説明

複数の発光ピークを有するケイ酸塩ベースの発光材料、当該発光材料を調製するための方法、及び当該発光材料を用いた発光デバイス

紫外〜青色光領域で発光する励起光源によって励起可能なケイ酸塩発光材料、当該ケイ酸塩発光材料の製造方法、及び白色発光デバイス。発光材料は、370〜760nmの範囲内に少なくとも2つのピークのある発光スペクトルを有し、一般化学組成式aAO・bA’O・cSiO:xEu・yLn・zM・δNを有し、式中、Aは、Sr、Ca、Ba及びこれらの組合せからなる群から選択され、A’は、Mg、Zn及びこれらの組合せからなる群から選択され、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Bi、Sm、Sn、Y、Lu、Ga、Sb、Tb、Mn、Pb及びこれらの組合せからなる群から選択され、Mは、ハロゲンイオンの1つ又は組合せであり、Nは、Li、Na、K、Ag及びこれらの組合せからなる群から選択され、a、b、c、x、y、z及びδはモル係数である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、光電子及び半導体照明の技術分野にあり、発光材料、特に、半導体発光素子(LEDなど)を含めた白色発光デバイスにおいて使用する発光材料、当該発光材料の調製方法、及び当該発光材料を使用する発光デバイスに関する。
【0002】
[発明の背景]
白色光LEDの出現は、標識機能から照明機能へのLEDの実質的な進展を表している。白色光LEDによって放出される光は、太陽光に最も近く、照射下の物体の真の色をより良く反射することができる。技術の観点から言えば、白色光LEDは、無公害、超寿命、耐ショック性及び衝撃性というそのさらに際立った特徴により、間違いなく最先端のLED技術であり、新世代の光源、21世紀における第4世代の電気的光源となるであろう。白色光LEDには、非常に幅広い範囲の用途が見込まれる。
【0003】
現在のところ、白色光LEDの大部分は、紫外線発光チップ又は青色発光チップを用いて蛍光材料を励起する方法によって、先行技術において実現されている。しかしながら、これらの方法は、蛍光材料の制約によりいくらか制限される。
【0004】
たとえば、米国特許第5,998,925号、米国特許第6,998,771号及びZL00801494.9は、青色発光チップを使用してセリウム活性化希土類ガーネット型蛍光材料(たとえば、YAGと略されるYAl12:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce、又はTAGと略されるTb−ガーネット)を励起し、青色発光チップによって励起される蛍光材料によって放出される黄色光が、青色発光チップからの青色光の一部を混合して白色光を生成することを開示している。この方法において使用する蛍光材料は、白色光LEDの用途及び性能に大きな制限をかける。第一に、このような蛍光材料の励起波長域は420〜490nmであり、それら蛍光材料の最も有効な励起波長域は370〜470nmであるが、それら蛍光材料は、紫外光領域並びに可視光の短波長領域及び緑色光領域の光では励起されない。第二に、希土類ガーネット型構造のこのような蛍光材料の粉末の発光スペクトルは、最大で約540nmにしか達することができず、赤色光成分を欠いているため、それにより白色光LEDの色調指数が相対的に低くなってしまう。
【0005】
たとえば、米国特許第6,649,946号、米国特許出願公開第20040135504号、CN1522291A、CN1705732A、CN1596292A、CN1596478A及び米国特許第6,680,569号は、紫外線〜青色光領域において効率的に励起することができる希土類活性化窒化物又は酸窒化物蛍光材料に関する。このような蛍光材料の有効励起波長域はいくらか広く、発光範囲は緑色光から赤色光に及ぶことができるが、これらの蛍光材料の輝度は相対的に低く、その製造コストが相対的に高い。したがって、商業用のLED蛍光体としてこれらの蛍光材料を使用するためには依然として大きな制限がある。
【0006】
たとえば、米国特許第6,351,069号は、色調指数を補うために、また色温度を下げるために、白色光LEDに色補正成分として添加することができる赤色発光硫化物蛍光材料に関する。しかしながら、この硫化物蛍光材料により色調指数は増大するが、この硫化物蛍光材料の輝度は低いため、その結果LEDの発光効率が下がる。さらには、上記蛍光材料は化学安定性及び耐老朽化性に乏しく、チップを腐食するため、それによりLEDの耐用年数が短くなってしまう。
【0007】
上記の諸特許において、白色光LEDを作製するための方法は、白色光を生成するために、2種以上の蛍光体を励起するための紫色光の使用、若しくは1種又は複数の蛍光体を励起するための青色発光チップの使用を含む。特に、いくつかの蛍光体の使用には、異なる種類の蛍光体の、化学安定性、発光特性、老朽化特性等の適用特性における調和(consistency)に関して非常に高い要求があり、パッケージング産業における調製物中の蛍光体の取扱いは厳格に制限される。
【0008】
[発明の開示]
本発明の目的は、広い励起波長域(240nm〜475nm)と、370〜760nmの波長域内にある少なくとも2つの発光ピークと、高い光変換効率と、優れた耐老朽化性とを有する、広い励起スペクトル及び複数の発光ピークを特徴とするケイ酸塩発光材料を提供することである。本発明の別の目的は、このようなケイ酸塩発光材料を製造するための方法を提供することである。本発明の第3の目的は、本発明に係るケイ酸塩発光材料を含む発光デバイス、特に白色光LEDを提供することである。
【0009】
本発明に係るケイ酸塩発光材料の主な化学組成を、下記式(1)によって表すことができる。
aAO・bA’O・cSiO:xEu・yLn・zM・δN (1)
