説明

触覚タッチ感知システム

タッチセンサと、タッチ生成パッドと、触覚ボタンとを含む触覚タッチ感知システム。タッチセンサはタッチに応答して電気信号を生成するように構成されている。タッチ生成パッドはタッチセンサの少なくとも一部を覆うとともに、起動される前にタッチセンサ上にタッチを生じないように構成されている。ユーザはタッチ生成パッドと関連する触覚ボタンを押圧することによりタッチ生成パッドを起動することができる。押圧されたことに応答して、触覚ボタンは触覚フィードバックをユーザに提供するように構成されている。タッチ生成パッドは触覚ボタンによって起動された時にタッチセンサ上にタッチを生じる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピュータおよび他の電子デバイスが定着するにつれてタッチ感知システムがデータを入力するための手段としてより広く普及してきている。例えばタッチ感知システムは今日、工場、倉庫、製造設備、レストラン内、個人用携帯情報端末、現金自動預け払い機、カジノゲーム機上等で見られる。
【0002】
タッチ感知システムはタッチセンサと表示装置とを含むことが多い。表示装置は通常ユーザに図形情報を提示するディスプレイスクリーンを含んでいる。タッチセンサは普通ディスプレイスクリーン上に配置されたスクリーン上のタッチの位置を感知する透明な感知回路を含んでいる。タッチ感知ディスプレイを従来のハードウェア入力装置の代わりに用いることが多い。例えばディスプレイスクリーンを用いてボタンのように見えるアイコンを図示し得る。ユーザはアイコンの場所でスクリーンにタッチすることがボタンに対応する信号になる。この結果ユーザがボタンを「押圧」したようになる。
【0003】
いろいろな意味でタッチ感知システムはボタンとスイッチとを有する従来の入力システムより優れている。例えばタッチ感知システムは通例可動部分がわずかしかまたはまったくないため、従来の入力システムより信頼性が高い。さらにタッチ感知システムをボタン手段をダイナミックに変化させるようにプログラムすることができる。これにより特定の用途または状況に合わせて特注できる柔軟且つユーザフレンドリな入力機構を提供される。ユーザに多層のメニューで入力選択肢を提供することによりタッチ感知システム内の制御機構を統合して、スペースおよび製造コストを節約し得る。
【0004】
タッチ感知システムは多くの用途において徐々に従来の入力システムに取って代わりつつあるが、なおタッチ感知システムが容認可能なものとして見られていない用途がある。タッチ感知システムの批判の1つは触覚フィードバックを提供できないことである。触覚フィードバックによりユーザは触覚によって正しい入力機構の位置を突き止めたか、あるいは入力の実行に成功したかを知ることができる。電子デバイスの多くの動作環境および用途において、触覚フィードバックはユーザへフィードバックを提供する唯一の安全且つ有効な手段であることが多い。視覚および聴覚フィードバックが用いられる場合もある。しかし周囲騒音が激しいまたは照明が限られている環境で電子デバイスを用いる場合には、聴覚または視覚フィードバックは有効ではないことがある。同様に触覚フィードバックは視覚または聴覚機能障害を患っているユーザに対する唯一の実行可能な選択肢であり得る。
【0005】
触覚スイッチはタッチスクリーンも含むシステム内でそれ自体の関連する電子素子および制御回路を有する別体の素子として提供されてきた。他の用途において抵抗式タッチスクリーンはタッチスクリーンの個々の領域が触覚スイッチのように機能するように変更された。スペーサ接着剤を4線抵抗式タッチスクリーンの上基板と下基板との間に且つ能動領域の一部分を覆うように配置した。円形アパーチャをスペーサ接着剤内に作製して個々の領域を規定し、ここで十分なタッチ力があれば上基板と下基板との間に接触が行えるようにした。金属スナップドームをアパーチャ領域の上に配置するとともに正しい位置に固定した。スナップドームを押圧すると、スナップドームの中心のくぼみがタッチスクリーンの上基板の導電面を特定の場所で下部導電面と接触させることができる。スペーサ接着剤により覆われた領域の外側のタッチスクリーンの部分を従来の抵抗式タッチスクリーンとして用いることもできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
簡潔に言えば本発明はタッチセンサと、タッチ生成パッドと、触覚ボタンとを含む触覚タッチ感知システムを対象とする。タッチセンサはタッチに応答して電気信号を生成するように構成されている。タッチ生成パッドはタッチセンサに近接して配置されるとともに、タッチ生成パッドが起動されるまでタッチセンサ上に検出可能なタッチを生じないように構成されている。ユーザはタッチ生成パッドに関連する触覚ボタンを押圧することによりタッチ生成パッドを起動することができる。触覚ボタンはタッチ生成パッドに近接近していても、またはタッチ生成パッドから離れて位置しているがタッチ生成パッドを起動可能であってもよい。触覚ボタンとタッチ生成パッドとの1対1対応は必要ない。タッチ生成パッドを、タッチパッドの起動をタッチセンサ上のタッチとして検出できるタッチスクリーンに近接した任意の箇所に配置することができる。例えばパッドをタッチセンサの前、タッチセンサの背後、タッチセンサの周縁に沿って配置等することができる。
