説明

解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置

【課題】
三次元画像表示装置を使用して画像解析を行う場合に操作ステップと操作時間を低減する。
【解決手段】
画像診断装置で検査した画像データ集合を,画像付帯情報,情報システムからの情報,人体アトラスなどから解析して検査目的と検査部位を求め,これから画像解析プロトコル決定し,画像データ集合に対してこの画像解析プロトコルに従って画像解析を行い,解析パラメータと特性値を出力する機能を備える前処理装置と,画像データ集合の画像解析のために,当該画像データ集合に対して前処理装置で求めた各種解析パラメータおよび特性値を使用し,解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアを作動させて操作者の希望する解析画像を表示し,解析データ,特性値などを再現することを可能にした画像表示装置とから構成し,三次元画像表示装置を使用して画像解析を行う場合に必要な操作ステップと操作時間を低減することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,解析プロトコルに基づいた前処理装置が事前に求めたパラメータに基づいて三次元画像処理を実行する三次元画像表示装置に関する。

【背景技術】
【0002】
最近のX線CT装置の技術的進歩は著しく,多列検出器・ヘリカルスキャン方式のX線CT装置では,初期のX線CT装置と比較して,X線検出器の雑音の低下とX線検出器の空間密度の向上が達成されたことで,被検者の横断面および体軸方向の投影データを精細に,また短時間に,収集することが可能になった。これによって画像再構成スライスの厚さを薄くしても雑音の少ない意味のある画像を得ることが可能になった。また,画像再構成装置の能力が著しく向上した。これらによって,体軸方向の空間分解能を向上させるために,画像再構成スライスの厚さを薄くし,画像再構成画像の枚数を増やすことが行われている。
【0003】
このように,最近のX線CT検査においては,多列検出器を使用したX線CT装置の普及によって,体軸方向の検査の精度が向上し,この精度向上に伴う画像再構成面の間隔の高密度化によって,細かいスライス間隔で画像データが作成されるようになった。これに伴い,一回の検査で作成される画像データの枚数は大幅に増加している。MR装置においても同様に,初期の装置と比較して一回の検査で作成されるMR画像データの枚数が大幅に増加している。従来は,一回の検査で作成される画像データを画像としてフィルムに焼き付けて,このフィルムを観察することで読影が行われていた。しかし,一回の検査で作成される画像データの枚数が多くなると,フィルム上のすべての画像を観察することが困難になっている。このため,ルーチンの読影でも検査で得られた画像データから三次元画像を作成し,これを観察することが行われている。X線CT画像データを使用した三次元画像表示装置では,被検者の横断面の画像データを体軸方向に積み重ねることによってボクセルデータ作成し,これに三次元再構成処理を行うことによって,三次元画像を作成する。最近の多列検出器・ヘリカルスキャン方式のX線CT装置で得られたX線CT画像データを使用すると,高い空間分解能の精密な三次元画像を得ることが可能である。
【0004】
X線CT画像データから三次元画像を作成する場合,被検者の横断面の画像データを体軸方向に積み重ねることによってボリュームデータを作成する。横断面の画素数が例えば512×512画素で画素寸法が0.5mm×0.5mmの画像データを体軸方向に例えば0.5mm間隔で512枚積み重ねると,256mm×256mm×256mmの空間領域を持った512×512×512個のボクセルで構成される立方体が得られる。次に,このボクセルで構成される立方体のボリュームデータにサーフェスレンダリングやボリュームレンダリングの三次元再構成処理を行うことによって,三次元画像を作成する。この場合は,512×512×512個の16ビットデータを扱うために,256MBのデータを載せることができるメモリを持つことが必要になる。
【0005】
横断面の画素数が512×512画素で画素寸法が1.0mm×1.0mmの画像データを体軸方向に1.0mm間隔で1024枚積み重ねると,512mm×512mm×1024mmの空間領域を持った512×512×1024個のボクセルで構成される立方体が得られる。次に,このボクセルで構成される立方体のボリュームデータにサーフェスレンダリングやボリュームレンダリングの三次元再構成処理を行うことによって,三次元画像を作成する。この場合は,512×512×1024個の16ビットデータを扱うために,512MBのデータを載せることができるメモリを持つことが必要になる。さらに,最近では画素数が1024×1024画素で画素寸法が0.4mm×0.4mmの画像データで体軸方向に0.4mm間隔で2000枚とか4,000枚を再構成することも行われている。この画像データで三次元画像を作成すると,1024×1024×4096個の16ビットデータを扱うためことになり,4GBの画像メモリが必要になる。
【0006】
