説明

試薬容器搬送装置

【課題】従前から使用している試薬容器を使用しつつ簡単な制御で、試薬容器を持ち上げて保持することができる試薬容器搬送装置を提供する。
【解決手段】上方に開口する筒体の外側面に設けた雄ネジ部221bと、筒体の上下方向に連続して雄ネジ部221bの少なくとも2箇所を欠切した欠切部221cとを有する栓取付部221が設けられた試薬容器22を搬送する試薬容器搬送装置であって、欠切部221cの位置に対応しつつ当該欠切部221cに非接触となる態様で配置してあり雄ネジ部221bに螺合する雌ネジ部952cを有した保持部材952を備える。すなわち、雄ネジ部221bと欠切部221cとを有した栓取付部221が設けてある従前の試薬容器22を使用して当該試薬容器22を持ち上げて保持できる。また、栓取付部221の雄ネジ部221bに雌ネジ部952cを螺合させる制御でよいため簡単な制御で試薬容器22を持ち上げて保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動分析装置に用いられる試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、採取した血液や尿などの検体試料と、検査項目に従った試薬とを反応容器にそれぞれ分注し、検体試料と試薬とからなる反応液の反応を測定する。分析に必要な試薬は、例えば識別ラベルを貼付した試薬容器に収容してある。この試薬容器は、自動分析装置の試薬格納庫内の回転テーブルの上に配設してある。自動分析装置では、検査要求があった場合に検査に用いる試薬を収容した試薬容器を識別ラベルなどによって識別しつつ分取位置まで移動する。
【0003】
ところで、近年では、自動分析装置での分析速度の向上に伴って試薬の消費量が多くなり、試薬の補充のために頻繁に試薬容器を交換する必要がある。そこで、従来では、補充用の試薬を保管する補充用試薬保管庫と、分析に使用する試薬を有する試薬ディスクに対して補充用試薬保管庫から試薬容器を搬送する試薬搬送手段とを備えて、試薬不足を解消してオペレータの負担を軽減するようにした自動分析装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、試薬容器を搬送する装置としては、試薬容器を吊り下げるフックを有し、当該フックを試薬容器に設けた穴に挿入して試薬容器を水平面内で移動可能な高さまで持ち上げている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−37171号公報
【特許文献2】国際公開第02/059624号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の試薬容器搬送装置では、試薬容器を持ち上げて保持する場合に、フックを挿入する穴を有した試薬容器を用意しなければならず、従前の試薬容器を使用することができない。さらに、従来の試薬容器搬送装置では、フックを試薬容器の穴に掛けるために複雑な制御を要することになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、従前から使用している試薬容器を使用しつつ簡単な制御で、試薬容器を持ち上げて保持することができる試薬容器搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る試薬容器搬送装置は、上方に開口する筒体の外側面に雄ネジ部を有する栓取付部が設けられた試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置であって、前記栓取付部の上方から雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有した保持部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る試薬容器搬送装置は、上方に開口する筒体の外側面に設けた雄ネジ部と、筒体の上下方向に連続して前記雄ネジ部の少なくとも2箇所を欠切した欠切部とを有する栓取付部が設けられた試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置であって、前記欠切部の位置に対応しつつ当該欠切部に非接触となる態様で配置してあり前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有した保持部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る試薬容器搬送装置は、上記請求項1または2において、前記保持部材は雄ネジ部に螺合した際に栓取付部の基端となる試薬容器の外面に当接することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る試薬容器搬送装置は、上記請求項3において、前記保持部材は雄ネジ部に螺合して栓取付部の基端となる試薬容器の外面に当接した際に栓取付部の開口に対して隙間を有する態様で構成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る試薬容器搬送装置は、上方に開口する筒体の外側面に雄ネジ部を有する栓取付部が設けられた試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置であって、栓取付部の上方から雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有した保持部材を備えている。ここで、従前から使用している試薬容器には、雄ネジ部を有した栓取付部が設けてある。この結果、従前から使用している試薬容器を使用して当該試薬容器を持ち上げて保持することができる。また、栓取付部の雄ネジ部に雌ネジ部を螺合させる制御でよいため簡単な制御で試薬容器を持ち上げて保持することができる。
【0013】
