説明

複数試料自動処理システム及び複数試料自動処理方法

【課題】工程を完全自動化してコンタミネーションを低減し、生成物の定量化を可能とするともに、不良率を抑制することのできるシステムを提供する。
【解決手段】決められた数の試料容器を1ユニットとし、1ユニット毎に搬送し、各分注・吸引装置、各反応槽に供給を行う。試料の反応・処理の定量性および確実性を確保するため、反応監視センサーを設け、試料容器にはバーコードを添付し試料を確認する。監視により不良と判定された試料は、定められた工程個所まで戻され再度反応・処理を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を複数の処理工程を経て処理する複数試料自動処理システム及び複数試料自動処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の分析等、多くの分野において、試料に対して複数の処理を段階的に行うことが必要とされている。例えば、プロテオーム解析においては、タンパク質試料(ゲル)をペプチド混合物に変換して質量分析計に供給するが、その前処理としてタンパク質ゲルバンドの脱染色、ゲルバンドの乾燥、還元アルキル化反応、酵素消化反応などを順に行う必要がある。
【0003】
【特許文献1】礒辺俊明、高橋信弘/編「プロテオーム解析法 タンパク質発現・機能解析の先端技術とゲノム・創薬研究」(羊土社)
【特許文献2】Shevchenko A, Wilm M, Vorm O, Mann M. Mass spectrometric sequencing of proteins silver-stained polyacrylamide gels. Anal Chem. 1996 Mar 1;68(5):850-8.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペプチド混合物調製に関して説明すると、マニュアルで調製を行うこともできるし、市販の自動調製装置を用いて自動で調製を行うこともできる。しかし、現状ではいずれの場合でもそれぞれ長所・短所を有している。マニュアルで調製を行う場合は、通常一試料ずつ処理を行うため個別の試料の反応状況を確認しながら進め、未反応試料はその都度適正な反応を行わせることで不良試料の発生を防止することができるが、人が調製を行うため、作業者の不注意による試料の取り違えが起こること、熟練度によっては操作の再現性が低い場合があり処理が遅延したり条件が一定でなくなってしまうこと、および作業者由来のタンパク質が試料に入り込むコンタミネーションの問題が存在する。一方、自動調製装置においては人手を介さずに調製を行うため、多数同時処理が可能な点、人為的なミスを防ぐことが可能な点、コンタミネーションの防止の点では優れているが、反応監視機能を持たないため最終的に不良率の増大を招くという問題がある。また、多数同時処理を行う自動調製装置では、反応監視機構を持たせて反応状況をモニターしたとしても、エラー処理を個別に行うことは難しい。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑み、工程を完全自動化して多数試料処理における人為的ミスを取り除き、コンタミネーションを低減し、生成物の定量化を可能とするともに、不良率を抑制することのできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、処理工程を完全自動化し、各工程に反応監視機能を設け未反応試料を抽出し再反応を行わせることで前記目的を達成する。本発明では、例えば試料容器置き場に8×12本の試料容器を置くことが可能なとき、最大で96本の試料容器を連続して処理可能とする。このとき、試料容器8本を1ユニットとし、1ユニット毎に搬送し、各分注・吸引装置、各反応槽に供給を行うものとする。また、各反応・処理工程終了後、試料容器は試料容器プレートの元の位置に戻されるものとする。試料の反応・処理の定量性および確実性を確保するため、処理液の分注・吸引の安定性(定量分注・完全吸引)はもとより、必要により反応監視センサーで反応状態を監視する。監視により不良と判定された試料は、定められた工程個所まで戻され再度反応・処理を行うようにする。
【0007】
すなわち、本発明の複数試料自動処理システムは、複数の試料容器が置かれる試料容器置き場と、ダミー容器が置かれるダミー容器置き場と、容器中の試料に対して異なる処理を行う第1の処理部及び第2の処理部と、容器中の試料を検査する検査部と、容器を各容器置き場、処理部及び検査部の間に搬送する容器搬送部と、制御部とを備え、制御部は、各部を制御して、第1の処理部においてn個(nは2以上の正の整数)の容器を1単位として処理を行い、その処理後に検査部による検査で不合格となった試料があるとき、当該不合格になった試料が入った容器にダミー容器を加えてn個一組とした容器に対して不良処理を行い、検査に合格した試料が入った容器にダミー容器を加えてn個一組とした容器を第2の処理部で処理する。
【0008】
容器搬送部は、n個の容器を同時に保持する第1の容器保持部と、1個の容器を保持する第2の容器保持部を有するのが好ましい。第1の処理部及び第2の処理部は、n個一組の容器に対して処理液を注入又は吸引する分注手段を備える。分注手段は、第1の処理部と第2の処理部が共用することができ、容器搬送部に分注手段を設けてもよい。