被検者の心臓のデータを心電図同期で収集することが行われている。例えば一心拍を10等分した1/10心拍間隔で,投影データを10位相の投影データに分類する。それぞれの位相の投影データを画像再構成した10位相の画像データを使用して,10位相の三次元画像を作成する。一位相あたり,例えば横断面の画素数が512×512画素で画素寸法が0.5mm×0.5mmの画像データを体軸方向に0.5mm間隔で512枚積み重ねると,256mm×256mm×256mmの空間領域を持つ,512×512×512個のボクセルの立方体になる。次に,このボクセルで構成される立方体のボリュームデータにボリュームレンダリングなどの三次元再構成処理を行うことによって,三次元画像を作成する。一位相あたり,512×512×512個の16ビットデータを扱うためには,256MBのデータを載せることができるメモリが必要になる。10位相のデータでは,256MB/位相×10位相=2.5GBとなる。
【0007】
一回の検査で作成される画像データの枚数が多くなると,従来のように,一回の検査で作成される画像データをすべて二次元画像として表示し,ここのすべての画像を観察することは困難になっている。このため,一回の検査で得られた画像データから三次元画像を作成し,これを観察することが行われている。しかしながら,人体の三次元画像は多くの臓器が重なった画像であるので,医師などの医療従事者が関心のある臓器を観察するためには,その関心臓器や関心空間領域を選択的に表示し,その他の臓器やその他の空間領域を表示しないようにする必要がある。例えば,肺野の観察を行いたい場合には,肺野の領域のみを抽出し,周囲の肋骨の影響を取り除くなどの操作を行う必要があるが,このような操作は特定CT値範囲のみを抽出するとか,特定空間領域を指定してその領域を抽出するなど,かなり多くのステップを必要とする。操作者の人体構造に対する医学的知識と経験が必要になる。
【0008】
ここで従来一般に使用されている三次元画像表示装置について説明する。図4は従来の三次元画像表示装置を示すブロック図である。
101は,X線CT装置,MR装置などの画像診断装置の例示である。
102は,PACSサーバーなどの画像データ保管システムの例示である。
103は,放射線部門情報システムRISなどの情報システムの例示である。
104は,病院情報システムHISなどの情報システムの例示である。
105は,病院内のネットワークなどの例示である。
111は,X線CT装置101が被検者をX線走査し,再構成処理した画像データを示す。
112は,X線CT装置101またはPACS 104から三次元画像表示装置111に送られる画像データを示す。
113は,RIS 103から,三次元画像表示装置の操作器115へ供給される検査関連情報を示す。
121は,三次元画像表示装置を示す。
122は,磁気ディスクなどで構成される画像データ蓄積装置である。
123は,画像処理装置である。
124は,画像表示装置である。
125は,操作器を示す。
126は,三次元画像表示装置を操作する操作者の例示である。
131は,操作者126が行う操作を示す。
132は,操作器125から画像データ蓄積装置122に伝達される制御情報を示す。
133は,データ蓄積装置122から画像処理装置123へ送られる画像データを示す。
134は,画像処理パラメータの指示など,操作者126が行う操作を示す。
135は,操作器125から画像処理装置123に伝達される画像処理パラメータなどの制御情報を示す。
136は,画像処理装置123が画像処理した画像データを示す。
137は,画像表示装置124に表示された画像を操作者126が観察するプロセスを示す。
138は,操作者126が画像表示装置124に表示された画像を観察し,最初に行った画像処理パラメータの指示134を修正する思考過程を示す。
【0009】
画像データ蓄積装置122は操作器125が指示した画像データを磁気ディスクから読み出し,この画像データ133を画像処理装置123に送る。
画像処理装置123は,画像データ133に,操作器125が指示した画像処理パラメータ135を使用して画像処理を行い,画像処理した画像データ136を画像表示装置124に表示する。
操作者126は,画像表示装置124に表示された画像を観察し,最初に行った画像処理パラメータの指示134を修正し,新しい指示134を発行する。
操作器125から新しい画像処理パラメタ135が画像処理装置123に送られ,画像処理装置123は新しい画像処理パラメタ135に基づいて画像処理を行い,画像表示装置124はその画像処理した画像データ136を表示する。
操作者126は,画像表示装置124に表示された画像を観察し,最初に行った画像処理パラメータの指示134を修正し,新しい指示134を発行する。操作器125から新しい画像処理パラメタ135が画像処理装置123に送られ,画像処理装置123は新しい画像処理パラメタ135に基づいて画像処理を行い,画像表示装置124はその画像処理した画像データ136を表示する。
このように操作者は指示した画像処理パラメータの効果を,表示された画像を目で見て判断し,それを修正する。
骨抜き処理などのように,多くの画像処理を順序を追って実施するものでは,操作者は多くの画像処理を逐次的に実施していかなければならない。