また、本発明に係る試薬容器搬送装置は、上方に開口する筒体の外側面に設けた雄ネジ部と、筒体の上下方向に連続して雄ネジ部の少なくとも2箇所を欠切した欠切部とを有する栓取付部が設けられた試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置であって、欠切部の位置に対応しつつ当該欠切部に非接触となる態様で配置してあり雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有した保持部材を備えている。ここで、従前から使用している試薬容器には、成形時の型抜きの都合によって雄ネジ部と欠切部とを有した栓取付部が設けてある。この結果、従前から使用している試薬容器を使用して当該試薬容器を持ち上げて保持することができる。また、栓取付部の雄ネジ部に雌ネジ部を螺合させる制御でよいため簡単な制御で試薬容器を持ち上げて保持することができる。
【0014】
また、保持部材は、雄ネジ部に螺合した際に栓取付部の基端となる試薬容器の外面に当接する。すなわち、雄ネジ部に対して雌ネジ部を締め付けた状態とする。このため、試薬容器を安定して保持することができる。なお、欠切部を有する栓取付部に対応した試薬容器搬送装置では、予め欠切部の位置で雌ネジ部を栓取付部に挿入するため、当接するまで雄ネジ部に雌ネジ部を螺合させる時間を短縮することができる。
【0015】
また、保持部材は、雄ネジ部に螺合して栓取付部の基端となる試薬容器の外面に当接した際に、栓取付部の開口に対して隙間を有する態様で構成してある。このため、保持部材が栓取付部の開口に触れないので、開口から試薬容器内への異物の侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る試薬容器搬送装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明に係る試薬容器搬送装置を適用する自動分析装置の一例を示す平面図である。ここでの自動分析装置は、例えば血液の不要物質を沈殿させた上澄み液(血清)である検体と試薬とからなる反応液の光学的変化を測定することによって検体中に含まれる各種成分量を測定する分析機1を有している。図1に示すように分析機1は、試薬格納部2および反応部3を備えている。
【0018】
図1に示すように試薬格納部2は、円形状のテーブル21を有している。テーブル21は、中心21aの周りに回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転される。このテーブル21には、試薬を収容された試薬容器22が周方向に複数保持してある。試薬容器22は、テーブル21の回転に伴って中心21aの周りに移動する。また、試薬格納部2は、テーブル21の周囲を覆うケース(図示せず)を有し、当該ケース内を所定の温度に冷却することで試薬容器22内の試薬を冷却保存する。この試薬格納部2は、第一試薬と第二試薬とをそれぞれ格納するため、第一試薬格納部2Aと第二試薬格納部2Bとを有している。第一試薬格納部2Aは後述する反応部3の容器保持部31内に配置してあり、第二試薬格納部2Bは反応部3の容器保持部31外に配置してある。なお、試薬容器22には、収納してある試薬の種類,量,ロット番号などの諸情報を有する識別コードラベルが貼付してある。一方、試薬格納部2(1A,2B)には、試薬容器22の識別コードを読み取る識別コードリーダ(図示せず)が設けてある。
【0019】
ここで、試薬容器22について説明する。図2は試薬容器の平面図、図3は試薬容器の正面図、図4は試薬容器の側面図である。試薬容器22は、平面視で扇形状の外形を呈し、この扇形状を上下方向に連ねた合成樹脂製の容器である。試薬容器22は、その上面に栓取付部221を有している。栓取付部221には、上方に向けて開口221aを有する筒体の外側面に雄ネジ部221bが設けてある。また、栓取付部221には、筒体の上下方向に連続して雄ネジ部221bの少なくとも2箇所を欠切した欠切部221cが設けてある。本実施の形態での欠切部221cは、栓取付部221を上方から見て180°間隔の位置で相反する方向に向けて設けてある。栓取付部221の開口221aは、試薬容器22の未使用時には、雄ネジ部221bに栓(図示せず)を螺合して封止してある。この栓は、試薬格納部2(および後述の試薬保管部8)に収容する際には、図2〜図4に示すごとく外される。
【0020】
反応部3は、筒状の容器保持部31を有している。容器保持部31は、中心31aの周りに回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転される。容器保持部31は、その周方向に沿って複数の凹部(図示せず)を有している。各凹部には、試薬と検体とを混合する反応容器32がそれぞれ保持されている。容器保持部31は、周方向で隣接する各凹部の間に遮光部材(図示せず)を有し、隣接する反応容器32の間を遮光してある。さらに、容器保持部31は、径方向に貫通する開口(図示せず)が各凹部に設けられており、当該開口を介して反応容器32を表出している。この反応部3は、容器保持部31の周囲を覆うケース(図示せず)を有し、当該ケース内を恒温槽として所定の温度(例えば37℃)に保温することで反応容器32内の試薬と検体とが反応した反応液を保温する。
【0021】
ここで、反応容器32は、上部が開口した有底の四角筒状の容器であり、後述する分析光に含まれる光の80%以上を透過する素材(例えば耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレンなどの合成樹脂)で形成してある。そして、反応容器32は、その周壁下部が分析光を透過させる測光領域として用いられる。この測光領域は、周壁間によって反応液の光学的特性を測定する光が透過する方向における反応液の厚みを規定している。
【0022】
