維持される点である。使用時まで滅菌性が維持されることは汚染の危険を伴うことなく投与される物質中の保存料又は殺菌性化合物の使用の必要性を最小限にするか排除するものである。さらにまたアンプルの損傷又はその他の欠陥が生じた場合、もはや滅菌性ではなくなった物質をデバイスは投与しない。例えば、アンプルが穿刺可能な区分の領域内に欠陥を有する場合、または漏出を起こした場合、物質を効果的に放出するために十分な圧力がアンプル内に生じないため、デバイスは物質を適切に供給しなくなる。
【0022】
好ましい実施形態においては、本明細書に開示したデバイスから供給される物質は活性な薬学的成分(API)、例えば以下の治療化合物、即ち、抗緑内障剤/IOP(眼内圧)低下化合物(例えばβ−アドレナリン受容体拮抗剤、例えばカルテオロール、セタモロール、ベータキソロール、レボブノロール、メチプラノロール、チモロール;縮瞳剤、例えばピロカルピン、カルバコール、フィソスチグミン;交感神経作用剤、例えばアドレナリン、ジピベフリン;炭酸脱水素酵素阻害剤、例えばアセタゾラミド、ドルゾラミド;およびプロスタグランジン、例えばPGF−2アルファ);抗微生物化合物、例えば抗細菌剤及び抗カビ剤、例えばクロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、シプロフロキサシン、フラマイセチン、フシジン酸、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ポリミキシン、プロパミジン、テトラサイクリン、トブラマイシン、キノリン;抗ウィルス化合物、例えばアシクロビル、シドフォビル、イドクスウリジン、インターフェロン;アルドース還元酵素阻害剤、例えばトルレスタット;抗炎症及び/又は抗アレルギー化合物、例えばステロイド化合物、例えばベタメタゾン、クロベタゾン、デキサメタゾン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン、プレドニソロン及び非ステロイド化合物、例えばアンタゾリン、ブロムフェナク、ジクロフェナク、インドメタシン、ロドキサミド、サプロフェン、クロモグリク酸ナトリウム;人口涙/ドライアイ治療薬、コンフォートドロップ、灌流液、例えば生理食塩水、水又は油状物;以上全て場合により重合体化合物、例えばアセチルシステイン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメルロース、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸誘導体を含有しているもの;診断薬、例えばフルオレセイン、ローズベンガル;局所麻酔剤、例えばアメトカイン、リグノカイン、オキシブプロカイン、プロキシメタカイン;角膜表面の欠陥の治癒を支援する化合物、例えばシクロスポリン、ジクロフェナク、ウロガストロンおよび成長因子、例えば表皮成長因子;散瞳剤及び毛様体筋麻痺剤、例えばアトロピン、シクロペントレート、ホマトリピン、ハイソシン、トロピカミド;翼状片の治療のための化合物、例えばマイトマイシンC、コラゲナーゼ阻害剤(例えばバチマスタット);黄斑変性及び/又は糖尿病性網膜症の治療及び/又は白内障予防ための化合物;及び、眼、鼻腔内又は耳への投与の後の血流中への吸収語の全身作用のための化合物、例えば化学薬品、蛋白またはペプチド、例えば偏頭痛又は慢性疼痛の処置のための鎮痛薬、ワクチン、インスリン、ヒスタミン、コルチコステロイド、うっ血除去剤及びホルモンである。
【0023】
別の好ましい実施形態においては物質は特に鼻腔内送達に適しており、例えばフルミスト(Mediimune)、イミトレックス(Glaxo)、ミグラナル(Xcel)、ミアカルシン(Novartis)、ナスコバルゲル(Nastech/Questcor)、ニコトロール(Pfizer)、スタドールNS(Bristol−Myers−Squibb)、スチメート(Aventis Behringer)、シナレル(Pfizer)、ゾミッグ(AstraZeneca)、アポモルヒネ(Britannia Pharm)、アポモルヒネ(Nastech)、エミタゾール(Questor)、フェンタニル(West Pharm)、フルヌシュア(ID Biomedical)、フォルチカル(Unigene)、ヒプノスタット(Questor)、インスリン(Bentley Lab)、インターフェロン(Nastech)、ケタミン(IDDS)、ロイプロリド(West)、ミグラスタット(Questor)、モルヒネ(West)、モルヒネグルコネート(Nastech)、ナスコバルスプレー(Questcor)、ソマトロピン(Nastech)、ペプチドYY3−36(Nastech)、PH948(Pheriin)、PH80(Organon/Pherin)、トリプタン(Nastech)及びワクチン(West)が例示される。さらに別の好ましい実施形態においては、物質はワクチン、例えばジフテリア、破傷風、無細胞百日咳、インフルエンザ、単純疱疹、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、麻疹、おたふくかぜ、風疹、肺炎球菌コンジュゲート、ポリオ、炭素菌、狂犬病、チフス、黄熱病に対するワクチン、及びアテヌバックス(Merck)である。
【0024】
本明細書に開示したデバイスにより投与される活性成分含有物質は活性成分の遊離の酸又は遊離の塩基又は活性成分の塩であってよい。さらに本明細書に開示したデバイスは活性成分含有物質1つ以上を患者に投与するために使用してよい。活性成分含有物質は好ましくは水溶液、ゲル、粉末、溶液又は懸濁液として製剤し、そしてこれらの製剤は場合により他の製剤用賦形剤、例えば増粘剤、例えばゲル、粘性接着剤及び重合体、安定化剤、抗酸化剤、保存料及び/又はpH/浸透圧調節剤を含有してよい。
【0025】
アンプル
本明細書に開示したデバイスはまた、アンプルを利用することにより使用者に1つまたは複数の物質の単回又は複数回の用量を供給することができる。本明細書においては、「アンプル」という用語は「ボトル」、「バイアル」、「単位用量バイアル」又は「容器」という用語と互換である。好ましい実施形態においては、アンプルは、アンプルの区画1つ以上内に、1つの物質又は2種の異なる物質の1単位の用量又は2単位の用量を含有する。或いは、アンプルはアンプル中の区画1つ以上から物質3種以上を投与してもよい。製造中において、アンプルは単一化、即ち個々に分断し、個々に例えばアンプルカートリッジ又はデバイス内に搭載させることができる。或いはアンプルは例えば連結ウェブを介して相互に連結できる。アンプルはアンプルのストリップとして製造することができ、これを後に操作して後投与のための個々の形態、例えば円形、環状又は管とすることができる。他の好ましい実施形態においては、アンプル自体、又はアンプルカートリッジホルダーがアンプルの投与において使用者を支援するためのナンバリング、カラーコード、アイコンシステムコード又は点字に付着しており、そして、バーコード及び無線周波数識別デバイス(RFID)も包含してよい。
【0026】
一般的に、本明細書に開示したアンプルは使用者の眼、鼻又は耳への広範な物質を保持して供給するために使用される1単位用量の滅菌容器である。好ましい眼科用の用途は緑内障、アレルギー又はドライアイを治療するための化学薬剤を投与するためのアンプルの使用を包含し、又は、抗感染症剤又は抗炎症剤を投与するために使用してよい。好ましい鼻腔内薬剤の例は、偏頭痛、疼痛の処置又はアレルギーに対する化学薬剤を包含し、又は鼻腔内アンプルは抗感染症剤、ワクチン又はインスリンを投与するために設計される。好ましい耳用の薬剤は例えば抗感染症剤及び抗炎症剤である。当業者の知る他の薬剤、並びにまだ発見されていない薬剤も本明細書に開示したアンプル及びデバイスを利用して使用者に投与してよいものとする。
【0027】
好ましくは、本明細書に開示したデバイスにおいて利用されるアンプルは小型であり、直径約0.5cm〜約2cm、より好ましくは直径約1cm〜約1.5cmである。好ましい実施形態として、1単位用量の眼科用アンプルの大きさ(内容量)は25μL〜100μLである。好ましくは2単位用量の眼科用アンプルの大きさ(内容量)は50μL〜120μLである。好ましくは1単位用量の鼻腔内アンプルの大きさ(内容量)は50μL〜250μLである。好ましくは2単位用量の鼻腔内アンプルの大きさ(内容量)は100μL〜500μLである。好ましくは耳用アンプルは鼻腔内アンプルと同様の範囲の内容量を有する。このパラグラフに記載した容量は対象の適切な構造に対して有効量を送達するために必要な容量に基づいており、そしてヒト対象の治療に主に基づいている。対象への特定の物質の投与の旨適投与量は当該分野で知られた方法により決定され、そして、対象の年齢、体重、身長、性別、全身医療/診療状態、病歴、疾患の進行、製剤、併用薬、対象の観察される応答等のような要因により変動する。畜産又は家禽動物への送達のためのアンプルもまた適宜、大きさ及び容量が変動してよい。
【0028】
「25μL〜100μL」などのように範囲に言及する場合、容量の範囲はこの例では25及び100μLである両終点も包含するものとし、そして、整数の単位又は整数の分数の何れかにおいて、範囲内の何れの容量も包含するものとする。例えば、「25μL〜100μL」の範囲には、26、27、28,29、30等、単位漸増して99μLまで、並びに中間整数の何れかの分数、例えば25.1、25.2等も包含してよい。両終点は絶対ではなく、終点の10%以内に属する容量は範囲内と見なしてよく、例えば22〜25μL又は100〜110μLは25μL〜100μLの範囲に合理的に包含されるものとする。この範囲は例としてのみ使用しており、本明細書に記載したアンプルの全ての容量並びに本明細書に開示した種々のパラメーターに関する全ての範囲について同様の説明が当てはまる。
【0029】
好ましい実施形態においては、アンプルは物質、例えば活性成分含有物質、又は、物質と、アンプル内に充填された物質の種類、物質の濃縮物、活性成分の生体利用性に必要なもの、及び、利用するアンプルの設計に応じて決まる滅菌空気又は他の不活性ガス又は真空の組み合わせを含有する。好ましい実施形態においては、アンプルの噴射用量効率(「EDE」)は利用されるアンプル設計及び充填容量比に応じて約50%〜約90%の範囲である。EDEは投与時に目的箇所に実際に送達される物質の容量とアンプル内に含有される物質の容量の比である。
【0030】
アンプルの壁面の穿刺可能な区分と流体連通するか、これと隣接している、投与すべき物質を含有する内部区画又は薬剤区画をアンプルが包含することは本明細書の開示の方法である。この壁面は内部壁面又は外部壁面であってよい。種々のアンプル設計及び穿刺の実施形態が本明細書に開示されており、それにおいては、アンプルの外部壁面の区分が適切なデバイスにより穿刺又は開口されることによりアンプル中の物質を放出する。特定の実施形態においては、アンプルの区画は内部穿刺体を含み、別の実施形態においてはアンプルは外部穿刺体により開口され、さらに別の実施形態においてはアンプルは供給デバイスの一部であるブレードにより開口され、そしてさらに別の実施形態においてはアンプルは外部壁面の所定の位置においてアンプルを破裂させるように設計されたローラーにより圧縮される。アンプル及びデバイスの全実施形態は好ましくはアンプル区画を自動的に穿刺するか開口させてそこに含有される物質をデバイス発射時に対象に供給するための機構を含む(参照により本明細書に組み込まれる米国特許5,411,175参照)。特定の実施形態においては、穿刺体は物質の分散を可能にするように区画の穿刺可能な区分に向かって移動してこれを穿刺するか、又は、穿刺可能な区分が穿刺体に向かって移動してこれにより穿刺される。或いは、ブレード穿刺体がアンプルの中軸部に対する垂直面において、又はその近傍で移動することにより物質嚢放出を促進する。或いは、ローラー穿刺体がアンプルの長手方向に沿って移動することにより上部、下部又は逆方向からアンプルを圧縮し、これにより特定の所定の方法においてアンプルが破裂して開口してもよい。
【0031】
穿刺体は好ましくは従来の材料、例えばプラスチック、プラスチック積層体、プラスチック金属積層体、又は金属から作成し、そして、好ましくは、例えばアンプルを圧縮するデバイス発射機構により適切な圧力を適用することによって穿刺体がアンプルの穿刺可能な区分を突破し、これにより、制御された方法でアンプルの内容物が放出されるように構築される。内部穿刺体は物質と同じ区画内、区画と隣接、又は区画外に位置してよい。アンプルは内部穿刺体1つ以上を含有でき、そして/またはアンプル内の各穿刺体は穿刺可能な区分と接触できる点1つ以上を含有してよい。例えば、1つより多い穿刺体、又は、1つより多い穿刺点を有する穿刺体により穿刺可能な区分が穿刺されるようにアンプルを設計してよい。複数の穿刺点はアンプル中の物質の送達率を上昇させるために使用してよい。穿刺体はアンプルの一体型部品として、又はアンプルとは独立して製造してよい。好ましくはアンプルの区画内の物質は滅菌されており、そして滅菌性は投与時まで維持される。一部の実施形態においては穿刺体は中空である。別の実施形態においては穿刺体は穿刺可能な区分から遠位の末端において開口又は閉塞している。
【0032】
本明細書に開示するアンプルは、デバイス発射機構の設計に応じて、アンプル後方から、又は、片側又は両側からアンプルを殴打して圧縮する力の衝撃の下に「発射」又は「破裂」するように設計されている。アンプルを効果的に発射させるために必要な力は約2〜8ポンドであるが、これはアンプルの一体性を確保すること、貯蔵期間、蒸気圧の性能、及びアンプルの製造工程の限界に伴う他の設計の条件と考量される。アンプルから眼内への物質の完全な排出は好ましくは圧縮力の衝撃時点から約200〜300ミリ秒内である。
【0033】
好ましくは、アンプルスプレーパターンはアンプル毎に一貫しており、より低い四分円(即ち盲嚢)に向かって物質を送達する。好ましい実施形態においては、物質は、重力の作用を克服するために十分な直線的エネルギーによりアンプルから駆出され、即ち、使用者は、使用者の頭部及び眼の方向が重力の力/方向に対して垂直面となった場合に信頼性高く安全に眼内に物質を一貫して送達することが可能になる。好ましくは、物質は2μL〜10μLの範囲の個々の液滴径、あるいは100ミクロン〜400ミクロンの直径の液滴において送達される。眼の表面へ向けてアンプルから物質が横断しなければならない直線距離は好ましくは約10mm〜35mmである。本明細書に開示したアンプル及びデバイスの基本的な設計の検討事項は、眼、鼻又は耳内の標的到着場所に対して一貫した送達用量であること、液滴の大きさ、及び使用者にとって快適、安全及び効果的である力の水準、並びに標的到着場所への送達の精度である。
【0034】
本発明の開示の特定の実施形態においては、ノズル又はスプレーヘッドは、物質の放出もとのアンプルの領域に直接隣接させて位置させる。ノズル又はスプレーヘッドは、デバイスに連結するか、又は、アンプル又はカートリッジに連結させる。例えば、ノズル又はスプレーヘッドはアンプルの穿刺可能な区分に渡って密着することによりアンプル内の物質が放出される際に経由するオリフィスを与えてよい。ノズル又はスプレーヘッドは場合により、物質がアンプルから放出された後にその流動を方向づけることができる。別の実施形態においては、デバイスはノズル又はスプレーヘッドが物質を供給するために受容部に並置されるようにカートリッジに連結されたノズル又はスプレーヘッドを受領するための受領部を有する。さらに別の実施形態においては、アンプルは穿刺可能な区分の外部領域に重複する取り外し可能な外部のカバー又はシールを有し、これはアンプル内の物質が排出される直前に除去してよい。シールは例えば個別の剥離可能な層であってよい。
【0035】
アンプルを製造する好ましい方法はフォームフィルシール(FFS)又はブローフィルシール(BFS)の方法であり、これは滅菌アンプルを製造するために無機滅菌方法を組み込んでいる。例えば、当業者のよく知る方法であるBFSは選択された容器内で重合体物質をインラインで形成して密封する特殊な包装技術である。BFS機は重合体顆粒格納及び供給システム、パリソンヘッド付の回転スクリュ押出機、滅菌空気充填チャンバー、容器を成型して閉鎖する金型の片身、及び、例えば漏出検知システムを含む顆粒の器材を組み込んでいる。医薬品用BFSシステムは滅菌容器及び薬剤の製品を製造するために無菌製造方法を利用する。重合体顆粒を真空配管システムを介してBFS押出機のホッパーに供給し、ここで加熱溶融される(160〜170℃)。均質な重合体溶融物がシリンダーオリフィスを経由してプラスチックのパリソン内に形成され、これは滅菌濾過空気流により崩壊しない。次に、分割された金型の片身の下方部分を閉鎖して開放パリソンの底部を密封し、そしてパリソンの壁面を噴出及び/又は吸引して冷却金型壁内にいれ、容器の下方部分を形成する。充填針が必要容量の物質を容器内に引き込み、そして充填針の撤退の後、金型の上方部分を閉鎖して容器の上方部分を形成して密封する。