【0010】
図5は,従来の三次元画像表示装置における操作を説明するフローチャートである。
(1)X線CT装置101で患者を検査する。
(2)データ蓄積装置122はX線CT装置101で検査した画像データを蓄積する。
(3)操作者は126は操作器125で検査を選択し,画像データをデータ蓄積装置122から画像処理装置123へ送る。
(4)操作者はこの画像データに適用する解析プロトコルを決定する。
(5)操作者は決定した解析プロトコルを実現するために必要な画像処理の種類とパラメータを画像処理装置123に順次指示する
(6)画像処理装置123は指定された画像処理を行い,結果を画像表示装置124に表示する
(7)操作者126は処理結果を確認する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する
(8)処理結果はOKか。NOの場合(6)へ
(9)全ての画像処理を実施したか。NOの場合(5)へ
【0011】
三次元画像を使用した画像解析を行うために,画像解析の目的に応じて,多くの解析プロトコルが考案されており,それぞれの解析プロトコルに適応した解析アプリケーションソフトウェアが作られている。それぞれの解析プロトコルまたは解析アプリケーションソフトウェアは画像解析のシーケンスで構成され,そのシーケンスにしたがって,画像処理や画像解析を順次行い,最後に目的とする解析画像や各種解析パラメータ,特性値が得られる。
【0012】
この一連の画像処理や画像解析の操作は複雑であり,ステップ数も多い。このため,操作者が長時間を費やすことになる。この結果,検査の直接の目的とした解析プロトコルのみを実施し,検査で得た画像データ集合から求めることができる他の解析プロトコルは実施されないことがある。
【0013】
骨抜き処理などのように,多くの画像処理を順序を追って実施する処理では,操作者は多くの画像処理を逐次的に実施することになる。あらかじめ操作者の実施する操作のテンプレートを作成しておき,これに基づいて,順次操作を実施していくようないわゆるウィザードを設け,対話形式で質問に答えていくことによって,複雑なアプリケーションソフトの操作を簡便にする機能を設けている場合もある。操作者の操作はウィザード起動と対話式ウィンドウへの入力のみで済むため、負荷が大きく軽減される。しかし、ウィザードで実行できる操作の数は多くなく,頻繁に利用される基本的な操作を自動化できるレベルに留まっていることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
最近の医用画像診断装置の技術的進歩に伴って,一回の検査で得られる医用画像データのデータ量は,急激に増加している。例えば,X線CT検査においては,最近の多列検出器を使用したX線CT装置の普及によって,体軸方向の検査の精度が向上し,細かいスライス間隔でデータが作成されるようになった。これに伴い,一回の検査で作成される画像データの枚数は大幅に増加している。従来は,一回の検査で作成される画像データをフィルムに焼き付けるか,画像表示装置に表示して読影が行われていた。しかし,一回の検査で作成される画像データの枚数が多くなると,フィルムまたは画像表示装置ですべての画像を観察することが困難になっている。このため,検査で得られた画像データから三次元画像を作成し,これを観察することが行われている。
しかしながら,人体の三次元画像は多くの臓器が重なった画像であるので,医師などの医療従事者が関心のある臓器を観察するためには,その関心臓器や関心空間領域を選択的に表示し,その他の臓器やその他の空間領域を表示しないようにする必要がある。例えば,肺野の観察を行いたい場合には,肺野の領域のみを抽出し,周囲の肋骨の影響を取り除くなどの操作を行う必要があるが,このような操作は特定CT値範囲のみを抽出する画像処理とか,特定空間領域を指定してその領域を抽出する画像処理など,かなり多くのステップの画像処理を必要とする。また,操作者の人体構造に対する医学的知識と経験が必要になる。
これらの画像処理は操作者が操作器から指示を順次発行し,画像処理装置がこの指示に基づいて画像処理を実行し,画像表示装置に表示される画像処理の結果を操作者が目で確認しながら,逐次的に実施している。これらの画像処理は処理時間がかかるため,操作者は最終的な結果が得られるまでかなりの長時間を費やすことになる。X線CT装置やMR装置の高速化が進み,検査に要する時間は短縮されていて,一日あたり多数の検査が実行されているが,医師などの医療従事者が三次元画像処理によって詳しい情報を得ようとしても,一検査あたりの三次元画像処理に長時間を費やすことになるので,医師などの医療従事者の効率が悪く,せっかく開発されてきた三次元画像処理を使用した診断が普及していない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は,三次元画像処理を使用した高度な診断を普及させるために,医師などの医療従事者が三次元画像処理装置を使用する時間を短縮する手段を提供する。