【0009】
また、複数の試料を複数の処理工程を経て処理する本発明の複数試料自動処理方法は、第1の処理部において、n個(nは2以上の正の整数)の容器を一組として容器内の試料に対して処理を行う工程と、第1の処理部での処理が終わった試料に対して第1の検査を行う工程と、第1の検査で不合格となった試料があるとき、当該不合格になった試料が入った容器にダミー容器を加えてn個の容器からなる第1の容器ユニットを形成する工程と、第1の容器ユニットに対して不良処理を行う工程と、不良処理後の試料に対して第2の検査を行う工程と、第2の検査で合格した試料が入った容器にダミー容器を加えてn個の容器からなる第2の容器ユニットを形成する工程と、第1の検査に合格した試料が入った容器にダミー容器を加えてn個の容器からなる第3の容器ユニットを形成する工程と、第2の処理部において、第2の容器ユニット内の試料及び第3の容器ユニット内の試料に対して処理を行う工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、複数の処理工程を経る試料の処理を自動化して多数試料を迅速かつ再現的に処理することができ、コンタミネーションを防止できるとともに、不完全な処理に起因する試料の不良率を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。ここでは、電気泳動法で分離したタンパク質をゲルバンドあるいはスポットを処理し、液体クロマトグラフィー質量分析法で分析するための消化ペプチド混合試料を調製する処理の実施例を用いて本発明を説明する。本実施例の試料処理システムは、プロテオーム解析のため、タンパク質試料に対して自動的に化学反応および酵素反応を行い、ペプチド混合物に変換し、質量分析計に供給することを目的とし、2次元電気泳動で得られたタンパク質スポット(ゲル片)を試料容器(容量700μl)に入れ、ゲル片の脱染色、還元アルキル化、ゲル内消化と脱塩濃縮等の反応・処理を経て、質量分析計へ供給するものである。なお、本発明は、ここに説明する実施例に限定されず、複数の試料に対して複数段の処理を行う処理方法一般に適用可能である。
【0012】
図1は、本発明による試料処理システムの全体構成を示す概略図である。この試料処理システムは、それぞれに試料が入った試験管状の透明容器を保持する試料容器置き場11、試料の入っていない試験管状の透明容器(ダミー容器)を保持するダミー容器置き場12、後述する検査で不合格となった試料の入った容器を一時的に置く不良試料置き場13、検査用容器置き場51、固体試薬が入った試薬ビン置き場50を備えた分注ステーション14、透明容器の底部に設けられている個々の試料を識別するための2次元バーコードを読み取るためのバーコードリーダー15、振動恒温槽16、減圧遠心機17、恒温槽18a、氷浴槽18b、遮光槽19、検査用CCDカメラが置かれた検査ステーション20を有する。また、使い捨てのピペットチップを置くピペットチップ置き場60、及び使い終わったピペットチップを廃棄するピペットチップ捨て場61が設けられている。
【0013】
これらの上方には、複数個の容器、例えば8個の容器を1ユニットとして各部に搬送するための搬送ヘッド23が設置されている。搬送ヘッド23はボールネジ22に沿ってX方向に移動可能であり、ボールネジ22はレール21a,21bに沿ってY方向に移動可能である。結果として、搬送ヘッド23はXY方向の任意の場所に容器を搬送することができる。分注ステーション14は、試薬容器や脱染色液容器に接続された8個のノズルを有し、搬送ヘッド23によって搬送されてきた1ユニットの容器、すなわち8個の容器に対して処理溶液を注入したり、容器から溶液を吸引したりすることができる。ノズルに接続される処理液容器を切り替えることによって、ノズルからは処理に必要な処理液が各容器に選択して供給される。また、装置の各部は、制御部24により制御される。
【0014】
容器内の試料に対して処理を行う処理部は、容器に対して処理液を注入・吸引する分注装置と恒温槽、分注装置と振動恒温槽など、図1に示した複数の設備によって構成される。分注装置は、それぞれの処理部に個別に設けてもよいし、複数の処理部が共用する形態をとってもよい。本実施例では、複数の処理部が1つの分注装置を共用する。さらに、分注装置は、装置上に固定的に設けてもよいし、搬送ヘッドに設けることもできる。
【0015】
図2は搬送ヘッドの一例を示す説明図であり、図2(a)は正面摸式図、図2(b)は下面模式図である。搬送ヘッド23は、その下方に、先端に容器把持部32を備えるロッド31が突出している。容器把持部32の下端は、ロッド軸と垂直な方向に膨らんでおり、後述する容器の蓋の凹部にはまるようになっている。ロッドの外側には容器把持部32より大きな径を持つ中空の外筒52が備えられており、ロッドとは独立に上下動することが出来るようになっている。ロッド31は8本が1ユニットとなって第1の容器搬送部33を構成し、第1の容器搬送部33は矢印で示すように8本同時に上下動するようになっている。搬送ヘッド23はまた、同様に先端に容器把持部と外筒を備えるロッドからなるが、1個の容器だけを独立して搬送可能な第2の容器搬送部34をも有する。第1の容器搬送部33の8本の外筒も、8本が1ユニットとなって同時に上下する。
