説明

計量ゾーンにおける流体の計量

【課題】診断分析装置のスループットを向上させるための方法を提供すること。
【解決手段】診断分析装置の計量ゾーンに配置されたサンプルを計量するための方法は、分析装置の計量ゾーン内に配置されたサンプルを用意するステップと、線形に並進運動可能なピボットから延びることができるロボットアームを備えた計量システムを用意するステップとを含む。ロボットアームは、計量ゾーンにある複数のサンプル点にアクセスする。ロボットアームが移動して、ピボット点の遠位側のロボットアームの端部に配置された計量プローブを1つのサンプルの上に位置付けする。診断分析装置のための計量システムは、ガイドレールに取付けられた線形に移動可能なトラックと、トラックに旋回可能に取り付けられ、回転可能であるロボットアームと、液体を吸引および分配するためのプローブを備え、ロボットアームに取り付けられている計量ヘッドとを含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本願は、参照して開示内容の全てを本明細書に組み入れる2006年7月20日出願の米国仮特許出願第60/832,045号の優先権を主張するものである。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、自動診断分析装置におけるサンプルの計量などの流体の計量に関する。特に、本発明は、より多数のサンプルへのアクセスを可能にするための、自動診断分析装置の計量ゾーンにおける流体へのアクセスに関する。本発明はまた、計量ゾーン内へのアクセスを可能にするロボットアームにも関する。
【0003】
〔発明の背景〕
診断分析装置における既知のサンプル計量システムは通常、所与の計量タイミングサイクルで動作し、新しい各タイミングサイクルの開始時に新しいサンプルを吸引することができる。分析装置の最大のスループットを得るためには、全ての計量タイミングサイクルで吸引できる新しいサンプルを有するのが望ましいが、さもないと、新しい試験をする機会が失われ、分析装置のスループットが低下する。吸引した新しい試験を開始するために、分析装置は、その試験のあらかじめ規定されたプロトコルに従ってその試験を行うために必要な全ての処理ステップの計算もする。分析装置は、消耗品、反応容器、センシトメトリー(sensitometry)装置、試薬、試薬供給サブシステム、および試験のための関連する全ての分析装置のリソースなどの試験のために必要な全ての必要な分析装置のリソースをスケジュールし確保する。これらのリソースの1つが、特定の試験のために必要な時に、スケジュールおよび確保のために利用できない場合は、全てのリソースが利用できるようになる時まで、その試験を開始することができない。従来の分析装置では、このスケジューリング作業が、対立がなくなって試験を開始できる時まで試験を待たなければならないため、スループット低下の大きな原因であり、スループットが著しく低下する。
【0004】
使い易くするために、個々のスタンドアロン型分析装置で動作するように以前に開発された広範な試験技術(形式)が、単一の分析装置に組み込まれ、スケジューリング作業をさらに複雑化している。特定のサンプルの試験は、そのサンプルのある試験を光学キュベットを用いてウェットシステム形式で処理し、別の試験をドライスライド要素を用いてドライシステム形式で処理し、また別の試験を電気化学形式で処理するなどの必要とする場合がある。1つの患者サンプルの試験を、そのサンプルに必要な全ての試験結果を得るために、分析装置に対していくつかの異なる処理形式で行うことができる。これらの処理形式の1つが、その時点で使用されているために一時的に利用できない場合、処理形式の使用可能度が、スループットの制約または障害となる。従来の分析装置では、これは、通常は、いくつかの分析装置の処理形式の1つが利用できない場合、その処理形式で試験する必要があるサンプルが、その試験のリストを開始できないことを意味する。そのサンプル、およびそのサンプルに必要な全ての試験が、そのサンプルの試験を行うのに必要な際に全ての必要な処理形式が利用できるようになるまで待たなければならない。
【0005】
既知の分析装置では、オペレータすなわち使用者は、スループットの低下を最小限に維持するために、分析装置に対する各処理形式の複雑さの作業上の理解を進めて、サンプルの順序を予め分析に基づいて調整して、この欠点に対処している。
【0006】
既知の診断分析装置の例は、Vitros(登録商標)ECi免疫診断分析装置などの免疫診断分析装置、またはVitros(登録商標)5,1FSなどの臨床化学分析装置を含む。これらの分析装置は、オルト・クリニカル・ダイアグノースティック社(Ortho-Clinical Diagnostics, Inc)が販売している。このような分析装置は全て、集合的に診断分析装置と呼ばれる。代表的なシステムは、例えば、参照して開示内容の全てを本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2003/0026733号および2005年3月28日出願の米国特許出願第11/091,283号などに開示されている。このようなシステムは、サンプルハンドリングシステムを有する。例えば、米国特許出願公開第2003/0026733号では、サンプルハンドラー14が、試験管などの個々のサンプル容器を含むサンプルトレー18を有する。このサンプルハンドラーは、ベルト(不図示)上のサンプルトレーを計量移送レール26に移す。計量トラックが、一直線に配置された(すなわち、移送レール26に平行な線に沿って)これらのサンプルトレーから吸引することができるようになる。ここで、サンプル吸引/分配プローブを含む計量トラック30は、個々のサンプル容器からサンプルを吸引するようになる。サンプルトレー18は、米国特許出願第11/091,283号の図3に詳細に示されている。サンプルトレー(またはサンプル回転トレー)220は、サンプル吸引ステーション230(図1を参照)に楕円形路に沿って電磁的に移送されるか、またはベルトシステムによって移送されるサンプルトレー搬送機210の上に配置されている。サンプルトレーは、回転して個々のサンプルを、サンプル吸引ステーションの計量プローブと整列させることができる。
【0007】
計量プローブは、利用できるサンプル回転トレーの一部にしか一度にアクセスできない点で、これらのシステムは両方とも制限されている。このことは、計量工程を遅らせている。また、このことは一度にアクセスできるサンプルの数を制限している。例えば、1つの回転トレーが、HDLについて分析される第1のサンプルを含み、別の回転トレーが、HDLについて分析される第2のサンプルを含む場合、HDLについて2つのサンプルを分析するスループットが上昇する。しかしながら、サンプル回転トレーが範囲外である場合、サンプル搬送機が、計量プローブの下側に第2の回転トレーを位置させなければならないため、全体のシステムのスピードが低下する。したがって、より多くのサンプル回転トレーにアクセスする必要がある。このため、診断分析装置のスループットを上昇させるべく、より多くのサンプルにアクセスするための計量アームが必要である。
【0008】