X線CT装置は,患者の検査が終了すると,検査で得られた画像データを,前処理装置に転送する。前処理装置はX線CT検査を指示した病院情報システムや放射線部門情報システムの指示データなどを使用して検査の目的,検査部位,被検者の年齢性別などを把握し,これをもとに検査で得られた画像データを解析する。この解析には前処理装置が持っている人体構造の立体図である人体アトラスや人体の部位ごとのCT値などの先見情報,また前処理装置が過去に行った解析データなどを集積した知識データベースを使用する。この解析により,検査部位や検査の目的を把握し,これらに基づいて複数の解析プロトコルを決定する。検査で得られた画像データに解析プロトコルに基づいた画像処理パラメータで画像処理を実行し,各種のパラメータを抽出し,得られた各種パラメータを蓄積する。
医師などの医療従事者は,三次元画像処理装置を使用して,検査で得られた画像データに,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を施し,解析プロトコルが要求する処理結果を得る。
前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を実行することによって,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能であり,医師などの医療従事者が画像の読影に費やす時間を大幅に短縮することができる。
最新の三次元画像処理技術の成果を画像診断に適用する場合に,三次画像診断に要する時間が長大になってしまう問題に対応することが可能になった。
また,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を実行することによって,医師などの医療従事者が画像の読影に費やす時間を大幅に短縮することが可能になったので,多くの種類の解析プロトコルを検査した画像データに適用することが現実的になった。これによって従来は医師などの医療従事者の読影時間の制約から実現が難しかった複数の解析プロトコルに基づいた画像の読影が容易になった。
【発明の効果】
【0016】
本発明は,三次元画像処理を使用した高度な診断を普及させるために,医師などの医療従事者が三次元画像処理装置を使用する時間を短縮する手段を提供する。
X線CT装置は,患者の検査が終了すると,検査で得られた画像データを,前処理装置に転送する。前処理装置はX線CT検査を指示した病院情報システムや放射線部門情報システムの指示データなどを使用して検査の目的,検査部位,被検者の年齢性別などを把握し,これをもとに検査で得られた画像データを解析する。この解析には前処理装置が持っている人体構造の立体図である人体アトラスや人体の部位ごとのCT値などの先見情報,また前処理装置が過去に行った解析データなどを集積した知識データベースを使用する。この解析により,検査の目的や検査部位を把握し,これに基づいて検査で得られた画像データに画像処理を行い,各種のパラメータを抽出する作業を自動的に行い,得られた各種パラメータを蓄積する。
医師などの医療従事者は,三次元画像処理装置を使用して,検査で得られた画像データに,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を施す。前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を行うことによって,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能で,画像処理の時間を大幅に短縮することができる。
最新の三次元画像処理技術の成果を画像診断に適用する場合に,三次画像診断に要する時間が長大になってしまう問題に対応することが可能になった。
【0017】
本発明では,医師などの医療従事者が,検査で得られた画像データを使用して,三次元画像を作成し,この三次元画像を使用して関心領域の抽出や,関心領域の計測値を求めることによって,画像診断を行う場合に,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を行うことによって,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能で,画像処理の時間を大幅に短縮することができる。
【0018】
本発明では,前処理装置が,あらかじめ想定されるメニューにしたがって,画像解析と画像処理を行い,各種の解析パラメータを抽出し,蓄積しておくので,医師などの医療従事者が検査で得られた画像データを使用して,読影や画像診断を行う場合に,これらの蓄積されている各種の解析パラメータをレビューし,医師などの医療従事者が必要と判断した解析パラメータを再確認することが可能になり,これによって医師などの医療従事者が手作業による画像処理によって解析パラメータを求めている場合と比較して,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能で,短時間に多くの解析プロトコルの確認が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明による解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置を示すブロック図である。
101は、X線CT装置,MR装置などの画像診断装置の例示である。