【0016】
容器に処理液を分注する分注装置は、分注ステーション14に固定的に設けられていても良いし、搬送ヘッドに設けられていて、分注時、搬送ヘッドが分注ステーションに移動して分注を行ってもよい。図3は、分注装置を備えた搬送ヘッドの一例を示す説明図であり、図3(a)は正面摸式図、図3(b)は下面模式図である。この搬送/分注ヘッド23は、搬送ヘッド部と分注ヘッド部からなり、これらは同時に上下動しても、それぞれ独立に上下動してもよい。
【0017】
搬送ヘッド部は、その下方に、先端に容器把持部32を備えるロッド31が突出している。容器把持部32の先端は、ロッド軸と垂直な方向に膨らんでおり、後述する容器の蓋の凹部にはまるようになっている。ロッドの外側には容器把持部32より大きな径を持つ中空の外筒52が備えられており、ロッドとは独立に上下動することが出来るようになっている。ロッド31は8本が1ユニットとなって第1の容器搬送部33を構成し、第1の容器搬送部33は矢印で示すように8本同時に上下動するようになっている。搬送ヘッド部はまた、同様に先端に容器把持部と外筒を備えるロッドからなるが、1個の容器だけを独立して搬送可能な第2の容器搬送部34をも有する。
【0018】
分注ヘッド部は、その下方に、先端にピペットチップ57を装着可能な分注器ヘッド55が突出している。分注器は8本が1ユニットとなって第1の分注部58を構成し、第1の分注部58は矢印で示すように8本同時に上下動するようになっている。分注ヘッド部はまた、同様に先端にピペットチップ57を装着可能な分注器からなるが、1個の容器だけを独立して分注、吸引可能な第2の分注部59をも有する。分注器には、分注器ヘッド55に対して独立に上下動可能な中空のチップ脱離用外筒56が付属している。
【0019】
図4は、先端に容器把持部32を備えるロッド31による容器搬送および容器蓋開閉の様子を示す説明図である。図4(a)は試料容器置き場などに置かれた蓋付きの容器41の上方に搬送ヘッドを位置決めし、先端に容器把持部32を備えるロッド31を搬送ヘッドから降下させている状態を示している。図4(b)は、ロッド31の先端に設けられた容器把持部32が、容器41の開口部に嵌った蓋53の凹部に挿入され、固定された状態を示している。
【0020】
図4(c)は、容器の蓋53を開ける様子を示す。押さえピン54は通常バネや磁力により図4(a)に示すように開いているが、空気圧などにより内側に移動し容器の下部を押さえることで容器41を固定することが出来る。この状態で図4(b)のように蓋53をロッド31に固定したまま搬送ヘッドを上昇させることにより、蓋53を容器41から取り去ることが出来る。図4(d)は、容器把持部32が容器41の開口部に嵌った蓋53の凹部に固定された状態でロッド31を上昇させた様子を示している。容器41は、蓋53の凹部に容器把持部32が嵌ったままロッド31によって引き上げられる。この状態で搬送ヘッドを移動することにより、容器の搬送が行われる。
【0021】
図4(e)は、搬送してきた容器を置く様子を示している。所望の位置に搬送後、接地する。その後、ロッドの外筒52が降下し、蓋53を押さえた状態でロッド31を上昇させることにより、搬送ヘッド23から蓋53を外すことが出来る。このとき、蓋53は容器41の開口部に嵌ったまま残る。
【0022】
なお、図2、図3に示した搬送ヘッドの構造あるいは図4に示した容器搬送方法は単なる一例であり、容器を搬送するための具体的構造や搬送方法として、ここに示した以外の構造や方法を用いても構わない。
【0023】
図3に示した分注装置を備えた搬送ヘッドの場合、処理液の分注あるいは吸引が終わると、制御部24は搬送ヘッドをピペットチップ捨て場61の上方に移動し、そこでチップ脱離用外筒56を降下させ、分注器ヘッド55に装着されているピペットチップを押し下げて外し、ピペットチップ捨て場61に捨てる。ピペットチップの装着に当たっては、制御部24は搬送ヘッドをピペットチップ置き場60の上方に移動し、ピペットチップ置き場60に整列して置かれているピペットチップに分注器ヘッド55が整列するように位置決めする。そして、分注器ヘッド部を降下させて分注器ヘッド55をピペットチップ上端の開口に挿入することにより、分注器ヘッド55にピペットチップを装着する。その後、分注ヘッド部を上昇させ、搬送ヘッドを分注ステーションに移動して分注操作を行う。
【0024】
図5は、各処理工程における処理の概略を示すフローチャートである。前工程での処理が終了した試料は、決められた個数の容器からなるユニット単位で処理される(S11)。処理が終わると、各試料の容器は個別化され(S12)、必要な処理が完了しているか個別に検査される(S13)。検査に合格した試料は、1ユニットにまとめられ(S15)、次の処理工程に移される。検査で不合格であった試料は、不合格試料同士でユニット化され(S17)、不良処理にまわされる(S18)。不良処理が終わると、再び個別化され(S12)、検査にかけられる(S13)。不良処理の回数は予め設定されており、決められた回数だけ不良処理を行っても検査に合格しない試料の入った容器は不良品として登録され、以後の処理を行わない。なお、S15及びS17のユニット化では、ダミー容器を加えて容器の数を1ユニットの数(本実施例では8個)に合わせる。また、S12の個別化は個々の試料に対して個別に検査を行うために必要とされる工程であり、容器をユニット化した状態でも個々の試料に対してS13の検査を行うことができるのであれば、S12の工程は省略しても構わない。