また、反応部3には、分析光学系33が設けてある。分析光学系33は、発光部331と分光部332と受光部333とで構成してある。発光部331は、反応容器32内の反応液を分析するための分析光(例えば340〜800nm)を出射する。この分析光は、反応部3において容器保持部31の開口を通過し、反応容器32の測光領域にある反応液を透過する。分光部332は、反応液を透過した分析光を受光部333に向けて分光する。受光部333は、分光部332で分光された分析光を受光する。
【0023】
なお、図には明示しないが、反応部3には、攪拌機構および洗浄機構が設けられている。攪拌機構は、反応容器32内の試薬と検体とを均一に混合させるためのものであり、例として反応容器32に攪拌棒を挿入する接触式のものや、超音波を用いた非接触のものが挙げられる。攪拌棒を用いる場合には、反応部3の外部に当該攪拌棒を洗浄する洗浄部を要する。洗浄機構は、反応容器32内を洗浄するためのものであり、例えば反応容器32内の反応液を吸引して排出し、その後当該反応容器32に洗浄液を繰り返し注入して排出し、さらにその後当該反応容器32内を乾燥させて拭き取るものである。
【0024】
ところで、試薬格納部2と反応部3との間には、試薬分注機構5が設けてある。ここでの試薬分注機構5は、第一試薬格納部2Aと反応部3との間に設けた第一試薬分注機構5Aと、第二試薬格納部2Bと反応部3との間に設けた第二試薬分注機構5Bとがある。この試薬分注機構5は、アーム51とプローブ52とを有している。アーム51は、垂直方向に立設した中心軸51aの上端に基端部が取り付けてあって水平方向に延在して設けてある。このアーム51は、駆動手段53の駆動による中心軸51aの回転によって当該中心軸51aの周りに回転する。アーム51は、回転によって先端部が試薬格納部2の所定位置や、反応部3の所定位置に移動する。また、アーム51は、駆動手段53の駆動による中心軸51aの上下移動によって上下方向に移動する。プローブ52は、試薬を分注するものであり、先端を下方に向けてアーム51の先端部に取り付けてある。すなわち、試薬分注機構5は、アーム51の先端部の位置移動および上下移動によってプローブ52を移動させ、当該プローブ52によって試薬格納部2にある試薬容器22から試薬を吸引し、当該試薬を反応部3の反応容器32に注入する。
【0025】
なお、試薬格納部2の所定位置とは、図には明示しないが試薬格納部2のケースの上面に設けた開口孔の位置である。この試薬格納部2のケースの開口孔には、試薬格納部2のテーブル21の回転を止めた状態において試薬容器22の開口221aの位置が一致する。よって、アーム51の先端部が試薬格納部2の所定位置に移動した場合には、試薬格納部2のケースの開口孔を通して試薬容器22の開口221aの位置にプローブ52があり、当該プローブ52によって試薬容器22から試薬を吸引できる。また、反応部3の所定位置とは、図には明示しないが反応部3のケースの上面に設けた開口孔の位置である。この反応部3のケースの開口孔には、反応部3の容器保持部31の回転を止めた状態において反応容器32の開口の位置が一致する。よって、アーム51の先端部が反応部3の所定位置に移動した場合には、反応部3のケースの開口孔を通して反応容器32の開口の位置にプローブ52があり、当該プローブ52によって反応容器32に試薬を注入できる。さらに、試薬分注機構5によってプローブ52が移動する別の所定位置として、洗浄位置がある。この洗浄位置には、図には明示しないがプローブ52を洗浄するために洗浄液の吸引と排出とを行う洗浄部が設けてある。
【0026】
また、反応部3と後述する検体移送手段4(検体搬送部44)との間には、検体分注機構6が設けてある。この検体分注機構6は、アーム61とプローブ62とを有している。アーム61は、垂直方向に立設した中心軸61aの上端に基端部が取り付けてあって水平方向に延在して設けてある。このアーム61は、駆動手段63の駆動による中心軸61aの回転によって当該中心軸61aの周りに回転する。アーム61は、回転によって先端部が反応部3の所定位置や、検体搬送部44の所定位置に移動する。また、アーム61は、駆動手段63の駆動による中心軸61aの上下移動によって上下方向に移動する。プローブ62は、検体を分注するものであり、先端を下方に向けてアーム61の先端部に取り付けてある。すなわち、検体分注機構6は、アーム61の先端部の位置移動および上下移動によってプローブ62を移動させ、当該プローブ62によって検体搬送部44にある検体容器42から検体を吸引し、当該検体を反応部3の反応容器32に注入する。
【0027】
なお、検体搬送部44の所定位置とは、図には明示しないが検体搬送部44においてラック41の搬送を停止した状態で当該ラック41にある所定の検体容器42の開口の位置である。よって、アーム61の先端部が検体移送手段4の所定位置に移動した場合には、所定の検体容器42の開口の位置にプローブ62があり、当該プローブ62によって検体容器42から検体を吸引できる。また、反応部3の所定位置とは、上記と同様であって、アーム61の先端部が反応部3の所定位置に移動した場合に、反応部3のケースの開口孔を通して反応容器32の開口の位置にプローブ62があり、当該プローブ62によって反応容器32に検体を注入できる。さらに、検体分注機構6によってプローブ62が移動する別の所定位置として、洗浄位置がある。この洗浄位置には、図には明示しないがプローブ62を洗浄するために洗浄液の吸引と排出とを行う洗浄部が設けてある。
【0028】