102は、PACSサーバーなどの画像データ保管システムの例示である。
103は、放射線部門情報システムRISなどの情報システムの例示である。
104は、病院情報システムHISなどの情報システムの例示である。
105は、病院内のネットワークなどの例示である。
111は、X線CT装置101が被検者をX線走査し,再構成処理した画像データを示す。
112は、X線CT装置101またはPACS 102から前処理装置221に送られる画像データを示す。
113は、RIS 103から供給される検査関連情報を示す。
221は、前処理装置を示す。
222は、磁気ディスクなどで構成される画像データ蓄積装置である。
223は、データ処理装置である。
224は、パラメータ蓄積装置である。
225は、データ解析装置を示す。
226は、知識データベースである。
231は、データ蓄積装置からデータ処理装置に送られる画像データである。
232は、データ蓄積装置からデータ解析装置へ送られる画像付帯情報である。
233は、データ解析装置からデータ処理装置へ送られる信号である。
234は、データ処理装置からデータ解析装置に送られ信号である。
235は、データ処理装置からパラメータ蓄積装置に送られ信号である。
241は、三次元画像表示装置を示す。
243は、画像処理装置である。
244は、画像表示装置である。
245は、操作器を示す。
246は、三次元画像表示装置を操作する操作者の例示である。
251は、パラメータ蓄積装置から操作器に送られる信号である。
252は、操作者が行う操作を示す。
253は、操作器から画像処理装置に伝達される制御情報である。
254は、データ蓄積装置から画像処理装置に送られる画像データである。
255は、画像処理装置が画像処理した画像データである。
256は、画像表示装置に表示された画像を操作者が観察するプロセスである。
257は、操作者が画像表示装置に表示された画像を観察し,画像処理パラメータの指示を修正する過程である。
【0020】
データ解析装置225はデータ蓄積装置222から送られる画像付帯情報232に含まれるDICOM情報と,RIS 103から送られる患者オーダー情報113を基に,知識データベース226を参照して,データ解析を行う。
データ解析装置225の出力信号233は,画像処理装置223に送られ,画像データ231に適用され,画像処理を行う。画像処理の結果234はデータ解析装置225に戻され,比較される。
このような処理を繰り返すことによって,画像データ231に含まれる各種の画像処理パラメータおよび解析パラメータを抽出する。抽出したパラメータはパラメータ蓄積装置224に蓄積される。
操作者246は操作器245に表示されるRIS情報113およびパラメータ蓄積装置224からの情報から,読影を行う検査を選択し,解析プロトコルを指定する操作252を行う。
操作器から信号253が画像処理装置243に送られると,画像処理装置243はデータ蓄積装置222から検査データを読みこむと共に,パラメータ蓄積装置224から解析パラメータを読み込むことによって,画像処理を行い,画像処理された画像データ255を画像表示装置244に送る。画像表示装置244はこの画像データを表示する。
操作者246は画像表示装置244に表示された画像およびデータを観察し,パラメータを変更する必要を感じた場合は,パラメータの修正を行う。
【0021】
図2は本実施例を説明するフローチャートの前処理装置の部分である。
(1)X線CT装置101で患者を検査する。
(2)データ蓄積装置222はCT装置101で検査した画像データを蓄積する。
(3)データ解析装置225は検査した画像データをDICOM情報,RIS情報,アトラスなどから解析する。
(4)データ解析装置225は画像データの解析結果から,処理を行う複数の解析プロトコルを決定する。
(5)データ解析装置225は処理を実行する解析プロトコルを選択する。
(6)データ解析装置225は解析プロトコルを実現するために必要な画像処理の種類とパラメータをデータ処理装置に指示する。
(7)データ処理装置223は指定された画像処理を行い,結果をデータ解析装置225に送る。
(8)データ解析装置は処理結果を確認する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する
(9)処理結果はOK。NOの場合(7)へ。
(10)全ての画像処理を実施したか。NOの場合(6)へ。
(11)実行した解析プロトコルの結果をパラメータ蓄積装置224に蓄積する。
(12)全ての解析プロトコルを実施したか。NOの場合(5)へ。
【0022】
図3は本実施例を説明するフローチャートの三次元画像表示装置の部分である。
(1)操作者246は操作器245で患者・検査と解析プロトコルを選択する。
(2)操作器245は解析プロトコルに対応するパラメータを選択し,画像処理装置243に指示する。
(3)画像処理装置243は画像データをデータ蓄積装置222,パラメータをパラメータ蓄積装置224から取得する。
(4)画像処理装置243は指定された画像処理を行い,結果を画像表示装置244に表示する。
(5)操作者246は処理結果を確認する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する。