【0036】
別の滅菌方法は滅菌され、好ましくは保存料非含有の薬剤パッケージを製造するためのガンマ線照射のような技術使用した終末滅菌である。好ましい実施形態として、アンプルは低密度ポリエチレン(LDPE)又はポリプロピレン、又は、高密度ポリエチレン(HDPE)又は他のプラスチック、重合体又は外来樹脂より構築する。より好ましくはアンプルは医薬品包装において使用されるFDAにより認可された材料より構築し、これらはまたFFS又はBFS方法の使用にも好ましく合致している。好ましい実施形態として、アンプルは円筒、チューブ、涙型、山形、円錐、菱形、台形、球状又は部分的球状に形状付与された外部容器よりなる。好ましいアンプルは0、1、2又はそれより多いふいごを含有してよく、或いはアンプルの圧縮又は穿刺を支援するために形状付与された容器を有してよい。好ましいアンプルは単一の内部区画を有するか、又は、物質を含有する区画に隣接した個別の内部区画1つ以上を含有してよい。好ましくはアンプルの壁厚みは約0.05mm〜2mmの範囲である。好ましい実施形態として、アンプルは約0.5mmの壁厚みとなるようにLDPEから構築する。特定の実施形態においては、アンプル壁の厚みは圧縮及び/又は穿刺に好都合となるようにアンプルの特定の部分において変動する。
【0037】
特定の好ましい実施形態においては、アンプルの充填はBFS法を用いて以下の範囲、即ちa)1単位用量眼科用アンプルは15〜60μLの薬剤用量を含有し、b)2単位用量眼科用アンプルは40〜90μLの薬剤用量を含有し、c)1単位用量鼻腔内アンプルは40〜200μLの薬剤用量を含有し、そしてd)2単位用量鼻腔内アンプルは60〜400μLの薬剤用量を含有するように行う。好ましくは、耳用アンプルは鼻腔内アンプルと同様の範囲内に属する用量を有する。2単位用量アンプルの好ましい使用は順次薬剤の2個別用量(例えば単一の対象の右眼、ついで左眼)を発射するようにする。
【0038】
アンプルの安全設計上の検討事項は識別の補助としてアンプル又はアンプルカートリッジホルダーをカラーコード化する能力を包含する。アンプル設計は経時的な物質の品質又は薬効に影響する場合がある蒸気圧の移行の許容可能な水準を維持するための検討事項を含む。好ましい実施形態においては、アンプル及び含有される物質の貯蔵期間は製造日から最低12ヶ月、好ましくは24ヶ月を目標とする。
【0039】
好ましくはデバイス及びアンプルは、アンプルを穿刺し、そして眼、鼻又は耳へのアンプル中の物質の送達のための液滴又はスプレー霧の緊密な流れを生じさせるための以下の機構の1つ、即ち、(a)内部穿刺アンプル;(b)切り取り型チップアンプル、(c)外部穿刺アンプル;(d)破裂型アンプル;および(e)自己穿刺アンプル、を組み込んでいる。
【0040】
内部穿刺アンプル
内部穿刺アンプルの例を図1に示す。内部穿刺体161は種々の形状、例えば内部に薬剤を付着させる漏斗型設計又は円盤形状の設計を有していてよい。好ましくは、アンプルを裁断するか、又は、穿刺体の貫通点において外部容器上の脆弱壁を有することにより穿刺可能な区分を穿刺するために必要な貫通力を低減する。この特徴はまた、投与中のアンプルへ気からの如何なる外来材料の放出も最小限にする。アンプルの壁厚はアンプルの圧縮又は穿刺体の貫通に好都合なように変化させてよい。好ましい実施形態においては内部穿刺体はアンプル壁を貫通するために十分な硬度のスチレン、ポリスチレン又は他の医薬品等級のFDA認可材料より構築する。
【0041】
好ましい実施形態においては内部穿刺体は中空の管又はチャンネル(送達チャンネル)を含み、アンプルが圧縮穿刺されると、物質はこれを通過して流動する。穿刺体の先端は好ましくは角度のある端部を有し、アンプル容器の貫通に好都合となっている。穿刺体管の内径は約0.015インチ〜約0.05インチの範囲であるが、特定の実施形態においては、約0.025インチである。出口の地点とその近傍における送達チャンネルの内径、形状又は表面の状態はノズルを含有してよく、又は、アンプルから吐出される際の試料の旨適液滴径及びスプレー霧の幾何学的特徴を形成するように変動してよい。内部穿刺されるアンプルは1投与単位又は2投与単位であってよい。
【0042】
内部穿刺されるアンプルは直線状ストリップとしてBFS製造過程において製造してよい。好ましい実施形態においては、個々のアンプルはアンプルと同じ材料から作成され、そしてBFS製造過程の間に形成される連結ウェブを介して連結されている。アンプルは単一化、即ちストリップ型から個別に破断されアンプルカートリッジホルダー内に入れられるか、又は、好ましくは、アンプルのストリップ全体がアンプルカートリッジホルダー内に形成されるか、或いは、例えば環状、円状又はチューブの形状のアンプルシリーズとなるように形成される。
【0043】
切り取り型チップアンプル
切り取り型チップアンプルは、緻密なスプレー中の物質の供給を促進するアンプル内の精密な開口部を形成するために、好ましくは図2に示すような新しい切り取り型チップを利用する。特定の実施形態においては、カットアウェイアンプルはアンプルの切り取り型チップの上に可撓性のヒンジを含む。使用中はデバイス中のカッターブレードの端部が発射シーケンス(Sequence)の間にアンプルのチップを切断する。切断されたチップはチップの各側にある2個のプラスチックのバネのヒンジにより結合している。カッターブレードが切断されたチップを押しながら下に向けることにより供給チューブを開口させる。アンプルが圧縮されると、液体は開口部を通過して強制的に押し出される。好ましくは、切断されたチップは発射シーケンスが終了すると元の位置に戻されてアンプルを密封することにより、残存する液体がある場合でも漏出を防止する。
【0044】
アンプルのチップの切断はアンプル容器本体へのチップの連結点からチップ終点の約0.5mm内の何れかの地点において起こることができる。好ましい配置においては、チップはアンプル上に約1.0mmの供給チャンネルを残してチップの端部から約1.5mmで切断する。しかしながら、全体的な寸法はアンプルの内容量に応じて変動してよいと理解される。
【0045】
切り取り型チップの別の配置は1ピボットヒンジ及びアンプルから完全に切り離されてアンプルカートリッジ又はデバイス内の小区画内に捕獲される切り取り型チップを包含する。他の実施形態においては、切断された切り取り型チップはデバイスから排除される。
【0046】
カットアウェイアンプルはそれらが切開される時点において物質が液体である場合に特に小型液滴を滴下又は放出する可能性を有する。これは、格納中又は穿刺時点のいずれかにおいて毛管作用の結果として供給チャンネル内の少量の物質の集積をもたらす場合がある。特定の実施形態においては、アンプル容器中の液体の表面張力は不慮の漏出の可能性を低減する。この自然力学はアンプル及び供給チャンネルの内部構造の適切な設計を通じて増強できる。
【0047】
アンプルの穿刺過程の間の物質の不慮の放出を低減又は防止するための種々の手法及び内部アンプル設計が開発されている。これらの設計の特徴は図3に示す通り、供給チャンネルの改変、又は、供給チャンネルの交点の改変を、それがアンプル容器の主要チャンバーと交差する箇所において行うことを包含する。例えば、アンプルは供給するべき物質を提供するために設計することができ、アンプルは物質を保持するための区画を有し、区画はその中に配設されている物質を有し、そして、内半径を有さない供給チャンネル、輪郭付けされた壁部を有し内半径を有さない(例えば球)、標準的な吐出部を有する輪郭付けされた壁部、又は反転した出口を含み、ここで供給チャンネルの設計は穿刺過程の間の物質の不慮の放出を低減又は防止する。これらの設計配置の全ては、例えば格納及び取り扱い中、又は、アンプルが穿刺された後であって物質の放出のためにアンプルを圧縮する前において、供給チャンネル中の、特に液体形態の物質の集積の防止(例えば毛管作用による)を補助するものである。これらの設計の手法は個々に、又は組み合わせて使用することができる。さらにまた、発射シーケンス中のアンプルの操作を介して不慮の滴下を低減することができる。一例として、穿刺及び圧縮の工程の直前の発射シーケンスの間にアンプルを伸展するようにデバイスを配置させることができる。この作用は穿刺時に少量の空気を供給チャンネルを経由してデバイス内に引き込み、液体の漏出を防止する。
【0048】
外部穿刺アンプル
外部穿刺アンプルはアンプルを穿刺して発射させる中空の送達チャンネルを含有する外部穿刺体を利用する。好ましい実施形態においては、穿刺体はアンプルに一体化されており、そして各アンプルは自身専用の単回使用穿刺体を有することにより汚染の可能性を低減している。或いは、外部穿刺体はアンプルカートリッジホルダー内に一体化される。特定の実施形態においては、デバイスがアンプルを圧縮すると、それは2次元上で移動し、即ち(a)アンプル全体が穿刺体に向かって、そしてその上にACH内を前進し;そして(b)デバイスのプランジャー又はピストンがアンプルに圧力を与え、送達チャンネルの中空コア部から液体を強制的に排出させながら、アンプルが背部から圧縮される。外部穿刺アンプルの代替の配置は図4に示す通りである。この設計は、個々のアンプルに直接結合し、そしてその後アンプルカートリッジに装填されるスチレン、ポリスチレン又は同様の医薬品等級のプラスチックで構築された個々の穿刺体を意図している。
【0049】
外部穿刺されるアンプルは、それらは発射時に移動することが必要である場合があるため、アンプルカートリッジ内に装填される時点で連結ウェブを介して連結されていてもされていなくてもよい。デバイスにより投与中にアンプルが移動する場合は、それらは好ましくは製造過程において単一化され、後生産過程においてアンプルカートリッジに個別に装填される。外部穿刺アンプルの全体的寸法はアンプルの内容量に応じて変動してよい。
【0050】
破裂型アンプル
破裂型アンプルは圧縮時に所定位置において破裂するように設計されている。図5に示す設計は前進的な方法において後方から前方にアンプルを絞扼する圧縮手法を示している。好ましくは所定位置、例えばアンプル前面の脆弱部分又は切り込みのある表面を破裂点と定義する。アンプル壁はこの点においてより薄くなっており、アンプルを破裂させるために必要な力が低減され、そして、破裂型アンプル中の物質の放出が意図する位置において起こることを確保している。全体的寸法はアンプルの内容量より変動する。多くの好ましい実施形態が底部からアンプルを圧縮するためにシャフトを利用しているが、これらの機構の何れも側面からアンプルを係留し、アンプルが破裂してそれが含有する物質が放出されるまで圧縮する一対のローラーを含むように変更することができる。
【0051】
自己穿刺アンプル
自己穿刺アンプルは例えばフィンガーロッドを有するプランジャーが自己穿刺体内に挿入されることによりそれを強化し、アンプルを圧縮しながらアンプルの前面を経由させてそれを駆動するとアンプルを穿刺する作用を有する内部穿刺体を組み込むようにアンプルシェルを改変するように設計されている。自己穿刺アンプルは図6に示す通り好ましくは穿刺体の表面上に形成された一連の小型チャンネルである送達チャンネルを有する。液体はチャンネルを強制的に通過させられ、そして自己穿刺表面に搭載されているアンプルから流出する。プランジャー上のフィンガーロッドは内部自己穿刺体を強化してアンプルの穿刺可能な区分を自己穿刺体が貫通するために必要な支援を行う機能を有する。フィンガーロッドはアンプル容器と同様の材料で構築されている穿刺体がアンプル壁部を貫通できるために十分な強度と支援を与える。好ましくは、アンプルは穿刺体の貫通点において脆弱部分又は切り込みのある外表面を有しており、これによりアンプルを穿刺するために必要な力が低減され、そして穿刺過程の間にアンプルから外来性材料が放出される可能性を低減する。全体的寸法はアンプルの内容量により変動する。
【0052】
アンプルカートリッジ
好ましくは、アンプルは各アンプル間の連結ウェブを用いて直線状ストリップとしてBFS製造過程において製造する。好ましい実施形態においては、連結ウェブを用いてアンプルを円状の形状とすることによりアンプルカートリッジホルダー(「ACH」)に挿入するためのアンプルカートリッジを形成する。本明細書においては、「カートリッジ」とは相互に連結されているか、又は会合しているアンプル2個以上である。好ましくはACHはアンプルカートリッジの特定の型を保持するために設計された円盤型の封入された容器である。好ましい実施形態においては、ACHは以下の目的の1つ以上を果たすものであり、即ち、(a)不正防止型のパッケージ容器として格納及び輸送中のカートリッジを保護し;(b)ラベル表示のための面を与え(製造元、物質の種類、バーコード、有効期限及び処方箋使用法説明書);(c)アンプルカートリッジをインデクシングできるようにするデバイス内のインデクシング機構に対するギア又はラチェットインターフェイスを含有し;(d)認可されたデバイスにカートリッジホルダーの設置及び作動を限定し、そしてカートリッジがデバイス内に正しく担持されることを確保する安全確保キーの要素少なくとも1つを含有し;そして(e)コンプライアンス追跡において使用者を支援するためのアンプルの番号、カラーコード、点字システム並びに無線周波数識別デバイス(RFID)のための好ましい搭載位置を含有する。
【0053】
好ましい実施形態においては、ACHはポリスチレン、又は、別の種類のFDA認可医療用等級プラスチック、例えばポリプロピレン、ABS、ナイロン6及びポリカーボネートより構築する。ACHはアンプルカートリッジを収容するための何れかの大きさ、例えば適切な数量のアンプルのアンプルカートリッジリングであってよく、そして、特定の実施形態においては1単位用量又は2単位用量のアンプル16〜30個を含有するように配置してよい。別の実施形態においては、ACHは異なる形状、例えば長方形、正方形、円筒状、円状又はピラミッド型であることにより別のデバイス設計を収容することができる。
【0054】
好ましい実施形態においては、ACHに担持されるアンプルカートリッジリングのようなアンプルの供給物は、カートリッジの各アンプル内に単一種類の物質を含有する。或いは、ACH内のアンプルは2種以上の異なる物質を所定の順序で含有してよく、例えばこれにより2種以上の活性成分含有物質を、又は、同じ物質の2種以上の用量水準を投与できる。
【0055】
好ましい実施形態においては、アンプルカートリッジ又はACHは物質を識別するためのラベルを付し、そして又、アンプルカートリッジ又はACHをデバイス内に搭載したままでデバイスを開放する必要なく使用者が読み易い方法でバーコードおよび有効期限の情報を含んでよい。アンプルカートリッジ又はACHはまたデバイス内に装填された薬剤の種類を使用者が調べることができるようにする目視可能な色照合を与えるカラーコード方式を使用してよい。好ましくは、アンプルカートリッジ又はACHはデバイスの大型透明ウインドウを通してデバイス内に搭載されたままで使用者が目視可能なものである。アンプルカートリッジ又はACH内の各アンプルは好ましくは拡大ウインドウを介してデバイスを開放することなく使用者により容易に読まれることができる方法でアンプルカートリッジ又はACHの上面において好ましく番号付けされる。
【0056】
アイガイド(eye guide)及びアイカップ
好ましくは本明細書に開示したデバイスは治療部位、例えば眼、鼻又は耳の上面又は内部に対し直接位置づけられ、そして物質はデバイスの中心軸から供給される。デバイスを眼科用途に使用する場合、物質は好ましくは使用者の眼の上に正確に向けられる。一部の実施形態においては、アイカップのようなアタッチメントをデバイスと共に使用することにより使用者の眼への物質の供給をガイドし、そして、投与中旨適位置に瞼を保持し易くする。手術により過敏な領域が残る場合が多く、そしてその領域に物体を置くことは患者に不快感を与えたり、或いはさらに、手術領域に損傷を与える場合がある。例えば眼の手術の後は、瞼や眼の如何なる部分にも接触しないことが好ましい場合がある。アイカップは眼に直接接触する必要なく眼内に分散物質を導くことによりこの問題を克服し易くしている。特定の実施形態においては、アイカップは瞼を開けたままに維持するように設計されたデバイスに接続される。デバイスはまた標的部位、例えば使用者の眼、耳又は鼻に対して適切な方向に物質を含有するアンプルを位置づけるように設計してもよい。
【0057】
好ましい実施形態においては、アイカップに接続させた折りたたみ式のアイガイドを本明細書に開示したデバイス内に組み込む。好ましくは、折りたたみ式アイガイドはデバイス本体より伸長可能であり、そしてデバイスを使用する準備完了を行うために使用者により準備完了位置にロックされる。アイガイド及びアイカップは眼から正しい方向及び距離にデバイスを位置づける作用を有する。さらにまた瞼の開放し、投与中瞼を正しい位置に保持し易くする。アイカップの特定の好ましい実施形態においては、投与中に焦点を合わせるべき「標的」、例えば開口部又は他の同様の視覚的マークを与えるアイカップ内の視覚的照合物が存在する。好ましくは、開口部又は他の視覚標的に治療すべき眼の焦点を合わせることにより、眼の本来のレンズが上方に、そしてアンプルから放出された物質の流れの発射路の外に回転し、これにより、眼への物質の正しい投与が促進される。