また、いわゆる組合せ臨床分析装置では、例えば、複数のドライケミストリーシステムおよび複数のウェットケミストリーシステムを、内部のハウジング内に設けてもよい。これらの各ケミストリーシステムは、その動作が独自である。例えば、既知の「ドライ」ケミストリーシステムは、通常、多数のドライスライド要素、計量/移送機構、および複数の試験読取りステーションを有するインキュベーターを備えたサンプル供給部を含むことができる。所定量のサンプルが、搬送レールに沿って移動可能な計量トラックによって保持された吻すなわちプローブを用いる計量チップ内に吸引される。次に、チップからの所定量のサンプルが、インキュベーターに導入されるドライスライド要素上に計量(分配)される。このスライド要素は、インキュベートされ、分析物の検出のために光学的または他の測定値が読み取られる。他方、「ウェット」ケミストリーシステムは、内部で、アッセイを行うために多量の患者サンプル、少なくとも1種類の流体試薬、および/または他の流体が混合されるキュベットなどの反応容器を用いる。このアッセイもインキュベートされ、分析物の検出のために試験が行われる。「ウェット」ケミストリーシステムはまた、サンプル供給部から反応容器に患者の流体サンプルを移送するために計量機構を含む。
【0009】
このような組合せケミストリーシステムでは、ウェットシステムおよびドライシステムの両方にアクセスできる計量アームが要望されている。
【0010】
米国特許出願公開第2005/0220670号に、自動診断分析装置に用いられるマルチパスアクセスシステムが開示されている。米国特許出願第2004/0022680号には、x、y、およびz方向に移動可能であって、z軸を中心に回転できる、回転可能に取り付けられた器具ホルダーを含む装置が開示されている。
【0011】
したがって、当分野では、診断分析装置のスループットを向上させるために、サンプルを移動させずに診断分析装置内のより多くのサンプルにアクセスする手段が要望されている。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明は、診断分析装置のスループットを向上させるためにより多くのサンプルにアクセスする際の問題を解消した方法に関する。
【0013】
本発明の一態様は、診断分析装置の計量ゾーンに配置されたサンプルを計量するための方法に関する。この方法は、分析装置の計量ゾーン内に配置されたサンプルを用意するステップと、線形に並進運動可能なピボットから延びることができるロボットアームを備えた計量システムを用意するステップであって、ロボットアームが、計量ゾーンの複数のサンプル点にアクセスする、ステップと、ロボットアームを移動させて、ピボット点の遠位側のロボットアームの端部に位置する計量プローブを、サンプルの1つの上に位置させるステップと、プローブをサンプルに向かって垂直に移動させるステップと、サンプルを吸引するステップと、を含む。
【0014】
本発明の別の態様は、診断分析装置におけるスループットを増大させるための方法を提供する。この方法は、計量アームの近傍の計量ゾーンに既知の並び方で複数のサンプルを用意するステップと、スループットを増大させるためにはどの順序でサンプルが吸引されるのかを決定するためにスケジューリングアルゴリズムを用意するステップと、計量アームにより、計量ゾーン全体にわたって、サンプルにアクセスするステップと、アルゴリズムによって決定される吸引順序に基づいて、計量ゾーン内の、サンプルが配置されている位置でサンプルの1つを吸引するステップと、分析装置の別の位置に配置された受容要素に対して、前記サンプルを並進運動させるステップと、を含む。好適な実施形態では、受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはカップ型マイクロウェルのうちの1つまたは複数である。
【0015】
本発明の別の態様は、診断分析装置のための計量システムを提供する。この計量システムは、ガイドレールに取り付けられており、このガイドレールに沿って線形に移動可能であるトラックと、このトラックに旋回可能に取り付けられており、このトラックから離れる方向に延びているロボットアームであって、トラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、ロボットアームと、液体を吸引および分配するために計量ヘッド上に設けられたプローブを備えた計量ヘッドであって、ロボットアームに取り付けられている、計量ヘッドと、を含み、この軽量ヘッドまたはロボットアームの少なくとも一方が、プローブを下げるために垂直方向に移動可能である。好適な実施形態では、ガイドレールは、分析装置の後部に沿って延びており、ロボットアームは、ガイドレールの前部に延びている。別の好適な実施形態では、第2の計量システムが設けられている。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、診断分析装置を提供する。この診断分析装置は、サンプルハンドラーと、分析装置の後部に沿って延びるガイドレールと、このガイドレールに取り付けられており、このガイドレールに沿って線形に移動可能であるトラックと、このトラックに旋回可能に取り付けられており、このトラックから離れる方向に、ガイドレールの前に延びているロボットアームであって、トラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、ロボットアームと、液体を吸引および分配するために計量ヘッド上に設けられたプローブを備えている計量ヘッドであって、ロボットアームに取り付けられている、計量ヘッドと、この計量ヘッドによって吸引されるサンプルを受容するための受容要素と、インキュベーターと、サンプル中の分析物の存在または濃度を測定するための測定装置と、を含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、複数のサンプル中の1つまたは複数の分析物の存在または濃度を決定するための方法を提供する。この方法は、診断分析装置の計量ゾーンにサンプルを用意するステップと、上記の方法に従ってサンプルを計量するステップと、サンプルの少なくとも1つを受容要素内に分配するステップと、サンプルを受容要素内でインキュベートするステップと、分析物の存在または濃度についてインキュベートしたサンプルを測定するステップと、を含む。好適な実施形態では、異なる3種類の分析物の存在または濃度が決定された3つ以上のサンプルをさらに含み、これらのサンプルの第1のサンプルが、スライド要素である受容要素内に分配され、これらのサンプルの第2のサンプルが、光学的に透明なキュベットである受容要素内に分配され、これらのサンプルの第3のサンプルが、ストレプトアビジンがコーティングされたカップ型のマイクロウェルである受容要素内に分配される。
【0018】
本発明の好適な実施形態では、計量ゾーンと柔軟なスケジューリングアルゴリズムとの組合せによって、スループットの制限を解消し、サンプルに必要な試験や分析装置のリソースの利用可能性に関係なく、理論上の最大のスループットに非常に近い値で分析装置を動作させることができる。
【0019】
本発明の別の目的、特徴、および利点は、当業者であれば、後述する好適な実施形態の詳細な考察から明らかになるであろう。
【0020】
〔詳細な説明〕