【0007】
触覚ボタンは押圧されたことに応答して触覚フィードバックをユーザに提供するとともにタッチ生成パッドを起動するように構成されている。タッチ生成パッドは触覚ボタンによって起動された時に、タッチセンサ上に検出可能なタッチを生じる。このように触覚ボタンに関連する別体の回路によってのみ検出するのとは対照的に、触覚ボタンの起動をタッチセンサによって検出することができる。設計によってはタッチセンサによっておよびタッチパッド専用の回路によってタッチパッドの起動を検出可能であることが望ましい。これにより較正、診断、冗長用にもしくはさらなる機能にアクセスするために用いることができるさらなる信号を提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はユーザに触覚フィードバックを提供するタッチ感知システムを構成する簡単な方法を提供する。従来のタッチ感知システムは通例タッチを受容する平滑な1片の表面を有するとともに基本的には触覚フィードバックを提供しない。本発明の触覚タッチ感知システムは、従来のボタンおよびスイッチを有する制御回路を普通のタッチ感知システムに追加することに付随するコストおよび煩雑さなしに触覚フィードバックをユーザに提供する。
【0009】
本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面と共に鑑みれば本発明をより完全に理解できよう。
【0010】
図面は概略的且つ例証的であり様々な要素の機能的関係を示しているが、必ずしもこれらの様々な要素間の特定な位置関係にある必要はない。本発明は様々な変更例および代替形状が可能であるが、それらの詳細を一例として図に示すとともに詳細に説明する。しかし本発明を説明する特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されよう。逆に本発明の要旨および範囲内にあるすべての変更例、同等物および代替例を網羅しようとするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は例示的触覚タッチ感知システム100を示す本発明の一実施の概略図である。触覚タッチ感知システム100はユーザのコンピュータ160などの電子デバイスへの入力を可能にするとともに、ユーザに触覚フィードバックを提供する。通例触覚タッチ感知システム100によりコンピュータ160はユーザと対話するための情報を表示することができる。
【0012】
触覚タッチ感知システム100は図2とともにより詳細に説明する多数の構成要素を含み得る。通例触覚タッチ感知システム100はタッチセンサ上のタッチに応答して信号を生成するように構成されたタッチセンサを含む。触覚タッチ感知システム100の場合、ユーザは直接または図2とともに詳述するタッチ生成パッドを介して間接的にタッチセンサにタッチすることができる。触覚タッチ感知システム100は、信号を処理するとともにその結果をさらに処理するためにコンピュータ160に送信するように構成された制御回路も含み得る。
【0013】
図2は触覚タッチ感知システム100の例示的実施形態の分解組立図である。図2は触覚タッチ感知システム100の主要構成要素を図示しているに過ぎない。本発明の原理から逸脱することなく他の構成要素を追加してもよい。
【0014】
触覚タッチ感知システム100により電子デバイスはユーザへの情報を表示することができるとともにユーザから入力を受け取ることができる。この実施形態では触覚タッチ感知システム100はディスプレイスクリーン110と、タッチセンサ115と、タッチ生成パッド121〜126と、触覚ボタン131〜136とを含む。触覚タッチ感知システム100は制御回路(図示せず)も含み得る。
【0015】
ディスプレイスクリーン110はユーザへの情報を表示するための触覚タッチ感知システム100の構成要素である。例えばディスプレイスクリーン110は冷陰極管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、OLED、または任意の他の好適なディスプレイであり得る。ディスプレイスクリーン110により触覚タッチ感知システム100は電子デバイスからの情報を表示することができる。情報はユーザが触覚タッチ感知システム100を介して行う入力の選択を含み得る。図2はタッチセンサ115を介してディスプレイスクリーン110を視認する構成を示しているが、本発明はタッチセンサが透明ではないまたはディスプレイ上に配置されていない構成にも適用可能である。
【0016】