式中、Aは、Sr、Ca、Ba及びこれらの組合せからなる群から選択され、A’は、Mg、Zn及びこれらの組合せからなる群から選択され、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Bi、Sm、Sn、Y、Lu、Ga、Sb、Tb、Mn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素のイオン(複数可)であり、Mは、Cl、F、Br、I及びこれらの組合せからなる群から選択され、Nは、Li、Na、K及びこれらの組合せからなる群から選択され、a、b、c、d、x、y、z及びδはモル係数であり、1.0≦a≦5.0、0≦b≦2.0、0.5≦c≦2.5、0.001≦x≦0.2、0≦y≦0.5、0<z<0.5、0<δ<0.2であり、1≦(a+b)/c≦4である。240〜475nmの紫外光〜青色光領域に発光スペクトルを有する励起光源としての発光素子による励起の下、発光材料が励起光源からの光の少なくとも一部を吸収し、それにより370〜760nmの範囲内に少なくとも2つのピークを有する発光スペクトルを生成し、これらの発光が組み合わさって白色光を生じる。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ケイ酸塩蛍光材料が式(1)によって表される化学組成を有する。式中、Aは、Sr、Ca、Ba及びこれらの組合せからなる群から選択され、A’は、Mg、Zn及びこれらの組合せからなる群から選択され、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Sm、Lu、Ga、Bi、Sb、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素のイオン(複数可)であり、Mは、Cl、F及びこれらの組合せからなる群から選択され、Nは、Li及び/又はAgであり、1.0≦a≦4.0、0≦b≦2.0、0.7≦c≦2.2、0.001≦x≦0.1、0.0≦y≦0.25、0.001≦z<0.2、0.001≦δ<0.1であり、1.5≦(a+b)/c≦3である。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ケイ酸塩発光材料が、240〜455nmの紫外光〜青紫色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に2つのピークを有する発光スペクトルを発生する。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ケイ酸塩発光材料が、240〜455nmの紫外光〜青紫色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に3つのピークを有する発光スペクトルを発生する。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ケイ酸塩発光材料が、455〜475nmの青色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に2つのピークを有する発光スペクトルを発生する。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ケイ酸塩発光材料が、455〜475nmの青色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に3つのピークを有する発光スペクトルを発生する。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ケイ酸塩発光材料が、240〜475nmの紫外光〜青色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、発光材料の発光ピーク波長は、励起光源の長波長側の発光ピークの波長よりも長い。
【0016】
本発明においては、発光材料の広がりのある励起ピーク及び発光ピーク波長域を、ケイ酸塩発光材料中の金属元素A及び/又はA’の量と組合せとを細かく調整することによって実現する。希土類イオンのエネルギー準位間の遷移の特性は、その希土類イオンの結晶構造に著しく依存する。このことを利用して、希土類イオンの吸収又は発光波長を調整し、それにより異なる色の光を発生させる。本発明においては、結晶中における使用するEu及びLnイオンを取り囲む結晶場環境が、これらのイオンの5dエネルギー状態及び4f−5d遷移に著しい影響を及ぼし、その結果、基材(substrate)の結晶格子環境が変化するにつれて遷移の最大吸収及び発光ピークの位置が著しく変化し、紫外光〜赤色光領域で発光波長を細かく調整することができる。さらに、ケイ酸塩発光材料中の金属元素A及び/又はA’の量と組合せとを細かく調整することによって、一部のアロメリック(allomeric)化合物では、基材の化学組成が変化するため発光ピークの位置が規則的に長波長側又は短波長側にシフトすることがある。本発明においては、電荷移動(CTS)遷移、すなわち、配位子(酸素、M等)の完全被占分子軌道から希土類イオンの部分被占4f殻層への電子の移動を用いることによって、比較的広がりのある電荷移動スペクトルが得られ、その結果環境が変化するにつれて帯域(band)の位置が変化する。
【0017】
加えて、Euイオンの濃度の変化は、本発明に係る発光材料によって放出される光の主ピークの位置に影響を及ぼす。発光材料によって放出される光の主ピークの位置は、Eu及びLnイオンの濃度を調整することによって細かく調整することもできる。
【0018】
本発明にLnを組み込む目的は、希土類イオン間のエネルギー移動を活用することである。すなわち、発光中心が励起された後、励起エネルギーは発光団内である部位から別の部位へ、又はある発光中心から別の発光中心へと移動することができ、それにより輝度が高く複数の発光ピークを有する発光材料が得られる。効率的な放射のないエネルギー移動は、Mnイオン、Ceイオン、Biイオンなど、本発明に関与するEuイオンとLnイオンとの間で起こすことができる。
【0019】
M及びNを組み込むことは、本発明における重要な発見及び革新である。Mを組み込むことで、発光材料の励起スペクトル範囲を著しく広げ、また発光材料の励起帯の適応性を高めることができ、特に発光材料Eu2+の赤色側発光帯の強度を著しく増大させることができる。Nを組み込むと、アルカリ金属のイオン半径はアルカリ土類金属のイオン半径よりもはるかに小さいため、異なる基材中のEu2+イオンを取り囲む結晶格子環境を互いに著しく異なるものとすることができる。Eu2+がアルカリ金属イオンと置き換わることで結晶格子に入ると、結晶格子内のEu2+とO2−との間の距離が、アルカリ土類金属基材中のEu2+とO2−との間の距離よりも小さくなり、その結果、Eu2+の5dエネルギー、すなわち、Eu2+の最低5dエネルギー準位と基底準位との間のエネルギー差がより大きくなり、また発光材料の発光強度が増大する。Agを組み込むと、やはり発光材料の発光強度が著しく増大するが、アルカリ金属イオンとは異なるルミネセンス増強効果がある。一方、Nを組み込むと、さらに電荷補償の効果がある。
【0020】