本発明は、1つの点、ステーション、または直線に沿ってサンプルを計量する代わりに、計量ゾーンでサンプルを計量することで上記問題を解決する。ここで用いる「計量ゾーン」は、サンプルを任意の点または位置に配置することができ、かつ計量アームがアクセスできる分析装置上の所定の範囲または領域と定義する。好ましくは、任意の点または位置で、計量システムのプローブの中心線を、サンプルの吸引のために位置付けし、保持することができる。計量ゾーンは、既知の診断分析装置の上にあるため、サンプル吸引のための単一の計量点または計量線(例えば、米国特許出願公開第2003/0026733号における計量トラック30の線形の並進運動によって生成される単一の計量線)ではなく、理論上は無限数のサンプル吸引点(その全てがサンプル計量アームが届く範囲内)を有するゾーンである。この領域は、例えば互いに直交する水平軸などの少なくとも2つの方向に境界を有しているため、少なくとも2次元である。サンプルは、この領域の境界内の平面に配置するか、またはこの平面の上または下の空間におけるこの領域内に配置することができる。好適な実施形態では、計量ゾーンは、計量アームがサンプルにアクセスし易いように、計量システムの近傍に位置している。計量ゾーン214(破線)の例が、図1に示されている。この計量ゾーンは、任意の所望の形状、好ましくは多角形、例えば長方形や正方形などにすることができる。
【0021】
2次元計量ゾーンの任意の点でサンプルまたは試薬流体を吸引および/または分配できるため、空間中の単一点計量システム(single ”point-in-space” metering system)すなわち従来の線形または回転計量システムに比べて、分析装置における吸引点および分配点のレイアウトの柔軟性が大幅に向上している。このため、全てのサンプルにアクセスできることに加えて、分析装置の使用者にとって人間工学的により都合がよく、よりコンパクトな分析装置のレイアウトが可能となる。
【0022】
さらに、本発明に従って、計量ゾーン内の任意の点で計量できる能力と、所与の時間に計量ゾーンの全てのサンプルにアクセスできることとによって、オペレータが、これらのサンプルの範囲内の様々な試験の組合せをもつサンプルを導入することができ、分析装置の動作の知識がなくても任意の都合の良い順序でこれらのサンプルを導入することができ、好ましくはこの分析装置の理論上のスループットに近い、通常のスループットよりも大きい処理のスループットを実現できる。計量ゾーンにおける多数のサンプルが、好ましくは後述する柔軟なスケジューリングアルゴリズムで処理されることより、分析装置が、様々な試験の組合せまたはサンプルの投入順序に対して優れたスループットを実現できる。
【0023】
既知の分析装置よりもこの計量システムで多くのサンプルを利用できるため、個々のサンプルのサンプル状態を、分析装置に導入した後に変更することができる。このため、サンプル吸引の優先順位に関してオペレータ固有の規則を作成することができる。例えば、オペレータが、分析装置全体のスループットに影響を与えずに、あらゆる小児科のサンプルが第1の優先順位を得るように定義することができる。もう1つの例は、サンプルの結果へのアクセスが緊急となり、サンプルが搭載されて処理されるのを待っている場合である。本発明により、オペレータは、そのサンプルに最高の優先順位を付けるように分析装置に指令することができる。このことは、スループットに実質的に影響を与えず、オペレータは、サンプルに対して物理的に何もする必要はない。
【0024】
本発明の方法を、例えば図1〜図3に示されているような分析装置に用いることができる。図1は、本発明の方法および装置と共に使用できる診断分析装置の好適な実施形態の重要な構成要素の内部レイアウトを示している。サンプルハンドラー10は、計量ゾーン202とオペレータロード/アンロードゾーン201の2つの領域に分かれている。各ゾーン内には、最大で10個の個別のサンプルを保持することができるサンプルトレー(sample tray)もしくは回転トレー(carousel)13が配置されている。処理されたサンプルをインキュベートし測定する2つのウェットケミストリーゾーン205、206と1つのドライケミストリーゾーン207の3つのケミストリーゾーンが設けられている。この実施形態では、一方のウェットケミストリーゾーンは、サンプルおよび試薬が導入されるキュベットをベースとしたシステムであり、他方のウェットケミストリーゾーンは、好ましくはストレプトアビジンがコーティングされているカップ型マイクロウェルを用いる免疫診断システムである。加えて、2つの試薬供給領域209、210、使い捨てチップ供給領域208、およびアリコットバッファー部(aliquot buffer facility)211が設けられている。2つのロボットアームがラック内に受容されている。一方のロボットアーム212は、計量ゾーンの任意の点から3つのケミストリーゾーンの任意の1つにランダムにアクセスしてサンプルを吸引して計量し、他方のロボットアーム213は、任意の試薬供給領域から3つのケミストリーゾーンの任意の1つにランダムにアクセスして試薬を吸引し計量する。各ロボットアームは、ピボット点215を中心に回転する。
【0025】
図2および図3は、上記のような診断分析装置上に設けられたサンプルハンドラー10を示している。サンプルハンドラー10は、サンプルキャリヤ11およびコンベヤベルト17を含む。サンプルキャリヤ11は、サンプルトレー搬送機14の上に配置されるサンプルトレーもしくは回転トレー13をさらに含む。サンプルトレー搬送機14は、好適な実施形態では、2007年2月2日出願の同時係属中の米国特許出願第11/672,614号(名称:「2次元サンプルハンドラー(Two Dimensional Sample Handler)」)に記載されているパック形状のディスク(puck-shaped disc)(図3)である。図2および図3に示されているサンプルハンドラーは、2次元のサンプル配列を採用している。サンプルハンドラーの好適な実施形態は、8つのサンプルキャリヤを有しており、4つのサンプルキャリヤは、ロード/アンロード領域内にあり、別の4つのキャリヤは、計量ゾーン内にある。加えて、STATサンプル(すなわち、優先順位を有するサンプル)を含むサンプルトレー用の別個のレーンが設けられていてもよい。これにより、1つまたは複数の追加のサンプルトレーがロボットアームにアクセスできるようになる。STATレーンは、サンプルハンドラー内またはサンプルハンドラーの両側に設けることができる。図2の実施形態では、計量ゾーンの4つのキャリヤが、組合されたサンプルトレーとサンプル容器ホルダーと共に示されており、ロード/アンロード領域の4つのキャリヤの内の2つのキャリヤが、サンプルトレー搬送機14のみを備えた状態で示されている。図3の実施形態では、計量領域に配置された4つのサンプルトレー搬送機が、位置合わせ要素15、16を備えた状態で示されている。サンプルトレー搬送機は、撓み要素20を介してコンベヤベルト17に結合されている。
【0026】
サンプルキャリヤは、コンベヤベルト17によってある位置から別の位置に移送される。好適な実施形態では、後述するように、計量アームによってアクセスされる最大4つのサンプルトレーを、同時に位置付け(position)または位置合わせ(register)することができる。一実施形態では、個々のトレーが回転可能であってもよく、これにより、ロボットアームがアクセスする必要のある各トレー上の所定の位置が設けられる。このことは、ロボットアームのためのより複雑でない制御をもたらす。