タッチセンサ115はタッチを検出する触覚タッチ感知システム100の構成要素である。タッチセンサ115は多数のタイプのタッチ感知スクリーン技術のうちの1つであり得る。例えばタッチセンサ115は容量式タッチセンサ(例えばアナログ容量式センサまたは予想容量式センサ)、抵抗式タッチセンサ、光学式タッチセンサ、音響式タッチセンサ、力タッチセンサ、振動タッチセンサ、もしくは現在既知のまたは今後開発される任意の他の好適なタッチセンサ)であり得る。これらの様々な技術を以下に簡単に説明する。
【0017】
容量式タッチセンサは少なくとも1つの導電層を含む。導電層は通常発振回路により励起される。ユーザがディスプレイスクリーンにタッチすると、ユーザと導電層との間の容量結合の結果として信号が生成される。信号は感知回路によってタッチの場所に変換される。
【0018】
抵抗式タッチセンサは通例スペーサドットによって分離された2つの透明な導電層を含む。タッチが2つの導電層を接触させると、その結果生じた電圧が感知されてタッチの場所が計算される。
【0019】
光学式タッチセンサは通常一連の発光体と受光素子対とを含む。発光体および受光素子はディスプレイスクリーンの両側の縁部に載置されている。発光体の各々はディスプレイスクリーンを超えて反対側の対応する受光素子に対して光線を発する。ユーザがディスプレイスクリーンにタッチすると、1つまたは複数の光線が遮断されて信号を発生させる。その信号からタッチの位置が計算される。
【0020】
表面誘導弾性波式タッチセンサはスクリーンの表面上を正確な速度で直線的に進行する弾性波を利用する。送信トランスデューサがスクリーンの水平および垂直縁部に沿って配置されている。対応する受信トランスデューサがスクリーンの反対側縁部に沿って配置されている。反射アレイがスクリーンの縁部に沿って印刷されている。動作時にはトランスデューサが反射体アレイの軸に沿って進行する表面弾性波を生成する。各反射素子において弾性波中の少量のエネルギーがその弾性波の直角方向に屈折され、ガラスの表面上を進行して、鏡像反射素子によって受信トランスデューサに向けて再度直角に屈折される。反射アレイの長さを進行するにつれて弾性波のエネルギーが低下するため、反射素子は低下エネルギーレベルを補償するように互いにより近接して配置されている。ユーザがスクリーンにタッチすると、エネルギーの一部がタッチによって吸収される。この低下エネルギーレベルを検出するとともに、受信信号の速度をスクリーン上の表示面弾性波の既知の速度と比較することによりタッチ場所が計算される。
【0021】
振動感知式タッチセンサは圧電センサなどの振動感知素子を用いてタッチの衝撃により生成された振動を検出する。タッチ入力はタッチプレート内にタッチの場所から振動センサへ伝播する信号を生じることができる。振動信号が振動センサの各々において受信された時間差に関する情報からタッチの場所を計算することができる。代替的には振動発生体を用いてタッチイベントの影響により変化する既知の振動をタッチプレート内に発生することができる。変化した振動を振動センサによって同様に検出してタッチ場所を決定することができる。振動感知式タッチセンサの例には国際公開第01/48684号パンフレットに開示されたものがある。
【0022】
上記のタイプのタッチセンサは当該技術において既知であり、さらに詳細に説明はしない。簡略化のため以下の説明は容量式センサを有する触覚タッチ感知システムに焦点を当てる。
【0023】
タッチセンサ115はディスプレイスクリーン110の前に位置している。タッチセンサ115がディスプレイスクリーン110全体の大部分を覆っていることが好ましい。ある実施形態においてタッチセンサ115はディスプレイより大きく、表示領域の外側の境界領域を規定している。ある実施形態では触覚ボタンおよび/またはタッチ生成パッドをこのような境界領域内に配置して、表示の視認性を損なわないようにすることが望ましい場合がある。タッチに応答してタッチセンサ115はタッチを感知するとともにタッチに関連する信号を電子デバイスに送信する。それらの信号から触覚タッチ感知システム100の制御回路によってタッチの位置を計算し得る。
【0024】
タッチ生成パッド121〜126はタッチセンサ115上にタッチを生成する触覚タッチ感知システム100の構成要素である。タッチ生成パッド121〜126の各々は対応する触覚ボタン131〜136に関連している。タッチ生成パッド121〜126をタッチセンサ115の表面上に印刷してもよい。タッチ生成パッド121〜126はタッチセンサ115に着脱可能にまたは恒久的に取り付けられた別体の構成要素であってもよい。休止状態ではタッチ生成パッド121〜126を、いかなる特定の信号原にも拘束されていないことを意味する「浮動する」ように構成し、そのため感知電子素子に対して「見えない」ように構成することができる。容量式タッチセンサを有するシステム上で用いるために、タッチ生成パッド121〜126は起動されたときに、「タッチ」としてタッチセンサにより検出可能な電位変化または駆動周波数変化などの電気的変化するように構成されている。タッチ生成パッド121〜126は対応する触覚ボタン131〜136に結合されているときにこのように起動することができる。
【0025】