【0058】
好ましい実施形態においては、本明細書に開示したデバイスへのアイカップの組み込みはオープンスポークフレームとして配置されたアイガイド支持フレームを包含する。好ましくは、眼窩周囲に渡る軟質ゴム又はプラスチックのアイカップを1つまたは複数のアーム部で支える。特定の実施形態においては、アイガイド支持アームはデバイスハウジングに接続され、使用時以外はデバイスハウジング内にアイカップを引き込むようにスライドする。好ましくは、使用者交換用の軟質プラスチック又はゴムのアイカップカバーをアイガイド前面に接続させて眼窩に対するクッションとし、そしてアンプルからの物質の投与の際の瞼の開口及び開口状態の維持を容易にする。別の好ましい実施形態においては、アイガイドはデバイスから引いて180°回転させて開口位置にロックすることにより伸長するテレスコープアームとして配置させるか、又は、アイガイドは完全に伸長した位置まで引いてそのままロックすることができるオープンスポークフレームを含む。テレスコープアイガイドはアイカップが搭載されている環(又はクリップ)を支持する。テレスコープアームはデバイスハウジングに接続され、使用時以外はアイカップを引き込むようにスライドする。特定の実施形態においては、使用者交換用軟質アイカップカバーがアイガイドに接続され、薬剤投与中に瞼を開口状態に保持し易くする。アイガイドはまた投与操作の間、デバイスに対する眼の適切な位置付けを確保するものである。
【0059】
アイカップ及びアイガイドのフレームは好ましくはFDA認可材料から作成する。アイカップは使用者により交換することができる例えばシリコーン又は他のFDA認可材料より構築された軟質の柔軟性プラスチック(又はゴム)から作成される。好ましい実施形態においては、投与操作を介助する介護者が物質が供給される時点において瞼が開いていることを目視により確認できるようにするためにアイカップの材料は透明なものとする。アイガイドは完全に伸長して発射準備完了位置にロックされている場合は、好ましくは、使用者の眼とアンプルから、例えばアンプルノズルからの物質の放出との間の距離を約20mm〜約30mmとする。他の実施形態においては伸長した位置にアイガイドをロックすることはまた、デバイスを発射可能とするデバイス内部の一体型安全ピン又はクリップを開放するものである。アイガイドを積載位置に引き込むことは、安全ピンを再契合させることであり、これによりデバイスの発射を防止する。
【0060】
好ましい実施形態においては、取り外し可能、又はピボット又はヒンジ上のカバー又はキャップがアイガイド、アイカップ及びデバイスの本体中の物質供給孔部を被覆することにより、デバイス、物質通路、アンプルの汚染又はデバイス又はアイカップ内の外来物質の蓄積を防止する。特定の実施形態においては、アイガイド、物質送達経路及びアイカップの選択された要素がMICROBAN(登録商標)のような抗微生物コーティングを使用することにより汚染の可能性を低下してよい。
【0061】
アイカップ又は他の適合する投与デバイス、例えば鼻腔内又は耳内使用のためのノズルもまたデバイスの特定の実施形態においてアンプルと一体化してよい。例えば、広範な種類の使用者にわたり病院又は療養所のような施設看護環境において介護者により使用されるデバイスは好ましくは、各投与につき、所望の物質を有する個別に充填されたアンプル及び滅菌アイカップ又はノズルを組み込んでいる。本明細書に開示されたものは、好ましくは施設状況において使用者に対し物質を投与するために介護者により使用されるために設計されたデバイスの実施形態と共に使用するためのアンプル及び穿刺体を含有する合成のプラスチックカラーに搭載されたアイカップ又は鼻又は耳への送達のためのノズルである。アイカップと一体化されたアンプルのこの実施形態は本明細書においては一体型アンプル眼科用ディスペンサー(IAOD)と称し、あるいは、ノズルと一体化されたアンプルの実施形態は本明細書においては一体型アンプルノズルディスペンサー(IAND)と称する。IAOD及びデバイスにこれらのIAODをパッケージして装填するセルフフィード供給デバイスは、特に施設状況において使用してよい。ノズルを使用する場合は、それは耳又は鼻の内部に挿入するための適切な大きさを有する。個人用を意図する実施形態においては、これらのインターフェイスは汚染の問題が限定されているため再使用できる。しかしながら、施設適用を意図する実施形態においては、インターフェイスは好ましくはアンプルと一体化され、単回使用のために設計され、そして廃棄されることにより、使用者間の交差汚染の危険性を最小限にする。
【0062】
UniDoserTM薬剤送達システム(UDDS)
本発明者等によりUniDoserTM薬剤送達システム(UDDS)と称される本明細書に開示したデバイスは、眼科、鼻腔内及び耳用の製品のための種々の治療送達用途に適合できるプラットホーム技術を与える。UDDSデバイスの配置は以下の要因、即ち、(a)自己投与対介護者投与;(b)多用量(アンプル)再充填可能デバイス対1用量(アンプル)使い捨てデバイス;(c)1用量対2用量アンプル;(d)単一薬剤アンプル/デバイス対複合薬剤アンプル/デバイス;(e)デバイスによりアンプル外に物質を供給するための作用機構(「MOA」)(機械的又は電気的な動力);および(f)アンプル穿刺機構(内部穿刺、切り取り型チップ、外部穿刺、破裂又は自己穿刺)により決定される。本開示は一般的に本明細書に開示したデバイスを消費者用デバイス又は施設用デバイスに分類する。本明細書に開示したデバイスの如何なる実施形態も予定外の実験を行うことなく当業者により本明細書に開示した如何なる型のアンプルからも物質を投与できるように容易に適合させてよいことに留意することが重要である。即ち、3種の開示した経路(即ち眼、鼻腔内、耳内)の1つを用いて使用者の特定の型に特定の物質を投与するために選択されるデバイス及びアンプルの組み合わせは投与の様式(例えば自己対施設投与)、製造コスト、投与経路、投与すべき試料の特性(例えば特定の薬剤及び薬剤の粘度)、所望の水準の滅菌性及びスプレー霧の幾何学的性質に関する要件等の様な要因に応じて変動する。
【0063】
本明細書に開示した特定のデバイス、例えば送達中のプランジャーのピストン作用により、単純な物質置換により、又は、物質を含有する区画内の空気又はガスの膨張により(例えば窒素又は希ガス)、加圧下にアンプル内の物質を供給する。好ましくは、デバイスの発射機構の圧縮力は穿刺体が穿刺可能な表面を穿刺するため、並びに、区画から物質の少なくとも一部を供給するために十分なものである。他の実施形態においては、アンプルを加圧するために使用するデバイスの内部機構は、所定の最低限の距離にアンプル内の物質を分散させるために十分な衝撃を有するピストン、ピストン−シリンダー、ローラー又はカンチレバーの機構を利用する。種々の加圧方向、例えば物質の放出に対して垂直又は並行、ならびに平行と垂直の間のある角度でアンプルに適用することができる。特定の実施形態においては、物質を含有するアンプルの区画は好ましくは液体と穿刺可能な区分の間に空気又は気体の空間(例えば空気又はガスのヘッドスペース)を有し、これを加圧することにより穿刺体及び/又は穿刺可能な区分の移動を促進することができる。一部の実施形態においては、空気又はガスの圧縮で物質の放出を促進する。区画内の空気又はガスの空間を与えることなく製造する実施形態においては、穿刺体は好ましくは区画の穿刺可能な区分の穿刺を達成するために必要な移動の程度を限定するようにアンプル内に位置づける。他の実施形態においては、穿刺体は区画内の穿刺体と内壁の間を物質が流動するのを最低限とするか防止するために区画の内壁に対し障壁又は密封密着をもたらすシーリングリップを有してよい。
【0064】
本明細書に開示したデバイスは簡便で正確な方法において活性成分含有物質を供給することにより予防的、術後又は慢性に関わらず、使用者に対する治療処置を向上させるために使用してよい。好ましい実施形態においては、デバイスは白内障又は眼の腫瘍の摘出等のような眼の手術後、又はLASIK処置後に、眼に眼科用薬剤を投与するために使用される。例えば本発明の1つの実施形態は白内障の術後治療を向上させるために使用される。通常、蛋白と水で殆どが形成されているヒトの眼のレンズは透明であり光線は容易にレンズを通過できる。白内障が生じるとレンズは曇化して白濁し、その光を透過させる能力が低下する。白内障の形成は経時的に起こり、通常はレンズの化学組成の変化により生じる。白内障は外傷、強い熱、化学熱傷、長期間のステロイド使用、又は緑内障、糖尿病、腫瘍のような眼の疾患により誘発されるが、白内障の80%は老年性白内障であり、50歳超の人間で起こる。白内障は52歳〜64歳では合衆国人口の42%、65〜74歳では73%が罹患している。合衆国内の人口統計が高齢化するに従い、より多くがこの障害をもたらす疾患に罹患することになる。
【0065】
白内障の手術では肥厚な曇化レンズを除去し、そして、眼の同じ部分に人口のレンズを移植する。交換レンズは元のものよりはるかに薄く、通常は患者の障害に渡り眼内に残存できる軟質の透明材料より作成される。合衆国で毎年約140万人が白内障の手術を受けて眼内レンズインプラントを移植されている。白内障の手術では抗炎症剤及び抗感染剤のような所定の薬剤を術後に使用するように患者は要求される。抗炎症剤の目的は組織が傷害を受ける手術の直後に開始する炎症を低減することであり、そして抗感染症剤の目的は感染症の予防である。白内障手術後の術後療養用の抗炎症剤及び抗感染剤の使用は指定された標準的な療養であり、これらの薬剤の適切な使用は患者にとって最も重要である。標準的なプロトコルでは、2〜6週間抗炎症剤又は抗感染症剤の毎日の投与が要求され、そして処置後の初期の日々においては、これらの薬剤は毎日2〜3回投与することが必要である。残念なことに、大部分の患者は種々の理由、例えば不便、忘れ易さ、混乱等々により、適切なプロトコルを完了することはない。医薬の投与はまた、多くの高齢者にとっては、その医薬の前回いつ服用したか、どれだけの量服用したかについて常時疑問を持っているか、或いは他者の補助を必要とするため、大きな負担となっている。
【0066】
本明細書に開示したデバイスの利点の1つはそれらが1種より多い薬剤含有物質又は一種より多い薬剤を同時又は逐次的に使用者に投与できる点である。この利点は、標準的なプロトコルが1種より多い薬剤を患者に投与することを必要としているため、白内障の術後治療において特に有用である。デバイスに関しては、2薬は投与直前にアンプルの区画内で混合し、そしてその後患者に投与してもよいし、或いは、2薬は投与時までは同じアンプル内の別の区画内にあるが、投与に際しては同じアンプルから患者に逐次的又は共に放出されてもよい。例えばアンプルの第1区画は凍結乾燥した薬剤又は乾燥粉末形態の薬剤を含有し、そして第2の区画は水又は生理食塩水のような薬学的に受容可能なキャリアを含有する。アンプルは、2区画を連結する領域(例えば穿刺可能な区分)が(例えば穿刺体によって)破られ、そして2区画内の材料が混合されて、例えば水性製剤中に薬学的に活性な薬剤を希釈再調製又は懸濁させる。2材料の再調製又は懸濁は、例えば振動デバイス又は水溶液を振動させる高周波数信号発生デバイスにより促進することができる。液体の水溶液が形成された後、薬剤は例えば本明細書に開示した機構によりアンプルから放出され、そして使用者に投与される。別の好ましい実施形態においては、2種以上の薬剤がACH内で相互に直接隣接しているアンプル2個以上中に存在し、そして使用者は第1の薬剤を投与し、そして次に、即座に、又は治療上適切な長さの時間の後に第2の薬剤を投与し、その後必要な別の薬剤があれば逐次的に投与する。
【0067】
これらの実施形態は患者により必要とされるほど多くの種類の物質を投与するために使用でき、並びに、医療専門家が選択された物質の治療投与を使用者に対するその治療上の利点が最大限となるように調整できるようにする。例えば、眼の手術の後の最初の数日間〜1週間は患者により必要とされる全ての眼科用薬剤の完全な用量用法(処方)特別に提供するアンプルカートリッジ又はACHを設計し、その後は標準的な術後プロトコルを完了するアンプルカートリッジ又はACHを使用することができる。これには、設定された時点において特定の順序で投与しなければならない種々の薬剤の組み合わせを必要とする処方の用量用法を包含する。各アンプル又はACHは、薬剤を使用する患者又は人間が最終投薬時を知ることができ、そして、次回の薬剤の用量が投与の位置にあるように、カラーコード又は数字マークにより識別できるようにすることができる。アンプル又はACHは1日における時間、並びにアンプル中に存在する薬剤に従ってマークしてもよい。患者がどれほど長い期間薬剤を使用しているか、そして、いつアンプルカートリッジが空になるかを知ることができるように、アンプル自体又はACHに各々の日時をマークすることができる。異なる色が異なる治療段階を示すようなカラーシステムを使用してもよい。例えば、デバイスは投与の前に目視できる赤色光を組み込むことができ、これが所定量の用量がデバイスにより分散させられた後に緑色に変わる。
【0068】
或いは、プログラム可能なマイクロプロセッサコンピュータデバイス、例えば液晶ディスプレイ(LCD)パネル又は発光ダイオード(LED)と組み合わせたプリント回線基板(PCB)又はアプリケーション特異的集積回路(ASIC)をデバイスに組み込むことにより、患者に薬剤の次回の用量を投与する適切な時期、どれだけの用量が残存しているかを患者に想起させ、そしてデバイスを交換すべき時期を使用者に警告し得る。ディスプレイは投薬送達のスケジュールを示すのみならず、充填されたアンプルを投与する時間が来たら警報を鳴らすようにプログラムすることができる。この特徴は、術後又は長期の療養に伴う複雑なプロトコルに渡って多くの患者が体験する混乱を大きく低減し、そしてより良好な患者のコンプライアンス及び治療処置をもたらす。デバイスはまた、多くの安全上の特徴を組み込むように設計され、例えば遅延機構をデバイスに搭載して使用者への過剰用量の不慮の送達を防止することができる。個人用デバイスの別の安全上の特徴は、小児によるデバイスの偶発的廃棄を防止するためのチャイルドセーフティーロックである。このデバイスはまた、より多くの患者が自身の術後又は長期の療養を介護者要求せずに実行することができるようにする。
【0069】
眼の手術、例えば白内障手術の術後処置については、デバイスは、何れかの順序及び時系列において、患者に対し、抗炎症剤、抗感染症剤又はステロイドを適切に投与するために使用できる。例えば、デバイスは、デバイス内にありながら連続投与のために配列された連続アンプルシリーズにおいて、相互に隣接するように抗炎症剤及び抗感染症剤を含有するアンプルを投与できる。抗炎症剤を患者に投与した後、抗感染症剤が次回投与されるようにACHが手動又は自動で回転する。ACHは手動又は自動で回転し続け、そしてアンプルカートリッジが空になるまでアンプルの投薬を施す。白内障手術後の療養において使用する眼科用の抗炎症剤及び抗感染症剤の例としては、トブラマイシン及びデサメタゾン眼科用溶液、スルファセタミドナトリウム−酢酸プレドニソロン、硫酸ネオマイシン−リン酸ナトリウムデキサメタゾン並びにフルオロキノロン、モキシフロキサシン及びガチフロキシンと称される新しいグループの極めて強力な抗感染症化合物が挙げられる。
【0070】
即ち、本開示はこれらの化合物を縦列させて使用する術後の外科処置に有効な眼前面に好ましくは保存料非含有の単位用量系を送達するための独特のシステムを提供する。これらの薬剤の何れも使用者に対する包括的治療処置プロトコルにおいて、本明細書に開示したデバイスを用いて投与することができる。ステロイドもまた、単に治療用アンプルカートリッジにステロイドを含有するアンプルを加えることにより、同じ治療の用量用法において投与してよい。例えば、開示されたデバイスを用いて、患者は連続アンプル中の2種の個別の薬剤としてステロイド及びフルオロキノロンを投与することができ、これにより薬剤がほぼ同時に投与され、複合薬を模倣できる。別の実施形態においては、麻酔薬又は診断薬、例えばフルオロセインを他の眼科用薬剤と共に別のアンプルに封入してよい。
【0071】
消費者用デバイス
本明細書に開示した特定のデバイスは、好ましくは単一の使用者による反復使用のため、及び自己投与のために設計される。これらのデバイスは本明細書においては消費者用デバイスと称する。好ましくは、消費者用デバイスのデバイス設計の人間工学的特徴により、デバイスは片手または両手で使用者により作動される。さらにまた、デバイスの作動部品は手の器用さが限定されている高齢者又は障害者によっても操作できるための十分な大きさを有している。これはオーバーサイズの制御により、そして使用動作の大部分について細かい運動能力よりも大まかな運動能力を使用することを強調した使用動作により達成される。特定の好ましい実施形態においては、デバイスの表面処理により作動中にデバイスが手から容易に滑り落ちないようにできる。消費者用デバイスは、好ましくは交換前に1200〜1600回の物質投与のサービスサイクルを有している。好ましい実施形態においては、デバイスの要素はFDA認可材料よりなる。好ましくは、デバイスはハイインパクトポリスチレン又は他のFDA認可医療用等級のプラスチック又は樹脂より構築され、そして「食器洗い機使用可」であり、即ち、従来の食器洗浄機の戦場サイクルに装填することにより洗浄及び消毒することができる。