【0027】
好適な実施形態では、2つ以上、好ましくは3つ以上のサンプルが、分析装置の計量ゾーン内に配置されている。これらのサンプルは、オペレータ、またはサンプルに対して試験アルゴリズムを行うマイクロプロセッサが、適当な時間にサンプルを吸引するべくサンプルがどこに位置するかが分かるように、計量ゾーンの既知の位置に配置するのが好ましい。
【0028】
例えば、サンプルは、取り付けられたサンプル識別バーコードを読み取ることにより、またはサンプルのIDを手で入力することにより識別される。次に、サンプルは計量ゾーンに導入され、計量ゾーン内の物理的な場所に位置合わせされる。計量ゾーン内に位置合わせされると、計量ゾーンの全てのサンプルが、計量システムによってアクセス可能となる。好適な実施形態は、多数のサンプルをこの計量ゾーンに有し、これらのサンプルの全てに計量システムがアクセス可能である。
【0029】
計量システムは、計量アームが延びているピボット点を含む。計量アームは、ピボット点から延びており、ピボット点を中心に回転可能である。ピボット点は、線形にも並進運動可能であるため、吸引/分配プローブが計量ゾーン内のあらゆる位置のサンプルにアクセスするために必要な2つの自由度が得られる。好ましくは、ピボット点は、図1に示されているように、分析装置の後部に位置するレールに沿って移動する。計量アームが、計量されるべきサンプルの上にプローブを位置させると、プローブは、サンプルにアクセスできるようにサンプルに対して移動する。プローブまたは計量アームを、サンプルにアクセスするために下げることができる。好ましくは、計量アームは、垂直(z軸)方向に不動であり、プローブがサンプルにアクセスするために垂直方向に上下する。好適な計量システムは、詳細に後述する。
【0030】
計量ゾーンは、軽量アームが計量ゾーン内のあらゆる位置のサンプルにアクセスできるように配置されている。好ましくは、計量ゾーンは、図1に示されているように、ピボット点の線形並進運動(linear translation)によって画定される線の前方に位置する。別の好適な実施形態では、計量ゾーンは、図1〜図3に関連して上に記載したコンベヤによって画定される経路によって境界が設けられていてよい。
【0031】
動作の際、サンプルが、既知の自動システムの一部としてサンプルロードシステムによって自動的にロードされるか、または使用者によって手動で分析装置にロードされ、計量ゾーン内に並べられる。使用者または分析装置のマイクロプロセッサが、行うべき試験および試験の順序を選択する。この選択は、詳細を後述するスケジューリングアルゴリズムによって行われるのが好ましい。次に、計量アームが、ピボット点を中心とした回転および/またはガイドレールに沿った線形の移動によって、吸引すべき第1のサンプルに向かって移動することができる。計量アームの遠位端部のプローブがサンプルの上方に配置されると、プローブが下げられ、サンプルが吸引される。吸引の後、計量アームは、この計量アームが届く分析装置のあらゆる位置にサンプルを移送することができる。一般に、サンプルは、サンプルに対して行われる試験によって決まる、上記のドライまたはウェットケミストリーシステム形式または免疫学的システム形式などで、さらなる処理を行うために供給することができる。
【0032】
上記のように、計量ゾーン内のあらゆる位置のサンプルにアクセスする能力は、装置を通過するサンプルのスループットの増大という利点をもたらす。したがって、本発明の別の態様は、計量ゾーンで計量できることと、スケジューリングアルゴリズムを使用することを含む、診断分析装置におけるスループットを増大させるための方法を提供する。スループットの増大が、理論上の最大スループットの少なくとも65%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは最大97%までのスループットの最大化をもたらすことが好ましい。分析装置を通過するサンプルのスループットの増大により、行われる試験の数もまた増大する。ここで用いる「スループットの増大」は、上記の計量ゾーンから計量するのとは反対に、単一点からまたは単一線に沿ってサンプルを計量する診断分析装置で得られる最大スループットよりも大きいスループットと定義する。スループットの増大は、5%超、より好ましくは10%超、最も好ましくは25%超であるのが好ましい。スループットは、1時間につき行われる試験の数とすることができる。分析装置の効率の増大の別の尺度は、所要時間(turn around time)の短縮である。所要時間は、分析装置にサンプルが到着した時から使用者もしくはオペレータにサンプルの結果が報告されるまでの時間と定義する。本発明では、所要時間の短縮は、上記の従来の臨床分析装置の所要時間に対して6%〜44%の範囲であるのが好ましい。
【0033】
分析装置を通過するスループットを増大させるためには、スケジューリングアルゴリズムを利用することができる。スケジューリングアルゴリズムは、サンプルに対する個々の試験に必要な全てのリソースが、リソースが試験に必要となる処理プロトコルの正確な特定の時間に、個々の試験に利用できるか否かを決定する。リソースは、試験を行うために必要な分析装置におけるあらゆるプロセスまたはシステムを含み、インキュベーション、サンプルの添加、洗浄、および検出などを含む。サンプル吸引ができる多数のサンプルを備えた計量ゾーンの形成とは、これらのサンプルの試験が、好ましくは、分析装置のスケジューリングアルゴリズムによって知られていることを意味する。スケジューリングアルゴリズムが、多数のサンプルおよび各サンプルに必要な試験を知ることができることで、多数の利点が得られる。
【0034】
スケジューリングアルゴリズムは、多数の導入されたサンプルに必要な試験を認識している場合、次に、分析装置のスケジュールの既存の空いている時間に入れることができるこれらのサンプルの試験を探すことができる。サンプル計量システムは、スループットを減少させずに計量ゾーンにあるあらゆるサンプルにアクセスできるので(例えば、1つの計量サイクル内で)、サンプルが分析装置に導入された順序以外の順序でサンプルを吸引することができる。それゆえ、スケジューリングアルゴリズムは、分析動作をより効率的にスケジュールするために、好適なサンプリング順序を決定することができる。このため、スループットが、サンプルが分析装置に導入される順序や各サンプルでの試験要求の混合に関係なく、理論上のスループットに近い値を維持することができる。
【0035】
分析装置でのウェット、ドライ、または免疫学的な特定の処理形式が、最大能力で既に作動していて、新しい試験を許容することができない場合(例えば、ドライケミストリー電解液処理センターが、試験で飽和状態であって、5分間新しい試験を受け入れることができない場合)、計量ゾーンおよび柔軟なスケジューリングが、オーバーロードされた試験形式で行う必要がある試験をスキップし、この試験の代わりに、オーバーロードではない形式で行うことができ、かつ分析装置で利用できるサンプルまたは他のサンプルに必要な他の全ての試験を行うことができる。オーバーロード試験形式が再び利用できるようになったら、この形式で処理する必要のある試験がスケジュールされる。特に本発明に使用するのに適したスケジュールアルゴリズムは、参照して開示内容の全てを本明細書に組み入れる同時出願の同時係属中の米国特許出願第( )号(名称:「組合せ臨床分析装置におけるサンプルをスケジューリングするための方法(Method for Scheduling Samples in a Combinational Clinical Analyzer)」)(代理人整理番号:CDS5043)に開示されている。