【0025】
図6は、図5のフローチャートを視覚的に示した概念図である。試料の入った容器は、所定数の容器からなるユニット単位で処理される。その後、1ユニットの容器は個別化され、個々の容器に対して処理状態の検査が行われる。このとき、図示したように、○を付した7個の容器は検査に合格であったが、×を付した1個の容器が不合格であったとする。この場合、合格した容器と不合格の容器に分け、合格した容器には1個のダミー容器を追加して8個とし、不合格の容器には7個のダミー容器を追加して8個とする。こうしてユニット化され、不合格のユニットは不良処理にまわされる。不良処理によって最終的に検査に合格した容器は再びユニット化され、先に合格したユニットと合わせて次の処理工程にまわされる。
【0026】
図7は、検査に合格した試料が入った容器と、不合格の試料が入った容器の流れをより詳細に示した説明図である。
【0027】
ユニット単位で処理された試料は検査にかけられ、ユニット内の個々の試料が正常試料か不良試料か判定される。不良試料はユニットから外され、不良試料のあった個所にはダミー容器が挿入されて正常試料ユニットが作られる。一方、ユニットから取り出された不良試料には、同様にダミー容器が追加されてユニット化され、そのユニットに対して不良処理が行われる。不良処理が終わると再び検査され、依然として検査に不合格の試料はユニットから取り出されて不良試料置き場に移される。また、不良試料が取り出された個所にはダミー容器が追加され、正常試料ユニットとされる。こうして得られた2つの正常試料ユニットは、次の処理工程で処理される。そして、最終の処理工程が終了すると、ユニットからダミー容器が除去され、各種の処理が正常に施された試料は正常試料置き場に保管される。
【0028】
なお、図6及び図7は、検査の終わったユニット毎に、不良試料にダミー容器を追加して不良処理用のユニットを形成する例を示している。しかし、反応等の時間が許す場合には、仮に全試料数が96本とすれば96本全て(あるいは48本など中間的な任意の本数)の検査を行ってから各ユニットから不合格の試料を取り出して集め、8本単位の不良試料ユニットを形成する(8本を越える場合には最初の8本をユニット化して残りにダミーを加える)という処理方法も可能である。
【0029】
次に、具体的な処理の例について説明する。本実施例の試料処理システムは、以下の処理工程を自動運転で行う。
(1)クマシーブルー色素染色したタンパク質ゲルバンドの脱染色工程。
(2)ゲルバンドの洗浄、脱水工程。
(3)ゲルバンドの乾燥工程。
(4)還元アルキル化工程。
(5)酵素消化反応工程。
(6)(1)、(4)、(5)の各工程が期待通りに進行しているか検査する工程。
(7)検査結果を試料識別番号とともに記録する工程。
(8)検査結果に応じて可変する工程。
【0030】
以下に、各工程の詳細を説明する。図8は、タンパク質ゲルバンドの脱染色処理を示すフローチャートである。
【0031】
脱染色工程において、制御部24は、まず、搬送ヘッド23を試料容器置き場11の上方に移動させ、搬送ヘッド23の第1の容器搬送部を用いて1ユニット分である8個の試料容器を試料容器置き場11から取り出す。1ユニット分の試料容器を保持した搬送ヘッド23は、バーコードリーダー15の上方に移動し、各容器の下面に設けられた2次元バーコードの情報をバーコードリーダー15によって読み取る(S21)。読み取った情報は、制御部24のメモリに記憶される。次に、搬送ヘッド23は試料容器を分注ステーション14に搬送し、容器を下ろした後に蓋を開ける。分注ステーションでは、1ユニットを構成する各容器に脱染色液(酢酸メタノール溶液)を分注する(S22)。搬送ヘッドは、脱染色液が分注された試料容器は蓋を閉めて、振動恒温槽16に搬送する。以下の分注操作でも特に断らない限り直前に蓋を開けて分注し、分注したら直後に蓋を閉めて他の処理を行う。
【0032】
振動恒温槽16は37℃±1℃に温度調整されており、試料を槽内でインキュベーションして攪拌洗浄する(S23)。所定時間の洗浄が終わると、1ユニットの試料容器は再び搬送ヘッドによって分注ステーション14に搬送される。分注ステーション14では、1ユニットの試料容器それぞれにノズルを挿入して脱染色液を吸引除去する(S24)。脱染色液が除去された試料容器は、搬送ヘッド23によって検査ステーション20に搬送される。
【0033】
検査ステーション20には撮像装置としてCCDカメラが設置されており、図9に示すように、搬送ヘッド23は1ユニットの容器列をCCDカメラの前に移動させながら一つ一つの容器内の試料を検査する(S25)。この検査工程では、容器内のゲル片が十分に脱染色されていれば合格と判定し、ゲル片の色調が所定の閾値以上であれば、脱染色不十分であるとして不良と判定する(S26)。
