説明

試料の観察方法およびその装置

【課題】欠陥部分を拡大するなどして詳細に検査するときに、記録した参照画像の再利用率があがるように欠陥検出の処理手順などを改良することで、検出率を下げずに短時間に効率よく欠陥を観察することができるようにする。
【解決手段】欠陥画像と記録した参照画像を比較して欠陥を抽出できなかった場合に、新たに参照画像を撮像すること、複数の記録した参照画像やこれらを組み合わせて生成した参照画像と比較したり、異なる倍率の画像の倍率が同じになるように画像処理をしたり、機差による画像の視野を補正すること、記録した参照画像に対して、優先順やスクリーニングによる評価を行うことなどを特徴とする試料の観察方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造過程において、発生した欠陥もしくは付着した異物の詳細自動検査方法に用いるための試料の観察方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
観察装置において試料を観察して、異物・欠陥を詳細に見る方法としては、あらかじめ別の検査装置から得られた座標データを基に異常部存在領域に移動し欠陥画像を取得した後、何らかの方法で異物・欠陥位置を特定し、拡大撮像する方法がある。
【0003】
また、欠陥の表示方法,ステージの移動量抑制,比較対象として用いる欠陥を含まない部分の画像である参照画像の再利用などにより、さらに効率よく観察する方法が考案されている。
【0004】
この方法は、下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−30652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術である特開2000−30652号公報中には、明確には記載されていないが、本発明者らが検討したところ、以下のような課題があることが判明した。
【0007】
欠陥画像と再利用のために記録した参照画像の視野位置がずれていると、1つの記録した参照画像との比較、または、記録した参照画像との比較のみであると欠陥の抽出に失敗することがある。
【0008】
処理の流れの例を図2に、撮像領域の例を図9に示す。参照画像領域が記録されている場合は、参照画像の撮像を省略して第1の倍率で第1の欠陥画像を撮像し、記録された参照画像と比較することで欠陥を抽出し欠陥の座標を求めて第1の倍率より大きい第2の倍率で第2の欠陥画像を撮像する。しかしここで図9に示すように記録された第1の参照画像13と第1の欠陥画像12の撮像領域がずれていて、第1の参照画像13の撮像領域が第1の欠陥画像に含まれる欠陥位置11を含んでいない場合は、欠陥位置11を抽出できず欠陥検出は失敗となってしまう。
【0009】
図3は後述する本発明の流れ図と比較しやすくするために、図2の流れを参照画像領域が記録されているか判定した後を分けたままにして記述したものである。欠陥画像と再利用のために記録した参照画像の撮像倍率が異なると、単純に2つの画像を比較して差異を検出することができず、参照画像を再利用する機会が減ってしまう。
【0010】
再利用のために記録した参照画像を撮像した装置と、記録した参照画像を再利用する装置との間にステージ座標や倍率などの差があると、同じ座標や倍率で撮像した画像でも視野の位置,大きさにずれが生じてしまう。これにより、同一構造部分の画像にも差異が生じて、この部分が欠陥であると判定してしまうことにより欠陥の抽出に失敗することがある。
【0011】
欠陥画像と再利用のために記録した参照画像の視野領域がほぼ一致するときのみ再利用するようにしていると、記録した参照画像の領域が欠陥画像に対して少しずれていると、再利用できる参照画像が無いと判断され新たに参照画像を取得する動作を行ってしまう。
【0012】
逆に、欠陥画像と再利用のために記録した参照画像の視野領域が少しでも重なれば再利用するようにしていると、欠陥画像と記録した参照画像の重なりが少ない場合にもこの参照画像を利用することで、欠陥抽出に失敗し易くなってしまう。
【0013】
参照画像の再利用のためすべての画像を一括して記録するデータベースを設けることにより、装置のコストが増大してしまう。
【0014】
本発明の目的は、従来技術の問題点であった参照画像の再利用率と欠陥検出精度のトレードオフを解決して、検出率を下げずに、短時間に、効率よく欠陥を観察することができる試料の観察方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、装置内部の記録部に予め記録された参照画像を再利用する観察装置であって、欠陥検出に失敗した場合には新たな第2の参照画像を撮像し、または複数の参照画像を使い、または参照画像を補正し、または複数の参照画像を組み合わせることで欠陥検出用の参照画像を生成し、参照画像を有効に再利用して欠陥画像と比較するものである。また本発明では、参照画像を評価することで適切な参照画像を効率的に選ぶことが可能である。具体的には以下の方法で参照画像を決定することで上記課題を達成した。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法において、欠陥を抽出するために欠陥画像と参照画像を比較する際に、記録した参照画像と比較しても欠陥を抽出できなかった場合に、新たに第2の参照画像を撮像するようにした。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法において、欠陥を抽出するために欠陥画像と参照画像を比較する際に欠陥抽出に成功しなければ、複数の記録した参照画像と比較するようにした。
【0018】
さらに、欠陥画像と記録した参照画像を比較する回数を設定できるようにした。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法において、欠陥画像と比較する参照画像を複数の記録した参照画像を組み合わせて生成するようにした。
【0020】
この参照画像の組み合わせは、参照画像を記録部に記録する際に行うか、または、記録部から読み出す際に行うようにした。
【0021】