【0036】
上記の計量ゾーンは、吸引/分配プローブが1回の計量サイクル内で計量ゾーン内のあらゆるサンプルにアクセスできるように、少なくとも2つの自由度で移動できる計量システムを設けることで形成されている。
【0037】
計量システムは、線形運動だけでなく、この線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転でき、かつ垂直(z方向)に移動してサンプルの取得(すなわち、吸引)または排出(すなわち、分配)や試薬の取得または排出も行うことができる1つ、好ましくは2つのロボットアームを含む。ロボットアーム、および吸引/分配プローブを有する計量ヘッドは、アクセス可能な空間(すなわち、計量ゾーン)内の約25の異なる点、より好ましくは、その空間(すなわち、計量ゾーン)内のあらゆる位置に物理的に位置付けすることができるようにすべきである。ロボットアームが個々の接触点に達するのを物理的に妨げるものは存在しない。計量システムは、次に示す4つの要素、すなわち、
(1)線形経路上のロボットアームを含むか、または支持するトラックの位置が、このトラック自体のサーボモータまたはステッパーモータ、またはロボットアームを前後に線形に移動させるための手段によって制御される線形経路
(2)線形経路に沿ってトラックを介して移動することができる、線形経路に対して平行な水平の平面において、線形経路の任意の点で回転できるロボットアーム
(3)各ロボットアームの端部に取り付けられた、サンプルの取得(すなわち、吸引)および排出(すなわち、分配)、または、試薬の取得および排出のための計量ヘッドなどの手段
(4)ロボットアームの端部で、サンプルや試薬のハンドリング手段(すなわち、プローブまたは吻)を垂直(z方向)運動させるための手段
を含むのが好ましい。
【0038】
図面に示されているような好適な実施形態では、診断分析装置は、ドライシステムAおよびウェットシステムBの両方を含む。ウェットケミストリーシステムBは、ウェットケミストリーシステムおよび免疫学的システムをさらに含む。ガイドレール2は、分析装置の全長の少なくとも一部に沿って位置付けられている。図1の実施形態は、試薬の吸引および分配のための計量システムを示している。試薬を計量するための計量システムの共通の構造は、ダッシュ(’)が付加されていることを除いて、サンプル計量システムと同じ参照番号を用いて示されている。計量システムは、ガイドレール2に沿って移動するトラック1を含む。ロボットアーム3が、トラック1に軸(C)を介して回転可能に取り付けられている。図1に示されているように、ロボットアーム3は、回転可能であり、平面4を移動する。
【0039】
本発明の計量システムのデザインは、米国特許出願公開第2003/0086822号、特に診断システムの文脈に開示されているような既知のシステムにおけるガントリー型構造(gantry type structure)に比べて利点を有する。ガントリーシステムでは、計量ヘッドが運動できる領域を取り囲むフレームが必要である。計量ヘッドを前方から後方またはその逆の方向に沿って移動させるために、支持フレームが、分析装置の後部から分析装置の前部まで延びている必要がある。しかしながら、分析装置の前部に設けられた支持フレーム構造を備えていることが、一般に分析装置の前方に位置付けされており、アンロードサンプルを分析装置内にロードする使用者(オペレータ)の妨げになる。加えて、分析装置の外形が、前方のフレームの高さを受容するために著しく増大するであろう。これとは対照的に、本発明では、全ての支持構造は、分析装置の後部に位置している。分析装置の前方に延びるフレームワークを必要としない。
【0040】
本発明の計量システムの別の利点は、使用していない時の計量アームの保管である。図4のアウトラインに示されているように、計量アーム3aおよび3a’は、使用していない時はガイドレール2に対して引き戻される、または押し込まれる。このため、分析装置の残りの部分に自由にアクセスすることができる。マルチアーム分析装置では、このことが、他のアームが、ガイドレールに対して引き戻されたアームとの衝突の可能性なしにサンプルを処理できることを確実にする。
【0041】
計量ヘッド5が、ロボットアーム3に取り付けられている。図3は、計量ヘッド5の詳細を示している。計量ヘッド5は、吻とも呼ばれるプローブ6を含む。このプローブは、使い捨てチップを含んでいてもよいし、または使い捨てではない洗浄可能なプローブであってもよい。上記のように、プローブは、サンプルおよび/または試薬にアクセスするために垂直方向に移動可能である。
【0042】
図4は、それぞれがサンプルチューブ21(この実施形態では10のサンプルチューブ)を有する複数(この実施形態では4つ)の回転可能なサンプルトレー20にアクセスするロボットアーム3および計量ヘッド5を示している。図4に示されているように、計量システムは、2次元以上で(すなわち、ガイドレールの長さに沿って)サンプルチューブにアクセスできる。すなわち、計量システムは、旋回可能なロボットアームによって、全てのサンプルトレー20の全ての領域にアクセスすることができる。
【0043】
本発明に従った計量システムにより、各サブシステムにおいて機械的調整を軽減することができる。具体的には、計量システムが、計量ゾーン内のあらゆる接触点にアクセスできるため、計量サブシステムとその接触点との間の物理的な接触の全ての調節を、接触点ではなく計量システムに対して行うことができる。
【0044】
本発明はまた、少なくとも1つのサンプルにおける分析物の存在または濃度を決定するための診断分析装置および方法を提供する。診断分析装置は、上記のように、サンプルハンドラーおよび計量システムを含む。計量システムは、サンプルを受容要素内へ分配する。受容要素は、薄膜ドライケミストリースライド(例えば、ドライケミストリーシステムA)などの薄膜要素、1種または複数種の試薬を付着させることができる光学的に透明なキュベット(例えば、ウェットケミストリーB)、またはストレプトアビジンがコーティングされたマクロウェル(例えば、ウェットケミストリーシステムB)などの免疫診断分析を行うためのカップ型マイクロウェルであってよい。
【0045】
分析装置は、サンプルおよび受容要素をインキュベートするためのインキュベーター、および分析物の存在または濃度に関連するサンプルの特性を測定するための測定装置も含む。行われる分析によって、測定装置を、光度計、分光光度計、反射率計、または照度計とすることができる。
【0046】
分析装置は、キュベットまたはマイクロウェル内に試薬を分配するための試薬供給部も含むことができる。試薬にアクセスして分配するための計量システムは、上記したように計量システムを含むことができる。また、免疫診断アッセイの場合、洗浄水を供給することもできる。
【0047】