触覚ボタン131〜136は触覚フィードバックをユーザに提供する触覚タッチ感知システム100の構成要素である。ボタン131〜136の各々はユーザによって押圧されたときにボタンがその対応するタッチ生成パッド121〜126と電気的に結合することにより、タッチ生成パッド121〜126をある既知の電位にまたはある既知の周波数で駆動して、タッチセンサ115上に「タッチ」を生じるように構成されている。触覚ボタン131〜136によって提供される触覚フィードバックを図4とともに詳細に説明する。簡単に言えば触覚フィードバックによりユーザは触覚ボタンが正しく起動されたかどうかを知ることができる。
【0026】
触覚ボタン131〜136はメンブレンスイッチで用いられているスナップドーム、シリコーンエラストマーボタン、ロッカースイッチ、カーボンボタン等などの多数のタイプの機構を含み得る。触覚ボタン131〜136はキーキャップ、印刷または隆起記号等と嵌合させて、触覚ボタン131〜136の機能性を向上させることができる。例えばボタンを、低照明環境での用途のためにボタンを照明するライトパイプとともに構成し得る。他の例ではボタンを様々なタイプの知覚フィードバック、キーライト、音、ソレノイドヒット等を提供するように構成し得る。任意の従来の触覚スイッチまたはボタンに好適に追加可能な任意の他の特徴も本発明に組み込むことができる。
【0027】
容量式タッチセンサと共に用いる場合、触覚ボタン131〜136の各々を対応するタッチ生成パッドをタッチセンサ115と容量結合させるように構成する。一実施形態において触覚ボタン131〜136は、休止状態の対応するタッチ生成パッド121〜126の電位とは異なる電位に電気的に接続される。例えば触覚ボタン131〜136を電気的に接地し得る。他の実施形態ではカーボン触覚ボタンを用いてユーザの指をタッチセンサ115に直接短絡し得るとともにタッチ生成パッドなしに用い得る。
【0028】
動作時には触覚ボタン131〜136のうちの1つが押圧されると、触覚ボタンとその対応するタッチ生成パッドとが接触して電気的に接続する。その結果タッチ生成パッドの電気的状態は休止状態からタッチセンサによって検出可能な状態に変化する。例えばタッチ生成パッドの電位をタッチセンサに見えない電位から他の電位に変化させることができる。電位の変化がタッチセンサ115とタッチ生成パッドとの間の容量結合を生じ、それを人間のタッチと同様のタッチセンサ115上のタッチとして検出することができる。ボタンの座標はタッチセンサ115上の通常のタッチと同様に報告される。この座標を用いて電子デバイス上の押圧されたボタンを示し得る。
【0029】
タッチ生成パッド121〜126および触覚ボタン131〜136を容量式タッチセンサのほかに他のタイプのタッチセンサと共に動作するように構成してもよい。例えば抵抗式タッチセンサまたは力タッチセンサ用のタッチ生成パッド121〜126および触覚ボタン131〜136は、タッチを生じるのに十分なタッチセンサとの確実な機械的接触を行うことができる機構を含んでもよい。光学式センサの場合タッチ生成パッド121〜126を、休止状態でセンサ光線を通過させるとともに触覚ボタン131〜136によって起動されたときにその光線を遮断できるように構成してもよい。同様に表面弾性波式センサ用のタッチ生成パッド121〜126は触覚ボタン131〜136によって起動されたときにのみ生成された弾性波のエネルギーを吸収し得る。振動感知式タッチセンサ用のタッチ生成パッド121〜126は、タッチとして検出可能な振動をタッチセンサ内で生じるのに十分な衝撃をタッチセンサで確保する機構を含み得る。他の例ではタッチ生成パッドは起動されたときに振動を発するように構成された圧電素子などのトランスデューサを含むことができる。
【0030】
図3は図2に示した触覚タッチ感知システム100の正面図である。図に示すように、タッチ生成パッド121〜126はタッチセンサ115の一部分を覆っている。触覚ボタン131〜136はタッチ生成パッド121〜126上に配置されているように示しているが、ボタンとパッドとの間の直接または1つまたは複数の他の素子を介する結合を可能にしてボタンの起動が関連のパッドを起動できるようにする任意の構成を用いることができる。図示の実施形態においてタッチセンサ115の大部分は未被覆のままであり、これを従来のタッチスクリーンのように用いることができる。ある実施形態では未被覆部分を十分に大きく取ってディスプレイスクリーン全体の視認を可能にすることができる。タッチ生成パッド121〜126および触覚ボタン131〜136はユーザに触覚フィードバックを提供することによりタッチセンサ115の実用性を向上させる。タッチ生成パッド121〜126および触覚ボタン131〜136は用途に応じて製造時に選択的に設置し得る。これにより多数の用途に対しても製造工程が単純化できる。またタッチ生成パッド121〜126および触覚ボタン131〜136をユーザによる設置用に構成することにより汎用性を最大化し得る。
【0031】