【0072】
本明細書に開示する消費者用デバイスの好ましい実施形態は図7に示す通りである。このデバイスは本発明者等によりPufferFishと命名されており、物質、例えば緑内障、感染症、炎症状態、ドライアイ又はアレルギーのような状態を治療するための処方箋又は店頭販売眼科薬の毎日の自己投与のための消費者による使用に標的化された眼科用薬剤送達系である。図7に示すデバイスは1用量の外部穿刺アンプルを発射するように設計されているが、本明細書に開示した他の型のアンプルのいずれかと共に使用するために容易に適合させてよい。デバイスはクラムシェル状に開放され、使用者はアンプルカートリッジを入れることができる。これにより消費者はデバイスを使用し、必要に応じて新しいアンプルカートリッジを再装填するのみでよい。
【0073】
好ましい実施形態においては、図7に示すデバイスにおいて使用するためのACHはアンプルの相互連結環であり、薬剤、製造元、有効期限を識別するためにラベルを有しており、そして、アンプルカートリッジがデバイス内に搭載されている場合にデバイスを開放することなく使用者が容易に読めるような態様でバーコード又は無線周波数識別デバイス(RFID)を組み込んでいる。ACHは好ましくは、デバイス内に装填されている薬剤の種類を使用者が判断できるようにしたカラーコード又は点字のスキームを利用する。ACHはデバイスの上面、底面又は側面にある大型の透明な拡大ウインドウを通してデバイス内に搭載されている状態で使用者に目視可能である。ACH内の各アンプルは好ましくはデバイスを開放することなく使用者により容易に読み取られる態様で番号付けされている。ACH内の各アンプルは同じ薬剤を含有してよく、又は2種以上の選択された薬剤を各アンプルが含有してよい。さらにまた2用量アンプルを現設計に組み込んでもよい。
【0074】
図7に示すデバイスにおいて、アクチュエーター12はデバイス10の上面に位置する大型のパドル形状を有する表面である。アクチュエーターはハウジングの前面からヒンジ状態14となっている。アクチュエーターパドルは好ましくは高齢者の使用に適する大型とする。アクチュエーターはヒトの手により動力付与されるように設計され、デバイスを発射するために必要な力を低減するという機械的効率を与える(例えばパドルを作動させるための約2〜5ポンドの力)。アクチュエーターパドルは機械的レバーがアンプルを圧縮して発射させるために十分な力が確実に送達されるように、作動するための最小の力の閾値を必要とする。使用中は図8に示す通りアクチュエーターは開放され、発射準備完了位置にヒンジする。次に使用者はアクチュエーターをハウジング内に押し下げ、アンプルを発射させる。上面にあるスライドラッチ16はクラムシェルの内部リップに契合して非使用時にアクチュエーターを閉鎖状態に保持するか、または、供給機構に契合する。アクチュエーターは使用者により押し付けられた後には自動的に「準備完了」位置に戻る。クラスプ18はデバイスを再充填する場合を除き、常時、閉鎖およびロックされた位置にクラムシェルを保持する。図7に示すデバイスは下向きのロックされた位置を示している。アンプルカートリッジホルダー及びデバイス本体は好ましくは一体化されたヒンジを有するように鋳造され、そして、同時に切断される。
【0075】
外来物質の汚染又は蓄積からデバイスの内部を保護するため、デバイスは完全に封入される。折りたたみ式のアイカップ20はデバイスの本体から伸長し、デバイスの使用に備えるために使用者により準備完了位置にロックされる。アイカップ20は図8において伸長した位置に示されている。アイカップは眼から正しい方向及び距離にデバイスを位置づける作用を有する。これは投与の間に瞼を開放させ、そして正しい位置に瞼を保持することをも容易にする。開口部22のような投与中に焦点を合わせるべき「標的」を与えるアイカップ内の視覚的照合物が存在してよい。開口部又は他の標的に治療すべき眼の焦点を合わせることにより、眼の本来のレンズが上方に、そして薬剤の流れの発射路の外に回転する。好ましくは薬剤供給路は発射準備完了位置にあるデバイス本体内の小型開口部よりなる。特定の実施形態においては、カップ又はカバー(図示せず)は折りたたみ式のアイカップおよび薬剤供給路に渡って閉鎖されることにより、格納及び輸送の間の汚染からデバイスを保護する。
【0076】
図7のデバイスの分解図を図9に示す。デバイスはパドル型アクチュエーター12の上方に伸び、クラスプ18に連結されるスライドラッチ16を含む。契合時にはクラスプはアクチュエーター12をハウジングの上面31に対向して保持し、デバイスの発射を防止する。アクチュエーター下方に位置するリビングヒンジ32は使用者によりアクチュエーターが押されるとアンプルを圧縮して物質を放出するように配置されている。やはり分解図で示されているものはアンプルカートリッジ34を含有するカートリッジホルダー33である。アンプルの穿刺可能な部分35はカートリッジの外部に曝露されており、使用時に物質をアイカップ内に向ける。好ましい実施形態においては、ハウジングの底部37は、デバイスを開放することなく使用済みアンプル数、残存アンプル数、デバイスに装填されている物質の種類、及び物質の有効期限を判断するためにアンプルカートリッジを使用者が目視により調べられるように拡大ウインドウ36を含んでいる。
【0077】
特定の好ましい実施形態においては、クラムシェルデバイス本体は直径約75mm及び高さ25mm(折りたたみ式アイガイドを除く)であり、そして空の状態の重量は65g〜100gである。別の実施形態においては、クラムシェルデバイス本体は好ましくは直径約3インチ及び高さ1.4インチ(折りたたみ式アイガイドを除く)である。
【0078】
好ましい実施形態においては、デバイスの外部本体上の回転ベゼル21がインデクシング機構を始動させる。ベゼルが始動すると、インデクシング機構が新しいアンプルを回転させて「発射準備完了」位置とする。好ましくは、インデクシング機構は新しいアンプルが発射準備完了位置に適切に装填されているという少なくとも1つの明確なシグナルを使用者に提供する。シグナルはベゼルを介した触感によるシグナル、又は、デバイスが発射準備完了にあることを使用者に告知する視覚的又は聴覚的なシグナルであってよい。例えば2つの形態のフィードバックを提供することにより視覚又は聴覚に障害を有する高齢者の使用者に適合させてよい。インデクシング機序は格納及び輸送の間定位置にロックすることにより使用者が知らないうちにアンプルカートリッジが不注意により進められることがないようにできる。インデクシング機序は正しい(1方の)方向にアンプルカートリッジ又はACHを進めるのみであるように設計される。
【0079】
特定の実施形態においては、安全確保キーはアンプルカートリッジ又はACHが正しい位置にデバイス内に装填されることを確実に行うためのインデクシング機構と一体化した変形可能なギア又はラチェットを含む(即ち一番目のアンプルが一番目の発射位置に装填される)。或いは、特定のアンプルカートリッジのみ(例えば薬剤の特定の型を代表するもの又は指定された製造元の薬剤)をデバイスに装填できるように製造工程においてインデクシング機構を変更可能としてよい。
【0080】
デバイスの発射機構はメカニカルレバー(アクチュエーターパドル12)により動力付与されるリビングヒンジ32よりなる。好ましくは、パドルはヒトの手に対して機械的効率をもたらす。デバイスに組み込まれるアンプルは好ましくはアンプルを圧縮して眼内に物質を排出するためには2〜8ポンドの力を必要とする。デバイスは、使用者により選択された頭部/眼の方向のある範囲において正しい力および容量で眼内に物質を発射するように作動するが、物質供給スプレーのベクトルが重力に垂直であるか、重力と同じ方向になるような、頭部が通常位置に保持されている場合、又は横臥している場合にも物質を最低限使用者が投与できるようにする(例えば使用者リクライニング時)。即ち、デバイスは、それが重力に垂直のベクトルで、そして、水平より45度下方〜垂直の範囲から発射しても意図する到着場所に物質を送達するために有効なものである。発射機構はリビングヒンジが開放され駆動されるよりも前にパドルアクチュエーターに最低限の力の閾値が適用されることを必要とする抵抗デテントを組み込んでいる。この特徴はアンプルを圧縮して発射させるために必要な力の最低限の量が確実に送達されることを意図している。アクチュエーターパドルは2:1の機械的効率を与えるが、機械的効率はレバーを調節することにより4:1まで拡大することができる。
【0081】
図6に示すデバイスを使用するためには、使用者はデバイスのクラムシェル本体の上方半分をラッチ解除する。デバイスの上方半分はヒンジにより回転開放され、デバイスの内部及びアンプルカートリッジインデクシングプラットホームを露出する。好ましい実施形態においては図示された符号をデバイス上蓋内面上で使用することにより装填のためにACHを整列させる正しい方向を表示してよい。使用者はアンプルカートリッジを含有するACH、又は、ホルダーがデバイスに一体化されている場合はアンプルカートリッジを挿入し、デバイス及びACH上の目視による照合により適切に整列されていることを確認する。デバイスの上方半分を閉鎖して固定する。
【0082】
特定の実施形態においては、使用者はデバイス本体の外側上に位置するインデクシングベゼルを移動させることによりアンプルカートリッジをインデクシングする。この操作は新しいアンプルを適切な発射位置にまで回転させる。インデクシングシステムは、新しいアンプルが適切に「発射準備完了」位置にある時、フィードバックを使用者に提供する。使用者のフィードバックはインデクシングレバー又はベゼルを介した触感フィードバックの形態であってよい。使用者のための他の形態のフィードバックは使用者がアンプルが正しい位置にあることを見ることができる視覚的フィードバック、又は、デバイスが発射準備完了にあることを示すカラーインジケーター、又はアンプルが適切に装填されている場合に「カチッという音」がする聴覚的シグナルを包含する。アンプルが適切に装填されていることを使用者が指令された後、使用者はアイガイドカバー(又はキャップ)を取り外し、デバイスから引出されれば所定位置にはまり込むアイガイドを伸長させる。アイガイドの伸長により安全器具が解除され、デバイスの発射が可能となる。使用者はスイッチのラッチ解除によりアクチュエーターパドルのロックを解除し、これによりアクチュエーターは振子運動により開放されて発射準備完了位置となる。
【0083】
デバイスを発射させるためには、使用者は眼窩の内部辺縁に対向させてアイカップを置き、軽く押し付けることによりアイカップを拡張させ、瞼を広げ、これを広がった位置で保持する。使用者はアイカップの上に位置する視覚標的(又は開口部)に眼の焦点を合わせて眼の本来のレンズを物質路外に回転させる。次に使用者はアクチュエーターパドルを押して物質を投与する。格納のためには、使用者はアクチュエーターパドルを押し下げた位置に保持してスイッチをラッチすることにより積載位置にロックする。使用者はデバイス本体内にアイガイドを引き込み、カバー又はキャップを元の位置に戻す。
【0084】
さらに好ましい実施形態の開示したデバイスは図10に示す通りである。このデバイスは本発明者等によりBlowFishデバイスと命名されており、やはり毎日の自己投与のための消費者による使用を目標とした眼窩用薬剤送達系となるように設計されている。この実施形態は上記したPufferFishデバイスの特徴1つ以上を組み込んでよい。使用者はクラムシェル型のデバイスを開け、そして、好ましくは16〜30個の1用量アンプルを含有するアンプルカートリッジ内に入れることによりデバイスに充填する。デバイスは1用量又は2用量アンプルを発射するように配置することができる。以下の説明は1用量内部穿刺アンプルと共にデバイスを使用する場合に関するものであるが、本明細書に開示した如何なるアンプルもデバイスと共に使用できる。好ましくは、デバイス又はアンプルの一体型部品であってよいノズルを外側に向け、周囲に対して垂直とする。
【0085】
デバイスの機構を説明するためにデバイスの一連の断面図を図10に示す。図10の4つのパネルは、アンプルカートリッジ交換時、発射準備完了状態、発射状態、及び、格納配置のデバイスを示す。機械的効率化レバー50はデバイス底面上で図中には示されている。このレバーはバネ機構及びデバイスのインデクシングシステムに連結されている。レバーは一端にピボットを有し、手動で移動されれば、バネ42を起立させて発射準備完了位置とする。レバーは振子の円弧の始点に戻り、新しいアンプルを発射準備完了位置にインデクシングする。或いはこの操作を逆にしてレバーの第1運動においてインデクシングを、そして第2運動において起立を行うことができる。図10に示す通り、アンプルカートリッジを戻すと、レバーは閉鎖位置となり、バネを開放する。アンプルカートリッジはアンプル1を第1位置に入れることにより配列させる。ACHを充填した後、レバー50を準備完了位置に移動させることによりデバイスは発射準備完了となる。アイピースを伸長させ、デバイス起立中の安全器具とする。使用者の準備完了ができれば、トリガーボタン46を押してデバイスを発射させ、バネ42がピストン44をアンプル内に押し込む。発射後、レバーは閉鎖位置に戻り、アイピースは引き込まれカバーされる。
【0086】
前述の実施形態において記載した通り、クラムシェルデバイス本体はデバイス内部を外来物質の汚染又は蓄積から保護するために完全に封入される。デバイス本体から伸長させて準備完了位置にロックできる折りたたみ式のアイカップが存在する。薬剤供給路はデバイス本体の小型開口部よりなる。キャップ又はカバーを折りたたみ式アイカップ及び薬剤供給路に渡って閉鎖させることにより格納及び輸送の間の汚染からデバイスを保護することができる。クラスプは再充填のためにデバイスが開放される場合を除き、常時、デバイスのクラムシェル本体を閉鎖ロック位置に保持する。
【0087】
好ましい実施形態においては、デバイスの発射機構はヒトの手により機械的効率化ピボットレバーにより負荷(起立)することができるバネよりなる。特定の実施形態においては、BlowFishデバイスは切り取り型チップアンプルを発射するために設計されている。この場合、発射機構は発射シーケンスにアンプルの先端を切断して開放状態で保持するように設計されたデバイスの前面に遮蔽されたプラスチックカッターブレードを組み込む。トリガーボタンがカッターブレードを作動させ、そして次にプランジャーをアンプル内に駆動させてこれを圧縮し、物質を発射させるバネを開放する。カッターブレードは引き込まれ、アンプルのヒンジ先端はその元の位置に戻ることによりアンプルをプラグして漏出の危険性を低減する。カッターブレードは好ましくは発射シーケンス又はデバイスの充填又は充填物除去の間に使用者がカッターに曝露されるのを防止するシュラウド内に格納される。カッターは好ましくはハイインパクトスチレンプラスチックより構築される。
【0088】
発射シーケンス(デバイスのトリガー時から眼への薬剤の送達終了時まで)は好ましくは200〜300ミリ秒内に終了する。他の好ましい実施形態においては、投与の間に使用者に瞬きを起こさせる可能性のある大音又は威嚇的な音を低減するため、及び、アンプルに対するプランジャーの衝撃により生じるデバイス内の振動を低減するため、発射機構は減音処置される。好ましくは、トリガーボタンを押し下げるために必要な力はデバイスに装填されているアンプルの種類及びバネの配置に応じて、2〜8ポンドである。発射機構により生じる力は種々の力のバネを挿入することにより変更することができ、これにより、デバイスはより広範なアンプル及び種々の粘度の物質を発射できるようになる。
【0089】
図10のデバイスにおいて示したものと同様の発射システムを含んでよい別の実施形態を図11に示す。本実施形態は前記開示したPufferFish及びBlowfishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよい。このデバイスは機構を起立させるためにデバイスの底部上の回転可能な部材52を使用する。このデバイスはバネ機構上に契合して発射のためにデバイスを起立させるためにデバイス中の機械的効率化された傾斜平面を利用している。傾斜平面を使用することによりデバイスを起立させるために必要な力が低減され、高齢者又は障害者の作動が容易になる。
【0090】