また、図1に示すように上記自動分析装置は、分析機1に対して検体を移送する検体移送手段4を備えている。検体移送手段4は、検体容器42を保持したラック41を分析機1に移送するものである。ラック41には、検体を収容した検体容器42を複数並べて保持してある。検体容器42は、例えば試験管などの上部が開口した容器である。検体移送手段4は、検体載置部43と検体搬送部44とを有している。検体載置部43は、ラック41を載置するためのものであり、本実施の形態では、分析機1の一側に配置してある。検体載置部43は、複数のラック41を載置しつつ、当該ラック41を順次循環させる。そして、検体載置部43は、ラック41を循環させる過程において、当該ラック41を1つずつ検体搬送部44に送り出す一方で、検体搬送部44からラック41を受け取る。検体搬送部44は、分析機1の一端に設けてあって、例えばベルトコンベアなどからなり、ベルト上に置いたラック41を分析機1に搬送する。なお、ラック41は、複数の検体容器42が搬送方向に沿って並んだ状態で検体搬送部44に置かれる。この検体搬送部44は、2列設けてあり、一方が検体載置部43からラック41を受け取って分析機1に送り、他方がラック41を検体載置部43に戻す。
【0029】
また、図1に示すように上記自動分析装置は、分析機1に対して補充用の試薬を補充する試薬補充手段7を備えている。試薬補充手段7は、試薬保管部8,搬送部9および回収部10を備えている。
【0030】
試薬保管部8は、検体載置部43と共に、分析機1の一側に配置してある。試薬保管部8は、分析機1の試薬格納部2と同様の構成であって、円形状のテーブル81を有している。テーブル81は、中心81aの周りに回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転される。このテーブル81には、試薬を収容された試薬容器22が周方向に複数保持してある。試薬容器22は、テーブル81の回転に伴って中心81aの周りに移動する。また、試薬保管部8は、テーブル81の周囲を覆うケース(図示せず)を有し、当該ケース内を所定の温度に冷却することで試薬容器22内の試薬を冷却保存する。この試薬保管部8には、オペレータが補充用の試薬容器22を載置できるように開閉可能な蓋(図示せず)が設けてある。また、試薬保管部8には、オペレータが予め開栓した試薬容器22を載置してもよく、あるいは自動で開栓する機構(図示せず)を設けておいて栓をした試薬容器22を載置してもよい。なお、試薬保管部8には、試薬容器22の識別コードを読み取る識別コードリーダ(図示せず)が設けてある。
【0031】
搬送部9は、試薬保管部8にある試薬容器22を分析機1の試薬格納部2(2A,2B)に搬送し、また試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22を当該試薬格納部2の外部(回収部10)に搬送するためのものであり、第一搬送機構91と第二搬送機構92と第三搬送機構93と第四搬送機構94と第五搬送機構95と第六搬送機構96とを有している。
【0032】
第一搬送機構91は、試薬保管部8にある試薬容器22を当該試薬保管部8の外部(第二搬送機構92)に搬送するためのものである。第一搬送機構91は、試薬保管部8の近傍に配置してあり、アーム911と押圧部材912とを有している。アーム911は、試薬保管部8の上方に配置してあり、水平方向に延在して設けてある。このアーム911は、駆動手段913の駆動により図1の矢印A方向であって第二搬送機構92に対して近接または離反するように水平移動する。また、アーム911は、駆動手段913の駆動により上下方向に移動する。押圧部材912は、アーム911から下方に延在して設けてある。押圧部材912は、試薬容器22の側部に係合するように形成してある。すなわち、第一搬送機構91は、アーム911の水平移動および上下移動によって押圧部材912を移動させ、当該押圧部材912によって試薬保管部8にある試薬容器22を試薬保管部8の外部に押し出して第二搬送機構92に受け渡す。なお、図には明示しないが、試薬保管部8のケースには、押圧部材912が挿入されるとともに試薬容器22が押し出されるための開口が設けてある。この開口は駆動手段(図示せず)によって駆動されるシャッタによって開閉する。
【0033】
第二搬送機構92は、第一搬送機構91から受け取った試薬容器22を、分析機1のもとに搬送するためのものである。第二搬送機構92は、分析機1の他端に設けてあって、例えばベルトコンベアなどからなる。そして、第二搬送機構92は、第一搬送機構91からベルト上に受け取った試薬容器22を分析機1の方向(図1の矢印B方向)に搬送する。
【0034】
第三搬送機構93は、第二搬送機構92で搬送された試薬容器22を、分析機1側(第四搬送機構94)に受け渡すためのものである。第三搬送機構93は、空圧シリンダ,電動シリンダまたは油圧シリンダや、ソレノイドなどの往復動する駆動手段931を有した押し出し機構からなる。そして、第三搬送機構93は、第二搬送機構92にある試薬容器22を、図1の矢印C方向である分析機1側(第四搬送機構94側)に押し出す。なお、図には明示しないが第三搬送機構93を設けた位置には、第二搬送機構92で搬送された試薬容器22を検出する試薬容器検出手段と、当該試薬容器22の識別コードを読み取る識別コードリーダとが設けてある。
【0035】
第四搬送機構94は、第三搬送機構93によって第二搬送機構92から受け渡された試薬容器22を、第五搬送機構95側または第六搬送機構96側に受け渡す位置に搬送する一方で、第五搬送機構95または第六搬送機構96から受け取った試薬容器22を、第二搬送機構92に受け渡すためのものである。第四搬送機構94は、例えばベルトコンベアなどからなる。そして、第四搬送機構94は、第二搬送機構92からベルト上に受け取った試薬容器22を図1の矢印D方向であって、第五搬送機構95側または第六搬送機構96側に受け渡す位置に搬送する。一方、第四搬送機構94は、第五搬送機構95または第六搬送機構96から受け取った試薬容器22を、第二搬送機構92に搬送する。
【0036】