(6)処理結果はOK。NOの場合(4)へ。
【0023】
前処理装置はX線CT検査を指示した病院情報システムや放射線部門情報システムの指示データなどを使用して検査の目的,検査部位,被検者の年齢性別などを把握し,これをもとに検査で得られた画像データを解析する。
(1)病院情報システムHISから提供されるX線CT検査オーダーに含まれる患者情報,検査の目的,検査部位などの情報
(2)放射線部門情報システムから提供されるX線CT検査実施時の検査位置などの情報
(3)DICOM画像データのDICOMヘッダー情報に含まれる情報
【0024】
前処理装置が持っている人体構造の立体図である人体アトラスや人体の部位ごとのCT値などの先見情報,また前処理装置が過去に行った解析データなどを集積した知識データベースを使用する解析により,検査部位を把握する。検査部位の例としては下記がある。
(1)頭部―動脈
(2)頚部―頚動脈,脊椎
(3)胸部―心臓,左心室,肺,乳房,胸大動脈
(4)腹部―大動脈,胴,大腸,動脈
(5)骨盤―腰椎
(6)四肢―腕,脚
(7)一般―血管,組織
【0025】
前処理装置のデータ処理装置は多くの解析エンジンを備えている。一例を下記に示す。
(1)CT患者テーブル削除
ターゲットモダリティ:CT
適用:画像データからCTの患者テーブルを除去する
出力:CT患者テーブルを識別するマスク
【0026】
(2)骨/血管分類器
ターゲットモダリティ:CT
機能:データ中の骨格および血管を識別する。血管は中心線を見つける
出力:骨と血管を識別するマスク,血管中心線のリストなど
【0027】
(3)肺―肺,小結節
ターゲットモダリティ:CT
機能:1)肺データの小結節の位置を識別する。2)経時的データで結節の一致を求める
出力:結節の位置:
エンジン:CADベンダーによって提供されるエンジン
【0028】
(4)大腸―大腸,走行経路,ポリープ
ターゲットモダリティ:CT
機能:大腸データ中のポリープの位置を識別する
出力:ポリープの位置
エンジン:CADベンダーによって提供されるエンジン
【0029】
(5)位置あわせ
(5.1) CT/CTAサブトラクション
ターゲットモダリティ:CT
機能:1)患者のCTおよびCTAの空間的レジストレーション。2)CTAからCTデータをサブトラクション
出力:1)レジストレーションマトリックス。2)サブトラクション下DSA DICOMデータ
(5.2) CT/PET
ターゲットモダリティ:CTおよびPET
機能:同じ患者のCTおよびPETの空間的レジストレーション
出力:レジストレーションマトリックス
(5.3) MR
ターゲットモダリティ:四次元MR
機能:基準MRにMRの時間シリーズを空間的レジストレーションする
出力:レジストレーションマトリックス
【0030】
(6)脳潅流
ターゲットモダリティ:CT
機能:脳データの時間濃度分析を行う。入出力機能を自動的に識別する。結果の二次取得画像を作成する
出力:様々なマップの二次取得画像
【0031】
(7)心臓分析
(7.1)三次元/四次元胸郭削除
ターゲットモダリティ:三次元および四次元CT
機能:胸郭削除,あるいは四次元マスク
出力:胸郭を識別するマスク
(7.2) 冠状動脈
ターゲットモダリティ:三次元および四次元CT
機能:心臓症例からの冠状動脈を識別して分離する
出力:動脈および各動脈などのセンターラインを識別するマスク
(7.3) 壁運動
ターゲットモダリティ:四次元CT
機能:心臓の解析
出力:セグメント化したLV,時間ボリュームカーブ,極マップ
(7.4) カルシウムスコアリング
ターゲットモダリティ:三次元CT
機能:カルシウムスコアリングを実行
出力:識別されたカルシウムのマスク
【0032】
知識データベースには,症状,検査,レポート内容を総合的にデータベース化し,主治医が特定の症状に対し撮影をオーダーする際に,院内における既存のプロトコルを基に,そのオーダーが適当であるかを判断し,特定の検査が欠落している場合は,それを指摘することが可能である。例えば,胸痛の場合,ある医療施設ではX線CTおよびMRの両方の検査をオーだとするプロトコルを有するとした場合,ある医師などの医療従事者がその症状をもとにX線CT検査のみをオーダーした場合には,MRによる検査が欠落していることを指摘することが可能になる。
【0033】
CR装置で収集したCR画像データに対して,アンシャープマスク処理などの各種画像処理をあらかじめ実行した処理済画像を蓄積し,CR画像の読影時にはこの処理済画像を表示することによって,読影時の画像処理を減らすようにしたシステムが存在する。本発明の三次元画像表示装置では,操作者は,前処理装置が行った解析シーケンスの各ステップを,蓄積されている各種解析パラメータおよび特性値を使用して,逐次再現することが可能であり,また,必要に応じて,各種解析パラメータおよび特性値を変更することが可能である。これによって,ステップ数の多い解析シーケンスを,操作者にストレスを与えることなく実行できることを特徴としている。
【実施例1】
【0034】
画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データ集合を受信および・または蓄積する機能と,