また、機差情報で補正しきれないときなどには、画像のなかの特徴点などを用いて画像の補正を行うようにした。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法において、欠陥画像と記録した参照画像の倍率が異なるときは、同じ倍率になるように画像処理してから、画像比較・欠陥抽出を行うようにした。
【0023】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法において、機差に関する情報を用いて参照画像や欠陥画像を補正するようにした。
【0024】
機差の情報を付加して記録し、再利用するときにこの情報を用いるようにした。
【0025】
または、機差の影響を補正して参照画像を記録するようにした。
【0026】
また、機差補正に関する情報を表示し、閲覧,編集できるようにした。
【0027】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法において、欠陥画像と記録した参照画像を比較する際に、再利用する参照画像を評価してから使用するようにした。
【0028】
このとき、記録された参照画像を評価項目の優先内容に従って使用するようにした。
【0029】
設定した限度値の範囲と比較して採否を判定するようにした。
【0030】
また、評価項目と優先内容,限度値を表示し選択,設定可能とした。
【0031】
また、上記目的を達成するために、本発明では、試料を観察する方法および装置の構成において、装置ごとに記録した参照画像を装置間で共用するようにした。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、欠陥画像と記録した参照画像を比較して欠陥を抽出できなかった場合だけに、新たに参照画像を撮像するようにすることで欠陥抽出の失敗を減らし、欠陥の検出率の低下を防ぐことができる。
【0033】
また、欠陥画像と記録した参照画像を比較して欠陥を抽出する際に、複数の記録した参照画像やこれらを組み合わせて生成した参照画像と比較したり、異なる倍率の画像について倍率が同じになるように画像処理をしたり、機差による画像の視野を補正することにより、記録した参照画像による欠陥抽出の成功率が上がり欠陥検出を効率よく行うことができ欠陥検出の所要時間の低減が可能となる。
【0034】
また、欠陥画像との比較に用いる記録した参照画像に対して、優先順やスクリーニングによる評価を行うことで、欠陥を速く効率よく抽出できるようになり、欠陥検出の所要時間の低減が可能となる。
【0035】
再利用のための参照画像を観察装置ごとに記録した参照画像を装置間で共用することで、画像を記録する専用のデータベース等を設けずにすむため、欠陥検出システムのコストの増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による試料の観察装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】従来技術による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図3】従来技術による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図4】本発明による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図5】本発明による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図6】本発明による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図7】本発明による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図8】本発明による試料の観察過程を示す流れ図である。
【図9】従来技術の試料の観察方法による撮像領域を示す図である。
【図10】本発明の試料の観察方法による撮像領域を示す図である。
【図11】本発明の試料の観察方法による撮像領域を示す図である。
【図12】本発明の試料の観察方法による撮像領域を示す図である。
【図13】本発明の試料の観察方法による撮像領域を示す図である。
【図14】本発明の試料の観察方法に用いる装置間機差補正表の一例を示す図である。
【図15】本発明の試料の観察方法に用いる参照画像評価項目設定表の一例を示す図である。
【図16】本発明の試料の観察方法による撮像領域を示す図である。
【図17】本発明による画像データ収集システムの概略構成を示すブロック図である。
【図18】ウェハ上の欠陥位置と参照画像マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0038】
図1は、本発明による欠陥詳細検査を行うための試料観察装置の、一実施形態を示したものである。
【0039】
図1において1は、被検査対象となる半導体ウェハなどの試料で、X−Yステージ2に固定されている。X−Yステージ2はコンピュータ3からの制御信号により、ステージ制御装置4を経由してX,Y方向に移動が可能である。
【0040】
5は走査型電子顕微鏡(以下、SEMと記す)を用いた撮像装置で、半導体ウェハ1を拡大撮像する。即ち、電子源501から発射した電子ビーム502を、電子光学系制御装置6で制御される電子光学系503で収束・走査して半導体ウェハ1に照射し、この照射により半導体ウェハ1から発生する2次電子を検出器504で検出して、半導体ウェハ1のSEM像を得る。また、偏向器510では電子ビーム502を偏向し半導体ウェハ1に照射する領域の大きさや位置を変えることができる。
【0041】
撮像装置5では、X−Yステージ2,電子光学系503を制御することにより半導体ウェハ1上の任意の位置を観察することができる。撮像装置5の画像はコンピュータ3に入力されて欠陥抽出等の処理が行われる。
【0042】
コンピュータ3は、観察装置の全体制御機能を担っており、外部の検査装置で得られた欠陥の情報を記憶する記憶手段と、参照画像と撮像装置5で得られた検査画像とを比較して欠陥位置を検出する欠陥検出手段と、参照画像の撮像命令または参照画像の組み合わせまたは参照画像の評価をする演算制御手段とを備えている。なお本実施例ではこれらの手段はソフトウェアによりコンピュータ3で実現されているが、当然ハードウェアで実装することも可能である。