第五搬送機構95は、本発明に係る試薬容器搬送装置をなし、第四搬送機構94で搬送された試薬容器22を、第一試薬格納部2Aに搬送する一方で、第一試薬格納部2Aにある試薬容器22を、第四搬送機構94に搬送するためのものである。第五搬送機構95は、アーム951と保持部材952とを有している。アーム951は、垂直方向に立設した中心軸951aの上端に基端部が取り付けてあって水平方向に延在して設けてある。このアーム951は、駆動手段953の駆動による中心軸951aの回転によって当該中心軸951aの周りに回転する。アーム951は、回転によって先端部が第四搬送機構94の所定位置や、第一試薬格納部2Aの所定位置に移動する。また、アーム951は、駆動手段953の駆動による中心軸951aの上下移動によって上下方向に移動する。保持部材952は、試薬容器22を保持するものであり、先端を下方に向けてアーム951の先端部に取り付けてある。すなわち、第五搬送機構95は、アーム951の先端部の位置移動および上下移動によって保持部材952を移動させ、当該保持部材952によって第四搬送機構94にある試薬容器22を保持して第一試薬格納部2Aのテーブル21に搬送する。一方、第五搬送機構95は、アーム951の先端部の位置移動および上下移動によって保持部材952を移動させ、当該保持部材952によって第一試薬格納部2Aにある試薬容器22を第四搬送機構94に搬送する。なお、図には明示しないが、第一試薬格納部2Aのケースには、保持部材952が挿入されるとともに試薬容器22が出し入れされるための開口が設けてある。この開口は駆動手段(図示せず)によって駆動されるシャッタによって開閉する。
【0037】
なお、第五搬送機構95において第四搬送機構94の所定位置とは、第四搬送機構94で試薬容器22を搬送した位置であって、第五搬送機構95の保持部材952によって試薬容器22を保持することができる位置である。また、第一試薬格納部2Aの所定位置とは、第一試薬格納部2Aのテーブル21の回転を止めた状態において、第五搬送機構95の保持部材952によって試薬容器22を保持することができる位置である。なお、図には明示しないが第五搬送機構95における第四搬送機構94の所定位置には、第四搬送機構94で搬送された試薬容器22を検出する試薬容器検出手段が設けてある。
【0038】
第六搬送機構96は、本発明に係る試薬容器搬送装置をなし、第四搬送機構94で搬送された試薬容器22を、第二試薬格納部2Bに搬送する一方で、第二試薬格納部2Bにある試薬容器22を、第四搬送機構94に搬送するためのものである。第六搬送機構96は、第五搬送機構95と同様の構成であってアーム961と保持部材962とを有している。アーム961は、垂直方向に立設した中心軸961aの上端に基端部が取り付けてあって水平方向に延在して設けてある。このアーム961は、駆動手段963の駆動による中心軸961aの回転によって当該中心軸961aの周りに回転する。アーム961は、回転によって先端部が第四搬送機構94の所定位置や、第二試薬格納部2Bの所定位置に移動する。また、アーム961は、駆動手段963の駆動による中心軸961aの上下移動によって上下方向に移動する。保持部材962は、試薬容器22を保持するものであり、先端を下方に向けてアーム961の先端部に取り付けてある。すなわち、第六搬送機構96は、アーム961の先端部の位置移動および上下移動によって保持部材962を移動させ、当該保持部材962によって第四搬送機構94にある試薬容器22を保持して第二試薬格納部2Bのテーブル21に搬送する。一方、第六搬送機構96は、アーム961の先端部の位置移動および上下移動によって保持部材962を移動させ、当該保持部材962によって第二試薬格納部2Bにある試薬容器22を第四搬送機構94に搬送する。なお、図には明示しないが、第二試薬格納部2Bのケースには、保持部材962が挿入されるとともに試薬容器22が出し入れされるための開口が設けてある。この開口は駆動手段(図示せず)によって駆動されるシャッタによって開閉する。
【0039】
なお、第六搬送機構96において第四搬送機構94の所定位置とは、第四搬送機構94で試薬容器22を搬送した位置であって、第六搬送機構96の保持部材962によって試薬容器22を保持することができる位置である。また、第二試薬格納部2Bの所定位置とは、第二試薬格納部2Bのテーブル21の回転を止めた状態において、第六搬送機構96の保持部材962によって試薬容器22を保持することができる位置である。なお、図には明示しないが第六搬送機構96における第四搬送機構94の所定位置には、第四搬送機構94で搬送された試薬容器22を検出する試薬容器検出手段が設けてある。
【0040】
ここで、試薬容器搬送装置(第五搬送機構95および第六搬送機構96)の保持部材952,962について説明する。図5は本発明に係る試薬容器搬送装置の保持部材を示す正面図、図6は保持部材を示す底面図である。なお、保持部材952と保持部材962とは、共に同じ構成であるため、一方(保持部材952)についてのみ符号を付して説明する。図5および図6に示すように保持部材952は、軸部952aと保持部952bと雌ネジ部952cとを有している。軸部952aは、上下方向に延在する棒状体であって、その基端(上端)がアーム951の先端部に取り付けてあり、先端(下端)が下方に向けて設けてある。この軸部952aは、上下に延在する軸線Sを中心に回転可能に設けてあり、駆動手段(図示せず)によって回転駆動される。また、軸部952aは、軸線Sの延在方向(上下方向)に移動可能な遊びを有してアーム951に取り付けてある。保持部952bは、軸部952aの先端に設けてあり、栓取付部221を覆う態様で下方に向けて開口して形成してある。この保持部952bは、栓取付部221を覆う筒状に形成してあってもよいが(図示せず)、本実施の形態での保持部952bは、図6に示すように雌ネジ部952cを配置する部位のみで形成してある。雌ネジ部952cは、保持部952bに設けてあり、雌ネジを軸線Sに向けて形成してある。この雌ネジ部952cは、試薬容器22における栓取付部221の雄ネジ部221bに螺合する。また、雌ネジ部952cは、栓取付部221の欠切部221cの位置(数)に対応して当該欠切部221cに非接触となるように設けてある。
【0041】