人体アトラスなどを含む画像データを理解するために使用する知識データベースの機能と,
画像診断,画像読影などのための画像解析の手順を決めた解析プロトコルを定義する機能と,
画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データ集合および病院情報システム(HIS)および・または放射線部門情報システム(RIS)からの情報,人体アトラスなどを含む知識データベースからの情報,それまでに実施されている画像診断装置で実施した検査の情報などから検査の目的および検査部位などを解析する機能と,
解析プロトコルを実現するために必要な画像解析のシーケンスとその画像解析を実現する解析エンジンの機能と,
解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアの機能とを備え,
画像診断装置で実施した検査の画像データ集合に対して,検査の目的および検査部位の解析を行い,それに対応する解析プロトコルを選択し,解析プロトコルに基づき画像解析のシーケンスを解析エンジンにより順次実施し,画像解析アプリケーションソフトウェアによって必要とする各種解析パラメータおよび特性値を自動的に求め,それらを出力し,蓄積する機能を備える前処理装置と,
画像データ集合の画像読影または・および画像診断のために,当該画像データ集合に対して前処理プロセス装置で求めた各種解析パラメータおよび特性値を使用して解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアを作動させて操作者の要求する解析画像を表示し,解析データ,特性値などを再現することを可能にする機能と,
画像解析アプリケーションソフトウェアを構成する画像解析シーケンスの各ステップで前処理装置で求めた各種パラメータおよび特性値を操作者が修正することを可能とする機能とを備える画像表示装置とを具備し,
画像データ集合の画像読影,画像診断などの画像解析における操作者の負荷を,あらかじめ各種解析パラメータおよび特性値を求めておくことによって軽減するとともに,従来の三次元画像表示装置では操作が煩雑なために操作者が省略する可能性がある解析プロトコルを適用可能なものは全て実施することを可能とすることを特徴とする三次元画像表示装置。
【実施例2】
【0035】
解析プロトコルとそれから得られる各種パラメータおよび・または特性値に対する臨床的なレビューと検証,妥当性確認を可能とする三次元画像表示装置。
【実施例3】
【0036】
前処理装置は,読影レポート作成に必要とする各種パラメータおよび特性値を出力する機能を備え,操作者がこれにレビューと再確認を行って,読影レポートを作成することを可能とする三次元画像表示装置。
【実施例4】
【0037】
前処理装置と画像表示装置を,同一のハードウェアに実装した三次元表示装置。
【実施例5】
【0038】
前処理装置と画像表示装置を,別のハードウェアに実装した三次元表示装置。
【実施例6】
【0039】
請求項1において,前処理装置と画像表示装置を,ネットワーク上に分散して配置した三次元表示装置。
【実施例7】
【0040】
画像診断装置としてX線CT装置,MR装置,PET,超音波装置などを含む。また,三次元画像だけでなく,二次元画像の解析も同様に含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例を説明するブロック図
【図2】本発明の実施例を説明するフローチャート
【図3】本発明の実施例を説明するフローチャート
【図4】従来の三次元画像表示装置を説明するブロック図
【図5】従来の三次元画像表示装置を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0042】
101:X線CT装置,MR装置などの画像診断装置
102:PACSサーバーなどの画像データ保管システム
103:放射線部門情報システム(RIS)などの情報システム
104:病院情報システム(HIS)などの情報システム
105:病院内のネットワーク
111:X線CT装置が被検者をX線走査し,再構成処理した画像データ
112:X線CT装置またはPACSから三次元画像表示装置に送る画像データ
113:RISから三次元画像表示装置の操作器へ供給される検査関連情報
121:三次元画像表示装置
122:磁気ディスクなどで構成される画像データ蓄積装置
123:画像処理装置
124:画像表示装置
125:操作器
126:三次元画像表示装置を操作する操作者
131:操作者が行う操作
132:操作器から画像データ蓄積装置に伝達される制御情報
133:データ蓄積装置から画像処理装置へ送られる画像データ
134:画像処理パラメータの指示など,操作者が行う操作
135:操作器から画像処理装置に伝達される画像処理パラメータなどの制御情報
136:画像処理装置が画像処理した画像データ
137:画像表示装置に表示された画像を操作者が観察するプロセス
138:操作者が画像表示装置に表示された画像を観察し,画像処理パラメータの指示を修正する過程
221:前処理装置
222:磁気ディスクなどで構成される画像データ蓄積装置