【0043】
撮像画像や比較結果など観察装置での処理結果はモニタ7に表示される。
【0044】
検査画像の収集手順の一実施例を図4に示す。
【0045】
検査対象となる半導体ウェハは、予め、図示しない異物検査装置や外観検査装置などの表面欠陥検査装置により検査され、異物・欠陥等の位置の座標データが得られているものとする。
【0046】
まず、X−Yステージ2上に検査対象となる半導体ウェハ1をロードし、半導体の設計データもしくは得られた欠陥位置データ等を用いて、ステージ制御装置4はコンピュータ3からの指令を受けてX−Yステージ2の座標系と半導体ウェハ1上の座標系のキャリブレーションを行う。
【0047】
次に、再利用のために参照画像記録部8に記録された参照画像のなかに、検査対象の欠陥画像の撮像領域に対応する参照画像領域が記録されているか判定し、記録されていない場合は、予め図示しない表面欠陥検査装置で検査して得られた結果を受けてコンピュータ3に記憶した半導体ウェハ1の欠陥の位置座標データに基づいて、X−Yステージ2を駆動するための指令をコンピュータ3からステージ制御装置4に送り、ステージ制御装置4はこの指令を受けてX−Yステージ2を駆動する。ここで、先ず、コンピュータ3の指令により、ステージ制御装置4は、欠陥が存在するチップに隣接するチップなどの、チップ座標系上で欠陥に対応する位置が撮像装置5の第1の倍率の視野内にはいるようX−Yステージ2の位置を制御し、この第1の倍率で撮像して新たな参照画像(第2の参照画像)を得る。第1の倍率には、予め得られた欠陥座標データのもつ誤差、およびステージ位置決め誤差等を考慮して欠陥位置に移動したときに欠陥が視野に入る倍率を設定する。
【0048】
また、撮像した第2の参照画像領域の情報と第2の参照画像は再利用できるように参照画像記録部8に記録する。参照画像記録部8には、取得した参照画像を記録すると同時に、チップ個々に定義されるチップ座標系で記述した取得参照画像の視野範囲を記録した図18のような参照画像マップを作成し記録する。
【0049】
次に、撮像装置5の第1の倍率の視野内に表面検査装置で検出された欠陥が入るようにステージ制御装置4でX−Yステージ2の位置を制御し、第1の倍率で撮像して第1の欠陥画像を得る。
【0050】
ここで、テンプレートマッチング等を用いて得られた参照画像と第1の欠陥画像の位置合わせを行い、位置合わせされた両画像の差異領域を検出することにより欠陥画像における欠陥位置11を算出する。
【0051】
次に、撮像倍率を第1の倍率よりも大きい第2の倍率に設定し、電子線の走査領域を調整して欠陥位置11が中心になるようにして撮像装置5で撮像し、欠陥位置11を画像中心とする高倍率の第2の欠陥画像を得る。このように撮像装置5は倍率を変えて欠陥を撮像できる欠陥拡大手段を有している。
【0052】
このようにして高倍率の欠陥画像を得ることで、異物・欠陥の形状,表面状態等を詳細に検査することができる。
【0053】
検査装置で得られた欠陥の情報に基づいた参照画像領域が記録されているかの判定で、参照画像領域が記録されている場合は、参照画像の撮像を省略して第1の倍率で第1の欠陥画像を撮像し、これと記録された参照画像とを比較する。記録された参照画像と第1の欠陥画像の比較により欠陥が抽出できた場合は、欠陥の座標を求めて第1の倍率より大きい第2の倍率で第2の欠陥画像を撮像する。
【0054】
しかしここで図9に示すように記録された第1の参照画像13と第1の欠陥画像12の撮像領域がずれていて、第1の参照画像13の撮像領域が欠陥位置11に対応する領域を含んでいない場合など、記録された参照画像と第1の欠陥画像との比較で欠陥位置11を抽出できないときは欠陥検出は失敗となってしまうので、このときは、検査装置で得られた欠陥の情報に基づいた参照画像領域が記録されていなかった場合と同じく新たに参照画像を取得するためにX−Yステージ2を移動し第2の参照画像を撮像・記録し、第1の欠陥画像を撮像,欠陥抽出,欠陥座標の計算をして、第2の欠陥画像を撮像するようにする。
【0055】
このようにして、記録した参照画像と第1の欠陥画像から欠陥を抽出できなかった場合にも、新たに第2の参照画像を撮像するようにすることで欠陥抽出の失敗を減らし、欠陥の検出率の低下を防ぐことが可能となる。
【0056】
ここで、図4に示す実施例のように1つの参照画像と第1の欠陥画像の比較で欠陥抽出ができなかった場合に、すぐに新たな参照画像の取得を行うと、ほかに利用できる記録された参照画像がある場合に参照画像の再利用の機会を減らして、全体の欠陥検出時間の短縮が妨げられてしまう。
【0057】
そこで、このような場合に他の記録画像を利用するための手順を図5に、図5に示す手順により取得される画像の撮像領域の一実施例を図10に示す。
【0058】
図4に示す実施例と同様に検査対象の欠陥領域に対応する参照画像がある場合、第1の欠陥画像を撮像しこれと参照画像を比較して欠陥抽出を行う。ここで欠陥が抽出できなかった場合に、他に検査対象の欠陥領域に対応する参照画像領域が記録されているか判定する。他に記録されていない場合は、図4と同様に新たに第2の参照画像を撮像し、第2の欠陥画像を得る。
【0059】
他に記録されている場合は、その記録されている参照画像と第1の欠陥画像を比較し、再度欠陥抽出を行う。欠陥が抽出できた場合は、欠陥の座標を求めて第1の倍率より大きい第2の倍率で第2の欠陥画像を撮像するが、欠陥が抽出できなかったときは、再度他に対応する参照画像があるか判定するステップへ進む。これを欠陥抽出ができるまで、または、他に対応する参照画像がなくなるまで繰り返す。
【0060】
図10の例では、1つ目の第1の参照画像13で欠陥抽出ができなかったが、他に対応する第2の参照画像14があり、こちらは第1の欠陥画像12の欠陥位置11と重なる領域があり欠陥が抽出できた例である。
【0061】
これにより、検査対象の欠陥領域に対応する複数の参照画像と順次比較していくことで、記録した参照画像を無駄なく再利用することで全体の欠陥検出時間を短縮することができる。
【0062】