上記保持部材952による試薬容器22の保持動作について説明する。図7は保持部材による試薬容器の保持動作を示す図である。保持部材952は、試薬容器22を保持することができる所定位置において、駆動手段953の駆動による中心軸951aの下移動によってアーム951を下方向に移動した場合に、栓取付部221の上方から下降することになる。下降した保持部材952は、試薬容器22の正面視となる図7(a)に示すように、雌ネジ部952cが欠切部221cに沿って雄ネジ部221bに接触することなく移動する。そして、保持部材952の下降を所定高さで停止させた後、当該保持部材952を軸線Sの周りに回転(90°右回転)させる。すると、試薬容器22の側面視となる図7(b)に示すように、雌ネジ部952cが欠切部221cの位置から雄ネジ部221bの位置に移動して雌ネジ部952cが雄ネジ部221bに螺合することになる。この螺合に伴って保持部材952が下降することになるが、アーム951を合わせて下降させることなく、アーム951に取り付けた軸部952aの遊びによって保持部材952の下降を吸収できる。そして、下降した保持部材952は、保持部952bの下端が栓取付部221の基端となる試薬容器22の外面に当接する。これにより、試薬容器22が保持部材952によって保持されることになる(保持状態)。ここで、アーム951を上方に移動させることで保持部材952によって保持した試薬容器22を持ち上げて搬送できる。なお、保持部材952によって試薬容器22を保持した状態(保持部952bの下端が試薬容器22の外面に当接した状態)においては、栓取付部221の開口221aに対して上方に隙間Hを有する。このため、保持部材952が栓取付部221の開口221aに触れる事態を防いで、開口221aから試薬容器22内への異物の侵入を防止する。
【0042】
一方、試薬容器22を搬送した後は、当該保持部材952を軸線Sの周りに回転(90°左回転)させる。すると、図7(a)に示すように雌ネジ部952cが雄ネジ部221bに非接触な欠切部221cの位置に移動する。ここで、駆動手段953の駆動による中心軸951aの上移動によってアーム951を上方向に移動すれば、保持部材952が栓取付部221から外れることになる。
【0043】
なお、図には明示しないが、上記試薬容器搬送装置において、保持部材952が保持状態にあることを検出する保持状態検出手段を備えていてもよい。保持状態検出手段は、例えば、保持部952bの下端が栓取付部221の基端となる試薬容器22の外面に当接したことを検出するものなどでよい。
【0044】
回収部10は、試薬容器22を投入するための上方が開口する箱体である。この回収部10は、分析機1の他側であって、搬送部9の第二搬送機構92の搬送方向(図1の矢印方向B)の搬送先に配置してある。
【0045】
図8は自動分析装置の制御系を示すブロック図である。図8に示すように自動分析装置は、上述した分析機1において、試薬格納部2,反応部3,試薬分注機構5および検体分注機構6が分析制御部11に接続してあり、それぞれ分析制御部11によって統括的に制御される。また、試薬格納部2(2A,2B)に設けた識別コードリーダ(図示せず)で読み取った試薬容器22の諸情報は、分析制御部11内のメモリ(図示せず)に記憶される。また、分析制御部11に接続された試薬不足検出手段12は、試薬格納部2に保持した各試薬容器22における試薬不足を検出する。試薬不足は、例えば試薬容器22の諸情報と、過去の試薬使用量とを比較して現在の試薬残量を算出することで検出できる。また、検体移送手段4は、上述した検体載置部43および検体搬送部44が移送制御部45に接続してあり、それぞれ移送制御部45によって統括的に制御される。さらに、試薬補充手段7は、上述した試薬保管部8および搬送部9(第一搬送機構91,第二搬送機構92,第三搬送機構93,第四搬送機構94,第五搬送機構95,第六搬送機構96)が補充制御部71に接続してあり、それぞれ補充制御部71によって統括的に制御される。そして、移送制御部45と補充制御部71とは、分析制御部11に接続してある。すなわち、移送制御部45と補充制御部71とは、分析制御部11と相互に信号の入出力を行う。
【0046】
上述した自動分析装置の動作を説明する。先ず、分析機1において、第一試薬分注機構5Aによって第一試薬格納部2Aに格納した所定の試薬容器22の試薬を吸引し、反応部3にある所定の反応容器32に注入する。次いで、検体分注機構6によって検体搬送部44にあるラック41に保持した所定の検体容器42の検体を吸引し、上記反応容器32に注入する。次いで、第二試薬分注機構5Bによって第二試薬格納部2Bに格納した所定の試薬容器22の試薬を吸引し、上記反応容器32に注入する。ここで、攪拌機構によって上記反応容器32内の試薬と検体とを攪拌混合する。なお、試薬分注機構5および検体分注機構6のプローブ52,62、攪拌機構の攪拌棒は、分注や攪拌の後に各洗浄部で洗浄される。
【0047】
上記動作は、一定の周期で繰り返される。反応部3の容器保持部31は、1周期で反時計方向に(1周−1反応容器)/4分回転し、4周期で時計方向に1反応容器分回転する。そして、容器保持部31の回転に際して、攪拌混合された反応液がある上記反応容器32が分析光学系33における分析光を横切る時、当該反応液の吸光度を測定する。吸光度は、測定を終了した反応容器32が洗浄・乾燥されるまでの間(例えば18秒間)で測定される。洗浄・乾燥された反応容器32は、再び分析に使用される。
【0048】