223:データ処理装置
224:パラメータ蓄積装置
225:データ解析装置
226:知識データベース
231:データ蓄積装置からデータ処理装置に送られる画像データ
232:データ蓄積装置からデータ解析装置へ送られる画像付帯情報
233:データ解析装置からデータ処理装置へ送られる信号
234:データ処理装置からデータ解析装置に送られ信号
235:データ処理装置からパラメータ蓄積装置に送られ信号
241:三次元画像表示装置
243:画像処理装置
244:画像表示装置
245:操作器
246:三次元画像表示装置を操作する操作者
251:パラメータ蓄積装置から操作器に送られる信号
252:操作者が行う操作
253:操作器から画像処理装置に伝達される制御情報
254:データ蓄積装置から画像処理装置に送られる画像データ
255:画像処理装置が画像処理した画像データ
256:画像表示装置に表示された画像を操作者が観察するプロセス
257:操作者が画像表示装置に表示された画像を観察し,画像処理パラメータの指示を修正する過程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データ集合を受信および・または蓄積する機能と,
人体アトラスなどを含む画像データを理解するために使用する知識データベースの機能と,
画像診断,画像読影などのための画像解析の手順を決めた解析プロトコルを定義する機能と,
画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データ集合および病院情報システム(HIS)および・または放射線部門情報システム(RIS)からの情報,人体アトラスなどを含む知識データベースからの情報,それまでに実施されている画像診断装置で実施した検査の情報などから検査の目的および検査部位などを解析する機能と,
解析プロトコルを実現するために必要な画像解析のシーケンスとその画像解析を実現する解析エンジンの機能と,
解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアの機能とを備え,
画像診断装置で実施した検査の画像データ集合に対して,検査の目的および検査部位の解析を行い,それに対応する解析プロトコルを選択し,解析プロトコルに基づき画像解析のシーケンスを解析エンジンにより順次実施し,画像解析アプリケーションソフトウェアによって必要とする各種解析パラメータおよび特性値を自動的に求め,それらを出力し,蓄積する機能を備える前処理装置と,
画像データ集合の画像読影または・および画像診断のために,当該画像データ集合に対して前処理プロセス装置で求めた各種解析パラメータおよび特性値を使用して解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアを作動させて操作者の要求する解析画像を表示し,解析データ,特性値などを再現することを可能にする機能と,
画像解析アプリケーションソフトウェアを構成する画像解析シーケンスの各ステップで前処理装置で求めた各種パラメータおよび特性値を操作者が修正することを可能とする機能とを備える画像表示装置とを具備し,
画像データ集合の画像読影,画像診断などの画像解析における操作者の負荷を,あらかじめ各種解析パラメータおよび特性値を求めておくことによって軽減するとともに,従来の三次元画像表示装置では操作が煩雑なために操作者が省略する可能性がある解析プロトコルを適用可能なものは全て実施することを可能とすることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において,解析プロトコルとそれから得られる各種パラメータおよび・または特性値に対する臨床的なレビューと検証,妥当性確認を可能とする三次元画像表示装置。
【請求項3】
請求項1において,前処理装置は,読影レポート作成に必要とする各種パラメータおよび特性値を出力する機能を備え,操作者がこれにレビューと再確認を行って,読影レポートを作成することを可能とする三次元画像表示装置。
【請求項4】
請求項1において,前処理装置と画像表示装置を,同一のハードウェアに実装した三次元表示装置。
【請求項5】
請求項1において,前処理装置と画像表示装置を,別のハードウェアに実装した三次元表示装置。
【請求項6】
請求項1において,前処理装置と画像表示装置を,ネットワーク上に分散して配置した三次元表示装置。
【請求項7】
請求項1において,画像診断装置としてX線CT装置,MR装置,PET,超音波装置などを含む。また,三次元画像だけでなく,二次元画像の解析も同様に含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−275312(P2007−275312A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105747(P2006−105747)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(599059933)テラリコン・インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】