次に、図5に示す実施例では複数の記録画像を無駄なく再利用することで全体の欠陥検出時間を短縮することができるが、参照画像を順次比較するためその繰り返し回数分だけ欠陥抽出,判定の時間がかかってしまう。
【0063】
そこで、欠陥抽出を繰り返すことで時間が長くなり問題となるような場合に、繰り返しを減らしさらに時間短縮するための手順を図6に、図6に示す手順により取得される画像の撮像領域の一実施例を図11に示す。
【0064】
検査対象の欠陥領域に対応する参照画像がある場合で、それらが複数あるときは参照画像を組み合わせて欠陥抽出用の参照画像を生成する。図11は、対応する第1の参照画像13と第2の参照画像14から第1の欠陥画像12の領域内に対応する、組み合わせた欠陥検出用の参照画像16(以下、組み合わせ参照画像)を生成した例である。
【0065】
続いてステージを移動し第1の欠陥画像12を撮像し、これと組み合わせた第3の参照画像15を比較して欠陥抽出を行う。欠陥が抽出できた場合は、欠陥の座標を求めて第1の倍率より大きい第2の倍率で第2の欠陥画像を撮像する。また、組み合わせた記録画像が欠陥位置を含まない場合などで、欠陥が抽出できなかったときは、図4と同様に新たに第2の参照画像を撮像し、第2の欠陥画像を得る。
【0066】
これにより、対応する参照画像が複数ある場合でも、記録画像との比較は組み合わせた記録画像との1回だけとなり、図5に示す順次比較する手順よりも更に欠陥検出時間を短縮することができる。
【0067】
また、図11に示すように参照画像を組み合わせるときに、参照画像どうしで互いに重なる領域があり、この部分の位置や、倍率が装置間誤差などによってわずかに違っているようなときは、画像に含まれる試料のパターン形状の特徴点の位置が合うように画像処理を行ってから画像を組み合わせても良い。
【0068】
上記の例では参照画像の組み合わせ処理を欠陥検出するときに行うようにしたが、参照画像を撮像して参照画像記録部8に記録するときに組み合わせて記録しても良い。
【0069】
次に、参照画像と第1の欠陥画像の撮像倍率が異なる場合についての例を図12,図13に示す。
【0070】
図4,図5,図6に示す実施例において、図12,図13に示す例のように参照画像と第1の欠陥画像の撮像倍率が異なる場合には、試料上の同じ大きさの領域を表す画像の画素数が異なるため2つの画像を単純に比較して欠陥を抽出することができない。このような場合、画像処理により試料上の同じ大きさの領域に対する画素数が同じになるようにしてから2つの画像を比較するようにするとよい。
【0071】
図12の例では、第1の欠陥画像12に対して第1の参照画像13の撮像倍率が大きく、試料上の同じ大きさの領域、たとえば2つの画像が重なり合う領域を表わす画素数が、第1の参照画像13のほうが第1の欠陥画像12のそれよりも多い。この場合、同じ大きさの領域に対する第1の参照画像13の画素数が第1の欠陥画像12と同じくなるように画素数を減らすように画像処理をするとよい。
【0072】
また、図13の例では、第1の欠陥画像12に対して第1の参照画像13の撮像倍率が小さく、試料上の同じ大きさの領域、たとえば2つの画像が重なり合う領域を表わす画素数が、第1の参照画像13のほうが第1の欠陥画像12のそれよりも少ない。この場合、同じ大きさの領域に対する第1の参照画像13の画素数が第1の欠陥画像12と同じくなるように画素数を増やすように画像処理をするとよい。
【0073】
これら画素数を増減する画像処理では、画質の劣化を低減するため画素間の平均化や補完処理を併せて行うと良い。
【0074】
上記例では第1の参照画像13に対して画像処理を行い画素数を増減させたが、画像処理を行うのは第1の欠陥画像12に対してでも良いし、または、両方の画像に対してでも良い。
【0075】
次に、装置の誤差等により参照画像を撮像した観察装置と第1の欠陥画像を撮像する観察装置の間にステージ座標や撮像倍率などの機差がある場合についての例を図14に示す。
【0076】
図4,図5,図6に示す実施例において、上記のような装置間の機差があると同じ座標や倍率で撮像した画像であっても視野の位置,大きさにずれが生じてしまう。これにより、同一構造部分の画像を比較しても差異が生じてこの部分を欠陥であると判定してしまい、欠陥の抽出に失敗してしまう。
【0077】
このような場合、機差に関する情報を用いて画像のずれを修正するとよい。
【0078】
図14には観察装置間の機差に対する補正値を登録する補正表の一実施例を示す。
【0079】
この表は、予め使用する複数の観察装置で同じ試料の同じ位置を同じ倍率で撮影した画像から求めた、座標位置と倍率のずれを補正するための補正値を登録したものである。
【0080】
登録する数値の例としては、まず、ある観察装置で撮像した画像の試料パターンによる位置,倍率の値を基準にして、他の観察装置で撮像した画像の位置と倍率のずれを求める。そして、前記の他の観察装置で撮像した画像を基準の装置の画像に一致させるための画像処理に使用する補正値を求めこれを登録する。
【0081】
そして、図4,図5,図6に示す実施例で欠陥を抽出するために参照画像と第1の欠陥画像を比較するときに、図14の補正表の値を用いて画像処理で参照画像の位置,倍率の誤差を補正して、2つの画像で撮像した同一構造部分が同じ位置,大きさになるようにしてから比較するとよい。
【0082】
ここで、図4,図5,図6に示す実施例で参照画像を登録するときにその参照画像を撮像した観察装置が分かるようにして登録しておき、欠陥抽出の画像比較に使用するときに図14の表からその参照画像を撮像した装置の列の補正値を用いて画像を補正するようにする。
【0083】
また、図14の補正表で、試料上の位置により補正値が異なる場合は、試料上の複数の位置で撮像し各点における補正値を登録できるようにすると良い。図14の例では試料上の位置として座標1,2としている。登録した複数の位置の間の座標では登録した値から補完計算して補正値としても良い。また、登録する試料上の位置,装置,項目の数は図14の表に記載した数に限るものではない。また、撮像倍率によって補正値が異なるときは、試料上の1つの位置で撮像する倍率を複数設けて登録しても良い。上記の例では補正値を登録するようにしたが、撮像画像から求めた誤差の量を直接登録しても良い。図14の表は、モニタ7に表示して閲覧,編集ができるようにしても良い。