本発明に係るケイ酸塩発光材料の製造においては、使用する原料が式(1)中の個々の元素の化合物である。一般に、使用する原料の中で、A、A’、Ln、N又はEuの化合物は、それぞれA、A’、Ln、N又はEuで表される元素の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酸化物、水酸化物又はハロゲン化物であり、Mの化合物が、Mで表される元素のハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫化物、酸化物−硫化物又は硫酸塩であり、Siの化合物がSiO、ケイ酸、シリカゲル、窒化ケイ素又はケイ酸塩である。使用する原料中の個々の元素のモル比は以下のとおりである。
A:1.0〜5、
A’:0〜2.0、
Si:0.5〜2.5、
Eu:0.001〜0.2
Ln:0.0〜0.5
M:0〜0.5
N:0〜0.2
ここで、Aは、Sr、Ca及びBaのうちの1種又は複数の化合物を表し、A’はMg及びZnのうちの1種又は2種の化合物を表し、SiはSiの化合物を表し、EuはEuの化合物を表し、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Bi、Sm、Sn、Y、Lu、Ga、Sb、Tb、Mn及びPbのうちの1種又は複数の化合物を表し、Mは、Cl、F、Br及びIのうちの1種又は複数の化合物を表し、Nは、Li、Na、K及びAgのうちの1種又は複数の化合物を表す。
【0021】
高温固相反応プロセスを使用する場合、個々の元素を含有する原料をモル比に従って秤量し、均質に混合し、炉の容積、材料の重量、並びに材料の種類及び配合に応じて、還元雰囲気下(すなわち、水素ガス、アンモニアガス、窒素と水素との混合物又は微粒炭素の存在下)1000〜1300度の温度で2〜16時間で焼結し、得られた材料をその後冷却し、破砕し、ふるいにかける。
【0022】
材料の質を向上させるために、NHCl、NHF、(NHHPO、グルコース、尿素、BaF、CaF、ZnF、ZnS、SrS、CaS、SrSO、SrHPO、CaHPO、LiCO、KNO、NaCOなど他の化合物を微量(原料の30重量%を超えない)原料に添加して、固相反応に関与させることができる。
【0023】
本発明はさらに、励起光源として使用する発光素子と、励起光源からの光の少なくとも一部を変換することができる発光材料とを備える発光デバイスにも関する。
この発光素子は、240〜475nmの紫外光〜青色光領域にピークのある発光スペクトルを有し、この発光素子の第1の発光スペクトルの波長の少なくとも一部を、370〜760nmの波長域内に少なくとも2つのピークのある発光材料の第2の発光スペクトルを生じるように変更し、発光材料の少なくとも1種が、式(1)によって表される化学組成を有する発光材料である。
【0024】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、励起光源としての発光素子は、発光材料が吸収帯を有する240〜475nmの紫外光〜青色光領域に、発光ピークを少なくとも1つ有する。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、発光素子の発光層が、窒化物半導体又はIn含有窒化物半導体から形成される。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、使用する発光材料が本発明の任意のケイ酸塩発光材料である。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、励起光源としての発光素子が、240〜475nmの紫外光〜青色光領域にピークのある発光スペクトルを有し、使用する発光材料は、本発明のケイ酸塩発光材料の1つ又は組合せであり、発光材料は、励起光源から及び/又は上記組合せの中の他の蛍光体からの光の少なくとも一部を吸収し、発光素子の発光スペクトルの波長の少なくとも一部を変更するように変換して、370〜760nmの波長域内に少なくとも2つのピークのある異なる発光スペクトルを与え、それにより白色光が生じる。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、使用する発光材料が、本発明のケイ酸塩発光材料のうちの1つ又は複数と共に使用する第2の発光材料及び/又は第3の発光材料及び/又は第4の発光材料をさらに含む。第2及び/又は第3の発光材料及び/又は第4の発光材料が、励起光源からの光の一部及び/又は本発明のケイ酸塩発光材料からの光の少なくとも一部を変換して、それにより白色光を生じる。
【0029】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、励起光源としての発光素子が、紫外光〜青色光領域にピーク値を有する発光スペクトルを有し、本発明のケイ酸塩発光材料からの光の少なくとも一部並びに第2及び/又は第3及び/又は第4の発光材料からの光を含む少なくとも2本の光線を複合して、それにより白色光が形成される。
【0030】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、第2及び/又は第3及び/又は第4の発光材料は、希土類ドーピング活性化酸窒化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化窒化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化ハロケイ酸塩蛍光体及び/又はガーネット型構造の希土類ドーピング活性化蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化硫化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化酸化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化酸化物−硫化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化アルミン酸塩蛍光体及び/又はMnドーピング活性化マグネシウム弗化ヒ酸(ゲルマン酸)塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化ホウ酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化リン酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化ハロリン酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化チタン酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化チオガリウム酸塩蛍光体である。