【0034】
全ての容器に対して検査が終了すると、搬送ヘッド23は分注ステーションに移動し、そこに1ユニットの試料容器を降ろす。次に、搬送ヘッド23の第2の容器搬送部を用いて不良試料を2次元バーコードリーダー15の場所まで搬送し、不良試料のバーコード情報を読み取る(S28)。読み取った情報は制御部24のメモリに記憶される。その後、不良試料の入った容器は、一時退避のため、搬送ヘッド23によって不良試料置き場13に搬送される。
【0035】
次に、搬送ヘッド23は、その第2の容器搬送部を用いて、ダミー容器置き場12からダミー容器を取り出し、それを分注ステーションに残っている容器列の空いている個所(不良試料として抜き取られた容器があった個所)に挿入する。この操作を、不良試料の数だけ反復し、分注ステーションに置かれている容器の数を8本にして、再度ユニット化する。ダミー容器を加えて8本とされ、ユニット化された容器は、試料容器置き場11に搬送され、次の処理のために待機する(S27)。
【0036】
次に、検査で不合格となった試料に対する不良処理について説明する。
【0037】
制御部24は、始めに搬送ヘッド23を不良試料置き場13の上方に移動し、第2の容器搬送部を用いて、不良試料置き場13に退避していた検査不合格試料の入った容器を取り上げて、それを分注ステーション14に搬送する。この操作を、不良試料の数だけ繰り返し、不良試料の入った容器を全て分注ステーション14に搬送する。次に、搬送ヘッド23の第2の容器搬送部を用いて、ダミー容器置き場12からダミー容器を必要な数だけ分注ステーション14に搬送し、8個の容器からなるユニットを構成する(S29)。
【0038】
次に、ダミー容器を含む全ての容器に、ノズルを挿入して脱染色液を分注する(S22)。脱染色液の分注が終わったら、そのユニットを搬送ヘッド23の第1の容器搬送部にて分注ステーション14から引き上げ、振動恒温槽16に搬送する。不良試料の入った容器を含むユニットは、振動恒温槽16内でインキュベーションして攪拌脱染色される(S23)。脱染色が終わると、そのユニットの試料容器は再び搬送ヘッド23によって分注ステーション14に搬送される。分注ステーション14では、1ユニットの試料容器それぞれにノズルを挿入して脱染色液を吸引除去する(S24)。脱染色液が除去された試料容器は、搬送ヘッド23によって検査ステーション20に搬送される。
【0039】
検査ステーションにおいて、搬送ヘッド23は1ユニットの容器列をCCDカメラの前に移動させ、容器内の試料が検査される(S25)。このときダミー容器の位置は既知であるため、制御部は、その情報を用いてダミー容器に対しては検査を行わない。必要な検査が終了すると、搬送ヘッド23は分注ステーションに移動し、そこに1ユニットの試料容器を降ろす。未だ検査で不合格になった不良試料が存在する場合、搬送ヘッド23の第2の容器搬送部を用いてその不良試料を2次元バーコードリーダー15の場所まで搬送し、不良試料のバーコード情報を読み取る。読み取った情報は制御部24のメモリに記憶される。その後、不良試料の入った容器は、搬送ヘッド23によって不良試料置き場13に搬送される。
【0040】
次に、搬送ヘッド23は、第2の容器搬送部を用いて、ダミー容器置き場12からダミー容器を取り出し、それを分注ステーションに残っている容器列の空いている個所(不良試料として抜き取られた容器があった個所)に挿入する。こうして、分注ステーションに置かれている容器の数を8本にして、再度ユニット化する(S27)。ダミー容器を加えて8本とされ、ユニット化された検査合格試料の容器は、試料容器置き場11に搬送され、次の処理のために待機する。
【0041】
脱染色工程が終了した試料は、次に、酢酸メタノール溶液を除去し、乾燥しやすくするための洗浄、脱水工程を行う。制御部24は、まず、搬送ヘッド23を試料容器置き場11の上方に移動させ、搬送ヘッド23の第1の容器搬送部を用いて1ユニット分である8個の試料容器を試料容器置き場11から取り出し、分注ステーション14に搬送し、容器を下ろす。分注ステーションでは、1ユニットを構成する各容器に超純水を分注する。搬送ヘッドは、洗浄液が分注された試料容器を振動恒温槽16に搬送する。振動恒温槽16は37℃±1℃に温度調整されており、試料を槽内でインキュベーションして攪拌洗浄する。所定時間の洗浄が終わると、1ユニットの試料容器は再び搬送ヘッドによって分注ステーション14に搬送される。分注ステーション14では、1ユニットの試料容器それぞれにノズルを挿入して洗浄液を吸引除去する。この洗浄処理を規定回数行う。
【0042】
次に、洗浄後の試料容器に、脱水溶液(アセトニトリル)を分注する。搬送ヘッドは、脱水溶液が分注された試料容器を振動恒温槽16に搬送する。振動恒温槽16は37℃±1℃に温度調整されており、試料を槽内でインキュベーションして脱水処理する。所定時間の処理が終わると、1ユニットの試料容器は再び搬送ヘッドによって分注ステーション14に搬送される。分注ステーション14では、1ユニットの試料容器それぞれにノズルを挿入して脱水溶液を吸引除去する。脱水処理を規定回数行った後に、試料容器はユニットごとに試料容器置き場11に搬送され、次の処理のために待機する。