触覚タッチ感知システム100がユーザに触覚フィードバックを提供するためのタッチ感知システムを構成する単純な方法を提供することは理解されよう。従来のタッチスクリーンは通例タッチを受容するための、基本的には触覚フィードバックを提供しない平滑面を提供する。いくつかの電子デバイスは従来の制御回路を有するタッチ感知システムをボタンおよびスイッチと組み合わせて、触覚フィードバックを有する上記の利点を達成している。しかしこれらのタイプの複合構成は単に1つのタッチセンサを有するよりも製造および構成するのにかなり複雑であるとともに高価である。
【0032】
また触覚ボタンはその表面上に凹凸模様を提供するように構成し得る。凹凸模様のお陰でユーザは模様にタッチすることによってボタンの機能を判断することができる。例えば触覚ボタン134および136は隆起記号を有する凹凸模様が付いて示されており、ボタンの機能を触覚によって直感的にユーザに伝える。ユーザが視覚または聴覚機能障害を患っている場合の用途では、点字(Braille)凹凸模様付きボタン131〜133および135を用い得る。
【0033】
図4および5は例示的触覚ボタン403およびタッチ生成パッド407の極めて概略化した断面図である。図示の簡略化のため触覚ボタン403はスナップドームボタンとして示されている。しかしながら同様な触覚特性を提供する多くの他のタイプのボタンは本発明によって網羅される。また図4および5は触覚ボタン403および容量式タッチセンサ410を有するタッチ生成パッド407の構成を図示している。同様な触覚ボタンおよびタッチ生成パッドを他のタイプのタッチセンサ上に構成してユーザに触覚フィードバックを提供し得ることは理解されよう。
【0034】
図4は休止状態の触覚ボタン403およびタッチ生成パッド407を示している。この状態でタッチ生成パッド407は浮動しているため、タッチセンサ410上にタッチを生成しない。容量式タッチセンサの場合、タッチ生成パッド407はタッチセンサ410上で信号を生成する電位に拘束されていないときには浮動可能である。他の例として容量式タッチセンサにおいてタッチ生成パッドを制御装置により無視されるガードまたはシールド信号で駆動することができる。他のタイプのタッチセンサの場合、タッチ生成パッド407が休止状態のときにタッチ生成パッド407がタッチセンサ410上にタッチを生成しないような構成は浮動しており本発明の範囲内にあると考えられる。
【0035】
図5は起動状態のタッチ生成パッド407を示す。触覚ボタン403はこの例では接地されて示しているが、タッチ生成タッチ生成パッド407の電位とは異なる電位を有する。図に示すように触覚ボタン403がユーザにより押圧され、それによって触覚ボタン403をタッチ生成タッチ生成パッド407に電気的に接続させる。この接続の結果タッチ生成パッド407の電位に変化が生じるためタッチセンサ410上にタッチが発生する。
【0036】
触覚ボタン403の機械的特性はこの例ではスナップドームボタンとして示しているがユーザによりボタン403に与えられた力とは反対方向の応答力415を生じる。応答力415はスナップボタン403を休止状態に戻す性質を有し、ユーザによって触覚フィードバックとして感じ取られる。同様な触覚フィードバック特性を有するボタンが当該技術では周知であり、さらに詳細には説明しないことは理解できよう。しかしこれらのボタンはすべて本発明の範囲内にある。
【0037】
上記の明細書、実施例およびデータは本発明の完全に説明を提供する。本発明の要旨と範囲とから逸脱することなく本発明の多数の実施形態をなすことができるため本発明は添付の特許請求の範囲に存する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】例示的触覚タッチ感知システムを示す本発明の一実施の概略図である。
【図2】触覚タッチ感知システムの例示的実施形態の分解組立図である。
【図3】図2に示した触覚タッチ感知システムの正面図である。
【図4】例示的触覚ボタンの断面図である。
【図5】図4に示した例示的ボタンの他の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力に応答して電気信号を生成するように構成されたタッチセンサと、
前記タッチセンサの少なくとも一部分に近接したタッチ生成パッドと、
前記タッチ生成パッドに関連する触覚ボタンとを備え、前記触覚ボタンがユーザによる起動時に触覚フィードバックを提供するとともに前記タッチ生成パッドに結合するように構成され、前記タッチセンサが前記触覚ボタンの前記タッチ生成パッドとの結合を検出するように構成されたタッチ感知システム。
【請求項2】
前記触覚ボタンがユーザにより押圧されたことに応答して応答力を提供するように構成され、前記応答力がユーザへ触覚フィードバックを提供するように作動する、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項3】
前記触覚ボタンの前記タッチ生成パッドとの結合が、前記タッチ生成パッドを前記タッチセンサに電気的に結合させる、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項4】