続いて、上述した試薬補充手段7の動作を説明する。試薬補充手段7の試薬保管部8には、試薬不足になると予測された試薬を収容した試薬容器22をオペレータが予め保管しておく。試薬不足の予測は、分析制御部11で行われる。分析制御部11のメモリ(図示せず)には、過去に分析した分析項目(実績)が記憶される。さらに、分析制御部11のメモリ(図示せず)には、日(午前・午後),週,月,季節,年ごとでの過去の試薬の使用量(実績)が算出されて記憶される。そして、分析制御部11では、前日までの試薬残量と、所定期間(例えば1日,1週間,1ヶ月)の試薬使用実績とに応じた分析項目数推定値から試薬の必要量を求め、現在試薬保管部8に保管されている試薬量から試薬不足を予想し、これを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知する。オペレータは、この告知を見て、試薬不足になると予測された試薬を収容した試薬容器22を試薬保管部8に予め保管しておく。
【0049】
また、オペレータが外部入力手段(図示せず)によって所定期間(例えば1日)の予想検体数を入力することにより、分析制御部11では、当該入力と前日までの試薬残量とから所定期間の試薬の必要量を求め、現在試薬保管部8に保管されている試薬量から試薬不足を予想し、これを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知するようにしてもよい。
【0050】
さらに、オペレータが外部入力手段(図示せず)によって所定期間(例えば1日)の予想項目数を入力することにより、分析制御部11では、当該入力と前日までの試薬残量とから所定期間の試薬の必要量を求め、現在試薬保管部8に保管されている試薬量から試薬不足を予想し、これを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知するようにしてもよい。
【0051】
なお、試薬保管部8に試薬容器22が保管された場合、その識別コードが試薬保管部8に設けた識別コードリーダ(図示せず)で読み取られる。そして、読み取られた試薬容器22の諸情報は、補充制御部71のメモリ(図示せず)および分析制御部11のメモリ(図示せず)に記憶される。ここで、分析制御部11では、試薬保管部8に保管してある試薬と、実際に分析で使用した試薬とを比較する。そして、比較した結果、試薬保管部8に保管してある試薬以外を用いる分析項目が生じた場合には試薬不足となり得るのでこれを外部出力手段(図示せず)によってオペレータに告知するようにしてもよい。
【0052】
そして、上述した分析機1の動作に際して試薬格納部2(2A,2B)にある試薬容器22が空(分析に用いることができない少量を含む)になる。すなわち、分析機1の試薬不足検出手段12によって試薬不足が検出される。この場合、補充制御部71は、試薬格納部2(2A,2B)のテーブル21を回転させて該当する空の試薬容器22を開口の位置に移動させ、当該開口をシャッタで解放させて、空の試薬容器22を第五搬送機構95または第六搬送機構96によって試薬格納部2(2A,2B)の外部に出し、当該空の試薬容器22を第四搬送機構94に搬送する。次いで、補充制御部71は、第四搬送機構94によって空の試薬容器22を第二搬送機構92に搬送する。その後、第二搬送機構92によって空の試薬容器22を回収部10に搬送する(回収動作)。
【0053】
一方、分析機1の試薬不足検出手段12によって試薬不足が検出された場合、補充制御部71は、試薬保管部8のテーブル81を回転させて不足に該当する試薬を収容している補充用の試薬容器22を開口の位置に移動させ、当該開口をシャッタで解放させて、当該試薬容器22を第一搬送機構91によって試薬保管部8の外部に押し出して第二搬送機構92に搬送する。補充用の試薬容器22を試薬保管部8の外部に出した後は、その開口をシャッタで閉塞する。次いで、補充制御部71は、第二搬送機構92によって補充用の試薬容器22を、第三搬送機構93の位置に搬送する。次いで、補充制御部71は、第三搬送機構93によって、補充用の試薬容器22を第四搬送機構94に搬送する。次いで、補充制御部71は、第四搬送機構94によって試薬を補充すべき試薬格納部2(2Aまたは2B)に対応する第五搬送機構95側または第六搬送機構96側に受け渡す位置に搬送する。次いで、補充制御部71は、第五搬送機構95または第六搬送機構96によって補充用の試薬容器22を、試薬を補充すべき第一試薬格納部2Aまたは第二試薬格納部2Bに搬送する。このとき、補充制御部71は、分析制御部11を介して試薬格納部2(2Aまたは2B)の開口をシャッタで解放させ、試薬容器22を搬送した後は試薬格納部2の開口をシャッタで閉塞する(補充動作)。
【0054】
そして、補充された試薬のロットが以前の試薬と同じ場合にそのまま当該試薬を使用して分析を行う。一方、ロットが異なる場合など必要に応じ、検体移送手段4において標準検体を移送して当該標準検体を用いて吸光度と濃度との関係線(検量線)を作成し直す。
【0055】
なお、回収動作にて試薬容器22を第二搬送機構92に搬送するまでの動作と、補充動作にて試薬容器22を第二搬送機構92に搬送するまでの動作とは、同時に行うことができる。また、試薬格納部2(2A,2B)に試薬容器22を配置しない空き領域を予め設けておき、当該空き領域に補充用の試薬容器22を搬送すれば、回収動作の前に補充動作を行うことが可能である。さらに、第四搬送機構94は、回収用と補充用とを別に有していてもよく、これにより回収動作と補充動作とをほぼ平行して行うことが可能になる。また、試薬の補充は、試薬不足検出手段12によって試薬不足が検出された場合に限らず、オペレータが外部入力手段(図示せず)によって試薬の補充指示を入力した場合に行ってもよい。
【0056】
このように、上述した自動分析装置に適用した試薬容器搬送装置は、一例として試薬補充手段7において、試薬容器22を搬送する搬送部9に用いられており、上方に開口する筒体の外側面に雄ネジ部221bを有する栓取付部221が設けられた試薬容器22を搬送する試薬容器搬送装置であって、栓取付部221の上方から雄ネジ部221bに螺合する雌ネジ部952cを有した保持部材952を備えている。従前から使用している試薬容器22には、雄ネジ部221bを有した栓取付部221が設けてある。この結果、従前から使用している試薬容器22を使用して当該試薬容器22を持ち上げて保持することが可能になる。また、栓取付部221の雄ネジ部221bに雌ネジ部952cを螺合させる制御でよいため簡単な制御で試薬容器22を持ち上げて保持することが可能になる。