【0043】
ゲルバンドの乾燥工程では、試料容器置き場11に置かれている1ユニットの試料容器を、搬送ヘッド23にて減圧遠心機17に搬送し、30分間減圧遠心乾燥を行う。乾燥工程が終わったユニットの容器は、試料容器置き場11に戻す。
【0044】
図10は、タンパク質ゲルバンドの還元アルキル化処理を示すフローチャートである。
【0045】
還元アルキル化工程では、ゲル内のタンパク質内のシステイン残基を還元した後にアルキル基により保護する。還元溶液としてジチオスレイトール、アルキル化剤としてヨード酢酸を用いた還元アルキル化反応が可能なように、窒素雰囲気下および遮光条件で反応を行う。最初に還元溶液を調製する(S41)。次に、制御部24は、搬送ヘッド23を駆動し、試料容器置き場11に置かれている1ユニットの試料容器を分注ステーション14に搬送する。分注ステーション14では、搬送された各容器に予め調製しておいた還元溶液を分注する(S31)。次に、搬送ヘッド23は、還元溶液が分注された1ユニットの容器を恒温槽18aに搬送する。容器は恒温槽18aに放置(37℃、30分)し、反応させる。同様に全てのユニットについて還元反応を行う(S32)。
【0046】
次に、搬送ヘッド23はpH検査の準備のため、検査用容器置き場51から空の容器を分注ステーション14に搬送する。この容器に、ステーション内の試薬置き場50内のpH指示薬を分注しておく(S42)。反応時間が終了したら、恒温槽18aから1ユニットの試料容器を分注ステーション14へと搬送し、分注器で反応液の一部を吸引する(S33)。吸引した反応液を検査用容器内で吐出し予め分注しておいたpH指示薬と吸引吐出を繰り返すことにより混合する(S43)。
【0047】
検査用容器を検査ステーション20まで搬送する。pH指示薬色変化は、検査ステーション20のCCDカメラにて検出する。CCDカメラは試料分析の前に予めpH既知の緩衝液をpH指示薬と混合した画像を校正用に記録しておき、制御部がこれらと試料実測値を比較することで判定を行う(S44)。
【0048】
pH不良試料があった場合、そのユニットの正常試料の容器は、恒温槽の元の場所に搬送する(S35)。不良試料容器はバーコードを読み取らせた後(S45)、残用液を吸引し(S46)再度還元溶液を分注(100μl)する(S47)。その後、恒温槽18aの元の場所に搬送し、恒温槽18a内に放置(37℃、60分)し反応させる(S35)。
【0049】
続いて、アルキル化溶液を調製する(S48)。還元反応時間が終了したら搬送ヘッド23は、恒温槽18a中の1ユニットの容器を分注ステーション14に搬送する。分注ステーション14では、各容器からゲル未吸収の溶液を完全に吸引し(36)、アルキル化溶液を分注(100μl)する(S37)。その後、搬送ヘッド23は、容器を遮光槽19に搬送し、放置(室温、30分)し、反応させる(S38)。
【0050】
次に、搬送ヘッド23は、容器を遮光槽19から検査ステーション20に搬送し、還元工程と同様にpH検査を行う。pH不良試料があった場合、pH不良試料は、バーコードリーダーにバーコードを読み取らせた後に(S52)、残溶液を吸引し(S53)、還元溶液を分注(100μl)して(S54)、氷浴槽18bに搬送し、待機させる(S55)。これらの試料は、正常試料の作業終了後、S32から再度還元アルキル化反応を行う。
【0051】
還元アルキル化反応工程が終了した試料は、次に、過剰の試薬や緩衝液を除去するための洗浄、脱水工程を行う。この工程は超純水の代わりに重炭酸アンモニウム溶液を用いること以外は上述の洗浄、脱水工程と同じである。
【0052】
洗浄、脱水工程が終了した試料は、再度、上述のとおり乾燥工程を行う。
【0053】
次に、酵素消化反応工程について簡単に説明する。最初に酵素溶液を調製する。タンパク質分解酵素は、予め用意し、分注ステーション内の試薬置き場50に、一回の分析に必要な量ずつ凍結乾燥物として容器に入れておく。この容器に分注器により規定の濃度となるように超純水を分注し、吸引、吐出を繰り返し、溶解する。次に、試料容器置き場11に置かれている1ユニットの試料容器を分注ステーション14に搬送する。先に調製した酵素溶液を各試料容器に規定量分注した後に、氷浴槽18bに搬送する。容器を氷浴槽に静置し、容器内のゲルを所定の時間膨潤させる。所定の時間膨潤したゲルが入った容器を検査ステーションに搬送し、膨潤の程度を検査する。膨潤前の乾燥したゲルは白色であるのに対して、酵素溶液を吸収して膨潤したゲルは無色透明となるので、この白色の減少を指標として膨潤の程度を判定する。
【0054】
膨潤検査が終わった1ユニットの試料容器は分注ステーションに搬送される。もし、膨潤不良試料がある場合には、搬送ヘッド23の第2の容器搬送部を用いて不良試料を2次元バーコードリーダー15の場所まで搬送し、不良試料のバーコード情報を読み取る。読み取った情報は制御部24のメモリに記憶される。その後、不良試料の入った容器は、一時退避のため、搬送ヘッド23によって氷浴槽18bに搬送される。
【0055】