【0031】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、発光デバイスは、チップと直接接触又は間接接触している発光材料を含む発光変換LEDである。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態に係る発光デバイスにおいては、発光デバイスは、本発明の発光材料を使用するLEDを少なくとも1つ備える照明デバイスである。
【0033】
本発明においては、発光材料の励起スペクトル及び発光スペクトルを、F−4500蛍光分光光度計を用いることによって決定する。
【0034】
LEDの相対スペクトル強度分布及び色度座標を、PMS−50モデル紫外−可視−近赤外スペクトル分析器を用いて決定する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1の発光材料の3つの発光ピークを有する発光スペクトルを示す図である。
【図2】実施例1の発光材料の励起スペクトルを示す図である。
【図3】実施例2の発光材料の2つの発光ピークを有する発光スペクトルを示す図である。
【図4】実施例5の発光材料の2つの発光ピークを有する発光スペクトルを示す図である。
【図5】発光材料を用いるLEDの構造を示す概略図である。
【0036】
[発明を実施するための形態]
本発明の実施例を以下に説明する。本発明がこれらの実施例によって制限されることはないことを理解されたい。
【0037】
実施例1
【表1】

【0038】
上記組成に従った原料を、ボールミルによって十分に混合し、その後るつぼに入れた。冷却後、この混合物を、窒素95%と水素5%とで構成される混合ガスが通り抜ける1200度の炉内で6時間焼結した。冷却後、得られた焼結体を破砕し、ボールミルで粉砕し、その後325メッシュのふるいを通してふるいにかけて、化学組成2.97BaO・1.02MgO・2.01SiO:0.01Eu2+・0.05Mn2+・0.005F・0.005Liを有する本発明の発光材料を得た。この材料は240〜450nmの範囲に励起スペクトルを、またピーク波長がそれぞれ438nm、502nm及び617nmである3つの発光ピークを400〜760nmの範囲内に有する発光スペクトルを有していた。
【0039】
実施例2〜36
実施例2〜36の発光材料を、実施例1で説明した手順に従って調製したが、基材組成物中の元素A及びA’の種類と量とは、発光ピークの所望の位置に従って変化させた。焼結温度は、炉の容量、材料の重量並びに材料の種類及び配合に応じて1000〜1300℃の範囲内で変化した。還元雰囲気は、水素ガス、アンモニアガス、窒素と水素との混合物又は微粒炭素によって提供した。以下の化学組成の発光ピークを2つ有する発光材料が得られた。
実施例2: 2.03SrO・0.92MgO・1.0SiO:0.03Eu2+・0.02F・0.07Li
実施例3: 3.07SrO・0.95MgO・2.05SiO:0.005Eu2+・0.1 Mn2+・0.015F・0.035Li
実施例4: 1.9CaO・1.0MgO・1.9SiO:0.004Eu2+・0.008Dy3+・0.0001Cl・0.0005K
実施例5: 1.0BaO・2.0MgO・2.0SiO:0.01Eu2+・0.2Mn2+・0.15F・0.05Cl・0.075Li
実施例6: 2.0BaO・1.0ZnO・2.1SiO:0.001Eu2+・0.05Mn2+・0.0042F・0.08Li
実施例7: 3.0CaO・0.97MgO・2.0SiO:0.1Eu2+・0.03Mn2+・0.15Cl・0.035Ag
実施例8: 2.03SrO・0.92MgO・1.0SiO:0.03Eu2+・0.05Mn2+・0.02F・0.07Li
実施例9: 2.97BaO・1.02MgO・2.01SiO:0.01Eu2+・0.135F・0.15Cl・0.055Li
実施例10: 1.0BaO・1.05CaO・1.05MgO・2.0SiO:0.08Eu2+・0.02F・0.05Li
実施例11: 3.1SrO・1.05MgO・1.98SiO:0.08Eu2+・0.01F・0.05Li
実施例12: 1.5SrO・0.5SiO:0.05Eu2+・0.08Mn3+・0.06F・0.19Li
実施例13:
1.2BaO・1.5SrO・0.3CaO・1.05MgO・2.0SiO:0.01Eu2+・0.05Mn2+・0.001F・0.015Li
実施例14: 2.0CaO・0.98MgO・1.0SiO:0.05Eu2+・0.12Mn2+・0.06F・0.06Li
実施例15: 2.0BaO・0.5MgO・0.5ZnO・1.8SiO:0.008Eu2+・0.05Mn2+・0.04F・0.05Li
実施例16: 0.5BaO・1.5CaO・1.03MgO・1.0SiO:0.1Eu2+・0.23Mn2+・0.03Cl・0.03Ag
実施例17: 2.0BaO・0.98MgO・1.0SiO:0.05Eu2+・0.06F・0.06Li
実施例18: 1.5BaO・1.5SrO・0.98MgO・2.0SiO:0.07Eu2+・0.3Mn2+・0.3F・0.15Li
実施例19: 2.0BaO・1.0MgO・1.0SiO:0.05Eu2+・0.13Mn2+・0.06F・0.06Li
実施例20: 0.1SrO・1.9CaO・1.0MgO・2.0SiO:0.04Eu2+・0.06F・0.06Li
実施例21: 2.0CaO・0.96MgO・1.0SiO:0.05Eu2+・0.06F・0.06Li
実施例22: 2.3SrO・0.7BaO・1.0MgO・2.0SiO:0.05Eu2+・0.1F・0.001Ag
実施例23:
0.2BaO・0.5SrO・1.3CaO・1.0MgO・2.0SiO:0.06Eu2+・0.01Mn2+・0.09F・0.1 Li
実施例24: 1.3BaO・3.7CaO・1.25SiO:0.05Eu2+・0.13Mn2+・0.06F・0.08Li
実施例25: 0.8BaO・1.3SrO・1.01MgO・1.0SiO:0.03Eu2+・0.07Mn2+・0.07F・0.05Li
実施例26:
2.0CaO・0.96MgO・1.0SiO:0.05Eu2+・0.001Ce3+・0.001Mn2+・0.06F・0.06K
実施例27: 0.2BaO・0.5SrO・1.3CaO・1.0ZnO・2.0SiO:0.06Eu2+・0.01Mn2+・0.05F・0.001K・0.005Na・0.001Li
実施例28:
1.5CaO・0.5MgO・1.5SiO:0.2Eu2+・0.05Tm3+・0.12Mn2+・0.06F・0.06Ag・0.5La3+
実施例29:
3.0BaO・1.8SiO:0.15Eu2+・0.008Pr3+・0.008Bi3+・0.05Mn2+・0.04F・0.05Li
実施例30:
1.4BaO・1.3SrO・0.1CaO・2.0SiO:0.03Eu2+・0.06Mn2+・0.5F・0.015Li・0.4Ag
実施例31: 2.0BaO・0.98ZnO・1.0SiO:0.05Eu2+・0.02Cl・0.03Br・0.06Li
実施例32: 1.7BaO・1.2SrO・0.98ZnO・2.0SiO:0.03Eu2+・0.3Mn2+・0.02F・0.15Na
実施例33: 0.6SrO・1.4CaO・2.0SiO:0.04Eu2+・0.001Sm2+・0.06F・0.06Ag
実施例34:
0.2BaO・1.3CaO・0.4SrO・0.98MgO・1.0SiO:0.06Eu2+・0.13Mn2+・0.04F・0.02Ag
実施例35: 1.9SrO・1.1BaO・2.0SiO:0.05Eu2+・0.1F・0.003K
実施例36:
1.2BaO・1.3CaO・1.0MgO・0.5ZnO・2.5SiO:0.05Eu2+・0.13Mn2+・0.06F・0.06Li
【0040】
複数の発光ピークを有する本発明の発光材料では、それら発光材料の組成が、以下の法則に従ってそれら発光材料の発光波長に影響を及ぼす。
【0041】
1≦(a+b)/c≦1.5の場合、アルカリ土類金属元素が、以下の順Ca>Ba>Srの大きさで発光材料の発光波長に影響を及ぼす。Ca量が多くなればなるほど、発光ピークを2つ又は3つ有する発光材料のピーク波長がより顕著に長波長方向にシフトする。Baの影響は2番目である。Srを用いる場合には、ピーク波長が最も短い。励起スペクトルのピーク波長へのこれらの元素の影響は、同じ法則に従う。
【0042】
1.5<(a+b)/c<2の場合、アルカリ土類金属元素が、以下の順Ca>Sr>Baの大きさで発光材料の発光波長に影響を及ぼす。Ca量が多くなればなるほど、発光ピークを2つ又は3つ有する発光材料のピーク波長がより顕著に長波長方向にシフトする。Srの影響は2番目である。Baを用いる場合には、ピーク波長が最も短い。励起スペクトルのピーク波長へのこれらの元素の影響は、同じ法則に従う。
【0043】
2<(a+b)/c≦5の場合、アルカリ土類金属元素が、以下の順、Ba>Sr>Caの大きさで発光材料の発光波長に影響を及ぼす。Ba量が多くなればなるほど、発光ピークを2つ又は3つ有する発光材料のピーク波長がより顕著に長波長方向にシフトする。Srの影響は2番目である。Caを用いる場合には、ピーク波長が最も短い。励起スペクトルのピーク波長へのこれらの元素の影響は、同じ法則に従う。
【0044】
加えて、Mg量の増大により、励起波長及び発光波長が短波長方向にシフトすることになる。Znを使用してMgの一部と置き換えた場合、Zn量が増大するにつれて、励起波長及び発光波長が長波長方向にシフトすることになる。
【0045】
元素A及びA’の個々の影響を無視すると、比率(a+b)/cの増大により、励起波長及び発光ピーク波長がより長い波長方向にシフトすることになる。特に、本発明の発光材料の発光スペクトルにおける2つ又は3つの発光ピークについては、各ピークがこの法則に従ってシフトする。
【0046】
紫外光〜青色光領域の励起光源を用いることによって、また最も強い励起ピークの波長をモニタリング波長として用いることによって得た、実施例1〜36の発光材料の発光スペクトルにおける複数の発光ピークの位置が、表1に記載されている。
【0047】
【表2】

【0048】
これら発光材料の調製においては、NHCl、NHF、(NHHPO、グルコース、尿素、BaF、CaF、ZnF、ZnS、SrS、CaS、SrSO、SrHPO、CaHPO、LiCO等を、原料の0〜30重量%の量で添加して、固相反応に関与させることによって、材料の相対輝度を異なる程度にまで向上させることが可能であることがわかった。
【0049】
実施例37
【表3】

【0050】
上記組成に従った原料、並びに原料の重量に基づく15重量%の(NHHPOを、ボールミル粉砕によって十分に混合し、その後るつぼに入れた。このるつぼを、炭素粒子で充填された別の大きいるつぼに埋め込み、その後この大きいるつぼを電気炉に設置して、混合物を1250℃で5時間焼結した。冷却後、得られた焼結体を破砕し、ボールミルで粉砕し、その後325メッシュのふるいを通してふるいにかけて、黄色光を放射する本発明の発光材料:1.2SrO・0.8BaO・0.2CaO・0.1MgO・SiO:0.05Eu2+・0.01Mn2+・0.05Cl・0.45F・0.05Liを得た。386nmの紫外光源の励起の下、材料は、主ピークが537nm及び660nmに位置する発光スペクトルをもたらした。
【0051】
本発明に係る製造方法においては、必要に応じて様々な追加の原料を添加するための方法が、実施例37で説明する方法に類似しているが、追加の原料の種類及び量は、励起及び発光スペクトルの範囲、並びに製造しようとする発光材料の相対輝度に従って選択される。
【0052】
本発明はさらに、本発明の発光材料のうちの1種又は複数を使用する照明デバイスに、特に半導体LED、とりわけ、240〜475nmの範囲内に主発光ピークを有する発光素子を励起光源として使用する白色光LEDに関する。本発明におけるクレームに記載されている保護範囲は、以下の具体例によって例証される。
【0053】
図5を参照すると、本発明に係るLEDが、半導体発光チップ1と、カソード2と、アノード3と、ピン4と、発光材料5と、パッケージング材料6と、リード7と、反射カップ8と、フィルム9とを備える。半導体発光チップは、GaInNチップ又はGaNチップである。発光材料は、本発明のケイ酸塩発光材料のうちの1種又は複数を含む。パッケージング材料は透明樹脂であり、透明エポキシ樹脂、透明シリコーン等でよい。
【0054】
図面の中で、図aは、発光材料が半導体発光チップと直接接触している様式を示し、この場合、発光材料は透明樹脂と混合され、その後半導体発光チップ上に均一にコーティングされ、反射カップを満たす。図bは、発光材料が半導体発光チップと間接接触している様式を示し、この場合、発光材料はエポキシ樹脂表面層中に均一に分布される。図cは、発光材料が半導体発光チップと間接接触している様式を示し、この場合、発光材料は、半導体発光チップを覆うエポキシ樹脂中に均一に分布される。図dは、発光材料が半導体発光チップと間接接触している様式を示し、この場合、発光材料は、透明な媒体と混合され、フィルム状に形成され、その後このフィルムは半導体発光チップ上にかぶせられる。