本明細書に開示したデバイスの別の実施形態は図12に示す通りであり、本発明者等によりSailFishと称されている。本実施形態もまたPufferFish及びBlowfishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよい。デバイスはバネ駆動プランジャーシステム64に連結されたデバイス内のメカニカルレバー63に連結したスプリットウイング61、62を含む。デバイス本体のスプリットウイングが完全に開放されると、メカニカルレバーがバネを起立させる。スプリットウイングの閉鎖により、アンプルカートリッジがインデクシングされ、新しいアンプルがトリガーボタン下の発射準備完了位置に移動する。好ましくはアイカップもまたデバイスと一体化され、伸長されて使用準備完了となる。デバイスは図13において、閉鎖位置、格納準備完了状態である。アイカップは引き込まれ、格納のためにウイングによりカバーされる。発射ボタン71はまたアンプルカートリッジを目視するための拡大ウインドウとして作用し、使用者により常時目視可能となる。
【0091】
デバイスのヒンジされたウイングはインデクシング機構を始動させる。ウイングが始動するとインデクシング機構が新しいアンプルを回転させて「発射準備完了」位置とする。好ましくは、インデクシング機構は上記した通り新しいアンプルが発射準備完了位置に適切に搭載されている幾つかの明確なシグナルを使用者に与える。本実施形態の発射機構はデバイス本体のスプリットウイングを開閉することにより負荷(起立)させることができるバネを含む。このシステムはヒトの手に対し機械的効率を与える。図12に示すSailFishデバイスは切り取り型チップアンプルを発射するために設計されているが、別の設計により本明細書に開示した如何なる型のアンプルも発射してよい。
【0092】
デバイスを作動するためには、使用者はデバイス前面をラッチ解除する。デバイスの2つのスプリットウイングはヒンジされ、振子運動により開放され、デバイス内面及びアンプルカートリッジインデクシングプラットホームを露出する。使用者はACHを挿入し、それがデバイス及びアンプルカートリッジに対して適切に整列されていることを目視により照合することにより確認する。デバイスを閉鎖し、ラッチで固定する。
【0093】
物質の投与のためには、使用者はデバイスの前面のラッチを解放して2つのスプリット本体ウイングをロック解除し、アイカップポート上で前面カバーを開放する。スプリットウイングを完全長(約160°)開放し、これによりバネが引き戻されることによりデバイスが起立する。使用者はアイガイドをデバイスから引き出すことによりこれを伸長させ、次に180°回転させ、これによりアイカップを適切な位置にロックする。この動作はまた安全器具を開放し、これによりデバイスはウイングを作動させ、ACHをインデクシングし、新しいアンプルを回転させて発射準備完了位置とする。インデクシングシステムにより、アンプルが適切に装填されていれば前記した通り使用者に対しフィードバックを与える。本体のスプリットウイングは閉鎖され、伸長されたアイカップ周囲にロックされる。
【0094】
デバイスを発射させるためには、使用者は眼窩の内部辺縁に対向させてアイカップを置き、軽く押し付けることによりアイカップを拡張させ、瞼を広げ、これを広がった位置で保持する。使用者はアイカップの上に位置する視覚標的(又は開口部)に眼の焦点を合わせて眼の本来のレンズを薬剤の発射線外部に回転させる。次に使用者はデバイス上面に位置する発射ボタンを押し、アンプル内の物質を投与する。デバイス発射の後、本体のスプリットウイングは90°開放し、使用者はアイカップを180°回転させることによりアイガイドを引き、次にテレスコープアームをデバイス内に押し戻す。この動作により安全器具が再契合し、アイカップを積載位置にロックする。スプリットウイングは完全に閉鎖され、アイカップカバーが閉鎖され、クラスプは再契合する。次にデバイスは保管準備完了状態となる。
【0095】
本明細書に開示したデバイスの別の実施形態は図14に示す通りであり、本発明者等によりRockFishデバイスと称されている。この実施形態もまたPufferFish、Blowfish及びSailFishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよい。本デバイスは1用量又は2用量のアンプルを発射するように配置され、本明細書に記載した何れの方のアンプルも使用できるように配置されている。本デバイスは電池により動力付与され、モーター駆動されるドライバーピストンをデバイス発射のための動作の主要機構として利用している。デバイスの分解図を図15に示す。デバイスは好ましくは従来の使い捨て電池より、又は、再充電可能の電池又は他の適切な動力系により動力付与される。安全機構、トリガー、アンプルインデクシング放出及びデバイスステータス態報告のためのデバイスの制御システムはPCB又はデバイスカバー内に位置するASICのようなプログラム可能なマイクロプロセッサコンピュータデバイスにより電子工学的に制御される。上面カバーの外面上のLCDパネルは使用者のための視覚ディスプレイインターフェイスを提供する。
【0096】
好ましい実施形態においては、デバイスのモーターはDC電源のステップモーター又はサーボモーター又はカスタムモーターであって、3〜9ボルトを必要とする内部ギアボックスを有し、トルクは40〜120oz−inであり、速度は50〜240rpmである。当業者の知るとおり、このモーターの説明は例示に過ぎず、そして、他の適切なモーターもデバイス又は本明細書に開示した他のデバイスと共に使用できる。
【0097】
好ましい実施形態においては、クラムシェルデバイス本体は直径約3インチ及び高さ1.6インチである(折りたたみ式アイガイドを除く)。空の状態の重量は90g〜140gである。デバイス本体は使用済みアンプル数、残存アンプル数、及び、デバイスに装填されている物質の種類を判断するためにアンプルカートリッジを使用者が目視により調べられるように拡大ウインドウを含んでいる。
【0098】
デバイスの発射機構はギアボックスを介してドライバーに連結されているステップ又はサーボ型のDCモーターを含む。モーター駆動されたドライバーは高速で作動し、プランジャーをアンプルに対向して駆動させ、デバイスを発射させ、そして次にプランジャーを開始位置まで引く。或いは、機構はモーター駆動されたカムにより始動されるプランジャー又はモーター駆動カム/バネ駆動されたプランジャーを含んでよい。モーター駆動されたカムにより始動されるプランジャーの場合は、モーターはプランジャーに直接連結されたカムを回転させることにより圧縮力を与える。モーター駆動カム/バネの場合は、モーターがプランジャーに連結されたバネを起立させるカムを始動させる。機械的又は電子工学的にバネが開放された時点で、それがプランジャーに対して圧縮力を与え、アンプルを発射させる。
【0099】
特定の実施形態においては、本明細書に開示したデバイスのいずれかは、好ましくはデバイスのカバー内に密封収容されたPCB又はASICよりなる制御システムを組み込んでよい。制御システムは以下の機能を実施する。
・ On/Offデバイス作動
・ LCDディスプレイ及びデバイスステータスモニター
・ 電子トリガー
・ インデクシング安全器具開放
・ アイガイド安全器具開放
制御システムは例えば以下のものを包含するデバイスステータスをモニタリングして報告するように設計される。
・ 薬剤投与シーケンス
・ コンプライアンス通知及び追跡
・ 薬剤名及び有効期限の追跡
・ デバイス操作及びライフサイクルのステータス
好ましくは、デバイスのPCB(又はASIC)は、デバイスのステータス及び使用者のコンプライアンスに関する追跡及び報告のためにファームウエア、ソフトウエア及び非揮発性メモリの組み合わせを利用することによりデバイスを作動する。図16に示すフローチャートは電池により動力供給される本明細書に開示したデバイスに関するファームウエア/ソフトウエアの技術の主要な機能を総括したものである。
【0100】
電子工学的に動力付与されたデバイスの第1世代のファームウエア/ソフトウエアの能力は主に以下の重要な機能を提供する。
・ デバイスステータス報告−デバイスのライフサイクル、電池の状態、時間/日付時計。
・ 操作シーケンス報告−作動過程及び次の操作上の工程に関してデバイスの現況を調べ、ディスプレイインターフェイス又は聴音可能なシグナルを介して使用者に通知する能力。
・ コンプライアンス追跡−過去24時間の投与回数、最終投与時/日の記録。
・ デバイスをインデクシングし、デバイスを発射することに関する安全機構の制御。
・ 自動シャットダウン操作。
【0101】
アンプルカートリッジに搭載された現場プログラム可能なASIC又は同様のチップと組み合わせられたデバイスにおけるより進歩したソフトウエア/ファームウエアは以下の能力をさらに与えるものである。
・ 特定の使用者に関する薬剤投与及び詳細なコンプライアンスの履歴及び処方又は治療薬の追跡と記録。
・ 正しいアンプルカートリッジ及び物質がデバイスに装填されているか、及び、アンプルカートリッジが所定の使用者に対する正しい処方であるかの判断。
・ 使用者に投与された物質が使用者に現在処方されている何れかの他の医薬と何らかの副作用を起こすかどうかに関する追跡と記録。
・ アンプルカートリッジ内の物質が有効期限切れかどうかの判断。
・ 医師、第3者の処方担当者又は薬剤師によりアンプルカートリッジチップにロードされた個人用の処方に基づいた薬剤使用時期の使用者への自動告知。
・ 使用者が処方された使用に従わないか、乱用している場合のデバイスの作動を禁止。
・ 個人のコンプライアンス履歴を医療記録内への、又は請求目的のアップロード。
・ 処方箋レフィルの自動再オーダー
記載したデバイスは1用量又は2用量アンプルのいずれかを発射するために配置される。2用量アンプルは、トリガーを最初に押した時点では2用量アンプルの半分を、次にトリガーを二回目に押した時点で残余を圧縮するようにモーター駆動ドライバーをプログラムするようにPCB制御システムに変更することが必要である。モーター駆動されたドライバーは初回用量を圧縮して発射し、次にプランジャー又はローラーを上げ戻すことによりアンプルに対する圧力を開放することにより、アンプルの圧縮を開放して不慮の漏出を防止する。第2用量の投与は二回目にトリガーが押され、アンプルが完全に排出された時点で終了する。
【0102】
特定の実施形態においては、作動の安全のためにアイガイド上に搭載されたマイクロスイッチコネクションが存在する。アイガイドを所定位置まで伸長してアイカップを「準備完了」位置とすると、マイクロスイッチが安全機構を解除してデバイスの発射を可能にする。アイガイド/アイカップを折りたたんでデバイス内に戻すと安全器具機構が再契合する。3分(この時間制限は変動する)より長時間に渡ってデバイスが完全に可能な位置(即ちデバイスが使用可能でありアイカップが伸長位置)に放置されれば、安全回路がデバイスをシャットダウンし、再作動しない限り発射できなくなる。クラスプは、デバイスが再充填を必要とする場合を除いて常時、閉鎖されロックされた位置にデバイスのクラムシェル本体を保持する。
【0103】
上記したデバイスを使用するためには、使用者はデバイス上面のボタンを押してデバイスを作動し使用可能とする。この工程により、格納及び輸送の間に安全な位置にアンプルカートリッジをロックする小型カム又はギアが開放される。使用者はデバイス側面の小型レバーをスライドさせることによりアンプルを「発射準備完了」位置にインデクシングする。使用者はデバイスがインデクシング工程を完了したことを確認するための数種の形態のフィードバックを受けてよい。例えば、レバーがインデクシング工程の終了時に停止すれば、デバイスは聴音可能な機械的又は電子的なシグナルを発し、そして視覚的にはカートリッジ上面のアンプル番号がデバイス上面の拡大ウインドウを介して目視できる。或いは、デバイスが発射準備完了にあるがなお「安全」モードであることのアイコン又はテキストシグナルをLCD又はLEDパネルがディスプレイすることができる。
【0104】
発射シーケンス終了時、ACH安全器具はカートリッジをロックして移動を防止するカム又はギアと電子工学的に再契合する。次に使用者は例えばアイカップを180°回転させて掛け金を開放し、その後テレスコープアームをデバイスに押し戻すことによりアイガイドを引き戻す。この動作により安全に作動しているデバイスを再契合させ、アイカップを積載位置にロックする。使用者はオン/オフボタンを押すことによりデバイスを脱作動することができ、又は、デバイスは非使用の約3分(或いは他の所望の時間)後に自動的に脱作動する。キャップ又はアイカップカバーを戻し、デバイスを保管することができる。
【0105】
開示したデバイスの別の実施形態は図17に示す通りであり、本発明者等によりBoneFishデバイスと称されている。この実施形態もまた上記したPufferFish、Blowfish、SailFish及びRockFishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよく、そしてRockFishデバイスと設計及び構築法において同様である。本デバイスは1用量又は2用量のアンプルを発射するように配置され、本明細書に記載した何れの方のアンプルも使用できるように配置されている。好ましくは、本デバイスは1用量の破裂型アンプル用に設計されており、そして破裂型アンプルの独特の形状をしっかり保持するように設計されている交換可能なアンプルカートリッジをデバイスに装填する。本デバイスは電池により動力付与され、モーター駆動されるドライバーローラーをデバイス発射のための動作の主要機構として利用している。デバイスは好ましくは従来の使い捨て電池より、又は、再充電可能の電池又は他の適切な動力系により動力付与される。安全機構、トリガー、アンプルインデクシング放出及びデバイス状態報告のためのデバイスの制御システムはデバイスカバー内に位置するPCB(又はASIC)チップにより電子工学的に制御される。上面カバーの外面上のLCDパネルは使用者のための視覚ディスプレイインターフェイスを提供する。
【0106】
デバイスの発射機構はギアボックスを介してドライバーに連結されているステップ又はサーボ型のDCモーターを含む。モーター駆動されたドライバーは高速で作動し、ローラーを破裂型アンプル上で駆動させ、デバイスを発射させ、そして次にローラーを開始位置まで引く。好ましい実施形態においては、ローラーが破裂型アンプル上を通過する再に、アンプルの先端の切断開口部を圧縮して破裂させ、破裂型アンプル内の液体を切断開口部から全面に向けて搾り出す。別の実施形態においては、アンプル上部を圧縮して振動させるか押込む屈曲ロッカーでローラー機構を置き換えることができる。
【0107】
消費者用デバイスの別の実施形態は図18に示す通りであり、本発明者等によりSliderデバイスと称されている。図18の一連のデバイス断面図はデバイスの機構を説明している。図18の4つのパネルは、格納配置、発射準備完了状態、発射状態、及び、アンプル脱離状態のデバイスを示す。本実施形態はPufferFish、Blowfish、SailFish、RockFish及びBonefishデバイスの特徴の1つ以上を組み込んでよいが、本デバイスは円筒状、楕円又は長方形のチューブ及びチューブの一端に位置するアイカップよりなる点においてこれらの他のデバイスとは設計において異なっている。本明細書に開示したデバイスは1用量の内部穿刺アンプルのために設計されているが、1用量および2用量アンプル、並びに本明細書に記載した何れかの型のアンプルを発射するために配置させることができる。
【0108】
好ましい実施形態においては、デバイスは使用済みアンプル数、残存アンプル数、及び、デバイスに装填されている物質の種類を判断するためにアンプルカートリッジを使用者が目視により調べられるように透明ウインドウを組み込んでいる。アンプルカートリッジはデバイスのカートリッジチャンバーの1つ以上を曝露させるデバイスの基底部の小型の出し入れ口を介してデバイス内に装填してよい。好ましい実施形態においては、使用者はアンプルカートリッジをチャンバーに装填するが、ここで、アンプルカートリッジはアンプルカートリッジの上面にフランジ又はタブを組み込んでおり、これにより使用者はデバイスの適切な方向にアンプルカートリッジを挿入する必要が生じる(例えば薬剤のラベル及びアンプルの番号が表示され、使用者はデバイスの透明ウインドウを介してそれを目視することができ、これによりコンプライアンス追跡及び薬剤識別がし易くなる)。アンプルカートリッジをチャンバーに挿入した後、出し入れ口を閉鎖し、ラッチすることによりアンプルカートリッジがデバイス内に確保されるようにする。この過程はデバイス内の別のチャンバー各々を装填するために反復される。好ましくは、アンプルカートリッジは1用量アンプル約10〜16個を含有する。特定の実施形態においては、アンプルは両端部に渡り整列されるか、又は、隣接する列1つ以上において水平に重積される。好ましい実施形態においては、2つ以上の独立した格納チャンバーがデバイス内に存在し、これにより、2つ以上の異なる物質をデバイス内に格納できる。他の実施形態においては、アンプルカートリッジはデバイスの端部に搭載され、そして各格納チャンバー中のアンプル残存数を示すように目盛付けされる。