前記触覚ボタンが前記タッチパッドから遠隔配置される、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項5】
前記触覚ボタンが前記タッチセンサの背後に配置される、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項6】
前記触覚ボタンが前記タッチ生成パッドの電位とは異なる電位を有し、前記触覚ボタンが前記タッチ生成パッドに電気的に接続するとともに前記タッチ生成パッドの前記電位を変化させることにより前記タッチ生成パッドを起動する、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項7】
前記触覚ボタンの前記電位が回路グランドである、請求項6に記載のタッチ感知システム。
【請求項8】
前記触覚ボタンが前記タッチ生成パッドに結合した時に、前記タッチ生成パッドが、前記タッチセンサ上に検出可能なタッチを生じるのに十分に前記タッチセンサに機械的に接触するように構成される、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項9】
前記触覚ボタンが前記タッチ生成パッドに結合した時に、前記タッチ生成パッドが、前記タッチセンサ上に検出可能なタッチを生じるのに十分に前記タッチセンサにより発せられた光線を遮断するように構成される、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項10】
前記触覚ボタンが前記タッチ生成パッドに結合した時に、前記タッチ生成パッドが、前記タッチセンサ上に検出可能なタッチを生じるのに十分に弾性波のエネルギーを吸収するように構成される、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項11】
前記触覚ボタンが前記タッチ生成パッドに結合した時に、前記タッチ生成パッドが、前記タッチセンサ上にタッチとして検出可能な振動を生成するように構成される、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項12】
前記タッチ生成パッドが前記タッチセンサに着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項13】
前記タッチ生成パッドが前記タッチセンサに恒久的に取り付けられる、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項14】
前記触覚ボタンが、ユーザが触覚によって前記触覚ボタンに関連する入力の機能を判断することができる凹凸模様を含む、請求項1に記載のタッチ感知システム。
【請求項15】
ディスプレイスクリーンと、
前記ディスプレイスクリーンの前に位置し、タッチ入力に応答して信号を生成するように構成されたタッチセンサと、
前記タッチセンサの前に位置し、起動されていない時に前記タッチセンサ上に検出可能なタッチを生じることなく、且つ起動された時に前記タッチセンサ上に検出可能なタッチを生じるように構成されたタッチ生成パッドと、
前記タッチ生成パッドと関連し、ユーザにより押圧された時に前記タッチ生成パッドを起動するように構成された触覚ボタンとを備える、ユーザと対話するシステム。
【請求項16】
前記触覚ボタンがユーザにより押圧されたことに応答して応答力を提供するように構成され、前記応答力がユーザへの触覚フィードバックを提供するのに十分である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記触覚ボタンがスナップドームボタンである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記触覚ボタンがシリコーンエラストマーボタンである、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記触覚ボタンがロッカースイッチである、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記触覚ボタンがカーボンボタンである、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記タッチセンサが容量式タッチセンサである、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
起動されていない時、前記タッチ生成パッドが前記タッチセンサと容量結合しないように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
起動されたことに応答して、前記タッチ生成パッドが前記タッチセンサと容量結合するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記タッチセンサが抵抗式タッチセンサである、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