【0084】
また、上記の例では、機差の情報を登録し参照画像を再利用するときにこの情報を用いて画像処理で補正するようにしたが、他の方法としては、機差の影響を画像処理で補正した参照画像を記録するようにしても良い。
【0085】
次に、図4,図5,図6に示す実施例において、欠陥検出の効率が向上しない例として、以下のような例がある。
【0086】
欠陥画像と再利用のために記録した参照画像の視野領域がほぼ一致するときのみ再利用するようにしていると、記録した参照画像の領域が欠陥画像に対して少しずれていると、再利用できる参照画像が無いと判断され新たに参照画像を取得する動作を行ってしまう。逆に、欠陥画像と再利用のために記録した参照画像の視野領域が少しでも重なれば再利用するようにしていると、欠陥画像と記録した参照画像の重なりが少ない場合にもこの参照画像を利用することで、欠陥抽出に失敗し易くなってしまう。
【0087】
そこで、このような場合に、再利用する参照画像を評価してから使用するようにして効率よく欠陥を検出する手順を図7に、これに用いる参照画像評価項目設定表の一実施例を図15に、また、図7に示す手順により取得される画像の撮像領域とその評価値の一実施例を図16に示す。
【0088】
図7では、図5の複数の参照画像と比較する手順と同様に、参照画像領域が記録されている場合はX−Yステージ2を移動し第1の欠陥画像を撮像する。そして、そのあとで第1の欠陥画像と参照画像を比較する前に、比較に用いる参照画像の評価を行う。
【0089】
図15の評価項目設定表に設定した内容により評価を行う。この評価で参照画像の採否と優先順位を決める。評価項目には参照画像を評価する項目が記載されている。選択欄で選択された項目の優先内容に示した内容で、比較に用いる参照画像の優先順位を決める。限度値は評価する値の範囲の上限と下限で、ここで選択された限度値の範囲に入っていない参照画像は画像比較の対象外となる。図15の表は、モニタ7に表示して設定,選択ができるようにしても良い。図15,図16の限度値や評価値は、第1の欠陥画像の1辺の長さ,面積,倍率をそれぞれ100%とした数値で表わした例を示している。この数値は長さや面積の数値を使用しても良い。
【0090】
図16のように、第1の欠陥画像12と領域が重なる参照画像が3つあったとする。画像の中心位置が第1の欠陥画像12に近い順に並べると、第1の参照画像13,第2の参照画像14,第3の参照画像15となるが、図15のように、評価項目選択で「b.欠陥画像と重なる面積」が選択され、優先内容が「広い」となっているときは、「欠陥画像と重なる面積」が「広い」ほうが優先となり、優先順位は第3の参照画像15,第2の参照画像14,第1の参照画像13となる。また限度値選択では「b.欠陥画像と重なる面積」と「c.欠陥画像との倍率の差」が選択されていて、第1の参照画像13は第1の欠陥画像12と重なる面積が10%で限度範囲外になるため対象外となる。倍率の差は第3の参照画像15が50%、第2の参照画像14が100%でともに限度範囲内なので対象外とはならない。この評価により第1の欠陥画像との比較に使用される参照画像とその優先順位は、第3の参照画像15,第2の参照画像14の順になる。
【0091】
この評価の結果、比較に採用される参照画像が無い場合は、新たに参照画像を撮像し、第2の欠陥画像を得る。
【0092】
比較に採用される参照画像がある場合は、図7の次のステップである欠陥抽出に進み、上記の評価で優先順位が高かった第3の参照画像15と第1の欠陥画像12を比較して欠陥抽出を行う。欠陥が抽出できた場合は、欠陥の座標を求めて第1の倍率より大きい第2の倍率で第2の欠陥画像を撮像するが、欠陥が抽出できなかった場合には、次の優先順位の参照画像があるか判定する。次の優先順位の参照画像が無い場合は、新たに第2の参照画像を撮像し、第2の欠陥画像を得る。次の優先順位の参照画像がある場合は、その記録されている参照画像と第1の欠陥画像を比較し、再度欠陥抽出を行う。これを欠陥抽出ができるまで、または、次の優先順位の参照画像がなくなるまで繰り返す。
【0093】
参照画像との比較回数が多くなると検出時間が長くなってしまう場合は、設定した比較回数(n回目)を超えたかの判定を入れて比較回数の上限を設定できるようにしても良い。
【0094】
図6のように参照画像を組み合わせて参照画像を生成する実施例でも、図8のように比較に用いる参照画像の評価を行うことができる。この場合は、参照画像どうしの重なりが大きいものは組み合わせを省略するような評価項目を設定しても良い。
【0095】
また、図15において評価項目等は記載したほかにも、欠陥画像と参照画像の重なる部分の形状や角度,位置関係など有用な項目を追加することができるものとする。
【0096】
また、評価項目は1つだけ選択するのではなく、複数選択し評価項目ごとに重み付けをして評価計算しても良いし、評価項目に優先順位を設定し同じ評価値であった場合に、次の優先順位の評価項目で参照画像の優先順位を判定するようにしても良い。
【0097】
参照画像の再利用のための参照画像データや参照画像マップを複数の試料観察装置で共有する際に、これらの参照画像に関するデータを記録するデータベースを装置の内外を問わず設けることにより、検査システムのコストが増大してしまう。
【0098】
そこで、このような場合に観察装置ごとに記録した参照画像を装置間で共用するようにした構成の一実施例を図17に示す。
【0099】
本実施例においては、図1に示したような試料観察装置であり、記録された参照画像を他の観察装置との間で交換できる接続手段を有している。この接続手段を通じてコンピュータ3,参照画像記録部8を含む複数の試料観察装置をネットワークで接続する。
【0100】
参照画像記録部8ではそれぞれの観察装置で撮像した参照画像データ、および参照画像マップ上の撮像領域データなどの参照画像に関するデータを記録する。
【0101】