【0055】
実施例38
図5aに示すLEDパッケージング様式に従って、白色光LEDを作製した。具体的には、パッケージングプロセスを以下のように行った。整合された主発光ピーク波長(a matched main emission peak wavelength)を有するチップを、発光材料の有効励起波長域に従って選択した。この実施例においては、半導体発光チップの主発光ピーク波長が390nmであり、発光材料は実施例1で得られた発光材料であった。選択したこのチップに、結晶マウント(crystal mounting)、配線及び乾燥を施した。発光材料を秤量し、適切な比率で透明なエポキシ樹脂と均質に混合し、その後得られた混合物を、(接着剤を塗布して)半導体発光チップ上に均一にコーティングした。接着剤を塗布したリードカップを真空オーブン内で硬化させ、その後エポキシ樹脂を充填した鋳型に挿入し、真空オーブン内で硬化させ、その後成形品を取り出した。得られたデバイスの色度座標はX=0.3293及びY=0.3317、色温度は5637K、色調指数は90であった。紫外線チップからの紫外光の励起の下で、発光材料が白色光を放出したが、この白色光のスペクトルは、それぞれ青色光領域、緑色領域及び赤色光領域に3つのピークを有していた。
【0056】
実施例39
図5bに示すLEDパッケージング様式に従って、白色光LEDを作製した。この実施例においては、半導体発光チップの主発光ピーク波長が400nmであり、発光材料は、実施例7及び10で得た発光材料を適切な比率で混合することによって得た。パッケージングプロセスは、発光材料がエポキシ樹脂表面層内に均一に分布していることを除いて、実施例38で説明したパッケージングプロセスと同様である。この白色光LEDの発光スペクトルは、発光材料が紫外線チップからの紫外光によって励起された後に発光材料から放出される青色光、緑色光及び赤色光のスペクトルで構成されていた。白色光LEDの色度座標はX=0.3457及びY=0.3493、色温度は4962Kであった。
【0057】
実施例40
図5cに示すLEDパッケージング様式に従って、白色光LEDを作製した。この実施例においては、半導体発光チップの主発光ピーク波長が380nmであり、発光材料は、実施例6で得た発光材料と、実施例10で得た発光材料と、希土類ドーピング活性化ホウ酸ガドリニウムマグネシウム蛍光体(Gd0.65MgB16:Eu0.35、主発光ピーク波長が623nm)とを適切な比率で混合することによって得た。パッケージングプロセスは、発光材料が半導体発光チップを覆うエポキシ樹脂中に均一に分布していることを除いて、実施例38で説明したパッケージングプロセスと同様である。この白色光LEDの発光スペクトルは、励起された後実施例6の発光材料及び実施例10の発光材料によってそれぞれ放出される青色光及び緑色光の一部のスペクトルと、実施例7の発光材料からの緑色光の一部を吸収することによって励起された後ホウ酸ガドリニウムマグネシウム蛍光体によって放出される赤色光のスペクトルとで構成されていた。白色光LEDの色度座標はX=0.2947及びY=0.3013、色温度は8096Kであった。
【0058】
図5a、5b、5c及び5dに示すLEDパッケージング様式のいずれかに従って、LEDを調製することができる。パッケージングプロセスは、実施例38、39及び40で説明したプロセスと類似している。しかしながら、発光材料を以下の原理に従って選択することもできる。
(1)発光材料の有効励起波長域は、半導体発光チップの主発光ピーク波長及び/又は共に使用する他の1つ(又は複数の)蛍光体の主発光ピーク波長と一致すべきである。
(2)半導体発光チップの主発光ピーク波長が決まっている状況においては、LED製品によって放出される光の所望の色に従って発光材料を選択することができる。
(3)本発明のケイ酸塩発光材料の少なくとも1種を使用することを前提として、LED製品によって放出される光の所望の色に従って、本発明の発光材料以外の第2の発光材料及び/又は第3の発光材料及び/又は第4の発光材料を選択することができる。
【0059】
第2の発光材料及び/又は第3の発光材料及び/又は第4の発光材料として使用することができる発光材料の例は、希土類ドーピング活性化酸窒化物蛍光体、希土類ドーピング活性化窒化物蛍光体、希土類ドーピング活性化ハロケイ酸塩蛍光体、ガーネット型構造の希土類ドーピング活性化蛍光体、希土類ドーピング活性化硫化物蛍光体、希土類ドーピング活性化酸化物蛍光体、希土類ドーピング活性化酸化物−硫化物蛍光体、希土類ドーピング活性化アルミン酸塩蛍光体、Mnドーピング活性化マグネシウム弗化ヒ酸(ゲルマン酸)塩蛍光体、希土類ドーピング活性化ホウ酸塩蛍光体、希土類ドーピング活性化リン酸塩蛍光体、希土類ドーピング活性化ハロリン酸塩蛍光体、希土類ドーピング活性化チタン酸塩蛍光体、希土類ドーピング活性化チオガリウム酸塩蛍光体である。
【0060】
作製したLEDから放出される光の色は、使用する半導体発光チップの発光スペクトル及び相対輝度、並びに使用する1種(若しくは複数の)発光材料及び1種(若しくは複数の)蛍光体の発光スペクトル及び相対輝度によって決定する。
【0061】
先行技術と比較して、本発明のケイ酸塩発光材料は以下の際立った特性を有する。240〜475nmの紫外光〜青色光領域において発光する発光素子による励起の下では、発光材料は、370〜760nmの範囲内に2つ以上の発光ピークを有する発光スペクトルを生じることができる。さらには、基板、活性化剤、増感剤及び添加剤の量及び比率を微調整することによって、発光材料の2つ又は3つの発光ピークのピーク波長及び強度を微調整することができ、その結果、発光効率、色温度、色調指数など、生成される白色光の光色パラメータを微調整することができる。一方、本発明のケイ酸塩発光材料は複数の発光ピークを有するため、白色光LEDのパッケージングプロセスにおいて使用する発光材料の種類及び数を大きく低減させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光材料、特に、LEDを備える発光デバイスにおいて使用する発光材料であって、ケイ酸塩及び活性化剤イオンを主に含み、下記式によって表される化学組成を主として有することを特徴とし、
aAO・bA’O・cSiO:xEu・yLn・zM・δN