動作中でない場合には、前記タッチ生成パッドが前記抵抗式タッチセンサに機械的に接触しないように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
起動されたことに応答して、前記タッチ生成パッドが前記抵抗式タッチセンサに機械的に接触するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記タッチセンサが光学式タッチセンサである、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
動作中でない時に、前記タッチ生成パッドが前記光学式タッチセンサによって発せられた光線を遮断しないように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
起動されたことに応答して、前記タッチ生成パッドが前記光学式タッチセンサによって発せられた光線を遮断するように構成される、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記タッチセンサが表面弾性波式タッチセンサである、請求項15に記載のシステム。
【請求項31】
動作中でない時に、前記タッチ生成パッドが前記表面弾性波式タッチセンサによって発せられた弾性波のエネルギーを吸収しないように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
起動されたことに応答して、前記タッチ生成パッドが、前記表面弾性波式タッチセンサによって発せられた前記弾性波の十分なエネルギーを吸収するように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記タッチセンサが振動感知式タッチセンサである、請求項15に記載のシステム。
【請求項34】
動作中でない時に、前記タッチ生成パッドが前記振動感知式タッチセンサ内に振動を生じないように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
起動されたことに応答して、前記タッチ生成パッドが前記振動感知式タッチセンサによって感知できる振動を生じるように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
起動されていない時にタッチセンサ上にタッチを生じないようにタッチ生成パッドをタッチセンサ上に取り付けるステップと、
ユーザが前記タッチ生成パッドに関連する触覚ボタンを押圧したこと応答して、前記タッチ生成パッドを起動するとともにユーザに触覚フィードバックを提供するステップと、
前記タッチ生成パッドを起動したことに応答して、前記タッチセンサ上にタッチを生じるステップとを含む、タッチセンサを含むタッチ感知システムのユーザに触覚フィードバックを提供する方法。
【請求項37】
ユーザが前記触覚ボタンを押圧したこと応答して、ユーザに触覚フィードバックとして応答力を提供する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記タッチセンサ上に前記タッチを生じるステップが、前記タッチ生成パッドを前記タッチセンサと容量結合することにより行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記タッチセンサ上に前記タッチを生じるステップが、前記タッチ生成パッドと前記タッチセンサとの間の機械的接触により行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記タッチセンサ上に前記タッチを生じるステップが、前記タッチセンサによって発せられた光線を前記タッチ生成パッドで遮断することにより行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記タッチセンサ上に前記タッチを生じるステップが、前記タッチセンサによって発せられた弾性波のエネルギーを前記タッチ生成パッドを用いて吸収することにより行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記タッチセンサ上に前記タッチを生じるステップが、前記タッチセンサ内に検出可能な振動を生じるのに十分なように前記タッチセンサに衝撃を与えることにより行われる、請求項36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−510977(P2007−510977A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536652(P2006−536652)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/032764
【国際公開番号】WO2005/043368
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】