そして、観察装置において欠陥を検査する場合、欠陥領域に対応する参照画像が取得されているかを、該観察装置自身の参照画像記録部8の参照画像マップにて検索し、参照画像が取得されていればその参照画像記録部8から該当する参照画像データを読み出し、取得されていなければ他の観察装置の参照画像記録部8の参照画像マップにて検索する。他の観察装置で参照画像が取得されていれば、その参照画像記録部8から該当する参照画像データを読み出して詳細検査を行い、他の観察装置でも取得されていなければ新たに参照画像取得処理を行い、取得した参照画像に関するデータを参照画像記録部8に追加記録し、詳細検査を行う。
【0102】
このようにすることで、参照画像専用のデータベースなどを設置することなく、参照画像データを効率よく収集することができる。そして、参照画像データを共有することで詳細検査時間を短縮することができる。
【0103】
上記の例では、参照画像に関するデータを、それを取得した観察装置の参照画像記録部8に記録し、参照画像を使用するときに他の観察装置の参照画像記録部8を検索するようにしたが、参照画像を取得したときに自分と他の観察装置の参照画像記録部8に送りそれぞれの参照画像記録部8に記録し、使用するときには自分の参照画像記録部8だけを検索しても良い。この場合はすべての観察装置の参照画像記録部8で取得した参照画像マップが同じように記録されることになる。このようにすると、途中で他の観察装置がネットワークから切り離されたときでもその切り離された観察装置で取得した参照画像データを、欠陥検査を行う観察装置自身の参照画像記録部8で検索して使用することができるようになり、参照画像の再利用の機会が減るのを防ぐことができる。
【0104】
また、前記説明では、撮像装置としてSEMを用いていたが、SEMに変わり類似装置にも同様に適用することができる。一例に試料を透過した電子を検出するSTEM,半導体等検査装置があげられる。
【0105】
なお、以下に、本明細書において使用する略号の説明を示す。
SEM:Scanning Electron Microscope 走査型電子顕微鏡
STEM:Scanning Transmission Electron Microscope 走査透過電子顕微鏡
MEMS:Micro Electro Mechanical Systems マイクロマシン
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、生物,材料,半導体集積回路等の観察を行う荷電粒子線装置および類似装置に利用できる。その他、磁気記録再生ヘッド,光磁気記録再生ヘッド,MEMSなどの微細構造利用分野において、nm〜マイクロメートルオーダーの多層薄膜構造物や微細構造物の異物,欠陥の検査およびそれに用いる装置に適用できる。
【符号の説明】
【0107】
1 試料
2 X−Yステージ
3 コンピュータ
4 ステージ制御装置
5 撮像装置
6 電子光学系制御装置
7 モニタ
8 参照画像記録部
11 欠陥位置
12 第1の倍率による第1の欠陥画像
13 第1の参照画像
14 第2の参照画像
15 第3の参照画像
16 組み合わせた参照画像
501 電子源
502 電子ビーム
503 電子光学系
504 検出器
510 偏向器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する方法であって、
前記検査装置で検出した試料の欠陥の情報に基づいて撮像した参照画像が記録されている場合は、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
さらに前記記録されている参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できた場合は、
前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記欠陥の拡大画像を得、
前記記録されている参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できない場合は、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の欠陥を含まない第2の参照画像を得、前記撮像した第2の参照画像と前記撮像した第2の参照画像に関係する情報とを記録し、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
前記第2の参照画像と該欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出し、前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記検出した欠陥の拡大画像を得ることを特徴とする試料の観察方法。
【請求項2】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する方法であって、
前記検査装置で検出した試料の欠陥の情報に基づいて撮像した参照画像が記録されている場合は、前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
さらに前記記録されている参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できた場合は、前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記欠陥の拡大画像を得、
前記記録されている参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できない場合で、他の参照画像が記録されている場合は、再度、前記記録されている参照画像と撮像された欠陥画像とを比較して欠陥を検出するステップからを繰り返し、
他の参照画像が記録されていない場合は、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の欠陥を含まない第2の参照画像を得、前記撮像した第2の参照画像と前記撮像した第2の参照画像に関係する情報を記録し、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
前記第2の参照画像と該欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出し、前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記検出した欠陥の拡大画像を得ることを特徴とする試料の観察方法。