【0109】
外来物質の汚染又は蓄積からデバイスの内部を保護するためデバイス本体は完全に封入される。好ましくは、アイカップはデバイス上面に着座し、プランジャーがアイカップをロックすることによりそれが格納中に滑らないようにする。アイカップは親指又はそれ以外の指で押すことにより水平方向にスライドし、アンプルを装填、発射及び脱離の位置に移動させる。デバイスはデバイス底部にアンプルの供給分を含有する円筒管の形態のアンプルカートリッジ1つ以上を挿入することにより装填される。発射準備完了位置にアンプルをインデクシングすることは、アンプルカートリッジチャンバー2つ以上のうちの1つに渡ってアイカップをスライドさせること、及び、デバイスを上方に回転させることによりアンプルが重力によりアイガイドの発射準備完了位置に供給されるようにすることを包含する。或いは、アンプルをバネ又はレバーを用いてアイガイド内に供給することによりアンプルをアンプルカートリッジから発射準備完了位置に移動させることができる。アイカップを開放すればそれはプランジャー上をスライドして戻る。或いは、使用者により解放されれば発射準備完了位置に戻るバネを用いてアイカップをはいちさせる。好ましい実施形態においてはデバイス側面上のメカニカルレバーをバネ駆動プランジャー機構に連結する。レバーをデバイス基部に向けて引くと、バネ及びプランジャーは起立して発射準備完了位置となる。機械的トリガーにより放出されれば、バネは小型プランジャーを駆動し、これにより発射準備完了位置に既に装填されているアンプルを圧縮して発射させる。アンプルの物質が放出された後、使用済みアンプルを露出させる逆方向にアイガイドをスライドさせることによりアンプルを脱離させる。使用者はデバイスを穏やかに振動させることによりアイガイドからアンプルを脱落させ、使用済みアンプルを廃棄し、アイガイドを保管準備完了位置に戻す。キャップ又はカバーを戻し、デバイスを保管する。
【0110】
好ましい実施形態においては、デバイスは交換まで400〜600投薬のサービスサイクルを有する。さらに、デバイスは好ましくはハイインパクトポリスチレン、ポリカーボネート、ABS又はナイロン6のようなFDA認可プラスチックより構築する。好ましくはデバイスは概ね直径25mm、長さ130mmである。空の重量は45g〜80gである。
【0111】
施設用デバイス
本発明の開示の特定のデバイスは好ましくは医院、病院、療養所及び介助看護生活環境のような施設環境において患者又は入院者に物質を投与する介護者による使用のために設計される。これらの状況における介護者は、市販薬又は処方箋の眼科用製品を種々の状態、例えば緑内障、ドライアイ及びアレルギーに対して投与しなければならない場合が多く、そして、抗感染症剤、抗炎症剤及び術後の複合薬剤を投与しなければならない場合が多い。これらのデバイスは本明細書においては施設用デバイスと称する。
【0112】
施設用デバイスの実施形態は図19に示す通りであり、本発明者等によりSeaHorseデバイスと称されている。本デバイスは患者集団に眼科用薬剤を広範に投与するための眼科用薬物送達系として設計されている。デバイスはアイカップ112、デバイスステータスインジケーターディスプレイ113、デバイス/アンプル/患者データディスプレイ114、メニュースクロール用ディスプレイボタン115、及びメニュー選択、グラップル開放、グラップル閉鎖及び安全のための多機能サムボタン116を包含する。デバイスは1用量又は2用量アンプルを発射するために配置することができる。以下の説明は1用量外部穿刺アンプルを発射するための配置に関するものであるが、デバイスは本明細書に記載した如何なるアンプルの使用にも適合させてよい。
【0113】
SeaHorseは好ましくはモーター駆動されるドライバーピストンをデバイス発射のための動作の主要機構として利用する電池により動力付与されるデバイスである。デバイスは従来の使い捨て電池より、又は再充電可能の電池又は他の適切な動力源により動力付与される。安全機構、トリガー、アンプル装填及び脱離、及びデバイスステータス報告のためのデバイスの制御システムはPCB又はデバイス本体内に位置するASICチップにより電子工学的に制御される。上面カバーの外面上の2つのLCDパネルは介護者のための視覚ディスプレイインターフェイスを提供する。
【0114】
外来物質の汚染又は蓄積からデバイスの内部を保護するためデバイス本体は完全に封入される。単回使用型の一体型アンプル眼科用ディスペンサー(「IAOD」)を把握し、保持し、そして脱離させるために設計された、デバイスの前面上のグラップルマウントが存在する。IAODは単回使用アイカップ、所望の物質を含有するアンプル、及び、全体の要素を共に保持し、そして、物質投与のためのデバイス上にIADOを搭載させる手段として機能する搭載カラー部よりなる。好ましくは、軟質プラスチック(又はゴム)のアイカップを剛性のカラー部に固定する。或いは、アンプルは搭載カラー及び鼻又は耳用の薬剤送達における使用のために設計されたノズルと一体化することができる。一体型アンプルノズルディスペンサー(IAND)と称するこの形状は内部作動プランジャー又はピストンを組み込んだ単回使用ノズル、物質を含有するアンプル及び全体の要素を共に保持し、そして、投与のためのデバイス上にIANDを搭載させる手段として機能する搭載カラー部よりなる。これらのディスペンサーは患者の眼、鼻又は耳に所望の物質を投与するために使用してよい。
【0115】
好ましい実施形態においては、IAODは瞼の開口、投与中正しい位置に瞼を保持すること、及び、眼に対して相対的に正しい方向にデバイスを位置づけることを容易にする。例えばアイカップの両側に切り込み部を設けることにより穏やかな圧力を適用すればアイカップが屈曲して瞼を開口させることができる。眼の本来のレンズが上方に、そして物質の流れの発射路の外に回転するように投与中に眼が焦点を合わせるべき「標的」を与えるアイカップ内の視覚的照合物が存在する。さらに、アイカップ材料は好ましくは透明である。この特徴は物質の投与中患者の瞼の位置を介護者が目視し易いように設計されている。IAODは単回投与(又は2用量アンプルの場合は2回の連続投与)のために使用され、その後は廃棄されるように設計されている。
【0116】
好ましい実施形態においては、デバイスは交換まで20000物質投与のサービスサイクルを有する。他の好ましい実施形態においては、デバイス本体は高さ薬7インチ、長さ5インチ(IAODを含む)及び深さ2インチである。空重量は1〜2ポンドである。好ましくはデバイス本体及びハウジングの部品はポリスチレン、ポリカーボネート又はABSプラスチックのようなFDA認可材料より構築する。好ましい実施形態においてはデバイスは、3〜9ボルトを必要とする内部ギアボックスを有し、トルクは40〜120oz−inであり、速度は50〜240rpmを有するDC電源のステップモーター、サーボモーター又はカスタムモーターにより動力付与される。当業者の知るとおり、このモーターの説明は例示に過ぎず、そして、他の適切なモーターもデバイス又は本明細書に開示した他のデバイスと共に使用できる。
【0117】
特定の実施形態においては、IAOD又はIANDは個包装のホイル密封容器中、又はバネ供給カートリッジ含有マルチディスペンサー中にパッケージする。パッケージシステムは、装填又は脱離の何れかのためにIAOD又はIANDに物理的に接触する必要なく介護者がデバイスへの装填を行えるように設計されているため、システムの一体型成分であり、このため、交差汚染の危険が低減される。このような設計の例を図20に示す。
【0118】
デバイスは何れかの手により作動することができる。ハンドルは屈曲しており、握り易く作動中のデバイスの取り扱い易さを増強するために布地風触感の表面を有している。デバイスのハンドル方向はバレルに相対的に90°〜120°の後退位置までの範囲である。ハンドルの別の配置はハンドルを0から180°までピボット運動又は回転させることができるものであり、これにより鼻腔内薬剤送達のために介護者がより好都合に使用できるようになる。
【0119】
好ましい実施形態においては、デバイスのステータス、作動ステータス及び患者のデータを通信するために、デバイスは視覚的ディスプレイ(LCDパネル又はLEDインジケーター)及び聴覚的シグナルの組み合わせを利用する。例えば、2つのLCDディスプレイパネルをデバイスの先端に位置させる。
【0120】
デバイスの断面図を図21に示す。デバイスはアンプルを発射させるトリガーボタン131を有する。DCモーター132はドライバーギア133に連結され、これがアンプル134を押し、眼135に向けてアイカップを介してアンプルの内容物を発射する。電池136及び任意のバーコードリーダー/RFIDスキャナー137も図中に示す。バーコードスキャナー又はRFIDスキャナーはデバイスが物質、使用者(患者又は薬剤受容者)及びその投与履歴の記録(コンプライアンス)を識別できるようにする。さらにまた、医療記録管理システム及び料金請求システムにワイヤレス又はドッキングクレードルを介して通信することができる。デバイスの好ましい実施形態においては使い捨て又は再充電可能な標準的9ボルト電池を使用するように設計される。代わりの電池構成もまた、国際標準またはそれ以上の所要電力に対応するものとする。
【0121】
デバイス先端上の電子工学的に制御されたグラップルはIAOD又はIANDの搭載カラー部をしっかりと把握し、そしてそれを投与のためにデバイス先端に固定するように設計されている。グラップルは2個、3個、4個又はそれより多いプラスチック、プラスチック積層又は金属のクリップ又はフックよりなり、これらがデバイスのバレル内に一体化されている。介護者によりデバイス背面上の制御ボタンが押されることによりグラップルが作動すると、それは開放され、僅かに伸長する。介護者がIAOD又はIANDの搭載カラー部上にデバイス先端を位置付け、そして再度親指で主要制御ボタンを押すことによりグラップルを閉鎖する。グラップルは電気的にサイクル運動し、IAOD又はIANDの搭載カラー部上にロックし、それらを正しい発射位置にまで引く。デバイス先端に位置するマイクロスイッチがIAOD又はIANDが適切にデバイスに装填されることを確認する。IAOD又はIANDが誤整列している場合は、デバイスは介護者にエラーメッセージを与え、そして操作を再度一巡させることができる。IAOD又はIANDが適切に装填されればマイクロスイッチがPCB又はASICに信号を送る。介護者は視覚及び聴覚的シグナルを受け取り、デバイスが「準備完了」ステータスであることを確認する。次にPCB又はASICが安全器具を開放し、デバイスの電子的トリガーを可能にする。
【0122】
投与操作終了後、介護者は制御ボタンを介してグラップルを始動させることにより使用済みのIAODを脱離させる。グラップルは、使用済みのアンプルを開放および脱離する。
【0123】
デバイスの発射機構はギアボックスを介してドライバーに連結されているステップ又はサーボ型のDCモーターを含む。モーター駆動されたドライバーは高速で作動し、プランジャーをアンプルに対向して駆動させ、デバイスを発射させ、そして次にプランジャーを開始位置まで引く。或いは、機構はモーター駆動されたカムにより始動されるプランジャー又はモーター駆動カム/バネ駆動されたプランジャーを含んでよい。モーター駆動されたカムにより始動されるプランジャーの場合は、モーターはプランジャーに直接連結されたカムを回転させることにより圧縮力を与える。モーター駆動カム/バネの場合は、モーターがプランジャーに連結されたバネを起立させるカムを始動させる。機械的又は電子工学的にバネが開放された時点で、それがプランジャーに対して圧縮力を与え、アンプルを発射させる。
【0124】
前述したとおり、本明細書に開示した施設用デバイスの特定の実施形態はPCB又はASICよりなる制御システムを組み込んでよく、そして、ファームウエア、ソフトウエア及び非揮発性メモリの組み合わせを利用しながら、前述の機能の1つ以上を実施する。さらに、制御システムはIAODの装填及び脱着、及びバーコードスキャナー又はRFIDスキャナーの作動を含むデバイスの発射シーケンスを制御してよい。2つのLCDパネル近傍に位置する回転マウスボタンによりデバイスステータス制御のためのメニュースクロール及びメニュー選択を行うことができる。
【0125】
上記した通り、施設用デバイスは1用量又は2用量のIAODのいずれかを発射させるために適合させてよい。2用量アンプルは、トリガーを最初に押した時点では2用量アンプルの半分を、次にトリガーを二回目に押した時点で残余を圧縮するようにモーター駆動ドライバーをプログラムするようにPCB制御システムに変更することが必要である。モーター駆動されたドライバーは初回用量を圧縮して発射し、次にアンプルに対する圧力を開放することにより不慮の漏出を防止し、そして次に二回目にトリガーが押された時点で工程が終了する。2用量を1アンプルから投与する能力により消費者に対するコストがさらに低減される。
【0126】
別の実施形態において、デバイスに搭載又はグラップルされたマイクロスイッチ接続部が存在する。デバイスにIAODが適切に装填されている場合は、デバイス先端のマイクロスイッチが安全機構を解除し、そしてデバイスを発射させる電子的トリガーを可能とする。投与前に発射シーケンスを停止することもまたソウチステータスマウス/スクロールボタンを介して行うことができる。さらにまた、デバイスが特定の時間、例えば3〜5分間使用されない場合は、デバイスのタイムアウト回路がデバイスを脱作動し、安全機構を契合させる。
【0127】
好ましい実施形態においては、介護者はデバイスをオンにするデバイス背面のサムボタンを押すことによりデバイスを作動させる。デバイスにバーコードスキャナーが配置されている場合は、介護者はデバイスのハンドルに位置するスキャナーを用いて患者のバーコードをスキャンする。バーコードスキャナーはサムボタンを押して保持することにより作動される。次にバーコードスキャナーを再度用いて投与すべきアンプルのバーコードをスキャンする。このデータをデバイスのメモリに記録するか、又は、ワイヤレスで医療記録管理システムに転送する。前者の場合は、患者のコンプライアンスのデータは、後にデバイスがそのクレードルにドッキングされて同調させた時点でダウンロードされる。
【0128】
デバイスを発射させるためには、介護者は眼窩の内部辺縁に対向させてアイカップを置き、軽く押し付けることによりアイカップを拡張させ、瞼を広げ、これを広がった位置で保持する。使用者はアイカップの上に位置する視覚標的(又は開口部)に眼の焦点を合わせて眼の本来のレンズを物質発射線外に回転させる。介護者はデバイスハンドルに位置するトリガーボタンを押し、物質を投与する。デバイスに2用量アンプルが装填されている場合は、この操作の二回目をもう一方の眼に対して反復する。投与終了後にサムボタンを押すことによりIAODが廃棄される。
【0129】
鼻腔内デバイス
鼻腔内デバイスの実施形態は図22に示す通りであり、これは本発明者等によりSwordfishデバイスと称されており、個人用又は施設用の何れかのために設計されている。このデバイスは単回使用の使い捨ての鼻腔内薬剤送達系であり、好ましくは処方された薬剤又はワクチンの投与が頻繁ではない場合に使用される。デバイスの例示される適用例は痛止め(例えば偏頭痛用)又はインフルエンザワクチンの鼻腔内送達を包含する。デバイスは以下の主要な要素、即ち、投薬器(プランジャーとアンプルが収納されているチューブ型のハウジング)、プランジャー及び投与すべき物質を含有するアンプルよりなる。デバイスは投薬器内にプランジャーを押込むことにより発射される。このデバイスは本明細書に開示した如何なる型のアンプル並びに1用量又は2用量アンプルの投与のために容易に適合させることができる。好ましくは、デバイスはポリスチレン又はポリプロピレンのようなFDA認可材料により構築する。
【0130】
好ましい実施形態においては、鼻腔内用デバイスのプランジャー及び内壁はパッケージング及び輸送のために固定された位置にプランジャーをロックできるようにした幾何学的な形状を有するリッジガイドを組み込んでいる。このデバイスを使用するためには、使用者は1用量発射位置内にプランジャーの立ち上がったリッジが突き当たってロックされるまで閉鎖されロックされた位置からプランジャーを引出して回転させる。例えば、プランジャーを180°回転させてデバイスをロック解除し、アンプル、例えば1用量アンプルを発射で切るようにする。使用者は例えば投薬器上のマークにプランジャー上のマークを整列させることによりプランジャーが適切に位置づけられていることを目視により確認してよい。デバイスが発射準備完了となった後、使用者は適切な鼻腔内に投薬器の先端を挿入し、そして、完全停止位置に来るまでプランジャーを押し下げることによりデバイスを発射させる。
【0131】