好適な実施形態では、少なくとも3つのサンプルを、上記の異なる各ケミストリーシステムを用いて分析する。すなわち、第1のサンプルをスライド要素に分配し、第2のサンプルを光学的に透明なキュベット内に分配し、第3のサンプルをストレプトアビジンがコーティングされたカップ型マイクロウェルに分配する。
【0048】
当業者であれば、本発明の化合物、組成物、および処理に対する様々な改変形態および変更形態が可能であることを理解できよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内であるこのような改変形態および変更形態を含むものとする。
【0049】
上記した全ての刊行物の開示は、それぞれが個々に参照して本明細書に組み入れるのと同程度に、参照して開示内容の全てを本明細書に組み入れるものとする。
【0050】
〔実施の態様〕
(1)診断分析装置の計量ゾーンに配置されたサンプルを計量するための方法において、
前記分析装置の前記計量ゾーン内に配置されたサンプルを用意するステップと、
線形に並進運動可能なピボットから延びることができるロボットアームを備えた計量システムを用意するステップであって、前記ロボットアームが、前記計量ゾーンの複数のサンプル点にアクセスする、ステップと、
前記ロボットアームを移動させて、前記ピボット点の遠位側の前記ロボットアームの端部に位置する計量プローブを、前記サンプルの1つの上に位置させるステップと、
前記プローブを前記サンプルに向かって垂直に移動させるステップと、
前記サンプルを吸引するステップと、
を含む、方法。
(2)実施態様(1)に記載の方法において、
少なくとも3つのサンプルが用意される、方法。
(3)実施態様(1)に記載の方法において、
前記計量ゾーンは、前記計量システムの近傍の領域である、方法。
(4)実施態様(3)に記載の方法において、
前記計量ゾーンは、前記ピボットの線形の並進運動によって画定される線に交差していない、方法。
(5)実施態様(4)に記載の方法において、
直線上に並ばないように非線形のコンベヤ上に配置された3つ以上のサンプルをさらに含む、方法。
【0051】
(6)実施態様(1)に記載の方法において、
前記ロボットアームを移動させるステップが、前記ロボットアームを線形に並進運動させ、回転させることを含む、方法。
(7)実施態様(5)に記載の方法において、
前記コンベヤは、連続した長方形の経路を形成しており、前記サンプルは、前記コンベヤの周りに配置される、方法。
(8)実施態様(7)に記載の方法において、
前記計量ゾーンは、前記コンベヤによりって境界が設けられている、方法。
(9)実施態様(5)に記載の方法において、
前記サンプルは、前記コンベヤ上に配置されたサンプル回転トレー上に配置される、方法。
(10)診断分析装置におけるスループットを増大させるための方法において、
計量アームの近傍の計量ゾーンに既知の並び方で複数のサンプルを用意するステップと、
スループットを増大させるためにはどの順序でサンプルが吸引されるのかを決定するためにスケジューリングアルゴリズムを用意するステップと、
前記計量アームにより、前記計量ゾーン全体にわたって、サンプルにアクセスするステップと、
前記アルゴリズムによって決定される吸引順序に基づいて、前記計量ゾーン内の、前記サンプルが配置されている位置で前記サンプルの1つを吸引するステップと、
前記分析装置の別の位置に配置された受容要素に対して、前記サンプルを並進運動させるステップと、
を含む、方法。
【0052】
(11)実施態様(10)に記載の方法において、
前記スループットは、1時間当たりの試験数で測定される、方法。
(12)実施態様(10)に記載の方法において、
前記スループットは、理論上の最大値の少なくとも70%まで増大される、方法。
(13)実施態様(10)に記載の方法において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはカップ型マイクロウェルのうちの1つまたは複数である、方法。
(14)診断分析装置のための計量システムにおいて、
トラックであって、ガイドレールに取り付けられており、前記ガイドレールに沿って線形に移動可能である、トラックと、
ロボットアームであって、前記トラックに旋回可能に取り付けられており、前記トラックから離れる方向に延びており、前記トラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、ロボットアームと、
計量ヘッドであって、液体を吸引および分配するために前記計量ヘッド上に設けられたプローブを備えており、前記ロボットアームに取り付けられている、計量ヘッドと、
を含み、
前記計量ヘッドまたは前記ロボットアームの少なくとも一方が、前記プローブを下げるために垂直方向に移動可能である、計量システム。
(15)実施態様(14)に記載の計量システムにおいて、
前記ガイドレールは、前記分析装置の後部に沿って延びており、
前記ロボットアームは、前記ガイドレールの前部に延びている、計量システム。
【0053】
(16)実施態様(15)に記載の計量システムにおいて、
前記ロボットアームは、前記ガイドレールと交差していない、計量システム。
(17)実施態様(16)に記載の計量システムにおいて、
前記計量アームは、使用されていない時には前記ガイドレールに沿って元の位置に戻る、計量システム。
(18)実施態様(14)に記載の計量システムにおいて、
前記計量ヘッドは、前記プローブを下げるために垂直方向に移動可能である、計量システム。
(19)実施態様(14)に記載の計量システムにおいて、
前記ロボットアームは、内部に試験すべきサンプルを有する計量ゾーンにアクセスできる、計量システム。
(20)実施態様(14)に記載の計量システムにおいて、
第2のトラックであって、前記ガイドレールに取り付けられており、前記ガイドレールに沿って線形に移動可能である、第2のトラックと、
第2のロボットアームであって、前記第2のトラックに旋回可能に取り付けられており、前記第2のトラックから離れる方向に延びており、前記第2のトラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、第2のロボットアームと、
第2の計量ヘッドであって、液体を吸引および分配するために前記第2の計量ヘッド上に設けられたプローブを備えており、前記第2のロボットアームに取り付けられている、第2の計量ヘッドと、
を含み、
前記第2の計量ヘッドまたは前記第2のロボットアームの少なくとも一方が、前記プローブを下げるために垂直方向に移動可能である、計量システム。
【0054】
(21)実施態様(20)に記載の計量システムにおいて、
前記トラック、前記ロボットアーム、前記計量ヘッド、および前記プローブは、組合せ診断分析装置のドライシステムにアクセスするように位置付けされており、前記第2のトラック、前記第2のロボットアーム、前記第2の計量ヘッド、および前記第2のプローブは、組合せ診断分析装置のウェットシステムにアクセスするように位置付けされている、計量システム。
(22)診断分析装置において、
サンプルハンドラーと、
前記分析装置の後部に沿って延びるガイドレールと、
トラックであって、前記ガイドレールに取り付けられており、前記ガイドレールに沿って線形に移動可能である、トラックと、