式中、Aは、Sr、Ca、Ba及びこれらの組合せからなる群から選択され、A’は、Mg、Zn及びこれらの組合せからなる群から選択され、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Bi、Sm、Sn、Y、Lu、Ga、Sb、Tb、Mn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素のイオン(複数可)であり、Mは、Cl、F、Br、I及びこれらの組合せからなる群から選択され、Nは、Li、Na、K、Ag及びこれらの組合せからなる群から選択され、a、b、c、x、y、z及びδはモル係数であり、1.0≦a≦5.0、0≦b≦2.0、0.5≦c≦2.5、0.001≦x≦0.2、0≦y≦0.5、0<z<0.5、0<δ<0.2であり、1≦(a+b)/c≦4であり、240〜475nmの紫外光〜青色光領域に発光スペクトルを有する励起光源としての発光素子による励起の下、前記発光材料が前記励起光源からの光の少なくとも一部を吸収し、それにより370〜760nmの範囲内に少なくとも2つのピークを有する発光スペクトルを生成し、前記発光が組み合わさって白色光を生じることを特徴とする発光材料。
【請求項2】
前記化学組成を表す式において、Aは、Sr、Ca、Ba及びこれらの組合せからなる群から選択され、A’は、Mg、Zn及びこれらの組合せからなる群から選択され、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Sm、Lu、Ga、Bi、Sb、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素のイオン(複数可)であり、Mは、Cl、F及びこれらの組合せからなる群から選択され、Nは、Li又はAg又はこれらの組合せであり、1.0≦a≦4.0、0≦b≦2.0、0.7≦c≦2.2、0.001≦x≦0.1、0.0≦y≦0.25、0.001≦z<0.2、0.001≦δ<0.1であり、1.5≦(a+b)/c≦3であることを特徴とする、請求項1に記載の発光材料。
【請求項3】
240〜455nmの紫外光〜青紫色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に2つのピークを有する発光スペクトルを発生することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光材料。
【請求項4】
240〜455nmの紫外光〜青紫色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に3つのピークを有する発光スペクトルを発生することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光材料。
【請求項5】
455〜475nmの青色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に2つのピークを有する発光スペクトルを発生することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光材料。
【請求項6】
455〜475nmの青色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、370〜760nmの範囲内に3つのピークを有する発光スペクトルを発生することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光材料。
【請求項7】
240〜475nmの紫外光〜青色光領域に発光ピークを有する励起光源からの光によって励起され、前記発光材料の発光ピーク波長が前記励起光源の長波長側の発光ピークの波長よりも長いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光材料。
【請求項8】
使用する原料が、以下のモル比に従った式aAO・bA’O・cSiO:xEu・yLn・zM・δN中の個々の元素の化合物であることを特徴とし、
A:1.0〜5、
A’:0〜2.0、
Si:0.5〜2.5、
Eu:0.001〜0.2
Ln:0.0〜0.5
M:0.0〜0.5
N:0.0〜0.2
式中、Aは、Sr、Ca及びBaのうちの1種又は複数の化合物を表し、A’はMg及びZnのうちの1種又は2種の化合物を表し、SiはSiの化合物を表し、EuはEuの化合物を表し、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Bi、Sm、Sn、Y、Lu、Ga、Sb、Tb、Mn及びPbのうちの1種又は複数の化合物を表し、Mは、Cl、F、Br、I及びSのうちの1種又は複数の化合物を表し、Nは、Li、Na及びKのうちの1種又は複数の化合物を表し、
前記A、A’、Ln、N、又はEuの化合物が、それぞれA、A’、Ln、N、又はEuで表される前記元素の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酸化物、水酸化物又はハロゲン化物であり、前記Mの化合物が、Mで表される前記元素のハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫化物、酸化物−硫化物又は硫酸塩であり、前記Siの化合物がSiO、ケイ酸、シリカゲル、窒化ケイ素又はケイ酸塩であり、
高温固相反応プロセスであり、前記個々の元素を含有する原料を前記モル比に従って秤量し、均一に混合し、還元雰囲気下1000〜1300℃の温度で2〜16時間で焼結し、得られた材料をその後冷却し、破砕し、ふるいにかけることを特徴とする発光材料の製造方法。
【請求項9】
前記還元雰囲気が、水素ガス、アンモニアガス、窒素と水素との混合物又は微粒炭素の存在によって提供されることを特徴とする、請求項8に記載の発光材料の製造方法。
【請求項10】
NHCl、NHF、(NHHPO、グルコース、尿素、BaF、CaF、ZnF、ZnS、SrS、CaS、SrSO、SrHPO、CaHPO、LiCO、KNO又はNaCOを、前記原料の重量を基準として0〜30wt%の量で前記混合原料に添加して、前記固相反応に関与させることを特徴とする、請求項8に記載の発光材料の製造方法。
【請求項11】
励起光源として使用する発光素子と、前記励起光源からの光の少なくとも一部を変換することができる発光材料とを備える発光デバイスであって、
前記発光素子は、240〜475nmの紫外光〜青色光領域にピークのある発光スペクトルを有し、
前記発光素子の前記第1の発光スペクトルの波長の少なくとも一部を変更することにより、370〜760nmの波長域内に少なくとも2つのピークがある前記発光材料の第2の発光スペクトルを生じ、