デバイスはまた、例えば処方された治療用途が鼻の両側への投与を必要とする場合に、2用量アンプルを発射するように配置させることができる。2用量アンプルを投与するためには、1用量アンプルと同様の操作に従い、そして第1用量が発射された後、使用者はデバイスを離してプランジャーを回転させて第2の2用量の発射位置とする。例えば、これはプランジャーを90°回転させて2用量アンプルの最初の半分を発射し、そして次にプランジャーをさらに90°回転させて2用量アンプルの第2の半分を発射することにより実施できる。使用者は投薬器の先端を別の鼻腔に挿入し、完全停止位置となるまでプランジャーを押し下げることによりデバイスを発射する。
【0132】
特定の実施形態においては、鼻腔内用デバイスにより投与されるスプレー霧の幾何学的特徴及び液滴径はアンプル穿刺体の設計により制御される。好ましい実施形態は約0.28mm〜約0.75mmの内径の内部中空チャンネルを有する外部穿刺体である。内部チャンネルの吐出点又はノズルの内径は中空チャンネルの内径と同じであることができるか、又はデバイスから吐出する際のスプレー霧の形状又は液滴径を変更するためにそれをより小さくすることにより変動させることができる。別の実施形態においては、デバイスは、放射された薬剤のスプレー霧を鼻粘膜に直接当たるように向けるために直線路ではなくむしろ角度をつけてあるチャンネルを形成するような内部チャンネル及びノズルを有する外部穿刺体の使用を組み込む。スプレー霧を鼻粘膜に再び向けることは、は投薬器とプランジャー機構の直線軸に相対的に20〜90°となるように外部穿刺体の内部チャンネルに角度をつけることにより達成される。投薬チューブの先端もまた相当する角度を有する開口部を組み込むように改変してよく、これにより鼻腔内へのデバイスの挿入の角度から20〜80°で投薬器からスプレー霧が吐出できるようになる。
【0133】
鼻腔内デバイスの別の実施形態は前記したSeaHorseデバイスに基づいており、デバイスはIANDを用いて鼻又は耳内に特定の物質を投与するように配置されている。IANDはIANDと同様の態様でデバイスに接続されている単回使用のアンプルアプリケーターである(即ち剛性の搭載カラー部を用いる)。IANDはアプリケーターチューブ、アンプル及び移動可能なプランジャーを包含する。IANDは例えば内部穿刺アンプル又は外部穿刺アンプル又は本明細書に記載した何れかの他のアンプルを用いて配置させることができる。プランジャー141及び内部穿刺アンプル142の断面図を図23に示す。
【0134】
IANDはIAODに関して前述したものと同様の態様においてデバイスの端部上に搭載される。鼻腔内送達のためのアンプルの別の設計は鼻腔内へのIANDの先端の進入方向を60°〜90°の範囲の角度で濃縮されたパターンにおいてスプレー霧を供給できるようにする。この能力はスプレー霧パターンを鼻腔内の粘膜に向けるように設計される。
【0135】
本明細書に開示し、特許請求した全ての組成物及び方法は本発明の開示を参考にすれば予定外の実験を行うことなく実施完遂することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態に関して記載したが、本発明の概念、精神及び範囲を外れることなく、本明細書に記載した組成物及び/又は方法及び方法の工程又は工程順に対し、変更を適用してよいことは当業者の知るとおりである。より詳細には、化学的又は生理学的に関連する特定の薬剤を本明細書に記載した薬剤の代替としながら同じ結果が達成されることは明らかである。このような当業者のよく知る同様の代替物及び変更は添付する請求項に定義される本発明の精神、範囲及び概念に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0136】
以下の図面は本明細書の部分を構成し、そして、本発明の特定の特徴をさらに説明するために呈示する。本発明は本明細書に記載する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することによりさらに良好に理解される。
【図1】図1は内部穿刺アンプルの好ましい実施形態の断面図である。
【図2】図2は切り取り型チップアンプルの好ましい実施形態の図である。
【図3】図3は切り取り型チップアンプルの別の好ましい実施形態の図である。
【図4】図4は外部穿刺アンプルの好ましい実施形態の図である。
【図5】図5は破裂型アンプルの好ましい実施形態の図である。
【図6】図6は自己穿刺アンプルの好ましい実施形態の図である。
【図7】図7は薬剤を投与するために手動パドル様デバイスを使用する薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。デバイスは格納配置において示す。
【図8】図8は発射準備完了状態の配置にある図7の実施形態の図である。
【図9】図9は図7の実施形態の分解図である。
【図10】図10はデバイスの底部のレバーにより起立させ薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図であり、ここでデバイスはカートリッジ交換、発射準備完了、発射及び格納の状態において示されている。
【図11】図11は発射機構を起立させるために外部ダイアルデバイスを使用する好ましい実施形態の図である。
【図12】図12はデバイスを起立させるために2つのウイング様の部材を操作する薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【図13】図13は閉鎖された格納位置にある図12の実施形態の図である。
【図14】図14は起立機構及び他の機能が電池を動力源とするデバイスの好ましい実施形態の図である。デバイスは開放及び格納された配置において示す。
【図15】図15は図14の実施形態の分解図である。
【図16】図16は好ましい薬物送達デバイスの電子制御の実施形態のフローチャートである。
【図17】図17は破裂型アンプルを圧縮するためにローラーを使用する薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図である。
【図18】図18は円筒形である薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図であり、ここでデバイスは格納、発射準備完了、発射及びアンプル脱離の状態において示されている。
【図19】図19は好ましくは介護者又は施設使用者による使用のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【図20】図20は一体型アンプルアイカップのパッケージの図である。
【図21】図21は好ましくは介護者又は施設使用者による使用のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の断面図である。
【図22】図22は鼻又は耳への投与のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【図23】図23は鼻又は耳への投与のための薬物送達デバイスの好ましい実施形態の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、以下:
区画内において活性成分含有物質を含む1つ以上のアンプルを含むように構成されたハウジングであって、該アンプルは、区画内において穿刺可能な領域を含む、ハウジング;
発射機構であって、該発射機構は、該アンプルが該穿刺可能な領域において穿刺され、そして、該区画の穿刺可能な領域を通過して加圧下で物質を放出するのに効果的にアンプルに圧力をかけるに有効である、発射機構;
該放出された物質を、使用者の眼、鼻孔又は耳管に向けるように構成された、送達デバイス;
機械的に有利な機構であって、該機構により、使用者が該デバイスを発射の準備が完了した構成に配置する、機械的に有利な機構;
機械的に有利な発射制御であって、該制御機器により、使用者が該発射機構を作動させて該アンプルから該物質を放出させる、機械的に有利な発射制御;
を含む薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記物質が活性な薬学的成分を含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記物質が保存料を含まない、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記アンプルからの放出の際に、前記物質が微粒子化されるかエアロゾル化される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記アンプルからの放出時まで、前記物質が滅菌されている、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記アンプルが、1用量アンプル又は2用量アンプルである、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記アンプルが内部穿刺アンプル、切り取り型チップアンプル、外部穿刺アンプル、破裂型アンプル及び自己穿刺アンプルよりなる群から選択される請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記アンプルが外部穿刺される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記アンプルが内部穿刺される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記アンプルがさらにガス又は空気のヘッドスペースを備える、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
ピストン、プランジャー又はローラーにより、圧力が前記アンプルに加えられる、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記発射機構が、ヒンジ、バネ、カム又はモーター駆動である、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記アンプルが相互に連結されている、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記アンプルが、アンプルカートリッジホルダー中にある、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
前記アンプルカートリッジホルダーが、インデクシングオリエンテーションキーを備える、請求項14に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
前記デバイスがさらに、プログラム可能なマイクロプロセッサをオなえる、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
前記プログラム可能なマイクロプロセッサが、視覚表示インターフェイス及び聴音可能な告知システムに連結されたプリント回線基板又はアプリケーション特異的集積回路である、請求項16に記載の薬物送達デバイス。
【請求項18】
前記視覚表示インターフェイスが液晶ディスプレイ又は発光ダイオードである請求項17に記載の薬物送達デバイス。
【請求項19】
発射準備完了状態の配置にデバイスを起立させるために使用者が必要な力が約2〜約8ポンドの圧力である請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項20】
前記発射機構を作動させるために使用者が必要な力が約2〜約8ポンドの圧力である、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項21】
機械的に有利な機構が、レバー又は傾斜平面である、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項22】
眼科用薬物送達デバイスであって、該眼科用薬物送達デバイスは、以下:
区画内の眼科用薬剤を含むアンプル1つ以上を含むように構成されたハウジングであって、ここで該アンプルは、該区画内に穿刺可能な領域を含む、ハウジング;
アンプルが該穿刺可能な領域において穿刺され、そして、該区画内の該穿刺可能な領域を通過して加圧下で薬剤を放出するのに有効な圧力を、該アンプルに適用するのに有効な発射機構;
該放出された薬剤を、使用者の眼に向けるように構成された、送達デバイス;
機械的に有利な機構であって、該機構により、使用者が該デバイスを発射の準備が完了した構成に配置する、機械的に有利な機構;
機械的に有利な発射制御であって、該制御機器により、使用者が該発射機構を作動させて該アンプルから該薬剤を放出させる、機械的に有利な発射制御;
を備える、眼科用薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記薬物は保存料を含まない、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記アンプルからの放出時まで、前記薬剤が滅菌されている、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
前記アンプルが、1用量アンプル又は2用量アンプルである、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
前記アンプルが、内部穿刺アンプル、切り取り型チップアンプル、外部穿刺アンプル、破裂型アンプル及び自己穿刺アンプルよりなる群から選択される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項27】
前記アンプルが外部穿刺される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記アンプルが内部穿刺される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
前記アンプルがさらにガス又は空気のヘッドスペースを備える、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項30】
前記機械的に有利な機構が、レバー又は傾斜平面である、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項31】
前記送達デバイスが、単一の使用者のために設計されている、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項32】
前記送達デバイスが、クラムシェル状、円盤状または円筒状の配置を有している、請求項31に記載の薬物送達デバイス。
【請求項33】
前記送達デバイスが、施設投与のために設計されている、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項34】
前記送達デバイスが、リボルバー状の構成を有している、請求項33に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
前記送達デバイスがさらにアイカップを備える、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項36】
前記アイカップが穿刺可能な領域と流体連通し、そして薬物の放出を使用者の眼に向ける、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項37】
前記アイカップがアイガイドを備える、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項38】
前記アイカップが一体型アンプル眼科用ディスペンサーである、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項39】
前記アイカップが折りたたみ式である、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項40】
前記アイカップが、該アイカップの1つまたは複数の面の上に刻み目付きの切り込み部を備える、請求項35記載の薬物送達デバイス。
【請求項41】
前記アンプルが、アンプルカートリッジホルダー中にある、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記アンプルカートリッジホルダーが、インデクシングオリエンテーションキーを備える、請求項41記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記アンプルカートリッジホルダーが、使用者にアンプルを投与するための、ナンバリング、カラーコード、アイコンシステムコード、点字、バーコード及び無線周波数識別デバイスよりなる群から選択される補助手段1つ以上を備える、請求項41に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記デバイスがさらにプログラム可能なマイクロプロセッサを備える、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記プログラム可能なマイクロプロセッサが、視覚表示インターフェイスに連結されたプリント回線基板又はアプリケーション特異的集積回路である、請求項44に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