【請求項3】
請求項2に記載の試料の観察方法において、
前記記録された参照画像と欠陥画像とを比較して欠陥を検出する処理を繰り返す回数を設定できるようにしたことを特徴とする試料の観察方法。
【請求項4】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する方法であって、
前記検査装置で検出した試料の欠陥の情報に基づいて撮像した参照画像が記録されている場合は、
前記記録されている参照画像を組み合わせて欠陥検出用の参照画像を生成し、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
さらに前記組み合わせて生成した欠陥検出用の参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できた場合は、
前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記欠陥の拡大画像を得、
前記組み合わせて生成した欠陥検出用の参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できない場合は、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の欠陥を含まない第2の参照画像を得、撮像した前記第2の参照画像と前記第2の参照画像に関係する情報とを記録し、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
前記第2の参照画像と該欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出し、
前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記検出した欠陥の拡大画像を得ることを特徴とする試料の観察方法。
【請求項5】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する方法であって、
前記検査装置で検出した試料の欠陥の情報に基づいて撮像した参照画像が記録されていない場合は、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の欠陥を含まない第2の参照画像を得、撮像した参照画像をすでに記録されている参照画像に組み合わせて欠陥検出用の参照画像を生成し、前記撮像した第2の参照画像に関係する情報を記録し、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
さらに前記欠陥検出用の参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出し、前記検出した欠陥を含む一部の領域を撮像して前記欠陥の拡大画像を得、
前記検査装置で検出した試料の欠陥の情報に基づいて撮像した参照画像が記録されている場合は、
前記記録されている参照画像から必要な領域の画像を切り出して欠陥検出用の参照画像を生成し、
前記検査装置で検出した試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
さらに前記切り出して生成した欠陥検出用の参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できた場合は、
前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記欠陥の拡大画像を得、
前記切り出して生成した欠陥検出用の参照画像と撮像された前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出できない場合は、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の欠陥を含まない第2の参照画像を得、該第2の参照画像をすでに記録されている参照画像に組み合わせて欠陥検出用の参照画像を生成し、前記撮像した第2の参照画像に関係する情報を記録し、
前記検査装置により検出された試料の欠陥の情報に基づいて前記試料を撮像して前記試料の前記欠陥を含む欠陥画像を得、
前記欠陥検出用の参照画像と該欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出し、前記検出した欠陥を含む一部の領域を再度撮像して前記検出した欠陥の拡大画像を得ることを特徴とする試料の観察方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の試料の観察方法において、
前記記録された参照画像と前記欠陥画像とを比較して該欠陥画像上で欠陥を検出する前に、前記記録された参照画像を評価することを特徴とする試料の観察方法。
【請求項7】
請求項4に記載の試料の観察方法において、
前記記録されている参照画像を組み合わせて欠陥検出用の参照画像を生成する前に、前記記録された参照画像を評価することを特徴とする試料の観察方法。
【請求項8】
請求項5に記載の試料の観察方法において、
前記記録されている参照画像から必要な領域の画像を切り出して欠陥検出用の参照画像を生成する前に、前記記録された参照画像を評価することを特徴とする試料の観察方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれかに記載の試料の観察方法において、
前記記録された参照画像の評価で、評価項目,評価内容,優先順位,限度値の全部または一部を選択,設定できることを特徴とする試料の観察方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の試料の観察方法において、
比較する前記記録された参照画像と前記欠陥画像との撮像倍率が異なる場合に、前記試料上の同じ大きさの領域に対する画素数が同じになるように画像処理することを特徴とする試料の観察方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の試料の観察方法において、