次に、搬送ヘッド23は、その第2の容器搬送部を用いて、ダミー容器置き場12からダミー容器を取り出し、それを分注ステーションに残っている容器列の空いている個所(不良試料として抜き取られた容器があった個所)に挿入する。この操作を、不良試料の数だけ反復し、分注ステーションに置かれている容器の数を8本にして、再度ユニット化する。このユニットに消化用緩衝液を分注し、再度氷浴槽に搬送し、所定の時間静置する。
【0056】
所定の時間が経過した試料容器を分注ステーションに搬送し、規定量の消化用緩衝液を再び加える。搬送ヘッド23は、消化用緩衝液が加えられた試料容器を恒温槽18aに搬送する。恒温槽は37℃±1℃に温度調整されており、試料を槽内で静置して酵素消化反応を行う。次に、搬送ヘッド23は、pH検査の準備のため、検査用容器置き場51から空の容器を分注ステーション14に搬送する。この容器にステーション内の試薬置き場50内のpH指示薬を分注しておく。反応時間が終了したら、恒温槽18aから1ユニットの試料容器を分注ステーション14へと搬送し、分注器で反応液の一部を吸引する。吸引した反応液を検査用容器内で吐出し、予め分注しておいたpH指示薬と吸引吐出により混合する。検査用容器を検査ステーション20まで搬送する。pH指示薬色変化はCCDカメラにて検出する。CCDカメラは試料分析の前に予めpH既知の緩衝液をpH指示薬と混合した画像を校正用に記録しておき、制御部24がこれらと試料実測値を比較することで判定を行う。
【0057】
上述の説明では、一般的な動作を説明するため、試料容器置き場から開始して各処理を行った後に、また試料置き場まで戻している。しかし、実際に特定のプロトコールを実行する場合には、試料置き場を介さないで各工程を直結することも出来る。例えば、乾燥工程中に還元溶液を調製し、乾燥工程が終わった時点で減圧遠心機から直接1ユニットを分注ステーションに搬送して、還元溶液を分注することも出来る。このように試料置き場を介さず直接各工程を結合することでより効率的な調製が可能である。
【0058】
上記の実施例では、試料容器にはそれぞれバーコードが付され、バーコードによる試料及び情報の管理が行われている。図11は、バーコードデータの使用例を示す説明図である。
【0059】
試料容器の管理は、2次元バーコードと試料置き場での物理的位置による。バーコード情報は、本実施例では、試料を入れる容器の底面に付されている。位置データは、何番目の8本ユニットかを行番号(例えば96試料を調製する場合には行番号は1〜12である)とし、8本ユニットの何番目の位置にあるかを列番号とした2次元データとする。例えば3セット目の原点から5番目のチューブは3−5と登録される(図11(a)参照)。
【0060】
図11(b)は、バーコード情報と位置情報がどのように管理されるかの例を示したものである。自動運転の最初に、搬送ヘッドは1ユニット(8本)ごとに試料容器をバーコードリーダー上に搬送して各容器のバーコードを読み取らせる。制御部24はバーコードを読み取るごとに新しいデータ行を生成し、図11(b)に示すように初期位置欄と現在位置欄に位置情報を記録する。自動運転中には試料容器は1ユニットごとに取り出されて処理され、試料置き場11の元の位置に戻されるため、バーコード情報と位置情報の関係は保持される。
【0061】
検査工程で不良試料と判定された場合には、バーコードを読み取り、該当する検査結果欄に不合格(偽)が記録される。不合格となった試料が入っている容器は不良試料置き場などの所定の場所に搬送され、代わりにダミー容器が元の位置に搬送される。制御部の現在位置欄は不良試料を搬送した位置に書き換えられる。制御部は、初期位置欄と現在位置欄が異なる場合には、該当する初期位置欄にはダミー容器があると認識して以降の工程を行う。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による試料処理システムの全体構成を示す概略図。
【図2】搬送ヘッドの一例を示す説明図。
【図3】分注装置を備えた搬送ヘッドの一例を示す説明図。
【図4】先端に容器把持部を備えるロッドによる容器搬送の様子を示す説明図。
【図5】各処理工程における処理の概略を示すフローチャート。
【図6】図4のフローチャートを視覚的に示した概念図。
【図7】検査に合格した試料が入った容器と、不合格の試料が入った容器の流れをより詳細に示した説明図。
【図8】タンパク質ゲルバンドの脱染色処理を示すフローチャート。
【図9】検査方法の一例を説明する図。
【図10】タンパク質ゲルバンドの還元アルキル化処理を示すフローチャート。
【図11】バーコードによる試料容器情報の管理を示す説明図。
【符号の説明】
【0063】
11:試料容器置き場、12:ダミー容器置き場、13:不良試料置き場、14:分注ステーション、15:バーコードリーダー、16:振動恒温槽、17:減圧遠心機、18a:恒温槽、18b:氷浴槽、19:遮光槽、20:検査ステーション、21a,21b:レール、22:ボールネジ、23:搬送ヘッド、24:制御部、31:ロッド、32:容器把持部、33:第1の容器搬送部、34:第2の容器搬送部、41:試料容器、50:試薬ビン置き場、51:検査容器置き場、52:ロッド外筒、53:容器蓋、54:押さえピン、55:分注器ヘッド、56:チップ脱離用外筒、57:ピペットチップ、58:第1の分注部、59:第2の分注部、60:ピペットチップ置き場、61:ピペットチップ捨て場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料を複数の処理工程を経て処理する複数試料自動処理システムにおいて、