前記視覚表示インターフェイスが、液晶ディスプレイ又は発光ダイオードである、請求項45に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
使用者が前記発射機構を作動させた後、約200〜300ミリ秒で該使用者の眼内に前記アンプルから前記薬剤が放出される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
鼻腔内薬物送達デバイスであって、該鼻腔内薬物送達デバイスは、以下:
区画内に鼻腔内送達に適合した物質を含むアンプル1つ以上を含むように構成されたハウジングであって、ここで該アンプルは該区画内に穿刺可能な領域を含む、ハウジング;
アンプルが穿刺可能な領域において穿刺され、そして、該区画内の穿刺可能な領域を通過して加圧下で該物質を放出するために有効な該アンプルに対する圧力を適用するのに有効な、発射機構;
該放出された物質を使用者の鼻孔に向けるように構成された、ノズル;
機械的に有利な機構であって、該機構により、使用者が該デバイスを発射の準備が完了した構成に配置する、機械的に有利な機構;
機械的に有利な発射制御であって、該制御機器により、使用者が該発射機構を作動させて該アンプルから該物質を放出させる、機械的に有利な発射制御;
を備える、鼻腔内薬物送達デバイス。
【請求項49】
前記アンプルからの放出時まで前記物質が滅菌されている、請求項48記載の薬物送達デバイス。
【請求項50】
前記アンプルが、1用量アンプル又は2用量アンプルである、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記アンプルが、内部穿刺アンプル、切り取り型チップアンプル、外部穿刺アンプル、破裂型アンプル及び自己穿刺アンプルよりなる群から選択される、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項52】
前記発射機構がプランジャーである、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項53】
前記プランジャーが、幾何学的に形状付与された隆起ガイド部を備える、請求項52記載の薬物送達デバイス。
【請求項54】
前記ノズルが、一体型アンプルノズルディスペンサーである、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項55】
前記ノズルは、前記アンプルから20〜80°の角度で前記物質を放出する、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、以下:
区画内において活性成分含有物質を含む1つ以上のアンプルを含むように構成されたハウジングであって、該アンプルは、区画内において穿刺可能な領域を含む、ハウジング;
発射機構であって、該発射機構は、該アンプルが該穿刺可能な領域において穿刺され、そして、該区画の穿刺可能な領域を通過して加圧下で物質を放出するのに効果的にアンプルに圧力をかけるに有効である、発射機構;
該放出された物質を、使用者の眼、鼻孔又は耳管に向けるように構成された、送達デバイス;
機械的に有利な機構であって、該機構により、使用者が該デバイスを発射の準備が完了した構成に配置する、機械的に有利な機構;
機械的に有利な発射制御であって、該制御機器により、使用者が該発射機構を作動させて該アンプルから該物質を放出させる、機械的に有利な発射制御;
を含む薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記物質が活性な薬学的成分を含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記物質が保存料を含まない、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記アンプルからの放出の際に、前記物質が微粒子化されるかエアロゾル化される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記アンプルからの放出時まで、前記物質が滅菌されている、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記アンプルが、1用量アンプル又は2用量アンプルである、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記アンプルが内部穿刺アンプル、切り取り型チップアンプル、外部穿刺アンプル、破裂型アンプル及び自己穿刺アンプルよりなる群から選択される請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記アンプルが外部穿刺される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記アンプルが内部穿刺される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記アンプルがさらにガス又は空気のヘッドスペースを備える、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
ピストン、プランジャー又はローラーにより、圧力が前記アンプルに加えられる、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記発射機構が、ヒンジ、バネ、カム又はモーター駆動である、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記アンプルが相互に連結されている、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
前記アンプルが、アンプルカートリッジホルダー中にある、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
前記アンプルカートリッジホルダーが、インデクシングオリエンテーションキーを備える、請求項14に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
前記デバイスがさらに、プログラム可能なマイクロプロセッサをオなえる、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
前記プログラム可能なマイクロプロセッサが、視覚表示インターフェイス及び聴音可能な告知システムに連結されたプリント回線基板又はアプリケーション特異的集積回路である、請求項16に記載の薬物送達デバイス。
【請求項18】
前記視覚表示インターフェイスが液晶ディスプレイ又は発光ダイオードである請求項17に記載の薬物送達デバイス。
【請求項19】
発射準備完了状態の配置にデバイスを起立させるために使用者が必要な力が約2〜約8ポンドの圧力である請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項20】
前記発射機構を作動させるために使用者が必要な力が約2〜約8ポンドの圧力である、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項21】
機械的に有利な機構が、レバー又は傾斜平面である、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項22】
眼科用薬物送達デバイスであって、該眼科用薬物送達デバイスは、以下:
区画内の眼科用薬剤を含むアンプル1つ以上を含むように構成されたハウジングであって、ここで該アンプルは、該区画内に穿刺可能な領域を含む、ハウジング;
アンプルが該穿刺可能な領域において穿刺され、そして、該区画内の該穿刺可能な領域を通過して加圧下で薬剤を放出するのに有効な圧力を、該アンプルに適用するのに有効な発射機構;
該放出された薬剤を、使用者の眼に向けるように構成された、送達デバイス;
機械的に有利な機構であって、該機構により、使用者が該デバイスを発射の準備が完了した構成に配置する、機械的に有利な機構;
機械的に有利な発射制御であって、該制御機器により、使用者が該発射機構を作動させて該アンプルから該薬剤を放出させる、機械的に有利な発射制御;
を備える、眼科用薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記薬物は保存料を含まない、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記アンプルからの放出時まで、前記薬剤が滅菌されている、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
前記アンプルが、1用量アンプル又は2用量アンプルである、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
前記アンプルが、内部穿刺アンプル、切り取り型チップアンプル、外部穿刺アンプル、破裂型アンプル及び自己穿刺アンプルよりなる群から選択される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項27】
前記アンプルが外部穿刺される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記アンプルが内部穿刺される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
前記アンプルがさらにガス又は空気のヘッドスペースを備える、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項30】
前記機械的に有利な機構が、レバー又は傾斜平面である、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項31】
前記送達デバイスが、単一の使用者のために設計されている、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項32】
前記送達デバイスが、クラムシェル状、円盤状または円筒状の配置を有している、請求項31に記載の薬物送達デバイス。
【請求項33】
前記送達デバイスが、施設投与のために設計されている、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項34】
前記送達デバイスが、リボルバー状の構成を有している、請求項33に記載の薬物送達デバイス。
【請求項35】
前記送達デバイスがさらにアイカップを備える、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項36】
前記アイカップが穿刺可能な領域と流体連通し、そして薬物の放出を使用者の眼に向ける、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項37】
前記アイカップがアイガイドを備える、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項38】
前記アイカップが一体型アンプル眼科用ディスペンサーである、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項39】
前記アイカップが折りたたみ式である、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
【請求項40】
前記アイカップが、該アイカップの1つまたは複数の面の上に刻み目付きの切り込み部を備える、請求項35記載の薬物送達デバイス。
【請求項41】
前記アンプルが、アンプルカートリッジホルダー中にある、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記アンプルカートリッジホルダーが、インデクシングオリエンテーションキーを備える、請求項41記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記アンプルカートリッジホルダーが、使用者にアンプルを投与するための、ナンバリング、カラーコード、アイコンシステムコード、点字、バーコード及び無線周波数識別デバイスよりなる群から選択される補助手段1つ以上を備える、請求項41に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記デバイスがさらにプログラム可能なマイクロプロセッサを備える、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記プログラム可能なマイクロプロセッサが、視覚表示インターフェイスに連結されたプリント回線基板又はアプリケーション特異的集積回路である、請求項44に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
前記視覚表示インターフェイスが、液晶ディスプレイ又は発光ダイオードである、請求項45に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
使用者が前記発射機構を作動させた後、約200〜300ミリ秒で該使用者の眼内に前記アンプルから前記薬剤が放出される、請求項22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
鼻腔内薬物送達デバイスであって、該鼻腔内薬物送達デバイスは、以下:
区画内に鼻腔内送達に適合した物質を含むアンプル1つ以上を含むように構成されたハウジングであって、ここで該アンプルは該区画内に穿刺可能な領域を含む、ハウジング;
アンプルが穿刺可能な領域において穿刺され、そして、該区画内の穿刺可能な領域を通過して加圧下で該物質を放出するために有効な該アンプルに対する圧力を適用するのに有効な、発射機構;
該放出された物質を使用者の鼻孔に向けるように構成された、ノズル;
機械的に有利な機構であって、該機構により、使用者が該デバイスを発射の準備が完了した構成に配置する、機械的に有利な機構;
機械的に有利な発射制御であって、該制御機器により、使用者が該発射機構を作動させて該アンプルから該物質を放出させる、機械的に有利な発射制御;
を備える、鼻腔内薬物送達デバイス。
【請求項49】
前記アンプルからの放出時まで前記物質が滅菌されている、請求項48記載の薬物送達デバイス。
【請求項50】
前記アンプルが、1用量アンプル又は2用量アンプルである、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項51】
前記アンプルが、内部穿刺アンプル、切り取り型チップアンプル、外部穿刺アンプル、破裂型アンプル及び自己穿刺アンプルよりなる群から選択される、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項52】
前記発射機構がプランジャーである、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項53】
前記プランジャーが、幾何学的に形状付与された隆起ガイド部を備える、請求項52記載の薬物送達デバイス。
【請求項54】
前記ノズルが、一体型アンプルノズルディスペンサーである、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【請求項55】
前記ノズルは、前記アンプルから20〜80°の角度で前記物質を放出する、請求項48に記載の薬物送達デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2007−534384(P2007−534384A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509699(P2007−509699)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/013962
【国際公開番号】WO2005/102058
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506355707)ミスティック ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/013962
【国際公開番号】WO2005/102058
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506355707)ミスティック ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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