【0057】
また、試薬容器搬送装置は、上方に開口する筒体の外側面に設けた雄ネジ部221bと、筒体の上下方向に連続して雄ネジ部221bの少なくとも2箇所を欠切した欠切部221cとを有する栓取付部221が設けられた試薬容器22を搬送する試薬容器搬送装置であって、欠切部221cの位置に対応しつつ当該欠切部221cに非接触となる態様で配置してあり雄ネジ部221bに螺合する雌ネジ部952cを有した保持部材952を備えている。従前から使用している試薬容器22には、成形時の型抜きの都合によって雄ネジ部221bと欠切部221cとを有した栓取付部221が設けてある。この結果、従前から使用している試薬容器22を使用して当該試薬容器22を持ち上げて保持することが可能になる。また、栓取付部221の雄ネジ部221bに雌ネジ部952cを螺合させる制御でよいため簡単な制御で試薬容器22を持ち上げて保持することが可能になる。
【0058】
また、前記保持部材952は、雄ネジ部221bに螺合した際に栓取付部221の基端となる試薬容器22の外面に当接する。すなわち、雄ネジ部221bに対して雌ネジ部952cを締め付けた状態とする。このため、試薬容器22を安定して保持することが可能になる。なお、欠切部221cを有する栓取付部221に対応した試薬容器搬送装置では、予め欠切部221cの位置で雌ネジ部952cを栓取付部221に挿入するため、当接するまで雄ネジ部221bに雌ネジ部952cを螺合させる時間を短縮することが可能になる。
【0059】
また、前記保持部材952は、雄ネジ部221bに螺合して栓取付部221の基端となる試薬容器22の外面に当接した際に、栓取付部221の開口221aに対して隙間を有する態様で構成してある。このため、保持部材952が栓取付部221の開口221aに触れる事態を防いで、開口221aから試薬容器22内への異物の侵入を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る試薬容器搬送装置を適用する自動分析装置の一例を示す平面図である。
【図2】試薬容器の平面図である。
【図3】試薬容器の正面図である。
【図4】試薬容器の側面図である。
【図5】本発明に係る試薬容器搬送装置の保持部材を示す正面図である。
【図6】保持部材を示す底面図である。
【図7】保持部材による試薬容器の保持動作を示す図である。
【図8】自動分析装置の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 分析機
11 分析制御部
12 試薬不足検出手段
2 試薬格納部
2A 第一試薬格納部
2B 第二試薬格納部
21 テーブル
21a 中心
22 試薬容器
221 栓取付部
221a 開口
221b 雄ネジ部
221c 欠切部
3 反応部
31 容器保持部
31a 中心
32 反応容器
33 分析光学系
331 発光部
332 分光部
333 受光部
4 検体移送手段
41 ラック
42 検体容器
43 検体載置部
44 検体搬送部
45 移送制御部
5 試薬分注機構
5A 第一試薬分注機構
5B 第二試薬分注機構
51 アーム
51a 中心軸
52 プローブ
53 駆動手段
6 検体分注機構
61 アーム
61a 中心軸
62 プローブ
63 駆動手段
7 試薬補充手段
71 補充制御部
8 試薬保管部
81 テーブル
81a 中心
9 搬送部
91 第一搬送機構
911 アーム
912 押圧部材
913 駆動手段
92 第二搬送機構
92 第二搬送機構
93 第三搬送機構
931 駆動手段
94 第四搬送機構
95 第五搬送機構
951 アーム
951a 中心軸
952 保持部材
952a 軸部
952b 保持部
952c 雌ネジ部
953 駆動手段
96 第六搬送機構
961 アーム
961a 中心軸
962 保持部材
963 駆動手段
10 回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する筒体の外側面に雄ネジ部を有する栓取付部が設けられた試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置であって、
前記栓取付部の上方から雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有した保持部材を備えたことを特徴とする試薬容器搬送装置。
【請求項2】
上方に開口する筒体の外側面に設けた雄ネジ部と、筒体の上下方向に連続して前記雄ネジ部の少なくとも2箇所を欠切した欠切部とを有する栓取付部が設けられた試薬容器を搬送する試薬容器搬送装置であって、
前記欠切部の位置に対応しつつ当該欠切部に非接触となる態様で配置してあり前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有した保持部材を備えたことを特徴とする試薬容器搬送装置。
【請求項3】
前記保持部材は雄ネジ部に螺合した際に栓取付部の基端となる試薬容器の外面に当接することを特徴とする請求項1または2に記載の試薬容器搬送装置。
【請求項4】
前記保持部材は雄ネジ部に螺合して栓取付部の基端となる試薬容器の外面に当接した際に栓取付部の開口に対して隙間を有する態様で構成してあることを特徴とする請求項3に記載の試薬容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−303881(P2007−303881A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130464(P2006−130464)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】