ロボットアームであって、前記トラックに旋回可能に取り付けられており、前記トラックから離れる方向に、前記ガイドレールの前に延びており、前記トラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、ロボットアームと、
計量ヘッドであって、液体を吸引および分配するために前記計量ヘッド上に設けられたプローブを備えており、前記ロボットアームに取り付けられている、計量ヘッドと、
前記計量ヘッドによって吸引されるサンプルを受容するための受容要素と、
インキュベーターと、
サンプル中の分析物の存在または濃度を測定するための測定装置と、
を含む、診断分析装置。
(23)実施態様(22)に記載の診断分析装置において、
試薬供給部をさらに含む、診断分析装置。
(24)実施態様(22)に記載の診断分析装置において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、およびカップ型マイクロウェルをさらに含む、診断分析装置。
(25)実施態様(24)に記載の診断分析装置において、
前記マイクロウェルは、ストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルであり、
前記診断分析装置は、洗浄流体供給部と、前記マイクロウェル内に洗浄流体を分配するための洗浄流体ディスペンサとをさらに含む、診断分析装置。
【0055】
(26)実施態様(22)に記載の診断分析装置において、
前記測定装置は、光度計、反射率計、または照度計である、診断分析装置。
(27)実施態様(22)に記載の診断分析装置において、
前記サンプルハンドラーは、ロード/アンロードゾーン、および計量ゾーンを含む、診断分析装置。
(28)実施態様(22)に記載の診断分析装置において、
前記サンプルハンドラーは、長方形のコンベヤベルト、および、このコンベヤベルトに取り付けられた複数のサンプルトレー搬送機を含む、診断分析装置。
(29)複数のサンプル中の1つまたは複数の分析物の存在または濃度を決定するための方法において、
診断分析装置の計量ゾーンにサンプルを用意するステップと、
実施態様(1)に記載の方法に従って前記サンプルを計量するステップと、
前記サンプルの少なくとも1つを受容要素内に分配するステップと、
前記サンプルを前記受容要素内でインキュベートするステップと、
前記分析物の存在または濃度について前記インキュベートしたサンプルを測定するステップと、
を含む、方法。
(30)実施態様(29)に記載の方法において、
異なる3種類の分析物の存在または濃度が決定された少なくとも3つのサンプル、
をさらに含み、
前記サンプルの第1のサンプルが、スライド要素である受容要素内に分配され、
前記サンプルの第2のサンプルが、光学的に透明なキュベットである受容要素内に分配され、
前記サンプルの第3のサンプルが、ストレプトアビジンがコーティングされたカップ型のマイクロウェルである受容要素内に分配される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】2次元以上でサンプルにアクセスすることを含む診断分析装置の模式的な平面図である。
【図2】本発明の好適な実施形態に従った2次元以上でサンプルにアクセスするために位置付けられた4つのサンプルトレーを示す斜視図である。
【図3】発明の好適な実施形態に従った8つのサンプルトレートランスポートを有するサンプルハンドラーを示す斜視図である。
【図4】本発明の好適な実施形態に従った2つの計量システムを有する組合せ診断分析装置の斜視図である。
【図5】発明の好適な実施形態に従った2つの計量システムおよびガイドレールの斜視図である。
【図6】発明の好適な実施形態に従った、トラックに取り付けられたレールに旋回可能に取り付けられたロボットアームおよび計量ヘッドの斜視図である。
【図7】発明の好適な実施形態に従った、ロボットアームおよび計量ヘッドを用いた2次元以上でサンプルにアクセスするために位置付けられた4つのサンプルトレーの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断分析装置の計量ゾーンに配置されたサンプルを計量するための方法において、
前記分析装置の前記計量ゾーン内に配置されたサンプルを用意するステップと、
線形に並進運動可能なピボットから延びることができるロボットアームを備えた計量システムを用意するステップであって、前記ロボットアームが、前記計量ゾーンの複数のサンプル点にアクセスする、ステップと、
前記ロボットアームを移動させて、前記ピボット点の遠位側の前記ロボットアームの端部に位置する計量プローブを、前記サンプルの1つの上に位置させるステップと、
前記プローブを前記サンプルに向かって垂直に移動させるステップと、
前記サンプルを吸引するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
少なくとも3つのサンプルが用意される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記計量ゾーンは、前記計量システムの近傍の領域である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記計量ゾーンは、前記ピボットの線形の並進運動によって画定される線に交差していない、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
直線上に並ばないように非線形のコンベヤ上に配置された3つ以上のサンプルをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記ロボットアームを移動させるステップが、前記ロボットアームを線形に並進運動させ、回転させることを含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、
前記コンベヤは、連続した長方形の経路を形成しており、前記サンプルは、前記コンベヤの周りに配置される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記計量ゾーンは、前記コンベヤによりって境界が設けられている、方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法において、
前記サンプルは、前記コンベヤ上に配置されたサンプル回転トレー上に配置される、方法。
【請求項10】
診断分析装置におけるスループットを増大させるための方法において、
計量アームの近傍の計量ゾーンに既知の並び方で複数のサンプルを用意するステップと、
スループットを増大させるためにはどの順序でサンプルが吸引されるのかを決定するためにスケジューリングアルゴリズムを用意するステップと、
前記計量アームにより、前記計量ゾーン全体にわたって、サンプルにアクセスするステップと、
前記アルゴリズムによって決定される吸引順序に基づいて、前記計量ゾーン内の、前記サンプルが配置されている位置で前記サンプルの1つを吸引するステップと、
前記分析装置の別の位置に配置された受容要素に対して、前記サンプルを並進運動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記スループットは、1時間当たりの試験数で測定される、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