複数の試料容器が置かれる試料容器置き場と、
ダミー容器が置かれるダミー容器置き場と、
容器中の試料に対して異なる処理を行う第1の処理部及び第2の処理部と、
容器中の試料を検査する検査部と、
容器を前記各容器置き場、処理部及び検査部の間に搬送する容器搬送部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記各部を制御して、前記第1の処理部においてn個(nは2以上の正の整数)の容器を1単位として処理を行い、処理後に前記検査部による検査で不合格となった試料があるとき、当該不合格になった試料が入った容器にダミー容器を加えてn個一組とした容器に対して不良処理を行い、検査に合格した試料が入った容器にダミー容器を加えてn個一組とした容器を前記第2の処理部で処理することを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の複数試料自動処理システムにおいて、前記不良処理では前記n個一組の容器を前記第1の処理部に戻して再処理することを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の複数試料自動処理システムにおいて、前記容器搬送部は、n個の容器を同時に保持する第1の容器保持部と、1個の容器を保持する第2の容器保持部を有することを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の複数試料自動処理システムにおいて、前記第1の処理部及び第2の処理部は、前記n個一組の容器に対して処理液を注入又は吸引する分注手段を備えることを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項5】
請求項4記載の複数試料自動処理システムにおいて、前記分注手段を、前記第1の処理部と第2の処理部が共用することを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項6】
請求項5記載の複数試料自動処理システムにおいて、前記容器搬送部に前記分注手段が設けられていることを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の複数試料自動処理システムにおいて、前記検査部は、撮像装置を備え、個々の容器中の試料を撮像して検査することを特徴とする複数試料自動処理システム。
【請求項8】
複数の試料を複数の処理工程を経て処理する複数試料自動処理方法において、
第1の処理部において、n個(nは2以上の正の整数)の容器を一組として容器内の試料に対して処理を行う工程と、
前記第1の処理部での処理が終わった試料に対して第1の検査を行う工程と、
前記第1の検査で不合格となった試料があるとき、当該不合格になった試料が入った容器にダミー容器を加えてn個の容器からなる第1の容器ユニットを形成する工程と、
前記第1の容器ユニットに対して不良処理を行う工程と、
前記不良処理後の試料に対して第2の検査を行う工程と、
前記第2の検査で合格した試料が入った容器にダミー容器を加えてn個の容器からなる第2の容器ユニットを形成する工程と、
前記第1の検査に合格した試料が入った容器にダミー容器を加えてn個の容器からなる第3の容器ユニットを形成する工程と、
前記第2の処理部において、前記第2の容器ユニット内の試料及び第3の容器ユニット内の試料に対して処理を行う工程と
を含むことを特徴とする複数試料自動処理方法。
【請求項9】
請求項8記載の複数試料自動処理方法において、前記第1の容器ユニットには、異なる容器の組を対象とする別々の前記第1の検査で不合格となった容器が混在していることを特徴とする複数試料自動処理方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の複数試料自動処理方法において、前記不良処理では、前記第1の容器ユニットを前記第1の処理部に戻して処理を行うことを特徴とする複数試料自動処理方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項記載の複数試料自動処理方法において、前記第1の処理部では、前記n個の容器に処理液を注入して反応を行わせ、反応後に処理液を吸引することを特徴とする複数試料自動処理方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1項記載の複数試料自動処理方法において、前記検査は前記容器内の試料を撮像することによって行うことを特徴とする複数試料自動処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−284492(P2006−284492A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107631(P2005−107631)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】