比較する前記記録された参照画像を撮像した観察装置の機差による画像のずれを、機差情報を記録した機差補正表を用いて補正することを特徴とする試料の観察方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の試料の観察方法において、
前記観察装置ごとに記録した参照画像を観察装置間で共用するようにしたことを特徴とする試料の観察方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の試料の観察方法において、
前記撮像手段が、走査型電子顕微鏡であることを特徴とする試料の観察方法。
【請求項14】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する装置であって、
前記検査装置で検査して得られた試料の欠陥の情報を前記検査装置から受けて記憶する記憶手段と、
前記試料を撮像して該試料の画像を得る撮像手段と、
前記記憶手段に記憶された前記試料の欠陥の情報に基づいて前記試料の位置を制御する位置制御手段と、
該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含まない画像と該画像の視野範囲を示すデータを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した前記欠陥を含まない画像と該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含む画像とを比較して前記欠陥の位置を検出する欠陥検出手段と、
該欠陥検出手段で検出した前記欠陥を前記撮像手段により前記第1の倍率より大きい第2の倍率で撮像する欠陥拡大手段と、
前記記録手段に記録した欠陥を含まない画像と前記欠陥を含む画像とを比較して前記欠陥の位置を検出できなかったときに、他の欠陥を含まない画像があれば再度欠陥を含む画像と比較し欠陥位置を抽出し、他の欠陥を含まない画像がなければ、該位置制御手段で位置を制御し前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で前記欠陥を含まない画像を撮像するように制御する演算制御手段とを備えたことを特徴とする試料の観察装置。
【請求項15】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する装置であって、
前記検査装置で検査して得られた試料の欠陥の情報を前記検査装置から受けて記憶する記憶手段と、
前記試料を撮像して該試料の画像を得る撮像手段と、
該記憶手段に記憶された前記試料の欠陥の情報に基づいて前記試料の位置を制御する位置制御手段と、
該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含まない画像と該画像の視野範囲を示すデータを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した前記欠陥を含まない画像と該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含む画像とを比較して前記欠陥の位置を検出する欠陥検出手段と、
該欠陥検出手段で検出した前記欠陥を前記撮像手段により前記第1の倍率より大きい第2の倍率で撮像する欠陥拡大手段と、
複数の前記記録手段に記録した欠陥を含まない画像を組み合わせて欠陥検出用の参照画像を生成する演算制御手段とを備えたことを特徴とする試料の観察装置。
【請求項16】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する装置であって、
前記検査装置で検査して得られた試料の欠陥の情報を前記検査装置から受けて記憶する記憶手段と、
前記試料を撮像して該試料の画像を得る撮像手段と、
該記憶手段に記憶された前記試料の欠陥の情報に基づいて前記試料の位置を制御する位置制御手段と、
該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含まない画像と該画像の視野範囲を示すデータを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した前記欠陥を含まない画像と該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含む画像とを比較して前記欠陥の位置を検出する欠陥検出手段と、
該欠陥検出手段で検出した前記欠陥を前記撮像手段により前記第1の倍率より大きい第2の倍率で撮像する欠陥拡大手段と、
前記記録手段に記録した欠陥を含まない画像を評価する演算制御手段とを備えたことを特徴とする試料の観察装置。
【請求項17】
検査装置により検出された欠陥情報に基づいて試料を観察する装置であって、
前記検査装置で検査して得られた試料の欠陥の情報を前記検査装置から受けて記憶する記憶手段と、
前記試料を撮像して該試料の画像を得る撮像手段と、
該記憶手段に記憶された前記試料の欠陥の情報に基づいて前記試料の位置を制御する位置制御手段と、
該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含まない画像と該画像の視野範囲を示すデータを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した前記欠陥を含まない画像と該位置制御手段で位置が制御された前記試料を前記撮像手段により第1の倍率で撮像して得られた前記欠陥を含む画像とを比較して前記欠陥の位置を検出する欠陥検出手段と、
該欠陥検出手段で検出した前記欠陥を前記撮像手段により前記第1の倍率より大きい第2の倍率で撮像する欠陥拡大手段と、
記録した参照画像を観察装置の間で交換する接続手段とを備えたことを特徴とする試料の観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−47783(P2011−47783A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196219(P2009−196219)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】