前記スループットは、理論上の最大値の少なくとも70%まで増大される、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、もしくはカップ型マイクロウェルのうちの1つまたは複数である、方法。
【請求項14】
診断分析装置のための計量システムにおいて、
トラックであって、ガイドレールに取り付けられており、前記ガイドレールに沿って線形に移動可能である、トラックと、
ロボットアームであって、前記トラックに旋回可能に取り付けられており、前記トラックから離れる方向に延びており、前記トラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、ロボットアームと、
計量ヘッドであって、液体を吸引および分配するために前記計量ヘッド上に設けられたプローブを備えており、前記ロボットアームに取り付けられている、計量ヘッドと、
を含み、
前記計量ヘッドまたは前記ロボットアームの少なくとも一方が、前記プローブを下げるために垂直方向に移動可能である、計量システム。
【請求項15】
請求項14に記載の計量システムにおいて、
前記ガイドレールは、前記分析装置の後部に沿って延びており、
前記ロボットアームは、前記ガイドレールの前部に延びている、計量システム。
【請求項16】
請求項15に記載の計量システムにおいて、
前記ロボットアームは、前記ガイドレールと交差していない、計量システム。
【請求項17】
請求項16に記載の計量システムにおいて、
前記計量アームは、使用されていない時には前記ガイドレールに沿って元の位置に戻る、計量システム。
【請求項18】
請求項14に記載の計量システムにおいて、
前記計量ヘッドは、前記プローブを下げるために垂直方向に移動可能である、計量システム。
【請求項19】
請求項14に記載の計量システムにおいて、
前記ロボットアームは、内部に試験すべきサンプルを有する計量ゾーンにアクセスできる、計量システム。
【請求項20】
請求項14に記載の計量システムにおいて、
第2のトラックであって、前記ガイドレールに取り付けられており、前記ガイドレールに沿って線形に移動可能である、第2のトラックと、
第2のロボットアームであって、前記第2のトラックに旋回可能に取り付けられており、前記第2のトラックから離れる方向に延びており、前記第2のトラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、第2のロボットアームと、
第2の計量ヘッドであって、液体を吸引および分配するために前記第2の計量ヘッド上に設けられたプローブを備えており、前記第2のロボットアームに取り付けられている、第2の計量ヘッドと、
を含み、
前記第2の計量ヘッドまたは前記第2のロボットアームの少なくとも一方が、前記プローブを下げるために垂直方向に移動可能である、計量システム。
【請求項21】
請求項20に記載の計量システムにおいて、
前記トラック、前記ロボットアーム、前記計量ヘッド、および前記プローブは、組合せ診断分析装置のドライシステムにアクセスするように位置付けされており、
前記第2のトラック、前記第2のロボットアーム、前記第2の計量ヘッド、および前記第2のプローブは、組合せ診断分析装置のウェットシステムにアクセスするように位置付けされている、計量システム。
【請求項22】
診断分析装置において、
サンプルハンドラーと、
前記分析装置の後部に沿って延びるガイドレールと、
トラックであって、前記ガイドレールに取り付けられており、前記ガイドレールに沿って線形に移動可能である、トラックと、
ロボットアームであって、前記トラックに旋回可能に取り付けられており、前記トラックから離れる方向に、前記ガイドレールの前に延びており、前記トラックの線形運動の線に対して平行な水平の平面で回転可能である、ロボットアームと、
計量ヘッドであって、液体を吸引および分配するために前記計量ヘッド上に設けられたプローブを備えており、前記ロボットアームに取り付けられている、計量ヘッドと、
前記計量ヘッドによって吸引されるサンプルを受容するための受容要素と、
インキュベーターと、
サンプル中の分析物の存在または濃度を測定するための測定装置と、
を含む、診断分析装置。
【請求項23】
請求項22に記載の診断分析装置において、
試薬供給部をさらに含む、診断分析装置。
【請求項24】
請求項22に記載の診断分析装置において、
前記受容要素は、ドライスライド要素、光学的に透明なキュベット、およびカップ型マイクロウェルをさらに含む、診断分析装置。
【請求項25】
請求項24に記載の診断分析装置において、
前記マイクロウェルは、ストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルであり、
前記診断分析装置は、洗浄流体供給部と、前記マイクロウェル内に洗浄流体を分配するための洗浄流体ディスペンサとをさらに含む、診断分析装置。
【請求項26】
請求項22に記載の診断分析装置において、
前記測定装置は、光度計、反射率計、または照度計である、診断分析装置。
【請求項27】
請求項22に記載の診断分析装置において、
前記サンプルハンドラーは、ロード/アンロードゾーン、および計量ゾーンを含む、診断分析装置。
【請求項28】
請求項22に記載の診断分析装置において、
前記サンプルハンドラーは、長方形のコンベヤベルト、および、このコンベヤベルトに取り付けられた複数のサンプルトレー搬送機を含む、診断分析装置。
【請求項29】
複数のサンプル中の1つまたは複数の分析物の存在または濃度を決定するための方法において、
診断分析装置の計量ゾーンにサンプルを用意するステップと、
請求項1に記載の方法に従って前記サンプルを計量するステップと、
前記サンプルの少なくとも1つを受容要素内に分配するステップと、
前記サンプルを前記受容要素内でインキュベートするステップと、
前記分析物の存在または濃度について前記インキュベートしたサンプルを測定するステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
異なる3種類の分析物の存在または濃度が決定された少なくとも3つのサンプル、
をさらに含み、
前記サンプルの第1のサンプルが、スライド要素である受容要素内に分配され、
前記サンプルの第2のサンプルが、光学的に透明なキュベットである受容要素内に分配され、
前記サンプルの第3のサンプルが、ストレプトアビジンがコーティングされたカップ型のマイクロウェルである受容要素内に分配される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32710(P2008−32710A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−188558(P2007−188558)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(501131014)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Indigo Creek Drive, Rochester, NY 14626−5101, U.S.A.
【Fターム(参考)】