前記発光材料の少なくとも1種が、式aAO・bA’O・cSiO:xEu・yLn・zM・δNによって表される化学組成を有する発光材料であり、式中、Aは、Sr、Ca、Ba及びこれらの組合せからなる群から選択され、A’は、Mg、Zn及びこれらの組合せからなる群から選択され、Lnは、Nd、Dy、Ho、Tm、La、Ce、Er、Pr、Bi、Sm、Sn、Y、Lu、Ga、Sb、Tb、Mn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素のイオン(複数可)であり、Mは、Cl、F、Br、I及びこれらの組合せからなる群から選択され、Nは、Li、Na、K及びこれらの組合せからなる群から選択され、a、b、c、d、x、y、z及びδはモル係数であり、1.0≦a≦5.0、0≦b≦2.0、0.5≦c≦2.5、0.001≦x≦0.2、0≦y≦0.5、0<z<0.5、0<δ<0.2であり、1≦(a+b)/c≦4であることを特徴とする発光デバイス。
【請求項12】
前記励起光源としての前記発光素子が、前記発光材料が吸収帯を有する240〜475nmの紫外光〜青色光領域に、発光ピークを少なくとも1つ有することを特徴とする、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記発光素子の発光層が、窒化物半導体又はIn含有窒化物半導体から形成されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の発光デバイス。
【請求項14】
使用する前記発光材料が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のケイ酸塩発光材料であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記発光素子が、240〜475nmの紫外光〜青色光領域にピークのある発光スペクトルを有し、前記発光材料が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のケイ酸塩発光材料の1つ又は組合せであり、前記発光材料が、前記励起光源から及び/又は前記組合せの中の他の発光材料からの光の少なくとも一部を吸収し、前記発光素子の前記発光スペクトルの波長の少なくとも一部を変更するように変換して、370〜760nmの波長域内に少なくとも2つのピークを有する異なる発光スペクトルを与えることにより、白色光が生じることを特徴とする、請求項11に記載の発光デバイス。
【請求項16】
前記発光材料が、請求項1〜7のいずれか一項に記載のケイ酸塩発光材料の少なくとも1つと共に使用する第2の発光材料及び/又は第3の発光材料及び/又は第4の発光材料をさらに含み、前記第2の発光材料及び/又は前記第3の発光材料及び/又は前記第4の発光材料が、前記励起光源からの光の一部及び/又は請求項1〜7のいずれか一項に記載のケイ酸塩発光材料からの光の少なくとも一部を変換して、それにより白色光を生じることを特徴とする、請求項11、12又は15に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記励起光源としての前記発光素子が、紫外光〜青色光領域にピーク値のある発光スペクトルを有し、前記ケイ酸塩発光材料からの光の少なくとも一部並びに前記第2及び/又は第3及び/又は第4の発光材料からの光を含む、少なくとも2本の光線を複合することにより、白色光を形成することを特徴とする、請求項11、12又は15に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記第2及び/又は第3及び/又は第4の発光材料が、希土類ドーピング活性化酸窒化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化窒化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化ハロケイ酸塩蛍光体及び/又はガーネット型構造の希土類ドーピング活性化蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化硫化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化酸化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化酸化物−硫化物蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化アルミン酸塩蛍光体及び/又はMnドーピング活性化マグネシウム弗化ヒ酸(ゲルマン酸)塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化ホウ酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化リン酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化ハロリン酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化チタン酸塩蛍光体及び/又は希土類ドーピング活性化チオガリウム酸塩蛍光体であることを特徴とする、請求項11、12又は15に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記発光材料がチップと直接接触又は間接接触している発光変換LEDであることを特徴とする、請求項11、12又は15に記載の発光デバイス。
【請求項20】
前記発光材料を使用するLEDを少なくとも1つ備える照明デバイスであることを特徴とする、請求項11、12又は15に記載の発光デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図5d】
image rotate


【公表番号】特表2010−500458(P2010−500458A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524066(P2009−524066)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国際出願番号】PCT/CN2007/002458
【国際公開番号】WO2008/022552
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509045379)ルミン サイエンス アンド テクノロジー グループ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】